海外向け発送はどうするのが最適ですか? 日本郵便さん、越境ECの基礎を教えてください!【比較表あり】 | はぴさやがゆく! ネットショップの裏側探検記 | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2018年3月30日(金) 08:00
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海外の友だちにプレゼントを送るときによく利用している「EMS(国際スピード郵便)」。なんとなく「郵便局なら安心」っていうイメージがあって使っています。

そんな日本郵便さんでは、「UGX(ゆうグローバルエクスプレス)」という国際宅配便サービスもあるそうなんです。知らなかった! そんな日本郵便さんが、海外向け発送のこと、越境ECのことを教えてくださるというので、郵便・物流営業部の上垣内覚さんと拜藤紘子さんにお話を聞いてきました。 写真◎渡 徳博(wit)

大事な商品配送、キャリア選びのポイントは?

──海外へ発送する方法は日本郵便さん以外にもありますが、どんなことに気を付けて配送キャリアを選べばいいんですか?

拜藤:お客さまからは、簡単に発送したい、日本国内に送るときと同じ感覚で海外に商品を配送できたら一番便利、というお声がよくあります。その点、郵便局であれば、全国の郵便局から海外へも発送でき、発送ラベルの記入も簡単ですので使いやすいと思います。

海外宛の場合、初めての方がすぐに荷物を出すのは難しい場合が多く……。まず顧客としてアカウントを登録し、必要な書類を提出して……と結構手間になると思います。日本郵便は誰でも海外へ発送できるような簡単な仕組みだと思いますね。

次に料金。地方に拠点がある会社や地方にお住まいの個人の方の場合、一般的な国際宅配便では国内拠点(海外へ発送する拠点など)までの料金が別途必要なケースがありますが、郵便局は日本各地のどこからでも同じ料金で利用できます。

また、他社さんの場合は基本料金にプラスして、後から追加料金や手数料がかかる場合があるんです。例えば「燃料サーチャージ」は後から別に請求されます。「今月の燃料サーチャージは○○%です」という感じで、毎月変わる料金を別請求するんです。郵便局の場合は、燃料サーチャージはかかりません。その他にも、後から「個人宅向け配達料」や「遠隔地集荷手数料」などもかかる場合があるんです。

質問者のはぴさや
「UGX」って何ですか? 「EMS」とは何が違うんですか?

──「EMS」はよく使っていますが、「UGX」は知りませんでした。どんなサービスなんですか?

拜藤:「UGX」は2014年10月から始まった国際宅配便サービスで、「EMS」では対応することができない取り扱いができるサービスです。

例えば、日本から海外に商品を送ると「この商品のこの価格ならいくら」というように関税がかかります。その関税を支払わないと商品を受け取れないんですが、国際郵便の「EMS」(国際郵便の中で最も速いサービス)では、かかった関税は受取人しか支払えない仕組みなんです(国際郵便は万国郵便条約という国家間の国際約束に基づいているため)。

けれども、越境ECの場合やBtoBの場合、「関税を受取人に負担させたくない」というニーズがあり、その場合は「EMSは使えないね」と言われるケースが多かったんですよね。そのようなニーズにも対応できるのが、関税元払いが可能な「UGX」なんです。

日本郵便 本社 郵便・物流営業部 拜藤 紘子(はいとう ひろこ)さん
日本郵便 郵便・物流営業部 拜藤 紘子(はいとう ひろこ)さん

上垣内:特に中国では関税が発生した場合、受取人が税関に出向かないと荷物を受け取れない場合もあるので、「EMS」でも送れるのですが、税関で止まってしまうと「もう受け取らない」っていうお客さまがいたり、返送になったりすることがあるんですよね。関税元払いができる「UGX」であれば、その課題をスムーズに解消できるというメリットがありますね。

表 日本郵便の「EMS」「UGX」と他社サービスとの比較(2018年3月28日現在/編集部調べ)
日本郵便の「EMS」「UGS」と他社サービスとの比較 ※2018年3月29日現在/編集部調べ

上垣内:「EMS」のサイズについては、国によっては一部これより小さい条件のところもあります。重量は30kg以内ですが、そこも違う国があります。釣り竿、スキー板、車のバンパーやタイヤなど、大きな物や重い物を送りたいという方が結構いらっしゃるんですよね、そういった「EMS」のサイズ・重量を超えた物も「UGX」なら送れます。

日本郵便 本社 郵便・物流営業部 課長 上垣内 覚(かみがいと さとる)さん
日本郵便 郵便・物流営業部 課長 上垣内 覚(かみがいと さとる)さん

──「UGX」はどうやって利用するんですか? 伝票って郵便局にあるんですか?

