ネットショップ担当者フォーラム

アスクルの「LOHACO」が24時間注文受付を再開、倉庫火災後のサービス復旧進む

8 years 7ヶ月 ago

「LOHACO」内で24時間注文受付の再開告知

「LOHACO」内で24時間注文受付の再開を告知(画像は編集部がキャプチャ)

アスクルは5月9日、日用品通販サイト「LOHACO(ロハコ)」の24時間注文受付を再開した。

2017年2月、東日本エリアの物流を担っていた大型倉庫で火災が発生。出荷能力が失われたことを受け、3月下旬から注文時間を制限していた。

4月25日に新たな物流拠点が本格稼働し、出荷体制が整ったことなどから注文制限を解除した。

4月に新設した物流センターの名称は「ASKUL Value Center 日高」。同社初となる「LOHAKO」専用の物流センターとして、東日本エリアの物流をカバーしている。

当初はハンディピッキング方式による出荷体制だが、6月末には簡易マテリアルハンドリングシステムと自動梱包機を導入する計画。

9月末にはコンベアラインを設置し、2018年初頭にはシャトルシステムの設置とコンベアラインを増設するなど、段階的に物流センターの高度化・自動化を進める。

アスクルの「LOHACO」、出荷能力の復旧は今年9月を計画。埼玉日高市に代替センター

「ロハコ」の復旧・拡大計画(画像は編集部が決算資料からキャプチャ)

火災が起きた「ASKUL Logi PARK 首都圏」は、「ロハコ」の物流シェア62%を占めていた。火災後は出荷拠点を「ASKUL Logi PARK 横浜」などに切り替えて対応した。

「LOHACO」では一時、東日本エリアで最大10日程度の配送遅延が発生していたが、現在は正常化しているという。今後は品揃えの回復に注力し、9月末をめどにサービスを火災前の水準に戻す。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

商品取扱高2700億円をめざすスタートトゥデイ、2018年3月期の戦略と施策

8 years 7ヶ月 ago

スタートトゥデイが運営する「ZOZOTOWN」を含めた商品取扱高の推移

商品取扱高の推移(赤枠内が2018年3月期計画、画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ファッションECモール「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは今期(2018年3月期)、商品取扱高の計画を前期比27.3%増の2700億円に設定した。

「ZOZOTOWN」への新規出店を促進するほか、古着専門モールの強化にも取り組む。想定するファッションEC市場の自然成長率15%を大幅に上回る成長をめざす。期中にはプライベートブランドも発売する計画だ。

商品取扱高計画の事業別の内訳は、ZOZOTOWN事業の「受託ショップ」が同28.2%増の2460億円、古着専門モール「ZOZOUSED」は同39.8%増の180億円、「BtoB事業」は同3.5%減の60億円。

ZOZOTOWN事業の2017年3月末時点における出店ショップ数は前年比約1割増の954店舗だった。2017年3月期の年間購入者数(会員と非会員の合計)は同41.2%増の632万4033人。近年は新規出店の加速や積極的なプロモーション施策によって出店者と利用者を増やしてきた。

スタートトゥデイが運営する「ZOZOTOWN」を含めた年間購入者の推移

年間購入者の推移(赤枠内が2017年3月期実績、画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

2018年3月期も引き続きZOZOTOWN事業が成長の牽引役となる。ユーザーのニーズに対応した新規ブランドの出店促進や、新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの購入頻度の上昇を目的としたプロモーションを機動的に実施する。商品取扱高の拡大に対応するため、物流センターの拡張も予定している。

ZOZOUSEDは引続き商品の買取りを強化していくことで事業規模の拡大を図るとともに、フルフィルメント機能の効率化にも継続的に取り組む。

すでに公表しているプライベートブランドについては、今期中の事業開始を目標に準備を進めているという。

購入金額の支払いを5万円まで、最大2か月間延長できる後払いサービス「ツケ払い」は、2017年1~3月期(2017年3月期の第4四半期)の増収に寄与した。本サービスは今後も継続していく方針。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

日本のECサイトで最も買い物をしているのは「台湾」。2位は「米国」、3位は「中国」

8 years 7ヶ月 ago

ナビプラス株式会社は5月9日、自社が運営する越境ECソリューション「BuySmartJapan」のユーザーに関する調査結果を発表した。

2015年にリリースした「BuySmartJapan」は、既存の国内向けECサイトをそのまま越境ECに対応できるソリューション。

ベルメゾン、ベイクルーズ、アフタヌーンティー、東急ハンズ、トイザらス、サンドラッグなど60以上のECサイトへの導入が進んでいる。

今回のレポートは「BuySmartJapan」で買い物をする海外消費者の動向を分析したもの。調査期間は2016年4月から2017年3月。

売上額では1位 台湾、2位 米国、3位 中国

台湾34% US17% 中国15% 香港12% 韓国5% その他10%
売上額の比率(配送先国別)

台湾をはじめ53か国のユーザーが商品を購入した。

一番売れている商品はアパレル・雑貨

アパレル・雑貨52% 家電・PC27% 書籍・メディア8% キャラクター・玩具7% その他6%
売上額の比率(商品別)

国別の調査結果によると、売上額1位の台湾では、アパレル・雑貨が43%、家電・PCが46%。家電・PCの方が売れている。

決済方法にお国柄

PayPal 46% クレジットカード37% Alipay 9% 銀聯8%
決済方法の比率(件数ベース)

決済方法に関する全体の結果では、PayPalが1位、クレジットカードが2位という結果に。国別の調査結果によると、台湾は8割弱がクレジットカードで、中国は6割がAlipay、3割が銀聯(ぎんれん)だった。

ナビプラスのサイトでは上記以外にも、国別の購入商品、平均注文額注文金額、配送日数などが掲載されたPDFをダウンロードできる。

uchiya-m

前に見た商品がバーンって出てきてピッと飛んでパァっとなったんや!【オカンでもわかるリターゲティング広告の基礎】 | オカンでもわかるアドテク教室

8 years 7ヶ月 ago

ネットショップを始めたオカンにいろいろ教えることになった僕。オカンは集客やサイト改善をみるみるとマスターし、ECサイト運営の楽しさにハマっている様子。そんなオカンに運命の再会が……!? イラスト◎浮蓮 要

登場人物
僕

 大学院を卒業後、地元大阪の大手メーカーに就職したが、なぜか配属された広告宣伝部でアドテクに興味を持ってしまい、あっさり東京のインターネット広告会社に転職してしまった。現在入社3年目の27歳。オカンには「虎の子は虎やな」とわけのわからないコメントをもらったが、たぶん応援してくれていると信じて毎日楽しく忙しく働いている。

オカン

オカン 純然たる大阪のオカン。自慢(?)のファッションセンスをビジネスにいかそうとネットショップを始めた。

姉ちゃん

姉ちゃん 僕が知らないところで、オカンのネットショップを手伝っているらしい。

ある日、オカンに事件が起こったらしい

オカンさ~て、日課のエゴサーチとネットサーフィンでもして寝よか~って、こっ、これは……!!!!!

オカン:コレは……運命の再会……!? ズキューン
※オカンです。

オカン……てな、買おうかどうか迷っとった商品が、ぜんぜん違うサイトでこう、バーンと出てきてな、クリックしたらビッとその服のページに飛んでな、アタシもうパーッとなってしまったわ。まるで買い忘れていた物を教えてくれたみたいやった。物忘れの激しいお父ちゃんとは大違いや。ケータイの中にあたしだけの妖精でもおるんかいな。どうしてこんなことできるんや?

僕それはね、「Cookie」(クッキー)っていう仕組みが利用されていて、オカンのスマホにどの商品を見たか情報が記録されているからなんだ。

オカンあんたなぁ、いくらなんでもアタシかて食べ物がケータイの中に入るとは思わへんで。

僕お菓子のクッキーじゃないよ

オカンなんやて! じゃああれか、あのお笑い芸人・野生爆弾のくっきーのことやったんやな!

僕違うよ

オカンそしたら、なにか!? モデルさんの!?

僕くみっきーじゃないよ。Cookieっていうのは、サイトに訪れた人が誰なのかを識別するための仕組みのことだよ。オカンって馴染みの八百屋さんへ行くと、すぐに大根を出されない?

オカンいつも買うからなぁ! あのおっちゃんよく覚えててくれるんやで!

僕八百屋さんの場合はオカンの顔が特徴的だから覚えているんだろうけど、インターネット上でも一度来たお客さんを覚えることは可能なんだよ。

Cookieによって「オカン」っていう人がいつ来たのか、何度目の訪問なのか……みたいな情報を記録した名札のようなものを、Webサイトの運営者がオカンに渡している感じなんだ。次に同じサイトにオカンが行ったら、もらった名札をWebサイトの運営者に見せるんだけど、その名札を見て「オカンが来ている」って判別できるってわけ。

オカン誰が特徴的な顔面や!!

Cookieってつまり何?

Cookie(クッキー)はサイト運営者のサーバーが、サイトに訪れたユーザーのブラウザに対して、データを一時的に書きこんで保存する仕組み、または閲覧時間や訪問回数といったデータの内容のことを指します。

Webサイト側は、ユーザーが初めてそのサイトに訪問した際に、サーバーでCookie情報を作成し、ユーザーのブラウザに保存させます。ユーザーが次にそのサイトに訪れる時には、その情報をサイトのサーバーに送るので、サイト側は誰が来たかを認識することができます

ただし、「誰が来たか分かる」というのは、IDやページの閲覧履歴などで判別するため、ユーザーの名前や年齢といった個人を特定できる情報は含まれません

またブラウザごとに記録されるので、同じユーザーでもスマートフォンとPCで見た時では「異なるユーザーである」と認識されます

Cookieを活用した「リターゲティング広告」

僕例えばECサイトでログインする時、メールアドレスとかパスワードとか毎回いちいち入力するの面倒じゃない?

