ネットショップ担当者フォーラム

美容の「DX」どう進める? 先進事例の花王に見る、DX推進の出発点が「UX」になる理由 | パーフェクト ブログ 〜美容×DXの最新トレンドを紹介〜

4 years 11ヶ月 ago
美容業界のDX推進を支援するパーフェクト日本法人・磯崎順信代表取締役が、花王の事例からDX推進のポイントを解説

小売業における「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は待ったなしの状況です。美容業界も同様ですが、DXを推進するためのソリューション導入で、「すぐにEC売上が伸びる」「実店舗の売上減を補填できる」と期待する企業は少なくありません。重要なのは、DXは魔法の杖ではないと認識すること。デジタル活用で、どのようにブランドが持っている資産を生かしユーザーに還元できるか――。まずは「ユーザー体験(UX)」に目を向け、そこから具体的なアクションを考えることが出発点になります。こうしたポイントを花王の事例から解説していきます。

「何ができるか」すぐに伝わるサービスは、利用されやすい

コロナ禍になり、デジタル化を推進する美容関連企業の間で、バーチャルメイクソリューションを導入検討いただくまでの意思決定スピードが明らかに早まりました。日本の美容業界においてもDXの波が来ていることを実感しています。

ただ、最新のテクノロジーを導入すればいいというわけではありません。ユーザー体験が良くなければ、いくら最新のテクノロジーを活用しても、それは消費者にとって使い勝手の良いサービスとはいえないからです。DXはあくまで手段であり、目的は「UXを向上させること」にあります。

私が日本法人の代表を務めるパーフェクトでは、Webサイト向け、スマホアプリ向け、実店舗向けなど、ブランドのニーズや目的に合わせ、バーチャルメイクやバーチャルヘアカラー、AI肌診断などのさまざまなソリューションを提供しています。その中で、実際に導入を進める各社で共通しているのは、消費者に「それで何ができるのか」がすぐに伝わるサービスは利用され、消費者の頭の中に「?」がたくさんできるものは使われないということです。

パーフェクト社のバーチャルメイクソリューション活用のようす
バーチャルメイクソリューション活用のようす(画像:パーフェクト提供)

「SOFINA iP」、複数タッチポイントでエンゲージメント向上

花王の人気スキンケアブランド「SOFINA iP」が2019年9月にリリースした「肌id」は、Webサイト、店頭QR、LINEなど、いろいろなタッチポイントを用意したことで、消費者のエンゲージメントが向上した好例です。

花王が提供する肌診断サービス「肌id」
花王が提供する肌解析サービス「肌id」(画像:パーフェクト提供)

このサービスは、当社の肌チェック機能を搭載した「SOFINA iP」のWebサイト上で、消費者が自身のスマホで顔写真を撮影すると、すぐに肌状態が解析され、結果に応じて最適な商品を提案されるというものです。さらにLINEアプリと連携しているので、「SOFINA iP」のLINE公式アカウントと友だちになると、繰り返し肌解析しログを残せたり、定期的に美容情報を受信したりすることができます。

ドラッグストアなどの店頭にもQRコードを設置しているので、新規の消費者でも、その場でQRコードを読み取って自分の肌状態を知ってから、最適な商品のレコメンドを受けられます。

AR利用でサイト滞在時間約2倍に

また、花王の白髪用ヘアカラーシリーズ「ブローネLumiést(ルミエスト)」でも、AR技術を活用したユニークなアプローチでエンゲージメントを高めています。花王は、2020年10月3日の発売に先立ち、当社のARヘアカラーシミュレーション技術を導入した「髪色シミュレーション」搭載のブランドサイトをオープンしました。

花王の白髪用ヘアカラーシリーズ 「ブローネLumiést(ルミエスト)」が提供している髪色シミュレーション
花王の白髪用ヘアカラーシリーズ 「ブローネLumiést(ルミエスト)」が提供している髪色シミュレーション(画像:パーフェクト提供)

”明るい髪色”にこだわったラインである「ブローネルミエスト」は、「明るい髪色を楽しみながら白髪染めをする」という提案をしています。このメッセージを発信するために、ARによる髪色シミュレーションを導入しました。

ヘアカラーを購入される消費者の多くは、店頭の毛束プッシュインを参考にしてはいるものの、人気の色や、明るすぎず暗すぎない真ん中の色を選ばれるそうです。しかし、すべての色味をチェックしたいというニーズも当然あります。

色選びやコロナ禍における非接触ニーズなど、消費者へのメリットを提供するため、花王はARによる色選びを選択しました。消費者もARであれば負担無く、楽しみながら新しいカラーにチャレンジできます。また毛束プッシュインの廃止につながり、プラスチックゴミを削減できるなど、企業側のメリットもあります。さらに、商品が出るたびに毛束プッシュインの準備をしなければならない売り場の負担も軽減すると考えられます。

従来花王が店頭で利用してきた「毛束プッシュイン」
従来店頭で利用してきた「毛束プッシュイン」(画像:パーフェクト提供)

2020年11月1日週から地上波のテレビCMを放映しましたが、そこでもARヘアカラーシミュレーションを訴求しました。その結果、サイト内平均滞在時間が導入以前に比べて約2倍(約3分から約6分)、さらには、1週間あたりのARシミュレーショントライ数が100万回を超えました。これは一般的なメイクブランドのトライ数の20倍に相当する値です。

DX推進において、UXを中心に据えることがいかに重要性はこうした結果からもわかるでしょう。

花王の白髪用ヘアカラーシリーズ 「ブローネLumiést(ルミエスト)」のテレビCM

状況によって異なる「最善のUX」。消費者目線で考える

バーチャルメイクは遊び心があるサービスなので楽しめる一方、その様子を他の消費者から見られたくないと思う方もいるかもしれません。そうした消費者にとっては、バーチャルメイクを体験できるタブレット端末が店内の目立つ位置に置かれていたら、「試したい」という気持ちよりも「恥ずかしい」気持ちが強くなり、試すことへの心理的ハードルが高くなります。

プロモーションイベント会場では、タブレットを目立たせる装飾が効果的な一方、実店舗では設置方法もユーザー目線に立ち、物理的にも心理的にもハードルを下げる環境構築が消費者エンゲージメントを高めるキーとなります。タッチポイントやシチュエーションによって最善のUXは異なりますし、履き違えると残念な結果となってしまいます。

パーフェクトが提供する実店舗向けのバーチャルメイクソリューション

バーチャルメイクは、数十秒で何十色も試せるので、消費者は日頃試したことのないカラーやテクスチャー、ブランドを使うことができます。こうした新たな商品との出合いが、結果的に本商品購入へとつながりますが、消費者に「恥ずかしそうで使いたくない」と思われてしまっては意味がありません。

長期的に繰り返しエンゲージを維持するUXは、派手である必要はなく、「便利!」「助かる!」「楽!」という言葉で形容されるようなことです。このようなUXが、“本当に強い体験”になれるのです。

特に今はコロナ禍で、「安心・安全」のために非接触型のバーチャルメイクを利用したいと考える消費者もいるはずです。こうした消費者のニーズを捉え、企業・消費者双方にとってメリットの大きいサービスを提供するために、何が最適解なのか。ぜひ「UX」に着目しながら、DX推進を検討いただけたらと思います。

バーチャルメイクを使ったカウンセリング、実店舗の客単価を1万5,000円上回る

最後に、コロナ禍ならではのUXについて考えてみます。消費者は買い物を楽しみたいと思っている一方、まだお店に行くこと自体怖いと思っている方も大勢います。しかしECで購入したいと思っても、化粧品の場合、その色味が本当に自分に合っているのかは、実際に試してみないことにはなかなかわかりません。

パーフェクトが提供する1対1のカウンセリング型サービス

上記の動画で紹介しているのは、美容部員と消費者がスマホ越しに対話をする1対1のカウンセリング型サービスにバーチャルメイク機能を搭載したものです。消費者の肌色や好みに応じて美容部員が化粧品を提案し、遠隔操作で消費者の顔面にバーチャルメイクを施し、EC購入を促進するというサービスになります。

実際にこのサービスを利用している国内の化粧品ブランドのなかには、消費者の平均購入単価が、実店舗を1万5000円上回るところもあります。まるで実店舗で美容部員と話しているような丁寧なカウンセリングを受けながら、実店舗よりも多くの色味を試せるので、消費者にとっても発見があり、アップセル・クロスセルにつながっているのではないかと考えています。

◇   ◇   ◇

パーフェクトは、顔認証技術、AI(人工知能)、AR(拡張現実)を活用したバーチャルメイクアップ技術を開発・提供。グローバルで累計9億ダウンロードを超える、一般ユーザー向けのARビューティアプリ「YouCam メイク」や、同アプリを搭載したバーチャルメイクアップサービスを、ビジネスソリューションとして美容企業向けに提供。現在60か国以上、300以上のコスメブランドがパーフェクトの技術を採用している。

「パーフェクト ブログ」のオリジナル版はこちら:美容業界における「DX」とは?(2021/3/17)

※本稿は『パーフェクト ブログ』の記事をネットショップ担当者フォーラム用に編集した記事です
※所属・役職はオリジナル記事公開当時のものです
磯崎順信
磯崎順信

休業者が直接申請できる「休業支援金」の中小企業向け申請期限を5月末まで延長

4 years 11ヶ月 ago

新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度である「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(休業支援金)に関し厚生労働省は、中小企業向けの申請期限を5月31日(月)まで延長すると発表した。

申請期限延長の対象は2020年4月~12月の休業分。2021年1~4月の休業分は現行通り7月31日(土)まで受け付ける。

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(休業支援金)に関し厚生労働省は、中小企業向けの申請期限を5月31日(月)まで延長すると発表
「休業支援金」の延長について

中小企業の選択によって雇用調整助成金を活用しない企業から休業手当を受け取れないといった労働者が直接現金を申請できる「休業支援金」は、中小企業・大企業の被保険者(労働者)に対し休業前賃金の80%(1日上限1万1000円)を、国が休業実績に応じて支給している。

中小企業での日々雇用やシフト制で、実態として更新が常態化しているケースにおいて、事業主が休業させたことについて労使の認識が一致した上で支給要件確認書を作成すれば支給対象としている。

大企業については、シフト労働者など(労働契約上、労働日が明確ではない労働者)が対象。

なお、厚労省は5月以降の「休業支援金」の運用について、助成額を段階的に縮減していく方針。5月と6月の2か月間、原則的な措置について1人1日あたりの助成額上限を9900円まで減額する。

感染が拡大している地域(まん延防止等重点措置対象地域の知事による基本的対処方針に沿った要請)については、地域特例を設け、助成額の上限を1万1000円にする予定。

5月以降の「雇用調整助成金」特例措置、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(休業支援金)」についての運用方針
5月以降の運用について
瀧川 正実
瀧川 正実

横浜DeNAベイスターズの観客動員数を1.8倍にしたマーケティング戦略

4 years 11ヶ月 ago
2019年シーズンの年間来場者数228万人と過去最高を記録した「横浜DeNAベイスターズ」。観客動員数やグッズ売上を大きく伸ばしたベイスターズがこの先に描く成長戦略とは?

DeNAグループに入って以来、2019年まで右肩上がりで成長を続けていた「横浜DeNAベイスターズ」。2019年の来場者数は過去最高の228万人と、グループに入る前に比べて観客動員数を約2倍に伸ばした。「球場は野球好きが集まる場所という固定概念を捨てて、家族や友だち、同僚と気軽に集まって楽しめる場づくりを徹底した」と語るのはDeNAベイスターズ 事業本部 MD部部長の原惇子氏。観客動員数を伸ばすために取り組んできたことや、ビジネス成長をけん引したグッズ販売の事例を解説する。

チケット完売でなく球場に来てもらうことがゴール

DeNA横浜ベイスターズ(以下、ベイスターズ)はチケットの完売でなく、実際に球場に足を運んでもらうことをゴールに、さまざまな施策に取り組んでいる。来場者が増えることで球場に熱気が生まれることはもちろんだが、理由はそれ以外にもある。原氏は次のように説明する。

プロ野球の収益源は、①チケット収入②放映権販売③選手のユニフォームや球場内への広告④グッズや飲食による売り上げ――の4つに大別でき、観客数が増えると自ずとグッズ売上や広告価値も高まる関係にある。観客数にひも付いて各種の売り上げが増えるビジネス構造のため、観客動員数が非常に重要になる。(原惇子氏)

横浜DeNAベイスターズ 事業本部 MD部 部長 原惇子氏
横浜DeNAベイスターズ 事業本部 MD部 部長 原惇子氏

2020年はコロナ禍の人数制限により観客動員数が伸び悩んだが、2019年シーズンは年間の座席稼働率が98.9%と極めて高い水準を維持している。

ただ、ベイスターズが実施した神奈川県在住者を対象にした調査では課題も浮かびあがっている。

回答対象者のうち横浜ベイスターズのファンと回答したのは15%。一方で応援しているチームが特になく、横浜スタジアムを訪れたことも、今後訪れる意向もない方は実に56%にもなった。神奈川県の人口は900万人と恵まれた環境ではあるものの、過半数以上がベイスターズや野球に全く接点がない層。この数字に対し危機感を持っている。(原氏)

その打開策の1つとしてベイスターズが長年取り組んでいるのが、「『コミュニティボールパーク』化構想」だ。

野球に興味がない人にも足を運んでもらえる球場に

「『コミュニティボールパーク』化構想」とは?