拜藤「UGX」のWebサイトの中にマイページサービスがあり、アカウント登録後、差出人と受取人の情報を登録していただければ、「UGX」のラベルを出力できます。

上垣内:「UGX」に関しては事前に情報を登録していただく必要があります。それは、システムに登録したものを伝票として使っていただくためです。

──関税、大きさ、重さについて、「EMS」ではできないところをカバーするのが「UGX」なんですね

上垣内:そうです。すべてというわけではありませんが、「EMS」で対応できない部分があれば「UGX」というサービスもありますよ、ということなんですよね。

ほかにも「UGX」では、複数個の荷物を一度に1件として配送する複数個口扱い(運賃は荷物1個ごとではなく、総重量に基づくので割安になる)や、お客様が一番関心のある運賃のところも、「EMS」では差出個数に応じて割引となりますが、「UGX」では発送ボリュームや重量、頻度、利用計画、名宛地など、利用条件を勘案してお客様ごとに運賃のお見積りさせていただいています。

「EMSは高い」ということであれば、2kgくらいまでの小さな荷物なら「小形包装物」に追跡と補償を付ける「国際eパケット」というサービスがあります。これなら比較的安く送ることができますし、配達時に受取人の署名もいただきます。

さらに、追跡付きで受取人の署名はなく郵便受箱等に配達する、さらに安価な「国際eパケットライト」という商品もあります。こういった形で、日本郵便はいろんなニーズに対応できるサービスのラインアップがあります。

郵便局のマスコットキャラクター「ぽすくま」(中央)と「ぽすじゃむ」(左)と「ぽすみるく」(右)

同席しているのは日本郵便のマスコットキャラクター「ぽすくま」(中央)と「ぽすじゃむ」(左)と「ぽすみるく」(右)

「EMS」と「UGX」はどう使い分けすればいい?

上垣内:もともと国際郵便は、各国・地域の郵便事業体にあたる機関がサービスを展開しているんです。米国だとUSPS(アメリカ合衆国郵便公社)、中国だと中国郵政がそれぞれ郵便サービスを展開し、万国郵便連合(UPU)という国際連合(UN)の専門機関が加盟国間の郵便業務を調整し、国際郵便制度をつかさどっているんです。「UPU」を基軸にしてネットワークを構築しているのが郵便の世界なんです(加盟国は現在192で、日本は1877年(明治10年)に加盟)。

──「UGX」もそのネットワークが使われているんですか?

上垣内:いえ、「UGX」は香港に本社を置くレントングループに日本郵便が資本・業務提携して、新しい枠組みを作りました。レントングループにはフランスの郵便事業体ラ・ポストの物流子会社ジオポストも資本・業務提携していて、このレントングループとジオポストが持っているネットワークを使う形で「UGX」を展開しています。米国だけは別で「FedEx」のネットワークを使っています。配達可能国・地域はEMSに比べて少ないですが、主要な国・地域はカバーしています。

──「EMS」と「UGX」はどう使い分けられているんですか?

上垣内:「EMS」は単純に日本から外国の宛先まで配達するサービスですが、「UGX」は「EMS」で対応できない関税元払いや、大きな物・重い物に限らず中国宛ての越境EC通関配送サービスなど、複雑なソリューションをご利用の場合に適しています。

例えば、「越境EC通関配送サービス」では、EMSなどで適用される行郵税ではなく、より安価な税率が適用される越境EC総合税による通関を行うために、荷物の配送とは別に事前の商品情報登録と、出荷時に決済情報・注文情報・発送情報を提供いただくことで利用可能となります。

このような作業をお客さま側で行っていただくことで、「UGX」をメリットのある料金でご利用いただくことが可能となります。

日本郵便 上垣内 覚さん
表 「UGX」のメリットとデメリット
[メリット]
  • 関税元払いが可能
  • 既定の大きさ・重さを超えるサイズ(オーバーサイズ)の荷物も取扱可能
    • オーバーサイズを送る際の「UGXパッキングサービス」(→参考
  • 複数個口の荷物も取扱可能
  • お客さまの利用条件に応じた運賃見積りが可能
  • 越境EC向けの各種サービスがある
    • 「越境EC通関配送サービス」を始めとした中国個人向け配送サービス(→参考
    • Amazon FBA相乗り配送サービス
    • 「ZipX」による越境EC事業者向け海外返品配送サービス(→参考) など
[デメリット]
  • 実重量でなく容積重量※が適用されることがある
    ※容積重量:荷物の容積を5,000cm3あたり1kgとして換算した重量
  • 事前に料金後納の利用申請が必要

──「UGX」の特徴で「Amazon FBA相乗り配送サービス」ってありますが……何ですか?

