ネットショップ担当者フォーラム

ECサイト構築・制作・運用支援の“ECのプロ集団”、「メルカート」を提供するecbeingグループ「エートゥジェイ」とは?

4 years 8ヶ月 ago
「メルカート」が選ばれる理由、ecbeingグループの強みとは? エートゥジェイの飯澤満育代表取締役社長へのインタビュー
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「ECを本格的に始めたい」「EC事業を強化するのでリプレイスなどを考えている」といった時に重要になるのがECプラットフォーム。数あるサービスのなかから何を選べばいいのか?

ecbeing傘下のエートゥジェイ(AtoJ)が提供するクラウドECプラットフォーム「メルカート」は、大手・中堅など1300社超の導入実績がある「ecbeing」の成功実績と運用ノウハウを凝縮。サイト構築といった立ち上げから、サイト制作、運用まで幅広く導入企業をサポートする。数あるECプラットフォームから「メルカート」が選ばれる理由、ecbeingグループならではの強みなどをエートゥジェイの飯澤満育代表取締役社長に聞いた。写真◎吉田 浩章

ECサイト運営を軌道に乗せるためのセオリー

ECの顧客基盤やトラフィック数が少ない段階では、「時間と費用をかけてサイトを構築するよりもスピードを重視し、まずは何よりオープンさせること。そして、日々の運用のなかで、PDCAの循環を軌道に乗せることが最優先事項になります」と飯澤社長は言う。

なぜなら、規模が小さいうちから機能やデザインにこだわるとコスト過多になり、集客などECサイト運用に回すための資金が枯渇してしまう恐れがあるからだ。

数々のECサイトを構築・運用支援を手がけてきた飯澤社長は、新規でECサイトを立ち上げる場合は、まずは小さくスタートし、自社の強みを探りながら進めていくことが、成果を生み出すと指摘する。

まずはベーシックな形から始めて、EC運用の“イロハ”を習熟することが大切です。その過程で、“自社の勝負所”が見えてきたら一気にアクセルを踏んで、事業を拡大していきましょう。勝負できるポイントは、ギフトなのか、ポイントなのか、もしくはプロモーションの仕方なのか。小さく始めて、大きく伸ばす。この2段階で進めることが、EC運営をいち早く軌道に乗せるセオリーだと考えています。(飯澤社長)

エートゥジェイの飯澤満育代表取締役社長
エートゥジェイの飯澤満育代表取締役社長

「ECのプロフェッショナル集団」が開発から運用までをサポート

エートゥジェイの「メルカート」は、12年連続で業界シェアナンバーワン(※)を誇るECサイト構築パッケージ「ecbeing」の成功実績をベースに開発したクラウドECプラットフォーム。

※『富士マーケティング・レポート 2019年 ECソリューション市場占有率』(富士キメラ総研)

「メルカート」の主な特徴
「メルカート」の主な特徴

ECパッケージまでの自由度は必要ないものの、ある程度の柔軟性を維持しながら、低コストでのECサイト運営を実現したいといったニーズを抱える事業者向けとなる。事業規模が拡大し、ユーザーニーズに合わせた自由度を実装したい場合は、「ecbeing」へのスムーズな乗り換え環境も用意している。

豊富なフロント機能を標準搭載するメルカート
豊富なフロント機能を標準搭載

過去実績に基づいた「勝ちパターン」のテンプレートを6種類用意。“売れるノウハウ”が凝縮されたデザインテンプレートを利用してECサイトをオープンできる。業種や商材ごとに適したデザインを選べる仕組みとし、色の掛け合わせやバナーの配置などでECサイトのオリジナリティーも担保する。

豊富なバックオフィス機能も標準搭載しているメルカート
豊富なバックオフィス機能も標準搭載している

クラウドで提供しているため、多様化が進む決済手段やマーケティング機能など、市場トレンドや導入企業の声を反映したバージョンアップが随時無償かつ自動で行われる。導入企業側の負担は一切ないまま、トレンドをキャッチアップした最新機能が追加される製品開発力は強みの1つだ。

優れたカートシステムを提供している企業はたくさんありますが、エートゥジェイは単なるデベロッパーではありません。EC事業者としてIPOしたソフトクリエイトグループ(ソフトクリエイトホールディングスが持株会社)の一員として、ECに特化したサービスを提供する“ECのプロフェッショナル集団”です。

ECを熟知した私たちが開発したシステムに加え、1300社を超える支援実績で培った運用ノウハウを提供しているので、多くの導入企業がスピード感を持ってEC事業を軌道に乗せられます。(飯澤社長)

特にコロナ禍において、実店舗での販売不振などからオンラインに活路を見出しECサイトの開設に踏み切るケースが増えている。「メルカート」は強力なサポートを含めて、数あるECシステムのなかでも圧倒的な速さでスタートを切れることが、事業者に選ばれる理由の1つという。

ノウハウが集約された管理画面も好評だ。

ecbeingグループのノウハウが集約されたメルカートの管理画面
グループのノウハウが集約された管理画面。BI機能、分析・集計機能、RFM分析分析、ABC分析、かご落ち分析、ABテスト分析、キャンペーン集計などの機能を標準搭載している

EC初心者の方でも、迷い無くEC運用ができるよう管理画面を設計しています。また、「メルカート」を導入いただく段階からエートゥジェイの担当者がEC運用の“イロハ”をお伝えしているので、成果を出しやすいのが特徴です。(飯澤社長)

メルカートの開発を手がけるエートゥジェイは、導入企業のパートナーという立場を重視し、マーケティング、プロモーション、分析、CRMなど多岐にわたる運用支援をオプションで提供。段階を踏んだ着実かつ迅速な成長に貢献している。

こうした手厚い運用支援により、ECに新規参入する事業者や、ECの売り上げが伸び悩んでいる事業者がメルカートに乗り換えるケースが増えているという。

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「規模拡大で自由度を高めたい!」に低コスト&柔軟に対応できるグループ体制

顧客基盤や事業規模の拡大で、必ずといっていいほど浮上するのがカスタマイズ需要。ASP型のカートを卒業し、ワンランク上のプラットフォームやパッケージなどに移行するケースが多い。自由度や柔軟性を高めるためにパッケージへ移行する際、「ecbeing」への乗り換えを検討する事業者も多く、「メルカート」導入から数か月での移行事例も少なくないという。

「メルカート」から「ecbeing」への移行は、同じグループだからこそ、費用や時間、また移行作業に関わるあらゆるストレスといった、「コスト」全般を大幅に削減できる強みがある。一般的に、ECを始めるときのカート導入コストより、事業拡大後のカート乗り換えコストの方が比にならないほど大きい。移行時には、費用面だけでなく、顧客管理情報などの膨大なデータを移管するための時間と手間がかかるからだ。

「メルカート」は、「ecbeing」を開発・運営するecbeingのグループ内サービス
「メルカート」は、「ecbeing」を開発・運営するecbeingのグループ内サービス

この点、「メルカート」と「ecbeing」はバックオフィス機能が同じ仕様のため、データの移管がシームレスに行える。また、「メルカート」を利用している段階から、乗り換えられる側(メルカート)の担当者と、乗り換え先(ecbeing)の担当者を交えてパッケージの要件定義が進められるため、スイッチング期間は、他社システムからの移行に比べて少なくとも半年以上は圧縮できるという。

カートの乗り換えと同時に、新しいベンダーや担当者との取引開始といった、心理的ハードルが下げられる点も評価されている。このほか、「ecbeing」のスタンダードな管理画面を「メルカート」が踏襲しているため、EC運用の現場担当者は移行直後からスムーズに操作でき、教育コストもほとんどかからない。

私たちは、「メルカート」から「ecbeing」への移行は喜ばしいことと捉えています。なぜなら、メルカートを導入した企業のEC事業が成長した証とも言えるからです。「メルカート」を卒業するときには顧客基盤も月次売上も大きくなっているので、スムーズな移行は売り上げにも直結する重要なポイントになります。(飯澤社長)

エートゥジェイの飯澤満育代表取締役社長
青山一丁目のオフィスで取材に応じる飯澤社長。AtoJという社名の由来は、米国留学中に出会った友人との起業にあるという。「America to Japan」。社名に込めた想いを胸に日本のEC業界を盛り上げる

EC新規参入から事業拡大後までグループをあげて伴走

EC業界は、ノウハウに習熟した人材の確保が慢性的に難しい状況にある。エートゥジェイではEC運用に精通したスタッフが、導入企業の運用支援にあたるオプションを用意。企業の成長を強く支えている。

エートゥジェイが提供しているオプションサービスは、プロモーションから分析・改善、バナーなどの制作物、CRMなど。グループのリソースを生かした幅広い範囲の支援を行っている。最大の特徴は、一般的によく見られる「バナー1本の納品につき●万円」といった受託型の支援ではなく、時間単位で支援サービスを購入できる準委任型としていることだ。

導入から間もないEC事業者には、受託する作業をピンポイントで聞くよりも前に「何が必要で、どの順序で着手すべきか」を分析し、成長に向けたマイルストーンの設定から始める。また、「レポートは作成できるがデータの見方が分からない」「急遽レポートが必要になったが人的リソースが足りない」といった細かな課題にも対応する。

エートゥジェイが提供しているオプションサービス
「作っただけでは終わらない」。構築から運用まで幅広く導入企業をサポートする

こうした状況を鑑みれば、新規でECに参入した企業や、まだ事業規模が小さな企業にとっては、作業単位ではなく、全作業1セットの支援サービスとして時間単位で購入できるメルカートの支援体制は望ましい。その時々で優先度の高いタスクから着実に取り掛かれるため早い成長が実現できる上、予算内で個社ごとに適した柔軟な対応を行えるからだ。

導入企業の2~3割が全般的な運用支援を依頼しているが、自社のリソースや成長段階に合わせて、プロモーションやCRMといったパーツごとに運用支援を依頼するケースもあるという。

ECをゼロから立ち上げる新規参入事業者や、ECの伸び悩みで「メルカート」に乗り換えられた事業者を、着実にステップアップさせる支援には自信があります。EC事業が拡大してからもグループを挙げて伴走する体制は万全なので、どのような悩みを抱える事業者でも、まずは相談いただきたいです。(飯澤社長)

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朝比美帆
朝比美帆

アフターコロナは異業種参入が当たり前。「顧客体験の区分」で競合が生まれる時代へ【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 8ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年3月15日〜21日のニュース
ネッ担まとめ

自分たちが競合だと思っている企業も、ユーザーから見たら競合ではない場合もあります。ユーザーが欲する体験を基準に考えると意外なところが競合で、いつの間にかシェアを取られているかも。

「業界の区分」から「顧客体験の区分」で戦う時代へ

「ウォルマート」「ルルレモン」の事例にみるリテール競争の変化と顧客体験の重要性 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8477

まとめると、

  • 全米小売業協会(NRF)主催のリテール展示会「NRF Retail's Big Show」は、「実現した過去のお披露目ショー」だったが、「不透明な未来への視座を各社に鋭く問う場」に変わった
  • 先にデジタルシフトしたのは企業ではなく顧客。パンデミック以前から変革に取り組んでいた企業と、対応で精一杯だった企業の差が浮き彫りとなった
  • 両者とも購入後にサービスと接点を配置することによって、顧客の使用時間における行動を把握しようとしている。使用時間の把握がパーソナライズの精度を高め、次の商品選択における提案権を手にすることになるため

ルルレモンと「Peloton」は、出自のプロダクトだけを見れば、ヨガウエアとSmart Bikeであり全くの異業種と言える。しかし彼らが提供している「顧客体験」という視点から見れば、明らかな競合と言えるだろう。

ここからわかるのは、新たな顧客接点の創造は新たなサービス開発を促し、プロダクトに基づく業界区分を無意味化するということだ。顧客とのつながりを強固にしたリテール業界の先駆者は、リテールを超えた新しいビジネスモデルを手に入れ、業界を超えた新しい競争が生まれているのだ。

コロナの影響でリテールに大きな変化が起こっています。業界の区分が意味をなさなくなり、顧客体験の区分で競争が生まれます。これからは「異業種からの参入」は何の驚きもなくお隣にいる競合ということですね。さらに大きな変化としては購入後のデータを取ろうとしていること。これが取れると実際にどのように利用しようとしているのかがわかるので、商品とサービスの開発の参考になります。となると、サブスク的なつながりも必要になってきますよね。

「どんなにデータマイニングやデータ活用が優れていても、顧客にとってそれが快適なことであり信頼を得られなければ何の意味もない」。ウォルマートCOOのジェイニー・ホワイトサイド氏の言葉を忘れないようにしましょう。

ECサイトは見た目ではなくてコミュニケーション重視で

創業73年・広島の老舗「鍋メーカー」がECサイト構築に活用したのは「フリーランス」の力 | THE21オンライン
https://shuchi.php.co.jp/the21/detail/8424

まとめると、

  • 広島市に本社を置く関西軽金属工業は楽天市場に出店していたが赤字が続き数年で撤退。その後、Shopifyを使い自社ECサイトの構築に挑戦
  • 広島でECサイトを構築してくれる業者が見つからず、かといって大手に依頼する予算もないためにフリーランスの方を探して依頼
  • 実演販売の購入者は高齢者が多く、ECサイトとの相性はよくなさそうだが、実際はスマホで問い合わせがきている

当社のフライパンは高級品なので、テフロン加工を塗り直して使い続けるお客様が多くいらっしゃいます。コロナ禍によって、当社の担当者が直接商品をお預りして塗り直すことはできなくなりましたが、ECサイトで『塗り替えサービス』のチケットを買っていただいて、商品は宅急便でお送りいただいたり、同じ商品を安くECサイトで購入していただいて取り替えたり、といったことができるようになりました。

ユーザーとコミュニケーションを取るために自社ECを構築した事例です。ECサイトを作るだけなら簡単に作れる時代ですが、それでは売れないですし意味がないですよね。コミュニケーションを重視したからこそ、引用文にあるような塗り替えのニーズもしっかりとらえることができたんでしょうね。

結果を出すヒントは隣の部署にあるかも?

EC戦国時代に突入? 勝ち残るためのキーワードは「領域横断最適」 | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/8814

まとめると、

  • ネットイヤーグループではセミナー参加者へ担当領域について質問したところ、「複数領域を見ている」の回答は35%。65%のは担当者は単領域のみに尽力し、個別最適化に奔走している
  • リソースの有効活用のためには「領域横断最適」が必要。最初に領域ごとの施策やタスクを洗い出リスト化し、工数や効果を踏まえて優先順位を付ける
  • リスティング広告とSEOから着手すると結果が出やすい。SEO側で得た記事コンテンツの読了率やECサイト内の回遊傾向などを、リスティング広告のTDや表示オプションに反映させることで、相乗効果にも期待できる

ウェブマーケティングという言葉は、聞こえは良いかもしれないが、派手な施策や拡散力でウルトラC的に認知や売上が向上するのはごく少数。もっとも本質的で大切なことは、「基本に沿って地道にやっていくこと」である。領域横断最適は決して華々しい施策ではないが、非常に本質的な打ち手であり、EC戦国時代を生き抜くための武器になるであろう。

Webマーケティングを何もしていなければ伸びしろがあるので大きな結果が出ることもありますが、ある程度やっているとそんなことはないですよね。となると、効率化してやるべきことにフォーカスする必要が出てきて、そのためには領域を横断してみていかないといけないということですね。部分最適の総和が全体最適にならないことを覚えておきましょう。

EC全般

日本郵政、「楽天への1500億円出資」にみる焦り | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/417354

楽天グループ、2423億円増資に潜む「見過ごせない問題点」:磯山友幸の「滅びる企業 生き残る企業」 | ITmedia
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2103/18/news047.html

楽天にとって日本郵政との提携は相当ありがたい話 | ASCII.jp
https://ascii.jp/elem/000/004/047/4047561/?rss

先週のまとめの続報です。不安視する声もありますが、強力な提携であることには変わりないですね。

洋服の青山 抗菌加工のスーツやシャツなど60万点を用意 調査を基に販売強化:過去最大規模 | ITmedia
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2103/17/news118.html

「空間除菌」という「キャッチコピー」の罪 雑貨なのにコロナ禍「効果ありそう」と誤解、誇大広告の問題も | withnews
https://withnews.jp/article/f0210318005qq000000000000000W0bx10701qq000022726A

コロナの影響で「抗菌」「抗ウィルス」などの商品もたくさん出てきていますが、怪しい商法には要注意です。

世界のファッションEC市場規模ランキング | boutiquestar
https://boutiquestar.jp/feclab/world-fashion-ec-market-size-ranking/

海外向けは英語が基本というデータが出ています。

通販・EC実施企業は必見! 新たな販路になる政府の景気刺激策「グリーン住宅ポイント制度」とは?「交換商品事業者」の要件は? | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8541

対象商品はテレワーク家電、エアコンなど幅広いのでチェックしておきましょう。

【ZOZOCOSME】オープン記念スペシャル企画! | ZOZOTOWN
https://zozo.jp/zozocosme/

「ZOZOTOWN」のリニューアル、ラグジュアリー&コスメ専用モールのオープンなど戦略・サービス概要まとめ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8546

「533万人いる女性のアクティブ会員」が興味があること1位がファッション、2位がコスメ。なるほど。

セールスフォース・ドットコム、「Eコマース最新事情」(第1版)を公開 | セールスフォース・ドットコム
https://www.salesforce.com/jp/company/news-press/press-releases/2021/03/210316/

パフォーマンスが高い企業と低い企業の調査結果が参考になります。

今週の名言

まずはやってみる! これが大事です。

高木三四郎氏に聞く、サイバーエージェントグループ入りしたことで感じた変化【後編】 | 起業・創業・資金調達の創業手帳
https://sogyotecho.jp/takagisansiro-interview2/

やってみてうまくいかなければ原因を研究していけばいいですよね。やる前に失敗することを考えていると何もできないです。

森野 誠之
森野 誠之

「予期せぬ商品に出会える」。アダストリアがECサイト「.st」で始めたショートビデオ接客とは?