オカン全然面倒やないで! ログインページに行ったらもう入力されてるから、ボタンを1回押すだけや!

僕……それがCookie。あれはサイト側で、「オカン」と「オカンが入力したメールアドレスとかパスワード」を一緒に記録して名札を渡しているから、オカンが来たらサイト側で判断して自動的に表示させているんだよ。

オカンなんやよう分からんけど、便利なんやなぁ。

僕他にもさっきの八百屋さんじゃないけど、オカンが買ったものも名札に記録していくことで、サイト運営者側でオカンにオススメの商品を表示したりもできるんだ。

オカン名札がどんどんアタシ色に更新されてるっちゅーわけやな。

僕……(するどい!)。

オカンで、それ使うと、迷ってた商品の広告がバーンと出てくるんか?

僕「リターゲティング広告」って言うんだけど、これもCookieを使った技術の1つなんだ。リターゲティング広告は、オカンがECサイトに来た時に、リターゲティング配信会社が名札(Cookie)にオカンを識別するIDを記録し、オカンが別のサイトに行った時に、オカンが見ていた商品に合った広告を配信しているんだ。

オカン……。

僕……うん。これは難しいからオカンの1日を追って説明していくね。

①「ECサイトで商品を見ている」9:00 オカン:エエ服ないやろか…… あかん! コゲてまう
②「別の用事があって、その時は購入をやめる」
③「夜、別のWebサイトを見ている」22:00 オカン:就寝前のネットサーフィンでもしよかー む!?
④「広告が出てきて商品を訴求!」オカン:昼間見たサイトの広告が出てきよるっ なんやねんコレ!?
  1. ECサイトで商品を見ている……この時、ECサイト内に「タグ」(後述)が入っていることで、広告配信の会社もオカンを識別するIDを名札に書き込める。それによってオカンがこのECサイトに来ていたと認識する。
  2. 別の用事があって、その時は購入をやめる
  3. 夜、別のWebサイトを見ている……オカンの見ているWebサイトが広告配信の会社と提携していたら、オカンが来たことを名札から読み取って、その広告配信会社に知らせる。
  4. 広告が出てきて商品を訴求!……広告配信の会社はオカンが以前にどのECサイトを見ていたか分かるから、広告を配信できる。

オカンなんや裏側でいろいろ動いてるんやなぁ。

僕そうだね。

Cookieにはタグが不可欠

一般的には自社サイトのサーバーからしか訪問ユーザーのブラウザにCookieを書き込むことはできません。ですがこの「タグ」と呼ばれるテキストをサイトのHTMLソース内に書き込んでおく(=タグを設置する)ことで、広告配信サービス会社からも識別IDをCookieの中に書き込めるようになります。

ECサイトでリターゲティングを実施する際は、基本的にこのタグの設置は必須になります。

オカンが驚いた「ダイナミックリターゲティング」

僕特に今回オカンが見てびっくりした広告は「ダイナミックリターゲティング」っていう、ユーザーごとに見ていた商品や関連のオススメ商品を配信できるタイプのリターゲティングサービスだね。

その人が興味のありそうなものをカスタマイズして見せることで、ネット上で店員に接客されているような経験をしてもらえる……とも言われているよ。

ダイナミックリターゲティングとは?

ダイナミックリターゲティングは、ユーザーが見た商品と、それに関連する商品の広告をリアルタイムで自動生成してバナーを配信します。こちらもリターゲティングと同様にタグを設置しますが、「どのユーザーがどの商品を見ていたか」までを識別するため、通常よりも少し構成が複雑になっています。

またバナーに表示させる情報をまとめた「データフィード」と呼ばれる商品リストも必要になります。

オカンそや!こないだ「ヒョウ柄は実は青森県民とか埼玉県民がめっちゃ買ってる」って、楽天ZOZOTOWNの記事で見たで。そこら辺をねらってリターゲティング配信したらボンボン売れるんちゃうか!? 知らんけど。

僕(そんなリサーチもしてるのか……) 最初から配信対象を絞り込み過ぎると配信ボリュームが出なくて効果検証もできなくなるから、まずは来た人全体に配信するのが一般的だよ。どこから来たかよりサイトのどこを見ていたかで配信し分けるのが効果的なんだけど、それはまた今度説明……

オカン早速実践やー!!

◇◇◇
オカン:ビスケットちゃうねん、クッキーや! 姉ちゃん:へ〜

オカンアンタ、クッキーって知ってる? なんで飴ちゃんやのうてクッキーにしたんか知らんけど、インターネットの利便性を支えてるんやって。今日もいろんなこと聞いたで。

姉ちゃんへー。アイツも東京でがんばってるんやねえ。

今回覚えたいアドテク用語

Cookie(クッキー)

サイトに訪れたユーザーのブラウザに対して、データを一時的に書きこんで保存する仕組み、または閲覧時間や訪問回数といったデータの内容のこと。

リターゲティング広告

Cookieを活用したアドテクの一種。リターゲティング配信会社がCookieにユーザーを識別するIDを記録し、別のサイトに行った時に、広告主の広告を表示させる。

ダイナミックリターゲティング

リターゲティング広告の一種。ユーザーが見た商品と、その関連商品の広告をリアルタイムで自動生成し、広告を配信する。

砂森 翔太

株式会社ファンコミュニケーションズ nex8事業部 マーケティング担当

砂森 翔太(すなもり しょうた)

大学卒業後、Web制作会社を経てファンコミュニケーションズに入社。リターゲティング広告「nex8(ネックスエイト)」の広告主営業を約1年担当した後、マーケティングに異動。

サービスリニューアルに伴うWebサイトのテコ入れに始まり、各種解析ツールを用いてのUI検証・改善、リスティング広告やSNS広告の運用などに従事している。

2016年6月、コンテンツマーケティングの一環として、“EC担当者にためになる情報をわかりやすく”をテーマに発信する「nex8ブログ」を立ち上げ。

他のマーケティング業務のかたわら、メインライティングと編集を担当する忙しい日々から、営業メンバーがリレー形式でライティングする体制に落ち着いてきたのを機に、“さらにやさしくわかりやすくアドテクを伝える力”を磨くべく、ネットショップ担当者フォーラム連載にチャレンジ中。

砂森 翔太

アマゾンにも負けない顧客体験はどう提供する? 優良顧客を生み出す「配送力」の磨き方 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

8 years 7ヶ月 ago

小売事業者は、幅広い配送オプションの中から適切なサービスを選択して提供、消費者が商品を簡単に返品できる環境を用意する必要があります。

驚くほど競争が激しいeコマースの世界で、小売事業者たちは常に売り上げアップ、コスト削減につながる新たな方法を模索しています。

大切なことは、オンラインで買い物をする消費者を引きつけ、お客さまになってもらうためのカスタマーエクスペリエンスの向上です。

ECで十分な利益を計上してる企業は1割

オンラインで買い物をする消費者の中で、ミレニアル世代は特にモバイルデバイスでのショッピングを好みます。配送面では、スピード配送時間指定配送方法のオプションなど、消費者の要求は高くなる一方です。

送料無料の要求に加え、消費者は最安値のサイトを検索し、価格が一番安かったECサイトで購入する傾向が増えているため、EC事業者の利益はどんどん少なくなっています

サプライチェーンソリューションを提供するJDAとコンサルティングファームのPwCが行った調査によると、350の世界的な小売業者のわずか10%しか、ECサイトの運営で十分な利益を上げていないようです。

オムニチャネルを実施しながら利益を上げていると回答した企業は10%
ネッ担編注:赤枠内は、オムニチャネルを実施しながら利益を上げていると回答した企業は10%だったという主旨(編集部がJDAの資料をキャプチャして追記)

Amazon(アマゾン)の抜け目ないオペレーション、拡大し続けるロイヤリティプログラム(Amazon プライム)を見ると、すでに「ゲームオーバー」と感じる人もいるかもしれません。豊富な資金、複数の収益源を確保しているアマゾンと競争することは難しいでしょう。

しかし、マーケティング支援企業CPC Strategy社が公表した最新レポートによると、オンライン通販を利用する人の半分以上は、時々または常にアマゾン以外のサイトで価格を確認するため、すぐにアマゾンを訪れて商品を購入するわけではないようです。

消費者の23.1%は商品購入を決める要素として価格を1位にあげていますが、配送は19.8%と僅差で2位につけています。ソフトフェア開発などを手がけるMetapack社の調査では、「配送サービスが良い通販・EC事業者のサイトで再び買い物をしたいと思う」と回答した人は87%にのぼっています。

配送サービスが良い通販事業者で再度買い物をしたいと思うと回答した人は87%
ネッ担編注:赤枠箇所は、配送サービスが良い通販事業者で再度買い物をしたいと思うと回答した人は87%だったという主旨(編集部がMetaPackの資料からキャプチャして追記)

アンケート回答者が各社の配送サービスを格付けしたMetapack社の調査によると、アマゾンは他のEC事業者を引き離してトップに。こんな絶大な人気を誇るアマゾンから学べることは何でしょうか?

