ネットショップ担当者フォーラム

自社ECサイトの集客で押さえておくべきWebマーケティングの基本&「Shopify」構築後にまず始めるべき集客施策 | 「Shopify」でECサイトを構築・運営塾

4 years 9ヶ月 ago
自社ECサイトを運営する場合に押さえておくべきWebマーケティングの基本、「Shopify」で作ったECサイト運用スタート時にやるべき施策を解説

「Shopify」は高機能な自社ECサイトをライトに立ち上げることができるという意味で画期的なECプラットフォームです。ただ、「Shopify」「BASE」「STORES」といった“手軽”“簡単”にECサイトが立ち上げられるカートの普及で、「作ったけど集客に困っている」というニーズも今まで以上に顕在化しました。「自社ECサイトを運営する場合に押さえておくべきWebマーケティングの基本」を踏まえ、「Shopify」で作ったECサイト運用スタート時にやるべき施策を解説します。

自社ECの課題「収穫」、ECプラットフォームは解決してくれない

まず最初に、これは絶対に押さえておきましょう。自社ECサイト特有の課題である「集客」は、プラットフォーム自体が解決してくれるわけではないということです。

「Shopify」でも他のASPカートを利用したとしても同じ課題です。自社ECサイトの「集客」は自ら解決しなければならない点が、多くの既存や新規の顧客が集まるモールと、自社ECサイトの大きな違いです。

「Shopify」でECサイトを開設したばかりの店舗はもちろん。ECサイトの運営を長らく手がけているベテラン店舗さんも、おさらいをしながら、かつ効率化、お得な情報が入った内容にしています。

集客のためのWebマーケティングの基本

Webマーケに「絶対にこれが正解!」はないが、「こう進めるのが正しい!」はある

まず、最もお伝えしたいことの1つが「自社ECサイトを運営する上でのWebマーケティングに、絶対こうしたらうまくいく!」は、ありません。なぜなら、ECサイトによって「商材」「利益率」「店舗運営方法」などが異なるからです。

たとえば、同じ商材を売っていても、価格で勝負する企業もあれば、お客さまへの細かいサポートやアフターケアなどで勝負する企業があるように、店舗によって“売り”“強み”“特徴”が異なってくるからです。

自社の“売り”“強み”“特徴”を発見するには、ひたすらトライ&エラーを繰り返すしかありません。高速で回せれば回せるほど、自社に適したWebマーケティングが見つかります。

しかし、何でもかんでもトライしていると資金も時間がいくらあっても足りません。ですので、

  • リスクが少ないPDCA
  • 自社のターゲットに対して接点が多そうな面を持っているWebマーケティング

の2点に当てはまる施策を、優先順位を付けて順番にトライしていくというのが正しい進め方になります。Webマーケティングは「絶対にこれが正解!」はありませんが、「こう進めるのが正しい!」はあるのです。

自社ECサイトを運営する上でのWebマーケティングに、「絶対こうしたらうまくいく!」はない

認知訴求と売上創出のバランス

自社ECサイトを運営する上で、Webマーケティングで気をつけるべきことは商品、店舗の「認知訴求」と「売上創出」のバランスです。これはどういうことか?

「認知訴求」とは、あなたの商品・店舗が、ターゲットとなる顧客の目に触れ、知ってもらい、気になるという状態までに持っていくことです。Web上には数多くの商品が存在していますので、自社ECサイトを開設しただけでは、埋もれた状態が続くことになります。そう、何もしなければ認知すらされないのです。

この状況から、「知ってもらい」「気になる」という状態まで認知を広げていくことが、自社ECサイトのWebマーケティングで非常に重要となります。

「売上創出」とは、「知っていて気になる」という状態のターゲットユーザーに、商品購入などの行動を起こしてもらうことです。「売上創出」は数字として反映されるため、これまでやってきた成果が見えやすいのが特徴です。そのため、「売上創出」に躍起になってしまう事業者も存在します。

しかし、「売上創出」だけに目を向けてしまうことはNGです。「認知訴求」という畑の耕しを常時行い、適切なタイミングで「売上創出」をしなければ、将来にわたって刈り取る“芽”が何もない状態になってしまいます

Webマーケティングにおいては、やっている施策・これからやろうとする施策が「認知訴求」「売上創出」のどっちを目的としたマーケティングなのかをきっちりわけて行うことが重要です。そして、「認知訴求」「売上創出」の両輪をバランスよく回していくことが重要です。

Webマーケティングは「認知訴求」と「刈り取り」のバランスが重要になる

各種、集客マーケティングの要点

  • PDCAを回すためのリスク少なく、ターゲットユーザーとの接触点が高いWebマーケティング手法を選ぶ
  • 認知訴求と売上創出はバランス良く両輪で

この基本を踏まえた上で、さまざまなWebマーケティング施策を試していくわけですが、その際、どのような手法があるのかを解説していきます。大きく3つにわけて説明します。

アドネットワーク広告

アドネットワークと呼ばれる技術が、あなたの店舗の商品に興味がありそうなユーザーを自動で抽出、そのユーザーに接触点が多そうなメディアを自動選定し商品の広告を出すという仕組みです。

  • メリット:ターゲットユーザーにリーチしやすい
  • デメリット:クリック課金型なので購買が発生しなくても料金がかかってしまう

この仕組みを利用して広告出稿しているのが、以下のような広告です。

検索連動型広告

「Google」や「Yahoo!」の検索結果ページの上位に「広告」という表示とともに表示される広告です。

「EC」で検索、赤枠内が検索連動型で表示された広告
「EC」で検索、赤枠内が検索連動型で表示された広告(画像は「Google」検索から表示結果画面をキャプチャ)

ディスプレイ広告

メディアの広告枠(「更新」ボタン押したら用意されている画像や動画広告、テキストがコロコロ変わる枠です)に出向広告できる広告です。

「Yahoo! JAPAN」トップページでのディスプレイ広告例
「Yahoo! JAPAN」トップページでのディスプレイ広告例(赤枠がディスプレイ広告枠、画像は「Yahoo! JAPAN」からキャプチャ)

SNS広告

Facebook、instagramといったSNSのタイムラインなどにでてくる広告。あれもアドネットワークの一種です。

Facebookプラットフォームにおけるフィードの広告配置場所
Facebookプラットフォームにおけるフィードの広告配置場所(画像はFacebookのビジネスヘルプセンターからキャプチャ)

インフルエンサー広告

インスタグラマーやYouTuberのように「インフルエンサー」と呼ばれる人々へ、自社の商品のPRをしてもらう方法です。アドネットワークと異なり、ほぼ手動で行われます。インフルエンサーに商品を取り上げてもらうための契約を結び、サンプルを送って使用感などをSNSにアップしてもらうという手法が主流です。

  • メリット:インフルエンサーの世界観と相まって訴求できるので、売り上げだけでなく認知訴求にもつながる。時に爆発的な効果を生む
  • デメリット:ほぼ1回の紹介で○万円といった固定費契約が多い。場合によっては逆ザヤになりやすい。爆発的に売れ過ぎて在庫欠品が発生する可能性がある。逆に在庫を積んでいたが売れ残るというリスクもある

アフィリエイト

個人ブログなどに自社商品の紹介記事や比較記事を掲載してもらい、記事を閲覧したユーザーがその商品が載っているECサイトに来訪、その後、商品購買が起こったときにECサイトが集客に寄与したメディアに成功報酬で手数料を払うという仕組み。

メディア開拓は手動で行われるというところが少しインフルエンサーマーケティングに近いですね。

「購買」が発生した場合のみ手数料が発生する仕組みなので、リスクの低い集客手法です。メディアへの手数料は、商材によって異なりますが、一般的に2~15%の幅で設定されています。

アフィリエイト 商品ジャンルごとの成果報酬相場
商品ジャンルごとの成果報酬相場
  • メリット:成果報酬なのでリスクが低い。成果報酬型なので、相性のいい商材とメディアのマッチングが行われやすい
  • デメリット:ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)への商品申請が面倒(申請項目がそこそこ多いことに加えて手動)

「Shopify」で作ったECサイト運用スタート時にやるべき集客施策

まず、広告運用経験のない店舗が最初に手を付けるべき集客施策を解説します。それは「アフィリエイト」です。その理由は「圧倒的なリスクの低さ」です。

広告予算が限られる多くの自社ECサイトにおいて「リスクが少ない」は最大のメリット。また、売り上げが拡大して他のWebマーケティングを試すようになっても、アフィリエイトはリスクが低いことから、定常的な施策として残りやすい

そのため、アフィリエイトを自社ECサイトにおいてどう有効活用するか? というPDCAを初期にやっておけばおくほど、自社ECサイトのアセットとして長く効果を発揮します。ECに関わる中でまず第1歩目、かつベースになる施策と認識しているのがアフィリエイトです。を試してみてください。

2020年秋に大手ASPのバリューコマース、ファンコミュニケーション、インタースペースと連携できるアプリがリリースされましたので、アプリインストールをするだけでアフィリエイトをスタートできるようになりました。

アフィリエイト経由でお客さまが増えていったら……。その後、少しずつ予算の許す限り他のマーケティング施策を順番に試していくのが良いでしょう。なので、優先順位が重要となるのです。

次回はCPC広告の活用の仕方とその順番について解説します。

安藤 祐輔
安藤 祐輔

コロナで変わったカスタマー・ジャーニー。フルフィルメントチャネル別によるロイヤルティへの影響とこれからの消費者像とは | 顧客時間が見たCES & NRFレポート2021

4 years 9ヶ月 ago
顧客時間 共同CEO / 取締役の奥谷孝司氏による2021年のNRF考察

Amazonへの対抗策、もしくは共存方法の模索といったテーマ、無人店舗の進化についての話題が多かった2020年の全米小売業協会(NRF)主催のリテール展示会「NRF Retail's Big Show」。しかし、2021年はガラリと変化。オムニチャネル化の重要性、コロナ時代の店舗体験に関する議論が中心となった。NRFで語られた議題の内容を深掘りし、新型コロナの余波が事業者、消費者双方に与えている変化を見ていく。

「BOPIS」と「カーブサイドピックアップ」が顧客にもたらす価値

筆者(編注:顧客時間の奥谷孝司共同CEO)が注目したのは、RPA(Robotic Process Automation)開発で有名なVerint Systems社のセッション「How retailers win on CX now(今、小売り事業者が顧客体験で勝つには)」で語られたコロナ禍におけるカスタマー・ジャーニーの変化だ。これは顧客時間が提唱する、オンライン・オフラインで見た「空間」軸、選択・購入・使用の「時間」軸で見た場合の購買体験から成り立つ「顧客時間」の変化に関するレポートだった。

「顧客時間」の概念図
奥谷氏らが考える「顧客時間」の概念図

セッションでは、コロナ禍において、アメリカの消費者が「検討→購買→商品受け取り」というプロセスをどのように行っているかが解説された。アメリカでもいまだに商品の検討、購買行為はお店、つまりオフラインが主流とのことだ。

しかし、購買商品の受け取り方法に関しては、店頭はもちろん、ECで購買し自宅に運んでももらうデリバリーに加え、車中受け取りの「Curbside Pick Up(カーブサイドピックアップ)」、店頭受け取りサービスの「BOPIS(Buy Online, Pick Up in Store」が台頭しているという。

NRF内のセッション中に語られた購買ジャーニーに関して
セッション中に語られた購買ジャーニーに関して(画像:セッション「How retailers win on CX now」からキャプチャ)

フルフィルメントが与える顧客満足度、信頼、ロイヤルティへの影響

特にスーパーなどにおいては、デリバリーに加えてカーブサイドピックアップの需要が高まっている。このことは、車社会、小売業における従業員の安全確保など、アメリカ独自のWIN-WIN関係が影響しているように思う。さらに、このセッションでは以下のような図から、商品受け取りチャネルはどのように顧客満足や信頼、ロイヤルティにつながるのかという解説が行われた。

NRF内のセッションで紹介されたフルフィルメントチャネル別の、顧客満足度、信頼、ロイヤルティへの影響を示した図
フルフィルメントチャネル別(左から自宅配送、カーブサイドピックアップ、BOPIS、店内購買)の顧客満足度、信頼、ロイヤルティへの影響を示した図(画像:セッション「「How retailers win on CX now」よりキャプチャ」

興味深い点は、ロイヤルティにつながるのはやはり店内購買であるが、EC購買後の自宅配送やBOPISはブランドに対する信頼に基づいて行われているということだ。

そして、この4つの商品受け取り行動に求められることとして、次のような点が紹介された。

  • 自宅配送:デジタル体験、品ぞろえ
  • カーブサイドピックアップ:価格、デジタル体験
  • BOPIS:デジタル体験、品ぞろえ
  • 店内購買:品ぞろえ、価格

さらに、顧客の期待においても、サービス浸透の差によって顧客が求めているものが大きく違うこともわかった。

  • 自宅配送:買った商品に対する満足
  • BOPIS:店員対応
  • カーブサイドピックアップ:わかりやすい利用方法

BOPISがうまくいっている業界は百貨店、専門店、カーブサイドピックアップはディスカウントストアという。

日本はまだBOPISが浸透しているとは言い難い状況だが、今後のオムニチャネルの進展を考えるのであれば、このような商品受け取りチャネルにおける顧客体験の違いを細かく理解し、サービス体験の向上に努める必要があるだろう。

また、今後はカーブサイドピックアップとBOPISの違いを顧客視点からも理解する必要があるように思う。さらに、企業側も店頭受け取りサービスを店内で行うのが良い業界、店外(駐車場)で行うのが良い業界といったことも調査していく必要がありそうだ。

フルフィルメントチャネルが与える顧客満足度、信頼、ロイヤルティへの影響は、技術受容を積極的に行い、新しい顧客体験を提供し続けるアメリカ小売業から学ぶべきことが多いと痛感させられた。

ウイルスと分断の時代で消費者は疲れ、癒しを求めている

コロナ禍を経て消費者はどのように変わっていくのかについて解説したい。顧客時間では、三井住友カードと共に1年近く、日本におけるコロナ禍の消費者行動変化を追い続けている(詳しくはサイトから見ていただきたい)。チャネルのデジタルシフトに始まり、応援消費、食関連ビジネスにおけるデジタル化の進展に見られる通り、顧客は今、家中消費へ移行している。

このような消費行動の変化は世界中で散見されるが、顧客の心理状態はどうなっているのだろうか? また、このような未曾有な経験を経た顧客が今後も同様の消費行動をとるのだろうか?

