ネットショップ担当者フォーラム

アダストリアとヤマト運輸、ロジスティクスからサステナブルファッションを実現するパートナーシップ協定

3 years ago

アダストリアはサステナブルなサプライチェーンの実現に向けて、ヤマト運輸とロジスティクスパートナーシップ協定を締結した。

アダストリアとヤマト運輸は今後、原材料の調達から商品の生産、オムニチャネルでの販売まで、国内外に広がるサプライチェーンにおける物流の在り方、在庫の持ち方を見直す。

具体的には在庫情報、輸送情報、発注情報、販売情報といった各情報を可視化して連携。アダストリアが持つファッション産業のサプライチェーンの知見と、ヤマト運輸の国内外に広がる物流インフラとロジスティクスのノウハウを活用し、他のファッション企業などとも協力しながらサステナブルファッションの実現・拡大に向けて取り組む。

温室効果ガス(GHG)排出量の削減を図り、効果的なロジスティクスを構築。2023年中に一定の成果を上げることをめざす。

アダストリアはサステナブルなサプライチェーンの実現に向けて、ヤマト運輸とロジスティクスパートナーシップ協定を締結
サステナブルファッションへの取り組み

ファッション産業におけるサプライチェーンは、商品企画からデザイン、原材料の調達、商品の生産・調達、販売までのサイクルが長く、多くの企業は複数の国・縫製工場に生産を委託するなど複雑化している。サプライチェーン全体の可視化・効率化と、物流と在庫の最適化、流通過程でのGHG排出量の可視化・削減が課題となっている。

石居 岳

ライオンがD2Cブランドを投入、日用品で暮らしの香りをカスタマイズする新しい習慣を提案する「by me」とは

3 years ago

ライオンは、柔軟剤や衣類ミストで暮らしの香りをカスタマイズするという新習慣を提案する新ブランド「by me」を立ち上げる。2023年1月30日にブランド専用ECサイトを開設し、生活者と直接つながるD2Cサービスを開始する。

「by me」は、柔軟剤・衣類ミストなどの「香りのないベース」に、好みの香りの「エッセンス」をブレンドして自分に合った香りを自由にカスタマイズできるのが特徴。生活者の声をより早くサービスに反映できるよう、生活者と直接つながることができるD2Cモデルを採用した。

ECサイトやSNSを通じて生活者とつながり、顧客の声を収集して素早く商品やサービスに反映することで、よりよい顧客体験を提供する。

2つのブレンド「My Only エッセンス」「My Blend(マイブレンド)」から香りのエッセンスを選べる。「My Blend(マイブレンド)」は、全9種類の「My Only エッセンス」を互いに組み合わせて、香りを手づくりすることができる。香りづくりの参考にできる豊富な香りレシピを、ECサイトやブランド公式Instagramで案内する。

ライオンは、柔軟剤や衣類ミストで暮らしの香りをカスタマイズするという新習慣を提案する新ブランド「by me」を立ち上げる
2つのブレンドから香りのエッセンスを選べる

特徴は次の通り。

  • レシピ検索やAIによる診断を介した香り選び
    香りのエッセンスを選ぶ際、「My Blend」では香りを絞り込む機能、「Select Blend」では独自のアルゴリズムで香りを提案する「by me AI 診断」を提供する
  • 好きな香りを注文時に指定できる定期便
    定期便では注文時に好きな香りのエッセンスを指定することができる
  • SNSの積極活用活用
    「by me」の公式Instagramでは深いブランドの世界観や各エッセンスの紹介を展開。公式LINEではいち早くお得なキャンペーン情報などを発信する
石居 岳

「北の達人」木下社長の時間管理術に学ぶEC事業成長のカギ。「経営者」「管理職」「スタッフ」向けの成功法則とは? | 竹内謙礼の一筆啓上

3 years ago
「北の達人コーポレーション」の木下勝寿社長が執筆した書籍をひもときながら、ネットショップ運営の時間管理術を紹介(連載第23回)

ネットショップ運営は情報やノウハウに目が行きがちだが、実は労働集約型のビジネスモデル。そのため、経営者、管理職、スタッフの時間の使い方が売り上げを大きく左右するところがあるのだ。また、原材料費と人件費が高騰するなか、コスト削減、売価調整などあの手この手で利益確保に動く事業者さんは少なくないだろう。そこで、皆さんに提案したいのが“時間管理”だ。仕事の時間を最短化し成果を最大に引き上げる時間管理術は、最もシンプルなネットショップの売上アップ、利益拡大の施策と言えるだろう。読了した北の達人コーポレーション・木下勝寿社長が執筆した新著『時間最短化、成果最大化の法則』(ダイヤモンド社)から、そのヒントをお伝えしたい。

「北の達人コーポレーション」の木下勝寿社長が執筆した書籍『時間最短化、成果最大化の法則』(ダイヤモンド社)
「北の達人コーポレーション」の木下勝寿社長が執筆した書籍『時間最短化、成果最大化の法則』(ダイヤモンド社)

北の達人・木下社長から学ぶ「経営者向き」「中間管理職向き」「スタッフ向き」のの時間管理術

ネットショップ運営の時間管理術は、一般のビジネスと比べて大きく事情が異なる。営業や販売の仕事は限られた空間のなかで業務が行われるため、時間のコントロールが比較的やりやすいところがある。たとえば、1日に3件の営業先を回ったり、午後1時から5時まで店頭で接客をしたり、やらなくてはいけない仕事が空間によって制限されるため、時間の管理が苦手な人でもスムーズに業務をこなすことができる。

一方、ネットショップの運営は無限に広がる仮想空間のなかでの仕事になるため、油断すると時間の歯止めが利かなくなってしまう。より良い商品ページを作ろうとしたり、エンゲージメント率の高いSNSを運用しようとしたりすると、どこで仕事の区切りをつければいいのかわからなくなり、長時間労働を強いられる

そんなネットショップ運営での時間管理の課題を解決に役立つのではないかと、読了したのが木下氏執筆の『時間最短化、成果最大化の法則』(ダイヤモンド社)だ。

木下社長は時間管理術を45の法則にまとめている
気づきが多く付箋だらけに

たった1人で創業してプライム市場に上場、一代で時価総額1000億円企業を育てた経験から、『売上最小化、利益最大化の法則』(ダイヤモンド社)『ファンダメンタルズ×テクニカルマーケティング』(実業之日本社)など、立て続けにベストセラーを輩出している。今回もネットショップ運営の具体的な時間管理術が学べると思い、熟読した。

本書は木下社長が今まで実践してきた時間管理術を45の法則にまとめて紹介している。1時間半もあればサラリと読めてしまうシンプルな構成のため、本を読むのが苦手な人でも苦もなく読めるだろう。

木下社長は時間管理術を45の法則にまとめている
木下社長は時間管理術を45の法則にまとめている

ここでは、紹介された時間管理術の法則を、個人的に「経営者向き」「中間管理職向き」「スタッフ向き」の3つに分類し、そのなかでもネットショップ運営に“今すぐ”役に立ちそうな法則だけをピックアップして、紹介していく。

【経営者向き】「つい、こだわりすぎて――」。期限に絶対遅れないための対策3つ

まず、経営者向けの時間管理術としてユニークだと思ったのは、「期限に絶対に遅れない人の法則」である。一見、現場スタッフ向けの時間管理術のように思われるが、ネットショップの経営者は他人に任せにくい仕事が多いため、スケジュール管理がおろそかになってしまう傾向が強い。

ネットショップ運営は業務の遅れが生じてしまいやすい(画像はイメージ)
ネットショップ運営は業務の遅れが生じてしまいやすい(画像はイメージ)

「こだわり過ぎて商品開発が遅れてしまう」「商品ページに納得がいかず、指示を出すのが遅くなる」など、ネットショップ運営は経営者の判断に遅れが生じると、売り上げに大きな影響が出てしまうケースが多いのである。

本書ではそのような業務の遅れを防ぐために、以下の3つの対策を提案している。

1. スタートを早める

ネットショップ運営は想定外の出来事が常に発生するため、時間に余裕を持ったスケジュールで仕事をする必要がある。

2. 順番を入れ替える

スタートを早めた場合、他の仕事のスタートを遅らせる必要が出てきてしまう。「タスクが来た順」で漠然と仕事をするのではなく、「締め切り順」にして仕事のスタート時期を入れ替える必要がある。

3. 分割して進行する

スタートを早めたり、順番を入れ替えたりしても間に合わない場合は、タスクを分割して同時進行で仕事を進める。

ネットショップ運営の仕事は、「このくらいで終わるだろう」という時間の読みが大幅にオーバーしてしまうことが多い。クリエィティブな仕事が多々あるため、考える時間も長く、考えがまとまらなければ必然的に仕事の時間は伸びてしまう。

想定よりもスタートのタイミングを早めたり、仕事の順序を入れ替えたりする工夫は、ネットショップ運営の効率化を図るうえで、経営者に求められる効果的な業務の改善策と言える。

【中間管理職向き】めざすべき「後天的リーダー」とは

次に中間管理職向けの時間管理術としてオススメなのが「後天的リーダーの法則」である。

リアルのビジネスの場合、上司となるリーダーの仕事ぶりを目の前で見ることができるので、昇進する頃には「上に立つ人はこんな風に仕事をすればいい」という自分なりのリーダー像が自然とできあがっていることが多い。

一方、ネットショップ運営は自分の業務に没頭してしまう仕事が多いため、リーダーの仕事ぶりを目の当たりにする機会が少ない。いわゆる“自然に覚える”という経験がしにくい環境にあるため、リーダーに昇進したとたんに戸惑ってしまう人が少なくない。

たとえば、仕事を部下に任せることができなかったり、コミュニケーションを取る上で誤解を招いてしまったり――。ネットショップ運営においてリーダーとしてチームを取りまとめることは、他のリアルな仕事と比べて難易度が高いと言える。

本書では、実務レベルで仕事ができる人を「エース」、メンバーを引っ張っていくリーダーを「キャプテン」、作戦を立ててメンバーの人選を行う人を「監督」と、3つに分類して解説している。

木下社長は著書で、「エース」「キャプテン」「監督」はそれぞれ性質が異なると指摘(画像はイメージ)
木下社長は著書で、「エース」「キャプテン」「監督」はそれぞれ性質が異なると指摘(画像はイメージ)

その上で木下社長は、「それぞれの仕事の特性が違うのだから、『エース』→『キャプテン』→『監督』で順番に出世していく流れ自体に問題がある」と述べている。

そもそもリーダーの役割が果たせる「キャプテン」は、先天性の才能を持ち合わせている人が多い。学生の頃に部活のリーダーを任されたり、率先して人の上に立つ仕事を引き受けたりするのは、先天性のリーダーの素質を持ち合わせている人の特徴と言える。

実務に強い「エース」と「リーダーの素質」は全く別物

一方、実務レベルに強いエース社員で、リーダーの素質に恵まれなかった人は、表面的な「キャプテン」の部分でリーダーとしての働き方を学ぶことしかできない。

たとえば、部下をうまく束ねることができないのに「俺についてこい!」と意気込んでしまったり、仕事ができない部下を見て「なんでこんな簡単なことができないんだ」と問い詰めてしまったり、ネットショップの運営において、“後天性”のリーダーは学習する場が少ないため、一般のビジネスよりも人の上に立った時に苦労するケースが多いのである。

本書では、後天性のリーダーに「縁の下の力持ち」になることを推奨。たとえば、メンバーが取りこぼした仕事を黙ってフォローしたり、メンバーが嫌がる仕事を率先して自分でやったり、「誰もやりたがらない『面倒な仕事』を自分でやる」という業務を率先してやることが、周囲の信頼を勝ち取ることにつながる。

このような縁の下の力持ち的な仕事は、周囲からすぐに賞賛を浴びることはない。しかし、時間が経つにつれて「あの人がいるから組織が回っている」と気づく人が増え、次第にリーダーとして認められるようになるのである。

【スタッフ向け】ネットショップ運営で“あるある”の欠陥とは

最後のスタッフ向けの時間管理術では、「3大欠落的欠陥の法則」が参考になる。普通の人に比べて、極端に欠落している欠陥を「欠落的欠陥」と言い、そのなかでもネットショップ運営で“あるある”だと共感したのが、次の3つである。

1. ケアレスミス
2. スケジュールの管理ミス
3. タスク漏れ

商品の販売個数を間違えて登録してしまったり、オンライン会議の時間を忘れてしまったり、ネットショップ運営は目の前でリアルな仕事の流れが見えないために、必要以上に慎重に業務に取り組まなければ、ミスを多発させてしまう環境にある。

しかし、これらのミスを犯したスタッフ本人は「なんでそんなに怒るの?」と、無自覚なケースが多い。ネットショップ運営は、多くの出来事がオンライン上で発生しているため、事の重大さに気付きにくい

没頭しやすい職場の環境もあり、ミスに対して罪意識が乏しい人が、他の業種に比べて多いといえる。結果、同じミスを何度も繰り返し、周囲のスタッフが右往左往して、組織全体の時間のロスにつながってしまうのである。

ミスに対する罪意識の低さが組織全体の効率ダウンにつながってしまう(画像はイメージ)
ミスに対する罪意識の低さが組織全体の効率ダウンにつながってしまう(画像はイメージ)

ミスを減らすために、まずは本人に自覚させる

ミスが多いスタッフとそうでないスタッフの差は「常識の違い」から発生すると本書では指摘。仕事でミスばかりする人は、ケアレスミスやスケジュール管理のミスを「たいしたことではない」と思いこみ、一向に欠落的欠陥を治そうとしない

そのようなスタッフに対して、本書では欠点に真正面から向き合わせることで、ミスを未然に防ぐことが可能になると述べている。世の中には「欠落的欠陥」というものが存在しており、「あなたのミスに対する『これくらいは普通』という感覚自体が、世間一般の感覚とは大きくズレている」と本人にしっかり伝え、自覚してもらうことが、欠落的欠陥の修正への第一歩となる。

その上で木下社長は、業務の「チェック時間」を仕事の中に組み込ませることが、ミスを大幅に減らすことに直結すると講じている。たとえば、メールの文書を書き終えたらすぐに送信するのではなく、再度、時間をかけて見直すことで、仕事のミスを最小限にとどめることができる。

今まで本人は「5分でメールを書くことができた」と思っていた業務も、そこにプラス5分のチェック時間を設けることで、「ミスのないメールを10分で書けた」というワンランク上の仕事ができるようになるのである。

ミスが気になる人はチェックの時間を設けて

本来であれば、この「3大欠落的欠陥の法則」は、中間管理職向けの時間管理術といえる。しかし、現在ネットショップ運営の現場で「上司が細かいミスに対してうるさい」「最近、ちょっとしたミスが増えた」と、少しでも思い当たる節がある人がいれば、ぜひここで紹介した「チェック時間を業務に取り込む」という時間管理術を実践してもらいたい。

チェックする時間を業務に取り込むことで仕事のミスを減らすことができる(画像はイメージ)
チェックする時間を業務に取り込むことで仕事のミスを減らすことができる(画像はイメージ)

そのような改善策を講じることで、大幅に仕事のミスが減り、組織全体が効率よく回るようになるはずである。

◇◇◇

本書ではネットショップ運営を熟知した木下社長が、現場に則した時間管理術を余すことなく紹介している。

Eコマースの事業はマーケティングの戦略が他の業務と比べても複雑なため、意識して時間を管理しなければ人件費が膨れ上がり、利益が出にくい企業体質に陥ってしまう

原材料費と人件費が高騰するなか、仕事の時間を最短化し成果を最大に引き上げる時間管理術は、最もシンプルなネットショップの売り上げアップの施策と言える。

年末年始の時間があるときに本書を熟読し、「時間」の管理方法から見直して新年から取り組んでみるのもいいのではないだろうか。

【筆者からのお知らせ】

ネット通販、人材教育、企画立案、キャッチコピーのつけ方等、斬新な切り口で「ナマのノウハウ」をメールマガジンでお届けしています!

