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ルタオ、ECと店舗のポイント連携を開始。紙のカードからスマホ対応のデジタルへ

6ヶ月 ago

ケイシイシイは、「小樽洋菓子舗ルタオ」のポイント制度を刷新した。紙のカードからスマホ対応のデジタルへシフトし、実店舗と自社ECサイトのポイント連携も始めた。

「小樽洋菓子舗ルタオ」ではこれまで、実店舗では紙タイプのスタンプカード、自社ECサイトではデジタルのポイントカードを採用、そのため相互に連携していなかった。ポイント制度の刷新で、消費者は店舗とECの双方で共通のポイントを利用できるようになった。

紙のカードからスマホ対応のデジタルへポイント制度をリニューアルした
紙のカードからスマホ対応のデジタルへポイント制度をリニューアルした

ポイントのリニューアルに関する主な変更点と特長は次の通り。

ポイントの付与・利用がスマート化

  • 購入金額100円(税抜)ごとに1ポイントを付与
  • 利用者は買い物の際、1ポイント=1円分の値引きを利用できる

ポイントの有効期限の明確化

最終購入日から25か月後の月末まで有効。※有効期限を過ぎたポイントは自動的に失効となる

店舗とECサイトの連携

ルタオ直営店舗、グラッシェル札幌ステラプレイス店、自社ECサイト「ルタオ公式オンラインショップ」でポイントを共通化した。催事などの期間限定店舗や、ECモールへの出店店舗は対象外となる。

店舗と自社ECサイトでポイントを一元化
店舗と自社ECサイトでポイントを一元化

現在の紙のスタンプカードは顧客の継続利用を可能としているが、デジタルと紙のスタンプカードのポイント併用は不可。利用者にはデジタルポイントへの移行手続きを勧めている。

スマートフォンからの会員証の登録方法は次の通り。

デジタル会員証の登録方法
デジタル会員証の登録方法
大嶋 喜子

KDDIのECモール「au PAY マーケット」、生成AIをカスタマーサポートチャットボットに搭載

6ヶ月 ago

KDDIグループのECモール「au PAY マーケット」を運営するau コマース&ライフは5月29日、ヘルプページで提供しているチャットボットに生成AIを組み込んだ「カスタマーサポートチャットボット」を導入したと発表した。

KDDIのECモール「au PAY マーケット」、生成AIをカスタマーサポートチャットボットに搭載
ヘルプページで提供しているチャットボットに生成 AIを組み込んだ

今回の生成AI搭載により、問い合わせ内容の文脈、背景にある要望を的確に把握し、顧客が言語化できない意図を汲み取り、最適な回答にスムーズにたどり着けるようにサポートするという。

「カスタマーサポートチャットボット」の利用者数は1.7倍以上に増加し、予測提案機能による起動メッセージやシナリオ提示で解決率も1.2倍に向上したという。

顧客の質問の内容に適切な回答にたどり着けないケースの解決に向け、2025年5月から生成AIチャットボットのトライアルを実施。その結果、生成AIを組み込む以前と比較して、顧客の未解決率が約10%低減。生成AIチャットボットの正式導入を開始した。

従来のFAQベースのチャットボット検索は、キーワード単位で情報が集約されるため、顧客の本質的な疑問や問い合わせに至った背景までの情報を取得することができなかったという。生成AIチャットボットにより対話を繰り返すことで、目的や背景まで深く理解できるようになり、さらなるサービス改善のための情報収集につなげる。

鳥栖 剛

AIが入力されたキーワード・文章と関連性の高いQ&Aを提案。オリコン顧客満足度2年連続1位「トラベルコ」のAI活用例

6ヶ月 ago

旅行比較サイト「トラベルコ」を運営するオープンドアは6月4日、「トラベルコ」の新機能としてAI技術を活用したQ&A機能の提供を開始したと発表した。

これまでのQ&A機能は、入力キーワードがQ&Aの内容文やそれに付随する辞書ワードに登録されていない場合、ユーザーの目的とするQ&Aを表示できないという課題があった。

新たにAIを活用した機能では、ユーザーが入力したキーワードや文章をAIが解析し、関連性の高いQ&Aを表示する。同機能はトラベルコのWebサイト(パソコン版/スマートフォン版)、アプリ(iOS版/Android版)で利用できる。オープンドアは今後も、商品検索などの機能にもAIの導入を順次進めていくとしている。

「トラベルコ」は国内・海外1500以上の旅行サイトをまとめて比較できる旅行比較サイト。国内・海外のホテル、航空券、パッケージツアー、新幹線・飛行機パック、オプショナルツアー、国内レンタカー、高速バス、海外Wi-Fi、海外旅行保険など、多くの旅行商材をカバーしている。オリコン顧客満足度ランキングの「航空券比較サイト」「ホテル比較サイト」において2年連続で1位を獲得。「サイト・アプリの使いやすさ」「検索のしやすさ」「検索結果の充実さ」「比較のしやすさ」を評価した項目別ランキングでは、ホテルが2年連続で全項目で1位を獲得した。また、「国内」「海外」「アプリ」の全部門においても、航空券・ホテルともに2年連続で第1位の評価を受けている。

鳥栖 剛

アイリスプラザが会員特典を刷新、“超優良客”を優遇する新会員サービス「VIP会員」とは

6ヶ月 ago

アイリスオーヤマの公式通販サイト「アイリスプラザ」を運営するアイリスプラザは6月1日から、新会員サービスを開始した。従来の会員ランク「レギュラー」「シルバー」「ゴールド」に加え「VIP」を設立。会員ランクごとの特典内容を変更した。

新会員サービス「VIP会員」はアイリスプラザで頻繁に商品を購入する顧客向けに新設した最上位ランク。「VIP会員」のランク条件は、「年間税込1万円以上の買い物と対象カテゴリ合計3つ以上の買い回り」としている。

会員ランクは過去1年間の買い物回数の累計によって毎月1日に更新。「VIP会員」の特典はお買い物ポイント6倍、レビューポイント付与、「VIP専用シークレットSALE」への特別優待などを提供する。

アイリスプラザが会員特典を刷新、“超優良客”を優遇する新会員サービス「VIP会員」とは
新会員制度の特典内容(画像は「アイリスプラザ」から編集部がキャプチャ)

なお、これまで「レギュラー」「シルバー」「ゴールド」にも付与していたレビューポイントは6月1日から対象外。「VIP会員」のみの特典に変更した。

また、これまでゴールド会員の優待制度だった月に1度の限定キャンペーンへの特別優待は5月で終了。「VIP会員」のみに「VIP専用シークレット SALE」への特別優待を用意している。

鳥栖 剛

【2025年上半期の化粧品トレンド】デパコス商品に注目が集まる傾向。大賞はSHISEIDOのセラム

6ヶ月 ago

マツキヨココカラ&カンパニー傘下のAppBrewが運営する美容プラットフォーム「LIPS(リップス)」が発表した「LIPSベストコスメ2025 上半期」によると、2025年に上半期は高級ラインの化粧品「デパコス」に消費者からの注目が集まった。

また、「LIPS」など美容プラットフォームや各種SNSでは、安価に手に入れられる「プチプラ」化粧品とデパコスをバランスよく組み合わせた投稿が多く見受けられたことも特長となっている。

「LIPSベストコスメ2025 上半期」とは

「LIPSベストコスメ」は、「LIPS」ユーザーのクチコミに基づいたランキングおよび投票企画をもとにアイテムを選出し、表彰する企画。

2025年上半期の受賞部門は、人気を集めた商品を表彰する「新作賞」、各カテゴリーの化粧品の商品特長から選出し表彰する「こだわりアワード」の2部門を設定(編注:本記事では「新作賞」の大賞受賞商品を紹介)。クチコミの集計期間は両部門ともに2024年10月21日〜2025年4月14日。

「新作賞」の対象クチコミ数は7万5193件、対象アイテム数は5473点となっている。「こだわりアワード」の対象クチコミ数は13万7610件、対象アイテム数は1万3417点。

新作大賞1位~3位

1位:「アルティミューン™ パワライジング セラム」(SHISEIDO)

