ネットショップ担当者フォーラム

注文方法の9割が「1:1トーク」! 野球ユニフォーム専門店のLINE@活用事例 | ある日突然、上司に「LINE@やって」と言われました。

7 years 5ヶ月 ago

消費者の好みのデザインで、オーダーメイドのシャツやパンツ、キャップを製作しているオリジナル野球ユニフォーム専門店「ファンゴ」。LINE@の「1:1トーク」機能を活用し、オーダーメイド商品の受注からデザイン決定などの業務工程を効率化・簡素化することに成功しています。代表の山田哲子さんにLINE@の活用方法についてお話を伺いました。

この記事のポイント
  • 野球チームだからこそLINEグループで共有しやすい
  • 注文方法の9割が「1:1トーク」経由
  • 「1:1トーク」でお客さまとの信頼関係を深められる

LINE@のやり取りが消費者との信頼構築に貢献

――「1:1トーク」を始めたきっかけを教えてください

プライベートでLINEを利用していたので、便利なことは知っていました。そんな時、競合他社さんがホームページに「LINE@はじめました」と掲載しているのを見て、乗り遅れてはいけないと思いスタートしたんです。

当初は、使い方も全く知らなかったんです。それまでは、電話やメールでのオーダーを実施していましたが、電話は詳細なデザインは伝わらないし、メールはやり取りに時間がかかっていました。お客さまから電話でメールアドレスを聞かれても、アドレスが間違ってしまうため、伝えるのも手間でした。

そこで、LINE@アカウントのプレミアムIDを取得(@fungo.jp)したところ、ビジネスに活用しても便利なことに気付いていきました。お客さまに伝えるとすぐに友だち登録してくれる、デザインを決めたり修正したりするやり取りも返事が早いんです。さらに、画像を送付したり、リンクを貼ったり、と便利なことだらけ。そして、積極的に「LINEでも注文ができます」とアピールしていくようになりました。

野球をプレーしている人たちは普段からメンバー同士でLINEグループを作り、LINEを使ったやり取りに慣れているため、「友だち登録をしてください」という声かけにも気軽に応えていただけます。新規の問い合せの入口は電話/メール/フォームですが、二次的に「もしLINEをやっていたら、友だち登録を先にしてくださいね」って伝えています。

実店舗がないため対面でやり取りができない分、LINE@を使って信頼関係を築くことができました。お客さまもストレートに要望を伝えてくれるし、やり取りもスムーズ。また、商材の特性上、相見積もりのためだけの問い合わせ(デザインと見積り)もありますが、「1:1」で即時のやり取りをすることで、コンバージョンにつながりやすくなったと感じています

オリジナル野球ユニフォーム FUNGOの代表・山田哲子さん
代表の山田哲子さん

――LINE@の運用の体制について教えてください

朝の8時半くらいから夜の8時半頃まで、私1人で運用しています。野球の試合や練習が土日にあるため翌日の月曜日、もしくはお客さまの仕事が終わる平日の夕方頃のお問い合わせが多いです。

当店は、実店舗がないオンラインショップです。「1:1トーク」なら電車に乗っていたとしても、お客さまと会話ができるのでとても便利。そのため、レスポンスは早くすると心がけているので、お客さまからの信頼感の獲得にもつながっています

――「1:1トーク」をどのように活用していますか?

「1:1トーク」でお客さまとのやり取りは、イメージカラーやデザインなどをヒアリングするところから始まります。最終デザインの決定後に送る見積書も「1:1トーク」です。野球チームの多くは、LINEでグループを作成しているので、代表者の方は当店とやり取りしたデザインの詳細や見積りなどをそのまま「コピー&ペースト」してチームのメンバーに共有しています。購入する側もとても便利なんですよね。

LINE@の「1:1トーク」機能
「1:1トーク」を活用したやり取り

注文方法の9割が「1:1トーク」経由

――利用前と利用後を比較していかがですか?

従来から電話やメールも併用していますが、今では最終的な注文方法の9割が「1:1トーク」です。デザインの細かなリクエストは、電話の話し言葉では伝わりません。そんな時は「いたずら書き程度で結構ですので、紙に描いて説明していただけますか?」とお願いすると、気軽に描いて写真を「1:1トーク」で送付してもらえます。このスピード感はメールにはありません。よって、初回のお問合せから、ご注文までの時間が短くなりました

以前は、メールで約1か月かかっていたものが、LINE@を利用したら3日で完了したこともありました。今は平均1~2週間でやり取りが完了できています。

また、デザインは何度も修正されることが多いのですが、修正を重ねていくうちに、前のデザインに戻されることもあります。「1:1トーク」なら、少しスクロールするだけで、前のデザインと今のデザインを比較できますので、お客さま側は、デザイン比較が簡単にできているかと思います。

私どもは、決定したデザインの見返しや、初回時から発注までの流れの再確認が、画面のスクロールだけでわかるところが、すごく便利で気に入っているところです。

――運用面で工夫していることや気をつけていることはありますか?

頻繁に寄せられる質問を簡潔なテンプレートにまとめて、「こちらは大事なことなので必ずお読みください」と伝えるようにしています。また、メールの文章のような長い文章にならないように気を付けていますね。ユニフォームのデザインはテキストだけでなく、画像を送付してわかりやすく伝えするようにもしています。

LINE@の「1:1トーク」がオリジナルユニフォームの販売を効率化している

「1:1トーク」でお客さまとの信頼関係を深められる

――これから「1:1トーク」をはじめる方へアドバイスをお願いします

ファンを獲得するためにさまざまなアイデアを絞っていると思いますが、「1:1トーク」の活用は、お客さまとの信頼関係を深めることにつながると思っています。上手にコミュニケーションを取ることで、お客さまの信頼を勝ち取り、本当の意味でのファンの獲得につながると考えています。

当店は、先にお金をいただいてから商品をお作りする受注製作のため、お客さまから信頼いただかないと商売が成り立ちません。「1:1トーク」は、顔を突き合わせることはできませんが、ちゃんとリアルの場で向き合ったのと同じくらいの信頼関係を築くことができると実感しています。

ショップ概要

LINE@運営チーム

LINE Business Partners株式会社

LINE@は、日本国内で月間7100万人が利用(LINE調べ、LINEアプリ月間アクティブユーザー 2017年9月末時点)するLINEのユーザー基盤と高い利用率を生かした、ユーザーへのダイレクトな情報発信やビジネス活用が可能な店舗・企業向けLINEアカウントです。

LINE@運営チーム

アリババが推進する「ニューリテール」時代の顧客体験とは? テクノロジー&データが牽引する小売の未来

7 years 5ヶ月 ago

新しいテクノロジーがニューリテールを牽引する。IT部門の価値は、ビジネスを徹底的に理解したうえで、イノベーションを提案すること。アリババクラウドのミッションは、テクノロジーを活用してリテールビジネスに変革を起こすことにある。そして、小売事業者と顧客Win-Winの関係をもたらす。我々は、そのためのテクノロジーとメソッドを提供できる(アリババクラウド ユニーク・ソング氏)。

Interop Tokyo 2018の最終日である6月15日、中国アリババグループでクラウド事業を展開するアリババクラウドのジャパンゼネラルマネージャー ユニーク・ソング氏が基調講演に登壇。アリババグループが推進し、すでに中国で広がりつつある「ニューリテール」の戦略と同社のミッションを語った。

ニューリテールの基盤はオンライン・オフライン・物流の融合

「ニューリテール」とは、2016年10月にアリババのジャック・マー会長が提唱した10年~20年先の未来に訪れるだろうリテールのコンセプト。簡単に言えば、テクノロジーとデータを駆使し、オフラインとオンラインが融合したリテールビジネスによって、より優れた顧客体験を届けること。同時に小売事業者のビジネス課題も解決する。

アリババグループが考えるニューリテールのモデルでは、オンラインとオフライン、物流、データ、テクノロジーなどのすべてを統合して小売りに活用する。消費者体験が中心にあり、「顧客」「商品」「店舗」間のビジネスモデルを再構築し、事業を成長に導く。

ニューリテールの基盤について語るユニーク・ソング氏。

消費者はネット通販の登場でいつでも買い物ができるようになったが、実際に商品を手にとって試せないなど、オンラインのUXは限られている。一方、実店舗を運営するには、常に一定の在庫やスタッフを確保しなくてはならなず、事業者にとってはコストが課題になる。アリババが描くニューリテールの未来では、テクノロジーによってこれらの課題を解決する。

2016年に発表されたニューリテールのコンセプトはすでに実現し始めている。

たとえば、タオバオが展開するブランド体験ストアでは、顧客はタオバオアプリでQRコード認証して入店する。店内にはセンサーが設置されており、商品を選んでゲートを通過するとアリペイで自動的に決済される。自動化されているため従来と比べて運営コストを抑えることができる。

また、店舗展開では出店計画が重要になるが、アリババにはどの地域でどんな商品がどれだけ売れたのか、データが蓄積されている。こうしたデータを使えば、通販事業者は適切な出店計画を立てることが容易になる。

アリババグループの生鮮食品スーパー、「盒馬鮮生(ファーマーションシェン)」もニューリテール戦略を象徴する店舗として注目されている事例だ。

盒馬鮮生のすべての商品は、バーコードをアプリでスキャンすると詳細を調べることができて、オンラインで配送注文することもできる(5km圏内なら最短30分で配送)。店舗で買った商品はレストランで調理してもらうことも可能。支払いはアプリと連携させたアリペイで行う(現金レジも少数ある)。

アリババのミッションはデータの商用化を助けること

続けてソング氏は、データドリブンなニューリテールのモデルについて、いくつかの例を紹介する。

今、旅行慣れした中国の訪日客は、銀座を訪れることはないという。なぜなら、多くの中国訪日客は友人やネットのクチコミを参考に集中して銀座を訪れるため、欲しいモノが手に入らないからだ。

中国の友人から日本で買い物をするのは大変だと聞く。欲しいモノがあっても売り切れているから、プロのツーリストは銀座にいくことはない。これは小売事業者(店舗)にとって損失です。しかし、業務・データ中枢を一元的につなぐことができれば、どこで何がどれだけ売れているのかを把握し、物流をダイナミックに変更して顧客に商品を届けることができる。

オンライン・オフライン・物流の融合がなければ、こうした課題を解決することは難しいだろう。

この他にも、「何千とあるドン・キホーテ店内の商品をアプリで確認できたらどうか」「スーパーに欲しい商品があるかアプリで音声検索できたらどうか」など、ニューリテール時代の顧客体験の例を示す。わざわざ個人情報を取らなくても、こうした問い合わせデータの蓄積から購買パターンを分析することも可能だという。

