ネットショップ担当者フォーラム

「楽天市場」に「契約更新基準」を導入、年間売上30万円未満の店舗は「研修受講」もしくは「重要施策への参画」で出店継続

4 years 9ヶ月 ago

楽天は、「楽天市場」の顧客満足度向上、販売が低迷している出店者の売上拡大を目的に、出店継続の基準を定めた「契約更新基準」を新たに導入する。

「楽天市場」での年間売上高が30万円未満の場合、「研修(Eラーニングコンテンツ)の受講完了」もしくは「楽天市場重要施策への参画」を契約更新基準にする予定。

出店規約を改定し、2021年3月上旬に出店者などへ開示する。改定後の規約の適用開始は2021年6月頃の予定。その後、新基準に基づいた契約更新は2022年6月以降を予定している。

「契約更新基準」概要

「楽天市場」での年間売上高が30万円未満の出店者に対して設ける、「研修(Eラーニングコンテンツ)の受講完了」もしくは「楽天市場重要施策への参画」の更新基準は次の通り。

Eラーニングコンテンツの受講完了

売上アップのための商品ページの作成方法、イベント活用方法、ルール、サービス、重要施策についての理解を深めてもらうコンテンツを用意。受講完了で基準を満たしたものとする。

「楽天市場重要施策」への参画

1~3の施策うち1つ以上への参画することで、基準を満たしたものとする。

  • 1.「楽天NATIONS BASICプログラム」の修了
    「楽天NATIONS」は、楽天店を成功に導いた著名社長などが講師となり、新規店舗などに店舗運営の基礎、実践例などを伝える短期集中売上アッププログラム
  • 2.「楽天が提供する物流サービス」の導入
    楽天が提供する「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」「集荷・持込サービス」「楽天特別運賃プログラム」などの導入
  • 3.「共通の送料込みライン」適用対象店舗(39ショップ)への変更
    「楽天市場」での買い物時にユーザーが3980円(税込)以上購入した場合の送料に関し、購入者負担を0円として事業者が送料全額を負担する「共通の送料込みライン」施策への変更
◇◇◇

「楽天市場」はここ数年、「統一性と多様性の両立」を課題としてサービス向上に取り組んでいる。「多様性」は個性豊かな店舗の魅力を最大限引き出すこと、「統一性」は機能を統一することでユーザーの利便性を向上すること。

「共通の送料込みライン」などは「統一性と多様性の両立」を実現するための取り組みの一環。楽天は出店者に対し、以下のようなメッセージを伝えている。

コロナ禍となった2020年より、消費はオンラインへ大きくシフトし、「楽天市場」でも新たにお買い物をいただくユーザーを多く迎えております。ユーザーの期待に応え続けるため、楽天と一緒に真摯にユーザーと向き合っていただける店舗さまの売り上げをより伸ばしていきたいという考えから、契約更新における基準を新たに設けることといたします。

(中略)「楽天市場」での売り上げを一緒に上げていくためのきっかけや機会を店舗さま」に提供できればと考えております。今後も「楽天市場」は「統一性と多様性の両立」を実現する取り組みを通じて、ユーザーのニーズにあわせたサービスへと成長し、店舗さま」の売上拡大を支援いたします。

なお、「楽天市場」の出店プランは、月額固定費が割安となるがんばれ!プランが月額1万9500円、ランニングコストが割安となる月額5万円の「スタンダードプラン」などがある。

「がんばれ!プラン」で出店している場合、月額出店料だけで年間23万4000円(税別)の固定費が発生。決済手数料を加えると損益がマイナスの出店者がほとんどと推測される。

年間売上30万円未満の店舗に「研修受講」もしくは「重要施策への参画」を促す「契約更新基準」導入は、「楽天市場」内で販売が低迷している出店者の売上改善、スキルの習得、サービス向上、モチベーションアップなどにつなげる狙いがある。

瀧川 正実
瀧川 正実

台湾発の越境ECサイト「Pinkoi」。ミッフィーコラボのポップアップストアを、日本先行で展開した理由と反響は? | SHOPCOUNTER magazine〜小売り・テクノロジー関連コンテンツを発信〜

4 years 9ヶ月 ago
台湾発の越境ECサイト「Pinkoi」が、日本先行でミッフィーコラボのポップアップを実施した理由とは?

世界各国のデザインプロダクトをデザイナーから直接購入できる「Pinkoi(ピンコイ)」が、ミッフィーとのコラボイベントを実施。2020年11月12日から、オンライン特設サイトでの販売(12月25日まで)と併せ、同11月19日〜12月6日には都内でポップアップストアも展開した。世界に先駆け日本で先行して展開したというコラボイベントの概要、ポップアップストアを開設した理由について、日本支社ピンコイのPR安部めぐみ氏と、ポップアップストア企画担当のルル・チェン氏に聞いた。

世界各国のデザイナーから商品を購入できる越境EC

2011年8月に台湾で創業

――「Pinkoi」の概要を教えてください。

安部めぐみ氏(以下、安部氏):2011年8月に台湾で創業した「Pinkoi」は、世界各国のデザイナーやブランドから直接商品を購入できるグローバルECサイトです。掲載されている商品数は、160万点以上(出店ショップ数は、1万8,000店以上)。20〜40代を中心に350万人以上の会員を抱え、これまでに1,050万点以上の販売実績があります。日本には2014年に進出し、2015年に支社を構えました。

「Pinkoi」トップページ
「Pinkoi」トップページ(画像:ピンコイ提供)

特長は、デザイナーが自ら商品を世界中のお客さまに販売できるところにあります。世界93か国に発送可能なので、海外から閲覧しても商品内容がわかるように、サイト上には英語、日本語、中国語などに対応した「自動翻訳」ボタンをつけています。

越境ECということもあり、海外のお客さまへの販売を不安に思うデザイナーも少なくありません。日本のように拠点がある地域では、どのようなページ設定をすると海外の人に理解していただきやすいのか。各地のトレンドや検索キーワードなど、グローバル展開しているからこそ提供できる情報に加え、効果的な撮影方法など、現地スタッフがデザイナーのネット販売に役立つ情報のシェアも行っています。

――手厚いサポートをされているんですね。出品には「審査」があるそうですが、どのような基準を設けているのでしょうか?

安部氏:商品や画像のオリジナリティやデザイン性、生産体制などを審査しています。審査を通過するデザイナーは3割程度なので基準は厳しいですが、その分、クオリティを担保した素晴らしいショップが集まっています。

――文房具、ファッション、アクセサリー、グルメなどいろいろなカテゴリの商品を扱っていますが、最近ヒットした商品があれば教えてください。

安部氏:スタッフが公式Twitterで紹介したところ、7.5万いいね!がついたのが、中国発の「カニ缶ポシェット ポーチ」です。カニ缶がそのままポシェット ポーチになったインパクトのあるデザインが受けました。このポーチのように、日本では「Pinkoi」以外では手に入らないユニークな商品がヒットすることが多いですね。国別では台湾が人気で、特に2020年は海外に行けなかったこともあり、コスメを中心に台湾発の商品の売れ行きが良かったです。

Twitterで7.5万いいね! を獲得した「カニ缶ポシェット ポーチ」(Pinkoiで販売)
Twitterで7.5万いいね! を獲得した「カニ缶ポシェット ポーチ」(画像:「Pinkoi」のサイトよりキャプチャ)

ミッフィーファンが多い日本で先行展開

コラボアイテム約180点をポップアップで展示販売

――「ミッフィー」とのコラボレーション企画を2020年11月からスタートしました。世界に先駆けて日本で先行展開とのことですが、日本で最初に実施した理由と、コラボイベントの概要について教えていただけますか?

安部氏:2020年は、ミッフィー誕生65周年になります。その記念すべき年に、ミッフィーファンの多い日本で、「TRAVEL with miffy」をテーマにコラボ企画を行うことになりました。まず、「Pinkoi」のECサイト上で特設サイトを公開。その後、東京・渋谷でポップアップストアを展開しました。

「ミッフィー」とコラボして実施したポップアップストア内観
「ミッフィー」とコラボして実施したポップアップストア内観(画像:ピンコイ提供)

実はミッフィーとのコラボ企画は、今回が2回目になります。初回は、台湾、香港、マカオのオンラインストアでの展開と、香港ではポップアップストアも展開しました。今回のポップアップストア企画も今後、台湾と香港でも行う予定です。

――今回はどのようなコラボ商品が生まれたのでしょうか?

安部氏:「Pinkoi」に出店しているショップの中から総勢48組の、台湾、香港、タイ、中国、日本のデザイナーがコラボアイテム約180点を制作しました。商品はスマートフォンケースやタンブラー、マスク、ファッション雑貨など多岐にわたっています。

――ポップアップストアも展開されたということですが、反響はどうでしたか?

ルル・チェン氏(以下、ルル氏):渋谷にある「hotel koe tokyo」の2階のポップアップスペースで展開したのですが、初日はお店の外まで行列ができるほど多くのお客さまに来ていただきました。コロナの影響を心配していたのですが、お客さまに喜んでいただけて良かったです。

大人の方を意識したデザインアイテムも多かったので、若い世代の方だけでなく、小さい頃からミッフィーに慣れ親しんだ30代後半以上の方にも多く来場いただきました。

「商品が完売する前に」と、先にオンラインストアで購入してから来場いただいた方もいれば、オンラインで購入商品の目星をつけてから、実際にポップアップストアで手に取り購入された方もいました。

――来場者を増やすために行った取り組みがあれば教えてください。

ルル氏:まずオープン初日に、記者を招いたプレス発表会を実施しました。それから自社のSNSアカウントでの発信に加え、ミッフィー好きのインスタグラマー約10人にPRの協力をお願いし、ポップアップストアへ招待したり、遠方で来場が難しい方には商品を提供し写真投稿などで情報発信をしていただいたりしました。

その他、8,000円以上ご購入の方にはミッフィートートバッグを、ポップアップストアからハッシュタグ「#pinkoixmiffy」を付けてご自身のSNSに投稿いただいた方にはミッフィーステッカーをノベルティとしてプレゼントする企画を展開。Pinkoi会員の方にはご購入金額に関わらず、ミッフィータオルハンカチをプレゼントしたので、これを機にPinkoiに新たに会員登録をする方も多くいらっしゃいました

ポップアップストアではオンライン限定商品も展示していたので、その場でQRコードを読み込んで「Pinkoi」のサイトから購入される方も目立ちました。オンライン(EC)とオフライン(ポップアップストア)、双方で行き来いただけるようにとO2O(Online to Offline)施策を意識していたので、成果につながり良かったです。

――出店先として「hotel koe tokyo」を選んだ理由について教えてください。

ルル氏:1階にカフェを併設するなど、「hotel koe tokyo」の「ライフスタイルを豊に彩りたい」というコンセプトに共感しました。公園通りに面したホテルなので、ポップアップストアでは窓際にミッフィーの装飾を施したことで、知らずに近くを通った方でも、「ミッフィーのポップアップストア?」と気づいてもらえたようです。

「hotel koe tokyo」で実施したポップアップストア外観
「hotel koe tokyo」で実施したポップアップストア外観(画像:ピンコイ提供)

1階のカフェともコラボし、その場でPinkoiの会員になってもらえたらノベルティのミッフィーステッカーを配布するなどの施策も展開しました。

――最後に、今後の展望や目標があれば教えてください。

ルル氏:「Pinkoi」はオンラインサービスなので、お客さまと直接お会いでき、商品を実際に手に取っていただけるオフラインのイベントも大切にしています。2020年はコロナにより計画していたものはほとんど中止になってしまいましたが、このミッフィーとのコラボ企画は実現できて良かったです。日本でもまたいろいろなイベントを企画していけたらと思っています。

安部氏:「Pinkoi」は、創業者のピーター・イェンがシリコンバレーでエンジニアとして勤務していた頃、現地のハンドメイドマーケットに足を運び、そこでデザイナーの情熱に感銘を受けて立ち上げたサービスです。

今はコロナ禍でいろいろな影響が出ているので、私たちは少しでも日本人デザイナーの力になれればと、“Pinkoi Stays with You”と題し、2020年4月1日から3か月間、日本国内の取引において販売時の成約手数料を下げる取り組みを行いました。その結果、支援施策実施前の3か月間と比較し、オーダー数163%増を記録し大きな反響をいただいたので2020年12月までこの支援策を延長しました。これからもデザイナーをリスペクトし、国際的に活躍できるようあらゆる形でサポートしていきたいと思っています。

Illustrations Dick Bruna ©copyright Mercis bv,1953-2021www.miffy.com

※本稿は『SHOPCOUNTER magazine』の記事をネットショップ担当者フォーラム用に編集した記事です
※所属・役職はオリジナル記事公開当時のものです
SHOPCOUNTER magazine 編集部
SHOPCOUNTER magazine 編集部

ルイ・ヴィトンも参入したソーシャルコマース。世界のトレンドと中国の先行事例に学ぶ小売業者が注目すべき理由 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

4 years 9ヶ月 ago
コロナ禍でより一層ソーシャルコマースに注目が集まっています。先行する中国での事例からソーシャルコマースの可能性を探っていきます

ソーシャルメディアとECを統合した「ソーシャルコマース」は、ブランドにとって強力な武器になります。通常、消費者がECプラットフォーム上では探さないような商品を紹介できるからです。世界的なソーシャルコマースのトレンド、急成長している中国のソーシャルEC市場、中国から学べることについて紹介します。

世界のソーシャルコマース市場は年平均31.4%で成長

2020年初頭、世界的に新型コロナウイルス感染症が広がり、実店舗のビジネスに支障をきたす中、ソーシャルコマースが新たな突破口として注目を集めました。ソーシャルコマースは、小売マーケティングにおいて進化を遂げながら、ECとソーシャルメディアの良い部分を融合させています。

Facebookが2020年に開始した「Instagram Shop」は、世界最大のソーシャルメディアにECを融合させることで、アマゾンの座を狙っています。新型コロナウイルス危機の中、世界のソーシャルコマース市場は、年平均成長率31.4%の急成長を見せると予想されています。

