ネットショップ担当者フォーラム

大王グループ、紙と印刷の法人向け通販サイトを開設。ビジネス・販促用途の紙製品を受注、将来的にはWeb制作まで

3 years ago

大王グループのダイオーミウラは、中小規模事業者向けに紙製品の販売と印刷受託のBtoB-ECサイト「ダイオーミウラオンラインショップ」を開設した。

販促支援やビジネス用途をテーマとした紙製品、印刷製品、Web制作サービスを、カテゴリー別に販売する。

「ダイオーミウラオンラインショップ」トップページ
「ダイオーミウラオンラインショップ」トップページ

紙製ファイルから耐水性の機能紙まで展開

「ダイオーミウラオンラインショップ」は、紙製品の販売や小部数の印刷の受託からサービスを開始する。特徴は次の通り。

  • 幅広い種類をラインアップ
    紙製のファイルやカトラリー、耐水性を持つ機能紙、伝票や請求書などのビジネスフォーム、薬袋などさまざまな製品を取りそろえる。2023年7月からは、小ロットのチラシ、卓上POPといった販促ツールもラインアップを予定している。
  • 専門スタッフがサポート
    特注品や印刷物のカスタム制作に関する相談をWebで受け付け、専門スタッフが対応する。
  • 商材別工場から直送
    商品は生産工場から直接出荷、配送のスピードアップやコストダウンを図る。

販売を予定している商材の一例は次の通り。

「紙製ファイル ECOFA(エコファ)」
「紙製ファイル ECOFA(エコファ)」
「耐水性機能紙 レーザーピーチ」
「耐水性機能紙 レーザーピーチ」
「印刷商材(受注生産)」
「印刷商材(受注生産)」

「ダイオーミウラオンラインショップ」は今後、簡易なデザイン制作やWeb制作など、制作業務を一括受注できる体制を構築。大ロット生産、配布物をセットにした折り込みチラシサービス、Webフォーム開発および事務局運営代行を含むマーケティングキャンペーンサービスなど、クライアント企業をトータル支援できるサービスをそろえていく。

高野 真維

「無印良品」の良品計画がEC注文の店舗受け取りサービスを拡充、対象商品は9割以上

3 years ago

「無印良品」を展開する良品計画は4月17日から、「ネット注文店舗受け取りサービス」の対象アイテムに、インスタント・レトルト・菓子・飲料などを含む食品を追加した。

これにより、ECサイトで販売する9割以上の商品が店舗で受け取れるようになる。

「ネット注文店舗受け取りサービス」は、ECサイトで注文した商品を店舗で受け取ることができるサービス。2011年9月からサービスを開始し、2022年9月29日から食品と超重量商品以外のすべての商品を店舗で受け取り可能にした。

配送料がかからず、近くの店舗で取り扱いのない商品を取り寄せできることから、2022年12月度のECサイト利用額に対する店舗受け取りサービスの利用額は、2022年1月度比で3倍に伸びた。

利用率の高まりを受け、2023年2月6日から3月31日、レトルトなどの調味加工品を対象に一部店舗でトライアルを実施した後、食品の追加を決定した。

石居 岳

EC売上1000億円めざすライフコーポレーション、2023年2月期売上は48%増の142億円

3 years ago

ライフコーポレーションの2023年2月期EC売上高は、前期比約48.0%増の約142億円だった。ネットスーパーの拠点開設や既存店のキャパシティ増強が、ほぼ計画通りに推移した。

EC売上高は、ライフネットスーパーおよびAmazon上のネットスーパーの合計金額。前年比では約46億円の増収だった。2030年度にはネットスーパーの売上高1000億円達成をめざす計画を掲げている。

ライフコーポレーションのネットスーパー売上高(EC売上高)の推移
ネットスーパー売上高(EC売上高)の推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

2021年3月に提供を始めたモバイルアプリ「ライフネットスーパーアプリ」は順調にダウンロード数を獲得。配送面では、ネットスーパー・来店宅配サービスにおける安定した高い品質の配送網を構築するため、

2021年4月に間口ホールディングスと立ち上げたラストワンマイルを担う新会社「ライフホームデリバリー」は2022年2月末現在、ネットスーパーで9店舗、来店宅配25店舗で稼働するなど事業を拡大している。

組織面ではネットスーパー事業拡大を加速して推進するため、2022年1月に社長直轄組織として新設したネットビジネス本部に関連組織を再編した。

2019年9月から出店を開始したAmazonプライム会員向けサービスは、首都圏の配送地域を東京23区と都下13市、神奈川県8市、千葉県13市、埼玉県5市に拡大。近畿圏でも大阪府23市、兵庫県6市、京都府3市(それぞれ一部地域を除く)に拡大している。

2023年度からスタートしている4か年の第七次中期経営計画では、データやテクノロジーを活用した施策のほかネットスーパーを強化。「ネットスーパー戦略」と「カード戦略」に特化して、競合他社との差別化を図るとともに、自社の強みとして成長させる。

中期経営計画の主要テーマとして「人への投資」「同質化競走からの脱却」「持続可能で豊かな社会の実現」を掲示した。「同質化競走からの脱却」では、ライフでしか購入できない商品を自社の供給網で安定的に供給。魅力的なリアル店舗とネットのどちらでも手に入る環境を提供し、デジタルとデータを活用して顧客1人ひとりに「ちょうどいい」提案をめざすとしている。

ライフコーポレーション 2023年度からスタートしている4か年の第七次中期経営計画
同質化競争からの脱却について(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

 

石居 岳

ヤマト運輸、配送先住所変更(転送)は運賃収受へ。「宅急便転居転送サービス」の新規申し込みは終了

3 years ago

ヤマト運輸は6月1日以降に受け付けた荷物について、送り状記載の住所以外に届け先を変更(転送)する場合、変更後の届け先までの運賃(定価・着払い)を収受する。

また、5月31日で「宅急便転居転送サービス」の新規申し込み、ネコポスの転送依頼の受け付けを終了する。

転送の運賃収受について

対象商品は、宅急便、宅急便コンパクト、EAZY、国際宅急便。依頼主が「転送不要・禁止」と指定している場合は転送しない。

料金は、送り状記載の届け先住所から、変更後の届け先住所までの運賃(定価・着払い)。支払い方法は、「着払い」のため荷物を受け取る顧客の支払いになる。

そのため、荷物を受け取る顧客に了承を確認した上で変更(転送)手続きを行い、転送に伴う運賃を顧客から収受する。

  • 「宅急便」「EAZY」「国際宅急便」の場合 ⇒「宅急便」の運賃を適用
  • 「宅急便コンパクト」の場合 ⇒ 「宅急便コンパクト」の運賃を適用

ヤマト運輸営業所・取扱店、コンビニエンスストア、PUDOステーションなどへの「受け取り場所変更」(クロネコメンバーズ会員限定・無料)は対象外。

「宅急便転居転送サービス」の終了について

「宅急便転居転送サービス」は、引越の際、顧客の旧住所宛の荷物を、新住所(国内)へ自動的に転送するサービス。申し込をすると、引越日から1年間転送を適用する。

新規申し込み受け付けの中止は、Webが5月31日午前12時00分申し込み分まで、書面は5月31日提出分まで。引越日が7月1日以降の顧客は申し込みできない。サービスの申し込みには所定の手続きが必要になる。

サービス提供終了日は、サービス利用開始日から1年間。

◇◇◇

ヤマト運輸がサービス内容の変更を打ち出したのは、物流業界の「2024年問題」が背景にあると見られる。

働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などが、2024年4月から「自動車運転の業務」にも適用され、これにより物流ドライバーの離職や売上減、荷主企業は運賃値上げの可能性などが懸念されている物流業界のさまざまな問題が「物流の2024年問題」と呼ばれている。

たとえば、時間外労働時間の上限規制が適用されることで、長距離ドライバーは従来通りの運搬ができなくなる可能性がある。1人のドライバーによる長距離の運搬が規制されることにより、運送会社はドライバー不足、賃金減少によるドライバーの離職といった問題に直面することになる。

石居 岳

サステナブルで顧客の心をつかむ「商品開発」「物流」「事業戦略」を米国のDtoCブランドに学ぶ | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

3 years ago
米国でDtoCブランドを運営するグローブ社は、さまざまな施策によってサステナブルを事業の中核とした経営を実現しています。同社の手法を解説します

近年、サステナブルな取り組みに力を入れる企業やブランドを支持する消費者が増えています。2025年までにプラスチック不使用を目標に掲げているナチュラル志向の日用品ブランド「grove collaborative(グローブ・コラボラティブ)」もその1つです。運営するグローブ社にCO2排出量の削減につながる施策や商品開発、サステナブル配送の手法を詳しく聞きました。

プラスチック不使用を目標に掲げる「Grove Collaborative」のイメージ動画(編集部が追加)
記事のポイント
  • 複数の商品を1つの箱にまとめることで、輸送時のCO2排出量を削減
  • 梱包作業員のトレーニングに投資。梱包作業員は発送用の箱の中で、複数の商品をパズルのように組み立てて詰め込み、箱のスペースに無駄のない発送をしている
  • TargetやAmazonなど他の小売店への商品展開にも積極的に取り組んでいる

グローブ社によるサステナブルな発送・梱包とは?

グローブ社のEコマース事業「グローブ・コラボラティブ」では、サステナブルの観点から、商品を発送する際の梱包を極力少なくするようにしています。

「グローブ・コラボラティブ」を利用する消費者は、たとえば固形石けんを1つ注文したとき、箱の空きスペースに大きなプラスチックの梱包材が詰められているような荷物を受け取ることは絶対にありません。

グローブ社 CEO兼共同設立者 スチュアート・ランデスバーグ氏
グローブ社 CEO兼共同設立者 スチュアート・ランデスバーグ氏

各サイズの商品の注文を適切な箱に収めるために、「グローブ・コラボラティブ」は4種類のサイズの箱と、2種類のサイズの封筒(サイズが小さな商品を入れるための封筒)を用意しています。

「グローブ・コラボラティブ」の注文1件あたりの平均受注点数は8~10点。「それよりも商品点数が少ない注文は、倉庫の作業員が『テトリス』と呼ばれるパズルのような作業で、すべての商品が入るようにフルフィルメントボックスを組み立てています」とランデスバーグ氏は説明します。

プラスチック不使用を目標に掲げる「Grove Collaborative」のイメージ動画(編集部が追加)

高いスキルを求められるグローブ社の梱包

グローブ社の倉庫の梱包作業員は、初心者では務まりません。梱包業務にはさまざまなトレーニング、能力に応じた昇進を用意しています。梱包作業員は1週間の実地研修の後、1か月間指導を受けながら、梱包方法、業務に課される指標などを学びます。

グローブ社のトレーニングプロセスは、多くのEコマース事業者の梱包作業員のトレーニングプログラムよりも長いです。その理由は、私たちの商品と梱包に求められる性質が、従来の梱包業務では求められなかったレベルの高いスキルを必要とするからです。

私たちのチームメンバーは、CO2の排出量を増やさないような方法で商品の発送と梱包材を最適化することの重要性を理解しています。(ランデスバーグ氏)

「グローブ・コラボラティブ」トップページ(画像は編集部がサイトからキャプチャ)
「グローブ・コラボラティブ」トップページ(画像は編集部がサイトからキャプチャ)

ランデスバーグ氏は、この梱包作業を "プレッシャー職 "と表現しています。梱包作業員には、1時間あたりの目標個数が決まっていますので、注文された商品と適切な大きさの箱を受け取ると、商品をすべて素早く箱に収めていきます。

商品の品質と安全性に加えて、グローブ社の梱包作業員は、職務経験やスキルに基づいて個々に割り振られた目標があります。梱包された商品は、安全かつ良好な状態でお客さまに到着することを保証することに重点を置いています。(ランデスバーグ氏)

一方、ロボットを使ってこの梱包作業を行う企業もあります。グローブ社では、フルフィルメントプロセスにおける梱包作業を正しく行い、サステナブルの観点で優れた企業になるために、多少高いコストを投じてでも、人手で行って構わないと考えています。

グローブ社は毎週、顧客満足度と顧客からのフィードバックを、梱包作業員の成功指標として分析。ランデスバーグ氏は、この梱包作業について「ロボットが人間と同じように作業しているところを見たことがない」と指摘しています。