資生堂のブランド「SHISEIDO」の人気商品が1位を受賞。「発酵カメリアエキス+」をはじめとしたブランド独自の処方技術に、絶大な信頼を寄せる声が多く寄せられているという。AppBrewは「エイジングケアが気になる世代や、ハリのある若々しい印象の肌であり続けたいプレエイジングケアを意識する層から大きな支持を集めている」と考察している。

アルティミューン™ パワライジング セラム
アルティミューン™ パワライジング セラム

2位:「ルージュデコルテ クリームグロウ」(DECORTÉ)

2位はコーセーの「DECORTÉ」ブランドが受賞。発売直後から大きな話題となり、発売初日にECサイトでは全色が完売し、しばらく品薄状態が続いたという。「LIPS」では、「衝撃の美唇」「衝撃の美唇」といったユーザー発信のキャッチをもとに、複数色をレビューするクチコミが多く見受けられたという。

ルージュデコルテ クリームグロウ
ルージュデコルテ クリームグロウ

3位:「YSL メイクミーブラッシュ パウダー」(YVES SAINT LAURENT BEAUTE)

2025年元日の発売後、SNSでの注目度が高まり、話題となった。「YVES SAINT LAURENT BEAUTE」は、ロレアル傘下の子会社が運営する、イヴ・サンローランのメイクアップライン。「YSL メイクミーブラッシュ パウダー」は、じんわり色づくパウダーチークの人気のトレンドをけん引する存在となっているという。

YVES SAINT LAURENT BEAUTE
YVES SAINT LAURENT BEAUTE

新作大賞4位~10位

新作大賞4位~10位の商品・ブランドは次の通り。

  • 「アートクラス フロッタージュペンシル」(ブランド「too cool for school」/運営事業者:ジーダブリュー)
  • 「リポアシャンプー/リポアトリートメント」(ブランド「plus eau」/運営事業者:多田)
  • 「プリズム・リーブル・グロウ・セラム・ ファンデーション」(GIVENCHY)
  • 「スキンコンディショニング洗顔」(ファンケル)
  • 「スムース コンディショニング ウォーター」(ブランド「melt」/運営事業者:花王)
  • 「薬用美白化粧水 [医薬部外品]」(ブランド「肌美精」/運営事業者:クラシエ)
  • 「エッセンスリキッド EX」(ブランド「マキアージュ」/運営事業者:資生堂)
新作大賞4位~10位の商品
新作大賞4位~10位の商品

新作大賞から見る2025年上半期のトレンドとして、AppBrewは「値上げラッシュが続くなかで、高価ながらも効果(リターン)を期待し、選択している人が増えているのではないか」と見解を示している。

大嶋 喜子

アダストリアとサザビーリーグ、繰り返し使うエコな梱包材「シェアバッグ」のメンテナンス業務を受託。なぜ?

6ヶ月 ago

アダストリアとサザビーリーグは、EC配送用梱包材「シェアバック」のクリーニングや入出荷検品などのオペレーション業務の受託をスタートすると6月4日に発表した。

今回の取り組みは、「シェアバッグ」を提供するcomveyが開始した多様な人材が活躍できる場を創出する新プロジェクト「おもいをとどける。みんながよろこぶ。」への参画を通じて実現した。

プロジェクトは「シェアバッグの普及によるEC利用者のストレス軽減や梱包ゴミ・環境負荷削減に加えて、障がいの有無に関わらず多様な人材が活躍し、ユニバーサルなコミュニケーションが行われる社会を実現する」という目的を掲げている。アダストリアとサザビーリーグは目的に賛同、プロジェクトに参画する。

アダストリアとサザビーリーグ、繰り返し使うエコな梱包材「シェアバッグ」のメンテナンス業務を受託。なぜ?
EC配送用梱包材「シェアバック」

アダストリアは特例子会社WeOurが従事

アダストリアでは特例子会社WeOurのスタッフがメンテナンス事業に従事する。We Ourは多様性と働きがいのある環境作りを進めており、約240人の障がいのあるスタッフが活躍。2021年には、厚生労働大臣が認定する「障害者雇用優良中小事業主認定(もにす認定)」を取得している。

We Ourでは廃棄在庫・サンプル商材などの再販事業、リペア・リユース・リサイクルを主とするサーキュラー事業を展開しており、グループ全体の事業活動における環境負荷の低減と営業活動の両立に向けた取り組みを手がける。プロジェクト参画で、環境にやさしい配送方法を消費者に提供すると同時に、障がいのあるスタッフの雇用機会や業務を創出。ファッションに関わるさまざまなシーンを通じてノーマライゼーションの実現をめざすとしている。

サザビーリーグではサザビーリーグHRが従事

サザビーリーグは特例子会社サザビーリーグHRがメンテナンス事業を担う。サザビーリーグHRは、障がいのある人の仕事の機会を創出するため、2009年にサザビーリーグの特例子会社として設立。ソフトウェア開発、SNS調査分析、DTP業務、グラフィックデザイン、物流システム関連業務、オフィスコーヒーサービスなどを手がける。

サザビーリーグは2024年12月、CVC事業としてcomveyへ出資。グループで展開するブランド「agete」「Madhappy」でcomveyのシェアバッグのサービスを利用している。

今回のプロジェクト参画で、環境にやさしい配送方法を提供すると同時に、障がいのあるスタッフの新たな職域として、サザビーリーグHRの業務活動の幅を拡大。多様性を認め合える社会作りををめざすとしている。

鳥栖 剛

STORES、BtoB取引向けのあと払い決済サービス「STORES ビジネスあと払い」を提供開始

6ヶ月 ago

STORESは6月4日、BtoB取引向けあと払い決済サービス「STORES ビジネスあと払い by Digital Garage」の提供を開始した。デジタルガレージが展開する請求書カード払いのサービス基盤を活用している。

「STORES ビジネスあと払い by Digital Garage」は、取引先から受け取った請求書の支払いをクレジットカード払いできるサービス。登録・申請後、最短3営業日後に「STORES ビジネスあと払い」が請求書発行元へ立替払いする。

STORES、BtoB取引向けのあと払い決済サービス「STORES ビジネスあと払い」を提供開始
「STORESビジネスあと払い」が立替払いする

最大60日後に立替払い金額とサービス手数料がカード会社から引き落とされる。支払期日を延長でき、事業の資金繰りの改善や急な支払いにも対応できるという。銀行振り込みの手間を省き、業務の効率化にもつながるとしている。

STORES、BtoB取引向けのあと払い決済サービス「STORES ビジネスあと払い」を提供開始
「STORESビジネスあと払い」で実質的な支払い日を最大60日後に延長

サービス手数料(税別)は立替払い金額の通常2.7%〜3.0%。サービス開始キャンペーンとして、サービス手数料を1.98%に割引するキャンペーンを2025年8月31日まで実施する。

鳥栖 剛

レノボ・ジャパンECサイトでの購入者純増成功事例。カートページからのCVRが30%以上も向上した施策とは?

6ヶ月 ago
顧客の利便性アップを目的に、自社ECで「Amazon Pay」を導入・実装したレノボ・ジャパン。導入後、購入者数の増加やカートからのコンバージョン率アップといった効果が表れている。導入の経緯や効果の詳細を担当マネージャーが解説する
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PC・周辺機器・サービスの販売やサポートを手がけるレノボ・ジャパンは、決済面の改善というアプローチで、自社ECサイトの利便性を高めることに成功した。当初は購入ステップの煩雑さの解消が第一目的だったが、カートからの離脱防止、購入者数の増加、顧客体験の向上実現といった成果をあげている。購入頻度が少なく価格も高額な「PC」という商材だったからこその相乗効果もあったと評価するその改善アプローチとは。Japan eCommerce Online Business Managerの暮石龍生氏に話を聞いた。

レノボ・ジャパン Japan eCommerce Online Business Manager 暮石龍生氏

自社ECは豊富な製品展開とカスタマイズニーズに応える場所

レノボ・ジャパンは実店舗など流通先の小売店のほか、自社ECでも製品を販売している。PCという製品の特性上、実店舗と自社ECのそれぞれで販売展開する意義は大きいという。