4 years 8ヶ月 ago

アダストリアは3月19日、グループ公式のECサイト「.st(ドットエスティ)」で、商品やイベントなどを短尺動画で紹介するショートビデオ接客を開始した。

コーディネートや着こなしテクニック、イベントなど、さまざまな情報をショップスタッフが自ら撮影・編集・投稿する短尺動画でわかりやすく伝える。

短尺動画の特性に合わせた連続再生も可能。「予期せぬ商品に出会う」という店頭のような買い物体験を提供する。

アダストリアはこれまで、ショップスタッフがスタイリングを投稿する「STAFF BORD(スタッフボード)」、SNSのライブ配信によるオンライン接客などで顧客接点を増やしてきた。ショートビデオ接客を顧客との新たなコミュニケーションの場にし、人と人のつながりを感じるプラットフォームとして提供していく。

アダストリアはグループ公式のECサイト「.st(ドットエスティ)」で、商品やイベントなどを短尺動画で紹介するショートビデオ接客を開始
ショートビデオ接客のイメージ

ショートビデオ接客はFANATICが提供するオンライン接客ツール「ザッピング」を導入して、実現した。「ザッピング」は、FANATICとJolly Geneが共同運営するサービスで、Webサイトや通販サイト上にショートビデオを掲載できるツール。

短尺動画ごとの成果や投稿した販売員1人ひとりの成果も可視化できるため、正確な評価や隠れた才能の発掘にも利用することが可能。投稿した短尺動画をそのままインスタグラムに投稿することもできる。

導入はHTMLタグを埋め込むだけ。初期費用は33万円(税込)、月額5万5000円(税込)から利用できる。

石居 岳
石居 岳

こんなにあるBtoB-ECの効果。日常業務、経営面でどんなメリットがある?

4 years 8ヶ月 ago
『BtoB-EC市場の現状と販売チャネルEC化の手引き2020 ─今後デジタル化が進むBtoBとECがもたらす変革』(インプレス総合研究所)ダイジェスト⑤

前回はBtoB-ECの業態を販売手法、販路、目的などで分類した。今回はBtoB-ECの導入によってもたらされる具体的な効果について確認する。

BtoB-ECのメリット①
業務効率化や負担軽減

聞き間違いや読み間違いなどの受注ミスが減る

至極当然のことではあるが、人同士が主に「声」でコミュニケーションする際は、聞き違いや勘違いが発生しやすい。これは企業間の取引においても変わらず、たとえば電話で「いち(1)」と「しち(7)」を聞き間違えて発送すべき商品を誤るなど、深刻なミスが発生する可能性がある。

また文字ベースのFAXだからといってミスが発生しないとも限らない。FAXの送信画質は必ずしも完璧とはいえず、小さな文字などの場合は、書き手のクセなどによって「1」「7」「9」の判別ができず、結局電話で確認するといった手間が発生しがちだった。

BtoB-ECでは、原理的にこうしたトラブルを回避できる。当然、操作ミスの可能性は捨てきれないが、注文の最終確認画面を出したり、あるいは注文の控えをメール送信したりするなど、ミス抑制に関する様々な作業を極めて効率的に行える。また電子的なデータが各ステップで残るため、万一トラブルが発生した場合の責任所在を後から確認することも容易になる。

ファックスや口頭でのやりとりで発生しがちな間違いのでの読み間違いのイメージ

問い合わせ対応業務を削減できる

ビジネスの現場では、具体的な受注手続き以外にも、販売側・購入側の間ではコミュニケーションの手間が多々発生する。見積書の発行はその一例であろう。特にBtoB取引の場合、客先によって販売価格の条件が逐一異なるケースが多く、見積書の作成には想定以上の手間がかかりがちである。また、購入側も、社内承認の都合上、見積書を省略できないケースが往々にしてある。

BtoB-ECシステムの大半では見積書作成機能が標準的に組み込まれている。販売側にとっては、人手を割くことなく見積書を発行でき、また購入側も見積書をいつでも入手できるようになる。加えて、数量や商品などの条件を変えて合計額を複数パターンで確認する、なども容易にできるようになる。

またシステムの設計にもよるが、基幹システムや在庫管理システムとBtoB-ECを連携させれば、在庫確認や出荷状況の連絡・確認の問い合わせも削減できる

その他、時期によって価格が変動する商品などでは、販売側が価格表を定期的に顧客に配布したり、価格に関する問い合わせに対応したりしているため、BtoB-ECサイトで価格情報を提供することで、これらの問い合わせ対応業務についても大幅削減が期待される。

BtoB-ECのメリット②
営業体制の強化と売上・利益拡大

受注機会を拡大できる

従来の対面営業や電話での受発注の場合、販売側、購入側ともに都合の良い時間帯でなければ、取引をすることができない。また、FAXやメールでは当然ながらリアルタイムのコミュニケーションは不可能で、在庫の有無や納期などをその場で確認することができない。

それに対してBtoB-ECでは、受注担当者を常駐させることなく注文を受け付けることができる。加えて、いわゆる9時~17時といった営業時間以外でも24時間365日体制でシステムを稼働させられる。たとえば深夜営業を行う飲食店が、営業終了後の深夜26時を過ぎてから在庫状況を鑑みて材料を注文できるようになるなど、購入側の企業にとっても自社の都合が良い時間に在庫の有無や納期も見ながら注文することができる。

またBtoB-ECシステムの多くは、PCのほかにスマートフォンからも利用できる。PCを設置できない小規模店舗や現場からも、従業員がスマートフォンから発注を行うことも可能だ。つまり、注文に関する時間や場所の制約が小さくなり、それが受注機会の拡大へとつながる

商圏の拡大、新規顧客開拓

通常、営業担当者を軸とした販売網を構築する企業などの場合、ある1つの営業拠点から物理的に足を運べる範囲でしか営業活動を行えない。典型的なルートセールスの場合、受注、納品、料金の回収を営業担当者が担っているケースもあり、特に物流面を担う場合には商圏が限定されることがある。たとえば東京都千代田区に営業所がある場合、その担当範囲はどんなに広くても首都圏内が限界であろう。

だがBtoB-ECでは、こうした制限は緩和される。購入側にECサイトの利用を促し、配送会社などを利用することで、全国どこの場所の企業からも受注が可能になる。経済的な問題から営業拠点を新設できない企業にとっても、極めて魅力的な要素であろう。また、インターネットを活用して広く取引の門戸を開けられるのが最大のメリットである。集客方法次第だが、それまでまったく縁のなかった企業にも自社の存在をアピールし、取引へとつなげることができる

小口取引を仕組み化できる

その販売実務を営業担当者に依存している企業も多い。日々の顧客サポートから受注業務、さらには配送までの煩雑な業務を1人の担当者が引き受けるケースも少なくない。このような場合、営業事務に要する時間が多くなれば、営業活動に割く時間が限定され、取引先の拡大に向けた業務も限定されてしまうだろう。

そこで、注文数量の少ない取引先や、消耗品などの単純なリピート商品はBtoB-ECサイトで対応する。そうすることで、営業担当者に時間の余裕ができ、その時間を注文数量の大きい企業や、人が対応しなければならない業務、あるいは顧客に対するより丁寧な営業活動などに時間を割くことができるようになる。

顧客接点を強化できる

企業が商品を販売する際、その成否を担うのは従来であれば、営業担当者のサポート力、カタログのわかりやすさなどが大きな要因となる。そこへさらにBtoB-ECを並行的に用意することで、顧客接点を増加させることができる。

紙カタログに比べてWebサイトは検索性が高く、また関連製品のレコメンド機能なども組み込める。季節と連動した特集や新商品の案内、お得なキャンペーン情報、限定販売など様々な施策を実施することも可能である。

人力とはまた別の角度から“売り込みの多様化”が推し進められることにより、BtoB-ECを新たに開始した企業の中には、それまでのアナログ的受注が主軸の時代と比較して、購入頻度・購入単価ともに上昇したという声も多い。営業担当人員が限られ、さらに増員も難しい状態で顧客との接触回数を増やしたい場合、BtoB-ECは有力な候補となってくる。

利益率が向上する

業務フローを再構築し、BtoB-ECを導入することによって受注ミスや問い合わせ対応業務等が軽減されれば、結果としてそれは人的コストの削減へとつながる。受注あたりの処理コストが下がることにより、利益率の向上につながる。

●BtoB-ECについてもっと知りたい方はコチラへ

BtoB-ECのその他のメリット

新規事業立ち上げの気運を醸成できる

企業が新規事業の立ち上げに取り組む場合、予算やリソースが十分には確保されていない場合も多い。従来の業務フローで事業設計を行うと高コスト構造になりがちであるが、受発注業務をEC化することでコストを削減し、新規事業に取り組むことも可能である。

「働き方改革」を実現できる

ここまで紹介してきたBtoB-ECのメリットは、総じて「働き方改革」の実現に直結する。人手を十分にかけ、綿密なダブルチェックを行いながら、紙の注文書に記載された内容を業務システムに転記入力するなどの対応は、従来であればごく一般的な考え方であったが、先進ITツールの登場により、これらを代替することが十分に可能となった。コストはもちろん、今後は人手不足も相まって、ITツール導入の必要性は高まっていく。

働き方改革関連法の制定により、今後は1従業員あたりの労働時間制限がより厳格化される。違反した社名の公表など罰則規定も設定されており、「時短」の必要性はますます高まっていくだろう。その処方箋として、BtoB-ECをはじめとした各種ITツールの活用は大いに期待される。

森田 秀一
森田 秀一

コロナ禍で示された「実店舗での顧客体験の重要性」。Lowe's(ロウズ)とコストコに学ぶリアル店舗のDXとデジタル活用の事例 | 顧客時間が見たCES & NRFレポート2021

4 years 8ヶ月 ago
伴大二郎氏(オプト エグゼクティブ・スペシャリスト パートナー 兼 オムニチャネルイノベーションセンターセンター長、顧客時間 プロジェクトマネージャー)による2021年のNRF考察

2021年のNRF(全米小売業協会主催のリテール展示会「NRF Retail's Big Show」)では、コロナ禍により余儀なくされた迅速な対応、そこで何とか成果を出した米リテール企業の事例が多かった。NRF全体で焦点になっていたのは、ここ数年で小売り事業者が何をやってきたか、今何をするべきなのか――。NRFのセッションから、印象に残ったホームセンターチェーン「Lowe's(ロウズ)」、コストコの取り組みを紹介する。

コロナ禍で見えてきた“正しいDX”の形

印象深かったのはホームセンターチェーン「Lowe's(ロウズ)」のMarvin Ellison(マーヴィン・エリソン)代表取締役社長が、「The power of vision to reshape retail and the consumer experience(小売業と消費者体験を再構築するビジョンの力)」をテーマに語った内容だ。ロウズの2020年第3四半期(8-10月)の既存店売上高は、前年同期比で30%増だった。

National Retail Federationのマシュー・シェイ代表取締役社長と、ロウズのマーヴィン・エリソン代表取締役社長
左:National Retail Federationのマシュー・シェイ代表取締役社長、右:ロウズのマーヴィン・エリソン代表取締役社長(画像:セッション動画よりキャプチャ)

コロナ禍の「STAY HOME」で、ホームセンターの多くで業績は好調だったことを踏まえるとそこまで驚くべき数字ではない。だが、ロウズは群を抜いている。第2四半期(5-7月期)の既存店売上高は前年同期比34.2%増という大幅増収。参考までに、最大手である「Home Depot(ホーム・デポ)」の2020年第2四半期(5-7月)の売上高は、前年同期比23.4%増加だった。

ロウズはなぜ最大手を抑えて高い増収率を達成したのか? そもそもロウズは、ホーム・デポに比べるとかなりデジタル化に遅れており、10年以上前から使用しているPOSや基幹システムの改修(クラウド化)が、何とか2019年に間に合ったような企業だ。その点では多くの小売り業と変わらないが、ロウズは2019年のシステム改修が間に合わなければコロナ禍で求められた“変革”に対応できず、パニックを引き起こしていただろう。

筆者は日頃、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進をサポートする立場として、①企業利益②顧客体験(経験価値)③従業員体験(経験価値)――のバランスが重要だと感じている。エリソンCEOが語った内容は、「DX推進の好例」といえる興味深い内容だった。

伴大二郎氏が作成した、①企業利益、②顧客体験(経験価値)、③従業員体験(経験価値)のバランス関係を示した図
①企業利益②顧客体験(経験価値)③従業員体験(経験価値)――のバランス関係を示した図(筆者作成)

最も効果的なテクノロジーは、「気づかれないくらい」簡単なもの

ロウズのデジタル化の内容は、顧客が必要な商品を見つけるのに役立つ店舗ナビゲーションや、オンライン注文&店舗引き取り(BOPIS、Buy Online, Pick Up In Store)、カーブサイドピップアップ(車中受け取り)、使い勝手の良いロッカーピックアップ、そして24時間チャット対応のカスタマーセンターなど、特別新しいものではない。しかし、「それらが全て直感的にできる」ことに重きを置いている。

ロウズが展開する受け取りオプション
ロウズが展開する受け取りオプション(画像:サイトよりキャプチャ)

エリソンCEOが次のように語っている通り、どのサービスにおいても、UI(ユーザインタフェース)へのこだわりが強く感じられる。

最も効果的なテクノロジーは、顧客が「これは本当に簡単だった」と感じるくらい、誰にも気付かれないものだ。(エリソンCEO)

また、スタッフへのスマートフォン支給によって、従来は「作業:60%、サービス:40%」に費やされていた時間が「作業:48%、サービス:52%」と、顧客へ向き合う時間に費やせるようになったことも売り上げに影響を与えた要因という。

DX=ECシフトではない。DXとは、企業利益をしっかりと得た上で、顧客経験価値(CX)を高め、LTV(生涯顧客価値)を向上し、スイッチングコスト(競合へ流出する際にかかる経済的+心理的コスト)を上げることである。

そして、従業員経験価値(EX)により、自社に対する誇りや帰属意識を高めるとともに、顧客体験の提供価値を上げる仕組み化にデジタルを活用することである。これらをつなぎ止めるために、企業の存在意義を表す「パーパス(目的)」がDX推進においては重要となる。

顧客満足度/NPSで1位の「コストコ」

参加したセッションのなかで最も興味深かったのが、ニューヨークに拠点を構える分析会社Verint System社のエリック・ヘッド(Eric Head)副社長による「How retailers win on CX now(今、小売り事業者が顧客体験で勝つには)」だ。

NRFで行われたセッション「How retailers win on CX now」のもよう
セッション「How retailers win on CX now」のもよう(画像:動画からキャプチャ)

ヘッド氏は、2020年の小売りTOP25社に関する独自調査結果を発表。顧客満足度/NPSで1位になったのはコストコ。2位はApple、3位はAmazon、Walmartは13位だったと明かした。

Verint System社による小売企業上位25社の調査結果
Verint System社による上位25社の調査結果(画像:セッション動画よりキャプチャ)

コストコは、2020年度(2020年8月期)の売上高は前年9.2%増、オンライン売上高は49.5%増と数字面でも好調だ。コロナ禍で既存会員によるLTVの向上が大きかったという。一方、新規会員獲得による年会費の伸びはわずかだった。

ご存じの方は多いと思うが、コストコは年会費60ドル(約6,350円)、もしくは120ドル(約1万2,700円)を支払って利用する会員制の大型スーパーマーケット。郊外を中心に展開する巨大な倉庫型店舗で、安価な商品を販売している。日本の年会費は4,400円、もしくは9,000円。プライベートブランドの「KIRKLAND signature(カークランド・シグネチャー)」も品質の高さとリーズナブルな価格で人気がある。

