自社のWebサイトやサービスを運用するうえで、欠かせない資産である「ドメイン名」。しかし、キャンペーンサイトの乱立や組織の変更などに伴い、「実は社内にあるドメイン名の全容を把握できていない」「管理が属人化していて引き継ぎが不安」といった悩みを抱える企業は少なくありません。
Web担当者Forumでは、2026年5月20日~6月3日にかけて読者を対象に「ドメイン名に関する調査」を実施しました。
2026年6月ドメイン名特集の第3弾となる今回は、その最新の調査結果を公開。さらに、ドメイン名管理に詳しいキヤノンマーケティングジャパンの西田氏を迎え、データから見えてくる企業のリアルな課題や、ブランド毀損を防ぐための実践的なアドバイスをお届けします。
ドメイン名の保有数は1~10個が5割超、101個以上も1割
まず、保有しているドメイン名の総数を聞いたところ、1~10個が最も多く、56.9%。次いで11~50個が20.2%となった。一方で、101個以上保有していると回答した人が11.9%いた。
次に、保有しているドメイン名の種類を複数回答で聞いたところ、.jp / .co.jp / .ne.jp などの「汎用・属性型JPドメイン名」が86.2%と最も多かった。次いで、.com / .net / .org などの「主要gTLD」が65.1%となった。.app / .tokyo / .shop などの「新gTLD」が15.6%を占めている点は注目だ。
ドメイン名の管理部門は、情シスか広報・マーケ部門が担う
ドメイン名を主に管理している部門を複数回答で聞いたところ、情報システム部門が48.6%と最も多く、次いで広報・マーケティング部門が32.1%、総務・法務部門が16.5%と続いた。各事業部やプロジェクト単位での管理も11%もあり、企業によって管理する部門が異なることがわかった。
ドメイン名の棚卸し、たとえば不要なドメイン名の確認や整理を行う頻度を聞いたところ、「年に1回が最も多く40.4%」だった。一方で、「全く行っていない・もしくは自動更新のまま」との回答は21.1%もあった。
保有するドメイン名の情報を一元管理しているかの質問に対しては、「専用システムやExcelなどで管理している」と回答した人が、最も多く58.7%だった。次いで、「部署ごとにバラバラだが一部把握できている」は25.7%、「できていない」は12.8%と続いた。
自社ブランドに似たドメイン名の登録は、してる/してないが半分ずつ
自社ブランドや商標に似たドメイン名をどの程度登録しているかを聞くと、「似たドメイン名の対策は特に行っていない」が52.3%と最も多かったものの、「主要サイトに関連するもの」と「主要なものはすべて取得している」を合計すると43.1%となり、対策をしている企業としていない企業が半々という結果になった。
新規でドメイン名を登録する場合のルールが決まっているかを聞いたところ、「ルールがなく各プロジェクトごとの判断」が最も多く、48.6%となった。「厳格なルールがある」と回答した人は30.3%。「ルールはあるが形骸化している」は10.1%だった。
ドメイン名の廃止ルールありは4割弱、ルールなしが6割
サービス終了などで使わなくなったドメイン名の廃止までの期限やルールを聞いたところ、「ルールがなく都度判断(43.1%)」と「特にルールはない(18.3%)」を合わせると、61.4%となった。一方、「明確なルールがある(23.9%)」と「リスクを考慮して原則維持(13.8%)」を合わせると37.7%だった。
ドメイン名管理に関する悩みを複数選択可で聞くと、次のような回答が続いた。
- 管理が属人化していて、引き継ぎに不安があるが41.3%
- 管理画面(レジストラ)が複数に分かれていてログインが面倒が22%
- 保有ドメイン名の全容が把握できていないが20.2%
企業のブランドを守るドメイン名管理の正解とは:キヤノンMJ西田氏に聞く
ここからは、企業側でドメイン名管理に詳しいキヤノンマーケティングジャパンの西田氏と一緒に、調査結果を振り返りながら、ドメイン管理の悩みに関して話を伺った。

ブランドコミュニケーション本部 コミュニケーション推進部
部長
西田 健氏
――今回、Web担初の調査ということもあり、回答者の企業規模までは取得しなかったのですが、結果を見てまずどう感じますか?
