初回訪問と2回目以降で別のコンテンツを表示するのはクローキングのスパム?
誰もが実践できるSEO。でも意外と間違った認識を持っている人も多いのでは?
そこでみなさんが抱えているSEOの不安や疑問をプロが解消します。
初回訪問と2回目以降で別のコンテンツを表示するのは
クローキングのスパムになりますか
ブラウザのクッキーを参照して、初回訪問のユーザーと2回目以降のユーザーで表示コンテンツを切り替えるサイトがあります。クローラとユーザーには同じコンテンツを見せなければいけませんが、このケースは問題になるかというのが、今回の質問です。
SEOを勉強された方は、「クローキング」という言葉を1度は耳にされたことがあるかも知れません。クローキングとは、同じURLであっても、ユーザー(人)がアクセスした場合とクローラ(検索エンジン)がアクセスした場合で異なるコンテンツを表示する手法のことです。
たとえば、ユーザーの訪問時にはフルFlash(ページ大部分またはすべてがFlashで構成されていること)のコンテンツを表示してビジュアルで訴求する一方、クローラがアクセスしたときにはテキストのみで構成した、検索エンジンに最適化されたコンテンツを表示することで、ランキング上位を維持しやすくなります。
ただし、この手法は現実にはユーザー用とクローラ用でまったく異なるコンテンツを表示するように仕向けるために利用されることが大半であり、これを容認するとユーザーは本来探しているコンテンツとまったく無関係なページに誘導されてしまう恐れがあります。そのため、検索エンジンは例であげたフルFlashの場合に限らず、基本的にクローキングを不正行為とみなします※1。実際、過去にクローキングを行ったサイトが検索インデックスから削除された例もあります。
※1 Google ウェブマスター/サイト所有者 ヘルプ
クローキング、不正なJavaScriptリダイレクト、誘導ページ
http://www.google.com/support/webmasters/bin/answer.py?answer=66355
とはいえ、形式上はユーザーとクローラで異なるコンテンツが表示されながら、問題とされない例外も数多くあります。たとえば、訪問者のIPアドレスやブラウザの言語設定を参照して言語を切り替えるケースや、かつての「New York Times」のように記事全文を読むにはログインが必要だが、クローラには記事全文を提供することでインデックスしてもらい、数百万もの記事の検索性を確保したケースです。
今回の質問のケースは、クッキーを参照してアクセスしたユーザーが初回訪問か、2回目以降の訪問かを判定してコンテンツを切り替えています。ここでポイントになるのが、クローラはクッキーを持たないので毎回「初回訪問」という条件になることです。よって、「クローラが参照するコンテンツが、初回訪問者が参照するものと同一であれば問題にならない」が今回の正解となります。
なお、アクセス元のIPアドレスがアジア、北米、ヨーロッパのいずれかによって表示するコンテンツを動的に切り替えるケースも、クローラが同条件で同じ扱いをされていれば問題ありません。たとえば、北米のIPアドレスを持つクローラなら、北米ユーザー向けのコンテンツが表示されるようにしてあれば問題になりません。
先日の質問にあったアマゾンのアフィリエイトリンクの例も同様ですが、「クローキング」という言葉が独り歩きして、何かの条件をトリガーにコンテンツが切り替わるものは何でもクローキングの心配をしてしまう人が多いような印象を受けます。しかし、クローラも一種の訪問者とみなし、同条件のほかのユーザーと同じもてなしをすれば大丈夫です。
※記事の内容は、執筆時点のものです。検索エンジンの仕様は頻繁に変わるため、将来においてもこの内容がそのまま該当することは保証できません。
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