テクノロジーもニューリテールに重要な要素。「Tモール(天猫)」アプリでは、化粧品の試用イメージをAR技術で事前に確認できる。

アリババクラウドのミッションは、前述のように「テクノロジーを活用して、リテールビジネスに変革を起こすこと」であり、顧客のデータに直接触れることはないとソング氏は強調する。アリババグループは、2015年に「データは顧客の資産である」というデータ保護方針を発表。多くの企業に受け入れられており、GDPRにもいち早く備えるなど、世界標準のコンプライアンスニーズに対応している。

日本においても、国内データセンターを整備して顧客データを日本に格納するなど、以前から準備を進めてきている。顧客企業の資産であるデータの活用を支援していきたい、ソング氏は最後に語った。

我々は、これまで多くのプラクティスをつくってきた。ニューリテールについて、事業者自身が何を課題としているか理解しなくてはならないが、もしわからないのであれば、我々が最適なビジネスアプローチを定義して提言することもできる。クラウドベンダーとしてだけでなく、中立的なパートナーとしてみていただきたい。ビジネス革新の先には消費者体験の向上がある、ともに協力していきたい。

厳しいコンプライアンス基準について信頼性をアピールする。

池田真也

ネットショップ担当者フォーラム編集部

家電量販店の法人通販から、Web担当者Forumの前身である『インターネットマガジン』(2006年5月号で休刊)の編集部へ。休刊までの半年ほど雑誌編集を経験し、Web坦の立ち上げを機にネットマーケティングにかかわりはじめ現在へ。編集兼Web担当者。2017年末からネットショップ担当者フォーラムと兼任。

池田真也

メルカリの流通総額は直近12か月で3200億円、”レディース以外”を戦略的に強化

7 years 5ヶ月 ago

フリマアプリ「mercari」を展開するメリカリの2017年4月~2018年3月における国内流通総額(GMV)は、前年同期比58.3%増の3202億円だった。

GMVは「mercari」、ブランド品に特化したフリマアプリ「MAISONS(メゾンズ)」、本やCD・DVDなどに特化したフリマアプリ「カウル」を合計した金額。

主要なECマーケットプレイスの流通総額(GMV)

主要なECマーケットプレイスの流通総額(画像はメルカリの公表資料をキャプチャ)

2018年3月度の国内月間流通額は324億円。当月の月間アクティブユーザー(MAU)は1050万人だった。

2017年7月~2018年3月期累計(第3四半期累計)の国内GMVは2507億円で、米国を含めたGMVは約2676億円。現在の成長率を踏まえると、2018年6月期のGMVは3000億円の大台を突破する見通し。

メルカリの流通総額(GMV)推移

メルカリの流通額推移(画像はメルカリの公表資料をキャプチャ)

さらなる成長に向け、「mercari」は女性関連以外のカテゴリーを戦略的に強化している。

2018年1~3月期(第3四半期)の国内GMVは938億円で、カテゴリ別のGMVは次の通り。

  • 女性関連カテゴリー(アパレル、アクセサリー、その他レディース商品を含む) → 357億円
  • メンズ(アパレル、アクセサリー、その他メンズ商品を含む)→ 158億円
  • エンタメ→ 168億円
  • 家電・スマホ・カメラ→ 72億円
  • スポーツ・レジャー→ 53億円
  • その他→ 126億円

メルカリは女性関連以外のカテゴリーの戦略的な強化を進めている

カテゴリーごとの流通額(画像はメルカリの公表資料をキャプチャ)

2016年1~3月期からの年間平均成長率は、女性関連カテゴリーが45%だったのに対し、女性カテゴリー以外の成長率は65%。

「メルカリ」は2013年にサービスをスタートし、GMVは2015年6月期が630億円、2016年6月期は1420億円、2017年6月期は2480億円と急成長している。

流通総額、利用者ともに右肩上がりを続ける(画像はメルカリの公表資料をキャプチャ)

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

大阪北部地震でYahoo!ショッピングが出店者に配慮【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

7 years 5ヶ月 ago

6月18日に大阪府北部で発生した地震をうけ、Yahoo!ショッピングでは、「低評価率集計から全注文の評価を一定期間除外する」と同日中に発表しました。地震による出荷・配送の遅延を考慮したもので、出店者からは感謝の声が上がっています。

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  10. Amazonの1-Click注文特許失効が与える影響&モバイルECのCVR改善に期待が高まる理由

    アマゾンの「1-Click注文」の特許失効によって、多くの企業が新たなメリットを得ることができます

    2018/6/21

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

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日銀が分析するECビジネス――物価への影響は? 実店舗との関係は? Amazonをどう見ている?

7 years 5ヶ月 ago

日本銀行(日銀)は6月18日、ネット通販が国内の物価に与える影響を調査した「インターネット通販の拡大が物価に与える影響 」を公表した。EC企業が配送センターを増やしていることが宅配コストの削減につながり、結果的に物価下押しに影響しているとの見方を示した。

ECと実店舗の価格比較

日銀は、ECの販売価格が相対的に低い理由として、実店舗を持たないことによるコスト削減効果があると推察。海外の調査結果を引用し、日本を含む10か国の多くでECの販売価格の方が実店舗よりも割安であることを紹介した。

日本銀行(日銀)は6月18日、ネット通販が国内の物価に与える影響を調査した「インターネット通販の拡大が物価に与える影響 」を公表

オンライン価格と実店舗価格(画像は日銀の資料をキャプチャ)

物流網の整備が進むにつれ宅配の平均輸送コストが下がり、販売価格が下がりやすいとの仮説をあげた。

米国でAmazonは配送センターの拠点数を増やすことで宅配の平均輸送距離を短縮し、配送コストを引き下げてきたとする先行研究を踏まえ、日本におけるEC企業の配送センターの設置状況を調査した。

都道府県別にみたAmazon 配送センター(FC)からの平均輸送距離
都道府県別にみたAmazon 配送センター(FC)からの平均輸送距離 2010年末(画像は日銀の資料から編集部がキャプチャ)
都道府県別にみたAmazon 配送センター(FC)からの平均輸送距離
都道府県別にみたAmazon 配送センター(FC)からの平均輸送距離 2018年末(画像は日銀の資料から編集部がキャプチャ)
※都道府県ごとの距離は、各都道府県の人口重心と現在存続しているとみられる最寄りの配送センターの直線距離。配送センターの設置時期については、報道情報などから推定。報道情報等では計画段階にあるとされる北海道の配送センターが2018年末までに開業されると仮定。最も濃い赤は、その都道府県内に配送センターが所在。その次に濃い赤は、別の都道府県だが100km以内に配送センターが所在。薄い赤は、100km超 200km以内に配送センターが所在。

その結果、日本でもAmazonの配送センターからの平均輸送距離の短縮が進んでいることが確認されたという。

また、他のEC企業を含め倉庫の建築が近年大幅に増加し、輸送距離の短縮がEC企業のコスト競争力を高めることに寄与してきたとの見方を示した。

Amazon配送センター(FC)から の平均輸送距離の日米比較

Amazon配送センターからの平均輸送距離の日米比較(画像は日銀資料をキャプチャ)

国内物価への影響は?

日本の消費者物価指数(CPI)は、 原則としてECの販売価格を対象外としている。日銀は、ECの価格変動自体がCPIに直接影響を与えるわけではないとしているが、「インターネット通販の拡大を受けて競争環境が変化すれば、既存の小売企業の一部が対抗措置としての値下げを行うことで、結果的にCPIで計測される物価が下押しされる可能性はある」と指摘した。

その上で、ネット通販の支出額が増えている日用品や衣類の物価をみると、食料品などに比べて弱めに推移していることが確認できるとしている。

今後、ECは物価にどのような影響を与えるか

日銀はEC市場の今後の展望を踏まえ、物価に与える影響を次のように予測している。

  • 女性の労働参加が進むもと で、共働き世帯の増加傾向が続くとみられることなどから、インターネット通販のさらなる拡大を通じて既存の小売企業を取り巻く競争環境が一 段と厳しくなる可能性がある。
  • 人手不足を背景とする物流コストの増加は、インターネット通販企業のコスト面での競争力を弱めることを通じて、既存の小売企業との競争環境を緩和させる方向に作用する可能性がある。
  • これまでコスト削減に寄与してきた配送網についても、充実化の余地が少なくなってきていることも考えられる。
  • 競争の結果として業界内での淘汰が進み、インターネット通販業界における一部企業の寡占度が大きく高まれば、インターネット通販企業の価格設定行動が変化する可能性もある。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

アパレルの自社ECと「ZOZOTOWN」の在庫連携を実現、クラウドECプラットフォーム「ebisumart」

7 years 5ヶ月 ago

クラウド型のECサイト構築システム「ebisumart(エビスマート)」を展開するインターファクトリーは6月20日、ファッションECサイト「ZOZOTOWN」のフルフィルメント支援サービス「aratana gateway(アラタナゲートウェイ)」との接続を開始したと発表した。

「エビスマート」で構築した自社ECサイトの在庫データと「ZOZOTOWN」の在庫データを一元化する。どちらかのショップには在庫が残っているのに他方は在庫切れになるといった事態を防ぐ。

「aratana gateway」は自社ECサイトとZOZOBASE(ZOZOTOWNの倉庫)の在庫データを一元管理するほか、ECに関連する業務をアラタナに委託できるサービス。

「ebisumart」で構築したECサイトが「aratana gateway」を利用すると、在庫データの一元化に加え、物流や撮影、採寸、カスタマーサポートといったフルフィルメント業務をアウトソースできる。

「ZOZOTOWN」での販売実績やユーザーの商品閲覧傾向、購入者データを自社ECサイトの運営に活用することも可能。

「ebisumart(エビスマート)」を展開するインターファクトリーはファッションECサイト「ZOZOTOWN」のフルフィルメント支援サービス「aratana gateway(アラタナゲートウェイ)」との接続を開始

自社ECと「ZOZOTOWN」の在庫連携イメージ

6月19日に「アラタナゲートウェイ」を導入した女性アパレルブランドのメイウッドは次のようにコメントしている。

以前にも自社ECサイトを運営しておりましたが、効率的な在庫運用や商品データ作成のスピード感など課題も多かった為、一時期運営をストップしておりましたが、今回その課題が改善できると考え、導入を決定いたしました。今後は、ZOZOTOWNとも差別化を図り、よりブランドの特徴を出し、客単価アップを目指す事で、EC全体の売上規模を拡大していきたいと考えています。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

