ネットショップ担当者フォーラム

【オムニチャネル利用】年代ごとの購買行動、モバイルを使った消費行動、利用意向、買い物カテゴリなど調査結果まとめ | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

2 years 8ヶ月 ago
コロナ禍で、若者を中心として利用が急速に進んでいるオムニチャネル購買。年代別の購買行動や、消費者がモバイルのアプリに望む機能などを調査結果から解説します

実店舗やECなどさまざまな販売チャネルを組み合わせて消費者の購買行動を促すオムニチャネル戦略。米国の大手EC専門誌『Digital Commerce 360』と 調査会社のBizrate Insightsが実施した調査結果によると、利用者の年齢層は若く、オンライン通販では30~39歳の消費者が最も積極的に利用します。

オムニチャネルショッピングの利用者は、BOPIS(オンラインで購入した商品を店舗で受け取ること)から当日配送まで、さまざまな選択肢を利用しています。調査結果を踏まえて、消費者によるオムニチャネルの利用実態を解説します。

記事のポイント
  • SweetwaterはAIを用いて“クリックしそうな”顧客グループを作成。2022年9月のメールのクリック数は、2022年8月と比較して25%増加した
  • BOPISの満足度は、カーブサイドピックアップ(車中受け取り)よりも高い
  • 若年層の消費者は、オムニチャネル購入の一環としてアプリを利用する傾向がある

米国の調査結果に学ぶオムニチャネル利用実態

高い店頭在庫のオンライン確認ニーズ

オムニチャネルを利用する消費者は、BOPISや当日配達サービスを使うなど多くの選択肢を積極的に活用しています。

また、店舗受け取りやカーブサイドピックアップを好み、実店舗に出向く前に何を入手できるか調べます。また、オムニチャネル利用者層には、当日配送が魅力的に映っています。

重要なのは、年代によって消費者の行動が異なるということです。『Digital Commerce 360』と Bizrate Insightsがオンライン通販利用者1069人を対象に実施した調査によると、年齢ごとの購買行動の違いが明らかになりました。

年齢層による購買行動の違いに加え、それが小売業にとってどのような意味を持つかを分析しました。調査結果の一部から、顧客に最適なサービスを提供するためのヒントを得ることができます。

30~39歳の層はオンライン通販に最も積極的。たとえば、彼らは近くの実店舗の商品在庫を確認したいと考えています。店頭在庫の確認ニーズに対する年齢別の回答は以下の通りです。

  • 18~29 歳 (72%)
  • 30~39歳 (75%)
  • 40~54歳 (73%)

上記の数字は、55~64歳(57%)、65歳以上(55%)とは対照的です。年齢層別の最低点・最高点の差である「年齢差」については、「カーブサイドピックアップ」が26%と最も大きくなっています。その後に続くのが「店舗受け取り」の20%で、大きな差が生まれています。

オムニチャネル利用調査(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
オムニチャネル利用調査(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

コロナ禍がオムニチャネルの利用を後押し

2022年のオムニチャネル利用とコロナ禍以前の比較では、18~29歳の消費者の79%、30~39歳の74%がオムニチャネルを利用した購買を「より多く」行っていました。55歳以上では7割強がオムニチャネルの利用が増えています。

店舗受け取りとカーブサイドピックアップ、6か月で11回以上利用する人も

さらにもう一歩踏み込むと、若い消費者ほど過去6か月間に11回以上のオムニチャネル利用を行うなど、利用頻度が高くなっています。18~29歳の40%が11回以上利用しており、30~54歳の37%も同様です。

55-64歳の高齢者層は25%、65歳以上の層では24%と同程度の割合でした。

店舗受け取りとカーブサイドピックアップを利用した回数(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
店舗受け取りとカーブサイドピックアップを利用した回数(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

店舗受け取りとカーブサイドピックアップを利用した店舗の割合、幅広いカテゴリーに利用拡大

若い消費者達は、調査した店舗やカテゴリーでより多くの買い物を行っているようです。例外はハードウェア・ホームセンターで、こちらは年配の消費者に好まれていることがわかります。

このカテゴリー以外では、米国の大型ディスカウントスーパー「Target」の利用者(35%)とヘルス&ビューティーのカテゴリー(25%)で、年齢によるギャップが最も大きくなっています。

店舗受け取りとカーブサイドピックアップを利用した店舗の割合(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
店舗受け取りとカーブサイドピックアップを利用した店舗の割合(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

カーブサイドピックアップ(車中受け取り)とBOPIS(店頭受け取り)は高評価

オムニチャネル利用者に、10を満点として1~10のスコアでカーブサイドピックアップとBOPISを評価してもらいました。年齢差では全く同じですが、7~10点満点で見ると、若い消費者はカーブサイドピックアップに高い点数をつけています。一方、年配の消費者は、BOPISに高い評価を与えています。

店頭受け取りおよびカーブピックアップの評価で、10点満点中、7~10点と評価した人(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
店頭受け取りおよびカーブピックアップの評価で、10点満点中、7~10点と評価した人(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

オムニチャネルにおけるアプリ利用

オムニチャネル利用者の66%が、注文や受け取りをモバイルアプリで頻繁に行っていることがわかりました。

18歳から54歳までの広い年代で、オムニチャネル利用者は、アプリを使用する傾向があります。30~39歳が最も多く(75%)、18~29歳(70%)が僅差で続いています。40~53歳は69%です。

筆者(編注:『Digital Commerce 360』の執筆者)自身も、アプリを使ったショッピング体験はポジティブだった為、今では常にアプリを利用するようになりました。アプリの改良が進むにつれ、より多くの人がアプリを受け入れるようになるでしょう。

オムニチャネルの注文・受け取りにおける小売店のモバイルアプリの利用(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
オムニチャネルの注文・受け取りにおける小売店のモバイルアプリの利用(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

小売事業者のモバイルアプリに望む機能

アプリから発信されるコミュニケーションは、年齢層が高いほど好まれることがデータからわかっています。たとえば、注文の準備ができたことを通知してくれたり、テキストメッセージを受け取るなどです。

若年層は、在庫のある店舗をすぐに見つけられるなど、ショッピングの観点からアプリのユーザーエクスペリエンスを高く評価しています。また、携帯電話や車の情報、ギフトカードやクーポンを保存できることも、若い層には魅力的です。

小売事業者のモバイルアプリに最も望む機能(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
小売事業者のモバイルアプリに最も望む機能(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

モバイルの利用シーン、アプリで商品購入が5割

過去6か月間の購買行動の一部であったモバイル利用については、30~39歳の消費者が6つの質問に対して最も高い数字を示しました。一方、65歳以上は常に最下位でした。各質問に対する30~39歳の回答者の割合は次の通りです。

  • アプリで商品を購入する:51%
  • アプリを使用して店舗で商品を探す:42%
  • 店舗またはカーブサイドでの受け取りを容易にする:34%
  • 店舗でバーコードスキャンを利用して、より多くの商品情報を入手する:32%
  • 小売店でのセルフレジ:26%
  • 店内でスマホを利用して買い物をする:23%

店舗で商品を探すことに関しては、30~39歳と65歳以上で23%と最も大きな差となりました。エイジギャップ(年齢差)の大きさでは、「モバイルアプリを使って店舗で商品を購入する」「オムニチャネルでの受け取りを容易にする」が続きました。

モバイル利用について(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
モバイル利用について(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

高齢層のオムニチャネル利用は拡大期待

高齢の消費者は、オムニチャネルに関して慎重な傾向が見られましたが、今後は若者世代に追いついてくるでしょう。彼らは2023年、オムニチャネル利用に積極的になるはずです。

調査結果では、55~64歳の79%、65歳以上の76%が、2023年に店舗での受け取りやカーブサイドでの受け取りを増やす意向を示しています。

一方、18~29歳は41%、30~39歳は50%という結果でした。関心度はそれほど高くなく、彼らの購買力にも限界があるでしょう。

店頭またはカーブサイドでのピックアップについて、2022年と比較した利用意向(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
店頭またはカーブサイドでのピックアップについて、2022年と比較した利用意向(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
◇◇◇

小売業にとって、年齢は重要なのでしょうか?

すべての顧客が重要ですが、オムニチャネルを受け入れ、モバイルを支持しているのは若年層です。若い消費者は、オムニチャネルの世界で新しいイノベーションを試したいと考えていることがわかっています。

長い目で見ると、オムニチャネルの充実が重要になると結論付けても良いでしょう。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

フューチャーショップ、AIが最適な商品をレコメンドする機能「future AI Recommend」を提供開始

2 years 8ヶ月 ago

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」を提供するフューチャーショップは、「futureshop」で構築したECサイト上で利用できるAI(人工知能)搭載のレコメンド機能「future AI Recommend」をリリースした。

先行導入店舗でCVR約10%という結果も

「future AI Recommend」は、AIを活用したリコメンド機能で、オプションサービスとして提供する。データ活用プラットフォーム「Conata(コナタ)」を提供するフライウィール社のレコメンドエンジン「Conata Discovery Recommend(コナタ ディスカバリー レコメンド)」を採用した。

「Conata(コナタ)」は、日本生活協同組合連合会(日本生協連)、NTTドコモ、カルチュア・コンビニエンス・クラブなどで採用実績があるデータ活用プラットフォーム。「Conata Discovery Recommend」は、ユーザー1人ひとりにとって最適な商品のレコメンドをリアルタイムで行い、売り上げの最大化を支援するソリューションだ。

フューチャーショップ futureshop AI Reccommend レコメンド機能 Conata Discovery Recommend
レコメンド機能「future AI Recommend」(画像は「futureshop」のサイトからキャプチャ)

