企業ホームページ運営の心得

ビッグデータが壊す守旧派の壁。ドラッグ通販から一歩踏み出し日本を動かす

Web業界のバズワードで終わらせるには惜しい「ビッグデータ」の活用提言
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の300

感謝、感謝、感謝

本コラムが300回を迎えました。ひとえに読者の皆さまと編集部ご一同のおかげさまでございます、ありがとうございます。

2006年に始まり、300を数えてもコラムのネタが切れない最大の理由は「現場」。現場は問題と課題に満ちあふれたアドベンチャーなのです。そしてもちろん、Web業界のおかげでもあります。次から次へと繰り出される「バズワード」は、まるでファンタジーワールド。最近のバズワードの東の横綱は「ソーシャルメディア」で、これを礼賛する声は「インターネット」の普及期に使われた言葉の焼き直し。両者の違いの説明は「水玉模様」と「ドット柄」の区別ぐらいに困難です。

一方、西の横綱は「ビッグデータ」。主に広告代理店があおっています。しかし、あえて格落ちの「西」としたのは「本物の横綱」になれる可能性を秘めているからです。ただのバズワードとするには惜しく、国民の利益を損ねるから、と大上段に構えたところで、300回記念の特別版は「ビッグデータ」の活用提言。

医薬品ネット販売、法廷闘争の意義

医薬品通販のケンコーコムとウェルネットが、2009年の医薬品ネット販売の規制を、「営業権の自由」を侵害すると争っていた裁判が今年の1月11日に最高裁で確定し、勝利を得ました。

改正薬事法では一部の医薬品販売には対面での説明が必要とされ、店頭販売と同じ対面での安全指導ができないネット通販は危険だとして規制されていたのです。しかし、薬剤師による店頭でのチェックは有名無実化しており、リスクが高いとされる第1類の「ロキソニン」をダースで買い置きしている主婦を私は知っています。

最高裁判決を受けて「解禁」と受けとられていますが、判決文は「規制の根拠となる新薬事法はネット通販の規制を明文化しておらず、それを『省令』で規制するのは違法」という結論。そこで霞ヶ関は「新法」での規制に動き出しました。

ネットだからできること

そもそもこの規制は、ネットの安全性についてほとんど議論されておらず、日本薬剤師会、日本チェーンドラッグストア協会といった、規制によって恩恵を得るとされる既得権益団体からの声が反映されたものです。しかし、だれもがドラッグストアの近所に住んでいるわけではなく、「漢方薬」は各店の在庫に限りがあり、これを補うネット通販の利点は、国民の利益に合致します。

そしてすでに触れたように「安全性」が対面で担保されるのはフィクションで、ロキソニンをダースで買えたのは、日本チェーンドラッグストア協会の常任理事が社長を務めるドラッグストアです。おまけに、このチェーン店をハシゴしての買いだめもできたといいます。一方、ネットなら、いま以上の「安全」に加えて「薬効」を提供することが可能です。

膨大な臨床データをゲット

薬の効能は体質で上下します。しかし、体質に体重や年齢などの諸条件を踏まえたうえでの、ベストチョイスを期待するのは街中の薬局だけでは不可能です。地域に根ざすことで症例は限られ、それを補うために「日本薬業研修センター」で研修を繰り返したのなら、店舗の営業が成り立ちません。

ところがネットで多種多様な個人情報と服用履歴をヒモ付けするのは容易。さらにポイント還元などのインセンティブを与え「使用後」の効能を集めて数値化すれば、壮大な「臨床データ」となり「最適解」を導き出すことができます。語弊をおそれずに言えば、市販薬は限られた治験データから安全を確認しているに過ぎず、発売後の「薬害」も報告されています。しかし、発売後の臨床データを集約することで、仮に「薬害」が発生しても極小規模で抑えることができます。

壮大な社会実験

またネットなら本人確認は簡単です。保険証、免許証、住基ネットなどを、電話番号やメールアドレスにヒモづけ、購入手続き完了後に本人確認をとるようにすれば、相当程度の「なりすまし」を防ぐことができます。さらにこの「臨床データ」を街角のドラッグストアにも解放すれば、ネットと店頭の「ウィン=ウィン」が完成です。「ネットは不安」という人は多く、すべてがネットに置き換わることなどWeb業界の妄想であり、店頭販売の過剰な恐怖心に過ぎません。

そして「リアル」に手をさしのべることで、医薬品販売において「中心」をとれる可能性を、この「ビッグデータ」は握っています。さらに市販薬が適材適所に行き届けば「医療費削減」も期待できるため一石二鳥。そしてWebがリアルを主導するとなれば、これほど痛快な出来事はありません。

ビッグデータに共通する課題

理論的には今日からでも始められます。しかし実現に向けた課題は大きく2つあります。

まず、多くの医薬品通販事業者が、販売データを共有しなければなりません。すべての情報を集約して「ビッグデータ」となるからです。しかし、購入履歴は会社の資産であり、戦略資材です。顧客名などは伏せたとしても、Web業界の必勝法の1つは利用者の「囲い込み」ですから本能的なアレルギーの克服が最大障壁となり、これはWebにおけるすべての「ビッグデータ」に共通する課題でもあります。

本能を克服できなければ、「ビッグデータ」とは企業から広告費を引き出すための広告代理店の方便に終わり、時の彼方に「あったあった」と懐かしむバズワードとしてその歴史に刻まれます。しかし「利用者の利益」を本気で考えているなら、乗り越えられない壁ではなく、越えた暁には、「規制」を狙う守旧派へ放つ強力な矢となります。

さらに実現には、薬は厚生労働省、個人情報なら総務省、そして事業主体を所管する経済産業省と省庁を横断する「政治力」が不可欠です。ところがこれも日本のWeb業界の致命的な弱点です。米国では名だたるIT企業が(個人献金を介して)、米国民主党を応援しているのは有名な話です。ロビー活動にも熱心で、金を出し、口をだし、政治を動かします。楽天市場の三木谷浩史さんは、以前の規制の際、日本薬剤師連盟からの政治家への献金リストを公開し批判していましたが、三木谷さん自身も某大臣への個人献金をおこなっています。しかし、その額はまさしく「桁違い」。

そして、政治を動かすのは「納税」だけでは足りないのは残念ながら世界の常識。裏金や賄賂を薦めているのではありません。業界の利益のために、政治や政治家を、物心ともに応援するのがグローバルスタンダードであり、「日本のWeb業界も政治に関与すべき季節に来ている!」と大所高所からの物言いは、300回記念に免じてご容赦ください。

今回のポイント

ビッグデータの広告外利用こそWebの底力

なにはともあれ300回、ありがとうございます

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