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渡部 和章

セブンイレブンの宅配「セブンミール」が音声注文に対応、「Google アシスタント」と連携

7 years 5ヶ月 ago

セブン‐イレブン・ジャパンは6月18日、弁当や惣菜などの宅配サービス「セブンミール」において、音声認識による注文受付を都内2600店舗で開始した。

Googleが提供している人工知能搭載の音声認識アシスタント「Google アシスタント」のスマホアプリで注文を受ける。商品の受け渡しは店舗受け取りのみ。店舗のレジで会計する。

「セブンミール」の利用者の約6割は60歳代以上という。音声による注文方法を追加することで、若年層顧客の取り込みを狙う。

スマートフォンに「Google アシスタント」アプリをダウンロードして起動、「セブンミールにつないで」と呼びかけてから、音声と画面操作で注文する。音声注文の取扱商品は約30種類。7月2日から約50種類に増やす。

「セブンミール」の音声注文フロー

サービスを利用するには、セブン&アイグループのECサイト「オムニ7」の会員登録とセブンミールの店舗登録が必要。

「Google アシスタント」を活用した注文は2018年4月から、都内40店舗で試験的に実施していた。都内2600店舗での利用状況を分析し、対象地域の拡大を検討する。

なお、セブン&アイ・ホールディングスの2018年2月期連結決算によると、「セブンミール」の売上高は前年比0.5%減の265億4800万円だった。

「Google Home」での注文にも対応予定

セブン&アイ・ホールディングス広報によると、今後はGoogleの家庭用音声認識デバイス「Google Home」でも注文できるようにする予定。

「Google Home」は「Google アシスタント」を搭載しており、ユーザーは声で検索や音楽の再生、予定管理などを行える。

米国では「Google Home」を活用した音声注文によるショッピングが拡大。食品などの宅配サービス「Google Expressプログラム」に参加している店舗などが商品販売を始めている。

Googleはショッピング分野の開拓を強化しており、「Googleショッピング」の新たな機能として、検索エンジンや「Google Express」「Google アシスタント」「Google Home」に商品情報を掲載し、商品購入までをサポートする売上課金型の広告商品「Shopping Action(ショッピングアクション)」などを展開している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

LINEで365日24時間の顧客対応を実現――業務の1/3を自動化する取り組みとは?

7 years 5ヶ月 ago

北海道でLPガスの販売などを手がける北海道エア・ウォーターは6月20日、LINEのチャットボットを活用したカスタマーサポートサービスを開始した。

LPガスや灯油を使用する顧客からの保守点検の申し込み、ポイントサービスの手続きなどの問い合わせに対し、LINEで24時間365日対応する。

北海道エア・ウォーターはLINEのチャットボットを活用したカスタマーサポートサービスを開始

LINEで24時間365日対応を実現

保安点検や開栓などの作業依頼はLINE上で完了。ガスコンロの使い方を問い合わせた顧客に対しては、チャットボットが使い方の画像を表示したり、説明ページに誘導したりする。

北海道エア・ウォーターはLINEのチャットボットを活用したカスタマーサポートサービスを開始

保安点検や開栓などの作業依頼はLINE上で完了

問い合わせの内容に応じてオペレーターも対応する。

これまで電話を中心に行ってきた顧客サポート業務をLINEでのやり取りに移行することで、月間約2万5000件の問い合わせの内、3分の1が自動化できると見込んでいる。保安業務や顧客管理の効率化も期待できる。

消費者は北海道エア・ウォーターのLINEアカウントを友達登録すると、カスタマーサポートサービスを利用できる。

トランスコスモスが自動応答システムを開発

北海道エア・ウォーターの自動応答システムを構築したのはコールセンター大手のトランスコスモス。

トランスコスモスが独自に開発したプロダクト「DEC Connect(デック コネクト)」がハブとなり、トランスコスモスが提携する米国Reply, Inc.のbot構築プラットフォーム「Reply ai」と「LINE ビジネスコネクト」、日本オラクルの「Oracle Service Cloud」が接続。LINE上で問い合わせに対応する。

「LINEビジネスコネクト」はLINE社が公式アカウントの各種機能を企業向けにAPIで提供し、各企業がカスタマイズして活用できるサービス。

「LINE ビジネスコネクト」を活用すると、LINEユーザーへの一方通行のメッセージ配信だけでなく、特定のユーザーに対して最適化されたメッセージを送り分けることができるようになる。企業の持つ既存のデータベース、自社システムとLINEアカウントを連携させることで、顧客管理(CRM)ツール、業務ソリューションツールとしての利用も可能になる。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

Amazonの1-Click注文特許失効が与える影響&モバイルECのCVR改善に期待が高まる理由 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

7 years 5ヶ月 ago

アマゾンの「1-Click注文」の特許が2017年に失効し、競合企業には新しい機会が生まれました。モバイルでのカート離脱率の減少が一番大きなメリットになるでしょう。

1990年代中盤からAmazon(アマゾン)の成長に大きく寄与してきた革新的な「1-Click注文」の特許は、2017年9月に失効しました。「1-Click注文」の特許だけがアマゾンの成長に寄与してきた理由ではありませんが、数あるマーケットプレイスのなかでエッジを立たせ、早い段階から継続的な成長を遂げる一因になっていました。

特許が失効した今、多くの人が「アマゾンや他のEC事業者は、次に何を仕掛けてくるのだろう?」という疑問を持っていることでしょう。

「1-Click注文」が重要だった理由

初期のECビジネスにおいて、アマゾンの「1-Click注文」は非常に便利で、利用者の信頼を集めていました。アーリーアダプターたちがオンラインショッピングの利便性と期待値を向上させるための方策を探っている段階で、住所や支払い情報を保存しておくことがオンラインでの買い物に便利であり、所用時間も短くなるという事実を彼らに提示したのです。

「1-Click注文」のおかげでアマゾンへの信頼感、ひいてはEC企業全般への信頼感が生まれました。消費者がプライバシーに関わる情報を第三者と共有し、小売事業者がそれらを保存して、購入のたびにその情報を呼び出すことを可能にしたのです。

アマゾンでは「1-Click注文」が当たり前になっていますが、消費者が「1-Click注文」を利用したことで、他のEC企業にも革命的な大変化をもたらしました。

1997年に提供開始された「1-Click注文」。今後、さまざまなプラットフォームで同様の仕組みが実装される可能性がある(編集部が画像を追加)。

アマゾンがさらに進化するための考え得る戦略

もちろんアマゾンは、さまざまなプラットフォーム上で引き続き「1-Click注文」ボタンを使用することができます。「1-Click注文」機能を今まで通り利用することは可能ですが、その技術をコントロールできなくなると同時に、アップル社など他社へのライセンシングフィーから得られた収益もコントロールできなくなります。

アマゾンの成功要因の1つは、買い物を簡単にして、利用者の負担を減らす戦略に一貫して注力していることです。事実、アマゾンは革新的な「1-Click注文」を開発してから、購入プロセスの簡素化のための技術をいくつも生み出しています。

Amazon Dash(アマゾンダッシュ)のボタンは、「1-Click注文」を物理的な生活空間に置けるようにしたもので、スマートフォンやPCにアクセスすることなく特定の商品を注文することが可能です。Amazon Echo(アマゾンエコー)は、アマゾンダッシュよりもより広くECの可能性を広げ、音声アシスタントのAlexa(アレクサ)を使ってさまざまな商品が買えるようになっています。

このような展開を見れば、アマゾンが買い物を魅力的で、シンプルかつ簡単にするソリューションを見出そうとしていることがわかるでしょう。アマゾンが今後も、消費者の使いやすさを考えたプラットフォームを開発し、業界を揺るがす新しいイノベーションを起こし続けることを考えると、「1-Click注文」の特許失効はまったくと言っていいほどアマゾンには影響がないのです。

特許失効で得をする競合他社

アマゾンの「1-Click特許」失効により、会社の規模に関係なく、多くの企業が新たなメリットを得ることができるようになります。最も大きなメリットは、カート離脱率が高いモバイルの世界で実感できるでしょう。モバイルコマースでは、フォームや支払い情報記入に時間がかかるため、カート離脱率が90%から95%になることもあります。

ショッピングカートでのカート離脱率に関する世界平均値(Barilliance調査)
カート離脱率(カゴ落ち率)の世界平均値やデバイスごとの平均値。モバイルでの世界的なカート離脱率の平均値は77.8%(画像は編集部が調査会社Barillianceの『Black Friday 2017 Cart Abandonment Stats』の資料から追加)。

モバイル利用が増加しているにもかかわらず、多くの消費者はいまだにデスクトップやラップトップのPCを利用して買い物をするのです。ECソフトフェアのデベロッパーたちが効果的にモバイル向けの「1-Click注文」をプラットフォームに追加すれば、現在の状況を大きく変えることができるはずです。モバイルデバイスからの買い物がもっと簡単になれば、カート離脱率は改善されるでしょう。

Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)といったソーシャルメディア企業や、それらの企業と提携している小売事業者たちも、特許失効によって大きな利益を得ることができるでしょう。SNSのサイトから、小売事業者のホームページに見込み客を誘導する際に必要ないくつものステップも、「1-Click注文」を使えば省略することができます。フェイスブックもインスタグラムも、すでにマーケティング用のプラットフォームとして広く利用されていますが、「1-Click注文」を使えば、商品購入が大きく増えるようになります。

デメリットとしては、ソーシャルメディア企業がこれらの機能を持つことによって、小売事業者が人質に取られてしまう可能性があることです。ソーシャルメディア企業は広告費を釣り上げ、大きな売上マージンを要求するかもしれません。アマゾンの特許失効により、最初に大きなインパクトを感じるのはソーシャルメディアになるでしょう。

Snapchat(スナップチャット)はすでに、Shoppable Augmented Reality(編注:ARカメラから購入サイトに誘導できる広告主向けの新機能)で「1-Click注文」を実装し、利用者がアプリから直接購入できるようにしています。小売企業はソーシャルメディア企業と提携し、フォトフィルター広告を出せば、消費者に自社サイトに訪問してもらったり、アプリを変えてもらったりすることなく関連商品を購入してもらうことが可能です。

このようにコンテンツにひも付いたサービスを提供することにより、プラットフォーム、小売事業者、消費者の間にある種の絆を生み出すことができ、いつも利用しているアプリを使って購入に至らせるきっかけになります。このスナップチャットのアプローチを真似る企業がすぐに出てくるでしょう。

