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あなたの「楽天市場」商品ページ、Googleに無視されていませんか? 上位表示されない原因と対策 | 『楽天市場 最強攻略ガイド ~売れるネットショップの新常識、ECの達人が教えます~』ダイジェスト

6ヶ月 ago
『楽天市場 最強攻略ガイド ~売れるネットショップの新常識、ECの達人が教えます~』(竹内謙礼/清水将平 著 技術評論社 刊)ダイジェスト(第3回)

『楽天市場 最強攻略ガイド ~売れるネットショップの新常識、ECの達人が教えます~』の一部を抜粋して紹介する連載3回目は、「『楽天市場』とGoogleの関係性」についてのお話です。

「楽天市場」を攻略するポイントをまとめた過去記事は、以下をクリックしてください。

「楽天サーチ」と「Google」の関係性を理解する

楽天市場への流入はGoogleの検索経由が7割

楽天サーチの検索結果で上位表示を狙う楽天市場内SEOを理解するためには、まず楽天市場とGoogleの関係性から理解する必要がある。

「多くのユーザーは楽天市場のトップにある検索窓に欲しい商品のキーワードを入力し、検索結果から商品を探して、購入している。Googleの検索から流入してくるお客は、そんなに多くはないだろう」

そう理解しているネットショップの運営者がほとんどといってもいい。実際、RMSを覗くと、ネットショップへの流入を示す「楽天サーチ経由」の割合が最も多く、楽天市場の検索窓に欲しい商品を入力している人の多さを実感することができる。

しかし、弊社の調査によると、「楽天サーチ」の検索結果にたどりつく約7割の人が、Googleの検索結果(Googleの検索エンジンを利用するYahoo!JAPANも含む)で上位表示された楽天市場の検索結果ページ経由で流入しているお客であることが判明している。

なぜ、Google経由のお客がこれだけ多いのに、RMS上では「楽天サーチ経由」という結果になってしまうのか。このあたりをもう少しくわしく解説したい。

たとえば、Google で「母の日 カーネーション」と検索した場合、検索結果のトップに表示されるのは、楽天市場の『【楽天市場】母の日 カーネーションの通販』の検索結果のページである。

このGoogleの検索結果の上位に表示された楽天市場のページをクリックして、楽天市場の「母の日 カーネーション」の検索結果にお客が流入し、楽天市場は見込み客をサイトに呼び込んでいるのである。

楽天市場 最強攻略ガイド Similarwebを使用して調査したところ、楽天サーチにたどりつく約7割は Google の検索結果経由であることが判明
Similarweb(https://www.similarweb.com/)を使用して調査したところ、楽天サーチにたどりつく約7割は Google の検索結果経由であることが判明

つまり、楽天市場のトップページの検索窓に「母の日 カーネーション」というキーワードを入力し、その検索結果からお客が流入しているのではなく、GoogleやYahoo!JAPANの検索窓でキーワードを入力し、情報収集をしたり、検討したりする段階で、検索結果の上位に表示された楽天市場のページをクリックして、お客がネットショップに来ているのが、実際に起きている消費行動なのである。

集客の流れを考えれば、改めて「ジャンル登録」の重要性が浮き彫りになる

商品ページを見に来る人は、Googleの検索から楽天市場に流入してくるお客であり、そのGoogleの検索結果の上位に表示されるのが「楽天市場の検索結果」である以上、ネットショップがやるべき施策は

「楽天市場内の検索結果に表示されるジャンルで、いかに上位に表示させるか?」

楽天市場 最強攻略ガイド 「母の日 カーネーション」で調べたGoogleの検索結果
「母の日 カーネーション」で調べたGoogleの検索結果
楽天市場 最強攻略ガイド 楽天サーチの「母の日 カーネーション」の検索結果
楽天サーチの「母の日 カーネーション」の検索結果

という楽天市場内SEOになる。

どのジャンルに商品を登録し、どのようにそのジャンル内で上位表示させるかが楽天市場内SEOの基本戦略である。ジャンル対策をおろそかにしてしまうと、集客に苦戦して、商品ページにお客を流入させることができなくなってしまう。第2章の商品ページづくりの項目で、ジャンル登録の方法についてくわしく解説しているので、再度、ジャンルの登録方法などの施策を読み込んでもらいたい。

楽天市場内SEOの施策を展開する前に、Google検索から楽天市場のネットショップにお客がしっかり流入しているかどうかを確認する必要がある。

RMSでネットショップに流入してくるキーワードを調べたうえで、再度Googleの検索窓にも同じ検索キーワードを入力し、検索結果の上位に楽天市場のページが表示されていれば、「Googleで検索→楽天市場の検索結果ページに流入→楽天市場の商品ページに流入」という集客の流れは確実と言っていいだろう。

楽天市場 最強攻略ガイド Googleで検索→楽天市場の検索結果ページに流入→楽天市場の商品ページに流入
Googleで検索→楽天市場の検索結果ページに流入→楽天市場の商品ページに流入

一方、この手順で調査して、Googleの検索結果に楽天市場のページが上位表示されていなければ、そのキーワードでお客を集客するのは難しいことになる。商品キーワードに沿ったジャンルにしっかり商品を登録していなければ、Googleからお客が集客できないだけでなく、楽天サーチにもヒットしないので、結果的に店舗に集客できないということになってしまう。

つまり、トップページや商品ページを作り込む前に、まずは商品のジャンル登録を確実におこない、そのうえでジャンルごとに集客できる商品ページを構築することのほうが、楽天市場内SEOで重要な施策になるのである。

もし、どのようなジャンルに、どのようなキーワードを仕込めばいいのかわからない場合は、類似商品を取り扱っている売れているネットショップを参考にすることをおすすめする。楽天市場の検索結果で上位に位置しているネットショップの多くは、ジャンル登録の対策を徹底しておこなっている。複数のジャンルへの登録方法やキーワードの選定の施策が参考になるはずだ。

なぜ、楽天市場の「商品ページ」はGoogleの検索結果の上位に表示されにくいのか?

ここで1つ疑問に上がってくるのは、楽天サーチの検索結果のページはGoogleで上位表示されるのに、楽天市場のネットショップの商品ページは検索結果で上位表示されない点である。

じつは、楽天市場の商品ページは、Googleの検索エンジンと相性が悪い。難易度の高いGoogleのSEOの話をしてしまうと逆にわかりづらくなってしまうので、ここではざっくりと簡潔に説明する。

Googleの検索エンジンがページの要素として重視しているのが「タイトルタグ」と呼ばれる、いわゆる“名札”のようなものである。楽天市場の商品登録の際の項目でいえば「商品名」に書き込むテキスト文が、このタイトルタグにあたる。

Googleの検索エンジンは、このタイトルタグに含まれるテキスト文を頼りに、検索キーワードと同じ言葉なのか、類似の言葉なのか、関連する言葉なのかを判断し、検索順位を決定している(もちろん、タイトルタグ以外の要素も含めて総合的に判断している)。

このタイトルタグの言葉が長い文字の羅列であったり、コロコロと書き換えられたりすると、“名札”がわかりにくくなり、「このページを検索結果で上位表示させるのは止めたほうがいいだろう」と判断され、検索結果で上位に表示されにくくなってしまうのである。

しかし、店舗側はGoogleの検索エンジンの事情など知る由もない。当然、タイトルタグの役割をする「商品名」のテキスト文は自由気ままに変えてしまう。検索でヒットされそうなキーワードを闇雲に挿入したり、楽天スーパー SALEなどのイベント時に「今ならポイント10倍」などの文言を書き足したりしてしまう。

そのため、楽天市場の商品ページがGoogleの検索結果の上位に出てくることが稀になってしまい、Googleの検索結果の上位に楽天市場のページがヒットする場合は、ほとんどがタイトルタグを変更しない、楽天市場が制作した「検索結果」のページになってしまうのである。

なお、Amazonでは、商品名のガイドラインを守ることが厳しく求められており、従っていない商品は検索対象外となってAmazonの検索結果に表示されない場合がある。楽天でも商品名登録ガイドラインが2017年9月に制定されたものの、ガイドラインを守ることで売上が下がる可能性もあるため、違反点数の対象にならないまま運用され続けている。

