アフィリエイターに選ばれるECサイトになるには?/第2回アフィリエイトアンケートの結果より
総合専門アフィリエイト企業のクロスワーク株式会社は、アフィリエイトサイト運営者(以下、アフィリエイター)に対して2008年3月〜4月に「第2回アフィリエイト・アンケート」の調査を実施した。
本記事では、その調査結果から、アフィリエイターの取り組みやECサイトに求める施策など、企業側が今後アフィリエイト施策を展開する上で参考になる調査結果を抜粋してお届けする。
成果報酬型のネットマーケティング手法「アフィリエイトプログラム」は、導入の手軽さとコストパフォーマンスの高さ、そして他ネット広告のコスト増などの背景もあり、近年急速に参入ECサイトを増やしてきている。
しかしながら、アフィリエイトプログラムを利用する多くのECサイトでは、
- どのようにアフィリエイターと接すれば良いのか
- どのような施策がアフィリエイターに喜ばれるのか
- アフィリエイトにおいて活用される広告素材は何か
といった基本的な点を理解できずに、アフィリエイト担当者が1人で頭を抱えているケースも少なくない。
そこで今回は、アフィリエイト専門企業のクロスワーク株式会社が運営するニュースサイト「アフィリエイトSOGO.COM」を通じて実施した「第2回アフィリエイト・アンケート」の回答結果をもとに、アフィリエイターに選ばれるECサイトとなるには何をすべきか、という点について調査結果を交えながら解説する。
※調査概要に関しては、記事の末尾に記載している。
アフィリエイト歴1年で80%以上が月額報酬1万円突破
平均9.86サイト運営
ECサイト側でアフィリエイトプログラムを運用する際、まず知っておかなければならないのが、提携アフィリエイターがどのようにアフィリエイトに取り組んでいるかだ。アフィリエイターのアフィリエイト歴と報酬額の関係、そして運営する平均サイト数の2つのデータは、EC側がアフィリエイターを理解する上でも重要な指針となる。
アフィリエイターのアフィリエイト歴と報酬額の関係は下記のようになった。
アフェリエイト歴と報酬額の関係 | |
---|---|
半年以内 | 80%は収入がないかあっても1,000円未満。多い人でも5,000円。 |
1年以内 | 収入は全員あるが80%が1,000円未満。多い人でも5,000円。 |
1年から2年 | 80%以上が月額報酬10,000円を突破。MAX10万円。 |
2年から3年 | 50%以上が月額報酬30,000円を突破。全員収入有。MAX30万円。 |
3年から4年 | 50%以上が月額報酬30,000円を突破。全員収入有。MAX30万円。 |
4年から5年 | 80%以上が月額報酬30,000円を突破。100万円近い収入の人も。 |
5年以上 | 40%以上が月額報酬10万円を突破。収入100万円以上に人も。 |
アフィリエイト歴が半年未満のアフィリエイターは、月5,000円未満の報酬しか得られていないことがわかる。と同時に、アフィリエイト歴が長ければ長いほど報酬額は増え、1年を超える頃には月収10万円のアフィリエイターも出始めることがわかる。
アフィリエイトプログラムをECサイト側が展開する際、あきらめることなく1年以上アフィリエイトに取り組んでいて、毎月高い報酬を獲得しているトップアフィリエイターを中心に抱え込むことが自社のアフィリエイト売上アップに最も効果的だろう。
アフィリエイターの平均所持サイト数はブログとモバイルサイトを含め、「9.86サイト」。全体の92.2%のアフィリエイターがブログを所持しており、また41.6%がモバイルサイトを所持していることがわかった。
2006年末に実施した第1回アンケートの調査結果と比較すると、2008年春までの1年半の間に、アフィリエイト業界でのブログ所持率は10ポイント以上、モバイルサイト所持率は13ポイント以上アップしている。
アフィリエイターを報酬額ごとに分類した運営アフィリエイトサイト総数と、そのうちブログとモバイルサイトの比率を出したデータが下記になる。
平均所持サイト数 | |
---|---|
全体平均 | 9.86 |
1000円未満 | 3.87 |
1000円〜1万円 | 4.09 |
1万円〜3万円 | 10.63 |
3万円〜10万円 | 10.84 |
10万円〜30万円 | 9.67 |
30万円以上 | 30.00 |
平均ブログサイト数 | (比率※1) | |
---|---|---|
全体平均 | 5.69 | 57.7% |
1000円未満 | 2.80 | 72.4% |
1000円〜1万円 | 2.55 | 62.3% |
1万円〜3万円 | 8.00 | 75.3% |
3万円〜10万円 | 6.11 | 56.4% |
10万円〜30万円 | 5.83 | 60.3% |
30万円以上 | 14.00 | 46.7% |
平均モバイルサイト数 | (比率※2) | |
---|---|---|
全体平均 | 0.75 | 7.6% |
1000円未満 | 0.27 | 7.0% |
1000円〜1万円 | 0.55 | 13.4% |
1万円〜3万円 | 0.25 | 2.4% |
3万円〜10万円 | 0.84 | 7.7% |
10万円〜30万円 | 0.50 | 5.2% |
30万円以上 | 2.75 | 9.2% |
