メディアの多様化で利用者は変わった……企業も縦割りメディア思考を捨てよう!
ダイレクトマーケティングは、マーケティングの手段の1つであって、特別なことではありません。企業と利用者は、メディアを介して直接関係性を持ち、速いスピードでのコミュニケーションが可能です。インターネットの登場により、ダイレクトマーケティングはメインストリームになっています。
このコーナーでは、日々進化するダイレクトマーケティングを、身近なトピックを題材に、「所長K」と「スタッフS」の掛け合い形式でわかりやすく紹介します。
スタッフS
都内一人暮らし、アラサー世代。ダイレクトマーケティングの知識はないが、ネット通販はかなり活用している。素人ならではの新鮮な発想と鋭いツッコミがウリ。
所長K
DM学会の本部理事を務めるかたわら、セミナー講師、執筆も行う業界プチ有名人。豊富な知識、巧みな話術、懐の深さで、通販その他企業からの人望も厚い。
ネットで変わる消費行動
最近、ポットが壊れたんです。でも、ポットって必要なので、明日にでもビックカメラに買いに行かなきゃと思ったんですが、ふと楽天を思い出して、すぐ見てみたんです。ポットといってもたくさん種類があるので、クチコミも見たいなとも思いましたし。そして、そのまま楽天のランキング上位に入っているティファールのポットを買いました。結果、とても気に入っています。お湯をつぐたびに楽しい感じ!
以前は、製品の情報が欲しいときは、電機メーカーや家電量販店のサイトを見る人が多かったが、今はネットの使い方も変わってきているね。君は、いつ頃からそういう行動になってきた?
ここ2~3年だと思います。
今はあまりにも商品の種類が多いので、予備知識なしにお店に買いに行っても、君のように、何の製品がいいのかわからない人は多い。ネットは、店舗での購買行動にも大きな影響を与えているね。楽天は購入場所だけではなく、レビューを含めた情報媒体としての役割も果たしているということだろう。今回はそのまま楽天で買ったようだけど、中には、店で買うことを前提に楽天で調べる人も多いはずだ。
どこで情報を取るかというのは、品物にもよりますよね。以前マグボトル(水筒)を買ったんですが、その時はブログを検索しました。マグのような製品は、「漏れるか、漏れないか」が一番大事なことなので、クチコミになりやすいと思ったので。
その時は、ブログを見て商品を決めたうえで、楽天ポイントを貯めるために楽天で買おうとしたんですが、楽天の中の安いショップはカード決済がなかったので、最終的にアマゾンで買いました。
ヤフーのネットユーザー調査では、2008年頃から、45歳~55歳の層と55歳以上の層の割合が高まっている。つまり、ネット通販には、見やすさや使いやすさが、より求められるようになってきている。ネットの強さは価格比較や製品比較だというロジックもあるが、年齢層が高い人達には、それだけでは訴えられない。しかし、見やすさや使いやすさをクリアすれば、年齢層が高い人たちにもネットがコミュニケーションや情報提供のツールとして当たり前になり、より重要度が増すと思う。
やっぱり、スムーズに買えるっていうのは重要ですよね。
年齢層が高い人達は、パソコンに対して「難しそう」「面倒そう」というイメージを持っていため、今までネットを利用していなかった。やっぱり紙のほうがいいと思っていた人も多かったんだね。
でも、これだけパソコンが普及してくると、パソコンに入ってくるきっかけも増えている。たとえば、地元のシニアの集まりで、パソコンで作った手作りの旅行のしおりを見せられたら、自分は苦手だなと言いながらも、心の中では「いいなあ」という気持ちが芽生える。そして、子供に教えてもらって入ってくるというのがよくあるパターンだね。お金、趣味、余暇を持っているいい利用者がまだまだスタンバイしている。
そう考えると、いま、ジャパネットたかたでパソコンが売れているというのも頷ける。ジャパネットたかたでは、年齢層が高く、パソコンに詳しくない人を顧客に想定して、旅行のしおりはこういう風に作れますよ、などと使い方を提案している。スペックを売るのではなくソフトを売るんだ。パソコンで何ができるかが重要なんだから、正しいアプローチ方法と言えるね。
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