サステナブルな方向性にリブランド

グローブ社は定期的な家庭用品の配送サービスを販売する「ePantry」として2012年にスタートし、2016年に「グローブ・コラボラティブ」にリブランド。サステナビリティをコアミッションとするEコマース専業ブランドとなりました。

グローブ社が販売している商品のうち、約13%が自社ブランドで、残りの87%は「Mrs.Meyer's」「Method」「Rooted Beauty」など他社ブランドの商品です。

現在、グローブ社は株式を公開し、B Corp認証(B Corporation。環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられる国際的な認証制度)の認定を受けており、自社ブランド商品の一部を、米国のスーパーマーケットチェーンであるWalmart、ディスカウントチェーンのTarget、Amazonで販売。グローブ社は2022年に3億2150万ドルの売上高を計上しましたが、「前年比16%減の減収で、赤字経営である」と報告しています。

グローブ社は販売したプラスチック1ポンドにつき同量のプラスチックを回収、rePurpose Global社(廃棄物の削減、生活の再生、自然のバランスの回復に取り組む、世界をリードするプラスチックに関するアクションプラットフォーム運営会社)のサービスを通じてリサイクルしています。

プラスチックニュートラル(使用した分と同じ量のプラスチックをリサイクルに回すことで、プラスチック排出量の実質ゼロをめざす考え方)を実現するためで、グローブ社は2025年までにプラスチックフリーの実現をめざしています。そのために、商品や梱包で投資などを重ねています。

CO2削減のため、商品の仕様は“軽量・小型・少量”に変更

商品の梱包においてCO2の排出量を最も抑えるためには、「低重量、小型化、箱の削減が重要」だとランデスバーグ氏は言います。

グローブ社は、より小さなサイズの商品を販売すること、あるいはこのミッションに合うように商品の仕様やサイズを変更することに重点を置いています。

たとえば、輸送時にかさばる大きなモップを販売する代わりに、柄が折りたたみ式のホウキにして、モップよりもはるかに小さな箱に収まるように商品を変更しました。ランデスバーグ氏は、よりサステナブルなビジネスをめざす企業へのアドバイスとして、次のようなことをあげました。それは、複数のサイズの箱を用意することです。

サステナブルなビジネスを実現するために最善の解決策は、よくトレーニングされた梱包作業員がいることと、商品を適切に梱包できる箱を用意することです。(ランデスバーグ氏)

一時期、グローブ社では商品に合わせた30種類の箱のサイズを用意していました。商品の変更や改良により、現在は4つのボックスと2つの封筒ですべての注文に適切に対応できるようになりました。

箱の数は最低限に。複数商品をまとめて発送

ランデスバーグ氏が「絶対にやらない」と主張するもう1つの発送方法は、8~10個の商品注文の発送を、商品点数に合わせた8~10回の発送に分割することです。

少し大きめの箱に数個の商品をまとめて入れずに、商品ごとに別の箱に入れてそれぞれ発送した場合、CO2の排出量ははるかに大きくなります。(ランデスバーグ氏)

商品が複数の箱で届くことは、注文した商品点数が多い場合に起こりますが、ランデスバーグ氏によると、グローブ社における分割出荷は注文全体の5%未満だそうです。これは業界標準を下回っており、フルフィルメントベンダーのNarvarが2021年10月から12月にかけて収集したデータによると、オンライン小売事業者の注文の21%が複数の箱で出荷しています。

グローブ社は垂直統合型(製品の研究開発から、製造・販売までのサプライチェーン上の全工程を自社グループ内で行うビジネスモデル)のオンライン専業ブランドとしてスタートしました。このため、ランデスバーグ氏は「商品は店頭ではなく、消費者に直接届くように意図的にデザインした」と話しています。

たとえば、洗濯用洗剤は、店頭で販売されている大きなボトルとは異なり、消費者が自宅で水と混ぜることができる30ミリリットルの濃縮版をガラスびんで販売しています。

プラスチック不使用を目標に掲げる「Grove Collaborative」のイメージ動画(編集部が追加)

キャンドルは、店頭で販売されている自立式の厚いガラスのキャンドルとは異なり、薄いガラスを使用。箱に入れて販売しています。

商品パッケージの工夫によって発送の効率化やサステナビリティを重視している
商品パッケージの工夫によって発送の効率化やサステナビリティを重視している

このような商品パッケージの変更により、グローブ社は、より軽量で場所を取らず、箱の中の内装材を少なくした方法で消費者に商品を発送することができています。

商品が箱にぴったりと収まった後、緩衝材には再生紙を使用します。2019年5月にグローブ社はサプライチェーンを精査し、使い捨てのプラスチックを廃止。紙の素材に切り替えました。

有料会員の半数近くが会員プログラムを継続

これらの取り組みは、持続可能なライフスタイルをめざしている消費者に響いています。グローブ社の売り上げの約半分は定期購入顧客ではない、単品購入の顧客によるものです。単品購入の場合は、定期購入よりも5~20%高い商品価格に設定しています。

残り半分は、商品の自動補充を受けるために登録した顧客、または19.99ドルを支払って年間のVIPプログラム会員になった顧客からの売り上げです。

会員になると、年に7回の無料プレゼント、限定販売、新商品の早期購入、無料サンプルなどを享受できます。ランデスバーグ氏は、「数十万人」の顧客が有料会員であると説明していますが、正確な数の公表はしていません。また、有料会員の50%近くが毎年メンバーシップを更新しているそうです。

ランデスバーグ氏は、この会員維持率に満足していると言います。その理由として、会員プログラムの価値、ブランド力、顧客による熱心なコミュニティが形成できていることなどをあげています。

たとえば、会員は非公開のFacebookグループに参加することができ、「信じられないほど多くの人が参加している」(ランデスバーグ氏)そうです。

一般の買い物客と、優良会員や定期購入者を比べた平均注文額はほぼ同じとのことですが、ランデスバーグ氏はその数字の詳細は明らかにしませんでした。

購入頻度は、会員や定期購買者の方がはるかに高く、年間6回から12回です。一般の買い物客が年間4回程度であるのと比べると、その差は歴然としています。

リテール展開を拡大

グローブ社は、自社サイトでのエンゲージメント率がこれほど高い一方で、多くの消費者にまだ自社のブランドが認知されていないことを自覚しています。

そのため、2021年以降、TargetやAmazonを含む全国規模の量販店で、自社商品の一部を卸売りしてきました。2022年には、米国の大手薬局チェーンのCVS、スーパーマーケットを営むHarris Teeter Supermarkets、H-E-B Grocery Company、Meijer、Giant Eagleでも商品の販売をスタート。現在、同社の商品は、量販店のWalmartをはじめ、数千の小売店で販売しています。

ビジネスの成長のために、大多数の人が買っているチャネルで勝負する必要があります。(ランデスバーグ氏)

一方で、ランデスバーグ氏は、「Targetでグローブ社の商品を紹介し、当社のオンラインサイトで商品を買ってもらうことが目的ではない」と話します。

またお店に来てもらって、我々の商品を買ってもらうことが目標です。収益的にはもちろん、お客さまにグローブ社の商品をいつも選んで購入いただくほうが、私たちの利益になります。(ランデスバーグ氏)

彼は、大多数の消費者が、家庭用掃除用品やパーソナルケア用品を企業のWebサイトから直接購入しないことを理解しています。多くの人は、量販店から購入するのです。

グローブ社は、同社の売り上げの何パーセントが直販サイトで、他の販売店からは何パーセントなのか、その内訳は公表していません。

売り場+認知拡大で売上アップ

Eコマースのコンサルティング事業を手がけるOSF Digitalのキャシー・キンプル氏(デジタル戦略担当エグゼクティブディレクター)は、サブスクリプション型企業が小売業に進出するのは興味深いことだと言います。

小売店では、消費者はEコマースと違って送料を支払う必要がなく、すぐに商品を手に入れることができます。また、サブスクリプション型企業のブランドは、小売店に進出することでより多くの認知拡大の機会を得ることができます

商品を購入できる場所が増えれば、消費者にとって、Eコマースで定期購入する必要性は低くなるでしょう。

企業の目的にもよりますが、小売店がグローブ社の商品をより多く取り扱うようになれば、定期購入者の減少による売り上げへの打撃は、ブランドの認知度向上による増収で相殺されるかもしれません。(OSF Digital キンプル氏)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

シャディ、D2Cサービスを集めたカタログギフトを自社ECで販売。20~30代の利用拡大を狙う

3 years ago

ラオックスグループ傘下のシャディは、D2Cサービスを集めたカタログギフト「BREWing」の販売を自社ECサイト「シャディギフトモール」で始めた。

コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)のBREWと業務提携。BREWが支援しているD2C企業のサービスを集めたカタログギフト「BREWing」を作成した。ブランドの特徴やコンセプト、作り手の思いを届けるコンテンツをカタログに掲載している。

シャディは、冠婚葬祭やお中元・お歳暮などのフォーマルなシーン向けのほか、20代や30代の顧客層にも日常的にカジュアルなギフトを贈り合う文化を広げていきたい考えだ。

BREWははシャディの販路を活用してクライアント企業の新たな販路開拓などにつなげる。

シャディが販売開始した、D2Cサービスを集めたカタログギフト「BREWing」
シャディが販売開始した、D2Cサービスを集めたカタログギフト「BREWing」

「BREWing」の特徴は次の通り。

  • 話題のブランドをラインアップ
    テレビ、雑誌、SNSなどで話題のブランドを掲載している。
  • ライフスタイルに寄り添ったさまざまな商品を展開
    スープ、チョコレート、チーズなどの食品や、化粧品、観葉植物、ペット用品など、さまざまな商品を取りそろえる。
  • 作り手の思いを届ける
    読み物形式で商品を紹介、作り手の思いも知って選んでもらえるように意図している。
カタログギフト「BREWing」に掲載しているブランドの一覧
カタログギフト「BREWing」に掲載しているブランドの一覧

商品概要

  • 商品名:BREWing
  • 発売日:2023年4月19日(水)
  • 価格:1万1880円(税込)
高野 真維

ヤマト運輸が一部配送区間で配送体制を見直し、荷物のお届け「翌日」から「翌々日」に

3 years ago

ヤマト運輸は関東圏から四国4県など、一部エリア間の配送予定日を、6月1日から従来の「翌日」から「翌々日」に変更する。

対象サービスは、宅急便、宅急便コンパクト、EAZY、ネコポス、JITBOXチャーター便。

対象区間(以下を参照)の荷物は従来、受け取った翌日に配送できた。6月1日からは「翌々日」に変更する。時間帯指定は午前中から全時間帯(5区分)指定可能。

  • 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、群馬県、栃木県、山梨県、新潟県と、島根県(松江市、安来市のみ対象)、広島県(福山市のみ対象)、鳥取県、岡山県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県の間で配送される荷物
  • 岩手県と滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県の間で配送される荷物
  • 富山県、静岡県(浜松市、磐田市、掛川市、菊川市、御前崎市、榛原郡、島田市、牧之原市、袋井市、湖西市、周智郡のみ対象)から福岡県へ配送する荷物
ヤマト運輸は関東圏から四国4県など、一部エリア間の配送予定日を、6月1日から従来の「翌日」から「翌々日」に変更する
変更内容について(画像はヤマト運輸のHPからキャプチャ)

配送体制の見直しで、ドライバーの負荷軽減などにつなげる。働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などが、2024年4月から「自動車運転の業務」にも適用される物流業界の「2024年問題」。ドライバー不足の解消などが課題にあがっている。

労働力減少による賃金や時給単価の上昇、2024年問題を控えた物流事業者を取り巻く外部環境などの変化・対応のためヤマト運輸は4月3日、宅急便、宅急便コンパクト、EAZY、国際宅急便の運賃を値上げしている。

瀧川 正実

【Z世代調査】「効率的でないことにストレスを感じる」が6割、クレカ利用で半数以上「リアルタイムに利用を把握したい」

3 years ago

メルカリが実施した「Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査」によると、クレジットカードを選ぶ理由は全世代で「ポイントの還元率が高い」がトップだった。

Z世代では「家族や友人に勧められた」「専門家やインフルエンサーが勧めていた」など、知っている・理解しているサービスを選ぶ傾向があった。調査対象者は全国の18~57歳の男女600人、期間は2023年3月10日~3月12日。

Z世代は非効率的なこと、想定外なことを避ける傾向

Z世代の時間や透明性に関する考え方を聞いたところ、トップは「効率的でないことにストレスを感じる」「時間を圧縮するための手段・行動を考えることが多い」(いずれも63.3%)。次いで「想定外のこと/サプライズなことはできるだけ避けたい」(61.4%)だった。