一言でまとめれば、横浜スタジアムを、「単なるプロ野球観戦の場」から、「プロ野球に興味がない人でも楽しめる場」へと変革する計画ということになる。

たとえば、2019年に誕生した「NISSAN STAR SUITES(日産スタースイート)」もその一環だ。個室で食事を楽しみながら試合観戦できる特別席で、専用のバルコニーからは横浜の街を一望できる。ビジネス用途としても好評だという。

スタンドエリアではより多様なニーズに応え、友人や家族などグループ観戦向けのボックスシート席やビールサーバー付きの席、靴を脱いで観戦できるボックスシート席なども設けられている。

「NISSAN STAR SUITES(日産スタースイート)」
「NISSAN STAR SUITES(日産スタースイート)」©YDB

このほか、オリジナル料理の提供やイニング間のプレゼント投げ入れ、試合勝利時の花火打ち上げなど、野球のルールを知らなくても楽しめる企画を多数用意している。

また、試合がない日には早朝にグラウンドを解放し自由にキャッチボールする場所を提供したり、横浜スタジアムの外周でオフィシャルパフォーマンスチームやマスコットによるイベントを催したりと、試合以外での接点づくりにも取り組んできた。

集客に苦戦する春先ナイターが“大入り”のワケ

前述した取り組みに加え、より集客効果を狙ったスペシャルイベントも行ってきた。とりわけ4月~5月の平日ナイターは、新年度の始まりと重なることや、ナイター観戦するには肌寒い時期であることから、客足が鈍る傾向にある。そのような状況を払拭する取り組みとして2017年にスタートしたのが、「BLUE☆LIGHT SERIES」だ。

このイベントは、春先の平日ナイター3試合で大入りを達成するために立ち上げた企画。既存ファンかつ30~40代の働く男女をターゲットとして、翌年以降の集客につなげるため、SNSでの情報拡散を狙ってイベントの中身を設計していったという。

横浜ベイススターズ 「BLUE☆LIGHT SERIES」
「BLUE☆LIGHT SERIES」©YDB

話題性を重視したゲストを招き、観客にはLEDで青く光るライトを配布。試合後にはステージイベントに合わせて観客もライトを振って一緒に歌って楽しめるようにした。その様子はSNSで次々と拡散。春先の平日ナイターにおける、集客の起爆剤として恒例イベントになった。(原氏)

このほか、ベイスターズでは年間10種類ほどのスペシャルイベントを開催。女性に特化した企画を実施する「YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL」や、“横浜・夏の一大イベント”として、球団創設初年度の2012年より実施している「YOKOHAMA STAR☆NIGHT」など、短期的な動員効果や中期的なマーケティング効果を狙ったイベントを繰り返し開いているという。

観戦価値を高める商品開発。グッズ売上は3倍に

そのような取り組みだけでなく、グッズ販売などを展開するMD事業の強化も忘れてはならない。MD事業の売り上げは、9年間で3倍に増えた。これは、観客動員の伸び率をも上回る成果だ。

好事例の1つとして、2017年に日本シリーズ進出を懸けた試合での取り組みがある。その試合で、来場者に青いタオルマフラーを配り、「ベイスターズと言えば青いタオルマフラーを持って応援」というスタイルが定着。以後、試合観戦に必須のグッズとしてタオルマフラーの売り上げが飛躍的に伸びた。

横浜DeNAベイスターズのタオル
横浜DeNAベイスターズのタオル ©YDB

このほかにもMD部では、試合の象徴的な写真を販売する「BAY☆LIVE PHOTO」や、その日の選手のコメントをモチーフにしたTシャツやタオルをECで販売する「ハイライトグッズ」や、選手がデザイン・企画した「PLAYER PRODUCE」商品などを展開。さらにオフシーズンにはチームの裏側を描いたドキュメンタリー映像作品の映画放映・ディスク販売するなど、手掛ける内容は多岐に渡る。

横浜DeNAベイスターズのハイライトグッズ例
ハイライトグッズ例 ©YDB

試合後の熱量冷めやらぬうちの商品を届ける。試合日以外にもベイスターズを身近に感じてもらう。オフ期間中次のシーズンが待ち遠しくなるような映画を提供する。これらすべてに共通しているのは、「目先の売り上げだけでなく、ファンとのコミュニケーションツールとなることだ。結果的に、中長期的なファン愛の形成にも貢献してきた」(原氏)。実際、売り上げ増の原動力となっているという。

また、横浜スタジアム以外にも接点を作れるMD事業の特性を活かし、既存ファンに対する取り組みだけでなく、新規顧客開拓の役割も担っている。ベイスターズの選手やマスコットがパッケージになったスーパーマーケット向けのタマゴやLINEのスタンプなどを通じ、野球に関心のない層に対して意識的にアプローチしているという。

守りから攻めに転じたデジタルの取り組み

在庫リスクなくタイムリーに商品を投下

EC事業においては、受注販売にも力を入れている。グッズ販売は試合の勝敗や選手の記録達成などに左右されるが、それを事業者側で把握・コントロールすることはできない。そこで在庫リスクを抱えず、大きな記録達成や突然の引退イベントなど熱量の高いタイミングで商品を投下できるよう、商品の性質によって受注販売に舵を切っているものもあるという。

今のところMD売上におけるEC比率は約30%だが、「攻めのEC」(原氏)に転じ、売上比率を伸ばしていく考えだ。検討しているのは、チケット購入者とID連携を進め顧客の来場履歴に応じたグッズのリコメンド機能や、試合日に混雑する店舗ではなく、事前にECで注文した商品を球場内で受け取れる専用ブースの設置などだ。

EC事業だけでなく、観戦体験のデジタル化も進めている。2020年はコロナ禍で観客動員に制限がかかるなか、ZOOMを利用したオンラインでの観戦イベント「オンラインハマスタ」を展開し、多い日で1000人の視聴があった。

「オンラインハマスタ」のようす
「オンラインハマスタ」のようす ©YDB

今後、ベイスターズがさらなるビジネス成長を遂げるには、試合の日や球場内のみで売り上げを作る従来の発想から抜け出す必要がある。そこで近年私たちが進めているのが、球場内と球場外、試合日と非試合日を掛け合わせたそれぞれの領域で市場を作ることオンラインハマスタは、横浜スタジアム以外でもプラスの興行収入を得る新たな取り組みの一つになった。(原氏)

さらに、KDDIとの「ビジネスパートナーシップ」の一環としてバーチャル空間上で横浜スタジアムを構築し、スマートフォンやパソコン、VRデバイスを使って球場の雰囲気を味わえる観戦体験「バーチャルハマスタ」の企画にも昨年度より取り組んでいる。これは5G×VR時代を見据えたトライアルでもある。

スポーツビジネスが完全な状態に戻るには時間がかかるのではと不安もあるが、コロナ禍という逆風の中だからこそ始められる挑戦や発見もある。ここから新たな10年に向けて、新たな市場の開拓に挑戦していきたい。(原氏)

清水美奈
清水美奈

アダストリアのEC売上は23%増の538億円、EC化率は30.6%。自社EC売上の半数はスタッフのスタイリング投稿経由【2021年2月期】

4 years 11ヶ月 ago

アダストリアの2021年2月期におけるEC売上高は、前期比23.4%増の538億円だった。EC化率は30.6%で、前期比10.1ポイントの大幅増となった。

EC化率の内訳は自社ECが約15.9%、モールなどの他社ECは14.7%。自社ECサイト「.st(ドットエスティ)」の会員数は前期末比140万人増の約1170万人。

アダストリアの2021年2月期におけるEC売上高
EC売上高について(アダストリアのIR資料から編集部がキャプチャ)

「.st」はコロナ禍でのEC需要拡大の追い風を受け、順調に成長を続けている。そのけん引役が、ショップスタッフによるスタイリング投稿やSNSを使ったライブ配信などを行う「STAFF BOARD(スタッフボード)」だ。

「STAFF BOARD」は2020年春の緊急事態宣言下において、自社ECへの集客に大きく貢献。店舗の営業再開後もオンライン上での新たな顧客接点として、参加スタッフを従前の700人から3000人以上に増員した。「STAFF BOARD」経由の売上高は自社EC売上高の約半分に達している。

2022年2月期の取り組み

新たな店舗スタッフの活躍の場として、評価制度の整備、システム改善を行い、質の向上にも取り組んでいく。新規顧客獲得、認知度拡大のための広告宣伝を強化、2021年3月からはテレビCM・Web広告の放映も開始した。

2021年5月には、ECサイトと実店舗の体験を融合した、新しいコンセプトの店舗、ドットエスティストアをオープンする予定。

ブランド横断で、「.st」のランキング上位商品、「STAFF BOARD」の人気スタイリングによる売り場の編集、「.st」上で来店予約・試着予約をすると購入履歴に基づくパーソナライズ提案を行うなど、ECサイト、実店舗がシームレスにつながるサービスを提供する。この新コンセプト店舗を皮切りに、上期中にオムニチャネルサービスを一部店舗でスタートする予定だ。

アダストリアが2022年2月期に取り組むこと
2022年2月期の取り組み(アダストリアのIR資料から編集部がキャプチャ)

「STAFF BOARD」はバニッシュ・スタンダードが提供する「STAFF START(スタッフスタート)」の導入で実現。スタイリング経由の売り上げをデジタル上の個人売り上げとして計測し可視化。一部スタッフは、個人のInstagram(インスタグラム)とも連携できる仕組みになっている。

石居 岳
石居 岳

7年で20倍に成長したアンカー・ジャパンにできて、他の企業には簡単にできないことって何だろう?【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 11ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年3月29日〜4月4日のニュース
ネッ担まとめ

言うは易く行うは難し。アンカー・ジャパンさんがやっていることは当たり前だとしても、できるかどうかは別問題です。

当たり前のことを素早く実行することで急成長した事例

日本進出7年で売上200億突破のアンカー・ジャパン、“成功の裏側”と多ブランド戦略の意図:家電メーカー進化論 | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2103/31/news014.html

まとめると、

  • Amazonで売上を伸ばすためにはプロダクトカテゴリーで確実に1位を取り、次は別のカテゴリーでも1位を取る。これを繰り返す。シェアを取るためにはより良い製品を求めやすい価格で売ることが必要
  • アンカーグループでは製品に関わるメンバー全員がVOC(Voice of Customer)に目を通している。これにより、星の付き方で売り上げを予測したり、初期不良の有無などをチェックできたりする
  • 100億円規模のビジネスを作ろうとすれば、ブランドを作らないといけない。そのためにはVOC分析やカスタマーサービスでの対応など、顧客の1つひとつの「体験」をケアしていくことが大切

カスタマーサポートの対応次第では、製品を1年使って壊れたけれど良い体験ができた、と思っていただけることもあります。逆に、よく分からないブランドのよく分からない製品を買って、壊れて電話しても通じず途方に暮れたとなれば、もう二度と買わない、と思うことでしょう。製品を購入する母数に対して1人というのは確かに小さいですが、購入者その人にとってはその1つの体験が、その製品、ひいてはそのブランドに対する評価になります。
─アンカー・ジャパン COO 猿渡 歩氏

顧客対応を省力化する企業が多いですが、対応1つでブランドに対するイメージがガラッと変わってしまいます。何度も聞かれるようなことはAIなどで素早く対応し、解決しない場合はカスタマセンターでじっくり対応する。良くない点は製品に反映させる。当たり前のことを素早くやり続けてきた結果が、急成長の要因なんでしょうね。

徹底してユーザーのことを調べてサービスに反映させた事例

年商10億円のオーダースーツD2Cブランド「FABRIC TOKYO」の成長の裏側。リアルにお店をだしたら「客単価2倍」になった理由、接客時間の短い人がリピーターになる理由 | アプリマーケティング研究所
https://markelabo.com/n/nb594794ba057

まとめると、

  • FABRIC TOKYO 代表取締役の森氏がスーツを着た100人を調査したところ、体型にコンプレックスを持つ人が82%いたのに対し、オーダースーツを作ったことのある人が9%しかいなかった。これでいけると感じた
  • もともとはユーザー自身で採寸する仕組みだったが、採寸に関する問い合わせが複数あったため、対応したところリピーターになってもらえた。浜松町にポップアップストアを出した結果、採寸数が伸び、客単価も2倍になった
  • 面白いのは女性からの口コミが多いこと。恋人や夫にすすめることが多く、オーダーのギフトなら服のサイズや好みを外すこともない
https://markelabo.com/n/nb594794ba057より編集部でキャプチャ

FABRIC TOKYOでは「接客時間が短い人」ほどリピーターになる率が高い、という分析データが出ました

スーツって安くない商材ですし、じっくり接客したほうが満足度が高いはずと考えていたのですが、これは実際には逆でした

うちのお客様って、洋服は好きだけど「洋服を買う時間」を楽しむお客様ではないので、買うまでのプロセスはスマートなほうがよかった。

(中略)

最近では、FABRIC TOKYOに来る方って、「オーダースーツ屋さん」からの乗り換えも増えているんですよね。

ヒアリングをすると「無理なセールスが嫌」という意見は多くて。しつこく電話されたり、不要なオプションを勧められるのが苦手だと。

ユーザーの行動をや考え型を細かく把握してサービスに活かしている良い事例です。私も手が長く既製品が合わないので、オーダースーツにしたくても何かと面倒…というのがFABRIC TOKYOさんだと解決されますよね。女性からのオーダーギフトも納得です。男性へのギフトって何を贈ったらいいのか悩みますが、これなら喜ばれます。アンカー・ジャパンさんと同じように、ユーザーの声をちゃんと聴いて商品やサービスに反映させていくと良いブランドになっていきますね。

EC市場が伸びたのは既存利用者の購買行動が活性化しただけだった

2020年EC市場分析から見えた利用拡大のヒント:カギは「3つの生活者トレンド」「ミドル昇格層の不安解消」 | Think with Google
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/data-and-measurement/2020-ecmarket-analysis/

まとめると、

  • 2020年の国内小売EC市場は前年から20%以上増加の11.9 兆円に成長したが、Googleの調査では2020年2月以前と比較し、以降の2020年EC利用率は3ポイント増にとどまっており、市場規模拡大の要因は新規利用者数の増加ではなく既存利用者の購買行動が活性化したためと言える
  • 2020年3月~5月には、平均利用金額6,000円未満のライト層が活性化。比較的状況が落ち着いた2020年10月~12月には、平均利用金額2万円以上のヘビー層を中心に購入頻度と1回あたりの単価が伸長。既存利用者の消費行動はECに偏重したと考えられる
  • 平均利用金額6,000円以上〜2万円以内のミドル層がECに感じたデメリットは「個人情報流出」「配送のクオリティ」「フェイク品」「新しい商品との偶然的出会いの消失」など。メリットは「店舗に出向く必要がない」こと

近年のEC化の流れがある一方で、実店舗のショールーム的な機能が再び注目を集めたのは、「新しいものと出会う楽しみ」を体験的に満たせるからでもありました。

しかし実店舗での買い物が大きく制限を受け、ウインドウショッピング的な買い物行動が減った中で、オンラインショッピングにも同様の役割を求めざるを得なくなりました。調査によると、約半数の人がオンラインショッピングを通じて新しい商品と出会うことに成功していたのです。

新しくECを利用する人が増えたわけではなく、既存利用者の購買行動が活発しただけというデータは興味深いですね。ネットショップのサービスが良くなったこともありますが、「なんで今まで実店舗で買っていたんだろう?」という気持ちなのかもしれませんね。

引用文の「新たな商品との出会い」がネットで増えていることも重要です。自社を見つけてくれる可能性が増えたとも考えられますし、反対に自社の顧客が他社に流れてしまう可能性もあります。露骨な囲い込みは良くないので、コンテンツやサービスでブランドを作っていきましょう。

EC全般

「プラットフォーム透明化法」でECモールはアマゾン、楽天、ヤフーを規制対象に | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8588

大手総合ECモール出店者の相談に無料で応じる「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」がスタート | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8589

ECモールではアマゾンジャパン、楽天グループ、ヤフーの3社が「取引透明化法」の対象です。

健康食品の購入場所、中年・年配層では「通販」トップ 利用のきっかけは「ネットで検索」/矢野経済研究所 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/9012

圧倒的にテレビ通販だろうと思ったら、ネットからの購入が1位。

7割がネット通販で後払いシステム利用経験あり うち、滞納経験者は1割超に/Office With調査 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/9035

後払いって実はトラブルが多かったりしますよね。

Amazon出品で自社セール開催ができる4つの施策【Amazon 出品メソッド アグザルファが徹底解説】 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/3415

自社を知ってもらうきっかけにセールという手もありますよね。Amazonでもいろいろできます。

総額表示、「11,000円」「11,000円(税込)」「11,000円(税別価格10,000円)」どのような表記が好ましい?:男女1000人に調査 | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2103/30/news073.html

最終的に税込みでいくらなの? がわかればいいですよね。

【お知らせ】拡張機能「Google 商品連携 App」の提供を開始いたしました | Eコマースプラットフォーム「BASE(ベイス)」 | note
https://note.com/thebase/n/n1b1d302da86d

ついにBASEにもきました! もはやECサイトは初期設定でやるべき施策です。

「EC・通販関連」の求人数が増加しているアパレル・ファッション業界、ハイクラス人材と未経験者の二極化傾向 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8581

「アパレル業界は他の業界よりも年収が低い傾向にあることが課題」。ここを解決しないとECも伸びないですね。

今週の名言

ぼくらがやってることが思想の押し付けになってしまうと途端に面白くないんですよ

生産者・流通者・消費者の立場に強弱はない。メッセージと仕組みで、不確かさを楽しめる関係性へ | 株式会社坂ノ途中代表 小野邦彦さん | Marketeer
https://marketeer.jp/ono/

伝える、ではなく伝わる。この差は大きいです。言わなくても自然と伝わるように言動と行動をそろえていきましょう。

森野 誠之
森野 誠之

どうする? 5月開始の「コアWebバイタル」対策。グラ二フ大西氏がEC実施企業3社に徹底ヒアリング!【4/20無料ウェビナー】

4 years 11ヶ月 ago

「コアWebバイタル」(Googleの新しいスピードアップデート)が2021年5月に始まります。 EC業界に与える影響が大きい可能性があり、注目を集める今回の指標やアップデート。すでに対策を進めている3社をゲストに迎え、EC事業者が対策を行う必要性や具体的な方法などを議論するウェビナーを、4月20日(火)17時〜18時に開催します。モデレーターは、グラニフ執行役員CSOの大西理氏。

【ウェビナー】「まったなしの表示スピード改善。どうする? 5月開始のコアWebバイタル対策」の申し込みはこちら

すでに一部の企業は先行して対策を進めていますが、これには業界通のグラニフ大西氏も、「早すぎない? なぜそんなに重要なの?」とビックリ。多くのサイト運営責任者も同じように感じているのではないでしょうか?

