ネットショップ担当者フォーラム

佐川急便が置き配「指定場所配送サービス」をスタート

5 years 6ヶ月 ago

佐川急便は5月18日から、「指定場所配送サービス」を開始する。

佐川急便はこれまで、コンビニエンスストアでの荷物の受け取りや、宅配ロッカーの活用、配達日時を指定するサービスなど、ユーザーの行動に合わせた受け取り方を提案してきた。

今回、荷物を受け取る人が希望する場所に届けする「指定場所配送サービス」を新たな受け取り方法として開始、さまざまな受け取り方法を提供する。

「指定場所配送サービス」は、個別契約を結んでいる荷主から出荷される荷物が対象となる。配達時に、受取人が指定する玄関先や車庫内などの場所に荷物を届ける。指定場所に荷物を届けた際、佐川急便のセールスドライバーが配達状態を撮影する。

配達対象となるのは「飛脚宅配便」「飛脚航空便」「飛脚ジャストタイム便」。これらの配送に対して、時間帯指定サービス・指定日配達サービスの併用が可能となる。

配送キャリアでは、日本郵便がすでに、あらかじめ届け先から指定された場所(玄関前、置き配バッグ、宅配ボックス、車庫、物置など)に非対面で荷物などを届ける置き配サービスを実施している。対象となるサービスは、郵便受け箱または差し入れ口に入らない「ゆうメール」「ゆうパケット」「郵便物」のほか、「ゆうパック」「国際郵便物」。

ヤマト運輸は、受取人がインターホンなどで希望場所をセールスドライバーに伝えれば、玄関前などに荷物を置く非対面受け渡しを実施している。受取人から希望があった旨をセールスドライバーが配達票に記載することで、受領印に代えている。なお、電話などの依頼による不在中の配送は受け付けつけていない。

石居 岳
石居 岳

ワールドのEC事業など含むデジタル事業の売上収益は250億1900万円【2020年3月期】

5 years 6ヶ月 ago

パレル事業などを手がけるワールドが5月7日に公表した2020年3月期連結決算(国際会計基準)によると、EC事業を含む「デジタル事業」の売上収益は前期比1.8%増の250億1900万円だった。

売上収益は前の期を上回ったものの、EC事業におけるポイント値引きや配送のコストが増加したほか、M&Aやシステム投資などが先行したことから、セグメント利益は4億4600万円の赤字となった。

「デジタル事業」ではファッション通販サイト「ワールドオンラインストア」や他社の公式ECサイトの運営受託、越境ECサイト「FASBEE」の運営などを手がけている。

また、子会社のファッション・コ・ラボを営業窓口とし、他社に基幹システムや顧客管理システムなども提供している。

このほか、ユーズドセレクトショップ「ラグタグ」を運営するティンパンアレイ社、オンラインカスタムシャツブランド「オリジナルスティッチ」を運営するオリジナル社、ブランドバッグに特化したサブスクリプション型のレンタルサービスを手がけるラクサス・テクノロジーズ社などの事業も含む。

セグメント利益は4.6億円の赤字

EC事業は販売競争の激化でポイント値引きが増加したほか、配送費も高騰したとしている。

また、情報システムへの投資やM&Aの費用などが利益を圧迫。「デジタル事業」のセグメント利益は2019年3月期の8億8500万円から、2020年3月期は4億4600万円の赤字に転落した。

渡部 和章
渡部 和章

ニトリグループの最新技術を活用した「共同配送事業」「新・配車システム」構想とは

5 years 6ヶ月 ago

ニトリの物流を始め、他社向けにも物流事業を外販するニトリグループのホームロジスティクス(ホームロジ)・深作康太氏(最高情報責任者、ソリューション事業本部本部長)へのインタビュー。前編に続き、後編ではホームロジが注力する、最新技術を流通に活用した大型プロジェクトの中身を紹介する。

深作氏は、ホームロジの提携先である運送会社約150社を中心に、二次請け、三次請け、荷主、各種ベンダーを巻き込む壮大な構想を描く。プロジェクトは何段階かに分かれる予定だが、第一弾として「配車システム」を整備。まずは自社利用からスタートする形で、2020年秋のローンチをめざす。

データの電子化が生み出す2つの事業

ニトリグループは、物流・配送関連データの電子化により何を始めようとしているのか。深作氏によると、考えている事業が2つあるという。1つは共同配送事業。もう1つは配車システムの整備だ。

運送会社の「年間稼働率100」をコミットするための共同配送

ドライバーのスキルや車格などのデータを電子化できると、繁忙期など車両が足りなくなる時期においては運送会社を経由しなくても、ホームロジとドライバーとの「直接契約」が可能になる。

近年は物流費の高騰が社会問題となっており、「日々対応を模索しているニトリとしては、自社でなんとかしたいという思いがある」(深作氏)。

加えて、「現在、二次請け、三次請けは運送会社さん任せになってしまっている。契約の価値を平等に連鎖させることをしないと取り組みが前に進まない」(深作氏)と、「価値の平等の連鎖」という表現を用いて変革を起こしていきたいとする。

ホームロジスティクス 深作康太氏(最高情報責任者、ソリューション事業本部本部長)
ホームロジスティクス 深作康太氏(最高情報責任者、ソリューション事業本部本部長)

しかしドライバーとの直接契約を無理に進めると、運送会社の反感を買ってしまう恐れがある。ホームロジの外販事業は、提携先の運送会社の協力なしでは推進できない。ホームロジとしても運送会社とぶつかり合うような事態は避けたいところだ。

そこで双方にとって「Win-Win」の関係を維持するために深作氏が考えたのが、「共同配送」モデル。

ホームロジの年間の稼働車両台数を数値化したところ、引っ越しシーズンの4月の稼働率が高いが、夏は稼働が落ちていることがわかった。

ピークの4月の稼働率を100とすると、夏は80に物量が落ちる。つまり車両の稼働率も80に落ちることになる。ニトリグループとして実現したいのは、運送会社に対し、年間を通して車両の稼働率を100にするというコミットだ。(深作氏)

4月を標準とした場合、他の月でどのくらいの活用余地が出るか。ホームロジの試算では、4月以外すべての月で活用余地があるという。

深作氏は、「この波動を意識し、たとえば夏場であればその時期に需要があるアパレル、飲料、スポーツ用品などの他の企業と組み、共同配送を実現していきたい」(深作氏)と息巻く。

車両の安定供給を実現することで、ドライバーとの直接契約についても理解を得たい考えだ。

ホームロジが描くビジョン
ホームロジが描くビジョン(画像はホームロジが提供)

ニトリグループ独自開発の配送システム

もう1つ、深作氏が考えているのが「配車システム」だ。配車システムには、主に以下2つの役割がある。

  1. トラックがどういう順番で配送先を回ったら、効率化するかを計算する機能
  2. トラックが今どこにいるのかを動態管理する機能

すでに国内外合わせて配車システムは複数あるが、「ニッチな業界」ならではの課題がある。それは、パッケージ販売されているケースがほとんどということだ。

パッケージによるメリットは大きいものの、機能の重複、高額化しやすい、導入企業がすべての機能を使いこなせないといったデメリットもある。

そこで深作氏が進めているのが、「機能の切り売り」だ。

パッケージ販売している各社の得意な機能を組み合わせて、1つのソリューションにする。(深作氏)

ホームロジが開発を進める配車ソリューションの特徴
ホームロジが開発を進める配車ソリューションの特徴(画像はホームロジが提供)

ホームロジは現在、宅配ルート作成、測量、継走経路など、それぞれの分野で強みを発揮する数社と共同でサービス開発を進めている。

まずは各社が得意とする機能を組み合わせたり、実際の利用を見込む荷主からの要望をヒアリングしたりするなどして、システムに必要な500機能を洗い出した。一部はこれから開発予定の機能も含まれる。

「誰でも使いやすいUIをめざす」(深作氏)と、深作氏がシステム作りにおいて一番こだわるポイントはUIだ。

まずは2020年秋頃にローンチし、ニトリが社内で利用を開始した後に、他の荷主にも順次提供していく考え。また機能は拡充していく予定で、労務管理や請求管理のクラウドサービスを提供する会社とも話を進めている。

「APIを公開しているサービスであれば、どんどんつないでいける」(深作氏)と、物流事業に関わるすべてのソリューションを同システムに組み込んでいくという。同システムの開発にもブロックチェーンを活用していく考えだ。

◇◇◇

インプレスが5/21に開催する「ネットショップ担当者フォーラム 2020 春」にて、深作氏が登壇。「33期増収増益を続けるニトリのEC・デジタル・物流の戦略秘話」をテーマに、ニトリグループのデジタル戦略、物流改革などについて講演します。当日はオンラインでの配信となります。以下URLからお申し込みください(参加費は無料です)

ニトリグループのEC・物流戦略などが学べるオンラインセミナーイベント

公文 紫都
公文 紫都

ニトリが動画+ネット通販、次世代動画技術「TIG」を使い直感的なコマース体験を実現

5 years 6ヶ月 ago

ニトリは5月8日、ライフスタイル提案サイト「ウチソト」に、次世代動画技術「TIG(ティグ)」を採用し、動画経由で商品を購入できるようにした。

スマホやパソコンからアクセスできるWebサイト「ウチソト」内の動画コンテンツ「ウチソトシアター」、ニトリ店舗で配布しているリーフレット「ウチソト PASSPORT」のQRコードから直接アクセスできる動画をスマホで再生すると、気になるアイテムを指で触るだけで、商品情報保存できる。

動画再生終了後に、保存した商品アイコンをタップするとニトリ通販サイトでそのまま購入が可能だ。

「ウチソト」内に掲載している「TIG」採用のEC連動動画はこちらをご覧下さい。

→ https://page.nitori-net.jp/uchisoto/theater/index.html

ニトリは、ライフスタイル提案サイト「ウチソト」に、次世代動画技術「TIG(ティグ)」を採用し、動画経由で商品を購入できるようにした
「TIG」を活用したEC連動動画について

「TIG」とは、パロニムが開発・提供する次世代型動画テクノロジー。動画視聴中に、商品や音楽、料理、人物、場所など、気になったものに触るだけで、瞬間的に情報をストックし、キャッチする動画に関する最新テクノロジー。

ストックした情報の詳細ページへは、視聴中や視聴後など、ユーザーのタイミングで自由に閲覧でき、商品の購入ページなど、知りたかった情報へダイレクトにアクセスすることができる。

動画では、気になる商品や情報があっても検索するためのキーワードを考え、さらに検索先にある膨大な検索結果から、該当する情報を見つけ出すまでに面倒な手間や離脱が発生するという課題があった。

「TIG」の動画は、画面上から対象物をタップ(またはクリック)するだけで、対象情報をストックし、その情報をタップするとリンク先の詳細ページへ移動することが可能。タップ後の異動先はさまざまな選択肢から選べる機能も備えている。

編集部からのお知らせ

インプレスが5/21に開催する「ネットショップ担当者フォーラム 2019 春」にて、ニトリグループが登壇。「33期増収増益を続けるニトリのEC・デジタル・物流の戦略秘話」をテーマに、ニトリグループのデジタル戦略、物流改革などについて講演します。当日はオンラインでの配信となります。以下URLからお申し込みください(参加費は無料です)