レノボ・ジャパンのECの強みは、豊富な製品展開やカスタマイズなどのサービスにある。

ECでも即日出荷に対応する製品を数多く取りそろえているほか、学生や教員、学生の子どもを持つ保護者などが学割価格で購入できる「学生ストア」や、60歳以上の顧客がお得に購入できる「シニア割り」を用意するなど、幅広い顧客ニーズに応えられる体制を整えている。

販売場所として、オンラインでどこからでも買えるようにしておくことは重要だ。加えて、PCはカスタマイズのニーズが高い。お客さまの用途に合わせて中の部品をハイスペックにしたり、グラフィックカードを取り付けたり……といった選択肢を多数用意して提供する必要がある。

実店舗では置ける製品の数に限りがあるため、幅広いラインアップを見せる役目はオンラインが担うようにしている。そのため、結果的にEC限定になる製品もいくつかある。一方で、特長のある製品は店頭で現物を見たいというお客さまも多いので、オフラインとオンラインで双方の良さを生かした販売手法を採用している。(暮石氏)

レノボ・ジャパン Japan eCommerce Online Business Manager 暮石龍生氏
レノボ・ジャパン Japan eCommerce Online Business Manager 暮石龍生氏

PCは安くても10万円弱で、高額なものだと30万~40万円台になる高価格帯製品のため、「顧客がどう買いたいか」に寄り添うことが重要になる。

レノボ・ジャパンの公式ECサイトトップページ
レノボ・ジャパンの公式ECサイトトップページ

4年に1回の購入頻度から生じる顧客体験の課題を決済で改善

決済のハードルを低くするために「Amazon Pay」を導入

レノボ・ジャパンによると、PCの平均購入頻度はおよそ4年に1度のペース。そのため、消耗品など日常的に買い物をするECサイトとは異なり、PCの販売サイトは会員登録する割合が低い。仮に登録した場合も、次回購入時にはクレジットカード情報が古くなっているケースが多いため、購入実績があってもカード情報の入力が再度必要になってしまうという。

また、外出先でスマホやPCの画面にクレジットカード情報を入力する行為は、少なからず顧客の買いにくさにつながってしまう。レノボ・ジャパンはECサイトを運営する上で感じていた顧客体験、特に決済周りの課題を解決したいと考え、2024年10月中旬にAmazonのID決済サービス「Amazon Pay」を導入した。

「Amazon Pay」を導入すれば、お客さまはAmazonアカウントに登録している住所やクレジットカード情報などを用いて、レノボ・ジャパンのECサイトでも最短3ステップで購入できるようになる。私自身も「Amazon Pay」が使えるECサイトで買い物をする際に、その利便性に魅力に感じていた。間違いなくお客さまのニーズもあるだろうと思い、導入を決めた。(暮石氏)

レノボ・ジャパンの自社ECサイトにおける「Amazon Pay」の利用イメージ

導入初週から決済シェア10%超

『Amazon Pay』自体が社会のインフラになりつつある」と語る暮石氏。その通り、「Amazon Pay」はすでに決済時の選択肢の1つにラインアップされていると言える。レノボ・ジャパンのECサイトでも、特に詳細な説明を必要とせず、「Amazon Pay」ボタンをショッピングカート内に置くだけで、すぐに決済手段として利用され始めたという。「Amazon Pay」を導入した初週から、全決済手段のうち10%を超えるシェアを占めたのだ。

「Amazon Pay」の導入当初は、少なくとも2%程度、多く見積もって5%程度の決済シェアを想定していた。予想を大きく上回る「Amazon Pay」の利用率に驚いたと同時に、「Amazon Pay」の導入でお客さまに対する有効な決済手段が1つ増えたことが大きな強みになったと実感した。(暮石氏)

PC業界はレノボも含め、有数の巨大なグローバルブランドが各国で販売展開しているケースが多く、各国で新たな決済手段を導入するにも、グローバルの許諾を得る手間が発生しやすい。

そんななかで、レノボ・ジャパンがいち早く日本のサイトで「Amazon Pay」を導入できたのは、システム全体の主導権を握る米国がすでに導入していたため。米国のレノボが一足先に「Amazon Pay」を導入していたことから、グローバル側もROI(投資利益率)が高いと把握していた。日本からの導入の提案もすぐに承諾が得られ、早期に導入が完了できたという。

レノボ・ジャパンは2025年3月期中のシステム拡張における1つの大きな施策として、「Amazon Pay」の導入を年度初めから計画していた。実装までのスケジュールについて暮石氏は「年度内から次年度が始まってすぐあたりに導入が完了する想定だったが、開発スタートからわずか半年後の2024年10月には実装に至ったため、とてもスムーズに進められた」と振り返る。

「Amazon Pay」導入後、購入者数が増加

2024年、10月から12月頃にかけては年末商戦となるため、レノボ・ジャパンは「Amazon Pay」を導入した時期に自社独自のキャンペーンを展開していた。そのため、純粋に「Amazon Pay」だけによるコンバージョン効果は正確に計測できなかったものの、少なくとも決済シェアが10%を超えた状況からも、ポジティブな効果があったと見ている。

当初はクレジットカード決済を利用するお客さまの一部が「Amazon Pay」に移行すると想定していた。しかし、実際にはクレジットカードや銀行振込、分割払いなど、ほかの決済の割合が均等に減り、「Amazon Pay」が10%のシェアとなった。それは、クレジットカードから「Amazon Pay」に置き換わったのではなく、購入者数そのものが純増したためだと考えている。これまでならショッピングカート内で離脱してしまっていたお客さまが、「Amazon Pay」でコンバージョンにつながったのかもしれない。

ECではほかの施策も平行しているため、必ずしも「Amazon Pay」のみの効果とは言い切れないが、カートページからのコンバージョン率は導入前と比較して30%以上向上しており、「Amazon Pay」が大きく貢献していると見られる。(暮石氏)

レノボ・ジャパン 暮石龍生氏

「Amazon Pay」との共同キャンペーンで購入者数がさらに増加

レノボ・ジャパンでは、「Amazon Pay」と共同で実施したキャンペーンでも、大きな成果があがっている。キャンペーン内容は、「Amazon Pay」を使って製品を購入し、キャンペーンに応募した顧客から抽選でPCやAmazonギフトカードをプレゼントするというもの。

3月に実施した「Amazon Pay」導入キャンペーンでは総額100万円のキャンペーンを実施

キャンペーン前の時点ですでに「Amazon Pay」の決済シェアは14%に達していたが、キャンペーン開始後は16%にまで上昇。キャンペーンの効果で購入者数が純増し、シェアは2ポイント上昇した

お客さまにとって魅力に思われるキャンペーンをさまざま実施しているが、Amazonとの共同施策では、「Amazonギフトカード」などをキャンペーンのアイテムとして活用できることがメリットだ。「Amazon Pay」をはじめ、Amazonのサービス自体がインフラとなりつつあるので、大半のお客さまは「Amazonギフトカード」がもらえる企画を喜んでいただけているだろう。反響の大きさに、あらためてAmazonの持つ強みを感じる。(暮石氏)

なお、「Amazon Pay」の利用者には、Amazonアカウントに登録している情報で簡単に購入できることだけでなく、支払いに「Amazonギフトカード」が使えることも広く認知されている。

利用者にとっては決済が簡単かつ「Amazonギフトカード」でお得に購入でき、導入サイトにとっては「Amazon Pay」を導入していることが自社製品・サービスの購買の後押しになるため、「Amazon Pay」は“買う側”“売る側”の双方に大きなメリットをもたらしている。

 

「Amazon Pay」では「クレジットカード」のほか、「あと払い」「Amazon ギフトカード」「パートナーポイント」での支払いもできる
「Amazon Pay」では「クレジットカード」のほか、「あと払い」「Amazon ギフトカード」「パートナーポイント」での支払いもできる

スマホファーストで進めるUI/UX改善

レノボ・ジャパンでは年々、スマホ経由の注文が増えている。「Amazon Pay」以外の決済手段も、よりスマホファーストでコンバージョンが向上できるUI/UXをめざしていきたいという。