消費者がオンラインショッピングを使い続け、ECと従来の小売事業者の両方がコロナ禍後の環境に迅速に適応する中で、ソーシャルコマースは2021年も成長を続けると考えられます。

ソーシャルコマース(グローバル市場)に関する2020年と2027年予測
ソーシャルコマース(グローバル市場)に関する2020年と2027年予測(画像:Research and Markets「Global Social Commerce Market to Reach $604.5 Billion by 2027」より編集部が作成)

ソーシャルコマースが強力な武器になる理由

ブランドは、なぜソーシャルコマースに関心を持つべきなのでしょうか? それは、ECとソーシャルメディアを統合することが強力な武器になるからです。消費者はソーシャルコンテンツを介してブランドを検索し、ECサイトでは探さないような商品に出会うことができます

ソーシャルコマースは、商品検索、インフルエンサー、モバイルペイメントなど、さまざまなショッピングシーンに利用できます。

中国で大人気のソーシャルメディア「WeChat」はミニプログラムと呼ばれるソーシャルコマースに大規模な投資を行っており、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン傘下の化粧品・香水専門店「Sephora」、「NIKE」、「GUCCI」、「ARMANI」など世界的なブランドが参加しています「WeChat」のミニプログラムは手軽に利用できるサブアプリで、ブランドはこれを活用することで、スピーディに市場にアプローチしたり、WeChat本体のプラットフォーム内でスムーズに販売したりすることができます。

ソーシャルメディアは、ブランドや小売事業者がインタラクティブでシェアができ、共感しやすいキャンペーンを打ち出すための機能を提供、新商品の盛り上げを後押しします。たとえば、グループ購入、オンラインのミニゲーム、インタラクティブなコンテンツなどは、顧客体験を豊かにしてくれます。

中国で盛り上がるソーシャルコマース、獲得コストの高騰を解決

今日まで、中国はソーシャルコマースの発展で世界をリードしてきました。中国は世界最大のEC市場。また、世界で最も刺激的でエキゾチックで変化の早い市場でもあり、中国人消費者の購買行動はユニークです。デジタルマーケティングなどに関する市場調査を行う「eMarketer」は、ソーシャルコマースが中国の小売EC総売上の13%をけん引していると推定しています。

2019年から2023年までのソーシャルコマース市場、ソーシャルコマースが中国EC市場に占める割合
2019年から2023年までのソーシャルコマース市場、ソーシャルコマースが中国EC市場に占める割合(画像:eMarketer「In China, Social Commerce Makes Up 11.6% of Retail Ecommerce Sales」より編集部が作成)

中国ではソーシャルコマースが活況を呈しており、中国のEC業界はこれを新たなスタンダードと捉えています。ECサイトの利用者は今、ブランドにソーシャルコマースを期待しています。興味深いことに、ソーシャルコマースは中国のデジタルコマースにおける主な課題であるユーザー獲得コストの高騰を解決しているのです。

新規顧客獲得手段としてソーシャルコマースを採用する中国ブランド

中国の巨大ECプラットフォーム「Alibaba」と「JD.com」で新規顧客を獲得するためのコストは、それぞれ812元(123米ドル)と176元(26米ドル)です。そのため、中国のブランドは新規顧客を獲得するためのより手頃な方法として、ソーシャルコマースを採用しています。

急成長しているソーシャルコマース市場は、2021年末までに3,155億ドル近くに達すると予想されています。グループ購入と「WeChat」ベースのソーシャルコマースは、ソーシャルコマース市場全体の90%超。新型コロナウイルスの大流行により、ソーシャルコマースをショッピングの新しいスタンダードとして受け入れ、日常生活に取り入れる消費者が増えた証拠です。

月間アクティブユーザー数12億人の「WeChat」

「WeChat」の月間アクティブユーザー数は約12億人。ソーシャルコマースの主要なプラットフォームとなるなど、ミニプログラムは中国のEC業界を席巻しています。ブランドは、「WeChat」のミニプログラム内でストアを独自に開設し、デジタル広告、インフルエンサーマーケティング、その他のクリエイティブなソーシャルメディアマーケティングキャンペーンを通じてトラフィックを促進することができます。

「WeChat」の新しいビジネスモデルは、幅広い「知人」グループ(「WeChat Moments」(WeChatのタイムライン)や「WeChat Ads」を通じたコミュニティ広告など)と、幅広いリーチ(公式アカウントの購読メッセージ、キャンペーンのプッシュ通知、1対1のカスタマーサービス、コンテンツマーケティングなど)を提供しています。よりターゲットを絞った関連性の高い、効果的なマーケティングを行うことで、「WeChat」はブランドの参入障壁を下げ、ブランドに特化したトラフィックを促進することができます。

「WeChat」が2020年4月、新しいライブストリーミング機能を開始したのは画期的な出来事でした。「WeChat」はミニプログラムにライブストリーミングを統合することに重点を置いています。旧正月を前に、「BALENCIAGA」「LOEWE」「Cartier」などの高級ブランドが「WeChat」のミニプログラムをスタート。デジタルに精通した消費者をターゲットに「WeChat」広告を展開するケースが増えています

35歳以下女性をターゲットに急成長中のソーシャルコマース「小紅書」

中国におけるソーシャルコマースのもう1つの主要なベンチマークは小紅書(Little Red Book、通称「RED」)で、コンテンツ共有機能とコミュニティが特徴です。

「Xiaohongshu」とも呼ばれる「RED」は、35歳以下の女性をターゲットにした中国最大かつ急成長中のソーシャルコマースアプリの1つ。特に1995年以降に生まれたZ世代に人気があります。

このアプリは、ユーザーに商品の検索や購入、お薦め商品の共有、便利なレビューの提供などを促進するように設計されています。

中国におけるソーシャルコマースのもう1つの主要なベンチマークは小紅書(Little Red Book、通称「RED」)
「小紅書」のトップページ(画像:サイトよりキャプチャ)

「RED」は、キーオピニオンリーダー(KOL)と呼ばれるインフルエンサーと、美容やスキンケア商品を詳しく紹介するブログ記事タイプのコンテンツを組み合わせることで、消費者との交流を構築しています。このアプローチにより、「RED」の主要ユーザー層は、都市部の若年層、すなわちミレニアル世代や一等地の都市に住むZ世代の消費者に偏っています

ユーザーの中には、「RED」で直接商品を購入する人もいれば、リサーチだけしてから別のプラットフォームで購入する人もいます。いずれにしても、このソーシャルメディアプラットフォームでの存在感が、ブランドのカスタマージャーニーにおける重要なポイントになります。

ルイ・ヴィトンが「小紅書」でライブストリームキャンペーンを展開

「RED」は2020年3月、ソーシャルコマースへの参入を決定する前に、ECのライブストリーミング機能を正式に発表。「RED」で公式ストアを開設しているブランドは、自社商品のプロモーションのためにライブストリーミングキャンペーンを開始することができます。

キャスターがライブストリームのセッションを主催すると、注目の商品が視聴者に表示され、新しい視聴者もライブストリームイベントに参加できます。視聴者は「買いに行く」をクリックするだけで、商品の詳細が表示され限定のクーポンを受け取れます。注目すべきは、ソーシャルコマースだと、商品の発見から購入までの時間が短縮されることです。

コロナ禍時代のイノベーションを取り入れた「LOUIS VUITTON」は、高級ブランドとして初めて「RED」でライブストリーミングセッションを行いました。このライブストリームは視聴者の関心を集め、15万2,000回以上の再生回数を記録。多くのコメントが寄せられました。

「LOUIS VUITTON」によるライブコマースのようす
「LOUIS VUITTON」によるライブコマースのようす(画像:DigitalCommerce360「Social commerce is leading the future of ecommerce」よりキャプチャ)

これらの印象的な結果を見ると、高級ブランドがソーシャルコマースやECに懐疑的な見方をしているという認識が変わるかもしれません。「LOUIS VUITTON」がライブストリームキャンペーンを開始した目的は、新型コロナウイルス危機中の制約で、モールが閉店し、家に帰る他なく暇を持て余している消費者に向けて、新しいタイプの購入体験を試すことにありました

小売事業者がソーシャルコマースに注目すべき理由

「WeChat」と「RED」は、「ソーシャル」な特性を生かしたソーシャルコマースが、小売事業者と消費者の関わり方を変えることで、従来のEC業界を近代化できることを示す好例です。

将来的には、中国のソーシャルメディアの中で、ECはよりインタラクティブで広く使われるものになるでしょう。世界の小売事業者は、トラフィックの低迷、ユーザー獲得コストの高騰、アマゾンなどとの激しい競争のために苦戦を続ける中、エンドユーザーとつながる新しい方法を模索する必要があるのです。

EC戦略にソーシャルな要素を取り入れることは、オンラインビジネスを活性化させるために必要なことでしょう。「WeChat」と「RED」が中国で行った方法は、小売事業者が成功したキャンペーンから何を学ぶことができるのか、実践的な例を示しています

主なポイント

1. グローバル・ソーシャルコマースは新たなトレンド

中国ではすでにソーシャルコマースが普及しています。「WeChat」は10億人以上のデジタルに精通したユーザー層に向けて、ブランドが直接販売するミニプログラムのために、新しいライブストリーム機能を開始しました。「LOUIS VUITTON」は、ソーシャルコマースプラットフォームである「RED」でのライブストリームキャンペーンを開始し、コロナ禍の制約に合わせた新しい購入体験を試しています

2. 効率的なオンラインでの商品発見

ソーシャルコマースのコンテンツ共有機能は、ユーザーと商品をつなぐ中核的な役割を果たしており、ブランドは広告や割引プロモーションを通じてユーザーにアクセスすることができます。ソーシャルメディアプラットフォームである「WeChat」上でブランドの存在感を示すことは、カスタマージャーニーの重要なポイントとなります。

3. ライブストリーミングコマース

ライブストリーミングは販売チャネル以上のものであり、ブランドは顧客と深く、直接、リアルタイムでコミュニケーションをとることができます。ブランド担当者は、消費者が最適な商品を選ぶのを手助けしたり、謝礼金などを利用してライブストリームのリンクを友人やコミュニティで共有するように促したりすることで、ブランドのリーチを広げ、ユーザーの獲得コストを削減することができます。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360
Digital Commerce 360

GunosyがD2C事業に参入、ティーペアリングの「YOU IN」を2021年春に開始

4 years 9ヶ月 ago

情報キュレーションアプリ「グノシー」のGunosyはD2C事業に参入する。サービス名称は「YOU IN」。気分やシーンに合わせてお茶を楽しく選べるペアリングティーを提供するという。

昨今、日本茶を主軸にハーブやスパイスを混ぜ、さまざまな色のお茶を料理に合わせてペアリングする「ティーペアリング」が女性から人気を集めている。「YOU IN」はこうした新たな需要をD2C事業で開拓する。

情報キュレーションアプリ「グノシー」のGunosyはD2C事業に参入 サービス名称は「YOU IN」
「YOU IN」について(Gunosyの決算説明会資料からキャプチャ)

「YOU IN」は2021年春にリリースする予定。メディア事業の顧客接点、マーケティング力、データ分析力を差異化要因として参入余地を探るとしている。

Gunosyは女性向け情報アプリ「LUCRA(ルクラ)」を運営。ECモール「Qoo10」とのコラボレーションでコスメのプレゼントキャンペーンを行うなど、EC向け広告連携を実施。また、合わせてD2C事業とのシナジーについて仮説検証を行ってきた。

旬な情報やトレンドへの関心が高い女性に向けた「LUCRA」と連携し、テストと位置付けて春先にリリースするとみられる。

Gunosyは2020年、定款の第2条に「インターネットを利用した各種商品の販売及びEC(電子商取引)サイトの開設並びに運営」を追加。ECビジネスへの参入体制を整えた。

情報キュレーションアプリ「グノシー」のGunosyはD2C事業に参入 サービス名称は「YOU IN」
Gunosyは新たにECを定款に追加(Gunosyの定款からキャプチャ、赤枠は編集部が加工)

日用品を数量限定でお買い得価格にて販売する「とくまろ商店」を、テストマーケティングとして2020年にスタートしたが、2021年1月末に閉店している。

情報キュレーションアプリ「グノシー」のGunosyはD2C事業に参入 サービス名称は「YOU IN」
「とくまろ商店」のECサイト(「とくまろ商店」のECサイトから編集部がキャプチャ)
瀧川 正実
瀧川 正実

コロナ禍(10-12月)の自社EC利用はどうだった? 新規顧客は平均7割増、客単価は微増【フューチャーショップ調査】

4 years 9ヶ月 ago

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップは、2020年10-12月の消費者による自社ECサイトの利用状況に関する調査結果を公表した。新たに自社ECサイトを利用した新規顧客は月平均72.53%増、客単価の月平均は4.31%増だった。

「futureshop」シリーズを利用している約2700店舗を対象に、2019年と2020年10月~12月の期間中、各月の注文件数が100件以上の店舗の中から500店舗を無作為に抽出。導入店舗におけるECサイトの利用状況を調べた。

注文件数の伸び

2020年10-12月における月平均の注文件数は前年同期比57.32%増。10月はパソコン経由で前年同月比59.49%増、スマートフォン経由で同89.37増と高い伸び率を記録した。2019年10月の消費税増税による一時的な消費の冷え込みが影響したと推測される。

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップによるコロナ禍の自社ECサイトの利用調査 注文件数の変化
注文件数の変化

購入単価の変化

7月~9月の調査と同様、パソコン経由はスマートフォンより2割程度、購入単価が高い。「月別に見ると、12月にスマートフォン経由の購買単価が昨年同月比でやや落ちたものの、期間中はほぼ一定の値を示した」(フューチャーショップ)

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップによるコロナ禍の自社ECサイトの利用調査 購入単価の変化
購入単価の変化

新規顧客利用状況

新たに会員登録した顧客の利用を新規利用と見なし、各店舗、注文件数の平均増加率を月ごとに調べた。なお、会員機能を利用していない店舗は、調査対象から除外している。

10-12月は月平均72.53%増と、継続してECの新規利用が増加した。2020年10月が他の月と比較して高い数字を示したのは、2019年10月は消費税増税による影響で買い控えが起こったためと推測される。