今回は先行企業の担当者3人に集まってもらい、大西氏自らが代表質問者として、「コアWebバイタルへの対策を講じる理由。いつやる? どこまでやる?」について答えを探していきます

スピーカーには、オークローンマーケティングの辺知子氏(E-コマースディヴィジョン シニアマネジャー)、ゴルフダイジェスト・オンラインの種村和豊氏(シニアプロダクトマネージャー)、大日本印刷の近藤洋志氏(honto担当)をお迎えします。

<こんな事業者にオススメ>

  • 「コアWebバイタル」を基礎から学びたい
  • どんな対策が必要なのか、具体的な方法を習得したい
  • すでに先行している企業の実例を聞きたい
  • どのくらいの予算をかけたらいいのか、目安が知りたい
  • 「コアWebバイタル」対策することでどんなメリットが得られるのか把握したい

<当日のスケジュール> (※進行の状況次第で変更の可能性もございます)

  1. 「コアWebバイタル」とは何か? (Googleの狙いと目的。各指標の意味と目標値)
  2. 対策(いつまでに、どの基準まで?)
  3. 高速化で売り上げアップにつながるか!?
  4. 表示スピード対策は、「防衛予算」として組むべし!
  5. 質疑応答

【無料ウェビナー】「まったなしの表示スピード改善。どうする? 5月開始の『コアWebバイタル』対策」の詳細

  • 日時:2021年4月20日(火)17:00~18:00
  • 参加費:無料
  • 参加申込方法:以下のフォームよりご登録ください。当日の参加URLをメールでお送りいたします。(アンケートのご協力もお願いいたします)
  • YouTubeライブ配信:当日はYouTubeライブ配信も行う予定です。URLは、当日ネットショップ担当者フォーラムのFacebookイベントページにてご案内いたします。https://fb.me/e/axkOaqUZi

<登壇者プロフィール>

モデレーター

大西 理氏
株式会社グラニフ 執行役員CSO
カタログ通販セシールにてEC事業立ち上げ、デジタルマーケティング全般に従事。その後、文具メーカー デザインフィルでのマーケティング責任者、化粧品通販(新日本製薬)EC責任者、パルコGヌーヴ・エイでのデジタル戦略&オムニチャネル責任者、オンワード樫山デジタルマーケティング責任者など複数の業界にてECを中心にデジタルマーケティング/コミュニケーション/ブランディング/CRM領域と幅広い領域にて経験を積んできたオールラウンダー。2020年7月からデザインプロダクトカンパニー株式会社グラニフに参画し、リテール/EC/CRM/PRを管轄。

スピーカー

辺 知子氏
株式会社オークローンマーケティング
E-コマースディヴィジョン シニアマネジャー
大学卒業後から一貫して自社のECサイト運用に携わり、業務設計含む制作やシステムまわり、企画運用、デジタルマーケティングなど幅広く担当。2016年株式会社オークローンマーケティングに入社後、サイト運用を軸に改善活動を進めている。
種村 和豊氏
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン
シニアプロダクトマネージャー
ゴルフダイジェスト・オンラインにて、システム性能改善、WEBサイト表示スピード改善を主導。その後、JTB、HIS、サンリオ、オークローンマーケティングなど大手ECを中心にWEBサイトの表示スピード改善コンサルティングを支援。2018年3月~より、事業会社有志で構成される、WEBサイト表示スピード研究会を主催、運営。WEBサイト表示スピード対策の各種情報に関して、調査、研究、発表活動を行っている。
近藤 洋志氏
大日本印刷株式会社 honto担当
2007年DNP情報システム入社。基幹システム、IPS事業分野等のシステム開発を担当。2011年からハイブリッド型書店「honto」の立ち上げに携わり、2013年に大日本印刷へ転籍。サイト運用、フロント開発を経て現在はUI/UXの開発部門およびWebサイトパフォーマンス改善を担当している。

ご登録いただだきましたメールアドレスに、当日のWebinar用URLをお送りいたします。

公文 紫都

コロナ禍のEC拡大は既存ユーザーの購買回数&単価の増加が要因。ECへの不満は「代金とは別に送料がかかる」【Google調査】

4 years 11ヶ月 ago

Google(グーグル)は公式ブログ「Think with Google」で、2020年のEC市場について分析した結果を発表した。

2020年2月以前と以降を比較したところ、2020年2月以降のEC利用率は3ポイント増にとどまっており、市場規模拡大の要因は新規利用者数の増加ではなく、既存利用者の購買行動が活性化したためとしている。

Google(グーグル)が公式ブログ「Think with Google」で公表した、2020年のEC市場についての分析結果
EC利用率について

ECの利用率は2020年3~5月に10ポイント以上上昇したが、10~12月にかけて横ばいで高止まり。一方、「購入者あたりの利用金額」は2020年10~12月に大きく上昇。同様に、平均利用回数と1回あたりの購入金額も2020年10~12月に最も高くなっている。

実店舗での購買が減少したことで、まずはECの間口が広がり全体の利用率が増加した。ただ、感染が比較的落ち着いた2020年10~12月の市場の伸長を支えたのは、1人あたりの購入頻度や金額の増加によるところが大きいと考えられる。

Google(グーグル)が公式ブログ「Think with Google」で公表した、2020年のEC市場についての分析結果
利用率や平均利用回数などの推移

既存のEC利用者を1か月のEC平均利用金額に応じて3つに分類。2万円を超える人を「ヘビー層」、6000円以上~2万円以内を「ミドル層」、6000円未満を「ライト層」と定義した。

2020年前半の3~5月には、ライト層の消費が活発化。外出と営業の自粛要請により実店舗での購買が減少したことが、全体のEC利用率の上昇につながったと考えられる。

一方、比較的状況が落ち着いた2020年10~12月には、ヘビー層を中心として購入頻度と1回あたりの単価が伸長。既存利用者の消費行動はECに偏重したと見られる。

Google(グーグル)が公式ブログ「Think with Google」で公表した、2020年のEC市場についての分析結果
3分類ごとのEC利用と購入金額

既存利用者の約8割がECに対してよりポジティブな意識を持つようになった。また全体の6割以上が「感染拡大が収まっても、なるべくオンラインショッピングで済ませたい」と回答しており、ライト層に限っても59.3%が同様の回答をしている。

既存利用者はECの利便性として、「店舗に出向く必要がない」「自宅まで運んでくれる」「店員と対面しなくてもよい」「24時間購入できる」を高く評価。このうち「店舗に出向く必要がない」「店員と対面しなくてもよい」の2つは、外出自粛や感染予防のためのソーシャルディスタンスなど、社会情勢を受けて重要視されるようになった項目だ。

対して、「自宅まで運んでくれる」「24時間購入できる」の2つは、オンラインショッピングが持つ本来的な価値であり、直接的に感染拡大に起因するものではない。この本来的な価値を認識した人は、感染拡大が収まった後も、後戻りすることなくECの活用を続けると考えられる。

Google(グーグル)が公式ブログ「Think with Google」で公表した、2020年のEC市場についての分析結果
ECの利便性について

一方、オンラインでの買い物で不満を感じるポイントも明らかとなった。「実際に商品を確認できない」という根本的な問題もあるが、「商品代金とは別に送料がかかってしまう」「返品や交換などトラブルへの対応が面倒」「偽物/フェイク品の不安」「個人情報流出の懸念」など、事業者側の対応によって解消できるものも多くあがっている。

Google(グーグル)が公式ブログ「Think with Google」で公表した、2020年のEC市場についての分析結果
ECに関する不満

 

石居 岳
石居 岳

消費者ニーズの変化に見る企業の販売戦略&「ハイブリッド戦略」で成果を生むナイキのD2C事例などを解説 | 顧客時間が見たCES & NRFレポート2021

4 years 11ヶ月 ago
変化する米国の消費者ニーズとそれに対応するナイキなどの事例を、伴大二郎氏(オプト エグゼクティブ・スペシャリスト パートナー 兼 オムニチャネルイノベーションセンターセンター長、顧客時間 プロジェクトマネージャー)が解説

新型コロナウイルス感染症拡大、SDGsの浸透、デジタルテクノロジーの進化などで、消費者の行動やニーズは急速に変わっている。こうした変化へ企業はどのように対応していけばいいのか。消費者ニーズの変化を踏まえた企業の取り組み例として、Nike(ナイキ)やBURTON(バートン)の事例などを解説する。

消費者は企業に「パーパス」を求めている

パーパス(企業・ブランドの存在理由)が重要だという話は、2020年に続き、2021年のNRF(全米小売業協会主催のリテール展示会「NRF Retail's Big Show」)でも多くのセッションで語られた。

NRF2020で行われたIBMのセッションでは、消費財ブランドが選ばれる理由として、「パーパスドリブンコンシュマー(企業やブランドの存在理由で判断)」が40%、「バリュードリブンコンシュマー(価値と価格で判断)」が41%と紹介された。

2021年のNRFでは、Microsoftのセッション内で次のような調査データが開示された。

  • 85%の消費者は、信頼するブランドからのみ検討する
  • 63%は、ブランドに対する信頼が無くなったため購買をやめた
  • 上記のうち69%は、2度とそのブランドを購入しない

特筆すべきは、欧米のミレニアル世代とZ世代の60%が、「製品そのものよりも、ブランドが果たす“社会的問題の解決”で購買を判断する」という結果だ。SDGsを含めた企業の姿勢を明確にし、ユーザーに伝える重要性を示したと言える。

一方の日本はどうだろう? 企業の姿勢という観点では他の先進国に比べて遅れを取っている。世界を見渡せば、すでに企業がSDGsに取り組んでいることは当たり前だ。この先、SDGsに取り組んでいないことは競争劣位になる。もはや、“取り組んでいるだけ”では競争優位にならないほど、SDGsへの取り組みは普遍的になっていると言えるだろう。

これは、パーパスを上段に掲げるD2Cにも言えることだ。「サスティナブルなモノを作りました」というメッセージだけでモノが売れるわけではないのだが、残念ながらこうした訴求をするブランドが国内外で増えてきていると感じている。

こうしたブランドの多くは、流行に乗って“モノを売るためのストーリー”しか作らず、継続的に利用してファンになってもらう仕組み作りが弱い。その結果、一度は買ってもらえるものの、ファンを醸成できていない。

D2Cの本質は、顧客と直接つながることでブランド力を高め続けられるところにある。そこには明確なターゲットと、強烈な差別化要素が必要だ。そうした差別化戦略で急成長してきたはずのD2Cでさえも、昨今はコモディティ化が進んでしまっているようにも感じる。

「バリュードリブン」の企業が、「パーパスドリブン」の消費者にも支持され始めている

購買パターンを「パーパスドリブン」(〇〇だからこのブランドが欲しい)、「バリュードリブン」(比較検討したらこのブランドが良い)にわけた場合の企業戦略の事例を紹介したい。

オプトの伴氏が考える、「バリュードリブン」コンシュマーと、「パーパスドリブン」コンシュマーに対する企業戦略
伴氏が考える「バリュードリブン」コンシュマーと「パーパスドリブン」コンシュマーに対する企業戦略(画像:筆者作成)

店舗数、サイトのPV数、会員数、品ぞろえなど、規模の経済が効果的な「バリュードリブン」を強みにする企業(Amazon、ウォルマート、コストコなど)は、既存の会員組織を活用しながら顧客のメリットを増やしている。そして、取り組みはそれだけにとどまらない。デジタルへの投資も強化しながら、レビューやレコメンドなどを積極的に活用。企業として伝えたい情報を接客的に発信し、顧客に届けている。

こうした情報発信で、「ウォルマートはSDGsに積極的だから」「コストコのPB(プライベートブランド)商品は安全だから」のように、「バリュードリブン」を強みにする企業が「パーパスドリブン」の消費者にも支持される好循環が生まれている

対して、「パーパスドリブン」を強みにする有力D2Cブランドの戦い方は、靴の「Allbirds」や、コスメの「Glossier」のようにSNSを軸に独自のストーリーでパーパスと明確な差別化要素を伝えている。

「Glossier」のサイトトップページ
「Glossier」のサイトトップページ(画像:サイトよりキャプチャ)

「Allbirds」であれば「素材に、サスティナブルなメリノウールや竹を使用」「洗濯機で洗える」といった情報発信だ。

こうした情報発信からリアル店舗を含めてコミュニティを形成し、継続購買につなげる。この第1段階を経て、規模を拡大するために卸を含めた流通やプラットフォームへ進出している。ただ、この戦略によって成功している企業はまだ多いとは言えない。

ハイブリッド戦略で成果を出すNike

今注目したいのが、既存メーカーによる一般流通とD2C(EC×直営店)を掛け合わせたハイブリッド戦略だ。

このハイブリッドで成功している企業はナイキだろう。トップアスリートの支援やハイブランドとのコラボなど、スポーツとファッションの両面でファンを獲得。スマホアプリを軸にした積極的な情報発信、スニーカー情報に特化したアプリ「SNKRS」で行われる限定商品の販売など、デジタルをうまく活用することでD2Cビジネスを成功に導いている。

ナイキの「SNKRS」紹介ページ
ナイキの「SNKRS」紹介ページ(画像:サイトよりキャプチャ)

既存の大手メーカーであるナイキがD2Cビジネスを成功させた背景にあるのは、限定モデルを抽選販売するなど「なんとかして手に入れたい」「手に入ったことをSNSでアピールしたい」といった消費者心理を巧みについた販売戦略だけではない。

メインアプリとの連携も含めた直営店×EC(オムニチャネル)で、定価購買する仕組みを作ったことがある。この戦略に寄与しているのが、LGBTQやBlack Lives Matterなど人権問題を扱う社会派メッセージ、リサイクルポリエステル素材を使用したサスティナブル製品の「スペースヒッピーシリーズ」の販売など、デジタルが得意な「情報更新頻度」「多くのプロダクトを主人公にするストーリー」の掛け合わせである。

反響を呼んだナイキの広告動画

セールやアウトレットに行くユーザーもいるため、ナイキはユーザーの消費行動に合わせて選択肢を用意している。

D2Cビジネスを築く上で重要なのは、まずメーカーが自社で売り切る仕組みを持つこと。そして、ユーザーニーズに合わせて、シューズ専門店やスポーツ量販店でも販売するという多様なチャネルを持つことだ。

プロダクトの共通点は、全てナイキのロゴである「スオッシュマーク」のついた靴であること。5000円程で購入できるものもあれば、2~3万円とやや高額なモデルもある。さらには数百万円という超レア商品も存在する。

それぞれの価格帯やモデルによってユーザー層は異なるが、どのレイヤーにおいても「ナイキの商品が欲しい」と思える消費者を生み出しているナイキのハイブリット型コミュニケーション戦略は、メーカーがD2Cビジネスに参入する上での理想形の1つと言えるだろう。

バートン、DX最大の改善ポイントは「物流のデジタル化」

D2Cと卸売りのハイブリット戦略を進めているスノーボードブランド「バートン」のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進にも触れておきたい。

