ちょっと前にeCommerce Summitに参加して、「販売を促進するためのプレスリリース活用」というセッションに出席したの。講演者はただ1人、PRWebのマーケティングマネージャーをしているジョー・ボーローリエ氏。まあ、プレゼンはちょっとセールスっぽかったけど(eCommerce Summitのセッションは多くがそうだったけど、やっぱり結局それがECというものよね)、話の中にはいくつか興味深い点があったわ。
ボーローリエ氏は、まず「旧式のプレスリリース」について話をしたの。プレスリリースは何らかの形で報道されることを期待して作られるもので、言葉と画像、表だけでメッセージを伝える。メディアがあなたのプレスリリースを取り上げてくれなければ、まったくついてないというわけ。これとオンラインののプレスリリースを比べてみましょうか。後者はマルチメディアを利用してリッチなコンテンツにできるわ。メディアの注目を集めるのにうってつけだし、さらにいいのは、見込み客に直接到達できる点ね。
プレスリリースの配信には次のようにいくつかタイプがあるわ。
プッシュ型の配信
数万人のネットユーザーに配信できる可能性があり、配信手段はメール(あなたの会社が提供する情報に興味を持ってオプトインしたユーザー層全体に届く)とRSSフィード(あなたのウェブサイトでRSSを登録したユーザーにコンテンツが直接送られる)。プル型の配信
SEOを活用すれば、数千万人もの人に配信することも可能。キーワードをうまく使ってプレスリリースを最適化し、そのキーワードやフレーズが大手検索エンジンで検索されたときにプレスリリースが上位に表示されるようにすること。ソーシャルメディアへの配信
魅力的で説得力のあるプレスリリースを作り、読者がソーシャルメディアやソーシャルネットワークサイトでそのコンテンツを仲間と共有したくなるようにしむける。
このとき、ボーローリエ氏のプレゼンで興味深いスライドが映し出されたの。
見出しに時間をかける
ニュースを売り込むためには、ここに賭けるしかないかもしれない。小見出しや要約で見出しを補完すること。本文には5Wを入れる
誰(who)、何(what)、どこで(where)、いつ(when)、なぜ(why)ね。幹部のコメントを2~3か所で引用する
メディアやブロガーはそういうところに目を向けるものだ。報道文らしい書き方をする
事実をして語らしめよ、ってこと。露骨な売り込みは避ける
プレスリリースは広告ではない。
最後のポイントは気に入ったわ。というのも、別のセッションで違うPR会社に所属する講演者が、プレスリリースでは新製品でも何でもとにかく売り込むべきだ、と強調するのを聞いたことがあるからなの。この点については、ボーローリエ氏の意見に賛成。プレスリリースはある程度客観的でなきゃいけないし、対象ユーザーが興味を持てる情報、たとえばケーススタディとか、実験や調査の結果とかを載せておくべきだわ。製品を売り込むなら、メールマーケティングやニュースレターを使いなさいってことね。
さて、そこで考えてみると、最初にすべきは、プレスリリースをどういう風に役立てたいのか考えることだと思うの。
プレスリリースで製品の販促やコンバージョン率増加をねらうなら、自分の製品やサービスにしっかりフォーカスして。
ネットユーザーの間で共有してもらったり、リンクを張ってもらったりするのが目的なら、リンクやウェブのビジターを引き付けられるように、マルチメディアを使ったリッチなコンテンツを作ること。
個人的には、プレスリリースは後者(おもしろくて、リンクを張る価値がある方ね)があるべき姿じゃないかと思うわ。もちろん、私の意見だけど。
プレスリリースを最適化するヒントを挙げておくわね。
どのキーワードまたはフレーズでプレスリリースを検索結果の上位に持っていきたいのか決めること。キーワード/フレーズは2~3個に絞る。
キーワードは見出し、小見出し、リリース本文の最初の方に入れ込む。
キーワードをアンカーテキストにして、自社サイトの関連ページにリンクさせる。
ここで、この記事のタイトルについて説明しておくわね。ブログが花盛りの今日、プレスリリースにはどれほどの効果があるのかしら? 普通ならプレスリリースとしてメールで配信するものを、ブログやサイトの記事として投稿したりしてもいいんじゃない?