この問いに答えてくれているセッションがあった。「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty(消費者行動:不確実性の余波を利用する)」と題したこのセッションで、まさに「不確実な世界に突入した顧客はこれからの消費行動にどう折り合いをつけていくのか」といったテーマを取り扱い、2023年を見据えた消費者像について語っていた。

このセッションが示したこれからの消費者像は4つのペルソナだ。

NRF内のセッションで語られたこれからの4つの消費者像
セッションで語られたこれからの消費者像(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

この中で、もっとも詳細に説明されたのが「The Predictors」と「The New Romantics」というペルソナ。直訳すると「予言者たち」と「新しいロマンティシズム(新ロマン派)たち」といったところだろうか。

「The Predictors」(予言者たち)

NRFの中で語られた消費者像の1つ「The Predictors」
消費者像「The Predictors」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

まずは「The Predictors」について解説する。私の理解では、彼らは新しい保守派と表現できる。

  • タイプ:オンラインとオフライン、家庭と仕事を忙しなく行き来することで、感情的にも経済的にも疲れ果てた消費者
  • 求めていること:安定と安心を求めながら、マルチタスクを最適にこなすためのインターフェースとしての企業やサービス
  • 適した(必要とされる)サービス:自動補充、事前予約、サブスクリプション、個別最適化された自動値引き

このトレンドは日本でも顕在化していきているように思う。三井住友カードとの調査でも、「変化適応型」というペルソナが出てきている。彼らは一見、現在の生活をうまくこなしているようだが、実際はかなり心理的にも精神的にも疲れがたまっていると考えられる。

一方、このような顧客セグメントは、これからの時代の新サービスを利用してくれるアーリーアダプターとなる可能性が高い。買い物の迅速化とシームレス化は、まさにオンライン小売業の得意領域だ。

先述の通り、オフライン小売業もBOPIS、EC対応などやるべきことが多くある。消費者の利便性向上にデジタルを活用しながらいかに対応していくのか? この課題に対する迅速な対応がオンライン小売業だけでなく、オフライン小売業にも求められているだろう。

「The New Romantics」(新ロマン派)

NRF内のセッションで紹介された新しい消費者像「The New Romantics」
消費者像「The New Romantics」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

「The New Romantics」であるが、筆者の理解では2020年代の新しいヒッピーとでも表現したい顧客セグメントである。このセッションの解説を聞いた筆者が抱いた消費者像は、以下の通りだ。

  • タイプ:内向きで、心理的癒しと精神的衛生を求めている人たち。「The Predictors」同様に、コロナ禍での生活には柔軟に対応
  • 求めていること:テクノロジーを活用して仕事の生産性を高めながら、ワークライフバランスを求めて郊外、地方へと気持ちを向かわせることで、Local Community(地域コミュニティ)への想いを強くしている。自然への回帰やメンタルヘルスへの志向が高い
  • 適した(必要とされる)サービス:(ここはアメリカらしいとも言えるが)合法ドラッグも含めて、マインドフルネスや瞑想へのニーズも高い

この顧客像を三井住友カードとの調査に照らし合わせると、巣篭もり消費のセグメントが思い浮かぶ。日本人消費者の場合は、メンタルヘルスへの対処法がサービスとして未発達でもあるためアメリカ人のように消費意欲が旺盛とはいかない。だが、地方への憧れ、温泉旅行への思いといったニーズは見え隠れする。やはり、コロナ禍で世界中の消費者は疲れ、癒しを求めているのだ。

その抑圧された環境が、「損したくないという防衛反応から来るスマートショッパー」へと向かうのか。それとも、「世界を動き回ることのリスクや無駄を改めて理解し、テクノロジーを活用して地元と身近な人々を愛するスマートショッパー」の方に向かうのか? 正解はないが、おそらくこのようなマインドを誰もがある程度有しながら、これからの時代を生きていくことになるのであろう。

これからの消費者像と向き合うには?

最後にこのセッションのTakeaways(論点)として4つのポイントがまとめられた。1つ目は「予測の力」。今後はよりサブスクリプションや自動補充サービスが求められるようになる。

NRF内のセッションでまとめられた論点の1つ「予測の力」
1つめのTakeawaysとして示された「予測の力」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

2つ目はコミュニティや家族、友人と言った身近なコミュニティや集団の重要性。ライフスタイルを表現できる商品やサービスへのニーズが高まる。

NRF内のセッションで論点として紹介された「ダウンタイムの多様化」
2つめのTakeawaysとして示された「ダウンタイムの多様化」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

3つ目は、買い物とエンターテインメントを掛け合わせた「ショッパーテインメント」の重要性だ。ここにはライブストリーミング、アメリカでは「Pinterest」を経由した“Webrooming”(消費者が事前に商品情報をWebで検索して、価格やレビューなどを調べた後に、実店舗を訪問し、店頭で購入すること)、オンライン接客などの進化に加えて、オフラインでのデジタルを活用した新しいショッパーテインメントも求められるであろう。

個人的にはこんな時代だからこそ、BOPISやカーブサイドピックアップといった顧客の利便性向上に寄与する買物体験だけでなく、新しいリアル店舗での楽しさをデジタル活用しながら、実現したいところだ。

NRF内のセッションで紹介された論点の1つ、「ショッパーテインメントがメインストリームになる」
3つめのTakeawaysとして示された「ショッパーテインメントがメインストリームになる」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

最後は、仮想現実世界への準備だという。世界最大のテクノロジー展示会「CES」でも、アバターを作って自ら参加する展示会体験を提供するメーカーもあった。私のような世代には「セカンドライフ」の再来のように感じるが、2000年代前半にはまだ早すぎたアバターを活用した仮想現実の世界に“居心地の良さ”を感じる顧客は確実に現れてくるであろう。ただ、最後のポイントは、今考えるには時期尚早であるように思う。

NRF内のセッションで紹介された論点の1つ「流れを変える」
4つめのTakeawaysとして示された「流れを変える」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

まず現在の小売業は、先の3つのポイントをしっかり押さえて、今お客さまにできることを考えることをおススメしたい。以上が、私からの「CES & NRFレポート」となる。

オンライン開催となった両カンファレンスの全体感を正しく捉えることができたとは思えないのだが、何度も見返し、いつでも見ることができるオンラインカンファレンスは言葉のハンディキャップを時間でカバーすることもできる。みなさんもぜひ、オンラインカンファレンスに参加してみてもらいたい。

奥谷氏から日本の小売り・EC事業者への「Takeaways」

最後に、私からの「Takeaways」は以下の2点だ。1つはまさに世界はデジタルで何ができるかのフェーズから、デジタルがいかに使えるかのフェーズへと進化しているという、行動のフェーズに移行していることだ。

ここで注目すべき点は、企業のテクノロジー活用が顧客にどのように受け入れられるかと、ハードウェアへの注目が高まるということだろう。改めてIoTに注目が集まっているが、ここはスタートアップだけではなく、ソニーのような大企業であっても活躍の余地が十分あることを覚えておいてほしい。

最後はやはり、消費者心理の変化に敏感になることだ。今の消費者は利便性と癒しを求めている。合理的な買い物だけでなく、新しい買物体験、“リテールティンメント”で消費者の課題解決を推進していくことが今後はますます重要になる。

スマートであることの定義も多様化していることを忘れずに、今後の消費トレンドをウォッチしておきたい。

さらにCESでも見られた通り、ヘルステックに今後注目が集まることは確実だろう。この市場でどのようなことができるか今から考えてもらいたい。

癒しを提供するのに必ずしもデジタルは必要ないし、ヘルステック市場に参入する必要はない。まずはデジタルを通して、今企業が提供できる“癒し体験”を表現し、理解してもらうことから始めてみてはどうだろうか。

多くのD2C企業は製品価値に加えて、このようなヒーリング要素を兼ね備え、ライフスタイルに新しい意味と価値を提供している。“癒し”というキーワードを広く捉えて、新しい買物価値と顧客体験を提供することで、この未曾有の世界を共に乗り越えていけたらと考えている。

奥谷孝司
奥谷孝司

ビジョナリーHD、アウトレットサイトを開設。使用期限が短い商品を特別価格で販売

4 years 9ヶ月 ago

VHリテールサービス(旧メガネスーパー)などを傘下に抱えるビジョナリーホールディングスはこのほど、使用期限までの期間が短いコンタクトレンズやケア用品をグループ全店から集約し、特別価格で販売するアウトレットサイト「メガネスーパーコンタクト アウトレットサイト」を開設した。サービスを通じて商品廃棄を減らし、環境に配慮したビジネス展開をめざす。

使用期限が近い商品を、期限までに使い切れる顧客へ販売

ビジョナリーホールディングスが3月1日に開設した「メガネスーパーコンタクト アウトレットサイト」では、グループ店舗で扱うクリアコンタクトレンズ、カラーコンタクトレンズ、コンタクトレンズケア用品など、使用期限までの期間が短い商品を特別価格で販売。

また、特別価格の「アウトレット商品」、使用期限が十分にある「通常商品」の2種類を展開し、「(アウトレット商品の)在庫はないが、すぐに欲しい」という顧客ニーズにも対応する。

アウトレット商品は数に限りがあるため、顧客が求める商品や度数の入荷を知らせる「再入荷案内メール」に登録すると、いち早くメールで通知を受け取れるという。

アウトレットサイト開設の理由について、ビジョナリーホールディングスでは以下のように説明する。

コンタクトレンズの使用期限切れを理由とした廃棄処分によって生じる二酸化炭素や窒素酸化物による環境負荷、プラスチックゴミによる海洋汚染が深刻化している中、これまで当社グループでは使用期限が一定期間に近づいた商品は、売れる店舗へ転送し消化促進を図り廃棄処分の抑制に取り組んできました。

そこで、さらなる廃棄処分の抑制を実現するため、「使用期限までに使いきることができる」というお客様と商品をマッチさせることで廃棄なしの消化促進を図る、アウトレットECサイトをコンタクトレンズ販売店の中でいち早くオープンいたしました。

また、1商品ごとの使用期限管理を行うためのシステム刷新に着手中という。

使用期限に余裕を持った段階で販売できる体制を整える予定です。環境に配慮したビジネス展開と共に、眼の健康寿命延伸に繋がるアイケアサービスの拡充・普及と、それに応じたシステム投資を加速させてまいります。

◇◇◇

「メガネスーパーコンタクト アウトレットサイト」は、ECサイト構築パッケージシステム「ecbeing」を採用。ビジョナリーホールディングスは「メガネスーパー公式通販サイト」でも「ecbeing」を採用しているほか、2020年11月に公開したLINEトーク画面上で注文が完結する新サービス「コンタクトレンズのかんたん注文LINE」を、「ecbeing」を展開するecbeingと共同開発している。

公文 紫都
公文 紫都

ユニクロとジーユー、消費税の「総額表示義務」で本体価格をそのまま「税込価格に。全商品で実質約9%の値下げ

4 years 9ヶ月 ago

ファーストリテイリンググループのブランドであるユニクロとジーユーは3月12日から、すべての商品価格を総額表示に変更、これまでの商品本体価格をそのまま消費税込みの価格にすることにした。

現在の価格と比較して約9%の値下げとなる。総額表示に関する特別措置法が3月31日で終了するための措置。

一例として、2020年冬商品の商品タグでは「本体価格1990円+消費税」と表示していたが、2021年春商品の商品タグでは消費税込みで「1990円」にする。タグと同様、ECサイトで表示する商品価格も、すべて消費税込み価格に移行する。

ファーストリテイリンググループのブランドであるユニクロとジーユーは3すべての商品価格を総額表示に変更、これまでの商品本体価格をそのまま消費税込みの価格にする
商品価格を税別表記から総額表示に変更する

ファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長は、「私たちは、できるだけ多くの商品の価格をそのままに、消費税込みのお求めやすい価格で販売し、お客様の生活に寄りそっていきたいと思っている。これからもLifeWearを提供し、服の領域で社会を支えるインフラ企業になりたいと思っている。これが我々の使命であり存在意義だ」と述べている。

消費税に関しては4月1日から、消費税額を含めた価格を記載する「総額表示」が義務化される。「総額表示義務」とは、値札やチラシなどにおいて、商品やサービスの価格を表示するときに、消費税額を含めた価格を記載すること。対象となるのは、一般消費者に対して商品の販売やサービスの提供を行う消費税課税事業者。BtoBは対象外。

総額表示の義務化で、消費者が商品やサービスの購入を検討する際、すべての価格が税込表示されている状態になる。値札やチラシを見ただけで、本来支払うべき価格が簡単にわかるようになり、比較や購入の判断がしやすくなる。

EC事業者は、ECサイトの表示価格を税込み価格に変更することが迫られる。ダイレクトメールやインターネットサイト、チラシなど、広告出稿をしているEC事業者は、広告媒体の総額表示にも対応する必要がある。

石居 岳
石居 岳

補助額は最大1億円「事業再構築補助金」とは/Shopifyまとめ【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 9ヶ月 ago
2021年2月26日~3月4日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. ネット通販の開始、飲食店のオンライン注文など新規事業や業態転換を支援する「事業再構築補助金」(補助額は最大1億円)を解説

    「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」の補助額は100万円~1億円。新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編、またはこれらの取り組みを通じた規模拡大といった事業再構築に意欲のある中小企業などを支援する

    2021/3/2
  2. Shopifyの動きが激しすぎる! 今年(まだ2か月だけど)の動きをまとめました。【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年2月22日〜28日のニュース

    2021/3/2
  3. アマゾンが「置き配」拡充、マンションのオートロックを配送業者などが解除できる「Key for Business」を導入

    「Key for Business」は、マンションに住む注文者が不在でも、宅配ドライバーなどが玄関などへの「置き配」をできるようにするシステム。米国などで先行導入している

    2021/3/2
  4. ECに新規参入・強化したい事業者必見の「ECシステム9選」「カゴ落ち対策に役立つ決済手段」「IT投資を補助・助成する制度」

    ECを新たに始める、もしくは強化したい事業者に適した9つのECシステムを厳選し、特徴や実績などを解説。運用後に押さえておきたい「買いやすいECサイト作り」に必要なカゴ落ち対策、ECへの投資を助成・補助する政府の取り組みも紹介する

    2021/3/3
  5. 佐川グループと台湾大手EC「PChome」グループが提携、台湾向け越境ECサービスを提供

    SGHグローバル・ジャパンは、台湾最大のECモール運営会社であるPChomeグループと提携し、台湾への販売と物流を一体化する台湾向け越境ECサービス「BBチェックアウト」の提供をスタート

    2021/2/26
  6. 世界の潮流から見るデジタル活用。「What(何ができるか)」から「How(どのように)」へ

    世界最大のテクノロジー展示会「CES」、全米小売業協会(NRF)主催のリテール展示会から見えた、小売り・EC事業者が押さえておくべきポイントとは? 顧客時間の共同CEOで取締役の奥谷孝司氏が解説

    2021/3/1
  7. 【SDGs調査】消費で重視するのは「値段」「品質」「機能」。「エシカル消費」重視の関連回答は3割未満

    「SDGs」(エスディージーズ・Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)、地域の活性化や雇用などを含む人・社会・地域・環境に配慮した「エシカル消費」の消費者意識を調査した

    2021/3/2
  8. 【2020年の広告費】ネット広告は2.2兆円でプラス成長、マスコミ四媒体広告は前年割れ。ECプラットフォーム広告は1321億円

    電通が公表した「2020年 日本の広告費」。2020年1~12月における日本の総広告費は前年比11.2%減の6兆1594億円。インターネット広告費のみプラス成長で、マスコミ四媒体広告費などは前年割れ

    2021/2/26
  9. 「楽天市場」の商品検索画面に広告を出稿できるメーカー向け運用型広告プロダクトに、リターゲティング広告の配信メニューを追加

    「RMP-Sales Expansion」は「楽天市場」に出店していないメーカーでも出稿できる運用型広告プロダクト。新たに「楽天市場」以外の広告媒体へリターゲティングできる広告配信メニューを加えた

    2021/3/1
  10. 大企業だけじゃない! コロナ禍の今、中小企業や地方企業こそ越境ECを活用すべき理由

    日本製マスクの需要を捉えた「ナナンワールド」と、“日本ロス”消費に応える青森県の事例(連載第3回)

    2021/3/3

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    「BASE」が決済手段を拡充、1万社超が使うアマゾンのID決済サービス「Amazon Pay」を「BASEかんたん決済」に追加

    4 years 9ヶ月 ago

    BASEは3月3日、ECサイト構築サービス「BASE(ベイス)」で、Amazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay(アマゾン ペイ)」の取り扱いを始めた。「BASE」加盟店は決済手段に「Amazon Pay」を追加できるようになる。

    「Amazon Pay」との契約は、「BASE」加盟店ではなくBASE社が行う形態。取引の安全性を保証するための仲介サービス「エスクロー決済」の形式で、「BASE」加盟店は決済手数料をBASE社に支払うフローになる。

