ネットショップ担当者フォーラム

物販堅調、サービス復調、デジタル低調。2022年の電子商取引調査【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

2 years 3ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年8月28日~9月3日のニュース

2022年の電子商取引調査と令和4年度 宅配便・メール便取扱実績が発表されました。BtoC-EC市場規模は22.7兆円で、前年比9.91%増。物販系は伸びを示し、一部デジタル系は減少。令和4年度の宅配便は1.1%増、メール便は5.9%減となっています。

ますます成長を続けるBtoC-EC市場

BtoC-EC市場規模は22.7兆円。物販系は約14兆円でEC化率は9.1%【2022年の電子商取引調査まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11322

経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2022年のBtoC-EC市場規模は22兆7449億円で前年比9.91%増だった。 

ニュースまとめ 令和4年度デジタル取引環境整備事業 電子商取引に関する市場調査 BtoC-EC市場規模

2022年度の電子商取引に関する市場調査が発表されました。2022年はコロナの影響が残っていますので、ECの市場規模は伸びることがわかっていましたが、BtoCは約10%と高い伸びになっています。

ニュースまとめ 令和4年度デジタル取引環境整備事業 電子商取引に関する市場調査 BtoC-EC市場規模の内訳

内訳を見て見ると、物販系は堅調な伸び、サービス系は旅行・チケットが大きく伸びたというか復調していて、デジタル系はオンラインゲームが18.79%減と落ち込んでいるので全体でもマイナス成長です。コロナの影響で一気にデジタルにシフトした世の中が、急速に元に戻っているのがわかりますね。どこで均衡が取れてくるのかがわかるのは来年の調査になりますので、それまではネットでの売れ行き、リアルの人流などをよく観察しておきましょう。

国土交通省、令和4年度 宅配便・メール便取扱実績を発表 宅配便取扱個数は前年度比1.1%増、メール便は5.9%減少 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/40337

〇令和4年度の宅配便取扱個数は、50 億588 万個で、前年度と比較して5265 万個・約1.1%の増加となった。

〇令和4年度のメール便取扱冊数は、40 億3223 万冊で、前年度と比較して2 億5490 万冊・約5.9%の減少となった。

今週はもう1つ統計データを。令和4年度(2022年度)の宅配便取扱個数は50億588万個で、約1.1%増加。市場規模の伸びよりも低いのは実際にモノが動かないサービスもあるからですね。

宅配便はヤマト運輸とカンガルー便以外は取扱個数が減少。メール便に関してはここ数年減少傾向で、それは変わっていません。

毎年の統計データを日ごろのニュースと照らし合わせていくとよりトレンドがわかってきますので、時間のある時に詳細資料を読んでみてください。

今週の要チェック記事

Shopifyの成長戦略におけるShop Payの重要性 | CEREAL TALK
https://note.com/cerealtalk/n/nda4bff2ce303

いつの間にか決済が伸びている「Shopify」。さまざまなデータを駆使して成長していきそうです。

eコマースでもかゆいところに手が届くサービスを 客単価アップにつながる10のコツとは? | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/13287

「定番商品の2個セット」「人気商品組み合わせ」この2つをやっていない人は多いのでは?

越境Eコマース成功への近道!近本氏の実践的マーケティングと競合と差をつけるカスタマーサポートの極意 | コマースプラス
https://commerceplus.jp/chikamoto/

しっかりとデータを取って着実にしかも素早く成長。このスピード感ですよね。

自発的な業務改善が浸透!売上10倍なのに週休3日も実現可能に?高千穂ムラたび・佐伯さん×川村対談 | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/230829-takachiho-muratabi/

「『やりたくないな』と感じる作業が売上に直結する」。「これくらいいか…」と思う作業で売り上げが上がります。

意図せず自動作成されてしまったGA4プロパティを削除する方法 | プリンシプル
https://www.principle-c.com/column/ga/ga4/removed-ga4-properties-automatically-created/

皆さんの「GA4」にも自動作成されたものがあればこの対応を。

お客様アンケートから見えてくる、futureshop連携サービスについての「ホンネ」 | E-Commerce Magazine by futureshop
https://magazine.future-shop.jp/futureshop-partner-service-voice

費用面など気になる部分の本音がまとまっていて、使っている人も検討中の人にも参考になります。

Google Japan Blog: 生成 AI による検索体験 (SGE) のご紹介 | Google Japan Blog
https://japan.googleblog.com/2023/08/search-sge.html

「Search LabsにGoogle アカウントを登録する」必要があります。使ってみた感想はまだまだといったところ。

今週の名言

にしたんクリニックはなぜタクシー広告 GROWTH に広告を出し続けるのか?:エクスコムグローバル西村誠司代表が語る、最強のマーケティング戦略 | DIGIDAY
https://digiday.jp/sponsored/why-does-nishitan-clinic-continue-to-advertise-on-taxi-cab-ad-growth-xcom-global-seiji-nishimura-talks-about-the-marketing-strategy/

私にとって、マーケティングとは「知名度を高めること」に尽きます。商品や情報が溢れている現在、「知ってもらう」ことこそが最重要。

この方が仰ると説得力十二分ですね。「知られていないネットショップは無人島にあるお店と同じ」と言われるように、まずは認知の拡大から。

筆者出版情報

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森野誠之 著
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発売日 2021年10月15日
価格 2,200円+税

この連載の筆者 森野誠之氏の著書が翔泳社から発売されました。小さな会社の“ひとり担当者”が、未経験、低予算、独学でホームページのリニューアルからウェブマーケティングまでを成功させるための指南書です。電子版、オンデマンド印刷版ともにAmazonで発売中です!

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「ebisumart」のインターファクトリー、越境EC事業の支援を強化。グローバルEC支援のLingbleと業務提携

2 years 3ヶ月 ago

インターファクトリーは、越境EC支援を手がけるLingble Pte. Ltd.と業務提携契約を締結した。クラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」導入企業の越境EC拡大を支援する。

インターファクトリー EC 構築 Lingble ebisumart グローバル 越境EC

「ebisumart」導入企業のグローバル事業拡大をサポート

Lingbleは、グローバルECの戦略策定、各国に最適な決済手段、グローバルマーケティング、多言語でのカスタマーサポート、国際配送と税関の手続きなど、グローバルECサイトの構築から運用、売上拡大に必要なトータルソリューションを提供するプラットフォーム「Lingble(リングブル)」を提供している。

国内外の売上数億から数兆円規模の複数の企業に越境ECのソリューションを提供。導入後の売上高は平均5倍増になっているという。

インターファクトリーは「ebisumart」とLingbleが提供するシステムを連携。「ebisumart」ユーザーが「Lingble」を導入すると、自社ドメインを統一したまま、ECサイトにアクセスするユーザーの居住地に合わせて自動でローカライズされたECサイトを構築できるようになる。国や地域ごとにドメインの異なる独自のECサイトをそれぞれ運用する手間が省ける。

UI、言語、通貨、決済手段、価格設定、商品ラインアップまで、海外現地の慣習に合った戦略を、導入企業に伴走しながらサポートするとしている。

「Lingble」を導入した「ebisumart」ユーザーには、Lingbleがマーケティング戦略の立案や、ユーザー獲得に必要なブランド認知のための施策を提案する。また、インターファクトリーのECビジネス成長支援チームと連携し、導入企業の国内・海外EC事業を総合的にサポートする。

コロナ禍のパンデミック収束によるインバウンド需要、円安継続の見通しから、越境EC市場はさらなる拡大が予想されている。業務提携によるシステム面やソリューション面の連携で、「ebisumart」「ebisu growth」を利用する事業者のグローバルEC展開を支援する。

「ebisumart」とは

導入企業が常に最新・最適化されたECサイトを構築できるクラウドコマースプラットフォーム。サイトリニューアル、オムニチャネル、BtoB-ECなど、構築実績は累計700サイト超。

「ebisu growth」とは

EC事業者の成長を戦略立案から実務まで支援するコンサルティングサービス。現在はECモールの運営支援を先行して提供している。2023年秋には「ebisumart」、中小規模事業者向けEC構築サービス「ebisumart zero」以外のECシステム利用者も対象に加える。

高野 真維

KDDIの「au経済圏」を攻略するには? ECモール「auPAYマーケット」の特徴+最新動向を解説 | 通販新聞ダイジェスト

2 years 3ヶ月 ago
出店すれば、1億人以上の利用者を持つau経済圏にアプローチできる「auPAYマーケット」。初回購入者のリピーター化や若年層の新規獲得に成功している秘訣とは?

コロナ禍で急成長したEC市場だが、“巣ごもり需要”の反動で売り上げが伸び悩んでいる。今後も市場自体の伸びしろがあるなか、EC事業者にとっては「成長」か「衰退」かのターニングポイントに来たようだ。「auPAYマーケット」では、出店することで1億人以上の利用が見込める「au経済圏」へのアプローチが可能だ。カギとなる「集客」と「常連化」についての施策を「auPAYマーケット」の三井部長に聞いた。

auコマース&ライフ コマース事業部ストアコンサルティング1部 三井文部長
auコマース&ライフ コマース事業部ストアコンサルティング1部 三井文部長

国内EC化率は発展途上

コロナ禍を受けて、多くの事業者がECへと参入したこともあり、日本のEC化率は急速に高まった。ところが、ナウキャストとJCBが実施した、クレジットカードの決済データなどの調査によると、昨年の日本におけるEC売上高の伸び率は、前年比で2%増にとどまったという。

“巣ごもり需要”の反動が起きたわけだが、日本のEC化率はまだ10%未満にとどまっており、諸外国に比べるとまだまだ低い。そのため、コロナ禍における成長速度には及ばないものの、今後もEC化率が高まっていくこと自体は確実だ。

アフターコロナはEC事業者の過渡期

仮想モール「auPAYマーケット」を運営する、auコマース&ライフのコマース事業部ストアコンサルティング1部の三井文部長は「リアル店舗での消費がコロナ前と同程度に回復しているため、EC事業者間で顧客獲得の難易度が今後高まる可能性があり、今が事業者にとって『成長』と『衰退』のターニングポイントとなるかもしれない」と指摘する。

auコマース&ライフが運営する「auPAYマーケット」(画像は「auPAYマーケット」トップページから編集部がキャプチャ)
auコマース&ライフが運営する「auPAYマーケット」(画像は「auPAYマーケット」トップページから編集部がキャプチャ)

こうしたなかでEC事業者が打つべき施策とは何か。三井部長は「まず取り組むべきは『集客力』と『常連化』だろう」と話す。「集客」に関して、すぐにでもできるのは「マルチプラットフォーム戦略」だ。仮想モールは運営会社の「経済圏」と強く結びついており、経済圏の利用者は関連する仮想モールで買い物をする傾向が強い

「au経済圏」の特徴+ファン化の仕組みとは

KDDIによる「au経済圏」も、「Pontaポイント」を中心に1億人以上の利用者を抱える。さらに、有料の優待サービス「auスマートパスプレミアム(スマプレ)」の会員数も1300万人超にのぼる。