バートンの売上構成比はD2Cが25%、卸売りが75%で、D2Cの強化を進めている。スノーボード用品自体はシーズンもののため値崩れが大きく、定価での販売は難しい。20~30%割引が当たり前で、1シーズン過ぎれば、50%以上の割引になるのが慣習である。筆者も前職でスポーツ用品店のゼビオ/ヴィクトリアで働いていたが、その時はよく値札シールを張り替えたものである。

スノーボードブランドのなかでもトップの人気を誇るバートン。NRF2021に登壇したバートンが明かしたDX推進における最大の改善ポイントは、物流のデジタル化だったという。

バートンのECサイトトップページ
バートンのECサイトトップページ(画像:サイトよりキャプチャ)

スノーボードは板、ブーツ、ウェアなどすべてにモデルとサイズが細い。そのため、欲しかった商品が見つからないといった体験をしている消費者も多い。

こうした問題を解決するためにバートンはInfor社のERPを導入、基幹システムのクラウド化に取り組んだ。さらにSCM(サプライチェーンマネジメント)の整備により、物流をデジタル化。New Store社のOmniChannel PlatformとSalesforce社の Commerce Cloudにより、顧客と従業員の接点をデジタル化したという。

これで何が変わったのか? 直営店と一部のインショップ(デパートやスーパーなど大型店舗の一角にある顧客層・品ぞろえを絞った売り場)にモバイルPOSを配り、顧客情報・製品、在庫データを従業員に開放。商品がどこにあっても、リアルタイムに把握できるようにした。

このシステムはECとも連携しているので、顧客も従業員と同じようにECサイトから在庫を探せ、自宅配送でも店舗引き取りでも、好きな方法で商品を受け取れるようになった。

これは決して先進的な技術でもなければ、目新しいものでもないかもしれない。ただ、顧客を中心に店舗・EC・物流・システムが連動したプロジェクトとして、課題解決の優先順位づけとスピードが素晴らしい事例であると言える。

バートンのD2Cは、2019年に亡くなった創業者でスノーボードの父とも言われるジェイク・バートン氏のシグネチャーコレクションである「MINE 77」を中心に展開。デジタル化された顧客接点でパーパスドリブンのファンとコミュニケーションを取り続けている。

ジェイク・バートン氏にフィーチャーしたバートン内の特設ページ
ジェイク・バートン氏にフィーチャーした特設ページ(画像:サイトよりキャプチャ)

◇   ◇   ◇

D2CやRaaS(Retail as a Service)が過剰にフォーカスされる時代は、終わったのかもしれない。全ての企業は顧客と直接つながりブランド力を高めるべきで、オムニチャネルの購買体験は快適であるべきなのだ。

D2Cの流行で、多くの小売り・メーカーが顧客とつながることの重要性を再認識し、デジタルがそれを可能にしてくれることも理解した。すでにナイキやバートンのようにD2Cを上手く取り入れ、ハイブリットへ変化することに成功した企業もある。

新しい価値観のD2Cが生まれることへの期待も大きいが、既存企業が新型コロナを乗り越えるためにも、D2Cという顧客とのつながり方をビジネスに取り込み新しい価値が生まれることを期待し、取り組んでいきたいと強く感じている。

伴大二郎
伴大二郎

ランディングページはフルリニューアルしてはいけない! 広告の費用対効果を上げ続けるにはA/Bテストで「最適化」すべし

4 years 11ヶ月 ago
広告の費用対効果が上がり続けるA/Bテストのコツを加藤公一レオが解説

レストラン、企業ホームページ、お菓子の商品パッケージ……日本は新しいモノ好きなので、日々さまざまな場所でリニューアルが行われている。ネット広告のクリエイティブも例外ではないが、絶対にやってはいけないことがある。それは、単品通販(D2C)のランディングページフルリニューアルである!

ランディングページをフルリニューアルすることは、それまで培ってきたノウハウをすべて捨て去ることになる。実際に、ランディングページをフルリニューアルして失敗する単品通販(D2C)会社の悲劇は後を絶たない。本コラムではフルリニューアルよりも確実に広告の費用対効果を改善し続ける方法をお伝えする。

LPのフルリニューアルはご法度

図 ランディングページの例

単品通販(D2C)会社にとって、新規顧客との出会いの場となるランディングページは、コンバージョン率を大きく左右する。広告の費用対効果を改善し、売り上げを伸ばしたいと考える単品通販(D2C)会社がランディングページのリニューアルを考えるのはごく自然な流れかもしれない。ランディングページをリニューアルすると、新たなスタートを切った感覚でリフレッシュして気持ちが良いだろう。手間暇かけてリニューアルが完了したときは、達成感や充実感もあるはずだ。

気持ちはわかる。だが、それは単なる制作者の自己満足である! ズバリ、ランディングページのフルリニューアルは絶対にやってはいけない! 通販(D2C)のネット広告において、フルリニューアルはご法度なのである!!

それはなぜか。ランディングページをフルリニューアルすることは、すべての情報をリセットすることと同じ。ランディングページをフルリニューアルすると、それまでのノウハウをすべて捨て去ることになってしまうのだ。

そんなことをしていては10年経っても広告の費用対効果の改善などできず、一発勝負の連続にしかならない。世の中のダイレクトマーケターは、これをしっかりと理解しないとネット広告では永遠に成功できないと肝に銘じよう。

仮説ベースでリニューアルすることの危険性

世の中ではレストランの内装のリニューアルやお菓子のパッケージのリニューアルなど、さまざまなリニューアルが行われているが、多くの業界のリニューアルに共通しているのは、「仮説ベース」であることだ。

たとえばレストランの場合、「複数パターンの内装の店舗を造って事前にテストをして、最も来店客数や売上が多かった内装に改装する」というのはあまりにも非現実的である。

事前のテストや効果測定が難しいため、「こうしたらお客さまが増えるんじゃないか」「こうしたら売り上げが伸びるだろう」という仮説に基づいてリニューアルをするしかないのだ。あくまでも「仮説ベース」なので、本当にお客さまが増える保証もなければ、売り上げが伸びる保証もない

しかし、通販(D2C)のネット広告のクリエイティブはそうではない。幸運なことに、広告効果を数字という事実ベースで、かつリアルタイムで測定できるため、統計に基づいて少しずつ最適化を重ねていけば必ず結果が出るからである。せっかく事実ベースで効果測定ができる業態なのに、わざわざ仮説ベースでランディングページをフルリニューアルするのはリスクでしかないのだ。

フルモデルチェンジよりマイナーチェンジで最適化

通販(D2C)のネット広告のクリエイティブにおいては、マイナーチェンジを繰り返して最適化することが大事になる。つまり、既存のランディングページをベースとして、A/Bテストの結果に基づき、事実ベースで改善を重ねていくのである。それが最も確実に広告の費用対効果を改善し続ける方法だ。

私の経験則では、ディスプレイ広告のクリエイティブはすぐ消耗するが、ランディングページの消耗は遅い。売れるネット広告社のクライアントのなかにも、マイナーチェンジを繰り返しながら、同じランディングページを10年以上使い続けている単品通販(D2C)会社が存在する。ランディングページに関しては、フルリニューアルするよりも、長いスパンでマイナーチェンジを半永久的に繰り返していったほうが確実に広告の費用対効果は上がる!

マイナーチェンジの重要性は、単品通販(D2C)のランディングページに限った話ではない。自動車業界を見ると、マイナーチェンジはだいたい2年間隔だが、フルモデルチェンジは約6年間隔で行われている。カメラにしても、今までなかったまったく新しい機種が出ることは少なく、「〇〇-Ⅱ」「〇〇-Ⅲ」のように、同一機をベースにして、2年ごとぐらいにマイナーチェンジが施されることが多い。

これらの業界でマイナーチェンジが頻繁に行われることが多いのは、フルモデルチェンジよりもマイナーチェンジのほうが安上がりでリスクが低いからである。マイナーチェンジをする際は、既存の製品に対するお客さまの評価や不満、要望を踏まえ、よりお客さまに喜ばれる製品になるよう、改善していく。そうすれば確実に性能やお客さまからの評価は上がるし、売り上げが極端に落ちることもないからだ。

単品通販(D2C)のランディングページのマイナーチェンジも考え方は基本的に同じで、既存のランディングページを分析した上で、広告の費用対効果を改善するための仮説を立て、A/Bテストによってその仮説を検証する。

その結果、広告の費用対効果が上がれば、仮説をノウハウとして蓄積していけば、余計なコストや無駄なリスクを排除しながら広告の費用対効果を改善し続けることができるのである!

広告の費用対効果を改善し続けるためのA/Bテスト

ここからは、実際にA/Bテストによってランディングページの費用対効果を半永久的に改善し続けるための考え方とコツをお伝えしよう。A/Bテストとは、同じ条件で複数のクリエイティブを露出し、それに対する反応から最も効果の高いクリエイティブを測定するテストのことである。

言ってみれば、オリンピックの国内選考のようなものだ。見た目の印象や好みで適当に選んだ選手をオリンピックに派遣する国は1つもないだろう。それと同じで、いきなり本番キャンペーンを行う前に、小規模なA/Bテストを実施し、その結果を本番キャンペーンに反映するべきである。

ダイレクトマーケティングに携わっている人なら、必ず一度はA/Bテストという言葉を聞いたことがあるはずだ。A/Bテストはもともと、DMの効果測定のために使われてきた手法であり、オフラインの時代から存在するマーケティング手法である。だからといって、あなどってはいけない。A/Bテストは今でも短期的かつ低コストで、誰にでも結果を出せる最強の方法である!

やり方は簡単だ。まずは、A案とB案の2つを用意しよう。これらを同じ条件下で露出して、その効果を比べてみるだけだ。もしA案のほうが効果があったら、B案は捨て、新たにC案を作ってさらに比較してみるのである。

A/Bテストを行うにあたって、1つ大事なことがある。それは、比較したい要素だけを変えることである! たとえばキャッチコピーテストを行う場合は、キャッチコピー部分しか変えてはいけない。同時に写真や構成(デザイン)まで変えてしまったら、キャッチコピーが良かったのか、写真が良かったのかがわからなくなってしまうからだ。

キャッチコピーのみを変更したA/Bテストの例

A/Bテストの対象となる要素は、「写真」「キャッチコピー」「構成(デザイン)」だけではない。「アイコン」「本文」「オファー」「フォーム」などなど、単品通販(D2C)のランディングページにはあらゆる要素がある。クリエイティブの要素を分解し、毎回テーマを決めてA/Bテストを積み重ねていこう。

図 LPの要素

A/Bテストで需要な「仮説」の立て方

A/Bテストで広告の費用対効果を改善するためには、現状を把握したうえで、結果を改善するための仮説を立てることが重要だ。

この商品を購入している主要顧客層は40代~50代の女性なのに、今のランディングページでは20代後半に見える女性モデルを使っている。40代ぐらいの女性モデルを使った方が、親近感が湧くし自分事として捉えられるので、コンバージョン率が上がるのではないか?

というように、あくまでも仮説で構わないので、広告の費用対効果を改善するためのアイデアを出し合おう。データから得た情報があるなら、それも仮説を立てる材料になる。

次に、比較したい要素だけを変えて小規模なA/Bテストを実施し、選ばれた仮説が正しいかどうか判断するのである。そして、そのA/Bテスト結果を検証し、さらなる仮説を立てる。そうすることで、勝ち残った仮説はノウハウとして蓄積され、これを半永久的に繰り返すことで広告の費用対効果が上がり続けるのである!

最強のクリエイティブは強い要素の組み合わせ

今までの広告業界では、1つのクリエイティブプランを「1つの完成された作品」と見なしてきた。「クリエイティブとはハイレベルなアイデアとセンスで総合的にプランニングすることだ」という考え方がある。1つのクリエイティブプランの費用対効果が悪いと「その作品全体が悪い」ということになり、まったく新しいクリエイティブプランを制作してきたのである(その結果、また失敗することも多かった……)。

しかし、この考え方には大きな間違いがある。ダイレクトマーケティングのクリエイティブ、とりわけネット広告のクリエイティブにおいては、「強いキャッチコピー」「強い写真」「強い構成(デザイン)」など、要素の単純な組み合わせが費用対効果を左右していると考えるべきである。

クリエイティブ同士の相性なんか関係ない。1つのクリエイティブプランの要素を分解し、「どのキャッチコピー、写真、構成(デザイン)などの要素を組み合わせたら最強の組み合わせになるか」を統計学的に導き出すことが、費用対効果を確実にアップさせる方法なのである。

費用対効果が高い最強のクリエイティブを作る方法は実にシンプルだ。ズバリ、「No.1のキャッチコピー」「No.1の写真」「No.1の構成(デザイン)」など、あらゆるNo.1の要素を単純に組み合わせれば良いのである!

図 A/Bテストで最強の組み合わせを選び出す

「キャッチコピー」「写真」「構成(デザイン)」など、それぞれの要素に分解して行ったA/Bテストの結果、最も広告の費用対効果が高かったNo.1の要素をガッチャンコするだけで、広告の費用対効果は劇的に改善される。この理論を「クリエイティブ最適化」と呼ぶ。

クリエイティブを「最適化」し続ければ広告の費用対効果は上がり続けるのだ。芸術家志向の広告代理店のクリエイターがこの理論を聞いたら怒るかもしれないが、ネット広告の費用対効果を上げ続けたいなら、必ずこの考えに基づいてクリエイティブを作るべきである。

クリエイティブの最適化でCVが6倍になった事例も

「クリエイティブ最適化」によってどのくらい広告の費用対効果が上がるのか、過去に某クライアントで検証した結果をご紹介したい。

キャッチコピーテストを行った結果、「キャッチコピーA」に比べて「キャッチコピーD」で約2倍コンバージョン率が上がった。写真テストを行った結果、「写真A」に比べて「写真B」で約2倍コンバージョン率が上がった。構成(デザイン)テストを行った結果、「構成(デザイン)A」に比べて「構成(デザイン)C」で約1.5倍コンバージョン率が上がった。

一番強かった「キャッチコピーD」と「写真B」と「構成(デザイン)C」を組み合わせたところ、元のクリエイティブに比べてコンバージョン率がなんと約6.0倍も上がったのである! 要素の組み合わせの改善こそが、ネット広告の費用対効果を上げ続ける一番確実、かつ堅実な方法なのだ。クリエイティブのコンバージョン率は統計学なのである。

繰り返しになるが、ネット広告の費用対効果を最大化したいなら、これまでのノウハウをすべて捨て去るようなランディングページのフルリニューアルはやってはいけない。決め打ちでまったく新しいクリエイティブを作るのではなく、A/Bテストの結果に基づいて「クリエイティブ最適化」を繰り返していこう。

テクノロジーが進化しても「考え・実践し・検証する」のはマーケターの仕事

A/Bテストを繰り返すことにより、マーケターは「こういう状況下では〇〇のほうが効果的だ」「あのときは、〇〇だったから、それを踏まえて××にしよう」といった考え方ができるようになる。A/Bテストをやることで、結果に基づいた事実ベースのノウハウが蓄積されるだけでなく、マーケターが「考え・実践し・検証する」力も磨かれるのだ。

マーケターが日々の業務の中で自然にA/Bテストが実践できるようなスキルやノウハウが築き上げられれば、売上アップの体制が整ったも同然。効果が出るまで検証を繰り返せばいいのだから、必ず成果が出る。結局、いくらビッグデータやマーケティング自動化ツールといったテクノロジーが進化したとしても、売るための企画を徹底的に考え、実践し、検証するのは人間の仕事である。

