レンタルサーバーのプランは複雑すぎる! 制作会社向けのわかりやすいサービスを/KDDIウェブコミュニケーションズ
ケータイの料金体系ってわかりづらいですよね。
レンタルサーバーのプランも同じぐらい複雑だったんですよね。
●現在「ACE01」として提供している、とにかく無制限のレンタルサーバーサービスですが、このプランが生まれた背景や、どんな人にどんな価値を提供したかったのかなどの意図を教えてください。
●植木氏 ケータイの料金体系ってわかりづらいですよね。とにかくいろんな複雑なプランやルールやオプションがあって、どういう使い方をするといくらかかるのかわかりづらいし、どのプランを選ぶのがいいのか、なかなか判断できません。
レンタルサーバーも同様に、料金プランが複雑だったのです。共用サーバーのサービスであってもディスク容量やユーザー数によっていくつもプランがあるために、レンタルサーバーを選ぼうとするお客さまがいろいろと考えて判断しなければいけません。そもそも、サイトがどのくらいのペースで成長していくのかも読みづらいものであることも併せると、どのプランを選ぶのが良いのか決めるのは非常に難しかったのです。
●利用する側としても、選ぶのが面倒だけど、そういうものだと思ってしまっていた面もあったと思います。
●植木氏 そうなのですが、レンタルサーバーを提供する側としても、そうした複雑な料金体系やサービスの提供の仕方が本当に良いのか、疑問に思うようになってきていました。というのも、時代とともにレンタルサーバーを取り巻く環境や、サービスを利用される方のニーズも変わってきているからです。
レンタルサーバーというのはあくまでもインフラ。そのうえでお客さまが何をしたいのかというと、7~8割がWebサイトを開設しています。
昔は企業ホームページといっても、1社1サイトで、シンプルなサイトでした。また、昔はサーバーやハードディスクやデータセンターなどの費用も高かったため、できるだけコストを抑えたいというニーズに応えるために、必要に応じて選べるさまざまなプランを用意していました。当時は「安くて容量が多い」ことがレンタルサーバーの価値だったのです。
それが今や1社が複数のサイトを運営するのは当たり前で、さらにウェブも高度化しており外部サービスと連携するような複雑なサイトを作る時代です。そしてハードディスクやデータセンターの原価は、昔に比べるとかなり下がってきています。
そうした状況でレンタルサーバー業界の根本的な問題点は何かと考えていくと、「鉄板のサービス」がないことではないかと思ったのです。「これにしておけば大丈夫だろう」「こういうサイトを作るなら、このサービス」というわかりやすいサービスはなかったですよね。多くのホスティング事業者がさまざまなサービスを提供しているものの、実際のところその仕様に大きな違いがあるわけではないため、お客さまが「選べない」状況だったのです。
だから、お客さまが「選べる」サービスを作りたいと思っていました。「選ぶのが難しい」状況から「簡単に」へと状況を変えたかったのです。
「これを選べば大丈夫」という鉄板のサービスがないことが
レンタルサーバー業界の問題でした。
●鉄板のサービスを作るとなると、利用者のニーズをもっと調べて突き詰めていかなければいけませんね。
●植木氏 企業サイトのインフラとしてのレンタルサーバー契約を見ると、その6割~7割ぐらいは制作会社さんが契約しています。発注側の契約は3割~4割ぐらい。つまり、レンタルサーバーを選んだり使ったりしているのは、制作会社の方のほうが多いのです。
そこでレンタルサーバーを利用されている制作会社の方にヒアリングさせていただいたところ、「受託しているサイトごとにレンタルサーバーをそれぞれ契約しているため、アカウント管理や請求書などの手数かかっている」という声がありました。多いところでは1社で100契約近く管理している制作会社さんも。
1社多サイトの時代で、さらに多くのクライアントのサイトを管理している制作会社さんにとって問題となってきているのは、「管理の手間がかかる」こと。ですから、レンタルサーバーも昔のような「安くて大容量」という価値観ではなく、「管理が楽になる」という価値観を提供するべきなのではないかと考えました。
その「楽になる」を実現するために、「容量もドメイン名もデータベース数も無制限」というサービスになったのです。
制作会社さんがさまざまなサイトを1契約で全部管理でき、「1つ契約しておけば、ほとんどの案件でそこを使える」という、制作会社さん向けの鉄板サービスですね。
制作会社さんは、たくさんのレンタルサーバー契約を管理しなければいけない複雑さから解放されます。1契約で100サイト以上運営している方も。