「future AI Recommend」の導入後、「商品閲覧データ」や「購買データ」を蓄積するとAIレコメンドエンジンが学習、よりECサイト来訪者の好みにパーソナライズされた商品を提案できる。新規導入店舗でのコンバージョン率が約10%アップするなど、先行導入したショップにおいて良好な効果が出たという。

設定できるレコメンドは7種類。フィルタ設定も可能

ユーザーが過去閲覧した商品に合わせて最適な商品をオススメする「行動履歴ベースレコメンド」、ユーザーが閲覧中の商品に関連して最適な商品を表示する「閲覧商品ベースレコメンド」などの機能がある。

フューチャーショップ futureshop AI Reccommend 表示可能なAIレコメンド機能
表示可能なAIレコメンド(画像は「futureshop」のサイトからキャプチャ)

また、設定可能なレコメンドは7種類。フィルタ設定を行い、表示したくないグループや商品の指定も可能。

フューチャーショップ futureshop AI Reccommend 設定可能な7種類のレコメンド機能
ルールベースレコメンド(画像は「futureshop」のサイトからキャプチャ)

そのほか、表示回数やクリック回数などを確認できるレポート機能や、レスポンシブに対応したデザインテンプレートなどの機能がある。

利用費用は、初期費用が2万5000円、月額費用が1万円から(いずれも税抜)。そのほか、オプションを追加した場合は別途費用が発生する。

フューチャーショップ futureshop AI Reccommend レコメンド機能 料金プラン
「future AI Recommend」の料金プラン(画像は「futureshop」のサイトからキャプチャ)
藤田遥

2023年の母の日トレンドは「外向き」需要と「脱マンネリ」。「楽天市場」が特設ページを開設

2 years 8ヶ月 ago

楽天グループは、「楽天市場」において母の日向けギフトの特集ページ「楽天市場 母の日特集2023」を4月3日に公開する。それに先立ち、2023年の母の日ギフトトレンド情報と関連商品を紹介する特設ページ「お出かけをより楽しく! 気持ち晴れる母の日ギフト2023」を開設した。

外出向き、「脱マンネリ」商品を特設ページで提案

楽天市場 母の日2023 ギフトトレンド 外出向き 脱マンネリ
母の日ギフトトレンドと関連商品を紹介する「お出かけをより楽しく! 気持ち晴れる母の日ギフト2023」

「楽天市場」では、2023年3月24日時点で約490万点の商品を母の日向けギフトとして販売。コロナ禍において、ECでギフト商品を購入するユーザーが増加したことを背景に、2022年の流通総額は2019年比で約2倍に拡大した(2019年4月1日~2019年5月13日と、2022年4月1日~2022年5月13日の「楽天市場 母の日特集」実施期間中の流通総額を比較)。

2023年はコロナウイルス感染症対策の行動制限やマスク着用ルールが緩和され、「日焼け止め」が前年同期比約1.7倍、「レディース帽子」が同約1.8倍、「日傘」が同約1.6倍で推移するなど、「外向き」の消費トレンドが高まっている(2022年1年1日~2022年2月28日と2023年1年1日~2023年2年28日の「楽天市場」において、商品名に「日焼け止め」「レディース帽子」「日傘」と記載のある商品の流通総額を比較)。

また、「楽天市場」が実施した調査「母の日に関する意識調査」では、母の日の贈り物に関する困りごとについて、「毎年同じような商品を送ってしまう」(28.3%)「贈りたいものが思いつかない」(22.3%)などの回答が上位にランクインしている(「楽天市場」で、2022年に母の日の贈り物をした男性30代~40代と女性20代~50代のユーザー606名を対象に、2022年10月18日~10月20日までの期間に集まった回答をもとに集計)。

こうした状況を受け、「脱マンネリ」のニーズに対応すべく特設ページを開設。「外向き」需要に対応する商品や、コーヒーやスイーツなどをお花と組み合わせた「新定番フラワーギフト」を提案していくという。

トレンド予測①:「外向き需要」

コロナウイルス感染症対策のマスク着用ルールが緩和され、「楽天市場」では外出に関連した商品の売れ行きが好調だという。特に「日焼け止め」「レディース帽子」「日傘」の売れ行きが良く、母の日のギフトとしても需要が高まると予測している。

楽天市場 母の日2023 ギフトトレンド 外出向き商品の一例
「外向き需要」商品の一例(画像は「楽天市場」のサイトからキャプチャ)

トレンド予測②:「脱マンネリ」

「楽天市場」では、コーヒーやスイーツとお花のセット商品や、花束に見立てたタオルやソープフラワーなど、セット商品の人気が徐々に高まっており、2023年の母の日の「新定番フラワーギフト」として需要が高まると予測。

楽天市場 母の日2023 ギフトトレンド 脱マンネリ商品の一例
「脱マンネリ」商品の一例(画像は「楽天市場」のサイトからキャプチャ)
藤田遥

楽天と西友、「楽天西友ネットスーパー」の千葉県松戸市の物流センターを稼働

2 years 8ヶ月 ago

楽天グループと西友は、協働運営するネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」専用の物流センターを、千葉県松戸市で本格稼働した。

「楽天西友ネットスーパー」グランドオープン当初からの物流拠点である千葉県柏市の専用センターは閉鎖。より大規模で、効率化した松戸市の物流センターに機能を集約した。当日配送枠を拡充して首都圏における供給能力を強化、サービスの利便性向上を図る。

楽天グループと西友は、協働運営するネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」専用の物流センターを、千葉県松戸市で本格稼働
新物流センターの外観(画像はラサール不動産投資顧問のリリースから)

新物流センターは、ラサール不動産投資顧問とNIPPOが共同開発する大型物流施設の全フロアを賃借したBTS型(テナントの要望に応じてオーダーメイドで建設し賃貸する物流施設)。延べ床面積は約7万1000平方メートル。「楽天西友ネットスーパー」の物流センターのなかでは最大規模という。

常温・冷蔵・冷凍の3温度帯で最大4~5万アイテムを保管できる。搬送や保管などの自動化装備を導入し、倉庫内の作業効率を大幅に向上している。

瀧川 正実

BEENOS子会社と楽曲の原盤権をNFTで提供するECモール「OIKOS MUSIC」運営企業、アーティストグッズのECモールを開設

2 years 8ヶ月 ago

BEENOSの連結子会社でエンターテインメント産業のDX支援を手がけるBEENOS Entertainmentは、楽曲の原盤権をNFT「OIKOS」で提供するオンラインマーケットプレイス「OIKOS MUSIC」を展開するOIKOS MUSICと協働し、アーティストのオリジナルグッズを販売するECモール「OIKOS MUSIC ECモール」を立ち上げた。

BEENOS Entertainmentが提供するEC構築プラットフォーム「Groobee(グルービー)」を活用してECモールを構築。OIKOS MUSICが運営を手がける。

「Groobee」はアーティスト・アニメやキャラクターのコンテンツに特化したECサイト構築サービスで、初期費用0円から利用可能。販売商品情報を提供すると、クリエイティブの作成、顧客対応、物流対応などBEENOS Entertainmentがサポートする。1つのブランド商材を取り扱う単独型のECサイト構築に加え、アーティストやコンテンツが複数存在する場合はモール型でのECサイト展開もできる。

「OIKOS MUSIC」公式グッズのほか、2組のアーティストがグッズを出品した。今後、出品するアーティストを増やす。

BEENOSの連結子会社でエンターテインメント産業のDX支援を手がけるBEENOS Entertainmentは、楽曲の原盤権をNFT「OIKOS」で提供するオンラインマーケットプレイス「OIKOS MUSIC」を展開するOIKOS MUSICと協働し、アーティストのオリジナルグッズを販売するECモール「OIKOS MUSIC ECモール」を立ち上げた
販売する商品の一例

OIKOS MUSICは、楽曲の原盤権をNFT「OIKOS」で提供するオンラインマーケットプレイス「OIKOS MUSIC」を運営する企業。NFTの「OIKOS」を購入すると、売り上げがアーティストに還元され、応援の思いを直接アーティストに届けることができるほか、購入者は音源のオーナーとなり、楽曲が生み出すサブスク収益の分配、限定コンテンツ・限定イベントへのアクセスなどが可能になるビジネスを展開している。

「OIKOS MUSIC ECモール」は、「OIKOS MUSIC」のグッズ販売型のECサイトとなる。

石居 岳

バロックジャパン、店舗スタッフと消費者の問い合わせ対応やCRMにLINE活用。「LINE WORKS」の導入で実現

2 years 8ヶ月 ago

「MOUSSY」などのアパレルブランドを展開するバロックジャパンリミテッドは、ワークスモバイルジャパンが提供するビジネス向けコミュニケーションツール「LINE WORKS」を直営100店舗以上に導入した。

「LINE WORKS」とLINEがつながる外部トーク連携機能を活用し、顧客との新たなコミュニケーション手段を確立したという。

これまで、店舗での商品の問い合わせや取り置きなどの対応は、電話のみ受け付けていた。オペレーションの効率化を図るため、この度「LINE WORKS」を導入。LINEとの外部トーク連携機能を活用した顧客対応が可能になり、商品の問い合わせや回答、取り置き商品に関する連絡などがチャット(トーク)で円滑に行えるようになった。

「MOUSSY」などのアパレルブランドを展開するバロックジャパンリミテッドは、ワークスモバイルジャパンが提供するビジネス向けコミュニケーションツール「LINE WORKS」を直営100店舗以上に導入
「LINE WORKS」で新たなコミュニケーション手段を確立

情報発信頻度の高いバロックジャパンリミテッドのブランド「リエンダ」「ロデオクラウンズ ワイドボウル」では、外部トーク連携機能と相性が良く、商品問い合わせに対する入荷の連絡をタイムリーに行うことで、顧客満足度の向上につなげているという。

百貨店や店舗の特定キャンペーンの一斉案内(一斉配信)、リッチメニュー(一斉配信/リッチメニュー)といったLINE公式アカウントを通じたECサイトへの誘導施策は、テクノロジーズが提供するSaaSサービス「Circle(サークル)」を利用している。「LINE WORKS」は、「LINEを使った売上向上施策にも効果がある外部連携ツールにも効くものとして評価をいただいている」としている。

バロックジャパンは今後、全店舗への導入、LINE友だちの顧客管理システムへの登録、LINEを通じたキャンペーン案内による効果測定など、CRM観点での「LINE WORKS」活用を検討していく。

石居 岳

LINEを使ってリピーターを増やすCRM施策とは?マーケティングツール「Lステップ」の活用方法と成功事例を解説 | 「ECタイムズ」ダイジェスト

2 years 8ヶ月 ago
LINE公式アカウントの機能を拡張したツール「Lステップ」の詳細と活用方法を解説する。「Lステップ」の活用で顧客獲得などに成功した5つの事例も紹介

突然ですが、みなさん! 「ECサイトのリピート率を上げる施策は?」「お客さま1人ひとりに寄り添った施策をするには?」というお悩みはございますか?