竹内 謙礼

レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」導入サイトにおけるクチコミ、Q&Aの投稿数が600万件を突破

3 years ago

ZETAは、レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」導入サイトにおけるクチコミおよびQ&Aの投稿数が、2022年12月時点で600万件を突破したと発表した。

クチコミがユーザーに合う商品、コンテンツとの出会い創出につながる

購買行動が多様化しているなか、消費者は他のユーザーのクチコミ、評価を参考にした納得感のある購買体験を重視するようになり、購入・来店前の情報収集段階からUGCデータが活用されている。

レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」では、平均して毎月12万件ほどのUGCが生成されており、親和性が高いとされる「ハッシュタグ」にも注目が高まっているという。

このようなオーガニックなメタデータの有効活用は、ユーザーが自分に合う商品やコンテンツとの出会いの創出、CX向上、SEO改善などにおいても重要なアプローチ方法として期待されている。

こうしたなか、2022年12月時点で「ZETA VOICE」導入サイトにおけるクチコミ、Q&Aの投稿数が600万件を突破した。

直近ではデイトナ・インターナショナル、坂善商事、デサントジャパンなどのECサイトが「ZETA VOICE」を導入している。

「ZETA VOICE」とは

サイト自体や提供する商品・サービスに対して、複数の評価軸を用いた多面な評価によるレビューコンテンツをサイトに実装できるエンジン。点数による評価やフリーコメント、スタッフレスポンスなどの機能を有するほか、投稿レビューデータの分析、A/Bテストでの活用ができる。

ZETA VOICE 主な機能
「ZETA VOICE」の機能の一部(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)
藤田遥

ジュンが進めるEC強化策とOMO戦略とは? 中嶋取締役に聞くチャット接客、マイクロフルフィルメントシステムなど | 通販新聞ダイジェスト

3 years ago
ジュンの中嶋賢治取締役執行役員に、EC強化策とOMO戦略の現状を聞く。チャット接客で優位性発揮し、顧客にとって期待以上の体験を提供しているという

ジュンは、自社ECの顧客体験を実店舗に近づける取り組みの一環としてチャット接客を強化しており、チャット利用者の満足度は高いようだ。また、商品欠品時にリアル店舗から直接、購入者に配送するマイクロフルフィルメントシステムの本格運用に乗り出すなどOMO戦略も推進している。EC事業統括情報システム室ロジスティクス部の中嶋賢治取締役執行役員に、自社ECの強化策やOMO戦略の現状を聞いた。

ジュン EC事業統括情報システム室ロジスティクス部 中嶋賢治取締役執行役員
ジュン EC事業統括情報システム室ロジスティクス部 中嶋賢治取締役執行役員

営業利益は前年比22%増、EC施策が奏功

――アパレル各社のEC売り上げはコロナ1年目に急伸した反動もあって、今期は成長曲線が緩やかだ。

中嶋氏:当社も同じで、EC売上高は2021年9月期の前年比25%増に対して22年9月期は3%増だった。ただ、売り方を変えたことで営業利益は前年から22%伸びた。前々期はコロナ1年目の在庫問題があり、少なからず割引クーポンの配布やタイムセールなども含めて在庫を整理せざるを得ない状況だったが、前期はリアル店舗と同様にECもプロパー販売にこだわったことで利益面は改善した。

――EC施策も変化した。

中嶋氏オフ率で販売する施策は控え、商品訴求の部分を強化した。ECチャネルは自社ECと「ゾゾタウン」「楽天ファッション」で大半を占めているが、外部モールについてもクーポン施策はかなり絞った。EC化率は前年比微減の34%で、自社ECの構成比は40%程度だった。

「ECチャネルはすごく伸びている」

――2020年9月にコスメやライフスタイル商材を扱う「ライフアンドビューティー バイ ジュンオンライン」を新設した。

中嶋氏:コロナ禍でお客さまの消費行動の変化を見越してスタートした業態だ。「ファッション=アパレル」ではない。当社ではお客さまのニーズを注視しながら、コスメやスポーツ、インテリア雑貨、飲食などをいかにファッション領域ととらえて事業展開するかを大事にしている。力を注いでいるし、ECチャネルもすごく伸びている

「ライフアンドビューティー バイ ジュンオンライン」トップページ(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)
「ライフアンドビューティー バイ ジュンオンライン」トップページ(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)

――同サイトが伸びている背景は。

中嶋氏:ライフスタイルの高度化に伴って、モノの購入の仕方がアパレル偏重型ではなくなったのだと思う。服は新品とユーズドとを組み合わせたりしながら、工夫して着回しを楽しむようになっている。

一方で、自宅で過ごすときの香りやインテリアなどをリッチにすることで、心地の良い生活を送りたいというニーズが高まっていると感じる。

――衣料品のEC化率は高まってきたが、フレグランスなどはECチャネルとなじむのか。

中嶋氏:ECになじむのか少し心配だったが、香水やお香などもしっかり売れている。ルームフレグランスなどは頻繁に買うものではないと思っていたが、意外に購入率が高い。

香水やお香も購入率が高いという(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)
香水やお香も購入率が高いという(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)

目的買いの顧客利用進む

――アパレルとそれ以外の商品を買い回りしているのか。

中嶋氏:「ライフアンドビューティー」は目的買いが多い。欲しい商品がどこにあるのかを調べてから訪問するお客さまが多い印象だ。当社で扱うアイテムはどこにでもあるような商材ではなく、比較的販路が絞られているので、ECモールと比べられることも少ない。利益面への貢献度はこれからが、成長の芽として期待できる領域だ。

チャットで顧客との距離を近く

――コロナ禍でEC利用が定着してきた。

中嶋氏:今までリアル店舗しか体験されてなかったお客さまがECの利便性などに気付いて、リアルとECのどちらで買ってもいいと感じているのではないか。

――この2年間でECに慣れていない顧客が訪れても不安を感じないようにサービスや機能面を磨いてきた。

中嶋氏:とくにチャットサービスを導入してから、「この写真ではわからない」とか、「このキャプションでは伝わらない」といったご意見が毎日上がってくるので、その日のうちにサイトに反映させるという取り組みが定着しているし、そのスピード感を大事にしている。

JUNが展開しているチャットサービス(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)
JUNが展開しているチャットサービス(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)

チャットシステムは「チャネルトーク」に刷新

――チャットもコロナ禍の早いタイミングで導入した。

中嶋氏:最初に導入したシステムから「チャネルトーク」に変え、さらにLINE連携することで、LINE公式アカウントに届くリアルタイムのお問い合わせも「チャネルトーク」で管理できるようになった。

旧チャットシステムのときはボットをまったく使わずに人だけで運用していたが、今はCS系のお問い合わせはボットが対応し、商品に対するお問い合わせはスタッフが回答している。チャットチームには元販売スタッフなど15人が在籍しているが、チャットを介した問い合わせが増えていて、少し増やす必要も出てきた。

2022年4月にチャットサービスを刷新した(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)
2022年4月にチャットサービスを刷新した(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)

画像付きの回答で顧客満足度をアップ

――問い合わせ内容については。

中嶋氏:それはリアル店舗と同じだ。サイズ感や全身のバランスの問題などが多く、「私の身長だとどちらのサイズがいいか」とか、「この色のボトムに合わせるならどちらのトップスがいいか」といったお問い合わせがくる。

そうしたお悩みに対し、チャットではテキストだけでなく、画像を付けて回答している。イメージしやすいように通販サイトの商品画像を切り抜いてコラージュするなど、お客さまごとにパーソナライズしている。

お客さまも「そこまでしてくれるの」とびっくりされることが多く、ほかのアパレル企業と比べても優位性の高いチャットサービスになっていると思う。

――チャット接客の満足度が85%と非常に高い。

中嶋氏:お客さまのお悩みを解消することについては、かなり高い水準にあると思うが、これからやりたいのは、お客さまが期待されている以上の提案をすることだ。

リアル店舗のように、お客さまの好みの傾向などを十分にわかった上で、販売スタッフの感性を反映させた提案をしていきたい。それができれば、リアルであろうがECであろうが、顧客体験の差はなくなっていく

スタッフの質を落とさないトレーニング

――販売経験の豊富なスタッフがチャット担当をしている強みが生きてくる。

中嶋氏:その通りで、結局、顧客満足を得るにはシステムよりも「人」が大事。当社が一番やらなければいけないのは、「人」のレベルを落とさないことで、商品情報の吸収など日々のトレーニングを積み重ねることだ。

リアル店舗のスタッフであればひとつのブランドに精通していればいいが、チャットスタッフは自社ECで取り扱うすべてのブランドが対象となるので、吸収すべき情報量はかなり多い。

問い合わせ件数が増える中で、チャット接客の質と量を両立していけば、他社ブランドや外部ECモールに対する差別化要素になるのではないか。

倉庫の在庫を直接顧客に届ける仕組みを開始

――商品欠品時に実店舗から購入者に直接配送するマイクロフルフィルメントシステムの本格運用を始めた。

中嶋氏:自社ECの「ジャドールジュンオンライン」では、お客さまの希望する商品がない場合、チャットスタッフに相談すると、在庫のある実店舗で商品を確保し、お客さまの自宅に直接配送する「ラクトリ」サービスを2021年10月から展開していて、この仕組みをリアル店舗での欠品時にも広げた。

お客さまが来店された店舗に在庫がなくても、倉庫や別の店舗に在庫があれば、そこからダイレクトに届ける。従来はリアル店舗の在庫をいったん倉庫に送ってから出荷していたが、運賃も時間もかかるので、より早く、より安く届けるためには店舗出荷の運用が不可欠だった。

「ジャドールジュンオンライン」のトップページ(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)
「ジャドールジュンオンライン」のトップページ(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)

配送は距離数だけの料金体系を採用

――国内アパレルではほとんど例がない。

中嶋氏:ハードルの1つが配送会社さんの問題で、通常は1つの拠点から距離数換算で運賃を支払う契約のため、マイクロフルフィルメントシステムを運用するには、全店舗で運賃契約を結ばなければいけない。当社は今回、日本郵便さんと契約して店舗ごとではなく、距離数だけの料金体系としてもらったことで、システムの運用を始めることができた

料金体系は距離数のみ。これによって配送会社の問題をクリアした
料金体系は距離数のみ。これによって配送会社の問題をクリアした

――ほかのハードルは。

中嶋氏:もう1つは個人情報保護の問題だ。お客さまの住所を聞いて手書きで送り状を書くわけにはいかないが、個人情報が残らないように送り状を印刷するシステムが、当社が導入した「ショッピファイ」のアプリに実装されていることが大きい。

店舗スタッフに負荷をかけない仕組みを構築

――販売スタッフの業務も増えている。

中嶋氏店舗スタッフになるべく負荷をかけないことが大事だ。業務が複雑になったり、時間がかかったりして本来の接客業務に支障をきたしてはいけない。そのため、当社では「楽天ファッションオムニチャネルプラットフォーム(RFOP)」のアプリも入れた。店舗スタッフには「LINEワークス」に受注商品の通知が届くので取り置きする商品がすぐに分かる。出荷完了のボタンを押せば本部にも通知が届く。

これまでは、そうした工程をメールや電話で行っていた。店舗間の商品移動や問い合わせの時間をなくさないと店舗スタッフの業務負荷が増える。

店舗スタッフにできるだけ負担をかけない仕組みを構築した
店舗スタッフにできるだけ負担をかけない仕組みを構築した

――年間どれくらいの店間移動が発生しているのか。

中嶋氏:当社では、客注として店舗からほかの店舗に動かしている商品が年間22万点あり、約2億5000万円の経費を使っていた。

――店舗出荷の対象店舗数は。

中嶋氏:当社は全国に約380店舗を構えているが、まずは200店舗でマイクロフルフルフィルメントシステムの運用を進める。

2022年、年内に店舗試着予約機能を実装計画

――自社ECに店舗試着予約の機能も実装する計画だ。

中嶋氏:「RFOP」を導入したので、年内をめどにスタートしたい。実は3年前からトータルロジスティクスコントロールの仕組みを、ゆくゆくは導入したいと考えていた。

倉庫に在庫を集め過ぎるとリアル店舗の在庫は薄くなってしまうため、店舗に在庫をしっかり持ちながらも機会ロスを減らすには店舗出荷しかないだろうと思い、さまざまなテストを行ってきた。

「RFOP」は楽天と共同開発

――楽天のシステムを選んだ理由は。

中嶋氏:自社でそうした仕組みをすべて開発するのは時間とコストがかかることもあって、何かの機会に楽天さんに相談させてもらい、より業界のインフラとして活用できるように共同で開発してきた経緯がある。

――店舗試着予約はECで決済をしてもらった上で、希望の店舗に取り置く形だ。

中嶋氏:当社では決済されていない商品は動かさないというポリシーだ。お客さまには事前に決済してもらうが、売り上げは試着予約を受けた店舗に計上する。

――OMO戦略の基盤が整った。

中嶋氏:システムを導入してもまだ3割で、残り7割のオペレーションが伴わないといけない。接客の中でスムーズに案内できるようにするのはもちろん、店舗出荷では商品を正確に、良い状態で届けられるようにするには商品のステータス管理も必要になる。エラーを出さずにオペレーションが回るまでのチューニングには労力と時間がかかる。