上垣内:米国向けに越境ECで販売するには、さまざまな方法がありますが、その1つにアマゾンさんのサービスを利用する方法があります。Amazon.comの管理画面は日本のインターフェイスとほぼ同じで、現地のFBA(フルフィルメント by Amazon)も日本と同じ感覚で利用できるんです。でも、海外配送や通関処理のためにさまざまな書類作成などが必要となり、ハードルが高かったんです。

そこで始めた「面倒なところをお任せください」というサービスが「UGX Amazon FBA相乗り配送サービス」なんです。2017年9月のプレスリリース以降、多くの事業者さまからお問い合わせをいただいています。

拜藤:米国のFBA倉庫に送る際、どうしても現地でインポーター(荷物を海外から輸入する者)を立てないと、FBA倉庫で荷物を受け取ってもらえないんですが、この「UGX Amazon FBA相乗り配送サービス」であれば、提携している業者が書類作成やインポーターを代行するので、事業者さまの負担が少ないんです。

事前にご登録の上、日本国内の「JP UGXセンター」に荷物を送っていただければ、その後の作業は請け負います。

日本郵便 拜藤 紘子さん
最近の越境ECのこと、教えてください!

──越境ECで扱う荷物、日本郵便さんでもやっぱり増えているんですか?

上垣内:10数年くらい前から、通販として海外に日本の商品を販売して送っているケースが増えてきているようになりました。 従来、BtoBが主体だった「EMS」の物量自体はリーマンショックを境に減少していたんですが、2012年あたりから越境ECの部分が相当伸びてきて一気に増えたんです。

企業のお客さまから個人のお客さままで、淘宝網(Taobao)やAmazon、eBayなどで販売し、売れたらそれを「EMS」で発送する……。こういった流れがずいぶんできているという状況です。楽天やYahoo!ショッピングなど、日本のECモールで購入している海外の方もたくさんいらっしゃるようです。

──通販だと、どこの国宛ての荷物が多いんですか?

上垣内:通販限定ではないですが、特に多いのは中国ですね。日中間の越境ECが一番伸びているところが理由なのかと思います。次いで北米、中国以外の東アジアが多いですね。全体としては2016年度の「EMS」取扱通数は1,540万通です。

日本郵便 上垣内 覚さん、拜藤 紘子さん

──越境ECって何を売ったらいいのでしょうか?

上垣内:物流観点で見ると、そもそも海外に輸出していい物なのか、現地で販売していい物なのかという点はご注意いただきたいです。飛行機に積めない危険物のような物って割と多いんですよね。その規定に引っかかると「ネットに載せて売れました。でも送れませんでした」っていうことになってしまいます。なので、送れる商材なのかもチェックしていただきたいです。

──香水を送ろうとしたらダメって言われました。

上垣内:引火性の液体ですからね。あとスプレー缶などもダメですね。日用品で多いんですけどね。

海外に発送する時の注意点は?

──梱包ってどうすればいいんですか?

拜藤:国内であれば、郵便局に出していただければそのまま、大切に送り先までお届けできるのですが……。海外となると空港まで行って、飛行機に乗せて、現地の方が飛行機から積み替えてと、国内より作業工程が多いので、国内に送るときよりも中の物が動かないようにしっかりと梱包し、国内で利用されるものよりも頑丈な梱包材を使用していただく必要がありますね。

──航空便より船便の方が送料は安いんですよね?

上垣内:配送料は安いものの、船便での国際小包は配達まで1か月くらいかかってしまうので、一定数の利用に限られています。

──配送料は購入者に負担してもらう事業者が多いんでしょうか?

