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国内市販薬EC市場は904億円(2023年)、2029年は1126億円に拡大と予想

1 year 4ヶ月 ago

富士経済が7月18日に公表した市販薬のEC市場に関する調査結果によると、2023年の市販薬EC市場は904億円で、国内の市販薬全体市場における比率(EC化率)は6.9%だった。発毛剤やビタミン剤、ドリンク剤が市販薬EC市場をけん引。EC化率も着実に拡大している。

富士経済が7月18日に公表した市販薬のEC市場に関する調査結果
市販薬のEC市場に関する調査結果

ECのチャネル別需要を見ると、ECモールが市場の7割弱を占める。参入メーカーによるECは市場の2割強を占めており、ブランドの指名買いによる安定した売り上げを確保している。ドラッグストアや調剤薬局のECサイトは、チェーンによって販売に温度差があるという。

富士経済は市販薬EC市場のうち、注目市場として発毛剤に着目。2023年における発毛剤EC市場は110億円で、市販薬EC市場に占める発毛剤ECの割合は12.2%。発毛剤は実店舗での購入で人の目が気になったり、抵抗感を感じたりする利用者がいるため、EC比率は32.2%と高い。毛髪が成長するまで時間を要することから、複数本のまとめ買いニーズに対応した展開(セット販売)のほか、実店舗や競合製品に対して価格面で優位性を打ち出す展開などが行われている。

発毛剤の対象は、発毛促進、育毛、脱毛の予防、ふけ・かゆみの防止、壮年性脱毛症や円形脱毛症、薄毛等における発毛、育毛および脱毛(抜け毛)の進行予防などの効果・効能を持つ市販薬など。ECチャネルでの展開をメインとしているアンファーの「スカルプD メディカルミノキ5」、実店舗でも同様に展開する大正製薬の「リアップ」シリーズなどがある。

市販薬は2014年6月12日の改正薬事法の施行により、一部を除きネット販売が可能となった。参入メーカーのECサイトやECモール、ドラッグストア・調剤薬局ECサイトなどで販売が広がった。特にECモールでの伸長により市場は拡大している。

医療用医薬品から市販薬に移行した直後の要指導医薬品については対面販売義務があったものの、2023年に厚生労働省が薬剤師のビデオ通話による服薬指導を条件に2025年以降ネット販売を解禁する見通しを明らかにした。市販薬のネット販売は全面解禁に向かっている。

市販薬EC市場は今後も成長すると予想。6年後となる2029年の市販薬EC市場は、2023年比で24.6%増の1126億円と予測している。EC化率も同1.2ポイント増の8.1%となる見通し。

発毛剤やビタミン剤、ドリンク剤に加え、実店舗で購入しにくい製品、購入の緊急性が低い製品、持ち運びにくい製品、まとめ買いに向いた製品など、実店舗の棚に入りにくいニッチな製品はECサイトで検索しやすいことから、今後もECシフトは進むと予想する。

また、2025年以降、要指導医薬品のネット販売解禁が予定されていることから市場へのプラス要因になると見られる。2029年における発毛剤EC市場は、2023年比30.9%増の144億円を見込んでいる。

調査概要

  • 調査対象:ECチャネルを介する市販薬(OTC医薬品)※ドリンク剤は医薬部外品を含む
  • 品目区分:ビタミン剤(ビタミンB1主薬製剤、ビタミンB2主薬製剤、しみ改善薬)、ドリンク剤、総合胃腸薬、痔疾用薬、便秘薬、総合感冒薬、解熱鎮痛剤、鼻炎治療剤(内服)、外用消炎鎮痛剤、皮膚治療薬、発毛剤、目薬、その他市販薬
  • ECチャネル区分:メーカーECサイト、ECモール(メーカー・小売り出店分)、仮想ショッピングモール(ECモール企業仕入販売分)、ドラッグストア・調剤薬局ECサイト、その他ECサイト
  • 調査方法:富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
  • 調査期間:2024年5~6月
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松原 沙甫

クラシコムグループのファッションD2Cブランド「foufou」、リニューアルしたECサイトの刷新ポイントは?

1 year 4ヶ月 ago

「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムのグループ企業で、ファッションD2Cブランドを展開するfoufou(フーフー)は7月16日、ECサイトをリニューアルした。

リニューアルした「foufou」ECサイトのトップ画面 「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムのグループ企業で、ファッションD2Cブランドを展開するfoufou(フーフー)は7月16日、ECサイトをリニューアル
リニューアルした「foufou」ECサイトのトップ画面

「foufou」は、2016年にデザイナーのマール・コウサカ代表が文化服装学院在学中にハンドメイドで制作した服のEC販売から始まった独特な世界観が特徴のファッションD2Cブランド。2023年8月にクラシコムのグループに入った。回さらなる成長とユーザーがよりその世界観に浸ることができる環境構築をめざし、ECサイトをリニューアルした。

デザインファームであるnon-standard worldとチームを組んで実施。めざすECサイトの共通認識を固めるため、「しっとりとそこに在り続けるタイムレスな場所としての広がりを持ったオンラインサイトを作る」という標語を掲げた。

「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムのグループ企業で、ファッションD2Cブランドを展開するfoufou(フーフー)は7月16日、ECサイトをリニューアル
リニューアルにあたって掲げた標語

リニューアルでは、顧客が世界観に没頭できるデザインを重視。foufouの個性的な商品画像を次々とスクロールできる画像配置、ランダムでオススメを表示するなどの仕掛けを盛り込んだ。レイアウトでは、トップページに見える文字の配置や大きさは画像に干渉しないよう調整。商品ページで表示する商品画像について、これまでスクロールしなければわからなかった画像を一覧化するなどユーザビリティを向上させたとしている。

「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムのグループ企業で、ファッションD2Cブランドを展開するfoufou(フーフー)は7月16日、ECサイトをリニューアル
スクロールしなければわからなかった画像を一覧化するなどユーザビリティを向上

foufouは「健康的な消費のために」をコンセプトに効率的なマーチャンダイジングを実現しながら、独自のコンテンツやSNS発信を行いファンを増やしてきたファッションD2Cブランド。

独特な取り組みの一例をあげると、2019年から販売している赤いワンピースのシリーズでは、「夏をドラマチックに纏う方法」をコンセプトとし、3組のアーティストとオリジナル曲を制作。アーティストを集めて音楽ライブを実施するなど独自のプロモーションを展開した。書道アーティストとコラボレーションし、ドローンを用いたパフォーマンス動画も公開している。そのほか、スタッフの着用写真も人気が高く、Xで120万ビュー以上を獲得するなどSNSを駆使した潜在顧客の創出と認知拡大に務めている。

「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムのグループ企業で、ファッションD2Cブランドを展開するfoufou(フーフー)は7月16日、ECサイトをリニューアル
多くのビューを獲得したスタッフ着用写真のSNS投稿

マール・コウサカ氏は「余すことなくfoufouの世界を体験できるオンラインストアを作った」とし、「このリニューアルを期に、これからも僕たちのブランドの変化に合わせてより快適でより美しいものを目指していく」とコメントしている。

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鳥栖 剛

1.6万件のネット広告監視で153事業者に改善指導、EC事業者が気を付けるべきポイントは?

1 year 4ヶ月 ago

東京都は7月18日、令和5年度(2023年4月から2024年3月)の「インターネット広告表示監視事業」の実施状況を報告した。広告監視数は1万6000件にのぼり、153事業者の156件の広告に対して景品表示法に基づく指導を実施した。

東京都の生活文化スポーツ局によると、誇大な効果などをうたう広告が健康食品や化粧品に多く見受けられたという。

指導内容別の内訳は、「優良誤認」の恐れがある商品・サービスは健康食品、化粧品、美顔器・家庭用EMS機器・ウェアラブルデバイスなど雑貨が150件。「有利誤認」の恐れがある商品・サービスは26件。なお、「優良誤認」「有利誤認」いずれも違反する広告もあるため指導件数の合計とは一致しない。また、過大な景品類提供の恐れがある指導はなかったとしている。

商品サービス別の詳しい指導件数の内訳は、健康食品が64件、化粧品が39件、雑貨が30件、修理・修繕などサービスが23件だった。

東京都は「インターネット広告表示監視事業」の実施状況を報告
指導件数としては健康食品が最多となった

都では同日、関連の業界団体並びに検索サイト、ECサイトの関係事業者に対して、景表法や関係法令の遵守についてより一層の周知を図ることを要望すると同時に、消費者庁へ情報提供を行った。

東京都が示した表示例と問題点

実施報告と合わせて、都では表示例と問題点についても示した。

健康食品では「飲むだけで脂の吸収を抑え簡単ダイエット」「寝る前に飲むだけ」「運動・食事制限なし!」などと運動や食事制限をすることなく簡単にダイエット効果を得られるかのように表示が見られたと指摘。表示の裏付けとなる合理的な根拠を有せず、有料誤認の恐れがあるとした。

違反の恐れのある健康食品に関する広告表示と消費者行動のイメージ図 東京都は「インターネット広告表示監視事業」の実施状況を報告
違反の恐れがある健康食品に関する広告表示と消費者行動のイメージ図

美顔器では、簡単に若返りといった美容効果を得られるかのような「毎回5分~6分くらい使うだけ」「損傷した細胞の修復を促進」「若顔に戻します」、家庭用EMS機器では顕著なダイエット効果を得られるかのような「目に見える痩せ効果」「脂肪を燃焼します」、ウェアラブルデバイスでは容易に睡眠不足改善できるかのような「睡眠を誘発するホルモンを生成」「睡眠不足を解決に導きます」、化粧品では体験談などから強力な美容効果を得られるかのような「たった1分で、驚きの美白体験」「目の下やフェイスラインのたるみを引き上げます」「マイナス10歳以上のお肌になれます」といった表示の問題点を指摘。有料誤認の恐れがあるとしている。

違反の恐れがある化粧品に関する広告表示と消費者行動のイメージ図 東京都は「インターネット広告表示監視事業」の実施状況を報告
違反の恐れがある化粧品に関する広告表示と消費者行動のイメージ図

そのほか、景表法違反の恐れのあるエンブレム類やキャンペーン訴求についても例示。「お客様満足度No.1」「No.1ランキング6冠達成!」「顧客満足度99.7%達成!」など、競合より高い評価を得ているかのような表示も、実際は客観的な調査に基づいていなかったり、主張する内容が客観的に実証されていないと優良誤認に該当する恐れがある。

