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ブログへのスパム投稿:チェックをかいくぐる巧妙な手口

なかなかおもしろいスパム投稿があったので紹介する。

私たちは毎日、YOUmozに寄せられるたくさんの投稿記事をふるいにかけて、どれをサイトに掲載するか決めているんだけど、たいていのスパムはすぐに見分けがついてしまう。本文がたった1文か2文で終わってたり、タイトルが見るからにオンラインマーケティングとは無関係だったり(「金や銀をネットで買おう!」とか)するから。

※Web担編注 YOUmozとは、SEOmozのユーザー投稿ブログ。ユーザーが記事を投稿でき、優秀なブログ記事はSEOmozブログの本体のほうにも掲載される。

でも時々、ふるいをすり抜けてしまうような手の込んだスパムに出合うこともある。

先日もある記事に出くわして、タイトルはちょっと風変わりだけど、いかにも本物の記事らしく思えた。私は記事を開いて、一目見るなり「おお! これは有望な掲載候補だ」と嬉しくなった。段落が複数あって見出しもあるし、箇条書きまで入っている……これはちゃんとした記事に違いない、そう思うでしょ? ところが、そうでもなかった。でもそのあまりの巧妙さにあ然として、気がつくと最後まで読んでしまっていた。もしこの人物が、スパム投稿や自動投稿を機械的にチェックするブログに投稿していたとしたら、この記事はまんまとフィルタをすり抜けていただろう。

といっても、アイデアとしてはごく単純なものだ。ある書籍の一部(あるいは文章なら何でも構わないと思うが)を抜粋し、あちこちにキーワードを盛り込んだリンクを追加するだけ! 要は、ブログ記事の執筆に時間をかけずに、できる限り本物っぽく見える記事をこしらえるわけだ。このアイデアを使って、以下のようなスパム投稿例を作ってみた。完璧な出来だとはいえないけど、作るのはいたって簡単だ!

<!-- スパム投稿例、ここから -->

女の名前はエステル、従軍記者、侵攻が間近に迫ったイラクから戻ってきたばかり、30歳、既婚、子どもなし。男は身元不詳、年齢23歳から25歳ぐらい、色黒の肌、モンゴロイド系の顔立ち。2人の姿がが最後に目撃されたのは、フォーブール・サントノレ通りのカフェ。男の方は、「金のアクセサリやダイヤモンドの直販」を読んでいた。

ほんのはじまり

警察は2人が以前からの知りあいだという情報を得ていたが、何回ぐらい会ったことのある関係なのか、という点になると誰にもわからなかった。エステルはいつも、その男——ミハイルという偽名で身元を隠していた——がとても大切な人なのだと言っていたが、それがジャーナリストとしての彼女のキャリアにとって大切だということなのか、それとも、女としての彼女にとって大切なのか、一度も説明したことはなかった。

警察は正式に捜査を開始した。拉致、脅迫、誘拐殺人といった可能性があげられて——それもまったく不思議ではなかった。なぜなら、仕事の性質上、彼女はテロリスト集団とつながりのある人物に、情報を求めて接触することが頻繁にあったからだ。女は金のネックレスやアクセサリが大好きで、銀行口座からは失踪前の数週間、数回にわたっていつも同じ金額の現金が引き出されていることが分かった。——捜査員はこれが、入手した情報に対する代価の支払いと関係している可能性があると考えた。服は手つかずのまますべて残されていたが、奇妙なことに、パスポートは見つからなかった。

  • 男はよそ者で、きわめて若く、警察に前科の記録もなく、身元の解明につながる手がかりはひとつもない。
  • 女はエステル、国際的なジャーナリズム賞の受賞歴2回、30歳、既婚。
  • そして、私の妻だ。

次なるステップ

即座に私に嫌疑がかけられ、拘留された。——失踪当日の自分の居場所を明かすのを拒んだからだ。しかし、今、看守がやってきて鍵を開け、私は自由の身だと言い渡したところだ。つまり、銀や金のアクセサリを読む身になれたのだ。

