SEOは認知率48%ながら最大の集客手法/ケータイウェブサイト担当者調査報告書ハイライト#1
携帯電話の3G化やパケット定額制加入率の増加とともに、通信事業者の公式サイトのみならず、一般サイト・勝手サイトの利用も増大し、企業における携帯電話やPHS用のウェブサイト(以下、ケータイサイト)の活用が高まっている。2007年4月に実施した「インターネット利用動向調査2007」では、日本全国のすべての法人におけるケータイサイトの開設率は12%となり、1000人以上の規模の法人では4割弱となっている。インプレスR&Dでは、ケータイサイトの状況に関する大規模な調査を行い、『ケータイウェブサイト担当者意向調査報告書』として3月に発表した。その調査結果から、ケータイサイトの開設状況について細かく見ていこう。
※調査概要に関しては、記事の末尾に記載している。
- #1 (いま表示している記事)SEOは認知率48%ながら最大の集客手法
- #2 ネックは専任担当者の不在と予算確保
- #3 CMS導入率15%、PCとの共通化は「部分的」
一般サイト・勝手サイト開設率が約70%
開設しているケータイサイトの種類を見てみると(図1)、「一般サイト・勝手サイト」を開設している法人が68%と高く、その他の通信事業者の公式サイトへの開設は2割弱にとどまっており、ドコモ・au・ソフトバンクの3キャリアで見てみると、i-modeの公式サイト(ドコモ)がやや高い。
開設しているケータイサイトのターゲットでは消費者が86%と突出して高くなっており、ターゲット層を細かくみると、「会社員」が67%で最も高く、「専業主婦」が57%、「大学生・専門学生・短大生」が46%で続いている。
また、開設しているケータイサイトのコンテンツに関しては7割以上が「無料コンテンツのみ」の掲載となっている。
公式サイトへの開設に効果を認識
この結果をケータイサイトの効果有無別に見てみよう(図2)。自社のケータイサイトの効果に対する認識については、「非常に効果がある」「効果がある」「どちらともいえない」「効果がない」「わからない」の5段階で聞いた。その結果、ケータイサイトに効果を感じている法人ほどi-modeやEZwebなどの各通信事業者の公式サイトに開設している比率が高く、「非常に効果がある」と感じている法人の64%は「i-modeの公式サイト(ドコモ)」にケータイサイトを開設している。
個人消費者が閲覧するケータイサイトは、今までは公式サイトが主流であったが、一般サイトが多くなってきている。しかし、コンテンツやサービスを提供している法人側では、一般サイトで効果を感じるまでに至っていない場合が多いようである。
ケータイでのアクセス解析実施率は6割
PCのウェブサイトにおけるアクセス解析の実施状況は、『インターネット白書2007』(インプレスR&D)の2007年3月調査時点で6割弱となっている。ケータイサイトに関しても、アクセス解析を行っている法人は「定期的に行っている」が23%、「不定期に行っている」が37%であり、6割の法人がアクセス解析を行っている(図3)。ケータイサイトにおけるアクセス解析はPCのウェブサイトと同じくらい重視されてきているといえるだろう。一方で、25%の法人はアクセス解析を行っていない。
週1での解析データ確認が半数
つぎに、アクセス解析データの確認頻度をみると(図4)、最も高いのは「月に数回」の20%、「毎日」が19%、月に1回以下となる「それ以下」が17%で続く。週に1回以上確認する法人がちょうど5割となる。
取り組み姿勢が効果に影響
自社のケータイサイトの効果有無別にみると(図5)、効果を感じている法人ほどアクセス解析データの確認頻度も高い。
「効果がない」と感じる法人では、週に1回以上確認する法人の比率は26%にすぎず、4分の3もの法人が週に1回未満である。ケータイサイトに対する取り組み姿勢が効果に大きく影響していることがうかがえる。
PV、検索キーワードが主な指標