アマゾンのフルフィルメントが他の事業者よりも優れているのは以下の3点です。

① 配送オプション

Metapack社が実施した調査によると、回答者の61%は「配送オプションが豊富な業者から買い物する」と答えました。

世界各国で行った調査では、平均61%が配送オプションの豊富な事業者から買い物すると答えた
ネッ担編注:世界各国で行った調査では、平均61%が配送オプションの豊富な事業者から買い物すると答えた(編集部がMetaPackの資料からキャプチャして追記)

Home Depot(ホームデポ、ネッ担編注:住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーン大手)社はこのほど、追加送料を支払うと即日配送サービスを利用できるサービスを試験的に始めましたのですが、即日配送サービス自体はそれほど利用されませんでした。しかし、配送オプションが増えた影響によって、全体のオーダー数が明らかに増えたというのです。

配送オプションは、消費者の期待に応えるサービス設計である必要があります。多くの消費者が抱く期待やニーズに応えることができるアマゾンの配送サービスは、同社の大きな特徴になっています。

Logitech(ロジテック、ネッ担編注:コンピュータ周辺機器の製造販売会社)社のサイトは、多くの製造業社のサイトと同様に、希望小売価格を掲載していますが、アマゾンでは同商品がはるかに安く販売されています。

この重要なことは、ロジテック社が配送日数を4~7日、もしくは2~3日としているところ。アマゾンは配送日数を4日とし、曜日指定もできるようにしています。アマゾンは消費者に配送オプションを提供するとともに、正確に消費者の期待値をコントロールしているのです。

UPSが通販・EC利用者を対象に行った調査(2016年実施)では、回答者の48%が「配送日指定サービスの有無は購買を決める際に重要だ」と答えました。一方、豊富な配送オプションが欲しいと答えながら、42%が買い物時に陸上配送(ネッ担編注:飛行機ではなく列車やトラックなどの陸上輸送を使用して荷物を運ぶ)を指定しています。また、回答者の46%は「配送日数が長すぎる」「配送日が不明」という理由でカート離脱をしています

31%が配送スピードのオプションがあると購入の決め手になると回答、46%は配送日数が長すぎたり不明だったりするとカートを離脱すると答えている
ネッ担編注:31%が配送スピードのオプションがあると購入の決め手になると回答、46%は配送日数が長すぎたり不明だったりするとカートを離脱すると答えている(編集部がUPSの資料UPS からキャプチャし追記)

もちろん、消費者の期待に応えることは重要です。つまり、約束通りに配送することです。

まずは、配送業者の詳細な配送サービス実績のレポートをチェックしましょう。データを分析し、特定の場所に届けるにはどの配送業者が良いかなど、最適な業者を選択していく必要があります。

国営の配送業者をアメリカ全土で採用するのは、サービスレベルやコストを考えると次善の策と言えるでしょう。国際配送に関しては、少し複雑になりますが、データ分析をすれば最適な業者を選択できるはずです。

② 配送の可視化

配送スピードや配送オプションは重要なポイントですが、オーダーや配送の可視化も重要度が高くなっています

アマゾンなどトップEC事業者は、商品が注文されると同時に注文状況を表示します。注文確定から、配送通知、運送状況までを表示、配送を可視化しているのです。可視化は消費者にとって大変重要な要素です。

3PL事業者のDotcom Distribution社が2016年に発表した「早い配送と質の高い包装で消費者のロイヤリティを高める」という調査では、「注文状況を把握できない小売事業者や、発送や配送が確認できない小売事業者からは商品を購入しない」と答えた回答者は47%でした。

注文状況がわからない事業者や、発送や配送が確認できない事業者からはもう商品を購入しないと答えた回答者は47%
ネッ担編注:注文状況がわからない事業者や、発送や配送が確認できない事業者からは商品を購入しないと答えた回答者は47%(画像は編集部がDotcom Distribution社の資料をキャプチャし追加)

ECプラットフォームなどのConvey社が実施したアンケートでは、消費者の75%は「情報共有が重要」と回答。その内の38%は「何か問題があったらすぐに知らせて欲しい」と回答しました。

UPSが2016年に行った通販・EC利用者対象の調査でも、回答者の30%が「発送の際にメッセージを受け取るかどうか選択できる機能が重要だ」と答えています。

30%が発送の際にメッセージを受け取るかどうか選択できる機能が重要だと答えている
ネッ担編注:30%が発送の際にメッセージを受け取るかどうか選択できる機能が重要だと答えている(編集部がUPSの資料からキャプチャし追記)

国際市場では、配送の可視化に関する期待値はさらに高いようです。DHL社がドイツで行った調査では、88%が「荷物のトラッキング番号に直接アクセスしたい」と回答。

84%が配送業者を知りたいと答えました。そして、消費者の85%が、ECでは「荷物をトラッキングできるサイトへの直リンクがあることが重要」と回答しました。

配送業者の選択はとても重要なことです。消費者が使用するプラットフォームで配送状況を適切に可視化できる配送業者が、消費者の高い期待に応えられる業者なのです。

③ 返品の効率化

UPSが行った通販・EC利用者対象の調査(2016年実施)によると、ECでは返品が消費者の満足度に大きく関わっているようです。

アマゾンは早くて簡単な返品サービスを提供しています。返品のプロセスは、消費者の購買履歴と完全統合され、ユーザー自身で返品処理することができます。ほとんどのケースでは返品時の送料が無料です。返金フローは、返品商品がアマゾンに到着した時ではなく、返品を配送する業者が商品を確認した段階で返金されます。

便利で使いやすい返品プロセスを提供することは、eコマースのバリューチェーンすべての要素に関わってきます。

Webサイト同様、返品ポリシーやプロセスも簡単でわかりやすくなければなりません。米国では発送の際、返品の説明や返品用ラベルを封入しておくのがEC事業者の慣例になっています。

オンラインで返品手続きを始めると、返品ラベルの用意、配送の説明、返金、トラッキング、最終確認までのプロセスが簡単に把握できる仕組みであることが重要です。

返品プロセスで大事なのは、どの場所に返品するかという点。UPSの調査では、回答者の60%が「実店舗に返品したい」と答えました。

40%が事業者に、60%の回答者が実店舗に返品したいと答えました
ネッ担編注:回答者の40%が小売事業者に、60%が実店舗に返品したいと答えた(編集部がUPSの資料からキャプチャし追記)

しかし、オンライン通販だけの小売事業者では、これを実現することはできません。そのため、消費者が返品時に利用する配送業者が(消費者にとって)便利な場所に存在していることが重要です。

UPSの調査では、消費者の55%が「配送業者に返品を持ち込む」と答え、21%が「配送業者の配達ボックスかUPSのピックアップサービスを利用する」と答えました。

ネッ担編注:55%が配送業者に返品を持ち込むと答え、21%が配送業者の配達ボックスかUPSのピックアップサービスを利用すると答えた(編集部がUPSの資料からキャプチャし追記)

ほぼ全ての配送業者が、簡単に返品できるサービスを提供しています。しかし、消費者の利便性を損なわないためにも配送業者のロケーションは必ず考慮しましょう

返品の仕組みはいくつもありますが、大切なのは「便利」「簡単」「ストレスフリー」であることです。

◇◇◇

eコマースの世界は急激に変化しています。アマゾンの影響で、消費者ニーズも同時に変化しています。

配送、オーダーの可視化、返品が効率的に行えるオペレーションを持つECサイトは、将来的にアマゾンのサービスレベルに近づくことができます。

Internet RETAILER

世界最大級のネット通販業界の専門誌「Internet Retailer」は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

Internet RETAILER

ファンコミュニケーションズの「nex8」がロックウェーブの「aishipR」と連携

8 years 7ヶ月 ago

ファンコミュニケーションズのリターゲティング広告配信サービス「nex8(ネックスエイト)」と、ロックウェーブが提供するレスポンシブECサイト構築ASP「aishipR(アイシップアール)」がシステム連携した。

「aishipR」を利用する企業は、管理画面から簡単に「nex8」用のタグを設置することが可能。開発の手間をかけずに精度の高いダイナミックリターゲティング配信を実行できるようになる。

「aishipR」で構築したファッション水着のECサイトを運営する三愛水着楽園が「nex8」の導入を決めたという。

「nex8」はダイナミックリターゲティングに特化したリターゲティング広告配信サービス(広告主サイトでのユーザーの行動履歴を基にバナーをリアルタイムで生成し、ユーザーごとに最適な広告を配信する広告配信手法)。

「nex8」利用企業では、申込・購入を検討していた商品やサービスを直接広告バナーに表示しCVRが平均190%上昇した事例など、費用対効果の高い広告配信手法としてECサイトでの利用が広がっている。

なお、「nex8」はフューチャーショップのECプラットフォーム「FutureShop2」、Eストアーのショッピングカート「ショップサーブ」などと連携している。

ファンコミュニケーションズの「nex8」がロックウェーブの「aishipR」と連携

「nex8」について

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約11年。日々勉強中。

瀧川 正実

EC化率3割めざすユナイテッドアローズ、2017年3月期のEC売上は202億円

8 years 7ヶ月 ago

ユナイテッドアローズは現在16%のEC売上構成比率(連結売上に対するEC売上の割合)を、長期的に3割まで引き上げる。

2017年3月期のEC売上は202億1200万円(前期比16.0%増)。実店舗などの売り上げを含めた連結売上高は1455億3500万円。EC売上の構成比は16.0%。

ユナイテッドアローズは「ZOZOTOWN」など他の通販サイト経由で商品を販売するほか、自社ECサイト「UNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE(UAオンラインストア)」を運営している。スタートトゥデイに運営委託している自社ECサイトの構成比は20.0%となっている。

ユナイテッドアローズは現在約16%のEC売上構成比率(連結売上に対するEC売上の割合)を、長期的に3割まで引き上げる計画 2017年3月期のEC売上高は202億円

ユナイテッドアローズのEC売上高および構成比の推移

2017年3月期中から2017年4月にかけて、①ハウスカードプログラムの改定②ECサイト・ブランドサイト統合リニューアル③戦略的な在庫の積み増しによる販売機会ロスの低減――などに取り組んだ。

こうした施策を踏まえ、ユナイテッドアローズは「まだ相当の販売機会ロスが発生している」と指摘。商品計画精度を高めながら積極的な在庫投入を継続し、売上拡大つなげるとしている。

抑制してきた広告宣伝はSNSなどを中心に展開。潜在顧客へ広くアプローチして新規顧客の獲得をめざす。ECも踏まえた販売員の評価制度の見直し、EC専用商材の拡充も併せて実行するという。

なお、2018年3月期のEC売上高は前期比18.0%増の229億円を見込む。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約11年。日々勉強中。