また、「期間限定キャンペーン!割引クーポンのご案内!」「【期間限定】○月○日まで!○○%OFF」といった期間を限定した特別価格で、今申し込めばお得であるかのように表示をしているが、期間の明示がなかったりキャンペーン期限が延長されるなど継続して実施されていると「有利誤認」に該当する恐れがある。

No.1表示や期間限定表示も有利誤認の恐れがある 東京都は「インターネット広告表示監視事業」の実施状況を報告
No.1表示や期間限定表示も有利誤認の恐れがある
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鳥栖 剛

アパレルECの今を乗り切る戦略とは[繊研新聞×AMS対談]

1 year 4ヶ月 ago
アパレル業界のECの課題について、『繊研新聞』の窪田勉氏とAMSの古田俊雄氏が対談
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コロナ禍で変貌を余儀なくされたアパレル業界。なかでも実店舗とECを運営する事業者にとって、ここ数年のテクノロジーや消費行動の変化はめまぐるしいものだったのではないだろうか。繊維・ファッション業界紙『繊研新聞』で30年以上にわたってアパレル業界を取材してきた窪田勉氏と、100サイト以上のアパレルECビジネスの支援に携わるAMSの古田俊雄常務取締役が、アパレル業界の現在地、アパレル事業者が抱えているECの課題について語り合った。

2024年のアパレルECは何が変わっているのか

AMS 古田俊雄氏(以下、古田):2024年2月21日に発行された『繊研新聞』の「ネットコミュニケーション特集号」の内容を中心に、アパレルECの課題を深掘りしていきます。最近よく耳にする課題は何ですか?

AMS 常務取締役 古田俊雄氏
AMS 常務取締役 古田俊雄氏

繊研新聞 窪田勉氏(以下、窪田):2024年にアパレルEC業界で顕著になってきた課題は2つあります。1つはECを含めたオペレーションの課題です。コロナ禍で店舗のスタッフをかなりECにシフトした企業でも2024年、実店舗への来店数がかなり戻ってきており、店頭業務が増加しています。そのなかで、人材の配置をどうすべきかという課題があがっています。

もう1つはデータ活用。顧客データをどう捉え、施策に生かしていくのかを考えていく必要があります。ロイヤルティ顧客育成に向けたCRM活用といったデータ活用などに向けた基幹システムへの投資や仕組み作りが課題となっています。

導入から20年以上経つような古い基幹システムを使っている場合、新しいシステムに移行する場合、改修が必要になることがあります。その場合、ミドルウェアを挟むといった活用なのか、それともフルリニューアルかという判断をしなければなりません。しかし、リニューアルには億単位の投資が必要になることがあり、なかなか踏み切れないという話をよく耳にします。ここで投資できるか、できないかは大きなターニングポイントになるでしょう。

繊研新聞 窪田勉氏
繊研新聞 窪田勉氏

古田: 2023年と比較して明らかに変化が感じられる課題はありますか。

窪田:以前は新規顧客の獲得に重きを置いていた企業も、最近は既存顧客のF2転換(2回目購入)、F3転換(3回目購入)に力を入れています。そのために、「誰が」「いつ」「何を」買ったかなどのデータを分析して、活用していかなければならない――このような、顧客のLTV(顧客生涯価値)を上げるという話が増えた気がします。

ECでの課題(出典:『繊研新聞』2024年2月21日「ネットコミュニケーション特集」)
ECでの課題(出典:『繊研新聞』2024年2月21日「ネットコミュニケーション特集」)

課題のトップはCRMや個客マーケティング

古田:「ネットコミュニケーション特集」のアンケート結果をもとに、アパレルECの課題トップ3にフォーカスしていきます。まずは1位の「CRMや個客マーケティング」ですが、実際コロナ以降でMAツールの導入や活用をしたいという声を、多くの事業者さまから聞くようになりました。ただ、MA(マーケティングオートメーション)については「入れたい」という話と共に、「入れたけど上手く活用できていない」という話もよく聞きます。CRMや個客マーケティングについて、窪田さんのご意見を教えてください。

窪田:多くの企業がすでに取り組んでいますが、それが正しい方向なのか、もっと良い方法があるのかで悩み、試行錯誤している企業が多いですね。分析するために、どの数字を、どのように抽出していけばいいのか悩んでいるケースをよく耳にします。また、ライブ配信やOMO施策のように、ECサイト運営の現場だけでなく、店舗スタッフも基本的なデジタルの知識を身につける必要性が求められるようになりました。こうした状況を踏まえ、経営側がデジタルへの理解や知識を持って経営判断ができなければという課題感を持つ企業も増えてきました。

古田:ライブ配信についてはどうですか。

窪田:ライブ配信やライブコマース、スタイリング投稿は、顧客との接点も生まれやすく、大きな売り上げになる可能性があるコンテンツです。そのため、企業はもちろん、社会的にも注目を集めていますよね。ただ、売れる店舗の人材をライブ配信にアサインしようとすると、撮影場所の選定・確保、撮影時間が限られてしまうといった勤務地やシフトの問題などがあがり、調整だけでも大きなリソースと労力がかかるケースがあります。

「Apuweiser-riche(アプワイザー・リッシェ)」などレディースアパレル6ブランドを展開するアルページュでは、ライブ配信ができるスタジオ付きの店舗を2023年に設置し、営業時間内でもライブ配信をできるようにしました。スタジオ付き実店舗によりオペレーション上の課題が解決。週30本以上ものライブ配信を行えるようになるなど、積極的なライブ発信体制を整えています。

ECにおけるCRMに関するキーワード One to One、MAツール、OMO、SNS、チャットボット、現場と経営層、顧客体験の創出、EC×デジタルマーケ、ライブ配信、ロイヤリティプログラム
ECにおけるCRMに関するキーワード

古田:アパレル大手がロイヤリティプログラムを刷新するなど、ロイヤリティプログラムへの注目が集まっています。

窪田:ここ1年で、大手アパレル企業がロイヤリティプログラムを次々と刷新しましたよね。ロイヤリティプログラムの目的は、「2回目、3回目の購入をどうやって増やしていくか」。それを実現するため、購入金額に応じたポイント付与だけではなく、来店ごとにマイルを付与するといった特典を提供するようなプログラムを設計する企業が増えましたよね。体験でポイントが付くようなロイヤリティプログラムは注目したいところです。

たとえばアダストリアでは、店頭に足を運びQRコードを読み込むことでポイントを付与しています。レビュー投稿やイベント参加でポイントを付与する企業もあります。

古田:購買以外のアクションに対しても、ロイヤリティプログラムを用意しているのですね。そのインセンティブとしてポイントではなく、より充実した顧客体験を提供している企業のお話も聞きます。

窪田:たとえば、アパレルブランド「アクシーズファム」を展開するIGAは、創業の地である福井県を巡るツアーを実施しています。同様なアクションとして、自社の拠点をリゾート地に作り、そこへ顧客を招く取り組みをしている企業もあります。ブランドの世界観を作り、ロイヤリティを上げながら顧客体験を創出する動きは大企業だけではなく、中小企業にも広がっています。

地味で重要で終わりがないECサイトの導線改善

古田:2位の「ECサイトの設計・導線改善」はどう捉えていますか。

窪田:地味に作業に捉えられてしまいますが、企業にとっては重要な課題です。ユーザーのニーズや行動などを踏まえて日々、施策などを地道に考え、改善を積み上げていく必要があります。さらに、その結果が正しいのか判断しなければなりません。問題があった場合は社内だけでは解決できないことも少なくありません。

たとえば、ECサイトで動画コンテンツを掲載するケースが増えており、動画から購入への導線をどうするか、コンテンツが重たくなりサイトの表示速度が遅くなるといった課題があがっています。特に後者は大きな問題。サイトの表示が1秒遅くなるだけでCVRが約20%下がるといった調査結果もあるのですから。

こうした課題・問題は、内製で運用している企業以外、自社だけで解決できません。パートナー企業との協力が必要となるので、日々のパートナーシップが重要になってきます。UI、UXの改善は終わりがありません。だからこそ、自社に適したECサイトの設計や導線改善を手がけるパートナーの選定は、非常に重要な判断になります。

古田:動画は多くの通信容量を必要とするので、自動再生は顧客体験としてマイナスだと以前までは指摘されていました。最近は、自動再生の動画は良い顧客体験だと言われるようになり、仕様を変更するECサイトも増えています。こういったトレンドや顧客のニーズの変化に対応し、スピーディかつ継続的な改善が必要だということですね。

利益に直結する物流と配送

古田:アンケート結果を2024年と2023年で比較すると、「在庫の補充手当」という課題が大きく減り、「物流配送の整備」の課題が2倍以上に上昇しています。どのような背景があるのでしょうか。

2023年と2024年のEC課題の変化(出典:『繊研新聞』2024年2月21日「ネットコミュニケーション特集」)
2023年と2024年のEC課題の変化(出典:『繊研新聞』2024年2月21日「ネットコミュニケーション特集」)

窪田:「在庫の補充手当」は、サステナブルという観点から大きく下がりました。「どんどん作って、売って、在庫を減らす」というトレンドから、現在は生産量をある程度絞って適時適品を投入するという戦略に変化しています。そして、「何をどれだけ作るのか」といった需要予測は、今後AIを活用する方向にシフトしていくのではないでしょうか。

「物流配送の整備」の課題が大きくなっているのは、効率化を必要としているためです。この1年、主なアパレル企業が次々と物流倉庫を変えています。物流の改善に着手する理由の1つは、配送費が上昇するなかで、コストをどれだけ下げられるかが利益に直結するから。この課題を解決するために、倉庫でのロボットの導入、BtoBとBtoCの集約などの取り組みが進んでいます

古田:大手以外の取り組みはいかがでしょうか。

窪田:中小事業者でもデータ連携の柔軟性が増せば、さまざまな施策を実行できるようになるでしょう。たとえば、大きな専用倉庫を借りるのではなく、棚貸しやスペース貸しを利用する、商業施設のなかで館内物流を導入するといった流れが出てきています。

人材育成と採用の悩みが3倍に、課題解決の一歩はパートナー選びから

古田:アンケート結果で3位にあがっている「EC関連の人材育成と採用」については、2023年のアンケートと比較し、2024年は3倍以上の企業が課題に感じていると回答しています。そのため、運営体制についても外注するという選択肢も増えているようです。

人材採用と育成に課題感を持つ人が急増した(出典:『繊研新聞』2024年2月21日「ネットコミュニケーション特集」)
人材採用と育成に課題感を持つ人が急増した(出典:『繊研新聞』2024年2月21日「ネットコミュニケーション特集」)

窪田:ECビジネスで取り組まなければならない施策が増えてきています。デジタル施策ができる人材の確保、OMOに向けた施策による組織変更など、多くの企業が課題解決に向けたアクションを起こしています。人材確保の面では、人材不足を補うため外注を増やす企業も多くなっていると聞きます。

ただ、デジタルやデータに強いだけのコンサルタントではECビジネスへの理解が不足していることがあるため、注意が必要でしょう。また、EC担当者は多くの業務を抱えており、相談相手がいないことが多いのも課題です。そのため、適切な人材を確保すると同時に、伴走して取り組んでくれるパートナー、専門知識を持つパートナーを選ぶことが重要です。

古田: 2024年、今後のキーワードは何になるとお考えですか?