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップによるコロナ禍の自社ECサイトの利用調査 新規顧客利用状況(件数)
新規顧客利用状況(件数)

決済手段の変化

決済手段では、利用された決済方法を「クレジットカード」「ID・QR決済(Amazon Pay、楽天ペイ(オンライン決済)、Apple Pay、PayPay)」「現金・その他決済(店頭払いや後払い、銀行振込やコンビニ払いなど)」の3つに分け、各月の総注文件数を1として集計した。

緩やかながらも現金の利用率は減り、クレジットカードやID・QR決済にシフトしている。また、決済方法を3つとも提供している店舗に限定した調査結果では、2020年は現金から他の決済方法に移行しており、ID・QR決済の利用率が現金を超えたことが読み取れる。

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップによるコロナ禍の自社ECサイトの利用調査 決済手段の変化
決済手段の変化
SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップによるコロナ禍の自社ECサイトの利用調査 決済手段の変化
決済手段の変化(3種類の決済手段を提供している店舗だけに限定)

流通総額の伸び

「futureshop」シリーズの2020年10月~12月における流通総額は前年同期比52.51%増の451億円だった。

「キッチン・日用品雑貨・文具」が100.66%増だったほか、「インテリア・寝具・収納」が83.42%増となるなど、在宅時間が充実するアイテムが流通額を伸ばしている。

また、季節商材として「スイーツ」もECでの売り上げを大きく伸ばした。外出に気を使う状況だったことが影響されたとみられる。

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップによるコロナ禍の自社ECサイトの利用調査 売り上げを伸ばした業種
売り上げを伸ばした業種
石居 岳
石居 岳

消費税の「総額表示義務」は2021年4月から。適用時期や事業者がやるべきことまとめ | E-Commerce Magazine Powered by futureshop

4 years 9ヶ月 ago
2021年4月1日から義務化される消費税における「総額表示義務」。実店舗だけでなくECサイトも対象です。適用開始までに事業者がやるべきことなどをまとめました

2021年4月1日から義務化される、消費税における「総額表示」。 EC事業者のみなさん、ECサイトに記載されている商品価格を消費税込み表示にする準備はお済みでしょうか?

本記事では、

  • 消費税の総額表示義務とは何か
  • いつから適用されるのか
  • 罰則はあるのか
  • EC事業者はどういった対策をとる必要があるのか

といった内容で、くわしく紹介していきます。

また、「具体的にどういった表示にする必要があるのか」についても解説するので、まだ総額表示に取り組んでいないEC事業者のみなさんは、ぜひ参考にしてください。

4月1日が近づいてからバタバタしないように、今のうちから準備を進めておきましょう。

消費税における総額表示義務とは?対象となる事業者は?

消費税における「総額表示義務」とは、商品を販売したりサービスを提供したりする「消費税を納める義務がある事業者」に対して義務付けられたものです。

値札やチラシなどにおいて、商品やサービスの価格を表示するときに、消費税額を含めた価格を記載しなければなりません(※消費税額には、地方消費税額も含める)。

対象となるのは、一般消費者に対して商品の販売やサービスの提供を行う消費税課税事業者です。事業者間で取引をしている場合は、総額表示義務の対象から外れます。

つまり、一般消費者に対して商品を販売しているEC事業者は対応する必要があり、企業に対して商品を販売しているEC事業者は対象とはなりません。

消費税における「総額表示義務」を実施する理由

財務省のページによると、消費税における「総額表示義務」を実施する目的は、消費者の利便性を上げるためです。税抜価格の表示だと、消費者は自身で計算をしない限り、会計時にならないと本来支払う金額が分かりません。

また、税抜表示をしている事業者もいれば、税込表示をしている事業者もいるため、価格を比較しにくかったりわかりにくかったりといったデメリットもあります。

総額表示を義務化することによって、消費者が商品やサービスの購入を検討する際、すべての価格が税込表示されている状態になります。値札やチラシを見ただけで、本来支払うべき価格が簡単にわかるようになり、比較や購入の判断がしやすくなるということです

どういった媒体で総額表示をする必要があるのか

総額表示をしなければならない媒体は、値札やチラシだけではありません。EC事業者においては、ECサイトの商品価格の表示を変更するだけでは、義務を果たせているとはいえない場合が多いでしょう。

総額表示の対象となる媒体は、以下のとおりです。

総額表示の対象

  • 商品に添付や貼付される値札、商品パッケージなど、商品本体における価格表示
  • 店内表示や商品陳列棚など、店頭における価格表示
  • ECサイトや商品カタログなどにおける価格表示
  • 新聞折り込み広告やダイレクトメールなどで配布するチラシにおける価格表示
  • 新聞・雑誌・テレビ・インターネットホームページ・ダイレクトメールなどの広告における価格表示
  • メニュー・ポスター・看板などにおける価格表示

消費者に対して表示する価格であれば、総額表示する媒体は問いません

「総額表示義務」でEC事業者が取るべき対応

EC事業者は、ECサイトの表示価格を変更しておきましょう。また、ダイレクトメールやインターネットサイト、チラシなど、広告出稿をしているEC事業者は、広告媒体の総額表示にも対応しておく必要があります

ECサイトのほかに実店舗を展開している事業者は、値札や陳列棚などの表示を忘れずに変更しておきましょう。

総額表示の判断をする際にポイントとなるのが、「総額表示を行う対象は、購入を決めるための媒体」であることです。そのため、EC事業者は消費者が購入を決めるための「ECサイト」が税込表示になっていれば、消費者のもとに届く商品の値札が税抜表示になっていても問題ありません

例外として、口頭での価格提示は、消費税における総額表示義務に該当しません。

「総額表示義務」はいつから適用されるのか

「総額表示義務」が適用されるのは、2021年4月1日からです。

現在の表示価格を総額表示に変更するのは、簡単にできることではありません。商品数や該当の媒体数が多ければ多いほど、変更の手間と時間がかかるでしょう。

そのため、ギリギリになってから対応を始めるのではなく、早い段階でコツコツと準備をしておくのが得策です。

2021年3月31日までは「総額表示義務の特例」が適用される

消費税率が10%に変更された、 2019年10月。消費税率を引き上げるとともに、価格の総額表示を義務化すると、レジの税率変更や表示価格の変更など、事業者は一気に対応に追われることになります。そういった事態を避けるために定められたのが、2021年3月31日まで適用される「総額表示義務の特例」です。

2013年10月1日に施行された「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(消費税転嫁対策特別措置法)」の第10条により、2013年10月1日から2021年3月31日までの期間であれば「税込価格と誤認されないように対応していれば、表示する価格が税抜価格であっても問題ない」とされています。

そのため、店舗やECサイトにおいて、以下のような表示をする事業者が多くいました。

  • 1,000円(税抜)
  • 1,000円(税別)
  • 1,000円(税抜価格)
  • 1,000円(税別価格)
  • 1,000円(本体価格)
  • 1,000円+税
  • 1,000円+消費税
  • ※表示価格は税抜です
  • ※価格はすべて税別価格です

「総額表示義務」は以前から定められていたことであり、2021年3月31日で特例の適用期間が終わってしまいます。上記のような価格表示は認められなくなるため、事業者は今のうちから価格表示変更の対応を進めなければなりません。

2021年4月1日以降、消費税を含んだ総額表示をしなかった場合の罰則は?

「総額表示義務」を違反した際の罰則は、定められていません。そのため、価格を総額表示しなくても消費税法違反で処罰はされません。

しかし、価格の総額表示は、消費税課税事業者に対して国が定めた義務です。早めに対応しておくようにしましょう。

消費税における「総額表示義務」に対応した価格表示の表記方法とは?

「総額表示義務」に対応するには、どういった価格表示にするべきなのでしょうか? 以下は「総額表示義務」に対応した表示例です。

消費税 総額表示義務 表示例 価格表示
「総額表示義務」に該当する表記例

消費者が支払う価格の総額が表示されていれば、ほかに「税抜価格」「消費税額」が表示されていても問題ありません

また「5,000円(税込5,500円)」という表示も、総額がしっかりと記載されているため、「総額表示義務」を果たしていることになります。

また、国税庁のページによると、総額表示をして税込価格に1円未満の端数が発生しするときは、端数を「四捨五入」「切り捨て」「切り上げ」のいずれかの方法で処理することが可能です。

ECサイトでは、デジタルデバイスの画面という限られたスペースで価格を表示する必要があります。そのため、価格表記のスペースが多くなると、ECサイトのデザインが煩雑になってしまいます。

ECサイトの見やすさを重視して、消費者に快適に買い物をしてもらうためにも、なるべく短い表記で価格を提示すると良いでしょう

来たる2021年4月1日、忘れずに総額表示に変更しましょう

商品登録や受注管理、在庫管理、発送準備など、EC事業者のみなさんは、多忙な毎日を送っているのではないでしょうか? そうした中で消費税における総額表示義務の対応にまで手が回らないと感じる方もいるかもしれません。

ただ、繰り返しになりますが、「総額表示義務」は消費税課税事業者に対して国が定めた義務です。対象となるEC事業者は、2021年4月1日までに忘れずに設定しておきましょう

「総額表示義務の特例」が適用される2021年3月31日ギリギリに対応を始めるのではなく、期間に余裕をもって変更しておくことをおすすめします。

この記事はフューチャーショップのオウンドメディア『E-Commerce Magazine』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。

E-Commerce Magazine
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顧客体験を成功に導くコンタクトセンターとは?【顧客対応業務のアウトソーシング例】 | 『EC通販で勝つBPO活用術』ダイジェスト

4 years 9ヶ月 ago
『EC通販で勝つBPO活用術』(高山隆司/佐藤俊幸 著 ダイヤモンド社 刊)ダイジェスト(第8回)

注文データに付いてくるコメント、大量に舞い込むメールといった顧客からの要望を正確に処理し、顧客体験を最高のものにするミッションを帯びているのが、コンタクトセンターである。

通販業界ではかつて受注業務を行う部門を「コールセンター」と呼んでいたが、現在、EC通販では「コンタクトセンター」と呼ぶのが一般的だ。顧客との通信手段が、電話からメールに移ったからだ。メール対応が大半となり、隣の席の新人をベテランのオペレーターが細かく指導するのに仕切りが邪魔になるため、オペレーター席の両脇にあった仕切りも今では取り外されている。

コンタクトセンターにはEC・通販の業務知識が不可欠

コンタクトセンターでは、「どれだけEC・通販の業務知識があるか」がサービスのレベルを左右する。顧客対応の具体的なケースを見てみよう。

【ケース1】送り先変更
顧客

ギフトの注文をしたけど、代引きにしてしまった。送り先を自宅に変更してほしい。

一般的な
コンタクト
センター

すでに発送済みですので送り先変更はできかねます。

できる
コンタクト
センター

同じ配送センターのエリアでしたら、発送済みでも送り先変更を承ります。

【ケース2】注文キャンセル
顧客

注文したけど納期が遅いのでキャンセルしたい。

一般的な
コンタクト
センター

キャンセルを承りました。

できる
コンタクト
センター

お待たせして申し訳ございません。(商品の入荷予定を確認し)ご注文の商品ですが、本日入荷がございます。明日には発送可能ですが、いかがいたしましょう。

顧客

それなら明日送ってください。

【ケース3】不良品の回収
顧客

また不良品が届いたわよ。回収してちょうだい!

一般的な
コンタクト
センター

承知しました。回収にお伺いいたします。

できる
コンタクト
センター

すぐに回収に伺います。(過去の回収時のデータを確認し)前回、回収にお伺いしましたのはご自宅ではなくお勤め先でしたが、今回はいかがいたしましょうか?

顧客

よく覚えているね。それじゃ、勤務先へ回収に来てください。

このように、EC・通販の顧客対応には特有の「勘所」があって、それを知らずに対応すると、表面的には間違った対応ではないが、顧客体験としてはいまいちの対応になっている場合が多い

どのくらいEC・通販の顧客対応経験があるか、どれだけのEC・通販企業のコンタクトセンター業務を受けているかで、そのセンターのサービスレベルは推測できる。顧客体験が最高のものにするには、コンタクトセンターの選定は重要なポイントである。

コンタクトセンターと物流センターの連携力

コンタクトセンターの選定では、コンタクトセンター単独の評価のみならず、物流センターとの連携力も重要である。これまで説明したとおり、フルフィルメントの業務は密接につながっている。ところが、それらを別々のBPO企業が受け持つ場合もあり、連携力が問われるのだ。

その点、スクロール360では、グループ会社間でシームレスな連携を実現しており、EC事業者に負担をかけないBPOサービスを提供している。コンタクトセンターと物流センターとの連携もそのひとつだ。具体的な業務の流れを見てみよう。

スクロール360におけるコンタクトセンターと物流センターの連携フロー
  1. メールの振り分け→処理別のフォルダに移動
  2. 受注データのダウンロード
  3. 処理を急ぐメールの対応処理→キャンセル、当日出荷、入金確認
  4. 全体のメール確認→問い合わせ、ギフト加工、後払い与信NG対応など
  5. 物流センターへ出荷指示データ送付
  6. 出荷完了後、出荷報告データ受領→各モールへ出荷報告処理
  7. その他(メールおよび電話問い合わせ対応)

上のフローの3番目に「処理を急ぐメールの対応処理」があるが、これは物流センターのスケジュールと連携している。

例えば、配送日が翌々日と指定されており、配送先が翌々日の配送エリアなら、発送は今日中に完了しなければならない。ところが物流センターとの取り決めでは、当日出荷できるのは13時までの出荷指示データ分だ。どうしても13時までのデータに間に合わせなければならないが、少しデータの締めが遅れそう……こんなときこに連携力が試される

コンタクトセンターにおける3者同時中継
コンタクトセンターにおける3者同時中継の様子

上の写真を見て欲しい。スクロール360のコンタクトセンターでは、EC事業者のオフィスと物流センターとの3か所が同時中継でつながっている。出荷指示データが遅れそうなときなどは、顧客であるEC事業者の希望通りの出荷ができるよう、リアルタイムなコミュニケーションで調整していくのだ。