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石居 岳
石居 岳

「雇用調整助成金」上限を1.5万円に拡充、休業者が直接給付金を申請できる新たな制度も創設へ【安倍首相会見】

5 years 6ヶ月 ago

雇用調整助成金を抜本的に拡充します。1日8000円余りが上限となっていた助成額を、世界で最も手厚いレベルの1日1万5000円まで特例的に引き上げる。さらに、雇用されている方が直接申請することができ、そして、直接お金を受け取れる、新たな制度を創設する。

安倍晋三首相は5月14日に開いた新型コロナウイルス感染症に関する記者会見で、政府の雇用施策に関してこのように言及。

新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げなどが減少した事業者が労働者を1人も解雇しなかった場合、1人あたり1日8330円を上限に休業手当、賃金などの一部を助成する「雇用調整助成金」を大幅に拡充する案と、勤務先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、現金を申請できる新たな制度の創設案を示した。

5月14日の第34回新型コロナウイルス感染症対策本部で、2020年度第2次補正予算案に盛り込む方針を説明。5月27日をメドに概算決定を行い、その後、国会に提出するとしている。

雇用調整助成金の抜本的な拡充案

「雇用調整助成金」は現在、新型コロナウイルス感染症の影響を受け販売量、売上高などの事業活動を示す指標「生産指標要件」が「1か月5%以上低下」し、事業主が労働者を1人も解雇しなかった場合、中小企業で90%、大企業で75%を助成するといった「雇用調整助成金」の緊急対応策を採用。

さらに、4月25日には事業主への助成率を最大94%まで拡充するといった特例措置を発表している。

これまで「雇用調整助成金」の助成率の引き上げ、条件の緩和などの特例措置を行ってきたがそれをさらに拡充。1人あたり1日8330円としていた助成金の上限額を1万5000円まで引き上げる。

雇用調整助成金に関して4月1日~6月30日までを「緊急対応策」の期間とし、政府は全国規模で雇用維持の調整を急いでいる。「緊急対応策」の対象となる事業者は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者(全業種)。

「雇用調整助成金」の拡充案が示されている一方、手続きが複雑といった声があがっている。こうした状況を受け、会見で安倍首相は次のようにコメントした。

これまで支援が遅い、届かないという厳しいお叱りも頂いている。我々はその状況を真摯に受け止めながら、何としてもそうした状況を、目詰まりを解消し、よりスピーディーにお届けするように、これからも全力で取り組んでいきたいと、こう思っている。

新たに現金を申請できる新制度

企業の選択によって、勤務先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、現金を申請できる新たな給付金制度。

雇用保険に加入していないアルバイトなどの非正規社員なども対象となる見通し。申請方法はオンラインや郵送などで申請する仕組みになると見られる。

◇◇◇

通販・EC業界では、ファンケルが直営店舗は216店舗中、205店舗を休業(4月23日時点)。休業中の店舗従業員の給与は、政府の「雇用調整助成金」などの制度を活用しつつ、100%の休業補償を行っている。

ファンケルのように実店舗を持つ企業、業績が落ち込んだ企業では、「雇用調整助成金」を活用しながら休業した従業員の給与を補償する動きが出ている。

瀧川 正実
瀧川 正実

最強ニトリの物流を支える「ホームロジ」が取り組む衝撃の“流通革命”とは。キーマンが全容を語る

5 years 6ヶ月 ago

33期連続で増収増益、今期(2021年2月期)は34期連続達成をもくろむニトリ。好調な全体業績のなかでも際立つのが、600店舗を超える実店舗とネット連動により、400億円超えに達したEC売上だ。その成長の背景には、多様化する消費者ニーズに対応するフルフィルメント体制があげられる。それを担うのがニトリのグループ会社で、物流関連事業を行うホームロジスティクス(ホームロジ)。

デジタル活用と物流面でグループを支えるホームロジの深作康太氏(最高情報責任者、ソリューション事業本部本部長)にインタビューし、ニトリの強さの源を探るとともに、ホームロジが水面下で進める“流通革命”について紹介する。

急成長のニトリを物流面から支えるホームロジとは

右肩上がりの成長を続けるニトリの2020年2月期の連結売上高は、前期比5.6%増の6422億円。EC売上高は、同14.6%の443億円と、全体業績のみならずEC売上も好調に推移している。

ニトリのEC売上高推移
ニトリのEC売上高推移(画像はニトリHDの決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

急成長中のニトリを物流面から支えるのが、ニトリの物流部門を分社化して2010年に設立したホームロジだ。自動ロボットなど最先端の技術を導入し、コスト削減と作業の効率化を実現している。

ホームロジは自社のリソースを他社にも提供し、ラストワンマイル配送を支援する外販事業(EC事業者などの物流・配送支援)も行う。会社全体の事業規模は約800億円。そのうち外販事業売上は約20億円となっている。

国内47都道府県を網羅し、人口カバー率は98%にも上る日本最大級の物流ネットワークを保有するホームロジは、小さな日用雑貨から大型の家具まで年間810万件を超える配送を請け負う。また高騰する物流コストを抑制するため、最新技術の導入によって現地での生産性向上にも注力している。

ニトリの実店舗数と買い上げ客数の推移
ニトリの実店舗数と買い上げ客数の推移(画像はニトリHDの決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

ニトリのO2Oマーケティングをサポート

近年ニトリはO2Oに力を入れており、店舗とネットを連動したマーケティング面においてもホームロジの存在は欠かせない。

たとえば、約350万人(※2019年2月時点)が利用する「手ぶらdeショッピング」。これは、ニトリのスマートフォンアプリに内蔵された機能で、アプリを利用して店舗で商品バーコードを読み取ると、買い物リストが作成されるというもの。買い物リストはECと連動しており、そのままECで購入するか、店頭で精算し自宅に配送するか選択できる。

また、ECで購入した商品を店頭で受け取る「店頭受取サービス」は、2019年2月時点で約16万件利用されている。

個人宅への配送はもちろん、このような店頭での柔軟な受取対応が成り立つのは、ホームロジの“物流力”あってこそだ。

さらなる成長に向けたニトリグループの“流通改革”

ホームロジは今、2020年秋のローンチを目処にしたITプロジェクトに乗り出している。“流通革命”とも言えるその大型プロジェクトを先導するのがホームロジの深作氏。ITやマーケティングに精通する深作氏がプロジェクトに採用しているのが「ブロックチェーン技術」だ。

「関わる人全員でデータを管理・監視するため、情報を改ざんできない」「安全にデータを記録できる」などから注目を集めるブロックチェーン。その最先端技術をニトリグループで活用する背景には、ステークホルダーの多さと電子化非対応という課題がある。

深作氏は次のように言う。

ニトリはトラックを所有していないので、配送は全て提携先の運送会社約150社に委託している。約150社の傘下に、二次請け、三次請けがいるという構造で、物流関連のステークホルダーが非常に多い。

外販事業においてはいかに車両を確保し、有効活用できるかがビジネスを回す上で重要になるが、必要な各種データを電子化できていないという課題がある。そこで当社だけでなく、関わる全ての企業がメリットを享受しながら安全に電子化プロジェクトを推進できるよう、ブロックチェーンに目をつけた。(深作氏)

ホームロジスティクス 深作康太氏(最高情報責任者、ソリューション事業本部本部長)
ホームロジスティクス 深作康太氏(最高情報責任者、ソリューション事業本部本部長)

深作氏が言う「車両の有効活用に必要なデータ」とは大きく、①車両データと、②特殊技能/スキルの2点。

①車両データ

(例)

  • 荷主から預かった荷物を運べるサイズの車両
  • 業種・業態に適した車格か(※アパレルの場合はハンガーがかけられる車格が必要)

②特殊技能/スキル

(例)

  • ドライバーが案件ごとに必要な特殊技能を持っているか(※荷主から預かった商品が大型の場合、基本は、2人が配送にあたる「2マン配送(場合によって3人が配送にあたる3マン配送)」が必要となる。さらに、配送先がマンションで階段がない場合や商品の形状によっては、外から釣り上げなければならない)
  • ドライバーが商品の配送に必要な許認可を取得しているか(※家電配送は商品によって許認可が必要)

ホームロジで扱う案件はニトリの物流・配送に関するものだけではなく、他社(外販)事業もあることから、細かなニーズが数え切れないほどある。配送に必要な、細かくかつ膨大なデータを電子化することで、「(関係する企業が)シームレスに情報を扱えるだろう」と深作氏は期待を寄せる。

ブロックチェーンは関わる全ての企業が同じ情報にアクセスできるだけでなく、技術の特性上、配送に関するものなど重要なデータが改ざんされるリスクが低い。関わる全社がリスクを負うが、その分、平等にメリットを享受できるというのがこのプロジェクトのポイントだ。

ホームロジの物流事業を支える取引先運送業者について
ホームロジの物流事業を支える取引先運送業者について(画像はホームロジが提供)

後編は、2020年秋にローンチを予定する、プロジェクト第1弾の詳細について紹介する。

◇◇◇

編集部からのお知らせ

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公文 紫都
公文 紫都

雇用調整助成金の助成額、平均賃金の算定法/無印良品がAmazonで販売開始【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

5 years 6ヶ月 ago
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    2020/5/8
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    2020/5/7
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    2020/5/12
  7. eコマース取扱高は2.5兆円、ショッピング事業取扱高1兆円、PayPay登録者2700万人突破【Zホールディングスの2019年度】

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    2020/5/11
  8. 利用率が一番高いファッションECサイトはどこ?「ZOZO」「ユニクロ」「SHOPLIST」利用状況まとめ

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    2020/5/13
  9. コロナ影響下の消費行動、ECサイト活用が加速

    多くの業種で決済件数・金額が減少していく中、取引が増加している業種からは日常生活の変容による「巣ごもり消費」の顕在化と、社会情勢の変化に伴う買い物の質の変化、高年齢層のEC利用への「デジタルシフト」の兆候など、消費行動の変化が垣間見えるとしている

    2020/5/12

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    「PayPayオンライン決済」導入のECサイトで買い物、決済額の最大10倍のボーナスを付与するキャンペーンなどを6月に実

    5 years 6ヶ月 ago

    PayPayは6月、「PayPay」のオンライン決済サービスを導入しているECサイトにおいて、「PayPay」で買い物した消費者にPayPayボーナスを決済金額の最大10倍を付与するキャンペーンなどを実施する。

    「PayPayオンライン決済サービス」を導入する加盟店のうち、PayPayが指定した店舗で、「PayPayオンライン決済」にて商品を購入した場合が対象。期間は6月1日~6月30日まで。

    対象となる参加予定サイトは、後日キャンペーンページで公表する。

    1.ペイペイジャンボ(オンライン)

    対象のECサイトにて「PayPay残高払い」で支払いを行った場合、抽選で決済額の最大10倍のPayPayボーナスを付与する。ボーナスの付与上限は、1回および期間中に10万円相当まで。