月の報酬額が1,000円未満のアフィリエイターは平均3.87サイト運営しており、そのうちの2.80サイトはブログベース、0.27サイトがモバイルとなっている(言い換えればこのグループでのモバイルサイト所持率は4人に1人強)。
いっぽう、アフィリエイト月額収入が30万円以上あるアフィリエイターは平均して約30サイトを運営しており、そのうちブログベースのものが14サイト、モバイルは2.75サイトとなっている。アフィリエイト報酬月収30万円以上というレベルのアフィリエイターは、事業レベルでサイト運営やアフィリエイトに取り組んでいる、プロアフィリエイターと呼ばれる層になる。
概して、アフィリエイト収入が多くなるにつて、所持サイトにおけるブログサイト比率が低くなる傾向がみられる。また、モバイルサイトを持っているかどうかが、月額収入3万円以上を得られるかの1つの境目になっている。ある程度PCアフィリエイトで成果を出したアフィリエイターが、モバイルアフィリエイトにも取り組み始めているものと考えられる。
アフィリエイターが欲しいのは自由テキストと商品リンク(バナー広告はいらない)
アフィリエイトターに聞いた欲しい広告素材のNo.1は、同率で「自由テキスト」と「商品リンク」となった。この2つはアフィリエイト歴や報酬額に関係なく、ほぼすべての回答者から希望素材として挙げられている。これに第3位の「シンプルテキスト(社名やショップ名のみのテキスト広告)」を加えた3種類の素材は、ECサイトがアフィリエイト展開する上で必ず用意しておかなければならない素材だと言えるだろう。
調査コメントに寄せられたその他の回答では、ブログやモバイルサイトを所持するアフィリエイターの増加もあってか、「コンテンツマッチ広告」や「QRコード広告」「3カラムブログ用広告」といった素材が多く挙げられた。また、商品リストやURL、キャッチコピー、価格、画像データが含まれたエクセル(もしくはCSV形式)の「商品リストファイル」も、物販系ECサイトからの提供をアフィリエイターが希望する広告素材のようだ。
またサイズにかかわらずバナー広告を希望するアフィリエイターが半数を下回ったと言うのも意外な結果となった。ブログ記事や個別ページで商品やサービスの紹介をする方法がアフィリエイトのメインになっているため、サイトの広告色が強くなってしまうバナーは使わないというアフィリエイターも多いようだ。
ただし、ポータルサイトやショッピングサイトといった形式をとっているアフィリエイトサイトでのバナー利用率はまだまだ高いため、ある程度のバナー素材を提供する必要はあるだろう。とくにバナー素材サイズで人気上位の「468x60」「234x60」「125x125」「120x60」の4サイズは用意しておいた方が良さそうだ。参考までに第1回アフィリエイト・アンケートで実施した「アフィリエイターに求められるバナー広告のサイズ」のデータも下記掲載しておく。
レビュー用商品プレゼントやセミナー、ツアー企画が喜ばれる
次に、アフィリエイターはどのようなECサイト企画を希望しているのかを見てみよう。
ブログでレビュー記事を掲載するアフィリエイターの増加も影響したのか、レビュー用商品をECサイトから提供してもらいたいという回答が全体の80%を越える結果となった。第2位には僅差で「セミナーやツアー」というEC実施企画がランクインした。アフィリエイトセミナーやアフィリエイトツアーなど、ECサイト担当者や商品と直接触れ合える機会を希望するアフィリエイターが増加しているようだ。
ただし、どのようなEC企画を希望するかは、アフィリエイト収入によって違いがあることに注意してほしい。
月額収入1万円未満のアフィリエイター | |||
---|---|---|---|
1位 | レビュー用商品プレゼント | 26 | 33.8% |
2位 | セミナーやツアー | 22 | 28.6% |
3位 | クリック報酬 | 19 | 24.7% |
4位 | 期間限定コミッションアップ | 16 | 20.8% |
5位 | 広告掲載だけのプレゼント | 16 | 20.8% |
6位 | 初成果プレゼント | 12 | 15.6% |
7位 | 個別サポート | 12 | 15.6% |
8位 | コンテンツ作成コンテスト | 11 | 14.3% |
9位 | 段階性コミッション | 10 | 13.0% |
10位 | 成果実績によるプレゼント | 8 | 10.4% |
月額収入3万〜30万円のアフィリエイター | |||
---|---|---|---|
1位 | レビュー用商品プレゼント | 23 | 29.9% |
2位 | セミナーやツアー | 23 | 29.9% |
3位 | 段階性コミッション | 20 | 26.0% |
4位 | 成果実績によるプレゼント | 17 | 22.1% |
5位 | 個別サポート | 16 | 20.8% |
6位 | 期間限定コミッションアップ | 12 | 15.6% |
7位 | コンテンツ作成コンテスト | 11 | 14.3% |
8位 | 広告掲載だけのプレゼント | 10 | 13.0% |
9位 | 初成果プレゼント | 7 | 9.1% |
10位 | クリック報酬 | 5 | 6.5% |
特に顕著なのが第3位から第5位。ある程度の収入があるアフィリエイターは段階性コミッションや成果実績によるプレゼント、個別サポートなど個別の企画を希望するのに対し、収入があまり多くないアフィリエイターはクリック報酬や期間限定コミッションアップ、広告掲載だけのプレゼントなど全体企画を希望される傾向にあるようだ。