「Amazon Pay」では、ほかの決済手段を選んだ消費者が入力画面で一定時間作業が止まっている場合に、ポップアップウィンドウで「Amazon Pay」の利用を提案する機能「Web接客型Amazon Pay」がある。情報の入力を煩雑に感じたユーザーの離脱防止が期待できる機能で、「Web接客型Amazon Pay」などの「Amazon Pay」の機能活用も、今後の検討課題だと捉えている。

「Web接客型Amazon Pay」の表示例

クレジットカード決済を選んだお客さまのなかには、決済が正常に終了できないケースも常に一定数発生している。現状でもそうしたお客さまの解決策の1つに、別のクレジットカードや銀行振り込みなどと並んで、「Amazon Pay」が有力な手段になっていることは間違いない。

PCは平均して4年に1度の買い物。なおかつ一般的に高額商品であることを考えると、クレジットカードの審査が落ちる可能性は当然高くなってしまうだろう。その点、Amazonユーザーは日常的にAmazonを利用しているはずなので、アカウント上には最新のクレジットカード情報が登録されていると考えられる。決済方法に「Amazon Pay」をラインアップしていることが、お客さまの手助けや買い物をする際の利便性になっていると思うので、引き続き利活用を進めていきたい。(暮石氏)

堅固なセキュリティのもと、チャージバックリスクを回避

PCは高額商品かつ換金性も高いため、不正注文のリスクが高まりやすい。レノボ・ジャパンではクレジットカード注文に対して、日頃から社内外の関係部署で対策を講じ、トラブルが起きた際も徹底して対応する。ただ、不正注文の手口は年々巧妙さを増す一方で、多くのEC事業者にとって対策にかかるコストや労力は、大きな負担となっているのではないだろうか。

「Amazon Pay」はこうした不正注文によるリスク対策においても、導入企業の役に立っているという。大前提として、導入企業はAmazonの有する世界水準の堅固なセキュリティレベルが享受できることに加え、不正注文に対してもチャージバックリスクを限りなくゼロにできる。万が一「Amazon Pay」経由の決済で不正注文が発生した場合、必要な手続きをとれば支払保証ポリシーの対象※となり、導入企業にリスクが生じない仕組みとなっている。

※支払い保証ポリシーとは、Amazonマーケットプレイスの販売事業者に対する保証。不正利用やチャージバックなどのトラブルから販売事業者を保護するための仕組み。このポリシーが適用されると、販売事業者は責任を負うことなく、Amazonが代わりにリスクを負担する(ただし、一部の条件の場合は対象外となる)。

このほか、Amazonマーケットプレイスの購入者に対する保証は「マーケットプレイス保証」。Amazonにおいて顧客が販売事業者の出品商品を安心して購入してもらうために、購入商品のコンディションや配送を保証する。一定の条件を満たす場合、配送料を含めた購入総額のうち、最大30万円まで保証を受けられる制度。「Amazon Pay」を利用した購入においても、同等の保証対象となる(同)。

現時点では、レノボ・ジャパンのECで「Amazon Pay」の支払保証の対象となる事案は発生していない。ただ、前述したように「Amazon Pay」を導入したことで購入者数が純増したことを踏まえ、「『Amazon Pay』の決済シェアが10%を超えているので、その分のリスク軽減につながっている」(暮石氏)と捉えている。「Amazon Pay」は導入企業にとって、安心して販売展開するための支えにもなっているようだ。

さらに買いやすく利便性の高いECをめざす

レノボ・ジャパンは「Amazon Pay」のほか、セラーセントラルで管理できる「Amazon出品サービス」、クラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」など、Amazonの提供するさまざまなサービスを利用している。今後も活用の幅を広げていきたい考えで、なかでも「Amazon Pay」の取り組みや訴求には強い関心を寄せている。

「Amazon Pay」での決済で、「Amazonギフトカード」で支払ったお客さまがベネフィットを得られるプログラムがある。こうしたプログラムはお客さまとの関係構築や体験の向上に寄与すると考えている。今後はより訴求を強化していきたい。(暮石氏)

暮石氏はECサイトのさらなる利便性アップをめざす。手前のPCはレノボ商品のなかでも人気が高い「ThinkPad
暮石氏はECサイトのさらなる利便性アップをめざす。手前のPCはレノボ商品のなかでも人気が高い「ThinkPad」

レノボのPCは「ThinkPad」をはじめ、「ThinkBook」「Yoga」「Legion」など、多様なユーザーの用途や好みに沿ったブランドとシリーズを展開している。一般的に「PCは何でもいい」と、複数のブランドや販売店から比較検討する消費者が多いなか、圧倒的な人気と長い歴史を持つ「ThinkPad」は、指名買いするファンを多数抱えている。暮石氏は「それが『ThinkPad』の強みであり、ほかのブランドをいかにそのレベルまで押し上げていくかが課題」と話す。

「ThinkPad」を継続的に購入しているファンにも、新たにほかのブランドのファンになるユーザーにも、買いやすく利便性の高いECサイトを引き続きめざしていく。

Amazon Payは、©2025 Amazon.com, Inc. 又はその関連会社。Amazon及びこれらに関連するすべての商標は、Amazon.com, Inc. 又はその関連会社の商標です。

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朝比美帆
吉田 浩章

【コメ購入の消費者調査】選び方は「価格」が最多、購入場所は7.8%が「ネット通販」

6ヶ月 ago

NEXERがオーガニックファームたにぐちと共同で実施した「いつも買うお米」に関する調査によると、米の価格高騰で6割以上がいつもと同じ米を「買っていない」、51.7%が「価格」を重視して選んでいる。購入場所はスーパーが最も多く、次点でネット通販が7.8%だった。

調査対象は、事前調査で「普段からお米を買っている」と回答した全国の男女778人。調査期間は2025年5月2日~13日。

65.6%が同じ米を買っていない

米の価格が高騰している今、米はいつも同じものを買っているか聞いたところ、「はい」は34.4%、「いいえ」は65.6%だった。

同じ米を買っている理由は、「同じところから買うと安い」「地元の米を購入している」など。同じ米を買っていない理由は「安いものを買っているから」「備蓄米を買うようになったから」などがあがった。

米はいつも同じものを買っているか
米はいつも同じものを買っているか

51.7%が「価格」で選ぶ

米を買う際に最も重視しているのは「価格」が最多で51.7%、続いて「銘柄」が19.2%、「味」が14.8%だった。

「価格」を重視する理由は「前は銘柄で選んでいたが、何でも価格高騰で少しでも出費を抑えたい」「米の価格が高いから」などがあがった。

NEXERとオーガニックファームたにぐちは、調査結果を踏まえて「価格が高騰しているのは米だけではない。出費の多さに危機を感じている人が多いのかもしれない」と考察している。

米を買う際に最も重視していること
米を買う際に最も重視していること

購入先は「スーパー」が最多も、次点で「ネット通販」7.8%

米はいつもどこで購入するかを聞いたところ、最も多かったのは「スーパー」が74.6%、続いて「ネット通販」が7.8%、「道の駅・直売所」が3.1%だった。

「スーパー」で購入する理由は、「食材と一緒に」「近くて、駐車場もあり、便利なので」「価格が安いので」「ポイントがつく」などがあがった。

「ネット通販」で購入する理由は、「安く買える」「買って帰るのは重いから」「送料を入れても店頭より安価だから」「昨今の価格高騰により割引券を併用している」など。

米を購入する場所
米を購入する場所

調査概要

  • 調査手法:インターネットでのアンケート
  • 調査期間:2025年5月2日~13日
  • 調査対象:事前調査で「普段からお米を買っている」と回答した全国の男女778人
大嶋 喜子

ECの商品説明は「見る」→「聴く」時代へ? Amazonが始めた「AI音声要約」とは | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

6ヶ月 ago
生成AIの活用を推進しているAmazonは、その取り組みの一環として、AI音声要約機能の運用を開始しました

Amazonが新たに運用を開始した約2分間のAI(人工知能)音声による商品紹介は、会話形式でユーザーに詳細を伝えることができます。何かをしながらのオンラインショッピング、アクセシビリティ対応の観点からもユーザーの利便性アップに貢献するでしょう。Amazonによる従前のAIサービスの解説を交えながら、新サービスの特長を解説します