コストコのプライベートブランド「KIRKLAND signature(カークランド・シグネチャー)」
コストコのプライベートブランド「KIRKLAND signature(カークランド・シグネチャー)」(画像:サイトよりキャプチャ)

コストコは利益の多くを商品販売からではなく、年会費であげているのが特徴だ。広告費をほとんど使わずに、収益を商品調達や従業員の給料を上げることに使うと宣言している。

コストコはロウズと同様、アプリに電子会員証機能とECやオムニチャネル決済機能を搭載。サービス面では、BOPISやカーブサイドピックアップ、配送オプションも各種扱いデジタル連携に余念がない。だが、「デジタルエクスペリエンス」に関する顧客満足度の調査では5位だった。

小売り事業者上位25社のなかで、コストコの各種順位を示した図
コストコの各種順位を示した図(画像:セッション動画よりキャプチャ)

他社の投資状況や機能を踏まえると5位という順位は納得できる部分もあるが、顧客に「デジタルエクスペリエンス」と感じさせない秀逸な顧客体験の設計が結果に影響しているのかもしれない。ちなみに、コストコは価格やフルフィルメントでも2位だったが、サービスでは1位の評価を得ている。

コロナ禍で大きな役割を果たす実店舗

TOP25社の顧客行動を「RESEARCH(購入前調査)」「PURCHASE(購入場所/決済)」「FULFILLMENT(物流/受け渡し)」の観点からも解説していた。

ここから見えてきたものは、新型コロナの影響を受けた2020年であっても、依然として実店舗の役割は大きいということだ。

セッション中に紹介された「RESEARCH(調査)」「PURCHASE(決済)」「FULFILLMENT(物流/受け渡し)」の観点から見た顧客行動(画像:セッション動画よりキャプチャ)

「購入前のリサーチ」に関しては、デジタル活用が43%であるのに対し、実店舗が46%。「購入場所」については実店舗が52%と半数を突破。40%だったECの内訳を見てみると、宅配は47%、カーブサイドピックアップが23%、BOPISが20%となっている。

つまり、カーブサイドピックアップやBOPISといった店舗まで取りに来る行動も合わせると、約70%が購買行動において店舗を活用していることになる。

コストコの話に戻すと、利用者の多くは郊外に住み、「STAY HOME」に気をつけながらも、車で通勤・通学(送り迎え)をしている家庭と想定される。普段から車で外出する機会の多い人々は、時間指定ができても家にいる必要がある宅配よりも、安全かつ手間なく、外出ついでに受け取れるカーブサイドピックアップのニーズが高いのは納得できる。

さらに、コストコ会員はガソリン代金が割安になるなど、生活習慣のなかに無駄なく、そして無理なく寄り添っている。オムニチャネルが特別な体験ではなく、当たり前の日常として活用されていると認識させられる。

まずは、顧客行動におけるRESEARCH(購入前調査)、PURCHASE(購入場所・決済)、FULFILLMENT(物流・受け渡し)のなかで、デジタルが行うべき役割を定義。顧客がそれらを無理なく繰り返し活用できるよう、DXによって仕組み化されていくことが望ましいだろう。

日本でも郊外を中心にカーブサイドピックアップが普及?

ウォルマートが2020年9月から始めた有料会員サービス「Walmart+」。年間98ドル(月額12.95ドル)で、即日宅配サービス(一部商品、店舗を除く)やガソリン割引(1ガロン=約3.8リットルあたり最大5セント)、セルフレジチェックアウトの「スキャン&ゴー」が利用できる。

「Walmart+」は、スマホアプリを軸としたデジタル会員との「つながり」を創出することで、RESEARCH(購入前調査)、PURCHASE(購入場所・決済)、FULFILLMENT(物流/受け渡し)を最適化。リカーリングの仕組み(CRM)をポイントなどの特典だけでなく、体験の差別化によって進化させている。「Walmart+」は企業間競争で不可欠な要素となっていくと思われる。

「Walmart+」を利用することでどの程度のコストセーブができるかについて
「Walmart+」を利用することでどの程度のコストセーブができるかについて(画像:Walmartサイトよりキャプチャ)

日本におけるカーブサイドピックアップは、まだ実施店舗も利用者も少ないのが現状だ。しかし、日本でも車による通勤者が多い今郊外を中心に、「帰宅途中に荷物を引き取れる」といった利便性が浸透すれば、今後サービスが広がってくる可能性がある。また、少子高齢化が進む日本では、郊外、地方のデジタル化こそが経済を強くすると思うと、これからが楽しみである。

新型コロナと向き合い顧客の変化を読み取る

新型コロナがに収束したとしても、消費者の行動は“以前通り”には戻らないほどに購買体験は進化するだろう。

ドイツに本社を構えるソフトウェア会社「SAP」のセッション「Create a new retail world through experiences your customers value produced by SAP(顧客体験価値を通して新しい小売りの世界を創造する。Produced by SAP)」に登壇したメラニー・ノローニャ氏(エコノミストインテリジェンスユニット シニアエディター)は、コロナ禍による制限が緩和されても、新しいオンラインショッピング行動は続く可能性が高いとの調査結果を紹介した。

ある程度は実店舗に戻るものの、約60%はオンラインショッピングの習慣を維持。若い世代に限らず、ベビーブーマー(一般的に1946年~1964年生まれ)でも同様で、約55%がオンラインショッピングを続けると言う。

NRFのセッションに登壇したSAPのエコノミストインテリジェンスユニット シニアエディターのメラニー・ノローニャ氏
セッションに登壇したSAPのエコノミストインテリジェンスユニット シニアエディターのメラニー・ノローニャ氏(画像:セッション動画よりキャプチャ)

ノローニャ氏によると、2020年のコロナ禍でオンラインショッピングに最も移行したのはベビーブーマーで、オンライン比率が25%から37%へと12ポイント移行。全体のオンライン支出のシェアは39%から47%と8ポイント増えたので、ベビーブーマーのオンライン利用が急激に進んだことがわかる。

コロナ禍によって従来の習慣から移行を余儀なくされた人々は、デジタルにシフト。結果的により快適で安全なショッピング体験にたどり着いた。今後も積極的に、デジタルを活用したショッピング体験をしていくことだろう。

また、購買プロセスにも変化が起きている。2021年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で語られた話(※)だが、コロナ禍による「STAY HOME」の影響で、家電の売れ行きが好調、その購買決定権の多くを女性が持っているとの調査結果を発表した。

(※)消費者や小売店のパネル調査を行うNPD GroupのKaryn Schoenbart (カリン・シェーンバート)CEOが登壇したセッション「When CSR Aligns with Consumer Values(CSRと消費者の価値観が一致するとき)」より

シェーンバートCEOは、テクノロジー製品の導入に対して積極的な女性をターゲットとした場合、企業側にどのような変化が求められるかを紹介。「より簡単で直感的なUIが好まれる」ことはもちろん、84%が「より企業やブランドに対して社会的責任を求める」と言う。購買決定権や選定プロセスの変化は、これからのマーケティング活動にも大きく影響することだろう。

◇   ◇   ◇

NRFやCESで総じて伝えられていたことは、新型コロナによってデジタル化もサスティナビリティも急速に進んだ。だがそれは、決して“ビフォアコロナ”には戻らないということだ。この逆境を乗り越え進化した企業のみが、「より良い日常=Better Normal」の時代に必要な企業となっていくと考えられる。

伴大二郎
伴大二郎

「楽天市場」出店者のインフルエンサーマーケティングを支援。人選から「Instagram」投稿の依頼を支援するマーケツール

4 years 8ヶ月 ago

楽天は「楽天市場」出店者向けに、「Instagram」上のインフルエンサーと連携したマーケティング施策を行うための「MIHA Casting for Instagrammer」の提供を始めた。

「MIHA Casting for Instagrammer」は約5500人のインフルエンサーから適切な人材を選定し、自社の商品などに関する「Instagram」への投稿を依頼するまでをワンストップで行うことができる「楽天市場」出店者けマーケティングツール。利用料は月額5万円(税別)。依頼が成約した場合には、別途インフルエンサーに対する報酬が必要となる。

楽天は「楽天市場」出店者向けに、「Instagram」上のインフルエンサーと連携したマーケティング施策を行うための「MIHA Casting for Instagrammer」の提供を始めた
出店者向けマーケツール「MIHA Casting for Instagrammer」

楽天グループの動画クリエータープロダクションであるMIHAが企画し、デジタル・キャスティングプラットフォームを提供するBIJIN&Co.が開発した。

「楽天市場」の出店店舗は「MIHA Casting for Instagrammer」を通じて、「年齢」「ジャンル」などの条件で自社のマーケティング戦略に適したインフルエンサーを検索、店舗や商品の魅力を訴求する投稿を依頼することができる。

「MIHA Casting for Instagrammer」に登録されているインフルエンサーに対して募集を行い、応募者のなかから適したインフルエンサーを選定することも可能。

投稿内容には「PR」の表記を必ず明示するほか、消費者の誤解を招く表現になっていないかなどの観点から、BIJIN&Co.が投稿内容の審査を事前に行う。

「MIHA CASTING for Instagrammer」のサービス紹介動画

インフルエンサーを通じて商品の魅力を訴求する「インフルエンサーマーケティング」は、消費者の観点を取り入れた情報発信による訴求力の高さなどから、商品の認知獲得や販売促進に効果的なマーケティング手法として注目されている。

楽天は、「MIHA Casting for Instagrammer」の提供を通じて手軽にインフルエンサーマーケティングを実施できる環境を提供。また、「楽天市場」で販売している商品について、インフルエンサー視点での情報発信を増やすことで、より多くのユーザーと商品との出会いの創出をめざす。

石居 岳
石居 岳

「ZOZOTOWN」のリニューアル、ラグジュアリー&コスメ専用モールのオープンなど戦略・サービス概要まとめ

4 years 8ヶ月 ago
大幅なリニューアルを実施した「ZOZOTOWN」。戦略やラグジュアリー&コスメへの参入などの概要を解説

「ZOZOTOWN」がリニューアルオープンし、ラグジュアリー、コスメへ参入する――。ZOZOがリニューアルに合わせて2021年3月18日に開いた「ZOZOCOSME CONFERENCE」から、ZOZOの戦略やサービスアップデート、新サービスの概要などを見ていく。

ラグジュアリー&コスメへの参入

ラグジュアリーゾーン「ZOZOVILLA」をオープン

カンファレンスの冒頭で語られたのが、ZOZOが近年掲げる経営戦略「MORE FASHION×FASHION TECH」だ。

「ZOZOTOWN」には、ファッション好きなお客さまが多く集まっている。原点に立ち返り、ZOZOはファッションを理解している会社で(あると示すために)、ファッション好きの方に提供できるコンテンツ、ブランド、施策に注力していこうと考えている。(ZOZO 取締役兼COO 伊藤正裕氏)

その一環としてスタートしたのがラグジュアリーゾーンの「ZOZOVILLA」だ。

ZOZOは2021/3/18にラグジュアリーゾーン「ZOZOVILLA」をオープン
2021/3/18にラグジュアリーゾーン「ZOZOVILLA」をオープン

「LOEWE」「MARNI」「KENZO」など90以上の高級ブランドが出店(オープン時)。画像の見せ方を含め、「ハイブランドらしく世界観の演出にこだわって作っている」(伊藤氏)という。

2020年から先行出店している「LOEWE」は、京都で作られた専用デザインの風呂敷で包んだ状態で配送。「ここ(ZOZOTOWN)でしかない体験を作ってきた。この先も展開していく」(伊藤氏)

「FASHION TECH」については、「試着ができない、手に取れない」というECのペインポイントを解消するために、ZOZOが取り組んでいる全身計測用の「ZOZOSUIT」、足のサイズ計測を行う「ZOZOMAT」に加え、新たにコスメサービス向けのフェイスカラー計測ツール「ZOZOGLASS」を導入する。

ZOZOTOWNアプリ内で紹介されているZOZOGLASS
「ZOZOTOWN」アプリ内で紹介されている「ZOZOGLASS」

インターネットで買いづらい点をテクノロジーで解決する。パーソナライゼーション(の強化)や、お客さまが好きなモノを提案するために、あらゆる開発をしている。「ZOZOTOWN」が進化していくためには、「FASHION TECH」が極めて重要だ。(伊藤氏)

初のロゴ刷新&「シューズ」「コスメ」への導線

「ZOZOTOWN」としては初となるロゴの刷新。「この先のZOZOの展開も見据えてデザイン一新に期待を込めた」(伊藤氏)

同時に、検索窓の下に「すべて」「シューズ」「コスメ」の3つのタブを用意した。

刷新したZOZOTOWのロゴと、新たに追加された「シューズ」「コスメ」タブ
刷新したロゴと、新たに追加された「シューズ」「コスメ」タブ(赤線での囲みか所)

シューズは、「ZOZOMAT」の開発・提供も含めて「ZOZOTOWN」が力を入れているジャンル。「コスメ」も加え、トップページから「シューズ」と「コスメ」専用モールへの導線を作った。なお、シューズやコスメの専用ページからも、ラグジュアリーゾーン「ZOZOVILLA」への入り口を設けており、ブランド別にシューズやコスメを厳選し紹介している。

「ZOZOCOSME」オープン

「DIOR」「BOBBI BROWN」「POLA」など、「ZOZOTOWN」初出店ブランドを含む、国内外のコスメブランド500以上を取り扱うコスメ専門モール「ZOZOCOSME」をオープンした。

ZOZOCOSME出店ブランド
「ZOZOCOSME」出店ブランド

コスメ参入の背景について、伊藤氏は次のように説明する。

「ZOZOTOWN」会員の平均年齢は34歳。特に大きな山が、16〜24歳のZ世代となっている。男女比では7割が女性で、若い女性ユーザーが多い。533万人いる女性のアクティブ会員(1年間に1回以上の購入者)に「興味があること」についてアンケートを行ったところ、ダントツ1位のファッションに次いで、コスメが2位だった。(伊藤氏)

また、「MORE FASHION&FASHION TECH」の理念、買いにくいモノをいかに買いやすくするかを念頭に、コスメ領域においてもイノベーションが必要だとして、「ZOZOGLASS」をリリースした経緯も明かした。

「ZOZOGLASS」を利用することで、家にいながら肌の色を正確に計測できるので、ECでもコスメを買いやすい。(伊藤氏)

肌の色を構成する成分「ヘモグロビン量」と「メラニン量」を画像から推定し、肌の色を計測。アプリと併せて利用する。「ZOZOGLASS」を使用すると環境光に影響されないことから、オンラインでも高精度の計測が可能という。

悩み×欲しいを掛け合わせる検索UI

「ZOZOCOSME」は、ECにおけるコスメ購入時の課題解決をめざしている。その方法として、2つのソリューションを紹介した。1つは「検索」だ。

「スキンケア」「フレグランス」などの大カテゴリの中から、商材、肌悩みや形状(ミスト、ローションなど)、質感といった細かい要望を掛け合わせて検索精度を高め、最適な商品をレコメンドする。

ZOZOCOSMEの検索UI。条件を組み合わせることで検索精度を高める
「ZOZOCOSME」の検索UI。条件を組み合わせることで検索精度を高める

「ZOZOGLASS」で肌色マッチング

もう1つは、フェイスカラー計測ツール「ZOZOGLASS」を利用したカラーマッチングだ。ZOZOCOSMEオープン時は20ブランド以上、400点以上のファンデーションにのみ対応するが、順次、リップ、チーク、マスカラなど対応範囲を拡大していく予定だ。

「ZOZOGLASS」を利用した場合の流れ。計測した後に、ZOZOCOSMEで販売されている中からユーザーの肌色に適した色味のファンデーションが表示される
「ZOZOGLASS」を利用した場合の流れ。計測した後に、ZOZOCOSMEで販売されている中からユーザーの肌色に適した色味のファンデーションが表示される

なお、「ZOZOGLASS」は3月18日時点で、50万件の予約申込みを突破しているという。

公文 紫都
公文 紫都

ZOZO、週2出社週3リモートのハイブリッド型勤務へ/アーバンリサーチのECサイトに不正アクセス【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 8ヶ月 ago
2021年3月12日~18日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 「ZOZO」の新しい働き方構想、週2出社・週3リモートワークのハイブリッド型勤務へ

    ZOZOは、社員同士の対面でのコミュニケーションも引き続き重要だと捉えており、オンライン・オフラインのハイブリッド型の勤務形態を採用する

    2021/3/12
  2. アーバンリサーチのECサイトに不正アクセス。個人情報が漏えいの可能性、クレジットカード情報の流出はなし

    ECサイト「アーバンリサーチ公式オンラインストア」に対して外部からの不正アクセスが発生。流出した可能性がある個人情報は、ECサイトと連携している「URCLUB会員情報」のうち31万7326人分。クレジットカード情報の流出はなし

    2021/3/11
  3. 「横浜」「鎌倉」「湘南」「小田原」「箱根」などの製品をネット販売、テレビ東京グループと横浜銀行・横浜振興がタッグ

    神奈川県内の良質な製品や商品、それらとマッチする認知の高いIP(キャラクター、アニメなどの知的財産)を組み合わせた商品化事業、EC事業を始める

    2021/3/15
  4. 百貨店の構造からの転換へ――大丸松坂屋百貨店が始めたサステナブル重視のファッションのサブスクEC業「アナザーアドレス」とは?