もしお悩みでしたら、今回ご紹介する「Lステップ」というツールが助けてくれるかもしれません。

「Lステップ」とは、LINE公式アカウントの機能を拡張したツールで、自社のLINE公式アカウントを追加したユーザーとのコミュニケーションを最適化するために役立ちます。LINEの公式アカウントの標準的な機能だけでは物足りないと感じる方におすすめです。今回は「Lステップ」の詳細と利便性、活用事例を詳しく紹介します。

LINE拡張ツール「Lステップ」の全貌

「Lステップ」の概要と機能一覧

「Lステップ」の概要、料金形態について紹介します。「Lステップ」はLINE公式アカウントを使い、個々のユーザーの関心度やパーソナリティーに最適な配信を可能にするツールです。

たとえば、公式アカウントを登録したばかりのユーザーには初心者向けの商品やサービス、初回限定クーポンを配信し、登録して長い時間が経過したユーザーには新商品のキャンペーンやリピート商品のセールを配信することができます。

通常、顧客1人ひとりに合った施策をすれば運用コストが膨大になってしまいますが、「Lステップ」は自動または半自動で、一度に大量の配信を行うことができるため、お客さまとのコミュニケーションの省力化につながるでしょう。

では、肝心の料金形態はどうなっているのでしょうか? 「Lステップ」公式ブログを参照すると、基本送信プランの料金とプランごとに利用できる機能は以下のようになります。

いずれも初期費用なしで運用を始めることができる
いずれも初期費用なしで運用を始めることができる
チャット、セグメント配信など、基本的な動作は網羅的に対応
チャット、セグメント配信など、基本的な動作は網羅的に対応
「プロ」プランはスタッフ権限の設置まで対応する
「プロ」プランはスタッフ権限の設置まで対応する

【表中語句の意味】

  • シナリオ配信:複数の配信を一貫した構成の中で行うこと。
  • キーワード応答:ユーザーからのメッセージに含まれる特定のキーワードに応答して、あらかじめ設定しておいたメッセージを自動返信する機能。
  • セグメント配信:ユーザーの年齢や性別といった特性に合わせた情報を配信すること。

以上の表から、どのプランも初期費用はタダで、最もグレードの低いプランでもかなり多くの機能を利用できることがわかります。

自社にとってどのような機能が必要か、月ごとの配信数はどれくらい必要なのかを明確にしてからプランを選択されることをおすすめします!

なぜLステップが注目されているのか?

EC市場の伸びとLINE普及率の高さ

では、なぜ今「Lステップ」が注目されているのでしょうか? 

SNSや、「Amazon」「楽天市場」といったECモールの普及により国内のEC市場はここ10年間で急拡大しました。

日本のECサイトだけでも膨大な数が存在する現代では、消費者が自社のページを見つけ、そこから商品やサービスを購入してもらえるだけでも一苦労です。

そこでEC事業者は自社のページにより多くの消費者が流入しやすくなるように、複数のSNSアカウントを運用し、ネット広告で訴求を行っています。

その流入経路の一つとして公式LINEアカウントが位置しているのです。LINEの最大の強みは日本でもっとも多くの人が日常的に利用しているという点です!

普及率が高いうえに、他のSNSと比べ広告の運用費が安く、新規メッセージの開封率が高いLINEは顧客をリピーターへと育成したい事業者に重宝されているのです。

「Lステップ」はLINE版のCRM施策

新規顧客を増やしながら、なるべくその多くの人にリピーターになってもらいたいですよね。そんな時に力を発揮してくれるのがCRMです。

CRMを導入、運用することでお客さまのリピート率向上やLTV(顧客単価)の向上が期待できるのです。「Lステップ」はLINE版のCRM施策として大きな力を発揮することができます!

公式アカウントの標準機能だけでは十分な顧客情報を得ることができないかもしれません。十分な情報(判断材料)がなければ、進行中の施策の効果を評価できず、次にどのような施策を打つべきか分からないという場合もありえます。

ユーザーが自社の商品に関心を向けてくれているのは一日のごくわずかな時間ですから、施策上の問題で機会損失してしまうのは非常にもったいないです!

そうならないためにも「Lステップ」の導入事例を紹介していきます。

5つのLステップ導入事例を紹介

すでに「Lステップ」を導入することで成果を挙げている事業者について5つ紹介します。

(参照元:「Lステップ」公式サイト 導入事例

事例① 見込み顧客の早期引き上げに成功

キャンプ用品の通販サイト「FUTURE FOX(フューチャーフォックス)」を運営するラソブルーミングは、LINE登録直後のアンケート回答で20%クーポンをプレゼントする訴求を行っています。

「FUTURE FOX」トップページ(画像は「FUTURE FOX」から編集部がキャプチャ)
「FUTURE FOX」トップページ(画像は「FUTURE FOX」から編集部がキャプチャ)

これにより、LINE登録率アップや見込み客から顧客への早期引き上げに成功しました。ユーザーにもお得感を与えながらアンケート回答をもとにユーザーのパーソナリティーをつかむことを実現しました。

リッチメニューではユーザーからの要望をいつでも受付できる仕組みを自動化することで、ユーザーのペインに応える商品開発を可能にしています。

ユーザーからよくある質問の一覧を設置したことで、個別質問の対応にかかる業務も削減できました。

また、キャンプ初心者に向けた記事や商品紹介ページから購入ページへ誘導する仕組みを構築し、ブランドのヒストリー配信によってファン層を増やすことで継続的な売り上げにコミットしています。

豊富なリッチメニューが幅広いユーザーのニーズを満たしているのです。

事例② 毎日開きたくなるコンテンツを展開

オーダーメイドの生活雑貨を取り扱うECサイトを運営するゼンプロダクツは、LINE登録後のアンケート回答で10%クーポンをプレゼントし早期購入につなげています。

たった30秒のアンケートで割引してもらえるのはお得感がありますよね。

ポイントが貯まる一日一回じゃんけんゲームで、顧客が日常的にトークルームを開きたいと思えるようなコンテンツもあります。リッチメニューの“開催中のキャンペーン”からじゃんけんに参加する仕様になっています。

リッチメニューの“ブランドヒストリー”を通じて会社のコンセプトや理念を届けています。

事例③ LINEを深いコミュニケーションの場として活用

プログラミングスクールを運営するスキルハックスは、登録直後に代表取締役の自己紹介と、有料セミナーのプレゼント特典を配布しています。

こちらの企業は毎日コラムの配信をするというLINEマガジンを行っています。Twitterから流入する仕組みになっており、既に関心度の高い層がLINEに登録しているので、トークルームではより深いコミュニケーションを取ることを重視しています。

自社について深く知ってもらい、オンラインスクールに申し込んでもらえるというステップをシナリオに組むことで、ユーザーのリピートを刺激しています。

コラムにアンケートを組み込み、回答率の低いユーザーにはこれ以降の訴求を減らし、回答率の高いユーザーにだけ送っています。選択的にユーザーにアプローチすることで少ない配信量で、見込み客にリーチすることを可能にしています。

事例④ 密な顧客コミュニケーションと新規獲得に手応え

世界中からワインやスピリッツを輸入し卸売りするKOTO CORPORATION(コートーコーポレーション)は、今まで全国の既存顧客にFAX、DMを用いて情報発信をしていましたが、LINEでの情報発信に切り替えたことでより密なコミュケーションと新規顧客の増加につながりました。

何より目玉のコンテンツは、トークルームで簡単な質問にいくつか答えるだけで最適な商品を提案してくれるAIバーテンダーです。これが業界内で話題となり、今までつながりのなかった顧客層を獲得することができました。

KOTO CORPORATIONが運営する公式通販サイトのトップページ(画像は公式通販サイトから編集部がキャプチャ)
KOTO CORPORATIONが運営する公式通販サイト(画像は公式通販サイトから編集部がキャプチャ)

事例⑤ ブロック率2%以下を実現

ネイルサロンを運営する爪スパサロンは、新規集客から予約管理、顧客情報管理、CRMまで一元管理を行っています。

SNSとLINEのみでリピート率80%、LINEのブロック率は2%以下の高水準を実現しています。来店前の対応コストを削減したことで、ネイルスキルに磨きがかかり対人サービスの向上に役立っています。

友だち登録前、来店前、来店後の各ステップでサロン独自のストロングポイントを活用した配信設計にこだわっています。

たとえば、公式アカウントプロフィールで強みを伝え、友だち登録アンケートでニーズをキャッチする。来店後のフォロー配信で高評価の口コミだけをGoogleに集めています

外部決済と連携したシステムを構築することで、プリペイド決済を導入し売り上げの確保につながっています。

◇◇◇

みなさん、いかがでしたか?