    BASEでは、「BASE」加盟店にエスクロー形式の決済サービス「BASEかんたん決済」を展開。クレジットカード決済、キャリア決済、コンビニ支払い、PayPal決済、後払い、銀行振り込みといった決済手段があり、決済手数料は決済金額の3.6%、処理手数料で40円を一律で徴収している。

    BASEは3月3日、ECサイト構築サービス「BASE(ベイス)」で、Amazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay(アマゾン ペイ)」の取り扱いを始めた
    カート内の表示イメージ(画像はBASEのサイトからキャプチャ)

    「Amazon Pay」はこの「BASEかんたん決済」の新たな決済手段の1つとして追加した。「BASE」加盟店の「Amazon Pay」利用に関しては、別途サービス利用料として決済金額の3%が必要になる。

    「Amazon Pay」とは

    Amazonアカウントに登録された配送先住所やお支払い情報を使うことで、Amazon以外のECサイトで簡単にログイン・決済ができるID決済サービス。

    「Amazon Pay」が導入されたECサイトでは、Amazonアカウントを利用すれば、購入時に配送先・クレジットカード情報の入力をすることなく、決済を行うことが可能。買い物カゴに商品を入れてから、最短2クリックで決済することが可能になるため、消費者の「独自ドメインのECサイトでの情報入力の不安」「情報入力のめんどくささ」「入力ミス」などの解消が期待できる。

    「Amazon Pay」が提供するベネフィット
    「Amazon Pay」が提供するベネフィット(画像は「Amazon Pay」のサイトからキャプチャ)

    日本で「Amazon Pay」の提供が始まったのは2015年5月。それから5年で、導入企業は1万社を突破。また、ジャンルを問わずにさまざまなECサイトが「Amazon Pay」を決済手段として導入している。

    商品の配送状況を音声でお知らせする機能にも対応

    「BASE」は、「Amazon Pay」を使って購入された商品の配送状況を音声で通知する「Alexa Delivery Notifications」(日本では「Amazon Alexa配送通知機能」と呼ばれている)にも対応した。

    対象商品であれば、Amazonのクラウドベースの音声サービス「Amazon Alexa」搭載のスマートスピーカー「Amazon Echoシリーズ」などを通じて配送状況を音声通知で受け取ることができる。

    「Alexa配送通知機能」を使用した配送通知の動画イメージ

    購入した商品の配送状況を音声で通知する取り組みは「Amazon.co.jp」で2019年夏頃からスタートしている。

    BASEは「BASE」加盟店での商品購入後に音声で配送状況を通知できる「Alexa配送通知機能」を実装。「Amazon Alexa」搭載デバイスを持ち、「Amazon Pay」で対象商品を買い物した消費者へ音声による配送状況の通知を行えるようにした。

    なお、「Amazon Alexa配送通知機能」はPCなどを販売するドスパラの自社ECサイト、「グローバルWiFi」を展開するビジョンなどが導入している。

    石居 岳
    石居 岳

    広告業界に衝撃を与えた「ステラ漢方事件」から考えるWeb広告への問題意識 | 通販新聞ダイジェスト

    4 years 9ヶ月 ago
    2020年7月に起きた「ステラ漢方事件」はWeb広告業界に衝撃を与えました。大阪府警はアフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)への家宅捜索など、新たな事件捜査に着手しています

    昨年7月の「ステラ漢方事件」は、広告業界に衝撃を与えた。大阪府警が薬機法の「何人規制」を発動。広告主のステラ漢方だけでなく、広告代理店関係者の逮捕に踏み切ったためだ。だが、警察当局によるウェブ広告業界の監視は緒についたばかりだ。すでに年末から、アフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)への家宅捜索など、新たな事件捜査に着手している。

    ウェブ広告業界に衝撃を与えた「ステラ漢方事件」

    「3年で売上高100億」。ここ数年、ウェブ広告業界は、そんなバブルに沸いていた。テレビや新聞など「オールドメディア」と呼ばれる媒体への広告規制が厳しさを増す中、広告主はこぞってウェブ市場に舵を切り始めたためだ。19年、国内のウェブ広告費は、20%増の約2兆円に到達。テレビの広告費を初めて抜いた。

    これに冷や水を浴びせたのが、「ステラ漢方事件」だった。大阪府警は昨年7月、「ズタボロになった肝臓が半年で復活」などと医薬品的効能効果をうたい、健康食品「肝パワーEプラス」を販売していたとして、健食通販を行うステラ漢方の従業員を逮捕した。広告違反の内容自体、業界に身を置くものであれば、誰でも「アウト」とわかるオーソドックスなものだ。

    通販新聞 アドネットワーク 広告配信 構造 ステラ漢方事件 ソウルドアウト
    ソウルドアウトが掲示した「審査ポリシー」に関する通知

    衝撃を与えたのは、広告掲載に関与したとして、広告業大手のソウルドアウト従業員など関係者計6人の逮捕に及んだことだ。これまで警察当局が「何人規制」を厳格に適用したケースは少なく、代理店、制作サイドに動揺が広がった。

    見過ごされてきた業界の構造問題

    だが、一連の事件で見過ごされてきたものがある。「アドネットワーク」をめぐる業界の構造的な問題だ。

    アドネットは、ウェブサイトに広告を配信するプラットフォーム。システムを構築する配信事業者は、媒体社に広告の配信・分析システムを提供する。一方、媒体社は自社のウェブメディアへの広告配信を委託する。

    通販新聞 アドネットワーク 広告配信 構造
    Web広告配信の構造

    有名どころは百度(バイドゥ)子会社のpopIn(ポップイン)、GMOアドマーケティング、Zucks(ザックス)、Logly(ログリー)、Speee(スピー)、Taboola(タブーラ)など。中には1000前後の媒体社をネットワーク化する事業者もいる。媒体社にとっても、アドネットは、ウェブメディアのマネタイズを図る上で無くてはならない存在になっている。

    JARO加盟も違反広告を配信

    不適切広告の掲載に至るプロセスはシンプルだ。本来、違反の蓋然性が高い広告は、配信事業者、媒体社が水際でブロックできる余地がある。それが媒体の信用にも関わる。

    アドネットもPopIn、Loglyは、日本広告審査機構(JARO)の加盟社。Loglyは東証マザーズに上場しており、Zucksは電通が53%を出資するCARTAHOLDINGS(カルタホールディングス)のグループでもある。

    だが、媒体社は、ウェブメディアの実質的な審査は配信事業者に丸投げしている。「Taboolaなど一部は、第三者機関の薬機法チェックの証明が必要だが、アドネットの多くは、審査がザル」(代理店関係者)、「アドネットも審査を緩くすればクリック率が上がり儲かる。代理店も自重しては市場で強い広告と戦えず、自然、過激になる」(別の代理店関係者)という中、薬機法や景品表示法の観点から問題のある広告が大量に垂れ流されている。

    そもそも、両者はあくまで広告主に配信・掲載を依頼された「仲介者」。遵法意識は醸成されにくい。自らメディアを持たない配信事業者であればなおさらだ。実際、「ステラ漢方事件」で摘発対象になった広告の一部もpopInにより配信されもの。同社もその事実を認める。

    こうしたウェブ広告の構造に、前出の関係者らは、「請け負った代理店も悪い。顧客獲得を優先する広告主も悪い。けれど、業界を根本的に変えるには媒体社、アドネットも変わる必要がある」、「本来はJAROが適正化を支援すべき。だが、加盟は、企業の信頼を得るためのロビー活動になっている」と指摘する。

    ASP運営企業の捜査当局への協力は「事実」

    自社で広告審査基準を運用する単一メディアは、審査厳格化の動きをみせている。ヤフーは、昨年8月、コンプレックス部分を露骨に表現した広告の出稿を禁止。20年度上半期に約1億1000万件の広告表現を「非承認」にしたことを公表した。一部のウェブメディアも「昨年以降、審査が厳しくなっている」(代理店関係者)という。

    通販新聞 アドネットワーク 広告配信 構造 Yahoo コンプレックスに関する表現
    「Yahoo!」広告ではコンプレックス部分を露骨に表現した広告出稿を禁止
    (画像は編集部が「Yahoo!広告」サイトからキャプチャし追加)

    一方、アドネットは事件後、「複数の配信事業者が協議したと聞いたが、『やられることはないから大丈夫』との結論に至った」(別の関係者)との話も聞かれる。

    今回、事件を受けた対応や審査体制について表の配信事業者に質問したが、回答があったのはpopInのみ(Speeeは「担当者の時間が確保できず辞退」と回答)。薬機法や景表法に基づく適法性審査を専門チームが「行っている」とし、事件を受け、「社内審査基準の一層の見直し、社内への注意喚起を行った」とする。ただ、基準運用の詳細は明かしていない。

    「ステラ漢方事件」から約半年。大阪地検は逮捕者の処遇を「開示していない」とするが、複数の関係筋は「まだ起訴・不起訴の判断は行われていない」と明かす。

    だが、警察当局は、すでに新たな動きをみせている。健食広告の薬機法違反に絡み、大阪府警がASPに家宅捜索を実施。府警は、「事実関係を含めノーコメント」とするが、当のASP運営企業は、「捜査当局へ協力しているのは事実」と認める。ウェブ広告関与の「代償」は確実に重くなっている。

    「JARO」の山本一広専務理事に聞く、ウェブ広告の問題意識

    日本広告審査機構(=JARO)には、「ステラ漢方事件」で逮捕者を出したソウルドアウトなど広告事業者が多く加盟する。アドネットワークによる不適切広告の配信の是正は「活動の範囲外」と回答。活動のスタンスは、こうした事業者の排除ではなく、適正化の支援とする。山本一広専務理事に、事件を受けた問題意識を聞いた。

    通販新聞 アドネットワーク 広告配信 構造 JARO
    「JARO」の事業目的と事業内容、10年ビジョン

    ――「ステラ漢方事件」で逮捕者を出したソウルドアウト、同社に社外取締役を派遣するヤフーが加盟社になっている。事件を受けて対応を行ったか。

    ソウルドアウトが加盟したのは事件後。適正化のために入会したいとの申し出があり、ヒアリングや理事会判断を経て会員になった。事業自体が反社会的でなく、広告の適正化を進める意思のある企業は積極的に受け入れるスタンス。会社自体の信用もあり、事件も組織的なものではないと判断して認めた。

    ヤフーは業界内でも広告適正化に前向きな会社と認識しており、協会の活動にも協力してもらっている。

    ――入会の基準は。

    基準というより、広告適正化に努める意思確認が中心になる。必要に応じて面談や業容の確認を行う。その上で法令順守、広告の質的向上に努めるなどの誓約書を提出いただき、最終的に理事会で承認する。

    広告露出の仕組みに踏み込む調査能力はない

    ――摘発対象の広告は、アドネットワークで配信された。本紙取材では、少なくとも当該広告の配信事業者1社は加盟社になる。把握しているか。

    していない。

    ――ソウルドアウトからヒアリングは検討するか。

    JAROの活動領域は広告・表示の適正化と認識している。アドネットワークでの広告露出の仕組みに踏み込んで調査する能力はない。それは個々の事業者の責任であると考えている。

    ――起きた背景を捉え正していくことは広告適正化の方向性と一致するのではないか。

    カバー領域はあくまで広告表示。表示の是非は判断できても、なぜ審査をすり抜け悪質な広告が掲載されたか、仕組みに踏み込めない。

    ――ソウルドアウトに聞けばわかるのではないか。他媒体とアドネットの配信広告の水準を横並びで見た時に、適正化に向けてできることもあるように感じる。

    不適切な広告が世の中に配信されない仕組みづくりは配信事業者がやること。JAROは構造を正していく立場にない。

    苦情を起点に見解を審議

    ――それではJAROが行うことは何か。

    消費者、時には事業者もいるが、原則は、苦情を起点に中立性を担保した場で広告に対する見解を審議し、広告主に伝える。あくまで苦情が起点である。一方で苦情がないものをJAROが恣意的に行わないのがポリシーだ。

    ――広告主でない関連事業者を加盟させる意味合いが希薄にならないか。

    加盟社は、大きな視点で広告適正化が広告業界にとって必要であるというスタンスで加盟してくれていると思っている。

    ――他媒体のように一定の考査基準の共有を目指す道もある。基準策定を支援することはないのか。

    定款に定める事業内容には業界団体が広告基準を策定する際に支援するというものがある。ただ、定款を定めた当時はウェブもなく、各業界で考査基準が共有されていない背景があった。業界特有の事情に即した基準策定は難しさもあり軽々に言えるものではない。

    今はこちらが業界が定めた基準を勉強させてもらい、審査や事前相談に活かす立場だ。

    ――加盟社は適正化に努める意思表示をした企業で方向性は一致する。

    起点は苦情なので苦情があれば指摘を行う。現状において苦情がない中で逮捕者を出たから問いただしていくことは範疇外。それはほかの方がやることで、こちらに強制力はない。

    ――今回の事件を起点にソウルドアウト、関連事業者に行う対応はない。

    過去のことでもあり対応することはない。

    Web広告への問題意識から新たな広告審査を設置

    ――広告審査は要請の程度が弱いものから「助言、要望、警告」で見解を示す。昨年4月、新たに「厳重警告」を設けた。ウェブ広告への問題意識からきたものか。

    そうなる。媒体で区別はないが、多くの媒体は事前審査が徹底している。現状で『厳重警告』にあたる広告が掲載される可能性は低い。ウェブは不適切な広告・表示を行う事業者が、まだすり抜ける手段がある。

    ――アドネットの配信広告に対する問題意識は。

    当然、関心は持っている。2年ほど前からウェブ業界の企業に積極的に加盟してもらい、連携・協力の輪を広げようと努めている。ウェブ広告業界も悪質な広告を放置しているわけではないが、新興企業の参入も多く、現状として悪意のある事業者がアドネットワークを利用した時にシステム上、適正化が難しい部分もあると理解している。

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    通販新聞

    コロナ禍のランドセル商戦。土屋鞄は貸出サービス&LIN相談、イトーヨーカ堂は「バーチャル店舗」で接客

    4 years 9ヶ月 ago

    3月のランドセル商戦が始まった。非接触ニーズが高まるコロナ禍での商戦で、ランドセルを販売する企業はどのような取り組みをしているのか?