    100%Web注文、サブスクリプション型のストックビジネスとすることで、従来の百貨店ビジネスが抱えるリアル店舗依存、フロービジネスからのビジネスモデル分散につなげる

    2021/3/16
  5. 楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、各ECモールにおけるデータ活用法

    ECモールは新規ユーザー獲得のための分析やデータ活用が必須です。各社のデータ活用についてまとめました(連載2回)

    2021/3/16
  6. 楽天が2400億円を調達しモバイルへ投資。日本郵政、テンセントグループ、ウォルマートが出資

    テンセントグループ、ウォルマートも楽天へ出資する。すでに各社は協業関係にあり、米国小売大手、中国EC大手、日本EC大手による小売・ECの一大勢力となる

    2021/3/16
  7. 北の達人・木下社長が語るEC関係者は知っておくべき「知財管理」の重要性。「権利を守ることがお客さまを守ることにつながる」

    北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下勝寿氏がインタビューで語る「はぐくみプラス訴訟」【前編】(連載第17回)

    2021/3/17
  8. 配送料は全国一律60サイズ382円~、当日配達も提供へ。ヤフーとヤマト運輸が出店者向け「フルフィルメントサービス」を刷新

    ヤフーとヤマト運輸は「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」出店店舗向け「フルフィルメントサービス」をリニューアル。全国一律での配送料金の提供を開始する

    2021/3/12
  9. 「Amazonビジネス」は世界で500万社超が利用、日本は時価総額上位100社のうち80社以上が使用

    「Amazonビジネス」について、日本では時価総額上位100社のうち80社以上が利用(2021年2月19日時点)。3000万種類以上の商品を法人価格で提供されているという

    2021/3/17
  10. 「ウォルマート」「ルルレモン」の事例にみるリテール競争の変化と顧客体験の重要性

    顧客時間 共同CEO/代表取締役 岩井琢磨氏による米国リテール競争要因の変化についての考察

    2021/3/15

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    コロナ禍で消費行動はどう変わった? デジタル移行が加速したEC最新事情【セールスフォース・ドットコム調査】

    4 years 8ヶ月 ago

    セールスフォース・ドットコムが3月16日に発表したEコマース年次調査レポート「Eコマース最新事情」(第1版)の日本語翻訳版では、消費行動の世界的なデジタル移行の現状をまとめている。

    コマース分野のリーダー約1400人を対象とした調査に加え、全世界で10億人を超える一般消費者、企業の購買担当者の行動分析をセールスフォース・ドットコムのリサーチ機関であるSalesforce Researchが実施した。

    実店舗からデジタルコマースへの移行は顕著で広範囲に及んでいる。全世界で10億人を超える消費者の購買行動を分析すると、2020年にECが広く普及。ECによる収益は2020年第2四半期(4-6月期)に前年同期比で75%増、第3四半期(7-9月期)に55%増。サイトへのトラフィック以上に、コンバージョン数が大きく伸びている。

    セールスフォース・ドットコムが3月16日に発表したEコマース年次調査レポート「Eコマース最新事情」(第1版)の日本語翻訳版
    ECの収益とトラフィックの前年同期比

    購買行動のデジタル空間への移行が消費者とブランドの関係に影響を及ぼしている。生活必需品(通常は食料品店の棚にあるもの)をメーカーから直接デジタル購入する割合が拡大。2020年の年末商戦では食品や飲料がオンラインショッピングの支出カテゴリーとして上位に入っている。

    また、新型コロナのリスクが下がっても生活必需品をオンラインで購入する予定について、「可能性は高い」と応えた割合は68%に達した。

    セールスフォース・ドットコムが3月16日に発表したEコマース年次調査レポート「Eコマース最新事情」(第1版)の日本語翻訳版
    生活必需品のオンライン購入予定

    パンデミックの影響で対面での対応が減り、デジタル空間での対応が拡大。消費者は実店舗からアプリ、ECサイト、あるいはそれ以外のデジタル空間に向かっているという。

    実店舗は投資先として上位に位置付けられているが、ソーシャルメディアやWebサイトでの露出は、それ以上に重要視されている。新型コロナウイルスの影響で、商品の検索と購入が急速にデジタル空間へと移動。以前は商品探しの中心的な場所であった店舗は、注文に対応する場所に変わってきている。

    セールスフォース・ドットコムが3月16日に発表したEコマース年次調査レポート「Eコマース最新事情」(第1版)の日本語翻訳版
    コロナ禍における消費行動の変化について

     

    石居 岳
    石居 岳

    BtoB(法人向け取引)企業が投資拡大を計画する領域は「EC」がトップ

    4 years 8ヶ月 ago

    セールスフォース・ドットコムが3月16日に発表したEコマース年次調査レポート「Eコマース最新事情」(第1版)の日本語翻訳版では、BtoB-ECの現状についてまとめている。

    調査は、コマース分野のリーダー約1400人に加え、全世界で10億人を超える一般消費者、企業の購買担当者の行動分析をセールスフォース・ドットコムのリサーチ機関であるSalesforce Researchが実施した。

    デジタルへの急速な移行は、あらゆる企業で進行。BtoB企業の83%はすでにオンラインで販売を行っており、ほとんどがデジタルへの投資を継続している。ECは投資先の販売チャネルとしてトップにあがっており、その割は65%となっている。

    セールスフォース・ドットコムが3月16日に発表したEコマース年次調査レポート「Eコマース最新事情」(第1版)の日本語翻訳版 BtoB企業の投資先販売チャネル
    BtoB企業が投資を計画している販売チャネル

    「対面営業チーム」の役割については、業界によって意見がわかれている。医薬品、食料、飲料、医療機器、消費財のBtoBリーダーは、「対面営業チーム」への投資強化を支持。その他の業界リーダーは、「BtoBのEコマースソリューション」への投資強化をあげる傾向があったという。

    BtoB企業がECプラットフォームを選ぶときの優先事項は、パフォーマンス分類によって大きく異なった。3つのパフォーマンス分類すべてで「顧客満足度」が上位に。パフォーマンスが高い企業と中程度の企業は「デジタルイノベーション」も重視している。

    これに対して、パフォーマンスが低い企業は「収益」を重視。パフォーマンスが高い企業は「コスト」の優先度は低い。「プラットフォームのカスタマイズ」への関心については、パフォーマンスが高い企業、中程度の企業、低い企業で共通して低い傾向にある。

    セールスフォース・ドットコムが3月16日に発表したEコマース年次調査レポート「Eコマース最新事情」(第1版)の日本語翻訳版 デジタルソリューションを選ぶ際の要素
    デジタルソリューションを選ぶ際の要素について

     

    石居 岳
    石居 岳

    EC売上510億円、ベイクルーズが推進するDX改革の実例。戦略、組織・仕組み作りを解説

    4 years 8ヶ月 ago
    ベイクルーズのEC事業を統括する加藤利典氏と、ECエバンジェリストの川添隆氏がベイクルーズのDX戦略を解説

    アパレル大手のベイクルーズは、2020年8月期決算でEC売上高が前期比29%増の510億円を記録した。この成長の基盤となったのが、社内のデジタルトランスフォーメーション(DX)と、ユニファイドコマース(パーソナライズした情報や体験を通じて、ブランド全体で消費者の購買体験を向上させる概念)戦略の推進だ。取り組み内容と成果について、ベイクルーズでEC事業を統括する加藤利典氏(執行役員 EC/Digital Marketing Div.)に、ファッションECに詳しいEコマースエバンジェリストの川添隆氏が聞いた。

    DX推進が加速、流れは不可逆に

    新型コロナウイルスの感染拡大でアパレルや小売業界の事業環境は激変し、企業はかつてないほど変化への対応力とスピードを求められている。川添氏は、現状の分析と今後の予想について次のように話す。

    3~5年とされてきたDXやOMO(Online Merges with Offline)への準備・移行期間は、イメージとしては3年以内に短縮し、且つその流れは不可逆だ。変化に適応し計画的にチャレンジを続ける企業と、対応を後回しにする企業の収益率の差はどんどん広がっていく。(川添氏)

    一方で川添氏は、「DXは(短期的に利益を生む)魔法の杖ではない」とも指摘。『アフターデジタル2 UXと自由』(日経BP)の著者であるビービットの藤井保文氏が、「行動データをUXに還元しいつも使われる魅力的なサービスにすることで、そこからビジネス成果を生み出していく」ことがDXであると指摘する通り、「足元の利益を獲得できる強いビジネスモデルを確立し、それに沿ったDX推進の戦略的かじ取りが必要」との認識を共有した。

    ECエバンジェリスト川添氏が考える、戦略レイヤーにおいて、企業文化と強みに併せてどうデジタルを介在させるかを示した図
    川添氏が考える、戦略レイヤーにおいて企業文化と強みに併せてどうデジタルを介在させるかを示した図(画像:川添隆氏作成、提供)

    その意味でベイクルーズは、顧客の体験価値向上に注力したDXをブランド横断的に推進し、EC売上高を伸ばしてきた「強い企業」(川添氏)だ。

    ベイクルーズはアパレル業界の中でもEC化率が高く、全社売上高の約30%をEC売上高が占める。なかでも自社ECサイト「ベイクルーズ・ストア」の貢献が大きく、2020年8月期にはEC売上高に占める比率(以下、自社EC化率)が77%に拡大。売上高は前期比37%増の391億円と、直近5年間で6倍に増加した。

    データ可視化で意思決定を支援、5大行動指針も

    ベイクルーズは2014年にオムニチャネル戦略強化を打ち出し、物流拠点の一元化、在庫や会員データ、ポイントプログラムの統合などを進めてきた。2016年ごろまでにオムニチャネル化を完了。2017年には新たな成長戦略としてユニファイドコマースを掲げ、DX推進を加速させている。

    加藤氏によると、DX推進の下準備としてまず取り組んだのが、EC事業部を中心とする「データドリブンな組織」への変革だ。データを基に必要な意思決定を行い、行動計画を実行していく組織と定義した。

    その一環として、「KPIツリー」を作成。「AC(アクティブ)会員数」「ARPU(顧客あたり平均売上高)」「顧客維持率」「クロスユース(店舗、EC双方で購入)」などの指標ごとにデータを可視化することにより、売上増を妨げる問題が数値として分かるようにした

    問題の所在が明確になれば具体的に解決策を検討し、効果を検証することが可能になる。現在はEC事業部以外の部署にもKPIツリー作成の狙いを説明し、全社的な導入を呼び掛けているという。

    ベイクルーズのEC部門におけるKPIツリー
    ベイクルーズのEC部門におけるKPIツリー(画像:ベイクルーズ提供)

    組織改革と同時に、社員の意識改革にも乗り出した。加藤氏はDX推進のための行動指針として、次の5つを紹介。

    1. 顧客を知り尽くす、そして寄り添う
    2. データドリブンな組織を作る
    3. 「チャレンジマインド」を持つ
    4. スピードを重視し、まず行動する。そして結果を出す
    5. 自分のチームだけでなく、会社全体のために行動する

    まずはEC担当者間でこのマインドを浸透させ、次に全社的に広げたい。(加藤氏)

    ベイクルーズ 加藤 利典氏
    ベイクルーズ 加藤 利典氏
    執行役員 EC/Digital Marketing Div.
    大手レコード会社でWEBディレクター兼フロントエンジニアとしてキャリアをスタートし、外資系ファッション企業のシステムエンジニアを経て、2004年ベイクルーズに入社。ベイクルーズでは基幹システムの開発や店舗POSシステムの刷新、インフラの刷新に従事した後に、2007年自社ECサイトの立ち上げに参画。2013年からはオムニチャネル戦略を推進し、現在はグループ全体のEC事業、WEBシステム開発全般、デジタルマーケを掌握。

    DX推進強化ポイント360°全方位支援プログラム

    では、ベイクルーズはDXに対するアクションとして具体的に何を行ってきたのか。加藤氏は、重点施策の1つとして、約2年前に開始した「360°全方位支援プログラム」をあげる。

    EC事業で蓄積した知見・ノウハウを体系化し、販社(ブランド)が抱える多様な課題を360度全方位で支援、解決していく。(加藤氏)

    ベイクルーズが展開する「360°全方位支援プログラム」の概念図
    ベイクルーズが展開する「360°全方位支援プログラム」の概念図(画像:ベイクルーズ提供)

    顧客データを基にアナリストが分析した結果から課題を抽出し、ブランド側と事前合意したKPI達成に向け、EC事業部が「総合代理店」的な役割に徹しブランドを包括的に支援する。戦略策定からCRM、メディアやコンテンツのプランニング、クリエイティブの制作全般に至るまで、支援範囲は幅広い。DX推進の「エバンジェリスト的な役割」も持ち、加藤氏は手応えを感じているという。

    DXに対する社内の理解度が高まり、徐々に意識改革ができているようだ。ブランド側の意向で、人材育成的な役割も担っている。(加藤氏)

    DX推進強化ポイント:データの民主化

    加藤氏はデータの民主化を、「誰もがデータにアクセスできる環境を作り、データを基に意思決定できる文化を醸成すること」と説明した。すでにダッシュボードからさまざまなデータを閲覧できる仕組みを整備しており、今後はアドホック的分析のための訓練やスキル向上を進める予定だ。

    ベイクルーズが実施している「データの民主化」概念図
    ベイクルーズが実施している「データの民主化」概念図(画像:ベイクルーズ提供)

    顧客がオンとオフを行き来する構造がある程度見えるようになり、顧客視点で物事を捉える意識や、チャネルに関係なく顧客の体験価値を高めようという意識が強くなってきた。(販促施策の成果について)感覚に頼るだけでなく、その感覚が正しいかどうか、ファクトで答え合わせも行われているようだ。(加藤氏)

    ユニファイドコマースに注力、自社EC売上が加速

    こうした一連の取り組みを土台にユニファイドコマースを進化させてきたベイクルーズは、ユニファイドコマースを「オムニチャネル化で実現した統合プラットフォームをベースに、リアルタイムに顧客を理解し、顧客1人ひとりに価値あるショッピング体験を提供すること」と定義。

    いつでもどこでも買い物ができるというだけでなく、店舗とECの垣根を完全に取り払いデータやサービスをリアルタイムに共有することにより、個々の顧客のニーズに沿ったサービスの実現をめざす。(加藤氏)

    ベイクルーズが推進する「ユニファイドコマース」のイメージ図
    ベイクルーズが推進する「ユニファイドコマース」のイメージ図

    ユニファイドコマース戦略の成果は業績に表れており、本格始動した2017年以降に自社EC売上高が急伸。2016年度には44%に過ぎなかった自社EC化率は、2020年度、77%まで伸長した。

    クロスユースの売上シェア50%超え、顧客満足度も向上

    店舗とECの役割を棲み分け、サービスにおいては店舗とECでの垣根を撤廃し統合したことで、ECと店舗の両チャネルで買い物をするクロスユース会員の売り上げ(以下、クロスユース)も増えている。

    直近の2020年度には、会員売上高に占めるクロスユースの割合が前期比3ポイント増の52%と、50%を超えた。加藤氏が特に注目するのが、コロナ禍で店舗売上高が減る中、クロスユース会員による店舗売上高は増えていることだ。

    クロスユーザーの購入単価が高いことなどを示した図
    クロスユーザーの購入単価が高いことなどを示した図(画像:ベイクルーズ提供)

    ユニファイドコマース推進で最も重要なことは、クロスユースを増やすこと。それがビジネスへの影響が一番大きいからだ。(加藤氏)

    NPS(顧客ロイヤルティ)も向上した。

    顧客の要望を積み重ねると、オムニチャネルやユニファイドコマース(という形)に辿り着く。顧客満足度が1ポイント上がると、売上高で数億円単位のインパクトがある。(加藤氏)

    ユニファイドコマース戦略により、NPSが向上したことを示したグラフ(画像:ベイクルーズ提供)