瀧川 正実

eBayの国際エクスプレス配送費がPayPal決済に対応、越境ECの利便性向上

8 years 7ヶ月 ago

イーベイ・ジャパンは5月9日、「eBay」を通じて日本から海外へ商品を販売する際のエクスプレス配送料金をPayPalで支払いできるようにすると発表した。サービス開始は5月15日。

配送費用をオンライン上で決済できるようにすることで、出店者と購入者の利便性を高める。

ドイツポストDHL傘下で国際エクスプレスサービスを手がけるDHLと、オンライン決済大手のペイパルがeBay向けにサービスを提供する。ショッピングと一体化した国際エクスプレス配送料金決済は日本初という。

米国やアジア諸国の消費者に対して、最短で発送翌日に荷物が到着する国際エクスプレスサービスを提供。「eBay」の顧客満足度の向上とリピート率向上を促進する。

国際エクスプレスの配送料金の支払いにPayPalを使うことで、通販・EC事業者は請求書処理などのコスト削減効果も見込める。

DHLエクスプレスとペイパル、eBayの越境EC向け国際輸送費用のオンライン決済をスタート

通販・EC事業者の請求書処理といった手間の削減などにつながる

DHLは国際小包配達やECの商品配送、国際エクスプレスなどを世界220以上の国・地域で展開。グループ全体の2016年の売上高は570億ユーロ以上。

DHLジャパンの山川丈人社長によると、日本発着の越境EC貨物の取扱量は著しい伸びを見せているという。

また、イーベイ・ジャパンの佐藤丈彦社長は「国際配送費用のオンライン決済開始により、事業者の皆さまにより優れた体験を提供できるものと考えています」とコメント。ペイパル東京支店カントリーマネージャーの曽根崇氏は「通販事業者の皆様の手間となっていた請求書処理などのコスト削減を実現し、利便性と迅速性を合わせたより高い価値を訴求できるようになると考えています」と話している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

イケア(IKEA)のネット通販本格参入で家具・インテリアEC市場はどう変わる? | 知っておきたい ECサイトに役立つ分析データ

8 years 7ヶ月 ago

洗練された北欧デザイン家具を低価格で提供するスウェーデン発の家具量販店「イケア」(IKEA)が、4月から配送対象エリアを拡大し、本格的に通販を展開。オンラインストアでは自宅への商品配送に加え、注文店舗での受け取りができるサービスも導入しています。

イケアの通販参入で国内の家具・インテリアEC市場にはどのような影響が出るのでしょうか。家具・インテリア領域における国内の主要ECプレイヤーの現状を、データからまとめてみました。

ECでの家具の購入が増加中

総務省の「家計消費状況調査」によると、2016年に伸びた商品ジャンルの1位は家具(前年比6.1%増)。また、通販新聞が昨年7月に発表した「第66回通販・通教売上高ランキング調査」によると、家具のネット通販分野の1位は、EC売上高170億円のニトリでした。家具・インテリア雑貨のECは成長著しいジャンルと言えます。

さて、新生活需要が伸びる3月、国内の家具・インテリア雑貨のサイト訪問者はどの程度だったのでしょうか。以下は、訪問者数の上位10サイトです。

1位 無印良品ネットストア 2位 ニトリネット 3位 アイリスプラザ 4位 LOFT 5位 イケア 6位 minne 7位 Creema 8位 ハンズネット 9位 カインズ 10位 RoomClip 訪問者数(推計)は該当サイトを訪問したユニークユーザー数。ヴァリューズ保有モニタでの出現率をもとに、国内ネット人口に即して推測
「家具・インテリア雑貨」のサイト訪問者数ランキング(2017年3月)

1位「無印良品ネットストア」、2位「家具・インテリア ニトリネット」のユーザー数が、他社を引き離している印象です。「イケア・ジャパン」は調査を実施した3月の時点ではECサイト本格展開前ながら、5位にランクイン。前月比も+21.4%と商戦期に好調に伸びている様子がうかがえます。

 注目すべきは6位「minne」、7位「Creemaなどのハンドメイドマーケット。大型家具の取り扱いは少ないものの、1人当たりの月間ページビュー数がこの2サイトは突出して高くなっており、小物収納や個性的な雑貨などの品揃えで、訪問頻度やサイト内の回遊率を高めていると考えられます。

 10位の「RoomClip」はECサイトではありませんが、個人が部屋のインテリア実例を共有できるメディアです。企業向けには記事広告やモニターキャンペーンなどのメニューが用意されており、イケアも過去に「2017イケアカタログ」のPR記事を出稿しています。

こうしたサイト以外でも、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手モールや、ベルメゾン、ディノスなどのカタログ通販サイトでも家具・インテリア雑貨は幅広く取り扱われています。今後、イケアの通販本格参入でユーザーの利用サイトがどのように変化するのか、注目したいところです。

イケア、無印、ニトリのユーザーとは?

次に、「イケア・ジャパン」「無印良品ネットストア」「家具・インテリア ニトリネット」の3サイトで、ユーザーの重複度合いを見てみましょう。

まず、2017年1月~3月の3か月間で、各サイトの訪問者数は下図のようになっており、無印良品とイケアでは約2倍の開きがあります。

イケア…2830000 無印ネットストア…6410000 ニトリネット…4780000
「イケア・ジャパン」「無印良品ネットストア」「ニトリネット」のサイト訪問者数(2017年1月~3月)

また、同期間でサイト間のユーザー併用率を集計してみました。

サイト間併用状況(併用率)イケアジャパン 併用なし 43.5% 無印良品ネットストア 併用なし65.8% ニトリネット 併用なし 53.8%
「イケア・ジャパン」「無印良品ネットストア」「ニトリネット」のサイト間併用状況(2017年1月~3月)

「無印良品ネットストア」は「併用なし」ユーザーが65.8%と3サイトの中では最も高く、イケアやニトリと見比べているユーザーよりも無印良品だけを閲覧しているユーザーの方が多くなっています

一方、「イケア・ジャパン」は「併用なし」ユーザーが43.5%と半数を切り、無印良品やニトリネットとの併用率が約4割近くにのぼっています。イケアのユーザーは無印良品やニトリのサイトも合わせて訪問し、商品を比較検討している行動がうかがえますが、今後イケアの通販サービスがユーザーに浸透してくると、イケアでも「併用なし」ユーザーが増える可能性が考えられます。

イケアとニトリの検索流入ワードの違いは?

 最後に、イケアとニトリについて、両オンラインストアの検索流入キーワードの違いからユーザーニーズを探ってみましょう。

2016年10月~2017年3月までの6か月間で、「イケア・ジャパン」と「ニトリネット」の各サイトへの検索流入キーワードをランキングにすると下図のようになりました。

イケアジャパンへの流入キーワード …IKEA、イケア、いけあ、IKEA港北、イケヤ、IKEA通販、IKEA店舗、IKEA大阪、IKEA立川、IKEA通販公式ニトリへの流入キーワード…ニトリ、NITORI、ニトリ通販、にとり、ニトリカーテン、ニトリベッド、ニトリソファ、ニトリ布団、ニトリカラーボックス、ニトリこたつ
「イケア・ジャパン」「ニトリネット」の検索流入キーワードランキング(2016年10月~2017年3月)

 両サイトとも「IKEA」「イケア」や「ニトリ」などのブランド名を含む検索が多く、認知度の高さ、ブランド指名で商品を探す検討行動が見られます。

イケアの場合、「IKEA 港北」「IKEA 店舗」「IKEA 大阪」など店舗に関する情報を求める検索が上位に入っている点が特徴的です。一方のニトリは、「ニトリ 通販」が3位に入り、5位以降は「カーテン」「ベッド」「ソファ」「布団」「カラーボックス」など具体的なアイテム名が多数ランクイン。具体的な商品の購入意欲がうかがえます

ただ、イケアも「IKEA 通販」が6位に入るほか、「IKEA 通販 公式」「イケア 通販」など通販ニーズの高さが垣間見えます。4月からの通販本格展開により、今後はアイテムに関連する検索流入も増加するでしょう。「ニトリネット」との集客の差を詰められるか、イケアのSEM施策にも注目したいところです。

分析概要

株式会社ヴァリューズが保有するモニター会員の協力により、ユーザー属性情報と実際のネット行動ログを用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使って、2017年3月の「家具・雑貨」ジャンルのサイト訪問者数、および検索キーワードを集計したものです。

※カテゴリはヴァリューズが独自に定義し、サイト訪問者数や検索流入数はPCからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニタでの出現率をもとに、国内ネット人口に則して推計しています。

星 妙佳

株式会社ヴァリューズ エグゼクティブプランナー

星 妙佳(ほし たえか)

株式会社ファーストリテイリング(現株式会社ユニクロ)にて、ECサイトの運営・プロモーションを担当し、UNIQLOモバイルサイトを立ち上げ、ウィメンズやキッズ部門の通販MD(商品開発)にも従事。

2006年より株式会社リクルートにて、ベビーアパレル・育児用品の通販サイト『赤すぐnet』の編集長を務めた後、リクルートの各事業のネットマーケティングを横断的に支援する部署にて、データ分析グループのGM(ゼネラルマネージャー)に着任。社内外のデータサイエンティストと共に、需要予測、レコメンドなどデータ分析の強みを生かした複数のプロジェクトをマネジメント。

2012年ヴァリューズに入社し、現在は広報・商品企画・データ分析など幅広く担当。2人の子供を持つワーキングマザーでもあり、リモートワークを含めた多様な働き方にもチャレンジ中。

星 妙佳

信頼するクチコミの情報源はどこ? 商品に関する評判の重要性は? 【消費者1000人調査】

8 years 7ヶ月 ago

買い物をする際、ネット上のクチコミを気にする消費者は全体の43.3%。情報源として最も信頼するのはAmazonや楽天などの商品ページ――。

インターネットリサーチ事業などを手がけるクリエイティブジャパンがこのほど公表した消費者意識調査によると、商品の評判やクチコミを調べる際の情報源としてECサイトの商品ページのレビューが最も信頼されていることがわかった。