定価で売り切ることにチャレンジ

――今後の課題は。

中嶋氏:これからの世の中を考えたときに、無駄な販促費や不要な値引きをせず、定価で売り切ることにチャレンジしないといけない。従来型のセールを見込んだモノづくりはダメ。今期は約9割を定価で販売する設定でしか商品を作っていない

在庫量は減るが、それでも売り上げを下げないためには、機会ロスを削減することが大事で、どこかに在庫があれば販売できる仕組みを整えておくことがリアル店舗にとって武器になる。機会ロスを防ぎ、より少ない在庫でプロパー販売比率を高めていくことが、これからのファッションビジネスには不可欠な要素だと思う。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

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通販新聞

店舗アプリ作成サービス「STORES ブランドアプリ」が「Shopify」と連携を開始

3 years ago

STORESは、店舗アプリ作成サービス「STORES ブランドアプリ」が「Shopify」と連携を開始したと発表した。

「Shopify」でECサイトを構築している事業者は、「STORES ブランドアプリ」を使ってモバイルアプリを立ち上げることができるようになる。

「Shopify」との連携でシームレスな購買体験の実現につなげる

「Shopify」との連携で、次のようなことが実施できる。

  • 「Shopify」で構築したECサイトをアプリ化できる。アプリ上での購買体験を最適化し、購入完了率・リピート率の向上が期待できる
  • アプリ・実店舗・ECサイトの会員情報を一括で管理するため、既に「Shopify」のECサイトで会員登録をしているユーザーは、登録済みのアカウント情報でアプリにもログインできる
  • 実店舗とECサイトの顧客情報は「STORES ブランドアプリ」上で統合して保有する。そのため、アプリとPOSレジを連携するためのカスタマープラットフォームや複数の関連アプリを追加導入する必要がない
STORESブランドアプリ Shopifyとの連携 実施できる内容
「STORES ブランドアプリ」と「Shopify」連携で実施できる内容について

連携機能は追加費用なしで利用できるが、連携できるのは「STORES ブランドアプリ」の「エンタープライズプラン」のみ。

「STORES ブランドアプリ」とは

「STORES ブランドアプリ」は、お店独自のアプリを作成できるサービス。2022年7月から提供をスタートしており、飲食店、小売店などが導入しているという。

STORESブランドアプリ 機能について
2022年7月から提供を開始した「STORES ブランドアプリ」
(画像は「STORES ブランドアプリ」サイトからキャプチャ)

「STORES ブランドアプリ」では、次のような機能を利用できる。

① 実店舗の顧客情報、購入履歴を取得できる

POSレジのみでは取得が難しい、顧客に紐付いた実店舗への来店情報や購入履歴などを、「STORES ブランドアプリ」を導入することでデジタル化し、取得できる。

② 実店舗とECサイト両方の顧客情報を統合し、顧客1人ひとりに紐付いた購入情報を分析できる

実店舗とECサイトそれぞれの購入・来店履歴、ポイント情報を統合し、顧客ごとに管理・分析することが可能。購入商品の傾向などを顧客ごと・商品ごとの購入トレンド分析ができるようになるという。

③ 取得データをもとにした、ロイヤリティプログラムや自動配信施策ができる

購入頻度や金額に応じたポイント付与、ランク設定、ランクに応じた特典提供が行える。また、購入商品、チャネル、利用状況などの行動情報・属性情報を元にした細かいセグメンテーションや、それらのプッシュ通知やクーポンの配信を自動化できる。

藤田遥

Amazonが地域の中小企業に商品配送を委託する「Amazon Hub デリバリーパートナープログラム」とは

3 years ago

アマゾンジャパンは12月19日、地域の中小企業にAmazonの商品配送を委託して報酬を支払う新しい独自の配送プログラム「Amazon Hubデリバリーパートナープログラム」を発表した。

アマゾンジャパンは、地域の中小企業にAmazonの商品配送を委託して報酬を支払う新しい独自の配送プログラム「Amazon Hubデリバリーパートナープログラム」を発表
新たなラストワンマイルプログラム「Amazon Hubデリバリーパートナープログラム」

ラストマイルの新しい配送モデルで、地域の中小企業にAmazonの商品配達を委託し、報酬を支払う仕組み。営業スケジュールに合わせて、空き時間などに配送を行うことができるとしている。

現在、雑貨店、写真館、レストラン、新聞配達店、居酒屋、美容室、花屋、アパレルショップ、コーヒーショップ、犬のブリーダーなど、数百の中小企業が空き時間を利用してAmazonの商品を近隣に配達している。

Amazonは決められた日にパートナーの事業所や営業所、店舗などにまとめて商品を届け、その商品をパートナー企業のオーナーやスタッフが空き時間を利用して指定配送先に商品を配送する。パートナー企業は本業に従事しながら、隙間時間を利用し、副収入を得ることができるとしている。

「Amazon Hubデリバリーパートナープログラム」は、全ての配送パートナーが店舗や事業所から最長約2キロメートル圏内で配達を行う。配達方法は自由で、多くのパートナーが自転車や徒歩で配達している。配達する商品の個数について、現状は通常1日に約30~50個で、数時間程度で全ての配達が完了しているという。

「Amazon Hubデリバリーパートナープログラム」は所定の条件を満たせば誰でも登録可能。主な条件は、オーナーまたはスタッフなどがオフピーク時に配達時間を確保できること、商品を保管するためのスペースがあることなど。

プログラムの募集対象エリアは現在、東京・千葉・埼玉・神奈川・大阪・京都・兵庫・愛知・福岡の9か所。今後、日本全国の中小企業が利用できるように対象エリアの拡大をめざす。

アマゾンジャパンは、地域の中小企業にAmazonの商品配送を委託して報酬を支払う新しい独自の配送プログラム「Amazon Hubデリバリーパートナープログラム」を発表
専用サイトで資料請求などを行っている(画像は「Amazon Hubデリバリーパートナープログラム」のサイトから編集部がキャプチャ)
石居 岳

Pinterestが予測するグローバル検索データから分析した2023年のトレンドとは

3 years ago

ビジュアル探索プラットフォームのPinterest(ピンタレスト)は、2023年のトレンドを選出した年刊レポート「Pinterest Predicts 2023」を発表した。

ラブコメ映画から着想した「"ロムコム" (ロマンティック・コメディ)ファッション」、オレンジをウェディングの新しいカラーに捉えた「オレンジウェディング」など、多数のトレンドを予測した。

レポートの作成には、「Pinterest」でどのようなキーワードが検索されていたのかを分析、2023年に人気上昇が予想される注目トレンドを見出した。

Pinterestは各分野における2023年のトレンド予測を発表した
Pinterestは各分野における2023年のトレンド予測を発表した

予測的中率は8割!?

「Pinterest Predicts」は、「Pinterest」を利用しているユーザー動向の分析をもとに翌年のトレンドを予測し、毎年年末に発表しているレポート。発表したトレンド予測は過去3年間連続で平均して約8割の的中率といい、Pinterestのトレンドは他のインターネット上のトレンドより20%長く続くことがわかっているという。

ユーザー動向の分析をもとにトレンドを予測。過去3年間連続の平均では、約8割の的中率だという
ユーザー動向の分析をもとにトレンドを予測。過去3年間連続の平均では、約8割の的中率だという

ファッションのトレンド予測はフリルやキラキラ素材

Pinterest が予測する2023年のカテゴリ別主要トレンドは次の通り。

ファッションは「エアリースタイル」&「"ロムコム" ファッション」

2023年のファッション界を席巻(せっけん)するのは、「エアリースタイル」と予測。レースやチュール、フリルやキラキラ素材がZ世代とミレニアル世代を中心に人気を集めると分析している。スウェットとジャージで過ごした2年を経て、人々の意識は肌見せへとシフトするという。

レースやチュール、フリルやキラキラ素材が人気を集めると予測
レースやチュール、フリルやキラキラ素材が人気を集めると予測

2023年のファッション界には新しい主役も登場すると予測。Z世代とミレニアル世代は、スリップドレスにチューブトップ、カーゴパンツやバンスクリップなど、ラブコメ映画からひらめきを得た「"ロムコム" ファッション」に注目すると予測している。 

ヴィンテージを取り入れた住居空間

シンプルなインテリアは過去のものとされ、2023年は「ヴィンテージなおうち」トレンドが注目されると予測。家族などから譲り受けたヴィンテージアイテムを溶け込ませる方法が検索されると指摘している。

足し算な考え方を指す「マキシマリズム」と「不気味かわいい」インテリアへの関心は、「"マッシュ"ルーム」トレンドを生み出したという。これを踏まえて、ベッドルームをきのこなどの個性的なデコレーションと多種多様なテイストで飾ることに夢中になると予想している。

オレンジウェディング

2023年は、テラコッタやコッパー、バーントシェンナなどのくすみオレンジが、ウェディングシーンを彩る「オレンジウェディング」がトレンドになると予測している。

Pinterestではミレニアル世代からX世代にかけて、この系統のカラーの検索が増えているという。フラワーアレンジメントからブライズメイドのドレスまで、オレンジがウェディングのメインカラーとなると予測している。

検索が増えていることから、オレンジがウェディングのメインカラーとなると予測(画像はPinterest Predicts 2023 トレンド予測から編集部がキャプチャ)
検索が増えていることから、オレンジがウェディングのメインカラーとなると予測(画像はPinterest Predicts 2023 トレンド予測から編集部がキャプチャ)

コロナ起点のトレンドも継続? 「座りすぎにサヨナラ」

ウェルビーイング

「ウェルビーイング」は、全てが満たされている広い意味での「健康」。Pinterestによると、ここ数年で重要性が増しているという。

2023年は携帯を置いて、ストレッチやスクワットなど正しい姿勢を意識したワークアウトが主流になると予測。なかでも、いま多く検索されているのが「座りすぎにサヨナラ」トレンド関連のキーワードという。

「ウェルビーイング」の注目テーマはフィットネスだけではなく、さまざまな角度から自分と向き合うことへの関心が高まると説明。誰かに相談するセラピーに代わり、自己表現アートセラピーや音楽療法などが注目を集めるという。

広い健康を指す「ウェルビーイング」の重要性が増しているという(画像はPinterest Predicts 2023 トレンド予測から編集部がキャプチャ)
広い健康を指す「ウェルビーイング」の重要性が増しているという
(画像はPinterest Predicts 2023 トレンド予測から編集部がキャプチャ)

「モクテル」「ドライガーデン」など各分野のトレンド予測もぞくぞく

Pinterestはこのほか、アルコールを含まないカクテル「モクテル」、度数が低く飲みやすい「低アルコール」といったドリンク、石や岩などを配置しながら乾燥地帯の植物を中心に植栽した庭や花壇を指す「ドライガーデン」など、各分野のトレンド予測を発表している。

アルコールを含まないカクテル「モクテル」をドリンクのトレンド予測の1つとして発表
アルコールを含まないカクテル「モクテル」をドリンクのトレンド予測の1つとして発表

Pinterestが12月14日に実施したプレスイベントでは、最新トレンドや消費者インサイトに関する識者を招き、トレンドの解説やマーケターがインサイトを効果的に活用するヒントについてパネルトークを実施した。

プレス発表会では3人のスピーカーを招き、2023年のトレンドに関してパネルトークを行った
プレス発表会では3人のスピーカーを招き、2023年のトレンドに関してパネルトークを行った

調査方法

  • Pinterestによるグローバル分析調査(2022年第3四半期)
  • Pinterest、グローバル検索データ(分析期間:2018年7月~2022年6月)
  • Black Swan DataによるPinterest トレンド分析(米国および英国、2021年6月)
  • Pinterest、グローバル検索データ(分析期間:2020年9月~2022年9月)
高野 真維

2022年に起きたこと、2023年の展望、売れているショップ事例、業界動向など要チェック記事が盛りだくさん!【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

3 years ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2022年12月12日~12月18日のニュース

先週は読んでおかないといけない記事がてんこ盛りでした。1年を振り返って来年のこと、売れる方法を考えたい人は全部読んでみましょう!

2022年の起きたことのまとめ

2022年のECニュースまとめ。激動の1年をふりかえるコンサルタント座談会 | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/221209-consultant-discussion/

ネットショップ担当者が読んでおくべきニュースまとめ 3大モールの動き
画像は「コマースデザイン」のサイトからキャプチャ

2022年の三大ECモールの動きです。「楽天市場」は「SKUプロジェクト」が始まってAmazon化というか標準化が進んでおり、新スマホページも同じ考えです。見た目での差別化が難しくなってきたので、店舗自体での差別化を考えていく必要があります。

「Yahoo!ショッピング」はなんと言っても「優良配送」。これができるかどうかで商品が表示されるかどうかが大きく変わります。「優良配送」が難しいお店は「Yahoo!ショッピング」自体を諦めるという選択肢になることも多いです。

「Amazon」はトラブルが多かったものの、ユーザーの声を聞いてくれるようになりつつあります。しかし、偽物や詐欺も多いのでユーザーは気をつけながらの買い物になりそうです。

2022年に「売れたもの」「販売苦戦したもの」ランキング――インテージ調査:今日のリサーチ | ITmedia マーケティング
https://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/2212/10/news055.html

ネットショップ担当者が読んでおくべきニュースまとめ 2022年に売れたもの 2019年との比較
出典:インテージ

注目すべきは2019年との比較。コロナ前から大きく伸びたのはオートミールと冷凍水産。この2つは確かによく見るようになりましたし、スーパーでも棚の面積が増えてきました。流行りから当たり前になったものは気にしておきたいですね。

メルカリShopsアワード2022受賞ショップを発表! | メルカリShopsマガジン
https://shops.mercari.com/magazine/posts/60110

こちらは「MVP」「肉・魚部門」「野菜・果物部門」「リユース部門」「ベストリピート部門」「ベストフォロワー部門」「サステナブル部門」「できるをつくる部門」の8つ。2021年は「ベストカテゴリー部門」「EC初出店部門」「60歳以上部門」「各地の名産品部門」「サステナブル部門」「メルカリShopsアワード2021 選考委員特別部門」でした。これを見るだけでも「メルカリShops」がモールとして成長してきたことがわかります。2023年はさらに加速しそうなので、売れている商品やジャンルを気にしておきましょう。

2023年の展望や予想

2023年のキーワードは「オーセンティシティ」(オーセンティック) | PRマガジン
https://blog.cd-j.net/pr-skill/authenticity/

2023年のキーワードとして注目したいのは、「本物志向」、「ソーシャルグッド」、「共想」、「パーパス」、「フェイクニュース」をへて、「オーセンティシティ」(オーセンティック) (正当性・真正性)の流れが本格化していくと思います。