このように楽天市場とAmazonでGoogleに対する商品ページの検索対策の事情が異なるため、それぞれのサイトで売れる商品に違いが出てしまうのである。

楽天市場 最強攻略ガイド Google検索では【楽天市場】商品名:店舗名と表示される
Google検索では【楽天市場】商品名:店舗名と表示される

この記事は『楽天市場 最強攻略ガイド ~売れるネットショップの新常識、ECの達人が教えます~』(技術評論社刊)の一部を編集し、公開しているものです。

楽天市場 最強攻略ガイド ~売れるネットショップの新常識、ECの達人が教えます~

楽天市場 最強攻略ガイド ~売れるネットショップの新常識、ECの達人が教えます~

竹内謙礼 /清水将平 著
技術評論社 刊
価格 2,400円+税

「楽天市場に出店したいけど、売れるかどうか不安だ」「楽天市場にお店を出したけど、思うように売れない」「何年も楽天市場に出店しているけど、売上が少しずつ落ちている」といった悩み・課題を解消するプロの知識・ノウハウを解説。EC運営初心者、ベテラン運営者も新たな発見につながる一冊となっている。

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竹内 謙礼
清水将平

日本郵便が始めた住所を7桁の英数字に変換・伝達する新サービス「デジタルアドレス」とは

6ヶ月 ago

日本郵便は5月26日から、住所情報を7桁の英数字に変換・伝達できる新サービス「デジタルアドレス」の提供を開始した。

「デジタルアドレス」は、日本郵便のサービスを便利に利用するためのID「ゆうID」に登録している住所を7桁の英数字に変換できるサービス。郵便番号を含む都道府県から町域、建物情報など住所情報の全文を7桁の英数字で表現する。

「デジタルアドレス」に対応する各種サービスにおいて、既存の住所の代わりに「デジタルアドレス」を利用することで、住所の全文を簡潔に伝えることが可能。住所を示す手段として長い住所を書く手間がなくなるほか、一生涯にわたり同じ「デジタルアドレス」を持ち続けることもできる。引っ越しても住所変更の手続が楽になるなど、ユーザーが感じる「住所にまつわる不便」を解消することをめざすとしている。

今後は、日本郵便内外におけるサービス連携の拡大を予定している。事業者向けの「郵便番号・デジタルアドレスAPI」の無料提供を開始。さまざまな産業分野の事業者が同APIを導入することで、さまざまな場面で「デジタルアドレス」を住所に変換でき、日本郵便以外のサービスでも「デジタルアドレス」を簡単に利用できるようになる。

送り状作成の入力を簡略化

「デジタルアドレス」は日本郵便が提供する「ゆうID」に登録することで、無料で取得できる。サービス開始時点では、日本郵便が提供する郵便局アプリの「ゆうパック」「ゆうパケット」の「送り状作成機能」で利用可能だ。

郵便局アプリの「デジタルアドレス」入力欄に7桁の英数字を入力することで、「ゆうID」に登録済みの住所が自動で反映される。なお、宛名として「デジタルアドレス」の記載のみで郵便物・荷物を送ることはできない。

デジタルアドレスで住所情報の入力を簡略化できる

現在の住所は日本語特有の揺らぎや構造的な問題を抱えながら、長い間の生活や社会のつながりを支える仕組みとして活用されてきた一方、時代の変化に伴い、Webでの住所入力機会やECによる配送の増加など、住所の使われ方が変化し、より柔軟で簡便な運用へのニーズが高まっている。日本郵便はこうした変化に合わせ、既存の郵便番号制度と併存しながら、より便利で、幅広い 場面で活用できる新たな仕組み作りに取り組むとしている。

鳥栖 剛

江崎グリコのファンベースマーケティング戦略が学べる! 交流会ありのリアルイベント【6/12開催@大阪】

6ヶ月 ago
著名EC実施企業の担当者が、参加者の事業成長のヒントにつながる知見をお届けするオフラインイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2025 大阪」を6月12日(木)に開催。セミナーを無料で聴講できます

6月12日(木)にECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2025 大阪」を大阪・ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターでリアル開催。江崎グリコ、中川政七商店、TikTok Japan、イングリウッドなど著名企業の実践的事例やヒントを学べます! 全セッション無料で聴講できます(事前登録制、通販・EC実施企業のみ参加可能)。まだお申し込みをしていない方のために、編集部が講演の見どころをご紹介します。

ネットショップ担当者フォーラム 2025 大阪

見どころ① 江崎グリコが取り組むファンベースマーケティング

6月12日 13:00~13:50 A-1 オープニング基調講演

江崎グリコ デジタル推進部部長の武子弘司氏が登壇し、「江崎グリコが取り組むファンベースマーケティング」について解説します。

2020年6月にファンサイトをリニューアルして以来、顧客を中心としたデジタルマーケティングを推進するための組織戦略、人財育成の考え方について説明。また、ファンサイトリニューアルにおける当時の戦略とその効果検証をどのように進めてきたのかについて詳しく解説し、今後のデータ活用の重要性についても触れていきます。

顧客起点の組織をいかに実現するかを学べます。ファンサイト、ECサイトを運用しているメーカー・小売業さんに特にオススメです!

江崎グリコ株式会社 デジタル推進部 部長 武子 弘司氏

江崎グリコ株式会社 デジタル推進部 部長 武子弘司氏

花王にてチェーンストアの営業、事業企画エリアブランド(商品開発)、CRMなどのマーケティング全般を経験。その後コマース、流通開発、先端技術戦略室の部長を歴任したのち、2019年10月江崎グリコに入社。コーポレートコミュニケーション部デジタルコミュニケーショングループ長兼経営企画部担当部長を経て、2022年12月から現職。

ネッタヌネッタヌ

「お客様起点」「お客様との共創」を重視したファンベースマーケティングに取り組んでいる江崎グリコさん。その中心となるのが、2020年6月に刷新したコミュニティサイト「with Glico」です。ポッキーといったブランド軸だけではなく、さまざまなテーマで顧客との関係を深めるためのデジタルマーケティングを展開。「with Glico」で得た顧客の声をD2C(直販サイト)に生かすなど、データを活用したエンゲージメント強化に取り組んでいます。セッションでは江崎グリコさんのファンベースマーケ、データ活用を学べることができます。

ネットショップ担当者フォーラム 2025 大阪
◇◇◇

次回はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

模倣や詐欺など悪質なECサイトを教えてください! 日本サイバー犯罪対策センターが通報を受付

6ヶ月 ago

一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3、Japan Cybercrime Control Center)は5月30日、模倣や詐欺など悪質なECサイトの通報受付を開始した。

通報受付のスタートは、がこれまで一般社団法人セーファーインターネット協会が実施していた「悪質ECサイトホットライン」をJC3が引き継いだ。正規サイトを模倣し金銭や個人情報を収集する目的で作成された詐欺サイトといった悪質なサイトに関する通報を受け付ける。悪質サイトの例は次の通りとしている。

  • 銀行振込などで支払いをしても商品が発送されなかった場合
  • クレジットカード情報などを盗まれた可能性がある場合
  • 運営するサイトが第三者によって改ざんされた場合
  • 運営するサイトのコンテンツ(会社情報など)を悪用された場合
一般財団法人日本サイバー犯罪対策センターが、正規サイトを模倣し金銭や個人情報を収集する目的で作成された詐欺サイトといった悪質なサイトに関する通報を受け付けている。
通報フォーム(画像は日本サイバー犯罪対策センターのサイトから編集部がキャプチャ)

JC3では通報内容を分析し、フィルタリング事業者、セキュリティ事業者などへ情報を提供していくとしている。

なお、2024年にセーファーインターネット協会からJC3へ共有された悪質なショッピングサイトなどの通報件数は3万1619件。2023年の4万7278件と比べ、1万5659件減少していた。

鳥栖 剛

売上高100億円めざす子供服EC「グロウ」のOMO戦略とは | 通販新聞ダイジェスト

6ヶ月 ago
実店舗を持つEC事業者において欠かせない戦略の1つOMO。 2025年4月に実店舗を初出店した、子供服ブランド運営のグロウの取り組み事例を解説する