他にも、次のような連携事例がある。

【ケース1】

顧客から「バッグの持ち手は本革ですか?」と商品の詳細を聞かれた。商品データに記載のない事項については、コンタクトセンターで回答のしようがない。

そこで、コンタクトセンターから物流センターに商品コードと問い合わせ内容を送信する。すると、物流センターのスタッフが、商品棚まで行って素材を調べて返信する。

【ケース2】

出荷指示データを物流センターに送信後、顧客からキャンセルのメールが届いた。コンタクトセンターには、物流センターのシステムへ直接、出荷キャンセルを指示できる機能が備えられている。そのため、コンタクトセンターからいったんEC事業者にキャンセルの連絡をし、さらにEC事業者から物流センターに指示を出すといった伝言ゲームをする必要がない。

スクロール360の物流システムでは、まず顧客に送る納品明細書のバーコードを読み、次に箱詰めする注文商品のバーコードを読み、両者が一致して初めて送り状がプリンターから出力される。送り状がプリントされるまでは、キャンセルも送り先情報の修正も可能だ。

バーコードスキャナーと送り状プリンター
物流センター内のバーコードスキャナー(左)と送り状プリンター(右)

したがって、送り状が出力されるまでは、希望の住所データをコンタクトセンターで入力し直せば、物流センターでは新しい住所が印字される。

送り状がすでにプリントされてしまった場合は、最終手段として出荷バースまで該当の荷物を探しに行き、送り状の差し替えをすることも可能だが、この時はイレギュラー処理として有料となる。

EC通販で勝つBPO活用術 ─最強のバックヤードが最高の顧客体験を生み出す

EC通販で勝つBPO活用術
─最強のバックヤードが最高の顧客体験を生み出す

高山 隆司 /佐藤 俊幸 著
ダイヤモンド社 刊
価格 1,650円+税

活況のEC・通販業界において、アフターコロナを勝ち抜くために必要なことは何か。ネット通販の事業戦略設計やプロモーション、フルフィルメントなど、ネット通販の実践から得たノウハウを紹介し、物流、受注といったフルフィルメントのアウトソーシングの活用の仕方や成功事例を解説する。デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、「BPO」(Business Process Outsourcing)を最大限有効活用したシステム構築に必携の1冊。

この本をAmazonで購入
高山 隆司
佐藤 俊幸
高山 隆司, 佐藤 俊幸

「Shopify」でオンライン接客を実現し顧客ロイヤリティをアップする方法を学ぶウェビナー【2/18開催】

4 years 9ヶ月 ago

「Shopify」向けアプリの開発などのハックルベリーは、「Shopifyオンライン接客で顧客ロイヤリティをあげ売上向上!-1200を超えるブランドに導入されているSTAFF STARTをShopifyで簡単に導入」と題した無料ウェビナーを2月18日に開催する。

テーマはECサイトの集客、オンライン接客について。

バニッシュ・スタンダードの小野里寧晃社長が登壇し、リリースしたデジタル接客支援サービス「STAFF START」の「Shopify」アプリを踏まえ、「Shopify」でオンライン接客を実現する方法などを解説する。

  • Shopifyアプリを使い顧客ロイヤリティを向上し売上を上げる接客術、「STAFF START」の活用をShopifyアプリの特徴を交えて紹介
    (登壇者:ハックルベリー 安藤祐輔氏)
  • 「STAFF START」とは
    導入ブランド1,000超、オンライン接客を実現する「STAFF START」を取り巻く状況について紹介
  • 「STAFF START」の機能紹介
    基本のコーディネート機能に加え、スタッフの評価機能、SNS連動機能、店舗集客に繋がるオムニチャネル機能等、新規の含めて『STAFF START』の機能を紹介
    (登壇者:バニッシュ・スタンダード 小野里寧晃氏)

ウェビナーの概要

瀧川 正実
瀧川 正実

楽天の国内EC流通総額は約4.5兆円で、伸び率は約20%増【2020年度の実績まとめ】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

4 years 9ヶ月 ago
「楽天市場」単体では流通総額が3兆円を突破しているという。新規購入者、1年以上「楽天市場」を使っていなかったユーザーの復活購入、加えて、1人あたりの月間購入額の増加、ユーザーの定着率(リピート購入)などが成長要因

楽天の2020年度(2020年1~12月期)国内EC流通総額は前期比19.9%増の4兆4510億円だった。「楽天市場」を中心に2020年度における国内ECの状況をまとめた。

国内EC流通総額は4.5兆円、「楽天市場」単体で3兆円突破

楽天の国内EC流通総額推移
国内EC流通総額の推移(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

国内EC流通総額は「楽天市場」の流通総額に加え、トラベル(宿泊流通)、ブックス、ゴルフ、ファッション、ドリームビジネス、ビューティ、デリバリー、楽天24(ダイレクト)、オートビジネス、ラクマ、Rebates、楽天西友ネットスーパーなどの流通額を合算した数値。

チケット事業はモバイルセグメントへ移管したため、2019年度の数値を遡及修正している。

2020年度の国内EC流通総額の四半期ベースの推移

  • 2020年10~12月期(第4四半期) 前年同期比38.5%増の1兆4099億円
  • 2020年7~9月期(第3四半期) 前年同期比13.0%増の1兆950億円
  • 2020年4~6月期(第2四半期) 前年同期比15.9%増の1兆298億円
  • 2020年1~3月期(第1四半期) 前年同期比9.3%増の9163億円
楽天の国内EC流通総額の四半期ベースでの推移
国内EC流通総額の四半期ベースでの推移(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

なお、1月28日にオンライン配信で行われた「新春カンファレンス」で楽天の三木谷浩史会長兼社長は、2020年12月期に「楽天市場」単体で流通総額が3兆円を突破したことを表明している。

「楽天市場」の流通総額推移
「楽天市場」の流通総額推移

成長要因として、新規購入者、1年以上「楽天市場」を使っていなかったユーザーの復活購入、加えて、1人あたりの月間購入額の増加、ユーザーの定着率(リピート購入)などをあげている。

2020年度の新規購入者数は前年同期比27.6%増、復活購入者数(1年以上購入がなかったサービス利用の再開者数)は同27.1%増だった。

「楽天市場」の新規購入者と復活購入者の伸び率
「楽天市場」の新規購入者と復活購入者の伸び率(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

購入者の送料負担を0円とするラインを3980円以上に設定した「送料無料ライン」について、約9割の出店者が導入。「送料無料ライン」「置き配」などロイヤリティ向上施策を進めた結果、2020年10-12月期のユーザー1人あたりの購入金額は前年同期比15.1%増。2020年7-9月期に購入したユーザーが2020年10-12月期に購入した割合は約78%となり、ユーザーの定着率が浸透したとしている。

「楽天市場」のユーザー1人あたりの購入金額の伸び率と定着率の割合
「楽天市場」のユーザー1人あたりの購入金額の伸び率と定着率の割合(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

楽天エコシステム(経済圏)のメンバーシップバリューは8.9兆円

楽天エコシステム内において会員の価値を示す「メンバーシップバリュー」は2020年10-12月期(第4四半期)で8.9兆円。前年同期比で66.3%増と大幅に増えた。

楽天の「メンバーシップバリュー」
「メンバーシップバリュー」について(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

過去12か月間で2サービス以上利用者数を同期間の全サービス利用者数(2020年12月末時点)で割って算出したクロスユース率は、2020年12月末時点で73.0%となった。前年同期比で1.1ポイント増。

楽天経済圏におけるクロスユース率
クロスユース率(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

楽天カード会員数は2020年12月時点で2155万人、前年同期比で13.5%増。「楽天市場」流通総額における楽天カード決済比率は継続的に拡大しており、2020年12月時点で66.9%まで伸びた。

楽天市場流通総額における楽天カード決済比率
「楽天市場」流通総額における楽天カード決済比率(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

2020年10-12月期における「楽天市場」のモバイル流通総額の比率は76.5%に。前年同期比で3.1ポイント上昇した。

楽天市場モバイル流通総額比率
「楽天市場」モバイル流通総額比率(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

新型コロナウイルス感染症拡大によって出店者数は拡大。2020年6月までに5万店を突破。2020年12月時点で5万3794店舗が出店している。

Rakuten Fashionの成長

2020年12月末時点でファッション通販サイト「Rakuten Fashion」に出店するショップ数は1307店と前年比で156店増えた。

「Rakuten Fashion」の成長
「Rakuten Fashion」の成長(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

2020年は専用スマートフォンアプリの提供、「Rakuten Fashion」内にラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドの商品、その魅力を発信するコンテンツを扱う専門サイト「Rakuten Fashion Luxury」を開設するなど、ファッション分野の強化を進めている。

なお、楽天は「Rakuten Fashion」参加ファッションブランドを対象に、複数販路の各種データを一元管理するデジタルソリューション「Rakuten Fashion Omni-channel Platform」を2021年夏頃から提供を開始する。

ブランドショップが展開する実店舗や自社ECサイト、「Rakuten Fashion」などのECプラットフォームなど、複数販路の商品販売履歴をシステム上の在庫情報に反映、一元管理できる機能を提供。各販路の商品在庫最適化を実現できるようにする。

楽天が始める「Rakuten Fashion Omni-channel Platform」
「Rakuten Fashion Omni-channel Platform」について(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

物流面では日本郵便と協業、西友への出資で小売業のDX推進をサポート

楽天のEC需要拡大に向けた戦略
EC需要拡大に向けた戦略(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

物流拠点とラストワンマイルを拡大することで、独自の配送ネットワークを構築する「ワンデリバリー」構想では2000億円超の投資を計画する進める楽天。

楽天グループで生活用品や日用品を取り扱う「Rakuten24」などの直販店舗、「楽天ブックス」、ファッション通販サイト「Rakuten Fashion」、家電ECサイト「楽天ビック」の商品、「楽天市場」出店店舗を対象とする物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」で受託する一部の荷物を自社配送している「Rakuten EXPRESS」の人口カバー率は2020年12月時点で63.5%まで拡大。

2020年の「楽天スーパーロジスティクス」について、利用店舗数は前年比87.4%増、出荷量は同140.7%増えたという。

「ワンデリバリー」構想を一気に進めるための協業先の1つが日本郵便。楽天と日本郵便は2020年12月、持続可能な物流環境の実現を目的とした戦略的提携に向け、基本合意書を締結した。

日本郵便の物流網やデータ、楽天が保有する「楽天市場」での需要予測や受注データの運用ノウハウなどを活用し、合弁会社の設立などを含めた新たなオープンプラットフォームの構築で協業する。

楽天 日本郵便 新たな物流プラットフォームをオープン化
新たな物流プラットフォームをオープン化する(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

楽天のテクノロジーと日本郵便の配送網・アセットを組み合わせて、物流分野にデジタルトランスフォーメーション(DX)を起こす狙いがある今回の協業。次世代物流プラットフォームを構築し、新たな物流プラットフォームをオープン化していくとしている。

物流面に加えて、小売業のDX推進も進める。

ウォルマートが保有する西友の株式について、米国の資産運用会社であるKKRが65%、楽天が新たに設立する子会社「楽天DXソリューション(仮)」を通じて20%を取得することで合意、契約を提携。実店舗のDXを推進していくという。

「楽天DXソリューション」は、楽天の事業で培ったOMO施策やデータマーケティングなどさまざまなノウハウを生かし、全国の食品や日用品等の小売り事業者におけるDXの推進支援を手がける。

楽天は西友に出資し、実店舗のデジタルトランスフォーメーションを推進するという
西友に出資し、実店舗のデジタルトランスフォーメーションを推進するという(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)
瀧川 正実
瀧川 正実

アシックスのEC売上は86%増の517億円、EC化率は15.7%

4 years 9ヶ月 ago

アシックスの2020年12月期EC売上高は前期比85.8%増の517億円だった。EC売上高は日本、北米、欧州、中華圏といったグローバルでの合算数値。全社売上高は同13.0%減の3780億円で、EC化率は同8.3ポイント増の15.7%。

EC売上高は前期比239億円増加し、特に北米や欧州で大幅に増えた。北米のEC売上高は同111.9%増、欧州は同133.3%増。日本は同61.2%増、中華圏は同39.8%増だった。

アシックスの2020年12月期EC売上高は前期比85.8%増の517億円
アシックスのチャネル別売上高(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

カテゴリー別にECの売り上げ状況を見ると、ランニングシューズを展開する「パフォーマンスランニング」では、EC売上高が前期比106%と倍増。ランニングスタイルに応じてユーザーに最適なシューズをレコメンドする「Shoe Finder」、商品紹介ページの拡充などが貢献した。「オニツカタイガー」は全地域において、EC売上高が前年を上回った。

アシックスは、無料のメンバーシッププログラム「OneASICS」、フィットネス・トラッキング・アプリ「ASICS Runkeeper(アシックスランキーパー)」などを軸にランニングエコシステムを構築、スポーツイベントの集客や商品の販売につなげている。「OneASICS」に登録するとアシックスオンラインストアの送料が無料になる。

「OneASICS」では2020年7月、ポイントプログラム制度を導入。アシックスジャパンが運営する店舗で会員が商品を購入すると、対象店舗でポイントが利用できるようにした。

「OneASICS」「ASICS Runkeeper」などを活用、アシックスが進めるランニングエコシステム
アシックスが進めるランニングエコシステム(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

アシックスはアプリプラットフォーム、ECデータプラットフォームで収集したデータを活用。ECデータは「どんなもの」を「どのように買った」などを分析し、アプリでは「走る速さ」「走る時間」などを分析してECデータと掛け合わせている。それを、アシックスジャパンなど各国の販売会社と共有し、データに基づいたマーケティングを実行している。

「OneASICS」「ASICS Runkeeper」などを活用、アシックスが進めるランニングエコシステム
「OneASICS」を通じたオムニチャネル(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

コロナ禍で多くのマラソン大会が中止される状況下、2020年12月期は約1190大会のバーチャルマラソン大会で「ASICS Runkeeper」が活用された。主催したバーチャル駅伝レース「ASICS World Ekiden 2020(アシックスワールドエキデン 2020)」では5万6000人の人が参加。世界最大規模のバーチャルレースになったという。