一つの仮想モールのみに出店しているのでは、他の経済圏が囲い込んでいる消費者へアプローチする手法を失ってしまう。auPAYマーケットに出店すれば、規模が大きいau経済圏へのアプローチが可能になる。

初回購入をフックとした新規獲得見込む

特に、スマプレ会員はauPAYマーケットとの結びつきが強いのが特徴で、仮想モール流通額のうちスマプレ会員が多くを占める。会員向け割引クーポンを配布しているほか、会員なら対象商品のポイントが1%増や送料無料となり、さらにセールイベントにおける会員特典などもある。

そのため「スマプレ会員なら、初回でもかなりお得に購入することができるので、初回購入をフックとして他の経済圏のお客さまを引き込める可能性がある」(三井部長)のもEC事業者にとっては大きなメリットだ。

自動メール配信で購入後のリピーター化狙う

もう一つのポイントである「常連化」、これは全てのEC事業者にとって大きなテーマといえる。2回目以降の購入を促すには、初回購入後のアフターフォローが重要になってくるが、多くの顧客に対して個別に対応するのは難しいため、手間をかけずに効果的に販促を行う必要がある。

auPAYマーケットでは、事前にクーポンを設定しておくだけで、配信シナリオに合致するユーザーに対し、自動でメール配信を実施できる「自動販促オプション」を用意している。

三井部長は「たとえば、来店したものの商品を閲覧するだけで買わなかったというお客さまに対してもクーポンでアプローチできる。また、一度購入したが、しばらく来店していないというお客さまに対しても、自動的にクーポンを案内することができる。条件に合致したお客さまに自動的にアプローチしてくれるので、店舗さまからは非常に好評だ」と語る。

クーポンが当たる「買い物ルーレット」も好評

また、ユーザー向け施策としては、auPAYマーケットで2000円以上購入すると、1~2000ポイントや50~1000円の割引クーポンなどが必ず当たる「買い得ルーレット」も好評で、仮想モールへの再来訪・再購買を促すきっかけとなっている。

「auPAYマーケット」で実施している「買い物ルーレット」(画像は「auPAYマーケット」から編集部がキャプチャ)
「auPAYマーケット」で実施している「買い物ルーレット」(画像は「auPAYマーケット」から編集部がキャプチャ)

ライブコマースで若年層の取り込み堅調

auPAYマーケットのユーザーは30~50代が中心だが、近年はライブコマースサービス「ライブTV」も視聴者数が伸びており、若年層の利用も伸びつつある。若年層向けの商品をauPAYマーケットで扱うのも、売り上げ増に向けた一つの打ち手といえるだろう。

三井部長は「auPAYマーケットは、注力すれば必ず売り上げが伸びるモール。EC事業者にとっても、一つの仮想モールに依存するのはリスクが高いので、当モールに力を入れることで、売り上げの“柱”が複数ある体制をめざしてほしい」と事業者に呼びかける。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

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通販新聞

中国小売・EC市場でニーズ拡大のペット産業。「エンプティネスト」が市場拡大を後押ししている背景とは | 中国の最新買い物事情~トランスコスモスチャイナからの現地レポート~

2 years 3ヶ月 ago
中国では今後、政府、企業、協会が一体となり、ペット産業の大規模化を進めていくでしょう。少子化と「エンプティネスト経済」の進展が、ペット産業の拡大を後押しすると予想予想されます。

中国では1人暮らしの高齢者や若者が増加し人口動態が大きく変化している一方で、心のニーズを満たしたいと考える人が増えています。そんな人たちの心の支えになっているのがペット(ここでは主に犬・猫)です。「エンプティネスト(子供が親元を離れて、別の世帯に暮らし始めること)」の進展が、ペット関連産業への消費を後押ししています。

中国人がペットを飼う理由
ペットを飼う理由(出典:Kurun Data、画像制作:トランスコスモスチャイナ)

GDP成長でペット関連消費が増加、企業の投資意欲が旺盛

中国のGDP成長に伴い、1人あたりの平均所得と消費は2013年から右肩上がりで伸びています。GDPの成長は、ペットやペット関連商材の購入者増加、購入単価アップなどの好影響を与えているのです。

ペット産業に関する世の中の変化(出典:Statistics、画像制作:トランスコスモスチャイナ)
2013-2020年における中国住民の平均所得と消費の推移
中国住民の平均所得と消費の推移(出典:Statistics、画像制作:トランスコスモスチャイナ)

オンライン・オフラインのペット産業市場(ペット用品のほかペット医療など関連産業も含む)が高い成長率で伸びており、2021年の市場規模は1500億元(約3兆336億円)に拡大。2022年には1706億元(約3兆4502億円)に成長したと見られており、「エンプティネスト経済」の進展で今後さらに大きくなると予想されています。

ペット産業の市場規模
ペット産業の市場規模(出典:ペット産業青書 ー 2022年中国ペット産業発展報告書)

Chinabgao.comによると、中国で飼育されているペット数は増加傾向で、2020年は前年比3.1%増の1億9000万匹に達したそうです。

iResearchの調査データによると、中国都市部の犬・猫に関する消費市場は過去7年間で順調に成長。2023年の市場規模は445億6000万元(約9011億円)に達し、2021年から2023年の推定CAGR(年平均成長率)は14.2%と予測さています。

中国都市部の犬・猫の消費市場
中国都市部の犬・猫に関する消費の市場規模(出典:iResearch、画像制作:トランスコスモスチャイナ)

飼育の種類では犬と猫が圧倒的に多く、犬と猫を飼育する人の割合は75%。猫の飼育数は犬を上回って増加し続けており、今後は猫関連消費の需要が盛り上がっていくと予想されています。

飼育するペットの種類の割合と伸び率
飼育するペットの種類の割合と伸び率(出典:アジアペット研究所)

消費が伸びていますので、企業による投資意欲も旺盛。CBNデータとTianYanChaによると、ペット関連市場(ペット専用機器、ヘルスケア、医療サービスなど)への投資は2019年から2021年にかけて2.5倍に拡大したそうです。また、ペット関連企業の上場準備も進んでいます。

ペットフードがペット市場の成長をけん引、ニーズが高まるペットの衛生面

ペットカテゴリーの主なサブカテゴリーは「キャットフード」「ドッグフード」「猫・犬の掃除用品」「猫のおやつ」です。

ペットカテゴリーで購入される商品
購入されるカテゴリー(出典:Taoデータ、画像制作:トランスコスモスチャイナ)
購入される上位カテゴリー(出典:Taoデータ、画像制作:トランスコスモスチャイナ)

なかで最も大きいのがペットフードカテゴリー。中国の2017~2021年におけるペットフード小売売上高は年平均25.1%で伸び、2022年は542億元(約1兆961億円)に達しました。そのうち犬猫フードが541億元(約1兆941億円)と99%近くを占めています。

2022-2027年では、犬の飼育者に比べて猫の飼育意欲が高いことから、キャットフードはドッグフード(CGAR 3.6%)よりも高い成長(CGAR 14.3%)が見込まれています。

また、保存性とコストパフォーマンスが高いドライフードは犬猫用フード市場の74%、市場の3/4を占めています。

ペットフード市場の売上高とカテゴリ別小売販売額
ペットフード市場の売上高とカテゴリ別小売販売額(出典:アジアペット研究所「ペット産業青書:2022年中国ペット産業発展報告書」)

消費やニーズの多様化、テクノロジーの進化などで、ペットフードはさらに細分化され、低価格商材からハイエンド消費までさまざまな商品が出現するでしょう。ペットフード業界からは今後、調合食品と免疫食品が新たな戦場となる可能性がるといった声もあります。また、処方食、高級ウェットフードなども注目されており、「健康」を軸としたペットフード消費が成長のカギになりそうです。

中国のペットオーナーは衛生面に気を配るようになっています。現にペット用シャンプーの需要が高まっており、なかでも安全で無添加の成分が入った製品の購入が上位にあがっています。「プロのペットウォッシャー」をうたうブランドからは、被毛や皮膚の特徴などペットの個体差に応じたパーソナルなペットシャンプーが開発・販売されています。

ビューティ・トイレタリー製品の小売売上規模
ビューティ・トイレタリー製品の小売売上規模(出典:アジアペット研究所「ペット産業青書:2022年中国ペット産業発展報告書」)

ただ、ペットフード、シャンプーなどのペット用品はレッドオーシャン。競争が激しく、勝ち抜くためには大きな投資が必要となります。資本が乏しい企業は、ニーズの細分化、消費の多様化に対応したニッチな製品に注力することが推奨されます。

一方、ブルーオーシャンなのがヘルスケア、医療・金融保険。これらの分野では現在、多くの資本が集まっており、今後の市場隆盛が期待されます。

拡大が予想されるペット産業

中国では今後、政府、企業、協会が一体となり、ペット産業の大規模化を進めていくでしょう。少子化と「エンプティネスト経済」の進展が、ペット産業の拡大を後押しすると予想予想されます。

中国畜産協会ペット産業分会会長の劉朗博士はインタビューで、「ペット産業は世界的に100年以上発展してきたが、まだ新興産業である」と指摘。中国のペット産業は今後も成長すると見られています。「エンプティネスト経済」への注目がより集まっていくことでしょう。

【越境EC・海外向けECに必見の一冊】世界30の国・地域のECデータを把握できる書籍『海外ECハンドブック2021』

インプレスは、越境ECや海外向けEC、海外進出に役立つ、世界30の国・地域のECデータをまとめた『海外ECハンドブック2021』(著者はトランスコスモス)を発刊。「世界のEC市場規模予測」「地域別EC市場データ」「越境EC市場規模およびEC利用者の推移」「EC市場データランキング」などを詳しくまとめています。

『海外ECハンドブック2021』のお求めはAmazonかインプレスブックスで
電子版のほか、AmazonではPOD(プリント・オン・デマンド)版をご注文いただけます。A4サイズの冊子でお届けします。
越境ECや海外向けEC、海外進出に役立つ、世界30の国・地域のECデータをまとめた『海外ECハンドブック2021』(著:トランスコスモス)
2019年のグローバルB2C-EC市場について(画像は『海外ECハンドブック2021』から)
越境ECや海外向けEC、海外進出に役立つ、世界30の国・地域のECデータをまとめた『海外ECハンドブック2021』(著:トランスコスモス)
地域別のEC市場規模(画像は『海外ECハンドブック2021』から)

[主要30の国・地域のEC市場概況]

  • 世界のEC市場規模予測
  • 地域別EC市場データ
  • 30の国・地域のEC市場ポテンシャル
  • 越境EC市場規模およびEC利用者の推移
  • 越境ECの地域別利用状況
  • アジア10都市EC利用動向調査
  • EC市場データランキング(TOP10)
  • 各国のEC市場環境比較表2019年
    などを掲載。アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域について、各国のEC市場環境比較表などを掲載しています。
    https://www.amazon.co.jp/dp/B09MW2GF6D
トランスコスモスチャイナ(transcosmos China)
叶佳晨(JC Ye)

インターファクトリーがコマースプラットフォーム「ebisumart」の大規模EC向けの新サービス「ebisu commerce」を提供開始、その特徴とは?