中小零細から大企業まで幅広く回答しているのではないか、と感じました。「大企業が回答しているだろうな」と感じる点は、ドメイン名の保有数101個以上だったり、「新gTLD」と呼ばれるドメインを登録していたり、というのが1割~2割弱ある点からです。「新gTLDを登録する」というのは、よっぽどこだわりが強い個人か大企業だと思いますので笑。
――なるほど。調査結果では、ドメイン名を管理する部門は、情報システム部門が約半数と最も多いようでした。西田さん的にどの部署で管理するのがベストだと思いますか?
情報システム部門は、企業内のIT環境全般の管理や運用を担う部署ではありますが、私の経験上、「企業IT」と「企業ウェブ」は微妙に異なると感じています。そのため、情報システム部門で管理するのではなく、「ブランド部門」でガイドラインを作って、ドメイン名の管理を行うのが良いと思っています。そして、知財部や法務部などの協力を得て社内での周知を図り、効力を発揮していくのが良いと思います。
――ブランド部門を推す理由を教えてください。
ドメイン名におけるリスクは、ブランド毀損に直結します。企業の大きさにかかわらず、「Webだから」と言い訳せずに、自社ブランドを守る活動の一つと捉えて、知識をつけて管理すべきだと思います。
ドメイン名管理のリスクに関してはこちら:https://webtan.impress.co.jp/e/2026/06/03/52743
――「ドメイン名の管理ができている」が6割あるのに対して、「一部しかできていない」もしくは「できてない」との回答が合わせて4割ありました。
企業がWebサイトを持つことが一般化して20年ほど経っているので、ブランドリスクを考える企業では、Webに関するガイドラインが存在し、何らかのドメイン名の登録に関するルールが設けられている企業は結構あると思います。
一方で、プロジェクト単位や部署ごとに好きなドメイン名を登録してしまう、ということもよく耳にします。特に、BtoCの場合「キャンペーンごとにカッコいいドメイン名を登録したい」というニーズはあります。代理店や制作会社から「○○というドメイン名を登録してキャンペーンサイトを立ち上げましょう!」という提案をもらうことも多々あります。
――「安易にドメイン名を登録することはリスクを伴う」ということが、浸透していないんでしょうか。
サイト制作に関わる人が常にベテランばかりとは限らないので、難しいですね。また、仮にドメイン名を新しく登録する場合、その管理は制作会社や代理店が行うのか、事業会社側がやるのか、明確に決まってないケースもあります。
サイトを作る側は、ドメイン名を登録しないことには発注(サイト制作)が始まらないので、登録せざるを得ないんです。でも、そのサイトが終了した場合、どちらが管理するのか決まってないので、外注先にドメイン名の管理だけ残ってしまい、管理コストをもらえないまま、制作会社が管理・保有し続けるなんて場合もあったりします。
――なんと…。どんなルールで行うのが良いのですか?
まずは、簡単なものでもいいのでガイドラインを作ること。そして、新規のドメイン名登録は基本的に行わず、サブドメイン名で運用することが第一歩だと思います。
――管理方法に悩んでいる人も多そうです。アドバイスはありますか?