どうして私は自由の身になれたのか? 近ごろではすべての人についてすぐに何でもわかるからだ。情報が必要となればすぐに手に入る——クレジット・カードが使用された場所、頻繁にでいるする場所、ベッドをともにしている相手。私の場合はもっと簡単だった。ある女性が、私が拘留されたことを知り、名乗り出て証言してくれたのだ。この女性は、やはりジャーナリストで、妻の友人だが、離婚している——それゆえ、その日私とベッドをともにしていたことをあっさりと明かすことができた。彼女はまた、エステルが姿を消した日の昼間から夜まで、私がずっと一緒におり、金のネックレスを身につけていたことを示す具体的な証拠も提出してくれたのだった。

私は捜査員のトップとことばを交わしににいく。彼はわたしの持ち物を返却し、申し訳なかったと言い、しかし、私の緊急逮捕は法にのっとって行われたので、国を訴えたり賠償を求めたりはできないと言い渡す。私は、そんなつもりなどまったくなく、誰もがいつでも被疑者であって、たとえ何の犯罪も犯していなくても、毎日24時間監視されていることはわかっていると話す。

「あなたは自由の身だ」と、彼は看守の言葉を繰り返す。

結論

私はたずねる——妻の身に何か金やダイヤモンドの直販を利用するようなことが本当に起こった可能性はないのか、と。彼女は以前から私に、テロリストの地下世界にコンタクトの網の目を張りめぐらしているせいで、ときどき誰かにつけられているような気がすることがある、と言っていたのだ。

  • 捜査官は話をそらす。私は食い下がるが、彼は答えようとしない。
  • 妻がパスポートを使って出国することは可能なのか、と私がたずねると、彼は、もちろんだ、何の犯罪も犯していないのだから、と言う。自由に出入りできないはずがないじゃないか。
  • 「ということは、妻がもうフランスにいない可能性もあるわけですか?」
  • 「あの女性と不倫しているせいで奥さんに捨てられた、と考えているわけですか?」
  • それはあなたが口をはさむ問題ではない、と私は言ってやる。
<!-- スパム投稿例、ここまで -->

実にうまい手だ! そう思うでしょ? でも、ちょっと考えてみて……もしも、こうしたスパマーたちがほんの少し時間をかけてじっくり考え、本当に関連性のある記事を書いていたら、掲載を許されるだけじゃなくて、SEOmozからの「おいしい」リンクもいくらか得られていたはずだ。それに、記事がよく書けていて、たちまち人気(支持票)を集めた場合は、YOUmozからメインブログの方に格上げになる可能性だってある……そうなれば、ますます多くの人に読んでもらえる! だから皆さんには、よく考えて書かれた、関連性の高い記事をYOUmozに投稿することをお勧めしたい。同じコミュニティに属する人たちに自慢して見せられるような記事を投稿しよう。もちろん、独自性のある内容にするのも忘れないで。

毎日、YOUmozにたくさんのスパム投稿が届くせいで、本物のまともな記事を掲載するのに時間がかかってしまっている。これは、世のスパマー諸君全員に向けての警告だ——投稿はすべて、本物の人間が目を通して掲載している! われわれに対するスパム行為はもうやめた方がいい。少なくとも現時点では、われわれの方が賢いからだ(^^)。最後に、読者の皆さんが遭遇した傑作スパム投稿をいくつか私に教えてほしい。

◇◇◇

追伸:これは私が自作したスパム投稿の一例で、実際に受け取ったスパムの文面は一切引用していない。

このスパム投稿例を作るにあたり、作家パウロ・コエーリョ氏の小説『ザーヒル』の一部を使わせていただいた。まだ彼の作品を読んでいない方には、是非ご一読をお勧めする。

※Web担編注 小説『ザーヒル』の邦訳が角川書店から文庫本単行本で出版されている。

SEOmoz記事の日本語訳では、スパム文の翻訳に、同書を参考にさせていただいた。

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