2 years 3ヶ月 ago

インターファクトリーは、大規模EC事業者向けの新サービスとしてコマースデータプラットフォーム「ebisu commerce(エビス コマース)」の提供を開始した。

「ebisu commerce」は「コマース」と「データ活用」をサポートするコマースデータプラットフォーム。従来から提供している「ebisumart」のコンセプトを基にしたハイエンドモデルとして開発した。

ebisu commerce インターファクトリー EC 構築

大規模ECのコマースとデータ活用を支援

「ebisu commerce」は、商品やサービスをECで販売するコマースプラットフォーム機能、 ECに必要なデータを収集・分析するデータプラットフォーム機能を搭載。これらの機能を通じて、ECサイトのコマースとデータ活用をサポートする。

インターファクトリーは基幹サービスの中・大規模向けECプラットフォーム「ebisumart」のほか、スタートアップ・中小企業向けの「ebisumart zero」を提供している。EC事業者はインターファクトリーが提供するクラウドECプラットフォームサービスのなかから、事業規模に合わせたプラットフォームを選ぶことができるようになった。

スタートアップから大規模向けまでEC事業者の事業規模に合わせたニーズに応える
スタートアップから大規模向けまでEC事業者の事業規模に合わせたニーズに応える

「ebisu commerce」の6つの特徴とは

1. 「大量なデータ」「急激なトラフィック増加」に対応するシステム性能

サーバ負荷に応じて、自動的にクラウドサーバの台数を増減させるオートスケール機能を搭載している。

また、突発的な大量アクセスに対し、運用担当者の作業負荷を発生させることなくサーバの運営を持続することが可能。ECサイトへのアクセスが急増した際にシステム全体に負荷がかからないようデータベースを分散させるマイクロサービスアーキテクチャを用いて開発しているからという。

2. データプラットフォームとしてマーケティング施策への活用

注文情報や商品情報、会員情報に関わるログや行動履歴データなど、各種データを「ebisu commerce」のデータベースに統合・連携する。このため、運用担当者はシステム管理画面から可視化されたデータを基に分析することができ、事業の拡大に向けたマーケティング、広告施策、業務改善といった施策に活用できる。

データの統合・連携によりEC事業者のデータ活用施策を支援する
データの統合・連携によりEC事業者のデータ活用施策を支援する

3. 高水準のセキュリティ環境

  • サイバー攻撃を防ぐ「WAFシステム」
  • クレジットカード業界の情報セキュリティ基準である「PCI DSS」に準拠した決済基盤
  • 情報セキュリティを確保するためのリスクを把握し、適切に管理・運用するための「ISMS認証」に準拠したシステム運用 

など、システムから運用まで、高水準のセキュリティ対策を講じている。

4. 事業者独自の柔軟なカスタマイズに対応

販売方法や運用に合わせて、EC事業者の希望に沿ったカスタマイズ機能を持つ。EC事業者が現在利用している社内基幹システム、WMS(倉庫管理システム)などの外部システムとも連携できる。

5. ヘッドレスコマースを実現

「ebisumart」の特長の1つである「ebisumart API」を「ebisu commerce」でも整備している。これにより、ECサイトのフロントエンドとバックエンドでそれぞれ独立した、ヘッドレスコマースでの開発・運用ができる。

6. 導入後も専任担当者制でサポート

「ebisu commerce」専用サポートサイトを開設。また、提案、開発、サイトオープン後の保守まで顧客企業専任チームによるサポート体制を持つ。

高野 真維

覚えやすく愛されるネーミングとは? 売れる商品名の付け方をプロのコピーライターに聞いた | 今日から試せるネットショップ運営ノウハウ powered by カラーミーショップ

2 years 3ヶ月 ago
ショップ名、ブランド名、商品名など売り上げを左右する”愛され”ネーミングのコツを、コピーライターの小藥元さんに伺いました

ネットショップ運営において、ショップ名やブランド名、さらには商品名など名前をつけるシーンは非常に重要。なぜならその内容次第では売り上げに影響することもあるからです。そこで今回はネーミングのコツなどについて、コピーライター兼クリエイティブディレクターの小藥元 (こぐすり げん)さんにお話を伺いました。

小藥さんについて

小藥元さん

meet&meet コピーライター/クリエイティブディレクター 小藥 元さん
早稲田大学卒業後、2005年株式会社博報堂入社。第五制作室・コピーライター配属。2014年8月「meet&meet」設立。meet Inc.代表取締役。東京コピーライターズクラブ会員(06 年新人賞受賞)。これまでのおもなブランドコピー開発に、FIBA バスケットボール・ワールドカップ2023 テレビ朝日「1 歩、1本、日本。」NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』「晴れ、雨、進め。」TikTok「もっと世界を好きになる。」マイケル・ジャクソン遺品展「星になっても、月を歩くだろう。」。おもなブランドネーム開発に、パルコ「PARCO_ya/パルコヤ」岡本「まるでこたつソックス」関東最大級サウナ宿泊施設「かるまる」ユーグレナ「からだにユーグレナ」がある。著書『なまえデザイン』(宣伝会議)。

――小藥さんの自己紹介をおねがいします!

コピーライターでありクリエイティブディレクターです。ディレクションとは方向性のことですが、言葉は「ここだ!」という定義ができたり、「こっちだ!」と方向性を示したりすることができるんです。

「コピー」というと多くの人がキャッチコピーを作る仕事を想像するかと思いますが、私の場合、キャッチコピーと言われるような仕事は全体の1~2割程度で、ブランドのスローガンやタグラインを生み出す仕事や、もっとだいぶ手前の企業全体の事業定義やブランドの方向を決めていく仕事が主となっています。

キャッチコピーは、わかりやすく言えばイベント期間だけとかプロモーション要素が大きいもの。限定された期間に存在するものです。私が手がけた仕事でいうと、マイケル・ジャクソン遺品展の「星になっても、月を歩くだろう。」や、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』の「晴れ、雨、進め。」ファミリーマートのコーヒーが変わったときに書いた「変新!」などが該当します。

一方、ブランドのスローガンやタグラインは、川崎市の「Colors,Future!いろいろって、未来。」やTikTokの「もっと世界を好きになる。」のように、期間限定ではなく長く使われていく前提、ブランドのアセットになるようなものになります。

ただ前者の仕事においても、私は人の心や記憶の中で長く残るものを生みたい気持ちで仕事をしています。独立後は、ブランドネーミングをする機会も多くいただきました。とかく表現に目が行きがちですが、これもアウトプットする手前のブランドコンセプトの構築や、そもそも定義をすることから私の仕事になります。

ネーミングの目的は、お客さまに選んでもらうための差別化?

――ネーミングとはなんでしょうか? 名前をつけるというのは、そもそもどういう目的やどういった価値を得るためにするものなのでしょうか? たとえば、「牛乳」→「おいしい牛乳」「しっかり濃厚」「特濃」などがあると思うのですが。

世界に牛乳がひとつしかなければ名前は「牛乳」でいいんですよね。それが価値です。だけど牛乳は何種類もあるので、名前が「牛乳」では区別がつかない。どんなビジネスでも基本的にはお客さまに選ばれる宿命にあり、選んでもらうために差別化を図っていく必要性があります。

その一つの大きなものとして名前をつける=ネーミングの目的があり、それは価値を生み出すためです。牛乳を伝えるだけではライバルが多すぎて価値がなくなってしまったのです。

本来「名前」とは育てていくもので、愛されるブランドに成長させていくもの。それが本質です。 機能的にあまり変わらない商品であれば数多くあるライバル商品のなかに簡単に埋もれてしまうので、今この瞬間に目を引くキャッチーな名前が必要な場合もある。 ネーミングにスピード感が求められるようになったのです。

ビジネスシーンにおけるネーミングの重要性

――ビジネスシーンにおいてもネーミングは重要ですか?

「ネーミング」というと、多くの人がブランド名やショップ名のことと捉えがちですが、それだけではなく、サービス名や会社の部署名、あるいは考え方や思想などでもネーミングすることを意識したほうがいいかもしれません。

先日スーツケースが壊れたのですが、傷だらけでも愛着を持っているものなので、買い換えずに修理に出そうとお店に行ったんですね。そのとき感じたのが、修理ってマイナスをゼロにするものだけど、そうじゃないなと。修理を別の言葉に置き換えることができたら、お店と私=お客さんの間に、新しい関係性が生まれるかもしれませんよね。またそのスーツケースブランド独自の言葉になるはずです。

署名やプロジェクト名、職業名などでも同じで、名前ひとつで固定された価値をオセロのようにひっくり返せるんじゃないかなと考えています。「人事部」や「総務部」という言葉は歴史もあって素敵な名ですが、もっとモチベーションを上げる名前に変えられるかもしれません

そうすれば、中で働く人の意識が変わり、行動が変わる。職業名だって変えることで仕事の幅も広がるかもしれないし、職業の認知度や好意度にも影響があるでしょう。ビジネスの武器になる可能性をさまざまな箇所で秘めています

「よなよなエール」でおなじみのヤッホーブルーイングさんではユニークでオリジナルの名をブランド名に限らず、さまざまなところにつけています。たとえば、人事部の名前は「ヤッホー盛り上げ隊」といいます。「中途採用を担当する」などではないわけですよね。

会社全体を盛り上げるための施策やカルチャー・風土を率先して作っていくチームなんだと自覚できますよね。組織に対する愛着も行動も変わったのではないかなと思います

買取専門店「なんぼや」を運営するバリュエンスグループのCEO嵜本晋輔氏は、ものを鑑定する鑑定士の仕事を「バリューデザイナー」としたそうです。鑑定士はプロフェッショナル性を表すよい名前ですが、職域が狭まっていた側面もある。「バリューデザイナー」という呼称だと、目の前の何かに対する鑑定に止まらず、自らお客さまに提案をする姿勢を促しているのではないかと感じます。

EC運営におけるネーミングの重要性は?

――EC運営においてもネーミングは重要ですか?

重要だと思います。お皿屋さんとか牛乳屋さんというのはカテゴリー名で、自己紹介にはならないんですよね。だから、「何屋さんか」っていうことよりも「何者か」が重要になってきます。そこで初めて個性が生まれるのです。

その時、自分らしさを伝えることが大切です。人気なECは自分が何者かをきちんと伝えられていて、ファンがついていると感じます。先ほどの話にもつながりますが、使う言葉ひとつで自分たちのブランド活動の方向性が変わるはずです。

ECであれば「梱包作業」はどんな言葉に言い換えられるだろうとか、ネットショップの「運営チーム」をなんて呼ぼうかとか、ブランド名や商品名以外のネーミングもしっかり考えたほうがいいです。ネーミングでは自分たちがワクワクできて愛せることが何よりも大事です。

ブランドや会社のスタッフが、ここで働くのが好き、働いている自分が好きと思えてはじめて、外の人も「このブランドいいな」「この会社素敵だな」と感じられるようになる。働く人のアイデンティティとブランドのアイデンティティがリンクするかどうかは極めて重要なことだと私は考えています。

働いている人が自分たちのブランドをもっと好きになれれば、もっと前向きになり、もっとアイデアを出したくなり、結果的によいブランドに育っていくと思います。そういう意味では、ブランドは内側から醸成されていくものなので、中で働く人が愛着の湧く名前を考えてみることをおすすめします。

ネーミングするときに重視すべきポイントは「自分で理由をきちんと語れるか」?

