スマートフォンレポート

LINEが2位に38ポイント差をつけ圧倒、無料通話・無料メール系サービスの利用動向

2013年5月発表の調査レポートから「無料通話・無料メール系サービスの利用動向調査」の内容を届ける

この記事は、ドコモ・ドットコムが発行するモバイルビジネス・マーケティング情報誌「スマートフォンレポート」の一部を、Web担当者Forum向けに特別公開したものです。

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今回は2013年5月に発表された「スマートフォンレポート vol.6」から、調査報告3「無料通話・無料メール系サービスの利用動向調査」の調査レポートをお届けする。

急増する無料通話・無料メール系サービス利用ユーザーへの
アプローチ方法とは

今回は、現在急速に利用者を増やしている無料通話・無料メール系サービスについて独自調査を実施した。その分析内容について見解を述べたいと思う。

「LINE」、「Skype」に代表される無料通話・無料メール系サービスは、ユーザー同士のコミュニケーションツールとしてだけではなく、SNSと同じように企業・団体等からユーザーに対して手軽に情報を配信できるツールにもなっており、多くの企業が公式アカウントを開設していることは周知の事実である。今回は、スマートフォンユーザーにおける無料通話・無料メール系サービスの利用動向を通じて、企業がユーザーにアプローチする方法について考察したい。

まず、無料通話・無料メール系サービスの利用状況だが、7割近くのユーザーが何らかの無料通話・無料メール系サービスを利用していることがわかった(図1)。

図1 利用している無料通話・無料メール系サービス(アプリ)
図1 利用している無料通話・無料メール系サービス(アプリ)

その中で最も利用者が多いのが「LINE」であり、回答者の半数以上が利用している。「LINE」以外では、「Skype」「カカオトーク」「comm」といったサービスがユーザーを集めているが、「最も利用している無料通話・無料メール系サービス」という形に絞ると、「LINE」以外のサービスは全て1割を下回っており、より一層「LINE」の人気が際立つ結果となった。一方、「利用していない」と回答したユーザーも3割程度存在し、こちらは年代が上がるにつれて増加する傾向が見られた。特に60代以上は半数以上のユーザーが非利用者であり、高年齢層にはあまり浸透していない模様である。

10代の7割はメール送信に無料サービスを利用

次に、「無料通話・無料メール系サービス」と「スマートフォンの通話・メール機能」並びに「GmailなどWebメール」とでは、どちらの利用頻度が高いのかを探ってみた。まず通話に関しては、「スマートフォンの通話機能」が「無料通話サービスの通話」よりも利用頻度が高いと答えたユーザーが多く、無料通話・無料メール系サービスの利用者であっても、「スマートフォンの通話機能」を優先していることがうかがえる。これは、本調査の別設問結果からもわかるのだが、無料通話・無料メール系サービスの通話品質に対して不満を持っていることが影響として考えられる。

一方、メールについては「無料メール系サービス」の方が「スマートフォンのメール機能」「GmailなどのWebメール」を上回る結果となり、特に10代においては7割以上のユーザーが「無料メール系サービス」の利用頻度が最も高いと回答している。「スマートフォンのメール機能」を上回る送受信のスピード感と、チャットのような手軽さが「無料メール系サービス」利用を後押ししているのではないだろうか(図2)(図3)。

図2 通話における各サービス利用割合
図2 通話における各サービス利用割合
図3 メールにおける各サービス利用割合
図3 メールにおける各サービス利用割合

メール、通話に次いで高いスタンプの利用

続いて、無料通話・無料メール系サービスで利用している機能を聞いたところ、通話、メール・チャットを除くと「スタンプ」が最も高い結果となった。特に女性の利用が多い点は要注目で、スタンプによってメールの表現力が豊かになったことが多くの支持を集めているようだ(図4)。

図4 無料通話・無料メール系サービス(アプリ)で利用している機能
図4 無料通話・無料メール系サービス(アプリ)で利用している機能

但し有料課金利用については、約8割のユーザーに課金経験がなく、大半が無料で利用している模様である。残り2割の有料課金利用で最も多かったものが「有料スタンプの購入(15%)」であり、ここでもスタンプが支持を受けている一方、他の有料サービスはほぼ利用されていない状況である。これはゲームやECといったサービスへの参入が他企業に対してほとんど解放されておらず、サービス数自体が少ないことも一因であると思われる。

では、ユーザーは「スタンプ」をどのくらい取得したことがあるのだろうか。ここに関して、有料と無料それぞれの取得経験を聞いてみた。

まず、有料スタンプ(対象は「LINE」、「カカオトーク」利用者)については、約16%のユーザーが購入経験ありと回答したが、その中の大半が4種類以下の取得に留まっている。一方、無料スタンプ(対象は無料通話・無料メール系サービス全般)については取得経験者が半数を超え、更に4人に1人が5種類以上のスタンプを取得したことがあると回答している。特に積極的なのは女性で、たくさんのスタンプを入手し活用している様子がうかがえる(図5)(図6)。