2023年のPRはこのあたりを意識したいところ。偽物が氾濫している世の中なので、本物であることが重要です。少しでもウソをついてしまうと一瞬で終わりです。誠実にやっていきましょう。

2023年の家計、6割が「苦しくなりそう」 収入を増やす方法として考えていることは? | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2212/13/news064.html

EC事業者が注目すべきは1位の「ポイントをためる」。ポイントと聞いて思い浮かぶのはモールなので、自社ECサイトよりもモールのほうが売れそうですよね。自社ECサイトの場合はポイント勝負ができなくても、お得感のある商品やキャンペーンで効果が出そうです。

2023年の「母の日」のトレンドを予測!定番の「花」以外に伸びている需要とは? | マナミナ
https://manamina.valuesccg.com/articles/2106

ネットショップ担当者が読んでおくべきニュースまとめ 2023年の母の日トレンド予測
画像は「マナミナ」サイトからキャプチャ

少し気が早いですが2023年の母の日の予想。義母、早割、あじさい、コスメあたりは新しいねらい目かもしれません。ここに前述のポイントやちょっとしたお得を加えることで、さらにチャンスが広がりそうです。

ネットショップ運営事例

宝酒造オンラインショップにおけるファン作りの道のり | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/27499

当初商品点数を従来の500点近くから150点ほどに絞りました。事業者様の中には、商品を絞ると売り上げが減ると懸念して踏み出せない方もおられると思います。

(中略)当社は敢えて、ECで取り扱う商品を高付加価値のある商品に厳選し、商品数を絞りました。結果として、運用のリソースに余裕ができ、確保した時間で、新たな商品企画・アンケート調査やキャンペーンなどに着手することができたのです。

商品点数を増やせば売れるのは間違いないですが、それによって失う時間もあります。販促に時間がかけられなくなるとジリ貧なので、利益が出るものだけを残すという選択をしています。何かを減らすという決断は難しいですが、行き詰まり感がある場合は選択肢として持っておきたいですね。

スイカが好きすぎてラッパー、エンジニアを経て専門サイトを立ち上げた男の挑戦 | ホットペッパーグルメ
https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/saki-yoshidama/2022-00756

協力してくれる農家さんのあてもないのに、ずっとTwitterで「スイカのECサイトをやりたい」と言いつづけていたんですが、熊本の「つのだふぁ~む」さんが僕のツイートを見つけてくれて。

「うちのスイカおいしいよ。一度会いに来ない?」と誘っていただき、実際に会いに行きました。そこでスイカECサイトの構想を話したら共感してくれて。そこから、実際にスイカ農家さんに会いに行くことにしました。

この熱意。良い商品は自分の足で探したり見に行ったりしないと見つからないですね。ネットで検索したり人に聞いたりしているだけでは何も変わりません。冒頭のモールに関する記事でコメントしたように、「楽天市場」は店舗ごとの差をつけにくくなってきているので、こうした地道な仕入れの強化などが必要になってきます。

メルカリShopsアワード2022 MVP受賞!ショップ運営の秘訣は顧客に寄り添い、信頼と期待に応え続けること。「シン・さぼさぼファーム」さん | メルカリShopsマガジン
https://shops.mercari.com/magazine/posts/50036

櫛田さん:トラブルが起こった際の対応を丁寧に行うことですね。聞かれたことに対してしっかり返答して、どのようなトラブルがあったかを親身に聞いてお答えするよう心がけています。

今井さん:工業製品とは違って、植物はどうしても状況の変化があって、突然状態も変わってしまう。そういったところは、リスクを含めて正直に懇切丁寧にお伝えするよう意識をしています。

売れているお店は問い合わせ対応というか接客に力を入れています。むしろ、これが当たり前のこととして実施しているところが重要です。2023年の展望や予想で紹介した記事にある「オーセンティック」です。これが当たり前にできるようになれば売れてくる時代というのは覚えておきましょう。

その他のEC関連記事

Amazonスポンサープロダクト広告、オートターゲティングとマニュアルターゲティングの使い分け方法 | アナグラム
https://anagrams.jp/blog/amazon-sponsored-products-ads-auto-and-manual-targeting/

Yahoo!ショッピングのアイテムマッチ広告とは?仕組みや運用方法を解説 | ECのミカタ
https://ecnomikata.com/ecnews/36614/

ECには欠かせない広告。なんとなく出していることも多いので、こういった記事でチェックしてみましょう。

あなたの店舗でもできる!ダンボールを活用したファンマーケティング施策とは? | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10231

ユーザーに届いた瞬間にどんな印象を与えられるか? ここを考えると段ボールの重要性がわかりますね。

ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」にてお礼品「PayPay商品券」が全国327自治体で導入決定 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/12162

あっという間に327の自治体で導入。この営業力がソフトバンクグループの強み。

楽天市場の集客を成功させるには?売上をアップさせる施策を徹底解説! | ECのミカタ
https://ecnomikata.com/ecnews/36611/

「楽天市場」で集客する際の基本的な内容が書かれています。意外とできていないので確認を。

「Yahoo!ショッピング完全攻略ガイド」出版記念「予約」キャンペーン | アルド
https://www.aldo-system.jp/blog/infomation/yseo-book/

「Yahoo!ショッピング」だけの本が出るとは思いませんでした。売り上げが出ているショップは購入したほうがよさそうです。

今週の名言

ECとブランディング。今こそECにブランディングが必要なワケ | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/12104

自社の強みはどこか、何に対してお客様がお金を出してくれているのか、自社の何に共感してくれているのか。徹底的に顧客を理解し、顧客体験価値をしっかりと整理すること。そのうえでデジタルを活用した施策を次々に打ち出す方が、圧倒的に費用対効果が高いです。

ここにも「オーセンティック」。相手のことを知って誠実な商売をするほうが圧倒的に費用対効果は高いです。2023年はここに注力しましょう。

筆者出版情報

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「カラーミーショップ アプリストア」2022年人気トップ10を発表。1位は3年連続「Instagramショッピング連携」

3 years ago

GMOペパボは、ネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」で提供している、集客強化や客単価アップなどに役立つ機能をアプリで追加できる「カラーミーショップ アプリストア」の2022年人気アプリベスト10を発表した。2021年と同様、1位は「Instagramショッピング連携」だった。

トップは3年連続「Instagramショッピング連携」

「カラーミーショップ アプリストア」では、2022年12月13日時点で無料・有料合わせて63種類のアプリを公開している。GMOペパボは月商50万円以上のショップを対象としたアンケート調査を実施し、人気アプリトップ10をまとめた。アンケート集計期間は2022年1月1日~2022年11月30日まで。

1位は「Instagramショッピング連携」で3年連続トップ。「カラーミーショップ」に登録している商品をFacebookカタログに連携、そのなかから選択した商品をInstagramでタグ付けして投稿することで、簡単にInstagramショッピング機能を利用できる。

カラーミーショップ アプリストア Instagramショッピング連携
「Instagramショッピング連携」(画像は「よむよむカラーミー」サイトからキャプチャ)

2位はカゴ落ち対策に使用できる「CART RECOVERY(カートリカバリー)」で、2021年の7位からランクアップした。カートに商品を入れたまま離脱したユーザーに対して、メールと広告を自動配信する。

カラーミーショップ アプリストア CART RECOVERY カートリカバリー
「CART RECOVERY(カートリカバリー)」(画像は「よむよむカラーミー」サイトからキャプチャ)

3位は「再入荷通知」。品切れしている商品が再入荷した時、通知を希望するユーザーに一括で入荷通知メールを送信する。アパレル、アクセサリー、インテリア業界で多く利用されており、確度の高い見込み客にショップへの再訪を促す機能として人気が高いという。

カラーミーショップ アプリストア 再入荷通知アプリ
「再入荷通知」アプリ(画像は「よむよむカラーミー」サイトからキャプチャ)

4位以下は商品ページオプション追加や海外対応がランクイン

4位は商品ページにオプション情報を自由に追加できる「カスタムオプション」。色、柄、サイズ、フレーバー、味などさまざまなオプションを設定できるため、幅広い業界のショップが利用しているという。

カラーミーショップ アプリストア カスタムオプション
「カスタムオプション」アプリ(画像は「よむよむカラーミー」サイトからキャプチャ)

5位は「WorldShopping BIZ for カラーミー」。アプリ追加後、すぐに世界228か国対応となる。海外ユーザーからの注文受付、商品購入代行、海外配送、カスタマーサポートまで「WorldShopping BIZ」が対応し、ショップ側の海外対応やシステム開発などは不要となる。

カラーミーショップ アプリストア WorldShopping BIZ for カラーミー
「WorldShopping BIZ for カラーミー」(画像は「よむよむカラーミー」サイトからキャプチャ)

6位はプルダウン形式のオプション表示部分に在庫状況を表示できる「プルダウン在庫表示」、7位はカウントダウンタイマー付のクーポンやセール訴求をポップアップで表示する「キャンペーン告知」。

8位はネットショップの領収書、納品書、見積書などを自動発行&管理保存できる「領収書くだサイ for カラーミーショップ」、9位はサーバーやドメインを別途契約せずにネットショップと同じドメインに「WordPress」を開設できる「カラーミーWPオプション」、10位は直近の受注状況の一覧を表示したウィジェットをトップページに配置できる「にぎわい演出」だった。

カラーミーショップ アプリストア プルダウン在庫表示
6位の「プルダウン在庫表示」(画像は「よむよむカラーミー」サイトからキャプチャ)
カラーミーショップ アプリストア にぎわい演出
10位の「にぎわい演出」(画像は「よむよむカラーミー」サイトからキャプチャ)
藤田遥

ECサイトの構築ポイント&「ヘッドレスコマース」と「CMSで実現する次世代ECサイトの作り方」を解説

3 years ago
最新のECサイトを構築する際に留意すべきポイントをまとめる。GMOメイクショップのクラウドEC事業部 笹崎淳史氏によると、「ヘッドレスコマース」の活用がポイントだという

消費者ニーズの多様化、新たなテクノロジーへの対応など、ECサイト構築で留意するポイントが増えている。こうした課題に対応するためのECサイトを構築・運用するためのポイントを、CMS(コンテンツ管理システム)の開発などを手がけるハートコアのイベント「HeartCoreDAY2022」に登壇したGMOメイクショップの笹崎淳史氏(クラウドEC事業部 副事業部長 兼 ブランド推進グループ部長)が、「ヘッドレスコマース」「CMSを用いた次世代のECサイトの作り方」を軸に解説する。

GMOメイクショップでクラウドEC事業部 副事業部長 兼 ブランド推進グループ部長 笹崎 淳史氏
GMOメイクショップでクラウドEC事業部 副事業部長 兼 ブランド推進グループ部長 笹崎 淳史氏

自社のECはビジネスモデルの変化に対応できているか?

経済産業省の発表によると、2021年における物販系分野のEC市場(BtoC)規模は13兆2865億円で、新型コロナウイルス感染拡大前(2019年)の10兆515億円から32%増となった。

BtoC-ECの市場規模及び各分野の伸長率(画像は経済産業省の公開資料から編集部がキャプチャ)

EC市場への新規参入の検討、EC事業での売上増加を見込む企業は多いだろう。しかし、激変するEC市場の状況に対応できず、EC事業からの撤退、もしくはビジネスを停滞させてしまっている企業も少なくない。

笹崎氏は現在のECサイトが抱える課題について、次のように言及している。

コロナ禍でオンラインショッピングをする消費者が増加し、ECサイトへのアクセス数は急増した。その結果、動作や処理が不安定になるECサイトが増えている。また、取扱商品数を増やすことでコンテンツ管理作業も煩雑化。さらに、サイバー攻撃や情報漏えいを防止するセキュリティレベルも担保できていない企業も少なくない。(笹崎氏)

わかりやすいUI、UXの重要さを説く笹崎氏

なかでも喫緊の課題が、EC事業の規模拡大スピードにシステムの拡張が追いつかず、実現したい機能の実装や外部サービスとの連携ができていないこと。

ユーザーの嗜好性が多様化し、デバイスの種類も増加していることから、カスタマージャーニーは複雑化しているのだ。

「SaaS・モール型」「パッケージ型」「フルスクラッチ型」「ヘッドレスコマース型」。メリット・デメリットの理解を

笹崎氏は「企業は細分化された需要に対応した商品やサービスを提供しなければならない。その際に重要なのが、わかりやすいUI(ユーザーインターフェース)と、新しいビジネスモデルに最適化されたUX(ユーザーエクスペリエンス)の実現だ」と指摘。

多様化する消費者ニーズ、新しいビジネスモデルなどに対応できるECシステムを構築するためには、市場にあるECシステムの特徴を見極めなければならないという。

現在のECシステムは「SaaS・モール型」「パッケージ型」「フルスクラッチ型」「ヘッドレコマース型」に分類できる。どの型式にもメリットとデメリットがあり、それぞれの特徴を理解する必要があるだろう。

「SaaS・モール型」は一般的な直販を行うには最適だが、個別のビジネスプランやモデルに適したECサイト運営をするためのECサイト構築は難しい。

「パッケージ型」は目的に沿ったカスタマイズが可能で柔軟性は高い。一方、長期的に利用すると陳腐化・ブラックボックス化が起きるケースがあり、それを補うための開発が必要になる。フルスクラッチ型は予算さえあれば好きな機能を搭載できるが、すべてを自社開発しなければならないため、導入に向けたハードルがある。(笹崎氏)

これらのECシステムに対して、「ヘッドレスコマース型」は、自社の事業拡大に合わせてシステムを拡張できるという特徴がある。

「ヘッドレスコマース」とは

ECサイトのフロントエンドとバックエンドを切り離して開発・運用するアーキテクチャ。バックエンド側の制約を受けずに独立したフロントエンドを自由にカスタマイズできる
これによりショップ独自の世界観の表現やユーザーに最適な購買体験を提供できる。オムニチャネルやPOSとの連携など、ECにとどまらずさまざまな購買シーンで活用できる。

「顧客接点となるECサイトの表現に制約がなく、外部サービスやシステムとAPI(Application Programming Interface)で連携できる。また、ビジネスモデルをシステムで表現するビジネスロジックを、外部化(分離)できる優位性もある」と笹崎氏。

一方で、デメリットもある。「開発やカスタマイズが必要なため、運用開始までに一定の時間と工数が必要」(笹崎氏)。また、フロントエンドとバックエンドの理解と管理、マーケティング面ではUI・UXの改善ノウハウがなければ、「ヘッドレスコマース型」採用コストに対してのメリットを享受することが難しくなる可能性がある。

