「不自然なリンクに関する Google ウェブマスター ツールからのお知らせ」への対処法(後編)
この記事では、前後編の2回に分けて、「不自然なリンク」と、そうしたリンクがグーグルに指摘されたときの対応方法を解説している。後編となる今回は、前編で紹介したような警告を受け取った際、あるいはペナルティを受けてしまった際に取るべき対応について見ていこう。→前編を読む
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、SEOmozの見解を反映しているとは限らない。
不自然なリンクを修正してペナルティから回復する
グーグルからの信頼を回復する道はあるが、時間はかかるだろうし、検索順位がリンクネットワークや有料リンクに大きく依存していた場合、かつてのような順位に戻る可能性は低い。
いったんグーグルに捕まったら、有料リンクやスパムリンクと完全に縁を切ってから再審査リクエストを送信し、健全な被リンクポートフォリオの構築に努めるしかない。
ペナルティにつながるリンクの削除
リンクを徹底的に削除しておかないと、再審査リクエストは却下されてしまう。
月単位でリンクの料金を払っている場合は、当然料金の支払いを停止して、リンクを外すように求めよう。外部の(SEO)企業にリンクを構築してもらったのなら、そこと連絡をとって、リンク元となっているブログネットワーク(コンテンツネットワーク)からのリンクを無効にするためどんなことをしてもらえるのかを確認する。
(日本国内から利用している人はほとんどいないだろうが)BMRのユーザーは、次のようなリンクがあるのでクリックしてみよう。BMRは、こういうものを用意できる程度にはプロだった。
とにかく、信頼できないリンクはすべて削除しよう!
これからは新たな素晴らしいリンク構築戦略を立てていくのだから、必要のない低品質の投稿などエクスポートせずに、BMRに別れを告げればいい。ほかのリンクネットワークでも、リンクを停止する簡単な方法を提供しているところが多い。自分でアクセスできないなら、リンクを設置した人に話をしよう。
ブログネットワークを通さずに有料リンクを登録した場合は、有料リンクを掲載してもらっているサイトに直接連絡してリンクを外すように依頼する必要があるかもしれない。
退屈な作業だが、良くない行為を過去にしてしまったのだから、名誉の回復にはそれなりの努力は必要だ。
再審査リクエストを送信する
まだペナルティを科されておらず、警告を受けとっただけの人は、このステップを省略できる(先に述べた「疑わしいリンクを外す」ステップは省略できない)。
行動とリンクポートフォリオを綺麗なものにしないと、いつかはペナルティに直面することになる。「悪質なリンクによる損失を回復する6つの方法」という記事では、ドクター・ピートが再審査リクエストを行うためのアドバイスをしている。
- 正直に、具体的に、詳細に
- 努力したことを示す
- 本気であるように行動する(実際に本気ならなおさらいい)
再審査リクエストでは、考え方や戦略を改めたことを説明しなければならない。努力を示す良い方法がある。問題のあるリンクのうち削除できたものと、削除しようと試みたができなかったものを列挙したGoogleドキュメントのプレッドシートを作り、アクセスを許可してそのシートへのリンクをリクエストに記載するんだ。再審査リクエストのフォームで求められているすべての項目について、具体的に触れるようにしよう。
違反内容と修正点について詳しくお知らせください。検索エンジン最適化(SEO)会社を利用していた場合は、その旨を記載してください。SEO会社やその手法に関する情報提供は誠実さを示すものであり、再審査リクエストにおいてプラス評価の対象となることがあります。また、このドメインが最近取得したもので、以前の所有者がガイドラインに違反していた可能性がある場合は、その旨を記載してください。トラフィックから直接利益を得るサイト(検索エンジン・オプティマイザ、アフィリエイト プログラムなど)の再審査の際には、通常より多くの情報を提供していただく必要があります。
再審査リクエストでは、
- 過去にやっていたこと
- グーグルのガイドラインを順守するために修正したこと
- これからやるつもりでいること
を、率直かつ具体的に記述しよう。再審査を求めるウェブサイトが長い行列をなしているのは間違いないので、確実に身を清めておこう。数か月後に同じことを繰り返すのは何としても避けたいからだ。
また、サイトが比較的小規模だったり、あまり知られていないブランドだったりすると、忍耐が必要になるだろう。しかし、その間を利用して、健全なリンク構築戦略を展開するといい。
健全なリンクポートフォリオを構築する
グーグルは多くの場合、リンクのペナルティを評価するのにアルゴリズムを使っているようだ。僕が知る限り、不自然なリンクという警告を受けとったサイトの大半は、アンカーテキストの過剰な最適化と質の低いサイトからのリンクに深刻な問題を抱えている。
この図にある「質の低いサイト」とは、関連性がほとんどないか皆無で、被リンクがほとんどなく、サイト自体のリンクのポートフォリオも不自然で、ブランディングのシグナルもほとんど発していないサイト(やページ)を指す。