    CRM強化、MAでコミュニケーションを個人最適化

    ユニファイドコマース戦略の一環で、CRM強化にも取り組んできた。ECや店舗の行動・購買データ、ECアプリの行動データ、その他外部データなどを分析し、個々の会員に最適なコミュニケーションを実現する「リアルタイムパーソナライゼーション」はその1つ。マーケティング自動化サービス(MA)を利用し、電子メール、LINE、アプリのプッシュ配信に対応した93の「稼働シナリオ」を展開する。

    リアルタイムパーソナライゼーション経由の売上高は2019年度に119.4億円と、EC売上高の24%を占めた。

    加藤氏によると、売上高が高いベスト3シナリオは次の通り(カッコ内は年間売上高)。

    1. 「お気に入り登録」×「在庫通知」(約4億円)
      ECでの商品お気に入り登録者へ、在庫数が残りわずかになったことを通知
    2. 「閲覧落ち」×「在庫通知」(約2.6億円)
      直近1週間に同じ商品を3回見たが購入しなかった人へ、在庫数が残りわずかになったことを通知
    3. 「お気に入り登録」×「値下げ情報通知」(約2億円)
      ECでの商品お気に入り登録者へ、商品の値下げ情報を通知

    これを見る限り、値下げ情報よりも、在庫数が残り少なくなったことを知らせるコミュニケーションの方が購買モチベーションを上げることが分かる。

    コンバージョン率が高いシナリオは、「カート落ち」へのフォローアップだ。商品を1時間カートに入れたが購入しなかった顧客に対し、後日「買い忘れ」をリマインドしたり、類似商品の入荷を知らせたりする。加藤氏によると、コンバージョン率は平均4.5%と、通常の4倍以上も高い。

    ベイクルーズは、リアルタイムパーソナライゼーションを約4年前に開始した。現在の完成度は6割程度。データ分析の完全リアルタイム化と、個々の顧客ごとの配信のタイミング・頻度・チャネル・人工知能(AI)を使った情報の最適化が今後の課題という。

    Eコマースエバンジェリスト 川添隆氏
    1982年生まれ、佐賀県唐津市出身。
    全国のEC担当者を応援し、ECビジネスの可能性を伝えるECエバンジェリスト。企業再生を2社経験し、EC売上2倍以上に携わったのは 5社。アパレル関連企業3社を経験後、2013年7月よりメガネスーパー(現 VHリテールサービス)に入社。7年でEC関与売上は7倍、自社 ECの月間受注は13倍に拡大。現在は親会社のビジョナリーホールディングス 執行役員として、E C / デジタル領域・IT・新規事業を統括。2017年より代表を務めるエバンでは小売企業、大手メディア、B2Bスタートアップ、D2Cブランドへデジタル実装やEC領域のアドバイザーに従事。

    ネイティブアプリでロイヤルユーザーを創出

    スマホ用ネイティブアプリをユニファイドコマース戦略の重要ツールと位置づけ、過去2年間、2カ月に1度のアップデートを継続して行っている。

    会員カード機能や、店舗で商品タグを読み込み購入と自宅配送手続きを完了できる『手ぶらで買い物機能』を備えたアプリは、オンラインとオフラインをつなぐハブとなるツール。アプリの体験価値向上とともにクロスユースも増えると考えている。(加藤氏)

    ベイクルーズが運用するスマホアプリにまつわる各種実績(画像:ベイクルーズ提供)
    ベイクルーズが運用するスマホアプリにまつわる各種実績(画像:ベイクルーズ提供)

    実際にアプリ利用者はクロスユース率が高く、2020年度は全社(19.6%)の約3倍に迫る55.3%、つまりアプリ利用者の半数以上がクロスユーザーだった。コンバージョン率、1人あたりの訪問回数、ARPU、平均滞在時間といったデータも優れており、アプリは「ロイヤルユーザーを作るツール」(加藤氏)となっている。

    次世代型EC組織で課題解決を迅速化

    ベイクルーズは自社EC強化のため、ブランド横断型のEC専門組織を内製化することにこだわってきた。エンジニアやウェブデザイナーはもちろん、UI・UXデザイナーやウェブディレクター、アナリストといった専門職も多い。技術とビジネスの両人材を集めた多様性のある組織をめざし、次の3点を実現したという。

    • 専門職の採用に特化したチームを設置。優秀な人材の採用に貢献
    • 各ブランドのエース級の人材をEC組織へ異動。EC組織とブランドの橋渡し役として、ブランドとの連携を強化
    • 基幹・店舗システム担当とウェブ担当エンジニア組織の統合。オンラインとオフライン融合の店舗接客支援アプリなどの仕組みが具現化

    DX推進組織として、ベイクルーズが外部パートナーに求めることは3点ある。まず、製品やサービスの質と精度が高いこと。次に、ベイクルーズの顧客を思い、ベイクルーズと共に「泥臭い業務」をやってくれること。

    そして最後が、「自社製品やサービスを愛してやまない人」がいること。

    自社製品やサービスを愛してやまない人は総じてパフォーマンスが高く、製品に対する思いも伝わってくる。そういった人が作っているサービスはぜひ使ってみたい。(加藤氏)

    AIで「着心地を科学する」

    ベイクルーズは、顧客への商品レコメンド、画像認識、商品タグ付けなど、ECのさまざまな側面で業務にAIを取り込んできたが、その集大成として「AIブランド構想」に着手した。「着心地を科学する」のコンセプトのもと、「AIによって新しい“サイズ”“価値”“基準”を創造し、既製品の限界に挑むブランドを立ち上げる」(加藤氏)という試みだ。

    ベイクルーズが進める「AIブランド構想」(画像:ニューロープ提供)
    ベイクルーズが進める「AIブランド構想」(画像:ニューロープ提供)

    ブランド立ち上げの取っかかりとして、デザイナー、パタンナー、マーチャンダイザー(MD)、販売パートナーなど、アパレルブランドを形成する職域ごとにその業務を支援するアルゴリズムの開発を開始した。これまで勘と経験に頼ってきた部分をAIで自動化し、精度を高めていく。AIはあくまで人の優秀なアシスタントという位置づけで、最終的な意思決定は人が実施する。

    需要予測や在庫配分、商品値引きを最適化するアルゴリズムを開発。実証実験を行っており、誤差が±10%程度にまで仕上がってきているという。アルゴリズムによる部分最適化を積み上げていくことで、「売れるものは売り、売りにくいものは適正量を作り、欲しい人に届けて利益を生むブランド」をめざす。

    モデレーターを務めた川添氏は、以下のように締めくくった。

    ベイクルーズのDX推進は、長年かけて準備してきたことが今まさに成果として花開き、事業の本丸にどんどん入っていき、かつ顧客の期待に応える段階にある。DXはこれから推進を始めるという企業も、まずは第一歩を踏み出すことが肝心だ。ただし、デジタル化が目的になってはいけない。

    企業やブランドとしての大義や存在意義を定義しない限り、提供したい価値もUXも定まりにくい。根幹となる地盤を固めた上で、そこから具体的に何かを変えたい、改善したいときにデジタル技術は必ず使えると思う。ベイクルーズの取り組みは参考になるだろう。

    鶏内智子
    鶏内智子

    2021年のキャンペーンに活用したい「メールマーケティング」6大トレンド | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 8ヶ月 ago
    メールマーケティングは、2021年もECマーケターにとって重要です。テクノロジーの進歩によって、より効率的になっているメールマーケティングの2021年6大トレンドを解説します

    メールマーケティングは、多くの企業やECサイトにとっての生命線です。世界的なコロナ禍の中、ECのプロモーションと売り上げを増やすために、デジタルが最も重要なマーケティングチャネルとなりました。今回は2021年押さえておきたい、メールマーケティングキャンペーンに活用できる6大トレンドをご紹介します。

    メールマーケティングによるROIは前年比14ドル上昇

    DMA(一般社団法人データ&マーケティング協会)が発行したレポート「2019 Email Tracker」によると、メールマーケティングによる投資収益率(ROI)は、前年に比べて約14ドル上昇。1ドルあたりのROIは58ドル強となっています。

    他のマーケティングチャネルと同様、メールマーケティングも常に変化。コンバージョン率の向上やカスタマーサービスの質を高めるために、メールをより効率的に活用するトレンドが生まれています。メールは10年以上使われている技術ですが、企業側と消費者側の両方で、メールマーケティングは絶え間ない進歩を続けてきました。

    それでは、ここから2021年のメールマーケティングキャンペーンに活用できる6つのトレンドを見てみましょう。

    1. インタラクティブなメールデザイン

    メールの構成要素の1つにコールトゥアクション(CTA)があります。CTAは、ユーザーをWebサイトに誘導し、オンラインストアでの交流や閲覧を開始させるものです。

    CTAがメールキャンペーンの中心であることに変わりはありませんが、技術の進歩により、インタラクティブな機能を追加することも可能になりました。これにより、ユーザーはサイトに行く前にメールで詳細を確認できます。

    インタラクティブなメールの最もわかりやすい例は、Googleのサービスである「Googleドキュメント」「Googleスプレッドシート」などです。それらのドキュメントにコメントや提案を残すと、関係者はメールを受け取り、同じメールから自分の回答を追加したり、変更を許可することができます。

    しかし、こうしたインタラクティブな機能は、必ずしもドキュメントに関連したものである必要はありません。ECのメールキャンペーンには、次のような特徴的な機能を加えることもできます。

    • アニメーションやインタラクティブな画像
    • 商品のカルーセルやロールオーバー効果(編注:マウスオーバー効果とも呼ぶ。Webブラウザに表示された画像上にマウスポインタを置くと他の画像に切り替わり、マウスポインタを画像の外に出すと元の画像に戻る効果)
    • アニメーション付きCTA
    • インタラクティブなアンケートや投票
    • 長文メールの短縮表示

    AMP(編注:Accelerated Mobile Pages、Webコンテンツを瞬時に読み込んで表示するための手法)のおかげで、上記のような機能が可能になり、プログラマーはメールのなかにWebサイトのような機能を作ることができるようになりました。

    この機能により、メール受信におけるカスタマーエクスペリエンスの向上、メール内でのアクションの完了、ダイナミックでリアルタイムに更新されるコンテンツの提供が可能になります。

    2. メールマーケティングの自動化

    ソーシャルメディアに関するトレンドや最新ニュースを発信する「Social Media Today」が実施した調査「State of Automation」によると、75%のマーケターがメールマーケティングに少なくとも1つのオートメーションツールを使用しているそうです。

    さらに、メールマーケティングプラットフォームを提供する「Omnisend」社の調査によると、カスタマイズされた自動化ツールを使う場合、画一的なソリューションと比較して、17.27%高いクリック・スルー・レート(CTR)を獲得しています。

    上記2つの事実から、Eメールの自動化がトレンドであることは明らかで、最新のソリューションは、企業やオンラインストアにさらなる収益をもたらしていることがわかります。メールマーケティングを最大限に活用するためには、これらの取り組みを支援するソフトウェアソリューションをいくつか検討することが賢明です。

    Eメールキャンペーンを作成するためのアプリケーションは数多くあります。また、キャンペーンのニーズに合わせてさまざまなアプリケーションを組み合わせることも可能です。メールマーケティングサービスを分析し、最新のソフトウェアソリューションを選択する際に考慮すべきいくつかの重要な機能を以下にあげました。

    • メールの連絡先の一括追加
    • メールオートメーション機能
    • SMS送信機能
    • 詳細なレポート
    • 高い到達率
    • 顧客セグメンテーションツール
    • キャンペーン管理ツール

    3. モバイルデザイン

    サイトデザインの最新トレンドにも理由があります。ミニマルでモバイルファーストのアプローチ、ダークモードなどの機能はほとんど、ユーザーエクスペリエンスを高めるため、データに基づいて採用されています。

    メールマーケティングソフトウェアを提供する「upland」の調査によると、62%の人が携帯電話でメールを開いています。

    uplandの調査によると、約62%の人がモバイルからメールを開封
    約62%のユーザーがモバイルからメールを開封している(画像:「Top 10 Email Clients in March 2019」より編集部が作成)

    さらに、Android関連情報を発信する「Android Authority」が実施した調査では、回答者の約82%が可能な限りダークモードを使用していることがわかりました。これらは、人々がどのように情報を消費することを好むかを示す、的を射た指標です。

    「Android Authority」が実施した調査によると、回答者の約82%が可能な限りダークモードを使用
    ダークモードをしている回答者の割合は約82%(画像:「We asked, you told us: Just about everyone uses dark mode」より編集部が作成)

    メールキャンペーンを作成する際に、上記のような事実を踏まえたデザイン機能を利用することができます。まず、モバイルファーストの考え方でメールを作成し、スマートフォンからのアクセスを容易にします。そして、ダークモードでの利用を意識した配色を検討してみてはいかがでしょうか。

    4. プライバシーへの配慮

    クロスサイトスクリプティング(編注:Webアプリケーションにおいて、Webサイトの脆弱(ぜいじゃく)性を利用した攻撃手法)からフィッシングまで、いくつものサイバー攻撃が日々、サイトやオンラインストアを脅かしています。

    さらに、何百万もの機密データがインターネット上に残されるような情報漏洩の増加により、データのプライバシー保護は世界的に話題になっています。

    NTTデータが行った調査によると、回答者のうち、ブランドが自分の情報を安全に保管してくれると信頼している人はわずか8%。消費者はサイトに自分のデータを入力することに懐疑的であるだけでなく、メールを通じて個人情報を求められることにも懐疑的なのです。

    メール登録者との信頼関係をさらに構築するために、Brand Indicators for Message Information(BIMI)を採用することができます。メールに情報が少し加わるだけですが、そのメールが信頼できる合法的なブランドから送信されていることを保証する規格です。

    同時に、顧客から収集した機密情報は、ハッカーが侵入しにくい別の安全なデータベースに保管しておく必要があります。

    BIMIのイメージ図。画像内では「Groupon」と「Aetna」がBIMIの対象(出典:LitimusBlog「What is BIMI and why should email marketers care?」

    5. メールのパーソナライゼーション

    データが安全に保管されているという信頼感を顧客に与えることで、メールのパーソナライゼーションとい、貴重なメールマーケティングの手法が使えるようになります。

    メールマーケティングソフトウェアを開発する「Campaign Monitor」によると、セグメント化されたメールキャンペーンは760%の収益増加が期待でき、一般的な一律のメールキャンペーンよりも効率的です。

    さらに、市場・消費者データを扱う「Statista」が2016年に行った調査によると、パーソナライズされたメッセージの開封率は、一般的なメッセージに比べて1.5倍近く高いことがわかりました(それぞれ18.8%、13.1%)。

    「Statista」が2016年に実施したメールのパーソナライゼーションに関する調査結果(画像:「Marketing e-mail open and click rates in the U.S. in 2016, by personalization」より編集部が作成)

    興味深いことに、件名とメッセージの両方がパーソナライズされていた場合、開封率は5.9%に低下しました。

    パーソナライズされたメールがメールキャンペーンの成功率を高めることは明らかですが、自社のオンラインストアには何が最適か、試してみることも可能です。

    顧客を特定のアイテムに興味のあるグループにわけることで、一般的なプロモーションを作成するよりも、はるかに効率的なキャンペーンになります。

    ほとんどのメールソフトで、顧客の興味に応じてメールリストをセグメント化し、並行してメールキャンペーンを行うことができます。

    6. 情緒的なつながり

    デジタルの世界では、私たちは匿名性に慣れているため、感情的なつながりを期待していません。オンラインストアの主な目的は買い物ですが、消費者との感情的なつながりを作ることで、ビジネスをさらに発展させることができます。

    調査によると、人は感情的なつながりを感じた企業にお金を使いたいと思うそうです。感情的なつながりを感じている企業と、そうでない企業を比べた場合、その消費額の差は、実に2.5倍にもなります。

    愛用ブランドで 満足している顧客 感情的つながりがある顧客 感情的つながりによる効果
    年間消費額 275ドル 699ドル 2.5倍
    購入期間 3年4か月 5年1か月 1.5倍
    表:Cision「New Retail Study Shows Marketers Under-Leverage Emotional Connection」より編集部が作成

     

    感情的なつながりを実現するには、メールキャンペーンを単なるメッセージ発信や一般的なプロモーション以上のものにする必要があります。誕生日のお祝い、個人的なプロモーション、名前入りの割引コード、フィードバックのお願いなどを送りましょう。

    あなたのECサイトがソーシャルコマースの原理を活用していれば、より多くの信頼を得ることができます。リピーターが増える可能性も高まりますし、口コミで新規顧客を獲得することもできます。

    ◇   ◇   ◇

    オンラインストアのマーケティングに導入を検討すべき、6つのメールマーケティングのトレンドを解説しました。

    これらのトレンドのなかには、インタラクティブ性、自動化、デザインなど、純粋に技術的なものもありますが、プライバシー、パーソナライゼーション、感情的なつながりなど、心理的な要素も含まれています。2021年に効果的なメールマーケティングキャンペーンを行う際は、この2つの側面を組み合わせて使用する必要があります。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    通販・EC実施企業は必見! 新たな販路になる政府の景気刺激策「グリーン住宅ポイント制度」とは?「交換商品事業者」の要件は? | 2019年10月の増税、キャッシュレス、軽減税率制度の情報まとめ

    4 years 8ヶ月 ago
    「グリーン住宅ポイント制度」は、グリーン社会の実現、地域における民需主導の好循環の実現などに資する住宅投資の喚起を通じ、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ経済の回復を図ることを目的とする制度

    コロナ禍の景気刺激策として、国土交通省が2021年4月から始める新たな住宅ポイント制度「グリーン住宅ポイント制度」。一定の省エネ性能などを有する住宅の新築やリフォーム、一定要件などを満たす既存住宅の購入に、商品や一定の追加工事と交換できるポイントを付与する制度で、新築で最大40万円相当、リフォームは最大30万円相当などのポイントを発行する。商品を消費者に提供する「交換商品事業者」の要件は、消費者向けの通信販売の実績があることなど。通販・EC事業者の新たな販路になる「グリーン住宅ポイント制度」を解説する。

    「グリーン住宅ポイント制度」とは?

