フォントに興味がない人にも知ってほしい、世にも奥深い「フォントの世界」
この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。
4月10日は何の日かご存じですか? 4は「フォー」、10は「トオ」。フォーとトオ、フォオトー……フォントー……そう! 「フォントの日」ですよね! アドビは2017年、日本記念日協会に4月10日を「フォントの日」として登録し、制定2年目の記念イベントを開催しました。
「フォントなんてMSゴシックとMS明朝があれば生きていける」という方も多いとは思いますが、今日はそんな皆さんにもぜひ知っていただきたい、フォントの世界をご紹介します。
正解者ゼロ続出! 難問過ぎるフォント当てクイズ
まずはフォントの世界がどれくらい奥深いのかという一例を、「“絶対フォント感”クイズ」の問題からご覧ください。さて、この「ドリンクバー無料」というのは何というフォントで書かれているでしょうか?
正解は視覚デザイン研究所というフォントベンダーの「ロゴ丸 R」です。はい、知らないですよね。
ちなみに回答者は「マツコの知らない世界」の「フォントの世界」にご出演された須藤雄生さん(写真右)と、ヤフーのデザイナー 田島佳穂さん(左)。1問目からご両名とも正解ならず。そんな調子で難問が続きます。
正解は「おたまじゃくし」が「筑紫Cオールド明朝R」(Fontworks)、「くノ一」が「すずむし」、「開封後はお早めにお召し上がりください」が「エムニュースジーL」(共にモリサワ) 、「誰の指示による改ざんか」は「TBゴシック For コンデンス R」(TypeBank)です。
会場には業界の内外を問わず、多くのフォント好きが集まっていましたが、会場からも不正解が続出。会場の戸惑いをよそに、フォントトリビアクイズに続きます。
ご存じない方のために解説すると、ロゴを作るときに既存のフォントで大まかな枠組みを作り、そこから細かい調整をしてロゴとして作り上げるのは一般的な手法。有名なロゴも大抵の場合はベースになっているフォントがあるのです。
で、皆さんもご存じのソフトバンクのロゴの場合は「小塚明朝の欧文」というのが正解。でも。会場から「Adobe Serif MM(アドビセリフ・エムエム)の平成明朝に組み込まれているバージョン」という声が(詳しすぎるよ、来場者……)。出題者であるアドビの服部正貴さんの解説によると、小塚明朝にも平成明朝にもAdobe Serifが組み込まれているので、「両方正解」とのことでした。
今後はソフトバンクのロゴを見たら「このロゴは小塚明朝の欧文をベースにしているんだよね、でも小塚明朝の欧文っていうのは平成明朝の欧文とイコールだから、平成明朝の欧文をベースにしてるとも言えるんだよね」って言ってみてください。多分嫌われます。
オバマ前大統領が選挙戦で使ったフォントは「Gotham」(ゴッサム)ですがって、当然のように言われても困りますが、正解は、「TRUMP」が「Akzidens-Grotesk BQ Super(アクチデンツ・グロテスク・ビーキュー・スーパー)」で、下の小さい字は「FF Meta OT Bold」です。その知識が人生で役立つことはあるのか? と問われれば、間違いなくありません。
他にもこんな問題が出ました。
もうそれ、フォントの問題じゃなくて漢字の問題! なんですが、正解は57画だそうです。「ビャンビャン麺」っていう料理が中国にあるらしいですよ。
この日は他にも「フォントの未来」と題したトークセッションや、モリサワ/タイプバンク、DNP、フォントワークス、字游工房、視覚デザイン研究所、アドビといった国内の大手フォントメーカー6社のタイプフェイスデザイナーが一堂に会したパネルディスカッションも行われました。
「あのフォントを作ったのはこの人なのか!」ってことで、デザインに関連したお仕事をしている人にとってはオールスター。フォント業界のミュージックステーションみたいなものですよ。いやあ、興奮しました……。
なんだか盛り上がっているフォントの世界
当日はいろんな展示もされていて、その中でも目立っていたのが『フォント男子!』。なんとフォントを男子高校生に擬人化した漫画です。「主人公はアンチックAN、舞台はモリサワ学園」っていう時点でわかる人はニヤニヤ。
モリサワからはグッズも販売されています。こちらはモリサワの書体からインスパイアされた3つの香りが楽しめるお香。
「心地よく気分が整う甘く温もりのある香り(A1ゴシック)、伝統と静けさが生み出す均整のとれた香り(リュウミン)、爽やかに草原を吹き抜けていく端正な香り(フォーク)」と、どんな香りなのかはさっぱりわかりませんが、3つの香りがセットになっています。
しおりもあります。デジタルフォントがモノとして手に取れるなんて、ちょっと不思議な感じです。
そういえば、会場でも本物の桜の中に「さくら」という文字がぶら下がっていました。この書体は昨年11月にAdobe Typekitに追加された「貂明朝(てんみんちょう)」。
Adobe Typekit(アドビ・タイプキット)というのは、Adobe Creative Cloud(多分ほとんどのクリエイターが朝から晩まで使っているAdobe製品の最新バージョン)を契約している人なら、追加料金なしで使えるフォントのサブスクリプションサービスです。
フォントはWebサイトや広告のクリエイティブで欠かせないもの。可愛さ、豪華さ、力強さ、美しさ……フォント1つで印象はガラッと変わります。多くのフォントベンダーによる個性豊かなフォントがなければ、デジタルにおけるデザインは成立しないといっても過言ではありません。
読者のみなさまにおかれましては、デザイン担当の社員に「フォントが少なくて困るわ〜」と言われたら「え、まだCS使ってるの? じゃあCCにアップデートしてTypekitを使いなよ」って言ってあげてください。これさえ覚えておけば好感度急上昇間違いなし。
オリジナル記事はこちら:フォントに興味がない人にも知ってほしい、世にも奥深い「フォントの世界」(2018/04/24)
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