図5 無料通話・無料メール系サービス(アプリ)取得スタンプ数[有料]
図5 無料通話・無料メール系サービス(アプリ)取得スタンプ数[有料]
図6 無料通話・無料メール系サービス(アプリ)取得スタンプ数[無料]
図6 無料通話・無料メール系サービス(アプリ)取得スタンプ数[無料]

LINE、カカオトークの企業公式アカウントではコンビニが人気

ここで少し視点を変えて、「LINE」と「カカオトーク」のユーザーに対し、企業等の公式アカウントのフォロー状況(ともだち登録、Plusカカとも)について、どういった業種の企業等をフォローしているかを聞いてみた。フォローしているユーザーが最も多かったのは「コンビニエンスストア」で、「飲食店(ファーストフード)」「タレント/芸能人」、「CD/DVDレンタル」「百貨店/スーパー」と続いている。「タレント/芸能人」を除くと、生活に密着した形で実店舗展開をしている企業のアカウントがフォロー数を集めていることがわかる(図7)。

図7 公式アカウント登録状況
図7 公式アカウント登録状況

公式アカウントをフォローした理由を尋ねると、「割引などのお得なクーポンを配信しているから」や「セールなどのお得な情報を配信しているから」が多く、ユーザーメリットの高い情報を配信していることが、アカウントをフォローする大きなモチベーションとなっている様子が見て取れる。その他では、「個人的に好きな(興味のある)企業・芸能人・番組だから」が2番目に多く、「無料のスタンプを配信しているから」という意見はそれらに次ぐ4番目であった。ユーザーが無料スタンプの配信だけではなく、配信している内容も重視している様子がうかがえる(図8)。

図8 公式アカウント登録理由
図8 公式アカウント登録理由

最もニーズが高いコンテンツは無料スタンプの配信

とはいえ、グラフ表記はしていないが、公式アカウントで提供して欲しい情報やコンテンツについて聞いたところ、一番多かったのは「無料スタンプの配信」であり、無料スタンプに対するユーザーニーズの高さが改めて証明される形となった点は注目である。また、「割引などお得なクーポンの配信」や「プレゼントがもらえるキャンペーンの実施」、「セールなどお得な情報の配信」に対するニーズも高く、実際に公式アカウントをフォロしたユーザー同様、お得な情報の配信がアカウントをフォローするモチベーションの喚起につながりそうだ。

これまで、無料通話・無料メール系サービスの利用動向について述べてきたが、当サービスの利用者は、若い年代層を中心に急激に伸びており、携帯電話の基本機能である通話・メール機能をも脅かす存在になっているといえよう。その流れは企業にとっても無視できない存在であり、当サービス利用者へのアプローチを検討している企業も多いと思われる。

現在「Twitter」「Facebook」「mixi」等のSNSにて情報を配信している企業も多いが、この無料通話・無料メール系サービスの利用者数増加傾向を鑑みると、特に「LINE」への対応は必須とも言えるのではないか。では、「LINE」上で公式アカウントのフォロワー数を獲得する方法は何か。その有力な方法が無料スタンプの配信及びクーポンなどお得感のあるサービス提供である。無料スタンプをフックにフォロワーを獲得し、ユーザーメリットの高い情報を配信してコンバージョンに繋げる、この手法が現状「LINE」上では最も有効なアプローチ施策ということができると思われる。

これと似た施策として、「Facebook」上で無料診断アプリをフックにフォロワーを獲得するといった手法が挙げられる。ユーザーの興味を喚起するコンテンツを提供し、集めてきたユーザーにお得な情報を配信する、これがSNS、無料通話・無料メール系サービスなどにおけるユーザーアプローチ手法のトレンドである。

めまぐるしく変化するネットサービスのトレンドであるが、現在最も勢いがあるといっていい無料通話・無料メール系サービスを活用しない手はない。企業ブランドのアピール、販促活動の場として、是非上手く活用していただきたい。

調査対象半年以内にスマートフォンを購入した15~69歳の男女
調査地域全国
有効回答数600サンプル
※半年以内スマートフォン購入者を母集団としてウエイトバック
10代20代30代40代50代60代
回収数男性505050505050300
女性505050505050300
100100100100100100600
ウエイトバック
集計後n数
男性357080714527327
女性336871523118273
671381511227745600
調査実施期間2013年4月19日(金)~4月22日(月)
調査方法インターネットリサーチ
調査実施機関株式会社ドコモ・インサイトマーケティング

この記事は、ドコモ・ドットコムが発行するモバイルビジネス・マーケティング情報誌「スマートフォンレポート」の一部を、Web担当者Forum向けに特別公開したものです。

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