また、半数以上が「結論だけ先に知りたい」(57.3%)「デリバリーは配達状況を見て、いつ到着するか確認する」「プレゼントは先に相手に欲しい物を聞いて購入する」(いずれも51.3%)と回答しており、タイパ重視や“サプライズアレルギー”の傾向が見てとれる。

メルカリ Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査 タイパ重視 サプライズアレルギー
価値観として当てはまるもの(Z世代n=150/複数回答可、出典:メルカリ)

Z世代の3割が「想定外なことは失敗」と捉える

想定外なことを「失敗」もしくは「経験」と捉えるかをZ世代とバブル世代に聞いた。Z世代は30.0%が「失敗」と捉えるのに対し、バブル世代は21.3%。Z世代の方が約1.5倍想定外なことを「失敗」だと捉える傾向があった。

メルカリ Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査 想定外なことを失敗と捉えるか
「想定外は失敗」と回答した世代割合(出典:メルカリ)

Z世代の約8割、臨時収入は将来不安に備えて「貯金」

現金50万円をもらったらどう扱うか聞いたところ、どの世代も「貯金する」が最も高かった。なかでもZ世代が最も高く、77.3%が「貯金する」と回答した。

また、その理由として約半数が「緊急時の備えができる/将来の不安に備えるため」と回答しており、想定外なことに備えるZ世代の傾向がある。

メルカリ Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査 臨時収入は貯金
現金50万円もらったとしたら、50万円を「貯金する」と回答した人の割合(出典:メルカリ)

「月々の支出額を把握しているか」という問いについては、バブル世代は86.6%が「把握している」と回答、Z世代は72.0%だった。

メルカリ Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査 支出額の把握状況
月額の支出額を把握しているか(出典:メルカリ)

現在使っているクレカを選ぶ理由は「お得さ」

クレジットカード保有者に、現在メインで利用しているクレジットカードの選択理由について聞いたところ、全世代では「ポイントの還元率が高いから」(43.2%)が最多で、次いで「年会費が安い/かからないから」(41.7%)「よく使うお店で使えるから」(37.3%)だった。

メルカリ Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査 現在使っているクレカを選ぶ理由
現在メインで利用しているクレジットカードを利用している理由(複数回答可、出典:メルカリ)

バブル世代は「お得」、Z世代は「安心」で選択する傾向

お得で選択する傾向はバブル世代が特に顕著で、「年会費が安い/かからないから」(51.2%)「ポイントの還元率が高いから」(44.9%)が上位だった。

一方で、Z世代は「ポイントの還元率が高いからは」が41.4%で高いものの、バブル世代と比較すると、「家族や友人に勧められたから」「専門家やインフルエンサーが勧めていたから」「カードの名前を聞いたことがあったから」などが比較的高い。「きちんと知っている・理解している」サービスで安心できるものを選択する傾向があることがわかった。

メルカリ Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査 バブル世代はお得、Z世代は安心で選択する傾向
現在メインで利用しているクレジットカードを利用している理由
(世代別比較、複数回答可、出典:メルカリ)

クレカ利用の懸念点、Z世代は「利用と管理」

クレジットカードの懸念点を聞いたところ、バブル世代は「失くしたときの対処に手間がかかる」(29.1%)「セキュリティに不安がある」(26.0%)など、セキュリティ面が上位だった。Z世代は「つい使いすぎてしまう」(32.3%)と「決済後に利用明細の反映に時間がかかる」(27.3%)が上位で、利用と管理ができないことへの懸念が大きい傾向があった。

メルカリ Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査 クレカ利用の懸念点
クレジットカードの懸念点(複数回答可、出典:メルカリ)

また、利用明細がリアルタイムに把握できないことについて、「ストレスや不安を感じる」という回答が、バブル世代は41.0%だったのに対しZ世代は51.5%で、Z世代の方が「リアルタイムに管理・把握したい」という傾向を示した。

Z世代はクレカ利用の管理・状況を把握できることを求める傾向

利用したいクレジットカードの特長として、Z世代とバブル世代で意識の差が大きい項目を見たところ、「よく使うアプリで使える・管理できる」ではZ世代が72.0%、バブル世代が54.7%、「支払い方の柔軟性が高い」はZ世代が74.0%、バブル世代が56.0%、「利用上限金額を自分で設定できる」はZ世代が70.7%、バブル世代が61.3%となっており、Z世代の方が管理・把握したいというニーズが高い。

メルカリ Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査 支払い方の柔軟性が高いクレジットカードを利用したいか
「支払い方の柔軟性が高い」という特徴を持つクレジットカードを利用したいか(出典:メルカリ)
メルカリ Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査 利用上限金額を自分で設定できるクレジットカードを利用したいか
「利用上現金額を自分で設定できる」という特徴を持つクレジットカードを利用したいか(出典:メルカリ)
メルカリ Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査 よく使うアプリで使える・管理できるクレジットカードを利用したいか
「よく使うアプリで使える・管理できる」という特徴を持つクレジットカードを利用したいか
(出典:メルカリ)
調査実施概要
藤田遥

ヤフー、「Yahoo!ショッピング」での付与特典を「PayPayポイント」から「ヤフーショッピング商品券」へ切り替えへ

3 years ago

ヤフーは7月から、「Yahoo!ショッピング」の各種キャンペーンで付与する特典を「PayPayポイント」から「ヤフーショッピング商品券」へ順次切り替える。

5月18日からテストキャンペーンを実施。7月に実施予定の「5のつく日キャンペーン」から、付与する特典を「ヤフーショッピング商品券」に変更する。そのほかのキャンペーンについても、順次切り替えを予定しているという。

ヤフーは7月から、「Yahoo!ショッピング」で展開する各種キャンペーンで付与する特典を「PayPayポイント」から「ヤフーショッピング商品券」へ順次切り替える
「ヤフーショッピング商品券」の使用例(画像は「Yahoo!ショッピング」からキャプチャ)

現在、「ヤフーショッピング商品券」の提供設定は出店者の任意。今後、利用できる支払い方法設定で「ヤフーショッピング商品券」を必須にする。必須設定は6月13日(火)を予定している。

2022年6月から展開している「ヤフーショッピング商品券」について、これまで決済手数料を無料で出店者へ提供していた。付与特典の切り替えと合わせて5月から手数料を徴収する。決済手数料は「クレジットカード」「PayPay残高払い」「PayPayあと払い」と同様の3.0%。適用は5月18日(木)から。

「ヤフーショッピング商品券」は2022年6月から提供を始めた「Yahoo!ショッピング」内限定の買い物特典。有効期限もあり、「Yahoo!ショッピング」内での「リピート率向上、失効間際の駆け込み需要を狙え、『ヤフーショッピング商品券』を利用するお客さまが増える見込み」(ヤフー)としている。

ヤフーは3月、「Yahoo!ショッピング」内の優れた店舗を表彰する「ベストストアアワード2022」で今後の方針を公表。「Yahoo!ショッピング」での買い物で使える「ヤフーショッピング商品券」の提供量拡大を発表していた。

ヤフーは、「LINE」「PayPay」との連携をさらに強化し、eコマースの成長を促進していくと発表
「Yahoo!ショッピング」強化策

ヤフーは「2020年代前半に国内物販EC取扱高No.1」というeコマース取扱高に関する経営目標を変更。従来の「ポイント・販促中心」から、「グループアセットを最大限活用することに注力し、成長と収益性のバランスを両立」に変えた。

Zホールディングス ヤフー 経営目標の変更
経営目標の変更(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

そのため、ショッピングモール事業へのポイント還元投資はいったん抑制。コストコントロールの範囲内で取扱高の成長に取り組むとしている。

瀧川 正実

【DHC新体制】元オルビス社長の髙谷氏が会長就任。オーナー経営から代表取締役3人のチーム経営へ | 通販新聞ダイジェスト

3 years ago
オーナー型のワンマン営者から脱却し、代表取締役3人体制となったDHC。「第ニの創業」と位置付け、再成長に向けて挑む。DHCのこれまでの軌跡と新体制への移行を解説する

ディーエイチシー(=DHC)は、4月3日付で経営体制を刷新した。化粧品通販大手、オルビスなどで代表経験を持つ髙谷成夫氏を代表取締役会長兼CEOとして招へい代表取締役3人体制に移行した。DHCは、創業オーナーが一代で築き上げた。再成長のカギはワンマン経営から脱し、チーム経営を磨き上げられるかにある。

左から会長の髙谷氏、社長の宮﨑氏、副社長の小髙氏
左から会長の髙谷氏、社長の宮﨑氏、副社長の小髙氏

元オルビスの髙谷氏を招へい、代表取締役3人の経営体制に移行

取締役体制は、14人。買収以前からDHC在籍の役員が6人、オリックス派遣の役員が8人で過半を占める。1月の経営体制変更では宮﨑緑氏が内部昇格で代表取締役社長兼COOに、オリックス派遣の小髙弘行氏が代表取締役副社長に就任した。髙谷氏の就任以外、体制に変更はない。

今後、経験、背景の異なる3人の代表取締役による経営に移行する。髙谷氏はグループ経営全般を統括。宮﨑・小髙の両氏は事業運営全般を統括する。

DHCは、吉田会長という強い個性を持つカリスマが一代で築いたワンマン経営で知られる。再成長は「事業・組織・業界」の各面で生じた課題への対処が必要になる。

既存の低価格戦略に行き詰まり感

事業面で指摘されるのは、化粧品における「ヒットシリーズの不在」と、健康食品における「低価格路線の行き詰まり」だ。

DHCは、オリーブバージンオイルを配合したクレンジングをフックに化粧品市場に参入した。ファブレスの強みを生かし、「コエンザイムQ10」「ゲルマニウム」など、注目の新成分を活用したスキンケアシリーズの市場への投入でニーズに応え、幅広い顧客基盤を築く

ファンケルの「無添加」、オルビスの「オイルカット」のように企業を象徴するブランド戦略は希薄で、「全方位型。むしろ『ブランド』がないことがブランド」(業界関係者)と評価する同業者もいる。ただ、最近は新規の美容成分の一巡で事業をけん引するヒットシリーズは生まれていないと思われる。

DHCの公式ECサイト。低価格路線を打ち出している
DHCの公式ECサイト。低価格路線を打ち出している

健康食品は、「サプリメントの価格破壊」を打ち出すファンケル、小林製薬などと低価格競争を繰り広げた。DHCは、価格や配合量など「高品質・低価格」というわかりやすい選択基準を示すことで成長を果たした

市場はプレーヤー増加による競争激化から成熟が進む。他社が独自機能を持つ機能性表示食品の活用など高付加価値路線にかじをきるなかで、行き詰まり感は否めない

2018年には、健食全アイテムと化粧品の一部商品で、利益を度外視した25%の割引率を適用する「ぶっとび定期便」を始めたが、戦略のズレは同年を境にした営業利益率の悪化に表れている。「ドラッグストアへの対抗を意識しているようにみえる」(同)、「割引訴求一択で、新戦略を見出せていないのでは」(別の関係者)との声も聞かれる。

利益度外視の施策などを打ったものの、戦略は的を射ず、営業利益率は悪化した
利益度外視の施策などを打ったものの、戦略は的を射ず、営業利益率は悪化した

オーナー型経営の風穴となるか

組織面の課題もある。DHCは、典型的な「オーナー型経営」意思決定の速さにメリットはあるが、独善的な経営に傾けば従業員の自律性は育たず、時代や市場環境への対応力を失う。新たなディスカウンターとして市場を席捲(せっけん)した同社だが、在日韓国人に対する声明など、近年は負の側面が現れていたようにみえる。

日本通信販売協会(JADMA)をはじめ、通販、健食、化粧品業界からも距離を置き、独立独歩を貫いた。「事業承継」が課題として浮上するのは時間の問題だった。

DHCは、連結売上高で1000億円を超え、約2000人の従業員を抱える。オーナー型経営から脱却し、チームでの組織経営に移行するには、代表経験、業界に人脈を持ち、通販に精通する人材の存在が必要になる

代表取締役に就任した髙谷氏は、オルビス創業メンバーとして、39歳の若さで同社の代表取締役社長に就任。売上高500億円を超える中核企業に成長させた。退職後は、複数社で経営執行の役割を担った。2021年にはビューティ・ヘルスケア領域の戦略コンサルタント会社を設立している。