調査対象1000人(男性682人、女性318人)の内、買い物をする際に評判やクチコミを「気にする」「どちらかといえば気にする」と回答した割合は合計43.3%。「どちらかと言えば気にしない」は13.0%、「気にしない」は34.7%だった。

クリエイティブジャパンがこのほど公表した消費者意識調査

買い物時の評判・クチコミについて気にするか否かについて

「気にしない」と回答した人を除く563人に、評判やクチコミをチェックする際に信頼する情報源を選択式・複数回答で聞いたところ、「Amazonや楽天などの商品ページ」と回答した割合は59.0%で最も多かった。

その他で信頼する情報源は「価格.comなどのレビューサイト」(53.1%)「実際にその商品を買った人の個人ブログ記事」(22.2%)「Yahoo!知恵袋などの質問サイト」(12.6%)「NAVERまとめなどのまとめ・キュレーションサイト」(10.5%)。

クリエイティブジャパンがこのほど公表した消費者意識調査、信頼できるクチコミ・評判の情報源

信頼できる評判・クチコミの情報源について

ECとリアル店舗ではクチコミの重要性が異なるようだ。ネットで買い物をする時にクチコミを気にする割合は85.2%だったが、店頭での買い物では38.1%にとどまっている。

クリエイティブジャパンがこのほど公表した消費者意識調査、評判・クチコミを気にするとき

ネットとリアルでの買い物に関し、評判・クチコミを気にする割合

欲しい商品の評判が非常に悪かった場合の対応として、「購入自体を見送る」と回答した人は43.0%。「他メーカーの同等品を検討する」は38.2%だった。

「それでも購入する」は4.1%で、ネット上の評判が悪いと大半の消費者は購入意欲を失う傾向が示された。

クチコミをチェックする理由として最も多かったのは「無駄遣いをしてしまわないようにちゃんと確認をしたいから」(60.9%)。「購入の背中を押してもらいたい」(27.2%)「家族などに購入の許可を得るための情報収集」(11.9%)を大きく引き離している。

クリエイティブジャパンがこのほど公表した消費者意識調査、クチコミ・評判を気にする商材について

評判・クチコミを気にする商材について

調査概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2017年3月9日~3月10日
  • 設問数:11問
  • サンプル数:1000人(男性682人、女性318人)

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

100か国超へ販売する越境ECのワンストップサポート、エフカフェが月額5万円から提供

8 years 7ヶ月 ago

EC運営支援サービスのエフカフェは5月9日から、越境ECに必要なサービスをワンストップで提供するグローバル越境ECサービス「One Door」を開始した。

中国の大手越境ECモール「天猫国際」「JD Worldwide」、米国の「Amazon.com」「eBay」に加え、エフカフェ独自の越境ECモール「ICHI」(中国語、英語)の計5モールに同時出品できるのが特徴。

越境EC運営で9年以上の実績を持つエフカフェが、その運営ノウハウを提供。商品登録・商品ページ制作・翻訳・決済・顧客対応・物流といった越境ECで課題となる業務の代行をワンストップで引き受ける。

商品販売者は商品と商品情報をエフカフェに提供するだけで、越境ECを展開できるようになる。

価格は月額5万円から、初期費用は20万円から。月額費用は月次運用、顧客対応、受発注対応などを含む。中国・英語圏を中心に100か国以上への越境ECをサポートする。

100か国超へ販売できる越境ECのワンストップサポート、エフカフェが月額5万円から提供

One Doorの仕組み

経済産業省が4月に発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2016年における日本から中国への越境EC規模は、前年比30.3%の1兆366億円。米国向けの越境ECは同14.4%増の6156億円だった。

日本から米国と中国向けにネット販売する越境ECの市場規模は、2020年に合計2兆9761億円となると経産省は予想している。

越境EC市場規模(2016 年) 経済産業省が4月24日に発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、日本から米国と中国向けにネット販売する越境ECの市場規模は、2020年に合計2兆9761億円となる見通し

越境EC市場規模(2016年、赤枠が日本から米国・中国への販売額)

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約11年。日々勉強中。

瀧川 正実

母の日ギフトをWeb接客で提案、店頭接客に近しいユーザー体験を花キューピットが実現

8 years 7ヶ月 ago

花関連のECサイト「インターネット花キューピット」を運営する花キューピットはこのほど、母の日ギフトの選択に悩む来訪者に対し、簡単な質問に答えるだけで贈る相手に合った母の日ギフトを提案する「母の日ギフトナビ」サービスを始めた。

店頭に近しいWeb接客サービスを行うことで、個別に最適化した接客を提供する。

「母の日ギフトナビ」は、贈る相手の好みを確認するための簡単な質問に答えるだけで、「エレガント系」「やっぱり王道系」「セットで満足系」など6種に相手を分類。それぞれの分類に合った母の日ギフトを提案するもの。

Web接客ツール「KARTE(カルテ)」(開発・販売はプレイド)を導入し、店頭接客に近しいユーザー体験を花キューピットが実現

訪問者は簡単な質問に答えるだけで商品の提案を受けることができる

ランキングや商品カテゴリ、予算別といった従来の商品紹介だけではなく、贈り相手のキャラクターに合わせる「贈られる人軸」で商品との出会いを設計するのが特徴。店頭での接客に近しいユーザー体験の提供につながるとしている。

Web接客ツール「KARTE(カルテ)」(開発・販売はプレイド)を導入し、店頭接客に近しいユーザー体験を花キューピットが実現

6種に相手を分類し、商品を提案する

今回の機能は、Web接客ツール「KARTE(カルテ)」(開発・販売はプレイド)の導入で実現した。

「KARTE」は、Webサイトに数行のコードを埋め込むだけで、来訪者の特徴や行動をリアルタイムに解析し可視化するWeb接客ツール。来訪者の行動履歴などさまざま情報を個人単位で蓄積し、1人ひとりに合わせた接客を自動で実行することができるようになる。

ゲーム要素や診断系コンテンツなど、来訪者に楽しんでもらいながらショッピングできる仕組みを、ECサイトにワンクリックで導入できる「KARTE」の機能を活用。母の日ギフトの選択に悩む来訪者に最適なギフトを提案するサービスの提供を始めた。

「KARTE」の導入企業数は2017年2月末時点で1430社。導入企業の59%(約840社)がECサイトで、直近1年間にEC領域で解析した総売上金額は約5000億円。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約11年。日々勉強中。

瀧川 正実

コインパーキングに宅配ロッカー、再配達削減に向けてオープン型「PUDO」を設置

8 years 7ヶ月 ago

全国1500か所以上にコインパーキングや月極駐車場を展開する日本パーキングは5月2日、埼玉・浦和駅前など4か所の大型立体駐車場に「宅配ロッカー」を設置した。

駐車場の利用者以外も荷物を受け取ることが可能。多様化する顧客のニーズに対応し、パーンキング事業のサービス向上を図る。

設置した宅配ロッカーは、ヤマト運輸の関連会社PackcityJapanが提供しているオープン型ロッカー「PUDO(プドー)」。

複数の配送会社が共同利用する「オープン型」のため、消費者はヤマト運輸以外の宅配事業者の荷物も受け取ることができる。

宅配ロッカーを設置した駐車場は「NPC24H浦和駅前パーキング」「NPC24H 大宮駅東口」「NPC24H南大沢駅前」「NPC24H若葉駅西口」の4か所。今後も時間貸し大型立体駐車場に宅配ロッカーの設置を進める予定。

コインパーキングに宅配ロッカー、オープン型「PUDO」を日本パーキングが設置

大宮駅東口パーキングの出入り口付近に設置した宅配便ロッカー

PackcityJapanは、「PUDO」の設置や維持、管理、運用などを手がけている。フランスの郵便機器製造会社ネオポストシッピングとヤマト運輸による合弁会社として2016年5月に設立された。出資比率はヤマト運輸が49%。

「PUDO」は首都圏や名古屋、大阪などで設置が広がっている。2022年までに全国の駅、百貨店、コンビニエンスストアなど5000か所に設置する計画。

政府がオープン型ロッカーの普及を後押し

近年、配送会社の人手不足が深刻化する中、不在による再配達の削減が課題になっている。国土交通省が2015年に取りまとめた報告書では、2015年時点で再配達の件数は約7億4000万個、宅配便の約2割にあたる。

再配達を減らすため、政府はオープン型ロッカーの設置費用の半額を補助する助成制度を2017年度に開始。同制度は2022年度までで、予算規模は約5億円。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

最も使われるECアプリは「Amazon」。女性は「楽天市場」男性は「アマゾン」が1位

8 years 7ヶ月 ago

国内の消費者が最も多く利用するECアプリは「Amazon」。女性に限ると「楽天市場」が1位に――。

視聴行動分析サービスを提供するニールセンデジタルがこのほど公表した、日本におけるEコマース利用状況調査で、国内におけるECアプリの利用者数が明らかになった。

2017年3月度におけるECアプリの利用者数トップ3は「Amazon」「楽天市場」「メルカリ」。アプリの利用者数は「Amazon」が1753万人(男性934万人、女性819万人)、「楽天市場」が1677万人(男性687万人、女性990万人)、メルカリは1132万人(男性397万人、女性735万人)。

ニールセン 「Eコマース」サービスの男女別の利用状況を発表 EコマースアプリTop3は1位がアマゾン、2位は楽天市場

eコマースアプリTOP3の利用者数

男女別の利用者数をみると、女性は「楽天市場」が最も多く、男性は「Amazon」が最も多い。3位の「メルカリ」は女性の利用者数が男性の約1.9倍に達しており、性別による利用者数の違いが際立っている。

上位3サービスのうち「1つのサービスしか利用していない女性」は59%(1006万人)。「楽天市場」のみを利用している女性は24%、「Amazon」のみと「メルカリ」だけの利用者はそれぞれ18%だった。