    土屋鞄製造所は初となるランドセルの貸し出しサービス「レンタルランドセル」を導入、LINE相談なども行う。イトーヨーカ堂はスマホやパソコンで新作ランドセルが確認できる「バーチャル店舗」で、バーチャルスタッフが商品説明などを行う。

    消費者のニーズが高まる非接触に対し、各社はオンラインを活用した新たなランドセル販売に取り組んでいる。

    土屋鞄は3月10日に始める2022年入学用ランドセルの注文受け付けを前に、自宅でランドセル選びが楽しめる「レンタルランドセル」を導入した。2022年入学用のモデル全61種類をWebサイト上で選んで試着できるサービス。自宅で背負い心地や重さを試して、実際の色味、デザインなどが確認できる。

    ランドセル商戦、土屋鞄製作所、イトーヨーカ堂の非接触による商戦開拓に関する取り組み

    Webサイトから申し込むと自宅にランドセルが届き、ランドセルを試着した後、返送する仕組み。レンタル期間は2泊3日で、利用料金は1回3000円(税込)。送料・返送料は無料。1回の注文でレンタルできるのは1種類のみ。2種類以上を希望する場合は、複数回に分けて注文する必要がある。

    また、知識豊富なスタッフがLINEのチャットやビデオ通話機能を通じて質問に対応。チャットで寄せられた質問にスタッフが応える。相談時間は10:00~17:00で、土日祝は定休。チャットボットでの相談は24時間受け付ける。AI(人工知能)による自動応答システムで質問に回答する。

    ランドセル商戦、土屋鞄製作所、イトーヨーカ堂の非接触による商戦開拓に関する取り組み
    LINEを活用した接客のイメージ

    イトーヨーカ堂は3月1日、自宅などで家族と一緒にじっくりと商品が確認できるように「バーチャル店舗」を開設した。商品確認後、イトーヨーカドーのネット通販(オムニ7)で商品を購入できる。

    ランドセル商戦、土屋鞄製作所、イトーヨーカ堂の非接触による商戦開拓に関する取り組み
    イトーヨーカ堂が開設した「バーチャル店舗」

    試着したいという声も多いことから、「バーチャル店舗」で確認後、近くのイトーヨーカドーで実際の商品を試すこともできる。

    「バーチャル店舗」ではランドセルのブランドや商品の紹介に加え、一部商品で担当者による「ランドセル紹介動画」も用意。「バーチャル店舗」での接客を担う。

    ランドセル商戦、土屋鞄製作所、イトーヨーカ堂の非接触による商戦開拓に関する取り組み
    「バーチャル店舗」でのバーチャルスタッフによる接客イメージ(画像は「バーチャル店舗」からキャプチャ)

    機能やこだわりについて、詳しく確認できるようにしている。専用アプリをダウンロードして、カタログに記載されたアイコンをスキャンすると、子どもがランドセルを試着した画像を確認できるサービスも用意した。

    石居 岳
    石居 岳

    ウォルマートも導入した「プレミアムロイヤルティプログラム」とは? 顧客リピート化を生み出すインサイトとその効果を解説 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 9ヶ月 ago
    競合他社との差別化を図り、顧客のリピート率を高める「ロイヤルティプログラム」施策。2021年に注目したい「プレミアムロイヤルティプログラム」とは?

    顧客のリピート率を高める施策として有効な「ロイヤルティプログラム」ですが、より効果を出すための方法はあるのでしょうか。スーパーマーケットチェーン「Walmart(ウォルマート)」の導入で注目を集める「プレミアムロイヤルティプログラム」について解説します。

    ウォルマートが始めた「Walmart+」とは?

    ウォルマートは2020年9月、プレミアムロイヤルティプログラム「Walmart+(ウォルマート+)」を開始しました。

    Walmart+のサービス紹介ページ
    Walmart+のサービス紹介ページ(画像:サイトからキャプチャ)

    年会費を支払った「Walmart+」会員は、送料無料、食料品の無料配達、ガスの割引、スマートフォンでスキャンするだけで料金を支払える機能など、さまざまな特典を受けることができます。

    米国内最大手の小売事業者がこのプログラムを開始したことで、ロイヤルティプログラムが今後も重要なマーケティング戦略であることが証明されました。同時に、ロイヤルティプログラムの差別化が今まで以上に大切になります。

    「Walmart+」のイメージ動画(編集部が追加)

    「プレミアムロイヤルティプログラム」は「ロイヤルティプログラム」と何が違う?

    ロックダウンやソーシャルディスタンスの影響で、オンラインショッピングは増加傾向にあります。消費者には無数の選択肢が提供され、顧客のロイヤルティを獲得することはこれまで以上に難しくなっています。プレミアムプログラムも従来のロイヤルティプログラムも、会員に真の価値を提供すれば、顧客を引きつけ、リピート購入を促すための効果的なツールになります。

    プレミアムロイヤルティプログラムとは、会員が料金を支払うことで、会員限定の体験やすぐに利用できる特典と引き換えられるロイヤルティプログラムのことを指します。

    従来のロイヤルティプログラムは、顧客が買い物をして時間をかけてポイントを獲得し、後から特典を受け取ることができるシステムです。重要なのは、顧客が時間とコストを節約し、競合他社にはないユニークな体験を提供できるよう、顧客に適したサービスの組み合わせを見つけることです。

    ロイヤルティプログラムのレポートから得た4つのインサイト

    プレミアムロイヤルティプログラムの提供・導入支援を行う「Clarus Commerce」は2021年1月、「消費者のロイヤルティに関する調査2021」を実施。全米のマーケティングおよびロイヤルティプログラムの専門家300人を対象に、小売事業者の現在および将来のロイヤルティプログラム戦略などを明らかにしました。この結果を見ると、小売事業者がこれからのロイヤルティプログラムに何を期待できるかがわかります。

    このレポートでは、ほぼすべての小売事業者が顧客のロイヤルティに関心があることが判明しています。適切なタイミングで提供するリワードの重要性、マーケティング担当者の機会損失、プレミアムロイヤルティプログラムの価値、適切なベンダーとの連携の重要性が明らかになりました。

    1.“1週間以内の特典提供”でより良い結果に

    消費者はすぐに満足感を得たいと考えているため、ロイヤルティプログラム会員にすぐに特典を提供すればリピートにつながります。最初の1週間以内に特典を提供している小売事業者の86%が、「ロイヤルティプログラムの会員は少なくとも週に1回は買い物をする」と答えています。この数字は、最初の1か月以内に特典を提供している小売業者では63%にまで低下します。

    さらに、早期に割引を提供している小売事業者ほど、ROI(投資対効果)の目標を早く達成しています。最初の週に特典を提供した小売事業者では、62%が最初の6か月以内に費用対効果を確認しています。

    一方、最初の1か月以内に特典を提供した小売事業者のうち、「半年内に費用対効果が得られる」と回答したのは21%にとどまります。ロイヤルティ会員にすぐに特典を提供せず、満足感を感じてもらうタイミングが遅れると、会員の購買意欲が低下したり、買い物頻度が下がる可能性があります。

    2. ホリデーシーズン中に看過されるロイヤルティプログラム

    ロイヤルティプログラムを通じてホリデー割引を提供している小売事業者はわずか7%。これはチャンスを逃していることになります。2020年のロイヤルティに関する調査では、ミレニアル世代の73%がホリデーシーズンの割引のためにロイヤルティプログラムに加入していることがわかりました。

    さらに消費者の38%は、ホリデー割引があればプレミアムロイヤルティプログラムに加入する動機になると答えています。調査結果と現実の乖離(かいり)は、マーケティング担当者が顧客獲得とリテンションの機会を逃していることを示唆しています。ホリデー割引がなければ、顧客は競合他社でホリデーショッピングをするリスクがあるのです。

    3. プレミアムロイヤルティプログラムで顧客ロイヤルティをさらに引き上げる

    従来のロイヤルティプログラムはマーケティングミックスの重要な要素ですが、プレミアムロイヤルティプログラムや階級別のプログラムは、ロイヤルティをさらに引き上げます。

    プレミアムロイヤルティプログラムを提供している小売事業者の半数以上(51%)が、このプログラム会員には、通常の顧客の少なくとも4倍の価値があると考えています。これらのプログラムは、顧客をそのブランドでコンスタントに買い物するブランドの支持者に変えていきます。

    優良顧客の要望やニーズに合わせたプログラムを提供することは、自社と顧客の双方にメリットがあるのです。実際、プレミアムロイヤルティプログラムを導入している小売業者の82%が、プログラムの収益性を10点満点中8点と評価しています。

    4. 成功しやすいのはベンダーと提携している小売事業者

    ロイヤルティプログラムを開始する際の小売事業者の最大の壁は優先順位の付け方で、回答者の3分の1以上(37%)が優先順位を問題としてあげていました。また、社内リソースの不足(24%)とITサポートの不足(19%)も一般的な課題でした。

    このような社内のハードルが、一部の小売事業者がロイヤルティプログラムの構築と管理にベンダーを利用する主な理由となっています。ベンダーは、常に進化し続ける小売業界において、最新のプログラムを駆使して、ニーズに即したサービスの提供を行っています。ベンダーを利用している小売業者の27%が、過去1か月以内にプログラムを更新したことがあるのに対し、自社プログラムを利用している小売事業者は8%しか更新していません

    さらにベンダーを利用している小売事業者には、リピート顧客が多いです。ベンダーを利用している事業者の44%が、「ロイヤルティ会員は少なくとも数日に1度は買い物をする」と回答しています。一方、自社でプログラムを管理している事業者のうち、「ロイヤルティ会員が少なくとも数日おきに買い物をする」と答えたのは30%にとどまりました。ベンダーを利用している小売事業者は、プログラムのROI目標をより早く達成しています。

    ◇   ◇   ◇

    顧客は、ニーズに沿ったメリットと価値をショッピング体験に求めています。小売事業者が顧客のロイヤルティ獲得合戦を繰り広げる中、差別化がこれまで以上に重要になっています。2021年には顧客の囲い込みが重要な焦点となるため、ロイヤルティプログラムで競合他社との差別化を図り、顧客のリピート率を高める方法を検討しましょう。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    関西電力がECモール「かんでん暮らしモール」を開設、「暮らしの困りごと」を解決する役務サービス中心にネット通販

    4 years 9ヶ月 ago

    関西電力は3月1日、暮らしに役立つサービスの販売に特化したECモール「かんでん暮らしモール」を開設した。

    電気またはガスの契約会員「はぴeみる電」を対象に、「どこに頼めばいいかわからない暮らしの困りごと」の解決に役立つサービスを提供する。

    関西電力暮らしに役立つサービスの販売に特化したECモール「かんでん暮らしモール」を開設
    「かんでん暮らしモール」の概要

    「かんでん暮らしモール」のコンセプトは、「暮らしのお困りごとを解決する!」。「不動産・住宅」「保険」「家事サポート」「生活サポート」「ヘルスケア・学び」の5カテゴリーを用意。ローンチ時点では33事業者のサービス提供事業者がECモールに出店、「はぴeみる電」会員にサービスを提供する。

    「かんでん暮らしモール」の出店者について

    「かんでん暮らしモール」内での利用に応じて、「はぴeポイント」を加算する。貯まったポイントは「かんでん暮らしモール」の各サービスや、電気・ガス料金の支払いなどに利用できる。また「かんでん暮らしモール」独自の特典として、料金割引や景品なども用意している。

    関西電力はECモールの魅力を向上させるため、新規サービス提供事業者との提携を進めていく。多様化する顧客ニーズに対応するため、新たなサービスのラインナップ拡大、さまざまな価値を組み合わせたサービスの提供に取り組んでいく。

    関西電力は電力・ガスの小売全面自由化に伴い、会員向けに多様な料金メニュー、さまざまな付加価値サービスを提供してきた。ECモールの開設も会員向けサービスの一環。

    「かんでん暮らしモール」で会員向けサービスを拡充する

     

    石居 岳
    石居 岳

    ECに新規参入・強化したい事業者必見の「ECシステム9選」「カゴ落ち対策に役立つ決済手段」「IT投資を補助・助成する制度」

    4 years 9ヶ月 ago
    ECを新たに始める、もしくは強化したい事業者に適した9つのECシステムを厳選し、特徴や実績などを解説。運用後に押さえておきたい「買いやすいECサイト作り」に必要なカゴ落ち対策、ECへの投資を助成・補助する政府の取り組みも紹介する
    [AD]

    「これからECを始めたい」「ECを強化していきたい」といった事業者にとって必要不可欠なECシステム。新規でネット通販を始める企業が増えていることを踏まえ、編集部ではこうしたニーズに適した9つのECシステムを厳選し、特徴や実績などを解説。また、運用後に押さえておきたい「買いやすいECサイト作り」に必要なカゴ落ち対策と、ECへの投資を助成・補助する政府の新たな取り組みも紹介する。

    これからECを始める・強化するのに役立つECシステム9選

    D2Cに必要な要素を備えた、現場徹底主義によるノウハウと高い技術力を持つ「ecforce(イーシーフォース)」

    D2Cに必要な要素を備えた、現場徹底主義によるノウハウと高い技術力を持つ「ecforce(イーシーフォース)」
    • サービス名ecforce
    • 提供会社株式会社SUPER STUDIO
    • 料金体系:初期費用は14万8000円+税、月額利用料は4万9800円+税~
    • 主な実績:導入ショップ数は300ショップ超、年間流通総額は500億円を突破している。導入企業の平均年商は2億円規模
    • 主な導入企業:タマチャンショップ、BULK HOMME、PHOEBE BEAUTY UP、n&o Living、Sui+ ONLINE STOREなど

    編集部視点のサービス特徴

    編集部スタートアップから大企業までさまざまなビジネスのEC化を支援するD2C特化型のEC基幹システム。コンバージョン率強化を実現するさまざまな機能を提供することで販売に特化したECプラットフォームとなっており、柔軟な分析機能で広告費用の最適化やCRM施策を実施し、売上・利益を向上することができる。シンプルなUIと自動化技術でオペレーターの効率、品質向上をサポートするのが特徴。メーカーと商品を共同開発しているD2Cコンサルティング部隊を社内に抱えており、モノを売るために必要な機能に関するフィードバックを直に受け取り、それを国内外の開発拠点で迅速に実装するサイクルを整えている。

    Eコマースの成長戦略の実現に向けた最新機能と手厚いサポートを提供する「futureshop(フューチャーショップ)」

    Eコマースの成長戦略の実現に向けた最新機能と手厚いサポートを提供する「futureshop(フューチャーショップ)」
    • サービス名futureshop
    • 提供会社株式会社フューチャーショップ
    • 料金体系:初期費用は2万2000円+税~、月額利用料は2万2000円+税~
    • 主な実績:2020年9月時点で稼働店舗数は2700店舗。2019年の流通総額は1141億円で、導入店舗の約3割がアパレル・ファッション関連。自社主催のセミナー開催と展示会参加回数は年間255回
    • 主な導入企業:titivate、Maker's Watch Knot、イーザッカマニアストアーズ、京橋千疋屋、伊藤久右衛門、TOKYO DESIGN CHANNEL、SAC'S BARなど

    編集部視点のサービス特徴

    編集部自社ECサイトの構築サービスの開発・販売企業として18年の歴史がある。1日平均91.52%の電話応答率(2019年営業日で計測)という安心のサポート力でECサイトの立ち上げから使いこなしまでを丁寧に支援している。「futureshop」ならではの特徴は、特許登録済(特許第6619478号)のパーツ単位でECサイトを構築する「futureshop」内のCMS機能「commerce creator(コマースクリエイター)」。ECサイトの要素を「パーツ」単位に分割し、システム提供分と独自に作成できるパーツとを組み合わせてECサイトを構築。作成したパーツには「class」や「id」が設定できるため、CSSの適用によって見た目を自由に変更できる。SaaS型の弱点とも言われるデザインのカスタマイズ性を飛躍的に向上、同時にアップデートなどによる機能の拡張性も確保している。

    年間流通総額が8年連続でネットショップASP業界No.1※の「MakeShop(メイクショップ)」

    年間流通総額が8年連続でネットショップASP業界No.1の「MakeShop(メイクショップ)」
    • サービス名MakeShop byGMO
    • 提供会社GMOメイクショップ株式会社
    • 料金体系:初期費用は1万円+税、月額利用料は1万円+税~
    • 主な実績:2020年の流通総額は2343億円。導入店舗数の伸びは前年同期比で約2.5倍となっており、中規模・大型の法人ショップ向けプランの導入店舗数は2020年10月に1万店舗を突破している
    • 主な導入企業:Lafayette、TOKYO interior ONLINE SHOP、ARTISAN&ARTIST、俺のEC、アベマショッピングなど

