ECアプリで売上を伸ばすには? プッシュ通知は「週3回」、金銭メリット訴求や配信時刻にカギ【WACUL・ヤプリ調べ】

「Yappli」のデータをもとに、ECアプリ32種・81万人の行動を横断して分析。

WACUL(ワカル)は、ヤプリとの共同研究レポート「アプリで売上を伸ばすベストプラクティスを発表~ECアプリ32種、81万人の行動、約3,500のプッシュ通知データを分析~」を公開した。

ヤプリが提供するアプリプラットフォーム「Yappli」のデータをもとに、複数のECアプリを横断してユーザー行動とプッシュ通知のデータを分析し、ECアプリで売上を伸ばす方法を探っている。

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プッシュ通知のベスト頻度は「週3回程度」

まずプッシュ通知1回あたりの「起動率」(起動/配信数)の平均値は4.97%、「商品閲覧率」(商品閲覧/配信数)は2.65%、「購入率」(購入/配信数)は0.29%だった。1,000通配信すれば1~3人が購入すると試算できる。なお、アプリ全体とプッシュ通知経由を比較しても、「起動から購入に至る割合」(購入/起動数)はさほど変わらなかった。

次に、プッシュ通知の「1週間あたりの配信回数」に合わせ、「起動率(起動/配信数)の中央値」「購入率(購入/配信数)の中央値」を算出すると、配信頻度が週1回未満のケースが起動率も購入率ももっとも高かった。しかし配信頻度が少ないとそもそもの起動数が減少してしまう。一方で頻度が多すぎると、通知をオフにされたりアプリをアンインストールされたりする可能性が出てくる。

そこで「購入回数の期待値」を改めて算出すると、「1日1回以上」、続いて「週3回程度」が総購入回数を最大化させる頻度であることが分かった。こうした点から、プッシュ通知を1日1回以上配信している場合は、そのまま継続して問題ないが、それより少ない場合は「週3回程度」を目安に配信するのがよいとの結論となった。

プッシュ通知の購入率を高めるのは「金銭メリット訴求」だが頻度に留意

次に、購入率が高いプッシュ通知コンテンツを、指標の中央値で見ると、クーポンやプレゼントなど「金銭メリット訴求」タイプがやはり0.13%と高い。一方「商品紹介」0.09%、「お役立ち情報」0.08%も一定数が存在する。

前項では利益を伸ばすためにおすすめのプッシュ通知頻度は週3回としたが、すべて「金銭メリット訴求」タイプだと、いつも値引きしている印象を与えてしまう。「商品紹介」「お役立ち情報」でも一定の効果は認められるので、「既存ページを活用したお役立ち情報など、コストを考慮しすでにあるコンテンツを活用する」「週3回の頻度を保ちつつ、うち1~2回ほど金銭メリット訴求を差し込む」といった方策が推奨されている。

その他には、「(誕生月・年齢などによる)セグメント」ありのほうが起動率・購入率とも高いこと、「配信時間」において実際に購入率が高いのは8時・9時・17時台であることなどが判明したという。

購入回数が伸びにくいシーンについても検証

さらに「購入回数が伸びにくいシーン」については、「インストール直後1か月の購入が0回」「取り扱い商品が実店舗でも気軽に購入できる」といったケースが指摘されている。

インストール直後1か月で1回も購入しなかったユーザーがその後なにかを購入する確率はわずか6.8%に留まっていたが、1回でも購入しているユーザーの追加購入率は35.6%、2回以上購入しているユーザーは50%を超えていた。そのため「初回ログインクーポン」などをプッシュ通知で配布する施策が、かなり有効と考えられる。

また「取り扱い商品が実店舗でも気軽に購入できる」「取り扱い商品が実店舗では購入できない」という2パターンにアプリを分け、購入に至る割合を算出した。その結果「商品閲覧→購入の割合」において、実店舗で商品が購入できる場合だと、できない場合より17%近く下回ることが判明した。「アプリで商品をチェックし、購入は実店舗で行う」ユーザーが少なからず存在するためと思われる。

この結果について、DINOS CORPORATION CECO / bydesign取締役社長の石川森生氏は、「ECにおいてアプリユーザーは基本的に自社のファンであり、頻度高くアプローチしてもネガティブな反応をされにくいというのは、本レポートの結論通りである。重要なのは、ファンユーザーが喜ぶコンテンツを継続的に用意できるかであり、価値が低いコンテンツを高頻度で送ったらたちまち幻滅されてしまうことを肝に銘じることである」とのコメントを寄せている。

一方、WACUL取締役の垣内勇威氏は「ファンであれば、プッシュ通知などあればあるだけ嬉しい。暇さえあればきっかけがなくても起動するが、プッシュ通知をきっかけにも起動する。起動する機会が多くなれば、良い商品に出会う確率が増え、購買に繋がるというシンプルな結果だ。~(中略)~常に手元にあるスマホから暇があれば見てもらえるほど距離が近づけば、アプリ内での購入はもちろん店舗購入や商品への愛着も高まるはずだ」とコメントしている。

調査概要

  • 【出典データ】Yappli Data Hub
  • 【対象アプリ】ECアプリ32種(アパレル、美容、食品、その他雑貨)
  • 【データ抽出期間】2021年3月1日~8月31日
  • 【対象ユーザー数】811,525人
  • 【対象プッシュ通知数】3,473通
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