    付与するボーナスの倍率、当選本数は1等と2等で分ける。1等は決済額の10倍で1500本、2等は決済額の全額で1万5000本。

    PayPay ペイペイ キャッシュレス決済 アプリ ペイペイジャンボ ボーナス付与 PayPayボーナス PayPay残高払い
    (画像は編集部がキャプチャ)

    2.6月はオンラインがお得!最大10%戻ってくるキャンペーン

    対象のECサイトにて「PayPay残高払い」で支払いを行った場合、最大で決済額の10%のPayPayボーナスを付与する。ボーナスの付与上限は1回および期間中に5000円相当まで。

    PayPay ペイペイ キャッシュレス決済 アプリ ペイペイジャンボ ボーナス付与 PayPayボーナス PayPay残高払い
    (画像は編集部がキャプチャ)

    両キャンペーンともにクレジットカードや「PayPayあと払い」で支払った場合はボーナス付与対象外となる。

    今回のキャンペーン実施に際し、PayPayは以下のようにコメントしている。

    新型コロナウイルスへの感染拡大防止に伴う外出自粛要請を受け、生活用品をインターネットで注文したり、自宅をより快適にするための商品を購入するユーザーが増えています。

    また、ネットショッピングに力を入れる加盟店も増加していることから、ユーザーにはよりオンラインでの買い物をお得にお楽しみいただくこと、加盟店にはキャンペーンをきっかけにユーザーを呼び込み、売り上げ向上につなげることを目的として、2つのキャンペーンを同時に実施します。

    ◇◇◇

    「PayPayオンライン決済サービス」は、スマホ決済サービス「PayPay」を自社ECサイトでも利用できるPayPayの決済サービス。

    「PayPay」に登録したカード情報を使って自社ECサイトでも決済が可能になる。利用者はECサイトで商品を購入する際、PayPay決済を選択するとクレジットカード情報を入力することなく、商品を購入することができる。なお、「PayPay」の登録者数は2500万人を超えている。

    「PayPayオンライン決済サービス」と接続を予定している決済サービスプロバイダ、 ショッピングカート事業者は以下の通り。キャンペーンに参加するECサイトは、以下の決済サービスやショッピングカートを利用している事業者の中から選ばれることになる。

    決済サービスプロバイダ

    • SBペイメントサービス
    • GMOイプシロン
    • GMOペイメントゲートウェイ
    • ゼウス
    • ベリトランス
    • Boku Network Services, Inc.
    • ユニヴァ・ペイキャスト
    • アルファノートBoku Network Services, Inc.
    • SMBC GMO PAYMENT

    ショッピングカート事業者

    • aishipR(ロックウェーブが開発・販売)
    • e-shopsカートS(ハンズが開発・販売)
    • おちゃのこネット
    • カラーミーショップ(GMOペパボが開発・販売)
    • ショップサーブ(Eストアーがが開発・販売)
    • futureshop(フューチャーショップが開発・販売)
    • MakeShop(GMOメイクショップが開発・販売)
    • カゴラボ(コロニーインタラクティブが開発・販売)
    藤田遙
    藤田遙

    ロコンドがワールド子会社のファッションウォーカーを買収

    5 years 6ヶ月 ago

    靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」を運営しているロコンドは5月7日、ファッションEC事業を手がけるFashion walker(ファッションウォーカー)を完全子会社化すると発表した。

    ファッションウォーカーの親会社であるワールドからファッションウォーカーの全株式を買い取ることで合意した。株式譲渡は2020年7月の予定。

    ファッションウォーカーが運営しているファッションECサイト「FASHIONWALKER」と「LOCONDO.jp」でクロスセルを行い売上拡大をめざす。また、買収後は倉庫やITインフラを共通化することで固定費の削減効果を見込む。

    ロコンドによると、ファッションウォーカーのモール事業の取扱高は年間約50億円。ロコンドの2019年における取扱高182億円の約3割に相当する。

    ファッションウォーカーのEC事業の客層は25~39歳の女性が金額ベースで65%を占めており、ロコンドとのクロスセルの親和性は高いとしている。ファッションウォーカーブランドのECサイトは買収後も運営を継続するという。

    なお、ファッションウォーカーが運営しているEC受託事業は今回の株式取得の対象に含まない。EC受託事業はワールドグループが継承する予定。

    ファッションウォーカーは2019年12月24日の設立された。ワールド子会社のファッション・コ・ ラボからモール事業を譲り受け、2020年3月1日に事業を開始した。

    「FASHIONWALKER」の前身は、ガラケーのファッションEC市場をけん引したブランディング(当時、旧ゼイヴェル)がヤフーと共同で立ち上げたECサイト。

    ワールドは2011年、新たなECプラットフォーム事業の構築をめざしファッション・コ・ラボを設立し、同年10月にファッション・コ・ラボを通じてファッション通販事業「FASHIONWALKER(旧fashionwalker.com)」を買収した。

    渡部 和章
    渡部 和章

    新型コロナ対策でECなど強化、三越伊勢丹が取り組む3つのデジタル施策

    5 years 6ヶ月 ago

    三越伊勢丹ホールディングスは5月11日、新型コロナウイルスの感染拡大で消費行動が変化していることを受け、EC事業の強化を含む新たな中期経営計画を公表した。

    オンライン売上高の計画を上方修正したほか、チャットでスタイリストに相談できるサービスや、スマホで来店予約を行えるサービスなどを導入する。2020年6月にはWebサイトのリニューアルとアプリのリリースを予定している。

    三越伊勢丹ホールディングスは、新型コロナウイルスの感染拡大で消費行動が変化していることを受け、EC事業の強化を含む新たな中期計画を公表
    新たな中期計画(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

    2019~2021年度の3か年計画(中期経営計画)に次の3つのデジタル施策を追加した。

    1.EC事業の強化

    C事業単体の売上拡大を図る。オンラインから実店舗に顧客を誘導する取り組みに加え、購入までオンラインで完結する仕組みをこれまで以上に強化するとしている。

    2020年6月にWebサイトをリニューアルし、三越伊勢丹に関する商品やイベントの情報を一元化する。マイページ機能などを備えたアプリの提供も開始する予定。オンライン上の品ぞろえも拡充する。

    三越伊勢丹ホールディングスは、新型コロナウイルスの感染拡大で消費行動が変化していることを受け、EC事業の強化を含む新たな中期計画を公表
    EC事業の強化策(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

    2.ワン・トゥ・ワン・サービスの拡充

    顧客が外出することなく販売員とコンタクトを取れるように、スマートフォンを使ってチャットでスタイリストに相談できるサービスなど、デジタル上でワン・トゥ・ワンの接客を行う取り組みを強化する。

    三越伊勢丹ホールディングスは、新型コロナウイルスの感染拡大で消費行動が変化していることを受け、EC事業の強化を含む新たな中期計画を公表
    One to Oneマーケの実現(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

    3.デジタルを活用した安心安全の提供

    顧客の店内での滞在時間を減らしたり、店頭での混雑を避けたりするために、スマホを使って来店予約や事前決済、電票の電子化、混雑情報の確認などを行えるようにする。

    三越伊勢丹ホールディングスは、新型コロナウイルスの感染拡大で消費行動が変化していることを受け、EC事業の強化を含む新たな中期計画を公表
    安心と安全の提供(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

    オンライン売上高は当初計画の250億円から上方修正

    2020年度(2021年3月期)におけるオンライン売上高の計画は、当初は250億円に設定していたが、新たなデジタル施策を追加したことを踏まえて計画を上方修正する方針。中期経営計画の修正内容は2020年11月に公表する予定。

    三越伊勢丹ホールディングスは、新型コロナウイルスの感染拡大で消費行動が変化していることを受け、EC事業の強化を含む新たな中期計画を公表
    中期経営計画への対応(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

    なお、新型コロナウイルスによる影響を見通すことが難しいとして、2021年3月期の業績予想は5月11日時点では未定としている。

    新型コロナウイルスの感染拡大を受けて店舗の休業や営業時間の短縮を行った影響で、売上高は急減している。2020年4月の月次売上高は前年同月比21.9%にとどまった。5月11日時点で、一部の食品とEC事業のみが営業しているという。

    渡部 和章
    渡部 和章

    「PayPay」累計決済回数が10億回を突破。キャンペーン実施や利用店の増加が成果につながる

    5 years 6ヶ月 ago

    PayPayは、5月9日時点でキャッシュレス決済アプリ「PayPay」を利用した支払いの累計決済回数が10億回を突破したと発表した。2018年10月5日のサービスの提供開始から約1年7か月で達成したことになる。

    PayPay ペイペイ キャッシュレス ミニアプリ 累計決済回数10億回突破 キャッシュレス決済

    利用者側のメリットを拡大

    PayPayは今回の達成理由について、以下の取り組みをあげた。

    • 毎月、全国の加盟店でさまざまなキャンペーンを実施
    • 利便性向上に向けたアプリ改善
    • 実店舗・オンライン店舗など加盟店の開拓
    • ユーザーが不正利用の被害に遭った際の、全額保証制度
    • 24時間365日相談可能な電話窓口の設置

    また、新型コロナウイルスの影響でテイクアウトやデリバリーサービスの需要が増えていることを受け、「ミニアプリ」機能を使用した取り組みを実施。「Uber Eats」などのデリバリーサービスへの対応や、今後は事前注文サービス「PayPayピックアップ」の提供を予定している。

    厚生労働省が発表した新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」内で、「PayPay」など電子決済の利用が実践例として紹介されていることを受け、「ユーザーや加盟店が『PayPay』を利用することで、『人との接触を8割減らす』という目標に貢献できている」とPayPayはコメントしている。

    加盟店側にとってのプラス要因も

    キャッシュレス決済を導入していなかった中小規模の事業者が「PayPay」を利用していることも、達成理由という。

    加盟店のメリットは、条件や期日はあるが決済システム利用料や初期投資が不要な点や、最短で翌日に決済金が入金される点などがあげられる。また、「PayPay」のQRコード決済を利用することで、現金や決済端末を持ち運ばずに決済が行える点も加盟店に利用される要因となっているという。

    今回の結果を受け、PayPayは下記のようにコメントしている。

    PayPayは今後も、ユーザーはもちろん、あらゆる小売店やサービス事業者にスマートフォン決済の利便性を提供し、日本全国どこでも安心してキャッシュレスで買い物ができる世界の実現をめざします。

    「PayPay」を「決済」アプリから「スーパーアプリ」へと進化させて、ユーザーの生活をもっと豊かで便利にするための取り組みを続けてまいります。

    藤田遙
    藤田遙

    “売れない”が“売れる”に変わった大分県の公式ECサイト。コロナ禍でも売れ続ける理由は「官民連動」「復袋」などにあり

    5 years 6ヶ月 ago

    楽天が4月28日に「物産と観光の連動モデルを創る」をテーマにオンライン形式で実施した地方創生サミット。自治体向けにEC活用法の勉強会で、楽天の地域創生事業 共創事業推進部ヴァイスジェネラルマネージャーの塩沢友孝(しおざわともたか)氏と、大分県公認のアンテナショップ「おんせん県おおいたオンラインショップ」を運営する小坂越司(こさかえつじ)氏が対談。官民連動のECビジネス、流通が滞っている地域産品の販売方法などについて語り合った。