今回はLINEの拡張機能Lステップについて徹底解説しました。導入事例からわかるように多彩な機能を駆使して、自由な訴求を行えるのが「Lステップ」の強みです。

「既存顧客とのコミュニケーションのクオリティーを高めたい」「新たなファン層を獲得したい」と考える事業者にはぴったりのツールだと思います。

ECタイムズ

家具・家電EC「リコメン堂」のジェネレーションパス、売上2ケタ成長の秘訣と2023年の成長戦略を岡本社長が解説 | 通販新聞ダイジェスト

2 years 8ヶ月 ago
ジェネレーションパスは国内外でEC事業を拡大している。今後は貿易による商品の仕入れを強化するほか、インバウンド需要への対応も急ぐ。

ジェネレーションパスでは、国内外でネット販売を展開する「ECマーケティング事業」が拡大しており、2022年10月期の同事業の売上高は前年比14.9%増の124億8300万円となった。コロナ禍の巣ごもり需要が落ち着きを見せる中、2ケタ増の成長を果たしている。事業拡大の背景や今後の市場展望、成長戦略について岡本洋明社長に聞いた。

ジェネレーションパス 岡本洋明社長
ジェネレーションパス 岡本洋明社長

円安効果で増益。ネックは商品不足

――22年の業績を振り返って。

営業面では順調に売り上げが伸びた。ただ、21年はコロナ禍に伴う巣ごもり需要の影響があって伸びたが、22年はそこまでの伸びではなかった。円安が急速に進んだことで、EC事業に関しては輸入品が多いことから収益面でマイナスに働いた。

海外向けの事業も行っているため、そちらは円安となったことで大きな利益があった。(海外は商品企画関連事業で)中国やベトナムなど現地で売っている商品が円安効果で好調だった。22年10月期の最終利益においては円安効果による為替差益がかなり大きかったと思う。

――コロナの反動減を受けた国内ECでは市場で商品の絞り込みも見られるが。

絞り込みは行っておらず、今は約200万点を取り扱っている。季節ごとの入れ替えなどがあるため(常時)その内150万商品を出している状況。コロナ前の状態に近い品揃えになった。

コロナ禍では日用品や一部家電も多くあったが、今は以前の状況に戻っている。最近になり外出機会が増えたので、またアウトドア商品なども売れるようになった。一方でインテリア・家電は20年、21年ほど伸びていない。また、わかりやすいところではマスクなどの衛生関連用品などの動きもそこまで見られなくなった。

「リコメン堂」トップページ(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)
「リコメン堂」トップページ(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)

――22年に好調だった商品群は。

何かが突出したということではなく、全体的に伸びたことで(連結売上高では)前年比120%増となった。むしろ、22年に一番問題だったのは、商品が足りなくなっていたこと。もしも十分に商品が揃っていれば150%は伸びていたと思う。

円安や原材料高の影響を受けて、メーカーが生産に慎重になっていたこともある。加えて、中国のゼロコロナ政策によって、現地の生産工場が稼働しなくなり、商品自体の供給ができなくなったことも大きい。

ジェネレーションパスは元来、商品力に強みを持っている(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)
ジェネレーションパスは元来、商品力に強みを持っている(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)

“ネットで買うときの参考に”――。キュレーションサイトのニーズ高まる

――家具キュレーションサイトの状況は。

(アフィリエイト収益などによる)売り上げベースが前年比150%~170%に上がっている。今は完全に1つのチームを作って運営していて、徐々にインテリア関係からギフト関連情報など様々な内容で横展開して伸びた。来期くらいには1つのセグメントとして会計上にあがってくるのでは。

とにかく、キュレーションサイトのニーズがすごく高いと感じる。コロナ禍でECが注目されていき、色々とネットで商品を探す機会が増えたので、メディア系の情報を参考にする人が多くなったこともあるだろう。

今は、外部のライターと社内の人間を使って記事を作っている。あまりに自社のECに引き込むような導線だと恣意(しい)的に感じられてしまうので、他社で扱っている商品の情報も色々と発信している。

客観的にさまざまなサイトの中で商品を比較して、良いものを選んでもらえればと思う。

ジェネレーションパスが運営する家具キュレーションサイト(画像はキュレーションサイト「IECOLLE(イエコレクション)」トップページを編集部がキャプチャ)
ジェネレーションパスが運営する家具キュレーションサイト(画像はキュレーションサイト「IECOLLE(イ
エコレクション)」トップページを編集部がキャプチャ)
「IECOLLE」を含む、メディア事業の事業戦略(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)
「IECOLLE」を含む、メディア事業の事業戦略(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)

貿易仕入れは50%に引き上げる計画

――前期に注力した取り組みは。

貿易に力を入れた。以前は中国から商社経由で仕入れていた商品が、昨今の為替や原材料高の影響で今までと同じ工場では製造できなくなってきたケースがある。

であれば、こちらから中国に人を配置して、直接、現地の工場に作ってもらったり、日本で売るための商品を新しく作ってもらうような交渉をしている。今も商社経由で調達している商品もあるが、少しずつ自社化している

すべての商品ではなく、ある程度のボリュームが取れそうなものについてとなる。テーブルなどの大型商品をはじめ、機能性を持った家具・家電などが中心。もちろん、当社の既存の取引先(メーカーなど)が、(現地で調達先としている)工場や取り扱い商品などは基本的に避けている。

家具・家電を中心に自社製造を進めている(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)
家具・家電を中心に自社製造を進めている(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)
中国とベトナムに自社工場を持つ。品質を保つため、現地スタッフの育成にも力を入れている(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)
中国とベトナムに自社工場を持つ。品質を保つため、現地スタッフの育成にも力を入れている(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)

――海外から直接調達することのメリットやデメリットは。

海外での自社の直接調達は、当然、利益が得られるようにやってきたが、逆に前期は円安の影響で痛かったところ。為替のタイミングは読むことができないが、ここはやらなくてはいけない。現在の極端な為替の問題が解消されれば粗利益率は上がる。

一般的にモノづくりは(完成まで)半年から、短くても3か月はかかるが、為替もその間で大きく変わることがある。何かの問題が起きて海外から商品が入りづらい状況になったり、ゼロコロナで現地の工場が止まることもあるだろう。

(小売りにとっては)商品がないことは何よりも大きな問題だ。今のところ貿易で仕入れている商品は全体の20~30%程度だが、ゆくゆくは50%程度まで伸ばしたい

2023年のEC市場は“市況読みにくい”

――2023年のEC市場の展望について。

正直、わかりづらい面がある。たとえば、越境ECやインバウンドなどの需要が(23年1月の)現時点ではそこまで見込めず、わからない状況となっている。もしかするとこのインバウンド需要が大きなうねりになる可能性もあるが、今の段階ではっきりとこれくらいの数字になるとは出しづらい。

たとえば海外からの旅行者は航空機で日本に来るが、航空需要が回復しているとはいえ、中国などからの飛行機の便数はコロナ前よりもまだかなり少ない状況。

また、仮にインバウンドで大量の観光客が日本に来るようになって実店舗で商品がどんどん売り切れるようになれば、国内の消費者はリアルよりもECで買い物をするようになることも考えられる。

とは言え、国内EC市場という観点で考えると、引き続き安定的な成長が見込める。コロナによって、EC未経験者の利用が増えてきたことは間違いない。ただ、石油価格の上昇で物流費の値上げなどが起きるとそれが大きな足かせになる可能性はある。

ECマーケティング事業の事業戦略(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)
ECマーケティング事業の事業戦略(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)

――相次ぐ商品値上げによる消費環境への影響は。

今のところ、消費者側が許容しているような印象を受ける。おそらく、あらゆる商品が値上がりしているので、もうこれに対してはしょうがないという向きも持ってしまっているのでは。

日々使うような商品が1000円から1500円に上がると高くなったと感じるが、(当社が得意とするような)家具・インテリアは、あまり毎年買うことがない大型商品なので、1年前と価格を比べたりすることは中々ない。買い替え頻度が低いものは値上げによる買い控えの影響を受けにくいと思う。

岡本社長は「買い替え頻度が低い商品は値上がりを感じにくい」と指摘(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)
岡本社長は「買い替え頻度が低い商品は値上がりを感じにくい」と指摘(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)

優先事項はインバウンド向けの対策

――今期の優先順位の高い施策は。

インバウンド需要に関してのものになるだろう。もちろんこれは越境ECも含めての話となる。中国で日本のかぜ薬が大量に購入されているというニュースも聞くが、改めて海外消費者にとって日本の商品はニーズが高いと感じる。

これは日本メーカーの商品ということだけではなく、たとえば、中国の工場で作って日本で売っているという商品についても、試しに中国で売ってみたところ「日本の規格」を採用しているということで非常に人気となった。つまり、日本の商品は「品質管理」が良いというイメージを海外から持たれているのだ。

中国向け越境ECモールは“あえて”小規模モールに出品。品質や計画生性を重視

――越境EC事業の進捗について。

22年末から中国の小規模な越境ECモールに出店していて、100~200点ほどの商品を試しに販売している。

そこでは1か月間で8%程度の購買率になったので、悪くはないだろう。今までの越境ECでは、中国の大手越境ECモールを使って販売していたが、手数料が高かったこともあり難しい状況だった。そうした理由から、今は大手のモールではなく小規模のモールに出店している。

――越境ECを行う上での注意点や課題について。

当社も長年越境ECを行ってきたが、中国と日本のマーケットには大きな違いがあると認識している。中国の場合、売れる商品であればどんどん量を出して販売してほしいという考え方だが、日本では売れるとしてもそこまで極端な出し方はしない

たとえば、日本のメーカーはヒットしている商品を製造する時に、おそらく前年の110%~120%程度(の増産)という形で翌年の計画生産を考えるが、中国ではとにかく一気に大量に仕入れようとするので、いきなり前年の3倍の量の商品を出してほしいという考え方になる。