20年以上にわたり幅広く経営、事業運営を推進してきており、株主と協議し起用した。(DHC)

新体制は「第ニの創業」。組織改革にかじ

DHCグループが掲揚している行動指針
DHCグループが掲揚している行動指針

DHCは、新体制を第二の創業と捉え、今年2月、組織改革の一環として全社横断型プロジェクト「ProjectBright」を立ち上げた。新たに行動指針を策定。会社としてのガバナンスやコンプライアンスの再整理など「基本的な仕組みづくりから始めている」(同)。

プロジェクトを通じ、従業員が自律的・協調的に活動し、多様な人材が互いに尊重できる職場環境を整備することで、組織全体のパフォーマンス向上を図る

もう1つの目的は、再成長に向けた「売り上げ拡大と収益改善」(同)。事業上の課題には「具体的な取り組みは開示できないが、現状のよい面は踏襲しつつ、変化すべきものは適時適切に変える。品質向上に努め、顧客戦略、ポートフォリオ戦略を精緻(せいち)化することで顧客満足度を高める」(同)としている。

代表取締役3人の略歴

髙谷成夫(敬称略。以下同)

1964年6月生まれ。88年、ポーラ化粧品本舗入社。04年、オルビス代表取締役社長(09年からポーラ・オルビスホールディングス取締役兼務)。12年、ポーラ取締役。16年に同社を退社後は、アイスタイル執行役員兼アイメイカーズ代表取締役社長、17年ライザップ取締役兼マーケティング本部長・プロダクト事業本部長兼健康コーポレーション代表取締役社長兼エンジェリーベ代表取締役社長。湘南ベルマーレ取締役。19年、FiNC Technologies常務執行役員兼プラットフォーム本部長&サブスクリプション本部長、21年、MTG執行役員コスメブランド本部長。同年、戦略コンサルティングを行うエスアンドコーを設立。代表取締役社長に就任。現在に至る。

宮﨑緑

1967年11月生まれ。1993年、祖業である翻訳・通訳事業の営業としてDHCに入社後、化粧品・健康食品の店販営業部門、通販マーケティング部門のほか、直営店、顧客対応、会員販促、アパレル部門など各事業領域を幅広く経験。15年取締役、20年常務取締役、21年取締役副社長を経て、23年1月から現職。

小髙弘行

1978年11月生まれ。04年オリックス入社。現任は、フジタ製薬取締役、微生物化学研究所取締役、ささえあ製薬取締役、ささえあホールディングス取締役。

髙谷氏の就任に「知見・力量で適任」の声

新体制の評価は上々

DHCは、創業来のオーナー型経営から脱し、チームによる組織経営への移行をめざす。組織・事業の両面の課題解消には、業界内外に人脈を持ち、代表経験のある「通販のプロ」が必要だ。

髙谷氏は、1988年にポーラ化粧品本舗に入社後、92年、オルビスに出向した。同社で情報システム、商品企画、物流、マーケティングなど、通販に不可欠なオールラウンドのスキルと知見を磨いた。

当時、通販化粧品は、ファンケル、DHCの二強が先行。売上高ではDHCが約570億円、ファンケル(アテニアを含む)が約360億円(01年実績)。対するオルビスも成長期にはあったが、売り上げは160億円超と水をあけられていた。

マーケティング本部長として、ネットや店舗の立ち上げを指揮し、三強時代の礎を築いたのが髙谷氏だった。実績を買われ、04年にオルビスの社長に就任した。

髙谷氏を知る業界関係者は、今回の就任に「人間力が高く、一方で信念を貫く強さがある。いい人材を招へいした」と評価する。

別の関係者からも「ポーラを辞めた後は、ところを得ていなかった感がある。髙谷さんにとってもやりがいのある大きな仕事だろう」「通販の知見、力量を含め適任」「時代に逆行する創業者の強い個性に企業イメージが引きずられていた印象がある。前の色を消していこうということだろう。体制が変われば、意外に転換も早いかもしれない。競合として怖くなる」といった声が聞かれる。

「かじ取りは容易ではない」――。厳しい意見も

だが、再成長に向けたかじ取りは容易ではない。「DHCのような規模になれば1人の力では動かせない。髙谷氏のネットワークでどれだけ優秀な人をスカウトでき、社内と融合できるかが鍵」とみる関係者もいる。

新体制は、DHCプロパーの宮﨑氏、オリックスの小髙氏、髙谷氏の3人が代表権を持つ体制。三者三様の思惑もあるだろう。

ファンドに詳しい関係者は、「一般的なファンドの多くは今、5年という長期保有は想定していない。5年となると、6年、7年と延びるのが常。スピード感は早くなっている。3年を一つの区切りに再売却による収益確保を考えているのでは」とみる。

別の関係者も「顧客データ基盤は魅力だが、よほどオリックス現有の資産とシナジーがなければ長期保有は想定していないのでは」と話す。

とはいえ、「百貨店でいえば、高島屋から伊勢丹に移籍するようなもの。髙谷氏の人間性、覚悟にもよるが、非常に難しい調整が必要」との声も聞かれる。髙谷氏を知る前出関係者は「経営立て直しには数年かかる。オリックスがどれだけ我慢できるかではないか」と話す。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

→ 年間購読を申し込む(通販新聞のサイト)
通販新聞の過去記事を読む(通販新聞のサイト)
→ 通販新聞についてもっと詳しく知りたい

通販新聞

「ECの利用経験あり」は85%。実店舗と使い分ける理由、ECでの購入に安心感を与えるポイントとは?【調査まとめ】

3 years ago

延長保証サービス「proteger(プロテジャー)」を提供するKivaが実施した「EC・実店舗の利用動向調査」(20〜49歳の男女943人を対象に実施)によると、85%がECでの購入経験があり、そのうち74%が普段ECサイトでモノを購入すると回答した。買い物の目的に合わせて、ECと実店舗を使い分けしている傾向なども見られた。

普段の買い物でのECサイト利用について
普段の買い物でのECサイト利用について

ECで買うモノ、買う理由

ECサイトで購入するモノは「生活雑貨、消耗品」(48%)が最多で、手頃な価格の商品を購入することが多いようだ。一方、「ペット用品」「キッズ、ベビー用品」は10%程度にとどまった。

ECサイトで購入するモノについて
ECサイトで購入するモノについて

ECでの購入理由1位は「手軽だから」(68%)が最多で、「店舗に行く時間が省けるから」(48%)が続いた。

ECサイトで購入する理由
ECサイトで購入する理由

ECと実店舗を使い分けた買い物、リアルを利用する理由

実店舗で購入するモノの1位は「食品、飲料、お酒」(70%)。ECではランクインしなかった「旅行用品、トラベルグッズ」(11%)が8位に入った。

実店舗で購入するモノ
実店舗で購入するモノ

実店舗の購入理由は「実物を確認したいから」(67%)「すぐ手に入れたいから」(45%)といった意見が多い。一方、13%がECサイトでの購入に不安を抱いている。

実店舗で購入する理由
実店舗で購入する理由

ECでの延長保証利用

ECでの購入時、約7割が「延長保証を利用したことがある」と回答。世代別では20代が最も多かった。

延長保証の利用について
延長保証の利用について

延長保証を付けた理由で、最も多かったのは「長く使いたいから」(59%)。「メーカー保証だけじゃ短いと思ったから」(53%)が続いた。

延長保証を付けた理由
延長保証を付けた理由

延長保証を付けたことで「安心して使えた(使えている)」と回答した割合は8割超となっている。

延長保証を付けたことによる安心感について
延長保証を付けたことによる安心感について

また、20~30代は、高価格なモノだけでなく、低価格なモノにも延長保証を付けて長く大切に使いたいと考える割合が多い。「いくら以上の商品に延長保証を付けたいか」と聞いたところ、20代、30代の約5人に3人が「1万円未満の商品にも延長保証を付けたい」と回答。一方、同じ考えの40代は39%にとどまった。

延長保証を付ける商品の価格
延長保証を付ける商品の価格

調査概要

  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 調査対象 :全国20~49歳の男女
  • 対象⼈数 :943人(男性:472人、女性:471人)
  • 調査期間 :2023年3⽉20⽇〜3⽉22⽇
高野 真維

EC売上アップに効率的な3つのWeb広告とは? 広告運用の基礎知識+事例まとめ | 「ECタイムズ」ダイジェスト

3 years ago
費用対効果を実感できる3つの広告タイプとは? それぞれの広告タイプの成功事例とともに、EC運営の初心者でもわかりやすく解説

EC事業者の皆さん、ECサイトでの広告運用はうまくいっていますか?

「どんな種類の広告があるの?」「どの広告が効果的なの?」などとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、今回の記事ではたくさん存在するWeb広告の中でも高効率な3つのタイプの広告について解説していきます!

さらに、記事後半ではさまざまな広告運用の成功事例をご紹介します。

事例付き ECサイト広告運用の基礎知識 ECタイムズ

重視するべきWeb広告は?

無数に存在するWeb広告。その中でも、まず優先的に導入すべきものが、

  • Googleショッピング広告
  • リスティング広告
  • リマーケティング広告

この3タイプの広告です!

Web広告のなかでも比較的効率が良いこれらの広告について、それぞれの特徴と重視すべき理由を徹底的に解説していきます。

【Googleショッピング広告】無料枠も利用できる

Googleで商品名や商品ジャンル名を検索すると、検索結果に商品広告が表示されますよね。これがGoogleショッピング広告です!

広告を掲載するためには、Google の広告管理システム「Google Merchant Center(グーグル マーチャント センター)」に登録し、審査で承認される必要があります。審査が通れば無料リスティングが開始され、商品フィードが検索結果画面や「ショッピング」のタブ内に表示されるようになります。Googleショッピング広告では商品画像が出てくるので、比較的効果の高い広告だと考えられます。

しかしここで注意点!

ECで広告運用をするにあたっては1つの商品で利益を得ようと考えるのではなく、ユーザーにECサイトの存在を知ってもらったり、リピート購入を促進したりといった、ECのマーケティング戦略全体を考えていかなければ利益が出ません

つまり、広告に数百万円以上の予算を組むことができる企業でなければ、このような戦略を実施するのは難しいと言えます。その証拠に、Googleショッピング広告に出店している企業は誰でも知っているような大手事業者やメーカーが多くなっています。

ですがご安心ください。このGoogleショッピング広告には無料枠が存在しているのです!

とりあえずGoogleのショッピングタグのいちばん下の「ショップ向け情報」から無料でGoogle Merchant Centerに登録しておきましょう! 審査が通っている状態であれば、予算をかけずに広告掲載できます。爆発的効果はありませんが、商品数が多い事業者なら一定の利益を得ることが期待できますよ!

【リスティング広告】費用対効果が最も高い

リスティング広告とは、検索エンジンの検索結果に連動して表示される広告のことです。Google検索やYahoo検索において、会社の製品やサービスを検索結果の上位に置くことができます!

リスティング広告は、ECサイトに限らずインターネット広告として、最も費用対効果が高い広告と言えます。ある特定のキーワードに対して広告を表示するため、ユーザーの関心度に伴って高いCVRを期待できるのです!

ただし、ここで言う効果が高いというのは『他の広告と比較して』という意味であり、3000円以下の単価の安い商品のECサイトであれば、利益を得るのは難しいかもしれません。

さらに、リスティング広告の効率には限界があります。企業や業態にもよりますが、ある一定以上の件数になると効率が悪くなり、CV数は単純計算では期待できなくなってしまうので、たとえ予算があったとしてもリスティング広告には限界があるということを忘れないようにしましょう。

【リマーケティング広告】リスティングとのセット活用が鍵

リマーケティング広告はディスプレイ広告の一種です。ディスプレイ広告とは、Yahooのサイドバナーや、スマートフォンの下部に出てくるバナーに代表される広告のこと。膨大なデータからユーザー個々に最適なバナーを表示することで効果を最大化できるのが特徴です。

その中でもリマーケティング広告は、自社のECサイトにタグを設置することで、一度サイトに訪れたユーザーをバナーで追い続けるものです。他のディスプレイ広告と違い、自分が一度訪れたECサイトなので広告効果は極めて高く、CVRや費用対効果はリスティング広告に匹敵します!