    ゴールは「物産×観光」の連動モデルを創ること

    「東京一極集中」が進むとともに、地域創生の動きも一気に加速する。産業全体が変わっていく、特に観光においては今までの常識が通用しないようなことが起こる。

    新型コロナが地域ビジネスに与える影響をこう話した塩沢氏。サミットのゴールとして「新しい官民共創により『物産と観光』の連動モデルを創っていきたい」と力説した。

    楽天市場 地方創世サミット 自治体 大分県 アンテナショップ 官民 共創 おんせん県おおいたオンラインショップ
    地域創世サミット内で掲げられたゴール

    対談テーマは「ふっこう『復袋』を活用したEC未参入事業者支援」。

    大分県内の事業者が生産した商品を販売している「おんせん県おおいたオンラインショップ」(運営は大木化粧品)は、大分県から公式アンテナショップの委託を受けて運営しているECサイト。新型コロナウイルスの影響により在庫を抱えている生産者・事業者支援のため、さまざまな商品を1つにまとめた「復袋」として販売している。

    大木化粧品が運営する「おんせん県おおいたオンラインショップ」がコロナ禍で実践している官民連動のECビジネス、地域創生の可能性とは――。

    楽天市場 地方創世サミット 自治体 大分県 アンテナショップ 官民 共創 おんせん県おおいたオンラインショップ 小坂越司
    大木化粧品社長の小坂越司氏。「楽天市場」出店者でSOY受賞店舗でもある。2017年に大分県と県産品通販サイト管理運営業務契約を締結。2018年に大分県公式「おんせん県おおいたオンラインショップ」を楽天市場にオープンした

    まったく売れていない県の公式ECサイト

    楽天 ヴァイスジェネラルマネージャーの塩沢友孝氏(以下塩沢氏):小坂さんは大分県から公式アンテナショップの運営委託を受けて運営していますが、その経緯を教えて下さい。

    大木化粧品社長の小坂越司氏(以下小坂氏):3年前に塩沢さんから大分県職員の方を紹介していただいたことがきっかけです。その後、県の方とやりとりをする中で「公式ショップをやってみないか」というお話をいただきました。

    本業のために大分の中心地に物流倉庫を新築していたのですが、「倉庫を強みのあるものに活用したい」と考えていました。さらに、大分県の物を売ることにも興味がありましたので、「引き受けよう」と。

    楽天市場 地方創世サミット 自治体 大分県 アンテナショップ 官民 共創 おんせん県おおいたオンラインショップ
    小坂氏が運営する大分県公式アンテナショップ「おんせん県おおいたオンラインショップ」、楽天市場に出店している(画像は編集部がキャプチャ)

    塩沢氏:大分県は以前、「きちょくれ大分」という公式サイトがありましたが。

    小坂氏:いただいたお話は、「きちょくれ大分」を「何とか新しいモノに変えたい」という要望でした。

    「きちょくれ大分」は商品がまったく売れていなかった。商品が売れていなかった一番の理由は、楽天やアマゾンといったモールに出店していなかったこと。ECをやるのであればモールに出店していないと、そもそもお客さまがいないですからね。

    「復袋」は「私たちがやれることは力添えしよう」という思いから

    塩沢氏:ふっこう「復袋」が話題になっていますが、始めたきっかけは何でしょうか?

    小坂氏:北海道で店舗を運営している仲間(「北海道お土産探検隊」を運営する山ト小笠原商店)から、「地方の観光関連の事業者が困っているので、ECを使用してなんとか応援できないか。やるなら一緒にやらないか」と声をかけてもらったのがきっかけです。

    「復袋」は北海道の店舗が最初に販売を始めました。「復袋」を「自分たちも取り組みたい」と伝えたら「ぜひやってほしい。私たちが力添えできるならどんどんやりましょう」と。

    楽天市場 地方創世サミット 自治体 大分県 アンテナショップ 官民 共創 おんせん県おおいたオンラインショップ 復袋
    アンテナショップで販売されている「復袋」。価格や種類によって分けられている(画像は編集部がキャプチャ)

    塩沢氏:「復袋」の目的は「EC未出店の県内中小企業の商品を集めて販売すること」。これはスピード勝負のところがります。「復袋」を作る上で県に協力してもらっているのでしょうか?

    小坂氏:はい。通常は取引をする事業者を1件ずつ回って取引の挨拶をしていくのですが、スピードが命と言うこともあり、県の方にお願いすることになりました。

    県の方に「復袋」について伝えたところ、「県内から広く事業者を募りましょう」と賛同していただきました。

    楽天市場 地方創世サミット 自治体 大分県 アンテナショップ 官民 共創 おんせん県おおいたオンラインショップ
    「復袋」の流れ。県から事業者に対して事業者に募集を募り、希望する事業者は小坂氏(大木化粧品)に連絡を行う。商品は小坂氏がとりまとめて「復袋」としてアンテナショップで販売

    塩沢氏:出品希望企業の応募はどのくらいありましたか?

    小坂氏:1週間で70社ほど。すでに取引をいただいている事業者の声もいただいています。事業者と話をすると、在庫を抱えて困っていることがわかりました。こういう時はECが強いので、私どもとして関われそうだ、事業者の期待に添えられるんじゃないかと思っています。

    塩沢氏:「復袋」に入れる商品はすべて買い取りですか?

    小坂氏:すべて買い取りです。常温の商品を一度倉庫に送ってもらいます。遠方だったり事業規模が小さくて運賃を負担できない場合は、集荷コストを弊社で負担しています。ただ、集荷コストを含めても利益が出るように値段設定はしています。「復袋」の商品は事業者から商品を安く提供していもらっているので、コストをかけてもきちんと売り上げを計上できています

    売れる秘訣は「トライ&エラーを繰り返すこと」

    塩沢氏:「復袋」の販売も行っているアンテナショップですが、売れる秘訣(ひけつ)は何でしょうか?

    小坂氏:「売れるまでとことん努力すること」だと思います。ECはお客さまが目に見えないので、自分が行うことを信じて続けていく必要がある。何回もトライ&エラーを繰り返すことが売れる店舗につながることだと思います

    塩沢氏:何を売るかも大事ですが、誰が売るかがポイントだと思っています。農家さんのように「作るプロ」、小坂さんのように「売るプロ」という2者がいたことによって地域の良い物が県外に出ていくという、掛け合わせの仕組みだと思っているんです。小坂さんなりにプロフェッショナルな部分をどう生かせていると思っていますか?

    小坂氏:私たちには物流倉庫があるので、売ることにリソースをかけられます。しかし、「作りながら売る」という2つのことを同時に行うのは、ECの世界ではなかなか難しい。売る側として「お客さまに良いところを伝える」という強みがあると思います

    物が作れないからこそ、売ることにリソースをかけることができる。リソースをかけるからこそお客さまに商品の良さを伝えることができると思います

    オンリーワン、こだわりのある商品は高くても売れる

    塩沢氏:アンテナショップ内には、新型コロナウィルスの影響で追加した商品を含めどのくらいあるのでしょうか?

    小坂氏:3000強ですね。

    塩沢氏:凄いですね!それだけ商品数があると、県から「商品を公平に出してくれ」という話が出るのでは? アンテナショップの運営にあたり、県にどのように掛け合い、公平さを保って売り上げを伸ばしたのでしょうか?

    小坂氏:何をもって公平というかは難しいですが、商品を出してくれる地域のバランスを見て、毎日県の方と情報共有・相談しています。

    塩沢氏:小坂さんは「大都市圏でどのような物が売れるか」「販売するためにどんな表示が必要か」などのノウハウを持っているので、県内の事業者の底上げにも貢献されていると思います。

    小坂氏:そこまでの自覚はないですが(笑)。「おんせん県おおいたオンラインショップ」は大分県の公式通販なので、「安売りはしない」ということを第一条件にしています。オンリーワンの美味しい商品、こだわりがある商品はお客さまにもその良さが伝わるので、値段が高くても売れるいう事例を作りました。

    賞味期限の保存検査を受けていない、食品表示法などで示されている記載条件をクリアしていない事業者もいます。そういった事業者がいることも県の方には相談しています。事業者のエリアごとに商工会を案内してもらい、さまざまなことを学んでいただいてから事業者と出品に向けて話をしています。商売の原点である「お互い情報共有しながら売れるところ」を探っています

    楽天市場 地方創世サミット 自治体 大分県 アンテナショップ 官民 共創 おんせん県おおいたオンラインショップ
    アンテナショップ内で販売されている商品。大分県のさまざまな事業者の商品を取り扱っている(画像は編集部がキャプチャ)

    楽天を通じて、ノウハウを持った事業者と連携

    塩沢氏:全国自治体の方々は、どうやって支援してくれる事業者を探せば良いのかと悩んでいると思うんです。アンテナショップを委託する事業者をどういった目線で選べば良いと思いますか?

    小坂氏:委託できる事業者や出店者は楽天が一番ご存じでしょう。楽天市場には各県にノウハウを持っている店舗がありますので。

    たとえば、私は県内各地から規模の大小を問わず、商品を集約する物流を持っているので、機動力を発揮できるというのは強み即断即決できるトップがすぐに動けるということは希少でしょうし、会社の社員も理解があることが重要ですね。

    塩沢氏:業務委託の契約はどのようになっているのでしょうか?また、事業にかかるコストは大分県とどういった話をしているんでしょうか?

    小坂氏:補助金や助成金などが出る事業ではありません。すべて自前です。ただ、県にはソフト面でかなり応援をしてもらっていますが、基本的に県からお金をもらわずランニングコストも弊社負担です。

    ただ、事業者との委託契約などは県の名を汚さぬように、きちんと手続きを踏んで行っています。きちんと契約を行うことが、安売りはしないことの裏返しだと思います。

    「復袋」には事業者が心を込めて作った良い物を入れる

    塩沢氏:自治体の方から「売れ筋、死に筋を見て商品選定しているのですか?」と質問があがっています。

    小坂氏:「かなり売れるな」と思う物は弊社で買い取りをしますが、基本的には売れた分だけ買い取りをするビジネスモデルです。最小ロットで買い取りするので、「運賃をかけたらコストが見合わない」という事業者には集荷コストを弊社が負担します。出品する事業者にリスクがかからないようにしています

    塩沢氏:たとえば、7品が入っている福袋。3品は有名な商品、残り4品はまだメジャーではない商品を入れる、といケースが多いでしょう。そうすることで消費者にメジャーじゃない商品との出会いを演出することもあると考えているのですが。

    小坂氏:私は美味しい物があれば良いと考えています。そうすれば「こんな物が大分にあったんだ」という出会いが生まれる。売れ筋、死に筋というのは過去の実績。これから売れるかもしれない商品もありますから。事業者が心を込めて作った良い物を復袋に入れて、大分の魅力を伝えることが大切なんです

    「物産×観光」は官民の強みを活かして実現

    塩沢氏:物産と観光をどう組み合わせるか、大分の福袋を購入した人にどうやって大分に観光に来てもらうかが重要なテーマだと思いますが、トライアル例などがあれば教えて下さい。

    小坂氏:県に作ってもらった観光案内のパンフレットを同梱しています。しかし、パンフレットだけだと読まずにすぐ捨てられてしまうことが多いので、入れるなら捨てられない仕組みを作らないといけない。対策として、大分県の事業者が作った入浴剤を2種類同梱して、パンフレットを読むきっかけ作りをしています。

    楽天市場 地方創世サミット 自治体 大分県 アンテナショップ 官民 共創 おんせん県おおいたオンラインショップ
    温泉が有名な大分県の特色を活かし、入浴剤を観光パンフレットに同梱し、商品と一緒に送っている

    塩沢氏:小坂さんの取り組みは、社会貢献の役割を担っている、官民の強みを活かして役割分担を果たしているなと感じます。

    新型コロナウイルスが収束した後に取り組みたいことはありますか?