    編集部視点のサービス特徴

    編集部ECサイト構築・運営のベースとなる基本機能を搭載している「MakeShop」では、業界トップクラスの機能数とSNS連携などの集客力により企業のニーズに対応できる体制を整えている。また、さまざまな機能をカスタマイズで追加できる「MakeShopエンタープライズ」は、「機能拡張をしたい」「きめ細かい顧客ニーズに対応したい」といった企業の細かい要望に対応する上位プラン。小規模事業から大企業まで、実店舗と連携したショップ運営、オムニチャネル展開、ショッピングモールへの出店と連動した多店舗展開など多様化するビジネス形態に対応する。

    ※流通額(=受注金額)についてネットショップASPサービス運営企業各社の発表数値より比較(同社調べ 2020年3月時点)

    世界175か国で利用されているカナダ発のマルチチャネルコマースプラットフォーム「Shopify(ショッピファイ)」

    世界175か国で利用されているカナダ発のマルチチャネルコマースプラットフォーム「Shopify(ショッピファイ)」
    • サービス名Shopify(ショッピファイ)
    • 提供会社Shopify Japan株式会社
    • 料金体系:初期費用は0円、月額利用料は29米ドル(約3000円)~
    • 主な実績:「Shopify」を利用するオンラインストア数はグローバルで170万以上。2020年の年間流通総額は前年比96%増となる約12兆円。2020年上半期の国内での新規ストア開設数は前年同期比175%増
    • 主な導入企業:Allbirds、オリオンビール、STUDIO R330、サカナバッカ、KINTO、FUGLEN COFFEEなど

    編集部視点のサービス特徴

    編集部カナダ発のクラウドベースのマルチチャネルコマースプラットフォームとして2006年にサービスの提供を開始、日本では2017年から展開。世界175か国で100万件を超えるビジネスがShopifyを利用している。日本企業の利便性を高めるために言語やサービスのローカライズを進めている。基本的なEC機能のみ標準搭載し、機能拡張はアプリストアから「アプリ」を実装する方法を採用している。世界中のエンジニアによって開発されているため、グローバルで利用され実績が高いアプリが数多く提供されている。

    月額0円で誰でも簡単に本格的なネットショップが作れる「STORES (ストアーズ)」

    月額0円で誰でも簡単に本格的なネットショップが作れる「STORES(ストアーズ)」
    • サービス名STORES
    • 提供会社ヘイ株式会社
    • 料金体系:初期費用は0円~、月額利用料は0円(フリープランの場合)~
    • 主な実績:毎月さまざまなジャンルの個性豊かなショップが新規開設。2020年4月から6月の食品ストアの開設数は、前年同時期と比較して約13倍に急拡大。2020年12月の発表によると、「STORES」を通してのカテゴリシェア上位は、アパレル(24.6%)、食品(16.1%)、日用品・生活雑貨(15.6%)
    • 主な導入企業:NO COFFEE、Far Yeast Brewing、伊良コーラ、NORTH ONE GLASS JEWELRY、TNOC、グラこころなど

    編集部視点のサービス特徴

    編集部難しい知識や技術は必要なく、直感で操作できるシンプルな管理画面で誰でも簡単に本格的なネットショップを作成・運営することができる。特に、豊富なデザインテンプレートは特徴のひとつで、無料で提供されている48種すべてのテンプレートはHTMLやCSSといった専門知識がなくても自由にカスタマイズすることができるため、ブランドの個性や世界観を自由に表現できる。規模やジャンルを問わず多くの個性的なネットショップに支持されており、全国のさまざまなショップが「STORES」を利用してネットショップを初めて開設している。

    高機能かつ低コストで、月額制ネットショップ作成サービス国内店舗数No.1※の「カラーミーショップ」

    高機能かつ低コストで月額制ネットショップ作成サービス国内店舗数No.1の「カラーミーショップ」
    • サービス名カラーミーショップ
    • 提供会社GMOペパボ株式会社
    • 料金体系:初期費用は3000円+税、月額利用料は834円+税~
    • 主な実績:個人事業主から有名ブランドまで4万店舗超が導入している。利用形態は法人、個人が約5割ずつで、継続年数3年以上が約7割を占める(2018年12月末時点)
    • 主な導入企業:BIRTHDAY BASH、ショコラ ベルアメール オンラインショップ、CLASKA ONLINE SHOP、猿田彦珈琲オンラインショップ、NAKATA HANGERなど

    編集部視点のサービス特徴

    編集部「どんなに売れても低コスト」をモットーに、低い月額固定費と決済手数料にてサービスを提供している。売り上げが伸びても高い利益率を保てるため、中長期的なコストパフォーマンスを実現。スタートアップから有名ブランドまで国内最大級の4万店舗超が導入している。ECシステムの提供歴は16年、長年のECシステムの提供と多くのショップの導入を受け、売れるための機能や仕組みを豊富にそろえている。海外販売などの販路拡大、集客強化、客単価アップ、業務効率化といった機能を拡張したい場合、「カラーミーショップ アプリストア」から自由に追加することができる。自社開発アプリだけでなく、卸販売、Web接客、コーディネート、海外販売、SNS連携、物流連携などさまざまなアプリを他社と協力して提供している。

    ※国内有料(月額制)ネットショップ構築ASPサービス運営各社のウェブ上での公表数値における契約有効店舗数比較。2020年6月18日時点、同社調べ。

    定期通販市場シェアNo.1※のサブスクリプション特化型の「サブスクストア」

    単品リピート通販市場シェアNo.1のサブスクリプション特化型の「サブスクストア」
    • サービス名サブスクストア
    • 提供会社テモナ株式会社
    • 料金体系:初期費用は6万9800円+税~、月額利用料は4万9800円+税~ ※スタンダードプランの料金体系
    • 主な実績:導入企業は大企業からスタートアップまで1000アカウント以上。「サブスクストア」を通じて消費者1400万人が利用、年間流通総額は1523億円(2020年9月時点)となっている
    • 主な導入企業:MyNatura、シーボン.、DR.VAPE ONLINE SHOP、Muscle Deliなど

    編集部視点のサービス特徴

    編集部「サブスクストア」は「たまごリピート」の後継サービスとして2019年に発売された定期通販・サブスクリプション特化型のクラウドシステム。基本的な管理機能(商品管理、顧客管理、受注管理、問い合わせ管理など)はもちろん、定期通販・単品リピート通販やサブスク事業に必要な売上UPに関する機能(LP一体型フォーム、頒布会、会員ランク、レコメンド機能など)をオールインワンで提供している。物販のほか、デジタルコンテンツ、サービス業、実店舗など業種業態を問わず幅広い業界に対応。

    ※2019年6月、株式会社日本流通産業新聞社調べ。

    100を超えるAPIを用意し、本格的で効率の良い店舗運営を後押しする「ショップサーブ」

    150を超えるAPIを用意し、本格的で効率の良い店舗運営を後押しする「ショップサーブ」
    • サービス名ショップサーブ
    • 提供会社株式会社Eストアー
    • 料金体系:開通料は1万5000円+税、月額利用料は1万1400円+税~
    • 主な実績:シェアードリサーチ社の調査によると、導入企業は中小企業中心に約9000店舗。1店舗あたりの流通額は、569万円(2014年3月期)から914万円(2020年3月期)へと年々上昇している
    • 主な導入企業:デロンギオンラインショップ、SINCERE GARDEN Web Shop、フランスベッド、マガジンハウス、朝日酒造オンラインショップなど

    編集部視点のサービス特徴

    編集部EC支援歴は20年以上の老舗ネット通販支援企業。100を超えるAPIを無料で用意し、受注情報など各種データを活用した新機能の作成や他のアプリケーション連携など、拡張性を担保している。近年は売上アップなどのマーケティング支援にも注力。ページ制作、集客プロモーションの代行、失注を防ぐ在庫・物流管理コンサルなどを提供している。また、サポート力にも定評がある。完全担当営業制を採用し、利用企業の課題や悩みなどを解決するための、きめ細かいサポートサービスを提供している。

    CVRとLTV向上を徹底的に目指す、定期購入・頒布会に特化した「リピスト」

    CVRとLTV向上を徹底的に目指す定期購入・頒布会に特化した「リピスト」
    • サービス名リピスト
    • 提供会社株式会社PRECS
    • 料金体系:初期費用は2万9800円+税、月額利用料は1万4800円+税~
    • 主な実績:稼働している店舗数は650超で、年間流通総額は800億円超。1サイトあたりの平均年商は1億3000万円
    • 主な導入企業:チャップアップ、イクオス、デオシーク、Lekarka Cosmetics、SENOBIRUショップなど

    編集部視点のサービス特徴

    編集部スタートアップの事業者から、すでに定期通販を運営している事業者まで幅広く対応する単品通販・定期/頒布会通販特化型のカートシステム。ECサイトのCVR(購入率)を向上させる機能を取りそろえている。単品系ECに役立つ「LP一体型フォーム」、広告の費用対効果を見える化し分析できる広告集計機能などを最安値プランで標準実装。コールセンター向けに現場目線に立ったUI設計に基づく管理画面、リピート施策におけるステップメールなどのCRM機能も実装することができる。顧客育成・LTV向上をめざす事業者に適した機能を使用することができる。

    ECサイトの構築後、押さえておくべきカゴ落ち対策

    ECサイトを構築し、運営する上で押さえておくべきことの1つが、カートに入れた商品を決済せずに消費者がサイトから離脱する「カゴ落ち(カート離脱)」だ。

    ECビジネスには、「バケツに穴が開いているといくら水を注いでも流れ出てしまう」ことをたとえに使った「バケツの穴理論」がある。広告で新規訪問者を増やしても、「使いにくい」「買いにくい」といったECサイトでは「カゴ落ち」が多発してしまうという事象である。

    新規訪問者だけではない。リピーターもECサイトの使い勝手が悪ければ再購入率が下がる。再訪問した見込み顧客にとっても商品が買いにくければ、離脱につながってしまう。

    Baymard Institute(ベイマード・インスティテュート)の調査によると、デスクトップおよびモバイルのECサイトの利用において、商品をカートに入れた消費者の70%は購入を完了できていないという結果が出ている。

    調査結果から消費者の55%が、配送料、消費税、または手数料などの高さを理由にカゴ落ちしているということがわかるが、注目したい点が全10項目のうち5つが決済に関するものであるということだ。

    出典は「モバイルファーストに最適な決済フローとは」(Amazon Payから委託され、ベイマード・インスティテュートが実施した調査レポート<2020年公開>)

    そこで、「カゴ落ち」を改善する1つの施策として提案したいのが決済プロセスの最適化。上述した9つのECシステムが共通して実装している決済手段「Amazon Pay」を説明しよう。

    「Amazon Pay」は、Amazonアカウントに登録された配送先住所やクレジットカード情報を使うことで、Amazon以外のECサイトで簡単に決済ができるID決済サービス。

    事業者が「Amazon Pay」を選ぶ理由
    事業者が「Amazon Pay」を選ぶ理由

    独自ドメインのECサイトでは、クレジットカード情報を入力することに不安や不便を感じる消費者が多く、特に新規顧客はそのハードルが高いと言われている。また、スマートフォンではクレジットカード番号の入力ミスなどにより、離脱してしまうケースも少なくない。

    「Amazon Pay」が実装されているECシステムを使っているECサイトが「Amazon Pay」を導入した場合、お客さまはAmazonアカウントを使うことで、配送先・クレジットカード情報の入力をすることなく、決済を行うことが可能になる。買い物カゴに商品を入れてから簡単に決済することができるため、お客さまの「独自ドメインのECサイトでの情報入力の不安」「情報入力のめんどくささ」「入力ミス」などの解消も期待できる

    日本で「Amazon Pay」の提供が開始されたのは2015年5月。それから5年で、導入企業は1万社を超えた。ジャンルを問わずさまざまなECサイトが「Amazon Pay」を決済手段として導入している。

    上述したECシステムはすでに「Amazon Pay」を実装済み。開発の必要はなく、簡単な設定を行えば、すぐに「Amazon Pay」を決済手段として提供できるようになる。

    通販・ECの準備、運営に役立つ助成・補助金制度

    通販・ECへの新規進出、強化のためのECシステムの新規導入、リプレイス、そして運用にはもちろんそれなりの投資が必要になる。

    中小企業のデジタル分野への投資について、政府では新たな助成金、補助金制度を設けようとしている。システムやECサイト運営に関する投資について、助成および補助を受けられるケースがあるので、その制度を紹介しておきたい。

    通販・EC、サブスクなど事業・業態転換を政府が支援する「中小企業等事業再構築促進事業」

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業に対する補助事業が「中小企業等事業再構築促進事業」

    新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、需要や売り上げの回復が難しい中、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するために中小企業などの事業再構築を支援する制度。新規事業分野への進出、業態転換、事業・業種転換、事業再編などを通じた事業再構築に意欲を有する中小企業の挑戦を支援する。

    中小企業等事業再構築促進事業について
    中小企業等事業再構築促進事業について(出典:中小企業庁ウェブサイト

    具体的には、

    • 小売店舗が衣服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で売り上げが減少したことを契機に店舗を縮小し、ネット販売事業やサブスクリプションサービス事業に業態を転換
    • レストラン経営をしていたところ、コロナの影響で客足が減り、売り上げが減少。店舗での営業を廃止し、オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応

    といった事業への転換、新規事業への進出などを想定している。

    中小企業等事業再構築促進事業について
    中小企業等事業再構築促進事業が想定する活用例(出典:中小企業庁ウェブサイト

    事業再構築補助金の対象要件

    主要要件として以下の要件をあげている。

    • 売り上げが減っている
      • 申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1-3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している
    • 事業再構築に取り組む
      • 事業再構築指針に沿った新聞や開拓、業態転換、事業・業種転換などを行う
    • 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
      • 事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定。補助金額が3000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンドなど)も参加して策定する。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構わない
      • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する

    事業再構築補助金の補助金額・補助率

    事業再構築補助金の対象要件
    補助金額・補助率について(出典:経済産業省ウェブサイト

    ※1. 中小企業(卒業枠)について
    400社限定。事業計画期間内に、①組織再編②新規設備投資③グローバル展開のいずれかにより、資本金または従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠

    ※2. 中堅企業(グローバルV字回復枠)について
    100社限定。以下の要件を全て満たす中堅企業向けの特別枠。①直前6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業であること、②補助事業終了後3~5年で、付加価値額または従業員1人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること、③グローバル展開を果たす事業であることの3要件を満たすことが条件

    中小企業等事業再構築促進事業について

    https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html
    ※公募はまだ始まっていません

    IT導入補助金の新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)

    IT導入や販路開拓支援などを行う中小企業生産性革命推進事業において、政府はポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換に向けた中小企業などの取り組みを支援する。

    2020年度第1次、第2次補正予算で設けられた新型コロナに対応するための特別枠の募集は12月で終了したが、その特別枠を改編した「低感染リスク型ビジネス枠」を新たに設けた

    IT導入補助金の新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)について
    IT導入補助金の新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)について(出典:中小機構のウェブサイト

    「低感染リスク型ビジネス枠」は、複数の業務プロセス(販売管理と労務など)を非対面化し、一層の生産性向上を図るITツールの導入を支援するというもの。

    IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者などを対象に、ITツール導入にかかる経費の一部を補助する制度。補助対象のツールは、あらかじめIT導入支援事業者が事務局に登録し、認定を受けたITツールの導入費に限られる。ソフトウェア、クラウド利用費、専門家経費などに加え、パソコン、タブレットなどの費用が対象になる。

    たとえば、「遠隔注文システム」「キャッシュレス決済システム」「会計管理システム」を同時導入することで、顧客と従業員間の業務の非対面化と効率化を実現することなどが対象になる。

    新たにECビジネスを始める事業者のITツール導入支援なども対象になるため、事業者はIT導入補助金の動向をチェックしておきたい。

    IT導入補助金の「低感染リスク型ビジネス枠」について

    → https://www.it-hojo.jp/
    ※詳細はまだ公表されていません
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    ネットショップ担当者フォーラム編集部
    ネットショップ担当者フォーラム編集部