通販を含む小売事業者にとって最も注力すべき重要な事柄の1つがOMO戦略だ。消費者にとって店舗はもちろん、ネット販売で商品やサービスを購入することはもはや当たり前。それを前提にサービスを設計してオフラインとオンラインを連携させて利便性の高い事業展開を行い、サービスレベル向上はもちろん、業績面でも成果を出し始めた事業者も出てきている。注目すべき通販実施事業者各社のOMO戦略の現状と狙いを見ていく(編注:この記事ではグロウの取り組みを取り上げています)。

子供服のシェア拡大で目標売上高100億円

赤字転落もブランド再構築に成功

子供服ECのグロウは4月4日、子供服ブランド「devirock(デビロック)」の実店舗を、JR大阪駅に直結した商業施設「KITTE大阪」に開設した。同社が常設店舗を運営するのは初となる。年商1億円が目標

グロウが開設した「devirock」の実店舗
グロウが開設した「devirock」の実店舗

同社はEC専業として2008年に創業した。自社企画の子供服を、直貿により中国で生産。1000円を切る低価格路線で、特にストレッチパンツがヒット商品となった。仮想モール「楽天市場」を中心に売り上げを拡大、2024年8月期売上高は約50億円だった。

実店舗開設の目的について、マーケティング本部の網谷洋佑本部長は「ECでは知名度も上がってきたが、アパレル市場におけるEC比率は2割程度。日本一の子供服企業をめざす中で、残り8割の顧客にアプローチするには、店舗が必要だと考えていた」と説明する。

同社は2022年8月期に赤字転落。社員が多数入れ替わるタイミングと、コロナ禍で競合となる子供服企業がECに注力したことが重なったのが原因。上履きやランドセル関連の便利グッズなど、雑貨を中心として小学生向け商品のラインアップを拡充、ブランドの再構築を進めることで、再び成長路線に乗った。

小学生向けのラインアップ拡充が成長路線への回帰につながった
小学生向けのラインアップ拡充が成長路線への回帰につながった

万博開催に合わせ店舗出店

網谷本部長は「3年かけて作ってきたブランド基盤や商品ラインアップを考えれば、実店舗の世界における子供服の競合と比較された場合でも、当社商品を選んでもらえるのでは、という自負がある。また、大阪万博が開催されており、関西が盛り上がるタイミングで出店したいと考えていた」と話す。

店舗では、ECで扱う商品のうち、約3割程度を販売している。ECでの人気商品や、他社とのコラボレーション商品を中心に扱っている。

売り場では、プリントTシャツなどの人気アイテムを前面に出した。また、夏に向けてランドセル用の冷却グッズや浴衣なども展示。さらには、大阪の店舗ということもあり、阪神タイガースとのコラボ商品も販売、「売れ行きはECよりも良い」(網谷本部長)という。

アプリ経由のECシナジーに期待

開設後の手応えについて、網谷本部長は「子供服は『週末に郊外のショッピングモールへ家族で行ったときに買い物をする』という需要が根強いが、KITTE大阪は大阪駅直結で、アパレルの競合も少ない。条件的にはあまり良いとは言えないが、思っていた以上に来店者が多い」と評価する。

来店者には、クーポンも込みで「デビロック」アプリの導入を推奨。ダウンロードする顧客も多いことから、ECとのシナジーも期待する。

知名度アップで海外展開につなげる

また、海外からのインバウンド客の来店も少なくないことから、実店舗でブランドの知名度を高めることで、将来の海外展開につなげる狙いもある。

同社では、ECにおける成長にプラスする形で、実店舗の出店を加速、早期の売上高100億円到達をめざす。「ECと実店舗のシナジー効果でブランドの知名度を高め、子供服市場におけるシェアを高めていきたい」(網谷本部長)。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

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通販新聞

Web集客、最も多い施策はSEO対策。年間予算は「101-300万円」が最多【中小企業500社の施策調査】

6ヶ月 ago

クーミルが実施したWeb集客の実態に関する調査によると、過去と現在で最も注力しているWeb集客施策はどちらも「SEO」だった。また、現在のWeb集客の年間予算は「101~300万円」の回答割合が最も多い。

調査対象は経営企画部またはマーケティング担当者500人で、調査期間は2025年3月21日~5月15日。

Web集客の年間予算は「101~300万円」が最多

現在のWeb集客の年間予算を聞いたところ、最も多かったのは「101〜300万円」で179人、続いて「51〜100万円」が134人、「〜50万円」が87人だった。

現在のWeb集客の年間予算
現在のWeb集客の年間予算

実施した施策は「SEO」「リスティング広告」が多い傾向

過去に実施したWeb集客の施策は、「SEO」が最多で254人、続いて「リスティング広告」が205人、「SNS広告(Instagram、 Facebookなど)」が177人だった。

過去に実施したWeb集客の施策(複数回答可)
過去に実施したWeb集客の施策(複数回答可)

66%がWeb集客施策で失敗の経験あり

これまでのWeb集客施策で「失敗した」と感じた経験の有無について聞いたところ、「ある」が66%、「ない」が34%だった。

Web集客施策で「失敗した」と感じた経験の有無
Web集客施策で「失敗した」と感じた経験の有無

失敗の原因は「費用対効果の悪さ」「広告効果が継続しない」

Web集客施策の失敗の原因として当てはまるものは、最多が「費用対効果が悪かった」で271人、続いて「施策をやりっぱなしで改善できなかった」が193人、「広告効果が継続しなかった」が167人だった。

Web集客施策の失敗の原因(複数回答可)
Web集客施策の失敗の原因(複数回答可)

最も注力している施策1位はSEO

現在、Web集客に最も注力している施策を聞いたところ、「SEO」が最多で133人、続いて「リスティング広告」が74人、「SNS広告(Instagram、 Facebookなど)」が71人だった。

現在、Web集客に最も注力している施策
現在、Web集客に最も注力している施策

調査概要

  • 調査対象:経営企画部またはマーケティング担当者500人
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2025年3月21日~5月15日
大嶋 喜子

「TikTok Shop」の店舗開設・運用支援サービス、アライドアーキテクツ

6ヶ月 1 週間 ago

アライドアーキテクツは5月30日、2025年秋までのローンチが予定されている「TikTok Shop」の店舗開設・運用支援サービスを始めると発表した。

アカウント開設からコンテンツ制作、クリエイターとの連携、LIVE配信の企画・運営までを一貫してサポート。EC事業者がスムーズに「TikTok Shop」を活用できるよう、戦略立案から実行までをトータルで支援する。

アライドアーキテクツは、これまでInstagram、TikTok、WeChatなど国内外のSNSや動画プラットフォームを活用したマーケティング支援を多数実施。累計支援実績数は600ブランドを超えるという。

また、中国市場での先行事例として、中国の動画プラットフォーム抖音(ByteDance運営)を活用したライブコマース支援の知見があり、そのノウハウを日本市場にも応用できるとする。

自社で保有するUGCモニターコミュニティ「モニプラ」の活用や生成AIクリエイティブ企業と提携し、多様な動画コンテンツを効率的に量産できる体制を整えているという。インフルエンサーやクリエイターとの連携においても、提携企業所属の多様なタレントと協業し、ブランドやターゲットに最適なキャスティング提案ができるとしている。

「TikTok Shop」の店舗開設・運用支援サービス、アライドアーキテクツ
アライドアーキテクツの強み

「TikTok Shop」は、ショート動画やLIVE配信を通じて、視聴者がその場で商品を購入できる次世代型EC機能。新しい購買行動は「ディスカバリーEコマース」と呼ばれている。ユーザーは動画・LIVE配信の視聴を楽しみながら、思いがけない商品と出会い、コンテンツから直接購入することができるようになる。

従来の検索主導型ECとは異なり、コンテンツの力を通じた商品との自然な出会いによって、ニーズ顕在前の潜在層にもアプローチできるのが最大の特長となる。

TikTok Japanが発表した「TikTok Socio-Economic Impact Report 2024」によると、「TikTok」経由で生まれた推定消費額は1772億円。これに基づく国内名目GDPへの貢献額は4741億円にのぼり、そのうち中小企業への貢献は600億円超と報告されている。

宮本和弥

ニッセン、通販・EC支援のBtoB事業を子会社のニッセンLINX(ニッセンリンクス)に集約

6ヶ月 1 週間 ago

ニッセンホールディングスは6月1日付で、子会社ニッセンのBtoB事業(プロモーションサービス事業、フルフィルメントサービス事業、BPOコールセンター事業、RPA提供事業その他の通販ソリューションサービス事業)を、簡易分割によりニッセングループのアド究舎に承継、企業支援事業を集約した。