    小坂氏:県の方に色々な面でサポートしてもらっているので、今後も県の方とは共同で取り組んでいくことが第一ですね。

    楽天とは楽天トラベルという観光の強み・ツールがあるので、楽天市場の物産とコラボができたら良いなと考えています。楽天市場で商品を買っていただいた方に観光のクーポンがある、観光に行った人にはECで使えるクーポンを配るなどの施策を行ってみたいですね。

    塩沢氏:北海道や熊本などリンクを張り合いながら応援の輪が広がっているのは、共に助け合う意味での共創が生まれているのかなと思います。最後に自治体の方々に、小坂さんから一言お願いします。

    小坂氏:今のようなコロナ禍の状況では、ECビジネスは非常に強く、できることはたくさんあります。どうすれば良いのかなどのノウハウは楽天や出店者が持っている。機動力のある出店者がたくさんいるので、収束までにピンチをチャンスに変えていけるようになれば良いなと思っています

    藤田遙
    藤田遙

    新型コロナの感染拡大で消費者の買い物意識と購買行動はどのように変わったのか? | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    5 years 6ヶ月 ago

    購買行動には常にリズムがあり、季節ごとの特徴があります。しかし、あまりにも多くのことがあっという間に変わってしまいました。今回は、購買が滞っているように見える理由を簡単に探ってみましょう。

    消費者は新型コロナによるさまざまな影響を受け購買意欲を失っている

    購買行動が止まってしまっています。買い物好きの筆者は迷子のような気分で、何曜日なのかわからず、時間を忘れてしまったような気さえします。

    購買行動には常にリズムがあり、各季節に特徴があります。毎年、12月のホリデーシーズンの後、1月のセールでは家庭用品や衣料品が大幅に値下げされます。

    憂うつな冬を過ごす地域もありますが、2月のバカンスや本格的な春の準備に向けて、春の大掃除を活用する方法、家を最新のインテリアにアップグレードするためのアイデアなどが紹介されます。

    その後、学校の学年末が近づくにつれて、話題の中心は子どもの事になります。そして、プロムのドレス、卒業式の洋服を用意した後、夏のキャンプの準備を始めるのです。

    多くのことがあまりにも急速に変わってしまいました。私たちは皆、楽しみが必要で買い物は気分を上げてくれる大きな要素です。しかし、我々のほとんどが通行止めを食らって、購買意欲を失っているようです。その理由を1人の女性のショッピングを例に取って説明したいと思います。

    必需品以上に「必要性」があるものがない

    コロナ禍で小売業が行っている取り組みとは? 107の事業者に調査

    Digital Commerce360が107の小売事業者を対象に行った4月の調査(以下のグラフ参照)によると、97%の小売事業者が消費者の消費意欲の低下を報告。また、大多数(54%)は新型コロナウイルスが消費意欲を大きく低下させている原因だと考えていることが明らかになりました。

    これらの小売事業者に、自社が直面している最大の課題について尋ねたところ、44%が消費者にオンラインでの購入を促すことをあげました。

    ビジネス戦略として新たに実施したこと ※Digital Commerce 360が107の小売事業者を対象に2020年に4月に行った新型コロナウイルス調査(Digital Commerce 360「The Shopper Speaks: The rhythm of shopping」より編集部が作成)

    健康・美容、ペット関連商品が健闘

    状況は常に変わっていますが、EC利用者の55%が、新型コロナウイルスの影響で今までより多くのオンライン注文を行ったと回答しており、ECビジネスは成長しています。

    Digital Commerce360と調査会社のBizrate Insightsが1,064人の消費者を対象に行った2020年4月の新型コロナウイルスに関する調査では、22%のEC利用者がオンラインでの注文が大幅に増えたと回答しています。

    必需品の購入が大半を占めている一方で、健康や美容分野を含む補充商品は調査対象者の45%が購入しており、ペット関連商品の購入率も28%と健闘しています。残念ながら、アパレルと家庭用品は、この時期にしては販売が芳しくなく、オンラインでの購入率はそれぞれ30%と24%となりました。

    この1か月の間に私自身が購入した商品のいくつかを見てみると、他の人がどのような行動をとっているかわかるでしょう。1つのサンプルに過ぎませんが、それでも参考になるはずです。

    健康と美容分野は持ちこたえています。多くの人がそうであるように、私もヘアケアはサロンで購入していました。オーナーの厚意で、年間を通して20%オフのお得なサービスを提供してくれるので、他を探す必要がなかったのです。月に1度のヘアサロン来店時に必要な商品を選んでいました。

    もちろん、新型コロナウイルスが流行している間は、手持ちの商品が少なくっていますが、ほとんどのサロンが閉まっています。そんな中、定額での支払いを避けようと、ネットで掘り出し物を探している状況。ネットで見つけた最大の割引が10%オフ。販売元のAllbeauty(編注:美容などのECサイト)はレビューによると、評判が良さそうです。

    欲しい商品が30ドルで、たとえ失敗してもリスクは少ないので、思い切って購入しました。無事に配送されることを祈ります。これが新しい「普通」なのです。ただ、注文してから1週間経ちますが、出荷の通知はまだ届きません。

    衝動買いは“過去の遺物”に

    私たちが、毎週衝動買いをすると決めれば、経済に貢献できるチャンスかもしれません。ここでは、私が購入する可能性のある商品をいくつか紹介します。

    プロムと卒業式のドレスは可能性があるでしょう。娘の小規模な学校では、今後の活動について、それがバーチャルもしくはリアルになるかどうかも含めて流動的です。時間はたっぷりあるので、さまざまな小売事業者を見て回らずにはいられません。

    以前なら、何時間もかけてセレクトしたものから商品を吟味していたかもしれませんが、今はほんの数分後に「様子見」の思考に戻ってしまいます。注文したいという衝動に駆られることは、もうありません。

    もちろん、買い物が私の趣味なので、自分用の商品をチェックする機会を逃すことはありません。卒業式用にぴったりのドレスを見つけたので、返品は問題ないだろうと思って購入しました。今後必要になるかどうかもわからないのに、そのドレスは私のクローゼットに掛かっていて、元の生活に戻るための希望にもなっています。

    ドレスを着る機会がなかった場合は、箱に入れてお店に送り返します。その他の個人的な買い物に関しては、特に予定はなく、クローゼットにある洋服で済ませるつもりです。

    たまには実店舗に行ってみたいと思うこともありますが、残念なことに、春物の商品はシャッターが閉まったお店の中に放置されていて、全く実感が湧きません。

    地元の食料品店以外のお店に入りたいです。ふらりとお店に立ち寄るのは刺激的ですし、消費者行動の一部でもあります。時間がたくさんなくても、牛乳を買いに行ったり、日用品を返品するついでに立ち寄ったりできます。

    現在、このような行動に制限があるだけでなく、もしお気に入りの商品を見つけた後に気が変わった場合、Target(編注:米国のディスカウントストア)のような店が返品を許可してくれるまでに2か月かかることもあるかもしれません。小売事業者は、購買を促進するために、より短い期間で返品に対処する必要があるでしょう。

    家のインテリアもまた、私が買い物を保留にしている分野です。オンラインとオフラインの両方を駆使しつつ、整理整頓アイテムを使ってインテリアを変更することもありますが、ビジュアルの助けが必要なのです。今のような厳しい時代に消費を促進するために、ARのような可視化ツールを導入している企業には感心します。

    でも私は、もう少し具体的なものを必要としているのです。高価なソファに座ってみたり、リビングルームに二人掛けソファを置いたらどう見えるか知りたいのです。小物やその他、購入の可能性のある商品の多くは、デザインからインスピレーションを得ますし、実店舗でディスプレイされているとより魅力的に見えます。

    新型コロナウイルス感染拡大後の消費行動の変化は?

    発送や配達は、もはや通常通りではありません。私たちは皆、時間をかけて培われてきた消費パターンを持っています。注文をして数日以内に商品を受け取ることを当たり前としています。3月にDigital Commerce360が行った独自調査「Click,Ship&Return(注文、配送、返品)」(以下グラフ参照)では、79%のEC利用者が配送に満足していると回答しています。

    一方、私は何か注文しただろうか? そして、商品は実際に届いたのだろうか? と考えてしまいます。このような時間も全て無駄です。今のような状況でなければ、瞬時に買い物が終了する、シームレスなショッピング体験ができていたのですから。

    配送が遅くなるということは、商品に対するワクワク感も失われることを意味します。消費者のほぼ半数が在庫切れ(47%)を経験し、同数が出荷の遅れも経験しています。

    新型コロナウイルスに関連して、過去数週間に何が起こりましたか
    新型コロナウイルスに関連して、過去数週間に何が起こったか。Digital Commerce360とBizrate Insightsが1,064名のEC利用者を対象に2020年に4月に行った新型コロナウイルス調査(Digital Commerce 360「The Shopper Speaks: The rhythm of shopping」より編集部が作成)

    店舗をフルフィルメントセンターとして活用するNordstrom

    オンラインで注文すると、リードタイムが長くなるのが普通のようです。大手百貨店のNordstromのセールを隅々まで確認しながら、なんとか気持ちを奮い立たせることができました。

    道端での商品受け取りも可能でしたが、急ぎではなかったので、通常の配達を選びました。そして、実際に商品を注文した時、配達まで14日間かかると言われたのです。これほど長い時間がかかると言われたことはありませんでした。しかし驚いたことに、その商品は地元の店舗から翌日配送されました。多くの店舗がフルフィルメントセンターに変わっているようです。

    さまざまな影響が出ている返品対応

    オンラインで購入した場合、すぐに返金してくれる店頭での便利な返品が、もはや不可能になってしまいました。もっと大きな問題は、郵送で返品した商品の返金が1か月経っても口座に入金されなかったことです。

    資金がひっ迫しているのはもちろん大変なことですが、1ヶ月かかっても返品を処理できないのは受け入れ難いです。ソーシャルディスタンシングが長期に渡って行われることを考えると、今後も返品処理に影響がありそうです。同じような経験は、スポーツファッションブランドの「Athleta」でも起こりました。別のサイズを注文して2度返品しましたが、まだ返金されていません。

    前述した「Click,Ship&Return」の調査(以下のグラフ参照)では、すでにEC利用客の25%が返金までに1週間以上かかる小売事業者に不満を持っていたことがわかります。それが何ヶ月もかかるとしたら、彼らはどう思うでしょうか。私にはわかります。フラストレーション以外の何物でもありません。