「キーワードと完全一致のアンカーテキスト」については、まともなサイトならばキーワードと完全に一致するアンカーテキストを過剰に張ることなど滅多にないが、不自然なアンカーテキストを伴うウィジェットなどを通じて、そういうことが起こったこともある。
適正なソースからのリンクを構築するのは骨の折れる仕事であり、競争が激しくうんざりするような業界では、そのために独創性も労力も大いに必要だ。そのことを検索順位操作とスパムリンク構築の免罪符にする連中もいた。
しかし、競争が激しくうんざりする業界は、オンラインの世界と現実の世界がとても似ている。両者に共通する成功の秘訣は「USP」だ。USPとは、「Unique Selling Proposition」、つまり、「自分のところだけが持っている独特の強み」を意味する言葉。ライバルとの違いは何なのか、ライバルに勝る点は何なのか。それは、顧客体験かもしれないし、サイトの双方向性や価格、コンテンツのリソースなどかもしれない。
オンラインのビジネスは、オフラインのビジネスが過去に行い、今後も続けていくであろう方法と同じようなやり方で考え直す価値がある。
スケーラブルかつ効果的な、しかも長期的な視点に立った方法で、リンクを構築しユーザーを魅了する手段を考えるべき時が来ている。手作業によるリンクビルディングは退屈で困難だし、報われないことも多い。多くの業界リーダーたちがコンテンツマーケティングについて語ってきたのには理由がある。
新たな疑問と懸念
この業界は変化が多く、僕らはその変化に適応したり自らの役割を変化させたりするのがうまくなった。これまでに大きな変化が起こったときと同じように、何をするべきかという疑問が押し寄せてきた。
今回の件は、セマンティック検索や過剰な最適化と関係するのか?
まず、今回の件は、報じられているようなグーグルのセマンティック検索や、迫りつつある過剰な最適化に対するペナルティとは関係ないと思う。後者が予告された頃には、まったく別の理由によって大量のサイトがすでに打撃を受けていた。
私が利用しているブログネットワークはしっかりと動いている。それでも手を切るべきなのか?
答えはイエスだ。
ブログネットワークの利用に対してまだ警告を受けていない人たちも、ブログネットワークは持続可能な長期的戦略ではないことを認識すべきだ。ブログネットワークの利用者は、人間関係やブランドの構築ではなく、質の悪いリンクの構築に時間を費やしている。それに、グーグルはこれまでにいくつかのブログネットワークを叩いており、今後もその手を休めることはないだろう。
鉄槌が下されるのを座して待つというのは、間違いなく最悪の戦略だ。
ライバルへの攻撃に使えるのでは?
リンクスパマーにとって最後の砦は、「競合相手に対して使えばいい。そうすれば、検索エンジンが私にペナルティを科すことはできない」という誤った論法だ。
確かに理論的には、競合するサイトがリンクスパムによるペナルティを受けるように仕掛けることは可能だろう。だが、やがて分かるはずだ。自らの手で本物のリンクを構築し、しっかりしたブランディングのシグナルを発している企業――たいては検索結果の上位にいる――は、リンクスパム攻撃の影響をほとんど受けない。
もちろん、他者にひどい攻撃を仕掛けることはできる。しかし何のために? 倫理的な問題は置くとして、この業界において、サイトを強化するのではなく他人を傷つけるのに労力を使うのは、とにかくナンセンスだ。レストランのオーナーは、近所のレストランを攻撃しに行ったりしない。大変な労力が必要だし、一時的に相手を閉店に追い込んだとしても、それで実際に新しい客が自分の店に来てくれるわけではない。街にはたくさんのレストランがあるからだ。そして、インターネット上にはレストランよりもさらに多くのサイトが存在している。
また、リンクスパムでライバルを攻撃して成果を収めたとしても、法律的な問題が生じる可能性があることに留意すべきだ。匿名ということで怖いもの知らずになっていたとしても、召喚状が舞い込み始めればそんな気分はあっさり吹っ飛んでしまうだろう。
SEO代理店の取るべき戦略
再審査リクエストの中に、僕の目を引く1文があった。
SEO会社やその手法に関する情報提供は誠実さを示すものであり(後略)
ある企業について説明するなら、まず間違いなくその企業の名前に言及する。複数の再審査リクエストに名前の挙がった会社は、どんなアクションを起こすと考えられるだろうか? 直接的なアクションは考えにくいが、ブログネットワークを利用して顧客や自社のサイトに向けたリンクを構築していた会社は、気をもみ、新しい戦略を考案し、クズのようなリンクを量産するのは終わりにするのが賢明というものだろう。
ホワイトハットSEO対ブラックハットSEOの「戦い」などという不愉快な絵空事にはまったく興味がない。ユーザーに新しい価値を提供することを大事にするかどうかだが、パンダ・アップデートが実施され、リンクペナルティが現実のものとなったこの世界において、そうしないのは狂気の沙汰だ。
今こそ、ブログネットワークのような戦術と企みをやめるべき時だ。そのようなリンクは、ずっと前から価値が低かったが、今や受け入れがたいリスクまではらんでいるのだから。
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