笹崎氏はこうしたメリット・デメリットを踏まえて、「(「ヘッドレスコマース型」は)ブランドイメージの表現に制約がないアドバンテージは大きい」と語る。

ポイントはビジネスロジックとシステムの分離

従来のシステムは、画面表示機能がデータベースなどの本体機能と一体化しているが、「ヘッドレスコマース」は画面表示機能と本体機能を分離してAPI(Application Programming Interface)で接続するアプローチを採用している。

たとえば、顧客ターゲットの拡大などでビジネスモデルを変更する際には、文書管理機能や顧客管理機能にも追加・変更が必要になる。この場合、ビジネスロジックも追加・変更をしなければならないが、その際、画面表示機能と本体機能が一体化しているECシステムでは、ビジネスロジックの追加・変更に多額の追加コストが発生してしまう

アパレル企業のECサイトを想像してほしい。新ブランドラインを立ち上げて専用のブランドサイトで商品を販売する場合、EC本体の機能は既存システムでも良い。

しかし、「ヘッドレスコマース」以外のECシステムでは、ECサイト本体の機能を含めたシステム領域を丸ごと複製しなければならないケースが多い。また、決済、商品データベース、在庫管理、顧客管理、物流といったビジネスロジックを統一しない場合、運用が分断されるということもある。(笹崎氏)

笹崎氏は「ヘッドレスコマース」の有用性を指摘

この点、「ヘッドレスコマース」型は決済、商品データベース、在庫管理、顧客管理、物流といったビジネスロジックがECサイト側と分離し、APIで接続する仕様になっている。

そのため、ビジネスロジックの追加・変更が容易であり、コストも比較的安価に抑えられるという。また、ビジネスロジックを固有のものと共有のものに分割して再利用できるので無駄がなく、運用も一元管理できるという。

「ヘッドレスコマース」型はクラウド環境で提供される。クラウド利用のメリットについて笹崎氏は、「アップデート性」「カスタマイズ性」「安全性」をあげる。

システム基盤を自社で運用する必要がなく、常に最新の機能追加やセキュリティ機能が利用できるといったクラウドならではの特徴のほか、豊富なAPIやWebhookを介して外部システムと連携できるといった優位性がある。

「ヘッドレスコマース」型を活用することで、たとえば他社が提供するデジタルマーケティング機能やコンテンツ・ユーザー管理システムなどと連携し、事業ニーズに応じて必要な機能を柔軟に追加できる。(笹崎氏)

笹崎氏は「今後のECサイトシステムに求められるのは、自由度の高さと柔軟性だ」とし、「システムの制約がなく、デザインと機能を継続的に改善できること。加えてビジネスロジックの水平展開が容易なシステムを選ぶことが、ECサイト成功への近道だ」と強調している。

鈴木 恭子

花王が始めた「知る」「体験する」「買う」「創る」のデジタルプラットフォーム「My Kao」とは

3 years ago

花王は生活者と直接つながる双方向のデジタルプラットフォーム「My Kao」を立ち上げ、12月15日から運用を始めた。パーソナライズされた体験価値提供の強化を図り、製造業から「UX創造企業」へと変革をめざしていく。

顧客1人ひとりと消費者が本江mル持続可能な暮らし“Kirei-Life”の共創を目的に、花王のDX(デジタルトランスフォーメーション)の知見と資産を結集した。「My Kao」は花王初の双方向デジタルプラットフォームとなる。

「My Kao」は、暮らしの役立ち情報、サステナブルな暮らし・社会に向けた「もったいないを、ほっとけない」といった取り組み、各ブランドの旬な情報などを集約して発信する。

花王は生活者と直接つながる双方向のデジタルプラットフォーム「My Kao」を立ち上げた
「My Kao」のイメージ

顧客との共創の場となるコミュニティを開設。まずは、ビューティ領域で顧客とつながる「Kao Beauty Brands Play Park」をオープンする。EC機能の「My Kao Mall」を実装。化粧品からスタートし、取り扱いカテゴリーを順次拡張していく。

「My Kao」には、「知る」「体験する」「買う」「創る」という4つの機能を実装。共通ID「My Kao ID」を用いることで全顧客とつながり深く理解、さまざまなUX(顧客体験)を提供する。

  • 知る……生活者研究やモノ作りを通して得たエビデンスに基づく知見、お役立ち情報を発信
  • 体験する……花王ならではのモニタリング体験を通じて1人ひとりに最適な解決方法を提供
  • 買う……EC機能の実装と位置情報に基づいた最寄りの取扱店検索機能により、購入体験の向上を図る
  • 創る……多種多様なコミュニティを作り、これまでになかった新しい商品やサービスを顧客と一緒に創る
花王が始めた「知る」「体験する」「買う」「創る」のデジタルプラットフォーム「My Kao」
「My Kao」のサービス内容

「Kao Beauty Brands Play Park」は、ビューティの領域で顧客と直接つながる双方向コミュニティサイト。主要なコンテンツは「プロに聞く」「きれいのレシピ」「肌レコ」などで構成する。「プロに聞く」は、顧客が投稿した質問をサイト上に公開し、それに対して社内外の美容の専門家が回答する「みんなのQ&A」、電話やメール、オンライン通話を用い、個別に顧客の美容に関する悩みや疑問に答えていく「1対1で相談」の2つのコンテンツを用意する。

花王の「Kao Beauty Brands Play Park」は、ビューティの領域で顧客と直接つながる双方向コミュニティサイト
「Kao Beauty Brands Play Park」のイメージ

「きれいのレシピ」は、スキンケアやメイクに関する美容情報を動画を交えながら総合的に発信。独自性のある「Kao Beauty Brands」の最新情報、ハウツー情報などを展開する。また、「Play Park」編集部が、社内外の美容の専門家、「Play Parkフレンズ」と呼ぶインフルエンサーと一緒に創る情報、「Play Park」に寄せられた顧客の声をもとに創る情報など、共創型のコンテンツを展開する。

「肌レコ」はAIを活用した肌測定コンテンツ。花王の皮膚科学研究、メイクアップ研究の知見を学習させたAIと外部技術を掛け合わせ、独自の測定ロジックを構築する。手持ちのスマートフォンで顔画像を自撮りするだけで、合計13指標のスコアを測定することが可能。2023年3月の公開を予定している。

2024年までには、「Kao Beauty Brands Play Park」に続く新たなコミュニティサイトをオープンする予定。

石居 岳

【通販業界10大ニュース】原材料価格の高騰、円安、SDGsの取り組み加速、コロナ特需の反動、進むDXなど2022年まとめ | 通販新聞ダイジェスト

3 years ago
通販新聞が行ったアンケートの調査結果を踏まえがら、2022年の1年間に通販業界で起きた、主な出来事を振り返る

コロナの感染状況の変化とともに、人々の生活様式も徐々に以前の形へと戻り始めてきた。一方で、通販業界ではコロナ特需からの反動減という課題が噴出。あわせて、世界規模での原料価格の高騰や、歴史的な円安基調など深刻な問題も相次いでいる。

通販新聞が行ったアンケートにおいても、“コスト増”に関するキーワードが上位を占めており、企業にとって我慢の1年となった印象を受ける。今年1年間に通販業界で起きた、主な出来事を読者と共に振り返ってみる。

通販新聞が行ったアンケート調査による、今年1年間に通販業界で起きた主な出来事トップ10
通販新聞が行ったアンケート調査による、今年1年間に通販業界で起きた主な出来事トップ10

「2022年の通販業界10大ニュース」は、今年1年間に通販業界で起きた主な出来事やニュース、トレンドなどを本紙編集部が20項目程度に絞り込み、読者アンケートを受けてランキング化したもの。アンケートでは今後の通販市場の動向で、重要だと思われる項目から順番に3つを受け付け、その理由も聞いている。

圧倒的な悩みは“コスト上昇”。原価高騰に苦しむ声多数

1位を獲得したのは「原材料価格の高騰」で159ポイント。2位以下を大差で引き離す結果となった。ロシアのウクライナ侵攻などを契機に小麦などの価格が上昇。原油価格の値上がりにも拍車がかかり、あらゆるもののコストが上昇している。

アンケート回答企業の声をみてみると、次のような意見が寄せられた(編集部が一部抜粋)。

商品の仕入れ原価も上がっており、利益を圧迫している。

販売価格や利益確保に直結する要因として対策が必要なため。

利益確保をいかに行っていくかが課題となっている。値上げは避けたいため、今まで通りのやり方を大きく変えていくステージに立っている

商品の原材料やカタログ誌など紙代の値上げは確実に利益を圧迫する。販売価格に値上げ分を転嫁できる商品はよいが、できないものもあるので、さまざまな工夫や業務の効率化によって利益を確保する必要がある

原材料価格の高騰は「利益率が高い」と言われている通販業界においても、大きく影響を及ぼし始めている。

紙をはじめとした価格高騰の煽りも受けているため、今までと同じ情報発信、コミュニケーションを続けていくと明らかに利益が出ないビジネス構造になるため、通販業界全般としての今までの“鉄板”の手法に手を入れて、新しい形を模索しなければ利益が出せない(出にくい)構造に陥っていくことは明白。

原材料の高騰すべてを販売価格に転嫁することは難しいため。円安、原油価格が落ち着けばある程度落ち着くと思う。

「利益を圧迫する」。急激な為替変動に翻弄された1年

2位となったのが「歴史的な円安記録」で69ポイント。こちらも1位と同じく、コスト増に関連するキーワードとなっている。2021年末ごろから急激に円安へと加速していき、今年10月には1ドル150円台も突破していた。

アンケート回答では次のような意見が見られた。

円安は原材料の高騰、すべての物価高騰の要因になっている。来年以降は少し落ち着くと思われる。

生産拠点の見直しなどもせまられる。

原価率の引き上げによる収益悪化や生活物資値上げによる消費マインドの低下など影響が大きいので。為替ルートの変動は予測できない。

主力商品がほとんど輸入商品であるため、急激な円安は原価高騰を引き起こし利益を圧迫する

通販市場に限った話ではないが、貴金属相場に与える影響が大きいため。

SDGsの取り組み顕著、「顧客のニーズや関心の高まりを実感」

3位にランクインしたのは「SDGsの取り組み拡大」で48ポイント。当初はメーカーなど大手企業を中心に広がっていた動きだが、ここにきて通販各社での導入が進んでいる。

SDGsに取り組む企業が格段に増加した
SDGsに取り組む企業が格段に増加した

主な回答では次の意見があった。

2022年は消費者のSDGsやサステナビリティ、エシカル消費などへの関心がより高まった1年であった。今後はトレーサビリティが明確な商品やプラスチック使用量が少ない商品への注目がより高まると予測しているため。

社会的にも大変注目されているテーマであり、SDGsに関する活動は今後も積極的に取り組むべきものと考えられるため。弊社では、SDGsに関する特集ページの開設、オリジナル商品を開発している。

社会的にSDGsの取り組みが広がっており、企業としても対策が必須になってきている。

SDGsを掲げているわけではないが、多くの人の意識が変わってきているため、弊社でもしっかり意識して取り組めるところから取り組んでいきたい。特に消費者の意識(ニーズ)に合わせた商品やサービスの変更(省資源化)は重要だと考えている。

梱包資材などに影響を及ぼす場合、それらの費用が増加する傾向がある。

通販事業者かどうかに関わらず、顧客、社会から対応を求められており、マストで取り組むべきだと感じている。近年、顧客からのニーズも高いと実感している。

製品の容器包装のリサイクル活用を顧客に呼びかける企業も
製品の容器包装のリサイクル活用を顧客に呼びかける企業も

コロナ特需に“反動”、前年比の落ち込み大きく

4位となったのは「コロナ特需に反動」。依然としてコロナの感染拡大は一進一退の状況を見せているが、外出規制を巡る人々の意識には大きな変化が生じている。そのため、徐々に消費活動の範囲がネットからリアルへと回帰していき、通販市場全体でコロナ特需に沸いた前年からは大きく落ち込みを見せた。

アンケートでは次のような声があった。

外出自粛やテレワークの広がりによって高まった通販利用がもたらしたコロナ特需の反動が当面の課題。通販活用の傾向は引き続き見られるが、流動的に変化しながら進んでいく。

コロナ特需は落ち着き、観光やレジャーなどの需要が高まり、モノ消費からコト消費に移っている

アフターコロナになりつつある今、実店舗と通販の使い分けにも変化があると思われるため。

長引くコロナ禍により、消費傾向にも変化が見られているので、その変化を捉えて効果的に商品開発、販売をしていくことが重要と考えられるため。

DX化の波、ますます大きく

5位には「企業のDX化広がる」がランクイン。データやデジタル技術を活用した新たな取り組みが拡大。以前から指摘されていたAIやビッグデータ分析などのテクノロジーの積極的な導入が各所で見られている。

アンケートでは「DX技術の革新が通販市場にも大きな影響を与えると思われるため」「各社が顧客サービス・体験価値向上と社内の業務効率化・生産性向上に向けてDX化に取り組んでおり、当社においても重要と考えている」などの回答があった。

行政処分に戦々恐々、「薬事が年々厳しくなってきている」意見も

6位は「行政処分、今年も」で、今年もまた、通販実施企業での行政処分が見られた。1月には大幸薬品が販売する空間除菌を目的とした「クレベリン」シリーズ4商品について、9月には山田養蜂場がコロナの感染予防、重症化予防の効果が得られるかのように示す表示を行っていた健康食品において、それぞれ景品表示法に基づく措置命令を受けている。

アンケートでは次のような声が上がった。

薬事が年々厳しくなってきているため、言いたいことが伝えられずスキルを要する作業なので対応が大変になってきている。売り上げにも大きく響いている。しかしながら、しっかりと対策をとっている弊社にとっては取り締まりが厳しくなることで、メリットも出てくると考えている。

個人情報の流出多発、70万件流出おそれの事例も

同率で6位となったのが「企業の個人情報流出相次ぐ」。こちらも企業の不祥事に関する話題がランクインしている。

CD販売のディスクユニオンが6月に2つの通販サイトで、約70万件の個人情報が流出した恐れがあると発表したほか、8月には古着の買い取り・販売を行うベクトルが通販サイトにおいて、約1万8000件の個人情報が流出した恐れがあると発表している。

アンケートでは「顧客獲得をする上での企業の責任として取り組む必要がある」「管理を徹底して情報漏れがないように努める」との声が聞かれた。

D2C市場激化、商材の幅はますます多様化

8位となったのが「D2Cブランド競争激化」。当初はコスメやファッションなどのカテゴリーで先行する企業が見られていたが、現在は食品なども含めたさまざまな商材での導入が広がりつつある。