    オンラインで購入した商品返品時に、消費者がフラストレーションを感じること

    オンラインで購入した商品を返品する際、フラストレーションに感じることは何
    オンラインで購入した商品を返品する際、フラストレーションに感じることは何か。Digital Commerce 360とBizrate Insightsが1,052名のEC利用者を対象に2020年に行った「Click,Ship&Retun」調査(Digital Commerce 360「The Shopper Speaks: The rhythm of shopping」より編集部が作成)
    ◇◇◇

    二度と起こって欲しくない、常軌を逸した現状にもかかわらず、EC利用者の58%が、今後数か間にオンラインでの注文を増やすと回答しているのは良いニュースでしょう。再び経済をパワーアップさせるために、必需品から衝動買いまで全ての購買が必要になります。

    Digital Commerce 360
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    コロナ禍のイケアがECアプリ「IKEAアプリ」をリリース、買い物チャネルを増やす

    5 years 6ヶ月 ago

    イケアの日本法人イケア・ジャパンは4月30日、ネット通販用のアプリ「IKEAアプリ」の配信を開始した。

    新しい「IKEAアプリ」は、イケアストアでショールームを見ているかのように買い物することが可能。“世界でいちばん小さなイケアストア”として展開する。

    イケアの日本法人イケア・ジャパンは4月30日、ネット通販用のアプリ「IKEAアプリ」の配信を開始した
    “世界でいちばん小さなイケアストア”として展開するECアプリ

    イケアでは、顧客と従業員の健康と安全確保を最優先し、安心して利用できるように新型コロナウイルス感染症防止への取り組み強化。その一環として、「IKEAアプリ」または「IKEAオンラインストア」での買い物を推奨している。

    会員制度「IKEA Family」向けの買い得商品、フードメニュー、イベントやワークショップへの招待などの特典も用意。「IKEA Family」メンバーへの新規入会(無料)も簡単に行える。

    イケア・ジャパンは2017年4月、EC事業を本格スタート。Webサイトに掲載している商品をショッピングリストへ追加、店舗受け取りもしくは自宅への配送(店舗から配送可能な地域が対象)を選んで、決済する仕組みを提供。店舗から商品を配送する仕組みで展開している。

    石居 岳
    石居 岳

    イオングループのコックス、EC売上は16億9700万円で15.8%増【2020年2月期】

    5 years 6ヶ月 ago

    カジュアルファッションを販売しているコックスの2020年2月期におけるEC売上高は、前期比15.8%増の16億9700万円だった。予約販売を強化したことや、EC限定の新ブランドを立ち上げたことが売上拡大につながった。連結売上高に占めるECの割合(EC化率)は約10%。

    「ikka」「LBC」「VENCE EXCHANGE」「CURRENT」といったファッションブランドを展開しており、EC事業では自社ECサイト「コックス公式オンラインストア」や「ZOZOTOWN」などで販売している。

    当期はECの先行予約を強化した。EC限定ブランド「notch.」などの予約販売が好調だったという。

    EC限定の新ブランド「NONEED」や「CandyBeans」を発売したこともEC売上高の拡大に寄与した。

    EC事業を強化するためSNSを活用して顧客接点を増やしたほか、 ECサイトの在庫一元化によって機会ロスを削減したとしている。

    2021年2月期は自社ECにおける商品プロモーションの拡大や、SNSを活用した顧客接点の拡大に取り組む。また、サイト訪問者の個別分析や、人工知能によるコーディネート提案などを通じて購入率の向上を図る。

    コックスのEC戦略
    EC事業の拡大策(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

     

    渡部 和章
    渡部 和章

    ワークマンが「店頭在庫+店舗受取」型Click&Collectの新ECサイトの基盤に「ecbeing」を採用

    5 years 6ヶ月 ago

    ワークマンは、「店頭在庫+店舗受取」型Click&Collect(クリック&コレクト)の新ECサイトにECサイト構築パッケージ「ecbeing」を導入した。ecbeingは5月12日に発表した。

    ワークマンのECサイトでは、65%の顧客が店舗での受け取りサービスを選択し、年間12万人以上がオンラインストア注文品の購入のために店舗へ来店している。

    ワークマンはクリック&コレクトを中心としたECへ3月に移行。顧客への迅速な情報伝達、リードタイムが短縮となる店頭在庫の店舗受け取りを行うため、「ecbeing」を導入した。

    新ECサイトでは、店舗受け取りサービスを、店舗受け取り通販と店舗取り置き通販としてサービスを刷新。店舗を主軸とした「受け取り」「取り置き」「迅速連絡」という3軸での取り組みを実現している。

    • 店舗受け取り……店舗にあれば店舗で商品を用意。なければECセンターから店舗へ商品を配送し確実に購入が可能
    • 店舗取り置き……店舗在庫がECサイトで確認可能になった。商品ページから取り置き依頼が可能(一部商品より開始)
    • 迅速連絡……店舗のスタッフが「ecbeing」を活用し、在庫ピッキング、ECセンターからの到着、商品のお渡し確認などが可能
    ワークマンは、「店頭在庫+店舗受取」型Click&Collect(クリック&コレクト)の新ECサイトにECサイト構築パッケージ「ecbeing」を導入した
    ワークマンの新ECサイトのビジネスモデル

    店舗スタッフは「ecbeing」の管理画面を活用し、店舗ピッキングや、受け渡しへの対応を行うことが可能となった。チームウエア、ユニフォーム向けの刺しゅうデータの自動生成、サイト上での裾上げ受注の機能も刷新し、店舗への来店機会を増加させる機能を追加した。

    店舗受取画面イメージ

    これらのサービス以外にも検索精度や大量アクセス対応など、さまざまな取り組みを実現。ワークマンは次のようにコメントしている。

    お客さまニーズの急激な拡大とC&C 拡充という課題があり、EC サイトの全面リニューアルを実施した。その結果、TV放映時やSNSで話題となった商品に対する大量流入時にサイトの安定稼働や、商品の検索精度向上や見せ方の改善によるお客様体験の向上、さらには、リアル店舗を含めた商品の迅速な受け取り(販売)を可能にした。ecbeing社とは、リアル店舗を持つ小売業のECの改善について、引き続き情報共有を深め連携していく。

    ワークマンが導入した「ecbeing」とは

    「ecbeing」は、富士キメラ総研が発行する『富士マーケティング・レポート 2018年 ECソリューション市場占有率』において、ECサイト構築ソリューション市場占有率で11年連続1位を獲得したECサイト構築パッケージ。

    『富士マーケティング・レポート 2018年 ECソリューション市場占有率』(富士キメラ総研)における、「ecbeing」のECサイト構築ソリューション市場占有率
    『富士マーケティング・レポート 2018年 ECソリューション市場占有率』(富士キメラ総研)における、「ecbeing」のECサイト構築ソリューション市場占有率

    シェアは47.1%で11年連続でトップを獲得。国内における「ecbeing」のECサイト構築実績は1200サイトを突破している。

    『富士マーケティング・レポート 2018年 ECソリューション市場占有率』によると、ecbeingのカテゴリ別市場シェアは「アパレル」が51.2%。「食料品・飲料」で61.0%、「健康・美容関連」で46.4%。

    『富士マーケティング・レポート 2018年 ECソリューション市場占有率』(富士キメラ総研)における、「ecbeing」のECサイト構築ソリューション市場占有率
    『富士マーケティング・レポート 2018年 ECソリューション市場占有率』(富士キメラ総研)における、「ecbeing」のカテゴリ別市場シェア

    ecbeingは、「ecbeing」とクラウド型ECプラットフォーム「mercart(メルカート)」に、2018年に複雑な定期購入機能やステップメールなどのCRM機能を拡充。「単品・リピートASPカート」では実現できない独自サービスの提供を実現したという。

    また、消費者の購買行動が変化していくなかで「次世代オムニチャネル」を推進し、その一環でBIプラットフォーム販売を手がけるTableau Japanと協業。ECサイトの購買データと実店舗の購買データを統合、リアルタイム性の高いデータ連携で、顧客の状況を瞬時に把握するDMPサービス「「Sechstant(ゼクスタント)」の提供をスタートしている。

    編集部からのお知らせ

    ワークマンのECリニューアルを、ベイシア流通技術研究所グループIT戦略部長とecbeingが徹底解説する講座など、ECビジネスに役立つオンラインセミナーを5/21に実施します。詳細は以下をご参照ください。

    石居 岳
    石居 岳

    利用率が一番高いファッションECサイトはどこ?「ZOZO」「ユニクロ」「SHOPLIST」利用状況まとめ | Fastask定点調査レポート

    5 years 6ヶ月 ago

    ジャストシステムが運営するネットリサーチ「Fastask」では、毎月「Eコマース&アプリコマース」や「動画&動画広告」などについて定点調査を行っている。「Eコマース&アプリコマース」の調査では楽天やAmazonなどモールの利用状況や、ZOZOやSHOPLISTなどファッション系ECサイトの利用状況について知ることができる。

    今回は、「Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2020年1月度)」から「ZOZOTOWN」「ユニクロ」「SHOPLIST」の3社をピックアップ。2020年1月度と、2019年2月から2020年1月までの利用状況についてまとめた。

    利用経験トップは実店舗のある「ユニクロ」

    調査対象者の中で、Eコマースの利用経験がある人に各ファッションECサイトの過去1年間の利用状況について聞いた。2020年1月度の調査で「このECサイトを利用している」と回答した人が一番多かったのは「ユニクロ」(22.1%)。次いで「ZOZOTOWN」(15.6%)、「SHOPLIST」(8.3%)だった。

    調査データ Fastask ジャストシステム ZOZOTOWN SHOPLIST ユニクロ ECサイト
    2020年1月度の調査で、過去1年間で「このECサイトは利用している」と回答した人の割合(n=642)
    (グラフは「Fastask」定点調査データから編集部が作成)

    2019年2月から2020年1月までの定点調査から、「このECサイトを利用している」と回答した人の推移をまとめた。調査期間を通して利用率が一番高かったECサイトも「ユニクロ」だった。

    調査データ Fastask ジャストシステム ZOZOTOWN SHOPLIST ユニクロ ECサイト
    「このECサイトは利用している」と回答した人の推移(2019年2月~2020年1月)
    (ユニクロ、SHOPLISTは2020年3月から調査対象)
    (グラフは「Fastask」定点調査データから編集部が作成)

    「ユニクロ」は直近1か月で非利用者が減少

    「このECサイトを利用していたが、ここ1年では利用していない」ECサイトについて聞いたところ、2020年1月度では「ユニクロ」(19.0%)が最多だった。続いて「ZOZOTOWN」(15.4%)、「SHOPLIST」(10.3%)

    調査データ Fastask ジャストシステム ZOZOTOWN SHOPLIST ユニクロ ECサイト
    2020年1月の調査で過去1年間で「このECサイトを以前は利用していたがここ1年は利用していない」と
    回答した人の割合(n=642)(グラフは「Fastask」定点調査データから編集部が作成)