AmazonのAIによる商品詳細の音声要約

AmazonはAIを使って、商品の詳細や顧客レビューを短くまとめたポッドキャスト風の音声クリップの表示をモバイルアプリで試験運用しています。

音声クリップの表示イメージ(画像はAmazonのコーポレートサイトから追加)
音声クリップの表示イメージ(画像はAmazonのコーポレートサイトから追加)

Amazonによるとこの機能は現在、米国の限られたユーザーが利用できます。音声クリップにより、ユーザーは従前のように長い商品説明をスクロールして読む必要がなく、重要な情報を素早く理解できるように設計されています。

“2人”の合成音声が商品を紹介

この新機能はAmazonの商品カタログ、レビュー、その他のWebソースから情報を収集します。そして、大規模言語モデル(LLM)を使ってスクリプトを生成。「AIショッピングエキスパート」と呼ばれる合成音声によって読み上げられます。この音声クリップは、実際の会話を真似るように設計されており、表示時間は通常約2分間です。

Amazonの新しい音声要約は、AIが生成したものであることを示す免責事項の表示から始まり、生成AIによって合成された「2人」の「ホスト」による気軽な会話が続きます。Amazonの検索および会話型ショッピング担当バイスプレジデントであるラジブ・メータ氏はニュースリリースで次のように説明しています。

この機能は、商品検索を楽しく便利にしてくれます。利用するユーザーは、自分の買い物についてまるで友達が話し合ってくれているように感じるでしょう。何かをしながらでも、外出先でも利用できます。(メータ氏)

対象商品の画像の下に「ハイライトを聞く」ボタンが表示され、ユーザーはそれをタップして聞くことができます。Amazonによると、このツールは現在、購入前にじっくりと検討する必要がある商品でテストしているとのことですが、具体的な例は示されていません。

商品の画像の下に表示される「ハイライトを聞く」ボタン(画像は広告代理店NivoAdsの創業者、ヤシン・エルカルムディ氏のLinkedInの投稿から追加)
商品の画像の下に表示される「ハイライトを聞く」ボタン(画像は広告代理店NivoAdsの創業者、ヤシン・エルカルムディ氏のLinkedInの投稿から追加)

Webアクセシビリティ、ながら動作に適応

注目すべきはAmazonがこの機能を、視覚、聴覚、認知機能などさまざまな制約を持つユーザーに配慮した「アクセシビリティツール」として位置付けていないことです。

しかし、この音声形式は視覚に障がいのある消費者、目で見るよりも耳から学ぶことを好む人に役立つ可能性があります。広告代理店NivoAdsの創業者であるヤシン・エルカルムディ氏はLinkedInの投稿で、このツールは「マルチタスクを行う『ながら族』の人、聴覚学習者、そして長文のテキストを読み飛ばすのにうんざりしているすべての人」にとって役立つと指摘しています。

AI音声要約の提供拡大を計画

エルカルムディ氏はまた、販売事業者に対し、大規模言語モデルが商品コンテンツをより良く解釈できるように、商品リストのバックアップとSEOを調整するよう提案しています。「アルゴリズムは進化していますから、販売事業者も同様に進化しなければいけません」(エルカルムディ氏)

Amazonは、このツールを動かすLLMを明かしていません。スクリプトが生成され、その後、合成音声によってナレーションされる短編の音声クリップに変換されます。Amazonは今後数か月以内に、より多くの米国の消費者と商品にこの機能を展開する計画だと発表しています。

Amazonによる生成AI活用ツールの変遷

この音声機能は、Amazonがユーザーの購入体験にAIを組み込む取り組みの一環です。
Amazonは2025年3月、「Amazon Interests」というAI搭載ツールを立ち上げました。これは、個々の消費者の好みに合わせて商品を表示するツールです。

「Amazon Interests」による画面表示の例(画像提供:Amazon)
「Amazon Interests」による画面表示の例(画像提供:Amazon)

この機能は、マーケットプレイスの販売者向けのAmazonの生成AIアシスタントである「Project Amelia」など、既存のAIツールに基づいて構築しています。

「Project Amelia」のイメージ(動画はAmazonのニュースリリースから)

メータ氏が強調したその他のAmazonのAIツールには次のようなものがあります。

  • 「Amazon Rufus」: 消費者の質問に答え、商品の情報や比較検討などをサポートする生成AIアシスタント
  • 「AI Shopping Guides」: ショッピングのガイダンスと、ユーザーの好みに基づいて商品のおすすめをまとめる商品発見ツール
  • 「Review Highlights」: 顧客のレビューから、レビューを書いたユーザーの考えを素早く読み取り、その要点をまとめるツール

2025年の初めには、「Buy for Me」の試験運用も開始しました。これは、消費者がAmazonアプリを離れることなく、サードパーティブランドのECサイトから購入を完了できる、エージェントAIを活用したチェックアウトツールです。

「Buy for Me」の利用フロー(画像はAmazonのニュースリリースから追加)
「Buy for Me」の利用フロー(画像はAmazonのニュースリリースから追加)

Amazonによると、「Buy for Me」は、人間による操作を最小限に抑えて購入プロセスの一部を実行できます。これは「エージェントコマース」として知られるプロセスであり、商品発見からチェックアウトまでのショッピング体験を自動化するために、テクノロジー企業やEC小売事業者が次々と取り入れています。

大手小売・IT各社が生成AIの活用に注力

Amazonは、AIへの取り組みを加速している小売事業者の一つです。2025年5月に開催されたGoogleの年次開発者会議「Google I/O 2025」で、Googleは質問に対して生成AIが文章などで回答する新サービス「AIモード」、エージェントチェックアウト向けの機能、および仮想試着室の最新状況を説明しました。

米国の大手ホームセンターHome Depotも生成AIを活用した取り組みを進めています。商品担当エグゼクティブバイスプレジデントであるビリー・バステック氏によると、同社では、生成AIアシスタント「Magic Apron」が顧客エンゲージメントとオンラインコンバージョンを向上させています。このツールは、商品レビューを要約したり、住宅改修製品に関する質問に答えたりできます。

ユーザーの作業に必要な材料の計算なども行う生成AIアシスタント「Magic Apron」(Home Depotのコーポレートサイトから追加)
ユーザーの作業に必要な材料の計算なども行う生成AIアシスタント「Magic Apron」(Home Depotのコーポレートサイトから追加)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

「他都道府県への本社移転」は1.6万社、転入超過の県別トップは埼玉県で、2位は千葉県

6ヶ月 ago

東京商工リサーチ(TSR)は5月28日、2024年度の「本社機能移転状況」調査の結果を公表した。それによると2024年度に他都道府県に本社・本社機能を移転した企業は前年度比18.7%増の1万6271社と大きく増加した。

移転企業は2年連続で増加した

企業規模別の移転動向

規模別では、資本金1000万円以上が前年度比17.4%増の2809社で3年ぶりに増加。資本金1000万円未満は同19.0%増の1万3462社と3年連続で増えた。前年度は小・零細企業の本社移転が件数を押し上げたが、2024年度は中堅規模以上の本社移転も増加した。

地区別の転入超過状況

地区別で転入超過数(転入-転出)が多かったのは九州でプラス148社だった。台湾の半導体受託製造企業・TSMC(台湾積体電路製造)の熊本進出で、製造業を中心に活況が続き、設備・IT投資も活発に。製造業と情報通信業の2産業は、九州エリアの8県すべてで転入超過だった。半導体に加え、自動車の主力工場の進出が、関連企業や取引先の吸引力を強めたと見ている。

九州・中部で大きく転入超過に

中部がプラス147社で続いた。中部はトヨタ自動車やスズキなどの大手メーカーが本社を置き、工業が盛んな地区。関東、近畿どちらへも商圏を広げやすく、特に関東からの転入が目立った。中部5県のうち、愛知県(マイナス20社)を除く4県で転入超過となった。