ニールセン 「Eコマース」サービスの男女別の利用状況を発表 利用状況を性別に見た場合の重複利用について

性別ごのeコマースアプリ上位3サイトの重複利用状況

「1つのサービスしか利用していない男性」は64%(921万人)。「Amazon」のみを利用している人が33%で最も多い。「楽天市場」だけを利用しているのは22%、「メルカリ」のみは10%。

スマートフォンからの「Eコマース」利用者数は女性が2815万人、男性は2640万人。

デバイス別のEC利用状況をみると「利用者数」と「利用回数」は男女ともにスマートフォンがパソコンを大きく上回っている。ただし、男性の「利用時間」はパソコンの方がスマートフォンよりも長い。

ニールセン 「Eコマース」サービスの男女別の利用状況を発表 

性別やスクリーンごとeコマースカテゴリーの利用状況

調査概要

スマートフォン視聴率情報「Nielsen Mobile NetView(ニールセン モバイル ネットビュー)」、PC版インターネット視聴率情報「Nielsen NetView(ニールセン ネットビュー)」のデータをもとに、2017年3月の日本における「Eコマース」の男女別の利用状況を集計。

「Nielsen Mobile NetView」は全国8000人(iOS、Android各4000人)の調査協力モニターから取得するアクセスログ情報を元に作成。「Nielsen NetView」は全国で4万人以上のオンライン視聴者パネルを構築し、データを収集している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

アマゾンはどう出る? 拡大するAmazonマーケットプレイス詐欺【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

8 years 7ヶ月 ago

Amazonのマーケットプレイス詐欺が止まりません。アカウントの乗っ取りも増えていますし、Amazonの対応が待たれるところです。すぐに買えるのがAmazonの良いところなのに、信頼性を確認するというステップが入るだけでストレスがたまります。

安すぎる商品に注意!

深刻化するAmazonマーケットプレース詐欺、任天堂Switchを2200円で販売も対応せず | TechWave
http://techwave.jp/archives/amazon-marketplace-scam.html

続・深刻化するAmazonマーケットプレース詐欺、自社製品を偽出品され販売停止という被害も | TechWave
http://techwave.jp/archives/post-26945.html

怪しい出品にご注意を、Amazonマーケットプレイスで販売者を確認する方法 | THE PAGE
https://thepage.jp/detail/20170427-00000005-wordleaf

まとめると、

  • 4月の中旬から激安商品などを注文しても届かないなどの被害が出始めた
  • 購入者の金銭的被害は補償されるが、アカウントを乗っ取られるなどの被害が発生している
  • これに対してAmazonは「価格について確認したい場合は注文前に出品者へお問い合わせください」としている

Amazonは、Amazonマーケットプレイスに参加する販売者について、参加時の与信審査、不正取引の監視と必要なペナルティによって“Amazonに参加しているのは信頼できる販売者だ”という担保を徹底すべきであり、また商品の販売者が個人である場合には消費者に対してそれをわかりやすく表示し注意を促すべきだと言えます。商品の販売者がAmazonマーケットプレイスの参加者であったとしても、消費者はAmazonのブランドを信頼して商品をカートに入れ、決済をしているのです。そのブランドが追うべき責任は大きいのではないでしょうか。

THE PAGE

私の周りでも被害にあった人がちらほらいます。自分が買う時も出品者の評価や会社の所在地、過去の評価を確認したりと慎重になっています。

これに対してAmazonは沈黙を守っていますが、何かしらの対応を発表すべきではないのでしょうか?関連記事のセラーフォーラムもご覧ください。

関連記事

ネット通販市場は引き続き拡大。競合がどんどん増えています

【2016年】ネット通販市場は15.1兆円、EC化率は5.4%、スマホEC市場は2.5兆円 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/4256

電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました~国内BtoC-EC市場が15兆円を突破。中国向け越境EC市場も1兆円を突破~ | 経済産業省
http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001.html

まとめると、

  • 2016年の消費者向けEC市場規模は前年比9.9%増の15兆1358億円
  • ECの浸透度合を示す指標であるEC化率は、5.43%まで上昇
  • 物販分野におけるスマートフォン規模は2兆5559億円で比率は31.9%

2016年の物販系分野のEC化率は5.43%と初の5%超えとなった。しかしながら、米国のEC化率は約7%であり、近年ECの市場規模拡大が著しい中国のEC化率は既に15%を超えている。したがって、我が国におけるBtoC-EC市場はまだ飽和しておらず、伸びしろを残しているものと推測される。

市場は拡大、配送はパンク。この状況はまだまだ続きそうです。経産省の資料はかなり詳細なので必ず確認しておきましょう。

仕入れが発生する人は読むべき記事

【CRMの輪郭】ファクトリエが紡ぐ、消費者と生産者の至極の関係 | SynergyMarketing
https://www.synergy-marketing.co.jp/blog/ultimate-relationship-consumers-and-manufacturer-factelier

まとめると、

  • ファクトリエでは製品の流通をシンプルにすることと、価格の決定権を工場が持つことで工場と良好な関係を続けている
  • 送料無料やセールを行わないことで、品質の低下や結果的にユーザーにコストが転嫁されることを防ぐ
  • 数値目標はほとんどなく、製品へのこだわりやストーリーがお客様にいかに伝わっているか、きちんと伝わっているかを重視

企業として利益を求めるのはもちろん大切なこと。ただ、私たちは利益を追求することを第一に考えていません。繰り返しになりますが、まずは良いものづくりをして、それをお客様に伝え、届けること。この3つの工程に対して徹底的に考え抜くことを大切にしています。

─ライフスタイルアクセント株式会社 深澤大気氏

文字にするとこれだけなのですが、実際にやろうとすると大変なのは間違いないです。他社ができないことをやっているからこそ、続いているし伸びているんでしょうね。ネットでも大切なのは人と人とのつながりだと再認識したいですね。

関連記事

EC全般

ヤフー宮坂社長が語るYahoo!ショッピング「今後の戦略」と「2016年度の振り返り」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/4267

どこでも買えるのならちょっとでもお得なところで。ここまでされたらYahoo!で買っちゃいますよね。

ASPカート「カラーミーショップ」、楽天ポイントが貯まって使える「楽天ペイ」をオプションで提供開始 | ECzine
http://eczine.jp/news/detail/4542

ASPカート「MakeShop」、楽天ポイントが貯まって使える「楽天ペイ」をオプションで提供開始 | ECzine
http://eczine.jp/news/detail/4541

じわじわ広がっている楽天ペイ。モール以外の自社ショップでも導入店舗が増えているようです。

わからなくてもまだ間に合う!最も簡単な「楽天https化(SSL化)」手順まとめ | コマースデザイン
http://www.commerce-design.net/blog-staff/170428-rakutenhttps/

これは脱落するお店が続出しそうですね……。独自ドメインのショップの場合も対応したいところです。

効果が出るECサイトでのone to oneリテンション施策7つの方法 | xross data BLOGS
https://www.xdata.jp/blogs/cartdrop/one-to-one.html

お気に入り登録でプッシュするのは良いですよね。「何をしてくれたらうれしいか」を考えて通知を。送りすぎはダメです。

Cart が5月22日にサービスの終了を発表 | Kick Switch
http://kick-switch.com/ec/cart_end/

競合が強すぎたのでしょうか……。残念です。

テーマパークに SEO 提案をさせる理由(SEO新人担当者向け) | SEMリサーチ
http://www.sem-r.com/news-2015/20170424203440.html

これはSEOだけに限らない話です。集客施策を考える時はここに書かれているような流れで。

今週の名言

たいしたアドバイスはできなかったにしても、電話で応対し始めた時と、電話を切る直前では声のトーンが明るく変わっていたように思います。

捨てようと思っていたものが「良いもの」に見えてくる時 | 暮らしの彩り日記
http://blog.shikki-life.com/20170425/

ネットショップにかかってくる電話って面倒なものも多いですが、相手が喜んでくれればそれが地道な販促活動になっているはずです。コストだとは思わずに接客していきましょう。

森野 誠之

運営堂

運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジションを活かしてWeb制作や広告にこだわらず、柔軟で客観的な改善提案を行っている。理系思考&辛口の姿勢とは裏腹に皿洗いを趣味にする二児のパパ。

森野 誠之

ECは最新テクノロジーでどう変わる? 決済、AI、リアル戦略など米国ECの今とこれから | 最新の米国EC事例から読み解く日本のECの未来

8 years 7ヶ月 ago

ECテクノロジーやマーケティングは日本の先を行くと言われる米国のネット通販市場。日本でも注目を集めているAI(人工知能)、会話型ECについて、米国のEC企業らはどう捉えているのか? 決済ビジネスの進化は消費者の買い物行動にどんな変化をもたらすのか? 店舗とECの関係性はどうあるべきなのか? こんなテーマで米国の最新ECトレンドをご紹介します。

AIを使ったカンバセーショナルコマース、会話型ECは「手探り状態」

日本でも話題になりつつあるのが会話を通じたオンラインショッピング。アメリカではConversational Commerce(カンバセーショナルコマース)と呼ばれていて、日本ではチャットなどを活用した「会話型EC」という名称が一般的でしょうか。

「Shoptalk」(AppleやAmazonなどの企業が登壇する小売業向けの大規模カンファレンス)では、AI(人工知能)やカンバセーショナルコマースについてのセッションで、「チャットを経由した際、商品購入のコンバージョン率は5倍高い」といった発言がありました。

AIを活用したチャットボットや、小売業でのAI活用などの事例が日本でも華々しく聞こえてきます。しかし、現地で感じたのはまだまだ手探り状態であるということ。業界全体が試行錯誤している様子でした。

ただ、AIやカンバセーショナルコマースの仕組みを導入する大手企業は増え続けているため、無視することはできないテーマになっています。セッション内では日本の大手アパレルの名前を明らかにし、AIを導入した取り組みが始まっていると説明されていました。