    「グリーン住宅ポイント制度」は、グリーン社会の実現、地域における民需主導の好循環の実現などに資する住宅投資の喚起を通じ、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ経済の回復を図ることを目的とする制度。

    一定の省エネ性能などを有する住宅の新築、リフォーム、または一定の要件などを満たす既存住宅を購入する場合、商品や追加工事と交換できるポイントを付与する。

    • 新築は最大40万円相当、リフォームは最大30万円相当のポイントを付与
    • 一定の要件を満たす場合、新築は最大100万円相当に付与ポイントを引き上げる(たとえば東京圏からの移住のための住宅、18歳未満の子ども3人以上を有する世帯が取得する住宅、三世代同居使用の住宅など、災害リスクが高い区域から移住のための住宅)
    • 「新たな日常」などに対応した追加工事にもポイント交換できる
    • 若者・子育て世帯がリフォームを行う場合などにポイントの特例あり
    「グリーン住宅ポイント制度」
    「グリーン住宅ポイント制度」について(国交省発表の資料からキャプチャ)

    対象は、2020年12月15日から2021年10月31日までに契約を締結した一定の省エネ性能を有する住宅の新築(持家・賃貸)、一定のリフォームや既存住宅の購入。

    消費者は、付与されたポイントを「新たな日常に資する商品」「省エネ・環境配慮に優れた商品」「防災関連商品」「健康関連商品」「家事負担軽減に資する商品」「子育て関連商品」「地域振興に資する商品」、追加工事との交換ができる

    制度全体の流れ(画像はグリーン住宅ポイント事務局のWebサイトからキャプチャ)

    この商品を供給する事業者は「交換商品事業者」と呼ばれ、通販・EC事業者などが対象となる。

    「グリーン住宅ポイント制度」を活用する消費者は、グリーン住宅ポイント事務局を通じて商品交換を申し込み。交換商品事業者は消費者へ直接、納品する。その後、事務局から交換商品代金相当額の支払いを受けるという仕組みになる。

    「交換商品事業者」の要件とは?

    「交換商品事業者」についてグリーン住宅ポイント事務局は2月22日、交換商品の提供を希望する事業者の募集をスタートした。

    商品交換のフロー(画像はグリーン住宅ポイント事務局の公表資料からキャプチャ)

    募集期間(登録申請期間)は2021年10月31日まで。事業予算は1094億円(事務費込み)。商品交換期間は2021年6月上旬~2022年1月15日

    交換商品事業者の要件

    原則として、以下の1~5の要件を満たすことが必要。

    1. 日本国内に法人登記している企業、団体
    2. 日本国内で消費者向けの通信販売の実績を有すること。「通信販売の実績」とは、Web上に自社が運営または管理する通信販売サイト(ECモールへの出店を含む)を有し、当該サイトから商品の閲覧、注文ができること。商品の問い合わせについて、メールだけでなく電話でも受け付けていることなど。また、受注した商品の配送について、配送会社と物流委託、定期集荷などの基本契約を締結していることが求められる
    3. 商品交換期間を通じて提供できる十分な在庫を有する商品を3点以上提供できること
    4. 事務局が定める「グリーン住宅ポイント制度 交換商品事業者登録規約」(規約)「商品交換ガイドライン」(ガイドライン)および事務局が制作するマニュアルなど(運用マニュアル)に沿って運用を行えること
    5. 暴力団または暴力団員である者、不正の利益を図る目的もしくは第三者に損害を加える目的で暴力団もしくは暴力団員を利用している者などに、該当しないこと。

    募集する交換商品

    「新たな日常」に資する商品

    ウィズ・コロナ時代の生活様式の変化に対応した「新たな日常」の実現に資することについて妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

    • テレワーク家電
    • テレワーク環境整備用品
    • テレワーク用品
    • ステイホーム家電
    • DIY用品
    • 園芸用品・アウトドアリビング
    • 楽器
    • 感染予防家電
    • 感染予防用品
    • 自転車

    省エネ・環境配慮に優れた商品

    生産・加工等の工程において環境上の課題に対し、一定の妥当な配慮がなされていることについて、認証制度の取得状況等により妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

    • PC・プリンタ・スキャナ・ディスプレイ(その他周辺機器・サプライ含む)
    • テレビ・レコーダー・プロジェクター
    • エアコン
    • 照明機器・電球
    • 寝具
    • カーテン・ブラインド
    • 園芸用品

    防災関連商品

    災害発生時の被害の防止・抑制や円滑な避難、生活手段の確保・維持等に資することについて、妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

    • 食料品(非常食・保存食)
    • 住宅内の被害防止・抑制に資するもの
    • その他の防災・避難用品

    健康関連商品

    健康の保持増進や高齢者が安心して生活できる環境づくりに資することについて、妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

    • 食料品
    • アウトドア用品・自転車
    • スポーツ用品(例:グローブ、ボール、バットなど)
    • 健康器具
    • 健康家電
    • エアコン・扇風機・ストーブ・ヒーター

    家事負担軽減に資する商品

    家事負担の軽減に資することについて、妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

    • キッチン家電
    • 掃除・洗濯家電
    • スマートスピーカー
    • キッチン・バス・トイレ・洗濯・掃除用品
    • 自転車

    子育て関連商品

    子どもや保護者が使用する子どもの健やかな成長に資することについて、妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

    • 家具(学習机等に限る)
    • 文具、事務用品、ランドセル
    • 玩具
    • 絵本
    • 参考書、辞書、図鑑
    • ベビーカー、ベビーシート、チャイルドシート
    • ベビー・キッズ用品
    • 自転車

    地域振興に資する商品

    国内の特定の地域における地域資源を活かした生産・加工等を経た農林水産物、畜産物、加工食品・飲料、伝統工芸品等の地場産品であり、「地域の振興」に資することについて、妥当と考えられる内容が明示されていること。商品例は次の通り。

    • 肉、魚、野菜、果物
    • 練り物、缶詰
    • 酒、ジュース
    • 陶磁器
    • 木製家具
    • 織物、編み物、染め物
    ◇◇◇

    3月下旬から登録事業者・商品情報の公表をスタート。4月下旬からポイント発行申請の受け付けを始める。6月初旬~商品交換申込をスタートする予定。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    「Amazonビジネス」は世界で数十万社が利用、日本は時価総額上位100社のうち80社以上が使用

    4 years 8ヶ月 ago
    「Amazonビジネス」より

    アマゾンジャパンによると、法人・個人事業主向けの通販サービス「Amazonビジネス」は現在、個人事業主から数万人の従業員を抱える多国籍企業まで、世界で500万を超える法人顧客にサービスを提供しているという。

    日本では時価総額上位100社のうち80社以上が「Amazonビジネス」を利用している(2021年2月19日時点)。

    世界では、フォーチュン100社のうち80社以上が「Amazonビジネス」の顧客に。また、フォーチュン500社のうち300社近くが「Amazonビジネス」のアカウントを保有。「Amazonビジネス」の販売事業者は世界で数十万社の規模で、その半数以上が中小規模という。

    「Amazonビジネス」は数億種類の商品を販売。「Amazonビジネス」の年間売上高は世界で250億ドル超に達し、その半分以上は販売事業者による売り上げという。

    国内では、日本の国立大学の90%以上が「Amazonビジネス」に登録。3000万種類以上の商品を法人価格で提供している。

    アマゾンジャパンが「Amazonビジネス」を日本でスタートしたのは2017年。オフィス、建築/建設、飲食サービス、病院/クリニック、ホテル/レジャー、工場、自動車整備、理美容業、大学/学校、研究所、行政機関、農業などを対象にした商品を幅広くそろえている。

    Amazonが直販で扱っている法人向け商材のほか、「Amazonビジネス」に出品した販売事業者の商品を販売している。

    クロス・マーケティングが行った調査では、「Amazonビジネス」を利用している事業者にその理由をたずねたところ、上位は「配送速度」「求めやすい価格」「豊富な品ぞろ」をあげている。

    「Amazonビジネス」を利用している理由
    「Amazonビジネス」を利用している理由(Amazonブログ「dayone」から編集部がキャプチャ)

    「Amazonビジネス」は、突発的に必要になった商品を購入する場合の「注文から到着までの時間がかかる」「価格の比較ができない」「売っている場所が分からない、探すのが手間」といった課題に対応できるのが特徴という。

    突発的な商品の購買についての課題など
    突発的な商品購入について(Amazonブログ「dayone」から編集部がキャプチャ)

    加えて、購買データの蓄積やデータ活用できるため、デジタル化による購買業務の可視化を「Amazonビジネス」の利用理由としている回答も一定数あった。コロナ禍の2020年4月に「Amazonビジネス」を本格導入した事業者からは、「『Amazonビジネス』で購入することで、それまで必要とされていた稟議書の申請や承認が不要になり、購買業務の効率化という改革が実現した」というコメントが寄せられている。

    石居 岳
    石居 岳

    北の達人・木下社長が語るEC関係者は知っておくべき「知財管理」の重要性。「権利を守ることがお客さまを守ることにつながる」 | 竹内謙礼の一筆啓上

    4 years 8ヶ月 ago
    北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下勝寿氏がインタビューで語る「はぐくみプラス訴訟」【前編】(連載第17回)

    このくらいのことはネット通販の広告で言ってもいいだろう」「この程度の嘘ならバレないだろう」――。ネット通販の業界であやふやになりがちな認識が、改めて違法であると証明された。2月9日、不正競争防止法に関する裁判で、東京地方裁判所は原告である北の達人コーポレーション(本社・札幌市北区)の主張を認め、被告のはぐくみプラス(本社・福岡市中央区)に対し損害賠償金1835万7803円の支払いを命じた。

    筆者は以前から、Eコマース業界に関わる人は正しい法律の知識と情報を持つべきだと考えていた。裁判の経緯や判決について詳細な話を聞きたいと思い、北の達人コーポレーションの木下勝寿社長に取材を申し込んだところ、2月26日にClubhouseで公開取材をさせてもらう機会をいただいた。

    当日は100名以上の聴講者が参加、非常に勉強になる時間を過ごさせてもらった。少しでも多くのEC事業者に、不正競争防止法について理解してほしいという思いもあり、インタビューの内容をこの場で発表させていただく。インタビューをそのままに文字を起こしてしまうとわかりにくい表現があるため、会話のやり取りに若干のアレンジを加えている。ご了承いただきたい。

    なお、Clubhouse上で公開取材を行う際、木下社長には事前に記事化の承諾を得て、ルーム作成にあたり聴講者には『ネットショップ担当者フォーラム』で記事にすることを事前にお伝えしている。

    どんな行為が「不正競争」にあたるのか

    • 他社の有名なロゴマヤマーク等を不正に使用する
    • 他人の商品の形態を模倣した商品を提供する
    • 窃取 、詐欺、脅迫その他不正な手段により営業秘密等を取得する
    • 原産地、品質、用途、数量等について誤認させる表示を行う
    • 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知、流布する ……など

    「不正競争防止法」は、事業者間の公正な競争を確保することで、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律(不正競争防止法第1条)。表示規則などはその性質上、事業者を保護するとともに、消費者をも保護する側面もある。

    これまでの経緯

    2018年2月7日、北の達人コーポレーションは、はぐくみプラスを被告として、品質誤認表示・信用毀損行為の差止め、品質誤認表示の抹消、虚偽の事実を記載した文書の回収、13億7944万円の損害賠償のうち一部である1億円の支払いなどを求め、東京地方裁判所に訴訟を提起した。
    2021年2月9日、東京地方裁判所は北の達人コーポレーションの訴えを認め、はぐくみプラス社に対し損害賠償金として1,835万7,803円の支払いを命じた。

    始まりは1つの模倣品

    ──まずは訴訟の経緯を教えて下さい。

    木下勝寿氏(以下、木下): 当社では健康食品や化粧品などのオリジナル商品を取り扱っています。その中の看板商品の1つが「カイテキオリゴ」という商品です。今回、訴えた「はぐくみプラス」という会社は、その看板商品の競合商品を売っていました。商品名は「はぐくみオリゴ」という名称でしたが、配送の外装箱のデザインから、ページ上の開発秘話のストーリーまで、そっくりなものを作ってきました。

    パッケージ写真:北の達人コーポレーションの「カイテキオリゴ」と、はぐくみプラスの「はぐくみオリゴ」
    北の達人コーポレーションの「カイテキオリゴ」(左)と、現在発売されているはぐくみプラスの「はぐくみオリゴ」(右) Amazonの商品ページより編集部でキャプチャ

    ──それはひどいですね。

    木下: 実物を見た時、うちの商品の大ファンじゃないかと思ったぐらいです(笑)。本当にそっくりでした。でも、問題はそれよりももっと重要なところにありました。

    ──それは何でしょうか?

    木下: 「はぐくみオリゴ」は「オリゴ糖純度100%」を宣伝文句としていたのですが、今の科学技術では100%純度のオリゴ糖を製造することは不可能なんです。

    ──つまり、嘘の表記をして売っていたってことですね。

    木下: その通りです。だけど、私も「どうせ素人が勘違いして売っているのだろう」と、当時は目くじら立てず、そのまま放置することにしました。

    ──勘違いや誤解は誰にでもありますからね。

    木下: しかし、あるアフィリエイトのイベントで、はぐくみプラスの社員がアフィリエイターに対して「北の達人のカイテキオリゴは純度100%じゃない。はぐくみオリゴの方が商品として優れている」と、自社の商品を宣伝していることが発覚したんです。

    嘘の情報で自分たちの商品のほうが優れていると売り込むのは、さすがに見過ごせないと思い、弁護士を通じて正式に抗議しました。すると、はぐくみプラスから弁護士名義で謝罪の連絡が来ました。

    ──謝ってきたんですね。

    木下: ところが、謝罪をしたのにも関わらず、その後もはぐくみプラスは自社商品を「オリゴ糖純度100%」をアピールして売り続けたのです。

    1回目だけなら知らなかったで済まされますけど、謝罪した上で2回目以降も純度100%の謳い文句で売り続けましたからね。これは悪質だと判断し、訴訟という形で対応せざるを得なくなりました。

    表示をする際に留意すべきこと

    • 誤解を招くような表示をしない
      虚偽の表示をしないことはもちろん。取引先や一般消費者が誤認するような表示がないか、注意が必要
    • 困ったら経済産業省や専門家に相談
      例えば「A県で生産された原料をB県で加工、さらにC県でも加工して完成した商品の場合、どこが原産地になるか?」「衣料品にデザインとして国旗を描いた場合、その国が原産地だと誤認されるおそれはないと言えるか?」など、疑問に思うことがあるときには、「経済産業省知財産政策室」に問い合わせるか、弁護士などの専門家へ相談を。

    そして法廷へ

    ──裁判では何を訴えたんですか?

    木下: 事実にはないことを表記した「品質誤認表示と信用棄損行為の差し止め請求」と、「損害賠償請求」の2点で訴えました。

    当社で「はぐくみオリゴ」のオリゴ糖の成分を調べたところ、53.29%しかありませんでした。それを「オリゴ糖純度100%」と表示をした行為に対して、東京地方裁判所は品質誤認表示に該当するという認定を出しました。加えて、はぐくみプラスに損害賠償金として1835万7803円の支払いを命じました

    ──札幌近郊で新築一戸建てが買える金額ですね。

    木下: 買えませんよ(笑)。もうちょっとしますよ。

    ──すみません、話を元に戻します。もう1つの品質誤認表示と信用毀損行為の「差し止め」はどうなりましたか?