当然ながら、モノづくりについて品質管理をしっかり考えた場合に、製造ラインや人材の確保などの問題からそこまでの大規模な量に対応した商品を急に製造することはできない。そうした感覚が大きな違いになっている。今、当社が中国で出店している仮想モールは小規模なので、仮にそこで急激に売れたとしてもそこまでの大きな影響は受けないと思われる。

価格差が大きいものほど売れやすい⁉

――越境ECで売れる日本の商材とは。

海外向けと日本向けの販売で、価格差が大きいものが売れやすいと言える。先ほどのかぜ薬の話も、中国では日本で売られている何倍もの価格で売られている。

他にも日本酒などが海外では国内以上の高値で取り引きされている。そういったものは、物流費込みで海外向けに高い価格を設定して販売したとしても日本よりもはるかに売れる商材となるのではないか。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

→ 年間購読を申し込む(通販新聞のサイト)
通販新聞の過去記事を読む(通販新聞のサイト)
→ 通販新聞についてもっと詳しく知りたい

通販新聞

EC売上高を2023年3月期に155億円、4年後に440億円まで拡大する計画のサンドラッグがEC事業を強化

2 years 8ヶ月 ago

ドラッグストアチェーンを展開するサンドラッグがEC事業の強化を進めている。

中期経営計画では2026年3月期に連結売上高1兆円を掲げており、その事業戦略の1つにEC事業の強化をあげている。

2022年3月期のEC売上高は125億円。2023年3月期は155億円、2027年3月期には440億円まで拡大する計画を掲げる。

サンドラッグのEC売上高の推移と計画
EC売上高の推移と計画(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

EC事業では2022年4月以降、2022年9月末までに従来比1.5倍の商品を追加。食品・ペット・カー用品など多様な商品の取扱拡大も予定している。

また、配達までのリードタイムの短縮、生活利便性向上に向けたドローン実証実験を始める予定。店舗受け取りの促進と利便性向上を進める。

マーケティング面では、リアルとネットの一元化による1to1マーケティングを実施。カスタマーエンゲージメントプラットフォームの導入による顧客管理も図る。データ活用・CRM強化による既存顧客のロイヤル化や、デジタルマーケティングの強化による新規顧客の獲得も図っていく。

収益構造の変化では、物流効率化と生産性向上に向け、DC一体型拠点追加による物流効率化向上、拠点分散による配送コスト削減(関西・中京地区を検討中)、需要予測によるコスト最適化を図る。さらに、情報一元化や自動化ツールの導入による生産性向上のほか、グローバル基準への転換とオペレーションの再定義といった仕組み作りをめざす。

サンドラッグは、業態の融合でさまざまな購買チャネル・商圏・顧客層をカバーする
業態の融合でさまざまな購買チャネル・商圏・顧客層をカバーする(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

リアルとネットを融合するECサイトのリニューアル

EC事業強化の一環として、ECサイトのリニューアルを実施。リアルとネットをつなげた新サービスで買い物ができるようにしたという。

実店舗とオンラインの購入履歴をマイページで確認する機能を実装。指定場所への配達、店舗受取、店舗在庫の確認など消費者がECサイトで買い物に必要な情報を利用・確認できるようにした。

決済方法を拡充。クレジット決済の他、d払い、楽天ペイ、PayPay、コンビニ払いといった決済手段を拡充した。

サンドラッグ ネットとリアルの融合をめざしたECサイト
ネットとリアルの融合をめざしたECサイト(画像は編集部がキャプチャ)

また、

  • 現在位置から実店舗までの経路を表示する「店舗検索機能」
  • 「お気に入り店舗」を登録すると「店舗受取」「店舗在庫」をすぐ確認できる機能
  • 薬の錠形でフィルターをかけられる検索機能
  • 入荷お知らせメールが届く機能
  • 画像やビデオを投稿できるカスタマーレビュー機能
  • 商品などをSNSへ投稿ができる機能

といった機能を実装。売るための機能だけではなく、健康情報や美容情報など専門知識を要したサンドラッグのスタッフが従来の情報配信に加え、ブログなどで情報を発信する。

また、ECサイトは英語と中国語(簡体字)による多言語化サイトを実現。インバウンドで日本を訪れた外国人がサンドラッグのECサイトを利用できるようにした。

今回のリニューアルでは、ECプラットフォーム「Shopify」の最上位プラン「Shopify Plus」を採用している。

石居 岳

ZETA、リテールメディアにおける共同事業展開に向けてアドインテと提携

2 years 8ヶ月 ago

ZETAは、IOTとAIを活用し流通小売業・メーカー向けDX支援やリテールメディア開発・運用などのアドインテと、リテールメディアにおける共同事業展開に向けて提携した。

リテールメディア領域をカバーし、共同事業を展開予定

リテールメディア領域をカバーして配信・運用・分析を行える共同事業を展開するため、顧客獲得、新サービスの開発などを2社で強化し進めていくという。

サービス内容、導入事例については、今後発表していく予定。

リテールメディアについて、2024年には米国のリテールメディア市場における広告費が611億5000万ドルに達する見込みと予測されており、日本国内でも取り組みが活発化している。

ZETAは、EC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」の技術を活用し、検索クエリをもとに広告を表示するエンジンとして、サイト内広告最適化エンジン「ZETA AD」を2015年6月にリリース。2019年4月にはプロモーションサーチに対応した。

グループ会社のデクワスでは、2022年7月に広告配信基盤の強みや運用の知見を活かした検索連動型広告ソリューション「デクワス.LISTING」を発表している。

藤田遥

早くも「ChatGPT」を使ったEC関連サービスが登場! 使う前には社内AI利用ガイドラインを作りましょう。【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

2 years 8ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年3月20日~3月26日のニュース

「『ChatGPT』ってなに?」と言っているうちに、それを利用したサービスがどんどん出てきました。「早速使ってみたい!」と思うかもしれませんが、情報漏洩しては意味がないので、まずはガイドラインの作成から。

今のところは商品説明文が効率化されそうです

GMOペパボ、3つのEC関連サービスにて「ChatGPT」APIを活用した機能を提供 | ASCII.jp
https://ascii.jp/elem/000/004/129/4129551/

カラーミーショップ byGMOペパボにてSNS投稿用の宣伝文章を生成する機能「カラーミーAIアシスタント(β)」(ベータ版)をユーザー向けにiOSアプリにて無料で提供。iOSアプリ上の商品設定の画面よりカラーミーAIアシスタント(β)のアイコンをタップするだけで、最短10秒程度でユーザーが登録している商品情報をもとにAIがSNS投稿用の宣伝文章を作成。

何かと話題の「ChatGPT」。早くもこれを利用したサービスが出てきましたので紹介します。最初は「カラーミーショップ」でのSNS投稿用宣伝文作成です。商品説明をたっぷり書いた後に140文字にまとめるのって意外と難しいので、作業がかなり効率化されそうですね。「minne」「SUZURI」にも導入される予定です。

ChatGPTによる革新的な開発: 全工程をChatGPTが主導し、AI商品説明文生成機能を2.5日間で実現 | EC-GAIN
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000035743.html

ChatGPTは、機械学習技術を用いて、商品の特徴を理解し、簡潔で魅力的な商品説明文を自動生成することができます。

この機能により、ブランドやクリエイターは、高品質な商品説明文を短時間で作成することができるようになり、商品の魅力をより効果的に伝えることができます。

また、消費者は、わかりやすい商品説明文によって、商品選びがよりスムーズになります。

こちらも同じようなツールです。既に競合ツールが出ているということは、商品説明文作成に関してはあっという間に同様のサービスが出てきそうですね。そうなると、ツールを比較するページが出てくるのですが、そのページの文章も「ChatGPT」が作成…という「ChatGPT」だらけの世界になるかも(笑)。

ZETA、ユーザーのクチコミやQ&Aの表現が「ChatGPT」などを使い適切か自動判定する「コンテンツチェック機能」を提供 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10762

ZETAは、「ChatGPT」をはじめとするAIを活用し、ユーザーが投稿したクチコミ、Q&Aの表現が適切かを自動判定する「コンテンツチェック機能」の提供を開始した。

ZETAさんからはユーザーが投稿した文章をAIが判定するというもの。口コミが多く寄せられるところはチェックも大変ですし、担当者さんのメンタルも疲弊しますので、AIが判別してくれるのは大助かりです。

EC業界初!ChatGPTを含むAI技術でAmazon商品のデータ分析&仕入れ判断作業の効率化を実現する「ERESA PRO 2.0」をリリース | イーリサ
https://www.atpress.ne.jp/news/349922

ユーザーは「ERESA(イーリサ)2.0」内で、表示されるデータに対してワンクリックでAIによる分析結果を瞬時に閲覧することができます。基本機能としては、AIによるキーワード、販売データ、商品ページの分析になります。

Amazonの市場分析ツールの回答に「ChatGPT」を使っているサービスです。データの分析はできてもその回答文が良くなければ伝わりませんよね。わかりやすい回答が出てくればユーザーもどんどん使うでしょうから、対人間向けに同じような使い方をするツールは出てくるかもしれません。

クラスメソッド社内のAIサービス利用のガイドラインを策定しました | DevelopersIO
https://dev.classmethod.jp/articles/guideline-for-use-of-ai-services

基本

  • AIサービスを業務利用する場合は、原則として上長の許可を得ること。
  • 検証目的で、業務に直接関連しない情報(テストデータなど)を入力して試すことは問題ない。
    • 業務情報を利用したい場合は、この後の「業務利用する場合」のガイドラインに沿うこと。
  • サービス利用前に、データの取り扱いの規約を必ず確認すること。