――名前をつけるときに重視すべきポイントを教えてください。

ネーミングで重視すべきポイントは、自分たちに根ざしているかどうか。その名前をつけた理由をきちんと語れるかどうか。なんとなくはやめたほうがいいですね。

ファンにとっても、インナーにとっても納得や好意を持てる理由を持ちたいところです。「目立つから」だけが理由というのも信用や信頼を得にくい。名前だけが宙に浮いていると、いずれ風船のように飛んでいってしまいます。自分の趣味趣向や考え方が伝わる名前をつけてほしいです。

ブランドの価値を誰かに届けたい、商品を買ってもらいたいという場合は、「I」だけではなく「WE」という視点が重要です。私が名前を考えるときは、相手とつながれる言葉、相手にとっても自分の言葉になるかどうかをすごく意識しています。

その人が「私が好きなお気に入りのブランド」だと感じるなら、それはもうファンですよね。「誰のものでもなくて自分のもの」と思ってもらえるブランドは強いですよ。

ネーミングってどうやるの? 基本的な3つの手順

――ショップオーナーが自身の商品やブランドの名前を考える際に注意すべきポイントはありますか?

ブランド名を考えるときは、先ほど重視するポイントでもお話した通り、周りがどうとか流行りがどうとかを意識しすぎず、自分に根ざした名前をつけることをおすすめします。そうでないと、整合性が取れなくなります。

核になるものに基づいた名前であれば、事業がうまくいかなかったときや売れなかったときにも、原点に戻って立て直しを図ることもできます。

一方で、商品名については、商品を売らないと利益が上がらないので、やはり競合他社との差別化を図れる名前をつけることが重要です。私はいつも「止まらない言葉、転がる言葉」を生むことを意識しています。

私が手がけたサウナ宿泊施設「かるまる」は、「かるまろ」「かるまった」「かるまります」「かるまる?」のように、名詞だけに止まらず動詞や形容詞としても使われています。また一部の人には「サウナ界のディズニーランド」と呼ばれて親しまれています。

人って言葉で遊ぶんですよね。そこでコミュニケーションが生まれるからファンが増えて、マーケットが大きくなっていくんだと思います。ですから、その名前からどんな会話が生まれるのかな、略されたらこう呼ばれるかな、あの人だったらこんなことを言ってくれるかもしれないな、といったことを想像しながら名前を考えたほうがいいですよ。

コミュニケーションとしてなかなか遊んでもらえるような未来を描けないなら、選ばないほうがいい。カッコいいことをいっても愛されて転がらなければ、みんなの言葉にならないと思います。

――ネーミングでもっとも大事な部分は何でしょうか?

クライアントには「価値と価値」、2つの価値があることを意識してくださいとお話しています。価値には、ブランド側が伝えたい価値とユーザー(お客さん)にとっての価値があり、両者が結び付くところに本当の価値があります。

ブランドの価値を伝えるときには、カッコいいことを言いたくなりますが、それがほかのブランドでも言えることなら埋もれてしまいます。それと、言葉だけでなくデザインも大事です。私はコピーライターなので言葉ファーストというかコンセプト主導で考えますが、デザインから生まれるものもたくさんあります。

ただし、名前とデザインはイコールなので一貫性がなければダメ。芯の部分がしっかりつながっていることが大切です。

――ネーミングを1からする場合、まず何から考えたらよいでしょうか? 手順などがあれば教えていただけると嬉しいです

名前は左脳と右脳を行ったり来たりして生み出すものなので、「この作り方がベストです」と明示することはできませんが、基本的な流れを紹介しますね。

まずはコンセプトを決めます。価値規定する。そのコンセプトを基に、ブランドや商品の名前を考えます。次に考えるのが商品名やサービス名のそばに入れるショルダーコピー(タグライン)。ショルダーコピーで、商品やサービスの価値を一言で伝えるのです。

そしてこの世界観を過不足なく表すロゴデザインをセットで作ります。さらに、パーソナリティーを決めたほうがいいでしょう。パーソナリティーはペルソナとは別物で、自分のブランドの性格のことを指します。知的さや上品さ、エレガンス、洒落っ気、茶目っ気などブランドが大事にしたいものや、この活動はしない、この言葉はつかわないなど、省きたいものをクリアにするのもいい。

ブランドのベクトルを定めておけば、自ずとサイトデザインの方向性も決まっていきます。「自分たちが何者なのか」というベースがしっかりしていれば、商品開発や施策を実施するときに良し悪しの判断ができてぶれにくくなります

――他にもネーミングする際のポイントがあれば教えてください

ネーミングのポイントをもうひとつあげるとするなら、「口にしたくなる音かどうか」を重視することです。何度も口にすると愛着が増すので、お客さんには繰り返し口にしてもらう必要があります。難しい音だな、言いたくないなという名前だと呼んでもらえません。

名前には理由や意味があることが大切だとお話しましたが、感覚も非常に大切で、なかでも音の響きはブランドや商品が育つうえでとても重要です。

ネーミングによって成功した事例

――ネーミングによって成功した事例・名前を変えて売れ行きが上がった事例などありましたら教えてください。

日本酒ベンチャーClearが手がける日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」のリブランディングでは、売り上げが劇的に変わりました。もともとの表記は「SAKE100」で、読み方は今と同じ「サケハンドレッド」なんですが、数字表記だと「サケヒャク」と読めるんですよね。

リブランディング前は「100年誇る一本を」をブランドコンセプトでした。100をお酒の文脈ではなくラグジュアリーの文脈で「100点」と捉え、「そのすべてが満ちていく」というブランドタグラインをまず作ったんですね。そこからネーミングを考えていくと、そもそも足元に答えがあるじゃないかと気づいて。

「SAKE HUNDRED」に変えましょうと提案して、ブランドを再構築しました。「SAKE HUNDRED」は今や売り上げ4000万から20億のブランドに成長しています。もちろんパッケージデザインも変えましたけれど、イメージが劇的に変わったよい例じゃないかなと思います。

背骨がしっかりすると、ブランドの佇まいやアクティベーションも成功すると思います。

書籍『なまえデザイン』について

――非常に興味深いエピソードや、事例について書かれていますが、特にEC事業者さんに読んでほしいところはどこですか?

とくにTHINKING4の「愛デンディティー・ブランディング」の章をおすすめします。アイデンティティの「アイ」は「愛」なんですね。ネーミングのスキルは大切ですが、私が一番重視しているのはそこに至る前の考え方、会社やブランドの存在意義の部分です。

どんなアイデンティティを作るか、そのアイデンティティを愛せるかどうかは、ネーミングするうえでもそうですし、企業の活動の中で重要なポイントになります。点と点がバラバラに存在するのではなく、ちゃんと結び付けるものを作ることが大事。

だからこそ、名前をつける前のコンセプトを決める段階で、自分のブランドはどういうものなのかと深掘りしていくことに時間をかけるべきだと思っています。ご自身はもちろんのこと、ユーザー(お客さん)にもECの運営スタッフにも愛される名前をぜひ考えてみてくださいね。

――小藥さんありがとうございました。

この記事はカラーミーショップの公式Webメディア『よむよむカラーミー by GMOペパボ』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。

よむよむカラーミー

約14兆円の物販系EC市場、カテゴリー別規模とEC化率、市場動向【2022年の電子商取引調査まとめ】

2 years 3ヶ月 ago

経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2022年のBtoC-EC市場規模は22兆7449億円で前年比9.91%増だった。

物販系分野のBtoC-EC市場規模は、同5.4%増の13兆9997億円、EC化率は同0.4ポイント増の9.13%。

経済産業省が発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」約14兆円の物販系EC市場、カテゴリー別規模とEC化率、市場動向
物販系分野のBtoC-EC市場規模とEC化率の経年推移

物販系分野のBtoC-ECで最も市場規模が大きかったのは「食品、飲料、酒類」で、前年比9.2%増の2兆7505億円。「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」が同3.8%増の2兆5528億円、「衣類・服装雑貨等」が同5.0%増の2兆5499億円、「生活雑貨、家具、インテリア」が同3.5%増の2兆3541億円で続いた。

上位4カテゴリーの合計市場規模は同5.4%増の10兆2073億円で、物販系分野におけるBtoC-EC市場の72.9%を占める。2021年の4カテゴリー合計の市場規模は9兆6814億円で、シェアは72.9%。

経済産業省が発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」約14兆円の物販系EC市場、カテゴリー別規模とEC化率、市場動向
物販系分野内での各カテゴリーの構成比率

最もEC化率が高かったのは「書籍、映像・音楽ソフト」で52.2%。「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」が42.0%、「生活雑貨、家具、インテリア」が29.6%で続いた。市場規模が最も大きい「食品、飲料、酒類」のEC化率は4.2%。

調査におけるEC化率は、電話、FAX、E メール、相対(対面)なども含めた全ての商取引金額(商取引市場規模)に対するEC市場規模の割合と定義している。

経済産業省が発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」約14兆円の物販系EC市場、カテゴリー別規模とEC化率、市場動向
物販系分野のBtoC-EC市場規模

食品、飲料、酒類

市場規模は2兆7505億円で前年比9.15%増、EC化率は4.16%、構成比率は20%。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に需要が増加し、ECで食品で購入する消費行動が定着、加えてネットスーパー市場が拡大した。健康食品もBtoC-ECで売上が拡大したとみられ、今後も市場規模の拡大が予想される。

生活家電、AV機器、PC・周辺機器

市場規模は2兆5528億円で、前年比3.84%増。EC化率は42.01%、構成比率は18%。新型コロナウイルスの需要が一巡し、市場の伸びは緩やかになったと考えられる。そのなかで増加傾向にあるのが、家電ECにおけるリユース・リサイクル市場。家電のリユース事業は、今後も市場の拡大に寄与することが見込まれている。

書籍、映像、音楽ソフト

市場規模は1兆8222億円で前年比4.02%増、EC化率は52.16%、構成比率は13%。近年は電子出版(電子書籍、電子雑誌)市場が拡大傾向で、2022年の同市場は本カテゴリーの伸び率を上回った。映像・音楽ソフト(オンラインコンテンツを除く)においても、2022年のBtoC-EC市場は拡大した。

化粧品、医薬品

市場規模は9191億円で前年比7.48増、EC化率は8.24%、構成比率は7%。新型コロナウイルス感染症拡大による在宅勤務の増加とその定着で、ファンデーション、口紅などの支出が減少、外国人観光客によるインバウンド需要の消失が影響したと見られる。一方、市場規模はまだ小さいモノの、医薬品のEC売上は右肩上がりで伸びているという。