    2019年2月から2020年1月までも定点調査結果の推移を見ると、「UNIQLO」以外は過去1か月で「ここ1年で利用していない」と回答した人が増加していた。

    調査データ Fastask ジャストシステム ZOZOTOWN SHOPLIST ユニクロ ECサイト
    「このECサイトを以前は利用していたがここ1年は利用していない」と回答した人の推移
    (2019年2月~2020年1月)(ユニクロ、SHOPLISTは2020年3月から調査対象)
    (グラフは「Fastask」定点調査データから編集部が作成)

    「知名度の高さ = 利用者の多さ」にならない場合も

    2020年1月度の調査で「このECサイトを知っているが、利用したことはない」という質問に対して、最も多かったのは「ZOZOTOWN」(61.2%)だった。

    調査データ Fastask ジャストシステム ZOZOTOWN SHOPLIST ユニクロ ECサイト
    2020年1月の調査で「このECサイトを知っているが利用したことはない」と回答した人の割合
    (n=642)(グラフは「Fastask」定点調査データから編集部が作成)

    また、「このECサイトを知らない」という質問に対しては、「SHOPLIST」(48.0%)が多い結果だった。「ZOZOTOWN」については、知名度はあるが利用していない人の割合が多いことがわかった。

    調査データ Fastask ジャストシステム ZOZOTOWN SHOPLIST ユニクロ ECサイト
    2020年1月の調査で「このECサイトを知らない」と回答した人の割合
    (n=642)(グラフは「Fastask」定点調査データから編集部が作成)
    調査実施概要
    • 調査タイトル:Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2020年1月度)
    • 調査方法:ジャストシステムのセルフ型ネットリサーチ「Fastask」
    • 調査期間:2020年1月27日~2月1日
    • 調査対象:「Fastask」のモニタのうち、男女17歳~69歳まで均等に割り付けて回収
    • 有効回答:1,100人
    Fastask
    Fastask

    リピート率7割を超えるECベンチャーの成長の鍵は「差別化」「システム選び」「決済」に有り

    5 years 6ヶ月 ago

    2017年のECサイト開設以降、月2回以上購入したユーザーの割合としてなんと70%以上を記録したこともあるという。こうした驚異的なF2転換率(初回購入の新規客のうち2回目の購入をした割合)でECビジネスを伸ばしているのが、オークファングループのSynaBizが運営する社会貢献型ECサイト「Otameshi(オタメシ)」だ。売り上げが堅調に右肩上がりで伸びているという「Otameshi」と、システム面で支えるGMOメイクショップを取材した。

    “お得に買える”“買って社会貢献する”を提供するECサイト

    SynaBizのメイン事業の1つはBtoBのECマーケットプレイス「NETSEA(ネッシー)」の運営。ディー・エヌ・エー(DeNA)の事業として運営されていたインターネット卸・仕入れモールと言えばおわかりの読者も多いだろう。2015年にオークファングループがDeNAから「DeNA BtoB Market」事業(DeNAは2013年にNETSEAの名称を変更していた)を買収。その後、オークファングループが別の子会社とNETSEA承継会社を合併し、SynaBizが誕生した。

    また、SynaBizはマーケティング、財務、オペレーションなどの観点から総合的なアドバイスを提供し、企業が持つ返品・余剰品などの余剰在庫や滞留在庫を再び流動化させるサポート事業も展開している。

    社会貢献型ECサイト「Otameshi」は、こうした“BtoBの商品”を扱う事業との連携で誕生したBtoCのEC事業。品質には問題はないもののさまざまな事情で従来廃棄されていた商品をお得な価格で販売し、かつ購入者は自分で選んだ社会貢献活動団体に売り上げの一部を寄付できるという。“お得に買える”“買って社会貢献する”という価値を提供しているのだ。

    「Otameshi」がめざす事業サイクル
    「Otameshi」がめざす事業サイクル

    こうしたビジネスモデルについて、SynaBizのEC事業部 川村尚矢氏は次のように説明する。

    たとえば、本来はまだ食べることができるが、季節商材のために販売期間が終了し、廃棄処分にせざるを得ない商品を企業から割安で仕入れる。消費者にはお得な価格で提供できるし、食品ロスの削減にも寄与できる。そして、商品代金の中には寄附金額を設定しており、買い物をするだけで好きな支援活動団体へ寄付できるようにしている

    SynaBizのEC事業部 川村尚矢氏
    SynaBizのEC事業部 川村尚矢氏

    実はこの「Otameshi」、2019年夏頃までは苦戦を続けていた。その理由は「社会貢献を前面に打ち出していたため」と川村氏。それはどういうことか? 川村氏はこう付け加える。

    近年、社会貢献活動はさまざまなサイトで行われているため、それを前面に出しても他のサイトとの差別化につながらなかった。「Otameshi」の強みは何だろうと考えたとき、SynaBizは余剰在庫や滞留在庫などを手頃な価格で仕入れるネットワークを持っていること。50%以上も割引する目玉商品を作り、価格勝負を前面に打ち出したのが2019年8月から。そこから売上高は急激に伸びた。ECサイトに訪れる消費者は商品を買いに来ている。だから、「社会貢献」はお買い物をした後の“ついで”という位置付けが重要なのだと実感した。

    「Otameshi」は50%以上もの割引商品を販売する目玉商品なども用意している
    50%以上もの割引商品を販売する目玉商品なども用意している

    会員だけの優待価格販売などCRMでリピート客を獲得

    「Otameshi」がスタートしたのは2017年8月。ECサイトとしては後発だが、メリットもあった。それは、ECビジネスを始めるにあたり、ある程度、自社がやりたいことをリーズナブルに実現できるECプラットフォームが数多く存在していたことだ。

    まず重視したのがランニングコスト。新規事業のため、直接携わるスタッフは少人数。プログラミングの知識がなくても、「今や当たり前となっているレコメンド機能の提供や決済方法の拡充、会員ランクの設定など、ある程度やりたいことが実現できることを重視した」(川村氏)。

    SynaBizが適したECプラットフォームとして最終的に導入したのが、GMOメイクショップが提供する「MakeShop」のカスタマイズ版「MakeShopエンタープライズ」だった。

    「MakeShopエンタープライズ」には専用サーバープランがあり、大規模なトラフィックにも対応することが可能。クラウド環境で提供するASP型のショッピングカート「MakeShop」でありながら、企業の細かい要望に対応するさまざまな機能をカスタマイズで追加できる。

    たとえば、SynaBizが重宝しているのが会員グループ別機能。会員がログインすると、特定のグループに応じて表示商品・ポイント数を自動で切り替え表示することができるという機能だ。

    表立った値下げ販売を制限するブランドなどがあり、「Otameshi」にもこうした意向を持つ取引先は少なくない。一部取引先のニーズに対応するため、顧客ランクに応じた会員優待価格制度を設定。優良顧客に優待価格で商品を案内し、表立った割引販売を避けるといった販売手法も採用している

    ちなみに、会員ランク別価格の設定機能は、「MakeShop」が会員ランク別優待オプション機能の1つとして提供しており、リピート顧客を獲得し売上アップにつなげる効果が期待できるという。「Otameshi」のビジネスに適したこうした機能を活用し、SynaBizはリピート顧客の獲得と育成につなげているという。「MakeShop」を提供するGMOメイクショップ MakeShop事業部 カスタマーグループ 部長 田村淳氏はこう言う。

    「MakeShop」のクライアント企業ではリピート率が10%程度というECサイトが多い中、「Otameshi」は月間利用者の内、2回目以降の利用客が70%以上という驚異的な数値を記録したこともある。その背景として、会員ランクをきちんと設定し、マーケティングツール「MakeRepeater(メイクリピーター)」によってランクごとにプロモーションを変えていくというように、CRMとプロモーションをしっかり実施していることがあげられる

    GMOメイクショップ MakeShop事業部 カスタマーグループ 部長 田村淳氏
    GMOメイクショップ MakeShop事業部 カスタマーグループ 部長 田村淳氏

    「Amazon Pay」で消費者に「安心」「安全」を訴求

    「さまざまなECサイトがあるので大丈夫かな?」「嬉しいけれど、価格が安すぎるような気がする」……。最近は大手企業もECビジネスを積極展開しているので、「Otameshi」のような知名度が浸透してないECサイトに対して顧客は“大丈夫だろうか”といった印象を抱くのではないか――。

    ECサイト運営のスタート当初、川村氏はこうした心配を抱えていたという。その心配を払拭するのに役立った決済手段がある。Amazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay」だ。「Amazon」ブランドを通じて、安心・安全なサイトという訴求を顧客に展開することができたという。

    Makeshop カート内での「Amazon Pay」ボタンの表示
    カート内での「Amazon Pay」ボタンの表示

    GMOメイクショップは、「Amazon Pay」のグローバルパートナープログラム(公式認定制度)の「Premier Partner」。そのため、GMOメイクショップのECプラットフォームを導入しているECサイトでは、追加開発などを行うことなく「Amazon Pay」を導入することができる。SynaBizも手間をかけず、管理画面の設定で簡単に「Amazon Pay」を導入することができた。

    「Amazon Pay」はAmazonアカウントを利用して、購入時の配送先・クレジットカード情報の入力をすることなく、Amazon以外のECサイトでログインや決済を行えるサービス。買い物カゴに商品を入れてから、最短2クリックで決済することが可能になる。

    こうした利便性のほか、川村氏が実感したのが「Amazon Pay」を通じた「安心・安全」の訴求だった

    「Amazon Pay」の1つの特長として、顧客が「Amazon Pay」で商品を購入すると、一部の商材を除き、Amazonマーケットプレイス保証※の対象になる点があげられる

    ※Amazonにおいて販売事業者の出品商品を安心して購入してもらうために、購入商品のコンディションや配送を保証するもので、万一の場合、配送料を含めた購入総額のうち、最高30万円までAmazonが保証する制度のこと。「Amazon Pay」を利用した購入においても、同等の保証対象となるというもの。

    また、「Amazon Pay」を導入すれば買い物カゴ内で「Amazon Pay」のロゴを表示できるので、顧客に安心感や信頼感を提供できるというEC事業者の声は多い

    そして、約2年前にスタートした「Otameshi」では、2019年後半までに「Otameshi」の決済金額全体に占める「Amazon Pay」の割合は3割に到達している

    「Amazon Pay」を使うお客さま全体の内訳を見ると、新規顧客が4割で既存顧客(会員)が6割。「Amazon Pay」を使ってお買い物したお客さまはその利便性、ECサイトへの安心・安全を理解し、継続して「Amazon Pay」でお買い物をしているのだろう。その証拠として、全体のF2転換へのリピート率の高さと同様に、高い割合で既存顧客が「Amazon Pay」でリピート購入している。(田村氏)

    会員登録にも「Amazon Pay」でのログイン機能を活用している
    会員登録にも「Amazon Pay」でのログイン機能を活用している

    新規訪問客の購入をサポートするWeb接客型の「Amazon Pay」とは?