転出超過だったのは、関東、近畿、四国の3地区。関東がマイナス284社と圧倒的に多かった。関東から地方への転出に歯止めが掛からず、4年連続で転出超過となった。

県別の転入超過状況

県別の転出入は、転入超過のトップが埼玉県。転入が1507社に対し、転出は1257社で、差し引きプラス250社の転入超過となった。主に東京都からの転入が多く、2年連続で転入超過数が大幅に増加している。産業別では、「サービス業他」がプラス100社で転入超過数が最も多い。農・林・漁・鉱業(超過数ゼロ)を除く、9産業で転入超過となった。

埼玉県が転入超過のトップに

転入超過2位は千葉県でプラス192社だった。ただ、前年度1位から2位にランクダウン。埼玉県と同様に東京都からの転入超過が中心で、産業別では、「卸売業」が56社増で転入超過数が最多。「金融・保険業」と「運輸業」を除く8産業で転入超過だった。

転出超過数は、1位が東京都でマイナス1158社。産業別では、10産業すべてで転出超過となった。転入数は2022年度3723件、2023年度3983件、2024年度4584件と増加が続いている。だが、2023年度に減少した転出数が再び2024年度に増加に転じ、東京都から隣接する埼玉県、千葉県、神奈川県への流出が強まった結果、転出超過数が再び増加した。

このほか、大阪府はマイナス264社、愛知県がマイナス20社と、大都市圏の中心都市から周辺都市に転出する傾向が目立った。

産業別の移転動向

産業別の本社移転は、小規模事業者が多い「サービス業他」が前年度比18.22%増の6211社で最も多かった。次いで、「情報通信業」が同21.4%増の2031社、「小売業」が同23.4%増の1757社と続き、上位3産業で全体の約6割(同61.4%)を占めた。この3産業は、比較的規模の小さい事業者が多く、移転などの意思決定がしやすいことで本社を移転した企業が多いと見ている。

情報通信業は、リモートワークが定着した業種で、人材確保やコスト抑制などで都心から地方への移転が加速したとみられる。特に、九州への転入が目立ち、福岡県を筆頭に九州全県で転入超過となった。

産業別では「サービス業他」の移転が最多

前年度との比較では10産業中、9産業で移転企業が増加した。唯一減少したのは運輸業で255社(前年度比1.9%減)だった。県別の転入超過数は、千葉県が4産業、埼玉県が3産業で転入超過数でトップになり、首都圏内の移転が活発であることがわかった。産業を細分化した業種(中分類)別では、移転企業数の最多が「専門サービス業」で2027社だった。次いで、「情報サービス業」が1434社、「飲食店」が776社と続いた。

損益区分別の移転動向

TSRでは他の都道府県に本社・本社機能を移転した企業のうち、移転年度から遡って2年以内の最終利益が判明した企業を抽出し、黒字と赤字企業の構成比を算出した。2024年度の移転企業では、黒字企業が構成比67.1%(1805社)と、約7割を占めた。前年度まで2年連続で赤字企業の割合が拡大していたが、2024年度は一転し黒字企業の割合が増加した。赤字を解消するためのコスト削減をめざした本社移転より、商圏拡大や需要、人材獲得を狙った「攻め」の移転が増えた可能性があるとしている。

黒字企業の移転割合が増加

人材獲得や従業員の働き方改革を狙った移転もトレンドに

コロナ禍が落ち着き、リモートワークからオフィス出社に戻す企業が増えている。コロナ禍で都心回避で企業移転が進んだが、コロナ禍が落ち着くと再び都心への回帰が見込まれていた。ただ、今回の調査では、中小・零細企業を中心に、上昇が続くオフィス賃料などのコスト抑制や、都心を離れて地方マーケットを開拓する動きが強まったことがわかった。また、深刻な人手不足が加速しており、人材獲得や従業員の働き方改革を狙った移転もトレンドになっていると東京商工リサーチは指摘している。

地区別で、転入超過数が上位の九州と中部は、製造業の転入が際立った。製造業が転入超過だったのは、九州・中部以外では東北(プラス5社)だけだった。製造業は、投資規模が大きく、雇用創出力も強いことから周辺都市や関連産業への波及が期待できる。TSRでは製造業の誘致は、地域経済の活性化への起爆剤として、隣接する地域や地場産業の構造転換を促す契機になる可能性があると分析した。

鳥栖 剛

サイトの読み込みが遅いと離脱するは約4割。サイト表示で我慢できる時間は「10秒以下」が7割

6ヶ月 ago

MMDLaboが運営するMMD研究所は、LP表示速度改善ツール「LandingHub」を提供するTeNと共同で「消費者のWebサイトの表示に関する調査」を実施、その結果を公表した。それによるとサイトの読み込みが遅いと離脱する割合は約4割、サイト表示で我慢できる時間は「10秒以下」が7割超だった。

読み込みが遅いと感じた経験+遅いと感じたサイトジャンル

20歳~69歳の男女1万人のうち、直近1年間にスマートフォンでWebサイトを利用した7491人を対象に、スマホでWebサイトを見ている際の読み込みについて聞いたところ、「読み込みが遅いと感じたことがある」と回答した割合は43.0%だった。

MMDLaboが運営するMMD研究所が調査 サイトの読み込みが遅いと離脱するは約4割。サイト表示で我慢できる時間は「10秒以下」が7割
読み込みが遅いと感じた経験ありは4割強

スマホのWebサイトの読み込みが遅いと感じたことがあると答えた回答者3219人を対象に、スマホで読み込みが遅いと感じたことがあるWebサイトのジャンルを聞いたところ、「ニュース、メディアサイト」が30.2%と最多。「ECサイト(Amazonや楽天などの総合モール型)」が27.3%、「動画配信サービス」が17.6%で続いた。

MMDLaboが運営するMMD研究所が調査 サイトの読み込みが遅いと離脱するは約4割。サイト表示で我慢できる時間は「10秒以下」が7割
読み込みが遅いと感じたサイトジャンルでモールECが2位に

我慢できる表示までの時間+ストレスを感じる時間

スマホのWebサイトの読み込みが遅いと感じたことがあると答えた回答者3219人を対象に、表示が遅い時の我慢できる時間を聞いたところ、最も多かったのは「4秒~5秒程度」で27.3%。10秒以下(「1秒以内程度」~「6秒~10秒程度」の合算割合)の回答は71.3%となった。

MMDLaboが運営するMMD研究所が調査 サイトの読み込みが遅いと離脱するは約4割。サイト表示で我慢できる時間は「10秒以下」が7割
7割が表示にかかる時間で我慢できるのは「10秒以内」

スマホのWebサイトの読み込みが遅いことでストレスを感じると回答した3003人を対象に、ストレスを感じ始める時間を聞いたところ、最も多かった回答は「6秒~10秒程度」で27.4%。10秒以下と回答した割合は52.6%だった。

Webサイトの読み込みが遅いサイトの離脱経験

スマホのWebサイトの読み込みが遅いと感じたことがあると回答した3219人を対象に、スマートフォンのWebサイトの読み込みが遅いと感じた際に離脱した経験を聞いたところ、「経験がある」が39.5%、「経験はない」が60.5%となった。

MMDLaboが運営するMMD研究所が調査 サイトの読み込みが遅いと離脱するは約4割。サイト表示で我慢できる時間は「10秒以下」が7割
サイト読み込みの遅さで離脱は4割弱に

読み込みが遅いと感じるシチュエーション

スマホのWebサイトの読み込みが遅いと感じたことがあると回答した3219人を対象に、Webサイトの読み込みが遅いと感じるシチュエーションを聞いたところ、「欲しい情報を探しているとき」が46.4%と最も多く、次いで「スキマ時間など、時間が限られているとき」が34.5%、「商品やサービスを比較、検討しているとき」が26.5%と続いた。

MMDLaboが運営するMMD研究所が調査 サイトの読み込みが遅いと離脱するは約4割。サイト表示で我慢できる時間は「10秒以下」が7割
「欲しい情報を探しているとき」にサイトの読み込みの遅さを感じる人が多かった

離脱するサイトジャンル+その理由

Webサイト離脱経験者512人を対象に、途中で離脱することの多いWebサイトのジャンルを聞いたところ、「ニュース、メディアサイト」が32.0%と最も多く、「ECサイト(Amazonや楽天などの総合モール型)」(23.6%)、「ブログ、まとめサイト」(19.1%)と続いた。