ここを意識していない人も多いのでは? 自分が入力した情報がAIの学習に使われてしまうと情報が漏洩してしまう可能性もあります。検証せずに使ってしまうのも問題です。

使ってみたら面白いけど、「使っていたらトラブルになった」では済まされませんので、社内でのルール決めをしてから利用するようにしましょう。

今週の要チェック記事

北の達人・木下社長が明かすWebマーケティング成功の秘訣「ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング」を解説 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10720

とても具体的に書かれています。テクニカルな施策に偏っている人は読んでみてください。

高CVRの商品ページの作り方とは?SOY受賞店舗の「GENELESS」に訊く | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/32277

あえてランキングを参考にせず、独自の訴求で売り上げを伸ばした事例です。

ワーキングマザーが目指す「幸せな商売」のかたち。PONZ SHOP 宮本さん×川村対談 | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/230323-ponzshop/

「値上げというネガティブなメッセージの機会ではあったけれど、結果的にはポジティブにお店のことを知ってもらえるきっかけにもなった」。などなど本当に「幸せな商売」のかたちの事例記事です。

ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
https://www.ipa.go.jp/files/000109337.pdf

そこそこの規模になってきたら意識しないといけないのがセキュリティ。難しいですが読んでおきましょう。

“タイパ”と真逆 ゆっくり会計できる「スローレジ」が支持される理由:思いがけない効果も | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2303/18/news040.html

「スローレジがいいかどうかというよりも、多様化するニーズに対応できたのがよかった」。ユーザーのニーズをとらえたサービス。ここがポイント。

卸モールNETSEAの大型セールイベントNETSEA大恐竜祭、3日間で過去最高の流通額2.9億円を達成 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/32404

卸でこの金額ということは、販売先ではもっと大きな金額になっていますね。

【楽天の常務に聞く2023年の戦略】流通総額10兆円をめざす戦略、配送品質の基準を満たした商品へのラベル付与、OMOは? | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10753

「従来型のECだけではなく、オフラインと関わりを持ったECも構築」も視野に入れているとのこと。

あまり教えてくれないShopifyストアの基本設定の詳細機能 | アプロ総研スタッフコラム
https://www.apro-soken.co.jp/column/shopify/shopify-setting-vol1.html

ホントにあまり教えてくれない内容でした。「Shopify」導入前にご一読を。

今週の名言

杉山知之学長による祝辞|2022年度学位授与式【デジタルハリウッド大学】 | デジタルハリウッド大学|note
https://note.com/dhu/n/nb71507b6921a

みんなを生きるな。自分を生きよう。

他人事だったことが自分事になった時から急にうまく進みだすことってあります。「皆のため」と言いながら、人のせいにしていることはないでしょうか?

筆者出版情報

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める小さい会社のウェブマーケティング必勝法

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める
小さい会社のウェブマーケティング必勝法

森野誠之 著
翔泳社 刊
発売日 2021年10月15日
価格 2,200円+税

この連載の筆者 森野誠之氏の著書が翔泳社から発売されました。小さな会社の“ひとり担当者”が、未経験、低予算、独学でホームページのリニューアルからウェブマーケティングまでを成功させるための指南書です。電子版、オンデマンド印刷版ともにAmazonで発売中です!

この本をAmazonで購入
森野 誠之

JR東日本のECモール「JRE MALL」、2025年に取扱高1300億円をめざすEC戦略とは | 通販新聞ダイジェスト

2 years 8ヶ月 ago
JR東日本の仮想モール「JRE MALL」は、150周年記念グッズやふるさと納税などが後押しとなり拡大が続いている。コロナ禍で変化する環境の中、手応えを得ているEC事業の状況や今後の目標を聞いた

東日本旅客鉄道(=JR東日本)では、運営している仮想モールの「JRE MALL」が、開設から間もなく5年を迎える。鉄道サービスだけにとどまらず、より幅広いシーンで人々のライフスタイルを支えるサービスとして展開。出店者数や利用者数は年々右肩上がりで拡大している。

コロナ禍で鉄道事業を巡る環境が変化を見せる中、鉄道会社ならではのEC戦略や今後の目標について、運営担当の寺迫浩司氏、百瀬祐二氏の両マネージャーに聞いた。

東日本旅客鉄道(JR東日本)運営担当の寺迫浩司氏(左)、百瀬祐二氏
東日本旅客鉄道(JR東日本)運営担当の寺迫浩司氏(左)、百瀬祐二氏

ふるさと納税や独自体験イベントが反響

――取扱商品数や出店数について。

寺迫:公表している2022年9月時点の数字で、会員数は64万人で対前年比145%、出店店舗数は450店で同167%。ここにはふるさと納税の出店自治体も含まれていて、それが大幅に伸びており、22年3月時点では約150自治体だったのが、同9月で約250自治体まで増えた。

JR東日本が運営する「JRE MALL」(画像は「JRE MALL」トップページから編集部がキャプチャ)
JR東日本が運営する「JRE MALL」(画像は「JRE MALL」トップページから編集部がキャプチャ)

寺迫取扱商品数は122万点。以前からビックカメラさんに出店していただいていて、同9月からデータ連携を本格化したことで、そこで100万点以上増えたということがある。ビックカメラさんでは家電だけでなく、雑貨関係など幅広く取り扱っていてそちらの商品も入ってきている。

――出店開拓を強化している印象、その方法や基準とは。

寺迫:基本的にはこちらから営業の声がけをさせていただくケースが多い。モールという業態なので、デイリーな商材を強化したい面があり、まだまだ欠落している部分や十分に賄えていないカテゴリーがあるので、そこを考えながら取り組んでいる。

――利用者数の推移や特に好調だった商品は。

寺迫セッション数や注文数で見ると、前年の1.5倍程度になった。また、22年度は鉄道開業150周年という記念イヤーでもあったので、そこでの関連グッズは独自企画の商品として好評だった。鉄道150周年の記念Suicaをモール限定で販売したり、非常に高額な商品では1500万円の純金製モデルの機関車なども発売した。

寺迫:特徴的なところでは、体験イベントの販売に力を入れた。JRで言うと、以前から行っていた車両基地の公開などをチケット制にしたもの。撮影会や体験ツアーなどを商品として販売し、非常に好評だった。そういった商品の一部はふるさと納税の返礼品としても取り扱われていた。駅長体験など独自性を高めたものもある。

「JRE MALL」内に設けている、鉄道開業150周年を記念したサイト(画像は「JRE MALL」トップページから編集部がキャプチャ)
「JRE MALL」内に設けている、鉄道開業150周年を記念したサイト(画像は「JRE MALL」から編集部がキャプチャ)​​

ファミリー向けとマニア向け、2軸をターゲット

――体験イベント商品などのターゲット層や狙いとは。

寺迫:年齢などを絞ったわけではないが、ファミリー向けと、いわゆる(鉄道)マニア向けというケースでプランをそれぞれで変えて展開している。鉄道ファンは大きく分けるとこの2つになるので、今後はもっと細かく、たとえば女性向けなども含めてアプローチできれば。

もともとは無料でイベントを公開していたが、コロナでそれらの機会が無くなってしまった。イベント再開に当たって、(コロナ禍で)鉄道事業が落ち込んでいたこともあり、しっかりと収入を作るという意図がある。

また、イベントを行う上で、参加者の人数を絞って(情報を)把握したいことからもチケット制とした。今回、150周年ということで、各現場の社員の方たちも熱を入れてイベント企画に取り組んでいるので実績としてあがっている。

――販売元は。

寺迫モール内ではJR東日本が直接販売をしている。当社にあるそれぞれの支社が「支社ショップ」として出店していて、たとえば高崎であれば高崎支社が(その現場に関する)商品を販売しているという形。イベント商品は好評の企画となり、リピーターも見られている。だいたいボリュームゾーンの価格帯は1万5000円くらいで、ライトな内容のものでは撮影会が人気だ。

――地産品のような食品の人気は。

寺迫特産品も含めて継続的に伸びているカテゴリー。一般的にモールでは水や米などが売れやすく、こちらも売れ筋となる。

地産品の食品も堅調な人気を得ている(画像は一例。「JRE MALL」から編集部がキャプチャ)
地産品の食品も堅調な人気を得ている(画像は一例。「JRE MALL」から編集部がキャプチャ)

会員外からの集客も強化へ

――22年のEC市場は全体的にコロナ特需の反動減があったが、こちらでは伸びている。

寺迫:まだまだ成長段階のモールであり、出店者数やふるさと納税が拡大していることでセッション数や注文数が伸びている面もある。

――モールへの集客施策について。

百瀬:前年までは(グループの共通ポイントサービスである)「JRE POINT」を利用促進するためのモールだった(22年10月末時点でのポイント会員数は1319万人)。今期は外部向けのモールとしても展開していこうとする部分が大きい。そこでJR東日本が持つアセットを最大限に活かしていくということになる。リアルでのわかりやすいところでは、駅や電車内の広告をしっかりと活用することがある。

百瀬:私自身、千趣会から来たが、今回、効果があったと感じたものでは、駅の改札口の放送でモールのキャンペーン内容を告知するというもの。直営でないとできない取り組みであり、その放送した内容がさらに(駅構内などの)デジタルサイネージでも掲載されていて、認知拡大につながっている。

デジタルメディアチームを発足、千趣会のノウハウも活用

――販促について。

百瀬:ウェブでの販促設計に関しては、以前はリターゲティング広告などが上手く回っていなかった面もあり、2022年8月に千趣会からのノウハウも提供できる専任部隊として「デジタルメディアチーム」を作って本格的に取り組み始めた

ちょうど、ふるさと納税のピークが10月~12月だったので、ここでリターゲティング広告が効率的に運用できたことで、前年よりも獲得セッション・コンバージョンが取れた。広告内容のクリエイティブや出すタイミングなども含めて、自社で運用・管理を徹底できるようになったことは大きいと思う。