利益率の高い自社ブランドをネット通じて直接顧客に販売する動きは今後も増えていくと考えられる。

インバウンド復活に期待の声も

9位は「海外からの入国規制緩和」。コロナ感染の水際対策として長らく入国規制を敷いていたが、10月よりその内容が緩和。徐々に外国人観光客が訪日できるようになっており、コロナ禍で縮小していたインバウンド消費が一気に拡大していくことが期待されている。

アンケートでは「インバウンド向けの商売を考えていた矢先にコロナ禍になり、計画はほぼ頓挫(とんざ)した。入国規制緩和を機に、再度インバウンド向けの展開を考えていくことになる」「入国規制緩和に伴うインバウンド需要の拡大を期待しているため」という回答があった。

ネットスーパー市場はますます活況なるか

10位は「ネットスーパー市場活況」がランクイン。コロナ禍によってこれまで以上に浸透したもので、日配品や食品など、日々、使う商品を購入するために利用し始めた人も少なくない。

ネットスーパーの市場は今後ますます活況になることが期待される
ネットスーパーの市場は今後ますます活況になることが期待される

アンケートでは「食材系はものを確認しなくても買いやすいので、消費者のライフスタイルの変化として、今後も伸びるのではないかと思う。お取り寄せグルメなどはすでに人気」という意見が聞かれた。

ライブコマース、顕著に導入加速

なお、今回、ベスト10からは圏外となったが、次点には「ライブコマース拡大」がランクインした。芸能人などを起用した大がかりなものから、自社の実店舗スタッフなどによって手作りで構成されたものまで、さまざまな内容で導入が進んでいる。

通販企業ではライブコマースの定着やさらなる拡大が進んでいる
通販企業ではライブコマースの定着やさらなる拡大が進んでいる

そのほか、アンケートでの独自回答としては、次のような意見があげられた。

賃金が上がらず、日本経済の先行きが不安。生活防衛のための節約志向による消費低減が懸念される。

「EMV 3DS」(本人認証)の導入に経済産業省が動き出していること。2024年ないしは2025年までに「EMV 3DS」の導入が必須化されることが決まっており、この動きに対応する必要がある。

つまりは、一般ユーザからしても「Webサイトでの購買体験」に怪しい時だけとはいえ、3Dセキュア(本人認証サービス)が普通に組み込まれていくような未来がすぐそこに迫ってきているということになる。

これまでの通販における購買体験UXを大きく揺るがすことになると思う。ここは、避けて通れなさそうなので、どう一般ユーザーに理解を求めるか、UI・UXをできるだけ担保するか、担当者の腕の見せ所と捉えている。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

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通販新聞

「猫専用こたつ」がヒットした秘訣とは。 販売価格は市場価格の2倍でも爆売れ「みかん箱」の成功ストーリー

3 years ago
猫専用のこたつを付録につけたみかんを大ヒットさせた立役者2人が、SNSでバズりを成功させた秘訣や、商品企画のアイディアを解説する。

猫向けの小さなこたつを付録にしたみかんが猫好きの消費者の心に刺さり、2018年から累計6000箱を販売している。この商品をネット通販で手がけるEC事業者nakatx (ナカタクス)は、鶏肉のECサイト「チキンナカタ」を主力で運営している。猫専用こたつ付きのみかんや、その関連商品は、主力商品とは別軸のカテゴリーとして訴求。新たな需要を獲得した。

SNSで話題を呼び、瞬く間に認知が拡大。販売しているみかん(猫専用こたつ付き)は、市場のみかんよりも倍以上の値付けにもかかわらず、人気を集めているという。

nakatx 取締役専務の中田直希氏と、中田氏と二人三脚で猫専用こたつ付きみかんの企画・販売を手がけた岡田商会の常務取締役・岡山耕二郎氏が、猫好きの潜在需要を掘り起こしたアイディアの着想や、SNSでの「バズり」を引き起こした秘訣(ひけつ)を語る。

「ミカン箱の価格は倍以上。猫好きに受け入れていただいた」

――猫専用こたつ付きのミカンと、これまでの販売実績を教えてください。

中田氏:猫専用こたつ付きのみかん5キロ入りは税込5628円、3キロ入りは同4122円で販売しています。販路は自社ECサイトと「楽天市場」店です。商品名は「猫と、こたつと、思い出みかん。」で、2018年の冬から販売しています。これまでの販売実績は累計で約6000箱です。

nakatx  取締役専務 中田直希氏
nakatx  取締役専務 中田直希氏

岡山氏:箱詰めしてお客さまにお送りしているのは和歌山県産のみかんです。「有田みかん」「天田みかん」「川辺みかん」のなかから、1種類を選んでお届けしています。知名度は高くありませんが、いずれも味わいの良いみかんです。商品のヒットを通じて、猫好きの反響だけにとどまらず、みかん自体のファンも増えました。とても嬉しく思っています。

岡田商会 常務取締役 岡山耕二郎氏
岡田商会 常務取締役 岡山耕二郎氏

――猫専用のこたつを付録しているとはいえ、ノーブランドのみかんとしては高価格に思えます。

岡山氏:市場で見かけるものと比べると、倍以上の価格で販売しています。ヒットしたのは、SNSで人気に火がつき、猫好きの方に商品を広く受け入れていただいたおかげです。売り上げの2%は、保護猫活動の支援金として関連団体に寄付しています。こうした取り組みも評価いただいています。

みかんに猫専用こたつを付録したことが、猫好きの消費者の潜在ニーズに応えた
みかんに猫専用こたつを付録したことが、猫好きの消費者の潜在ニーズに応えた
「知名度に欠けるものの、味が良いみかんを広めたい」という中田氏の思いは達成された
「知名度に欠けるものの、味が良いみかんを広めたい」という中田氏の思いは達成された

中田氏:猫専用のこたつはダンボール製で、パーツを差し込むだけで簡単に組み立てられます。ご自宅にある布を、こたつ布団のように天板に挟むと完成する仕組みです。愛猫が入っている様子を思わず撮影したくなる人が多いようです。オンライン上で開催したフォトコンテストも大好評でした。

みかんに付録でつけている、ダンボール製の猫専用こたつ。天板に布を挟んで完成させる
みかんに付録でつけている、ダンボール製の猫専用こたつ。天板に布を挟んで完成させる

フォトコンテストでは“愛猫×猫専用こたつ×みかん”の投稿ぞくぞく

――オンライン上で開催したフォトコンテストとはどのようなものですか。

岡山氏:「#猫とこたつと思い出みかん」のハッシュタグをつけてインスタグラムまたはツイッターに投稿するだけで、誰でも応募できるフォトコンテストです。商品を購入いただいた方が、愛猫、みかん、猫専用こたつの組み合わせで撮影した写真を投稿してくださいました。商品の認知拡大に寄与しています。

「#猫とこたつと思い出みかん」のハッシュタグをつけてユーザーが投稿した画像の一例
「#猫とこたつと思い出みかん」のハッシュタグをつけてユーザーが投稿した画像の一例
「#猫とこたつと思い出みかん」のハッシュタグをつけてユーザーが投稿した画像の一例
「#猫とこたつと思い出みかん」のハッシュタグをつけてユーザーが投稿した画像の一例

中田氏:フォトコンテストでは、みかんだけにとどまらず、和歌山みかんを使ったみかんジュース「ニャンジュース」も対象にしました。ユーザーからの1投稿につき、2円を保護猫活動の支援金として寄付しています。

3万件の「いいね」を生んだバズりツイート

――「猫と、こたつと、思い出みかん。」がバズったきっかけは、フォトコンテストですか。

中田氏:きっかけはそうではありません。フォトコンテストよりも前に、ある方のツイッターで火がつきました。一般人の方が商品について詳細に投稿してくださり、そのツイートに3万件近くの「いいね」がつきました。いわゆる「バズった」状態でした。

岡山氏:著名なミュージシャンの矢野顕子さんも、そのツイートに反応して「海外にある自宅に商品を送ってほしい」という旨のツイートをしてくださいました。

3万件近くの「いいね」がついてバズったツイート(左)と、ミュージシャンの矢野顕子氏がそれに反応したツイート
3万件近くの「いいね」がついてバズったツイート(左)と、ミュージシャンの矢野顕子氏がそれに反応したツイート

――「猫と、こたつと、思い出みかん。」のプレスリリースは、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」を運営するPR TIMESが開催した「プレスリリースアワード2022」でも「特別賞」を受賞しました。

岡山氏:配信したプレスリリースをきっかけに、さまざまなメディアや消費者からますます注目いただく機会が増えました。3万件近くの「いいね」がついたツイートも、プレスリリースをきっかけにメディアが公式SNSで発信してくださったことが背景にあります。

中田氏:販売2年目となった2019年は、前期比3倍の売り上げを記録しました。海外のメディアからも注目されるようになり、猫業界で有名な商品に育っていったと実感しています。

PR TIMESが開催した「プレスリリースアワード2022」で表彰されたnakatx のプレスリリース
PR TIMESが開催した「プレスリリースアワード2022」で表彰されたnakatx のプレスリリース

「ただのみかんでは売れない」。猫を組み合わせた“アイディアの勝利”はどのように生まれたのか

――みかんの販売促進をねらって猫向けのグッズを組み合わせ、それがヒットしたのは、まさしくアイディアの勝利といえそうです。商品の企画はどのように着想したのですか。

中田氏:ECで和歌山県産のみかんを販売している店舗は数え切れないほどあります。「同じ売り方をしても勝てない。市場で通用しない」と思いました。これまでにないようなコンセプトや付加価値をつける必要があると考え、「猫専用こたつ」に行き着きました。みかんといえばこたつ、こたつといえば猫……と連想したのです。

岡山氏:細部にもこだわりがあります。先述のツイートでも触れられていましたが、商品を届けるダンボールの包装にも趣向をこらしました。原稿用紙風の紙面に愛らしい猫のイラストを描いており、商品を受け取った瞬間からお客さまのテンションが上がるような仕掛けにしています。

商品を受け取った瞬間からうれしくなるようなダンボールで届ける
商品を受け取った瞬間からうれしくなるようなダンボールで届ける

岡山氏:販売前、猫専用こたつを組み立てて愛猫に与えてみたところ、強く関心を示し、とても食いつきがよかったのです。その様子を見て「この商品はいける」と思ったのを覚えています。

猫専用こたつに強い関心を示したという岡山氏の愛猫
猫専用こたつに強い関心を示したという岡山氏の愛猫

中田氏:2022年度分の「猫と、こたつと、思い出みかん。」の予約は2月22日の「スーパー猫の日」に受け付けを開始しました。みかんはいまがシーズン。今後、さらなる受注拡大を期待しています。

高野 真維

佐川急便がクリスマス前後の配送に遅れの可能性/通販のアップセル・クロスセル規制強化【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

3 years ago
2022年12月9日~2022年12月15日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 佐川急便、クリスマス前後に物量増加で「荷物の配送に遅れが生じる可能性」

    2022年の年末は、クリスマス前後の「2022年12月19日~12月25日」に物量の増加が顕著になると予測している

    2022/12/13
  2. 佐川急便の年末年始の配送対応について【2022年~2023年】

    佐川急便は年末年始期間中に集荷予約制を適用するとしており、「年末年始期間中は交通渋滞が予想されますので、日時に余裕をもった発送をお願いいたします」とアナウンスしている

    2022/12/12
  3. 「広告商品」以外の提案は“不意打ち勧誘”。通販のクロスセル・アップセルを大幅に規制する消費者庁の動きとは

    消費者庁は通販のクロスセル・アップセルの規制に踏み切る。従来の枠組みに加えて、新聞、雑誌、ラジオ放送、テレビ放送、Webも規制対象となる

    2022/12/13
  4. ふるさと納税「利用したことがない」が8割。よく使うサイトは「さとふる」が38%、「楽天ふるさと納税」が34%

    ふるさと納税は、「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として創設された制度

    2022/12/13
     
  5. イケアがEC商品などの受け取りセンターを拡充。京都市、前橋市、新潟市、宇都宮市に新設

    イケアは、消費者が好みの方法で買い物ができるようにオムニチャネル化を推進している

    2022/12/12
     
  6. 「売上は伸びているが広告費が足りない」。成長企業のジレンマを解消する新手法を解説

    「見込み客を増やしたいが広告宣伝費を増やすことができない」といった悩みをもつ企業は多い。金融機関からの既存借入枠を削ることなく、広告宣伝費を獲得し、集客投資を実現する手法を解説する

    2022/12/12
     
  7. 成長しているサブスクリプションサービス13選。アワード受賞サイトに見る「成長性」「新規性」などが評価されたビジネスモデルとは?

