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Google検索アルゴリズム9年の変遷から読み解くSEO今後の方向性

ここ数年、Google検索の変化が加速している。そこで、今回は9年間のアルゴリズム変更を振り返りながら、未来に備えるヒントを提案する
Moz, Dr. Peter J. Meyers[執筆] 2023/4/17 7:00 |
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

目まぐるしく変わるGoogle検索だが、ここ数年の変化スピードは特に速い。そこで、今回は過去9年間のGoogleのアルゴリズム変更を振り返りながら、その行間からGoogleが求めているものを読み解き、今後数年のSEOを確認していこう。

Google検索がこれまで以上に速いペースで変化しているように感じるとしても、それは気のせいではない。Googleは2021年に4366件もの変更を実施したとしており、2009年の350~400件から大幅に増加した。平均すると、1日あたり12件近く変更したことになる。

Google検索の変更点(1年あたり)

これら2万5000件以上の変更の多くは間違いなく非常に小さなものだったが、中には明らかに激変したものもある。僕たちは、Googleの検索順位に関する9年間のデータから何を学び、将来への備えにそれをどう役立てられるだろうか。

アルゴリズムの変動は激しくなっているがパターンは複雑

MozCastのおかげで、日々のアルゴリズム変動データを2014年までさかのぼって参照できる。以下の図は、最近9年間における毎日のGoogleランキングの変化を「気温」で示したものだ(検索結果の1ページ目の変動が大きい日を「気温が高い」のように表す)。

※元記事では華氏(℉)表記だが、Web担編集部で摂氏に換算している(以下同様)
Googleアルゴリズムの気温(2014~2022年)

2022年が2014年より暑かったのは間違いないが、長期にわたる気温上昇のパターンはより複雑だ。気温とアルゴリズムの更新を直接対応させられない場合もあれば、Googleのコントロールが及ばない原因があったと知られている場合もある。

コントロールが及ばない原因として、たとえば、2020年3月11日に世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の世界的な大流行を示すパンデミックを宣言したことを挙げよう(⑧のラベルで示した事象だ)。

新型コロナはその後の数か月にわたって消費者の行動を大きく変化させ、実店舗の休業を受けてEコマースも大きく変化した。Googleはこれらの変化に対応するためにアルゴリズムのアップデートを開始した可能性が高いが、新型コロナは自体が世界中で行動様式を変え、それに伴って検索順位も変化した。

しかし、2017年の夏はこれとはまったく異なり、原因不明のアルゴリズムの変動が数か月にわたって続いた。これは気温とアルゴリズム更新を直接対応させられない事象の例だ。

実を言うと、何が起こったのか、まだよくわかっていない。1つの可能性として、Googleのモバイルファーストインデックスアップデートが、正式なリリースの1年以上前からテストされていたために、検索順位が大きく変動した可能性がある。しかし現時点では推測の域を出ない。

最も暑かった日は2022年8月の大規模障害

2014年~2022年の期間にGoogleで確認された最も暑かった日の一部は、「コア」アップデートなど名前の付いたアップデートだったが、いくつか興味深い例外もある。

Googleで最も暑かった10日間(2014~2022年)

MozCastで最高気温を記録した日は、2022年8月に発生した大規模障害で、摂氏51度にも達した。これはアイオワ州にあるGoogleのデータセンターで発生した電気系統の火災事故と同じタイミングだったが、Googleはこの2つの出来事に関連性はないと公式に発表している。

また、この9年間に確認された暑い日のランキングで8位と10位に入った日には、Googleインデックスに深刻なバグが発生し、検索結果からページが消える事態となった。2019年4月に僕たちが分析したところ、データセット内のページの約4%が検索結果から消えていた。幸い、これらの不具合は短時間で解消したが、すべての変更が必ずしも有意義または実用的でないことを証明している。

8位と10位「インデックス消滅」のバグで検索結果からページが消えた

そして、過去最大の検索ペナルティは、2017年1月の「煩わしいインタースティシャル」に対するもので、ユーザー体験を台無しにする強引なポップアップ広告やオーバーレイ広告を表示するサイトにペナルティを課した。

最大のアップデートはペンギンアップデートだった?

アップデートと名のつくものだと、最高気温を記録した(最も影響が大きかった)のは、2016年10月ペンギン4.0アップデートのフェーズ2だ。フェーズ2では、それまでのペンギンアップデートで科されていたペナルティをすべて取り消すという、Googleとして前例のない(そして今のところ繰り返されていない)動きであり、アルゴリズム上の激震だった。

ただし、これはペンギンアップデートを取り消して元に戻した影響にすぎないことを忘れないでほしい。ペンギンアップデートと名付けられた7回以上のメジャーアップデート(そして数十回にわたって実施されたであろう小さなアップデートやデータ更新)を考慮すると、2014~2022年に行われた数千件の変更の中で最大の影響を及ぼしたのがペンギンアップデートなのは明らかだ。

今後の予想
Googleが求めているのは検索ユーザーにとって価値がある情報

結局のところ、Googleの「天気」は自然現象ではなく、人間による選択、そしてときには人間のミスに左右される。今後の変化は予測できないが、過去のパターンから学び、Googleのメッセージの行間を読むことはできる。

Google検索に機械学習が使われる傾向が強まることで(Bingが先ごろChatGPT機能を組み込んだことで、この傾向は加速する一方だろう)、Googleからのシグナルはますます見えにくくなる可能性が高い。しかし、今後数年のテーマはおそらくお馴染みのものになるだろう。それは次のものだ:

  • 検索ユーザーにとって価値があるコンテンツ

  • 「E-A-T」(専門性・権威性・信頼性)が反映されたコンテンツ(またはより新しいE-E-A-T

  • 高速で安全、かつモバイルフレンドリーなサイト

GoogleはSEOのためだけにサイトを構築してほしくないし、インデックスを低品質のコンテンツで汚してほしくないと考えている(インデックスにはコストがかかるのだから)。

これらが、どのように測定されているか、アルゴリズムにどのように組み込まれているかは、はるかに複雑な話であり、インターネットの進化に伴って自然に進化するものだ。この9年間を振り返ることで、今後の傾向やGoogleの優先順位についていくつかヒントが得られるとはいえ、この先予想外の事態になることもあるのは間違いない。

唯一確かなのは、僕たちが情報、人、場所、モノを探す必要がある限り、検索エンジンも検索エンジンの最適化も存在し続けるということだ。

2003年の「ボストン」アップデートまでさかのぼる主なアルゴリズムアップデートの全リストは、MozのGoogleアルゴリズムアップデート履歴を見てほしい。Googleの検索順位の変動やSERP機能の傾向に関する日々のデータは、MozCastのSERPトラッキングプロジェクトで公開している。

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