ただし、効果は高くても、リスティング広告と同様に効率の限界が存在します。そのため、リマーケティング広告はリスティング広告とセットで行い、限られた予算で費用対効果を最大化させるために工夫しましょう

【事例5選】ECの広告運用に成功したパターンとは?

ここからは、さまざまな形態の広告を運用したECサイトの成功例をご紹介していきます。

成功事例‍① 八面六臂/リスティング広告

食品通販サイト「八面六臂」のトップページ
食品通販サイト「八面六臂」のトップページ

八面六臂が運営する「八面六臂」は、飲食店や一般消費者に対して、各市場や商社などから仕入れた商品を販売する、総合食品通販のECサイトです。

インターネットの利用環境が整っていない飲食業界において、「仕入れ」「業務用」など、飲食業界の従業員が検索しやすいキーワードを狙ってリスティング広告の配信を行っています。

今では新規顧客の半数以上がGoogle広告経由で同社を知ったユーザーとなっており、顧客獲得単価の削減にも成功しています。

成功事例② ビィ・フォアード/リマーケティング広告

ビィ・フォアードは中古車の輸出事業を手掛ける
ビィ・フォアードは中古車の輸出事業を手掛ける

ビィ・フォアードは、新興国への中古車輸出を展開している会社です。

車関連のいわゆるビッグワードから、製品名、製品番号など、さまざまなワードを網羅したリスティング広告を実施。そうして認知度を確保した後でCVR向上を狙い、一度Webサイトで閲覧した商品・サービスを改めてバナーとして表示する動的リマーケティングを実施しています。

その結果、流入数は4倍増を実現し、一度興味を持ったユーザーを確実に購入に結びつけることに成功

また、興味を持ったユーザーへの効率的なリーチを達成し、売り上げは3倍増となりました。

成功事例‍③ PulseTV.com/アフィリエイト広告

ECサイト「PulseTV.com」のトップページ
ECサイト「PulseTV.com」のトップページ

PulseTV.comが運営する「PulseTV.com」は、ダイエット、家庭用品、電子機器などさまざまなカテゴリーの商品を割引価格で提供するECサイトです。

PulseTV.comは、顧客がリンクをクリックすると、アフィリエイトを利用する小売事業者のECサイトに移動するアフィリエイト広告の販売を2019年に開始しました。同社は移動先の商品売上からマージンを得ています。

また、アフィリエイト先のECサイトにも、自社の商品紹介リンクを掲載してもらい、売り上げにつながった場合にアフィリエイトマージンを支払っています。

その結果、2022年の広告収入は「PulseTV.com」の利益の30%以上を占めました。

成功事例‍④ アスク/記事広告

アスクは電子機器の製造などを手掛ける
アスクは電子機器の製造などを手掛ける

アスクは電子機器、電子部品などの設計、製造、販売および輸出入を行っています。商材が法人向けであり、販売とその戦略を代理店に依存していた「Web会議」の導入メリットを潜在顧客に伝える手段として、ビジネスパーソン向けの媒体にタイアップ記事広告を出稿しました。

記事広告を導入候補者の目線に沿ったテーマで打ち出すことによって多くの検索流入を獲得。また、記事広告からサイトへの導線を用意することで、試用問い合わせ数が増加しました。結果として昨対比7倍の売り上げを達成しています!

成功事例⑤ songdream/SNS広告

富士家具工業が運営するインテリアEC「songdream onlinestore」
富士家具工業が運営するインテリアEC「songdream onlinestore」

富士家具工業が運営するECサイト「songdream onlinestore」では、ウォールナット材という木材を主体にしたモダンインテリアブランド「songdream」を展開しています。

Instagramのストーリーズやフィード投稿に積極的にショッピングタグを使用して自社ECサイトへの導線を作っているほか、ショップ機能のコレクションをカタログのように活用し、利用者が見やすいようにまとめています

また、商品カテゴリーごとにコレクションを作成することで、利用者はカタログを見ているのと同じように、商品の比較がしやすくなっています。

その結果、ECサイトへの訪問数が前年比3.4倍となっています!

◇     ◇     ◇

今回はWeb広告の中でも特に重要な3つのタイプの広告の特徴、そしてさまざまな広告運用の成功事例について取り上げました。

自社に合った広告を見極め、組み合わせ、上手に活用することで、大きな費用対効果を得ることができます。

ECタイムズ

【2022年度】健康食品の市場規模は1%増の8925億円、機能性表示食品市場は11%増の4692億円の見込み

3 years ago

矢野経済研究所が発表した健康食品に関する市場調査の結果によると、市場規模はメーカー出荷金額ベースで2022年度は前年度比1.1%増の8925億円、2023年度は同0.9%増の9005億2000万円と予測している。

矢野経済研究所が発表した健康食品に関する市場調査の結果 健康食品市場規模の推移・予測
健康食品市場規模の推移・予測

新型コロナウイルス感染症拡大下で、巣ごもり需要の恩恵を受けた通販市場を中心に健康食品市場は拡大基調を続けている。

通販は2021年度に4%台の伸長率だったが、2022年度以降は競合激化や新規顧客の獲得単価(CPO)の悪化などで、市場は微増で推移すると予想する。

店頭販売は2021年度から2022年度にかけて、出足が徐々に回復したことにより復調基調をたどっているという。

機能性表示食品市場、拡大が続く

機能性表示食品の市場規模(2021年度)は、メーカー出荷ベースで同38.5%増の4148億円。一般食品の売上構成比が増加傾向にあり、2021年度には一般食品の売上構成比がサプリメントの売上構成比を上回った。

内訳は「生鮮食品」が3.9%、「サプリメント」が40.5%、「一般食品」が55.6%。今後「一般食品」を中心に活発な商品開発・展開が続くことが期待される。

機能性表示食品の市場規模推移と食品種類別構成比
機能性表示食品の市場規模推移と食品種類別構成比

サプリメントに関しては、2020年度まで大型商材の機能性表示食品化、積極的な広告展開によるヒット商品の誕生などで市場が急拡大したが、これらの動きは一巡化。2021年度以降は成長が鈍化した。

一般食品に関しては、清涼飲料などで大型商材の機能性表示商品化やヒット商品の誕生があり、2021年度には前年度比80.5%増と大幅に伸長。機能性の付加により高付加価値食品として販売できること、また、スーパーやコンビニエンスストアといった一般消費者に身近な小売店で機能性表示の内容が訴求できることから、消費者の購買意欲を喚起している。

機能性表示食品の2022年度市場予測は、同11.3%増の4692億円、2023年度は同8.3%増となる50億8000万円を予測している。

調査概要

  • 調査期間:2023年1月~3月
  • 調査対象:健康食品製造・販売企業(健康食品メーカーを中心に一般食品メーカー・製薬メーカーなど)、健康食品関連団体、管轄官庁など
  • 調査方法:専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング、郵送・メールによるアンケート調査、文献調査併用
瀧川 正実

BASEがネットショップ作成サービス利用者向けに提供する後払い決済サービス「あと払い(Pay ID)」とは?

3 years ago

BASEはBNPL(後払い決済)事業に参入、自社開発の後払い決済「あと払い(Pay ID)」の提供を開始した。まずは、ネットショップ作成サービス「BASE」を利用するショップを対象に提供する。

BASEは自社開発した後払い決済「あと払い(Pay ID)」を提供開始した
BASEが提供する後払い決済「あと払い(Pay ID)」

後払い決済を自社開発

「あと払い(Pay ID)」は、「BASE」を利用するショップが購入者に提供できる決済方法の1つ。消費者が商品を購入する際、ID決済ログインから支払いまでを自社サービス内でワンストップ提供するスキームを構築している。

BASEの購入者向けID決済サービス「Pay ID」にID登録している購入者が、当月の支払い金額を翌月にまとめて支払いできる仕組みを提供する。

「Pay ID」にID登録している購入者が「あと払い(Pay ID)」を利用して商品を注文すると、電話番号の入力、電話番号に届いたSMSコードを入力することで、代金を支払う前に商品を注文できる。

代金の支払いは、支払期限までの期間中、購入者の好きなタイミングで「Pay IDアプリ」に表示される支払い画面(バーコード)を、コンビニで提示して支払うことができる。

決済パートナーとしてGMOペイメントサービスと連携。GMOペイメントサービスが売買代金などの債権譲渡を受けて請求書の発行と代金の回収を行う。

ネットショップ作成サービスの「BASE」、購入者向けのID決済サービス「Pay ID」というショップ側と購入者側の両サイドに向けたサービスを展開しているBASE。ネットショップにおけるスマートな画面遷移などを実現し、購入者の決済体験の向上を図るという。

マーチャント(ショップ)向けのアセット「BASE」も、購入者向けのアセット「Pay ID」も両方持っている現段階で、このBNPLに乗り出すというのは、BASEにとって大きなメリット。

代表取締役CEO 鶴岡裕太氏
代表取締役CEO 鶴岡裕太氏

「あと払い(Pay ID)」の利用を想定しているターゲット層は、若年層など、後払い決済をよく使う方。そして、それ以外にも、ネットショッピングが好きな方は全て対象になると思っている。ショッピングの体験を最適化することにこだわり続けたプロダクトだからだ。

上級執行役員 髙橋直氏
上級執行役員 髙橋直氏

「あと払い(Pay ID)」概要(ショップ向け)

導入対象は「BASE」を利用しているショップ。手数料は次の通り。

  • 「BASE」の「スタンダードプラン」利用ショップ:決済手数料:3.6%+40円、サービス利用料:3%
  • 「BASE」の「グロースプラン」利用ショップ:決済手数料:2.9%、月額サービス利用料:5980円

購入者の「あと払い(Pay ID)」利用対象者

  • 利用対象者:「Pay ID」にアカウント情報を登録している人
  • 支払い方式:マンスリークリア(翌月一括支払い)
  • 支払い期限:購入月の翌月10日まで
  • 支払い方法:コンビニ支払い
  • コンビニ支払い手数料:350円

購入者による「あと払い(Pay ID)」の利用方法

  1. 「BASE」を利用するショップでの商品の支払い方法で「あと払い(Pay ID)」を選択
  2. 本人確認のため携帯電話番号を入力し、電話番号に届いたSMSのコードを入力
  3. 「購入を確定」ボタンを押して注文完了
あらかじめ保存した情報で支払いができる
あらかじめ保存した情報で支払いができる

利用には「Pay ID」のアカウント登録が必須となる。「あと払い(Pay ID)」の決済は、Webブラウザでのみ。2023年の年内には、アプリでの購入時にも利用できるようにアップデートを予定している。

高野 真維

「いきなり購入」はリスクが高すぎるのかも。お試し購入が手軽になり、後払いも普及しています【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

3 years ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年4月10日~4月16日のニュース

今までの商習慣ではお金と物は同時に交換だったのですが、お試し後購入と後払いの普及でその習慣が変わりつつあります。とにかく手に取ってもらうことが大切になりそうです。

手に取ってもらわないと買ってもらえない時代

「試してから買う」でEC購入に安心感を。サマンサタバサが通販サイトで始めた新たな買い物体験とは? | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10848

サマンサタバサジャパンリミテッドは4月12日から、公式ECサイトで販売する「Samantha Thavasa Petit Choice」「KINGZ」の2ブランドにおいて、高品質な商品を“お試ししてから購入する”という「お試しサービス」を始めた。

「いきなりオンラインストアで商品を購入するのは少し不安」「憧れのアイテムだけど金額が……」「買う前にサイズ感や機能性を確かめてみたい」といったユーザーに向けて、10日間の試用サービスを3300円(税込、往復送料含む)で提供する。

サマンサタバサで扱っている商品は少し高めなので、「いきなり」ネットで買うのは不安ですよね。かと言って、どこかの店舗に行く時間もないとなるとお試しサービスはメリットがあります。返品は不良品などの場合のみですし。お試しと言っても無料ではなく3300円かかりますので、ある程度は購入の意思がある人向けということになります。前金に近い感覚ですね。

商品を試して気に入った場合は、延長、もしくは購入できる。その商品を購入する場合は、商品価格とお試しサービスの差額を支払う必要がある。

また、一度試用された商品(お試しサービス終了で戻った商品)を試して購入する場合、別ユーザーのお試しサービス利用料を差し引いた金額で購入できる。

お試しユーザーがその後購入できるのは、他にもよくあるサービスですね。興味深いのは、試用された商品を別のユーザーが買う時は、3300円引きになるということ。誰かが使ったものを定価で買うのは抵抗がありそうですが、多少の値引きがあれば納得感があります。