●「すべて無制限」というサービスは衝撃的でしたね。
●植木氏 ありがたいことに、リリース直後から想像以上のすごい反響でしたね。
とはいえ、運営側としては不安もありました。というのも、実際にどれぐらいディスク容量を使われるのかわかりませんでしたから。「無制限」ですからね。とはいうものの結果としては、実際には想定をはるかに超えるような容量を使われるということはありませんでした。
ディスク容量は想定内でしたが、やはり契約のなかでサイトをたくさん立ち上げられています。今では、多い方で50~70サイトぐらい立ち上げられています。最も多い方で、1契約で100サイト以上という方も(笑)。ですので、ニーズに対して適切なサービスを提供できていたという安心感があります。
ただ、当初は「リソース保証型ではなくなったの?」という反応もありました。たとえば「ディスク容量2Gバイト」というサービスならば2Gバイト使えることは明らかですよね。そうした枠がなくなったので、リソース保証型からベストエフォート型になったという認識をもたれる方もいらっしゃいました。「ホントは何Gバイトまで使っていいの?」と聞かれたことも(笑)。
実際のサービスはというと、ある程度の余裕をもってインフラを用意していて、利用率が高くなればその利用状況に応じて随時インフラを強化しています。ですので、本当にどれだけ使っていただいても大丈夫で、よほど極端なことがない限り、本当に無制限なんですよ。ただし、予想よりも極端に早いペースで利用率が高くなってしまうと厳しい状況もありますから、不安なら利用ペースをあらかじめ伝えていただければ準備できます。
実際に、CGIが暴走して一気に利用率が高くなってしまった例などもあり、そのときは驚きましたが(笑)。そういったトラブルは減ってきましたね。
●とはいえ、このサービスさえあれば、他のレンタルサーバーサービスが不要というものでもないですよね。
●植木氏 万能ではありませんね。root権限(OSの管理者権限)はお渡ししませんから、お客さまが行えるのは、FTPとSSHによる一部のコマンド実行。ですから、特別なシステムソフトやミドルウェアを使いたい場合や、root権限が必要なアプリケーションを使わなければいけないような案件には使えません。
このプランはあくまでも「シンプルに使える共用サーバーサービス」ですから、root権限が必要なシステム関連の作業も必要な場合は、専用サーバーやroot付きVPSやクラウドサービスなどを使っていただく必要があります。
また、1つのサイトやサービスをスケールするようにするにもできません。クラウドサービスならば、サイトへの負荷が高くなれば仮想マシンを増やして並列化することで対応できますが、共用サーバーはそうした使い方は想定していません。ですので、急激に成長するサービスや、ソーシャルゲームなどにも向いていません。成長や負荷に応じてどんどんスケールする必要がある場合は、やはり共用サーバーではなくクラウドサービスが向いていますね。
●最近はクラウドサービスに注目が集まっていますが、あえてそのなかで共用サーバーのサービスを進めたのは?
クラウドは状況に応じて構成を柔軟に変えられスケールしやすいというメリットがありますが、逆に毎月の請求額が見えなくて予算が立てづらいという難点もあります。また、実際のデータがどこに保存されているかというと「世界中のどこか」という答だったりします(笑)。
クラウドに向いているサービスはどんどんクラウドを利用していくべきだと思います。しかし、一般的な企業サイト向けには、料金が固定でデータも日本にあるという安心感があるサービスが適していると思います。
また、クラウドでも多くの場合はシステム管理のスキルが必要です。しかし共用サーバーならば、ほとんどの制作会社さんが特に技術面のスキルを気にせずに使えます。
このACEというサービスは「Webサイト制作会社さんが、HTMLや一般的なブログ/CMSで一般的な企業サイト・サービスサイト・ECサイトを作る」ためのサービスなのです。「無制限」というのも、あくまでもそのための手段の1つで、今後、制作会社さんにとって、わかりやすく、より業務が楽になるような機能を追加していく予定です。
すべて無制限の共用レンタルサーバーサービス「シェアードプランACE(エース)」
→ http://www.cpi.ad.jp/shared/index.htmlKDDI ウェブコミュニケーションズ
→ http://www.kddi-webcommunications.co.jp/
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