生活雑貨、家具、インテリア

市場規模は2兆3541億円で前年比3.47%増、EC化率は29.59、%構成比率は17%。拡張現実(AR)の技術を使い、家具やインテリア商品を自宅の部屋に置いたイメージをスマートフォンで確認できる機能を提供する事業者が増えている。さらに、AIを活用してECサイト上で消費者の好みに沿った商品を提案する技術も進化しており、新たな需要の発掘が期待される。

衣類、服飾雑貨等

市場規模は2兆5499億円で前年比5.02%増。EC化率は21.56%、構成比率は18%。2020年、2021年と市場は拡大したが、2022年は緩やかな伸びに。ECでは各社が積極的に店舗と連動したOMO(Online Merges Offline)を推進。店舗の機能を活用することで消費者への魅力を高め、EC売上の増加を狙っている。

瀧川 正実

吉野家がECサイトの「送料無料」表示を「送料込み」に変更、「2024年物流問題に積極的に取り組む」

2 years 3ヶ月 ago

吉野家は、自社ECサイト「吉野家公式通販ショップ」やECモール店の「送料無料」表示を「送料込み」に変更する。

一定額以上の商品購入で送料を事業者側が負担するラインの名称は「送料無料」が主流。だが、「送料無料」表記は、「送料無料と銘打った商品の販売が広く行われ、消費者が物流コストを正しく認識しづらい状況にある」(政府が2013年に閣議決定した「総合物流施策大綱(2013-2017)」)などと、問題視する声があがっていた。

また、働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などが2024年4月から「自動車運転の業務」にも適用されることで、運送会社では収入減少によるドライバーの離職や売上減、荷主企業は運賃値上げの可能性などが危惧されている物流業界の「2024年物流問題」を受け、政府はその改善策や商慣行の見直しの1つとして、「送料無料」表記の見直しの議論に着手している。

「送料無料」表示の見直しを求める政府の方針とは? 過去には経産省幹部が「送料は当社負担という表現に」と業界に要請

政府が公表した「物流革新に向けた政策パッケージ」で、「運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されるべきという観点から、『送料無料』表示の見直しに取り組む」と明記している
瀧川 正実6/6 9:00 51 21 0

「送料無料」表示の見直しに取り組む消費者庁、「持続可能な物流の実現のために意識や行動を変えていくことが必要」

消費者庁のWebサイトでは、「送料無料」表示の見直し、消費者の意識改革や行動変容を促す方針を示している
瀧川 正実8/10 7:30 3 4 0

このようにな環境下、「送料無料」表記の見直しをいち早く実施したのが楽天グループ。2020年、「楽天市場」で採用していた「送料無料」ラインの名称を、「送料込み」ラインに変更している。

吉野家の「送料無料」表記の変更は、多くのユーザーを利用する「楽天市場」の名称に合わせたと推測される。吉野家は「『送料無料』の表現を順次、『送料込み』の表現に変更する」とし、「2024年物流問題」に関して積極的に取り組むとしている。

吉野家は、自社ECECサイト「吉野家公式通販ショップ」やECモール店の「送料無料」表示を「送料込み」に変更する
吉野家のお知らせ(画像はECサイトからキャプチャ)

配送キャリアの送料改定を受け、「送料込み」ラインと送料を引き上げ

吉野家は、利用している配送キャリアであるヤマト運輸の送料改定を受け送料も改定する。

自社ECサイト、「dショッピング」店や「Yahoo!ショッピング」店では9月1日、一定額以上の購入で送料を吉野家が負担する「送料込み」のラインを5000円(税込み)から8000円(税込み)に引き上げた。

クール宅急便(冷凍食品)は990円(税込み)から1100円(税込み)に、宅急便(常温品)は660円(税込み)から880円に変更した。

「楽天市場」店は9月14日に配送料金を改定する。クール宅急便(冷凍商品)の「送料込み」ラインを5000円(税込み)から8000円(税込み)に引き上げる。

3980円以上の買い物で送料を出店店舗が負担する「楽天市場」の「共通の送料込みライン」の対象である常温商品は、「送料込み」のラインを3980円(税込み)で据え置く。

瀧川 正実

スマートフォン経由のBtoC-EC市場規模は7.8兆円。スマホ比率は約56%【2022年の電子商取引調査】

2 years 3ヶ月 ago

経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、物販系BtoC-EC市場におけるスマートフォン経由の市場規模が堅調に推移している。

2022年の物販系分野におけるBtoC-EC市場規模は13兆9997億円(前年比5.37%増)。そのうちスマホ経由は7兆8375億円(同12.9%)で、スマホ比率は55.98%に達した。

経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 :BtoC-EC(物販)におけるスマートフォン経由の市場規模
BtoC-EC(物販)におけるスマートフォン経由の市場規模

情報通信機器の保有状況(世帯)に関する統計データによると、2021年におけるスマホの世帯あたりの普及率は88.6%。パソコン保有率は下落傾向で、2021年は69.8%。「EC事業者をはじめ、インターネットビジネスを展開する事業者は、スマートフォンを第1に想定したコンテンツやサービス作りが重要な時代になっていると言える」(電子商取引に関する市場調査より)

経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 スマートフォン経由の物販のBtoC-EC市場規模の推移
スマートフォン経由の物販のBtoC-EC市場規模の推移

報告書は、「ライフスタイルが多様化する中で事業者がBtoC事業を拡大するには、消費者とより強いリレーションを構築することが重要な要素の1つ」と指摘。スマホ経由の導線確立が重要とした。

BtoC-EC市場規模は22.7兆円。物販系は約14兆円でEC化率は9.1%【2022年の電子商取引調査まとめ】

2022年のBtoC-EC市場規模は22兆7449億円で前年比9.91%増。物販系分野のBtoC-EC市場規模は13兆9997億円で同5.37%増
瀧川 正実8/31 14:12 7 2 0
瀧川 正実

中国・米国向け越境EC市場は約3.5兆円で6%増。中国向けは約2.2兆円、米国向けが約1.3兆円【2022年の海外向けEC規模】

2 years 3ヶ月 ago

経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2022年の中国・米国向け越境EC市場は前年比6.0%増の3兆5625億円だった。

内訳は米国向け越境ECが同6.8%増となる1兆3056億円、中国向けが同5.6%増の2兆2569億円。

日本・米国・中国の3か国間における越境電子商取引の市場規模 経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
日本・米国・中国の3か国間における越境電子商取引の市場規模

消費国としての米国の越境BtoC-EC(日本・中国からの購入)の総市場規模は2兆2111億円で同8.3%増。このうち、日本からの購入額規模は1兆3056億円、中国経由は9055億円(同10.6%増)。

消費国としての中国の越境BtoC-EC(日本・米国からの購入)の総市場規模5兆68億円で同6.2%。このうち、日本からの購入額規模は2兆2569億円(同5.6%増)、米国経由は2兆7499億円(同6.7%増)。

BtoC-EC市場規模は22.7兆円。物販系は約14兆円でEC化率は9.1%【2022年の電子商取引調査まとめ】

2022年のBtoC-EC市場規模は22兆7449億円で前年比9.91%増。物販系分野のBtoC-EC市場規模は13兆9997億円で同5.37%増
瀧川 正実8/31 14:12 7 2 0
瀧川 正実

ヤマト運輸が「クロネコDM便」と「ネコポス」の輸送・配達業務を日本郵便に委託/普段の支払い方法「現金」は約4割【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

2 years 3ヶ月 ago
2023年8月25日~2023年8月31日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. ヤマト運輸と日本郵便の協業、「ネコポス」は2025年3月+「クロネコDM便」は2024年2月までにJPへ全配送業務を委託

    ヤマト運輸は、「クロネコDM便」と「ネコポス」の輸送・配達業務を日本郵便(JP)に委託する

    2023/8/28
  2. 普段の支払い方法「現金」は約4割。利用しているQRコード決済の上位は「PayPay」「楽天ペイ」「d払い」

    MMD研究所が行った「2023年7月決済・金融サービスの利用動向調査」によると、普段利用している支払い方法のトップは「現金」で次いで「クレジットカード」が26.5%だった

    2023/8/30
  3. しまむらのネット通販、店舗受取は約9割。店頭で他の商品購入する比率は44%で客単価は1.5倍

    しまむらのEC売上高は、ECスタート初年度の2021年2月期は約17億円、2年目の2022年2月期は28億円、3年目の2023年2月期は41億円で推移している

    2023/8/28
  4. スクロール360、「物流倉庫見学」の特設サイトを開設。見学会を3拠点で随時開催へ

    スクロール360は、2023年9月以降は見学会を随時行う。見学会は少人数制で行い、参加は無料

    2023/8/25
     
  5. 通販・EC市場は約11%増の12.7兆円【2022年度JADMA調査】

    公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)は、2022年度(2022年4月~2023年3月)の通販・EC市場の売上高調査を行い、このほど速報値をまとめた

    2023/8/25
     
  6. 「無印良品」の良品計画が「ZOZOTOWN」に出店、ECモールでの販売を進める理由は?

    良品計画が多店舗展開を進めている。「Amazon」での商品販売をスタートしたのは2020年5月。同年6月には「楽天市場」に出店した

    2023/8/29
     
  7. ファンマーケティング最前線。ライブコマースが叶える顧客との双方向コミュニケーション

    エイジングケアブランド「fracora」を展開する協和は、ライブコマースを自社で運営し、約週2回のライブショッピングなどによって顧客と交流している。立ち上げから1年経って見えてきた、「フラコラ」流ファンマーケティングの秘訣とは?

    2023/8/28
     
  8. 売上1300億円超のQVCジャパン伊藤CEOに聞く増収増益の秘訣+成長戦略

    業績堅調なQVCジャパン。同社に復帰し、CEOに就任した伊藤淳史氏に、復帰の理由、好調な業績推移の理由、将来のビジョンまで多岐にわたって質問した

    2023/8/29
     
  9. 欧米の消費者はメタバースに肯定的、日本では教育現場や高齢化社会への対応に期待【消費者調査+レポートまとめ】

    メタバースという言葉はすっかり定着し、国内でも大手事業者を中心に参入が進んだ。世界の消費者はメタバースをどのように見ているのだろうか。調査結果とレポートから解説する

    2023/8/25
     
  10. 流通総額2ケタ成長が続くECモール「Qoo10」、Z世代を取り込む次の一手は韓国食品の強化

    イーベイジャパンが運営する仮想モール「Qoo10」は、韓国食品の取り扱いを拡充し、さまざまな施策を実施。販売促進につながっている。ターゲット層のZ世代の心をつかむ手法とは?

