LINEヤフーが提供する、検索キーワードから人々の興味関心を分析できるプロダクト「DS.INSIGHT」 のBasicがUIを大幅アップデートした。
より多くのユーザーに利用してもらうことを目指して、データに関する専門知識がない方や分析ツールに慣れていない方、あるいは他の業務との兼務の方でも、すきま時間で簡単にインサイトを得られるように改良された。アップデートのポイントや活用方法について同社の野口真史氏と栗田優輝氏に話を聞いた。
トップページの情報が充実:調べなくてもトレンドを把握できるように
トップページの情報量が拡充された。以前のトップページは、ユーザーが自分で知りたいワードを検索から調べる「検索窓」と「注目キーワード」が5つ表示されていた。
新トップページでは、
- 気になるキーワードを入力して調べる「検索窓」
- 検索が急上昇している「注目キーワードから調べる」
- 1ヶ月の性年代別ランキングに基づく「検索ボリュームから調べる」
- 過去に入力した「キーワード履歴から調べる」
など、さまざまな切り口から探索できるトップページに生まれ変わった。
初心者ユーザーから「いざ使おうと思っても、自分で検索したい言葉が浮かばない」「キーワードに変換できない」というお悩みをいただいていました。「何を調べたらいいかわからない」という問題を解決するために、まずは自分の興味があるカテゴリのキーワードを見られるようにしました。興味があるキーワードをクリックすると、さらに詳細な分析データが表示されるという仕組みです(野口氏)
個人設定機能の追加:ユーザーの興味・関心にあわせたページ構成に
さらなる使いやすさのために、ユーザーアカウントごとに個人設定が可能になった。たとえば、業種、興味のある領域、主な利用目的などを設定できる。この設定に合わせて、DS.INSIGHT Basic内で表示されるおすすめキーワード、ジャンル、初期表示内容がパーソナライズされる。
検索が急上昇している「注目キーワードから調べる」
個人設定をした場合は、トップページのカテゴリが絞られた形で表示される。
一方、個人設定をしていない場合、トップページにはすべてのカテゴリのキーワードや、シーズンにあわせた日本の標準的な興味・関心が表示されるようになっている。
1ヶ月の性年代別ランキングに基づく「検索ボリュームから調べる」
続いて、1ヶ月の性年代別ランキングに基づく「検索ボリュームから調べる」もトップページで確認できるようになった。以前は、ユーザー自身が絞り込み、切り替えが必要だったが、ボタン一つで[性年代別][総合]の表示を変更できるようになった。
たとえば、男性30代で1位の検索キーワードにカーソルを合わせると、該当キーワードの色が変わり、他の年代・性別でどこにランクインしているのかが一目でわかるようになった。
過去に入力した「キーワード履歴から調べる」
そして「キーワード履歴」からは過去にDS.INSIGHT Basicで調べたキーワードのうち、直近2週間で検索数に変動があったものが表示される。定期的にDS.INSIGHT Basicを開けば、以前調べたキーワードに変化があった時に、すぐに気付けるようになっている。
以前のキーワード履歴は、便利機能として分析ページの中に用意していました。アップデートにより、キーワードに変動があれば自動的にトップページに表示されるようになり、変化に気づきやすくなりました(野口氏)
トップページの末尾には「活用お役立ち記事」を配置し、DS.INSIGHT Basicの利用方法などの記事のリンクを表示している。このリンクも、個人設定の内容を踏まえて出し分けしているという。
グルメ界隈の急上昇キーワードの秘密
グルメは季節や話題によって変動が大きいカテゴリの一つだが、飲食店名などはテレビで取り上げられると、急上昇するそうだ。また、年末になると「福袋」が急上昇キーワードになるが、最近飲食店の福袋も注目されており、店名と福袋をあわせて検索する件数が増えている。
なお福袋は、その年の正月の福袋の内容を確認するために、年末年始になると過去の「福袋」を検索する、といった検索行動が見られるので、できる限り過去のアーカイブページは残しておこう。
キーワード分析画面:全体像から詳細へ、検索意図をドリルダウンしていくページ構成
気になるキーワードをクリックすると、キーワード分析画面が表示され、性別・年代・地域など複数の観点から検索傾向を可視化する。グラフや分布図、ランキングにより、どのような人が、いつ、どんな興味関心をなぜ持っているのかが把握しやすいようにデザインされている。調べたいキーワードを最大10個まで追加できる。
以前の分析ページでは、一緒に検索されたキーワードである「共起キーワード」をページ上部に表示していた。そのあとに、属性などの偏りを表示するという順番だった。
これまでの画面では、ユーザーの分析の流れに正しく寄り添えていないと感じていました。そこで、キーワードに対して「検索ボリューム」「性別年代の偏り」「地域分析」「増減傾向」「共起キーワード」の順番で、ドリルダウン形式で、全体像から詳細分析へと段階的に分析していける流れに順番を変更しました。この表示順はこだわって調整しました(野口氏)
共起キーワードのツリーマップ表示