オープンロジと「har try(ハルトライ)」が連携 顧客体験を向上させる「お試し後に購入」できるサービスの物流の自動化を実現 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/33595

「har try(ハルトライ)」を導入しているShopifyマーチャントは、オープンロジを利用することで、顧客が試着として注文した未決済処理の商品の取り込みから配送指示までの物流業務を自動化することが可能となります。加えて、決済処理済みの購入商品と試着として注文した未決済商品を同梱して配送することもできるようになり、物流業務の効率化と顧客へのサービス向上の両方を実現することができます。

こちらはお試しの仕組みの実装と実務が効率化されるサービスです。お試しを始めようと思うと、カートへの組み込み、在庫の管理、お金の管理など面倒なことがたくさんあるので、なかなか踏み切れないことが多いはずです。「ここが解消されれば…」と思っていた人は多いのでは。

高価なもの、身につけないとわからないもの、触ってみないとわからないものなど、試してみたい商品は多いので。こういったサービスを導入することで売り上げを伸ばすチャンスになりそうです。

【EC決済の後払い利用調査】中高年・シニア層で高い利用率。支払い時の安心感が後押し | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10594

ECサイトでよく利用する支払い方法のTOP3は、全年代ともに「クレジットカード」「ID決済」「後払い」となった。

中高年・シニア層はクレジットカードの利用比率が高いが、後払いも各年代で16~21%の割合で利用されている。ECサイトでの主要な支払い方法として定着していることがわかる。

お試し後の購入に関連して、後払いも普及してきています。いきなり購入&決済はじわっと減ってくるかもしれませんね。

今週の要チェック記事

シニア世代のネットショッピング利用率は91%、 ECで“つまずく”ポイントは「会員登録」「決済」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10845

「エラー表示が出るが、何がエラーなのかわからない」が50.7%。これは若い人でも同じかも。正しさもありつつ伝わる表現を。

迫る物流の2024年問題、9割超が意識 1年以内に導入検討しているのは「配送DX」/Hacobu調査 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/12668

「データの活用・可視化」に関しては、一般社員が29.1%となっています。現場はDXで仕事がやりやすくなると考えているようですね。

宅配クライシスに2024年問題、物流業界の課題は他人事ではない EC事業者が知っておくべき実状 | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/12638

事業者側は「リスク分散の観点」からも、物流事業者さんに今のうちから相談を。

日本ブランドのEC対応、外国人から見るとここが不便 | AdverTimes.
https://www.advertimes.com/20230407/article413979/

資料がPDF、地図が画像など思い当たる方は改善を。

jigenさんが見据えるメディアとコミュニティビジネスの未来。そして私たちが今考えるべきことは | Marketeer
https://marketeer.jp/jigen_1_sixth/

「人数が増えすぎるとコミュニケーションは取れない」。これはどこでも生じるので知っておきたいところ。

クレカ不正利用の被害額は436億円、ECなど非対面取引の番号登用被害は411億円 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10836

「番号盗用被害額が411億7000万円」。番号の管理は厳重に。

ヤフーの「Yahoo!ショッピング」、標準より遅い届け日指定でPayPayポイントを付与する「おトク指定便」を全ストアに展開 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10842

「LOHACO」で実証実験をした結果から全体に展開の流れです。

今週の名言

従業員から経営陣へ直球質問 NGなし、忖度なしの一問一答 | トヨタイムズ
https://toyotatimes.jp/toyota_news/new_management_policy/003_1.html

自分に対峙する人がいてくれて、(想いが)共有できたときには、そのパワーが2倍にも3倍にもなる

真正面から議論できる人がいるといいものができる。これは間違いないです。

筆者出版情報

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める小さい会社のウェブマーケティング必勝法

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める
小さい会社のウェブマーケティング必勝法

森野誠之 著
翔泳社 刊
発売日 2021年10月15日
価格 2,200円+税

この連載の筆者 森野誠之氏の著書が翔泳社から発売されました。小さな会社の“ひとり担当者”が、未経験、低予算、独学でホームページのリニューアルからウェブマーケティングまでを成功させるための指南書です。電子版、オンデマンド印刷版ともにAmazonで発売中です!

この本をAmazonで購入
森野 誠之

健康食品・サプリの購入で半数以上が「失敗経験あり」。その理由と、購入前の不安を減らす手法とは?【消費者調査まとめ】

3 years ago

消費者が健康食品やサプリメントを購入する際は、どのような情報を参考にして選んでいるのか? メディカルリサーチは、20代~60代の男女(健康食品やサプリメントを定期的に購入している人、または過去に購入していた人)を対象に、「商品購入時の消費者行動」に関する調査を実施した。

調査結果によると、回答者の半数以上が購入に失敗した経験があることがわかった。また、医師や専門家の監修コメントは商品の安心感や信頼感につながり、購入の後押しとなりやすいようだ。

半数以上が「失敗したことがある」

店舗、インターネットを問わず、健康食品やサプリメントを購入して失敗した経験について聞いたところ、「よく失敗する」(9.2%)「たまに失敗する」(42.8%)「あまり失敗しない」(37.7%)「全く失敗しない」(10.3%)だった。

「よく失敗する」「たまに失敗する」を合わせると半数以上が健康食品やサプリメント購入で失敗した経験がある。

半数以上が「失敗した」と感じた健康食品・サプリメントの購入経験があることがわかった
半数以上が健康食品・サプリメントの購入で「失敗した」経験がある

「よく失敗する」と回答した理由

  • 口コミにだまされる(20代/女性/会社員)
  • 購入する前に自分に合うか把握できない(30代/女性/会社員)
  • 結果が伴わない(40代/女性/パート・アルバイト)

「たまに失敗する」と回答した理由

  • 同じ(用途の)サプリメントでコストパフォーマンスがいいものを後から見つけた(20代/女性/会社員)
  • 期待した効果がなかった(20代/女性/自営業・自由業)
  • 味が合わなかった。量を買いすぎた(30代/女性/パート・アルバイト)

成分に不安を感じる人は6割以上

「健康食品やサプリメントなどを購入する際、入っている成分などに不安を感じることはあるか」という質問には、6割以上が「とても不安に感じる」(14.4%)または「やや不安に感じる」(53.0%)と回答。多くのユーザーが成分に関して不安を感じることがあることがわかった。

購入した商品を直接口に入れるため、成分に不安を感じる人は多い
成分に不安を感じる人が多い

商品の監修コメントが購入を後押し

「具体的に何があれば安心して商品を購入することができるか(複数回答可)」という質問には、「医師・専門家からの監修コメント」(50.0%)が最多。「商品のブランド認知」(39.3%)「販売企業のブランド認知」(37.1%)が続いた。

医師や専門家による商品の監修コメントは購入者に安心感を与えやすいようだ
医師や専門家による商品の監修コメントは安心感を与えやすい

8割以上が「医師の監修コメントが参考になる」

「健康食品やサプリメントについて誰が評価していると特に信ぴょう性が増すか」とと聞いたところ、「商品にあった専門家(医師など)」が最多で45.1%。「ご自身と同じ悩みを抱えている方」(32.7%)「ご自身と同じ年代の方」(19.8%)が続いた。

同じ悩みを抱えている人や同年代よりも、最も参考にされているのは専門家のコメントとなった
最も参考にされているのは専門家のコメント

「医師監修コメントがあると健康食品やサプリメント購入時どのくらい参考になるか」という質問には、8割以上が「とても参考になる」(22.5%)または「参考になる」(62.0%)と回答した。

専門的な知識を持っている人の情報は信頼できることや、医学的知見に基づいているといった理由で、購入時に参考になると思う人が多い。

医学的・専門的な観点からの監修コメントは8割超の回答者が参考にしている
医学的・専門的な観点からの監修コメントは8割超の回答者が参考にしている

「とても参考になる」と回答した理由

  • 医師は安心できる(20代/女性/専業主婦)
  • 科学的根拠があると確証できるから(20代/女性/会社員)
  • 内容をよく理解している人からの情報は信頼できるから(30代/女性/パート・アルバイト)

「参考になる」と回答した理由

  • 専門的な知識(を持っているから)(20代/女性/専業主婦)
  • 医学的知見の根拠に基づいているから(20代/女性/公務員)
  • 専門的な知識を持っている人の意見は安心材料になると思うから(20代/女性/自営業・自由業)

調査概要

  • 「商品購入時の消費者行動」に関する調査
  • 調査期間:2023年3月20日(月)〜2023年3月22日(水)
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査人数:1018人
  • 調査対象:20代~60代の男女 ※健康食品やサプリメントを定期的に購入している人、または過去に購入していた人
  • モニター提供元:ゼネラルリサーチ
高野 真維

松屋フーズ、EC売上37億円のノウハウで食品のネット通販拡大をサポートする支援サービス「ブチアゲ」とは

3 years ago

松屋フーズは、食品に特化したネット通販支援事業を始めた。サービス名称は「ブチアゲ!」で、ECコンサルティング、運営代行事業を手がける。

クライアント企業のEC業務を戦略、運営、制作までを一気通貫で支援。オプションとして、クライアント企業の社員育成(EC人材の育成)も担う。

松屋フーズの新サービス「ブチアゲ!」
松屋フーズの新サービス「ブチアゲ!」

EC売上を37億円に成長させたスタッフが運営をサポート

「ブチアゲ!」は、松屋フーズが、ECコンサル・運営代行会社のGastroduceJapan(ガストロデュース・ジャパン)と協業してサービスを提供する。

クライアント企業がEC業務を「丸投げ」できるのが特徴。クライアント企業は戦略から運営、制作まで全て松やフーズに委託できる。

戦略、運用、制作まで一気通貫に委託できる
戦略、運用、制作まで一気通貫に委託できる

松屋フーズのEC売上を年間700万円から37億円まで伸長させたスタッフが運営の実務を担当する。

松屋フーズのEC事業を成長させたスタッフが新サービスの運営に当たる
松屋フーズのEC事業を成長させたスタッフが新サービスの運営に当たる

なお、初回は5社限定でクライアント企業を募集する。

「出向育成オプション」でEC人材の育成も

クライアント企業のEC人材を育成する「出向育成オプション」をオプションとして提供する。クライアント企業は「ブチアゲ!」のプロジェクトに自社の社員を派遣し、松屋フーズに教育を任せることができる。

クライアント企業のスタッフを1人前のEC人材に育成する
クライアント企業のスタッフを1人前のEC人材に育成する

1年前後で1人前のEC人材を育成するプログラムを用意。利用企業は最短1年でEC事業の内製化ができるようになるという。

EC人材の育成は、次のような課題を抱えている企業に利用を勧めている。

  • ECのプロといえる人材が社内にいない
  • どのような人材を採用すべきかわからない
  • 採用しても、本当に実力があるかわからない
  • ECの運営に当たって有能な責任者の単価(人的コスト)が高い

「ブチアゲ!」「出向育成オプション」の料金プランは次の図の通り(参考値)。契約期間は2年間(見積もりによって微修正可)。また、料金は「固定料金+成果報酬」になるケースもあるという。

上記のモール以外のEC事業を請け負う場合は別途見積もりとなる
上記のモール以外のEC事業を請け負う場合は別途見積もりとなる
高野 真維

2023年GWのお出かけトレンドは「グルメ満喫旅」「お手軽アウトドア」など。特集ページを「楽天市場」に開設

3 years ago

楽天グループは、大型連休に向けて「楽天 2023年 ゴールデンウィーク お出かけ&アウトドアグッズトレンド」を発表、「楽天市場」に特集ページ「2023年 トレンド先読みアウトドアグッズ」を開設した。

旅行需要が回復、アウトドアアクティビティの人気が高まると予測

「楽天 2023年 ゴールデンウィーク お出かけ&アウトドアグッズトレンド」は、「楽天市場」における商品の購買動向、旅行予約サービス「楽天トラベル」の大型連休(ゴールデンウィーク)に向けた旅行などの予約動向に基づき、2023年の大型連休のお出かけ・アウトドアグッズのトレンドを予測したもの。

2019年から2022年の期間における「楽天市場」のアウトドアカテゴリの流通額は、年平均24.3%増で推移(2019年~2022年におけるアウトドアカテゴリの流通額を比較)。そのため、2023年の大型連休は、キャンプやバーベキューなど関連アイテムを使用したアウトドアアクティビティの人気が高くなると予測した。