石居 岳
石居 岳

ECサイトの表示速度が早くなるとどんなメリットがあるの? ショップジャパンさんの事例【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 9ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年2月7日〜14日のニュース
ネッ担まとめ

「表示速度は速い方が良いだろうけど、売上は改善するの?」という疑問を持つ人も多いはず。実際は直接的なプラスの効果と言うよりも「安定稼働による売り逃し削減」が大きなメリットになるようです。

ECサイトが安定稼働することで売上も安定

ECサイトの表示スピードを11秒台→2秒台へ短縮した「ショップジャパン」。安定稼働とUXの向上を実現した取り組みとは | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8367

ネットショップ担当者の皆さんが気になっているけど答えが出ないのもの1つに「サイトの読み込み速度が上がれば売上が改善するのか?」ということがあると思います。「ショップジャパン」を運営するオークローンマーケティングさんの記事がありましたので、引用しながら説明をしていきます。

新たな課題への対応は企業内での線引きが難しく、ビジネス部署・IT部署における従来の役割分担の垣根に、「表示スピード=パフォーマンス品質はどこが責任を持って解決すべきか?」という議論が生じた。

この課題とは別に、2018年にはCMS見直しのプロジェクトが始まった。従前のCMSはレスポンスが遅いだけではなく、米国サービスだったため、作業のたびに改修コストがかかり、対応できるSI会社・エンジニアがともに不足しているという点がネックになっていた。

ショップジャパンさんの場合も、どこの企業でもありそうな状況からスタートしています。読み込み速度は何となく遅いのはわかるけど、じゃあ誰がやるの? という問題。ECは単独の部署で解決できないことが多く、複数の部署を横断する組織がないとなかなか進みません。もしくは、ものすごくやる気のある人がぐいぐい引っ張っていくかですね。

現在の値と改修後の値を比較しなければ、改善目標が曖昧になり、提案依頼書を作成しにくい。そこで、Webサイトのパフォーマンスを視覚化する「SpeedCurve」を使い、各課題箇所の計測を並行して行うことになった。

(中略)

パフォーマンス改善の外部コンサルタントが「継続利用していたCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)が怪しいのではないか?」と、原因ポイントを見つけた。

どの部署がやるにせよ、現状の把握と改善効果を計測しないといけませんので、計測サービスを利用して調査をしています。その結果、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)が要因であることが判明し、誰がやるのかも決まっていきます。

従来ならばCDNはIT部門の管轄となるが、売り上げに影響するということで、今回は「ビジネス部門が対応する」ことになった。前例がないだけに、部門間の様子見はどうしても避けられない。

問題の見える化ができれば組織は動きやすいです。問題がわかれば影響する範囲もわかり、対応する部署も決まります。やりたいことがあるときは、はやる気持ちを抑えてこうした手順を踏むことが大切ですね。

ショップジャパン ShopJapan オークローンマーケティング ドーモ 表示スピード改善 UX改善 体感速度の軌跡
2019年10月から2020年10月までの「ショップジャパン」体感速度の軌跡

結果は上図の通りで10秒から3秒未満へと大幅な改善がされています。その間に行った施策は以下の通り。

  • 画像のベタ貼りからマークアップへ
  • 画像のLazyLoad対応
  • 新しいCDNへの切り替え
  • 不要なスクリプトやスタイルの削除
  • イメージリサイズ機能を導入
  • タグの要素変更

集客施策と違って目に見える効果がすぐに出るものではありませんが、やっておかないといけないことばかりですね。では肝心の効果は? というと以下の通り。

  • サイトが安定したことでUXを向上でき、ユーザーのストレスが極めて減ったと考えられる
  • 速度だけでなく安定性の向上につながった
  • 安定的に表示できていることで、結果的に売り上に貢献している

売り逃しがなくなったということですね。これはものすごく重要なことで、欲しい人がいるのにサイトのせいで買ってもらえないとなると、機会損失だけではなくて不快感を与えてしまうため、リピートしてくれなくなり大きなマイナスになります。もちろんクレームも発生しますので、その対応の時間やコストを考えると損失はますます拡大します。

ネットショップの読み込み速度が速いということは、接客してくれる店員が素早く来てくれると考えるとわかりやすいと思います。直接的な売上だけを見るのではなく、ネットショップ全体としてどんな体験をしてもらいたいのかを考えて対応していくと良い結果になるはずです。

EC全般

越境EC × Japanコンテンツ。アジア圏で人気「エヴァンゲリオン」「ECONECO」の事例 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8366

「コンテンツホルダーとメーカーを結び商品を生み出すサービス」もあるので、越境ECを考えている人は検討してみては?

【第2弾】実店舗オーナーによる運営店舗のキャッシュレス決済利用動向調査 | MMD研究所
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1918.html

スマホ決済を普段使いしている人は2年前より3倍強 「昨年より利用回数増えた」約7割/LINEリサーチ | CreatorZine
https://creatorzine.jp/news/detail/1793

ECサイトの物品購入、2018年よりID決済利用が増加 常用決済方法ないと離脱も/SBペイメント調査 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/8831

キャッシュレスを好むユーザーが増えています。導入効果も高いので店舗を持っている場合はお早めに。

【ネットからリアルへvol.8】ひとつずつ違うからいい。手作業にこだわる<TAYUMi>の想いとは | BASE U
https://baseu.jp/19238

作ること自体が好きで、1つひとつ手作りで自分ができる範囲でやっていきたい。こんな人にはBASEがぴったり。

“EC特需”のBASE、コロナ禍で「売上2倍」黒字決算で勢い…社外取に元SMAPマネージャーも就任 | Business Insider Japan
https://www.businessinsider.jp/post-229491

この勢いは止まらない感じですね。競合が増えていることもご注意を。

D2C時代におけるブランドの作り方。欠かせないのは「ブランドアイデンティティ」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8381

以前にも紹介しましたがD2Cに必要なのはブランド。本当に好きな人届けられるかどうか。

デジタルコンテンツのアイデアとダウンロード販売をはじめる方法 ストアの作成方法 | shopify
https://www.shopify.jp/blog/digital-products

Shopifyでデジタルコンテンツを販売する方法についての記事です。

近鉄百貨店、あべのハルカス近鉄本店で「でんわ de オーダー」サービスを開始 電話で注文・決済が完了 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/8838

日本の人口構成を考えれば、電話注文に対応するだけで売上が上がる場合もありますよね。

Google のマケプレ、いまだ成功の糸口は見つからず:「無料化」も焼け石に水か? | DIGIDAY[日本版]
https://digiday.jp/platforms/googles-marketplace-is-free-for-sellers-they-still-arent-joining/

とにかくわかりにくいことが問題。Googleのサービス全般に言えることですね。

今週の名言

「印刷産業の流れは止められないかもしれないけれど、この機械さえ再び回すことができれば、また売り上げは伸びていくんじゃないか?」

産業全体の大きな話はひとまず置いておこう。ただ、この機械さえ、また音を立てて動いてくれれば、きっと何か光が見えるはずだ――。

36歳で印刷会社の社長になった僕が、減り続ける売上をなんとか立て直した話 | 工藤太一/印刷会社二代目/glassy株式会社代表取締役 | note
https://note.com/glassy/n/n277a227d5144

世の中が不景気になるとその影響を受けているだけだと思いがちですよね。そんな時は目の前の商品や機械やサービス、お客さんのことを考えると出口につながるヒントがあるかもしれません。

森野 誠之
森野 誠之

【川添隆氏が解説】オンライン接客の始め方と基礎知識。相談タイムあり(2/22 12時〜Clubhouseで生配信)

4 years 9ヶ月 ago
ECエバンジェリストの川添隆さんがオンライン接客の始め方や基礎知識などを解説(2/22 12時〜Clubhouseで生配信)

音声SNS「Clubhouse」にて、「【EC専門家が基礎から解説】オンライン接客の始め方教えます(相談タイムあり)」と題したライブ配信を、2月22日(月)12時〜13時に実施します。

ECエバンジェリストの川添隆さんが、「オンライン接客」の始め方や基礎知識などを解説するほか、オンライン接客に関する相談タイムも設けます。

【EC専門家が基礎から解説】オンライン接客の始め方教えます(相談タイムあり)詳細

  • 日時:2月22日(月) 12時〜13時
  • 配信場所:Clubhouse https://www.joinclubhouse.com/event/PDyBKldO
  • 参加費:無料
  • ご質問(ご相談)方法:当日川添氏にお聞きになりたいことがある方は、以下の順序にてご質問ください。

1.ご自身のプロフィール最上部に、川添さんへの質問(相談)内容をご記入ください

2.準備ができましたらルーム右下にある「挙手」マークを押してください

3.川添氏、もしくは編集部の公文よりスピーカー招待が届きましたら、受理していただきお話ください(※質問が多く寄せられた場合には、先着順とさせていただきます。ご了承ください)

※「Clubhouse」は2021年2月15日現在、iOS及び、アカウント開設済みの方のみご参加いただけるSNSとなっております。

公文 紫都
公文 紫都

「雇用調整助成金」特例措置の縮減は5月から。助成額上限は1万3500円、助成率は9/10に。7月以降はさらに縮減する方針

4 years 9ヶ月 ago

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、政府がその費用の一部を助成する「雇用調整助成金」の特例措置について、3月に緊急事態宣言が解除された場合の方針を厚生労働省が発表した。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、政府がその費用の一部を助成する「雇用調整助成金」の特例措置について、3月に緊急事態宣言が解除された場合の方針
「雇用調整助成金」の特例措置による雇用維持について

3月に緊急事態宣言が解除された場合、解雇などをせずに雇用を維持している中小企業の休業および教育訓練に対する助成率10/10、大企業は3/4の「雇用調整助成金」特例措置は4月までとする。

業況が厳しい大企業、および緊急事態宣言対象地域で知事の要請を受けて営業時間の短縮へ協力する大手飲食店などへの助成率を最大10/10とする取り組みも4月末まで継続する。

雇用調整助成金の特例措置に係る大企業の助成率の引き上げのお知らせ
営業時間の短縮などに協力する大企業の助成率の引き上げについて(厚労省発表資料からキャプチャ)
雇用調整助成金の特例措置に係る大企業の助成率の引き上げのお知らせ
業況が悪い大企業の助成率の引き上げについて(厚労省発表資料からキャプチャ)

5月からは特例措置を段階的に縮減。1人1日あたりの助成額1万5000円の上限を、2か月間の措置として1万3500円まで減らす。助成率は9/10に縮減する。

ただ、感染が拡大している地域(まん延防止等重点措置対象地域の知事による基本的対処方針に沿った要請)、生産指標(売り上げなど)が直近3か月の月平均と前年または前々年の同期と比べ3割以上減少した全国の事業所については、「雇用調整助成金」の特例を措置する。措置案の助成率は最大10/10で、1人1日あたりの上限額は1万5000円。対象は中小企業、大企業。

感染が拡大している地域(まん延防止等重点措置対象地域の知事による基本的対処方針に沿った要請)、生産指標(売り上げなど)が直近3か月の月平均と前年または前々年の同期と比べ3割以上減少した全国の事業所に対する「雇用調整助成金」の雇用維持要件は、緩和する。

現行の特例措置は、2020年1月24日以降の解雇などの有無で確認しているが、2021年1月8日以降、4月末までの休業などについては、2021年1月8日以降の解雇の有無で適用する助成率を判断する。

なお、7月以降は、雇用情勢が大きく悪化しない限り、原則的な措置、特例措置をさらに縮減するとしている。

瀧川 正実
瀧川 正実

【Zホールディングス2020年4-12月期】ショッピング取扱高は54%増の約1.1兆円、eコマース取扱高は28%増の2.4兆円

4 years 9ヶ月 ago

Zホールディングスが2月3日に発表した2020年4-12月期(第3四半期累計)連結決算によると、ショッピング事業の取扱高は前年同期比54.0%増の1兆943億円だった。アスクルBtoB事業やリユース事業などを含めたeコマース取扱高は同28.3%増の2兆4104億円。

2020年10-12月期(第3四半期)のショッピング事業の取扱高は同33.7%増の3947億円。eコマース取扱高は同33.0%増の9182億円だった。

Zホールディングスが2月3日に発表した2020年4-12月期(第3四半期累計)連結決算によると、ショッピング事業の取扱高は前年同期比54.0%増の1兆943億円
第3四半期のコマース事業取扱高実績(画像はZHDの決算説明会資料からキャプチャ)

ショッピング事業は第1四半期(4-6月)に同85.9%増の3793億円、第2四半期(7-9月)は同51.3%増の3203億円。ZOZOの連結子会社化や「超PayPay祭」などの販促活動強化が寄与している。

eコマース事業の第1四半期(4-6月)は同21.1%増の7073億円、第2四半期(7-9月)は同29.8%増の7849億円で推移している。

第3四半期のショッピング事業は、「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」でコロナ禍の影響により新規購入者数(過去12か月間で「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」で購入実績がないユーザー)および平均客単価が増加。新規購入者数は同40.7%増、平均客単価は同3.1%増だった。

Zホールディングスが2月3日に発表した2020年4-12月期(第3四半期累計)連結決算によると、ショッピング事業の取扱高は前年同期比54.0%増の1兆943億円
「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」の状況(画像はZHDの決算説明会資料からキャプチャ)

ZOZOについては、Zホールディングスグループへの参加以降、成長が加速。2020年10-12月期の商品取扱高は同26%増の1186億円、営業利益は同126%増の139億円だった。

Zホールディングスが2月3日に発表した2020年4-12月期(第3四半期累計)連結決算によると、ショッピング事業の取扱高は前年同期比54.0%増の1兆943億円
ZOZOの取り組みについて(画像はZHDの決算説明会資料からキャプチャ)
石居 岳
石居 岳

「レディー・カガ」「旅館で音楽フェス」などのアイデア、ファンやアイドルとのつながりを生かした体験+物販のECサイト「かいねや加賀」のスゴイ取り組み

4 years 9ヶ月 ago
加賀温泉郷(石川県)の商品を購入でき、旅館や地域を支援できるECサイト「かいねや加賀」。コロナ禍で誘客が難しい中、加賀温泉郷の旅館やお店を広く支援できる仕組み作りのために行った施策とは

石川県西部にある「山中」「山代」「片山津」「粟津」4つの温泉からなる「加賀温泉郷」。2015年に北陸新幹線が金沢まで開通したことで、全国的に人気が高まりました。しかし、新型コロナウイルスの影響により観光客が激減。「誘客ができない期間に何ができるか」と考え、加賀温泉郷の物産品を扱うECサイト「かいねや加賀」をオープンしました。運営する合同会社加賀温泉の萬谷浩幸氏に、サイト運営や地域振興への取り組みなどについて話を聞きました。

「来なくても買える」ECサイトの必要性を実感

ーー2020年7月に加賀温泉郷の物産品を扱うECサイト「かいねや加賀」をオープンしました。開設の経緯を教えて下さい。

萬谷浩幸氏(以下、萬谷氏):旅館や観光プロモーションは誘客が前提となっていましたが、新型コロナウイルスの影響で、お客さまに加賀温泉郷まで来ていただくことができなくなってしまいました。その期間、「加賀温泉郷に来なくても商品が買える」「加賀温泉郷のお店にお金が回る」ために何ができるかと模索。「加賀温泉郷を売るネットショップが必要だ」と考え、ECサイトを立ち上げました

ーーECサイトの運営についてお聞きしたいのですが、何人でどのような分担で行っているのでしょうか?