    2023/8/30
     

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

藤田遥

インターファクトリーの「ebisumart」がSaaS型ECサイト構築ツールとして市場5年連続シェア1位を獲得

2 years 3ヶ月 ago

インターファクトリーによると、富士キメラ総研が発行する市場調査レポート「ソフトウェアビジネス新市場 2019-2023年版」のECサイト構築ツール SaaS型カスタマイズ型市場で、ECサイト構築パッケージ「ebisumart(エビスマート)」が5年連続シェア1位を獲得した。

インターファクトリー ebisumart EC 構築 SaaS カスタマイズ

「ebisumart」が5年連続首位の理由とは

近年、クラウドシフトが加速するなか、カスタマイズ型でのECサイト構築ニーズは増加している。クライアント企業がECサイトに求める機能などは多様化、複雑化し、独自のECサイト構築、既存システムとの連携といったニーズが高まっているという。

また、カート型サービスをSaaS型で提供するベンダーも標準・オプション機能の拡充に取り組んでおり、市場全体としてSaaSの導入が進むと見られている。

インターファクトリーによると、EC化率が比較的高いインテリア・雑貨やアパレル業界などさまざまな業界の顧客企業が「ebisumart」を導入。カスタマイズ性、外部システムとの連携といった「ebisumart」の特長が評価され、5年連続シェア1位につながったとしている。

インテリア・雑貨商材を扱う企業をはじめとしたさまざまな事業者が導入している
インテリア・雑貨商材を扱う企業をはじめとしたさまざまな事業者が導入している

「ebisumart」でECサイトを構築したクライアント企業のうち、約70%が他のECサイト構築システムからのリプレースという。EC事業の拡大による既存システムの機能不足、セキュリティへの懸念、構築後のサポートを課題とした相談が多く寄せられたとしている。

インターファクトリーの今後の展開

「ebisumart」などクラウドコマースプラットフォーム事業に加え、新たな取り組みを実施・予定している。

ECビジネス成長支援事業「ebisu growth(エビス グロース)」

EC事業者の成長を戦略立案から実務まで支援するコンサルティングサービスで、2023年1月に提供を始めた。

現在はECモールの運営支援を先行して提供。2023年秋には、「ebisumart」、中小規模事業者向けEC構築サービス「ebisumart zero」以外のECシステム利用者も対象に加える。

データ統合プラットフォーム開発

EC事業者のバックエンド業務に関する情報とフロントエンド業務に関する情報を統合・分析するデータ統合プラットフォームを新たに開発。コマースに関連するデータ活用、集約統合を目的としたプラットフォームサービスを提供する。

「ebisumart」だけではなく、他システムで構築した自社ECサイトやモールにも対応。また、ECデータ、実店舗、POSデータ、BtoBの受発注データなどコマースに関連するデータを統合する。マーケティング、在庫、卸販売などの最適化に活用できる。

インターファクトリーが提供するデータ総合プラットフォームの活用イメージ
インターファクトリーが提供するデータ総合プラットフォームの活用イメージ

「ebisumart」とは

導入企業が常に最新・最適化されたECサイトを構築できるクラウドコマースプラットフォーム。サイトリニューアル、オムニチャネル、BtoB-ECなど、構築実績は累計700サイト超。

高野 真維

「タグを埋め込むだけ」でオンライン接客、「STAFF START」を即日+ゼロ円で利用できる新機能とは

2 years 3ヶ月 ago

バニッシュ・スタンダードは、オンライン接客サービス「STAFF START」に、JavaScriptタグを埋め込むだけで、ECサイト上に「STAFF START」のコンテンツを表示できる機能の提供を始めた。

JavaScript バニッシュ・スタンダード STAFF START タグ オンライン接客 導入

実装にかかるコスト300万円をゼロ円で可能に

JavaScriptタグを埋め込むだけで「STAFF START」を導入できるため、サイトへの実装にかかるコスト・費用の大幅な削減につながる。最短で導入即日、0円で「STAFF START」を利用できる。

導入により、ECサイト上で次のアクションが利用できるようになる。

  • 写真と動画を組み合わせて自社ECサイトに投稿できる「SNAP PLAY」などのコンテンツの表示
  • スナップ一覧ページやスタッフ一覧ページなどの新規作成
  • 既存の商品詳細ページなどにスタッフコンテンツを追加 など

従来のAPI連携でのECサイトへの実装は、デザインのカスタマイズ性が高い一方で、実装まで約3か月、コストは約300万円かかっていたという。

STAFF STARTとは?

店舗スタッフ専用のアプリから商品のスナップやレビューなどを投稿し、その投稿が自社ECサイトやSNS上で表示されることでオンライン接客を実現するサービス。

「STAFF START」の活用イメージ
「STAFF START」の活用イメージ
高野 真維

BtoC-EC市場規模は22.7兆円。物販系は約14兆円でEC化率は9.1%【2022年の電子商取引調査まとめ】

2 years 3ヶ月 ago

経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2022年のBtoC-EC市場規模は22兆7449億円で前年比9.91%増だった。

経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 2022年のBtoC-EC市場規模
2022年のBtoC-EC市場規模

物販系分野のBtoC-EC市場規模は13兆9997億円で同5.37%増。商取引金額に対するBtoC-EC市場規模の割合を示すEC化率は9.13%で同0.52ポイント増。EC化率は、電話、FAX、Eメール、相対(対面)なども含めた全商取引金額(商取引市場規模)に対するEC市場規模の割合と定義している。

BtoC-ECの市場規模及び各分野の増減率 経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
BtoC-ECの市場規模及び各分野の増減率
経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」物販系分野のBtoC-EC市場規模の推移
物販系分野のBtoC-EC市場規模の推移
経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」サービスとデジタル系分野のBtoC-EC市場規模の推移
サービスとデジタル系分野のBtoC-EC市場規模の推移

2022年におけるBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は420兆2354億円で同12.8%増。EC化率は37.5%で同1.9ポイント増。

経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 BtoB-EC市場規模の推移
BtoB-EC市場規模の推移

2022年のCtoC-EC市場規模は2兆3630億円で同6.8%増。

経済産業省が8月31日に発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」CtoC-EC市場規模
CtoC-EC市場規模

 

瀧川 正実

SHEINと「Forever 21」のSPARCグループが戦略的パートナーシップを締結、「SHEIN」で「Forever 21」を展開へ

2 years 3ヶ月 ago

ファストファッションブランド「SHEIN(シーイン)」をグローバル展開するSHEIN Grpup(シーイン・グループ)は、ファッションブランド「FOREVER(フォーエバー)21」などを運営するSPARC Group Holdings(スパーク・グループ・ホールディングス)と戦略的パートナーシップを締結した。

SHEINは、ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループと不動産事業のサイモン・プロパティー・グループの合弁会社であるSPARC Groupの約3分の1の株式を取得。また、SPARC GroupはSHEINの少数株主になるという。SHEINは米国および世界の顧客に対し、さらなる販路拡大を図っていくとしている。

資本業務提携によって、SPARC Groupは「SHEIN」が持つ1億5000万人以上のオンライン顧客が存在するECプラットフォームで「FOREVER21」の商品を販売できるようになる。

さらに「FOREVER21」の商品を「SHEIN」の公式サイトで展開するほか、「FOREVER21」の米国店舗でショップ・イン・ショップや返品に対応。「SHEIN」のユーザーに利用機会の提供を創出する。

ネットショップ担当者フォーラム編集部

「価格転嫁できない」企業は12.9%。価格転嫁率は43.6%、コスト100円上昇で売価反映は43.6円

2 years 3ヶ月 ago

帝国データバンク(TDB)が実施した価格転嫁に関する企業調査によると、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は43.6%だった。コストが100円上昇した場合に43.6円しか販売価格に反映できていないことを示している。

帝国データバンク(TDB)が実施した価格転嫁に関する企業調査 コストが100円上昇した場合に43.6円しか販売価格に反映できていない
コストが100円上昇した場合に43.6円しか販売価格に反映できていない

「価格転嫁率」は2022年12月に実施した前回調査(39.9%)より3.7円転嫁が進んだが、依然6割弱のコストを企業が負担する状態が続いている。

自社の主な商品・サービスで、コストの上昇分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかと聞いたところ、コスト上昇分に対して「多少なりとも価格転嫁できている」は74.5%だった。

帝国データバンク(TDB)が実施した価格転嫁に関する企業調査 価格転嫁率は43.6% 2022年12月から3.7ポイントの改善にとどまる
価格転嫁率は43.6% 2022年12月から3.7ポイントの改善にとどまる

その内訳は「5割以上8割未満」が19.8%で最多。「2割未満」(19.0%)「2割以上5割未満」(16.8%)「8割以上」(14.4%)と続き、「10割すべて転嫁できている」は4.5%だった。

帝国データバンク(TDB)が実施した価格転嫁に関する企業調査 価格転嫁の状況と価格転嫁率
価格転嫁の状況と価格転嫁率

一方、「全く価格転嫁できない」は12.9%。前回調査(2022年12月)より3.0ポイント低下した。ただ、現時点でも価格転嫁が全くできていない企業が1割を超えている。

業種別に見ると、価格転嫁率が高い業種は「紙類・文具・書籍卸売」が65.7%でトップ。「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(64.3%)「化学品卸売」(63.1%)が続いた。価格転嫁率が6割を超えたのはいずれも卸売業。

価格転嫁率が低い業種は、一般病院や老人福祉事業といった「医療・福祉・保健衛生」(15.2%)が最も低く、映画・ビデオ制作業やパチンコホールなどを含む「娯楽サービス」(21.6%)や「リース・賃貸」(24.8%)、「農・林・水産」(25.6%)が続いている。

帝国データバンク(TDB)が実施した価格転嫁に関する企業調査 主な業種別の価格転嫁率
主な業種別の価格転嫁率

競合他社が多く価格が上げにくい業界では、自社の商品・サービスの価格値上げによって、「取引企業や最終消費者の顧客離れを危惧し価格転嫁に踏み切れない」「値上げ交渉自体が行えない」「むしろ値下げを要求された」といった声もあがった。

一方、独自性のある商品販売により競合他社が少なく、価格転嫁しやすいと回答した企業もあるものの、企業にはより付加価値の高い商品・サービスを提供するための取り組みが必要と言える。

TDBの集計では、価格転嫁を取引先から拒絶されたり、わずかな値上げしか認めてもらえず結果的に経営破綻を余儀なくされた「値上げ難型」の物価高倒産は少なくとも23件(2023年1-7月)ある。前年同期の12件に比べて倍増ペースで推移しており、価格転嫁が厳しい企業の倒産が目立っている。

調査概要

  • 調査期間:2023年7月18~31日
  • 調査対象:2万7768社
  • 有効回答:1万1265社(回答率40.6%)
  • 調査機関:帝国データバンク
瀧川 正実

【さくらフォレスト事件の余波】機能性表示の根拠めぐる問題、基準の不明確さに波紋 | 通販新聞ダイジェスト

2 years 3ヶ月 ago
消費者庁の食品表示対策課がさくらフォレストに対し、機能性表示の届け出に「科学的根拠に欠ける」とみなした処分から端を発した、機能性表示の「根拠」をめぐる問題。現況と業界への波紋はどのようなものか

機能性表示食品に再び鉄槌が下された。届出の「根拠」に踏み込む違法判断は、その対象企業だけでなく、多くの企業を巻き込み混乱を招いている。

機能性表示食品、取締り・監視は「広告表示」が問題視されてきた過去

「健康食品の機能性表示を解禁します」。2015年、制度は、故・安倍晋三元総理の号令を受けてスタートした。

「制度は健康長寿社会と成長産業の育成を同時に達成するという世界の未来を先取りしたテーマ」(16年、川口康裕消費者庁次長、当時)、「今後、一層の伸びが期待できる」(19年、加藤勝信自民党総務会長、当時)、「健康寿命の延伸という重要課題に対応するツールとして消費者に期待されている」(20年、衛藤晟一消費者担当相、当時)――。制度は、医薬品と食品の狭間で規制にさらされ続けた「いわゆる健康食品」と明確に区別され、これまで育成が念頭に置かれた

柔軟な表示を可能にし、許可に要する年数、費用の高さなどトクホの使い勝手の悪さを打破する規制緩和策が“事業者責任”による届出制だった。個別製品ごとの許可ではなく、成分の研究レビューによる表示を可能にしたことも広く中小企業に門戸を開いた。

健康・美容業界の今を知る!