また、「楽天トラベル」における2023年の大型連休の国内予約ピーク期間は、4月29日~5月7日までの9日間で、3月下旬時点の該当期間の国内宿泊の予約泊数は2022年同期比約1.4倍で、旅行需要は堅調に回復しているという。

GWお出かけトレンドは「女性ひとり旅」「お手軽アウトドア」など

楽天2023年ゴールデンウィークお出かけトレンド 女性ひとり旅 グルメ満喫旅 お手軽アウトドア シアターキャンプ
「楽天 2023年 ゴールデンウィーク お出かけトレンド」

トレンド予測①:「女性ひとり旅」

2023年の大型連休における国内宿泊予約は、宿泊構成を問わず好調に推移している。そのなかでも「女性ひとり旅」の予約泊数が顕著に伸びており、3月下旬時点で前年比約1.6倍に拡大している(2023年3月28日時点で、2023年4月29日~2023年5月7日と前年同時期の宿泊数を宿泊構成別に比較)。

楽天2023年ゴールデンウィークお出かけトレンド 宿泊構成別ゴールデンウィークの予約伸び率
宿泊構成別 ゴールデンウィークの予約伸び率(2022年との比較)

「女性ひとり旅」は2泊以上の連泊の比率も高く、2023年3月31日時点で約6割が連泊という。また、都市部が多く選ばれている傾向がある。

こうした背景には、「人気アーティストの音楽ライブなど、対面型イベントの回復」「ひとり旅向けプランの増加」「旅行を自由に組める柔軟性」「コロナ禍における1人行動への慣れ」が増加の要因として考えられる。(楽天グループ 楽天トラベル PR推進室 樋口詩織氏)

トレンド予測②:「グルメ旅満喫」

好みの料理を好きな量だけ味わえる「ビュッフェ」のキーワードを含んだ宿泊プランの予約泊数は、前年同期比1.78倍に伸長した(2023年3月31日時点で、キーワードに「ビュッフェ」を含む宿泊プランの宿泊数を、2023年4月29日~2023年5月7日と前年同時期を比較)。

また、滞在中の食事や軽食、ドリンクなどを追加料金なく楽しめる「オールインクルーシブ」のキーワードを含んだ宿泊プランの予約泊数は、前年比約2倍に増加した(2023年3月31日時点で、キーワードに「オールインクルーシブ」を含む宿泊プランの宿泊数を、2023年4月29日~2023年5月7日と前年同時期を比較)。

トレンド予測③:「お手軽アウトドア」

新型コロナウイルス感染拡大の影響や、屋外でアウトドアチェアに座ってくつろぐ「チェアリング」のブームにより、2020年以降「楽天市場」では「アウトドアチェア」(2022年の年間流通額が2019年比83%増)「屋外用ソファ」(同127%増)「アウトドアテーブル」(同105%増)の売れ行きが拡大した。

こうした動向から、混雑回避のため、自宅の庭やベランダ、近隣の公園などで手軽に自然に触れたり、家族や友人とバーベキューをしたりする人が増えると予想。コロナ禍以降、流通が拡大傾向にある「七輪」や「キャンプ用食器」などが大型連休に向けてさらに伸びが期待できるという。

2023年ゴールデンウィークお出かけトレンド お手軽アウトドア 七輪
「七輪」の2022年の年間流通額は2019年と比べて142%増
2023年ゴールデンウィークお出かけトレンド お手軽アウトドア キャンプ用食器
「キャンプ用食器」の2022年の年間流通額は2019年と比べて194%増

トレンド予測④:「シアターキャンプ」

ここ数年で「キャンプやアウトドアに必要な基本的なギアは一式揃えた」という人も多い。ポータブル電源を取り入れることで「アウトドアをより快適に充実させる」といった需要が顕在化しているという。

「楽天市場」では、ポータブルプロジェクターや防水のポータブルスピーカーなど、娯楽をより充実させるエンターテインメント関連商品の流通が好調。

また、テントの中で過ごす時間が増えることで、より快適なキャンプ環境を求めて、広々としたロッジ型テントやエアベッド購入する人も増加している。

2023年の大型連休を活用して、自然に囲まれた環境で、時間を気にせず映画や音楽などの鑑賞を楽しむ人が増えると予測した。

2023年ゴールデンウィークお出かけトレンド シアターキャンプ ポータブルプロジェクター
2022年の年間流通額が2019年と比べて+43%となった「ポータブルプロジェクター」

GWアウトドアグッズトレンドは、「チェアリング」「キャンプ家電」など

2023年ゴールデンウィークアウトドアグッズトレンド チェアリング キャンプ家電 NEXTヒットブランド アウトドアトイ
「楽天 2023 年 ゴールデンウィークアウトドアグッズトレンド」

トレンド予測①:「チェアリング」

「楽天市場」における「アウトドアチェア」の2022年の年間流通額は2019年比で83%増。「アウトドアワゴン」など関連商品の検索・流通も増加傾向にあることから、大型連休に向け「チェアリング」関連商品が大きなトレンドになると予測した。

2023年ゴールデンウィークアウトドアグッズトレンド チェアリング アウトドアチェアの一例
アウトドアチェアの一例

トレンド予測②:「キャンプ家電」

便利で快適なキャンプを楽しみたいというトレンドのなか、キャンプで取り入れやすい防水家電やポータブル家電への注目が高まっているという。

大型連休には家族でのアウトドアも増加することから、「ポータブルプロジェクター」「ポータブルスクリーン」「防水のポータブルスピーカー」といった商品がトレンド入りすると予測した。

トレンド予測③:「NEXTヒットブランド」

近年、アウトドアの楽しみ方が多様化したことでユーザーのすそ野が拡大。商品に対するニーズも多様化していることから、定番の人気アウトドアブランドに加え、ECショップが展開するプライベートブランドの商品や、韓国・中国などアジア発のアウトドアブランドの商品が、徐々に注目を集めているという。

2023年ゴールデンウィークアウトドアグッズトレンド NEXTヒットブランド プライベートブランド アジア発のアウトドアブランド
ECショップのオリジナルブランドの一例。「QUICKCAMP(クイックキャンプ)」の2人掛け折りたたみベンチ(左)、「Hilander(ハイランダー)」のヘキサゴンテーブル(中央)。アジア発ブランドの商品のテント(右)

アジア発のアウトドアブランドは、「人と違うものを使いたい」というニーズに対応しているブランドや、コスパの良いブランドが多い。(楽天グループ マーケットプレイス事業 ECコンサルティング部 並木英敬氏)

トレンド予測④:「アウトドアトイ」

大型連休は家族ぐるみでアウトドアを楽しむ人が増えることから、年齢・性別を問わずに盛り上がれる、取り入れることでアウトドアがより楽しくなるアクティビティのニーズが高まることが予測される。

「楽天市場」では、「モルック」「水鉄砲」などの人気が緩やかに高まっており、家族や友人で集まる機会が増える大型連休に、さらに勢いが増すと予測した。

2023年ゴールデンウィークアウトドアグッズトレンド アウトドアトイ モルック ウッドクロケット
アウトドアトイの一例である「モルック」(左)や「ウッドクロケット」(右)
藤田遥

「満足度の向上には決済面が重要」。3COINSなどのパルが取り組む自社ECサイトの買い物体験向上&新規顧客獲得事例

3 years ago
パルグループの自社EC「PAL CLOSET」の継続的な成長を支える施策の1つにあげられるのが“決済の強化”。顧客の利便性と新規顧客の獲得に効果を発揮している決済機能、今後計画している施策を紹介する
[AD]

パルグループホールディングスの自社EC「PAL CLOSET(パルクローゼット)」が、右肩上がりで成長を続けている。コロナ禍でのEC需要の高まり、主力雑貨ブランド「3COINS(スリーコインズ)」のEC開始などさまざまな要因があげられるが、継続的な成長を続けている根底には、顧客の利便性を向上させる取り組みが欠かせないようだ。特に決済面は買い物体験、顧客満足、新規顧客の獲得に大きく影響すると捉え、決済手段と機能の拡充に力を入れている。「PAL CLOSET」を運営するパルのWEB事業推進室マーケティングディビジョン長・高橋貴宏氏に、利便性を向上させる取り組みやその効果、今後の施策を聞いた。

「PAL CLOSET」を運営するパルのWEB事業推進室マーケティングディビジョン長・高橋貴宏氏

顧客満足向上のために多様化する決済ニーズに対応

コロナ禍以降、ECの需要が高まり、パルグループは「PAL CLOSET」に訪れる顧客の利便性を向上させるための取り組みを強化してきた。なかでも特に力を入れたのが決済だ

パルグループが力を入れている自社ECサイトの「PAL CLOSET」
パルグループが力を入れている自社ECサイトの「PAL CLOSET」

多様化する決済手段に対応していかなければ、ユーザーの満足は得られない」(高橋氏)と話す通り、利用できる決済手段を順次拡充してきた。クレジットカード、代金引換、後払い、「Amazon Pay」に代表されるID決済など、豊富な決済手段を用意。決済強化の一環として、2022年に「Amazon Pay」が提供しているさまざまな新機能を追加・実装した

それは、「Amazon Pay」の機能を強化し、「PAL CLOSET」とAmazonとの親和性をより高めれば、ECのさらなる成長につながると考えたからだ。

AmazonアカウントのIDとパスワードを入力するだけで簡単に決済できる「Amazon Pay」は、顧客にとっての利便性と安心感が大きく、加えて、多くの顧客がAmazonアカウントを保有しているため、これまでも「Amazon Pay」は「PAL CLOSET」の新規顧客の獲得に寄与してきたという。

「ユーザーの満足度を高めるために決済面はとても重要」と考える高橋貴宏氏(WEB事業推進室 マーケティングディビジョン長)
「ユーザーの満足度を高めるために決済面はとても重要」と考える高橋貴宏氏(WEB事業推進室 マーケティングディビジョン長)

「Amazon Pay」の機能強化が新規獲得や予約販売に効果を発揮

「PAL CLOSET」では、2022年5月に「Amazon Pay」をCV2へ移行し、翌月までにログイン連携(マイページへのログインなどにAmazonアカウントでログインできるログイン機能)に加えて予約機能を実装した

「PAL CLOSET」は予約に力を入れており、アパレル・雑貨ECのなかで予約販売のニーズも高い。新たに予約機能を追加で実装し、予約商品の購入でも「Amazon Pay」を利用できるようにしたのだ。

以前はクレジットカード決済、代金引換、銀行振込のみが予約販売に対応していたが、今後は「Amazon Pay」による予約受注に力を入れ、代金引換による受け取り拒否などのリスクも軽減していきたいという。

注文から出荷まで30日を超える商品に対応できる「Amazon Pay」の予約機能

一般的にクレジットカード決済の与信保持期間が30~90日程度であるのと同様に、「Amazon Pay」も通常の与信保持期間は30日としているが、予約販売に対応した再オーソリの機能を実装すれば、与信を再度取り直すことで、注文から出荷までに30日を超える日数を要する受注にも対応できるようになる

「PAL CLOSET」の予約商品は、注文から出荷まで17~18日程度の商品が多いものの、なかには30日を超えるケースもある。そのため、「Amazon Pay」の予約機能を実装する以前は、予約商品の購入に「Amazon Pay」が利用できなかった。

予約機能の実装後、2022年11月には「PAL CLOSET」の予約販売における「Amazon Pay」の利用率が6ポイント程度アップし、「『Amazon Pay』が予約商品のニーズと結び付いていると実感する数値だ」(高橋氏)と話している。

「Amazon Pay」の与信について
「Amazon Pay」の与信について

新規顧客獲得にも有効な「Amazon Pay」、アプリでも効果を発揮

主力雑貨ブランド「スリーコインズ」のアプリの決済手段にも「Amazon Pay」をラインアップした。2019年から店舗顧客のアプリによる会員化を進めているスリーコインズでは、会員数がまもなく1000万人に迫る勢いと、増加の一途をたどっており、そのアプリの利便性向上も重視した結果の判断だ。

その結果、「PAL CLOSET」の決済全体における「Amazon Pay」のシェアは、従来から6ポイント程度増加した

「Amazon Pay」実装後の流通額の伸長率(2022年実績)は、前年比79%増で、その内「Amazon Pay」の実装改善効果だけを算出すると同60%増という。また、「Amazon Pay」で購入した顧客数の成長率も同様に算出すると同57%増。2022年の「Amazon  Pay」利用者の顧客単価は同15~20%増で推移するなど、実装改善効果が随所に表れているという。その要因について、高橋氏は次のように話す。