窪田:OMOは前提としてやらなければならない施策です。顧客体験の観点から、会員データの統合などへの投資は増えていくでしょう。物流やAI活用といった課題も含めて、自社がどこをめざすのかを考える必要があるでしょう。そして、パートナー選び。すべての業務・システム化・デジタル化は自社だけで内製化できないので、パートナーをうまく選んで一緒に成長していくことが必要ですね。

古田:最後にAMSの支援内容についてお話させてください。AMSは2007年の創業以来、EC事業の支援を手がけており、ECサイトの構築からOMOソリューション、WMSシステムのほか、物流、運用支援、カスタマーサービス、制作、デジタルマーケティング、広告運用、コンサルティングなど、幅広いサービスを提供しています。

ECビジネスはECサイトを作ることがゴールではありません。AMSは、これまで350超のアパレルブランドさまへのEC支援実績で培った経験と知見から、システム納品後の事業成長と売上貢献に向けてさまざまな課題に真摯に対応し、解決に向けて伴走支援を手がけています。ここで説明した課題だけではなく、ECビジネス全般に関するお悩みやお困りごとがありましたら、ぜひAMSにご相談ください。

繊研新聞 窪田勉氏(左)とAMS 常務取締役 古田俊雄氏(右)
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小林 義法

「物流2024年問題」「楽天最強配送」などで高まる適正な在庫投入ニーズ、需要予測でどう売上UP+コスト最適化を実現する?

1 year 4ヶ月 ago
EC企業で活躍する担当者や有識者が、聴講者の事業成長のヒントにつながる知見を講演するイベント「Digital Commerce Frontier 2024」を7月24日(水)+25日(木)にオンラインで開催。19講演すべて無料で聴講できます

7月24日(水)+25日(木)に開催する「Digital Commerce Frontier 2024」(オンライン開催)では、AI+リテールメディアといった「Internet Retailing」と「BtoB-EC&DX」の2つの軸をテーマに、柳田織物、Tshirt.stによる在庫投入の最適化、Amazon、パルのECビジネスへのAI活用、楽天グループのリテールメディア、成城石井らの小売りの最新DXなど全19講演を用意。すべて無料で聴講できます。

ネットショップ担当者フォーラム 2024 夏

「Digital Commerce Frontier 2024」は、リテールビジネス、BtoC-EC、BtoB-EC、メーカーECなどデジタルコマースに携わる経営者・責任者・担当者に対し、AIやリテールテックなどの最新トレンド、最先端テクノロジー活用、事例、最新ソリューションなどをお届けするイベントです。

まだお申し込みをしていない方のために、編集部お勧め講演の見どころをご紹介します。

Digital Commerce Frontier 2024

見どころ⑩ 売上UP+コスト最適化を実現する「在庫投入」の考え方とポイント
~AIに頼らず適切な在庫を投入できるようになるロジックを大公開~

17:00~17:45 KA2-7 クロージング講演

売り上げの最大化、コストの適正化を実現するには、適切な在庫を継続的に補充していくことが重要となりますが、そのカギを握るのが「需要予測」です。「そのためにはAIが必要になるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、人間が行っている業務をロジックに落とし込むことで、需要予測は大企業はもちろん、中小の企業も自社でできるようになります。

物流2024年問題、「最強配送」ラベルがついている商品を最短翌日までに届ける、楽天市場の「Rakuten最強配送」のスタートなどを背景に、アウトソーシング先の倉庫へ適正在庫を積むニーズが急速に高まっています。売れている商品在庫を倉庫へ積み上げていけば、機会損失は減るものの、保管費用が上昇してしまいます。

講演では、自社で作った需要予測ロジックから、最適な在庫投入を実現している2社の経営者が、ロジックを踏まえて事例を解説します。

株式会社柳田織物 代表取締役 柳田 敏正 氏
株式会社柳田織物 代表取締役 柳田 敏正 氏
1994年、法政大学卒業後、(株)バーニーズジャパン入社。横浜店にてメンズ全般の接客に従事。1999年退社し、創業1924年の(株)柳田織物に入社。2002年オリジナルのシャツを販売する自社ECサイト「ozie」を開設し、BtoCへ進出。2011年にOSMC(オンラインショップマスターズクラブ)最優秀実践者賞受賞。2012年第4回エビス大賞(現全国ネットショップグランプリ) 大賞受賞。2013年4月、4代目の代表取締役に就任。2014年、売り上げの半分を占めるBtoB取り引き(卸売り)から撤退し、BtoCの小売のみの運営に切り替える。 あわせて六本木一丁目にショールームをオープン。現在はEC4店舗とショールームといったネットとリアルの接点を通じて、顧客の要望に応えられるよう日々奮闘中。ECに関わりがあり、一家言ある方をゲストに招いてお話を聞くYoutubeチャンネル「ECの未来」のMCも務める。1971年4月生まれ。
株式会社Tshirt.st 代表取締役 後藤 鉄兵 氏
株式会社Tshirt.st 代表取締役 後藤 鉄兵 氏
1999年からEC事業に関わり、2002年には自社製造アパレルブランドの販売をするなど、日本のEC黎明期から活動を続ける。Shopifyはまだ日本語版も日本法人も存在しない頃から独自のローカライズで運用。現在は年間200万枚40万件という規模のECサイトを運用している。
Digital Commerce Frontier 2024

8月1日(木)に「ネッ担 Meetup Vol.6」(懇親会)をリアルで開催!

8月1日(木)18:30~20:30に、EC事業者さん限定&先着60人で懇親会を実施します。開催は東京都・渋谷近辺を予定しています。

Eコマースに関するさまざまな情報交換ができる場です。EC事業者のコミュニティを作り、悩みや課題、アイディアを共有し絆を深めていただきます。「他の事業者さんの取り組みが知りたい」「横のつながり作りをしたい」といった方、ぜひご参加下さい!

プレゼント抽選会もご用意しています。皆さまのご参加をお待ちしています!

◇◇◇

次回はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

利用するECサイトは「Amazon」と「楽天市場」の二極化。若年層はアマゾン、「楽天市場」は年齢が上がると利用率が高まる傾向

1 year 4ヶ月 ago

EC支援の、いつもが発表した「生活者のEC利用実態調査2024」によると、生活者が利用しているECサイトは「Amazon」「楽天市場」に二極化していることがわかった。

国内の10歳~70歳代の男女1675人を対象にした「生活者のEC利用実態調査2024」の「最も利用(購入)しているECサイト」に関する質問のでは、「Yahoo!ショッピング」や「ZOZOTOWN」といったECモール、ヨドバシカメラなど有力サイトの利用率を大きく突き放している。

「最も利用(購入)しているECサイト」の男女別利用率、年代別利用率

男性は「Amazon」が37.9%に対し、「楽天市場」は25.9%。一方、女性は「Amazon」が28.5%で「楽天市場」が34.7%だった。

両ECモールの利用傾向は異なっており、「Amazon」は20歳代の利用率が37.6%で突出して高い。一方、「楽天市場」は20代の利用率は15.2%だが、年齢層が上がると利用率が高まっており、60歳代は39.5%に達している。

「Yahoo!ショッピング」では50歳代と60歳代が10%を超えているが、それ以外のECモール・サイトで10%の利用率を超える年代層はなかった。自社ECサイトの利用率では、20代の3.3%が最も高い。

このほか、主要ECモール、ECサイトの利用率で目立っているのは20歳代による利用傾向で、「ヨドバシ・ドット・コム」が4.5%、「メルカリ」が3.8%。利用率ゼロもあり、60歳代による「ZOZOTOWN」、20歳代による「ビックカメラ.com」、50歳~60歳代による「ヤマダウェブコム」のほか、「ギフトモール」「LINEギフト」といったギフト系のEC利用率もゼロが目立っている。

EC支援の、いつもが発表した「生活者のEC利用実態調査2024」 「最も利用(購入)しているECサイト」の男女別利用率、年代別利用率
「最も利用(購入)しているECサイト」の男女別利用率、年代別利用率

チャネル別購入カテゴリー

「Amazon」でよく購入されているカテゴリーは「PC・スマホ関連」で33.1%、「エンタメ・ホビー」30.7%、「家電」28.1%、「食品」25.4%など。

「楽天市場」は「食品」が最も高く34.6%。「アパレル・ファッション小物」が29.7%、「家電」が26.0%で続いた。

「Yahoo!ショッピング」は「食品」が27.4%、「アパレル・ファッション小物」が24.1%。

自社ECサイトは「アパレル・ファッション小物」が50.7%で最も高い。「食品」が27.4%、「スキンケア」が26.1%、「美容品・コスメ」が23.2%で続いた。

EC支援の、いつもが発表した「生活者のEC利用実態調査2024」 チャネル別購入カテゴリー
チャネル別購入カテゴリー

ECの利用頻度と平均購入額

利用頻度は「月に2、3回程度」が28.3%、「月に1回程度」は22.8%、「2、3か月に1回程度」が17.6%だった。

1か月当たりの平均購入金額は、「5000円未満」が42.4%、「1万円未満」が25.9%で、68.3%が「1万円未満」と回答。「1万円以上2万円未満」は14.9%となっている。

EC支援の、いつもが発表した「生活者のEC利用実態調査2024」 ECの利用頻度と平均購入額
ECの利用頻度と平均購入額

調査概要

  • 調査期間:2024年2月28日~3月1日
  • 調査機関:インテージ
  • 調査対象:国内の10~70代の男女1675人
  • 調査方法:WEBアンケート
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松原 沙甫

EC業界で活躍する“人”を表彰する「ネットショップ担当者アワード」とは? 委員の中島郁氏、大西理氏、逸見光次郎氏、石川森生氏を直撃 | EC業界で活躍する人を顕彰!「ネットショップ担当者アワード」

1 year 4ヶ月 ago
通販・EC業界の発展に貢献する「人」にフォーカスし、その取り組みを表彰する「ネットショップ担当者アワード」。選考委員を務める4人の有識者のうち3人に直撃インタビューする【アワードインタビュー第1弾】

EC・通販事業者向けのメディア「ネットショップ担当者フォーラム」は、EC業界で活躍する「人」にフォーカスし、企業や団体などで活躍している個人を表彰する「ネットショップ担当者アワード」を2023年に立ち上げた。2024年の11月には、第2回「アワード」の表彰式を開催する。アワードを支える4人の有識者が、EC業界の成長に貢献する「ネットショップ担当者アワード」の全ぼうを解説。さらに、アワードに関連して昨今のEC業界についてや、自身の経歴やノウハウを語り合う。選考委員は、中島郁氏(委員長)、大西理氏、逸見光次郎氏、石川森生氏。

※今回の記事では中島氏、大西氏、石川氏が登場。逸見氏は今後の記事で登場します。お楽しみに!