また、アド究舎は同日付で商号を「株式会社ニッセンLINX(ニッセンリンクス)」に変更した。

ニッセングループはニッセンBtoB事業、アド究舎において、通販事業で培ったノウハウをもとにプロモーションサービス領域を軸に事業を展開してきた。通販市場の拡大と顧客ニーズの高度化が進むなか、対応のスピード感と高い専門性が求められてきているという。こうした状況を受け、2つの事業会社に分散していた企業支援事業の経営リソースを集約し、特化した支援事業会社となることで、顧客満足度の向上を図るとしている。

新社名の「LINX」には、“繋がり”“連携”を意味する「Links(リンクス)」、“交差する”“トランスフォーメーションする”を意味する「X(クロスする)」を組み合わせた。

ニッセングループの多様な資産を活用してシナジーを生み出すと同時に、制約を超えて変化しながら支援先企業のカスタマーエクスペリエンス向上をめざす企業になっていきたいという思いを社名に込めたとしている。

鳥栖 剛

「Qoo10」の2025年初夏「20%メガ割」は5/31~6/12(木)で実施

6ヶ月 1 週間 ago

eBay Japanは、ECモール「Qoo10」で2025年初夏の「20%メガ割」セールを5月31日(土)からスタート、6月12日(木)まで実施する。

「20%メガ割」は年4回実施している「Qoo10」最大のセール企画。ユーザーにはセール期間を3回に分けて、期間ごとに20%メガ割クーポン(最大1万円割引)をプレゼント。加えて、組み合わせて使えるショップクーポンの提供や、決済サービスごとのキャンペーンなども実施する。

今回のメガ割期間中は、「メガ推し」のメガ割限定スペシャルセットを用意。「Qoo10」限定商品の「QONLY」に加え、夏を快適に過ごすための暑さ対策グッズが揃う「涼活」、ポイントメイクを集めた「最強ビジュ」など特集ページを設置。メガ割期間に実施するライブコマース「Live Studio」では、スキンケアからコスメまでトレンドアイテムをラインナップする。

「Qoo10」の2025年初夏「20%メガ割」は5/31~6/12(木)で実施
20%オフのメガ割クーポン配布のほか各特集を用意

前回「メガ割」の流通額は490億円

今年春に実施した「メガ割」(2月28日~3月12日)の流通額は490億円。前年同時期に実施した「メガ割」比で25%増という伸び率だったという。

初日の訪問者数は600万人、期間中の購入者数は350万人。販売商品アイテム数は45万個、初日の「Live ショッピング」販売件数は7.3万件で、流通額は4億2000万円を記録した。

鳥栖 剛

2024年のGMV(流通総額)70億円、累計会員数150万人超、「SHOPLIST」買収のファッションEC「nugu」が現代百貨店から30億円を調達

6ヶ月 1 週間 ago

韓国発のファッションECサイト「nugu」を運営するmediquitousは6月2日、韓国の現代(ヒュンダイ)百貨店から約30億円の戦略的投資を受けたと発表した。

今回の出資は、現代百貨店が2023年から推進する韓国コンテンツの日本展開事業「THE HYUNDAI GLOBAL」の戦略的拡大の一環。2024年5月に「渋谷PARCO」で実施したポップアップストア「THE HYUNDAI GLOBAL with nugu」では、「nugu」が現地の運営・マーケティングを統括。12ブランドが出店し、売上3億円以上を記録したという。

この成功を受け、現代百貨店は「nugu」内に韓国ファッション専門店「THE HYUNDAI GLOBAL」を開設する予定。2025年下半期以降は日本主要都市におけるオフライン販売網の拡大、大型フラッグシップストア展開も計画しているという。

mediquitousは今回の投資を皮切りに、「nugu」の日本国内での事業展開をさらに加速させる。東京・大阪など主要都市の百貨店で複数回にわたってポップアップストアを成功させてきた実績を生かし、今後は常設店舗を展開する。組織体制の強化と人材採用も積極的に進めていく。日本市場における韓国ブランドへの関心が急上昇していることを背景に、事業拡大を進める。

また、日本ブランドの韓国進出も積極的に支援する方針。オンライン・オフライン両面で日本と韓国間のクロスボーダー流通ハブとしての役割を強化する。日本ブランドの「nugu」への出店、さらには「THE HYUNDAI SEOUL(ザ・ヒュンダイソウル)」でのポップアップストア展開も見据えた事業を構築。2026年には本事業の本格的な拡大に向け、専門組織の設置や事業体制の強化を予定しているという。

「nugu」とは?

mediquitousは2020年にZ世代をターゲットにしたファッションECサイト「nugu」を日本でスタート。累計会員数は150万人超、2024年のGMV(流通総額)は70億円を達成した。東京・新宿と大阪に実店舗も運営している。

「nugu」の特長はインフルエンサーが選んだアイテムの販売。「nugu」内にインフルエンサーがショップを出店し、自身がセレクトした商品を自身がPR、購入された商品は「nugu」が顧客に発送し、インフルエンサーは報酬を受け取るビジネスモデルを採用している。mediquitousは売上高1000億円を目標に掲げており、2025年1月には日本のファッションEC「SHOPLIST」を買収、規模拡大を加速させている。

「現代百貨店」とは?

mediquitousに出資した現代(ヒュンダイ)百貨店グループは、1971年設立の韓国の総合流通・ライフスタイル企業。韓国内に24店舗の百貨店を運営するほか、ファッション、食品、デジタル、建設など多岐にわたる事業を展開している。2023年末時点の売上規模は約26兆ウォン。

今回の投資は、現代百貨店グループにとって過去最大規模のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)による投資になるという。

鳥栖 剛

yutori片石社長に聞く売上高300億円を見込む成長戦略、ブランド育成、経営手法とは? | 通販新聞ダイジェスト

6ヶ月 1 週間 ago
「マルチブランド経営」など、アパレル業界最速で上場したyutoriの片石社長に自社の特長や成長戦略を聞く

「9090(ナインティナインティ)」や「HTH(エイチティーエイチ)」などのファッションブランドを手がけるyutori(ユトリ)は、2018年4月の創業から5年8か月というアパレル企業最短の上場で注目を集めた勢いのある会社だ。ECチャネルが売り上げの過半を占めるが、足もとでは実店舗の出店にも積極的だ。昨年8月には元AKB48の小嶋陽菜さんがCCOを務めるheart relationを子会社化したほか、今年3月には「TGC」に初参加した。yutoriの片石貴展社長に事業戦略などを聞いた。

yutori 片石貴展社長
yutori 片石貴展社長

事業成長を支えるブランド育成術

――ゾゾのグループ会社だった時期もあったが、今のゾゾとの関係性は。

以前はゾゾが当社株式の51%を持っていて親会社だったが、当社の上場後は20%程度になっていて、大株主という位置づけ。取締役会にはゾゾCOOの廣瀬さんが参加してくれている。社長の澤田さんも含めゾゾの役員は良い意味で近所のおじちゃんみたいな感じ。ゾゾ傘下のときから自主的な意思決定を尊重してくれた。すごくフラットな関係で接してもらい、やりやすい環境を作ってもらえて感謝ですね。

消費者の好みを細かく捉えるマルチブランド志向

――マルチブランド経営を志向する。

起業した24歳のときから、明らかにSNSからファッションブランドが出来上がっているという感覚があった。消費者の好みが分散し、それぞれの好みに情報が最適化されていくので、1ブランドで100億円の売り上げを作るのは難しいと感じた。そこで、1社で100ブランドを展開するにはどうしたら良いかを逆算し、会社の理念などを作った。その読み通りに、世の中が進んでいるという感覚が強い。

yutoriのブランド数の推移(画像はIR資料から追加)
yutoriのブランド数の推移(画像はIR資料から追加)

――売上高は2024年3月期の43億円強に対し、2025年3月期はheart relationの子会社化などもあって80億円に上方修正した。このスピード感も想定済みか。