    日本サブスクリプションビジネス大賞2022を受賞したサイトは何がすごい? サブスクのプロが選ぶサービスとは?【サブスク大賞2022】

    2022/12/14
     
  8. 3か月間で広告宣伝費127億円を投じ、通販売上150億円、定期顧客14.5万件増【ファーマフーズの2022年1Q】

    2022年7月期におけるBtoC事業の売上高は518億8600万円(前期比19.2%増)。広告宣伝費には356億円を投じた

    2022/12/12
     
  9. 「電話勧誘販売」の範囲が拡大。ネット広告経由の電話受注でクロスセルしてもアウト?【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2022年12月5日~12月11日のニュース

    2022/12/13
     
  10. クックパッドがローソンの食品ロス削減に協力。期限切れ商品を生鮮食品ECで値引き販売&受取は「生鮮宅配ボックス」

    クックパッドが運営する生鮮食品EC「クックパッドマート」は、ローソンによる食品ロス削減のための実証実験に協力。ローソンの販売期限切れ商品の値引き販売を開始した

    2022/12/14
     

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

藤田遥

ドットエスティ、メタバースファッションコンテストを初開催。5万円分の買い物ポイント贈呈も

3 years ago

アダストリアは、公式ファッションサイト「.st(ドットエスティ)」のオリジナルアバター「枡花 蒼(ますはな あお)」と「一色 晴(いっしき ひより)」の撮影写真およびアバター用の洋服を、メタバースコンテストとして一般クリエイターから募集する取り組みを12月15日に開始した。ドットエスティオリジナルアバターを楽しむユーザーの発表と称賛の場にしたい考え。

募集期間は2023年2月15日まで。メタバースコンテストは洋服部門「#KASOU」とフォト部門「#UTSUSU」の2部門にわける。それぞれ、応募者から優秀者を決めていく。

参加者の賞賛と発表の場として2023年3月4日、3Dモデルのファッションショー「Virtual Collection(バーチャルコレクション)」で結果発表、お披露目イベントの実施を予定する。

EC800億円計画の一環でメタバースにアクセル

アダストリアは2026年2月期を最終年度とした中期経営計画で、最終年度までにEC売上高800億円をめざしている。この成長戦略の一環として2022年7月にメタバースファッション領域に参入。将来的にはさまざまなメタバースプラットフォームへの展開、メタバース内でのコンテンツ提供、イベント開催、IP(intellectual property)などの展開を予定している。

「.st」オリジナルアバター「枡花 蒼」。2022年10月に販売開始した
「.st」オリジナルアバター「枡花 蒼」。2022年10月に販売開始した
同じく「.st」オリジナルアバターの「一色 晴」。こちらは2022年11月に販売開始した
同じく「.st」オリジナルアバターの「一色 晴」。こちらは2022年11月に販売開始した

「.st」で買い物できるポイントなど贈呈

審査には、メタバース系情報メディア「MoguLive」「PANORA」「メタカル最前線」「バーチャルライフマガジン」の4つのメディア、バーチャルショッピングモール「Carat(カラット)」、3Dモデルのファッションショー「Virtual Collection」が協力する。

コンテストでは、応募作品の審査と各メディア、イベントの名を冠した優秀賞として「MoguLive賞」「PANORA賞」「メタカル最前線賞」「バーチャルライフマガジン賞」「Carat賞」を選出、各賞を授与する。

「.st」オリジナルアバターのメタバースコンテストでは多岐にわたる賞の選出を予定している
「.st」オリジナルアバターのメタバースコンテストでは多岐にわたる賞の選出を予定している
「.st」オリジナルアバターのメタバースコンテストでは多岐にわたる賞の選出を予定している

最優秀賞は、上記4社のメディア、協力パートナーのCarat、バーチャルコレクション、ドットエスティオリジナルアバターを制作した「ひゅうがなつ」「にやみ」「(仮)」「明日葉わがみ」「柚葉」「シア」らクリエイター陣がも審査に参加するという。

優秀賞5人には、「.st」店舗で買い物できるドットエスティポイントを1万円分贈呈する。各部門の最優秀賞2人には、洋服部門は5万円分、フォト部門は3万円分を贈呈する。特別賞として設ける「RAGEBLUE賞」「HARE賞」を受賞した人には各ブランドがセレクトした最旬のコーディネイトを一式贈呈する。

応募方法

洋服部門「#KASOU」

応募者は「枡花 蒼」「一色 晴」の素体データを元にVRChatに対応した3Dモデルを制作。VRoidクリエイターは、ドットエスティから配布するVRoid Studioで制作されたサンプルアバターを使用し、「枡花 蒼」「一色 晴」への着せ込みを前提としたアバターの洋服を制作する。

フォト部門「#UTSUSU」

「枡花 蒼」「一色 晴」またはその両アバターを使用して、メタバース世界、リアル世界に限らず写真を撮影する。

応募の流れ

  1. ドットエスティコンテストのDiscordサーバーに参加。洋服部⾨はDiscordサーバーから素体データをダウンロード
  2. 応募用Googleフォーム内のガイドライン、注意事項を確認
  3. ガイドライン、注意事項に沿って作品を制作
  4. 「#ドットエスティコンテスト2023SS」を付けて、コンテスト応募作品の画像をTwitterに投稿
  5. 応募⽤Googleフォーム内より応募画像アップロード
  6. 応募用Googleフォームに必要事項を記入し応募
高野 真維

2022年のビューティーとファッションをけん引した企業&企画とは? アイスタイルと「WWDJAPAN」発行企業が選出!

3 years ago

アイスタイルと「WWDJAPAN」運営するINFASパブリケーションズは、2022年のビューティーとファッションを最もリードした企業・プロジェクトを表彰する「Japan Beauty and Fashion Tech Awards 2022」を共催し、大賞・準大賞・特別賞を発表した。

「Beauty Tech 大賞」にはファーメンステーションの「アップサイクル×発酵でつくる機能性サステナブル原料」、「Fashion Tech 大賞」にはフルカイテンの「在庫を利益に変えるクラウドシステム『FULL KAITEN』」を選出した。

アワードには64件の応募があったという。審査は各方面で活躍する5人の審査委員によって「革新性」「事業性」「技術性」「社会性」の審査評価基準に沿って実施。大賞を含む各賞の受賞者の発表を授賞式で行った。

両社は授賞式を開催、「Japan Beauty and Fashion Tech Awards 2022」の受賞者を表彰した
両社は授賞式を開催、「Japan Beauty and Fashion Tech Awards 2022」の受賞者を表彰した

「Beauty Tech 大賞」はサステナブル原料。循環型社会の実現が高評価

Beauty Tech 大賞
ファーメンステーション「アップサイクル×発酵でつくる機能性サステナブル原料」

独自の発酵技術により、休耕田米やジュースや食品への加工で発生する残さといった未利用資源を活用してプレミアムエタノールや発酵エキスを製造している。

審査ポイント

化粧品や除菌ティッシュなどの生活用品への活用とともに、その製造過程で出る残さが家畜の飼料になるなど循環型社会を実現した。

化粧品原料メーカー、OEM企業としてオーガニックコスメの発展に貢献し、B Corp(Bコープ。環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられる国際認証制度)取得で世界市場も視野に入っている。

Beauty Tech 準大賞
コーセー「『COLOR MACHINE』超高速プロジェクションマッピングで実現する複合現実メイク」

プロジェクションマッピングを活用し、表情の細かな動きや顔の動きにぴったりとメイク画像を追従して投影できる。

審査ポイント

プロジェクションマッピングそのものは決して新しい技術ではないが、表情や顔の動きにメイク画像を投影できる新技術を評価。

顧客満足度向上のみならずリアル店舗における美容部員とのコミュニケーションのサポートツールとして今後多店舗展開が期待できる。エンターテインメント業界やファッション業界など他業界への展開の可能性も期待が持てる。

「Fashion Tech 大賞」は満足度向上と環境配慮を両立するクラウドシステム

Fashion Tech大賞
フルカイテン「在庫を利益に変えるクラウドシステム『FULL KAITEN』」

欠品による機会損失を減らし、過剰在庫と廃棄を抑制することで、消費者、企業と働く人々それぞれの満足度の向上、そして環境への配慮も含めたサービス。

審査ポイント

アナログ管理が多く課題であったアパレル業界の在庫管理・分析を同社開発の基幹SaaSによって、最適化する仕組みをつくりあげた。他業種にも応用可能で事業的なスケールも今後期待される。

Fashion Tech準大賞
こたつ「社会貢献型アパレルブランド『SHIFT 80』」

新興国の女性支援、貧困解決、フェアトレードといった視点を持ち、ケニアで設立したアパレルブランド。

審査ポイント

株式会社としてサステナブルに(継続的に)事業を行うため、分配可能な利益剰余金の80%を現地のステークホルダーに還元していくとする社会課題解決型の株式会社をめざしていることなどが評価された。

特別賞

特別賞には2つの企業のプロジェクトをそれぞれ選出した。

Retocos(リトコス)
未利用資源の化粧品原料化

佐賀県唐津市沖の8つの離島に特化した、同地で栽培した植物や未利用資源を化粧品原料化し活用する取り組んでいる。

化粧品原料として離島の良質な農産物を生かし、ワークショップでクラフトコスメ体験を実施するなど、体験ツーリズムを通じてそのストーリーを拡散し、離島でのビジネスを活性化させる試み。

審査ポイント

障がい者の雇用での経済自立支援なども含め、濃い「関係人口」を増やして化粧品ビジネスにつなげていく社会性の高い事業として今後のポテンシャルを評価した。 

nanoni(ナノニ)
「女性活躍推進クラウド『carefull』」

フェムテック関連、女性支援関連の福利厚生を総合的にサポートするスタートアップ。企業が抱える課題を掘り下げ、組織における意識改革や制度導入だけでなく、悩める女性たちのためのプラットフォームも構築。

審査ポイント

こうした取り組みのスタートアップは日本で数が少ない。企業・従業員双方からのアプローチで女性が抱える課題の解決に取り組む姿勢を評価した。

 

「Japan Beauty and Fashion Tech Awards 2022」審査委員

  • 梅澤 高明 氏【審査委員長】(A.T. カーニー 日本法人会長/CIC Japan会長)
  • 七丈 直弘 氏(一橋大学 ソーシャル・データサイエンス教育研究推進センター・副センター長/教授)
  • 田中 杏子 氏(Numéro TOKYO“ヌメロ・トウキョウ”編集長)
  • 皆川 朋子 氏(一般社団法人Femtech Community Japan代表理事)
  • 渡邉 康太郎氏(Takram コンテクストデザイナー/慶應義塾大学SFC特別招聘教授)
5人の審査委員が「革新性」「事業性」「技術性」「社会性」の評価基準で審査した
審査委員が「革新性」「事業性」「技術性」「社会性」の評価基準で審査した
高野 真維

【Z世代の2023年トレンド予測】韓国ファッション検索アプリ、中国版Instagram「小紅書(RED)」、昭和アイドルなどノミネート

3 years ago

SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ)」は、独自ネットワークでaround20(15~24歳)372人の女性を対象に実施した2023年のトレンド予測を発表した。

around20に該当するZ世代は2023年、「等身大の自分を楽しむ消費」への注目が高まりそうだと分析している。

SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ)」は、独自ネットワークでaround20(15~24歳)372人の女性を対象に実施した2023年のトレンド予測を発表

トレンドキーワードに対してWEBアンケート調査を行い、4部門(カフェ・グルメ部門、モノ・コト部門、ファッション・コスメ部門、アーティスト部門)の中から、票を集めた上位10コンテンツを発表した。SHIBUYA109 lab.による2023年のトレンド予測は次の通り。

【カフェ・グルメ部門】

  • 夜の時間の過ごし方欧州の世界観に注目。ポイントは「背伸びしすぎず楽しみたい」

【モノ・コト部門】

  • 昭和のアイドルや平成初期マンガから自由な個性を表現するマインドを取り入れたい

【ファッション・コスメ部門】

  • 注目ワードは「儚い・青い・とうめい」。「トラディショナル」と「ギャルみ」の両極端を楽しむ

【アーティスト部門】

  • 新人からベテランまで、時代を超えて共存。聴覚だけでなく視覚で感じる世界観も重視

各部門ごとのトレンド予測について、調査結果は次の通り。

【モノ・コト部門】個性を貫き、自由に生きる「思想(マインド)」が魅力

SNSで共有することが前提となっているZ世代は、2023年もコミュニケーションにつながるモノ・コトに注目すると分析。

昭和のアイドルや平成初期のマンガなどのリバイバルトレンドは、Z世代にとってその「エモさ」だけでなく、個性を貫き、自由に生きる「思想(マインド)」が魅力になっているという。2023年のトレンドとして、モノ・コト部門で予測しているのは次の通り。

モノ・コト部門の2023年トレンド予測
モノ・コト部門の2023年トレンド予測
  • 昭和アイドル
    山口百恵さん、松田聖子さん、中森明菜さんなどの昭和のアイドルへの注目が高まっている。当時トレンドとなった「聖子ちゃんカット」や「ソバージュ」など、個性的なスタイルが新鮮に映り、取り入れたいという声が聞かれているという。
  • 平成マンガ
    「DEATH NOTE」「SLAM DUNK」など、平成初期~中盤にかけて流行したマンガが再度注目されているという。ストーリーの面白さだけでなく、マンガに出てくるキャラクターのメイクやファッションを再現して楽しむ様子も見られているといい、ヴィジュアル系やパンクロックなファッションスタイルは2023年のトレンドになりそうだと指摘している。
  • 写真共有アプリ「BeReal(ビーリアル)」
    1日に1回2分間だけ、撮影した写真を共有するアプリ。スマートフォンの内カメラ・外カメラ両方で撮影される。加工フィルター機能はない。飾らない姿を共有することから、気心の知れた友達との利用が想定されている。すでに「BeReal」のスクリーンショットを他のSNSで共有することも流行り始めているという。
  • 位置情報共有アプリ「iシェアリング」
    家族や親しい友人などとリアルタイム位置情報を共有することができるアプリ。ゆるくつながり続けることが当たり前であるZ世代は、気心の知れた友達の位置情報共有に利便性を感じており、待ち合わせの時にも活用しているという。
左上から順に「昭和アイドル」「平成マンガ」「パン屋巡り」「ジブリパーク」
左上から順に「昭和アイドル」「平成マンガ」「パン屋巡り」「ジブリパーク」
  • 香り診断
    自分に合った香りの香水を診断してくれるサービス。好きな香りの傾向や自分の性格、どんな印象を演出したいかに合わせ、香りを提案する。自分に合った香りを知ることで、香水選びの精度を高めたいというニーズが見られるという。
  • パン屋巡り
    オシャレで美味しいパン屋さんを巡ることが流行りそうです。ピクニックや自宅でのおうちカフェなどハイブリットな楽しみ方もできます。一日に沢山の店舗をはしごできることも魅力のようだ。
  • ジブリパーク
    2022年11月に愛知県長久手市の「愛・地球博記念公園」内にオープンしたスタジオジブリの世界を体感できる公園施設。キャラクターの外見やキーワードを取り入れた「概念コーデ」で訪れるなどの楽しみ方が生まれそうだと分析している。
  • チェンソーマン
    週刊少年ジャンプにて2019年1号から連載が始まった藤本タツキさんによるアクション漫画。2022年10月よりアニメ放送が始まり、毎回変わるエンディングテーマの担当アーティストが豪華なことでも話題になっている。

通販機能付きのコーディネートアプリも利用拡大に期待

  • 韓国ファッション検索アプリ「onthelook(オンザルック)」
    アプリ内で投稿されているコーディネートは、onthelookによって選ばれた韓国インフルエンサーによるもので、韓国現地のトレンドスタイルを知ることができる。気に入った商品はその場で購入することが可能だ。コーディネートの参考にし、服を選ぶ時間を短縮することを目的に活用されそうだと分析している。

  • 小紅書(RED)
    「中国版Instagram」ともいわれる、通販機能も搭載されたSNS。中国の若者トレンドに注目しているZ世代が増えているという。いち早く美容やファッションの流行をチェックできる情報源として活用が期待される。

【ファッション・コスメ部門】米国や英国などの欧米諸国のカルチャーにも注目

Z世代が引き続き韓国や中国を中心としたアジアトレンドに注目するなか、2023年は米国や英国などの欧米諸国のカルチャーにも注目が集まりそうだと分析している。

モノ・コト部門と同様、調和を大事にするZ世代が「自分らしさ」や「強い個性」の表現に目を向け始めている傾向がみられるという。2023年のトレンドとして、ファッション・コスメ部門で予測しているのは次の通り。