寺迫:関連して22年6月には組織改正も行った。駅ビルやECなどを行うチームの「事業創造本部」に、旅行業や商品企画、ITなどのチームがすべて一緒になって「マーケティング本部」という1つの組織になった。

先ほどのウェブ広告の話もそうだが、電車内での広告の出し方などについても、同じ1つのチームの中でコミュニケーションを図って行えるようになったことが好影響している。

――ポイント会員外からの新規顧客は増えているか。

百瀬最終的にはポイント会員になっていただくのがグループの目標であり、モールを利用するために会員になろうという人は徐々に増えている。まだまだ、スピードは足りないとは思うが、それでも10万人単位で伸びている。

25年に取扱額を1300億円へ

――今後の施策や目標について。

寺迫25年にモールの取扱額として1300億円をめざしていることに変わりはない。まだ、モールとしてはカテゴリーが完全に充足できているわけではないため、たとえば、スポーツ・アウトドア系、Bookなどのカテゴリーを充実させていくことがある。

スポーツやアウトドア系のカテゴリーは今後さらなる充実を図る(画像は「JRE MALL」から編集部がキャプチャ)
スポーツやアウトドア系のカテゴリーは今後さらなる充実を図る(画像は「JRE MALL」から編集部がキャプチャ)

寺迫:あとはふるさと納税も、今大きく伸ばしていきたいところ。従来だと肉や魚のような商品があるが、当社らしく鉄道を利用した独自の返礼品も提供したいと思う。例えば、新幹線と宿泊のセットであったり、観光列車を絡めた返礼品などは研究していきたいところ。

ふるさと納税のさらなる引き合い増加も期待される(画像は「JRE MALL」から編集部がキャプチャ)
ふるさと納税のさらなる引き合い増加も期待される(画像は「JRE MALL」から編集部がキャプチャ)

――ライブコマースなど、新しいEC関連ツールへの興味は。

寺迫:興味はなくもないが、現行のシステム的な限界も色々あるため、今後システムをどう見直していくのかを含めて考えていくところかなとは思う。

――金融サービスへの参入など、鉄道事業以外での動きも活発化しているが、その中でEC事業の位置付けとは。

寺迫:1つはJREポイント経済圏をしっかり確立していきたいということ。その中で、ポイントを使うこともできて貯めることもできることがモールの大きな特徴になる。鉄道に乗って貯められるようにもなっているので、そうしたものの魅力を高めていく1つのツールとして機能させていくことが大事。

また、提供するカテゴリーが広がっていけばさまざまなライフスタイルのシーンで使ってもらえることになるので、比較的若い層から年配の顧客まで幅広い層にリーチできる。そうしたところを強化していくことでグループ内のECとして確立していきたい

「リアルの強みをECにも生かしたい」

――23年のEC市場の展望について。

寺迫:我々は鉄道の会社であり、鉄道利用自体はやはりコロナ禍において回復途上にある。リアルでの移動やショッピングなどは回復しつつあるが、とは言え、コロナ前にすべて戻るかというとそうではない。

たとえば、在宅勤務が増えたりするなど人々の働き方やライフスタイルも変わっていっている。その中でECや通販はしっかりと伸びているカテゴリーだと思うので、そこの部分は我々はまだまだチャレンジャーの立ち位置であり、拡大できる余地があるので、積極的に成長させていきたいと考えている。

鉄道というメインの事業がありながらも、駅ビルやエキナカ、ホテルなども含めた大きな企業グループであり、そのリアルの強みをどうやってネットでも生かしていくかが我々のチャレンジになるかと思う。

その中で利用してもらうためにはどういった形で価値を届けられるかが重要になるだろう。独自性やオリジナリティのある商品をしっかりと企画していけるか、また、UI・UXも含めた使い勝手の良さなどは継続的に改善していく必要がある。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

→ 年間購読を申し込む(通販新聞のサイト)
通販新聞の過去記事を読む(通販新聞のサイト)
→ 通販新聞についてもっと詳しく知りたい

通販新聞

ヤフーの「Yahoo!ショッピング」、LINE公式アカウントで在庫状況、再入荷情報、発送の通知を送る機能を搭載

2 years 8ヶ月 ago

ヤフーは、ECモール「Yahoo!ショッピング」のLINE公式アカウントにおいて、ユーザーが登録したお気に入り商品の在庫状況や再入荷情報、購入した商品の発送通知などが受け取れる機能の提供を開始した。

「Yahoo!ショッピング」のLINE公式アカウントを通じて、ユーザーは自身が登録しているお気に入り商品の在庫状況、売り切れとなっていた商品の再入荷情報を受け取れる。買い逃しを減らし、より便利に買い物が楽しめるようになるとしている。

出店店舗は手間をかけずに、ユーザー1人ひとりに適した情報を届けることで、より便利でお得なお買い物体験を提供。出店者とユーザー双方の機会損失減につなげる。

ユーザーは、購入した商品の発送通知と配送状況についても、「LINE」アプリ経由で確認できるようになる。円滑に荷物を受け取れるようになる環境の創出で、再配達の減少にもつながるとしている。

今回の機能を使用するには、「Yahoo!ショッピング」の専用ページから「LINEの通知を受け取る」を選択、「Yahoo!ショッピング」LINE公式アカウントを友だちに追加することで、在庫状況や発送通知などの情報を「LINE」アプリ上で受け取れる。

ヤフーは、ECモール「Yahoo!ショッピング」のLINE公式アカウントにおいて、ユーザーが登録したお気に入り商品の在庫状況や再入荷情報、購入した商品の発送通知などが受け取れる機能の提供を開始した
今回の機能の使用方法

「Yahoo!ショッピング」は2021年3月、ユーザーとの新しいコミュニケーションツールとして「LINE公式アカウント」を開設。現在、友だち数は約600万人(2023年3月23日時点)にのぼる。

これまで、「Yahoo!ショッピング」のTOPページや開催中の特集ページの紹介のほか、「5のつく日」などのキャンペーン情報のメッセージ配信、Twitter公式アカウントと連動した「LINE VOOM」の投稿など、「LINE」アプリを通じてユーザーにお得な情報を届けてき
た。

石居 岳

北の達人の木下社長が語る「利益を生みだす一流のマーケッター」になる方法。Webマーケの成果を最大化するノウハウを解説 | 「D2Cの会」が解説、D2Cビジネス成功の秘訣

2 years 8ヶ月 ago
【前編】に続き、北の達人コーポレーションの代表取締役社長・木下勝寿氏が、Webマーケティング成功の秘訣を解説する

北の達人コーポレーションの木下勝寿社長が、売れるネット広告社主宰の「D2Cの会」に登壇し、一代で東証プライム上場を実現した木下氏が実践する「ファンダメンタルズ ×テクニカル マーケティング」の秘訣を解説した。今までにない成果を生み出す「ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング」について、踏み込んだノウハウをお伝えする。

ファンダメンタルズマーケティングを可能にする「4段階セールスコピー」

前編において、クリエイティブ制作ではいきなり広告表現を考えるのではなく、まず「誰に」「何を」伝えるのかを確定させなければならないことをお伝えした。

北の達人コーポレーション 代表取締役社長の木下勝寿氏
北の達人コーポレーション 代表取締役社長の木下勝寿氏

すなわち、「誰に(どのようなターゲットに向けて)」「何を(どのようなUSPを)」伝えるのかが確定して、初めて「どのように」伝えるのかを考える段階に入っていくのだ。この時に有効なのが「4段階セールスコピー」である。

4段階分けの例【薄毛対策の育毛剤】
  • 第1段階(大分類)
    • まずは、薄毛対策をする消費者の選択肢を分類する(「サロンなどに通う」「自宅でケアする」など)。サロンに通うデメリットとして、「通うのが面倒くさい」「押し売りの可能性」があげられる。一方、自宅でケアするメリットには「自分のペースでできる」「いつでもやめられる」などがある。
  • 第2段階(中分類)
    • 上記のメリットを踏まえ、「自宅でケアする」を起点として中分類に入る。自宅でケアする場合の選択肢として「サプリメント」「育毛剤」がある。サプリメントの場合「成分が届いてほしいところに届くかわからない」というデメリットがあり、育毛剤の場合は「直接患部に届く」のがメリットだ。
  • 第3段階(小分類)
    • さらに、「育毛剤」を起点として選択肢を考えると、「サラサラしたテクスチャーのもの」、「ベトベトしたテクスチャーのもの」がある。サラサラした育毛剤は「浸透する前にポタポタ落ちてくる」可能性があるが、ベトベトした育毛剤は「患部に塗った後、長時間残りじっくり浸透する」というメリットがある。
      ただし、ベトベトした育毛剤は「塗った後、髪型に影響を与えてしまう」というデメリットもある。自社がどのような商品を扱っているかによって、競合商品のデメリットと自社商品のメリットを考える必要がある
  • 第4段階(商品分類)
    • 「ベトベトした育毛剤のほうがいい」という結論になった場合、自社商品をベトベトしたテクスチャーの他社の育毛剤と比較していく。
木下氏は4つの段階を経たセールスコピーを提唱している

上記の流れをコピーにすると、次のようなテキストに落とし込むことができる。

「4段階セールスコピー」の例【薄毛対策の育毛剤】
  • 第1段(大分類)
    • 【例】「薄毛対策は長期で取り組むものだから、通うのは大変ですよね。自宅で無理なく続けたいですよね」
  • 第2段階(中分類)
    • 【例】「自宅でケアするならサプリメントと育毛剤がありますが、成分がどこに届くかわからないサプリメントよりも患部に直接届く育毛剤がおすすめです」
  • 第3段階(小分類)
    • 【例】「育毛剤の液体はサラサラしたタイプとベトベトタイプがあります。サラサラタイプは浸透前にボタボタ落ちますが、ベトベトタイプはしっかり患部に届きますよ」
  • 第4段階(商品分類)
    • 【例】「ベトベトした液体タイプの育毛剤ならこれです!」。

