「経産省のデータでは国内ECの物販分野におけるスマホ比率は39%。4割近くの購入がスマホで行われています。中でも衣類・服飾の分野は50%以上がスマホで行われています。その中でInstagramの役割も変わってきました。以前は“発見のメディア”というイメージが強かったと思いますが。現在は商品やサービスを検索する、また購入するかどうかを検討するという“検討のフェーズ”でも利用されるプラットフォームになっています」
こう語るのはフェイスブック クライアントソリューションマネージャー リード 丸山祐子氏。日本のInstagram利用者がハッシュタグで検索する回数は、グローバル平均の3倍と非常に高い。こうしたユーザーの変化をどう自社のマーケティングに活かすか。BASEと楽天ブランドアベニューの担当者が自社の体験を語った。
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クライアントソリューションマネージャー リード 丸山祐子氏、BASE 執行役員 プロダクトマネージャー 神宮司誠仁氏、楽天 ヴァイスシニアマネージャー ブランド&マーケティング戦略部 デジタルマーケティング戦略課 水谷公輔氏
Instagramを使ったブランディング ─BASEの場合
BASEでは2015年12月から比較して、店舗数は4年間で9倍になった(2019年12月の見込み)。月間流通額も約9.4倍に増えている。もともと検索流入よりSNSからの流入が多かったが。特にInstagramからの流入が多く、最近では約8割を占めるという。BASE 執行役員 プロダクトマネージャー 神宮司誠仁氏は、「小さなECでもInstagramをちゃんと活用するとお客さんが来てくれる」と語る

2017年1月と比較すると、Instagramからの流入が9倍近くに増えている
BASEでは2019年6月にインスタグラムの商品写真にタグを設置できる「Instagram販売App」の提供を開始した。2019年4月時点で「Instagram販売App」の利用店はトランザクションが2.7倍になっている。
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Instagramアカウントがあってもショッピング機能を利用していないショップはあまり伸びていない
BASEとInstagramはなぜ相性が良いのか?
BASEのショップは1人で運営している店が55.6%、2名〜4名で運営している店が42.3%。72.2%がECサイトのみの運営で実店舗を持っていない。ショップオーナーにアンケートを取ったところ、「ブランド運営でコンセプトや世界観を重視している」と回答したショップオーナーが61.5%と最多。世界観を伝えるのはInstagramが得意としているところだ。積極的に活用しているSNSも、Instagramが45.4%と最多だった。
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商品レビューを購入者から集める→見せる"
ストーリーで商品の製作過程を動画で見せたり、商品のレビューシートを自社で作成し、ストーリーズで共有するといった活用をしているショップがある
また、Instagramからショップに移動しても、同じ商品写真を掲載し、統一されたビジュアルで世界観を作り、すべてのタッチポイントでInstagramの世界観を保っているという。
ストーリーズで「どっちの色が良いですか?」といったアンケートを取り、商品開発に活用している企業もある。従来だとユーザー調査は調査会社に依頼し、数か月後に結果が出てくるものだった。今はオーナーさんが直接お客さんとコミュニケーションを取ることで、素早くPDCAを回している。(丸山氏)
テレビCMとInstagramの併用 ─楽天ブランドアベニューの場合
楽天ブランドアベニューは1,000以上のブランドを取り扱うファッション通販サイト。ファッション領域では年末セールの次はサマーセールというのが主流だが、楽天ブランドアベニューでは3月に「春バーゲン」を実施。テレビCMを放映した。
課題は認知率がまだ高くないこと。楽天 ヴァイスシニアマネージャー ブランド&マーケティング戦略部 デジタルマーケティング戦略課 水谷公輔氏は、Instagramと親和性が高そうだと判断し、Instagramで動画広告を打つことにした。「Instagramのクリエイティブチームの方々にご協力いただき、どうしたらInstagramに合った動画になるか、最適化をサポートしていただいた」(水谷氏)
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上がテレビCM、下がInstagram用に作成した動画
主な変更点は3つ。
- 縦型の画面に合うように、上下に帯を入れて調節
- 認知が低いと言う課題があったので、ブランドアベニューのロゴを帯の中に出し続けた
- テレビではタレントをメインに出しているが、Instagramでは最後だけにして、一番伝えたい「新作」と「20%OFF」を冒頭で訴求
結果、ブランド認知度が5.2ポイントアップ。ビュースルーコンバージョン(広告をクリックしなかったユーザーが、広告以外のルートからCVした数を表す指標)がシミュレーションに対して759%という、予想を上回る結果だった。
この記事はInstagram主催のセミナーを記事にしたものです。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:Instagramをマーケティングやブランディングに活用するコツとは?
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