BOOK REVIEW Web担当者なら読んでおきたいこの1冊

マーケ担当が手元に欲しいネット広告事典/書評『最新図解「進化するネット広告」のすべて』

ブックレビュー

BOOK REVIEW ウェブ担当者なら読んでおきたいこの1冊

『最新図解「進化するネット広告」のすべて』

評者:森山 和道(サイエンスライター)

“ネット広告事典”と呼べるほど多様な項目を収録
手元にあれば、とにかく便利な一冊

『最新図解「進化するネット広告」のすべて』の表紙画像
  • 佐藤 尚規 著
  • ISBN:978-4-7741-3509-0
  • 定価:1,680円+税
  • 技術評論社

現状のネット広告では、これまでの消費者行動における「記憶」に変わって「検索」が重要な役割を果たしている。2007年のネット広告市場規模は媒体費4,591億円、広告制作費1,412億円、合わせて6,003億円(推計)。だがこれは米国のネット広告市場規模の1/4でしかなく、日本のネット広告市場規模はまだまだ広がり得る、と著者は語っている。本書は、広がりつつあるネット広告の現状をまとめた一冊だ。

単純なロゴバナーから始まったネット広告も、広告配信サービス、アフィリエイトやリスティング広告、さらに動画広告やバーチャルワールド広告などへと、多種多様に広がりつつある。一言でリッチコンテンツ広告といってもいろいろな種類があるのだ。

これだけさまざまな広告が増えてくると、わかっているようで言葉面しか知らない広告手段も出てくる。説明しろと言われたら窮するものもあるだろう。というわけで、ネット広告に関心がある人ならば、取りあえず手元に置いておいてもいい本である。検索エンジンンマーケティングやP4P、クチコミマーケティング、行動ターゲティングなど、ネット広告のトレンド・キーワードもひととおり押さえておける。データもまとめられているので、とにかく便利な本である。

とりあえずこれからは、テレビCM、折り込み、モバイル広告など複数のメディアをまたぐクロスメディア広告が一般的トレンドになるようだ。まだまだ互いの補完効果は高いからだ。またPC向けとモバイル向けの分離傾向も強いようだ。いずれにしても、ターゲット層を明確にすること、そしてターゲット層が何を使って情報にアクセスしているのか、ちゃんと知ることが効率の良い広告の基本となることは、これからも変わりない。

本書を読んでいて一番強く感じたことは、ネット広告の多様さだけではない。ネット広告の歴史はまだまだ非常に短い、ということだ。

ウェブサイト上でバナー広告が始まったのは1994年10月とされている。これがネット広告の始まりだ。それからわずか14年しか経っていないのである。10年前、「続きはウェブで検索!」という言葉をテレビCMで毎日聞く日が来ると誰が想像しただろうか。モバイル端末の進歩や実空間との連動など、ネットはまだまだ新しい空間、新しいコミュニティを生み出し続けるだろう。次に何が大ブレイクするかはまったく不透明だが、新しく生まれた空間の隙間に、広告はこれからも入り続けるに違いない。

すでに、広告は単なる「広告」ではない。情報を欲しがっている人と、提供したいと考える企業との間を、スムーズにつなげる手段となりつつある。本書にまとめられているのは現状だが、現状を俯瞰しながらこれからの可能性に思いを巡らすのが正しい本書の使い方かもしれない。

用語集
P4P / アフィリエイト / インターネット広告 / クチコミ / マーケティング / リスティング広告 / 事典 / 広告 / 書評 / 検索エンジン / 行動ターゲティング
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