MMDLaboが運営するMMD研究所が調査 サイトの読み込みが遅いと離脱するは約4割。サイト表示で我慢できる時間は「10秒以下」が7割
途中で離脱することの多いサイトジャンルの2位もモール型ECがあがった

Webサイト離脱経験者512人を対象に、Webサイトから途中で離脱する理由を聞いたところ、「ページの表示が遅かったから」が54.9%と最も多く、次いで「通信環境が悪くて表示されなかったから」が40.8%、「広告やポップアップが多くて煩わしかったから」が35.4%だった。

MMDLaboが運営するMMD研究所が調査 サイトの読み込みが遅いと離脱するは約4割。サイト表示で我慢できる時間は「10秒以下」が7割
サイト離脱理由1位は「ページの表示が遅い」

調査概要

  • 調査名:「消費者のWebサイトの表示に関する調査」
  • 調査期間:2025年5月14日~5月16日
  • 有効回答:<予備調査>10,000人 ※人口構成比に合わせて回収<本調査>512人
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:<予備調査>20歳~69歳の男女<本調査>Webサイト離脱経験者
  • 設問数  :<予備調査>11問<本調査>3問
鳥栖 剛

富澤商店、初のギフトセット販売

6ヶ月 ago

製菓・製パン材料、器具専門店の富澤商店がギフト販売に参入する。6月9日から「富澤商店公式オンラインショップ」で初となるギフトセット商品の取り扱いを開始する。

16種類のギフトセットを展開

ギフトセットは、全16種類で展開。利用シーンは帰省の手土産、離れて暮らす家族への夏の挨拶、日頃の感謝を伝えるちょっとした贈り物などを想定している。ギフトの一例は次の通り。

3種の寒天ゼリーセット

  • 商品名:みかん寒天ゼリー3種
  • 価 格:3780円(税込) ※送料込み

愛媛県産みかんを使った、爽やかな寒天ゼリーのセット。3種の味わいが楽しめる夏にぴったりなギフトとしている。

富澤商店、初のギフトセット販売
3種の寒天ゼリーをセットに

アフタヌーンティーギフトセット

  • 商品名:富澤商店のアフタヌーンティー
  • 価 格:4320円(税込) ※送料込み

紅茶と甘いお菓子、ジャムを詰め合わせた、富澤商店ならではのアフタヌーンティーセット。

富澤商店、初のギフトセット販売
富澤商店ならではのアフタヌーンティーセット

人気豆菓子4種ギフトセット

  • 商品名:富澤商店の人気豆菓子
  • 価 格:3240円(税込) ※送料込み

富澤商店のロングセラー商品「豆菓子シリーズ」から、人気の4種類を詰め合わせたバラエティ豊かなセット。お茶請けやおつまみにはもちろん、手土産やカジュアルギフトにもおすすめとしている。

富澤商店、初のギフトセット販売
人気豆菓子を4種セットに

うま辛めんたいギフトセット

商品名:富澤商店のうま辛めんたい3種
価 格:3240円(税込)※送料込み

富澤商店、初のギフトセット販売
ご飯のお供として

その他、ジャム、ご膳シリーズ、ナッツ&ドライフルーツ、パスタセットなど多数展開している。

鳥栖 剛

「うまい棒」のやおきん、「Shopify」でECリニューアル。顧客ロイヤルティ、業務効率アップに成功

6ヶ月 ago

駄菓子「うまい棒」などを製造・販売するやおきんは、グローバルECプラットフォーム「Shopify」を導入し、自社ECサイト「楽駄屋」をリニューアルした。

旧来のシステムでは、スマホユーザーへの対応遅れ、アナログな景品交換による手間、煩雑な見積もり業務による大きな負担、旧システムの機能的制約と操作性――といった課題を抱えていた。この課題を解決するためにECシステムを刷新した。なお、「Shopify」導入支援は、EC支援のこれからがサポートした。

やおきんが実施した取り組み

UI・UXの改善

スマートフォンユーザーを含むすべての顧客が快適に利用できるよう、デザインと導線を最適化した。

会員プログラムとポイントシステムの刷新

顧客ロイヤルティ向上をめざし、より魅力的で使いやすい会員制度に刷新した。

見積機能の構築

従来は手作業だった見積もり作成業務をシステム化し、大幅な効率化を図った。

商品管理・運用効率を上げるための機能実装

「Shopify」の機能を活用し、バックエンド業務の負担を軽減する仕組みを構築した。

刷新後の「楽駄屋」のUI・UX。デザインと動線をブラッシュアップした
刷新後の「楽駄屋」のUI・UX。デザインと動線をブラッシュアップした

顧客満足度向上と業務効率の大幅改善を実現

「Shopify」の導入とさまざまな施策の結果、やおきんのEC事業は次の成果を得た。

  • スマホ対応による顧客満足度の向上:スマホ対応の強化や快適な購買体験の提供により、顧客からの評価が向上した。
  • 会員制度刷新によるロイヤルティ向上:新しい会員・ポイントプログラムにより、リピーター顧客の育成にもつながっているという。
  • 月間20時間以上の業務時間削減:見積もり作成の自動化や商品管理の効率化により、EC運用にかかる時間を大幅に削減した。
刷新後は会員登録のメリットが顧客に訴求しやすいLPとなっている
刷新後は会員登録のメリットが顧客に訴求しやすいLPとなっている
高野 真維

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較

6ヶ月 ago

メディアリーチが6月3日に実施した「生成AIによる商品・サービス・企業の探索・比較行動」に関する調査によると、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較していることがわかった。

生成AIを週1回以上利用している割合

全体の36.2%が「週1回以上、何らかの生成AIサービスを利用している」と回答した。男女別では男性が43.8%、女性が28.6%、男性の利用率が女性より高い。年代別では10代・20代の若年層では5割前後が利用し、年代が上がるにつれ利用率は低下している。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
全体の36%が週1回以上、生成AIを活用

若年層(10〜20代)は5割以上が生成AIを週1回以上利用。特に10代女性では6割に達し、デジタルネイティブ世代の高い関心が際立つ結果となった。40代以降は男女差が拡大し、女性の利用率は急落。50代女性は1割、60代以上の女性は1割未満にとどまった。

生成AI利用者が選ぶ主要サービス

最も多く利用されているのは「ChatGPT(OpenAI)」で選択率は68.1%。次いで「Gemini(Google)」(42.2%)、「Copilot(Bing含む)」(21.4%)と続いた。その他のサービスは1割未満が多いが、「NotebookLM」は選択率11.0%と相対的に高い。男女差が顕著なサービスも見られた。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
利用サービスは「ChatGPT」がダントツ

「ChatGPT」が圧倒的なトップシェアとなり、生成AI市場での「定番化」が進んでいると指摘。Google・Microsoft系サービスも一定の利用者層を持ち、多様化が進むなかで、用途や好みによる使い分けが見られると分析した。「NotebookLM」など一部サービスは女性の利用率が男性を上回るなど、属性ごとの嗜好性の違いが表れたという。

生成AIによる商品・サービス・企業の検索・比較の経験の有無

全体の21.3%が、経験があると回答した。10代~30代の若年層では男女ともに約3割が該当し、40代以降は急減。特に女性では1割未満となる年代が多かった。若年層による活用が進んでいることから、今後若い世代を中心に“AI検索・比較”の普及がさらに進むことが期待されるとした。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
若い世代での経験率が高い結果に

生成AIで検索・比較した商品・サービス・企業のジャンル

最も多いのは「Webサービス・アプリ」(33.0%)だった。次いで「日用品・生活雑貨」(32.1%)、「飲食」(30.2%)、「家電・ガジェット」(27.9%)、「美容・健康」(25.6%)と続いた。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
検索対象のトップは「Webサービス・アプリ」

男女別の傾向では、男性は「家電・ガジェット」や「Webサービス・アプリ」といったデジタル分野、業務用SaaS・法人向け商品などBtoB領域でも高い選択率を示した。一方で女性は「美容・健康」や「日用品・生活雑貨」「飲食」など生活に密着した商品・サービスで生成AIを積極活用する傾向が顕著だった。そのほか「旅行・宿泊」「金融・不動産」などは男女差が小さく、世代や状況を問わず幅広い活用が進んでいる。