    木下: はぐくみプラス側が裁判中に「オリゴ糖純度100%」の表記を少しずつホームページ等の表記から削っていきました。これは本気でマズいと思ったんでしょうね。そのおかげで、「差し止め」に関しては判決の中には含まれないことになりました。

    ──裁判はどんな流れで進んでいったんですか?

    木下: 最初は裁判所から訴状を相手に送るところから始まりました。ですが、はぐくみプラスの社長が訴状を受け取ってくれなかったんです。

    ──えっ、会社に送ったんですよね? 社長が訴状を受け取らないってありえるんですか?

    木下: 社員の方が受け取ってもいいんですけどね(笑)。でも、何回送っても訴状を受け取ってくれないんです。自宅に送ったら、今度は古い住所だということで戻ってきて。結局、新しい転居先をこちらで調べて再送付したところ、ようやく受け取ってくれました。

    ──対応としては最悪なパターンですね。

    木下: 心証は良くないですよ。この時点で相手はまともに話し合う姿勢がないと思いました。本当に自分達が正しいと思うのであれば、正々堂々と裁判は受けるべきだと思いますし。

    ──はぐくみプラス側は、どんな言い分を主張してきたんですか?

    木下: 提出してきた資料は稚拙なものが多かったですね。例えば「そもそもオリゴ糖という定義自体が明確ではないので、オリゴ糖が100%ではないという証明ができない」という話とか。何を言っているのかわからない話に終始していました。

    100パーセントではないという証明はできません。

    ──それって「カレーの定義が明確ではないから、カレーが辛いとは証明できない」って話に似ていますね(笑)。揚げ足取りというか、論点がずれているというか。少なくとも誠意のある主張ではないですね。

    木下: おそらくオリゴ糖の製造をOEMで外部に出していると思うので、成分や製造の知識をほとんど持ち合わせていなかったんだと思います。でも、裁判は結審まで主張を続けられる権利があるので、結局、相手の稚拙な言い分に最後まで付き合うしかありませんでした。

    ──判決が出るまでの道のりは大変だったんですね。

    木下: 最終的には、当社で分析をした「はぐくみオリゴのオリゴ糖の純度は53.29%」という主張が認められて、ようやく判決に至りました。

    偽装表示を発見した場合の対処法

    当事者間で解決を図る
    他社の偽装表示によって営業上の利益を侵害されている場合、営業上の利益を侵害される恐れがある場合には、偽装表示の行為者に対し、警告状を送り、侵害行為を止めるよう交渉する。

    裁判所以外の期間を利用して解決を図る
    第三者に調停人となってもらい、当事者間の合意によって紛争を解決するのが「調停」。第三者に仲裁人となってもらい、仲裁人の判断によって紛争を解決する「仲裁」などの手続きを利用して、偽装表示をやめてもらったり、損害を賠償してもらう。調停や仲裁は、弁護士会の紛争解決センターなどが実施している。

    裁判所の手続きを利用して解決を図る
    他社の偽装表示によって営業上の利益を侵害されている場合、営業上の利益を侵害される恐れがある場合には、その差し止めや損害賠償を求めて、裁判所に訴えを提起する。

    捜査機関に刑事事件の追及を求める
    不正の目的で誤認惹起行為を行った者などには刑事罰が科せられる。偽装表示を発見した場合、警察や検察庁に対して刑事責任の追及を求めることができる。

    なぜ訴訟に踏み切ったのか

    ──木下社長の話を聞いて、改めて裁判はお金も手間もかかると思いました。しかし、それがわかりながらも、なぜ訴訟に踏み切ったんでしょうか。

    木下: 私も争い事は好きではないんです。競合よりもお客さまのほうを見て、全力で仕事をしたほうがプラスになりますから。でも、はぐくみプラスがオリゴ糖の純度が50%程度しかない自社商品を、純度100%と謳って販売し続けることは、巡り巡って、当社ではなく、お客さまが被害者になるのではないかと思うようになったんです。

    ──市場そのものが消費者から信頼されなくなったら、それこそ真面目に商売をやっている会社の商品も売れなくなりますからね。

    木下: ディズニーは著作権が厳しいことで有名です。しかし、それは自分たちの権利を独り占めにしたくて厳しくしているのではなく、お客さまのことを粗悪品から守るために厳しくしているんです。この裁判があるまでは、私もディズニーの著作権に対して、「厳しいな」と思っていました。でも、実際に自分がお客さまを守る立場になって、権利を守ることがお客さまを守ることにつながるんだということがわかりました

    ──自社の利益だけを考えたら、裁判を起こすことは割が合わないですからね。

    木下: 今回の裁判を機に、当社では「競合模倣対策室」を設置することにしました。社内弁護士2人体制で模倣品や虚偽の広告などの監視を行っています。市場を開拓した先駆者として、今後もお客さまを粗悪な商品から守る活動は続けて行こうと思います。

    後編「弁護士に全力で戦ってもらうために必要なこと」「もしも訴えられる側になったら」(3/24公開予定)に続く

    【筆者からのお知らせ】

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    竹内 謙礼
    竹内 謙礼

    百貨店の構造からの転換へ――大丸百貨店が始めたサステナブル重視のファッションのサブスクEC業「アナザーアドレス」とは?

    4 years 8ヶ月 ago

    大丸松坂屋百貨店は3月12日、ファッションサブスクリプション事業「AnotherADdress(アナザーアドレス)」をスタートした。

    「AnotherADdress」は、ファッションの本質的な価値、サステナブルな取り組みを重視。社会や環境にとって持続性の高いビジネスモデルへの転換をめざすサービスとして展開する。

    百貨店業・小売業は、ファッション産業を取り巻く大量生産、大量消費といった流れと共に成長してきました。しかしながら、その流れの裏にある大量廃棄を中心とした環境問題が社会や地球に与える影響は非常に大きなものになっています。その問題に真剣に向き合い、ビジネスモデル全体をより持続可能な方向に舵を切ることは、J.フロントリテイリンググループの大きな責務であると考えています。

    「AnotherADdress」は、大丸松坂屋百貨店が事業主体者として受注。100%Web注文、サブスクリプション型のストックビジネスとすることで、従来の百貨店ビジネスが抱えるリアル店舗依存、フロービジネスからのビジネスモデル分散にも挑戦する。

    ファッションサブスクリプション事業は、これまでの百貨店の構造からの転換、持続的な未来を実現するための新たな挑戦の第一歩となるという。

    大丸松坂屋百貨店はファッションサブスクリプション事業「AnotherADdress(アナザーアドレス)」をスタート。ビジネスモデルについて
    ビジネスモデルについて

    「AnotherADdress」は、国内外のブランドを自由に選べるサブスクリプション型(定額制)のファッションサービス。百貨店ブランドなど国内外の50ブランドをラインナップし、順次拡大する。

    都市型のビジネスウーマン、企業のマネジメント層、次世代リーダー、起業家といったペルソナ像を設定。「新しくなること、挑戦することを探求し輝き続けるすべての人」と行動軸でターゲットを定めたという。

    “価格志向、スタイリストによる利便性追求”ではなく、海外で大きなマーケットとなりつつある“洗練されたブランドラインナップ、お客様自身が今着たいものを選択できる自由さ”をマーケットポジションとする。

    大丸松坂屋百貨店はファッションサブスクリプション事業「AnotherADdress(アナザーアドレス)」をスタート。マーケットポジションについて
    マーケットポジション

    月額1万1880円(税込)で、好みのアイテム3着を1か月間レンタルできる。月額料金には、往復の送料やクリーニング、基本的な修繕料金も含んでいる。

    一般的な使用に伴う、擦れやキズ、汚れについては月額料金の範囲で対応する。また、消費者は会員価格で購入することも可能。

    大丸松坂屋百貨店はファッションサブスクリプション事業「AnotherADdress(アナザーアドレス)」をスタート。サービス概要について
    サービス概要について

    独自のサステナブルな取り組みを推進している3PL事業者、配送事業者、クリーニング事業者、リサイクル事業者とパートナーシップを組む。

    3PLは日立物流、クリーニングはバレル、リサイクルは日本環境設計、システム開発はGWGと80&Companyが担当する。

    石居 岳
    石居 岳

    楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、各ECモールにおけるデータ活用法 | デジタルコマース注目TOPIX presented by 電通デジタル

    4 years 8ヶ月 ago
    ECモールは新規ユーザー獲得のための分析やデータ活用が必須です。各社のデータ活用についてまとめました(連載2回)

    昨今の社会情勢もあいまって重要度が増しているEC。技術革新やユーザーニーズにより生まれたオムニチャネルやOMOなど顧客体験の向上により、企業はオンライン・オフライン、自社ECサイトとモールECサイト、国内外といった垣根を超えた視点で「コマース」全体を捉え、顧客に価値提供をすることが急務となっています。

    「コマース」領域を事業の大きな柱の1つとし、クライアントのデジタルマーケティングを支援している電通デジタルが、国内でEC事業の売り上げを拡大する上では欠かせない販売チャネルとなっている「日本3大ECモール」について、それぞれの特徴、活用ポイントをお伝えします。

    販売チャネルとして欠かせないECモール

    楽天市場のデータ活用のポイント

    楽天市場では、他のECモールや自社ECサイトの分析ツールと同様に、店舗全体または商品別の売り上げ、アクセス人数(ユーザー数)、転換率(コンバージョン率)といったECにおける重要指標を確認できます。

    最も特徴的なのは、「レディースファッション」「健康食品」「ヘアケア」など自店が所属しているジャンルの月商レンジ別での売り上げやアクセス人数、転換率、客単価のデータと比べられる点です。自分たちの店舗の目標に近しい月商レンジ内で、売上上位店舗の各データの平均値と比較できるため、どの指標が足りておらず、どの程度を目指すべきなのか確認できます。

    どの指標をどの程度の目標にするべきか、常に確認しながら施策を実施できるので、モール内での戦略立案をする上で非常に参考になります。

    また、楽天市場のユーザーに配信できるメールマガジン「R-Mail」の開封率や、メルマガ経由での転換率などのデータや、メルマガのヒートマップ分析も可能です。他にも、楽天市場内で実施できる施策の効果検証を、タグの挿入なしに簡単に行える点も優れた特徴と言えます。

    データ活用では楽天データマーケティング株式会社との連携により、楽天市場に店舗を出店していないメーカーでも、楽天IDの会員基盤と実購買データをもとにした顧客分析データを活用し、そのIDベースで、狙いたいターゲットに対して情報を届け、「誰に、何を、どう伝えたら売れたのか」の追跡も可能です。

    また、楽天IDとデータ提供許諾企業の楽天ポイントカード提示時のPOSデータを統合して分析に活用することで、オフライン購買に対する広告の貢献度を把握することも可能です。

    スクリーンショット 楽天市場を活用したマーケティング施策の1例
    楽天市場を活用したマーケティング施策の1例
    ※「RMP - Showroom」(出典:楽天株式会社)

    このように、楽天市場分析データの活用の特徴は、「出店店舗のジャンル内平均値の比較が容易にできること」と「楽天IDで統合された消費行動分析データによる、ファネルの可視化」にあると言えます。

    Yahoo!ショッピング(PayPayモール)のデータ活用のポイント

    Yahoo!ショッピング、PayPayモールでも、楽天市場のように店舗全体や商品別に各指標を確認できます。Yahoo!ショッピングの最大の特徴は、「STORE's R∞」(以下「R∞」) での数値です。「R∞」とは、Yahoo!ショッピング内で使える顧客管理システムで、モール内で指定のPRオプション広告を指定の料率で設定することで利用できます。

    自社ECサイトに比べ、ECモールでは自由に外部ツールの実装ができないこともあり、リピート施策が限られていますが、Yahoo!ショッピングでは休眠顧客の掘り起こしにも使えるCRMツールを活用できます。この「R∞」でのデータ活用に関していくつか説明します。

    まず、どのようなお客様がストアに来ているのか、ダッシュボードで前日のストアの顧客や売上状況を確認できます。性別や年齢といった属性に加え、居住地域、Yahoo!プレミアム会員の割合、購入金額なども把握でき、どのようなユーザーが来店しているのかが一目でわかります。

    スクリーンショット 「R∞」ダッシュボードのイメージ
    「R∞」ダッシュボードのイメージ

    他にも「R∞」を活用することで、モール内検索結果内に配信対象のユーザーに向けて「〇〇円(%)OFFクーポンがあります」といったバッジを表示させることができ、クーポンの利用率を高めるきっかけになるだけでなく、購買意欲の高いエンドユーザーに対してクーポンの存在をアピールすることができるので、検索結果での視認性やクリック率の向上によって購買率の増加が期待できます。

    また、クーポンのセグメントごとにABテストを実施できるため、お知らせのタイトルや本文、クーポン名や値引き率などによって、どの配信やオファーの仕方が自分たちの店舗にとって効果が高かったのか検証できます。

    前述したように、ECモール内ではリピート引上げの施策はできることが限られており、いかに再来訪させるかが課題になってきます。ぜひ「R∞」を活用してターゲットに合わせたオファーを仕掛け、購入とリピートに結びつけてください。

    Amazonのデータ活用のポイント

    Amazonでも、店舗の売上傾向や数値を把握することができるダッシュボードを確認できます。Amazonには楽天市場やYahoo!ショッピングとは異なる独自の指標が存在するため、それぞれの指標の意味を理解する必要があります。さらに、重要指標については日々動向を確認していきましょう。

    カートボックス獲得率

    商品ページでカート獲得ができている場合の表示率です。複数の店舗が同じ商品を出品している場合、売り上げに大きく左右される指標なので必ず確認してください。

    ユニットセッション率

    購入率(CVR)のことです。他ECモールや自社ECサイト同様、このユニットセッション率が低い商品は商品ページの見直しを行い、商品情報の不足や不備がないか確認しましょう。また、ユニットセッション率の高い商品は、セッションが増えることで売り上げに直結する可能性もあります。

    ACOS(エーコス)

    広告経由売上に対する広告費の割合(支払総額 ÷ 総売上 × 100)の指標です。数値が低いほど広告の費用対効果が良いという判断ができるので、数値の良い商品はより伸ばし、悪い商品は流入後の商品ページに問題がないか見直しましょう。

    Amazonの売り上げの公式
    Amazonの売り上げの公式(電通デジタル作成)

    絶対評価と相対評価を

    自社ECサイトにおいてもECモールにおいても、各販売チャネルで確認できる指標とその意味を把握し、実施した施策が成功したのか、しなかったのか判断することが重要です。

    その際、「アクセス数はこのくらいくるだろう」「CVRはこのくらい上がるだろう」といった結果の絶対的な評価も重要ですが、同時に「他店舗の数値はどう変動していたのか」「デバイスを分けて見てみた場合はどうか」「昨年同月比で見たらどうか」というように、相対的な評価も掛け合わせ、分析を行ってください。

    髙木 真樹
    髙木 真樹

    楽天が2400億円を調達しモバイルへ投資。日本郵政、テンセントグループ、ウォルマートが出資

    4 years 8ヶ月 ago

    楽天は日本郵政、中国のテンセントグループ、ウォルマートを引受先とした第三者割当増資を実施し、約2400億円を調達する。

    調達資金は楽天モバイルへの投融資資金に充当。2021年12月までに、第4世代移動通信システム(4G)普及のための特定基地局の整備、第5世代移動通信システム(5G)拡大のための特定基地局整備への設備投資に充てる。

    物流やモバイル、DX分野を中心に協業

    約1500億円を出資(出資比率は8.32%)する日本郵政とは3月12日、物流、モバイル、DXなどさまざまな領域において連携を強化することを目的として、業務提携合意書を締結。主に物流、モバイル、DX(デジタルトランスフォーメーション)の分野で業務提携する。

    物流においては共同拠点やドローン・UGV(自動走行ロボット)など次世代技術の共同開発、データを活用したデジタルによるオペレーション開発などで協業する。

    楽天グループ 日本郵政グループ 資本・業務提携を合意 物流
    物流分野での協業内容

    モバイルでは、日本郵便が持つ郵便局ネットワークを活用する。楽天では、人口カバー率96%を2021年夏に実現する目標を掲げる。すでに400局の郵便局に基地局を設置しており、今後500局以上の展開を予定しているという。

    3月9日に楽天モバイルの申込者数が300万件を突破したものの、ほとんどの申し込みがオンラインからという。基地局の設置だけでなく楽天モバイルのプロモーションでも協業を検討。郵便局内のスペースを活用した申し込みカウンターの設置、配達ネットワークを活用した広告宣伝、オフラインでの顧客獲得の面で協業を進めるという。