プレスリリースのメールからその記事にリンクすることだってできるわね。それで、トラフィックも得られるし、うまくいけばリンクを張ってもらえるかもしれないわ。
たとえば、私はHitwiseのプレスリリースを定期購読しているんだけど、ここには時々本当に興味深い情報があるの。調査結果や、検索エンジンの市場シェア、よくできた統計やチャートなどがそう。以前に記事で何度かリンクしたこともあるわ。でも嫌になるのは、メールでプレスリリースをもらっても、Hitwiseのページへのリンクがないこと。どうやってそのプレスリリースにリンクしろって言うの? 結局、Hitwiseのサイトを探し回って、目指すプレスリリースを見つけなきゃならないのよ。そもそもメールからリンクされていてしかるべき情報を見つけるのに、何分か無駄になっちゃうわ。
多分、これは私がプレスリリースよりもブログに精通しているからね。でも、私が持っているプレスリリースのイメージは、単調で味気ない文字の羅列で、読むとすぐ目がかすんじゃう、というもの。といっても、プレスリリースは全部無視というわけじゃないのよ。さっきも言ったとおり、本当に興味を持ったものもいくつかはあるわ。でも、それはたいてい調査結果やデータの分析結果、研究の結論など、数値的なものだったわ。数値やグラフは時として言葉以上に説得力があるから、言葉ばかりのプレスリリースよりも、間違いなく私の関心を引くのね。
ボーローリエ氏がニュース的価値のあるプレスリリースのコンテンツをいくつか挙げていたので、私のコメントを添えて紹介するわ。
新製品やサービス
私ならこういうプレスリリースは読まない。セールスっぽい感じが強すぎるし、どちらかというと私は、この手のコンテンツは宣伝用のメールやニュースレターで読む方がいいな。何たらかんたらのトップ5リスト
トップ5のリスト? おいしいブログのネタになりそうな匂いがするわ。リストなどのリンクベイトになるものは、ブログや記事として自社のサイトに掲載すべきね。顧客調査の結果
ああ、やっとプレスリリースにふさわしいものが出てきたわ。私はよくこういう情報に目が向いてしまうから。新幹部などの雇用
ふーん、「そんなこと誰が気にするの?」って感じだけど、Search Engine Landの記事を編集していると、「誰々が(検索エンジン会社のどこか)を辞めてFacebookで新しい職についた」なんていう記事を、それこそ数え切れないくらい目にするわ。だから、この手のプレスリリースを喜ぶ層もいるってことよね。私は興味ないけど。(・。・)サイトの更新
まあ、いつもサイトに来ている人は大きな更新にはすぐ気づくだろうけど。小さな更新は会員向けメールで強調してもいいわね。サイトの更新をうまく利用する方法があるとすれば、Redditの使ったような手が唯一のやり方だと思うわ。Redditは最近、近く搭載する新機能を一部の著名なブロガーに伝えたのね。すると、ブロガーたちがその情報をブログに書いて、その記事がインターネット中に広まり、「Redditの次期機能の情報が流出!」という方向に転がっていったというわけ。ソート・リーダーシップ(thought leadership)
はいはい、この言葉が何を意味しているのかさえわからないわ。「ソート・リーダーシップ」はコンピュータおたくが好みそうな婉曲表現の一種ね。なんらかの話題に対する専門家の発言やスタンスなら、ブログにアップできなくもないかな?
さて、ここでようやくタイトルの「オンラインのプレスリリースは絶滅の道をたどる?」に戻るけど、その答えは「イエス」とも言えるし「ノー」とも言えるわ。
プレスリリースは価値を保ち続けるという確信はあるけど、どういう種類の情報を発信するかによって左右されるのも事実よ。プレスリリースを使って何をしたいの? ブログやニュースレターやメールマーケティングキャンペーンよりも、プレスリリースを使った方が簡単かつ効果的にできることは何? 検索エンジだけでなく、ユーザーの確保のことも考えて、プレスリリースを真に最適化すること、それが重要なんだと私は思うわ。プレスリリースというかごに卵を全部入れようとしても時間の無駄。もっと便利なかご(たとえばブログ)に卵の半分は入れられるのだから。
あなたの考えはいかが? プレスリリースで大成功を収めた経験のある人はいるかしら? もしいるとしたら、いつもどんなコンテンツを発信しているの? マーケティングの取り組みを分散して、ブログ、メールマーケティング、ニュースレター、それにプレスリリースという具合に使い分けてる人はいる? やるべき仕事が増えすぎると思う? それとも、配信チャンネルをいくつも持つ方が1つだけのときより成功率が上がるかしら?
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