    大企業だけじゃない! コロナ禍の今、中小企業や地方企業こそ越境ECを活用すべき理由 | 越境EC 3.0

    4 years 9ヶ月 ago
    日本製マスクの需要を捉えた「ナナンワールド」と、“日本ロス”消費に応える青森県の事例(連載第3回)

    コロナ禍でインバウンド需要が期待できない今、地方の企業や自治体からのお問合せが増えています。弊社が運営する越境ECサイト「Buyee」に出品する店舗も1.25倍に増加しました(2020年7~9月の前年比)。大手企業だけでなく、中小企業からもお申し込みいただき、最近だとでは老舗の酒造店や、国産のコットンブランドなどが新たに海外販売を開始しています。

    全国の中小企業や地方自治体が越境ECにチャレンジ中

    「越境ECに挑戦できるのは大手だけ」と考えている中小企業や地方企業のEC担当者の方は多いかもしれません。確かに、配送や決済など、すべてを自社で行おうとすれば難易度は高くなります。ですが、多様な越境ECのサポートサービスが存在する現在、越境ECへの挑戦は想像よりもずっとハードルの低いものになっています。

    たとえば、山口県産の新鮮な魚介類を販売する企業、山形のフルーツや畜産品、ビールなどの名産品を取り扱う企業など、日本全国の中小企業が越境ECにチャレンジしています。

    これまで「Buyee」へのお問い合わせは「海外からの問い合わせが増えてきたので越境ECに取り組みたい」という場合がほとんどでした。しかし、インバウンド需要が見込めない状況が続く中、「自社ECがあれば簡単に海外への販売窓口を広げられるなら、まずはテスト的に越境ECにチャレンジしたい」という企業が増加。さらに、地元企業の海外進出を支援していきたい地方自治体も増えています。今回はその事例を紹介します。

    「安心で安価な日本製マスクの需要」を捉えヒット
    ─ナナンワールドの事例

    イタリアブランドのベビー用品の輸入販売を手がけていた「ナナンワールド」さんは、イタリア本国から「マスクをする習慣のある日本製のものが欲しい」と言われたことがきっかけで、助産師と看護師が監修した高機能布マスク「KAWADA ナナンマスク」の販売にチャレンジしました。現在、公式オンラインショップ「KAWADA WORLD」を「Buyee」と連携することで、海外向け販売に挑戦しています。

    「Buyee」内のナナンマスク販売ページ

    「Buyee」内のナナンマスク販売ページ
    https://shop.buyee.jp/kawada-nananworld

    世界で流通しているマスクに日本製の商品は少なく、安価で安全な日本産マスクの高い需要を感じて、ナナンワールドさんはマスク販売開始から越境ECをスタートしました。

    「KAWADA ナナンマスク」の一例。高機能でデザイン性に優れたマスクは幅広い層に人気
    「KAWADA ナナンマスク」の一例。高機能でデザイン性に優れたマスクは幅広い層に人気

    需要に応えて越境ECに挑戦したとはいえ、海外販売はまったく未知の世界。当然不安もあったそうです。しかし、実際には海外向けにサイトをゼロから立ち上げるのではなく、日本の自社ECサイトと「Buyee」を連携する形で販売を開始したことで、申し込みから1か月弱で連携が完了し、ランニングコストも高くなく、導入ハードルは当初の予想よりも低いものでした。

    マスク自体の売り上げは、外出自粛の影響を受けたベビー用品の約3倍に上っています。越境ECでの売り上げはこれから積み上げていくところですが、越境ECを導入して海外の方に知ってもらえたことで、会社としての規模感や懐が大きくなった感触を得たそうです。今後さらに海外マーケットを獲得するべく、意欲的に取り組んでいます。

    ●ナナンワールドさんからのメッセージ

    越境ECのハードルは、想像しているよりも低く、始めようと思えばすぐに始めることができます。ただし、展開する商品によっては需要の違いがあるので、市場リサーチをしっかりする必要があります。

    弊社の場合は、もともと外国籍のスタッフがいたので、コミュニティでアプローチして「良いPR会社がないか?」「現地のマーケティングはどうなっているのか?」などをリサーチしました。各国で効果的なPR方法は異なりますが、越境ECや各国のマーケットに関する説明会はたくさんあるので、アメリカ、台湾、ヨーロッパなど、自社の商品の需要を探るために参加してみるといいと思います。

    越境ECに挑戦して、日本のマーケットの小ささを実感しました。日本ではヒットしなくても世界ではヒットする場合があるので、世界の動向を注視することが重要だと思います。国内向けサイトであっても、海外のお客様からアクセスやお問い合わせがあるかどうかでポテンシャルを判断できます。

    越境ECへの挑戦は中小企業にこそおすすめしたいです。日本製品がいかに海外から認められているかを知ることは、自国の盛り上げ、国内の工場の盛り上げ、スタッフの盛り上げにもつながります。コロナで大変なタイミングではありますが、日本という小さなマーケットだけでなく海外を見据えることで、新しく挑戦することが増え、社内に「チャレンジしていこう!」という前向きな風が吹いています

    観光客が多かった台湾にターゲットを絞り越境ECに挑戦
    ─青森県の事例

    続いて、地元産業の活性化やインバウンド需要の取り込みのため、越境ECに挑戦する地方自治体の事例を紹介します。コロナ禍によるインバウンドの減少が、地方自治体に与えた影響は非常に大きいものがあります。青森県が発表している月例観光統計によると、、2020年における圏内35か所の主要観光施設の入場者数は前年比55.5%、県内75か所の宿泊施設の宿泊者人数は、前年比65.7%に留まっています。

    この数字は宿泊施設や観光施設に限った数字なので、実際の影響はもっと大きいはずで、観光売上の落ち込みは明白です。青森県庁はインバウンド施策を積極的に行っており、効果が出ていただけに「観光客が来ない」という現状は痛手でした。青森県は特に台湾人観光客からの人気が高く、外国人観光客の44.2%が台湾からの観光客でした。

    グラフ 観光庁「訪日外国人消費動向調査 2019年年間値の推計 集計結果」
    観光庁「訪日外国人消費動向調査 2019年年間値の推計 集計結果」
    訪問地(都道府県47区分および地方運輸局等10区分)別 回答者属性の青森県の構成比を元にBEENOSが作成

    インバウンドの落ち込みだけでなく、国外での商談会の開催が困難なことも、地方自治体の事業者にとっては大きな痛手です。そこで2020年12月、青森県庁さんは「Buyee」内に台湾向けの県産品特設ページを開設しました。この特集ページでは商品を紹介するだけではなく、青森県の魅力も発信しています。

    「Buyee」内の青森県特集ページ
    https://media.buyee.jp/pr/special_recommended_aomori/cht/

    売り上げも好調で、りんごのお菓子やジュースや海産物の加工品、ガラス工芸品など、青森県を代表するような幅広い商品が売れています。中には数十個単位での購入もあり、青森県産品の台湾でのニーズの高さが伺えます。簡単に来日できない状況で「日本ロス」が起きている今だからこそ、チャネルを広げ、日本への関心を維持することが大事です。

    ●青森県庁さんからのメッセージ

    新型コロナ感染症の影響で、これまでのようなプロモーションが難しくなる中、Buyeeさんと連携し、BtoC向けに越境ECで県産品のテストマーケティングに取り組みました。これまでの量販店での販売やプロモーションとは異なり、購買データから購入者のペルソナが見えてきたり、クリックはされているのに購入されない商品があったりなど、課題が見えてきました

    日本の人口が減少し、マーケットが小さくなっていく中で、青森県が今後どうやって海外に県産品を発信し、輸出に挑戦していくのか、今回のケースを活かしていきたいと思っています。

    越境ECだからできること、わかること

    青森県の越境ECは台湾向けにスタートしましたが、アメリカ、香港、イギリス、シンガポール、バーレーンなど、結果として広い地域で商品が購入されています。中でもアメリカと香港のお客様が多く、購買層も20代〜60代と幅広いものの、20代〜30代がボリュームゾーンとなっており、若年層からの越境ECのニーズを感じられる結果となっています。

    訪日観光客によるインバウンド消費は、個人が実店舗で購入するので、「訪日観光客に何が売れているのか」など、詳細なデータを収集したり活用したりすることが困難です。しかし越境ECの場合、どこの国のどういった方が、何を購入したかをデータとして蓄積できるので、それを次の施策へ活用できます。

    また、輸出においても従来はバイヤーが購入していたため、その先の具体的な購買層を知ることが困難でした。越境ECの場合は個人が購入するため、その点の把握も可能です。「台湾以外のお客様からも購入をいただいている」という実態も、越境ECだからこそ把握できたと言えます。このようにデータを蓄積、活用できる点は、越境ECの大きな強みと言えるでしょう。

    青森県庁さんは今後の課題として、「クリックしても購入されていない商品をどうするか?」といったことをあげていらっしゃいますが、実店舗に置き換えると「手に取られているけど棚に戻されている商品」に気付くことはなかなか難しいのではないでしょうか。こうした課題を見付けられることも、越境ECならではのメリットだと言えます。

    「EC=グローバル」をスタンダードに

    ナナンワールドさんは、マスクを販売開始した当初から海外向けに販売することをめざしていました。青森県庁さんのコメントにもあるように、日本の人口が減少していく中で、海外に向けた発信力を持つこと、海外の購買層の開拓はますます「普通」のことになっていくはずです。

    BEENOSグループでは国内外のECをワンストップで支援するグローバルECプラットフォームを構築することをめざしています。来たるネクストスタンダードに向けて、事業規模の大小に関わらず、法務や配送、決済といった煩雑なことにわずらわされることなく「自社の商品を磨いて魅力をどう伝えていくのか?」という本質的なことに集中できる世界を作りたいと考えています。

    中小企業も地方自治体も独自の魅力的な商品を発信できます。越境ECに向いているロングテールの商品(定番の売れ筋商材に対して、販売数が少ないニッチな商材のこと)を持っているケースも多いと思います。日本の小さなマーケットでは需要がなくても、海外の広いマーケットに需要が見つかるかもしれません

    越境ECへの挑戦はさほどハードルが高くありません。SNSを活用して地元の、あるいは自社商品の魅力を海外に発信すると同時に、まずは自社のサイトを海外対応にすることから始めてみてはいかがでしょうか?

    ◇◇◇

    次回は「コロナ禍で変革を求められるエンタメ業界」についてお伝します。

    直井 聖太
    直井 聖太

    【SDGs調査】消費で重視するのは「値段」「品質」「機能」。「エシカル消費」重視の関連回答は3割未満

    4 years 9ヶ月 ago

    楽天インサイトがインターネットで実施した「SDGsに関する調査」によると、日々の買い物で「消費において重視する点」を聞いたところ、上位は「値段」(77.3%)、「品質」(66.3%)、「機能」(54.4%)だった。

    「生産地」(27.3%)、「環境に配慮していること」(17.6%)、「生産・運営している企業」(14.7%)、「生産者や生産過程がみえること」(12.4%)など、「エシカル消費」にあてはまる点を重視する回答は3割未満にとどまった。

    楽天インサイトがインターネットで実施した「SDGsに関する調査」 消費する際に重視するもの
    消費する際に重視するもの(n=1000:全員回答)

    「エシカル消費」として具体的に提示した行動について、経験の有無を聞いたところ「したことがない」と答えた人は27.5%。72.5%は何らかの経験があるという。

    「エシカル消費」の中で最も経験率が高かったのは「地産地消の商品を買う」(38.4%)。「在庫消費・賞味期限切れ(に近い)商品を買う」(28.3%)、「ふるさと納税で事業者を応援する」(24.5%)が続いた。

    楽天インサイトがインターネットで実施した「SDGsに関する調査」 「エシカル消費」でしたことがある行動
    「エシカル消費」でしたことがある行動(n=1,000:全員回答)

    「エシカル消費」の「行動をしたことがない」と答えた人に、その理由を聞いたところ最も多かった回答は「よくわからないから」(65.8%)だった。次いで「『エシカル消費』がどのようなものか知らなかったから」(18.5%)が多く、「エシカル消費」自体の認知、具体的な行動についての理解が十分に浸透していない様子が浮かび上がった。

    楽天インサイトがインターネットで実施した「SDGsに関する調査」 「エシカル消費」をしたことがない理由
    「エシカル消費」をしたことがない理由(n=275:経験なしと回答した人)

    サステナビリティに関連するキーワードの認知について、「SDGs」の認知計(「よく知っている」と「聞いたことがある」の合計数)は50.7%。提示したキーワードの中で最も認知度が高かったのは「ふるさと納税」(96.7%)だった。他は「気候変動」(86.0%)、「フードロス(食品ロス)」(85.0%)、「クリーンエネルギー」(83.0%)、「ジェンダー平等」(70.0%)、「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」(68.8%)の順で続き、いずれも「SDGs」より認知度が高かった。

    楽天インサイトがインターネットで実施した「SDGsに関する調査」 各言葉の認知率
    各言葉の認知率(n=1,000:全員回答)

    「SDGs」の17個の目標への関心を聞いたところ、関心度合いが最も高かった項目は「3. すべての人に健康と福祉を」(52.1%)。次いで「1. 貧困をなくそう」(50.3%)、「11. 住み続けられるまちづくりを」(47.9%)、「6. 安全な水とトイレを世界中に」(46.5%)、「4. 質の高い教育をみんなに」(46.0%)だった。

    楽天インサイトがインターネットで実施した「SDGsに関する調査」 「SDGs」17目標の中で興味・関心があるもの・実際に取り組もうと思うもの
    「SDGs」17目標の中で興味・関心があるもの・実際に取り組もうと思うもの(n=1,000:全員回答)

     

    調査概要

    • 調査エリア:全国
    • 調査対象者:20歳~69歳の男女(人口構成比)
    • 回収サンプル数:1000サンプル
    • 調査期間:2020年12月22~23日
    石居 岳
    石居 岳

    アマゾンが「置き配」拡充、マンションのオートロックを配送業者などが解除できる「Key for Business」を導入

    4 years 9ヶ月 ago

    アマゾンジャパンは2月25日、Amazonから委託を受けた配送業者や配送ドライバーが専用の配送アプリからマンションのオートロックを解除できる「Key for Business」の導入を始めた。

    マンションに住む注文者が不在でも、玄関などへの「置き配」をできるようにするシステムで、米国などで先行導入。マンションにおける荷物の受け取りの煩わしさを解消する。

    「Key for Business」はマンションのエントランスのドア、またはオートロックの装置と「Key for Business」デバイスを接続。配送ドライバーは専用の配送アプリから、オートロックを解除できるようになる。

    「Key for Business」を使った配送イメージ

    アマゾンジャパンはまず、国内で118万戸の賃貸建物を管理する大東建託パートナーズ、98万件以上にセキュリティソリューションを提供する綜合警備保障(ALSOK)などの企業と協力して導入を推進。順次、パートナー企業を拡大しながら「Key for Business」を全国展開する。本サービス開始時、200棟のマンションへの導入を予定している。

    導入するマンションに配送するAmazonの荷物を持ったドライバーが到着すると、ロックの解除ができるようになる仕組み。配送ドライバーがマンションに入館し、玄関への配達が完了するとロック解除の期限が切れる。それ以降は同じ日でもマンションに入館できなくなる。

    アマゾンジャパンが展開する「玄関等への置き配指定サービス」は現在、Amazonが発送するAmazonの荷物において標準の配送方法として30都道府県で展開。注文者が不在のオートロック付きのマンションでは、配送ドライバーはマンションに立ち入ることができず、玄関などへの置き配ができなかった。