「ネットショップ担当者アワード」は、通販・EC事業者向けのメディア「ネットショップ担当者」フォーラムが主催する顕彰です。詳しくはコチラ、または下の画像をクリックしてください!

インプレス ネットショップ担当者フォーラム ネットショップ担当者アワード
画像をクリックで「ネットショップ担当者アワード」の詳細ページにアクセスします

EC業界で成長中の“人”を顕彰する「ネットショップ担当者アワード」とは?

【選考委員長】中島 郁 氏/ネクトラス株式会社 代表取締役【選考委員長】中島 郁 氏/ネクトラス株式会社 代表取締役

【選考委員】大西 理 氏/スマイルエックス合同会社 代表【選考委員】大西 理 氏/スマイルエックス合同会社 代表

【選考委員】石川 森生 氏/ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌、オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、トレンダーズ株式会社 社外取締役、株式会社RESORT代表取締役CEO 他【選考委員】石川 森生 氏/ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌、オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、トレンダーズ株式会社 社外取締役、株式会社RESORT代表取締役CEO 他

【選考委員】逸見 光次郎 氏/株式会社CaTラボ 代表、オムニチャネルコンサルタント、日本オムニチャネル協会 理事【選考委員】逸見 光次郎 氏/株式会社CaTラボ 代表、オムニチャネルコンサルタント、日本オムニチャネル協会 理事

ECで活躍しているが、まだ世の中では見つかっていない人にスポットライトを当てる

――「ネットショップ担当者アワード」とは、EC業界で「頑張っている人」「成果を出している人」を表彰するアワードです。選考委員の皆さんは、具体的にはどのようなことに取り組んでいる人を応援したいと考えていますか。

【選考委員長】中島 郁 氏/ネクトラス株式会社 代表取締役中島郁氏(以下、中島氏):所属している企業のEC事業における売上高、成長性、利益に貢献している人や、EC事業に関連して今までとは違うやり方によって周りから「頑張っている」と評価されているような人。社外でのセミナー登壇の実績はないなど、「外部に知られていなくてもECで頑張っている人」を拾い出していくのがアワードの目的であり、目立っていなかった人を見つけ出し、スポットライトを当てていくことがアワードの役割だと思っている。

【選考委員長】ネクトラス株式会社 代表取締役 中島 郁 氏
【選考委員長】ネクトラス株式会社 代表取締役 中島 郁 氏
新規事業立ち上げ、急成長事業マネジメントのプロフェッショナル。ベンチャー、外資、老舗にて、事業立上げ、急成長ビジネスの責任者を歴任。関与分野は、小売、EC、インターネット、メディア、アウトソーシングを含むサービス業等。
トイザらスではマーケティング部門立上げ、EC専業法人設立。ジュピターショップチャンネル執行役員(EC、テレビ編成及びマーケティング)本部長を経て、世界最大のECサービス企業GSI Commerce(eBay Enterprise)アジア太平洋担当副社長兼日本法人社長。三越伊勢丹では役員兼Web事業部長として、EC・情報メディアなどの構築、オムニチャンネル導入を担当。米国Babson College MBA。
おそらく大規模EC・オムニチャネル3社で事業責任者に携わった国内唯一の経験者。ベンチャーから大企業までのコンサルティング、アドバイス、顧問、業務支援に携わっている。

【選考委員】大西 理 氏/スマイルエックス合同会社 代表大西理氏(以下、大西氏):所属する組織のEC事業でバリバリ活躍しているが、社外では知名度がなく、目立っていない人は多い。そのように世に出てきていない人や、EC事業のチームのまとめ役となっているが、世の中ではまだ見つかっていない人を「ネットショップ担当者アワード」で発掘していきたい。顕彰することで、社外からはもちろん、社内からも改めて認められることになる。EC業界で活躍する個人やチームが、売上アップにつながる“地に足の付いた”ことをECでしっかり推進しているということを、「ネットショップ担当者アワード」を通じて知らしめ、引き出していきたい。

※編注:第1回「ネットショップ担当者アワード」では、EC業界で活躍する個人のほか、チーム単位でも顕彰しました。2024年開催の第2回「ネットショップ担当者アワード」でも、個人だけでなく、チーム単位での自己推薦・他者推薦も受け付けています。
【選考委員】スマイルエックス合同会社 代表 大西 理 氏
【選考委員】スマイルエックス合同会社 代表 大西 理 氏
カタログ総合通販・株式会社セシールにてEC事業立ち上げ後、デジタルマーケティング全般に従事。その後、文具メーカー、化粧品通販、ファッション雑貨小売、アパレルなど複数の業界でECを中心にデジタルマーケティング/コミュニケーション/ブランディング/CRM領域のマネジメントなど幅広い領域を担当。現在はその経験を生かし、BtoC、BtoB問わず、EC/マーケティング領域の課題整理や事業支援、チーム育成などの企業支援に携わる。

【選考委員】石川 森生 氏/ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌、オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、トレンダーズ株式会社 社外取締役、株式会社RESORT代表取締役CEO 他石川森生氏(以下、石川氏):顕彰されることによって、EC担当者のモチベーションアップにつながるのではないか。また、授賞式や交流会・懇親会の場を通じて横のつながりを持つことができ、ひいては自身のスキルアップを図ることができる。

※編注:「ネットショップ担当者アワード」は、2024年も11月に表彰式を開催。同日に、受賞者や選考委員が交流できる「交流会」や、他の通販・EC事業者とつながりを持つ機会となる「懇親会」を開催します。授賞式と懇親会は、受賞者だけでなく、一般の通販・EC事業者も無料で参加可能です
【選考委員】ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌/オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)/トレンダーズ株式会社 社外取締役/株式会社RESORT代表取締役CEO 他 石川 森生 氏
【選考委員】ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌/オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)/トレンダーズ株式会社 社外取締役/株式会社RESORT代表取締役CEO 他 石川 森生 氏
新卒でSBIホールディングス入社、SBIナビ(現・ナビプラス)を創業、多くのマーチャントのECサイトグロースに携わる。その後、自身も事業会社の道に。ファッション通販サイト「マガシーク」のマーケティング部長、製菓製パンECサイト「cotta」を運営する株式会社TUKURU代表取締役社長、株式会社DINOS CORPORATION CECO(Chief e-Commerce Officer)を歴任。現在はオルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、株式会社RESORT 代表取締役CEO、トレンダーズ株式会社 社外取締役、ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー長&EC事業部責任者などを兼任する傍ら、複数の成長ベンチャーにハンズオンによるエンジェル投資を実施。常に実戦の中でEC事業の成長を再現し続けている。

EC業界の人材が育つアワードをめざす

――「ネットショップ担当者アワード」の選考委員を引き受けた理由は。

【選考委員長】中島 郁 氏/ネクトラス株式会社 代表取締役中島氏EC事業に従事する担当者は、慢性的な人手不足に陥っている。それを改善する一助としては、人材を育成するしかない。「ネットショップ担当者アワード」の顕彰で、EC担当者にフォーカスすることで、EC担当者を育成しようと考える企業や人は増えていく可能性がある。ひいては、EC事業における人手確保につながるはずだ。

【選考委員】大西 理 氏/スマイルエックス合同会社 代表大西氏:自分自身は1998年頃からECを経験し始めた。現在の私があるのはECと出会ったからだと思っている。ECに従事することで目の前が開けたし、ビジネスの捉え方も良い意味で変わってきた。EC事業をきちんと頑張っている人を、世間的にも認めてもらえるようなステージに引き上げていくことは、自分を支えてくれた人たちやEC業界への恩返しにもつながっていくと思っている。

【選考委員】石川 森生 氏/ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌、オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、トレンダーズ株式会社 社外取締役、株式会社RESORT代表取締役CEO 他石川氏:ここ10年間、自分はずっと「ECを手がける若手」という位置付けで見られているような気がする。自分よりも若い人で、業界の最前線に出てくる人たちがあまりいないからだ。10年前からこのような状況が変わらないのは健全とは言えない。若い人たちにももっと目立つところに出てきてほしいし、その人たちを育成していきたい

ECは「伸びしろしかない」

――現在のEC業界に対して思うことや感じていること、「こんなふうになってほしい」と思うEC業界の将来像を教えてください。

【選考委員長】中島 郁 氏/ネクトラス株式会社 代表取締役中島氏:EC事業に新規参入する企業は後を絶たないが、本気でECに取り組むことができていなかったり、事業運営がうまくいっていなかったりする事業者も少なくない。しかし、そうした課題を持つ事業者でも、少しでも考え方を転換していけば状況は変わる。EC業界という切り口で、新しいことができる人材を育成したいし、受け身ではなく自分で考えて自分で進められる人材を育てていきたい

ECという業態は小売りのなかでは後発。事業規模が小さくて確立されていないため、言い換えれば、経営から実務まですべてを俯瞰(ふかん)できる仕事だと思う。業績が伸びていない小さい事業者でも伸ばしていける。他社のEC担当者の話を聞く、あるいは評価されているところを見ることで、その事例を追いかけていく、教わっていくような状況をアワードで作っていきたい。