最終的には、人間の経験に勝る売上アップの手法はない! マーケターの皆さんには、A/Bテストを繰り返すことで、お客さまのインサイトを読み解いていってほしい。

※「クリエイティブ最適化」は特許庁商標登録済み商標です。登録商標第5456446号

加藤 公一 レオ
加藤 公一 レオ

大手総合ECモール出店者の相談に無料で応じる「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」がスタート

4 years 11ヶ月 ago

「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(取引透明化法)の施行に伴い、公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)は4月1日、総合物販オンラインモールを利用する事業者の相談に応じ、解決に向けた支援を行う相談窓口を設置した。経済産業省の委託を受けた取り組みとなる。

相談窓口の名称は「Digital platform consultation desk for shop owners on onlineshopping mall」で、日本語名は「デジタルプラットフォーム取引相談窓口(オンラインモール利用事業者向け)」。

総合物販オンラインモールを利用する事業者の相談に応じ、解決に向けた支援を行う相談窓口を設置。名称は「Digital platform consultation desk for shop owners on onlineshopping mall」で、日本語名は「デジタルプラットフォーム取引相談窓口(オンラインモール利用事業者向け)」
「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」のHP(編集部がHPからキャプチャ)

相談窓口では、総合物販オンラインモールの出店事業者などからの取引上の課題といった悩みや相談に専門の相談員が無料で応じる。主な支援内容は次の通り。

  • デジタルプラットフォーム提供者への質問・相談方法に関するアドバイス(過去事案も踏まえた対応)
  • 弁護士の情報提供・費用補助
  • 複数の相談者に共通する課題を抽出し、解決に向けて検討
  • デジタルプラットフォーム提供者との相互理解の促進支援
  • 利用事業者向け説明会・法律相談会の実施

経済産業省は4月1日、「取引透明化法」の規制対象として、ECモールではアマゾンジャパン、楽天グループ、ヤフーの3社を指定した。

JADMAは、通信販売における自主規制等の中心団体として法的に位置づけられた公益法人。1984年から通販に関する消費者からの相談窓口を開設、2004年からは事業者からの相談にも対応している。

なお、アプリストア利用事業者向け窓口は一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムが担当している。

デジタルプラットフォーム取引相談窓口について
  • 対応日時:平日9時~12時、13時~17時(土日・祝日等を除く)
  • 電話: 0120-088-004
  • E-MAIL: info@online-mall.meti.go.jp
  • URLhttps://www.online-mall.meti.go.jp/
瀧川 正実
瀧川 正実

ニトリは2025年度にEC売上高1500億円達成を目標。2021年2月期は59%増の705億円

4 years 11ヶ月 ago

ニトリホールディングスの2021年2月期におけるEC事業の売上高は、前期比59.2%増の705億円だった。連結売上高に占めるEC売上高の比率は9.8%で、前期から2.9ポイント増加した。

今後、EC事業の基盤強化を進め、2025年度までにEC事業の売上高を1500億円まで拡大させる。

ニトリホールディングスの2021年2月期におけるEC事業の売上高は、前期比59.2%増の705億円。EC化率は9.8%
通販事業について(画像はニトリHDのIR資料からキャプチャ)

巣ごもり消費、多くの時間を自宅で過ごす新しい生活様式の定着で、家具・ホームファッション商品などが好調に推移。ECサイト限定の商品や色・サイズを展開したほか、「おうち時間」「快適ワークスペース」の特集をECサイトに掲載するなど、顧客のニーズに合わせたサービスの強化を進めた。

「One to Oneマーケティング」の取り組みとして、アプリ会員限定で商品購入時にポイントを追加付与するサービスを展開。店内商品の位置情報を表示する新機能を追加したことで、アプリ会員数が大きく伸びた。2020年2月末時点で525万人だった会員数は、2021年2月末で908万人に拡大した。今期は1300万人をめざす。

ニトリホールディングスの「One to Oneマーケティング」の取り組み
アプリについて(画像はニトリHDのIR資料からキャプチャ)

国内のニトリでは2020年4~5月、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で最大110店舗の臨時休業を実施。休業した店舗の数字を営業継続店舗および通販事業がカバーした。こうした一連の施策により、店舗とECサイトの双方を柔軟に利用する消費者が増加。コロナ禍によるEC利用に加え、店舗とECを双方で買い物をする利用者が増えた。

石居 岳
石居 岳

雇用調整助成金の休業支援は5月~6月に助成額縮減/「超PayPay祭」取扱高が過去最高を記録【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 11ヶ月 ago
2021年3月26日~4月1日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 「雇用調整助成金」の特例措置、「休業支援金」は5~6月に助成額の上限を縮減、7月以降はさらに縮減予定【厚労省が発表】

    5月以降、「雇用調整助成金」特例措置、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(休業支援金)」は縮減フェーズに入る予定

    2021/3/29
  2. 「超PayPay祭」最終日の取扱高が前回比で約1.8倍、単日ベースで過去最高を記録

    2021年3月に実施した「超PayPay祭」は、2020年10月から11月にかけて実施した前回の「超PayPay祭」をさらに拡充。最終日の取扱高は、前回の「超PayPay祭」最終日(2020年11月15日)と比較して約1.8倍となった

    2021/3/30
  3. 2021年は増え過ぎたEC事業者が競争にさらされる─。コロナ後のECで生き残る方法とは【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年3月12日〜28日のニュース

    2021/3/30
  4. この先の小売・ECに求められるユニファイドコマース戦略とは? 2020年の振り返りから2021年以降のEC業界をecbeing林社長に聞く

    コロナ禍の2020年、EC業界における変化を振り返りつつ、2021年注目の戦略「ユニファイドコマース」や「ecbeing」の注力施策について、EC構築実績1300サイトを超える「ecbeing」の代表取締役の林雅也氏が語る

    2021/3/31
  5. ユナイテッドアローズが「DX推進センター」を新設、執行役員CDO担当本部長に藤原義昭氏が就任

    ユナイテッドアローズがDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進するのは、デジタル化に伴う消費者ニーズや購買行動の変化に対応し、顧客理解を深め、新しい体験価値を実店舗とECを通じて提供していくのが背景にある

    2021/3/29
  6. テレビCMでアクセスも新規訪問客も急増、見込み客を顧客に変えた菓子EC「cotta」のマーケティング&サイト改善事例

    テレビCMなどの影響でアクセスと新規訪問客が急増した「cotta」。訪問した多くの見込み客を「顧客」に変えた「cotta」のマーケティング、サイト内検索「goo Search Solution」導入によるCVR改善の事例などを解説します

    2021/3/30
  7. 「au PAY マーケット」の優秀店舗を表彰するアワード、1位は「お酒のビッグボス」、2位は「美味しさは元気の源 自然の館」

    auコマース&ライフの「BEST SHOP AWARD 2020」、総合賞グランプリは「お酒のビッグボス」、2位は「美味しさは元気の源 自然の館」、3位は「アイリスプラザ au PAY マーケット店」

    2021/3/26
  8. 「EC・通販関連」の求人数が増加しているアパレル・ファッション業界、ハイクラス人材と未経験者の二極化傾向

    2019年12月~2020年2月までの求人数と2020年12月~2021年2月までの求人数を比較すると、「生産管理」「プレス・販売促進」「EC・通販関連」「人事・総務・経理・財務」で前年よりも求人数が増加

    2021/3/31
  9. 健康関連のデータは大きなビジネスチャンス!「PELOTON」の成功事例に学ぶヘルステック領域に注目が集まる理由

    米国で注目が集まっているヘルステック領域について、伴大二郎氏(オプト エグゼクティブ・スペシャリスト パートナー 兼 オムニチャネルイノベーションセンターセンター長、顧客時間 プロジェクトマネージャー)が解説

    2021/3/29
  10. ユナイテッドアローズ、子会社のフィーゴ社をユニオンゲートグループに売却

    ユナイテッドアローズは、イタリア製バッグ・革小物ブランド「Felisi(フェリージ)」を手がける子会社フィーゴとのシナジー効果を生み出しながらフィーゴの継続的な成長をめざしていくことは難しいと判断した

    2021/3/31

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    「プラットフォーム透明化法」でECモールはアマゾン、楽天、ヤフーを規制対象に

    4 years 11ヶ月 ago

    経済産業省は4月1日、デジタルプラットフォームにおける取引の透明性と公正性の向上を図る「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(取引透明化法)の規制対象として、ECモールではアマゾンジャパン、楽天グループ、ヤフーの3社を指定した。

    アプリストアでは、Apple Inc.およびiTunes、Google LLCを指定している。

    経済産業省は「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(取引透明化法)の規制対象として、ECモールではアマゾンジャパン、楽天グループ、ヤフーの3社を指定
    「取引透明化法」の規制対象事業者(画像は経産省のHPからキャプチャ)

    規制の対象は、総合物販オンラインモールでは前年度の国内流通総額が3000億円以上、アプリストアは2000億円以上のプラットフォームを運営する事業者。

    規制対象の基準(画像は経産省のHPからキャプチャ)

    「取引透明化法」は2021年2月に施行。デジタルプラットフォーム運営事業者に対し、取引条件などの情報開示、運営における公正性確保、運営状況の報告を義務付け、評価・評価結果の公表といった必要な措置を講じるとしている。

    「取引透明化法」で指定されたデジタルプラットフォーム運営事業者は、取引条件などの情報の開示、自主的な手続・体制の整備を実施。その措置や事業の概要について、自己評価を付した報告書を毎年提出する必要がある。

    「取引透明化法」について(画像は経産省の公表資料からキャプチャ)

    楽天グループは4月1日、「取引透明化法」の指定を受け、「楽天市場」運営における基本的な事項を明確化し、出店店舗に向けて情報を開示した。「検索順位を決定する基本的な事項」「出店店舗のデータの利用」などの項目を出店者に公開している。

    また、出店店舗が「楽天市場」の運営について苦情や紛争を申し立てることのできる専用窓口も新設した。

    ヤフーは、外部有識者で構成する「デジタルプラットフォーム事業者情報開示の在り方検討会」を2020年4月に立ち上げ。検討会による提言を踏まえ、「『Yahoo!ショッピング』にて開示しているユーザー向け・ストア向けの『おすすめ順について』の記述について、背景や理念を明確化して補足」などの取り組みを実施し、2020年12月までに対応が完了したと公表している。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    通販・EC業界のユニークなエイプリルフール企画まとめ【2021年】 | 忙しすぎて疲れているあなた。ちょっとしたECの小ネタでブレイクタイム

    4 years 11ヶ月 ago
    通販・EC業界の企業が創意工夫を凝らして展開するエイプリルフールネタ2021年版

    年に1度の“うそ”の祭典「エイプリルフール」。2021年はどんな素晴らしい“うそ”が繰り広げられたのでしょうか。4月1日に行われた通販・EC業界に携わる企業さんのネタ合戦をまとめました。

    世田谷自然食品が「ぐるぐる遊園地」オープン

    「ぐるぐるぐるぐるグルコサミン、世田谷育ちのグルコサミン」というテレビCMなどで知られる世田谷自然食品は、全世代型テーマパーク「ぐるぐる遊園地」をオープンした。世田谷自然食品の主力製品「グルコサミン+コンドロイチン」をテーマにした、唯一無二の“全世代型”テーマパークという。

    子どもからメインターゲットのお年寄りまで、全世代が楽しめ健康になって帰宅できるアトラクションを用意。なかでも、ジェットコースター“SETAGAYA”は最新のVR技術を導入し、「誰でもどこでも誰とでも楽しめるアトラクション」(世田谷自然食品)を用意した。

    世田谷自然食品が手がける「ぐるぐる遊園地」
    世田谷自然食品が手がける「ぐるぐる遊園地」

    関節だけに間接でも楽しめる、世田谷自然食品初のVRコミュニケーションギアを導入し、離れて暮らすおじいちゃん、おばあちゃん、家族や恋人ともこのギアの機能を使えば、その場にいるような体験とコミュニケーションができるハイテク技術を駆使した遊園地です。(世田谷自然食品)

    サンクトガーレン、動物の糞から採取したコーヒー豆を使用した黒ビール

    地ビールの製造・販売を手がけるサンクトガーレンは、動物の糞から採取したコーヒー豆を使用した黒ビール「うん、このブレンド黒」((アルコール6.5%/330ml瓶))、アイスコーヒー「うん、このブレンド珈琲」(360ml瓶)を4月1日限定で販売する。

    ジャコウネコ、象、ハナグマ、ジャク(鳥)の糞から採取したコーヒー豆をブレンドしたという。

    サンクトガーレンは、動物の糞から採取したコーヒー豆を使用した黒ビール「うん、このブレンド黒」((アルコール6.5%/330ml瓶))、アイスコーヒー「うん、このブレンド珈琲」(360ml瓶)を4月1日限定で販売
    期間限定販売の「うん、このブレンド黒」

    個性ある4種類のコーヒー豆をバランス良くブレンドし、世界に1つのブレンドコーヒーに仕上げました。芳醇な香りと奥深い味わいは、1口飲めば思わず「うん、このブレンド美味い!」と言ってしまうこと間違いなしです。(サンクトガーレン)

    アース製薬、虫が集まってくる「アース虫よせネットEX」

    アース製薬は吊り下げるだけで、虫さんたちがワラワラ集まってくる「アース虫よせネットEX」を発売した。メーカー希望小売価格は64,181円。

    アース製薬は吊り下げるだけで、虫さんたちがワラワラ集まってくる「アース虫よせネットEX」
    虫が集まる「アース虫よせネットEX」

    多様性が重視される世の中にも関わらず、我々は必要以上に虫をよけていることに気づきました。同じ地球上の仲間である虫さんたちを尊重すべく、「虫よけ」ではなく「虫よせ」ネットEXとして生まれ変わります。私たちは、虫と人がもっとなかよく生きていける社会の実現を目指します。(アース製薬)

    キュリエが「株式会社キュリ工」に

    オフィスサプライ品のECなどを手がけるキュリエは、2021年3月22日に満16周年を迎えたことを機に、社名とロゴを変更した。

    新社名は「株式会社キュリ工」。「キュリ」は残す一方、強みの工房による工業面での発展の決意と業務に関連する工程に工夫を凝らすという特徴を表すため「工」の字を加えたという。

    オフィスサプライ品のECなどを手がけるキュリエは、2021年3月22日に満16周年を迎えたことを機に、社名とロゴを変更
    新社名とロゴ

    【関連リンク】

    エレコムがマウス型の饅頭販売

    エレコムは、美味しく食べられる「マウス饅頭」と切り株の形が特長の「切り株タップ」を販売する。販売価格は未定。

    「マウス饅頭」は、丸いマウスの形で照り色が香ばしい栗饅頭。実際に販売している無線IRマウスをモデルにしている。「切り株タップ」は、大型のACアダプタが隣のコンセントに干渉しにくいデザインになっているという。

    エレコムは、美味しく食べられる「マウス饅頭」と切り株の形が特長の「切り株タップ」をラインナップに加える
    「マウス饅頭」と「切り株タップ」
    ネットショップ担当者フォーラム編集部
    ネットショップ担当者フォーラム編集部

    消費者がECで買う理由とは? 注目すべき“10の事実” | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 11ヶ月 ago
    消費者がECサイトで購入する理由とは? 価格、配送スピードなど周知の事実以外の隠れた発見について紹介します

    消費者は、「最安値で購入したい」「すぐに届けてほしい」「洗練されたショッピング体験をしたい」と考えています。しかし彼らがECサイトでの購入に踏み切るのは、そのような明確な理由だけではありません。それ以外にもあまり知られていない理由もあると、『Digital Commerce 360』の消費者インサイト・アナリスト、ローレン・フリードマン氏は言います。注目したい10の事実についてご紹介します。

    1,047人への調査からわかった「消費者がECを選ぶ理由」

    オンラインでもオフラインでも、コンバージョンの成功事例は似たような内容になります。消費者は、価格、配送スピード、洗練されたショッピング体験に期待しています。『Digital Commerce 360』が2021年に調査会社の「Bizrate Insights」と共同で実施した調査では、対象者となった1,047人のEC利用者から予想通りの結果が得られました。

    今回の記事では、すでにわかっていた結果すべてを取り上げるのではなく、小売事業者にとって興味深い、隠れたインサイトとその理由を紹介します。調査で得られた結果のなかには、環境問題への関心のように高まりを見せるものもあれば、カーブサイドピックアップ(車中受け取り)のように、今後も続くであろう行動の変化をもたらすものもあります。

    質問1:オンラインで買い物をする際に、どのような条件がそろうと注文をする可能性が高いですか?

