「シニア向け」という押しつけは禁物。スタンダードな利点をフラットに訴求しよう | スクロール360の「シニア通販本」 ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2015年7月21日(火) 09:00
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総務省の調査より、「こだわりの大人女性」のネット利用を読み解く
スクロール360の「シニア通販本」 ダイジェスト
ネットを使いこなすシニアが増加

総務省の「通信利用動向調査」では、ネット利用率が年齢を問わず急増していることが明らかになっている。

2004〜13年の10年間で、60〜64歳が49.0%から76.6%に、65〜69歳が27.3%から68.9%に急上昇している。70〜79歳でも2013年には48.9%となり、ほぼ半数がネットを利用している。

図表4 世代別インターネット利用率の推移 ※出典:総務省「通信利用動向調査」
図表4 世代別インターネット利用率の推移

以上の調査から、「シニアはネットを使わない」と考えるのは誤りであることが分かるだろう。現時点でネットリテラシーの高い40代は、当然のことながら20年以内に「アラカン」となる。それまでネットを駆使していた人たちが、60歳になったからと言ってこの便利なツールを手放すはずがない。あと10年もすれば、インターネットを利用して買い物をするシニアが珍しくなくなる時代がやってくるはずだ。

こうした状況に合わせて、ネットを前提とした商品のラインナップやプロモーションの進め方、コミュニケーションの取り方などを検討することは、必須である。

さらに、タブレットの普及がシニアのネット環境を大きく変えることが予測できる。総務省がタブレット端末による統合的なサービス、機能に対するニーズや利用意向について高齢者限定で行った「スマートフォン及びタブレットPCの利用に関する実態及び意向に関する調査研究」からは、タブレットの持つ可能性が見えてくる。

図表5 タブレット端末で統合的に提供されるサービスの利用意向 ※出典:総務省「スマートフォン及びタブレットPCの利用に関する実態及び意向に関する調査研究」(平成24年)
図表5 タブレット端末で統合的に提供されるサービスの利用意向

タブレット端末にいくつかのサービスが提供された場合の利用意向を質問したところ、すべての項目において利用意向があるとの回答が50%を超えた。とくに、「災害時の自動対応」や「血圧・歩数などの健康管理」というサービスについては、無料ではなくある程度の金額を払ってでも利用したいという人が少なくなかった。

タブレットは、スマホや携帯電話より画面が大きく、その分、字も大きく見やすい。また、指で触れるだけで大抵の操作が可能である点は、パソコンに不慣れなシニアでも手に取りやすい要素となる。

携帯電話のようにすぐに使えて、面倒な設定が不要であることや、ウイルスの心配が少ないこと、パソコンのようにフリーズなどを起こさず動作が安定していることなども、タブレット端末が使いやすい理由である。

図表6 タブレット端末の統合的な機能の有用さ ※出典:総務省「スマートフォン及びタブレットPCの利用に関する実態及び意向に関する調査研究」(平成24年)
図表6 タブレット端末の統合的な機能の有用さ

今後、パソコンに縁のなかった人でも、タブレット利用者になる可能性が高まる。携帯電話は持っていてもパソコンはあまり使わないといったこだわりの大人女性は、その対象となりやすいのではないだろうか。

IT分野の調査を行うアメリカのガートナー社によれば、2014年のIT機器の出荷台数は従来型パソコン(デスクトップ、ノートパソコン)で前年比6.6%減、一方でタブレットは前年比38.6%増で2億7070万台になると予測されている。日本でも、タブレットを駆使するシニアが急増する状況は十分に考えられる。

こだわりの大人女性に向けたネット通販へ

インターネットは、通信販売における申し込み手段や利用広告媒体として、すでに存在感が高まっている。

公益社団法人日本通信販売協会の調べによると、2013年の1年間で通信販売を利用した人の申し込み手段として、50〜59歳の女性では「パソコンによるインターネット」が57.4%で最も多い。「携帯電話」も11.3%が利用したと答えている。60〜69歳では「固定電話」が68.5%と最も多かったが、「パソコンによるインターネット」も「郵便」の36.9%に次ぐ33.1%、「携帯電話」も10.0%で、ネットの利用が決して少なくない。

図表7 40代以上女性の年齢別通信販売の申し込み手段 ※出典:公益社団法人日本通信販売協会 「第21回全国通信販売利用実態調査報告書」(平成26年)
図表7 40代以上女性の年齢別通信販売の申し込み手段

また、同じ調査では、2013年の1年間で通信販売を利用した人のうち利用した広告媒体として、50〜59歳の女性で「パソコンによるインターネット」がトップで57.7%。60〜69歳では「ダイレクトメール・郵便」の37.7%、「新聞広告」の36.9%に次いで、「パソコンによるインターネット」が3位につけており、その割合も36.2%と大差はなくなっている。

図表8 40代以上女性の通信販売での利用広告媒体 ※出典:公益社団法人日本通信販売協会 「第21回全国通信販売利用実態調査報告書」(平成26年)
図表8 40代以上女性の通信販売での利用広告媒体

通信販売で今後利用したい広告媒体についても、50〜59歳の女性では、「パソコンによるインターネット」が56.6%。「国内カタログ」の56.6%と並んでトップになっている。60〜69歳では、「ダイレクトメール・郵便」が41.5%と最も多いが、「パソコンによるインタターット」も30.9%と「新聞広告」の34.0%と大きな差はなくなっている。