こうしたテクノロジーは、活用方法が一度定まると一気に広まりますよね。データの蓄積が何よりも重要なAI分野で、先行者利益を獲得する企業も出てくることでしょう。

アメリカでも手探り状態の会話型ECですが、AIといった最新テクノロジーを利用しない、つまり“人対人”のカンバセーショナルコマースで、顧客を伸ばしている成功事例が紹介されていました。

ファッションコーディネートをチャットでのやり取りだけで提案する「スタイリストサービス」は、顧客獲得に成功と説明されていました。忙しいエグゼクティブ層から高い支持を受けているようです(実は3年前にもアメリカでこの取り組みについての発表を聞いたことがあります)。

AIなど最新テクノロジーを使ったカンバセーショナルコマースが日本で浸透するのはまだまだ先かもしれませんが、コミュニケーションを通じた新しい販売手法自体は、日本でも増えていくかもしれません。

実際、私の所属会社で提供しているECプラットフォーム「FutureShop2」の導入企業では、LINE@を使ってファッションのアドバイスを1人ひとりに行っている店舗さまがいます。また、LINEの「Official Web App」オプションを導入することで、顧客とコミュニケーションを通じてファンとのつながりを強化する店舗さまも増えています。

今後、会話型ECが日本でどのような展開を見せるのかはまだ未知数ですが、顧客接点としてLINEのようなメッセージングアプリがECでも活用の幅を広めていくのは間違いないでしょう。

新しいショッピングの形を示した「Google Home」

対話型のAIの活用事例では、音声認識デバイスの「Google Home」(グーグルホーム:会話型AIのGoogle アシスタントを搭載したスマートホーム機器)が実際に稼働しているところを初めて見ました。

デモでは「今晩のパーティーで必要なベロアのオペラシューズを探している」という条件で話しかけたものの、会場が満員御礼のためか、「インターネット接続がありません」と何度も音声で返されてザワつく場面も。

ECは最新のテクノロジーでどう変わる? 決済の未来、AI、リアル戦略など米国EC最前線 AI活用事例で、音声認識デバイスの「Google Home」との会話が披露
AI活用事例で、音声認識デバイスの「Google Home」との会話が披露されました

無事に接続できた「Google Home」が音声で返した答えは「ここから何マイル先にあるデパートで●●ドル、何マイル先のデパートでは△△ドル」など、複数の選択肢を提案していました。

「すぐに必要なのか」それとも「安く手に入れたいのか」など、考えられる状況を先回りして分析コンシェルジュのように気の利いた回答をするなぁと感じました。

「Google Home」は、在庫の有無、現在地からの距離、配達などの手に入れやすさ、価格の安さなど、さまざまな条件で商品を探してくれるそうです。今後、情報入力や検索のあり方が変わっていくのか? こんなことを感じました。

ちなみに、「Google Home」にはコマース機能が2017年2月に追加されました。スマートフォンにダウンロードした「Google Home」のアプリ(iOS・アンドロイド対応)を開き、設定画面でクレジットカード情報と配送先を入力すると、すぐに買い物をすることができるようになるそうです。

ネットショップ担当者フォーラムの記事によると、Bed Bath & Beyond(インターネットリテイラー社発行「全米EC事業 トップ500社 2016年版」第67位)、PetSmart(第340位)、Costco Wholesale(第8位)など、すでに50社以上の小売業者が「Google Home」を通じた商品販売を始めているそうです。

ECは最新のテクノロジーでどう変わる? 決済の未来、AI、リアル戦略など米国EC最前線 Googleのブログでは、「Google Home」に話しかけるだけで買い物ができると説明されている
Googleのブログでは、「Google Home」に話しかけるだけで買い物ができると説明されています

「チェックアウト」が重要ではなくなる日

決済分野のFintech(フィンテック)も重要なテーマです。さまざまなペイメントサービスがひしめき合っているアメリカですが、今回のイベントでは、「Amazon Pay」(Amazonのアカウント情報を使って配送先指定やクレジットカード決済などができるサービス)「AliPay」(アリババグループの決済サービス)「Samsung Pay」(サムスンが提供する決済サービス)「Android Pay」(Googleが提供する決済サービス)を提供する4社の責任者が登壇するという豪華なディスカッションが行われました。

余談ですが、「Apple Pay」(アップルが提供する決済サービス)は別セッションで登壇していました。「どうせなら同じ場で意見を聞いてみたかった」というのが参加メンバーの共通認識。

ECは最新のテクノロジーでどう変わる? 決済の未来、AI、リアル戦略など米国EC最前線 「Amazon Pay」「AliPay」「Samsung Pay」「Android Pay」を提供する4社がディスカッション
「Amazon Pay」「AliPay」「Samsung Pay」「Android Pay」を提供する4社が登壇

このパネルで最も印象的だったのが、Amazon Pay責任者が話した次の言葉。

In time, idea of checkout will fade. Moment of truth is the check in.(やがては、決済などの「チェックアウトする」という考えは薄れていくだろう。お客さまがその企業を判断する真実の瞬間は「チェックイン」だ)

このセッションで重要な言葉だと思ったので私なりの考えを説明します。買い物をする際、「これを買おうと決めた」「次もここに来よう」と思う瞬間があるでしょう。そのタイミングを英語で「Moment of truth」と言ったりします。顧客接点は今まで会計をする時でしたが、将来的には実店舗やECへの来店時に変わっていく――こんなお話だと私は理解しました。

「何を探しているのか」「どのような接客スタイルが好みなのか」など、企業側は来店時に消費者を理解することで、顧客に合った接客ができるようになり、競合他社と差別化できる顧客体験を提供できるようになる。または、店舗運営の省力化が図れる……そんなシナリオが描かれているのかもしれません。

また、Amazonといえば2016年にテストオープンした「Amazon Go」が話題ですよね。「Amazon Go」のテクノロジーについて、ネットショップ担当者フォーラムの記事は次のように記載しています。

「Amazon Go」はその場でお金を支払う必要がありません。この技術は、自動運転と同じ、「コンピュータービジョン」(Computer Vision)「センサーフュージョン」(Sensor Fusion)「ディープラーニング」(Deep Learning)を使っている。「(モノを)取ってから(そのまま)出る」(Just-Walk-Out)技術は、商品がピックアップされたり戻されたことを自動的に認識し、消費者のバーチャルショッピングカートにデータを渡している。

こうしたことを踏まえると、Amazonが提供する決済ビジネスの将来像がわずかながら垣間見ることができました。

「Amazon Go」に搭載されている技術について紹介している動画(編集部が追加)

データ活用の波が実店舗などのリアルな世界にも

「Shoptalk2017」のトピックはいろいろありましたが、大きな共通意識としては「テクノロジーや自社が持っているデータをいかにして経営に役立てるか」ということ。今回登壇された企業の方々の発言からも、こうした課題解決の方向性を感じました。そのキーワードは2つ。「データ活用」と「Connected Commerce(コネクティッド・コマース)」です。

データ活用

ECなどのデジタルな世界は、収集したデータを活用できることが大きなメリットになります。たとえば、顧客を条件分けした上で販促施策を実施することで、「どの層に」「どのような効果があったのか」「またはなかったのか」を知ることができます。

その結果を元に、より良い顧客体験を提供できるように改善していくことが、デジタルな世界でのデータの持つ価値でしょう。

アメリカではデータ活用の流れが実店舗にもやって来るであろうという兆しを感じました。実店舗でも顧客の購買プロセスや購入後のさまざまな行動が徐々に可視化され、データとして取得・活用されてきています。実際にそういったツールの展示、事例が紹介されていました。

例として、上質な家具を販売するcrate&barrelは、店内での接客にiPadを利用。接客相手が誰かを特定しながら、「個客」として対応。パーソナライズされた接客を行っているそうです。

実は3年前も似たような取り組みとして、ラグジュアリーブランドの事例が紹介されましたが、その時は参加者もまばらで「まだまだ先の話かな…」という反応でした。ですが、今回は多くの参加者が「店舗のデータ活用」へ熱心に耳を傾けている姿を目にしました。

Connected Commerce

何度も耳にしたのが「Connected Commerce」。テクノロジーやデータを資産として捉え、それをフルに活用しながらECや実店舗など、顧客接点の全てが一体となって顧客起点の経営の実現に向かうことを意味しているのだと思います。

以前はECが成長すると実店舗の売上は下がると予想されていたが、ECの成長に伴い実店舗も同じく成長している

これは今回のカンファレンスで言及された実店舗とECの関係性についてのお話の一部。「実店舗 vs EC」ではなく、「実店舗 × EC」の相乗効果が売り上げなどの業績に大きく寄与することが示されました。

ECは最新のテクノロジーでどう変わる? 決済の未来、AI、リアル戦略など米国EC最前線 店舗販売を行う会社(Brick & Mortar)とEC(ONLINE)は、その相乗効果が業績アップに寄与する
店舗販売を行う会社(Brick & Mortar)とEC(ONLINE)は、その相乗効果が業績アップに寄与すると示された図

今後も「Connected Commerce」の考え方を軸に、テクノロジーやデータの活用がさらに進化し、顧客の気持ちをつかんで離さない取り組みが小売業で実現されることでしょう。

野間 和知

株式会社フューチャーショップ 事業戦略部

野間 和知(のま・かずとも)

株式会社フューチャーショップ 事業戦略部

大阪府出身。早稲田大学人間科学部卒業後、通信会社に勤務。その後、クラウドブーム直前のデータセンタ事業者でサービス企画や政府に対する提案資料作成などを担当。

1年間台湾で過ごした後、2012年7月に株式会社フューチャーショップへ入社。マーケティングや広報、データ活用を担当。「いいコマースとは何か?」を考えるブログ「ヒトテクラボ」の運営も行っている。

野間 和知

ネット通販にも「マストドン」を活用、ナチュラムが「ナチュドン」をスタート

8 years 7ヶ月 ago

アウトドア用品・釣り具のネット通販大手ナチュラム・イーコマースは、新型SNS「Mastodon(マストドン)」を使ったアウトドア専門のコミュニティ「ナチュドン」を立ち上げた。