従来のキーワードマップに加えて新しい可視化方法として追加したのがツリーマップである。カテゴリごとに分類し、ボリュームの大きいものを大きく左上に配置するようにしている。
たとえば、「マヨネーズ」のツリーマップを表示してみると、一見しただけでどのキーワードが注目されているのかが見やすくなっている。
このツリーマップから、これまで見落としていたキーワードを発見しやすくなりました。小さいカテゴリでも、まとめてみるとボリュームが大きくなったり、下位のキーワードでも発見しやすかったり、気付きを得やすいデザインになっています。面積の大きさで直感的にわかるので、示唆を得やすいと評判がよいです(野口氏)
発見したキーワードで検索広告を出稿するほか、自社が網羅していないコンテンツやFAQを発見して、コンテンツ施策に活かすなどの活用方法がある。また、商品企画部門であれば、新しい企画アイデアのコンセプト作成に活かすこともあるという。
ユーザー事例
活用例として、高機能ヘアドライヤーを販売するメーカーは、これまではヘアケアの文脈で商品を売り出していました。しかし、ツリーマップから産後の抜け毛に悩む人が多いことを発見し、訴求内容に加えることで、新しいマーケットを開拓した事例もあります(野口氏)
複数キーワードの比較分析で自社の強み・弱みを把握する
キーワードの比較は以前からあった機能だが、ここも見せ方を改良した。一つが散布図による2軸比較表示だ。
散布図の縦軸は「マヨネーズ」と一緒に検索されるキーワードが表示され、横軸は「マスタード」とともに検索されるキーワードが表示されている。中央線に近いものは、両方で検索されているキーワードだ。
また、画面右下のカメラマークを押すと、そのまま資料として活用できる形で出力される。日付、抽出条件、出典などが挿入されるので、資料などに貼り付ける時も便利だ。撮影時に不要なワードを除外することもできる。
共起キーワードをランキング形式で見やすく改良した。[性別][年代別][性年代別][地域別][部分一致]で表を変更できる。
「ランキング」はユーザーの使い方からヒントを得て実装しました。というのも、これまでデータをダウンロードして、ご自身で突き合わせて様々なランキングを作成して、社内用資料を作成しているという方が多かったのです。なお、自社と競合他社のブランドワードを「ランキング」で比較し、どちらでも検索されているワードに対して広告を出稿すれば、他社に流れていたユーザーを獲得できる可能性があるので、広告担当者から重宝されています(野口氏)
共起キーワードは、カテゴリーエントリーポイント(CEP、消費者が特定の商品やサービスを思い出し、購入を検討するきっかけとなる文脈)でもあります。自社の商品の共起キーワードが少ないということは、思い出してもらうきっかけが少ないということなので、独自の共起キーワードを増やすという視点から、マーケティング施策を考えると効果的です(栗田氏)
キーワード比較では、比較するキーワードの候補が「追加候補」として表示されるようになっているが、単に検索ボリュームから候補を出すのではなく、DS.INSIGHT Basicの独自のAIアルゴリズムで調整している。
化粧品メーカー名を入れると、競合のメーカー名がリストに並ぶなど、企業目線で知りたい関連キーワードが表示されるようになっています。自分で何を調べようか考えなくても、候補から選ぶだけで比較分析ができるようになっています(栗田氏)
検索ボリュームの変化からトレンドを把握する
周期的なイベントであれば、年ごとの検索ボリュームを比較してみると、トレンドがわかることがある。またインフルエンザなど季節性の病気の検索推移を見てみると、その年の流行傾向が見えるという。「検索が流行の先行指標になる」と栗田氏は話す。直近5年間におけるキーワードごとの検索ボリュームの推移を表示し、検索のピークも確認できる。また、性別・年代別・性年代別・地域別で絞り込んだグラフの表示もできる。
検索ボリュームは以前からありましたが、アップデートで1ページでしっかり表示するようにしました(栗田氏)
AIがなぜその結果になるのかを推論する
既存機能ではあるが、生成AIによる検索意図分析も見逃せない。検索ボリュームが急上昇している理由を共起キーワードマップからAIが推察してくれるなど、分析のサポートをしてくれる。
たとえば、子どもに人気のボンボンドロップシール。共起キーワードと組み合わせてAIに読み込ませることで、流行の背景をテキストで表示する。そのまま使うのが不安であれば、自分でSNS投稿や株価、ニュースなどをたどって裏付けをしたうえで仮説として使っても良い。
なお、Yahoo!リアルタイム検索はXと連携しているので、検索ボリュームが増えた時期の投稿などを確認することもできる。
データ分析の専門スキルがなくても、Yahoo! JAPANの検索データを手軽に分析できるように進化したDS.INSIGHT Basic。仮説立案から、背景の読み解き、施策検討までを、誰もが短時間でスムーズに進められるようになった。
現在、初めて登録すると、7日間は無料でDS.INSIGHTの主要機能を試すことができる(法人・自治体のみ)。この機会に新しくなったDS.INSIGHTを体験してほしい。
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