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今週の担当は四谷です。今週、おすすめする本はこちらです。

幕末の日本人ハッカー、からくり儀右衛門: 田中久重と日本エレクトロニクスの源流 レトロハッカーズ
著：牧野武文

田中久重という人をご存知ですか？

先日、川崎にある「東芝未来科学館」に行ってきました。本館は、無料で入れる施設で、子供も触って遊んで楽しめる施設です。

その時、東芝の源流にあたる人物が田中久重だと初めて知りました。ヒストリーゾーンというところに「創業者の部屋」というものがあり、そこに田中久重の作った、からくり人形やレプリカの万年時計などが展示されていました。

田中久重といえば、からくり職人で、無尽灯や万年時計、蒸気船と作った人物という程度の知識しかなかった私ですが、「まさか東芝の創業者の一人だったとは……！」と衝撃を受けました。

実際に動くからくり人形に感動

そして、タイミングよく、展示しているからくり人形を動かしてくれました（1時間おきにデモンストレーションしてくれる）。映像ではなく、からくり人形が目の前で動いているのをはじめて見て、かなり感動しました。さらに、どのような仕組みで動いているのか、大きな模型を使ってわかりやすく解説してくれて、「これが無料で楽しめるなんて、素晴らしい！」と子供そっちのけで、私が感動していました（笑）。

そんな体験がきっかけで、もっと田中久重について詳しく知りたいなと。Kindleで本を探しても、めぼしい本がヒットせず……。発明した製品を中心に彼の人生を振り返る本はあるものの、私的には、「彼の半生だけをざっと読める本がいいな」と思って、探していきついた本が今回紹介している本です。

ハッカーの定義

タイトルに「ハッカー」と書かれており、ハッカーという表現が田中久重にふさわしいのだろうか、と読み進める中で思っていたら、冒頭のあいさつ文が終わった直後に、筆者の考える「ハッカー」の定義を皆さんと共有しておきたい、と前置きして説明し始めました。

「おー！ 私と同じ目線に下がって書いてくれているこの筆者さん！」とここでも、感動してこの本を読み進めることにしました。当初私が、読みたいと思っていた通り、田中久重の半生をざっと振り返るのに本当に最適な本でした。

本書の中で、印象的だったのは、ハッカーが大まかに3種類いると定義している部分です（以下、引用）。

• 閉じこもりがちで人づきあいが苦手な芸術家タイプ
• 自信家で強い意志を持つものの、アクが強すぎて周囲とトラブルを起こしがちな傲慢タイプ
• 好奇心だけで生きていて、子供のように喜怒哀楽を表現するタイプ

筆者は、久重のことを最後の「永遠の少年タイプだろう」と推察していました。私が仕事で出会うスゴイ人達も、だいたいこの3つに本当に当てはまるな、と思って気持ちよく読了できました。久々に読み終わった後に、「この感動を体験から読了まで書き留めたい！」と思いました。

この本がきっかけで、現在暗号に関する本やコンピュータの起源に関する本を読んでいて、本を1つ読むと、さらに疑問がわいて次の本を探したくなるという、好循環な読書ループにはまっております。

あぁ、読書って楽しい！

皆さんもぜひ、東芝未来科学館を行ってみるから体験してもらいたいです。

Web担の編集後記も毎月末に更新してますので、よろしければご覧ください：
https://webtan.impress.co.jp/editors_note