編集記事でも広告でも我々が常に考えているのは“ネタ”。ネタが面白くなければネット上で“シェア”されない。
「見る人によってドレスの色が“白と金”、または“青と黒”かと判断が分かれる1枚の写真」の記事など日本を含め、世界中のネットユーザーの話題を集める“バズる記事”を多く配信することで知られる米国発のニュースメディア「BuzzFeed」の日本法人で今年1月からは「日本版BuzzFeed」を立ち上げ、日本向けに国内外の記事を配信するバズフィードジャパンを率いる上野正博社長はインターネット上で広く拡散される記事の条件についてこう話す。
「BuzzFeed」日本法人バズフィードジャパン・上野正博社長
上野社長によると、日本で展開を始めたこの8カ月間の進捗について「重要な指標として見ているユニークビジター数およびコンテンツビュー数は当初の計画値よりも早く達成しており、順調だ」という。競合ひしめくネットメディアの中で、後発ながらそうした一定の成果をあげられた理由の1つは、やはり、“バズる記事”の存在だという。
記事は日本の編集部が主導となって取材執筆を行うが、米社をはじめとする世界各地の「BuzzFeed」で蓄積してきた“バズる記事”のデータなどを活用して、福島原発のルポなどのシリアスな記事から、米バズフィードなどでも人気のある「『今晩、○○○?』 90年代のドラマのサブタイトルわかるかな?」といったクイズ形式の記事や「IKEAに行ったら絶対買う! 300円以下の定番雑貨10選」など、ちょっとした移動時間で閲覧できたり、話のネタになるような「定番フォーマット」の手軽な記事も日本でも人気を集めているようだ。
「BuzzFeed」では編集記事のほか、ネイティブ広告(広告記事)も配信しており、これが主な収入源となっている。強みは編集記事で蓄積した“バズる”ためのノウハウや手法を広告にも転用できる点だ。編集部は中立性の観点から広告記事の作成にはタッチしないが、「編集記事でも広告でも重要なのは笑えたり、知的好奇心をくすぐり、人に教えたくなるネタだということ。どういったコンテンツがシェアされ、拡散されるかというナレッジを広告コンテンツの制作チームと共有している」(上野社長)という。あからさまな商品説明などはせず、ネットユーザーに敬遠されがちな広告色は最小限に抑えて、例えば編集記事でも人気の高いフォーマットを使って作成したりしつつ、効果的にインターネット上での拡散を図るという。米社の事例ではバスケットボールシューズのメーカーが「バスケットボールの超絶トリックプレー14選」を、自動車メーカーが「普通じゃない」をキーワードに世界の絶景を集めた記事広告を作成し、自社の商品をうまくPRしているようだ。
日本でも秋口から広告事業を本格化させる予定でそれに先駆けて一部の広告主を対象に営業を始めており、8月末からは広告掲載を開始した。まずは「○○の10選」などのテキストベースのネイティブ広告からスタートした。なお、スタート時点での広告料金は2記事作成(最低7万5000のビュー保証)で400万円強、3記事作成(最低13万のビュー保証)で約650万円のようだ。テキストべースだけでなく、制作体制が整ってきた段階で米社などでも人気の動画を使った広告制作にも着手する考えだ。
こうしたバズフィードの広告は商品やサービスの販売に直接つながるネット上では主流のダイレクトレスポンス型広告とは異なるが、テレビメディアなどでは近年、リーチしにくい30代以下の層にも訴求できることや、拡散次第では非常に範囲に広くリーチできる利点もあり、米社では大手ネット販売事業者を含めて様々な企業で活用されているよう。バズる記事の知見を活かした広告は日本でも成果をあげることができるか。日本版バズフィードのネイティブ広告も注目されそうだ。
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オリジナル記事:「BuzzFeed」の上野社長に聞く“バズる”コンテンツの作り方 | 通販新聞ダイジェスト
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