ファッション・コスメ部門の2023年トレンド予測
ファッション・コスメ部門の2023年トレンド予測
  • 海外ガール
    ロサンゼルスやニューヨークなどを中心とした米国のファッションスタイルに注目が集まっているという。2022年にトレンドとなったY2Kスタイル(2000年代に流行したファッションの再流行)にみられたカラフルさだけでなく、ヘルシーな要素もあるスタイルで、体型問わず楽しめることも魅力のようだ。
  • ローウエスト・ローライズボトムス
    Y2Kスタイルの1つとして注目されている。おなかを見せるスタイルに合わせて取り入れられそうだと予測している。
  • 水色界隈・天使界隈
    天使のような儚さと透明感を併せ持つ白や水色を基調としたテイストを楽しむスタイル。ファッションだけでなくインテリアなどお部屋作りにおいても注目されているという。
  • 白湯メイク
    中国でトレンドとなっている「ナチュラル盛れ」を実現したメイク。これまでトレンドの傾向であった、力強く凛とした印象のある中国メイクとは異なり、自然な透明感がポイントで、誰でも取り入れやすいことが魅力だという。
  • くらげメイク
    くらげのような儚さと透明感を演出するメイク。青いアイシャドウやパール感のあるハイライトを使用し、透明感のある柔らかい印象を作るという。
  • グレーコスメ
    知的で大人っぽく、アンニュイな雰囲気を叶えるコスメ。韓国アイドルのステージメイクなどでもグレーアイシャドウが取り入れられていることで注目が集まっているという。
左上から順に「海外ガール」「ローウエスト・ローライズボトムス」「水色界隈・天使界隈」「白湯メイク」「くらげメイク」「グレーコスメ」
左上から順に「海外ガール」「ローウエスト・ローライズボトムス」「水色界隈・天使界隈」「白湯メイク」「くらげメイク」「グレーコスメ」
  • 重ため前髪
    重く切りそろえた前髪のこと。重ため前髪を取り入れている韓国アイドルが増えていることから、注目が集まっているという。
  • 部分ウィッグ・エクステ
    「SHEIN(シーイン)」などの通販サイトで安価で購入でき、自分の髪型を変えずに様々なヘアスタイルを試せることが魅力。短期間でイメージチェンジをしたい時に取り入れられているという。髪型のレパートリーを増やし、さまざまなスタイルを楽しむ傾向がみられる。
  • 英国制服コス
    カフェ・グルメ部門にもみられるイギリスのクラシックな世界観に合わせた、イギリス風の制服にも注目が集まっているという。
  • ブランドショッパー
    小さいかばんが流行しているため、荷物が入りきらない時にブランドのショッパーをサブバックにして外出する人が増えているという。特にDiorやCHANELなどのハイブランドのショッパーが人気。
左から順に「重ため前髪」「部分ウィッグ・エクステ」「英国制服コス」「ブランドショッパー」
左から順に「重ため前髪」「部分ウィッグ・エクステ」「英国制服コス」「ブランドショッパー」

【カフェ・グルメ部門】夜のシーンで楽しめる場所に注目

夜の時間に友達と外で過ごすことが増え、夜のシーンで楽しめる場所に注目が集まっているという。居酒屋などお酒を飲める場所ではなく、お酒を飲まない・飲めなくても楽しめる場所を求めていることが特徴で、夜の時間の過ごし方が多様化していると分析している。

クラブやバーなど、少し背伸びしていくような場所に憧れを持っているものの、最初から本場に行くのではなく、まずは雰囲気を味わいたいというニーズがあることがわかると指摘。彼女たちは、「●●風」「●●っぽい」など、ハードルを少し下げている。

食そのものだけでなく、食を楽しむ空間の世界観を重視していることもZ世代の特徴だとまとめている。2023年のトレンドとして、カフェ・グルメ部門で予測しているのは次の通り。

カフェ・グルメ部門の2023年トレンド予測
カフェ・グルメ部門の2023年トレンド予測
  • 夜カフェ&バー
    夜、お酒だけでなくカフェメニューも楽しめる、カフェとバーを掛け合わせたようなお店に注目が集まっているという。「バーのような大人っぽい雰囲気の場所で時間を過ごしたいけど、お酒を飲まない人は行きづらい」という声があるなか、カフェメニューがあることで、お酒を飲むかどうかは気にせずに特別な空間を楽しめることが魅力だという。友達とゆっくりと夜の時間を過ごしたいというニーズもみられる。
  • ルーフトップバー
    屋上テラスからの景色を眺めながら食事が出来るバー。高層ビルや高級ホテルのバーに比べて予算や気持ちの面で気軽に楽しめる。特別感のある空間が魅力だという。
  • クラブっぽ居酒屋
    クラブのような照明と音楽が楽しめる居酒屋。「本当のクラブは怖いイメージがあるので行きづらいが、クラブの雰囲気を味わってみたい」というZ世代から注目されている。
  • イギリス風カフェ
    ホテルのアフタヌーンティーほど格式高くないが、イギリスのクラシックな雰囲気の中で、紅茶や焼き菓子、アフタヌーンティーセットやアンティーク食器などが楽しめるカフェ。
  • 透明カフェ
    店内のインテリアなどにクリア素材などが使われている、透明感のあるデザインで統一されたカフェ。SNSで共有したいZ世代にとって、どんなファッションテイストで撮影しても馴染みやすい空間であることがポイントとなっているという。
左上から順に「夜カフェ&バー」「ルーフトップバー」「クラブっぽ居酒屋」「イギリス風カフェ」「透明カフェ」
左上から順に「夜カフェ&バー」「ルーフトップバー」「クラブっぽ居酒屋」「イギリス風カフェ」「透明カフェ」
  • パヌレ
    カヌレの形をしたパイの菓子。外はカリっと中はやわらかい食感のカヌレとは違い、パイ生地特有のサクサクの食感に特徴がある。
  • カンノーロ
    イタリアの伝統菓子。イタリア語で「小さな筒」という意味で、カリカリの生地にリコッタチーズベースのクリームが詰められている。
  • ミラーケーキ
    ホールケーキの上に鏡が乗っており、鏡越しに撮影ができるケーキ。SNSに投稿することを前提とした食の楽しみ方
  • カラフルケーキ
    推しの誕生日を中心に楽しまれているカラフルなケーキ。米国のホームパーティーを彷彿とさせる、青や緑などの色が使われたカラフルなデザインのケーキがトレンドになるとみている。
  • 2Dアートケーキ
    チョコペンでケーキの縁や輪郭、クリームやフルーツなどの境目にラインを引き、マンガから出てきたようなデザインのケーキ。購入するだけでなく、自分たちでも再現して楽しめることが魅力だという。
左上から順に「パヌレ」「カンノーロ」「ミラーケーキ」「カラフルケーキ」「2Dアートケーキ」
左上から順に「パヌレ」「カンノーロ」「ミラーケーキ」「カラフルケーキ」「2Dアートケーキ」

【アーティスト部門】世代も時代も問わずに全て楽しむ傾向

ノミネートには次世代アイドル・K-POPアーティスト、ビジュアル系バンドなど、多岐にわたるアーティストが並んだ。新人からベテラン、昭和~平成に活躍したアーティストまで、世代も時代も問わずに楽しんでいる様子が見られる。動画で音楽を視聴する機会が多くなっているため、ミュージックビデオの世界観に注目している様子という。

アーティスト部門の2023年トレンド予測
アーティスト部門の2023年トレンド予測

SHIBUYA109 lab.の所長は、エネルギッシュなマインドチャージができる消費にも注目したいとして、次のようにコメントしている。

2023年は「等身大の自分を楽しむ消費」への注目が高まりそうだ。

コロナ禍を経て自分らしさを尊重してくれる、安全圏となるコミュニティが確立したことが理由としてあげられる。

心理的なハードルが高い体験に興味はあるものの「段階を踏んで様子を見ながら楽しみたい」という意識も見られる。背伸びをしすぎず実現可能な範囲で楽しみたいという気持ちに加え、各カルチャーにおけるコミュニティの調和を尊重しており、自分が参加することによってその調和を乱してしまうなどの「失敗をしたくない」という意識もあるようだ。

コロナ禍も含め、社会全体の空気に不安が募る状況が続いていることもあり、エネルギッシュなマインドをチャージできる消費を求める傾向が更に強まるのではないか。

 

アンケート調査概要

■ノミネート候補選定

  • 調査期間:2022年1月~10月
  • 調査方法:館内でのアンケート調査(自由記述式)
  • 調査機関:SHIBUYA109 lab.
  • 調査対象:SHIBUYA109 lab. 独自ネットワーク around20(15〜24歳)女性
  • 有効回答数:n=100/毎月

■ノミネート選定

上記調査結果から計10人の高校生・大学生とSHIBUYA109 lab.で2023年にトレンドとなりそうなキーワードをノミネートとして選出

■トレンド予測調査

  • 調査期間:2022年11月
  • 調査方法:WEBアンケート(上記ノミネートより複数選択式アンケート)
  • 調査機関:SHIBUYA109 lab.
  • 調査対象:SHIBUYA109 lab. 独自ネットワークとSHIBUYA109渋谷店来館者のaround20(15歳~24歳)女性
  • 有効回答数:n=372
高野 真維

ネットショップ支援室の「楽楽B2B」、メーカー・卸売業のBtoB営業を支援する「営業支援機能」を搭載

3 years ago

ネットショップ支援室は、法人向け通販サイト構築のECシステム「楽楽B2B」にメーカー・卸売業のBtoB営業を支援する「営業支援機能」を搭載した。

Webアンケート形式でヒアリングを自動化する「自動ヒアリング機能」、スコアリング技術を用いて商品やサービス提案を行う「提案サポート機能」を提供できる。

働き方改革やDXが求められ、顧客の購買チャネルも変化する昨今、企業間取引のオンライン化へのニーズは増加傾向にある。新規開拓から休眠顧客の掘り起こし、業務の自動化による効率化や売上向上など、メーカー・卸売業のBtoB営業活動を幅広く支援する。

Webアンケート形式で顧客へのヒアリングを自動化する「自動ヒアリング」機能

「自動ヒアリング」機能は、Webアンケート形式で顧客へのヒアリングを自動化する。クリック、スクロール、ドラッグ&ドロップの操作だけでアンケートを作成できるという。

アンケート活用で見込み顧客リストを獲得

たとえば、アンケートの活用で見込み顧客リストを獲得できる。タブレットを用いて、ショールームや展示会・商談など幅広く、属性を含めた顧客情報を獲得可能。氏名やメールアドレスなどの見込み顧客リストはCSV出力できる。

Webアンケート形式で顧客へのヒアリングを自動化する
Webアンケート形式で顧客へのヒアリングを自動化する

顧客の回答をシステムが自動でスコアリングする「提案サポート」機能

「提案サポート」機能は、顧客にいくつかの質問を投げかけ、得た回答をもとにシステムが自動でスコアリング。最終的なスコアにより、企業の用途やニーズに合わせた商品やサービス提案をBtoB-ECサイト上で実現する。

BtoB-ECサイト上で企業の用途やニーズに合わせた商品やサービス提案ができる
BtoB-ECサイト上で企業の用途やニーズに合わせた商品やサービス提案ができる

シーズンや催事に応じた売り場づくりの提案に活用

 シーズンや催事に応じた売り場作りの提案に活用できる。用途やニーズをヒアリングすることで、大口顧客には毎回飽きない新たな提案が可能。取引の少ない小口・休眠顧客には的確な提案営業が、Webで効率よくできるという。

一度回答された情報はデータとして自動記録。顧客台帳のデジタル化・管理業務の効率化両方の役割を果たし、営業担当は本来注力すべき顧客とのコミュニケーションに時間を割くことができるようになるという。

ルート営業+オンライン提案のハイブリッド営業で全国展開

オンライン提案によって、導入企業はルート営業だけではできない全国への販路拡大が可能になる。既存顧客以外へのヒアリング・回答データの蓄積によって、新たな企業ニーズを把握することができるため、営業活動だけにとどまらず商品開発・マーケティング企画にも活用できる。

高野 真維

ECと店舗を横断する販促プラットフォーム「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」とは

3 years ago

Zホールディングスのグループ企業であるLINE、ヤフー、PayPayは2023年春、マイレージ型の販促プラットフォーム「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」の提供を始める。

「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」は2023年春にスタート
「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」は2023年春にスタート

「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」は、オフラインの実店舗と、ECを横断した販促プラットフォーム。ユーザーは、「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」に参加するメーカーの対象商品を、オフラインでは対象実店舗でPayPay決済、オンラインでは「Yahoo!ショッピング」の対象ストアで購入すると、商品の購入金額に応じてマイルが貯まる。

ユーザーは購入した商品の購買情報を「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」のサービス画面上で確認でき、マイルを貯めることでPayPayポイントなどの特典が受けられる。オフラインとオンラインの垣根を越えて、買えば買うほどお得に買い物ができるようになるという。

「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」は2023年春にスタート
「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」のサービス概要

「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」に参加するメーカーなどの企業に対しては、購買データを活用した継続的かつ効果的な販促を支援する。

買えば買うほどお得に買い物ができる環境を用意することで、ユーザーに対して継続的に購買を促進。オフラインとオンライン双方での購買や行動傾向などが把握できるので、購買データを活用した継続的、効果的な販促が実行できるようになる。

参加企業は、従来のスポット型キャンペーンと比較して販促コストを抑えられるとともに、LTV(顧客生涯価値)の最大化を実現し、ロイヤルカスタマーの増加が期待できるとしている。

「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」は企業によるユーザーへの直接的な販促を可能にするため、参加企業のLINE公式アカウントと連携する予定。ユーザーへは、LINE公式アカウントから自分の購買履歴に基づいた情報が届くようにする。

「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」は2023年春にスタート
「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」のUI(イメージ)

LINE、Yahoo! JAPAN、PayPayの3社は、メーカーや小売りなどの企業が参画する「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay販促コンソーシアム」を設立。販促サービスの核となるリアルタイムでのPOS連携の実現に向けて、3社と参加企業間で協議し、「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」提供開始時には10社以上が参加する予定。

さらに、PayPayはPayPay加盟店向けに提供してきた販促サービス「PayPayクーポン」の新機能として、「商品クーポン(仮)」の提供を2023年5月以降に始める。「商品クーポン(仮)」は、メーカー向け販促サービス。ユーザーがPayPayアプリ上で事前にクーポンを取得した上で、対象店舗で特定の商品を購入するとPayPayポイントを付与する仕組み。

メーカーはPayPayアプリで「商品クーポン(仮)」を発行することで、その時期に注力して販売したい特定の商品をユーザーに訴求することができ、効果的な販促が可能となる。

石居 岳
確認済み
1 時間 3 分 ago
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