【選考委員】大西 理 氏/スマイルエックス合同会社 代表大西氏:ECに関わってしっかり事業を進めてキャリアを積む人は、自然と商売の本質を体感・経験することができる。SEOやSNSといった一部分だけではなく、事業全体を見ることで、ECに関する業務が身体・頭に染みついていく。そういう人を1人でも輩出したいし、羽ばたいていってもらいたい。最終的にEC事業の出身者が企業のトップに立つような状況を作っていきたいし、そのような人にはEC業界から離れずに、EC業態を維持したまま頑張ってほしい。

【選考委員】石川 森生 氏/ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌、オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、トレンダーズ株式会社 社外取締役、株式会社RESORT代表取締役CEO 他石川氏ECは今後も伸びしろしかないと思っている。国内のEC化率はまだ10%に満たないし、まだまだ伸びる。そんな業界で慢性的な人材不足になっているのは本来おかしな話だ。

製造業などのDXが進んでいるが、その中心にはECが絶対に出てくるはずだ。店舗だけに頼るビジネスモデルは長期的な継続が難しい。ECが中心となっていく未来があるはずだ。産業としてECを見たときに、今後の投資先としても有望株だと思っている。

アワードに自薦・他薦で応募するメリット

――「ネットショップ担当者アワード」への応募あるいは受賞するメリットとして、どのようなことが考えられますか。

【選考委員長】中島 郁 氏/ネクトラス株式会社 代表取締役中島氏:受賞者のメリットと、受賞者が所属している部署のメリット、会社全体のメリットはそれぞれ異なる。「ネットショップ担当者アワード」を受賞することで人材流出につながる可能性がある、という懸念を抱きやすいかもしれないが、視座を高くすると、業界全体で人材の流動性が上がる方が、会社としてもEC事業で必要な人材を採用しやすくなる

人材不足の今、必要な人材を思うように採用できない企業が多いが、ジョブマーケットが成り立つことで、企業、業界全体にもメリットが生じてくる。たとえば、商品開発や店頭の接客に携わったことがある人がEC業務にも親しむようになると、これまでの経験がアドバンテージとなり、成長性や成果が早く見込める。

人に焦点を当てる顕彰の存在を通じてEC業界での活躍に憧れ、「自社のEC部門に異動したい」と考える人を輩出するためにも、「ネットショップ担当者アワード」の存在が役立つようになる。

2023年11月に東京・虎ノ門で実施した「ネットショップ担当者アワード」第1回授賞式の受賞者(前列4人)と選考委員(後列4人)
2023年11月に東京・虎ノ門で実施した「ネットショップ担当者アワード」第1回授賞式の受賞者(前列4人)と選考委員(後列4人)

【選考委員】大西 理 氏/スマイルエックス合同会社 代表大西氏:EC業務に日々尽力している人たちの社内評価の点では、残念ながら上司が充分に理解できていない部分がある。「ネットショップ担当者アワード」を受賞して表彰されると、「ネットショップ担当者フォーラム」をはじめとするさまざまなメディアで記事化されたり、セミナー登壇や講演といった打診を受けたりして、外部への露出が増えるだろう。それにより、ECに対する社内の理解も深まる。ひいては、ECチーム全体のモチベーションが上がるし、チームリーダーが表彰されるとチームのメンバーが喜んでくれる

外部で講演する機会が増えると、自分がこれまでにやってきたこと、やっていることの正確な整理が必要になり、インプットの質を高めていく必要がある。さらにそれをアウトプットする能力も求められるので、ビジネスマンとしての質が高まる

【選考委員】石川 森生 氏/ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌、オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、トレンダーズ株式会社 社外取締役、株式会社RESORT代表取締役CEO 他石川氏:アワードの受賞や、それを起点とした外部での露出が増えることは組織に良い影響があることはその通りだ。人材採用の機会にもつながる

私がこれまでに所属していた老舗通販企業ではわかりやすくそれが現れていた。外部のセミナーに登壇したEC部門の人と一緒に働きたいという人もいるし、企業の存在感を高めたり、従業員のモチベーションアップにもつながったりしていた

外部での登壇や露出が多かった私に対しても、「(石川氏の)存在が自社のEC部門の象徴だったと思っている」「現場のやる気につながっていた」といったメッセージを社内からもらったことがある。そういう事例にもつながっていくと思う。

選考委員から見た昨今のEC業界

近年のEC業界が直面している課題とは?

――各産業・各業界で人手不足がさけばれていますが、EC業界も同様です。人手不足、ひいては既存の人材の育成という観点で、どのような課題があると思いますか。

【選考委員長】中島 郁 氏/ネクトラス株式会社 代表取締役中島氏EC業界の人材は決定的に不足している。事業者は採用活動を続けながら既存社員を内部で育成するしかないし、こうした人手不足の現状を変えていかないとジョブマーケットから採用できない。

【選考委員】大西 理 氏/スマイルエックス合同会社 代表大西氏:会社が自社のEC組織と人材をうまく評価できていなかったり、育成できていなかったりすることが見受けられる。そこを是正できないかと常に考えている。

事業規模の大小に関わらず、ECに重点を置くなら全社をあげて「どう推進していくか」をもっと考えていくべきではないかと思っている。

たとえば、会社としてECに力を入れなければいけないのに、エース級の人材が他部署に異動させられるといったことがあっては組織全体の成長を阻むことになるので、由々しき問題だ。エース級の人材が異動させられてしまうという痛手は、私自身が過去にそういう経験をしたことがある。

選考委員の大西氏
選考委員の大西氏

【選考委員長】中島 郁 氏/ネクトラス株式会社 代表取締役中島氏:会社や経営陣が、EC事業の担当にエース級の人材を異動させようという姿勢を持っていない場合もある。本当は、外部でも活躍できるくらいにECの人材を育成して、本人が外部に行きたがらない環境を作ることが重要だ。

新しいことを調べて、考えて、施策のめどを付けて、計画して、やったことを正しく評価できる人は、実は多くない。たとえば、「セールスマネージャーにはEC部門の仕事を経験しないとなれない」といった組織体制になってほしいし、人材育成においてはそれが必要だと思う。

【選考委員】石川 森生 氏/ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌、オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、トレンダーズ株式会社 社外取締役、株式会社RESORT代表取締役CEO 他石川氏:人材を「ECのスペシャリスト」として育成するべきかどうかは悩むところ。EC業界でキャリアを積みたいと思っている人に対しては、ECの運営に必要なさまざまな知見を積み重ね、経験していけるような育成スキームも考えなければいけない。

――EC業界の人材育成、発掘という文脈では「ネットショップ担当者アワード」をどのように位置付けていきますか。

【選考委員長】中島 郁 氏/ネクトラス株式会社 代表取締役中島氏EC業界で活躍する人材のロールモデルとして発掘し、受賞者のキャリアアップなどにつなげていく、あるいは業界内で優秀な人材をシェアしていく。「ネットショップ担当者アワード」を主催する「ネットショップ担当者フォーラム」が、メディアという中立の立場で選考委員と共に受賞者を選出して、EC業界の人材育成につなげていきたい。

第1回「ネットショップ担当者アワード」でMVPとなったマッシュスタイルラボ EC事業本部 EC事業部長の今井貴大氏(左)と、選考委員長の中島氏
第1回「ネットショップ担当者アワード」でMVPとなったマッシュスタイルラボ EC事業本部 EC事業部長の今井貴大氏(左)と、選考委員長の中島氏

【選考委員】大西 理 氏/スマイルエックス合同会社 代表大西氏:中島さんの考え方にも通ずるところがあるが、「ネットショップ担当者アワード」の本質は、ECで活躍する人の存在感を高めるきっかけになることだと思っている。「リアルとネットの両方に造詣があってECが好き」といった人が活躍できる、あるいは「オンラインがメインであるECで働いているけれど、人とのコミュニケーションが好き」な人が、アワードをきっかけにECに興味を持って業界に入ってきてもらえるようにしたい。

【選考委員】石川 森生 氏/ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌、オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、トレンダーズ株式会社 社外取締役、株式会社RESORT代表取締役CEO 他石川氏:「前職は異業種だった」「店舗で販売スタッフとして働いていた」「商品開発に携わっていた」といった経歴がある人はECでも活躍しやすいと思っている。他業務を経験しており、たとえば「販路が店舗だけだと売り上げをアップさせるのはきつい」「Webへの感度がないと事業運営はきつい」と考えている人の方が本質的に物事を考えられている。さまざまな自身の経験やノウハウを生かしつつ、ECでもチャレンジングな姿勢を持つ人の取り組みを表彰していきたい。

選考委員の石川氏
選考委員の石川氏

「ネットショップ担当者アワード」は、通販・EC事業者向けのメディア「ネットショップ担当者」フォーラムが主催する顕彰です。詳しくはコチラ、または下の画像をクリックしてください!

インプレス ネットショップ担当者フォーラム ネットショップ担当者アワード
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高野 真維

「Yahoo!ショッピング」が保険関連サービスを強化、複数商品で同時に保険加入可能に

1 year 4ヶ月 ago

LINEヤフーは、「Yahoo!ショッピング」で提供する保険サービスを強化した。ユーザーは「Yahoo!ショッピング」で複数商品を同時に購入する際に注文を分割せずに、保険への加入をできるようにした。これまでは、同時に複数商品への保険加入ができなかった。

機能強化したのは、「Yahoo! JAPAN」のサービス上でユーザーのニーズに沿った最適な保険商品を提案する「PayPayほけん シナリオ保険」。PayPay保険サービス、Zフィナンシャルが提供。新品家電・中古スマホ・中古家電向けの「あんしん修理」、家具の「あんしん修理」「あんしん自転車」、車・タイヤの「あんしん修理」といった「Yahoo!ショッピング」で購入した商品に関して保険に加入できるサービスを展開している。

「シナリオ保険」のなかでも、「Yahoo!ショッピング」で購入した商品を補償する「あんしん修理」は、1日で最大4.2万件の加入を記録するなど人気が高い。家電製品カテゴリの冷暖房器具・空調家電やキッチン家電、生活家電を購入する際に加入することが多いという。

これまで、「シナリオ保険」は「Yahoo!ショッピング」のカート内1種の商品を対象としていた。機能の進化により、複数商品での同時加入を可能にした。ユーザーは「Yahoo!ショッピング」で複数商品を同時に購入する際に注文を分割せずに、保険加入ができるようになった。