「PAL CLOSET」は予約も盛んな為、予約商品を購入するお客さまのニーズと「Amazon Pay」の機能が合致したことが1つの大きな要因だろう。また、「PAL CLOSET」ではアプリからの売上シェアが年々増加しているため、「Amazon Pay」がアプリでも使えるようになったことも大きく影響したと考えている。顧客体験を向上させるための取り組みを、今後も強化していきたい。(高橋氏)

「PAL CLOSET」を運営するパルのWEB事業推進室マーケティングディビジョン長・高橋貴宏氏

ここで特に注目したいのが、新規顧客の「Amazon Pay」の決済シェアだ。

新規顧客の「Amazon Pay」利用率は、実装改善後に12ポイント程度増加したという。この点からも、「Amazon Pay」の利便性向上が新規顧客獲得に大きく寄与していることがわかる。

「PAL CLOSET」における「Amazon Pay」決済の流通額は、今後も伸長していくと考えており、有効な機能を随時追加・実装していきたいという。

また、「Amazon Pay」による流通額のうち、アプリ経由の売り上げが約25%を占めていることから、2023年はアプリにおける機能強化にも力を入れていく考えだ。

自社EC売上高250億円に向けて、決済のさらなる拡充・強化は必須

「PAL CLOSET」は、今後も引き続き「Amazon Pay」の機能強化に取り組んでいく計画だ。その施策の1つとしてまず、アプリ上でもAmazonログインによる新規会員登録ができるようにすることをあげている。

「PAL CLOSET」のアプリ
「PAL CLOSET」のアプリ

Amazonログインによる新規会員登録が実現すれば顧客体験の向上に大きく寄与すると見られる。今後もアプリ会員数やアプリ経由での購入は増加していくと見込んでおり、アプリでの「Amazon Pay」の機能を強化すれば、新規顧客の獲得・エンゲージメント強化により効果を発揮すると考えられるためだ。

高橋氏は「利便性を高めるために決済手段を拡充しているのだから、アプリにおいても同等の利便性を提供したい」と話し、アプリ周りの課題解決にも力を入れていく考えだ。

コロナ禍ではECの需要と価値が一気に高まり、また、アプリへの「スリーコインズ」ユーザーの流入により、アプリの重要性もいっそう高まった。そして現在は、実店舗も再び賑わいを見せるようになっている。EC・アプリ・店舗の価値を掛け合わせて、コロナ禍前にはなかったような新しい発想のオムニチャネルを進化させていきたい。(高橋氏)

「PAL CLOSET」を運営するパルのWEB事業推進室マーケティングディビジョン長・高橋貴宏氏
[AD]
朝比美帆
吉田 浩章

【ステマ規制の運用基準】内容の悪質性は考慮せず、「事業者の表示」を隠しているか否かが違反の構成要件 | 通販新聞ダイジェスト

3 years ago
消費者庁が景品表示法の告示にしたステルスマーケティング規制。消費者庁によると、「規制の趣旨はあくまで、一見、第三者の表示であるのに事業者の表示であるものを規制すること」という

消費者庁は3月28日、ステルスマーケティング規制を景品表示法の告示に指定した。「事業者の表示」であることを隠す行為は、内容を問わず、措置命令の対象になる。

事業者の予見性を担保する目的で策定した「運用基準」は、規制による自由な広告、表現活動に対する懸念を反映する形で、大幅な追記、修正が図られた。具体的な事例をもとに規制内容とこれまでの経緯を見ていく。

ステルスマーケティング規制/「事業者の表示」が明瞭なもの

運用基準を大幅に追記・修正

告示は、外見上、第三者による表示に見えるものの、実際は事業者が内容の決定に関与しているものを規制する施行は、10月1日

公表同日に会見した河野太郎大臣は、「多くの事業者、消費者に関係する」として十分な周知期間を取る考えを示した。プラットフォーム運営事業者と連携した情報収集の取り組みや通報窓口の設置、事業者からの相談窓口も設けることで規制の実効性を高める。

規制は、商品に言及するあらゆる表示について、事業者との関係性に踏み込んで実態を把握する必要がある。消費者を含め、自由な表現活動に対する圧力になりかねず、憲法が保障する「表現の自由」と鋭く対立する

消費者庁「“あらゆるものに規制が及ぶ”という誤解があった」

事業者にとっても、サンプル・商品提供を伴うレビュー投稿の依頼など、顧客との関係性の中で行われてきた通常の商習慣に及ぼす影響が大きい。こうした懸念を受け、事業者の予見性を担保する目的で策定した「運用基準」は、大幅な追記・修正を行なった

消費者庁は、追記・修正の目的を「景表法の範囲内で行おうとしている中で、あらゆるものに規制が及ぶという誤解があった。ターゲットを明確にし、なぜ景表法上の問題となるのかわかりやすいものにした」(南雅晴表示対策課長)と話す。

ステマをする人の社会的立場や職業を考慮

ポイントは、告示の対象外とする事業者の表示が「明瞭となっている」事例に「社会的な立場・職業等(例えば観光大使等)から、消費者にとって事業者の依頼を受けて表示を行うことが社会通念上明らかな者が行う表示」が追記されたことだろう。

ステマは、事業者が第三者を装う「なりすまし型」と、事業者が第三者に表示させる「利益提供秘匿型」がある。後者は、事業者が「表示内容の決定」に関与している場合に、「事業者の表示」となり、明瞭でなければ景表法による措置命令の対象になる。

執行の判断は、「関与(依頼)の有無」→「第三者の意思」というステップを踏む。

第三者との「具体的なやり取りの内容(メール、口頭等)」「対価の内容」「提供理由(宣伝目的等)」「両者の関係性(過去から将来に向けた対価提供・継続性)」から関与の有無を評価。

明示的な依頼・指示がなくても表示内容を決定できる程度の関係性があれば「事業者の表示」になる。関与があっても、「第三者の自主的な意思」による表示であれば規制の対象にならない。

事業者が第三者にステルスマーケティングを行わせる際に、規制の対処になる場合とならない場合の一覧

第三者との関係には最新の注意を

ただ、過去の基準案に沿えば、日本に根付く贈答文化を含め、あらゆる物品などの提供が「対価」と捉えられかねず、事業者は消費者、第三者との関係に細心の注意を払う必要があった。

加えて、判断の裁量は消費者庁側にある。事業者の防衛策は、あらゆる表示で「広告」の明示を心がけるか、第三者と一切の情報のやり取りを行わないことなど

「どの程度のサジェストまで許容されるかわからない」(事業者)といった懸念があり、顧客や消費者とのやり取りが予測不能な“ステマリスク”にさらされる可能性があった。

事業活動の過度な委縮を招き、本来メリットもある企業と消費者の関係性を必要以上に遮断する恐れもあった。

追記は、「社会的立場・職業」を判断要素とした点で、ほかの「事業者表示が明瞭なもの」と異なる。「第三者の自主的な意思」でない場合も「事業者の表示」と判断されない基準が明記された

「あえて広告と言う必要はない」パターンとは?

社会的立場・職業とされる「観光大使等」は、あくまで一例だ。

ある人が(事業者との関係から)表示するのがわかるのであれば規制の必要はない。たとえばスポーツ選手がアパレルブランドの協賛を受けている。着用する服にロゴが入っている。選手がそのブランドに言及した場合もあえて広告と言う必要はない。「事業者の表示」とみなさない。(消費者庁 南雅晴表示対策課長)

著名なインスタグラマー、アフィリエイターも、これを生業としていることが明らかな場合、「社会的立場・職業」に属する可能性がある。ただ、知名度や職業の実態は程度問題がある

これには、「言われる通りで、網羅的に判断を示すことが難しい。個別ケースによる」(同)とする。

販促に関係のない内容なら従業員の発信は対象外

事業者自身が行う表示も、従業員が行った表示を対象にすることによる予測不能な「なりすまし」のリスクに配慮した。

判断基準は、基準案においても表示を行った者の「地位、立場、権限、担当業務、表示目的」から「事業者の表示」の該当性を判断するとされていた。

ただ、「問題事例」と「問題にならない事例」をより具体的に明記することで、懸念の払しょくが図られた

従業員の個人的な配信はステマ広告の対象とみなさない

たとえば、商品の販売促進に関わる役員、管理職、担当チームの一員が事業者であることを隠して表示を行った場合は黄信号が灯る

加えて、内容が「商品の認知向上」「競合商品の誹謗中傷による自社商品の品質・性能の優良さへの言及」など自社商品の販売促進に関係するものである場合、告示による規制の対象になる

一方で、「問題とならない事例」も追記した。従業員であっても販売促進にかかわらない者が、これを目的とせず表示を行う場合は問題にしないとの説明を加えた。従業員が消費者の立場から行う自由な表現活動に配慮したものとみられる。

まずは規制されるステマの周知か

ステマは、人により捉え方が異なる。河野大臣は、公表にあたり「海外に比べると規制が緩いという指摘もある。

まずは何が広告で、何が違うか認識して選択してもらうことにつながればいい」と、規制されるべき「ステマ」の概念の浸透を図る考えを示した。過剰規制を避けつつ、執行実績の積み上げを図るものとみられる。

自由な表現活動に配慮、「不必要な不安、本意ではない」

<運用基準修正の意味>

ステルスマーケティング規制は、これまでの景品表示法規制と性質が大きく異なる。ステマに対する消費者、事業者の認識も一致していない。規制すべきステマの社会への浸透を図る必要があり、慎重な運用が求められる。

景表法は、広告の「優良・有利誤認」など、商品の品質や性能、取引条件の内容を評価し、消費者の誤認を招く表示を規制する。

一方、ステマ規制は、内容の悪質性は考慮しない。「事業者の表示」を隠していると認められるかだ。違反の構成要件はシンプル。措置命令のハードルは下がるが、「優良誤認」などと同じ制裁効果を持つ。

景表法の規制対象は、「商品・役務の供給者」のため、規制を受けるのは基本的に広告主だ。ただ、ステマの実態把握に向けた調査過程で、消費者庁は、景表法に定める調査権限(報告徴収、立入検査)を活用するとしている。

権限は、広告主に関係する広告代理店、アフィリエイター、インフルエンサーなどにも及ぶ。「第三者の自主的な意思」など関係性の把握に必要なためだ。

事業活動に大きな影響があるにもかかわらず、運用基準は、問題事例が抽象的であるため、事業者から不満の声があがっていた。これを受け、規制の提言を行った自民党部会でも慎重な調整が行われていた。

事業者の予見性に対しても配慮

「なりすまし」と判断される可能性のある事業者の従業員による表示では、販促担当でない従業員による個人としての発信は、問題とならないとした。

「ある意味で、規制の抜け道になる」(業界関係者)との指摘もある。明記したのは、個人の自由な表現活動を優先したためだろう。

基準も、前段で改めて景表法の趣旨、規制対象の説明に触れ、事業者の自由な広告、第三者の自由な表現活動を不当に制約するものではないと明記した

ある公取OBは、「ガイドラインで景表法の趣旨に改めて触れるケースは珍しい。全く新しい規制であり、丁寧な説明を心がけたのだろう」と印象を話す。

「利益提供秘匿型」においても、第三者が行った表示に誤記があり、その修正を依頼しても、これをもって「表示内容の決定に関与」と判断しない旨を追記した。

アフィリエイト広告規制でも課題として浮上した「適切な表示を心がけても管理すればするほど、関係が密になり、表示に関与したと判断される」(事業者)という懸念の払しょくを図ったとみられる。

◇◇◇

消費者庁は、ステマ規制について、「規制の趣旨はあくまで、一見、第三者の表示であるのに事業者の表示であるものを規制すること。不必要に不安を与えるのは本意ではない」(南雅晴表示対策課長)と話す。

悪質なステマは、確信犯のケースが少なくない。セーフハーバーを示し、予見性や「表現の自由」への配慮を優先したのも、丁寧な調査に基づく実態把握を通じ、取り締まるべき対象を絞り対処する意思の表れだろう。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

→ 年間購読を申し込む(通販新聞のサイト)
通販新聞の過去記事を読む(通販新聞のサイト)
→ 通販新聞についてもっと詳しく知りたい

通販新聞
確認済み
28 分 55 秒 ago
ネットショップ担当者フォーラム フィード を購読

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る