広告に関する相談、2023年度上半期の総受付件数は「5,583件」。減少傾向を見せる【JARO調べ】

インターネットは「表示」が、テレビは「表現」が問題視される。

日本広告審査機構(JARO)は、2023年度上半期の審査状況を発表した。JAROが受け付けた苦情について、業種・媒体・内容別に集計を行っている。

苦情は減少傾向

それによると、2023年度上半期の広告に対する相談は、総受付件数5,583件(前年同期比87.2%)だった。内訳は、「苦情」4,437件(前年同期比91.6%)、「照会」842件(同72.6%)、「称賛」6(同100.0%)、「JARO関連」50件(同104.2%)、「広告以外」248件(同71.3%)となっている。

新型コロナ感染拡大の影響などで「ネット上の不適切な広告・表示に対するもの」が増加していたが、全体では苦情は減少傾向が続いている。

相談内訳・経路内訳
相談数の推移

業種別の苦情では、今期最多は「医薬部外品」。増加が目立ったのは「オンラインゲーム」「買取・売買」などで、減少したのは「化粧品」「電子書籍・ビデオ・音楽配信」「団体」などだった。

増加したオンラインゲームは、主に2つのゲームへの苦情が増加し、「アニメで描かれる少女の服装や声が不快」「人身売買や児童買春を想起させる」など表現に関する苦情が多かった。買取・売買は「何でも高価買取」「着物を高価買取」「短時間で査定」などの広告が実際と異なるという苦情の他、「不祥事のあった企業の広告がいまだに出ている」というものが多かった。

苦情の業種別件数
4業種の苦情件数

媒体ごとに内訳を見ると、インターネットが1,967件で、テレビ1,920件をわずかに上回るが内容別に見ると大きく異なる。インターネットは表示1,348件、表現452件、手法167件だが、テレビはそれぞれ552件、1,286件、82件と、表現が67.0%を占めた。なお手法については、オプトアウトができないことに関するものが多い。

表現や手法は増減幅があまり大きくなく、近年では表示案件の増減が総件数に影響している。2019年度から増加していた表示が落ち着いてきており、今期は表示・表現の差が縮小した。

業務委員会での審議によると、今期は17件(前年同期13件)に「見解」を発信。内訳は厳重警告10件(同6件)、警告6件(同6件)、要望1件(同0件)、助言0件(同1件)だった。なお17件中、医薬部外品が5件(同2件)、媒体についてはインターネットが16件(同12件)だった。

前年は「適切な調査に基づかないNo.1表示」が問題となったが、今期の「見解」発信事例でも9件が含まれていた。また定期購入契約の苦情は135件あり(認知件数)、前年同期より若干減少したが、医薬部外品や健康食品(保健機能食品以外)では増加した。そして主に女性を性的に描いた表現の広告に対して、JAROには相当数の苦情が寄せられているという。

調査概要

  • 【JARO会員数】887社(2023年12月現在)
  • 【審査結果の定義】「JARO審査基準改定について」から
    • 厳重警告:警告相当の広告または表示であって、問題個所の数、消費者に誤認を与える程度等により、その不当性が特に高いと認められることから、当該広告または表示をただちに削除または修正することが必要と認められるもの。
    • 警告:広告または表示が、実際のものより著しく優良・有利に表現され、消費者に誤認を与えるもの、または広告・表示関係法令に抵触することがあきらかであることから、当該広告または表示の速やかな削除または修正を求めることが必要と認められるもの。
    • 要望:広告または表示が、実際のものより著しく優良・有利に表現され広告・表示関係法令に抵触する疑いがあるもの、または消費者の誤認を招くおそれがあることから、当該広告または表示の削除または修正を求めることが必要と認められるもの。
    • 助言:広告または表示が、消費者の誤解を招く、または社会的・道義的問題等を有する可能性があるため、修正等の検討を求めることが必要と認められるもの。(従来の「提言」から名称変更)
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