ナチュラム・イーコマースによると「あなたの近くに。自由で密なアウトドアコミュニティ」をコンセプトとしアウトドア好きの方が楽しめる交流の場を目指してゆきます!」という。

「マストドン」はミニブログサービスを提供するためのフリーソフトウェア。「商用プラットフォームの代替となる分散型を採用し、やり取りが1つの会社によって独占されるのを防ぐ」(ナチュラム・イーコマース)という。

1つの投稿は500文字まで利用可能で、GIFVや短い動画にも対応しているのが特徴。

ネット通販にも「マストドン」を活用、ナチュラムが「ナチュドン」をスタート

「Mastodon」を使ったアウトドア専門のコミュニティ「ナチュドン」(画像は編集部がキャプチャ)

ナチュラム・イーコマースは前身のナチュラム時代の2000年前後から、ネット通販にコミュニティを活用するビジネスに取り組んでいる。

運営するブログポータルサイト「blog@naturum」は、釣りやアウトドアユーザーが同サイト上で自由にブログを開設し運営できるもの。ブログ経由で商品が購入されると、執筆者にポイントを付与するといった自社アフィリエイトプログラムなどを採用している。

2015年8月現在のデータによると、月間PVは2500万、ユニークユーザ数は310万。

フィッシングやアウトドア関連のユーザーは情報を共有したり、出会いを求める人が多い。こうしたユーザー特性を「ナチュドン」でも活用し、ネット通販ビジネスに生かしていく。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約11年。日々勉強中。

瀧川 正実

日本郵便が国際スピード郵便(EMS)包装材を8月から有料化へ

8 years 7ヶ月 ago

日本郵便は7月31日までに、国際スピード郵便(EMS)包装材の無料配布を終了すると発表した。8月1日から有料EMS包装材の販売を開始するとしている。

新たに販売する封筒などのEMS包装材の販売価格は50~70円。海外向けにネット通販を行っている越境ECのコスト増につながりそうだ。

無料配布が終了するのは「封筒パック」「封筒 L」「封筒 M」「封筒 S」「クッション付き封筒」の5種類。在庫がなくなり次第、順次配布を終了するという。

8月1日から販売するEMS包装材は2サイズに集約する。「EMS 封筒」の販売価格は50円。サイズ・仕様は封筒パックと同様。「EMS 封筒(マチ付)」は70円で、封筒Lと同様。

日本郵便は2016年10月、越境ECで販売する商品の配送をメインターゲットにした「国際eパケットライト」をスタート。EMSよりも低額料金で利用できるサービスとして展開している。

日本郵便が国際スピード郵便(EMS)包装材を8月から有料化へ

EMS包装材の有料化に関するお知らせ(画像は編集部がキャプチャ)

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約11年。日々勉強中。

瀧川 正実

ニッセンHDがジュエリー子会社2社を売却、「選択と集中」進める

8 years 7ヶ月 ago

ニッセンホールディングスは4月28日、ジュエリー事業を手掛ける100%子会社2社を売却した。業績の立て直しを図るため、事業の選択と集中を進める。

売却した子会社は、ブライダルジェリーなどを全国11店舗で販売しているトレセンテと、ダイヤモンドの輸入やジュエリーの製造販売を手掛けるオリエンタルダイヤモンドの2社。

トレセンテの全株式をアパレルECの夢展望に売却。オリエンタルダイヤモンド株は、事業再構築支援や動産担保融資などを行うゴードン・ブラザーズ・ジャパンに売却した。

夢展望はトレセンテとのシナジー見込む

夢展望はWeb広告やECサイト運営のノウハウを活用し、トレセンテの集客構造を改善して顧客数の増大と売上向上を図る。夢展望グループの会員顧客約160万人の中には未婚者の割合が高いことから、顧客基盤を生かしてトレセンテとのシナジーも見込めるとしている。

トレセンテの2017年2月期における売上高は、前期比2.7%増の12億8100万円。少なくとも直近3期は最終赤字を計上しており、2017年2月期末時点で債務超過。夢展望によるトレセンテ株式の取得価額は1円で、アドバイザリー費用は約1900万円だった。

ニッセン・ホールディングスはトレセンテの全株式をアパレルECの夢展望に売却

トレセンテは少なくとも直近3年は最終赤字を計上している(画像は編集部がキャプチャ)

オリエンタルダイヤの売却先はゴードン・ブラザーズ

ゴードン・ブラザーズ・ジャパンは宝飾品事業のノウハウをオリエンタルダイヤモンドに注入し、中長期的な視点でオリエンタルダイヤモンドの企業価値の向上を図る。

国内におけるブライダルジェリーの営業協力や在庫買取、動産担保融資などのファイナンス支援の知見を生かす。グローバルネットワークを活用し、海外への事業展開もサポートする。

ニッセン・ホールディングスは子会社のオリエンタルダイヤモンド株を、事業再構築支援や動産担保融資などを行うゴードン・ブラザーズ・ジャパンに売却

ゴードン・ブラザーズ・ジャパンがオリエンタルダイヤの事業を譲受した(画像は編集部がキャプチャ)

ニッセンHDの業績、今期は大幅改善の見通し

セブン&アイ・ホールディングスの2017年2月期連結決算によると、ニッセンHDの事業である通信販売事業は、営業収益が1392億2600万円(前年同期比12.3%減)、営業損失は150億円9700万円だった(決算期を12月20日から2月末に変更したことにより、14か月決算となる)。

セブン&アイは今期(2018年2月期)から事業セグメントを変更し、赤ちゃん本舗やロフトなどを含む専門店事業を新設。通信販売事業は、専門店事業にセグメントされる。

専門店事業の今期営業損失は17億円を予想。新セグメントで2017年2月期業績を見てみると、専門店事業の営業損失は112億円となる。ニッセンHDの赤字が足を引っ張っている状況だが、今期は大幅に改善される見通しを示している。

ニッセンHDは従来の総合カタログ媒体を見直し、ネット誘導を目的とした新たな紙媒体活用モデルへのシフトを推進。4月6日には新規事業としてファッションECモール「Alinoma (アリノマ)」をグランドオープンしている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

運賃140円以上値上げ、ヤマト運輸の宅配サービスの見直しが通販に与える影響は?

8 years 7ヶ月 ago

ヤマト運輸が宅急事業を抜本的に見直す。

宅配便運賃の値上げや取扱荷物の総量コントロール、社員の労働環境の改善などに着手。宅急便取扱数量の増加と労働需給の逼迫により、ドライバー不足や収益性の低下が深刻化していることを受け、事業モデルを再設計する。

持続的な成長と収益力強化を図るため、「2017年度 デリバリー事業の構造改革」を4月28日に公表。構造改革の中で特に通販事業者への影響が予想されるのは次の5つの項目。

  1. 基本運賃を荷物のサイズに応じて1個あたり140〜180円値上げ
  2. 通販大手など大口顧客に対して、荷物取扱量の調整や運賃改定を9月までに実施
  3. オープン型宅配ロッカーを前倒しで導入し、サービスを拡充
  4.  配達時間指定や当日再配達の受付時間を見直し
  5. クロネコメンバーズのサービス拡充

基本運賃を荷物のサイズに応じて1個あたり140〜180円値上げ

宅急便の基本運賃(税抜き価格)を、今年9月末までにサイズに応じて下記のとおり改定する。

  • 60-80サイズ:現行の運賃に一律140円を加算
  • 100-120サイズ: 現行の運賃に一律160円を加算
  • 140-160サイズ: 現行の運賃に一律180円を加算

通販大手など大口顧客に対して、荷物量調整や運賃改定を実施

荷物の急増による社員への負担増を回避するため、現状の体制に見合った水準に宅急便の総量をコントロールする。

年間の宅急便取扱量の約9割を占める法人顧客のうち、約半数を占める大口顧客に対し、集配効率の向上や再配達の削減に向けた取り組みを9月末までに実施する計画。

具体的には、「繁忙期の出荷調整」「届け先への複数の荷物をまとめて配達する仕組みの構築」「クロネコメンバーズとのデータ連携による届け先への事前通知」などへの協力を要請する。

法人顧客に対する運賃契約ルールの統一化も進める。契約運賃の決定プロセスを精緻化・均一化するため、出荷量だけでなく、届け先やサイズ、集荷方法、燃料費、時給単価の変動といった外部環境の変化によるコストの変動などを踏まえた、新たな価格決定メカニズムの構築をめざす。

オープン型宅配ロッカーの前倒し導入とサービス拡充

2017年6月からeコマースでの購入時の届け先として、オープン型宅配ロッカーを直接指定できるようにする。

2018年3月までに、1都3県を中心に約3000台のオープン型宅配ロッカーを設置する計画。

配達時間指定や当日再配達の受付時間を見直し

4月24日から当日再配達の受付時間を20時から19時に1時間繰り上げた。

6月19日からは配達時間の指定枠を見直し、「20時-21時」を「19時-21時」の2時間枠に変更。また、配送ドライバーが昼休憩をしっかりと取れるよう「12時-14時」の枠を廃止する。

クロネコメンバーズのサービス拡充

クロネコメンバーズへの会員登録の手順を簡略化することで、荷物の受取日時を変更できる「お届け予定Eメール」の利用を促進するなど、デジタルコミュニケーションサービスの拡充を通じて宅配サービスの利便性を高める。

今後、都市部を中心にオープン型宅配ロッカーの整備やコンビニエンスストアへの配送、投函型サービス、営業時間外の配送ニーズなどに特化したネットワークの構築など、新たなラストワンマイルネットワーク・オペレーションの設計を試行する。

中期的な成長戦略の具体案については、2017年9月に発表予定の「ヤマトグループ中期経営計画」の中で公表する。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章
確認済み
19 分 35 秒 ago
ネットショップ担当者フォーラム フィード を購読

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る