上垣内:ケースバイケースですが、送料が購入者さま負担の場合は購入者側で配送方法を選べるようにしている方もいらっしゃいます。「UGX」と「EMS」だけでなく、「航空小包」「SAL小包」「船便小包」「国際eパケット」「国際eパケットライト」などもあります。「航空小包」で1週間かかるとしたら「SAL小包」だと2週間くらいかかりますが、その分料金が安くなります。

商品代金と送料のバランスもあると思うので、発送方法は何パターンか選べるようなラインアップにするのも1つの方法です。

これから越境ECを始める方や、すでに取り組んでいる方にアドバイスをください

──これから越境ECを始める方や、すでに取り組まれている方にアドバイスをいただけますか?

拜藤:これから越境ECを始めたいという方には、郵便局なら身近で安心というところがあると思いますので、まず利用していただいて、便利さを知っていただきたいですね。荷物が増えたときにもいろんなサービスラインアップがありますので、ぜひ郵便局をご利用ください。

すでに越境ECを行っている方も、最初の海外発送は郵便局だったと思うんです。物量が多くなって郵便局では対応できないと思い、他社さんを利用されている方もいらっしゃると思うんですよね。でも「UGX」のような、購入者さまに関税支払いなどの負担を掛けない方法や、一度に複数個を送れる複数個口扱い、オーバーサイズ扱いもあるので、自社の配送方法を見直していただく際に、「UGX」も選択肢の1つに入れていただきたいと思います。

日本郵便 拜藤 紘子さん

上垣内:「越境ECってどうなんだろう」っていう不安を持っていらっしゃる方も多いと思います。配送に関することや「そもそも売れるのか?」というところを含めて。もちろんリスクは考える必要はありますが、それによって新しいチャンスがきっとあるはずです。実際に海外に向けて販売することに商機を感じられるのであれば、ぜひそこを飛び越えてみませんか? とお伝えしたいですね。その際に配送で何かお困りのことがあれば、ぜひ日本郵便にお声掛けいただきたいです。

──そうやって物量を伸ばした企業さんをたくさんご覧になっているんですよね。

上垣内:そうですね。個人でマンションの一角で始められて、2部屋目を借りるようになって、倉庫を借りるようになって、会社を立ち上げて……というような発展を遂げたお客さまもいらっしゃいます。もちろん、うまくいかないこともあると思いますが、とにかくやってみないとわからないですよね。

拜藤:北海道から沖縄まで、場所を選びませんからね、越境ECって。地方の特産品など、日本人にとっては意外な物が海外の方には魅力的に映ることがあります。海外から注文があっても断っているというお客さんも多々いらっしゃるんですが、そういった方にもぜひ日本郵便のサービスで自社の商品を送ってみていただきたいです。

上垣内:“売りたい物”が“売れる物”とは限らないので、そこの見極めはもちろん必要になります。私どもでは「こういうお客さまもいらっしゃいますよ」というお話も交えながら、お手伝いできると思います。法人向け訪問サービスがありますので、お気軽にお問い合わせいただきたいです。

♡♡♡

ここ数年、海外に行く機会が少しずつ増えて、海外へ行くと現地にお友だちができて、そのお友だちに日本からの贈りものを送りたくて、郵便局のEMSをよく利用しています。

初めは「遠く離れた海外まで本当にちゃんと届くのかな?」と恐る恐るでしたが、すぐに「届いたよー!」というメッセージが来るので、私が思っているよりもずっと、世界は身近にあるんだと実感させられます。

海外の方が欲しがっている日本の商品は、私たち日本人がまだ気付いていない所にまだまだ眠っているかもしれません。上垣内さんがおっしゃっていたように勇気を出して、あなたも越境ECで世界へチャレンジしてみてはいかがでしょうか♡

担当部長の平川 暁生さん、中島 美緒さん、拜藤 紘子さん、課長の上垣内 覚さん
日本郵便 郵便・物流営業部の皆さんと記念撮影。左から 担当部長の平川 暁生さん、中島 美緒さん、拜藤 紘子さん、課長の上垣内 覚さん
EMSの封筒
「撮影用にEMSの封筒を貸してください」とお願いしたら、なんと、私の名前をラベルに印字しておいてくださいました。感激〜! ありがとうございました!

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はぴさや

2007年よりWeb媒体を中心としたメディア番組やCMでモデル、レポーターとして活動を始める。

2011年以降、地元福島で起きた震災をきっかけに“東北の今”を伝えるメッセンジャーとして、国内外で行われたイベントに多数参加。

現在はフリーランスとしてメディアへの原稿執筆や企画・デザインを行う他、地方創生を目的としたドローンの活用や魅力を発信している。

好きなものは、旅と茶道と美味しいごはん

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