    また、宅配ボックスが満杯で受け取れない、商品を宅配ボックスから部屋まで運ばなければならない、といった不便さもあったという。

    「Key for Business」はこうした課題を解決する1つの手段。再配達の減少にもつながり、配送ドライバーの負担軽減、二酸化炭素などの排出削減による環境負荷の軽減にも役立つと期待している。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    ネット通販の開始、飲食店のオンライン注文など新規事業や業態転換を支援する「事業再構築補助金」(補助額は最大1億円)を解説

    4 years 9ヶ月 ago
    「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」の補助額は100万円~1億円。新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編、またはこれらの取り組みを通じた規模拡大といった事業再構築に意欲のある中小企業などを支援する

    衣類販売業が衣料品のネット販売やサブスクリプション形式のサービス事業に業態を転換」「伝統工芸品製造が、百貨店などでの売り上げが激減、ECサイトでの販売をスタート」――。

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業に対する補助事業「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」の公募が間もなくスタートする。公募は3月にスタートし、2021年度中に4回程度の実施を予定。これまでに公表されている「事業再構築補助金」の概要を解説する。

    「事業再構築補助金」とは

    新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編、またはこれらの取り組みを通じた規模拡大といった事業再構築に意欲のある中小企業などを支援する事業。予算額は1兆1485億円

    対象は中小企業と中堅企業補助額は100万円~1億円。特に中堅企業へと成長する中小企業については補助上限を最大1億円に引き上げて支援を重点強化する。

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業に対する補助事業「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」
    「事業再構築補助金」の活用イメージ(経産省が発表した資料から編集部がキャプチャ)

    補助金額・補助率

    政府は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業の補助事業「中小企業等事業再構築促進事業」を始める
    補助金額と補助率について(経産省の資料からキャプチャ)
    ※1. 中小企業(卒業枠)について
    400社限定。計画期間内に、①組織再編②新規設備投資③グローバル展開――のいずれかにより、資本金または従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠
    ※2. 中堅企業(グローバルV字回復枠)について
    100社限定。以下の要件を全て満たす中堅企業向けの特別枠。①直前6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少している②事業終了後3~5年で、付加価値額または従業員1人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成する③グローバル展開を果たす事業である――の条件をすべて満たす中堅企業向けの特別枠

    中小企業の場合、補助率は2/3のため、少なくとも150万円以上の支出を行う事業計画である必要がある。

    原則、補助事業実施期間終了後(採択決定から1年程度経過後)に、事業者による支出経費の証憑を確認した後に支払いを行う。なお、一定の条件の下で概算払制度を設ける予定。

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業に対する補助事業「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」
    補助事業の流れ(経産省が発表した資料から編集部がキャプチャ)

    対象の範囲

    中小企業の範囲は中小企業基本法と同様。中堅企業は資本金10億円未満となる見込み(現在調整中)。

    • 製造業その他:資本金3億円以下の会社または従業員数300人以下の会社および個人
    • 卸売業:資本金1億円以下の会社または従業員数100人以下の会社および個人
    • 小売業:資本金5000万円以下の会社または従業員数50人以下の会社および個人
    • サービス業:資本金5000万円以下の会社または従業員数100人以下の会社および個人

    補助対象要件

    • 申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している
      ※コロナ以前の売上確認については確定申告書類、申請前の直近6か月の売上確認については売り上げが減った月の売上台帳などの提出を予定
    • 経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換などを行う。事業計画はを認定経営革新等支援機関と策定する
      ※「事業再構築指針」は公募スタート前に公表する予定
    • 補助金額が3000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンドなど)も参加して事業計画を策定する。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみでも可

    補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加の達成。付加価値額は、営業利益、人件費、減価償却費を足したものを指す。

    緊急事態宣言特別枠と通常枠の加点

    緊急事態宣言で深刻な影響を受け、早期の事業再構築が必要な中小企業などについては、「通常枠」で加点措置を実施。さらに「緊急事態宣言特別枠」を設け、補助率を引き上げる。また、「特別枠」で不採択となったとしても、加点の上、通常枠で再審査する。

    通常枠の申請要件(上述の補助対象要件)を満たすことが必要。緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛などが影響し、2021年1月から3月のいずれかの月の売上高が前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者が対象となる。

    要件に合致すれば、地域や業種は問わない。

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業に対する補助事業「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」
    緊急事態宣言特別枠と通常枠加点の対象について(経産省が発表した資料から編集部がキャプチャ)

    なお、「緊急事態宣言特別枠」には、採択件数に限りがある。ただ、不採択となった場合も、通常枠で再審査する方針。特別枠への応募者は、その他に比べて採択率が高くなる可能性が高いという。

    補助対象経費

    基本的に設備投資を支援する制度で、設備費のほか、建物の建設費、建物改修費、撤去費、システム購入費などが補助対象。新しい事業の開始に必要となる研修費、広告宣伝費・販売促進費も補助対象となる。

    補助対象の例

    建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計など)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展など)などが補助対象経費

    補助対象外の経費の例

    従業員の人件費、従業員の旅費、不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具など)の購入費、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業に対する補助事業「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」
    小売事業者の業態転換例(経産省が発表した資料から編集部がキャプチャ)

    事業計画の策定について

    補助金の審査は、事業計画を基に行う。合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要としている。

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業に対する補助事業「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」
    事業計画に含めるポイントの例(経産省が発表した資料から編集部がキャプチャ)

    事業計画は、認定経営革新等支援機関との相談を経て策定することを推奨。認定経営革新等支援機関には、事業実施段階でのアドバイスやフォローアップを期待しているという。

    準備していおきたいこと

    申請はjGrants(電子申請システム)を予定。「GビズIDプライムアカウント」が必要となる。「GビズIDプライムアカウント」の発行には2~3週間を要する場合があるため、事前のID取得を勧めている。

    また、事業計画の策定にについて、現在の企業の強み弱み分析、新しい事業の市場分析、優位性の確保に向けた課題設定、解決方法、実施体制、資金計画などの検討といった準備を勧めている。

    ◇◇◇
    事業再構築補助金の公開情報
    瀧川 正実
    瀧川 正実

    Shopifyの動きが激しすぎる! 今年(まだ2か月だけど)の動きをまとめました。【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

    4 years 9ヶ月 ago
    ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年2月22日〜28日のニュース
    ネッ担まとめ

    毎日のように記事を見かけるShopify。いまどうなっているのかわからないという人も多いと思いますので、今年に入ってからの動きなどをまとめました。

    Shopify事情まとめ

    EC業界の話題の中心になっているといっても良いShopify。2021年になったばかりですが動きが目まぐるしいので簡単にまとめておきます。流通総額を見るとますます存在感が出てきそうですね。

    Shopifyの規模(流通総額・売上高)

    2020年のShopify 成長率を発表|Shopify Japan株式会社のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000067.000034630.html

    まずは日本の動きです。

    • 流通総額(GMV)は2019年比323%増。成長率は他国に比べても高い
    • 新規出店数は前年比228%増。他のマーケットの中でも上位

    流通総額323%増となっていて世界でも伸び率は高いものとなっています。このまとめでも取り上げた益子陶器市も注目の加盟店として取り上げられています。では世界ではどうなっているでしょうか?

    Shopify、2020年売上高は驚異の「86%増」。ECシェアは米国2位“巨人”アマゾンの4分の1規模に | Business Insider Japan
    https://www.businessinsider.jp/post-229914

    • 2020年のEC(小売り)売上高シェアは、アマゾン(39.0%)に続く2位で「8.6%」
    • 2020年通期の売上高は29億2950万ドル(約3080億円)、前年比「86%増」
    • 2020年通期の流通取引総額は前年比「96%増」の1196億ドル(約12兆5600億円)

    楽天の2020年通期の国内流通総額が4.5兆円なのでグローバルでは3倍ぐらいの規模になっています。ECの売上高シェアでもAmazonの4分の1ほどとなっていて、まさにAmazonキラーですね。この勢いはなかなか日本では実感しづらいですが、これからも伸びるでしょうからちゃんと覚えておきましょう。

    日本向けアプリも続々とリリース

    日本向け初のShopifyアプリ「定期購買」 を提供開始|株式会社フィードフォースのプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000071307.html

    Shopifyでサブスク!日本向けカスタムアプリ「Go SubscRide」を開発導入開始|株式会社GO RIDEのプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000074422.html

    Shopifyは越境EC物流に強い|海外発送時に使えるアプリや越境EC物流のポイントをご紹介 | OPENLOGI
    https://service.openlogi.com/openlogi_mag/shopify-overseas-shipping/

    TikTokでShopifyストアの認知度を高めよう ? お知らせ
    https://www.shopify.jp/blog/tiktok-shopify

    Shopifyアプリ「アフィリエイト連携」がインタースペースと提携 | ECzine
    https://eczine.jp/news/detail/8854

    Shopifyの特徴と言える他のサービスとの連携やアプリでは、どうしても日本の商習慣に合わない部分があって使いづらかったものもありましたが、日本向けのものがリリースされてきました。目に付いたものだけをまとめておきました。これ以外にもShopify POSなど決済回りもサービスが増えています。

    逆にサービスがありすぎてわからない状況にもなりつつあるので、どこかで「Shopifyで入れておくべきアプリ20選!」みたいな記事が出てくると思われます。

    制作会社も増えていますがカスタマイズしすぎは要注意

    Shopify構築でお客様によく聞かれること【前半】|Kannart
    https://note.kannart.co.jp/n/n5e13ab209a96

    Shopify構築でお客様によく聞かれること【後半】|Kannart
    https://note.kannart.co.jp/n/nf1a2e7c31924

    Shopifyで飲食店のテイクアウト・デリバリーサイトを作る手順を完全公開|いがた|note
    https://note.com/phiitakes/n/n19a32a34f10d

    ShopifyでBtoB向け卸売販売サイト構築の注意点、利用したい機能についてご紹介。 | ART TRADING
    https://art-trading.co.jp/column/shopify-wholesale/

    Shopifyテーマのカスタマイズについて 基本的な話 ~ マニアックな話【Shopify エキスパート2社対談 】|ECのミカタ
    https://ecnomikata.com/column/29291/

    Shopifyはカスタマイズができるのも特徴です。それに関する記事もたくさん出ています。構築に慣れた制作会社も増えてきていますので、予算に余裕がある場合は先に確認しておくといいですね。Shopifyは細かいところでイラっとする部分がありますが、やりすぎると柔軟性を失いますのである程度はShopifyに合わせることも考えていきましょう。

    Shopify Japanに怒られた話 (Shopifyパートナーの規約違反について) | Qiita
    https://qiita.com/renesisu727/items/453799a221946226ce29

    Shopifyパートナーの制作会社さんを選ぶときはこのあたりを知っているのかも確認しておきましょう。

    API、ヘッドレスコマースの記事も押さえておきましょう

    Shopifyストアと外部のデータを連携するには? -各種データをShopifyのAPIで連携する方法 | Storehero
    https://storehero.io/ja/shopify/shopify-api-integration/

    ECサイト構築のShopify(ショッピファイ)の代表的なAPIについて解説 | HXD BLOGS
    https://www.xdata.jp/blogs/ec-2/shopify_api_20210224.html

    Shopify API の非推奨ポリシー:2021-01版 | Shopify
    https://www.shopify.jp/blog/partner-api-deprecation-update-2021-01

    Shopify&Gatsbyのヘッドレスコマース実装で躓いたこと | non-standard world株式会社
    https://www.non-standardworld.co.jp/24582

    APIやヘッドレスコマースなどエンジニア寄りの記事もたくさんあります。このあたりの開発系の記事が多く出てくるということは、知見も溜まってくることになりますので、全体のスキルの底上げにもなります。このあたりの動きはWordPressが広がった時に似ていますね。

    Shopifyが売ってくれるわけではないので販促とシステム周りは入念に

    Shopifyでストア構築 オープン初日の売上ゼロを回避するSNS活用とコンテンツ発信のコツを伝授 | ECzine
    https://eczine.jp/article/detail/8642

    業務改革のきっかけを生むShopify エース北山さんがアウトレットEC構築で得た変化と発見を語る | ECzine
    https://eczine.jp/article/detail/8697

    Shopifyを入れると売れるイメージがありますがそんなことはありません。アプリを入れたりカスタマイズをしていても肝心の売上が伸びないと意味がありませんし、基幹系のシステムとうまくかみ合わないのもよくありません。作る前に販促の計画であったり他のシステムとの連携をじっくり考えておきましょう。

    おまけ:「ショップを売る」も可

    ストアを一時停止または閉鎖する|Shopify ヘルプセンター
    https://help.shopify.com/ja/manual/your-account/pause-close-store

    残念ながら売上が伸びなかったときに一時停止や閉鎖する方法もヘルプにまとめられています。反対に売れてしまって手が回らないとなったらShopifyの「Exchangeマーケットプレイス」で販売することもできます。日本での事例があるかはわかりませんが、選択肢の1つとして頭に入れておいても良いでしょう。

    ここで取り上げた記事はほんの一部で、詳しく調べればもっと記事が出てくるぐらいShopifyの記事は多いです。調べているだけでお腹いっぱいになりすし、他の選択肢が視野に入ってこなくなるかもしれませんが、 規模が小さければBASEなどでいいでしょうし、サポートが必要なら国産のASPが安心。他のシステムと複雑に連携するのであればパッケージが良いですよね。上にも書いたようにShopifyが売ってくれるわけではないので、あくまで自分たちの事業に合うのか合わないのか、という判断をしてほしいと思います。

    EC全般

    消費者庁、『コロナの予防効果』標ぼうする42商品の表示に改善要請 一般消費者への注意喚起も | 日本ネット経済新聞
    https://netkeizai.com/articles/detail/3082

    その「空間除菌」グッズ、本当に効果はありますか? コロナ禍で宣伝を強める商品に物申す | BussFeed
    https://www.buzzfeed.com/jp/yasumimorito/cleverin

    世間の流れに合わせて悪徳手法も変化します。怪しそうなものはよ~く考えてから。

    「PayPayモール」で商品画像“シンプル化”のルール。「テキスト要素20%以内」「枠線なし」「写真背景か単色白背景のみ」など | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8470

    商品画像はデータフィードとも絡んできます。単色白ならモールやGoogleの無料商品リスティングにも対応できます。

    月商1000万円未満/1000万円以上のそれぞれのWeb担当者に聞いた! 「出店しているモールの出店基準や満足度は?」パート2 | Webly
    https://www.ecmarketing.co.jp/contents/archives/1172

    月商1000万未満は楽天と自社EC、1000万以上は自社ECに満足しているという結果。

    機内食の売り上げ、1億円突破 全日空、ネット通販で提供 | 共同通信
    https://this.kiji.is/737241630812160000

    「飛行機の中でしか食べられない」という希少性があるからでしょうか。

    EC-CUBE、クラウド版ECプラットフォームに新プラン ソースコードによるカスタマイズが可能に | ECzine
    https://eczine.jp/news/detail/8879

    ヤマトB2や佐川e飛伝対応などは今後対応なので、まだ早いかも。

    今週の名言

    活動の趣旨に賛同して、古本を提供してくれる人たちも気持ちがいいし、ボランティアも楽しいし、お客さんも楽しみにしてくれている。楽しく、よいことをするというサイクルがうまく回転している
    ─神戸学生青年センター 理事長 飛田雄一氏

    「返済不要で8000万円超を支給」24年続いている"神戸の古本市"にある人のぬくもり ボランティア500人が活動支える | PRESIDENT Online
    https://president.jp/articles/-/43418