    【回答1】自分にとって重要な課題(環境、政治など)を支援している場合:13%

    気候変動が政治的な問題となり、これが喫緊の課題であると認識されているため、消費者は購入を検討する企業の行動にますます注意を払うようになっています。そして、伝統的な企業とデジタルネイティブなブランド両方が、この問題に取り組んでいます。ウェビナーやネットを見ると、環境問題に関するメッセージの発信がこれまで以上に積極的になっていると感じます。

    靴のD2Cブランド「Allbirds」はその一例で、2021年12月に発売予定の新しい植物性レザーを事前発表、消費者は事前登録することで、詳細を通知してもらうことができます。環境への配慮は、これまで以上に重要になっているのです。

    Allbirdsは、2021年12月に植物レザーを使用した商品の発売を予定している
    「Allbirds」は、2021年12月に植物レザーを使用した商品の発売を予定している(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Getting customers to convert: 10 hidden findings that deserve attention」よりキャプチャ)

    【回答2】分割払いで注文できる場合:13%

    2020年は誰にとっても厳しい1年であり、購入した商品の代金を一度に支払える消費者ばかりではありませんでした。購入資金を調達しなければならない消費者も増えました。クラウドコンピューティングサービスを提供する「Salesforce」によると、オンライン注文での「今すぐ購入、後払い」の利用は、ホリデーシーズンに109%増加したそうです。

    ファッションブランド「Urban Outfitters」のECサイトでは、消費者に後払いサービスの「Afterpay」が紹介されるとともに、利用方法が明確に説明されています。『Digital Commerce 360』発行「北米EC事業 トップ1000社データベース」によると、40.7%の小売事業者が「Affirm」や「Klarna」などの、後払いサービスを採用しています。

    「Urban Outfitters」のECサイト内で紹介されている後払いサービスについて
    「Urban Outfitters」のECサイト内で紹介されている後払いサービスについて(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Getting customers to convert: 10 hidden findings that deserve attention」よりキャプチャ)

    【回答3】商品のデモンストレーションを含む動画がある場合:13%

    (調査結果では)コンバージョンに対する動画の影響度合いは限定的でしたが、動画はニッチな性質だからこそ、実はとても価値が高いと言えます。動画への投資はカテゴリーごとに行うべきで、商品やカテゴリーに関する情報提供やイメージ訴求を動画で行います。

    動画は消費者の商品選定に役立つと同時に、購入後に活用できるツールにもなり得ます。住宅リフォーム・建設資材の小売りチェーン「The Home Depot」のDIY動画の事例は、消費者にいかに素晴らしい体験を提供できるか、そしてそれがいかにブランドの差別化につながるかを表す素晴らしい例です。

    「The Home Depot」が公開しているDIY動画事例
    「The Home Depot」が公開しているDIY動画事例(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Getting customers to convert: 10 hidden findings that deserve attention」よりキャプチャ)

    【回答4】他では手に入らない限定商品の場合:17%

    限定商品はマージンがより高い傾向にあるため、小売事業者にとってメリットがあります。調査対象の消費者の17%が、限定商品を注文しています。また、『Digital Commerce 360』の「2021年のパフォーマンスとコンバージョン」の調査では、33%の小売事業者が「コンバージョンを最適化するために限定商品が非常に重要である」と回答しており、独自の商品を持つことは常に良い取り組みであると言えるでしょう。

    コモディティ商品を避けることで、消費者が価格で比較することがなくなり、結果的にコンバージョン率を高めることができるため、限定商品を用いたウィン・ウィンの関係と差別化は、常に考えておくべきです。高級デパートの「Neiman Marcus」は、限定商品である旨を商品ページに表示し、消費者にわかりやすく知らせています。

    「Neiman Marcus」は商品ページ内で限定商品をアピール
    「Neiman Marcus」は商品ページ内で限定商品をアピール(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Getting customers to convert: 10 hidden findings that deserve attention」よりキャプチャ)

    【回答5】カスタマーサービスに簡単にアクセスできる場合:26%

    消費者は、自分の質問に答えてくれる小売事業者を高く評価します。高級百貨店の「Nordstrom」はそんな消費者の願いを叶える機能を提供しています。商品のトラッキングから返品、残高の支払いまで、消費者のニーズに合わせたサービスを展開しています。

    また、「Nordstrom」はフリーダイヤルやライブチャットでの問い合わせ機能を提供しており、カスタマーサービスの対応が残念な企業が多い中、同社は顧客中心のサービスを展開しています。

    Nordstromが提供している消費者ニーズに合わせた各種サービス
    「Nordstrom」が提供している消費者ニーズに合わせた各種サービス(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Getting customers to convert: 10 hidden findings that deserve attention」よりキャプチャ)

    質問2:サイト内での体験以外で、オンライン注文につながる可能性が高いのは次のうちどれですか?

    【回答1】バーチャルアポイントメントを含むカスタマーサービス担当者と対話ができる場合:7%

    現在、これを購入理由に挙げる消費者の数は少ないですが、実はこれが小売事業者にとって変革をもたらすツールになると確信しています。

    過去数か月間、10以上の小売店でバーチャルアポイントメントを試しましたが、そのほとんどがポジティブな経験でした。サービスレベルが高く、実店舗での忙しなく知識のない店員とのやりとりでは得られなかったブランドとのつながりを築くことができました。私のニーズに焦点を当てた情報が提供され、実験目的でなければ、私は確実に商品を購入していたでしょう。

    中には、連絡先を登録しておくことを勧めてくれたスタッフもいて、一歩進んだ対応をしてくれました。アウトドア用品店「REI」のバーチャル・アウトフィッティングでは、消費者がオンラインで予約すると、知識豊富な販売員がショッピングのシナリオを専門的に案内してくれます。「REI」のサービスは、最高のカスタマーエクスペリエンスの1つでした。

    アウトドア用品店「REI」のバーチャル・アウトフィッティング紹介ページ
    アウトドア用品店「REI」のバーチャル・アウトフィッティング紹介ページ(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Getting customers to convert: 10 hidden findings that deserve attention」よりキャプチャ)

    【回答2】興味のある商品がソーシャルメディア広告に掲載されている場合:9%

    成長しているソーシャルメディア広告は、特にInstagramのようなサービスを頻繁に利用する若いオーディエンスにとっては最適です。オンライン購入につながる可能性の高い広告に関して聞いたところ、14%が「Instagram」と回答しました。

    最近私は、Instagramでオンデマンドフィットネスサービスの「Mirror」のスポンサー広告を見つけましたが、以前にヨガウェアブランド「lululemon」(※編注:Mirrorは2020年lululemonに買収され傘下に入った)のサイトで同じ商品を見たことがあったので、特に気になりました。

    『Digital Commerce 360』が105社の小売事業者を対象に行った「2020年デジタルマーケティング調査」によると、76%の小売事業者が5段階評価で最も効果があったのは「Eメール」で、次いで61%が「ソーシャルメディア」と回答しました。つまりソーシャルメディアで、コンバージョンの向上も期待できるということです。

    【回答3】カートに残っている商品をお知らせするメールがある場合:16%

    調査対象者の97%が「かご落ちしたことがある」と回答しています。小売事業者は長い間、このような消費者にアプローチして、購買に結び付けようとしてきました。すぐに購買に結びつかないことも多いですが、消費者の28%が「ショッピング中に気が散って購入を完了できなかった」と答え、44%が「後で購入するために、カートに商品を残しておきたい」と考えていることからも、かご落ちした消費者へのアプローチは役立つと思います。

    週末私は、化粧品や香水などを取り扱う専門店「Sephora」で複数の商品を「予約」注文しました。翌日、店舗で商品をピックアップする予定だったのですが、「かごに商品が入っています。注文しますか?」というメールが届きました(なぜ私の予約注文が反映されていないのか不明ですが)。Sephoraのメールで私が注目したのは、Sephoraのロイヤルティプログラム「Beauty Insider」のポイントが注文に使えることでした。

    これまでは、ポイントを商品と交換することはできても、ギフトカードのように利用することはできませんでした。商品を店舗に受け取りに行ったとき、新人の店員の場合、ポイント交換をするのに時間がかかっていため、ギフトカードのように使える割引とリマインドのメールは助かりました。Sephoraにとっても、オーダーが増える良い施策です。

    「Sephora」が実施しているかご落ちした消費者へのアプローチメール(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Getting customers to convert: 10 hidden findings that deserve attention」よりキャプチャ)

    【回答4】ライブチャットでのやりとりがある場合:16%

    ライブチャットは、消費者がオンラインで購入する理由の上位には入っていないかもしれませんが、リアルタイムの情報にアクセスできることは非常に重要です。急いでいるとき、最終的な決断をするために、小売事業者に連絡を取るのにこれ以上の方法はありませんし、プロモーションコードがいつ、どのように使えるのかも理解することもできます。

    ファッションブランド「Aldo」 の例は、ライブチャットを積極的に提案し、消費者にライブチャットが「最も早く連絡が取れる方法」であることを知らせている点が新鮮です。また、カスタマーサービスの真摯な姿勢を示すと同時に、消費者にも節度を守った態度を依頼している率直な案内は、称賛に値すると思います。

    AldoはHelp Center内の案内文で、消費者に”節度を守った態度”を依頼
    「Aldo」はHelp Center内の案内文で、消費者に”節度を守った態度”を依頼(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Getting customers to convert: 10 hidden findings that deserve attention」よりキャプチャ)

    【回答5】注文した商品を店頭で受け取ることができる場合:19%

    「オムニチャネルのオプションが購入につながった」と答えたのは5人に1人でしたが、コロナ禍ではこのオプションの存在が特に重要で、消費者に新しいショッピング方法を提供したのは事実です。ペット用品店の「Petco」が良い例です。

    私は、ペット用の塩を買うときは通常ホームセンターチェーンの「Menards」を利用しますが、「Petco」でカーブサイドピックアップを利用すると、25%オフという大きな割引があったので、これを利用してある時、「Petco」での購入を試してみました。今後、さらに多くの小売事業者がカーブサイドピックサービスを提供し、私のように時間に追われる消費者にとって、定番サービスになることを期待したいと思います。

    カーブサイドピックアップを利用すると25%オフが適用されることを謳っている「Petco」のECサイト
    カーブサイドピックアップを利用すると25%オフが適用されることを謳っている「Petco」のECサイト(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Getting customers to convert: 10 hidden findings that deserve attention」よりキャプチャ)

    『Digital Commerce 360』発行「北米EC事業 トップ1000社データベース」によると、実店舗を持つ398の小売事業者のうち、40.7%がカーブサイドピックアップを提供しています。

    ◇   ◇   ◇

    もちろん、消費者を納得させて購入してもらうには、価格や配送などの基本的な要素は常に大切です。同時に、カスタマーサービスや充実したコンテンツも購買に結びつくため、小売事業者の方々には常に注目していただきたいと思います。

    さらに、これらの取り組みをモニタリングすることで、環境に配慮した商品の購買、バーチャルアポイントメントへの要望、郊外でのピックアップの利便性など、消費者の行動の変化が見られるかもしれません。今現在のコンバージョンにはインパクトが少ない要素でも、将来的に重要な収益の原動力になる可能性があります。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    ミクシィが始めた生鮮食品などのデリバリーサービス「mikuma(ミクマ)」とは

    4 years 11ヶ月 ago

    ミクシィは4月1日から、スマートフォンアプリを通じて生鮮食品などを注文できるデリバリーサービス「mikuma(ミクマ)」を始める。

    「mikuma」は、決められた商品を選ぶ一般的なデリバリーサービスと異なり、「生鮮食品はオーガニックなものを選ぶ」「肉や魚の特定の切り方を要望する」など、ユーザーの好みに合わせた商品をショッパー(配達員)にリクエストできるデリバリー事業という。

    ミクシィは4月1日から、スマートフォンアプリを通じて生鮮食品などを注文できるデリバリーサービス「mikuma(ミクマ)」を始める
    「mikuma」について(画像は「mikuma」のHPからキャプチャ)

    1点から注文でき、1時間単位での受け取り指定など、ユーザー目線の便利なサービスを展開する。スタート時の対応エリアは、東京都内5区(千代田区・港区・目黒区・渋谷区・品川区)。

    「mikuma」のショッパーが配達する仕組みで、最短1時間で配達。自転車で商品を届けるため、1回の購入重量は8キログラムに制限する。料金は、商品代金、基本配送料550円、手数料として商品小計の10%が必要。

    スタート時の注文可能な店舗は7ブランド8店舗。「ナショナル麻布」、フランス発の冷凍食品店「Picard(ピカール)」、パリのパン職人エリック・カイザー氏による世界的なブーランジェリー「MAISON KAYSER」などの店舗から注文できる。

    ミクシィによると、厳選された食材を使用したレストラン顔負けの料理、食べたことのない外国産の冷凍食品を活用した簡単なホームパーティーなど、コミュニケーションが弾む楽しい食卓を演出するとしている。

    デリバリーサービスは、ミクシィのライフスタイル事業の一環。家族向け写真・動画共有アプリ「家族アルバムみてね」、サロンスタッフ直接予約アプリ「minimo」など、コミュニケーションに重きを置いたサービスを展開している。

    アプリの対応機種は、iOS13.0以降(iPhone4, iPhone5シリーズは除く)。

    石居 岳
    石居 岳

    「EC・通販関連」の求人数が増加しているアパレル・ファッション業界、ハイクラス人材と未経験者の二極化傾向

    4 years 11ヶ月 ago

    転職サービス「doda(デューダ)」などを提供するパーソルキャリアの転職支援サービス「クリーデンス」が発表したアパレル・ファッション業界の最新版「業界動向」によると、「EC・通販関連」などの求人数が増加している。

    2019年12月~2020年2月までの求人数と2020年12月~2021年2月までの求人数を比較すると、「生産管理」「プレス・販売促進」「EC・通販関連」「人事・総務・経理・財務」で前年よりも求人数が大きく増えた。

    業界全体のデジタル化やEC化、余剰在庫を生まないための生産管理など、長年抱えてきた業界の課題をコロナを契機に解消しようとする流れが生まれてきたことが要因。

    転職サービス「doda(デューダ)」などを提供するパーソルキャリアの転職支援サービス「クリーデンス」が発表したアパレル・ファッション業界の最新版「業界動向」によると、「EC・通販関連」などの求人数が増加
    アパレル・ファッション業界の求人数の前年同期比

    アパレル・ファッション業界の「EC・通販関連」について、2019年6月~8月の求人数を100とした場合、2020年12月~2021年2月の求人数は169.2%。2020年9月~11月期と比べると12.3ポイント増加した。

    「EC・通販関連」の求人数の推移

    これまでは、EC基盤を固めるために即戦力となるハイクラス人材を求める企業がほとんどだったが、現在は、育成を見越して未経験でも挑戦できる求人も増加しており、二極化傾向にあるという。