アクセス解析で担当者が主に確認する指標(図6)では、「PV(ページビュー数)」が64%と突出して高く、PVがアクセス解析の基本指標となっていることがうかがえる。PV以外も「検索キーワード」が36%、「UU(ユニークユーザー数)」が29%、「経路」が28%と続いている。
1法人あたりの指標数は平均3.2個であり、多くの法人が複数の指標を組み合わせて確認していることがうかがえる。
無償ソフトの利用が多い
では、どんなアクセス解析ソフトを利用しているのだろうか?全体の傾向を見てみると(図7)、「自作解析ツール」が16%、「オープンソースの解析ツール」や「ホスティング会社などの提供する解析ツール」が12%となっている。
「その他」の詳細は不明であるが、この結果から、無償のソフトを利用する法人が多いことがうかがえる。
SEOでのアクセス誘導対策が主流
アクセス解析で得られたデータをもとにアクセス誘導対策を行うのは、PCサイトにおいては基本中の基本だ。また、各キャリアの公式サイトのトップページにも検索窓が設置され、PCサイトと同様にケータイサイトにおいてもSEOの重要性が増している。しかし、ケータイサイトにおいてSEO対策ができることを知っている担当者は48%と半数以下である。
具体的に現在実施しているアクセス誘導対策のジャンルを聞いた(図8)。すると、「SEO」が23%でトップであり、SEOの認知度が48%であったことから、その半分の法人がSEOを実施していることになる。次いで、「会員登録してもらった人へのメールマガジンの配信」が16%であり、ケータイサイトの特徴が出ているといえる。
その一方で、「特にない」が35%を占めていることに着目したい。アクセス誘導対策をしなくても、アクセスが集まり、サイトの効果が出ることも考えられるが、多くの場合は、何も対策をしなければアクセス数は増加しないものであり、問題だといえるだろう。
対策を講じていない法人も多い
最後に、今後のアクセス誘導対策実施状況をケータイサイトの効果有無別に見てみよう(図9)。現在実施しているアクセス誘導対策以外に今後実施予定のアクセス誘導対策を聞いたところ、現在実施している対策以外に取り組む予定のない「特にない」の比率は効果を感じていない法人ほど高くなる傾向が見られ、「効果がない」と感じる法人では50%に達する。
現在実施しているアクセス誘導対策においても、効果を感じていない法人ほど「特にない」と回答しており、現在対策をしておらず、今後も対策をしないという法人が多い。
調査概要
ケータイウェブサイト担当者意向調査概要
- 調査対象
ケータイサイトを開設している企業において、自社のケータイサイトの制作・管理・運用、およびケータイサイトのマーケティング担当者
- 対象地域:全国
- 調査方法:PC上のインターネット調査
- 調査実施機関:gooリサーチ
- モニター:gooリサーチが保有するアンケートパネル
- サンプリング:企業のケータイサイト開設状況は、その企業の規模と事業内容によって大きく傾向が異なることが想定される。そこで、本調査では、アンケート回答者をカテゴリ別に66セグメントに区分し、各セグメントで有効回答数を確保した。なお、各セグメントの目標回収数は、企業・事業所統計(総務省)、及び、当社が2007年4月に実施したインターネット利用動向調査2007の結果を用いて設定した。
- 有効回答数:1,023人
- 調査期間:本調査 2007年10月19日(金)~10月23日(火)
ケータイウェブサイト担当者意向調査報告書http://www.impressrd.jp/iil/K-tai_webtan2008
「ケータイサイトに効果を感じているのは44%、半数以上が売上に対する今後のさらなる効果に期待」
2008年の全国ケータイ利用動向調査をもとに、法人のケータイウェブサイト担当者の意向を属性別に集計・分析しました。法人におけるケータイウェブサイトの開設状況や担当者、制作や運用における効果や課題、予算などの概要に加え、アクセス解析やアクセス誘導の実施状況、ブログやフィード、SNSの利用について収録しています。
ソーシャルもやってます!