さすがに想像してなかった。起業したときは年商1億円、2億円で大金持ちというイメージだった。ただ、その成長スピードに怖さは感じていなくて、ラッキーだし、良い立ち位置で大きな挑戦ができて感謝だなと。

2025年3月期の通期業績(画像はyutoriのIR資料から追加)
2025年3月期の通期業績(画像はyutoriのIR資料から追加)

ブランドの立ち上げはコンペ形式

――ブランドの立ち上げ方は。

いろいろなパターンがあって、スタッフみんなでコンペをして投票形式で決めるのが、ブランドの立ち上げ方としてはわかりやすい。プデュ企画と言って、韓国のオーディション番組を参考にしていて、僕もみんなと同じ1票しかなく、最後までどのブランドが優勝するかわからない。

最近はコンペ形式で立ち上げることも多い。スタイリストの熊谷さんと組んだブランド「GDC(ジーディーシー)」など、つながりのある外部の人と一緒に立ち上げるケースも最近はいくつか出てきている。

――70ブランドの展開を掲げている。

ある程度、順調に増やしていて、昨年末時点で36ブランドを展開している。今年中に何ブランドとかは意識していなくて、数の目標が重荷になると部分最適になって歪(いびつ)な形になってしまう。大局観で判断している。

――立ち上げたブランドは担当者に任せる形か。

そうですね。ブランドのプロデューサー、クリエイティブディレクターに権限を委譲している。ブランド立ち上げ後の工程は型みたいなものがあって、プロデューサーが状況を見ながら柔軟にアレンジしている。トップダウンではなく、権限委譲して取り組まないと各ブランドの機動的な意思決定ができなくなってしまう。

――コンペを実施して片石さんも1票しかないと、「これはどうかな」というブランドが選ばれることもあるのでは。

みんなが「このブランドは当たる」と思う感覚と、僕の感覚はそんなにズレていない。とくにプロデューサー陣とか幹部と意思決定が大きくズレることはあまりない

熱量のあるコミュニティーを発掘

――ブランドを開発するときに心がけていることは。

大人が見つけていない、若い子だけが知っている熱量のあるコミュニティーを見つけることと、そのコミュニティーのオピニオンリーダーやコミュニティーのヒエラルキーの中で上に立っている子、あるいは立てる子が作ること

あとは、そのコミュニティーに企業としてちゃんと投資をしながらコミュニティーを増幅させることが大事だと思う。

――最近熱いコミュニティーは。

それこそ「GDC」は3月8日に立ち上げたばかりで初速が良い。30~40代向けに新しく立ち上がっているブランドはそんなに多くない。その年代の人がいまイケてると思うものが意外に少なくて、「GDC」はある程度、大きい投資をして店作りから始めたが、ちょいオジ向けの熱量が意外に高く、しっかり反響があった

MBTI診断を採用に活用

理念や価値観へのフィット感を重視

――採用の時点でその辺りは意識しているのか。

手もとにあるカードをどううまく切っていくかという発想なので、戦略ありきでカードを集めるということはしない。当社の理念や価値観にフィットするメンバーが集まって、「さあ、何をしようか」となる方が、ブランドを広げるという意味では大きいと思う。

――採用面では、MBTI診断である特定のタイプの人材を採用している。

MBTIは自分に対する認識が明確化されるもの。もちろん、それだけで人のすべてを理解できるとは思っていないが、若い子にとって親しみやすい。あとはセンセーショナルなので、採用方法として拡散されやすいと思った。ブランドを広げていく人材はたくさんいるが、うまく管理していくことも大事。当社に少ない管理が得意なタイプを募集するときに、「管理者」とするよりも、「TJ属性」とした方が広がる

“10倍成長”につながるアクションを意識

――片石さんの社長としての役割で一番大事なことは。

予言をすること未来がどうなりそうかを予測することと、1年に1回くらいは良いシュートを決めること10倍成長につながるような何かを作ることに創業期からすごく意識している。

たとえば、昨年であればheart relationの買収、一昨年であれば株式上場、その前であればA.Z.Rの買収や、ゾゾとのディールだし、会社を10倍大きくする意思決定は短期的にはリスクを伴うので、捉えている時間軸が一番長く、かつリスクをとれるのが社長とか副社長になる。

いまのメンバーは優秀なので僕がいなくても2倍、3倍くらいには成長させられるが、より長い時間軸の中で大きなインパクトのある意思決定をしていくことが大事だと思う。

ブランド選定・撤退の基準

M&Aでは“わかり合えるかどうか”を判断

――ブランドをM&Aするときの選定基準などは。

今のフェーズでは、同じ価値観や志があるか、わかり合えることが大きいかを重視している。まったく異なるものを改造して新しい形に仕立てるというよりは、追い風を吹かせてより成長を加速させてあげるという支援の仕方で成功してきた。

撤退は独自基準を設けて決定

――ブランドを次の成長フェーズに引き上げるとか、撤退するといった判断はYリーグ制度で判断している。

そうですね。「Yリーグ」という独自の仕組みのなかで意思決定が割と自動的に行われるようにしている。撤退の基準が一番重くて、ブランド立ち上げから一定の期間で一定規模に成長しなかったブランドは撤退するという掟がある。その基準はあやふやにしてはダメで、誰かが悪者にならなければいけない瞬間がきてしまうと自分たちのスタンスと矛盾するので、そこは気を付けている。

yutoriのブランドは独自制度「Yリーグ」で判断される(画像はyutoriのIR資料から追加)
yutoriのブランドは独自制度「Yリーグ」で判断される(画像はyutoriのIR資料から追加)

専用ステージで東京ガールズコレクションに参加

――3月1日に開催された「第40回マイナビ東京ガールズコレクション2025SPRING/SUMMER」に参加した。

ティーン向けのファッションイベントとして新しい文脈を作ってきたW TOKYOの村上社長から熱意のある声がけを頂いた。僕は物事を決めるのに、そういうこともすごく大事にしている。利害関係がある中で最終的な判断にはバイブスが大事だったりする。

TGCではyutoriステージを作ってくれて、とくに「9090 girl(ナインティナインティガール)」はクリエイティブも良く、TGCの来場者層ともハマってすごく反響があったし、やって良かった。

――TGCでの一番の成果は。

自分たちがこれまで投資をしてこなかったところでも、新しい大きな広がりを作ることができた。社内的には、ランウェイはデザイナーやディレクターなら誰しもが夢見る舞台なので、ああいう社会性のあるイベントでチャンスをもらえて、競争に勝ち抜いたブランドだけが出られるとなれば、みんなのモチベーションにもつながるので、組織のモメンタムという意味でもやってよかった

オフライン回帰の流れを重視

――オフラインの活用は増えそうか。

たぶんそうなる。各ブランドのプロデューサーが判断してフェスを主催したり、フェスに出たりとかもあると思う。オフライン回帰の流れがピークなので、当社はこの2年間に実店舗を40店舗出店しているのもそうだし、オフラインはすごく大事だと思っている。

「いいね!」が付くコンテンツ作りに注力

――SNSの役割は。

SNSは簡易的な情報なので、ブランドのどの部分に光を当てれば魅力的に見えるかを考えながら発信している。ユーザーがブランドの魅力を「理解できちゃった」と思った瞬間にその魅力は失われるものだと思うので、ブランドの奥行きとか思想など瞬間的に伝わりづらいものをオフラインで作ることが大事だと思う。

――SNS運用でも注目されている。

SNSを運用してバズるコンテンツを作ることができたら次は商品を作り、その次にブランドを作るという段階があるので、若い子はとくに本社のSNS運用からスタートしてステップアップできるかどうかという感じ。

各ブランドが運営しているインスタグラムのフォロワー数は今年1月時点で約275万だった。heart relationなどのM&Aもあって、この1年間で100万以上増えた。勝手に拡散されるような見た目がキャッチーな商品を作ったり、そのアイテムをどのようにコーディネートし、投稿した子が魅力的に映って「いいね」が付くかというところまでをセットにしてインスタのコンテンツは作っている。

ECとオフラインは「違う筋肉」「どちらも大事」

――ECでもオフラインでも購入しやすい売り場作りが大事になる。

販売チャネルとしてはどちらも大事。服はスマホの画面よりも、店頭で手に取ってもらった方が圧倒的に情報量が多い。多い情報量の中での表現方法と、少ない情報量の中での表現の仕方は真逆なので、違う筋肉を付けないといけない。

