CPAの目標値は代理店に提案してもらう
CPAの目標値は
代理店に提案してもらう
安田● 代理店にはどういう言い方で依頼をします? 私は非常にシンプルで、この予算をできるだけ使って、ページビュー単価2円になるようにやってくれと。具体的な予算の配分はすべてお任せするという依頼の仕方です。
教育サービス業界Oさん● 私も結構似ていて、「これだけの予算で、CPAをいくらで獲得してくれ」と伝えます。過去のデータの蓄積で、このCPAでどのくらい獲得できるという想定値はある程度見えますから。想定値が見えないときは運用方法の詳細を説明してもらいますが、基本的には代理店にお任せです。
安田● 大事な方針だけ伝えて、うまくいかなそうだったらチェックする。
教育サービス業界Oさん● はい。CPAは毎日チェックして、想定値と違う場合はなぜずれているのかを報告してもらいます。
人材業界Aさん● うちの場合は、月の予算は提示しますが、CPAの想定値はこちらからは口にしません。
安田● 財布を渡して、この金でどれだけ獲得できるのか代理店が考えろというやり方ですね(笑)
人材業界Aさん● はい。CPAをこちらから伝えてしまうと、それ以上の努力はしてくれません。CPAを伝えなかった場合、代理店は堅実な数字を目標値として出してくるんですが、私も前職からずっとリスティング広告に携わっていますから、ある程度想定値がわかります。代理店に対し、「もっとできますよね」と言いながらやると、もうちょっとがんばってくれます。目標値は代理店が自分で設定した数字ですので、達成できなければ代理店を変更します。
安田● Aさんの頭の中にはだいたいこのくらいだろうなという数値があって、でもそれは言わずに目標をつくれと。厳しいですね。
人材業界Aさん● ただ、代理店の担当者も私との仕事が長いので、だいたい人材業界のCPAの相場がわかっているんです。だからこそできるやり方だと思います。
エレクトロニクス業界Yさん● 今のお話を聞いていて、ウチの運用はゆるいなあと思いました(笑)。携帯でのリスティングがよくわからないまま始めたということもありますが、目標とかも代理店と相談しながら決めていましたから。
安田● 結果、コンバージョンが取れなくてやめてしまったわけですね。とにかく数を取ってくれ、といった具合に依頼はしなかったのですか?
エレクトロニクス業界Yさん● そのあたりもあまり密にはできていませんでした。とりあえず運用してみて、月に1回打ち合わせをして、ちょっと成果が出ていないのでこれを変えましょうか、とかそういうレベルでした。
信販会社Kさん● 私はAさんやOさんと同じような形です。「月額予算はこうで、CPAはこのくらいで」と。今の担当者は信販業界のリスティングの経験があまりないようなので、CPAの目標値はこちらで設定しないとわからないかなと思います。
LPOができない代理店は使いづらい!?
安田● CPAを目標値にしている方が多いんですが、CPAはリスティング広告の運用だけでは改善しませんよね。ランディングページの出来が整っていて初めてCPA云々という話になると思います。ランディングページについては、代理店はどのように関わっているのですか?
人材業界Aさん● もちろん代理店にはランディングページの提案もしていただきます。LPOができない代理店は選べません。
信販業界Kさん● 当社の場合、実はランディングページは社内ではそれほど問題にはなっていません。というのも商材がクレジットカードですから、当然、申込後審査で落とさなければいけないケースも出てきます。ただWebからの申込者は、なぜか店頭よりもカードの発行率が高いんです。だからランディングページに関してはあまり重視されていないんですね。
ただ現状はリスティングの運用とランディングページの制作を違う会社がやっているので、まどろっこしい面はあります。今、代理店にランディングページの制作もやってほしいと言っているところです。
教育サービス業界Oさん● ウチは代理店と相談しながらLPOとEFOをやっています。制作に関しては私がやったり、代理店がやったりまちまちですが、臨機応変にいかようにも変えられる体制を取っています。Webサイトに誘導をして、その後コンバージョンを獲得するところまでは、代理店と一緒にタッグを組み、どれが最速で成果を上げられるかというのを試行錯誤しています。
安田● サイト側をそんなに頻繁に変えているんですか?
教育サービス業界Oさん● だいたい2週間サイクルで検証をし、広告のタイトル、ディスクリプションを変えたり、ランディングページを変えたりという作業をやっています。
安田● それはすごい(笑)。Yさんはモバイルオンリーですから、LPOはやりづらかったでしょうね。
エレクトロニクス関連Yさん● そうですね。モバイルサイトの制作は自社でやっていましたが、入札キーワードのアドバイスはあっても、制作まではアドバイスしてくれませんでした。
安田● やはり予算が少ないと、代理店は踏み込んでやってくれませんね。私も同じ立場なのでよくわかります。ところで予算の額は、毎月一定なのでしょうか。というのは、単純に考えると、CPAが一定以下で抑えられているのであれば、コンバージョン数を増やせば増やすほど儲かりますよね。
教育サービス業界Oさん● 基本的には月額予算は決まっていますが、獲得がもっと見込めそうであれば、追加予算を上司に交渉することもあります。逆にCPAの悪化が原因で、予算を使い切らずにストップすることもあります。
安田● 基本的には皆さん、月額で決めているわけですね。
一同● うなずく
安田● ところで最近、成果報酬型の代理店も結構出てきています。CPAの目標値を決めて、それを達成できたら報酬はこれだけもらいます、という代理店です。興味はありませんか?
人材業界Aさん● うーん……。支払額が不安定だと、社内的に予算を立てづらいんですよね。それと、成果報酬だからがんばるという会社とは付き合いたくない(笑)。お互いチームとして一緒にやっていこうという会社と仕事をしたいですね。
信販業界Kさん● 最初にお話ししたようにウチはアフィリエイトがメインなので、そもそも成果報酬的に広告費用が発生するんですが、Oさんがおっしゃったように予算が立てづらい面は確かにあります。
リスティングは費用を固定できるのが魅力ですが、成果報酬型に関しても提案はいくつか聞きました。ただ今の段階では、ちょっとどうなんだろうと思います。というのも、成果を得るために何でもやられると困るんですね。おかしなキーワードに入札したりととかそういうのは困る。そのへんをクリアできれば、興味はあります。
安田● なるほど~。成果報酬はなかなかいいサービスだという印象があったんですが、そうでもないんですね。
エレクトロニクス業界Yさん● ウチの今の状態だと、とても興味があります。予算が限られていて、そもそも成果が出ていないので、ぜひやってみたいです。
......後半に続く
リスティング広告を運用する広告主は、代理店に対してどういった形でのサポートを求めているのか?「脳」として?それとも「手足」として?
座談会後半でも、広告主の皆さんのさまざまな意見が飛び交った。次回もお楽しみに!
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