生成AIで商品・サービス・企業を検索・比較する際によく入力する質問内容

男女とも「条件や希望を指定して質問」が最も多かった。女性では「おすすめ」「評判や口コミ」「ランキング」など複数の情報探索を組み合わせる傾向がやや強い。男性は「AとBの違いを比較して」「ブランド名を直接入力」など比較や指名検索も一定数見られた。メディアリーチではパーソナライズ志向の「条件や希望を指定してAIに質問」する行動が主流で、AIならではの柔軟な検索スタイルが定着してきていると分析している。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
「条件や希望を指定して質問」がトップに

生成AIが提案した商品・サービス・企業に対する信頼度

「非常に信頼できた」「やや信頼できた」と肯定的評価は男性69.8%が女性65.1%だった。「どちらともいえない」は男性21.7%、女性20.9%。否定的評価(「あまり信頼できなかった」「まったく信頼できなかった」)は男性10.1%、女性13.9%となった。女性のほうが「どちらともいえない」「信頼できなかった」とする割合がやや高い。男性は「非常に信頼できた」が2割を超え、積極的な信頼姿勢がやや強いことがわかった。一方、女性は「やや信頼できた」層が半数と“様子見・慎重派”の傾向も見られた。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
生成AIの提案内容に対する信頼度は6割強が肯定的

生成AIで気になった商品・サービス・企業に対して取る行動

男性の回答上位は「公式サイトを閲覧」(48.1%)、「レビュー・比較サイトを閲覧」(38.8%)、「SNSで評判や口コミを調査」(31.8%)と続いた。女性の上位は「レビュー・比較サイトを閲覧」(52.3%)、「SNSで評判や口コミを調査」(39.5%)、「公式サイトを閲覧」(43.0%)と女性は「レビュー・比較サイトの閲覧」や「SNSでの調査」の比率が男性より高いことがわかった。このことから男性は「公式サイト」を重視、女性は「レビュー・比較サイト」「SNS」を重視で、情報源の使い分けに男女差がみられた。女性は「レビュー・比較サイト」「SNS」「保存」など“第三者評価や多角的な情報収集”を重視する傾向が顕著だった。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
生成AI活用後の行動は「公式サイトを閲覧」がトップに

男女ともに約4人に1人が生成AI経由で「実際に購入・利用」まで行動を移しており、AI提案の消費行動への影響力が大きいことがわかった。動画レビューや追加の生成AI調査も3割前後で利用されており、テキスト・動画・AIの組み合わせによる多層的な意思決定が定着しつつあるとした。

生成AIだけで商品・サービス・企業の比較・検討を完結した経験

生成AIで商品・サービス・企業を検索したことがある人(全体の約2割)のうち、約7割が生成AIだけで商品・サービス・企業の比較・検討を完結した経験があると回答した。「よくある」「ときどきある」の合計は男性が42.6%、女性が45.3%で、男女差は小さかった。「一度もない」は男性7.8%、女性16.3%と、女性の方がやや慎重な傾向が見られた。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
生成AI活用により約半数が比較・検討を完結した経験がある

生成AIを活用した検索行動が主流になるか

「そう思う」「ややそう思う」と回答した肯定派は男性40.5%、女性31.2%だった。「どちらともいえない」が男女とも約4割と最多で、今後の推移を見守る様子見層が多いことがわかった。否定派(「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」)は男性23.6%、女性27.8%だった。男性の方が肯定派の比率が高く、AI活用への期待感がやや強い。女性は「どちらともいえない」が41.1%と最多で、AI検索の主流化については様子見・保留の姿勢が強い。否定的な回答は女性27.8%、男性23.6%で、女性の慎重姿勢がやや際立った。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
3割強が「生成AIを活用した検索行動が主流になる」と回答

調査概要

  • 調査名称:生成AIによる商品・サービス・企業の検索・比較行動調査 2025年版
  • 調査主体:メディアリーチ
  • 調査方法:インターネットリサーチ(Freesy)
  • 調査対象:全国の10代~60代以上の男女
  • 有効回答数:1008人(各年代・性別均など割付:各年代・性別ごとに84人ずつ、合計1008人)
  • 調査期間:2025年5月28日
鳥栖 剛

【「推し活」関連グッズの仕入れ動向】国内市場で最大約17.5倍、海外市場では約7.4倍に拡大

6ヶ月 ago

ラクーンホールディングスの100%子会社でBtoBマーケットプレイスの運営を手がけるラクーンコマースは、「推し活」関連商品の仕入れ動向をまとめた「推し活仕入れ調査レポート」を発表した。本調査は2024年1月~2025年4月における卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」での「推し活」関連商品の受注金額推移から、仕入れの傾向を分析している。

受注推移に見る国内・海外の市場傾向

国内メーカーと小売店やサービス業などの事業者が取引する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」では、「推し活」関連グッズの流通額が国内・海外市場共に大幅伸長、関連商品を取り扱う出店企業の数も増加している。

国内市場の受注額は2024年12月以降から加速度的に成長し、2025年4月には2024年1月の17.5倍になった。

「推し活」商品の国内受注額の推移(国内の2024年1月 の受注金額を100とした指数で受注推移を算出)
「推し活」商品の国内受注額の推移(国内の2024年1月の受注金額を100とした指数で受注推移を算出)

海外市場の受注額は2024年10月に、2024年1月の約6.9倍となりピークを迎えた。その後も高水準で推移し、2025年2月には2024年1月比で約7.4倍まで拡大した。

「推し活」商品の海外受注額の推移(海外の2024年1月 の受注金額を100とした指数で受注推移を算出)
「推し活」商品の海外受注額の推移(海外の2024年1月の受注金額を100とした指数で受注推移を算出)

海外市場の受注額が伸びている背景には、台湾、香港、米国、韓国といった主要仕入れ国における継続的な需要がうかがえ、「OSHIKATSU」カルチャーが海外でも浸透していることがあげられるという。ラクーンコマースは「こうした海外市場の活況を踏まえ、商品を海外向けに展開する際には、商品名などにローマ字表記で『OSHIKATSU』といったキーワードを入れることも、商品発見性を高める上で有効な手段の1つ」と推測している。

「推し活」関連グッズの仕入れ動向とは

ファン心理をつかむメンバーカラー戦略

ファンの商品選択において、応援対象のメンバーカラーは極めて重要な要素だという。多くのファンは自身の好みよりも、公式に設定された色やイメージカラーを優先し、その色の商品を求める傾向が強い。ラクーンコマースは「幅広いカラーバリエーションをそろえること、時には絶妙な色味の違いにまで配慮することが不可欠」と解説している。

自分だけのグッズを作れるカスタマイズ需要

手芸材料、デコレーション用ステッカー、うちわ作成グッズといったカスタマイズ関連商品も「推し活」のグッズとして認知されているという。ラクーンコマースは「ファンが既製品の購入に留まらず、自分だけのオリジナルグッズを制作することで、より深い自己表現と推しへの愛着を追求していることを強く示している。また、これらの手作りアイテムはSNSを通じてファンコミュニティ内で共有され、新たな創造性を刺激し合う好循環を生み出している」と解説する。

調査の背景と目的

「スーパーデリバリー」は、日本国内版に加え、世界134か国への卸販売が可能な越境版も展開している。サイトではアパレルや雑貨を中心に、家具、生活家電、食品など、さまざまなジャンルの商品を約186万点掲載。

そのなかでも、アイドル、アニメキャラクター、俳優、スポーツ選手など、個人の熱烈な支持に支えられる「推し活」は、関連グッズ消費やイベント参加などを通じて、巨大な消費市場を形成している。こうした「推し活」関連商品の仕入れ動向を可視化することで、小売・事業者が市場の潮流を把握し、戦略に生かせるよう本調査を実施した。

調査概要

  • 分析対象データ:卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」における「推し活」関連グッズの商品取引データ
  • 基準と指標(受注金額推移指数):国内外それぞれの2024年1月の受注金額を100とした指数で受注推移を算出
  • 分析対象期間(商品取引データ):2024年1月~2025年4月
大嶋 喜子

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