    「Otameshi」が伸びている背景にはF2転換率の高さなどリピート購入の多さのほか、新規訪問客の購入を積極的にサポートする取り組みがある。それを支えているのも「Amazon Pay」だ

    「Amazon Pay」を使うと、Amazonのアカウント情報を使って顧客は決済に必要な情報入力の手間が省けるため、ユーザビリティの向上が期待される。そのため、最終的にコンバージョン率の改善につながっていると話すEC事業者は多い。

    こうした「Amazon Pay」に新しい活用方法が追加されたのが2019年。それは、「Web接客型Amazon Pay」という顧客にさらにスムーズな購入体験を提供するものだ。GMOメイクショップはこの「Web接客型Amazon Pay」を「MakeShop」に対応させ、「Otameshi」は「Web接客型Amazon Pay」の活用を始めた。ちなみに、「Web接客型Amazon Pay」をショップに標準装備したのは、ネットショップ構築ASP業界において「MakeShop」が初だった。

    ゲスト購入用入力フォームに「Web接客型Amazon Pay」を実装することにより、顧客が支払い方法でAmazon Payを選択しなかった場合でも、入力フォームからの離脱や、入力ミスなどを察知して、Web接客のポップアップを用いてAmazon Payでの購入を提案できるようになる。また、Webチャット上でAmazon Payによるスムーズな決済を提供することもできる。

    この仕組みを活用して、「MakeShop」が提供する「Web接客型Amazon Pay」は、ショップにログインせずに買い物をしようとしている顧客が、注文者情報の入力画面で入力を躊躇されている状況を検知し、情報入力が不要なAmazon Payを提案するポップアップを表示するというもの。顧客はAmazonアカウントでログインすることで、住所やクレジットカード情報の入力が不要になるため、EC事業者は離脱(カゴ落ち)の軽減が可能になり、コンバージョン率の改善が期待できる。

    「MakeShop」での「Web接客型Amazon Pay」表示イメージ
    「MakeShop」での「Web接客型Amazon Pay」表示イメージ

    「Otameshi」では、「Amazon Pay」以外での方法で買い物カゴへ進み、そこで7秒以上経過すると、「フォームの入力にお困りの方へ」と題して「Amazon Pay」を使った買い物方法の案内をポップアップで表示するようにしている

    「ポップアップの表示設定はECプラットフォーム側で、また、表示までの時間は導入企業側で任意に決めることができる」と田村氏は説明する。

    「Otameshi」での「Web接客型Amazon Pay」表示画面
    「Otameshi」での「Web接客型Amazon Pay」表示画面

    当初はお客さまに“しつこい”という印象を与えてしまうかなと思ったが、表示される秒数、決済への誘導が考えられている設計になっていた。正直、最初は効果に関して半信半疑だったが、結果的にコンバージョン率の改善につながっている。ご購入いただける割合が増え、もちろん売上増加にもつながっている。(川村氏)

    「Web接客型Amazon Pay」は、「MakeShop」を使ってくださっているショップさまも購入者さまも両方が助かる仕組みですよね。(田村氏)

    ◇◇◇

    「Otameshi」は自社ECだけではなく、大手モール展開も行っている。モール店は別ブランド名で展開しているものの、「最初はモール店からスタートしたのだが、いつの間にか自社ECサイトである『Otameshi』がモール店を上回り……。『Otameshi』とモール店の売り上げの開きは大きくなる一方」と川村氏は言う。

    そんな声を聞いた田村氏は「多くのEC事業者が自社ECサイトを伸ばそうと思っても、自社ECサイトが伸びずに、モール店を伸ばさなければならない状況に陥っている。『Otameshi』は理想的」と太鼓判を押す。

    今後のSynaBizの目標は、「Otameshi」とモール店ともに売り上げを伸ばすこと。GMOメイクショップは、「『Amazon Pay』の提案はもちろん、ECプラットフォームとして、購入者さまにとって使いやすい、お買い物しやすいといった環境をさらに磨いていき、EC事業者のお役に立ちたい」と田村氏はインタビューを締めくくった。

    オークファングループが入居するビル内で行われた川村氏(写真右)と田村氏の対談は、1時間半以上に及んだ
    オークファングループが入居するビル内で行われた川村氏(写真右)と田村氏の対談は、1時間半以上に及んだ
    瀧川 正実
    瀧川 正実

    オンワードのEC売上は333億円で30%増、EC化率は13%に上昇【2020年2月期】

    5 years 6ヶ月 ago

    オンワードホールディングスの2020年2月期におけるEC売上高は、前期比30.6%増の333億800万円だった。

    主力子会社のオンワード樫山のEC売上高が10%以上伸びたほか、他のグループ企業の国内EC売上高は2倍以上に増加。連結売上高に占めるECの割合(EC化率)は、前の期と比べて2.8ポイント増の13.4%に上昇している。

    オンワードグループはアパレルECサイト「ONWARD CROSSET(オンワードクローゼット)」のほか、食品の「オンワードマルシェ」、バレエ用品の「チャコットオンラインショップ」、雑貨の「マザーガーデン」、ペット用品の「ペットパラダイス」などを展開している。

    オンワードホールディングスのEC売上高のうち約94%を国内事業が占めた。国内EC売上高は同31.4%増の313億4300万円。

    オンワード樫山単体のEC売上高は同11.4%増の215億3000万円で、国内EC事業の約7割を占めている。オンワード樫山を除く「国内関連事業」のEC売上高は同117.6%増の98億1400万円だった。

    海外のEC売上高は同18.7%増の19億6500万円。

    オンワードメンバーズ会員は同18.3%増の313万人。顧客接点を強化したことで前年を上回る伸び率だったという。オンワード公式アプリのダウンロード数は43万5000件。

    オンワードホールディングスの2020年2月期におけるEC売上高は、前期比30.6%増の333億800万円
    オンワードのEC売上(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

    グループの連結売上高は2482億円、当期純損失521億円

    オンワードホールディングスの2020年2月期の連結売上高は前期比3.2%増の2482億3300万円。

    主力のアパレル関連事業の売上高は、実店舗での販売が苦戦したことで同4.3%減の2052億6500万円。アパレル事業は国内と海外がどちらも減収減益だった。

    ライフスタイル関連事業の売上高は、ギフトカタログ事業を手掛ける大和を連結子会社化したこともあり同64.7%増の429億6800万となった。

    アパレル事業の低迷で連結決算における営業損失が30億6100万円、経常損失は38億3500万円だった。

    当期は不採算事業からの撤退や不採算店舗の廃止などに伴い減損損失約277億円を計上したほか、希望退職者を募ったことによる特別退職金約36億円が発生した。また、繰延税金資産を取り崩したことによる法人税等調整額135億4700万円を計上したことなどから、当期純損失は521億3500万円だった。

    2020年2月期決算を公表した4月10日時点では、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を見通すことが難しいとして2021年2月期の業績予想を公表していない。商業施設の営業時間短縮や営業休止、国内インバウンド需要の低迷、外出自粛による消費マインドの低下などに伴う消費需要の落ち込みが回復するには一定の期間が必要だと予測している。

     

    渡部 和章
    渡部 和章

    コロナ影響下の消費行動、ECサイト活用が加速

    5 years 6ヶ月 ago

    三井住友カードは5月7日、保有するキャッシュレスデータを、データ分析支援サービス「Custella(カステラ)」を用いて集計し、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらす消費行動の変化を、顧客時間と共同分析した結果を発表した。

    多くの業種で決済件数・金額が減少していく中、取引が増加している業種からは日常生活の変容による「巣ごもり消費」の顕在化と、社会情勢の変化に伴う買い物の質の変化、高年齢層のEC利用への「デジタルシフト」の兆候など、消費行動の変化が垣間見えるとしている。

    2020年1月~4月15日までのデータから、キャッシュレス決済状況の全体、業種別、世代別推移に着目して分析を行った。

    3月の業種別決済件数・金額の前年比伸び率では、「ホームセンター」「スーパー」など、生活必需品を取り扱う業種が決済件数・金額ともに前年から大きく伸長した。

    「ECモール・通販」「ペット関連」「通信サービス」も伸びており、小中高校の休校や出社・外出自粛要請などに伴う在宅時間増加により、「巣ごもり消費」の消費行動がうかがえる。

    2020年3月の増加・減少業種ランキング(前年同月比) 三井住友カードと顧客時間
    2020年3月の増加・減少業種ランキング(前年同月比)

    新型コロナウイルスは高齢者の重症化リスクが高いとされる中、高年齢層(60~70代)の行動がどのように変わったのかを検証した。注目すべき点は、「ECモール・通販」のシェア増加だ。

    日常的にECモール・通販を利用しているとされる20~30代よりも、高年齢層における増加幅が大きい。「EC モール・通販」の増加幅が「スーパー」を上回っていることからも、高年齢層が自らの身を守るために、外出を必要としない「ECモール・通販」を活用している消費行動の変化が推測できる。

    2020年1月~3月業種ごとの性・世代別の決済件数シェア推移 三井住友カードと顧客時間
    2020年1月~3月業種ごとの性・世代別の決済件数シェア推移

    4月7日の緊急事態宣言以降、4月8日週の週別業種別傾向によると、在宅勤務の増加に伴うテレワーク関連消費と呼べる「通信サービス」「家電量販店」「ECモール・通販」の伸長だけでなく、「玩具・娯楽品」の伸びが著しく、買い物の質も変化している。

    週別の業種別前年同月比ランキング 三井住友カードと顧客時間
    週別の業種別前年同月比ランキング

    世代別の決済金額伸長業種ランキングでも、「玩具・娯楽品」が全体および20~40代で伸長率1位に。同業種にはゲーム機・ゲームのダウンロード購入・スマホゲームの課金なども含む。必需品中心の消費行動から、外出自粛の長期化も視野に入れた、家中での余剰時間を充実して過ごす目的への消費行動変化の現れとも言える。

    2020年4月1日~4月14日決済金額伸長業種ランキング(世代別)三井住友カードと顧客時間
    2020年4月1日~4月14日決済金額伸長業種ランキング(世代別)

    高年齢層にも使いやすい操作性や画面構成・表現の考慮が必要に

    三井住友カードと顧客時間は次のように調査結果について考察している。

    新型コロナウイルスの影響により経済活動は大きな停滞を余儀なくされている、その中でも決済データを業種別や世代別で分析することにより、従来とは異なる顧客の消費行動の変化を知ることができる。

    特に、高年齢層の「安全志向」重視の行動だと考えられるEC サイト活用のデジタルシフト傾向も見逃せない行動の1つ。この傾向を一過性の変化としてではなく、世代を問わないデジタルシフトの加速だと理解すると、ECサイトには高年齢層にも使いやすい操作性や画面構成・表現の考慮が、これまで以上に必要とされそうだ

    「巣ごもり消費」が外出自粛の長期化により、必需品から娯楽品へ買い物対象が移り変わっている状況なども含め、変化する社会情勢と決済データを時系列で追うことは、「コロナ感染期」「コロナ感染収束後」の消費行動を考える上で、大事な示唆の発見につながると言える。

    編集部からのお知らせ

    顧客時間の共同CEO代表取締役でオイシックス・ラ・大地 執行役員 Chief Omni-Channel Officerの奥谷孝司氏が、今回の調査結果などを踏まえたコロナ禍に求められるECマーケティングについて、オンラインセミナーイベントで講演します。イベントの詳細は以下をご覧下さい。

    石居 岳
    石居 岳
    確認済み
    16 分 36 秒 ago
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