図表9 40代以上女性が今後利用したい通信販売の広告媒体 ※出典:公益社団法人日本通信販売協会 「第21回全国通信販売利用実態調査報告書」(平成26年)
図表9 40代以上女性が今後利用したい通信販売の広告媒体

さらに、インターネットの利用頻度別の通信販売申し込み手段を見てみると、通常は「パソコンでのネットをあまり利用しない」という人でも、64.4%が通信販売の申し込みにはネットを利用している。また、「携帯電話・スマホでネットをあまり利用しない」という人でも、56.1%が通信販売の申し込みにはネットを利用している。

シニア世代においてもすでに、通信販売においてインターネットは欠かせないものになっているのだ。

押しつけではないネット活用が重要

シニア通販を普及させるにあたって、気をつけなくてはいけないことは何だろうか。

まず大事なのは、「押しつけない」ということだ。これまでも、「シニア向け」と謳った多くの商品やサービスが誕生してきたが、その多くが失敗に終わっている。これは、シニアの購買意欲を刺激する商品開発ができなかったほか、「シニア向け」という押しつけがあったことも大きな原因だろう。 「シニアだからこれはできないはず」「シニアだからこれが好きだろう」という思い込みでシニアビジネスに取り組むのが、最も危険な姿勢だ。とくに、「宣伝文句を鵜呑みにせず疑ってかかる」という特徴を持つ熟練した消費者であるこだわりの大人女性は、「シニアにはこれ」と押し付けるやり方にもっとも反発する。

ネットに関しても、押しつけではなく共感が大切だ。「シニア向けなので使いやすくしました」「シニアに分かりにくい機能は削除しました」などの思考は、押しつけに他ならない。「便利」「手軽」「早い」など、ネットのスタンダードな利点を、ごくフラットに訴求するのがよいだろう。

こだわりの大人女性の共感を獲得するために

その一方で、説明書に書いてあることや、少し調べれば分かることでも、実際に人と話したうえで疑問を解消したいと考えるシニアは多い。そして、この傾向は女性で特に強い。男性と比較して女性は、若い頃から友だち同士のおしゃべりや井戸端会議の体験を多く積んでいる。何気ないコミュニケーションの中から情報を引き出したり、問題を解決することを好むのはそのためだ。

こだわりの大人女性に焦点を絞った通販ビジネスにおいては、彼女たちと同世代のスタッフがいるコールセンターを設置し、単なる売込みではなくコミュニケーションの場として活用できる機能を持たせることは有効だろう。 『ブリアージュ』のグループインタビューでは、「コールセンターが親切だとまた買いたい」というはっきりとした声が上がっている。こだわりの大人女性は、人とのつながりを大切にする傾向や義理堅さが見られる。逆に、コールセンターの対応が悪ければ、「二度と買いたくない」と一刀両断だ。こうなると、商品がどんなに高品質でも話は終わり、ブランドに対する信頼は吹き飛んでしまうので要注意だ。

通信販売にはいろいろな形態があるが、ネットリテラシーの高い女性でも、紙のカタログを好む傾向がある。パラパラとカタログをめくり、ページを行きつ戻りつしながら商品を眺めるのが好きな女性は多い。ネットのサイトにどれだけ見やすい工夫を凝らしても、この点ではカタログに対して勝ち目はないかも知れない。そのため、カタログとネット、両方を準備しておくことも大切だ

テレビもまた、シニアへの情報提供の場として恰好の媒体だ。総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(平成25年)によると、60代は平日に257分、休日に305.7分もテレビをリアルタイムで視聴している。テレビ通販という形態は、こだわりの大人女性を掴むために欠かせない。ただし、今後は一方通行の情報提供だけでなく、テレビとネットを融合した仕組みを考えていく必要もあるだろう。

ネットでは、購入者の好みを自動的にお薦めする「レコメンド機能」が、場合によっては押しつけがましいと感じさせる恐れがある。しかし、何を買おうか迷っている時には、逆に助かる機能でもある。ネット通販では、このようなシステムを、こだわりの大人女性に対していかに押しつけと感じさせずに提供できるかが鍵となるだろう。

いずれにせよ、こだわりの大人女性に対するネット通販はこれからが本番だ。消費意欲旺盛な買い手である彼女たちに注目し、その身体や心の変化を感じ取り、ニーズを先取りすることができれば、大きなチャンスを掴むことができるはずだ。

第1章のまとめ

  • シニア通販を牽引するのは50〜60代の女性
  • 「こだわりの大人女性」に子供だましの宣伝は通用しない
  • 年齢による身体の変化を分析して購買意欲を刺激する
  • ライフイベントを考慮すれば新しいニーズが見えてくる
  • 「シニア=金持ち」ではない
  • 押しつけではないネットの活用が必要

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高山 隆司
株式会社スクロール

高山 隆司(たかやま・りゅうじ)

株式会社スクロール360 取締役

1981年株式会社スクロール(旧社名株式会社ムトウ)に入社後、新規通販事業の立上げ、販売企画、INET戦略策定を経て、2008年に株式会社スクロール360の設立に参画。以来、多くの企業の通販事業の立上げ、EC戦略策定、物流立上げを経験。現在、スクロール360では300社のEC通販企業のサポートを行なっている。

山下 幸弘
株式会社スクロール360

株式会社スクロール360 プロモーション課長

スクロール360設立当初より、通販企業の販促支援を統括。スクロールの通販ノウハウを生かした、コンサルティングから販売促進を含む実務支援において、100社を超える企業の売上拡大支援実績を持つ。

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