萬谷氏:実際に運営に関わっている人数は3~4人です。私が全体の統括やマネジメントを行っており、注文処理などのオペレーションと営業・販促が各1人ずつ。ECサイトを立ち上げるにあたり、企画やサイトのデザインなどを外部に委託しています。

ーー少人数での運営ですね。

萬谷氏:自社の製品を売るというより、地元の商品を集めて、手数料をいただいて販売するビジネスモデルです。利益率が低いので、それで儲ける・利益を伸ばすのではなく、行き場を失った多くのお店にお金が回るようなお手伝いをしたいと思っています。そのために、できるだけ管理コストをかけず、参画している地域のお店にメリットがあるような形にしたいなと考えました。

かいねや加賀 加賀温泉郷 ECサイト開設 観光業 合同会社加賀温泉 萬谷浩幸氏
合同会社加賀温泉 代表の萬谷浩幸氏(画像は合同会社加賀温泉 提供)

支援目的で始めた未来に泊まれる「みらい宿泊券」

ーー扱う商品を選ぶ基準などはありますか?

萬谷氏:「かいねや加賀」というサイトの知名度が地元ではまだあまり高くないので、私たちから地域の有力なお店などに声をかけています。主旨を説明し、理解していただけたら商品を登録しています。現段階では私たちから声をかけることが多いのですが、最近少しずつ反響があり、お店から「登録してほしい」という声をいただいています。

かいねや加賀 加賀温泉郷 ECサイト開設 観光業 商品
「かいねや加賀」で販売している加賀温泉郷の商品(画像は「かいねや加賀」サイトからキャプチャ)

ーー商品の中には、「みらい宿泊券」「みらい飲食券」といったユニークなものもありますが、この施策を始めたきっかけは何でしょうか?

萬谷氏:もともと私が旅館を経営しており、まちづくりの会社として合同会社加賀温泉を立ち上げました。今、お客さまに足を運んでもらえない状況の中で、未来に宿泊してもらう、お金を使ってもらう仕組み、支援していただけるような仕組みがないかと考え、「みらい宿泊券」を始めました。

宿泊券は私が考えたわけではありません。全国でこうした取り組みは行われていますが、それを参考にして「みらい宿泊券」をECサイトの商品の1つとして取り扱おうと。宿泊券だけでなく地域の飲食店で使える「みらい飲食券」も販売しています。「かいねや加賀」は宿泊券と飲食券、お取り寄せ商品の3つの柱で始めようと考えたんです。

かいねや加賀 加賀温泉郷 ECサイト開設 観光業 みらい宿泊券 旅館 支援
「かいねや加賀」で販売している「みらい宿泊券」。宿泊施設の宿泊料を前払いで購入することで、コロナの影響を受けた宿泊施設の支援につなげている(画像は「かいねや加賀」サイトからキャプチャ)

ーー利用頻度や購入率はどのくらいでしょうか?

萬谷氏:ECサイトを立ち上げたのが2020年7月ごろ、休業期間の4~6月を過ぎて少しずつお客さまが戻り始めた時期というのもあり、ポツポツとですがコンスタントに売れていますね。宿泊券を利用できる旅館のリピーターの方、ファンの方、両親への贈答用に購入される方もいます。

ーー贈答用は素敵ですね! なかなか泊まりに行けなくても宿泊券があることで、「行ってみよう」というきっかけになりそうです。

萬谷氏:そうですね。両親や家族を招待しようとすると、自分たちで要望をまとめて旅館に希望を伝えて振り込みもして……と、意外と手間がかかります。けれど、権利というか宿泊券を渡すことで、もらった人自身で予約や細かいことを決めてもらいつつも、プレゼントにできる。そういったメリットが消費者の方にもっと伝えられれば、もっと売れるんじゃないかと考えています。

ネックになっているのは、「2万円でこの宿泊プランが使えます」とセットになっているものは「GoToトラベル」や自治体のキャンペーンとは併用できない点です。現在は「GoToトラベル」が停止しているため、販売が伸びてきています(2021年2月1日時点)。

電子クーポンにするなどいろいろな考えはあると思いますが、割引を前面に押し出すより、旅館やお店を支援するためだったり、贈答用として使っていただく方向で長く続けたい。コロナが収まった後も、1つの販売ツールとして継続していきたいですね。

コロナ禍で地元需要が増加

ーー「GoToトラベル」のお話がありましたが、コロナ前後で売り上げにどのような変化がありましたか?

萬谷氏:旅館については、4~6月はほとんど売り上げがない状態でした。6月後半から営業を再開して、10月以降はほぼ前年に近いくらいの売り上げに戻ってきたんじゃないかと。しかし、感染拡大が再び起こっているため、2021年2月以降の予約がほとんど入っていない状態ですので、年間でみると、前年の半分も行かないと思います。

ーー10月以降の動きは「GoToトラベル」の影響が大きかった。

萬谷氏:効果は大きいですね。今回、地元の方に何度も利用していただくことが多かったです。昔は、地元の方が町内会や野球大会など何かイベントがあると旅館を利用していたんですが、今はすごく多様化していて。居酒屋もあるしスーパー銭湯もあるので、旅館で懇親会を開く機会が減っているんです。

しかし、「家族旅行や遠くに行けない」「娯楽ができない」状況の中、「GoTo」キャンペーンがあることで、娯楽としての旅館が見直されました。館内でゆっくりする、温泉に入ったり料理を食べたりするなど、「泊まること」自体が目的になっています。ビジネスホテルなどよりも旅館がすごく好まれている傾向が強いと感じていますね。

アイドル起用で「聖地巡礼」するファンが増加

PRポスター&ファンのSNS発信がきっかけ

ーー扱っている商品の中に「モーニング娘。’21」の加賀楓さんのキーホルダーがありました。アイドルの方のグッズは目を引きますが、どのような経緯で販売することになったのでしょうか?

萬谷氏:加賀楓さんには2018年から加賀温泉郷観光大使を務めていただいており、2020年は加賀市の観光大使としても起用しています。その枠組みでECサイトのイメージキャラクターになっていただきました。

かいねや加賀 加賀温泉郷 ECサイト開設 観光業 モーニング娘。'21 加賀楓さん アイドル
「かいねや加賀」のイメージキャラクターを務める「モーニング娘。’21」の加賀楓さん(画像は「かいねや加賀」サイトからキャプチャ)

今まで、多くの加賀さんファンの方に加賀温泉郷に足を運んでいただいていましたが、コロナの影響で来られなくなってしまうことも多くて。そういった方々にもっと地域にお金を使っていただける場所を作る、という目的もあり、「かいねや加賀」のオリジナルグッズ製作に力を入れています。

かいねや加賀 加賀温泉郷 ECサイト開設 観光業 モーニング娘。'21 加賀楓さん アイドル アクリルスタンド
「かいねや加賀」で販売していた加賀楓さんのフィギュアスタンドキーホルダー(画像は合同会社加賀温泉 提供)

ーー「かいねや加賀」では商品の販売だけでなく、加賀さんのインタビューなども掲載しています。加賀さんを起用したきっかけは何でしょうか?

萬谷氏:加賀温泉郷は、2011年から「レディー・カガ」など、加賀温泉郷の女性を起用した観光キャンペーンを行っていました。首都圏のJRに年に1回、「加賀四湯博」のポスターを掲載しているのですが、ある年「あなたの風邪はどこから?」という風邪薬の広告をモチーフにした「あなたの加賀はどこから?」というポスターを掲載しました。加賀の一般女性を起用して、「加賀に来て下さい」というPRで、そこに「レディー・カガ」と記載したんです。

そのポスターを見た「モーニング娘。」のファンの方が、「このポスターを加賀楓さんでやってほしい」とツイッター上ですごく盛り上がって。ちょうどそのころ、加賀さんが「モーニング娘。’16」の正式メンバーに加入した時期だったこともあり。その盛り上がりを見ていたとある方の紹介で事務所の方とつながりが生まれました。なので、ファンの方の盛り上がりから生まれた企画ですね。

かいねや加賀 加賀温泉郷 ECサイト開設 観光業 レディー・カガ PR
「レディー・カガ」は加賀温泉郷の情報発信やおもてなしの向上を目的として立ち上げたプロジェクト(画像は「レディー・カガ」YouTubeからキャプチャ)

ーーファンの方が加賀さんと加賀温泉郷の「加賀」をかけたところに着目したんですね。

萬谷氏:加賀さんは「かえでぃー」というあだ名で呼ばれていて。そこから「モーニング娘。」のプロデューサーであるつんく♂さんが「エディーカガ」と呼んでいることを、ファンの方が「レディー・カガ」と結びつけたところもありますね。

ーーファンの盛り上がりから大きな企画につながっているのは凄いですね。

萬谷氏私たちからどんどん仕掛けていったというより、ファンの方の思いをなぞる、叶えるというか。それが今回いろいろつながった要因じゃないかと感じています。

「行きたいけど行けない」人たちも利用できる仕組み作り

ーーファンの方が実際に加賀温泉郷を訪れたりすることで、地域での消費は増えたのでしょうか?

萬谷氏:ツイッターなどを見ると、「聖地巡礼」ではないですが、多くのファンの方が加賀温泉郷に来てくれていることを実感します。来てくれるだけではなく、「地元でお金を使おう」という意識がファンの方はとても強くて、ありがたいです

最初は加賀温泉郷のPRのためにやっていたので、具体的な施策などを用意していなかったんです。しかし、実際に訪れたファンの方が何店舗かのカフェで行っている「加賀パフェ」を食べていたり……。そういった様子を見て「ファンの方に気持ち良くお金を使っていただけるような仕組みを作りたい」とずっと考えていました。

コロナで加賀温泉郷に来られないファンの方たちに「ネットショップを利用して、加賀温泉郷の物を買ってもらおう」と考えました。

かいねや加賀 加賀温泉郷 ECサイト開設 観光業 加賀パフェ 加賀市おもてなし喫茶メニュー
加賀市のおもてなし喫茶メニューとして開発された、地産地消の5層になったパフェ(画像は「加賀パフェ」サイトからキャプチャ)

ーーファンの方がツイッターなどで発信することで、加賀温泉郷の輪のような物が広がっているのでしょうか。

萬谷氏:キャンペーンなどは広告やポスターを製作・掲載して終わってしまうことが多いのですが、実際にファンの方が訪れて、その様子を見た地元の方たちも「それを目当てに来る人がいるんだな」ということを実感できる。1つのムーブメントというか、良い循環・仕組みになっていると思います。

ツイッターなどを見ると、「行きたいけど行けない」という方がたくさんいます。そういう方たちに向けても、ネットショップはいろいろな物を販売できる良い仕組みだと思っています。

温泉×音楽フェスで地域活性化

ーーアイドルといえば、アイドルやDJ、バンドなどが温泉旅館内でライブを行う音楽フェス「加賀温泉郷フェス」を開催しています。こちらの詳細を教えて下さい。

萬谷氏:発祥は加賀温泉郷PRの「レディー・カガ」からで、地元加賀の女性が訪れた人をおもてなしする「レディー・カガフェス」というのをやりたくて。ただ、名称の関係などで実施は難しいこともあり、「じゃあ加賀温泉郷フェスにしましょう」となり、2012年からスタートしました。

最初は温泉近くの湖の湖畔で行っていたのですが、騒音問題などがありまして……。それと、「温泉郷フェス」とうたいながらも、「普通の野外フェスと変わらない、温泉感がない」という点も気になっており、「より温泉感を高めるにはどうしたら良いか」と考えた結果、2016年から「旅館内でやろう」となりました。

旅館の宴会場を貸し切って行う弾き語りライブは全国で行われているのですが、大型旅館を貸し切り、何か所もステージを作って行うフェスはありませんでした。そこで、やっと独自性や温泉郷フェスの形が見え、加賀温泉郷ファンの方が増えてきました

ーーフェス時の写真を拝見すると、観客の方が浴衣姿で楽しんでいるという新鮮な光景でした。

萬谷氏:温泉郷フェスでどういう服装が好ましいか考え、浴衣の貸し出しを始めました。そうしたら参加者の方がとても主旨を理解してくださり、率先して着替えて温泉と音楽を楽しんでいました。アーティストの方も浴衣に着替えてライブを行っていて。そういった光景を見て特にアイドルのファンの方は喜んでいましたね。

かいねや加賀 加賀温泉郷 ECサイト開設 地域活性化 温泉フェス 加賀温泉郷フェス
「加賀温泉郷フェス」の様子(画像は「加賀温泉郷フェス」サイトからキャプチャ)

旅館で開催してから気づいたのですが、室内で行うことで小さい子どもを連れた方や年配の方など幅広い層の方が楽しめるようになったな、と。

野外フェスは雨が降った時や日差し、虫の多さなど意外と過酷なのですが、室内ならそういった要因に左右されることがありません。さらに、ライブを見て楽しんで、疲れたら温泉に入って体を休めて、またライブを楽しむという無限に楽しめる空間になり、温泉でフェスを開催する可能性がわかりました

――フェスに参加した方が、加賀温泉郷のリピーターになるなどのつながりは生まれているのでしょうか?