「Yahoo!ショッピング」が保険関連サービスを強化、複数商品で同時に保険加入可能に
複数商品で購入と保険加入を行う際の画面イメージ

また、家電リサイクル法で定められた「リサイクル券」の購入にも新たに対応し、保険加入と同時にできるようにした。冷暖房器具や衣類乾燥機などの大型家電製品の購入の際にも最適という。

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鳥栖 剛

「部分一致」を「インテントマッチ」に改称

1 year 4ヶ月 ago

LINEヤフーとグーグルはそれぞれ、検索広告の「部分一致」の名称を「インテントマッチ」に変更する。英語の名称は「Broad Match」のまま変更はない。

LINEヤフー:【検索広告】マッチタイプ「部分一致」の名称変更について
https://ads-developers.yahoo.co.jp/ja/ads-api/announcement/240711.html
グーグル:検索広告の部分一致を「インテントマッチ」へ改称した理由とは
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/consumer-insights/consumer-trends/why-intent-match/

noreply@blogger.com (Kenji)

小規模イベント主催者がセルフ型でチケット販売できる「楽天チケットmini」とは? チケット販売、入場管理までをサポート

1 year 4ヶ月 ago

楽天チケットは7月17日、イベント主催者が簡単にチケットを販売管理できるシステム「楽天チケットmini」の提供を開始した。「セルフオンボーディング」方式を採用し、チケット販売管理から売上管理、入場管理までをサポートする。

「楽天チケットmini」は、イベント概要とチケット情報、「楽天チケット」のWebサイト上に掲載するイベントページの公開日を登録するだけで、1イベントにつき最大1000枚まで「楽天チケット」でチケット販売管理できるチケット販売管理システム。

チケットの種別はWebチケットのみで、座席形態は自由席となる。サービス利用料はチケット売上(税込)の4.9%。利用には無料で登録できる法人用楽天ID「Rakuten for Business」が必要となる。「楽天チケットmini」の初回の利用申し込み時には、イベント主催者に対する審査がある。

主催者は「楽天チケットmini」上のイベント詳細ページにおいて、チケットの販売枚数や売り上げ、イベント当日の入場者数をリアルタイムで閲覧できる。イベント開催前日正午からイベントの終演時間まではチケット購入者のリストのダウンロード可能。売上金は、イベント終了後に終了報告を行い、売上金の支払いを申請する。チケットの払い戻しにも対応できる。

「楽天チケットmini」の管理画面イメージ
「楽天チケットmini」の管理画面イメージ

 「楽天チケットmini」は、「楽天エコシステム(経済圏)」を活用したイベントの周知やチケットの販売促進ができることがメリット。購入側は「楽天ポイント」を獲得できる。

楽天チケットでは、「推し活」市場が拡大しイベントの内容や規模が多様化するなか、小規模のイベントでも手軽に「楽天チケット」を活用してチケット販売を実施できるよう「楽天チケットmini」の提供を決めた。今後も、幅広いユーザーに向けて新たなエンターテインメント体験の提供と事業者の課題解決を図っていくとしている。

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鳥栖 剛

ささげ情報をクラウド上で一括管理して業務を効率化するAMSのクラウドサービス「PICO」とは

1 year 4ヶ月 ago

EC運用の業務を一気通貫でサポートするAMSは7月18日、ささげ(撮影・採寸・原稿)業務の情報を一括管理するクラウドサービス「PICO」の提供を始めた。EC実施企業は月額1万円から利用できる。

EC運用の業務を一気通貫でサポートするAMSは7月18日、ささげ(撮影・採寸・原稿)業務の情報を一括管理するクラウドサービス「PICO」の提供を始めた
「PICO」ではささげ業務の作業工数33%削減につなげたケースも

「PICO」は、ささげ業務の作業工程のスリム化や進捗を可視化するクラウドサービスで、クラウド上で管理する。ささげ業務の作業工数を33%削減したケースがあるという。

多階層のタグ付けや検索機能で画像情報も簡単に管理・検索でき、画像の紛失も防止する。複数の場所から同時に作業でき、メッセージ機能を使ってリアルタイムで同じ商品を確認しながら進めることもできる。

ドラッグ&ドロップで簡単にリネームできる機能も実装。自社EC、外部モールとそれぞれ対応が必要だった更新作業も一括編集できるため、工数削減と運営の効率化を実現できるという。

ささげ管理ツール「PICO」の主な特徴は次の通り。

  • 撮影進捗・工程管理
  • コンテンツ管理
  • 自社EC・外部モール管理
  • セキュリティ対策
  • コストパフォーマンス

撮影進捗・工程管理

撮影進捗や工程管理を見える化し、撮影漏れやダブりを防止する。「作業集計機能」を設け、工程ごとの対応工数をリアルタイムで表示、改善ポイントを可視化する。ダッシュボードではカメラマンの撮影状況や画像加工の進捗を一覧化。業務タスクをステータス管理し、何から作業すべきかが一目瞭然でわかるようにしている。また複数拠点でのリアルタイム処理にも対応。複数に分かれている作業も同時進行・進捗管理できる。

EC運用の業務を一気通貫でサポートするAMSは7月18日、ささげ(撮影・採寸・原稿)業務の情報を一括管理するクラウドサービス「PICO」の提供を始めた
同時並行で進む作業もリアルタイム処理できる

コンテンツ管理

直感的なUIなどにより画像の管理と検索を簡単にできるようにしている。ドラッグ&ドロップで画像アップロードとリネームができ、フォルダ作成やFTP送信作業を削減する。「画像検索機能」を搭載しており、コンテンツの保存と検索がどこからでもできる。

自社EC・外部モール管理

編集した画像や原稿を自社ECサイトや外部モールへ一括で入稿できるようにしている。原稿更新作業の一括管理も可能。「Shopify」「ネクストエンジン」と連携しており、設定不要で簡単に自動連携し、外部モールの情報も一括管理を可能としている。

そのほか、セキュリティ対策面では2要素認証、アカウント自動ロック機能を搭載。運用時のセキュリティトラブルを回避する。利用料はSKU数に応じてプランが選べる。月額1万円から利用できる。

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鳥栖 剛

アマゾン「プライムデー」で決済・ポイント還元キャンペーンを展開/イオンのセール企画「イオン 超!ナツ夏祭り」とは?【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

1 year 4ヶ月 ago
2024年7月12日~2024年7月18日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 【アマゾンの「プライムデー」】「PayPay」コラボ、最大15%のポイント還元、「Amazon Pay」決済でギフトカード進呈などのキャンペーン実施

    「Amazonプライム」会員限定セール「プライムデー」(7月16日0時から7月17日23時59分)では、セール当日や前後期間でさまざまな決済・ポイント還元キャンペーンを展開する。

    2024/7/15
  2. アマゾンの「プライムデー」で「Amazon Pay」もキャンペーン。自社ECでの買い物で最大10万円分還元の「Amazonギフトカード大還元祭」

    AmazonのID決済サービス「Amazon Pay」でも、「プライムデー」にあわせたキャンペーン「Amazonギフトカード大還元祭」を実施。期間中に「Amazon Pay」を使って1000円以上の決済をすると、プライム会員は最大10万円分のAmazonギフトカードが抽選で当たる。

    2024/7/12
  3. イオンの夏の消費を盛り上げるセール企画「イオン 超!ナツ夏祭り」とは? 実店舗とネットで展開

    米国ではAmazonが7月に実施するプライム会員向けセール「プライムデー」の前後に、ウォルマート、ターゲットなどの小売事業者、EC企業など多くの企業がセール企画を展開している。

    2024/7/12
  4. KDDIグループの「au PAY マーケット」、最大34%ポイント還元「ポイント交換所 大還元祭」

    Pontaポイントを最大1.5倍に交換する「お得なポイント交換所」において、ポイント還元を拡大する還元祭を実施する

    2024/7/17
     
  5. 「あなたの為 今日も走るんだ みんなの生活を守るために」。トラックドライバー応援歌を三重の運送業者が「YouTube」で公開

    物流の2024年問題に関連してマイナス面がクローズアップされることは少なくない。トラックドライバーのイメージアップなどに向けて三重県の運送業者・カワキタエクスプレスがトラックドライバーの応援歌を制作、「YouTube」で公開した。

    2024/7/16
     
  6. Amazonが日本最大の再エネ購入企業に。国内の大規模風力発電所・太陽光発電所に投資

    Amazonが青森の大規模陸上風力発電所と、山口の大規模太陽光発電所に投資する。陸上風力発電所と単体の大規模太陽光発電所への投資は、Amazonとして日本で初めての取り組み。

    2024/7/17
     
  7. 佐川急便が「置き配」を本格展開、スマートクラブ会員やLINE公式アカウント経由の荷物が対象

    佐川急便の「置き配」の対象は、対象は、登録無料の会員制Webサービス「スマートクラブ」会員、LINE公式アカウントを通じて依頼してきた荷物など。

    2024/7/12
     
  8. 「Ponta経済圏」拡大に向けたKDDIグループのECモール「auPAYマーケット」の戦略は? auコマース&ライフ新社長に聞く

    競合のモールに比べて伸び悩んでいる、auコマース&ライフの「auPAYマーケット」。巻き返しに向けての図っている取り組みや今後の構想を桑田祐二新社長に聞く

    2024/7/16
     
  9. 中国発越境ECモール「Temu」での商品購入で「Pontaポイント」、ロイヤリティ マーケティングが提携サービス

    特設ページを経由して「Temu」で商品を購入すると、「Pontaポイント」を付与する取り組みを始めた

    2024/7/17
     
  10. バニッシュが始めた“ファン参加型のEC運営”で人材不足解消をめざす仕組みとは? <発表会にビームス設楽社長も登壇>

    バニッシュ・スタンダードは、企業の人材不足解消および、商品やブランドの効率的な訴求につながる新サービスをローンチした。その詳細と、発表会に登壇したビームスの設楽社長のコメントをまとめて紹介する

    2024/7/17
     

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

藤田遥

自社ECを伸ばし続けるTENTIALに学ぶAIを活用した顧客満足度UP+リピーター促進のポイントなどが学べる無料ECセミナー【7/24+7/25開催】

1 year 4ヶ月 ago
ECで実績をあげている著名な企業の担当者や有識者が、聴講者の事業拡大のヒントにつながるノウハウを講演するイベント「Digital Commerce Frontier 2024」を7月24日(水)+25日(木)にオンラインで開催。19講演すべて無料で聴講できます