    楽天グループ 日本郵政グループ 資本・業務提携を合意 楽天モバイル
    モバイル分野での協業内容

    日本郵政のDX推進については、楽天グループからデジタル人材を派遣、オペレーションの改善やデジタル面での改善を楽天がサポートする。

    楽天グループ 日本郵政グループ 資本・業務提携を合意 DX推進
    日本郵政グループのDX推進内容

    そのほか、金融におけるキャッシュレスペイメント分野、ECにおける物販分野での協業を検討しているという。

    今回の提携について、楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長、日本郵政の増田寛也取締役兼代表執行役社長は次のように述べた。

    楽天のようなベンチャー企業が、歴史ある日本郵政さんと戦略的パートナーを結べることは、世界でも類を見ない新しい提携パターンだと思う。

    コロナ禍で今まで以上にDXが加速し、ネットがなくてはやっていけない時代に突入した。一方、地方をいかにエンバーメントするかが極めて大切になる。創業精神に立ち戻り、地方の経済をエンバーメントすることを今後も続けていきたい。

    リアルとバーチャルの2つの大きな力が合わさって新しい形を作ることにワクワクしている。(三木谷氏)

    楽天グループ 日本郵政グループ 資本・業務提携を合意 三木谷浩史氏
    楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏

    資本提携を進めることにより、提携のレベルがより深まると考えている。どういう出資をしていくのかは、我々としても慎重にリスク・リターンを検討した上で判断したもの。

    物流面での業務提携については2020年12月に発表済みだが、物流の中身についても業務効率化を超え、積極的により多くの荷物の利用者を増やす。 可能な限り日本郵便を使ってもらい、我々がお客さまに荷物を届けることで地域貢献をするための提携を考えている。

    それに留まらず、金融やEC市場についてもより積極的な提携をしていきたい。(増田氏)

    楽天グループ 日本郵政グループ 資本・業務提携を合意 増田寛也氏
    日本郵政 取締役兼代表執行役社長の増田寛也氏

    楽天、テンセント、ウォルマートの小売・ECグループ

    テンセントは完全子会社Image Frame Investment(HK)Limitedを通じて約657億円、米ウォルマートは約165億円を出資する。

    テンセントは中国EC大手の京東集団(JD)をグループ企業として抱えており、楽天は協業関係にある。JDの越境ECモール「JD Worldwide」への出店、ドローンやUGVの導入などで協業している。

    楽天はテンセントとの資本関係を通じて、デジタルエンターテインメント、Eコマースなどでの協業を検討しているという。

    ウォルマートと楽天は西友を通じた協業関係を構築。また、ウォルマートはテンセントへも出資している。

    楽天と米国の資産運用会社であるKKRはウォルマートが保有する西友の株式について、KKRが65%、楽天が新たに設立した子会社「楽天DXソリューション」を通じて20%を取得。ウォルマートは西友の株式15%を継続保有する資本関係で、協業を継続している。

    藤田遥
    藤田遥

    楽天 × 日本郵政 × テンセント × ウォルマート:楽天の2400億円調達で起こることとは【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

    4 years 8ヶ月 ago
    ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年3月8日〜14日のニュース
    ネッ担まとめ

    日本郵政が楽天に出資というニュースで驚いていたら、テンセントとウォルマートも出資していてさらに驚き。日本のモールも世界的な流れに乗らないと生き残れないのかも。

    楽天と日本郵政の提携の裏にテンセントとウォルマートも

    携帯大手に激震必至:2400億円調達した楽天の「歴史的提携」 | Foresight
    https://www.fsight.jp/articles/-/47803

    まとめると、

    • 楽天グループは「第三者割当増資で約2400億円を調達する」と発表。出資するのは日本郵政グループ、中国ネット大手のテンセント・ホールディングス、米小売り大手のウォルマート、個人としての三木谷浩史楽天グループ会長兼社長。最大の引き受け先は1500億円を出資する日本郵政
    • 楽天は本郵政傘下の全国2万4000店舗の郵便局で楽天モバイルの販促ができるようになり、日本郵政の強固な物流網も利用できるようになる
    • テンセントが約657億円、ウォルマートが約166億円を出資。株式時価総額世界6位のテンセントと世界17位のウォルマートが楽天をパートナーに選んだことになる

    「プラットフォーマー」と呼ばれるGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)のビジネスが強大だが、原則としてはネットの中に閉じていた。これからは、ネットスーパーや車の自動運転のように、ネットとリアルが融合して新しい価値を生み出していくフェーズに入る。

    この記事で気にしておきたいのは引用した部分です。楽天と日本郵政の提携によって、配送、モバイル、金融で両者にメリットがあるのは当然。世界的な巨大企業の動きに同調して新しいプラットフォームの構築に動き出したことがポイントです。コロナで一気にデジタル化した世の中で、リアルとの融合も一気に進みましたよね。国内だけで争っているとこの流れに取り残されるので、今後の楽天の動きに注目です。

    関連記事

    ヤフーはヤマトと提携して配送強化へ

    配送料は全国一律60サイズ382円~、当日配達も提供へ。ヤフーとヤマト運輸が出店者向け「フルフィルメントサービス」を刷新 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8528

    ヤフー、4月からECサイトの配送料を全国一律に 打倒アマゾン・楽天へ、業界3位から巻き返し狙う | ITmedia NEWS
    https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2103/10/news147.html

    まとめると、

    • ヤフーとヤマト運輸は4月1日から、Yahoo!ショッピングとPayPayモール出店店舗向けの「フルフィルメントサービス」で、サイズ別の出店ストア向け全国一律配送料金を開始する
    • 地域別、店舗ごとに配送料金が異なっていた料金体系を刷新。ネコポスは179円(税別)、宅急便は382円(税別)からの一律配送料金とする
    • 「フルフィルメントサービス」を利用することでEC向け配送サービス「EAZY」でユーザーに配達されるため置き配などに対応できる
    「フルフィルメントサービス」リニューアル後の配送料金
    「フルフィルメントサービス」リニューアル後の配送料金

    配送料金は投函サイズで179円(税別、以下同)、宅急便サイズは382円から。「今回は他社と比較しても競争力がある価格で提供している。市場も意識し、戦える料金に設定した」(ヤマト)、「(全体的に)値下げ感があるとの声が出店者から上がると思う」(ヤフー)と、両社は自信を見せる。
    https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2103/10/news147.html

    先週は新生ZHDの記事をピックアップしましたが、今週はヤマトとの連携のニュースです。Amazonと楽天と比較して周回遅れと言われていた配送面がこの提携で改善されてきそうですね。全国一律料金はわかりやすいですし、フルフィルメントサービスを利用することで店舗は「優良配送」対象店舗になり、1配送当たり最大120円キャッシュバックするキャンペーンも行うので一気に拡大しそうです。今後は楽天のように送料無料ラインの統一なども行ってくるかもしれませんね。

    メーカーもファンも納得の仕組みが好評

    利用者の8割は毎月1万円を課金 キャラクターグッズの“福袋”サブスクが成長している理由:継続率も高い | ITmedia
    https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2103/10/news042.html

    まとめると、

    • 好きなコンテンツやアーティストの完全オリジナルグッズが福袋形式で毎月届く「サプライズボックス」が成長中。価格は送料込みで1万500円、5500円、3500円
    • 取り扱っているのはアニメ、キャラクターや、バーチャルYouTuber(VTuber)のグッズで、「手塚オールスターズ」(鉄腕アトムなど)や「うしおととら」などがある
    • 商品はマスクケース、ひも付きのブランケット、ミトンやセロハンテープなど。日々使うことで「ユーザーの生活が彩られるようなもの」を意識している

    サプライズボックスのサービスには、これまで多数の関連グッズを手掛けてきたサンリオや手塚プロダクションも参加している。サブスクリプションサービスという新しいビジネスモデルに可能性を感じており、販路を広げたいという狙いがある。また、一般的にキャラクターグッズはどの程度売れるか事前に読み切れないところがあるが、同サービスならば定期的な収入が見込めるというメリットもある。

    キャラクターグッズを作る方も買う方にもメリットがある、「福袋式」のサブスクサービスが伸びています。サブスクの契約者=売れる数なので在庫リスクも少なく、買う方も日常的に使えるグッズが毎月届くので、好きなキャラに囲まれるメリットがあります。関連記事にもあるようにルーチンで買っているものや、どれだけあっても困らない自分が好きなキャラなどはサブスクに向いていそうです。

    関連記事

    EC全般

    「ぶっちゃけShopifyってどう?」Shopifyアプリでヒット飛ばすハックルベリー安藤CEOに聞く | 日本ネット経済新聞
    https://netkeizai.com/articles/detail/3267

    Shopifyを知り尽くした安藤さんのコメントがとっても参考になります。

    「BASE(ベイス)」のネットショップ開設数が140万ショップを突破 ネットショップ開設実績で4年連続 No.1にも選出 | BASE, Inc.
    https://binc.jp/press-room/news/press-release/pr_20210305

    「Makeshop」、9年連続で年間総流通額がカートASP業界トップ 2020年は前年比135%の2343億円に | 日本ネット経済新聞
    https://netkeizai.com/articles/detail/3265

    引き続きカートのサービスが伸びていますね。

    悪質な通販・ECの「定期購入」は厳罰化へ。誤認表示への直罰規定、申し込みの取り消し認める制度の創設など | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8515

    マクロフューチャー株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について | 消費者庁
    https://www.caa.go.jp/notice/entry/023248/

    次亜塩素酸水の販売事業者3社に対する景品表示法に基づく措置命令について | 消費者庁
    https://www.caa.go.jp/notice/entry/023388/

    悪質な通販関連の記事を3つ。売れればそれでいいという時代は終わっているのですが、なかなかなくならないですね……。

    Amazonがネットスーパーの対象を拡大。バローホールディングスの出店で東海地方でも展開 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8523

    東海地方の人は「バローが!」と思っているはず。チャンスがあれば利用してみたいサービス。

    売れる鉄則はありますか?「必勝法はありません」。「卒塔婆屋さん」が語る「改善の継続」が導いた自社EC成功の秘訣 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8494

    お客様の声を聴き続け、すぐに反映させることが重要なんですね。

    Facebook、イギリスでショッピング機能「Shop」立ち上げ | eコマースコンバージョンラボ
    https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/69581

    冒頭の楽天の記事と関連して。Facebookの動きも押さえておきましょう。

    若年層を中心にDMを受け入れる意識が向上/1年前に比べ「開封割合が増えた」【トッパンフォームズ調査】 | MarkeZine
    https://markezine.jp/article/detail/35677

    デジタルが当たり前の世代には、自分宛ての郵便物が届くのが新鮮なんですよね。

    EC運営で改善したいのは「新規顧客数増加」「ショップ更新」【カラーミーショップ調査】 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8517

    月商ごとのデータが参考になります。将来的に何が問題になるのかを把握しておきましょう。

    今週の名言

    地球上には市場が無限にありますから、歩いて歩いて行動。行動して発見したら、そこにマーケットがありますから。大丈夫です。
    ─スズキ代表取締役会長 鈴木 修氏

    ビジネス特集 人に愛される力と人を愛する力 歴代担当記者が見た「修さん」 | NHKニュース
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210309/k10012905061000.html

    問答無用の説得力。新規顧客獲得が課題と思なら、歩いて歩いて行動あるのみ。

    森野 誠之
    森野 誠之

    【2020年】2.2兆円のネット広告市場の内訳は? 検索連動型、ディスプレイ、動画は大きく成長。成果報酬型広告は減少

    4 years 8ヶ月 ago

    電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルは、「2020年 日本の広告費」(電通が2021年2月に発表)の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表した。

    2020年の日本の総広告費は、世界的な新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)拡大の影響で前年比11.2%減の6兆1594億円。一方、「インターネット広告費」は成長を続け、「マスコミ四媒体広告費」に匹敵する2.2兆円規模、総広告費全体の36.2%を占めた。

    電通が公表した「2020年 日本の広告費」総広告費の内訳 媒体別広告費(2018年~2020年)
    媒体別広告費(2018年~2020年)

    「インターネット広告費」から「インターネット広告制作費」および「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いた「インターネット広告媒体費」は、運用型広告の拡大や巣ごもり需要によるソーシャル広告や動画広告の増加で広告費は前年比5.6%増の1兆7567億円となった。

    「物販系ECプラットフォーム広告費」は同24.2%増の1321億円、インターネット広告制作費は同1.4%増の3402億円。

    電通の「2020年 日本の広告費」によると、2020年1~12月における日本の総広告費は前年比11.2%減の6兆1594億円だった
    日本の総広告費の推移

    インターネット広告媒体費の広告種別構成比について

    構成比が高いのは検索連動型広告(38.6%)とディスプレイ広告(32.6%)で、合わせて7割を占める。ビデオ(動画)広告は前年比21.3%増の3862億円と伸長し、全体の2割を超えた。次いで、成果報酬型広告(5.6%)、その他のインターネット広告(1.1%)と続く。

    電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルは、「2020年 日本の広告費」(電通が2021年2月に発表)の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表 インターネット広告媒体費の広告種別構成比
    インターネット広告媒体費の広告種別構成比

    インターネット広告媒体費の取引手法別構成比

    現在の主流となっている運用型広告はインターネット広告媒体費全体の8割を超え、1兆4558億円。一方、予約型広告と成果報酬型広告は秋以降に復調の兆しが見られたものの、新型コロナ拡大による出稿控えの影響を受け、「予約型広告」は前年比12.5%減、「成果報酬型広告」は同6.1%減といずれも減少した。

    電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルは、「2020年 日本の広告費」(電通が2021年2月に発表)の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表 インターネット広告媒体費の取引手法別構成比
    インターネット広告媒体費の取引手法別構成比

    インターネット広告媒体費の取引手法別×広告種別構成比

    運用型の検索連動型広告が全体の38.6%と最も構成比が大きく、次いで運用型のディスプレイ広告が25.7%と続いた。運用型の「ビデオ(動画)広告」が前年比27.2%増と大きく伸長し、インターネット広告媒体費全体における構成比は18.3%となった。「ディスプレイ広告」の予約型は同19.9%減と減少した一方で、運用型は同12.1%増で伸長した。

    電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルは、「2020年 日本の広告費」(電通が2021年2月に発表)の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表 インターネット広告媒体費の取引手法別×広告種別構成比
    インターネット広告媒体費の取引手法別×広告種別構成比

    ビデオ広告市場

    ビデオ(動画)広告費3862億円のうち動画コンテンツの間に挿入されるインストリーム広告は1800億円(構成比46.6%)で、ウェブ上の広告枠や記事のコンテンツ面等で表示されるアウトストリーム広告は2063億円(構成比53.4%)。

    電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルは、「2020年 日本の広告費」(電通が2021年2月に発表)の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表 ビデオ(動画)広告種類別構成比
    ビデオ(動画)広告種類別構成比

    また、取引手法別でみると運用型広告が3206億円となり、8割以上を占めている。

    電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルは、「2020年 日本の広告費」(電通が2021年2月に発表)の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表 ビデオ(動画)広告取引手法別構成比
    ビデオ(動画)広告取引手法別構成比

    2021年にはビデオ(動画)広告は全体で前年比10.4%増の4263億円になると予測する。

    ソーシャル広告市場

    SNSや動画共有プラットフォーム上等で展開されるソーシャル広告は前年比16.1%増の5687億円となり、インターネット広告媒体費全体の32.4%となった。

    電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルは、「2020年 日本の広告費」(電通が2021年2月に発表)の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表 ソーシャル広告構成比推移
    ソーシャル広告構成比推移

    ソーシャルメディアのサービス上で展開されるソーシャル広告は前年比16.1%増の5687億円と高い成長率で推移し、インターネット広告媒体費全体の3割を超えた。ソーシャルメディアの種類別に「SNS系」「動画共有系」「その他」に分類すると、「SNS系」が2488億円で最も規模が大きい。前年と比較すると「動画共有系」が大きく伸長している。

    電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルは、「2020年 日本の広告費」(電通が2021年2月に発表)の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表 ソーシャル広告種類別構成比
    ソーシャル広告種類別構成比

    2021年のインターネット広告市場

    2021年のインターネット広告媒体費は継続して伸長すると予測。2021年は前年比7.7%増の1兆8912億円に拡大すると見込む。2021年のビデオ(動画)広告は前年比10.4%増の4263億円まで拡大すると予測している。

    電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルは、「2020年 日本の広告費」(電通が2021年2月に発表)の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表 インターネット広告媒体費総額の推移(予測)
    インターネット広告媒体費総額の推移(予測)

    調査概要

    • 調査主体:サイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタル
    • 調査時期:2020年12月~2021年2月
    • 調査方法:次の調査に基づき、推定作業を実施。①インターネット広告媒体社等を対象としたアンケート調査(郵送調査/web調査)「2020年(令和2年)日本の広告費インターネット広告媒体売上についてのお伺い」として実施②同、追加ヒアリング調査③各種データ収集・分析
    石居 岳
    石居 岳
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