政府の知的財産戦略本部は策定した「新たなクールジャパン戦略」を6月4日に発表した。2033年にゲーム・アニメなどのコンテンツ産業を20兆円の海外市場に成長させることをめざす。インバウンドや食、ビューティー分野も含めたクールジャパン関連産業全体での海外展開目標としては50兆円を掲げている。
近年、日本のアニメや実写映画・ドラマなどの海外市場規模は拡大し、10年間で3倍超となる4兆7000億円となった(ヒューマンメディア調べ)。
大きく伸びているアニメ・ゲームなどのコンテンツ産業(画像は公表資料を編集部がキャプチャ)
また、アフターコロナを迎えインバウンドも回復し、訪日外国人の旅行消費額は過去最高の5兆3000億円となった(観光庁調べ)。
コロナ禍を経てインバウンドの旅行消費額は伸びている(画像は公表資料を編集部がキャプチャ)
農林水産物・食品の輸出についても11年連続で増加しており、2023年は1兆4541億円と過去最高を記録している(農林水産省調べ)。
農林水産物・食品の輸出額も大きく伸びている(画像は公表資料を編集部がキャプチャ)
こうした環境変化のなか、政府はクールジャパン関連分野を基幹産業として発展させるために、戦略を“リブート(再起動)”する。世界市場を前提とした高体験価値化・高付加価値化によって高い利益をあげ、再投資へ循環する持続可能なエコシステムの確立などをめざす。
目標値としては、2028年までにクールジャパン全体の海外市場を30兆円、2033年までに50兆円を目指す。コンテンツ産業単体では2028年までに10兆円、2033年までに20兆円市場への拡大を目標に掲げた。
政府の掲げる再投資へ循環するサイクルの概念図(画像は公表資料を編集部がキャプチャ)
ビジョンとしては、コンテンツや食を入口として日本のブランドイメージを先行して引き上げ、インバウンドにつなげていく。体験価値の提供でファン化を促し、ブランド価値を引き上げる好循環の実現をめざしていく。
インバウンドを促しファン化・好循環をめざす(画像は公表資料を編集部がキャプチャ)
政府はこれまでのクールジャパン戦略の取り組みを振り返り、PDCA サイクルの欠如・体制・ビジネスモデル・人材面での課題があると分析。こうした課題をデジタル化やデータの活用といったDXになどによって対応し、国際競争力を高めていく考え。
今後の取り組みとして、
- 市場調査や分析といったインテリジェンス機能の充実による海外ビジネス展開力の強化
- 優れたクリエイターの発掘と活動支援や取引の適正化
- 官民一体となった海賊版対策、官民連携体制の強化
などを進める。加えて、インバウンド誘致、農林水産物・食品の輸出などもさらに推進。 地方の魅力を生かした体験価値化、プロデューサーといった人材の育成、マーケットの多角化・新規開拓、情報発信の強化にも取り組んでいく。
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オリジナル記事:クールジャパンの経済効果を50兆円へ、政府の「新たなクールジャパン戦略」とは
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