――これまでのアパレル店舗との違いは。

実店舗はファイナンスとクリエイティブの両軸をしっかりやらなくてはいけない。この両軸に強い会社はあまりないと思う。レバレッジを効かせてグループを大きくしていきながらも、若者がクリエイティブに服を作ったり、店を作ったりしている。海外だとLVMHなどが近いと思うが、日本では参考になる会社は少ない

次の成長のカギはアジア戦略

――10倍成長に向けた次のターゲットは。

コスメは昨年立ち上げて軌道に乗ったので、コスメや他業態もそうだし、あとは、3月に台北市に新規開業した複合施設に「9090」の常設店舗をオープンしてかなりうまくいっているので、アジア戦略がカギになりそう。

自社のブランドをアジアで販売するのもそうだし、2月からは韓国で人気のブランド「マリテフランソワジルボー」の日本公式オンラインストアの運用を始めたり、韓国ブランド「グローブ」の日本での販売特約店契約を取得したりと、海外ブランドを持ち込むケースもある。

主力ブランド「9090」の足元の動き(画像はyutoriのIR資料から追加)
主力ブランド「9090」の足元の動き(画像はyutoriのIR資料から追加)

――アジア展開のスピード感については。

緩やかなスピード感をイメージしていたが、感触として少し早めに数字に盛り込めそうで手応えを感じている。何度もポップアップを出してから出店しているので、「行けるでしょ」と感じるまでは大きいリスクを伴う意思決定はしない。ポップアップを展開してリールやクリエイティブが現地で刺さるかを確認し、その手応えを頼りに出店するので、日本でやっていることとそんなに変わらないかなと思う。

――ストリート系以外でブランド開発するジャンルの候補は。

全部ですね。ゆとり世代くらいまでのターゲットに対して、文化としてやらないというジャンルはなくて、勝てるかどうかが大事。自分たちが持っている文脈に投資をする方が勝つ確率が高いだけで、最終的には全部のカテゴリーを獲りたい

――急成長している中での課題感などは。

引き続き30%成長を維持していくと5年後に300億円くらいの売り上げになるので、そこに向けてくさびを打っていくことが大事かなと。市場環境も変化するので、経営陣がしっかり観察しながら臨機応変に動けるようにしておくという緊張感は常にある

これまでの業績の変遷と2026年3月期の見込み(画像はyutoriのIR資料から追加)
これまでの業績の変遷と2026年3月期の見込み(画像はyutoriのIR資料から追加)
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通販新聞

ブックオフコーポレーションが「ブックオフ公式オンラインストア」にハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」を導入

6ヶ月 1 週間 ago

ブックオフコーポレーション(ブックオフ)は、「ブックオフ公式オンラインストア」にハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」を導入した。

レビューからハッシュタグ生成などを実装

「ブックオフ公式オンラインストア」では、約500万点の在庫数を取り扱っており、注文した品物を全国の店舗で受け取れる「店舗受取サービス」、コミック・書籍の全巻セットをまとめて購入できる「まとめ買い機能」といったサービスを提供している。

ブックオフコーポレーション ブックオフ公式オンラインストア
ブックオフが運営する「ブックオフ公式オンラインストア」
(画像は「ブックオフ公式オンラインストア」からキャプチャ)

商品説明文、レビューのテキスト情報からハッシュタグを生成し、検索結果ページや商品詳細ページに表示するようにした。たとえば「#人生を変える」「#読みやすい」「#モチベーションが上がる」といったハッシュタグを生成する。ユーザーがより直感的に商品を見つけやすくすることで、UX向上につなげる。

ブックオフコーポレーション ブックオフ公式オンラインストア レビューから生成したハッシュタグを表示し、UX向上につなげる
レビューから生成したハッシュタグを表示し、UX向上につなげる

「#本屋大賞」「#芥川賞」「#直木賞」など、特集記事にひも付いたハッシュタグを生成・表示できるようにした。ユーザーが自身の興味・関心に合う分野や話題の書籍をより簡単に見つけられるようにすることで、サイト内の回遊性向上をめざす。

ブックオフコーポレーション ブックオフ公式オンラインストア 特集記事にひも付くハッシュタグ表示で回遊性向上をめざす
特集記事にひも付くハッシュタグ表示で回遊性向上をめざす

「ZETA HASHTAG」とは

商品説明やレビューなどのテキストを解析し、その商品に関連するキーワードをハッシュタグとして抽出するサービス。多数の特許を取得している。

ZETA HASHTAG 特許取得
「ZETA HASHATAG」の特集(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)
藤田遥

成長する前から知っておきたい!? ヒット商品の落とし穴とは【ネッ担まとめ】 | 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

6ヶ月 1 週間 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2025年5月19日~6月1日のニュース

ECはかけ算のビジネスです。ひとたびヒット商品が生み出されれば、そこに集客を当てるだけで売り上げが伸びていきます。そしてSNSでの情報拡散が劇的に伸びを加速させます。しかし、短期間で伸びるということは「短期間で止まる」ということでもあるのです。私たちは「ヒット商品」にどう対応すればいいのでしょうか。

ECは「ヒット商品」の登場で突然成長する

待望の「ヒット商品」を出したのに”経営危機”に陥る企業の落とし穴 「うちはこの商品で、当面は食べていける」「俺は成功した」はNG! | 東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/877524

売上を最大化するために、社内体制をヒット商品の製造・販売に最適化し、社内リソースを集中させてしまうこと。そんな体制にしてしまえば、いずれヒット商品の寿命が尽きたときには、すべてが逆回転します。

(中略)

ヒット商品だけに頼っていると、新製品開発力、新規営業力など、会社を成長させるための力が全体的に落ちていきます。

ヒット商品が生まれたことが、経営者やスタッフの「慢心」や「気の緩み」に必ずつながるかは別として、社内の体制を「ヒット商品」に合わせる(合わさざるをえない)ことが、結果的に経営の落とし穴になることは、よくあるケースです。

特にECビジネスの場合、ヒット商品が生まれたときの拡散力はすさまじく、社内の体制を作る前に「人海戦術」で対応する状態になりかねません。

ヒット商品の寿命がきたとき、「人海戦術」は途端に単なるコストとなり、経営を悪化させる原因になります。

設定した寿命のうちに、できるだけ早くに次のヒット商品を出せるような社内体制を作ります。ヒット商品を担当する部門とは別に、新業態や新商品を開発する部門を設けて、開発や新規取引先開拓を続けるのです。

こうして、ヒット商品が売れている間に、会社の足元を固め、変化に耐えられる体力を強化しておけば、いずれ次のヒット商品を生み出せるはずです。

「言うは易く行うは難し」ではありますが、ヒット商品をできるだけ伸ばしつつ、次への体制を作ることが大切です。

そのためのポイントになるのが、「エース人材」の配置です。エース人材のリソースを「次のチャンス」に投下することができるか、ここが次のチャンスの仕込みと可能性に関わってきます。

ECビジネスでいえば、たとえば「楽天市場」で売り上げが伸びていながら、「自社EC」の売り上げが少ない会社。もちろん商材の向き不向きもありますが、「自社EC」にエース人材を当てられていないのではないでしょうか?