    また、アパレル業界はWebやデジタルに精通するスキルを持つ人材が少ないため、「EC・通販関連」は唯一、求人数が転職希望者数を上回ったとしている。

    ただ、アパレル業界は他の業界よりも年収が低い傾向にあることが課題。「クリーデンス」は、「人事制度や条件などを見直し、自社のニーズに合う人材をいかにスピーディーに採用できるかが、今後業界にとって重要な課題となる」としている。

    「プレス・販売促進」も、デジタルマーケティングやECに特化した販売促進を担うポジションでの採用需要も引き続き高い状況にある。EC売上が好調に推移し、業績が回復している企業では、ECサイトのプロモーションを強化するアシスタント、ECで購入した顧客に対してカスタマーサービスを行うスタッフを契約社員で募集するようになっているという。

    「プレス・販売促進」も、デジタルマーケティングやECに特化した販売促進を担うポジションでの採用需要も引き続き高い状況
    「プレス・販売促進」の求人数の推移

     

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    この先の小売・ECに求められるユニファイドコマース戦略とは? 2020年の振り返りから2021年以降のEC業界をecbeing林社長に聞く

    4 years 11ヶ月 ago
    コロナ禍の2020年、EC業界における変化を振り返りつつ、2021年注目の戦略「ユニファイドコマース」や「ecbeing」の注力施策について、EC構築実績1300サイトを超える「ecbeing」の代表取締役の林雅也氏が語る
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    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、小売り、ECを取り巻く環境は激変、消費者と事業者側のデジタル化が一気に進んだ。「店舗とECが一体となり顧客に最適な買い物体験を提供するユニファイドコマースの時代が来る」。こう語るのは、ECサイトの構築実績が1300サイトを超えるecbeingの林雅也代表取締役社長だ。2020年のEC業界を振り返りながら、2021年以降のマーケティングで重要視すべきトレンド「ユニファイドコマース」など、「ecbeing」が注力する施策や今後の展望に迫る。写真◎吉田 浩章

    EC事業の課題が「企業全体」の課題に変化

    2020年は最新テクノロジーが使われるようになった年といえるだろう。(林社長)

    コロナの影響でこれまであまり日の目を見てこなかったテクノロジーが広く使われ始めた年となった2020年。たとえば、チャットの活用、オンライン接客、ライブコマースなど、長らく利活用の検討を進めていた企業で一気に導入が進んだという印象が林社長にはある。

    ecbeing ECサイト構築 ライブコマース
    多くの企業で活用が進んだライブコマース

    2020年のもう1つのトレンドは、ECビジネスが「全社的な課題や重要販路になった」ということ。たとえば投資面。従来はEコマース事業単独への投資だったのが、企業全体の成長をにらんだ上でのデジタル・ECへの投資に変化してきた。

    有店舗企業であれば、実店舗とECの両チャネルを踏まえた投資に変わってきており、ECが全社的な課題になってきているのだ。

    実際、企業における売上構成比でもECが占める割合は上昇している。実店舗の来店客に対してもECへの誘導接客が加速。店頭で買わなくてもECサイトで購入、逆にECサイトで購入せずに店舗で商品を受け取る――。多様化する消費行動の中にはECが組み込まれており、こうした環境の変化に企業側が対応を急いでいる。つまり、ECが全社的に重要なポジションに変化したことを意味するのだ

    ecbeing ECサイト構築 ファーストリテイリング 店舗とECの融合
    店舗とECの融合を進めているファーストリテイリングでは、2019年8月期に公表したデータによると、EC・店舗の併用者は、購入回数・購入単価ともに単独チャネルの利用者を大きく上回る(ファーストリテイリングの公表資料から編集部が作成)

    従来はEC事業部の業績が悪くても、全社的には10%程度の影響ですんでいた。それが今ではその様相が大きく変化した。EC事業部が失敗すると、全社的なインパクトがあり、全社売上に影響を与えてしまう。そういう意味では、ECが「企業全体」の課題として取り組まれるようになった。(林社長)

    ecbeing ECサイト構築 林雅也代表取締役社長 2020年のEC業界を振り返る
    2020年のEC業界を振り返るecbeing 代表取締役社長 林雅也氏

    ECの存在感が増す中、ecbeingでも2020年は案件が拡大。多くの企業と取引を進めるなかで、ある傾向が顕在化したという。

    どの企業もEC売り上げは伸びているが、以前から取り組んでいたところとそうでないところで明暗がわかれたと感じる。アメリカの場合、2020年はこれまでにオムニチャネルに投資をしていたところとそうでない企業では結果がはっきり出た年と言われている。ウォルマートのように地道にオムニチャネルへの投資を実行していた企業と、そうでない企業との間で明暗がわかれた。それは日本も同じ状況。(林社長)

    具体的には、日本ではコロナ以前からスマホアプリやLINEなどデジタルツールを活用していた企業は、コロナ禍でも顧客と接点を持つことができている。そのため、店舗の来店客が大幅に減るなかでも、ECサイトへの顧客誘導が比較的スムーズに進んだ。一方、デジタルでの顧客接点を持たない企業は、厳しい状況に直面しているようだ。

    2021年、小売り・EC事業者は「ユニファイドコマース」を押さえるべき

    そうしたなかで、林社長が2021年のトレンドとして注目するのが「ユニファイドコマース」だ。

    「ユニファイドコマース」とは、オムニチャネルで実現した統合プラットフォームをベースに、リアルタイムに顧客を理解し、顧客ごとにパーソナライズした情報や買い物体験を提供することで、ブランド価値を向上させるというもの。アメリカではオムニチャネルに次ぐ新たなマーケティング手法として、数年前から重要視されている。

    ecbeing ECサイト構築 ユニファイドコマース 概念の変遷
    実店舗のシングルチャネル、マルチチャネル、オムニチャネル、ユニファイドコマースの変遷と概念イメージ(米国のQIVOSがブログ内で示した概念図を元に編集部が作成)

    ECと店舗を掛け合わせた「ユニファイドコマース」が注目され始めた背景には、オーバーストア(店舗過剰)や人口減少、購買行動の変化といったことがあげられる。以前のようにどんどん路面に店を出せば儲かるという時代は終わった。これはコロナ以前からあった現象と言える。

    人口が増えて商圏が広がっていくのであれば、店舗数を増やすという戦略は有効だ。しかし、人口が減少し消費行動が変化している今、「顧客1人ひとりを大事にすること」が求められる。顧客ごとに深掘りして丁寧に接客しなければ、これからは生き残れない。その傾向がこのコロナ禍でより顕著になったというわけだ。

    その証拠に、TSIが展開しているアパレルブランド「ナノ・ユニバース」などのようにコロナ禍でもデジタル投資を他社に先がけて進め、ファンとの接点を構築している企業の業績は好調に推移している。

    ecbeing ECサイト構築 ユニファイドコマース ユーザーとのエンゲージメント作りの仕組み
    「ユニファイドコマース」について、「ナノ・ユニバース」などを抱えるTSIホールディングスは「店舗とECが⼀体化した接客体験の提供」と定義。販売員が中心となって、あらゆるチャネルを通じてブランド体験価値を提供し、お客様との真のエンゲージメントを作る仕組みづくりをめざすとしている(画像はイメージ)

    以前であれば、デジタル化を推し進める企業に対して「先に進み過ぎている」という指摘もあったが、今ではコロナ禍で幅広い世代がデジタルを使うようになっている。その意味で「ユニファイドコマース」の土台は作られてきていると言える。(林社長)

    林社長は「市場規模が縮小する中で、1人ひとりの顧客を大事にすることは、顧客ニーズだけでなく、企業側の事情としても合致している」と語る

    TSIが進める「ユニファイドコマース」は「店舗とECが一体化したブランド体験の提供」

    ecbeing ECサイト構築 ナノ・ユニバース 越智将平部長 TSIデジタルビジネスDiv デジタルマーケティング
    TSI デジタルビジネスDiv デジタルマーケティングの越智将平部長

    「ナノ・ユニバース」「マーガレットハウエル」などのアパレルブランドを展開するTSIでは、「店舗とECが一体化したブランド体験の提供」を目的に、「ユニファイドコマース」による事業構造改革を進めています。

    TSIが掲げる「ユニファイドコマース」は、「店舗とECを横断して、顧客の趣味嗜好を統合し、それらのデータを統合して、お客さま1人ひとりに合ったOne To Oneサービスを提供すること」。

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で消費行動や消費への価値観が大きく変わりました。デジタル化の加速、不要不急の消費控え、エシカル消費の台頭――。こうした環境の変化に対応するためにTSIが2020年に立ち上げたのが「ユニファイドコマースプロジェクト」です。新型コロナ収束後の世界を見据え、「ユニファイドコマース」の実現に向けた構造改革を進めています。

    さまざまなブランドを抱えるTSI全社で一気に構造改革を進めるのではなく、「ナノ・ユニバース」で「ユニファイドコマース」を先行開発。2022年以降に他ブランドへの横展開を予定しています。

    「ナノ・ユニバース」で進めている主なサービス開発は、「ECから店舗へとつながる新たな顧客導線の創出」「店頭スタッフのデジタルサービス活用」です。

    ecbeing ECサイト構築 ナノ・ユニバース TSIが進めるユニファイドコマース
    TSIが進める「ユニファイドコマース」について(TSIホールディングスが公表したIR資料からキャプチャ)

    店頭スタッフのデジタルサービス活用

    「ナノ・ユニバース」ではECプラットフォームに「ecbeing」を採用しており、標準連携している「STAFF START」を2021年1月に導入。店頭スタッフによる自社ECサイトやSNS上でのデジタル接客を通じたコーディネート販売を強化しています。

    さまざまなコーディネートに触れてもらうことを目的に、TSIではグループのECモール「MIX.Tokyo」をリニューアルし、コーディネート投稿からコーデやアイテムを探せるモールへと移行しました。

    ecbeing ECサイト構築 ナノ・ユニバース コーディネート投稿から商品を探すECモール
    コーディネート投稿から商品を探すECモールにリニューアルしました

    ECから店舗へとつながる新たな顧客導線の創出

    「ナノ・ユニバース」では、ECで「カートで商品を購入するか」「店頭で商品を試着してから購入するか」を選べる取り組みを始めました。もちろん、「店頭で商品を試着してから購入」については在庫を引き当てて、店頭で試着できるようにしています。ECの課題の1つに、コーディネート商材の選びにくさがありますので、それを解決する目的があります。

    ecbeing ECサイト構築 ナノ・ユニバース カート内購入か試着予約の選択ができる
    カート内でそのまま購入するか、試着予約にするかという選択をできるようにしました

    3月からは来店時の接客にスタッフを指名予約できる「接客予約」もスタート。「美容院のようにスタッフを指名できる」。こんな取り組みも始めました。

    ecbeing ECサイト構築 ナノ・ユニバース スタッフ予約
    試着予約と合わせて「スタッフ予約」もできるようにしました

    「ナノ・ユニバース」のアプリには、店舗でチェックインすると、来店スタンプがたまる機能があります。チェックイン機能だけではなく、来店者に店舗での売れ筋商品、スタッフお薦め商品をレコメンドできるようにする取り組みも始めています。

    ◇◇◇

    上記の取り組みはごく一部。チャネルレスなOne to Oneサービス、TSIの強みであるリアル販売員をデジタルサービスに活用した体験の融合で、「ユニファイドコマース」を実現したいと考えています。

    「ユニファイドコマース」で重視されることは「人間味」

    今後、「ユニファイドコマース」がEC業界に浸透していくと考える林社長。コロナ以前から取り組んでいた企業と、後発企業との間で二極化が進むことが予想される。先んじて投資していたところと、今から着手する企業とで差が出るのは当然だろう。

    とはいえ、後発企業の中にも全社的な意識が変わり、巻き返しするところが出てくる可能性がある。

    従来に比べて、ECの施策が行いやすくなっている。以前はEC担当者だけが運営していたのが、コロナ禍で店舗側もデジタル施策に相当取り組んだ。その結果、デジタルに対する土壌ができた。今後は企業が持っている人材力や総合力が発揮されるのではないか。(林社長)

    アフターコロナを見据えた動きはすでに始まっている。そして、この「人材力」「総合力」が、「ユニファイドコマース」を推進する上でカギになりそうだという。

    ecbeing ECサイト構築 デジタルと人の力を融合 ナノ・ユニバース TSI ユニファイドコマース
    「ナノ・ユニバース」などのブランドを抱えるTSIの持株会社では、「デジタルと人の力」を融合し、デジタルファッションカンパニーを創出する目標を掲げている(TSIHDの公表資料からキャプチャ)

    というのも、「ユニファイドコマース」ではデータを集めて、1人ひとりの趣味嗜好に合わせてパーソナライズするマーケティングも重要になる。ただ、そのためにはユーザーに届けるコンテンツがなければ成立しない。そのコンテンツを制作して、顧客ごとに1to1でひも付けるという作業は、ECビジネスだけではデータが不足するため、全社的な総合力がどうしても必要になる。店舗や企業の総合力を発揮しコンテンツを作成し、それを顧客にひも付ける。それができなければ、そもそもパーソナライズは実現できない。

    「ユニファイドコマース」でもう1つ重要な要素となるのが、「人間味」や「ぬくもり」といった要素だ

    消費者の中には、顧客データをもとに機械的にパーソナライズされることに抵抗感を抱く人もいる。自動配信のメッセージよりも、訪れたことがある店舗から届く案内に親近感を持つ人も少なくないだろう。

    そのように店舗などリアルの部分でフォローすることで、顧客に安心感を持ってもらう。システムですべてを遂行するのではなく、企業が持つ総合力を使い、ECと店舗を掛け合わせることで、「ユニファイドコマース」の課題である「人間味」を打ち出すことも有効になる。

    そうした点を強化する狙いから、ecbeingは店舗スタッフのデジタル接客や販売促進への貢献度の可視化をサポートするツール「STAFF START(スタッフスタート)」の標準連携を2021年1月から開始。「ecbeing」を利用する企業はテンプレートを活用すれば、最短1か月で「STAFF START」を導入できる。

    ecbeing ECサイト構築 STAFF START 標準搭載
    2021年1月から「ecbeing」に標準搭載を開始した「STAFF START」(画像は「STAFF START」サイトからキャプチャ)

    マイクロサービスの拡充に注力

    企業が「ユニファイドコマース」に舵を切る上で課題となるのが、テクノロジーの進化、多様化する消費行動への対応だ。そのため、消費体験の向上、買い物しやすい仕組み作りなど、システム面での環境整備が重要になる

    ecbeingではこうした点をシステム面からサポートするためのマイクロサービスに注力している。マイクロサービスは、すべての機能を1か所のシステムにまとめる従来型のシステム設計に対して、各サービスをそれぞれ独立して構成するもの。世の中の時流に合わせて常に新しい最適なサービスが利用できるようになるのがメリットだ

    ecbeingが提供するマイクロサービス群の1つ、デジタルマーケティング活動を視覚的にサポートする「Sechstant(ゼクスタント)」。「Sechstant」はECに特化したマーケティング分析ツールで、「ecbeing」を導入する多くの企業で「Sechstant」が使われている。林社長は「Sechstant」が広く使われる理由として以下の2点をあげる。

    1. データの統合が手軽に行えること(データを整備してまとめあげるために手間と時間がかかるが、「Sechstant」であればそこをショートカットできる)
    2. 分析結果をビジュアライズして表示する(データを可視化してわかりやすく見せることで理解しやすくなる)

    「Sechstant」には「ユニファイドコマース」を行う上で必要な機能を多く実装している。たとえば、Web広告の実店舗でのコンバージョン分析や、EC・店舗の購買データ統合分析、流入チャネルごとのF2転換分析などを簡単に行うことができる。店舗単位やエリア単位で顧客データを分析できるため、ある店舗で新規客が獲得できていなかったり、新規獲得ができていても離脱が多かったりといったことを把握することも可能だ。

    ecbeing ECサイト構築 Sechstant ゼクスタント マーケティング分析ツール 集約・分析可能なデータ例
    マーケティング分析ツール「Sechstant」で集約・分析可能なデータ例