萬谷氏:いらっしゃいますね。2020年はコロナの影響で開催できなかったのですが、「今年はフェスがなくて寂しかったので、泊まりに来ました」「1回来て良かったので家族と来ました」という声をいただき、すごく嬉しかったですね。

体験自体をECサイトで販売していきたい

ーーECサイトの開設や地域活性化などさまざまなことに取り組まれていますが、今後の施策について教えてください。

萬谷氏:ECサイトではオリジナル商品をもっと拡充して販売を増やしていき、「かいねや加賀」の魅力を高めていきたいと考えています。

ーー今販売しているトートバッグなどのオリジナル商品を増やしていく?

萬谷氏:売れる商品も作っていきたいですし、オンラインツアーのような体験自体をECサイトを使って販売していきたいですね。食べ物のお取り寄せは多いかと思いますが、自宅にいながら旅館を再現できるような「旅館のお取り寄せ」を実現したい。浴衣を着て旅館のタオルなどを使って温泉気分を味わえるような、非日常をお届けするということは取り組んでいきたいと思います。

かいねや加賀 加賀温泉郷 ECサイト開設 観光業 オリジナルグッズ
Tシャツやトートバッグ、てぬぐいなどの「かいねや加賀」オリジナル商品(画像は「かいねや加賀」サイトからキャプチャ)

ーー2020年開催できなかった「加賀温泉郷フェス」などオンラインで実施する施策はありますか?

萬谷氏:旅館では2020年12月にクラウドファンディングを立ち上げて、再始動させていきたいなと。「加賀フェス」の特徴の1つとして、ライブだけでなく映画の上映会やアート、ワークショップなどさまざまな企画を行っています。そういったミニイベントを少しずつ再開して、2021年2~4月にイベントを実施できたらと思っています。

旅行という形態自体がその場所に行って旅をする、というものなので、必ずしもオンラインで行うというのが好ましいとはいえません。しかし、この環境下ですので、オンラインツアーやライブコマース、VTuberなど新しいことに挑戦し、来られない人も楽しめるという主旨で推進していきたいですね。

私の活動の一貫しているテーマは「加賀温泉郷を知り、好きになってもらい、来てほしい」ということ。観光やエンターテイメントは大変な時期ですが、ぜひ応援していただきたいです。

藤田遥
藤田遥

【社長インタビュー】流通額2.8倍、1100億円突破の「STAFF START」。デジタル×販売員の力でめざす「カリスマ店員新時代」とは

4 years 9ヶ月 ago

デジタル接客支援サービス「STAFF START」の勢いが止まらない。2020年の「STAFF START」経由の年間流通総額は前年比2.75倍の1104億円。導入ブランド数は1200を超えた。アパレル業界を中心にコロナ禍で実店舗の販売不振が続いた2020年。店舗スタッフの雇用維持、EC売上拡大など、「STAFF START」が小売事業者に与えた影響は計り知れない。「カリスマ店員新時代を築く」と意気込む小野里寧晃代表取締役に、2021年の展望を聞いた。(聞き手・文:ネットショップ担当者フォーラム編集部 公文紫都)

大手百貨店の導入も決定。「文化が変わる」

――これまではファッション業界を中心に導入が進んでいましたが、2020年12月にワインの「エノテカ」が食品業界で初めて導入しました。今度はどのような業界の企業が導入予定ですか?

小野里寧晃氏(以下、小野里氏):大手百貨店への導入も決まり、2021年春頃にローンチ予定です。百貨店の導入が決まったことはビジネス的なインパクトもありますが、それ以上に「文化が変わる」ことが大きいと捉えています。

「エノテカ・オンライン」での「STAFF START」活用イメージ
「エノテカ・オンライン」での活用イメージ

――「文化が変わる」とはどういうことでしょうか?

小野里氏:多くの百貨店では、基本的に販売スタッフが売り場に私用のスマートフォンを持ち込んではいけない、店内で写真撮影NGなどいろいろな規則がありますが、まずその文化が変わります。「STAFF START」はスタッフがコーディネート写真やレビューを投稿し、その投稿を通じていくらECサイトで売れたかを可視化できるサービスなので、店内で撮影し、その場から投稿するスタッフもいます。導入を決定した百貨店が従来の規則を変えると判断しなければ、「STAFF START」の利用は難しかったでしょう。

さらに驚きなのが、「STAFF START」経由で投稿したコーディネート写真を、百貨店のECサイトだけではなく各テナントの公式ECサイトに同時掲載してもOKとなりました。

バニッシュ・スタンダードの小野里寧晃代表取締役
バニッシュ・スタンダードの小野里寧晃代表取締役(画像:バニッシュ・スタンダード提供)

――百貨店の既存顧客が、各テナントの公式ECサイトで購入することもあり得るわけですね。機会損失につながる可能性がありますが、百貨店側の“うまみ”はどこにあるのでしょうか?

小野里氏:時代の変遷とともに、百貨店という業態自体が“以前と同じ”とはいかなくなり、そこに新型コロナウイルス感染症が追い打ちをかけました。百貨店が生き残りを賭け新しい売り方を模索するのであれば、「デジタル(EC)」に移行せざるを得ません。

「STAFF START」を導入しデジタル上で人気スタッフが誕生すると、お客さまはそのスタッフに会いたいとお店に来てくれるので、実は来店促進につながります。実際、当社のクライアントであるファッションブランドでそうした動きが出始めています。人気スタッフになればなるほど、実際にお店まで会いに来てくれるファンが増え、その場にいないとクレームにつながることもあるほどです。そのため、最近は出勤日をSNS上で公開する販売員も増えています。

自身のInstagramアカウントで出勤日を公開している人気スタッフ
自身のInstagramアカウントで出勤日を公開している人気スタッフ(画像:バニッシュ・スタンダード提供)

百貨店に入居しているテナントのほとんどは、スタッフの専門知識を基にした接客が伴うので、どれも「STAFF START」と相性が良いはずです。おそらく2021年は、最初に導入した百貨店での効果を見た他の百貨店も、後に続くのではないでしょうか。

消化不良商品を循環させる新機能「商品スコア」

――2021年に実装を予定している新機能があれば教えてください。

小野里氏:まず、「商品スコア」という機能を追加し、春頃に最初の企業が導入予定です。商品ごとの在庫消化率をAIが解析し、スコアを算出するというサービスになります。

「STAFF START」は、スタッフのコーディネート写真やレビュー経由で商品が売れた場合、投稿したスタッフを評価するという仕組みを採用しています。「商品スコア」を利用すると、在庫消化率が悪い、いわゆる「死に筋商品」を売った場合にスタッフを高く評価するという設定ができます。「商品スコア」を通じて、アパレル業界にある「利益体質になりにくい」という課題を変えたいと思っています。

――具体的にはどういうことでしょうか?

小野里氏:アパレル商材は一律で利益率が低いわけではなく、実は利益を確保しやすい商品もあります。売れない「死に筋商品」が足を引っ張るので、全体の利益率が下がるという構造になっているんですね。

アパレル企業各社は、「ファイナルセール」「ファミリーセール」などの大幅なディスカウントによって、なんとか「死に筋商品」を売り切ろうと試みます。しかし、そもそも人気がない商品なので売り切るのは難しい。最終的にどうなるかというと、処分するためにわざわざお金を払います。そこで活躍するのが、「商品スコア」機能です。企業としても、セールで割引するくらいなら、しっかり売り切ってスタッフに還元した方がいいと考えるはずです。

――アパレルの大量廃棄は環境問題にもなっていますね。

小野里氏:はい、環境への悪影響も無くしていければと考えています。商品スコア機能では、在庫消化率は悪くないが大量生産し、在庫を無くすまでに時間がかりそうな商品も還元率を高く設定できるようにする予定です。AI解析による自動化で企業側の負担を減らしながら、スタッフはこの仕組みをうまく活用し、個人評価を伸ばしていくことができます。

――その他、EC事業者におススメの新機能やサービスはありますか?

小野里氏:2020年12月にリリースしたLINEショッピングとの提携です。「STAFF START」を利用して投稿されたコーディネート写真が、LINEショッピング上でも表示されるというものです。LINEショッピングで商品が売れると、LINE社から当社にアフィリエイト収入が入るのですが、その一部をスタッフに還元する仕組みを整えます。

LINEショッピングでの掲載イメージ(STAFFSTART)
LINEショッピングでの掲載イメージ

ただ、当社がクライアント企業のスタッフ1人ひとりに報酬を支払うと「副業規定」に違反してしまいます。当社から一括して各企業に支払い、そこから「給与」として各企業からスタッフに報酬を払っていただくスキームを考えています。

――他のモールでも応用できそうですね。

小野里氏:はい、同じスキームで他のモールさんとも連携していく予定です。

すべてのスタッフが正当に評価される社会にしたい

――急成長を続けていますが、小野里さんが乗り越えたいと感じている「壁」はありますか。

小野里氏:「STAFF START」を使っているスタッフの売り上げを、評価として還元できていない企業があることです。評価が利益圧迫になると感じ、インセンティブを支払うことに抵抗があるのではないでしょうか。私はスタッフが正当に評価される社会を望んで「STAFF START」を作り、日々サービス改善を続けています。正直、まだ評価に踏み切れていない企業がいること自体がすごく悔しい。毎月のインセンティブ以外の形でスタッフに還元している企業もあるようですが、企業側がこの先、“当たり前に評価する世の中”に、絶対変えていきたいと思っています。

――たとえば、どのようにでしょうか?

小野里氏:まだ詳しいことは言えないのですが、外部企業と連携したさまざまな仕掛けを考えているところです。クライアント企業にとってもメリットが大きいので、私が描く社会の実現に大きく近づくのではないかと思っています。春頃には情報を公開できる予定です。

化粧品業界でも導入が進む「STAFF START」(ロクシタンの事例)
化粧品業界でも導入が進む「STAFF START」

――「STAFF TECH(スタッフ テック)」の名の下、テクノロジーの力で販売スタッフの働き方改革を進めています。最近では販売スタッフから本部に「STAFF STARTを導入してほしい」と提案があると聞きます。ここから数年先を見据えて、小野里さんが掲げる目標を教えてください。

小野里氏:スタッフが正当に評価されること。そしてスタッフが仕事を通じて個人の夢をつかむこと。この2つが実現される社会であってほしいという想いのもと、2つ目標を掲げています。

1つは、販売スタッフを「なりたい職業ランキング」で1位にすること。かつては「カリスマ店員」というワードが誕生するなど、販売スタッフが女性たちの憧れの職業だったこともあります。しかし、販売スタッフは賃金や体力の問題、そして出産・育児などライフステージに合わせて現場を離れなきゃいけないなどさまざまな課題があり、その人気はどんどんと下がっていきました。

2019年になり、ようやく女子高生が選ぶ「なりたい職業ランキング」で9位(※ソニー生命「中高生が思い描く将来についての意識調査」より)まで浮上しましたが、私はそれを1位にすることが目標です。「STAFF START」がさらに普及すれば、デジタルの力で、「カリスマ店員“新”時代」を築けると信じています。

2つめの目標は、「STAFF START」の仕組みを世界に持っていくことです。

――海外展開を視野に入れているということでしょうか?

小野里氏:はい、入れています。当社のクライアント企業の中には、外資系のファッション企業もあるため、本国が日本での評判を聞きつけて「STAFF STARTを導入したい」と言ってくるケースが増えているそうです。まずは外国語対応を進め、いずれは海外にも進出したいと思っています。

公文 紫都
公文 紫都

ECサイトを狙う2大詐欺ボットの最新手口とダークウェブの今、悪質事業者への対抗策 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

4 years 10ヶ月 ago
ブランドや小売事業者は、機械学習技術を活用してボットの行動を分析することで、詐欺ボットから身を守ることができます。

人工知能(AI)に投資しているのは企業だけではありません。オンライン詐欺組織や、小売事業者を狙うスキャルピング(主に転売目的で行われる超短期取引)組織も、企業と同じように効率とスピードを高めるため、自動化とAIに注目しています。横行している2大詐欺ボットの手口と対策を紹介していきます。

チェックアウトページへのトラフィック、70%が悪意あるボットによって生成

スマートな技術を導入することで、ビジネスはより正確か効率的、そしてより収益性の高いものになります。結局のところ、EC事業者や小売事業者を狙って悪質な行為を行う人たちも、起業家のようなものなのです。彼らは、イノベーションやポートフォリオを拡大し、成功するための方法を受け入れます。

この傾向を見ると、EC企業に対するボット攻撃が増加している理由がわかるでしょう。デジタル金融ビジネスにおいて企業を支援するJavelin Strategy & Research社によると、ECのチェックアウトページへのトラフィックの70%が悪意のあるボットによって生成されているそうです。EC保護プラットフォームを提供するSignifyd社も2020年、同社のプラットフォーム上でボット攻撃が大幅に増加していることを確認しています。

発見が困難なほどのスピード感で実行されるボット攻撃

ボットを使った攻撃はあっという間に実行されるため発見が困難です。危機管理チームが異常を発見した時点で、詐欺師やスキャルパー(短期取引の実行元)はとっくに消えており、彼らがターゲットとしていた商品も同様に消えています

では、これらの詐欺組織はどのように消費者へ付け込み、小売事業者を騙しているのでしょうか? 人工知能の発達は、オンライン小売事業者を狙う詐欺組織をどのように変えているのでしょうか? 現在のボット攻撃の中でも特に多い「スキャルピング」と「ラピッドファイヤー詐欺(短時間に連続して攻撃する手法)」に焦点を当ててみます。