要チェック記事

「今後伸びるビジネス」2025年上半期の1位は「EC(ネット通販)」。「AIエージェント」が将来性スコアの伸長でトップ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14110

まだまだECは拡大します。ECというのは、すでに顕在化している市場なんですよね。「こうなるだろう。こうなるかもしれない」じゃない。

Z世代はSuicaと推し活に熱心、Y世代は投資と電子マネーを重視 - 世代間の消費行動と価値観の違いが明らかに | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/66386

むしろY世代の電子マネー利用率が高すぎというか、そもそも若い層は交通系とか電子マネーとか意識していないんじゃないですかね。

マーケティング担当が一人で限界を感じたら読む記事|業務過多・孤独・プレッシャーを超える共創という選択肢 | ThinkMove
https://thinkmove.jp/blog/marketing-alone-support/

会社の文化によってはパソコンの前で仕事をしていると「ラクをしている」と思われるため、別部屋を用意するケースもあります。

閑散期でもCMを流すワケ 「第一想起」の獲得を狙うサカイ引越センター | AdverTimes.
https://www.advertimes.com/20250522/article498316/

どの会社でもできる施策ではないけれども、お客さまの「手持ちカードの1つ」に入っておくことは大切ですよね。

「ターゲットの違和感」人を“ねらう”と関係は壊れる | マーケティングコンサルタント藤村正宏ブログ
https://www.ex-ma.com/archives/18635

少し過敏かなと思いますが、言葉がイメージや行動を知らず知らずに作っていくこともあるので注意が必要です。

「そこまで言うなら、材料の残り分だけね」 お荷物商品で一度終売した「ブラックサンダー」。《50円以下チョコ》市場で王者になれた深い経緯 | 東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/879892

「一目で義理とわかるチョコ」は、たまたま飛び込みで来た広告会社の営業さんのアイデアだったんかい!(笑)

今週の名言

会議前にやってみてほしい! ネスレ日本のマーケターが実践している「相手を動かすひと工夫」 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2025/05/29/49285

各自の「やりたいこと」を引き出し、それをうまく整理して会社の方針に結びつけるのが私の役目です。みんなの熱量が高く、いい結果が生まれそうだというプランを見せられれば、会社はそれを承認してくれます。だから、こちらから仕事を与えるのではなく、メンバーが熱量高く取り組めることを大事にしています(守安氏)

これ、私もコンサルティングの仕事の中で、非常に気にしているポイントです。

必ずしも成果に「近く正しい」ことを行うのではなく、チームのメンバーが「理解」し「本気」で取り組める施策を優先する。やっぱり熱量高く取り組まないと、結果につながるまでの試行錯誤の過程で、折れちゃうんですよね。1回やって思うような結果が出ることなんて稀じゃないですか。

自分たちで決める。そして、本気でやるから成果につながる。いかにそれをバックアップするか、が大切だと思っています。

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

石田 麻琴

アスクルが新物流センター「ASKUL関東DC」の開所式+埼玉県上尾市と日本GLPとの災害時協定締結式を実施

6ヶ月 1 週間 ago

アスクルは5月23日、東日本の基幹センターである「ASKUL関東DC(ディストリビューションセンター)」の開所式を実施した。また同日、埼玉県上尾市、日本GLPとの3者間で「災害時の物資の供給及び一時保管等に関する協定」を締結した。

東日本の基幹センター「関東DC」の特長とは

「関東DC」は、アスクルの中期的な物流戦略において重要なミッションを担う、11拠点目となる東日本の基幹センター。物流拠点としては「ASKUL関西DC」に次ぐ2番目の賃借面積となる大規模物流センターで、「ASKUL」「LOHACO(ロハコ)」の物流を担う。稼働は2025年6月の予定。

アスクル 関東DCの外観
「関東DC」の外観
アスクル 「関東DC」の入り口には「アスクル坊や」が設置されている
「関東DC」の入り口には「アスクル坊や」が設置されている

配送費比率低減、高度自動化などを実現

ロングテール商品を「関東DC」に集約することで、さまざまな商品を1箱で配送でき、箱単価向上につなげるという。これにより、配送費比率の低減を図る。

現在「AVC関西」から出荷しているロングテール商品を「関東DC」に切り替えることで、東日本ユーザーへの輸配送距離を短縮。ロングテール商品も「明日来る」サービスの実現をめざす。

AGVを積極導入し、高度自動化、高効率化をめざす

アスクルは人手不足が進むなかでも高い生産効率を実現するため、従来センターで蓄積した知見、最新技術を活用した物流設備を導入し、高度自動化を進めている。

自動仕分けAGV導入でフレキシビリティを向上

アスクル初となるトーヨーカネツの自動仕分けAGV「Table-sorting system」を導入。高頻度品のデジタルピッキングエリアにおいて、搬送コンベアの代わりに160台を導入した。搬送コンベアという固定ではない設備を導入することで、フレキシビリティ向上につなげている。今後使用しながら導入台数拡大、機能を向上していくという。

アスクル トーヨーカネツの自動仕分けAGV「Table-sorting system」
物量に合わせて台数・面積を変化させ、処理能力の増減などが行える柔軟性、故障時は該当のAGVのみ取り除けば運用できる機動力が特徴

棚搬送ロボットで入荷効率を改善

ギークプラスのGTPソリューション(Goods To Person:ピッキング担当者のいる場所まで商品を運び、定点作業を実現するソリューション)である「PopPick」を444台導入した。最新AGVのVer1.3導入で、入荷の効率改善、保管、出荷効率向上をめざす。

アスクル ギークプラスのGTPソリューション「PopPick」
ステーションは28台を設置

アスクル初の6輪台車搬送AGVを導入予定

入荷商品を保管場所まで搬送する工程を自動化するため、愛知機械テクノシステムの6輪台車搬送AGV「Carry Bee Dragon3」を12台導入する予定。6輪台車の下にAGVが潜り込み、台車前端をリフトアップして搬送する。

アスクル 愛知機械テクノシステムの6輪台車搬送AGV「Carry Bee Dragon3」
入荷場所から保管場所まで何往復もの移動が不要となり、作業負担軽減につなげる

フォーク付きAMR導入で、複数階層の工程を自動化

プラスオートメーションの工程間搬送ロボット「LUC-L1500V」を1台導入し、 2025年6月からPoCを実施予定だ。「LUC-L1500V」はエレベーターに乗り込んで他階まで搬送が行える。入荷や保管などの工程間搬送においてパレットを無人で搬送することで、従来のハンドリフトを使用した作業の効率化をめざす。

アスクル 「LUC-L1500V」の導入は国内では初
「LUC-L1500V」の導入は国内では初

使用済みクリアホルダーを使用したコンテナを初導入

アスクルは2022年4月から使用済みクリアホルダーを再資源化する「アスクル資源循環プラットフォーム」を行っている。「関東DC」ではセンター内で使用する折りたたみコンテナの一部にクリアホルダー由来の再生材を約11%配合したものを使用している。まず1万1150個を導入し、導入率を増やしていく予定だという。

アスクル 使用済みクリアホルダー由来の再生材を使用した折りたたみコンテナ
使用済みクリアホルダー由来の再生材を使用した折りたたみコンテナ

駅や高速ICにアクセスしやすい立地

「関東DC」は埼玉県・上尾駅から徒歩圏であることに加え、圏央道、東北自動車道、首都高にアクセスしやすく、関東エリアから東北エリアまでを網羅できる立地にある。

また、早期復旧可能な免震構造のほか、空調整備では暑さ・寒さ対策としてスポットエアコンを多数導入。働くスタッフには昼食を無償で提供している。

アスクルの物流センターとしては11箇所目となり、我々にとっては積年の願いであった東日本エリアの大型基幹センターだ。アスクルを利用しているお客さまは、1回のご注文で複数商品を注文する。そこで大事になるのが、いかに商品をまとめて配送回数を減らして生産性を上げていくか、工夫を凝らすことだ。東日本エリアには長年大型センターがなく、一部の商品を西日本エリアから出荷するなど、お客さまにも、現場で対応してくれている人たちにとっても最適ではない形だった。

日本GLPから紹介をいただき、今日に至れた。中期経営計画では予定していなかったが、即断をしてここまで来ることができた。あらためて貴重な縁をいただけた。(吉岡氏)

アスクル 代表取締役社長 CEO 吉岡晃氏
アスクル 代表取締役社長 CEO 吉岡晃氏

埼玉県上尾市と災害時協定を締結し、生活必需品の提供などを行う

アスクルは、日本GLP、埼玉県上尾市と「災害時の物資の供給及び一時保管などに関する協定」を締結した。

日本GLP 代表取締役社長 帖佐義之氏(左)、埼玉県上尾市 市長 畠山稔氏(中央)、アスクル 代表取締役社長 CEO 吉岡晃氏(右)
日本GLP 代表取締役社長 帖佐義之氏(左)、埼玉県上尾市 市長 畠山稔氏(中央)、アスクル 代表取締役社長 CEO 吉岡晃氏(右)

アスクルは2017年に発生した物流センターの火災後、万全な防災体制の整備に加え、地域における物流センターの在り方を再検討した。「地元の人たちに安心・安全な物流センターとして信頼してもらい、地域に対して貢献していきたい」という思いから、各物流拠点における自治体との災害時協定を順次締結してきた。