    先週に引き続き好循環の名言。D2CでSNSを使ってファンが増えるのも同じ理由です。

    森野 誠之
    森野 誠之

    「楽天市場」の商品検索画面に広告を出稿できるメーカー向け運用型広告プロダクトに、リターゲティング広告の配信メニューを追加

    4 years 9ヶ月 ago

    楽天は2月24日、「楽天市場」の商品検索結果画面に運用型広告を配信できるメーカー向け広告プロダクト「RMP-Sales Expansion」において、各広告媒体へのリターゲティング広告の配信が可能となる新メニュー「RMP-Sales Expansion Advance」の提供を開始した。

    「RMP-Sales Expansion Advance」は、「楽天市場」の商品検索結果画面に運用型広告を配信できる「RMP-Sales Expansion」の機能と、各広告媒体に配信するリターゲティング広告を組み合わせて活用することができる。

    楽天は2月24日、「楽天市場」の商品検索結果画面に運用型広告を配信できるメーカー向け広告プロダクト「RMP-Sales Expansion」において、各広告媒体へのリターゲティング広告の配信が可能となる新メニュー「RMP-Sales Expansion Advance」の提供を開始
    「RMP-Sales Expansion Advance」について(画像は楽天が公開した広告資料からキャプチャ)

    「RMP-Sales Expansion」によって検索結果に広告を表示した後、表示された広告をクリックしたものの商品を購入しなかったユーザー層を含むターゲットに対して、独自のプラットフォームを用いて「楽天市場」以外の外部メディアなどの広告枠でリターゲティング広告を配信することができるようになる。

    メーカー企業は、「楽天市場」の集客力を活用して見込み顧客に訴求する同時に、商品に関心を持った顕在顧客へ効果的に再アプローチすることが可能となる。

    「RMP-Sales Expansion」は「楽天市場」に出店していないメーカーでも出稿できる運用型広告プロダクト。メーカー企業が、「楽天市場」の出店店舗において販売される自社商品の広告を出稿することで、その商品と関連性が高いキーワードの「楽天市場」の商品検索結果に広告を表示できるプロダクト。すでに多くのメーカー企業が導入し、特に日用雑貨、ファッション、ペットなどのメーカーからの出稿が好調という。

    楽天は「楽天市場」の商品検索結果画面に運用型広告を配信できるメーカー向け広告プロダクト「RMP-Sales Expansion」の提供を開始
    「RMP-Sales Expansion」の掲載枠(画像は楽天が公開した広告資料からキャプチャ)

    広告主となる各メーカーは、「楽天市場」出店者が販売している自社商品の広告を、商品と関連性の高いキーワードの検索結果に出稿、表示することができる。

    楽天は「楽天市場」の商品検索結果画面に運用型広告を配信できるメーカー向け広告プロダクト「RMP-Sales Expansion」の提供を開始
    「RMP-Sales Expansion」の仕組み(画像は楽天が公開した広告資料からキャプチャ)
    石居 岳
    石居 岳

    越境ECサービス「Buyee(バイイー)」が新配送サービスを導入。北米への配送料が最大76%オフ

    4 years 9ヶ月 ago

    BEENOSが運営する越境ECの代理購入サービス「Buyee(バイイー)」は、2021年2月からアメリカ、カナダ、メキシコ向けの新配送サービスを導入した。サービス導入により、従来より国際配送料金が平均で約59%、最大約76%下がったという。

    「Buyee」におけるアメリカでの流通が拡大

    「Buyee」の2021年第一四半期(2020年10月1日~12月31日)の流通総額は前年同期比49.7%増加で、過去最高を記録した。特にアメリカからの注文および落札金額が増え、前年同期比90.4%増加、アメリカのユニークユーザー数も90.8%増加したという。

    需要拡大における物流量の増加により、新配送サービスにおいて国際配送料値下げが実現した。

    BEENOS Buyee バイイー 越境ECサービス 国際配送料値下げ
    「Buyee」のアメリカ、カナダ、メキシコへの新配送料金と従来料金の比較(画像は「BEENOS」サイトからキャプチャ)

    「Buyee」とは

    「Yahoo!ショッピング」「楽天」「ZOZOTOWN」「ヤフオク!」など、日本の通販商品・オークションの代理購入・代理入札を行うサービス。主に日本国外に居住するユーザーを対象としており、ユーザーの代わりに日本の商品を購入し、配送を行う。

    BEENOS Buyee バイイー 越境ECサービス
    「Buyee」の特徴と利用の流れ(画像は「Buyee」サイトからキャプチャ)
    藤田遥
    藤田遥

    世界の潮流から見るデジタル活用。「What(何ができるか)」から「How(どのように)」へ | 顧客時間が見たCES & NRFレポート2021

    4 years 9ヶ月 ago
    世界最大のテクノロジー展示会「CES」、全米小売業協会(NRF)主催のリテール展示会から見えた、小売り・EC事業者が押さえておくべきポイントとは? 顧客時間の共同CEOで取締役の奥谷孝司氏が解説

    新型コロナウイルス感染症拡大によって、グローバルで企業のデジタル活用の在り方が変わった。世界最大のテクノロジー展示会「CES」、全米小売業協会(NRF)主催のリテール展示会「NRF Retail's Big Show」から見えてきた小売業などのデジタル活用、新しい時代への対応ポイントなどを解説する。

    「今こそデジタル活用に本気で取り組む」。企業が見せた姿勢

    まず、私なりのCESとNRFの全体感をキーワードとキーメッセージでまとめておきたい。

    CESは常に「2−3年後の未来」について語ってきた印象がある。2021年について私は、登壇している企業のメッセージを通して「今こそデジタルの本格活用に、本気で取り組む」という強い企業姿勢を感じた。私はこのことを、「WhatからHow」への転換と表現したい。

    「What Digital Can Do(デジタルで何ができるか)」から、「How Digital Can be Used(デジタルをどのように活用できるか)」の時代へ。つまり、今まで漠然とデジタルが実現する素晴らしい未来を、他人事のように捉えていた我々も企業も、このコロナ禍で何(What)ができるかを悠長に考えている場合ではなくなった

    CESでは、いかに(How)デジタルを活用して、よりより未来を創っていくかという具体的なアクションを提示している企業に注目が集まったように思う。

    これからの我々の生活は、さらなるスピードでデジタル化が進んでいくことだろう。2021年のCESの「Key Trends」にある「デジタルヘルス」「ドローン&ロボティックス」「スマートシティ」「ビークルテクノロジー」の実現には、「5G」と「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が不可欠である。

    グローバルでは、すでに多くの企業がデジタルをいかに(How)活用し、お客さまの生活を支えていくか、新しい未来を創っていくかに企業活動をシフトしていることを忘れてはならない。

    Consumer Technology Association (CTA)が発表したCES6つのトレンド
    Consumer Technology Association (CTA)が発表した6つのトレンド「デジタルヘルス」「ドローン&ロボティックス」「スマートシティ」「ビークルテクノロジー」「5G」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」(画像:「CES 2021 Tech-Trends Briefing」よりキャプチャ)

    小売業の明暗を分けたオムニチャネルへの対策

    次にNRFについて。オムニチャネルリティリングを基本としたResilience(回復力)の重要性が多く語られていた。NRFのセッションに登壇している企業は“勝ち組”が多い。世界最大のスーパーマーケットチェーン「Walmart」を筆頭に、Stay Homeにより需要が伸びたスポーツ用品店、ホームセンター、家電量販店、一部のD2C企業といったカテゴリ、健康関連業種の登壇が目立った。

    NRFで紹介された2021年の傾向について
    NRFで紹介された2021年の傾向について(画像:動画よりキャプチャ)

    彼らの成功要因としてあげられるのがオムニチャネル対策。ECサイトで注文した商品を店舗の駐車場で受け取る「Curbside Pick Up(カーブサイドピックアップ/車中受け取り)」は、どのセッションでも触れられたバズワードだった。

    「カーブサイドピックアップ」に注目が集まる理由は、コロナ禍で生き残りを賭けた小売業が店舗の役割や意味の再考、従業員の健康や安全の確保、そして新しい接客や体験提供方法を探り、挑戦を続けているからであろう。

    「Walmart」の「Curbside Pick Up」に関するイメージ動画

    リアルを中心とした小売業は、ビフォーコロナの時代のようなやり方では生き残れない。生き残るために、デジタル化はマストになってきているのだ。デジタルの武器を活用した生き残り戦略の実践なくして、企業、ブランドとしてのResilience(回復力)はない。NRFにおいてもデジタルを活用した「How」に注目が集まるのは当然とも言えるだろう。

    小売り業のResilience(回復力)について紹介されているもよう
    小売り業のResilience(回復力)について紹介されているもよう(画像:動画からキャプチャ)

    デジタルテクノロジーによる「プロダクト時代」の再来

    私が注目したCESのセッションを紹介したい。ソニーの新製品群、ベライゾン・ワイヤレスの5Gがもたらす世界、ゼネラルモーターズ(GM)の電気自動車への挑戦は、我々に新しい体験を提供するだろう。そして、これらを2021年は彼らが本気で提供しようとしてきている。これらのトレンドを見ていて、大変示唆に富んだ1つのセッションがあった。

    ソニーがCESで配信したPlayStationに関する動画

    そのタイトルは「Consumer Adoption of New Hardware」(消費者による新しいハードウェアの受容)。このセッションの中で、CESを主宰するCTA(Consumer Technology Association)のリック・コワルスキ氏は「新しいハードウェアの受容行動に必要な5つのポイントがある」と話した。

    CESセッションに登壇したCTAのリック・コワルスキ氏
    セッションに登壇したCTAのリック・コワルスキ氏(画像:動画よりキャプチャ)

    1. 既存のプラットフォームとの融合

    既存プラットフォームとの融合(Integration with existing platform)である。これからの我々の生活には、どんどんIoTデバイスが導入されていくだろう。しかし、多くの人にとっては見たこともない、触ったこともないテクノロジーをいきなり受け入れることは難しい。そのことを考えると、現存システムとの緩やかな融合が、これからのデジタル化されたハードウェアにおいて大切となる。

    たとえば、すでに人々が受け入れているテクノロジーとして、スマートフォンやSNSがあげられる。このようなプラットフォームと新しい製品の融合は不可欠だろう。

    2. ユーザーインターフェース(UI)の重要性

    次はUIの重要性だ。今でもモバイルアプリ開発やサイト改善において重視されるポイントであるが、「いかにお客さまが使いやすい製品・サービスになっているか」を常に確認しておくことは、これからの新しいハードウェア(電気自動車やスマートミラーなど)において必要不可欠な機能と言える。

    3. 個人データの安心・安全な保護

    3つ目は信頼(Trust)。この信頼が意味することは「個人データの安心・安全な保護を指す」とリック・コワルスキ氏は解説している。企業にとって、IoT化された商品は多くの顧客情報を得ることができる重要なタッチポイントである。この点は2021年のCESにおいて、特にヘルステック領域のセッションでも多くの時間を割いて議論されていた。

    せっかくお客さまが受け入れ、利用し始めた商品から個人情報が漏れ出すことや、意図しない方法で企業内、企業間で利活用されるようなことはあってはならない。同意のもとに正しく利活用することを、私が代表を務める顧客時間では「お客さまにデータを返す」と表現している。

    個人情報の保護なくして、2020年以降の顧客による新技術の受容はあり得ない。データからわかったことをお客さまへの提案として正しく返すことがデータの利活用はもちろん、製品体験において欠かせない。信頼を生み出すためのデータ活用と体験設計が求められる時代が来ている

    CES内のセッション「Consumer Adoption of New Hardware」(消費者による新しいハードウェアの受容)のもよう
    Consumer Adoption of New Hardware」(消費者による新しいハードウェアの受容)のもよう(画像:動画よりキャプチャ)

    4. コミュニティの重要性

    4つ目はコミュニティ(Community)の重要性。これはユーザー間のコミュニケーション、企業との常態的交流を意味する。コロナ禍でさらに躍進したIoT型フィットネスバイクの「Peloton」も、ユーザー間の関係性構築や、カリスマトレーナーとの交流を推進している。この流れは、良い意味でユーザー間の口コミが促進されやすい環境を作り、いつでも企業と対話できる状態の担保が顧客とつながれる時代に必要であることを示している。

    「Peloton」のイメージ動画

    この要素はさらにD2Cビジネスにおいても重要になる。お客さまとデジタルでつながり、お客さま同士が自然とデジタルでつながれる環境、開かれたプラットフォームであることを明示することが企業姿勢としても大切だ。

    5. 生活への新しい価値提供

    最後に重要な点は、お客さまの生活に新しい価値を提供する(Adding Value to Consumer Lifestyle)という、ビジネスの基本に立ち返るような内容だ。

    この重要性はいつの時代も変わらないのかもしれない。当社(顧客時間)では「Engagement Value(お客さまが企業とつながり続ける価値)」と呼んでいるが、わざわざ新しいテクノロジーを受け入れてくれる顧客に対して、根源的な提供価値に加えて新しい価値の提供がなければ、そのビジネスモデルは2020年代においてはすでに危ういものと言える。

    新しい技術を正しい方法で利活用すること。そして、その技術を通して人々の生活課題を解決すること。新しい生活価値をもたらさない企業は、今後消費者から見放される。その様な企業に、わざわざ高いお金も個人情報も渡したくはない。これらの点を踏まえて、いかに新しいハードウェアを消費者に提供するかがこれから重要になってくる。

    これから我々は生活面で、スマートミラーや、スマートウオッチ、ペット型ロボットの「LOVOT」や無人配送ロボット、フィットネスバイク「Peloton」などの、IoT化された製品(ハードウェア)と対峙する機会が増えていく。CESに登壇している企業はそこに本気で取り組んでくる。だからこそこのような製品を我々はどのように受け入れ、活用していくのかを理解することは、大変重要なビジネス課題となってくる。

    「LOVOT」のイメージ動画(LOVOT EdTechプロジェクト)

    「デザインの重要性」が見直される時代へ

    人々は継続して新しい技術を受容し続けている。そんな状況下、2021年のCESで改めて「新しい製品」「ハードウェア」に注目が集まるのは、ロボティックスやIoTといった“いつか来る未来”として捉えられてきたものが、コロナ禍によってますます現実味を増してきたからだろう

    そして、個人的にはこれらの商品・サービスに対して「デザイン」が再び重要になってくると思っている。

    これまでの課題解決はスマートフォンが中心。荒っぽく言えば、2010年頃から「小さな四角い物体の中に詰め込まれたソフトウエア」が重要な時代が続いてきたように思う。

    Withコロナ時代においては、それらの商品にはデザインも重要な要素となってくるだろう。プロダクトデザインの時代が再び現れそうな気がしてならない。今後のハードウェア開発は、お客さまの受容行動理解と、それを支えるデザインにも注目していくことで次の未来が見えてくるのではないだろうか。

    次回は、NRFについての考察を紹介する。

    奥谷孝司
    奥谷孝司

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    4 years 9ヶ月 ago
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    クラッシィの見崎以知郎代表取締役社長(撮影:吉田浩章)
    クラッシィの見崎以知郎代表取締役社長(撮影:吉田浩章)

    EC専業ベンダーではないからこその柔軟な対応

    開発支援を手がけたNSWは、いわゆるEC専業ベンダーではない。しかし専業ではないからこそ、複雑なカスタマイズ要件にも柔軟できたと、Klassyを運営するクラッシィの見崎以知郎代表取締役社長はNSWの実力を評価する。

    在庫管理や会計データなど周辺システムとの連携も含め、開発における自由度が高く、また事業に合わせてカスタマイズ対応してもらえる点が良かった(見崎氏)

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    ネットショップ担当者フォーラム編集部
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    4 分 10 秒 ago
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