小売事業者にとってのハードルは、複数の事業者が同じようなデータを入手できるようになるため、購入データのエッジが鈍くなってしまうことでしょう。たとえば、さまざまな百貨店が同じ顧客データを保有することになる、ということです。Macy's(メイシーズ)が保有している特定の顧客データは、KOHL'S(コールズ)が持つ同顧客のデータと違う部分もあるかもしれませんが、重複部分が出てきます。そうなると、細分化して商品をオススメしにくくなるのです。他社と差別化するためには、目的をはっきりさせ、使える機能とワークフローを精査して、競合他社のなかで目立つ必要があります。

「1-Click注文」の独占終了がもたらす新たな可能性

特許失効によって、「1-Click注文」が広く採用にされるようになり、市場もそれに対応せざるを得なくなります。これは、アマゾンのような巨大EC企業に対抗できるよう、ソーシャルネットワークを再構築する機会なのです。

Google(グーグル)は、クロームから直接購入できるような検索機能を開発できるかもしれません。理論的には、消費者がクロームの検索バーに打ち込み、アレクサに頼むときのようにグーグル検索が商品をオーダーすることが可能です。「購入」という言葉と一緒に商品名を打ち込めば、クロームに保存された支払いデータを使って、アレクサに頼む時と同じように、スムーズで簡単な支払いプロセスを実現することができます。

グーグル、フェイスブック、インスタグラムなどの先進的な企業は、イノベーションを起こし、小売事業者が消費者により簡単にリーチできるような方法論を見つけることができるでしょう。

「1-Click注文」の特許失効で、アマゾンの独占は終わりましたが、同時にアマゾンや他の小売事業者がこの技術を利用して、新しい可能性を切り開いていく新たな時代が来たとも言えるのです。

Internet RETAILER

世界最大級のネット通販業界の専門誌「Internet Retailer」は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

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「希望する決済方法がない」ECサイトで7割のユーザーは離脱

7 years 5ヶ月 ago

EC向け後払い決済サービス「Paidy」を展開するPaidyが実施したオンラインショッピングの決済に関する調査レポートによると、ネット通販利用時の際に希望する決済手段がなかった場合、7割以上のユーザーはそのECサイトを離脱することがわかった。

ECサイトに希望する決済方法がなかった場合の行動について質問したところ、「他のサイトで購入する」は55.4%、「オンラインショッピングでの購入自体をやめる」は16.3%だった。合計71.7%はそのECサイトから離脱している。

「希望と異なる決済方法で購入する」を選んだのは27.5%。

ネット通販利用時の際に希望する決済手段がなかった場合、7割以上のユーザーはそのECサイトを離脱する

ECサイトに希望する決済方法がなかった場合の行動について

オンラインショッピングで買い物をする際に最もよく利用する決済方法を質問。「クレジットカード」が圧倒的で72.6%。「前払い」は5.9%、「代金引換」は5.4%、「後払い・翌月払い」は2.7%。

普段利用しているショッピングサイトで「後払い・翌月払い」を使いたいか質問したところ、「利用すると思う」は31.2%、「どちらとも言えない」は26.0%、「利用しないと思う」は42.8%。

オンラインショッピングで買い物をする際に最もよく利用する決済方法

オンラインショッピングで買い物をする際に最もよく利用する決済方法

決済手段別の認知度は「クレジットカード」(97.7%)、「代金引換」(93.9%)、「電子マネー・プリペイド」(87.3%)が上位。

「後払い・翌月払い」の認知度は50.2%で、Paidyが2017年に実施した同様の調査と比較して5ポイント以上増加しているという。

決済手段別の認知度

「Paidy」はメールアドレスと携帯電話番号の入力だけで完了する決済サービス。事前の会員登録は不要。クレジットカードがなくてもECサイトで買い物ができる。本人確認はショートメールか自動音声案内による認証コードで実施。決済した代金は、翌月まとめてコンビニ払いや銀行振込、口座振替で支払う。

調査概要

  • 調査名:お買い物に関するアンケート
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:18歳~59歳の男女のうち、半年以内にオンラインショッピングを利用した人
  • 調査期間:2018年3月22日~3月27日
  • 発表日:2018年6月14日
  • 有効回答数:1034人

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

JA全農がecbeing子会社に出資、農畜産物のECモール「JAタウン」の事業拡大へ

7 years 5ヶ月 ago

全国農業協同組合連合会(JA全農)は6月18日、ECサイト構築システム「ecbeing」を展開するecbeingの子会社に出資したことを明らかにした。

JA全農が運営する農畜産物などのECモール「JAタウン」の業務全般をecbeingの子会社に委託。ecbeingと連携して「JAタウン」の事業拡大を図る。

JA全農が出資したのは、ecbeingの100%子会社だった「ふるさとサポート」。2018年3月末に出資を行い、発行済株式の49%を取得。「ふるさとサポート」は6月8日付で社名を「全農ECソリューションズ」に変更した。

全農ECソリューションズは「JAタウン」のシステム構築やサイト運用、顧客対応業務、出店者支援などを手がける。資本金は2000万円。

全国農業協同組合連合会(JA全農)は6月18日、ECサイト構築システム「ecbeing」を展開するecbeingの子会社に出資

「全農ECソリューションズ」が運営する「JAタウン」(画像は編集部がキャプチャ)

「JAタウン」はJA全農が運営するインターネットショッピングモール。全国の農協や生産者などが農畜産物や特産品を販売している。2001年10月開設。出店数は98店舗、会員数は約36万人(2018年年6月時点)。

Ecbeingは10年間、「JAタウン」のシステム構築や運用管理を受託しているという。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

スマホで使うECサイトは「楽天市場」「Amazon」が5割以上で拮抗

7 years 5ヶ月 ago

視聴行動分析サービスを提供するニールセンデジタルが実施したスマホECに関するユーザー調査によると、2018年4月度にスマホで利用されたオンラインショッピングサイトは「楽天市場」と「アマゾン」が56~57%で拮抗している。

スマホでの利用率が高いオンラインショッピング上位3サービスは「楽天市場」(57%)、「アマゾン」(56%)、「Yahoo!ショッピング」(36%)だった。

オークション/フリマサービスでは、「Yahoo! オークション」が25%で最も高い。2位は「メルカリ」(23%)、3位は2018年2月に「フリル」と統合した「ラクマ」(11%)。

スマホからのECサービス アクティブリサーチ

スマホからのECサービス アクティブリサーチ

年齢別で見ると、18~24歳女性はオンラインショッピングのアクティブリーチで「ZOZOTOWN」が3位。25-34歳女性のオークション/フリマサービスの1位は「メルカリ」だった。

スマホからのECサービス アクティブリサーチ属性別

スマホ利用者はPCの3~4倍

2018年4月度におけるデバイス別のECサービス利用者数(上位3サービスの合計)は、オンラインショッピングではスマホが5142万人、PCは1674万人。スマホとPCは約3倍の開きがある。

オークション/フリマサービスではスマホが2749万人、PCは683人。スマホはPCの約4倍の水準。

利用時間シェアはオンラインショッピングとオークション/フリマサービスのどちらもスマホが圧倒的に高い。

スマホ、PCからの各ECサービスの利用者数、利用時間シェア

スマホ、PCからの各ECサービスの利用者数、利用時間シェア

調査概要

ニールセンデジタルがPC版インターネット視聴率情報「Nielsen NetView(ニールセン ネットビュー)」、スマートフォン視聴率情報「Nielsen Mobile NetView(ニールセン モバイル ネットビュー)」のデータをもとに、2018年4月の日本におけるオンラインショッピングサービスとオークション/フリマサービスの利用状況を発表した。

Nielsen NetViewは、日本全国に4万人以上のオンライン視聴者パネルを構築し、データを収集、報告している。職場にも2200人以上のパネルを構築。

Nielsen Mobile NetView は日本全国の8000人(iOS、Android 各4000名)の調査協力モニターから取得するアクセスログ情報を元に作成している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

「もの忘れ」「認知力」「記憶力」はアウト! 認知系健康食品の広告における注意点 | 健康・美容業界の今を知る!

7 years 5ヶ月 ago

近年、広告を取り巻く環境が大きく変化しており、特に健康食品の広告を取り巻く状況は「過酷」の一言につきます。今までは薬機法に配慮をしていれば指摘されにくいと言われていましたが、景品表示法の前では通用しません。景品表示法では言葉の1つひとつに限らず、「広告全体の印象」でも判断されるため、薬機法では「即問題」とならない表現でも指摘が入ることがあります

特に、認知系はダイエット関連と並び、表現に配慮が求められる代表的なジャンルと言えるでしょう。今回は「認知系健康食品」の広告表現の注意点をまとめました。

「認知系健康食品」のNGワード

認知系商材については機能性表示食品で「認知機能への機能性」が認められた商品が数多く登場しています。さらに、さまざまな医薬品も発売されていることから、医薬品でも機能性表示食品でもない単なる「食品」で、認知や記憶に作用するといった標ぼうは非常に難しいと言わざるを得ません。

まず「認知」「認知力」「記憶」「記憶力」といったワードはNGと考えるべきです。「記憶」については「認知」に比べるといくぶん使いやすいと言われていましたが、最近では「記憶」も「認知機能への効果の暗示」と判断されるようになったため、控えた方が良いでしょう。

続いて「知力」。「認知力」や「記憶力」に比べ、体への効果から若干離れる印象を与えるので、今までは健康食品でよく使われていた表現でしたが、それも過去の話。何かしら体本来の「力」に対して効果があるかのような表現をすることは、健康食品で標ぼう可能な範囲から逸脱し、不可となる恐れがあります。

また「知的健康」なども比較的よく見受けられる表現でしたが、こちらも「認知機能への効果」を暗示させるとしてNGとなる可能性があります。

知的に健康対策

知的な毎日を送りたい方に

歳を重ねても知的でありたい方に

などであれば使える範囲だと考えますが、「知的な部分に関わる栄養素です」など、成分の効果と絡めてしまうと不可となる恐れがあります。

もちろん、1つの言葉だけでなく広告全体の印象で「頭脳や認知機能への作用」と判断されてしまう場合は不可ですので、広告全体として過度な印象にならないよう配慮が必要です。

認知系商材でよくみられる「もの忘れ」「うっかり」といった表現はどうでしょうか。残念ながら「もの忘れ」は完全NGと言わざるを得ません。「認知機能への効果の暗示」として即指摘を受ける可能性があるので、控えた方がいいでしょう。

「うっかり」については、例えば、

「忘れちゃう」あなたにもOK! 1日1回(目安量)飲むだけだから簡単!

