適切な予算感で提案するクリエイティブと成功への道――コントロールプラス
コントロールプラス株式会社
適切な予算感でクリエイティブを提案
企業ビジョンを引き出して成功へと導く
ウェブサイト制作の現場である制作会社を訪問し、その特徴や依頼するときのポイントなどを紹介するこのコーナー。今回紹介するのは、コントロールプラス株式会社。代表取締役社長の村田マリ氏は、大学卒業後サイバーエージェントに入社し、6事業の新規立ち上げに携わった後独立、2005年3月に同社を設立した。制作会社として着実に実績を積んでいる同社は、同時にクチコミ情報サイト「デート通.jp」を運営している。制作会社がメディアを持つことの意味とは何か、制作にはどのように還元されるだろうか。同社躍進の原動力となったものを余すところなく伺った。
吉村正春(ドラゴンフィールド株式会社)
コントロールプラス株式会社
http://www.ctrl-plus.jp/
- 所在地 ● 東京都中央区日本橋
- 設立 ● 2005年3月3日
- 資本金 ● 1,000万円
- 代表取締役社長 ● 村田マリ
- 社員数 ●
18名(契約・アルバイト含む)
[社内スタッフ]
役員4人(兼任)、営業1人、プロデューサー3人、ディレクター3人、プログラマー3人、ライター1人、広報担当1人、メディアプランナー5人(デート通.jp担当)
[外部スタッフ]
デザイナー約20人、ライター約10人、プログラマー約20人、カメラマン約4人、SEO約10社 - 事業内容 ●
ウェブサイトの企画・制作、プログラミングなど、ウェブサイト制作を総合して行う。加えて、インターネット広告代理行、イベント企画・運営などを行うほか、自社サービスとして「デート通.jp」を運営する。自社サービスを運営する経験は制作にも活かされており、ウェブサイト制作において企業の目的は何か、ビジネスとしての成功を考えたうえで予算にあった提案をしてくれるのが魅力だ。社内以外にも、多数のスタッフを有しており、制作するウェブサイトの目的、予算、期間などに応じて、最適なクリエイティブを提供する。SEO対策にも取り組んでおり、約10社のSEOパートナーと連携して対応する。
豊富な予算感でクリエイティブを提案
企業ビジョンを引き出して成功へと導く
経験に基づく確かな視点で予算に応じた最適解を提示
村田氏1人から始まった同社も約1年半でスタッフ数18人を数えるまでに至り、順調な成長を続けるコントロールプラスだが、村田氏が設立してから今日まで、特別な営業活動を行うことなく、現在に至ると言う。
「最近、営業スタッフが入社しましたが、それまでSNSなどで知人を介してほぼクチコミの紹介でお仕事をいただいていました。『ウェブサイトを立ち上げたいけど、制作会社から予想外の見積もりが出てきたらどうしよう』と悩まれている企業のウェブ担当者の方から、『困っているのでお話を聞いてください』『ちょっと教えてください』といった軽い相談から始まるケースが多いですね」
企業のウェブ担当者の多くが「ウェブサイト制作やリニューアルをどうしたらいいのかわからない」「どれくらいの予算がかかるのか相場観がわからない」と悩んでいる。「あれもやりたい、これもやりたい、しかし予算が限られている」「予算はあるが、ウェブサイトで何をやるべきかわからない」というジレンマは企業サイトのウェブマスターならば誰しも感じた経験があるだろう。
「弊社がお客様に支持いただいている理由のひとつに、案件単価の価格レンジが広いことがあります。これはお客様の予算ありき、目的ありきで、価格設定していくことに起因します。予算が十分にあるお客様であればやりたいことを網羅したウェブサイトができますが、予算が50万円しかないお客様には、まずは優先度が低い要素を省いてサイトを立ち上げましょう、と提案します。5つあるやりたいことの内からまずは2つだけをやり、そして公開後、サイトからあがる収益で、あとのコンテンツを追加していきます」
ウェブサイトは立ち上げて終わりではなく、継続的して運営していく媒体であり、運営しつつ段階的にサイトを構築していくことも充分実現可能である。
クライアントに提示された予算でどうしても対応できないという場合には、他の制作会社を紹介してくれるとのこと。「この予算で作ってください」「できません」で終わるような淡白なやり取りで終始しない点は、ウェブ業界に不慣れなクライアントにとって安心材料となるだろう。とはいえ、1から100までコントロールプラスがすべてを決定して、プロジェクトが走るわけではない。「予算に応じてサイトでやれること、やれないことが決まってくるので、“予算”は社内できちんと固めておいてほしい」と村田氏。答えが存在しない問題は解きようがないのである。ただし、企業サイトとしてやりたいことのプライオリティの判断は、同社に任せておいた方がよさそうだ。なにしろ村田氏は新規事業立ち上げのエキスパートである。
新規事業立ち上げで身につけた判断力とスピード感
クライアントが制作会社に求めることの第一は、優れたウェブサイトの制作だが、それと等しく望まれていることは、ウェブサイトをビジネスに転化できるようにアドバイスしてくれるウェブ指南役というべき役回りではないだろうか。村田氏は先に述べた通り、サイバーエージェントで新規事業立ち上げを専門的に手がけてきた実績があり、ウェブサイトをビジネスの軌道に乗せるということを身をもって知っている。
「新規事業立ち上げというのは特殊な作業で、当然ながらまず売り上げが立っていない状態から始まります。1、2か月で企画から立ち上げまでやって、一刻も早くビジネスに入らないといけませんし、立ち上げ後は必ず投資に対してインカムが戻ってこなければなりません。スタッフも増やしつつ収益をあげてビジネスを回していかないといけない。お客様からウェブサイトを作ってほしいと依頼されたときも、無駄に時間をかけることなく、まずは立ち上げることに力を入れます。そして、段階的にサイトを拡充していくことになりますが、次にこれをやって、その次はこれという風に、プライオリティをつける判断力は新規事業の立ち上げに携わった経験が活きています。自社メディアも運営していますし、プライオリティの判断には自信があります」
また、そのスピード感は目を見張るものがある。たとえば、サイバーエージェント(CA)時代の知人を介して紹介された「東京ヴェルディ1969」の案件だ。CAがヴェルディに出資することになり、IT企業が後援についたのを機会にリニューアルしようという話になった。シーズン開幕までにサイトをリニューアルすることになり、確かですばやい判断力を有する村田氏に白羽の矢が立ったのである。そして独自のCMSを採用しつつ、1か月半(実質の制作期間は3週間ほど)で無事オープンにこぎつけている(図1)。
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