ボットの餌食になった「プレイステーション5」

ボットを活用しているスキャルパーを事例にあげます。あなたも2020年のクリスマスに、プレイステーション5を入手できなかった何千人もの親の1人かもしれません。手に入らなかったのがボットのせいだと説明しても、子どもたちの失望感を和らげることはできなかったでしょうが、実際にボットのせいだったのです。

アメリカとイギリスでは、発売日に何千台ものプレイステーション5がスキャルピングされたと報告されています。スキャルピングの実行者は同時に、ソーシャル・メディアやマーケットプレイスのサイトに写真を投稿して自慢げに宣伝し、定価の10倍の値段で販売していました。

スキャルピングとラピッドファイヤー攻撃は、似たような技術を使用し、同じような目的で悪質な行為を行いますが、重要な違いがあります。商品のスキャルピングは明らかな違法ではありませんが、ラピッドファイヤー詐欺は事実上、犯罪です。

ラピッドファイヤー詐欺は、アカウントの作成から支払いプロセスにおけるクレジットカードの承認、チェックアウト時の最終的なカード確認まで、消費者が辿るオンラインでの支払いプロセス全体を対象としています。

ダークウェブで始まるラピッドファイヤー詐欺

詐欺組織はダークウェブ(通常のブラウザではアクセスできない、匿名性が高いWeb。非合法な情報やマルウェア、麻薬などが取引されている)で何千、何万もの盗まれたユーザー名やパスワード、その他の個人情報を驚くほどの少額で購入しています。詐欺組織はこれらの情報を使って、以下のようなさまざまなオンライン攻撃を行うのです。

一度に多数の「偽アカウント」やユーザープロファイルを作成

詐欺組織は、ECサイトでアカウントを作成するとき、盗まれた情報と自分たちの情報を混ぜて使用するようボットを慎重にプログラムし、実際の顧客のものであるかのように見せかけます。

アカウントを大量に乗っ取るためのクレデンシャル・スタッフィング攻撃(パスワードリスト型攻撃)を開始

多くの消費者は、複数のサイトで同じユーザー名とパスワードを使用しています。ボットは機密情報を盗み出し、数秒で何千ものサイトにサインインしようとします。そして、乗っ取りに成功したアカウントを使って買い物をするのです。

クレジットカードを試す

履歴を蓄積するために盗んだカードを使って、目につかない小額の買い物をするだけではありません。今の詐欺組織は、「良好な状態」にあるアカウントに新しいクレジットカードを追加することで、盗まれたクレジットカードの詳細を迅速にテストしています。通常、小売事業者は、決済処理業者や銀行に承認されたカードかどうかを確認するために、0ドルをチャージします。詐欺組織は、カードが承認されれば価値があり、再販可能な商品を購入できると知っています。

詐欺の一斉射撃を行う

詐欺組織は、詐欺用のクレジットカードを手にした後、Web上の数多くのECサイトで違法な注文を行うために、ボットを利用するようになるでしょう。信じられないほどのスピードで取引が行われるため、危機管理者が状況を察知して理解する前に、詐欺組織はすでに姿をくらましています。

詐欺ボットの攻撃は巧妙に行われていますが、ボットによる詐欺の割合はまだ比較的低いです。自動化された方法で小売事業者を攻撃するシステムを構築するには、驚くほど高度な技術が必要ですが、このような攻撃の数は劇的に増加しています。前述のSignifyd社は、過去1年間でラピッドファイヤー攻撃が146%増加していることを発見したそうです。

小売事業者がボットに対抗する方法

ボット攻撃が壊滅的で検出が困難な場合、小売事業者はどうすればよいのでしょうか? 当然に聞こえるかも知れませんが、ボット攻撃に対抗する最善の方法は、自動化されたプロテクション技術を利用することです。AI対AIと考えてください。

詐欺組織は、支払いプロセスの初期段階であるアカウント作成、アカウントログイン、追加の支払いフォームでのアカウント更新が、実際のチェックアウトよりも脆弱であることを知っています。小売事業者は、顧客になるチャンスを得る前に消費者を逃したくないので、支払いの最初のプロセスはシンプルに、ハードルを低くしているからです。

ブランドや小売事業者は、機械学習を利用してボットの典型的な行動を検出することで、これらの初期段階の不正行為から身を守ることができます。不正が検出された場合、事業者はキャプチャを撮るなど、次の手を打つことが可能です。それを人の目で確認する詐欺審査チームに照会することで、購入を遅らせることなくボットの行動を排除することができます。

悪意のあるボットがスキャルピングを行っていることを発見することは、より困難です。スキャルピング行為はグレーゾーンです。違法ではありませんが、一部の小売事業者のポリシーに違反しており、ビジネスに有害な影響を与えることは間違いありません。

確かに、販売に変わりはないでしょう。買うのがボットであろうと人間であろうと、小売事業者は販売を行います。しかし、広い視野で考えてみてください。プレイステーション5が手に入らない子どもたちのことを考えてみてください。彼らの親たちは小売事業者に腹を立てています。もしくは、マーケットプレイスで販売者に2倍の値段(またはそれ以上の値段)を支払ってプレイステーション5を手に入れたのかもしれません。今、親たちは、小売事業者が在庫を管理できず、人気の高いクリスマスプレゼントのために闇市場を作ったことに激怒しています。

詐欺組織によって損なわれるカスタマーエクスペリエンス

他には誰が、スキャルピングに対して怒っている可能性が高いでしょう? ソニーは間違いなく腹を立てているでしょう。商品がとんでもない高値で売られているため、ブランドが汚されてしまったのです。それだけでなく、ソニーと小売事業者のカスタマーエクスペリエンスが損なわれ、プレイステーション5の購入者との関係を構築する機会を失ってしまったのです。

スキャルピング行為の検出に関しては、従来の詐欺検出方法では失敗するでしょう。電話、ユーザーアカウント名、電子メールアドレスなどの属性から得られる本人データは、すべてカード所有者が購入したことを示します。ボットは、カード所有者が購入を行っていると見えるよう、アカウントを設定しているからです。

小売事業者の検出ツールは、ボット行為を検出するために、さまざまな点を確認する必要があります。スキャルピングを防ぐためには、具体的に以下の点に注目する必要があります。

  • デバイスのアクティビティ
    特に同じデバイスからの高いアクティビティ

  • 行動パターン
    クリック速度、タイピング速度、ブラウジングやナビゲーションの利用がないなど、人間以外の行動を示すパターン

  • 高速大量購入
    1つの店舗で買うには多すぎる商品を高速購入。配送先が同じだったり、同じIPアドレスから複数のお店にまたがる購入が発生していませんか?同じパスワードで複数のアカウントが作成されていませんか?同じクレジットカードが複数のサイトでテストされていませんか?

小売事業者は、このような異常を光の速さで検出して、詐欺組織を阻止しなければいけません。懸念される詐欺行為を素早く発見する唯一の方法は、小売事業者の広範なネットワークに目を向けることです。詐欺組織は通常、複数のサイトで同時にスキャルピング攻撃を行い、できるだけ多くの高額商品を奪い取ることを目的としています。

小売事業者には、機械学習と強力なデータ・プラットフォームが必要です。ブランドや小売事業者が理想とするのは、購入の過程で正当な取引と不正取引を区別できる堅牢な詐欺を阻止するソリューションと、複雑なビジネスポリシーを理解してモニタリングできる柔軟性の高いツールを組み合わせることです。

適切な柔軟性があれば、どのような状況で人間が購入していることを確認するべきか、小売事業者が指示することができます。また、状況に応じて、どのような追加の対策が必要なのかを指示することができます(たとえば、キャプチャやカスタマーサービスへの電話など)。このような技術は、入手困難な商品をボットが一掃するのを防いでくれるのです。

◇   ◇  ◇

朗報は、スキャルピングやラピッドファイヤー詐欺を阻止する技術はすでに利用可能であり、効果的であるということです。一方、あまり知りたくない事実は、スキャルパーや詐欺組織は、あなたがこの記事を読んでいる間に、新たな方法を考えているということです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360
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GMOペパボと岩手銀行が業務提携。岩手県内事業者のECサイト開設や運営を支援

4 years 10ヶ月 ago

GMOペパボは2月9日、岩手県内の事業者のネットショップ活用をはじめとするDX推進を目的として、岩手銀行と業務提携を締結した。提携に基づき、GMOペパボは岩手銀行を利用する事業者を対象に、ネットショップの開設や運営支援を行う。

「カラーミーショップ」ユーザー講師によるオンラインイベントなど

GMOペパボと岩手銀行は、月額制ネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」に関する共催セミナー、「カラミーショップ」担当者のセミナー講師登壇を予定している。また、協力企業や「カラーミーショップ」ユーザーを講師とした、実例を交えたオンラインイベントなども展開予定。

岩手銀行においては、岩手県内を中心に事業者への「カラーミーショップ」の紹介、共催セミナーの運営・集客を行い、ネットショップの認知拡大を図る。

GMOペパボ 岩手銀行 カラーミーショップ 業務提携 DX推進 ネットショップ開設
GMOペパボと岩手銀行が業務提携を締結

ネットショップ活用で県内事業者の販路を拡大

「カラーミーショップ」では地域企業におけるインターネットの利活用、DXの一助となるべく、地方企業や団体と協力してネットショップ開設やマーケティングなどに関するセミナーを行ってきた。

岩手銀行は2021年1月に、デジタル戦略を担う部署「DX Lab」を新設。デジタル接点の強化やオムニチャネルの取り組みを進めるなど、積極的にDXを推進している。DX推進の一環としてネットショップの活用を通じ、岩手県内の事業者の販路確保や売り上げ拡大を進める。

藤田遥
藤田遥

エアークローゼットがブランドコラボレンタル開始。第1弾は「nano・universe」「Mila Owen」

4 years 10ヶ月 ago

月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」は、単独ブランドの洋服をレンタルできる新サービス「ブランドコラボプラン」の事前受付を、2021年2月1日から開始した。

第1弾の対象ブランドは、「Mila Owen(ミラ オーウェン)」「nano・universe(ナノ・ユニバース)」。プロのスタイリストが顧客の好みや体型、着用シーンなどを基にパーソナイルスタイリング。2021年3月~5月の期間中、ブランドの新作服を毎月3着、月額1万780円(税込)で提供する。
 

“レンタル”の気軽さで、新規顧客・販路開拓へ

 ブランド側は商品を提供するだけで、サブスクリプション型のレンタルサービスを開始できる。また、新作商品を約1着分の利用料金で気軽に試せることから、ブランドの体験機会を創出。従来接点がなかった新規顧客に対する認知拡大や、既存チャネル以外の新たな販路開拓が期待できる。

airCloset エアークローゼット 月額ファッションレンタルサービス サブスク ブランドコラボプラン レンタルプラットフォームの仕組み
レンタルプラットフォームの仕組み

 

「ブランドコラボプラン」の詳細

「ブランドコラボプラン」の詳細は次の通り。

  • 事前応募期間:2021年2月1日(月)~2月28日(日)
  • サービス期間:2021年3月~5月(春の洋服を提供)、3か月契約
  • 利用料金:月10780円(税込)
  • 提供商品:シャツ/ブラウス、ニット、カットソー、ワンピース、スカート、パンツいずれかの商品3点
  • 提供サイズ:S・Mサイズ
  • 定員:「Mila Owen」「nano・universe」各100名、応募多数の場合は抽選
airCloset エアークローゼット 月額ファッションレンタルサービス サブスク ブランドコラボプラン Mila Owen ミラオーウェン
「ブランドコラボプラン」第1弾の「Mila Owen(ミラ オーウェン)」
(画像は「エアークローゼット」サイトからキャプチャ)
airCloset エアークローゼット 月額ファッションレンタルサービス サブスク ブランドコラボプラン nano・universe ナノ・ユニバース
「ブランドコラボプラン」第1弾の「nano・universe(ナノ・ユニバース)」
(画像は「エアークローゼット」サイトからキャプチャ)
藤田遥
藤田遥

オイラ大地が「塚田農場」のエー・ピーHDと資本提携&水産物カテゴリの販売強化

4 years 10ヶ月 ago

食品宅配を展開するオイシックス・ラ・大地は2月10日、「塚田農場」「四十八漁場」などのエー・ピーホールディングス(APHD)と資本業務提携を締結した。

オイシックス・ラ・大地はAPHDが第三者割当増資で発行する56万2100株を約2億4000万円で引き受ける。株式譲渡は2月26日の予定。

さらに3月31日付でAPHD傘下で水産卸を手がけるセブンワーク(SW)の株式51%を取得し、連結子会社化。オイラ大地は水産物カテゴリの宅配を強化する。連結子会社化と同時にSWの社名を「豊洲漁商産直市場」へ変更する予定。

オイシックス・ラ・大地は2月10日、「塚田農場」「四十八漁場」などのエー・ピーホールディングス(APHD)と資本業務提携を締結
資本業務提携・子会社化のスキームについて

SWは主に外食産業への水産品卸販売を手がける企業。買参権(水産物産地市場の場合、生産者が市場に水揚げした魚介類を、卸売人を通じて購入する権利)による豊洲市場などでの市場買い付けに加え、全国各地の漁場から直接買い付けで、中間流通を通さず鮮度の高い状態で提供できる独自の流通網を持つ。

今回の資本業務提携で、3社が持つそれぞれのアセットを活用。「オイシックスの水産品カテゴリの品ぞろえ/付加価値の高い商品拡充、仕入原価削減」「食材の共同調達や、製造・加工工場の共同利用による原価削減」「Oisixおうちレストランでの協業強化」などの取り組みを実施していく。

オイシックス・ラ・大地は2月10日、「塚田農場」「四十八漁場」などのエー・ピーホールディングス(APHD)と資本業務提携を締結
事業シナジーについて

オイシックス・ラ・大地は現在、「Oisix」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」の3ブランドを運営。2020年9月時点で約38万人の顧客が利用している。

2020年4月には、新型コロナウイルス感染拡大により飲食店の営業自粛の影響を受けた外食業の食材を取り扱う「Oisix」の支援販売企画「おうちレストラン」をスタート。APHD社の「塚田農場」や「四十八漁場」の食材もECサイトで販売している。

石居 岳
石居 岳
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