アスクルが埼玉県上尾市内で運営する「関東DC」では飲料・食品、日用品などの生活必需品を潤沢に在庫していること、災害時に市外から集まる支援物資の一時保管に活用できることから、協定の締結に至った。

協定に基づき、災害発生時または発生の恐れがある場合は上尾市の要請に応じ、生活必需品などの物資の提供と物資の一時保管をする。

藤田遥

STORES、店舗運営の業務効率化+オペレーション標準化+サービスの品質安定に寄与する「マキトリ by STORES」を提供開始

6ヶ月 1 週間 ago

STORESは5月30日、リアル店舗を多店舗展開する事業者向けに本部と店舗をシームレスにつなぐ店舗管理プラットフォーム「マキトリ by STORES」の提供を開始した。多店舗運営の業務効率化、現場オペレーションの標準化、サービス品質の安定にサポートする。本部からの業務指示や店舗からの掲示物・ルーティン業務に関する報告などを可視化し、一元管理する。

顧客企業の他店舗運営をサポートする
顧客企業の他店舗運営をサポートする

チェーン店など多店舗展開する事業者では、本部からの業務連絡の煩雑化、情報伝達の漏れ、属人的な対応によりサービス品質のばらつきや現場オペレーションの非効率が生じるケースが少なくない。「マキトリ by STORES」はこうした課題の解決のため、業務効率化と均一化した店舗運営をサポートする。

「マキトリ by STORES」で実現できること

本部からの業務指示やお知らせを一元化

本部からの業務指示やお知らせを一括配信できる。電話やメール、FAXでのやり取りは不要で、情報は管理画面に集約する。

店舗の状態を可視化

掲示物や売場の写真を画像で報告・確認できる。誤掲示や未対応店舗も一目で把握できるため、サービス品質を均一化できる。

タスクを可視化

スマホやタブレットに対応し、店舗のタスクを可視化する。現場スタッフの負担を減らし、接客など本来の業務への集中や、適切な人材配置を可能にする。

スマホやタブレットからの操作に対応する
スマホやタブレットからの操作に対応する

利用の料金プランは問い合わせ後に応相談となる。

「バーガーキング」や「JINS」などが導入

「バーガーキング」を運営するビーケージャパンホールディングス、「JINS」を運営するジンズなどが導入している。

ビーケージャパンホールディングスは「店舗エリア・カテゴリーごとの状況も一目で把握でき、迅速な対応が可能になった」、ジンズは「業務タスクの配信・管理が一元化され、店舗ごとの対応状況をリアルタイムで把握できるようになった。組織全体の主体性が自然と引き出されている」といったコメントをしている。

大嶋 喜子

アドウェイズ、「TikTok Shop」の店舗運営支援サービスを開始

6ヶ月 1 週間 ago

アドウェイズは、中国のByteDanceが日本国内でサービスの開始を予定している「TikTok」のEC機能、「TikTok Shop」の店舗運営支援サービスを開始した。

アドウェイズによると、先に「TikTok Shop」が導入された海外では、影響力のあるクリエイターによる動画やライブ配信をきっかけに商品の人気が高まる事例が見られ、日本でも同様の流れが生み出されることが想定されるという。

中国市場での経験とノウハウを生かした支援

アドウェイズはこれまで、子会社のAdways Chinaや関連会社のOrange Starを通じて、ByteDanceが運営する中国版のTik Tok「Douyin(抖音)」でのEC活用支援を行ってきた。

現在も多くの日系企業に対して中国マーケティングの支援を続けている。「TikTok Shop」におけるアドウェイズグループの強みは次の通り。

「TikTok」広告運用の知見

「TikTok」広告がローンチしてすぐの時期から運用を手がけているため、クリエイティブナレッジと運用改善の知見を蓄積している。運用型広告を基軸に、広告効果最大化に向けた戦略立案から実行まで支援する。

制作会社、キャスティング会社、ECカート会社との連携

撮影・編集を担う制作会社、出演者の手配を行うキャスティング会社、EC導線を構築するカート会社など、各領域のパートナー企業と連携し、「TikTok Shop」に最適化されたコンテンツ制作とEC販売体制を構築する。

自社インフルエンサー・クリエイターの活用

子会社のADWAYS DEEEが展開する「JANet」のインフルエンサーネットワークなど、グループリソースを活用し、インフルエンサーの迅速なキャスティングやコンテンツの展開をサポートする。

大嶋 喜子

ヤマト運輸、大口法人向けのプライシング適正化で平均単価は4%増を想定、取扱数量は減少を見込む

6ヶ月 1 週間 ago

ヤマトホールディングス(HD)は2026年3月期における法人部門の宅配便(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)の平均単価を、前期比4%増やす方針を掲げている。プライシングの適正化を進め、単価増を図るという。

ヤマトHDによると、これまで取り組んできたプライシング適正化交渉の結果が単価に反映し始めているという。2025年3月期は低採算顧客への交渉やクール便料金改定の反映などで、下期から単価が改善傾向に。引き続き付加価値に応じた適正なプライシングに注力することで、平均単価の押し上げをめざすという。

一方、法人部門のプライシング適正化により取扱数量は前期比0.6%減となると想定。「取扱数量の変化に応じて柔軟に対応できるよう、オペレーションの変革にも並行して取り組む」(ヤマトHD)としている。

ヤマト運輸、大口法人向けのプライシング適正化で平均単価は4%増を想定、取扱数量は減少を見込む
法人部門の宅配便の平均単価を前期比4%増へ(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

小口法人や個人を対象とする宅急便部門の平均単価は前期比0.2%増と横ばいの想定。一方で、取扱数量は2.8%増えると想定している。 セールスドライバーの営業力強化、ニーズを捉えた商品・サービスの開発、地域の市場性に基づく拠点展開、ふるさと納税市場におけるシェア拡大などに取り組み、取扱数量を増やす考えだ。

2025年3月期の平均単価は1.4%減

ヤマトHDの2025年3月期における宅配便(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)の平均単価は、同1.4%減の711円(前年は721円)だった。

ヤマト運輸、大口法人向けのプライシング適正化で平均単価は4%増を想定、取扱数量は減少を見込む
2025年3月期の平均単価は1.4%減だった(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

2024年4-6月期(第1四半期)における宅配便(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)の平均単価は、前年同期比1.0%減の706円(前年同期は713円)、2024年7-9月期(第2四半期)は同2.1%減の710円(同725円)、2024年10-12月期(第3四半期)は同1.4%減の721円(同731円)、2025年1-3月期(第4四半期)は0.8%減の704円(同710円)と推移した。

セグメント別の単価伸び率は、宅急便部門の第1四半期は同2.2ポイント減の1.8%、第2四半期は同4.6ポイント減の0.4%、第3四半期は同5.2ポイント減の0.1%、第4四半期は同5.4ポイント減の0.1%と推移。法人領域は、第1四半期が同3.6ポイント減のマイナス2.1%、第2四半期が同4.9ポイント減のマイナス2.8%、第3四半期が同2.2ポイント減のマイナス1.6%、第4四半期は同0.9ポイント減のマイナス1.1%となった。

ヤマト運輸、大口法人向けのプライシング適正化で平均単価は4%増を想定、取扱数量は減少を見込む
法人領域の単価推移の伸び率は低調に(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

2025年3月期の業績と2026年3月期の予想

ヤマトHDの2025年3月期における営業収益は前期比0.2%増の1兆7626億9600万円、営業利益は同64.5%減の142億600万円、経常利益は同51.6%減の195億8700万円、当期純利益は0.8%増の379億3700万円だった。

収益構成の変革に向けた取り組みで、投函サービスの収入は減少したものの、宅配便の収入増加やM&Aの実施を含め法人ビジネスが拡大したことなどで、売上収益は拡大。利益面は輸送領域のオペレーション見直しや新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加した。

2026年3月期連結業績は、売上収益は前期比6.7%増の1兆8800億円、営業利益は同181.6%増の400億円、経常利益は同104.2%増の400億円、当期純利益は同36.7%減の240億円を計画している。収益構成の変革を進め、プライシングの適正化と法人ビジネスの成長により増収をめざす。営業利益については営業増収に加え、オペレーションコストの適正化により増益をめざす。

鳥栖 剛

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