うっかりやさんに! 1日2粒(目安量)でOKのお手軽サプリ

など、「うっかり」が物忘れなどではなく、「性格」と解釈ができ、かつ、「そんな方でも忘れずに続けられる簡単なサプリ」という意味に解釈ができるのであれば、「うっかり」や「忘れちゃう」などは使えると考えます。ですが、

うっかり対策には●●成分がおすすめ!

このサプリを飲んで、うっかりが気にならなくなった

というように、成分の作用として「うっかりしなくなる」となると「認知機能の改善や向上」と解釈される可能性があるので要注意です。

写真やイラストにも配慮を

広告に使うビジュアルも配慮が必要です。特に写真やイラストなどのビジュアルは、コピーよりも大きな訴求になります。シニア世代などは広告の細かい文字などを読まない傾向があるので、ビジュアルなどで「認知症改善」を暗示させてしまうと、“引き”は良くても不可となるリスクがググッと上がってしまいます

よくやってしまいがちなのが、頭の上に「???」などを付け、「何だっけ?」「思い出せない……」と首をかしげて悩んでいるシニアの画像です。これは「認知症状の暗示」と解釈される可能性があります。

顔に手をあてて考え込んでいる画像などは即不可とはならないかもしれませんが、ネガティブなビジュアルは、深刻度が増すにつれリスクも上がります。やはり元気でハツラツ、にこやかな表情のシニアのビジュアルに留めるべきでしょう。

「何だっけ?」「思い出せない……」と首をかしげて悩んでいるシニアと、元気でハツラツ、にこやかな表情のシニア

コピーも重要ですが、画像も前向きでポジティブな印象を与えるものを使用すると、広告全体の印象が随分変わってきます。そのあたりもしっかり意識しましょう。

稲留 万希子

薬事法広告研究所 代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。

稲留 万希子

千趣会、コメ兵が語る「LINEショッピング」を使って売上拡大を実現する方法

7 years 5ヶ月 ago

30社以上の通販・EC事業者が利用しているLINEのショッピングサービス「LINEショッピング」。新規顧客の獲得に役立つとされる「LINEショッピング」では、どのような施策が新規獲得につながるのか。LINE、千趣会、コメ兵が登壇したパネルディスカッションでは、「LINEショッピング」がスタートした当初から参加している千趣会が自社の成功事例を公開。当時、「LINEショッピング」の利用を目前に控えたコメ兵が自社のOtoO戦略とLINE活用の狙いを解説した。

千趣会が「LINEショッピング」を1年間利用してあげた成果とは?

現在、利用しているアフィリエイトサイトの中で、「LINEショッピング」は新規顧客の獲得人数が最も多いです。しかも、「LINEショッピング」で獲得した新規顧客のLTV(顧客生涯価値)は、他のアフィリエイトサイトより2~3ポイント高いことが、この1年間で数字として表れました。

「LINEショッピング」の成果をこう説明したのは、千趣会の自社ECサイト「ベルメゾンネット」の集客を担当する服部愛氏。

千趣会は「LINEショッピング」のテスト運用が始まった2017年2月から参加しており、これまで「毎日100人に1000ポイントプレゼント」「200,000ポイント山分けキャンペーン」などさまざまなキャンペーン企画を行ってきた。

新規顧客を獲得するために特に重視しているのが、「LINEショッピング」全体で月1回開催されるポイントアップイベント「LINEポイントパーティー」毎週火曜日に1社限定でセールを行う「ファイヤーチューズデー」といった大型イベントだ。

イベント期間中は「LINEショッピング」のアクセス数が跳ね上がるため、イベントに合わせてキャンペーンを打つのが販促効果を最大化するコツだという。

「LINEショッピング」全体のキャンペーンに乗っかることが大事。「LINEショッピング」自体が行うキャンペーンとの相乗効果が、とても大きいと感じています。(服部氏)

株式会社千趣会 服部 愛 氏
2006年株式会社千趣会に入社。レディースファッションのバイヤーを経て、2008年よりメールマーケティング、サイトリニューアル等を行うWebマーケティング担当となる。2010年よりWeb販促におけるアフィリエイトマーケティングを担当。戦略立案のほか、越境ECを含む国内外の提携サイトとのキャンペーン企画、運用に従事。

千趣会は2017年10~11月にかけて、「LINEショッピング」のイベントに合わせて新規会員登録でポイント還元率が2倍になるキャンペーンを実施し、新規会員を集中的に獲得。その後、「毎日100人に1000ポイントプレゼント」「200,000ポイント山分けキャンペーン」など、毎月異なる企画を行い、新規顧客を獲得しながら既存客の継続利用も促している。

4月1日にはエイプリルフールにちなみ、1人に10万ポイントが当たり、残り1000人に100ポイントが当たる「嘘みたいな本当のキャンペーン」など、ユーザーを引きつけるキャンペーンを行った。

千趣会は毎月、さまざまなキャンペーンで新規顧客を獲得している

こうしたキャンペーンは「LINEショッピング」から自社ECサイトへの集客数や会員獲得、受注金額に大きく貢献している。キャンペーン中のクリック(送客)数は通常時と比べて平均280%受注金額は平均270%新規会員登録数は平均300%のキャンペーン効果が出ているという。

キャンペーン中のクリック率や受注金額、新規会員獲得数は、平均で通常時の約3倍に高まっている

千趣会が「LINEショッピング」経由で獲得した新規顧客のLTVは、他のアフィリエイトサイトよりも2~3ポイント高い。その理由について、服部氏は次のように説明する。

ユーザーを飽きさせず、繰り返し「LINEショッピング」を利用してもらえるように、キャンペーンの内容には毎回知恵を絞っています。アクセス数の山を月に2~3回作ることを意識し、ポイント還元キャンペーンを繰り返し行うことで、ユーザーが定期的に「LINEショッピング」に戻ってくるサイクルを生み出しています

費用対効果の最大化は、まず「LINEショッピング」を知ろう

「LINEショッピング」は2017年6月にサービスをスタート。会員登録数は2018年6月12日時点で約2000万人。「LINEショッピング」に参加しているブランド・ECサイトは230社を超え、公式アカウントのフォロワー数は約2300万人という。

年齢別のユーザー数を見ると「25~34歳」が最も多く、次いで「35~44歳」、「18~24歳」。ユーザーの男女比は女性が74%と、若い世代の女性に強いメディアであることが見て取れる。

LINEショッピング購入ユーザーデモグラフィック
「LINEショッピング」のユーザーの年齢層は20~30代が多い

新規顧客を獲得しやすいことも「LINEショッピング」の特徴。「LINEショッピング」の集客経路は、「LINEトーク」や「ショートカット」など99%以上がLINEの中からの誘導となる。そのため、リスティング広告やアフィリエイトサイトなど、他の集客手段とは異なるユーザー層を獲得しやすいことが、EC事業者の新規顧客獲得につながっている理由の1つとなっている。

LINEポイントパーティー 1か月に1度のポイントバック大還元祭
「LINEポイントパーティー」における流通額は通常時の約5倍に増える。期間中に購入したユーザーの48%を新規ユーザーが占めている

「LINEショッピング」がめざすのはOtoOプラットフォーム

「LINEショッピング」はECサイトへの集客媒体にとどまらず、O2Oのプラットフォーム化を進める方針だ。LINEの大枝千鶴氏はこう言う。

「LINEショッピング」が2018年、すごく力を入れているのがOtoO。「LINEショッピング」やトークアプリのLINEを通じてユーザーに気づきを与え、オフラインからEC、またはオンラインから実店舗へ送客するプラットフォームになることをめざしています

LINE株式会社 大枝千鶴 氏
LINE株式会社 大枝千鶴 氏
大手ECモールにて出店広告主営業としてECクライアントを担当。LINEショッピング立ち上げの為にLINE社へ入社後、掲載企業の営業担当として新規出店の営業、既存広告主のコンサルティング、企画等を担当。

オフラインからECサイトへ誘導する取り組みの1つが、QRコードを印刷したマグネットステッカー。アスクルが運営する日用品サイト「LOHACO」は、「LINEショッピング」のLOHACOのページに誘導するQRコードを印刷したマグネットステッカーを顧客に配っている。

他チャネルとの比較 総合的にマグネットステッカーが最適
LOHACOのマグネットステッカー

「LINEショッピング」はオンラインから実店舗への送客の仕組みも提供する。「LINEショッピング」がめざすOtoO機能の1つは、スマホの位置情報をベースにリアルとWebの商品を比較すること。たとえば、商品の価格やレビュー、ポイント付与数をECとリアル店舗で比較できるようにするという。

また、スマホの位置情報を利用し、リアル店舗までの距離や、近隣店頭の在庫の数を表示するなど、オフラインのデータを活用してネットからリアルへ誘導するサービスを計画中だ。

商品比較 店舗情報 レビュー
スマホの位置情報などを活用し、オフラインの情報や店舗情報を提供できるようにする計画

店舗で買い物をしたユーザーのLINEアカウントの情報を、店舗の購買データと紐付ける取り組みも進めている。レジで会計時にLINEの専用バーコードを読み取ると、ユーザーのLINEアカウントと店舗の購買データを統合できるシステムを開発した。また、LINEのオンライン決済サービス「LINE PAY」を使って店舗で決済した場合にも、LINEに登録されたユーザー情報と、店舗の購買データを紐付けることが可能となる。

位置情報を活用した集客にも「LINEショッピング」を活用できるようにする。たとえば、ユーザーが店舗の1km以内に近づくと、「LINEショッピング」の公式アカウントからユーザーにプッシュ通知を送信。さらに、ユーザーが店舗の10メートル以内に近づくと、Beacon(近距離無線通信)を使ってユーザーを検知する。

こうしたOtoO施策は、通販大手のディノス・セシールが埼玉・越谷市内で運営している「dinos OUTLET」で2017年12月から試験運用を行っている。

ディノスOUTLET越谷との取り組み(リアル店舗計測)
「dinos OUTLET」ではLINEを活用したO2O施策を実施している

ディノス・セシールは会計時にLINEの専用バーコードを読み取ることで、店舗での購買データとLINEショッピングでの買い物履歴を統合。ユーザーデータや購買データをCRMに活用している。

コメ兵の「LINEショッピング」を活用したOtoO戦略

2018年5月に「LINEショッピング」に参加したコメ兵。「LINEショッピング」への参加直前のタイミングとなったパネルディスカッションで、執行役員マーケティング統括部長の藤原義昭 氏は「LINEショッピング」に参加を決めた理由として、次の3つを上げた。