7月24日(水)+25日(木)に開催する「Digital Commerce Frontier 2024」(オンライン開催)は、EC成功事例やAI活用などの「Internet Retailing」、DXや法人向けECなどの「BtoB-EC&DX」の2軸をテーマに、パルのAI活用、ミレージャパンのEC成長戦略、AmazonやTENTIAL、中国発EC「SHEIN」のサプライチェーン大解説、楽天グループのリテールメディア事例など全19講演を用意しました。すべて無料で聴講できます。

ネットショップ担当者フォーラム 2024 春

「Digital Commerce Frontier 2024」は、リテールビジネス、BtoC-EC、BtoB-EC、メーカーECなどデジタルコマースに携わる経営者・責任者・担当者に対し、AIやリテールテックなどの最新トレンド、最先端テクノロジー活用、事例、最新ソリューションなどをお届けするイベントです。

まだお申し込みをしていない方のために、編集部お勧め講演の見どころをご紹介します。

Digital Commerce Frontier 2024

見どころ⑨ リカバリーウェア「BAKUNE」で急上昇中のTENTIALに学ぶ、事業に活かす生成AI活用術。 ~データやCSのAI活用でLTVアップにつながる仕組みとは?~

14:00~14:45 KA2-4 ゼネラルセション

一般医療機器パジャマなどの「BAKUNE」をはじめとしたコンディショニングアイテムを展開するTENTIALの自社EC事業が伸び続けています。その理由の1つに、生成AIの活用が成功していることがあげられます。たとえば、問い合わせ経由の顧客を捉えた顧客満足度アップ+リピーター化、10万件近くの自社データ分析による、顧客ファーストのECを実現する組織作りなどがあげられます。

EC事業における生成AIの活用や効率化に関心がある人、エンジニア組織やデータサイエンスを活用している人にオススメのセッションです!

株式会社TENTIAL テクノロジー本部 本部長・執行役員(CTO) 市来晟弥氏
株式会社TENTIAL テクノロジー本部 本部長・執行役員(CTO) 市来晟弥氏
大学在学中にエンジニア集団の会社を立ち上げ、さまざまな企業の技術部門をサポート。株式会社3ミニッツではリードエンジニアとして創業期からM&Aを経験。2019年、ウェルネス領域で事業展開をしている株式会社TENTIALに参画。執行役員CTOとして全社を横断しながら自社ECを用いたデータ活用などD2C領域のテクノロジー活用の他、健康データの解析などにも注力している。
Digital Commerce Frontier 2024

8月1日(木)に「ネッ担 Meetup Vol.6」(懇親会)をリアルで開催!

8月1日(木)18:30~20:30に、EC事業者さん限定&先着60人で懇親会を実施します。開催は東京都・渋谷近辺を予定しています。

Eコマースに関するさまざまな情報交換ができる場です。EC事業者のコミュニティを作り、悩みや課題、アイディアを共有し絆を深めていただきます。「他の事業者さんの取り組みが知りたい」「横のつながり作りをしたい」といった方、ぜひご参加下さい!

プレゼント抽選会もご用意しています。皆さまのご参加をお待ちしています!

◇◇◇

次回はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

「G-SHOCK」のカシオがCVR最大40%を達成したEC改善施策とは? 「AI活用」「検索機能+レコメンド改善」など施策まとめ | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

1 year 4ヶ月 ago
ECサイトの改善に成功しているCasio UK。CVRアップや運営改善につながった施策を掘り下げて解説する

時計ブランド「G-SHOCK」などを販売するCasio UKのECサイト改善事例を解説します。Casio UKは、消費者が適切な商品を素早く見つけられるようにするため商品レコメンド機能を利用。また、サイト全体のどこにお勧め商品を表示するのが最も効果的なのかをA/Bテストするなどして、サイトの最適化を進めています。

直販を進めるCasio UKのEC改善施策

Casioは卸売りも手がけ行っていますが、CasioのECサイトや「G-SHOCK」のブランド公式サイトからの直販に注力。次の地域において、時計、電卓、楽器を販売するECサイトを運営しています。

  • 北米
  • ラテンアメリカ
  • ヨーロッパ(英国およびアイルランド向けの別サイトを含む)
  • 中東・アフリカ
  • アジア・オセアニア

英国とアイルランドのCasioの顧客のうち、約75%はスマホ版ECサイトで買い物をしています。しかし、画面サイズが小さいスマートフォンで商品を探すのは難しいため、Casio UKのECサイトと「G-SHOCK」のブランド公式サイトでは、コンバージョン率を高めるためにコンテンツのパーソナライゼーション、人工知能(AI)を活用した検索を取り入れています。現在のところ、この取り組みはうまく機能しているようです。

「G-SHOCK」のブランド公式サイト(画像はサイトから編集部がキャプチャ)
「G-SHOCK」のブランド公式サイト(画像はサイトから編集部がキャプチャ)

「在庫表示」などの切迫感メッセージでCVR18%

コンバージョン率を高める1つの方法は、切迫感を作り出すことです。Casio UKは、自社のWebサイトでFOMO(顧客が買い逃ししている恐れがあること)メッセージを表示するテストを実施しました。

Casio UKのeコマースマネージャー、モニーク・グリーン氏は、米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』に対して、在庫数10個以下のSKUには「ラストチャンス」「在庫は残り5個」といったメッセージを表示すると話します。この方法によりコンバージョン率が18%に上昇したそうです。

ECサイトからの離脱前に割引コードのポップアップを表示

Nosto社の機能を使い、英国で運営するCasioと「G-SHOCK」のECサイトで割引コードを提供するポップアップメッセージを表示するキャンペーンを実施したところ、コンバージョン率40%を達成しました。

このキャンペーンは、消費者が商品名などをコピー&ペーストし、他のサイトで同じ商品を購入することを目的にオンライン検索する可能性が生じた際、割引コードのポップアップメッセージを表示するというものです。

買い物客が製品SKUをコピーすると、割引コードを提供するポップアップを表示する(画像はNosto社のWebサイトからキャプチャ)
買い物客が製品SKUをコピーすると、割引コードを提供するポップアップを表示する(画像はNosto社のWebサイトからキャプチャ)

Casio UKのデジタル部門責任者であるダニー・パワー氏は『Digital Commerce 360』に対し、「より消費者を深く理解して、求められるコンテンツを提供するために、過去5年間はとにかくDTC(直販)の改善に力を入れてきました」と説明しています。

パワー氏は「コロナ禍の時期には、Casio UKのECサイトで直接買い物をする消費者がたくさんいましたが、ここ数年でその数は減少。ピーク時のレベルに戻りつつあります」と付け加えます。

コロナ禍では倉庫が閉鎖されたため、在庫を小売店の棚に並べたり補充したりすることが難しく、消費者はコロナ禍の間、商品をオンラインで購入するしかありませんでした。(パワー氏)

Casio UKのECサイトでは、Nosto社のツールを使ってポップアップを表示し、再度サイトを訪れたユーザーに対して前回の続きからショッピングを再開することを提案。このポップアップによって、ユーザーをすでに訪れたことのあるページに誘導し、コンバージョンを促しています

ECサイトにバナーを貼る場合は、自動ではなく自分で手を動かしてバナーをアップしますよね。しかし、PLP(ユーザーがキーワード検索した際、優先的にユーザーに見せたいページ)の管理によって、在庫が切れた商品は最後の方に表示できます。それは、買うことのできない品切れの商品を見たいとは思わないからです。サイト内のユーザー行動の90%程度はバックヤード側で操作できているのです。(パワー氏)

AIを活用して商品リストを自動的に並べ替え、クリックスルー率とコンバージョン率の高い商品を優先し、在庫切れの商品を降格させる(画像はNosto社のWebサイトからキャプチャ)
AIを活用して商品リストを自動的に並べ替え、クリックスルー率とコンバージョン率の高い商品を優先し、在庫切れの商品を降格させる(画像はNosto社のWebサイトからキャプチャ)

レコメンデーションで売上アップ

Nosto社のレコメンド機能を利用し、さらにA/Bテストを通じてレコメンドの表示される場所を最適化しています。このほかにも、商品一覧ページで、特定の商品の新モデルが発売されたことを通知することもあります。このようなサイトの最適化は売上アップに寄与しており、「G-Shock」の英国サイトでは売り上げのうち26%、Casio UKのECサイトでは売り上げのうち11%に貢献しています。

Casio UKのECサイトには、商品を後で見るために保存したり、他の商品と比較したりする機能はありませんが、消費者がサイトを閲覧しているときに、ページ下部に最近見た商品を表示しています。

商品詳細ページにも工夫があります。たとえば「G-Shock」でベストセラーの“GA 2100”は4色展開です。従来は商品をクリックすると、クリックされた色の商品だけが表示されていました。今は商品をクリックすると、商品詳細ページ上でさまざまなカラーバリエーションが表示されます(グリーン氏)

1つの商品をクリックすると、クリックした商品以外のカラーバリエーションが表示される(画像は「G-Shock」のブランド公式サイトから編集部がキャプチャ)
1つの商品をクリックすると、クリックした商品以外のカラーバリエーションが表示される(画像は「G-Shock」のブランド公式サイトから編集部がキャプチャ)

AIを活用した検索機能の改善

Casioでは、検索機能を改善する前は、商品データの処理が充分でなく、各商品の属性をスタッフが時間をかけて手作業でリンクさせない限り、複雑な検索クエリに対して適切な検索結果を表示させることができませんでした。

Nosto社のAIを活用した検索機能によって、消費者――特にモバイルユーザーは、色、形、商品名などの属性を入力することで、ECサイトで商品を簡単に見つけることができるようになりました。CasioのECサイトと「G-SHOCK UK」のサイト訪問者のうち12%は、購入までの過程で検索バーを利用しています。

ユーザー行動の可視化によるトラブルの特定

Casio UKはユーザー生成コンテンツに、イスラエルのYOTPO社が提供するECサイト向けレビューマーケティングツール「Yotpo」も利用しています。「Yotpo」を導入する企業は、レビュー、テキストメッセージ、Eメール、サブスクリプションプログラムなどを作成できます。

Casio UKはこのほか、サイト訪問者のページ内の動きを、動画やヒートマップで確認できるサイト分析ツール「Hotjar」も利用しています。「Hotjar」は仏Contentsquare社が手がけています。

サイトユーザーのヒートマップは、何がユーザーを困らせているのか、あるいはサイト内にバグがあるのかを確認するとき、特に役に立ちます。また、Webサイト上で何度クリックしても機能しないボタンがある場合、トラブルの原因を特定するのにも役立ちます。しかし、マニュアルで確認する必要があるため、特定にはかなり時間がかかります。(グリーン氏)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

