公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会(以下、JAA)は、4月22日に2026年度の事業説明会見を開催し、「広告コミュニケーションにおけるDE&Iガイドライン」を発表した。
開会の挨拶で川村和夫理事長は、世界的なインフレ懸念や地政学的リスク、国内の物価高や人手不足といった複雑な環境に触れつつも、AI活用の進展や観光需要の回復など前向きな動きもあり、生活者に寄り添って企業の姿勢を誠実に伝える広告の役割がますます増していると述べた。
日本の総広告費が8兆円を突破し、インターネット広告費が初めて50%を超えるなどメディアのあり方が劇的に変化する中で、偽情報や不適切な広告といったデジタル広告の品質向上への取り組みを今年度も強化していく姿勢を示した。また、生成AIなどの新技術やサステナビリティ意識の高まりにも言及し、透明性の高い広告活動を通じて改めて「生活者と企業との間により強い信頼関係を築いていく」と強調した。
社会におけるコミュニケーション活動の価値を高める
続いて、河上千明専務理事より2026年度の事業活動方針が説明された。
今年度のミッションとして「社会におけるコミュニケーション活動の価値を高め、広告業界の健全かつ持続可能な発展を実現する」ことを掲げ、以下の4つの重点領域に沿って活動を展開するという。
具体的な重点領域としては、AIなどの新技術や価値観の多様化に対応し、広告の倫理性・透明性を高める「生活者の信頼を得る広告の推進」や、媒体横断的な効果測定指標の整備による「広告コミュニケーションにおける効率・効果の追求」など、広告業務に直結する領域を主軸に注力する。これらに加え、次世代を担う「人材育成」の拡充や、Webサイトのリニューアルを通じた「協会活動の広報・発信の強化」の4つを軸に活動を展開していく方針だ。
「広告コミュニケーションにおけるDE&Iガイドライン」の発表
会見では、サステナビリティ・コミュニケーション委員会の幼方聡子委員長より、コミュニケーションにおけるDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)について詳細な報告があり、同日「広告コミュニケーションにおけるDE&Iガイドライン」が発表された。

近年、無意識の偏見やステレオタイプな表現が企業への不信感やブランドの毀損につながるケースが見られる一方、生活者は共感できる企業を支持する傾向を強めている。こうした状況を踏まえ、Diversity(多様性) Equity(公平性) Inclusion(包摂性)の視点から本ガイドラインを策定した。
本ガイドラインの最大の特徴は、特定の表現を一律に規制するものではなく、企画・制作・発信・発信後の各プロセスにおいて多様な視点で確認するための「共通の基礎フレーム」として作成された点である。
各社が画一的に適用するのではなく、自社の方針や状況に応じて柔軟にカスタマイズし、発展させていくことを前提としている。
単なるリスク回避にとどまらず、「より多くの生活者との共感を生み出すブランドコミュニケーションの基盤である」という考え方が根底にあり、今後は啓発セミナーやワークショップなどを通じて、制作プロセスの初期段階からDE&Iの視点を取り入れることを業界標準として広げていく方針だ。
その他、メディア委員会、広告取引委員会、ブランディング戦略委員会など各委員会からの活動報告が行われた。総務委員会からは、情報発信力強化の一環として、紙媒体だった会報誌『月刊JAA』をデジタル化し、新たに『JAAnexus』として4月15日よりスタートさせたことなどが共有された。