  1. 新規顧客の獲得効率が下がってきていることから、「LINEショッピング」で新しい客層にアプローチしたい
  2. 「LINEショッピング」のユーザーの年齢構成は25~34歳が35%、35歳~44歳が30%を占めており、コメ兵にとって手薄だった20代後半から30代の消費者の獲得が期待できる
  3. 「LINEショッピング」はECモールではなく、アフィリエイトモデルのため、顧客データを自社で取得してCRMに活用できる

コメ兵のお客さまは45~55歳ぐらいが中心ですが、20代後半や30代の方向けの商品も、たくさん扱っています。これまで30歳前後のユーザーに接触できていなかったので、20~40代のユーザーが多い「LINEショッピング」には期待しています。また、「LINEショッピング」で獲得したユーザーは自社のお客さまとしてCRMを回せることにも魅力を感じています。(藤原氏)

株式会社コメ兵 執行役員マーケティング統括部長 藤原 義昭 氏
株式会社コメ兵
執行役員マーケティング統括部長 藤原 義昭 氏

「LINEショッピング」はECサイトへの入り口であり、実店舗への入り口

コメ兵のECはオンラインだけで完結するわけではない。1点あたり数十万円の高額商品が多いため、商品を店舗に取り寄せて、実際に商品を確認してから購入する顧客が多いという。

高額商品はデジタルだけで集客して、そのままスマホで買ってもらうというのは想像しにくい。デジタルでECサイトに集客し、そこから店舗に来ていただいて、店頭で接客するという流れを作ることを重視しています。(藤原氏)

客単価は店頭のみを利用する顧客が4万円、ECのみの利用者は8万円であるのに対し、ECから店頭取り寄せを行った場合は21万に跳ね上がる。また、ECと実店舗を併用している顧客のLTVは、ECのみを利用している顧客の約3倍という。

コメ兵はCRMシステムを導入し、マーケティングオートメーションのシナリオを組み、メルマガやダイレクトメール、店員からの電話など、さまざまな施策を実施している。

デジタル→オフライン→デジタル→オフライン…tね
デジタル集客(SEM、SEOなど)→EC→ 取り寄せ 店舗 → 接客 購入→CRM→
デジタルでECサイトに集客し、店舗に誘導することを重視している

コメ兵にとってECは、単なる販売チャネルの1つではなく、実店舗に誘導するメディアの側面も持つ。こうしたOtoOの戦略に「LINEショッピング」を活用する計画だ。

ECはコンテンツマーケティングだと考えています。商品を通してお客さまとどうコミュニケーションするかが、すごく重要だと思っています。(藤原氏)

「LINEデリマ」は今後、テイクアウトに対応する

LINEが進めるOtoOプラットフォーム化の戦略において、フードデリバリーサービス「LINEデリマ」も重要な役割を果たしている。「LINEデリマ」はLINEで出前の注文を行えるサービス。ファミリーレストランやファストフード、ピザ、寿司、弁当など、約1万4000店の飲食店から出前を取れる。宅配・デリバリーサービスを手がける「出前館」と提携し、2017年7月にサービスを開始した。

「LINEデリマ」は、注文金額に応じてLINEポイントをもらえるアフィリエイトサイトという意味では、「LINEショッピング」と同じ仕組み。ただし、ポイント還元率は50%、70%、99%などと高い設定の飲食店も多い。

景品に該当するポイントの付与率は、景品表示法では商品価格の最大20%までしか認められていない。「LINEデリマ」で高額のポイント還元が可能な理由について、LINEのO2O事業室、藤原氏は次のように説明する。

注文時にポイントを使用できるようにすれば、ポイントは景品ではなく割引という扱いになるため、20%を超えるポイント付与率が設定可能です。注文時にポイントを使えるお店は、注文金額が平均よりも高いため、有効な販促施策になっています。

LINEポイントを利用させるメリット ポイント利用可能店舗を対象にキャンペーンを実施 利用不可店舗よりもGMVの増加率が高い
注文時にポイントを使える飲食店の注文金額は、使えない飲食店よりも高い
LINE株式会社 藤原 俊介 氏
LINE株式会社 藤原 俊介 氏
大手WEB系広告代理店にて営業・マーケティングに従事。モバイルアプリベンチャーの創業に参画した後、2010年にアプリの企画開発会社を創業。5年半で企画したアプリは大手ECアプリ含めて総数50本以上、TOTAL DL数800万を獲得。その後、2016年6月にLINE株式会社に参画し、LINEデリマを立ち上げ、事業企画を担当

現在、「LINEデリマ」では宅配サービスのみを扱っているが、今後はテイクアウトの注文も行えるように準備を進めている。

ユーザーの位置情報やLINEのプッシュ通知を活用し、飲食店向けの「OtoOプラットフォーム」をめざす計画だ。

たとえば、会社帰りのLINEユーザーに、自宅の最寄り駅周辺の飲食店のタイムセール情報を通知すれば、ユーザーは電車の中で注文し、商品をテイクアウトして帰るような購買行動が生まれるはずです。飲食業界は人手不足が深刻です。「LINEデリマ」でテイクアウトの注文を可能にし、飲食店が配達の人員を増やすことなく売り上げを増やせる仕組みを提供します。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

中国直販EC最大手JD.comの創立セール取扱高は2.7兆円! ザリガニは3373万匹も売った

7 years 5ヶ月 ago

中国直販EC最大手のECサイト「JD.com(京東商城)」を運営する京東集団が6月18日までに行っていた大規模セールイベント「京東618」で、1~18日までの取引額は前年比32.8%増の1592億元(約2.7兆円)だった。

2017年の「京東618」の取引高は1199億元で、日本円ベースでは約1.9兆円。昨年と同様(2017年は37%増)に30%台の高い成長率を維持した。6月18日は京東集団の会社創立記念日。毎年6月に大規模セールイベントを行っている。

「JD.com(京東商城)」を運営する京東集団が6月18日までに行っていた大規模セールイベント「京東618」で、1~18日までの取引額は前年比32.8%増の1592億元(約2.7兆円)だった

JD社内で公表された「京東618」の取扱高

中国で有名なネット通販の買い物の祭典「独身の日」(W11、ダブルイレブン)では2017年、アリババグループの取扱高(GMV)は1682億元(日本円で約2兆8594億円、1元17円換算)。JD.comの「独身の日」キャンペーンの取扱高は1271億元(日本円で2兆1607億円)だった。

なお、日本国内に目をむけると、楽天の2017年度(2017年1~12月期)国内EC流通総額は3兆3912億円。ネッ担編集部の推計によると、2017年の「Amazon.co.jp」の流通総額は少なくとも2兆円超。2018年3月期におけるヤフーのeコマース国内流通総額は2兆1000億円。

「JD.com(京東商城)」を運営する京東集団が6月18日までに行っていた大規模セールイベント「京東618」で、1~18日までの取引額は前年比32.8%増の1592億元(約2.7兆円)だった

過去最高の取扱高を記録した

2018年「618」キャンペーンのトピック

商品を顧客に届ける「ラストワンマイル」を自社で手がけるJD.comによると、キャンペーン期間中の注文当日もしくは翌日に配送が完了したのは注文全体の9割超にのぼったという。

膨大な注文や問い合わせへの対応については、本格導入した人工知能(人工知能)搭載のAIサポートサービスが24時間対応。チャットボットでの問い合わせ約1600万件の内、87%をAIサポートサービスが解決したという。

AIサポートサービスは、JD.comが独自開発した感情分析システム「NeuHub」に基づき、消費者の感情を正確に識別。「親切で心の行き届いたサービスを提供することができた」(広報担当者のJD.com京東日本・張云澤さん)。AIサポートサービスの導入によって、顧客満足度は57%上昇したとしている。

2018年は、荷物の持ち運び負担を軽減するための配送スタッフ向けパワースーツの整備、無人配達車などの活用(無人配達車は最大30個の配達用の箱を搭載し、最速15キロの速度で荷物を配達する)を進めたという。

また、中国ではサッカー熱が高まっており、自宅でお酒を飲みながら「FIFAワールドカップ」を観戦する人が多かったようで、「サッカーを見ながらザリガニ料理を食べる人が多かったのではないか」(JD.com京東日本・張云澤さん)。キャンペーン期間中、ザリガニは累計3373万匹も売れたという。

取扱高は前年比32.8%増の1592億元(約2.7兆円)を記録したJD.comの創立セールでは、ザリガニが3373万匹も売れた

「JD.com」では多くのザリガニが販売されていた(画像は編集部がキャプチャ)

また、不動産販売も行っており、南太平洋にあるバツアヌの「珊瑚礁島」が最終価格1250万元で落札されたとしている。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

ナノ・ユニバースが受注生産型のファッションECを開始

7 years 5ヶ月 ago

アパレルメーカーのナノ・ユニバースは6月15日、受注生産方式による衣類のネット通販を開始した。

コートやジャケット、Tシャツなど7品目を、それぞれ50〜100点限定で販売。注文数が規定数量に達した段階で生産を開始する。

シタテルが提供している生産一体型ECパッケージ「SPEC」を活用し、ナノ・ユニバースの公式オンラインストアに特設ページを開設した。

ナノ・ユニバースは受注生産方式による衣類のネット通販を開始

特設ページで注文を受け付けている(画像は編集部がキャプチャ)

「SPEC」は、注文ページの構築や縫製工場への発注など、受注生産に必要なシステムをワンストップで提供するサービス。全国500拠点以上の縫製工場や生地メーカーと連携しているという。

「SPEC」を利用して受注生産方式のECを行う場合、縫製工場への生産委託費が発生するほか、システム手数料として売上高の一部をシタテルに支払う。

ナノ・ユニバースが販売している商品は以下の通り。

  • テックフィールドコート(2万8080円)
  • ユーティリティライトジャケット(2万1600円)
  • シャロークルーネックTシャツ(6264円)
  • シャローVネックTシャツ(6264円)
  • ユーティリティライトパンツ(1万6200円)
  • ソフトエアポロシャツ(1万260円)
  • ユーティリティライトベスト(1万40円)

シタテルは、衣服生産プラットフォームサービス「sitateru(シタテル)」を運営している。国内の縫製工場と連携し、小ロットの生産委託などにも対応。連携するパタンナーや生地メーカーなどのデータベースを活用し、シタテル専属の生産コンシェルジュが衣服生産における課題解決をサポートするとしている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