アフィリエイター向けイベントは週末の午後に開催するべし
アフィリエイターが希望するECサイト企画の第2位に「セミナーやツアー」といったオフラインでのイベント施策があるが、こういったイベントをECサイト側が実施するとしたら、どの時間帯に開催するのが最もアフィリエイターの参加につながるのだろうか。
グラフを見ると、土日のお昼ごろに開催されるイベントであれば参加しやすいという声が最も多く寄せられた。この点は、主婦アフィリエイターも副業(会社員)アフィリエイターも同じ結果となった。ただし、主婦アフィリエイターは夜間開催イベントへの参加が難しいという結果が出ているので注意が必要だろう。
回答者グループで唯一異なった意見だったのが、自営業のアフィリエイター。アフィリエイトを本業にされている方も多く、彼らからは日時にかかわらず参加したいという回答と、平日のお昼ごろがいいという回答が多く寄せられた。
アフィリエイターに選ばれるECサイトランキング
アフィリエイトサイト運営者が選ぶ2008年度ベストECサイトは、ベルメゾンネットとなった(有効投票者数の26%を獲得)。
ベストECサイト | ||
---|---|---|
ベルメゾンネット | 13 | 26.0% |
エスプリライン | 8 | 16.0% |
ムトウ | 5 | 10.0% |
ガリバー | 3 | 6.0% |
ショップチャンネル | 3 | 6.0% |
合計投票数 | 50 |
ベルメゾンネットが高い評価を得たポイントとしては、
- アフィリエイト担当者の優れた姿勢
- 千趣会愛用者のロイヤリティの高さ
- アフィリエイトイベントの豊富さ
- 新鮮さのある商品ラインナップ
- メルマガや企画などアフィリエイター用施策の実施
などが挙げられる。
第2位のエスプリラインは「アフィリエイト向け企画の豊富さ」と、「アフィリエイトチームのサポート&姿勢」などの点が評価されている。第3位のムトウは、「アフィリエイト担当の姿勢」「見本市でのブース展開」といった点が評価されている。
ベルメゾンネットとガリバーの2社は、2006年末に実施した第1回アフィリエイト・アンケート時に続きランクインしている。
アフィリエイターに選ばれたECサイトに共通して言えることは、「アフィリエイトにかける担当者の姿勢が評価されている」という点。アフィリエイターのことを思って行動することが、結果としてアフィリエイターからの信頼獲得につながり、めぐり巡ってECサイトを応援してくれるアフィリエイターの増加にもつながるという、良い循環構造になっている。アフィリエイト専属担当をつけられるかどうかも、ECサイトの今後のアフィリエイト展開に影響してくるだろう。
調査概要
- 調査目的:アフィリエイトサイト運営者(アフィリエイター)の現状を理解するため
- 調査対象:イトやブログでアフィリエイト広告を掲載している個人、および個人事業主
- 調査方法: ウェブサイト回答フォームへの記入
- 有効回答数:77サンプル
- 調査期間:2008年3月3日〜2008年4月30日
- 調査機関:クロスワーク株式会社、アフィリエイトSOGO.COM
回答者の属性
女性回答者数が全体の59.7%、男性が40.3%と、回答アフィリエイターの男女比は4:6となる。
年齢では30代後半が最も多く32.5%。続いて30代前半が22.1%、40代前半が20.8%となっている。
回答アフィリエイターの居住都道府県は神奈川県が最も多く全体の18.2%を占める。次いで東京が16.9%となっている。
性別 | ||
---|---|---|
男性 | 31 | 40.3% |
女性 | 46 | 59.7% |
合計 | 77 |
年齢 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
20代前半 | 1 | 1.3% | |||||||||||||||||||||||||||||||||
20代後半 | 7 | 9.1% | |||||||||||||||||||||||||||||||||
30代前半 | 17 | 22.1% | |||||||||||||||||||||||||||||||||
30代後半 | 25 | 32.5% | |||||||||||||||||||||||||||||||||
40代前半 | 16 | 20.8% | |||||||||||||||||||||||||||||||||
40代後半 | 4 | 5.2% | |||||||||||||||||||||||||||||||||
50代前半 | 3 | 3.9% | |||||||||||||||||||||||||||||||||
不明 | 4 | 5.2% | |||||||||||||||||||||||||||||||||
合計 | 77 |
都道府県 | ||
---|---|---|
神奈川 | 14 | 18.2% |
東京都 | 13 | 16.9% |
北海道 | 6 | 7.8% |
大阪府 | 5 | 6.5% |
兵庫県 | 5 | 6.5% |
栃木県 | 4 | 5.2% |
その他 | 26 | 33.8% |
不明 | 4 | 5.2% |
合計 | 77 |
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