ガイドラインがあれば、管理するのはExcelでもスプレッドシートでもなんでもよいと思います。そこに、ドメイン名と更新日だけ記載して、更新の3か月前になったら赤くなってアラートが出る設定にするとか、定期的にチェックするなどすれば管理はできると思います。保有ドメイン名が100以上あって見落としが怖い、という場合はGMOさんが開発・提供しているクラウド型の管理ツールなんかもあったりします。
――管理の手間と同じくらい、支払いの手間を嘆いている人も多くいました。
全部のドメイン名が、たとえば「まとめて1月に全部更新」とかならばいいんですが、ドメイン名によって更新月が違うので、あれとこれは3月、別のは5月みたいなことが発生しがちです。その都度、伝票を申請する必要があるので、これは正直面倒です笑。あと細かいですが、支払い方法がクレジットカードだったり、請求書払いだったりとドメイン名販売業者さんの支払い対応方法によっても差があるので、そこら辺が面倒と言われるゆえんかもしれません。
――なるほど。確かに面倒そうです。
ちょっと方向性は違いますが、企業によってはドメイン名を資産として捉えて、減価償却するという形で毎月処理をしなければいけないという話も耳にします。何を資産として捉えるかは企業によって異なりますが、YouTubeの動画コンテンツ制作費なども同様の考え方で処理する必要がある、なんてことも聞いたことがあります。
――まさか、Web担で支払い処理に関する話題に触れることになるとは…笑。話題は変わりますが、似たドメイン名をどこまで登録するかの問題にも触れたいです。
「どこまで似たドメイン名を取るべきか」に対して、一概に答えを出すのは難しいです。ただ、現実世界で考えてもらいたいのですが、自社が出している製品の模倣品が出回ってしまい、本家である自社の製品がブランドリスクにさらされるということがありますよね。
Web上で言えば、「製品の模倣品が出回らないようにする」つまり「似たドメイン名のサイトを発生させないこと」がブランドリスクの回避につながる、と考えています。その観点から、似た文字列のドメイン名を「防御的に事前に登録」し、第三者が登録できないようにすることが有効です。ただ一方で、費用対効果を軸に語られてしまうと、説得するのは正直難しいとも思います。企業内での「ブランドリスクをどこまで減らすか」の合意形成がないと、更新のたびに「不要論争」が勃発しそうです。
――ドメイン名の廃止方法についても不安を感じる声が多かったです。
「ドメイン名は、一度登録したら使わなくなっても手放さない」が基本です。もちろん、一定期間は新しいドメイン名にリダイレクトするために残しますが、あまり残しすぎると新しいドメイン名に移ってくれないという問題も発生するので、2~3年はリダイレクトさせて、その後はアクセスできないようにするけれど、廃止はせず保有し続けるというパターンが多いですかね。
――数年前に、「ドコモ口座(docomokouza.jp)」のドメイン名がドメインオークションに出品されて話題になりましたよね。手放すつもりはなく管理ミスでドコモ自体が400万円で買い戻して事なきを得たらしいですが、いろんなトラブルがあります。これ以外にも、何かトラブルってありますか?
「ドメイン名は廃止せず保有しているのに、サイトが乗っ取られた」というトラブルですかね。専門用語で言うと、Subdomain Takeover(サブドメインテイクオーバー)※という問題です。ドメイン名自体は自社が所有(お金を払ってキープ)しているのに、DNSの設定を消し忘れたがために、そのドメイン名で偶然もしくは、狙ってサイトを立ち上げられてしまうトラブルです。
超簡単に説明すると、Webサイトを作るには、AWSやCDNといったSaaSサービスを使いますよね。サイト閉鎖に伴って、SaaSの契約・リソースだけを削除し、DNSのレコード(CNAME)を消し忘れてしまうことで、このトラブルが発生してしまいます。
――DNSを削除して反映されるまで、タイムラグがあるのでこちらも大きな問題ですね。こういう問題って、外部に丸っと任せるってできたりするんですかね。
現状は外部に任せられるサービスを提供している企業は聞いたことが無いですかね。
――編集部で現実世界で葬儀業者がいるように、ドメイン名の墓じまいみたいなサービスがあるといいよね、とは話したことがありました笑。
確かにそういったサービスはあるといいかもしれませんね笑。
――本日はありがとうございました。西田さんの話を参考にして、ドメイン名管理をしてもらえたらです。
調査概要
【調査期間】2026年5月20日〜6月3日
【調査対象】Web担当者Forum読者
【調査方法】インターネット調査
【回答数】109件
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