「Yahoo!ショッピング」の地震対応に出店者から称賛の声があがった理由

7 years 5ヶ月 ago

大阪府北部を震源とするマグニチュード6.1の地震で、「Yahoo!ショッピング」の震災対応について店舗から称賛の声があがっている。

配送遅延を考慮した低評価レビューへの対応

ヤフーは地震が起きた6月18日、出店者に対して「大阪府を中心とした地震の影響に伴う低評価率集計について」という案内を出した。

その内容は、6月11日(月)以降の注文について、ストアへの低評価を低評価率集計から一定期間、全注文を対象に除外するというもの。「地震の影響にて、物流に影響が生じ、お客様にご迷惑をかける場合があると弊社にて判断いたしました」(ヤフー)という。

店舗へのお知らせ

(原文ママ)
6月18日(月)に発生した大阪府を中心とした地震の影響に伴い、
低評価率集計から一定期間、全注文の評価数を
除外いたしますので、ご連絡いたします。

※地震の影響にて、物流に影響が生じ、
 お客様にご迷惑をかける場合があると弊社にて判断いたしました。

詳細は下記をご確認ください。

■低評価率集計除外対象
6月11日(月)以降の注文の評価を集計から除外します。
※通常の状態に戻すタイミングは未定です。
 決まり次第、別途ご連絡いたします。

※低評価率の集計から除外するのみで、評価・評価コメントは
 これまで通り残ります。

■出店者様への影響
・ストア低評価の低評価率集計への反映を一定期間停止します。
・低評価率集計から6/11以降の注文の評価を除外します。
 なお、地震の地域に関連する注文に限らず、全注文一律除外します。

■お客様への影響
お客様への影響はございません。

震源地の大阪府内では交通網が混乱し、一部地域で集荷や出荷が出来ない状況が発生している。また、関西地域以外に配送拠点を置く企業でも、西日本への出荷に影響が出ているケースもある。

こうした状況を鑑み、地震によって生じた低評価が集計対象に参入されることによる影響を懸念。地震の影響が収束するまでの一定期間、低評価率集計から除外することを決めた。

ヤフーでは、出店者の品質向上を目的に、「Yahoo!ショッピング」が定めた基準を超えた低評価率の店舗については、検索結果、カテゴリリストページ、「おすすめ順」の商品表示順位が最後尾まで低下する対策を行っている。

出店者からは「素晴らしい」「安心して店舗運営にあたることができる」といった声があがっている。

「Yahoo!ショッピング」のヘッダーでお知らせ

「Yahoo!ショッピング」は地震が起きた6月18日、ヘッダー部分に「地震の影響で受注連絡や配送遅延などが発生する場合があります。」というお知らせを記載。リンクをクリックした際のお知らせページでは、「地震の影響による配送遅延」「ストアからの受注連絡」などが発生するケースがあることを告知した。

「Yahoo!ショッピング」は地震が起きた6月18日、ヘッダー部分に「地震の影響で受注連絡や配送遅延などが発生する場合があります。」というお知らせを記載

地震の影響を記載したヘッダー(画像は編集部がキャプチャ)

楽天の2017年度(2017年1~12月期)国内EC流通総額は3兆3912億円。ネッ担編集部の推計によると、2017年の「Amazon.co.jp」の流通総額は少なくとも2兆円を超えている。2018年3月期におけるヤフーのeコマース国内流通総額は2兆1000億円。

「2020年代初頭、楽天やAmazonを超える国内NO.1のECサービスになる」というミッションの実現をめざすヤフーにとって、トップの楽天を追い上げるには多くの注文を獲得したいところ。

ヘッダー部分への「地震の影響で受注連絡や配送遅延などが発生する場合があります。」という記載は、顧客の離脱にもつながる可能性があるのも事実。

ただ、こうした対応について出店者からは感謝の声が。本社を大阪府内に置くある出店者は「スタッフの出社が地震の影響で遅れていた。遅延発生の可能性などを店舗として告知したかったがスタッフが来ないと更新作業ができない。だが、「『Yahoo!ショッピング』がページに掲示したので、消費者へのお知らせにはなったと思う」と言う。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

トラブル総額は4.9兆円。CtoCや終活に関するトラブルも増加。平成29年度消費者白書【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

7 years 5ヶ月 ago

今回は消費者白書に注目しました。特に20代男性は賃貸アパートに関するトラブルが多く、「必ずもうかる」といった詐欺にも引っかかりやすいといった結果が出ています。詐欺の手口も巧妙化していますので、現在の傾向を見ておくと、20代男性に限らず自己防衛に役立つかもしれません。ショップの皆さんはこういった悪質な業者と間違われないような努力が必要です。

仮想通貨、CtoC、終活などでトラブルが増えています

消費者白書等|消費者庁
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/

まとめると、

  • 2017年、被害やトラブルの元になった商品やサービスに対し、消費者が支払った総額は推計約4.9兆円
  • Webを利用したデジタルコンテンツ等の相談件数が24.7万件と突出している
  • 性別・年齢層別では、男女共に60歳代の相談件数が多く、インターネット通販に関する相談が訪問販売に関する相談を上回る

2017年度は上記以外にも終活や仮想通貨に関するトラブル、20代男性に多い賃貸アパートのトラブル、CtoCのトラブルが増えているのがポイントです。このまとめでは何度も書いていますが、これだけのトラブルがあるということは、ネット通販全般への信頼度が下がっているということなので、決済、配送、問い合わせなど、信頼してもらうためのコンテンツはしっかり書いておきましょう。

どうする? AIスピーカーの誤認識や言い間違いによる注文

経産省がAIスピーカーによるネット通販について見解を公表 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5522

まとめると、

  • 電子商取引(EC)に関する規則を定めた「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改定し、ルールを明文化していく
  • 想定している課題は、①AIスピーカーが音声を誤認識した場合、②AIスピーカーに対して発注者が「言い間違い」をした場合の2点

※①に関してはAIスピーカーが認識した注文内容をユーザーに通知し、ユーザーから確認が得られた場合に注文を確定することが有用としている。 ②に関しては発注が完了する前に発注内容に誤りがないかを確認する機能などを想定している。

何気ない会話で注文されてしまう可能性も無いわけではないですよね。AIスピーカーでのトラブルは今後増えてくると思われますので、こうして議論が進むのは良いことですね。記事中にもあるように、「タイヤ」と「ダイヤ」を間違われたらたまったものではないですから(笑)。

関連記事

もはや防ぐことができないのでは……と思ってしまう事例

巧妙化するECサイトへの不正アクセス。セシールの被害は「二重登録防止機能」の悪用が原因 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5509

不正アクセスの手段は以下の通り。

  1. 攻撃者は外部で不正に入手したメールアドレスを用いて新規顧客登録を申請
  2. すでに登録があるメールアドレスは登録できないようにする「二重登録防止機能」を悪用し、登録済みのメールアドレスを確認
  3. 登録済みのメールアドレスでリストを生成し、外部で別途不正に入手してあったパスワードを使って不正ログインを試行

ディノス・セシールによると、6月2日午前0時頃から、16万5038件に上る新規顧客登録申請があったという。16万5038件のうち3533件は登録済みで、新規顧客登録ができなかった。不正アクセス1938件すべてが、3533件に含まれていたという。

怪しげな新規会員登録が大量にあった時点で攻撃されているとこはわかりそうですが、その対策となるとなかなか難しそうです……。攻撃者の手口はどんどん巧妙になっていますので、こうした事案に学んで対策していくしかなさそうです。

EC全般

ZOZOがオーダーシャツをリリースしたので、最近のオーダーサービスをまとめてみた | Topseller.Style
http://topseller.style/archives/7672

意外に小さい市場規模。ZOZOスーツという武器があるから自信があるんでしょうね。

メルカリ、バーコード読み取り出品が可能に | ASCII.jp
http://ascii.jp/elem/000/001/691/1691049/

5周年を迎えるメルカリ、7都市でリアルフェス「mercari Merci Fes.」を開催 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/5787

メルカリ ?本当にあった怖いコメント10選。 | ゲムぼく。
http://gameboku.blog.jp/archives/74950527.html

メルカリ関連を3つまとめて。便利になって拡大施策もどんどんやりながら、ちょっと闇の部分もありますね。

「現地からの視点~アフリカの商慣習」-ビィ・フォアードだけが知るリアルなアフリカビジネス-Vol.1 | BE FORWARD
https://africabusiness.beforward.jp/africa_business/bfafricabusinessfromafrica1/

越境ECというか違う国で商売するには、その国のことをしっかり知っておかないといけないですね。

【ニュース】Googleが小売店舗向けの広告メニューを強化へ | Unyoo.jp
http://unyoo.jp/2018/06/shoppingactions/

日本で使えない機能もありますが、Googleでの買い物がどんどん便利になってきています。

2018年5月 モバイル決済 利用者・未利用者比較調査 | MMD研究所
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1713.html

QR決済よりも「かざすだけで決済したい」という人が多いというデータ。

見えすぎて困る…Facebookの「フォトハラ」にご用心 | 日経トレンディネット
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/column/17/011800066/061100014/

机の上、社内、風景など、ちょっとしたことで情報が漏れたりしますので細心の注意を。

アリババの「AI+ロボット」はEC業務をどう変える?[人工知能活用が進む中国ECの今] | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5517

現時点でのAIとの付き合い方はこうだよ、というお手本のような記事。

今週の名言

マーケティングは、頭で考えるフェーズは全体のほんの少しです。すべては現場の行動にかかっています。施策の失敗は現場が動かなかったせいではありません。現場を動かせなかったマーケターにあるのです。

あなたのマーケティング策が失敗する、たった一つの理由【コメ兵 藤原義昭】 | Agenda note
https://agenda-note.com/retail/detail/id=246

「動け」と言って動くわけがないですよね。ユーザーにも社内にもメリットがある施策を考えるのがマーケターの仕事。

森野 誠之

運営堂

運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジションを活かしてWeb制作や広告にこだわらず、柔軟で客観的な改善提案を行っている。理系思考&辛口の姿勢とは裏腹に皿洗いを趣味にする二児のパパ。

森野 誠之

楽天が出店者向け保険サービスを開始、法務・税務の専門家無料紹介も行う取組とは? | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

7 years 5ヶ月 ago

楽天は「楽天市場」の出店店舗向けの損害保険サービス「市場店舗限定 経営者様向けサポート制度」、「法務」「税務」の専門家を無料で紹紹介する取り組みを6月18日から始めた。

楽天が保険契約者となり、出店者を被保険者として保険者と保険契約を締結する団体保険商品「サイバー(情報漏えい)保険」「PL(生産物賠償責任)保険」を開発。企業単体で加入するよりも手頃な価格で契約できるようにする。