機能性表示食品制度に対する“今さら”聞けない4つの疑問にわかりやすく答えます。

健康食品や化粧品にかかわる法律、規制などについてわかりやすく噛み砕いてご紹介します(連載第9回)
稲留 万希子2015/4/17 8:00 12 8 3

それから8年、届出数は6300件を数え、市場は5000億円規模に達している許可品目約1000件、市場規模5610億円(前年比約14%減、20年度)と、03年当時の規模まで縮小したトクホに迫る。しかし、機能性表示食品はその後も規制にさらされ続けている。

初めての違法判断は制度導入からわずか2年目の17年、ダイエットケアをうたう16社の機能性表示食品に対する景品表示法の一斉処分が行われた「葛の花事件」だ。16社は、OEM1社が提供する原料、研究レビューを頼りに表示を行っていたが、問題視されたのは、届出表示からの広告の逸脱だった。

18年には、処方薬と同じ表示と指摘を受け届出撤回が指導された「歩行能力の改善問題」昨年は、景表法・健康増進法に基づく115社への一斉指導が行われた「認知機能の維持問題」が起きた。ただ、取締り、監視はいずれも「広告表示」が問題にされてきた

通販新聞ダイジェスト

消費者庁が機能性表示食品への広告規制で115社に改善指導、担当課長に聞く一斉監視の目的と今後の対応

消費者庁は「認知機能」を標ぼうする機能性表示食品の一斉監査を実施、115社の131商品に改善指導を行いました。
通販新聞2022/4/20 8:00 13 36 0

機能性表示食品で「根拠」を巡る問題の過去

この間、「根拠」をめぐるいくつかの問題が、取沙汰されることはあった。

一つは、18年、「甘草由来グラブリジン」を含む機能性表示食品に対する景表法調査。当時、6製品が届出を行っており、うち1社は、「消費者庁の指摘を受け、弁明の機会(命令前の最終段階)にある」と調査の事実を認めている。「弁明の機会」は、消費者庁が予定する措置命令書を事業者に示した上で、2週間の猶予をもって行われる。この手続きが取られた上で命令が下されないことは極めて珍しい。だが、対象成分は、事業者が自ら届出を撤回し、評価をやり直す形で命令を免れたとみられる。

もう一つは、20年、「アフリカマンゴノキ由来エラグ酸」。当時、25製品が公表されていたが、研究論文は被験者が外国人であり、日本人への「外挿性(あてはめ)」の評価、表示する痩身効果の程度などが問題視されたとみられる。これも水面下で撤回を経た再評価・届出など猶予が調整された。

育成と逆行し、断続的に続く取締りを回避するため20年に策定されたのが、「事後チェック指針」だ。景表法による取締りの予見性を確保し、業界団体と連携しつつこれに対処することを目的にした。「アフリカマンゴ―」、「認知機能の維持問題」は、いずれも指針策定後。抑制的な措置と受け取れる。とくに延焼を招く「根拠」の判断は慎重に行われていたとみられる。

ざっくりわかる機能性表示食品制度の「事後チェック指針」

消費者庁が4月1日からの運用を目指す「機能性表示食品の届出に関する事後チェック指針」。設置された「7つのオービス」とは?
内山 美枝子2020/2/5 8:00 23 4 0

こうした中、消費者庁は今年6月、さくらフォレストが販売する機能性表示食品に、景表法処分を下した。「根拠」に踏み込む判断の影響は、同一の研究レビューを行う88件の届出の確認、届出全製品の再検証を求める自体に発展している。88件の回答期限は7月17日。処分のポイントを振り返る。

さくらフォレスト事件、処分のポイントは

さくらフォレスト事件の問題は、届出表示そのものを対象として、「根拠」に踏み込んで不当表示を判断したことだ。消費者庁が景品表示法で「根拠なし」と判断したにもかかわらず、同種の製品を扱う企業は、8割が「根拠あり」と主張している(7月27日時点)。

2023年6月、さくらフォレストの機能性表示食品「きなり匠」「きなり極」の2商品について、消費者庁は「科学的根拠に合理性が欠く」として届出表示を景表法違反とみなす処分を実施。さくらフォレストは2商品について機能性表示食品の届出を撤回した(画像は消費者庁の発表資料から編集部がキャプチャ)
2023年6月、さくらフォレストの機能性表示食品「きなり匠」「きなり極」の2商品について、消費者庁は「科学的根拠に合理性が欠く」として届出表示を景表法違反とみなす処分を実施。さくらフォレストは2商品について機能性表示食品の届出を撤回した(画像は消費者庁の発表資料から編集部がキャプチャ)

「ついにやった」。ある業界関係者はそう感想を漏らす。届出表示そのものを対象に「根拠」に踏み込む法執行は、何度か遡上(そじょう)にあがりながら立ち消えになってきたからだ。

「食品で痩せるはあり得ない」。17年、「葛の花由来イソフラボン」を配合する機能性表示食品に対する景表法の執行に際し、大元慎二表示対策課長(当時)はそう言及した。広告で「内臓脂肪を減らす」という機能を超える表示をしていたとして処分。会見で、食品自体の機能を否定する踏み込んだコメントはしたが、あくまで広告の問題で、「根拠」そのものを否定する法適用は避けられた

「ある意味よいネタをもらったという観点もある。企業、業界としてそれならエビデンス合戦ですね、という対応も検討の余地がある」(業界関係者)。

今回、消費者庁食品表示企画課は、措置命令を踏まえ、同一根拠で届出を行う88件の「確認」を行った。ただ、撤回の申し出がわずか15件だったことも、企業側の納得感が得られていない表れといえるのではないか。

通販新聞ダイジェスト

【機能性表示食品で初】にさくらフォレスト措置命令を下した背景+変わる消費者庁の調査体制

消費者庁はさくらフォレストが展開する機能性表示食品に対し、景表法の優良誤認があるとして措置命令を下した。機能性表示食品の届出表示そのものを不当表示と判断した消費者庁。この処分は業界内で混乱と反発を招いている
通販新聞[転載元]8/7 7:00 1 14 0

“根拠なし”と判断されれば撤回を迫られる事態に

確認を進めているのは、食表課。食品表示法上の対応は、届出撤回の「指示」、これに従わない場合「命令」になる

機能性表示食品の定義は、食表法に基づく食品表示基準に「機能性関与成分によって健康の維持・増進に資する特定の保健の目的が期待できる旨を“科学的根拠に基づき”容器包装に表示する」と定められている。

その要件を欠くことを前提に同一根拠の製品の根拠確認を進めている。表示対策課の「根拠がない」という判断に基づけば、これら製品は違法状態で販売されていることになるからだ。

回答を受け、消費者庁は、「根拠あり」と主張する企業に対し、景表法や食表法など法令に基づき対処する方針を明らかにしている。庁として「根拠なし」と判断したことを前提にすれば、食表課の対応は撤回の指示が自然だ。

ただ、現状は要件を「満たす、満たしてないかを判断しているわけではない」と明確な判断を示していない。企業が根拠を適切に説明した場合、問題ないと判断するかには、「そういった対応もあり得る」とする。

さくらフォレストは「あくまで個別案件」?

景表法で「根拠なし」と判断されていることには、「(さくらフォレストが)弁明の機会に根拠が十分にあると説明できなかったため、今回の措置になった。食表法の基準の関係とは分けて考えてもらいたい」と、個別案件である旨を説明

処分は、企業の説明の巧拙で判断されるものではないが、「措置命令については表対課に聞いて」とする。当初、変更届による対応を認めたものの、その後撤回を要請したものもあるようだ。

基準は不明確。根拠への踏み込みに波紋広がる

表対課は、食表課の通知は承知しているものの、「どういう基準で出しているか、関知していないためわからない」。同一根拠の製品があり、違法状態にあることには、「あくまで措置命令は個別事業者との関係で不実証広告規制により根拠提出を求め、提出根拠がこれに合致していなかったということ。さくらフォレストの表示に適用したもので、他製品に関係するものではない」とする。

今後、他製品への対処には、「従前から調査を行っているかを含め、一切答えられない」。あくまで個別判断というスタンスだ。

広告は各社の創意工夫が反映されるが、根拠は、成分・製品の生命線。根拠に踏み込む判断は、多くの企業を巻き込み波紋を広げている。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

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通販新聞

CO2を5.1トン、輸送台数を205台削減。アスクルが花王、コクヨと「発注量の平準化に関する実証実験」で得た成果とは?

2 years 3ヶ月 ago

アスクルは、花王、コクヨと共同で「発注量の平準化に関する実証実験」を実施した。独自のAI(人工知能)を活用し、サプライヤーへの発注量の検証でCO2を5.1トン、輸送台数を205台削減するなどの成果を得た。

EC事業者起点でAIを活用したシステムを開発

アスクルは「ホワイト物流」推進運動に賛同し、2019年に持続可能な物流の実現に向けた「自主行動宣言」を提出している。「発注量の平準化に関する実証実験」は自主行動宣言の項目の1つ。アスクルからサプライヤーへの発注量を平準化することで、輸送車両台数とCO2排出量の削減をめざすものだ。

発注量の平準化を実現するにあたり、アスクルはEC事業者起点でAIを活用した「発注量平準化のシステム」を開発した。サプライヤーが使用する4トン車、10トン車などの輸送車格と、各車格で輸送できる物量(積載可能才数)をシステムに取り込み、1週間分の需要予測・需要変動のデータと突き合わせてアスクルからサプライヤーに発注。発注量を「輸送車両の車格単位での発注量」としたことで、発注時点で高積載となる仕組みを確立し、発注量の平準化を検証した。

実証実験期間は、2022年4月~2023年1月まで。アスクルが発注者、花王とコクヨが出荷サプライヤーとなり実験を行った。

アスクル 花王 コクヨ 物流 発注量の平準化に関する実証実験 AI活用 実証実験における発注量標準化フロー
「発注量の平準化に関する実証実験」における発注量標準化フロー