    Googleアナリティクスと連携した分析もできる。Webサイトのイベントページや特集ページ、あるいはメルマガ経由で、実店舗の売り上げにつながるにはタイムラグがある。ユーザーがあるページを見てから1週間くらい、店舗の該当商品の売り上げを追うことで「特集ページを公開したことで、店舗の売り上げがアップした」などの分析も可能になる。(林社長)

    「Sechstant」の効果を生かすためには、店舗とECをつなぐ手段(ツール)が必要になる。今までは、その役割をスマホアプリが担ってきたが、昨今ではLINEでもスマホアプリと同様のことが実現できる。

    一定規模の人にダウンロードしてもらわないと費用対効果が合わないスマホアプリに比べて、LINEは多くの人に使われている。加えて、登録も簡単で、会員証に使えたり、プッシュ通知が打てたり、ECと連携できたりと、多くのメリットがある。アプリの開発はコストや時間がかかるが、LINEミニアプリは手軽に導入ができ、ユーザーにとっても利便性が高い

    このLINEミニアプリを簡単に導入するために、ecbeingではLINEアプリ上で使えるEC事業者向けのマイクロサービス「ecbeing LINEミニアプリ オプション」も提供。このマイクロサービスを利用することで、EC事業者は簡単にLINEミニアプリを導入することができるようになる。

    LINE公式アカウントでの友だち登録や会員登録機能、ECサイト購入、ECキャンペーン、店舗クーポン配布機能などを、このマイクロサービスは備えている。クーポンの配布やイベントの招待などのメッセージをLINE経由で配信できるほか、メールを開封していないユーザーをセグメントしてLINEでメッセージを送る機能も備えている。

    ecbeing ECサイト構築 LINEミニアプリ ecbeing LINEミニアプリ オプション
    「LINEミニアプリ」で行える内容

    システムは「魔法の道具」じゃない、導入後の使い方が重要

    2021年のトレンドになると予想される「ユニファイドコマース」。その新たな時代に求められるシステム作りとはどのようなものだろうか。

    林社長は「そもそもシステムというのは『導入後が大事』という側面が強い。その意味では、システムは決して『魔法の道具』ではない。ただ導入しただけではうまくいかない。勝負を決めるのは、導入後にどのように使うかが重要」と強調する。

    導入後、その企業の戦略に合わせて、どうシステムを使いこなすかが問われる。ecbeingでは、導入後のサポート体制も強みだ。

    ecbeing ECサイト構築 林雅也代表取締役社長
    「我々はサポートを非常に重視しており、開発エンジニア400人、マーケティング担当200人の体制で、顧客企業の仕事をバックアップしている」と語る林社長

    EC業界は、技術やトレンドの進化が速い。企業が施策を行う際に、自社ですべてをこなすのは難しい。そこでecbeingのマーケティング部隊と共同でチームを作り、導入したツールを使いこなす。これにより、一層の効果が見込まれる。

    開発エンジニアもツールを企業ごとに最適な形でブラッシュアップ。「ecbeing」自体も、企業の要求に合わせてカスタマイズする――。この結果、「ecbeing」導入企業のオリジナリティやサービスが向上するといった正のサイクルが生まれていくのだ。

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    キヨハラサトル
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    ユナイテッドアローズ、子会社のフィーゴ社をユニオンゲートグループに売却

    4 years 11ヶ月 ago

    ユナイテッドアローズは3月31日付で、子会社でイタリア製バッグ・革小物ブランド「Felisi(フェリージ)」のフィーゴを、バッグブランド「BRIEFING(ブリーフィング)」などを展開するユニオンゲートグループに売却する。

    近年の市場環境の変化で、両社のシナジー効果を生み出しながらフィーゴの継続的な成長をめざしていくことは難しいと判断。ユニオンゲートグループへの譲渡を決めた。

    フィーゴは1987年4月設立。革製品・紳士服・婦人服・雑貨などの企画・輸入・販売を手がけている。2020年3月期の売上高は24億円。ユナイテッドアローズは2005年、フィーゴの全株式を取得、子会社化している。

    ユニオンゲートグループは、バッグやゴルフアパレルのブランドを展開。「BRIEFING」に加えてレザーアイテムを中心としたライフスタイルブランド「FARO(ファーロ)」も手がけている。

    ユナイテッドアローズは3月31日付で、子会社でイタリア製バッグ・革小物ブランド「Felisi(フェリージ)」のフィーゴを、バッグブランド「BRIEFING(ブリーフィング)」などを展開するユニオンゲートグループに売却する
    「BRIEFING」の公式サイト(画像は「BRIEFING」から編集部がキャプチャ)

    ユニオンゲートグループはフィーゴの株式取得で、「BRIEFING」「FARO」といった取り扱いブランドに「Felis」を加える。米国製を軸とした「BRIEFING」、日本製が中心の「FARO」に、イタリア製の「Felisi」といったブランド構成とする。ブランドの多様化、バランスの取れたブランド展開が可能となる。また、ECやデジタルマーケティングの強化も進める。

    ユニオンゲートグループはフィーゴの株式取得を皮切りに、米国・アジアを中心とした海外事業展開を強化し、グローバルでブランドビジネスを拡大する計画。今後は2021年1月に設立したBRIEFING USAに続き、BRIEFING TAIWANを設立する予定。現地での直営店開業も含めたビジネス展開を進めていく。

    2021年5月上旬の北米でのビジネス展開を計画。「BRIEFING」「FARO」「Felisi」の3ブランドで、米国・アジアでのビジネスを拡大していく。

    石居 岳
    石居 岳

    エアークローゼット天沼社長と寝具メーカー「西川」社長が語る「メーカーの新しい販売チャネル」「コロナ禍のお試し消費」

    4 years 11ヶ月 ago
    エアークローゼットは「airCloset Mall 1周年トークセッション」を3月18日に実施。ゲストに寝具メーカー西川の代表取締役社長を迎え、「エアクロモール」の特徴や「お試し消費」、両社の展望について語った

    エアークローゼットが実施した「airCloset Mall 1周年トークセッション」(3月18日)で、天沼聰代表取締役社長兼CEOが「airCloset Mall(エアクロモール)」の役割や「購入前に試せるニーズ」について分析。また、寝具メーカー西川の西川八一行代表取締役社長をゲストに迎え、コロナ禍における消費、両社の展望について語った。そのトークセッションをお伝えする。

    ライフスタイルに適した商品との出会いを提供

    「エアクロモール」は、マットレスや美顔器など購入ハードルが高い商品を月額料金でレンタルし、ユーザーが納得するまで継続利用できるサービス。使用して気に入った商品は購入できる。

    「商品の返却期限なし、いつでも購入・返品可能」「オンラインで簡単に注文、コンビニで返却できる」「メーカー公式の体験サービス、メンテナンスと商品補償」という3つの特徴がある。

    エアークローゼット airClosetMall エアクロモール 西川 対談 エアクロモールの特徴
    「airCloset Mall(エアクロモール)」の特徴

    「返却期限なし」「簡単注文・返却」はエアークローゼットの月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」と共通するが、「エアクロモール」は「メーカー公式」という異なる点がある。天沼社長は「メーカー公式であることで、メンテナンス面も含めてユーザーに安心した体験を提供できる」と考える。

    「エアクロモール」のユーザーは約7割が女性で、平均年齢は30代後半~40代前半。人気商品の1位は「寝具・マットレス」、「美顔器」「脱毛器」「一眼レフカメラ」と続く。「使用することで価値が伝わる商品が人気」という。

    エアークローゼット airClosetMall エアクロモール 西川 対談 エアクロモールの人気商品ランキング
    「エアクロモール」の人気商品ランキング

    コロナ禍で進む「お試し消費」

    天沼社長と西川社長の対談では、コロナ禍で加速している「お試し消費」を中心にディスカッション。「エアクロモール」連携でメーカーが得るメリットについても語った。

    選択肢が広がるのは必然だった

    「お試し消費」が進む状況について、天沼社長は「選択肢が広がるのは必然だった」と説明。従来までの消費行動は「必ず来店して自分で購入する商品を探して決める」というものだった。しかし、「Eコマースの登場などにより、新しい選択肢が増えるのではないか」と天沼社長は予想する。

    コロナ禍により、家での体験を見直す機会が増え、マットレスなどもどうするか検討するようになる。そのとき、「家で試して買う」という体験は納得感が増すため、どんどん広がっていき、「お試し消費」が新しい選択肢になるのは必然ではないだろうか。(天沼社長)

    体験することでブランドに安心感を持ってもらえる

    創業455年目となる西川は、寝具の販売だけでなく、40年ほど前から日本睡眠科学研究所をスタート。「良い睡眠をとる環境はどのようなものか」など「睡眠科学」の研究を行い、寝具においても科学的・物理的面からアプローチしているという。

    研究成果を反映した商品を「エアクロモール」を通じてユーザーに体験してもらうことで、西川社長は「『良い物は良い』と理解してもらう良い機会を得た。商品を体験してもらうことで、ブランドに対する安心感を持ってもらえる」と語る。

    「エアクロモール」での体験をきっかけに、店舗での販売につながるケースも出ている。店舗ではマットレスだけでも幅広いバリエーションがある。さらに枕など寝具全般を含め、睡眠環境作りから提案でき、長期顧客につながったという。

    ブランド価値の向上と複合的に商品を購入してもらえる、最終的に購入単価が上がることにつながり、生涯購入額が上がるという結果が出ている。(西川社長)

    一般的に店舗とレンタルはトレードオフの関係にあると言われているが、西川の「エアー」シリーズは順調に売り上げを伸ばしているという。西川社長は「体験の感想が口コミとして広がり、そこから安心を得て商品の購入につながる流れができているのではないか」と分析する。

    エアークローゼット airClosetMall エアクロモール 西川 対談 エアー マットレス
    「エアクロモール」出レンタルできる西川の商品(画像は「エアクロモール」サイトからキャプチャ)

    メーカーにとって「新しい販売チャネル」になる

    エアークローゼットの原点には、「多くの情報や物が溢れるなか、どうしたら人々が限られた時間の中で自分のライフスタイルに適した物、本当に気に入る物に出会えるか」という考えがある。

    原点を踏まえ、ユーザー、メーカー、エアークローゼット全員が良い関係を構築できるサービスを考えるなかで「エアクロモール」は生まれた。天沼社長は「メーカーにとって、『エアクロモール』はシンプルで新しい販売チャネルだと捉えてもらいたい」と言う。

    「エアクロモール」は「商品のレンタル」という新たなチャネルとして、既に商品やブランドを知っている顕在層(顧客)、テレビや雑誌、SNSなどでメーカーの商品を知る潜在層それぞれに対し、販売促進が行えるという。

    顕在層に対しては、「知っている商品を購入する以外の方法=レンタルがある」という情報の提供につながる。潜在層に対しては、これまで認知できていなかった層への商品やブランドのアプローチが可能だ。(天沼社長)

    エアークローゼット airClosetMall エアクロモール 西川 対談 エアークローゼットの代表取締役社長 兼 CEO天沼 聰氏
    エアークローゼットの代表取締役社長兼CEO 天沼聰氏
    エアークローゼット airClosetMall エアクロモール 西川 対談 エアクロモールの活用法
    顕在層(顧客)へは「お試し消費向け」、潜在層へは「お任せ消費向け」として「エアクロモール」を活用できるという

    「体験してから買う」という新しい判断基準を創造

    従来の購入方法はCMや口コミを見る、店頭で見て購入するといったものだ。しかし、CMでは商品の良い面が取りあげられ、口コミでは「良い」と思う判断基準が人によって異なるため、失敗リスクがある。また、店頭で見てから購入する場合も、商品を実際に見て店頭で試すことはできるが、自宅などで実際に使うと「予想と違った」というギャップが発生する可能性がある。

    「エアクロモール」は、実際に商品の使い心地や機能を体験してから購入することで、実体験に基づいた購入判断が可能になるという。

    消費行動が多岐に渡るなか、所有経験をしてから商品を購入するという新しい選択肢を提供したい。購入のきっかけ作りに貢献し、メーカーのファンになるという体験を「エアクロモール」を通じて提供したい。(天沼社長)

    「継続して利用することで価値を感じられる商品は、店頭だけの訴求では本質的な価値がわかりにくい」と天沼社長。そのため、「エアクロモール」のキーポイントは、マットレスや美顔器など、「店頭では見るが、なかなか試せない商品がラインナップにあること」だ。

    「エアクロモール」は「体験を届けるプラットフォーマー」

    「エアクロモール」はサービス開始以降、四半期ベースで前年同期比50%増の売り上げ成長を続けているという。達成要因について、天沼社長は「『エアクロモール』はあくまでも体験を届けるプラットフォーマーに過ぎない。価値ある商品を提供しているメーカーのおかげだ」と言う。

    毎月追加している商品は全て「メーカー公式の商品」として提供している。「体験したユーザーがメーカーのファンになってもらうことを、一番の価値として提供している」と強調する。

    商品体験で上位商品の購入につながるケースも

    エアークローゼットは「エアクロモール」会員にアンケートを実施。調査の結果、96%が「買う前に試すECは初めてだった」と回答し、77%が「まずはレンタルして使ってみたかった」と回答した。

    良かった点については、「試してみないと効果がわからない商品が試せること」が1位で、2位は「メーカー公認なので安心できること」だった。この結果を受け、天沼社長は「メーカーは商品を使用することで『ファンになること』を意識するが、ユーザーも長い付き合いを意識しているのだと感じた」と分析する。

    エアークローゼット airClosetMall エアクロモール 西川 対談 エアクロモールの良かった点
    「エアクロモール」の良かった点ランキング

    「購入せず、試せて良かった点」についてのコメントでは、「試した上で価格帯が上の別のモデルを購入した」「管理面も含めて多面的に検討できる」といった意見があったという。

    エアークローゼット airClosetMall エアクロモール 西川 対談 エアクロモールの良かった点
    「エアクロモール」で使用し「商品を購入して良かった」意見と、「購入せず、試せて良かった」意見

    こうしたコメントは「エアクロモール」のサービスに生かすとともに、メーカーに対するフィードバックとして、商品提案にもつなげられるという。「試して納得してもらう、納得したからこそ長くメーカーのファンになる場を提供していきたい」(天沼社長)。

    サービスを横断した取り組みやファン同士の交流を検討したい

    今後の展望について、西川社長は「『エアクロモール』と連携している各ブランドのファン同士が交流していくことが大事」と言う。また、サービスを横断して、マットレスのように長期的に体験する商品と、短期的にレンタルで切り替えていく商品を連結していくことで、「非常に面白い取り組みになるのではないか」と考えている。

    エアークローゼット airClosetMall エアクロモール 西川 対談
    エアークローゼットの代表取締役社長 兼 CEO天沼 聰氏(左)と西川の代表取締役社長 西川八一行氏(右)

    たとえば、現在弊社が取り組んでいるIoT寝具でユーザーの体調や気分を読み取り、それにマッチする洋服やアイテムを提案する。そうしたことができれば、新しいワクワクする感動をユーザーに提供できるのはもちろん、ユーザーの強い味方になってくれるのではないか。(西川社長)

    天沼社長は「メーカーと一緒に公認で、という点に一番こだわりを持っている」とし、今後商品数を増やしていくと述べる。また、それ以上に「現在連携しているメーカーの商品体験や魅力の伝え方を改善し、よりファン作りを強化したい」と語る。

    藤田遥
    藤田遥
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    45 分 9 秒 ago
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