楽天グループの楽天インシュアランスプランニングを取扱代理店として提供していく。

「法務」「税務」の専門家紹介は、弁護士ドットコムグループと連携して提供する。

楽天が提供する「市場店舗限定 経営者様向けサポート制度」、「法務」「税務」の専門家無料紹介の内容
「市場店舗限定 経営者様向けサポート制度」、「法務」「税務」の専門家無料紹介の内容
楽天が市場出店者に向けて提供する保険や経営者向けサービス
楽天が市場出店者に向けて提供する保険や経営者向けサービスについて(一部、今後の構想も含む)

団体保険制度

サイバー(情報漏えい)保険

  • 契約形態:保険契約者を楽天、被保険者を楽天市場出店店舗とする団体契約
  • 補償内容:個人情報漏えいにより負担する法律上の損害賠償責任とお詫びや謝罪広告などの漏えい対応費用を補償。被保険者への情報セキュリティ診断サービスも提供
  • 年間保険料水準:1万2000円~
  • 取扱代理店:楽天インシュアランスプランニング
  • 引受保険会社:三井住友海上火災保険

PL(生産物賠償責任)保険

  • 契約形態:保険契約者を楽天、被保険者を楽天市場出店店舗とする団体契約
  • 補償内容:販売した商品に起因して、国内で第三者の身体の障害および第三者の所有物の損失が発生した場合の賠償責任を補償。「楽天市場」を通じての販売に限らず、被保険者が「楽天市場」以外で運営するネットショップ・リアル店舗、イベントなどでのリスクも補償。製造業、食品製造・販売業、輸入販売業のPLリスク対策に活用できる
  • 年間保険料水準:6000円~
  • 取扱代理店:楽天インシュアランスプランニング
  • 引受保険会社:三井住友海上火災保険、朝日火災海上保険(7月2から「楽天損害保険株式会社」に商号変更)

また、楽天生命が提供する経営者向け定期保険を活用した「決算対応」「事業継続」「事業資金準備」など企業経営に役立つファイナンスに関する情報提供も行う。

楽天生命が提供する「経営者定期保険」の契約者に向けて、企業経営に役立つ情報提供を行うもの。「経営者定期保険」は、保障内容や保険期間によって保険料の一部または全額の損金算入、保障を継続したまま所定範囲内での契約者貸付が利用できるのが特徴。

経営者の万一への保障を確保しながら、将来に向けた資産形成ができる保険として、楽天市場店の経営者向けに提供していく。

楽天が市場出店者に向けて提供する団体保険制度の一覧サービス
団体保険制度のサービス一覧

税務・法務の相談窓口サービス

弁護士ドットコムと提携し、店舗向けの相談窓口を開設。ECモールのビジネスに知見を持つ、法務や税務の専門家を無料紹介する取り組みも始める。

弁護士ドットコムグループと連携し、店舗経営者に「法務」「税務」の専門家を無料で紹介するサービス。ユーザートラブル、契約締結、特定商取引、知財・特許、決算対策、EC特有の税務処理、税調対応などに対応する。

◇◇◇

楽天はこれまで、「安心・安全への取り組み」を掲げて「楽天市場」利用者向けの補償サービスを拡充。出店者向けにはチャージバック補償を中心に補償制度の拡充を進めてきた。

楽天が「楽天市場」の消費者・出店者に向けて整備を進めてきた補償制度について
楽天が「楽天市場」の消費者・出店者に向けて整備を進めてきた補償制度について

今回の保険を中心とした補償サービスもその一貫。出店者が抱えている課題などを保険サービス、紹介サービスといった取り組みを通じて解決していく。

楽天は6月、楽天生命、朝日火災海上保険、楽天少額短期保険、楽天インシュアランスプランニング、楽天アンセルインシュアランスの保険関連の子会社5社を統括する中間持株会社「楽天インシュアランスホールディングス株式会社」を7月2日に設立すると発表。

5社が一体となって最適な保険サービスを提供し、多様化する顧客の保険ニーズに対応するとしている。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

グーグルと中国小売大手JD.comが資本・業務提携した理由

7 years 5ヶ月 ago

中国直販EC最大手のECサイト「JD.com(京東商城)」を運営する京東集団は6月18日、Google(グーグル)と戦略的提携を締結し、その一環として約600億円(5.5億ドル)の出資を引き受けたと発表した。

京東集団とGoogleは、東南アジア・米国・欧州などを対象に、小売ソリューションの開発などを共同で展開するとしている。

京東集団が保有するサプライチェーンとロジスティクス領域における知見やインフラ、グーグルの技術力を活用し、次世代の小売インフラを構築。便利でパーソナライズされた快適なショッピング体験を世界中に提供するとしている。

パートナーシップの一環として、JD.comが「Googleショッピング」に参加。検索エンジンでGoogleを利用する世界中のユーザーへアプローチできるようにするという。

東南アジア市場でJD.com+グーグル連合×アリババグループ×Amazonの戦いへ

京東集団がグーグルの出資を受け入れた背景には、約6.3億人を抱える東南アジアの消費マーケットの開拓があると考えられる。

グーグルと投資会社のTemasekが東南アジアのインターネット市場をまとめた『e-Conomy SEA Spotlight 2017』によると、2017年にインターネットを活用する月間アクティブユーザー数は3.3億人。世界で3番目のインターネットユーザー数を抱えているという。

東南アジアのユーザーは、ネット通販にアメリカ人の2倍もの時間を費やしており、EC市場規模は2025年までに881億ドルまで拡大すると予測している。

東南アジアのインターネット経済市場規模
東南アジアのインターネット経済市場規模(単位は十億米ドル、『e-Conomy SEA Spotlight 2017』からキャプチャ

アリババは東南アジア最大手のLazadaを買収

東南アジア市場では、アリババグループが東南アジア市場最大といわれるEC企業Lazada(ラザダ)を買収し、東南アジアでのネット通販に本格進出。また、シンガポール国内で郵便事業を行うシンガポールポストへの出資、インドネシアのEC企業であるTokopedia(トコペディア)にも投資している。

アリババグループの東南アジア事業で中核を担うとみられるラザダは、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムなどで事業を展開。タイのKerry Logistics NetworkやDHL、インドネシアのJNE Expressなど100社以上と連携し、提携パートナーがラストワンマイルを担っている。

Amazon、シンガポールを拠点に東南アジアへ?

米Amazonも東南アジア市場を狙う一社。2017年7月、商品を2時間以内に配達する「Prime Now」をシンガポールでスタート。ラザダと同様、シンガポールを拠点に、東南アジア圏へ販売網を広げていくという見方があがっている。

京東集団は自前主義を中心に市場を開拓中

京東集団はインドネシアへ2015年に進出。現地法人PT Jingdong Indonesia Pertamaは1000人を超えるスタッフを抱え、自前で配送網を構築。中国で培った直販、プラットフォーム事業のノウハウを生かし、ネット通販を展開している。

また、2017年にはタイの小売大手セントラルグループと合弁会社JDセントラルを設立し、2018年内にECプラットフォームを立ち上げると発表。セントラルグループの知見、京東集団の物流力、AI技術、サプライチェーンを管理する技術などを融合するとしている。

ベトナムではテンセントの子会社であるVNGと共同で「Tiki(ティキ)」に出資。京東集団は「ティキ」の大株主になったという。

「ティキ」は毎年3ケタ桁の成長率を維持し、ベトナムのインターネット業界への貢献を表彰する政府部門における「ベトナムECへ最も影響力のある企業トップ10」入りも果たしたという。

京東集団は現地企業への出資、合弁設立、もしくは自前構築で東南アジア各国へ進出方針を掲げている。こうした方針を維持しながら事業規模を広げていくためには、世界的に検索のトップシェアを握るグーグルとの連携が不可欠と判断したと考えられる。

アウンコンサルティングの調査によると、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナムといった東南アジアでは、グーグルが圧倒的な検索シェアを占める。

アジア地域における2018年2月度のPCとモバイルの主要検索エンジンシェア
2018年2月度のPCとモバイルの主要検索エンジンシェア(アウンコンサルティングのリリース

「Googleショッピング」はベトナム、マレーシア、ベトナム、タイ、インドネシア、シンガポールといった東南アジアでも提供されている。京東集団がパートナーシップの一環として「Googleショッピング」に参加したのも、東南アジアに住むネットユーザーの検索ニーズを獲得するためでもある。

ショッピング広告に力を入れるグーグル、東南アジア市場をJDと開拓

グーグルにとって、ショッピング広告は成長を続けている注力領域。京東集団との資本・業務提携により、市場拡大が見込まれる東南アジアの小売・ECマーケットを攻略することができるようになる。

たとえば、2018年3月に公表した「Googleショッピング」の新しい機能「Shopping Action(ショッピングアクション)」。これは、モバイルとデスクトップでの検索結果、Google Express(グーグルが提供する食品などの即日宅配サービス)、Google Assistant(グーグルが提供するAIの音声アシスタント)、Google Home(会話型AIのGoogle アシスタントを搭載したスマートホーム機器)に商品情報を掲載し、商品購入までをサポートする広告商品だ。

従来型のクリック課金ではなく売上課金型の広告で、より小売企業のビジネスモデルに沿った広告サービスとなっている。また、グーグルはユニバーサルショッピングカートを提供。1クリックによる商品の再購入、過去の閲覧・購入履歴を用いたパーソナライズされた商品レコメンド機能を広告主に提供するという。

グーグルが提供する売上課金型の新しい広告「Shopping Action(ショッピングアクション)」
「Shopping Action(ショッピングアクション)」のイメージ(画像はグーグルのブログからキャプチャ)

「Shopping Action」を導入した米国の大手小売企業Target(ターゲット)では、「間もなく、『Target.com』とGoogleのアカウントを連携し、よりパーソナライズされた直感的なショッピング体験を作り出すことができる」と説明している。

現在、「Shopping Action」は米国のみの提供だが、東南アジア圏でも展開する可能性は大きい。Walmart(ウォルマート)、Costco(コストコ)、Walgreen(ウォルグリーン)など米国では小売企業との連携を強化するグーグル。東南アジアで「Googleショッピング」を強化するには、小売企業である京東集団は最適なパートナーだったと言える。

グーグルのアジア太平洋地域担当プレジデントであるカリム・テムサマニ氏は、「GOOGLE IN ASIA」のサイトで次のように述べている。

私たちは、小売企業が東南アジアを含む世界中のさまざまな国々で、有用でパーソナライズされた高品質のサービス提供を加速したいと考えている。JD.comのサプライチェーンと物流の専門知識、技術力を活用して、小売企業が消費者に簡単な買い物経験を提供し、どこでも好きな場所で買い物できる新しい方法を模索する。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実
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