実証実験を通じて発注量の平準化を図ったことで、輸送に用いる車両数の削減、同一の物量に対する排出CO2を削減する成果を得たという。

また、輸送する物量の平準化でトラック積載率が向上。サプライヤー、アスクル物流センターの庫内作業も効率化した。結果の詳細については次の通り。

年間試算結果

  • 期間:2022年5月21日~2023年4月20日
  • 対象のアスクル物流センター:名古屋センター、DCMセンター
  1. CO2排出量を5.1トン削減
  2. 4トントラック158台、10トントラック47台を削減
  3. トラック積載率が68.0%から69.7%に向上(1.7%改善)
    (対象品が重量物ではないため、容積で積載率を算出)
  4. サプライヤー、アスクル物流センターでの庫内作業の効率化
    • 花王、コクヨ(サプライヤー):出庫、仕分け作業の効率化
    • アスクル(荷主):物流センター内での入庫、在庫化作業の効率化

実証実験の結果を受け、アスクルは2023年2月から実証実験を他サプライヤーにも展開し、取り組みを拡大している。

「物流2024年問題」や生産性向上、CO2削減などの課題が背景に

EC物量拡大に伴い、「物流2024年問題」で注目を集める人手不足のみだけでなく、トラック輸送急増によるCO2排出量が増加。生産効率の向上、CO2排出量削減への取り組みが企業の課題になっている。

アスクルは、消費者の需要変動に応じて「必要なモノを・必要な時に・その都度発注する」という一般的な小売業と同様の発注方法を採用していた。ただ、この方法は需要に応じて発注量が変動する。そのため、日々の発注量が一定ではなく、サプライヤーは発注量に合わせて庫内作業を行うという課題があった。

また、車両を都度手配するため、トラックの増台対応、低積載となりトラックの空きスペースの多い日の発生など、サプライヤー側の出荷・輸送工程の非効率が大きな課題となっていた。

また、アスクルも日々変動する入荷量に対する受け入れ作業を行う必要があり、サプライチェーン全体の生産性低下につながっていたという。さらに、こうした低積載の輸送を行うことで無駄なCO2排出も起きていた。

こうした状況を受け、物量平準化による輸送車両、CO2排出量削減を目的として、アスクルからサプライヤーへの発注量を平準化する取り組みを開始した。

アスクル 花王 コクヨ 物流 発注量の平準化に関する実証実験 AI活用 実証実験前後の輸送について
実証実験前と実証実験後の輸送について
藤田遥

フルフィルメント費用を平均20~30%ダウンする「4PL」サービスとは?米国中小企業の物流改善事例 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

2 years 3ヶ月 ago
効率化やコストダウンができればできるほど事業成長につながりやすい在庫・物流のロジスティクス。事業者の誰もが頭を悩ませているトピックスの1つ。米国企業の成功事例を紹介します

自社の成長スピードに、ロジスティクスが追いつかない――。こんな悩みを抱える小売事業者も少なくないでしょう。今回は、在庫・物流の効率化とコストダウンを一挙に実現した事例を紹介します。米国の家族経営農場で、豆科の植物や穀物を顧客にD2Cで販売しているPalouse Brand(パルース ブランド)は、グローバル配送事業者UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)で4PL(フォース・パーティ・ロジスティクス)ロジスティクスを手がける物流子会社と協業して発送を効率化、フルフィルメントコストを20%削減しました。

記事のポイント
  • 4PLは、フルフィルメントの過程における小売事業者と3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)との関係を管理する役割を果たす
  • Palouse Brandは、UPSの4PL子会社を活用し、出荷にかかる時間とフルフィルメントコストを削減
  • UPS子会社の4PLは主に、年間商品総売上高が500万ドルから2億5000万ドルの小売事業者にサービスを提供している

コロナ禍で大きく成長したPalouse Brandの悩み

Palouse Brandは2020年以後、業績が好調に推移しました。「売上高はAmazonの1日の注文上限となる7000個を突破するほどでした」とPalouseのサラ・メイダー創業者兼CEOは言います。

この理由は、新型コロナウイルス感染症の影響です。ただ、小規模なビジネスを展開していたPalouse Brandにとって、需要拡大による急激な成長には対応できませんでした。成長幅に対応していくためには、一部の販売チャネルを閉鎖せざるを得ませんでした。


在庫確保に難航、FBA利用も追いつかず

Palouseは、Fulfillment by Amazon(FBA)と一部注文を自社で対応するハイブリッド型の配送モデルを採用していました。しかし、FBAを利用した配送システムは、注文ニーズを満たすためのに十分な拡張はできませんでした

荷物の一部を配送センターに出荷し、その配送センターから直送できるソリューションが必要でした。注文の需要に追い付くことができず、十分な速さで在庫を確保することができなかったのです。(Palouse Brand メイダー氏)

Palouse BrandのAmazonでの販売ページ(画像はAmazonでの販売ページから編集部がキャプチャ)
Palouse BrandのAmazonでの販売ページ(画像はAmazonでの販売ページから編集部がキャプチャ)

その後、Palouse Brandは物流業務について、長年依頼していた米国郵政公社(USPS)との取引を解消しました。USPSが取り扱う荷物のサイズを変更したためです。このため、メイダー氏は別のソリューションが必要だと考えました。

3PLと4PLの違いとは?

3PLは、小売業者がフルフィルメントをアウトソーシングするために利用するロジスティクス・プロバイダーです。4PLはさらに一歩進み、小売業者と3PLとの関係を管理したりコンサルティーションする役割を担います。

UPSの4PL子会社であるWare2Goのスティーブ・デントンCEOは、「これまでの歴史を踏まえると、米国のフォーチュン誌が年1回発表する企業の総収益ランキング『フォーチュン500』に名を連ねるような企業や大手ブランドでない限り、多くの中小企業は自社商品の配送会社を断片的に組み合わせる必要があるでしょう」と指摘します。

クライアント企業がWare2Goのサービスを通じて倉庫とつながり、フルフィルメントとロジスティクスの両面の関係を簡潔にすることです。私たちのネットワークには現在、36の倉庫があり、プラットフォームを介して倉庫をつないでいます。(Ware2Go デントン氏)

Ware2Goは2022年、Palouse Brandと提携しました。

リーズナブルなロジスティクスコストを提案

Ware2Goの提供するソリューションは、顧客が1年間の出荷履歴と倉庫の所在地をアップロードすると、分析結果に基づいて配送料金などを提案します。

分析結果では、平均コストや輸送時間などの情報を表示。Ware2Goは平均的な注文に基づいて、小売事業者が輸送時間とコストを削減するために別の倉庫を設置すべき場所を推奨します。Ware2GoはUPS傘下のグループ企業として、クライアント企業に、よりローコストなロジスティクスコストを提案することが可能です。(Ware2Go デントン氏)

デントンCEOはこれに加えて、「UPSのグループ企業として、パートナーである3PL企業からは、かなり条件の良い物流代行費用を提示されています。Ware2Goが提携しているどの倉庫パートナーにとっても、UPSグループは最大の顧客だからです。クライアント企業は何百数にものぼっています」と説明します。

デントンCEOによれば、Ware2Goのソリューションを利用する企業は、フルフィルメントにかかる費用が平均20%から30%ダウンするそうです。このコストダウンの一部は、デントンCEOが「Uber モデル」と呼ぶ仕組み(小売事業者は自社で倉庫を所有するのではなく、倉庫や作業員を利用した際に料金を支払う仕組み)による効果です。

商品の回転率を速め、在庫維持費を削減

Palouse Brandは、準備を開始してわずか2週間で新しい4PLを稼働させました。Palouse BrandはFBAの利用を中止し、Ware2Goが提供する「Seller Fulfilled by Prime」に切り替えました。

「AmazonのPrime会員バッジの表示を維持し続けるのは重要なことです」とメイダー氏は話します。Prime会員には1日または2日で無料配送されることを示すサインが、Amazonの該当商品に表示されています。Prime会員バッジの有無は、顧客の購買意欲や満足度に影響します。

Palouse BrandはWare2Goと組むことでPrimeバッジの権利を維持し、自社ECサイト「PalouseBrand.com」からの注文では、送料無料で2日以内の配送を始めました。

ECサイト「PalouseBrand.com」(画像は編集部がサイトからキャプチャ)
ECサイト「PalouseBrand.com」(画像は編集部がサイトからキャプチャ)

Ware2GoとPalouseは48時間のサービスレベル契約(SLA)を締結。Ware2Goは、Palouse Brandのニーズに応えるために、販売エリア全体に5つの倉庫を用意しました。

このおかげで、倉庫に商品が到着してから48時間以内にオンラインで販売できるようになりました。過去に利用した他の倉庫と比べると、オンラインで販売できるようになるまでの期間が最大90日早まりました。(Palouse Brand メイダー氏)

従来は、「商品の輸送、出荷時間の締め切りまでには大きなタイムラグがあります」とメイダー氏。輸送時間と処理時間が1日増えるごとに、それを加味して出荷時間の締め切りに間に合わせなくてはならないため、Palouse Brandのコストは増加します。

Ware2Goとの提携で、在庫をより早く回転させることができるようになったため、従来のように莫大な在庫維持費がかからなくなり、Palouse Brandのビジネス全体に良い影響を与えました。

Ware2Goとのシステム導入後、Palouse Brandのフルフィルメントコストは20%削減できたということです。輸送にかかる時間は40%短縮され、注文があった顧客の98%に対して、受注から2日以内に出荷できています。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

J.フロント リテイリングのコミュニティを活用した次世代のリテール構想とは

2 years 3ヶ月 ago

J.フロント リテイリングは、コミュニティを通じた次世代リテール戦略を始動した。モノを仕入れて販売する従来型のリテールビジネスモデルに加え、新しい形のリテール・ビジネスを「コミュニティ」経由で創造するという。

売り手企業である各業界のメーカーと協業、メーカーの新商品開発について、商品の開発・設計の段階からコミュニティに参加するユーザーの意見を反映する。買い手であるユーザーと売り手であるメーカーと共創し、商品仕様を決める。

仕様が決まった商品はメーカーが製造し、その商品をJ.フロント リテイリングのリアル店舗などを通じて販売する。

地方のメーカーや生産者とも協業する。地方の商品や技術を「共創コミュニティ」に参加するユーザーと掘り起こし、各地域のメーカーや生産者の商品開発やイノベーション、販路開拓、マーケティングを支援。地域の経済活性化につなげる。

メーカーとユーザーの共創で「ユーザーが買いたいと思う商品が買える」「買い手が主人公となる」といったコミュニティを形成し、「新たなるコンテンツの開発」「コミュニティを通じた顧客との新しい関係性」の構築をめざす。

こうした次世代リテール戦略は、J.フロント リテイリングの百貨店、PARCOの全国にある店舗を起点として推進。日本全国の地域社会ごとに「共創コミュニティ」を展開するとしている。

この構想を進める一環で、企業と消費者をつなぐインターネットのコミュニティ開発と運営・コンサルティングを手がけるクオンに出資した。

クオンのファンコミュニティクラウドには50社以上のコミュニティが存在。運営するサイト「“絆”のコミュニティ」には200万人を超えるユーザーが参加し、企業との共創を創出しているという。

瀧川 正実
確認済み
23 分 44 秒 ago
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