テレビ通販最大手ショップチャンネル、テレビ画面表示を刷新

1 year 4ヶ月 ago

テレビ通販売上最大手のジュピターショップチャンネルは8月8日、テレビ通販の画面表示をリニューアルする。

放映時の画面デザインを変更する。現状のL字型グラフィック位置を見直し、商品紹介部分を見やすくする。画面左側のグラフィックの配置も変更し、スピーディに商品詳細情報、在庫情報を表示できるようにする。

テレビ通販売上最大手のジュピターショップチャンネルは8月8日、テレビ通販の画面表示をリニューアルする
画面デザインを変更した

また、商品の詳細情報と在庫状況を同一画面に集約して表示する。さらに、在庫状況の表示をシンプルにして、わかりやすくする。

テレビ通販売上最大手のジュピターショップチャンネルは8月8日、テレビ通販の画面表示をリニューアルする
商品の詳細情報と在庫状況を同一画面に集約

このほか、表示できる情報バリエーションを充実。番組で商品を紹介する際、サイズ、カラー情報をリアルタイムで表示できるようにするほか、顧客から要望が多かった、出演者(キャスト・ゲスト・モデル)の着用サイズ、身長、カラーなどの表示も可能にする。

テレビ画面の表示に関しては、以前からさまざまな要望が顧客から寄せられていた。顧客からの声を反映し、テレビ画面全体の調和と視認性をより考慮したグラフィックデザインにリニューアルすることにした。

ジュピターショップチャンネルは国内テレビ通販の最大手企業で、2024年3月期(2023年4月~2024年3月)売上高は前期比1.8%増の1583億5400万円。営業利益は前期比7.5%増の204億7600万円、経常利益は同7.3%増の208億5200万円、当期純利益は同6.8%増となる144億8900万円だった。

松原 沙甫

売上高200億円・営業利益10億円めざすアイケイHDの事業戦略とは? 韓国コスメやEC・海外展開を強化する中期経営計画を解説

1 year 4ヶ月 ago
IKホールディングス(アイケイHD)は中期経営計画「IK Way to2027」を策定。「韓国コスメの強化」「セールスマーケティング事業の基盤強化」「EC強化と海外事業の再チャレンジ」の3つを重点施策に掲げた。

生協への卸販売、通販、ECなどを手がけるIKホールディングス(アイケイHD)は中期経営計画(中計)「IK Way to2027」を策定、「韓国コスメの強化」「セールスマーケティング事業の基盤強化」「EC強化と海外事業の再チャレンジ」の3つを重点施策に掲げた。中計最終年度となる2027年5月期に連結売上高200億円、営業利益は10億円、調整後EBITDAは12億2000万円をめざす。

生協への卸販売、通販、ECなどを手がけるIKホールディングス(アイケイHD)は中期経営計画(中計)「IK Way to2027」を策定、「韓国コスメの強化」「セールスマーケティング事業の基盤強化」「EC強化と海外事業の再チャレンジ」の3つを重点施策に掲げた
経営目標(画像はアイケイHDのIR資料を編集部がキャプチャ)

アイケイHDは、アイケイが2022年12月に持株会社制へ移行する際に現社名へ変更。自社を、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行うマーケティングメーカーと位置付ける。

販売データ・広告効率・品質データ・製造効率などの過去データとトレンドをトータルで分析して商品を開発。主要顧客は50~70代のシニア世代。TVショッピング、EC、生協、通信販売、ドラッグストア、バラエティストアなど、多様な販売チャネルを持つ。

主となる事業セグメントは「セールスマーケティング事業」「ダイレクトマーケティング事業」。「セールスマーケティング事業」は生協向け商品開発・販売を行うアイケイ、海外向け商品の開発・販売を手がけるIK Tradingで構成。「ダイレクトマーケティング事業」は、TV通販を中心とした通販での商品開発を手がけるプライムダイレクト、韓国コスメ・化粧品販売のフードコスメで構成している。

生協への卸販売、通販、ECなどを手がけるIKホールディングス(アイケイHD)は中期経営計画(中計)「IK Way to2027」を策定、「韓国コスメの強化」「セールスマーケティング事業の基盤強化」「EC強化と海外事業の再チャレンジ」の3つを重点施策に掲げた
アイケイHDの事業構成(画像はアイケイHDのIR資料を編集部がキャプチャ)

2024年5月期の売上高は前期比0.9%減の140億4900万円、営業利益は3億4100万円(前期は2億2400万円の赤字)、経常利益は3億4000万円(前期には2億500万円の赤字)、当期純利益は2億2900万円(前期は4億6300万円の赤字)、調整後EBITDAは4億8000万円。事業セグメント別ではダイレクトマーケティング事業の売上高が同10.4%減の35億9200万円。セールスマーケティング事業が同3.2%減の61億5500万円だった。

アイケイHDでは2023年7月に公表した中計「IK Way to 2026」からローリングプラン(毎年見直し)による方法に変更。このほど 2025年5月期から2027年5月期までを対象とした中期経営計画「IK Way to 2027」を更新・策定。重点施策として次の3点を掲げた。

  • 韓国コスメのブーストアップ
  • セールスマーケティング事業の基盤強化
  • EC事業のスケールと、海外事業への再チャレンジ

韓国コスメのブーストアップ

「取扱高でNo.1を目指す」とし、2027年5月期に50億円規模をめざす。取り扱いブランドの拡大や、店舗販路の拡大、EC販路の拡大に取り組んでいく。

生協への卸販売、通販、ECなどを手がけるIKホールディングス(アイケイHD)は中期経営計画(中計)「IK Way to2027」を策定、「韓国コスメの強化」「セールスマーケティング事業の基盤強化」「EC強化と海外事業の再チャレンジ」の3つを重点施策に掲げた
韓国コスメは50億円規模へ拡大させる(画像はアイケイHDのIR資料を編集部がキャプチャ)

2024年5月期の状況としては、当初の売上目標26億2100万円に対し、実績値は33億900万円と好調に推移。取り扱いブランドについても、23年5月期の9ブランドから11ブランドへ拡充した。

生協への卸販売、通販、ECなどを手がけるIKホールディングス(アイケイHD)は中期経営計画(中計)「IK Way to2027」を策定、「韓国コスメの強化」「セールスマーケティング事業の基盤強化」「EC強化と海外事業の再チャレンジ」の3つを重点施策に掲げた
現在は11の韓国コスメブランドを展開(画像はアイケイHDのIR資料を編集部がキャプチャ)

セールスマーケティング事業の基盤強化

「生協マーケットの基盤強化による収益安定化」と「店舗ルートビジネスのスケール」を進めていく。

生協マーケットは、営業支援システム(SFA)を活用して効率的な営業プロセスを確立し生産性を高める。また、商品開発力を高めシニアマーケットにおける収益基盤を強化する。店舗ルートのスケールに向けては韓国コスメと自社商品ブランド化粧品の取り扱い店舗数の拡大を図る。

生協への卸販売、通販、ECなどを手がけるIKホールディングス(アイケイHD)は中期経営計画(中計)「IK Way to2027」を策定、「韓国コスメの強化」「セールスマーケティング事業の基盤強化」「EC強化と海外事業の再チャレンジ」の3つを重点施策に掲げた
生協マーケット向けの基盤を強化(画像はアイケイHDのIR資料を編集部がキャプチャ)

EC事業のスケールと、海外事業への再チャレンジ

「自社で採用を強化し、育成していくことが重要」としており、Amazon、楽天市場、自社ECで事業を拡大できる人材を外部から積極的に採用。社内にEC事業支援チームを設置し、社内マーケティングチームの拡大強化を図る。

海外事業へ再チャレンジする。既に海外市場へ展開している企業・グループとのアライアンスを強化し、既存の商流を活用していく方針。既存の商流を活用し、メイド・インジャパン商品(雑貨、食品、化粧品)について海外展開を推進していく予定だ。

生協への卸販売、通販、ECなどを手がけるIKホールディングス(アイケイHD)は中期経営計画(中計)「IK Way to2027」を策定、「韓国コスメの強化」「セールスマーケティング事業の基盤強化」「EC強化と海外事業の再チャレンジ」の3つを重点施策に掲げた
EC事業の成長に向け採用戦略を重要視(画像はアイケイHDのIR資料を編集部がキャプチャ)

数値目標としては、中計最終年度となる2027年5月期に連結売上高200億円、営業利益は10億円、EBITDAは12億2000万円とした。事業セグメント別の売上高目標としては、2027年5月期のダイレクトマーケティング事業を現在の約1.5倍の54億円、セールスマーケティング事業は現在の2倍超となる146億円をめざす。

生協への卸販売、通販、ECなどを手がけるIKホールディングス(アイケイHD)は中期経営計画(中計)「IK Way to2027」を策定、「韓国コスメの強化」「セールスマーケティング事業の基盤強化」「EC強化と海外事業の再チャレンジ」の3つを重点施策に掲げた
セグメント別の経営目標(画像はアイケイHDのIR資料を編集部がキャプチャ)
AmazonやパルなどのAI活用、リテールメディア事例、衝撃のサプライチェーン大解説、BtoB-EC最新事例などが学べる2日間

ネッ担編集部では7月24日(水)と25日(木)の2日間、ECイベント「「Digital Commerce Frontier 2024」」をオンラインで開催します。Amazonや大手アパレルパルなどのAI活用、日本最大級のリテールメディア事例、中国発EC「SHEIN」大解剖、アスクルを生んだプラスのBtoB-EC事例、コクヨのデジタルCXなど、さまざまなセッションを用意しています。詳細はイベントページをご覧ください!

【7/24・25】AWS、楽天、TENTIALなど。デジタルコマースに携わる経営者・責任者・担当者向けオンラインセミナー

デジタルコマース業界のビジネス/テクノロジーの最新トレンド、ソリューション、ノウハウが集結する2日間
6/25 15:12 135 6 0
鳥栖 剛

Google Discover だけでの掲載を防ぐことはできるのか?

1 year 4ヶ月 ago
[レベル: 上級]ウェブ検索には影響を与えずに、Google Discover だけにコンテンツが掲載されないようにすることはできるのでしょうか?Discover だけの非表示はできない結論からいうと、Discover だけで非表示にする仕組みは現状では提供されていません。Discov
Kenichi Suzuki

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