競合の商品を1つひとつあげてつぶしていくのは大変だが、このようにグループでほかの選択肢をつぶしていくことによって、効果的にセールスコピーを作成することができる

「2次クリエイティブ」を作れてこそマーケター

「ファンダメンタルズマーケティング」のクリエイティブを制作する際は、まずフィールド情報が必要となる。「フィールド情報」とは、ユーザー情報、商品情報(成分など)、競合情報(メソッド競合、プロダクト競合、他社のクリエイティブなど)などを指す。

「フィールド情報」をもとに「オリエン情報」を抽出し、クリエイティブに生かしていく
「フィールド情報」をもとに「オリエン情報」を抽出し、クリエイティブに生かしていく

このフィールド情報をもとに「オリエン情報」が作られる。「オリエン情報」は、メーカーから代理店や制作会社に渡す情報、あるいは自社で商品企画をしている企業の場合は、クリエイティブチームに渡す情報だ。

たとえば、ユーザーにインタビューした生の情報が「フィールド情報」であり、インタビューした内容をまとめて紙や動画にした情報が「オリエン情報」となる。

フィールド情報の情報量が「1000」だとすると、オリエン情報は「100」まで絞られる。オリエン情報をもとに最初に作られるクリエイティブを「1次クリエイティブ」と呼ぶ。「誰に、何を、どう伝えるか」の部分である。ここでの情報量は「10」までそぎ落とされる。

  • 1次クリエイティブ・リライト

クリエイティブが疲弊(ひへい)してきたときや、新しい媒体に広告を出す際に制作する。文章を多少変える程度なので、情報量は変わらない。

  • 1次クリエイティブ・ブラッシュアップ

他社の類似商品を見て、他社を参考にしながらブラッシュアップする。

  • 1.5次クリエイティブ

オリエン情報に戻って、再度ゼロから再構成する。

  • 2次クリエイティブ

フィールド情報に戻って制作する。ゼロからユーザーインタビューをする、成分を1つひとつ確認するなど、商品の企画までさかのぼる

北の達人コーポレーションでは、2次クリエイティブを作れる人が「マーケター」で、それ以外を「クリエイター」と定義しているそうだ。

広告を出稿しているとクリエイティブの疲弊が起きてくる。チューニングして延命しても「これ以上伸びない」という状態になったときに、「この商品はもうダメだ」と思うのか、2次クリエイティブを作るのかによって商品の寿命が変わってくる。

自動車で例えると、これまではビジュアル面を売りにしていましたが、実は「加速性も強み」だという場合、加速性を訴求するクリエイティブを作り直すことで、息を吹き返させるのがマーケターの仕事なのです。(木下氏)

北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下勝寿氏

正しいA/Bテストのあり方とは?

ここからはテクニカルマーケティングの領域に入っていく。まず、A/Bテストをする際は、「何」と「どう」のレイヤーを意識するべきだという。

フリースを例に考えてみよう。フリースの特徴が「軽さ」と「暖かさ」だとして、どちらをメインの訴求にするかをテストすることが「何」のレイヤーのA/Bテストになる。

具体的には次のようになる。

「着ていることを忘れさせる軽さ」VS「季節を勘違いしてしまうほどの暖かさ」

このテストの結果、「着ていることを忘れさせる軽さ」がよりクリックされた場合、軽さを訴求した方がよいということがわかるので、次に「どう」伝えていくのかのレイヤーに入っていく。

たとえば次のようなコピーが考えられる。

「着ていることを忘れさせる軽さ」VS「奇跡の200g、スマホ1 個分の軽さ」

ここで「奇跡の200g、スマホ1 個分の軽さ」VS「季節を勘違いしてしまうほどの暖かさ」としてしまうと、レイヤーのずれたA/Bテストになってしまうので、注意が必要だ。

比較レイヤーのずれたA/Bテストでは正しい検証ができないため、注意が必要だ
比較レイヤーのずれたA/Bテストでは正しい検証ができないため、注意が必要だ

売上最大化と利益最大化は違う

D2Cビジネスは、すべて1円単位で数字を細かく計算できるビジネスである。

きっちり計算すれば確実に利益が出るので、利益を出すための計算式が大事になってきます。(木下氏)

木下氏が提唱する“利益を出すための計算式”
木下氏が提唱する“利益を出すための計算式”

D2Cにおける利益は、顧客1人あたりの利益(LTV-CPO)× 顧客獲得数である。ここのバランスを最高値になるようにすることが重要だ。

仮にLTVが1万円で、CPOを6000円、7000円、8000円とすると、1人あたりの利益はそれぞれ4000円、3000円、2000円となる。

CPOが高ければ獲得件数は多くなるので、顧客獲得件数はそれぞれ1000件、1500件、1800件とする。LTVに顧客獲得件数を掛けると、売り上げはそれぞれ1000万円、1500万円、1800万円になる。

多くの人は、顧客1人あたりの利益が黒字であれば、売り上げを最大化すれば利益が最大化すると考える。ただ、全体利益でみるとそうではないケースがある

木下氏は売り上げではなく利益の最大化を狙うことをすすめている
木下氏は売り上げではなく利益の最大化を狙うことをすすめている

「全体利益」とは1人当たりの利益×獲得件数だ。CPOが7000円の場合、全体利益は3000円×1500件で450万円、CPOが8000円の場合、2000円×1800件で360万円となる。

売り上げが大きいのは後者だが、利益が大きいのは前者である。「売上最大化と利益最大化は違う」ということがわかるだろう。

広告運用をする際は、CPOを上げれば上げるほど獲得件数が増えていく。ただ、CPOを上げることによって利益の減少が起きるので、この計算をきっちりしていないと獲得件数は増えても利益が減るという事態になってしまう。

 売り上げを下げても利益を最大化する方法とは?

北の達人コーポレーションでは、「売り上げ」よりも「利益」の最大化に注力している。それを下支えしているのが「売り上げ最小化、利益最大化の法則」である。

たとえば、年間LTV1万1000円、上限CPO1万円、年間目標利益1000円の案件があったとする。1000万円の広告費をかけて1000件の顧客を獲得した場合、CPOは1万円となる。年間売上は1100万円、年間利益は100万円、利益率は9%だ。

ここで、広告の内訳をキャンペーン単位、もしくは広告原稿単位で詳しく見ていこう。

広告Aは300万円、広告Bは100万円、広告Cは600万円で、計1000万円の広告費をかけていたとする。獲得件数はそれぞれ375件、125件、500件で合計1000件であった。CPOで見ると、それぞれ8000円、8000円、1万2000円となる。

広告全体の平均CPOは1万円だったが、CPO1万2000円の広告Cは上限CPOを超えており、1年で見ると赤字であることがわかる。

この広告Cを止めると、売り上げ550万円、利益150万円、利益率27%となり、売り上げは半減するが、利益は1.5倍、利益率は3倍になる。これが「売り上げ最小化、利益最大化の法則」が意味するところだ。

CPOの上限を超えている広告をあぶり出し、利益の最大化につなげていく
CPOの上限を超えている広告をあぶり出し、利益の最大化につなげていく

通販・D2Cビジネスは、広告さえ出せば売上は絶対に上がるが、どうやって利益を出していくかが重要になってくる。

北の達人コーポレーションでは、運用している広告に対し、デイリーでCPOを計算し、上限CPOを超えているキャンペーンを停止し、採算が合っている広告しか回らないような仕組みにしている。

ストップした広告は、CPO、CVR、CPCなどの数字を見て、広告原稿や出稿条件などをチューニングして再出稿。採算が取れている広告のみを残すようにしている

近年は、広告出稿量が増加してCPOが高騰する中、採算の合わない広告を出している事業者が多い。1社1社がWebマーケティングのスキルを上げて、採算の合わないムダな広告を出さなくなると、事業者の利益が増える。

無駄な広告がなくなり、ユーザーにとってWebメディアが使いやすくなると、メディアの視聴時間が増えて広告枠が増える。メディアの売り上げも上がる

無駄な広告をなくすことによって、広告主・ユーザー・メディアのハッピーなトライアングルが完成すると考えています。1社1社のスキルアップがデジタルメディアの世界を変えていくのです。(木下氏)

北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下勝寿氏

次回の「D2Cの会 フォーラム」は、2023年6月15日の開催を予定している。

店舗を運営する知っておくべき「MEO」とは? SEOやローカルSEOとの違い、重要性などMEOの基礎を徹底解説 | 店舗ビジネスに役立つ『口コミラボ』特選コラム

2 years 8ヶ月 ago
「MEOの意味は?何の略?」「MEOとSEOの違いは?」「MEOの重要性は?注目されている3つの理由」を解説します

MEOとは、Googleに載っているお店・施設の情報を充実させることで、Google上での露出増加(上位表示)、集客・売上向上を目指す取り組みのことを指します。「MEO対策」とも呼ばれます。

GoogleマップやGoogle検索が「お店探し」に利用されるようになった現在、MEOは飲食店や小売店、観光施設などをはじめとした実店舗における集客施策として注目され始めています。

そこで本記事では、MEOの意味、MEOとSEOの違い、MEOの重要性などについて詳しく解説します。

MEOとは?SEOとの違いや重要性をわかりやすく解説
▲MEOとは?SEOとの違いや重要性をわかりやすく解説:編集部作成

MEOの意味は?何の略?

MEOとは、Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)の略で、日本語に直すと「Googleマップの検索エンジンに向けて最適化する」という意味になります。

しかし、これでは「最適化とはなんなのか?」と疑問に思ってしまいますよね。結局何を意味しているのか、よくわかりません。

では「最適化」とはなんなのかというと、

  • Google上のお店・施設の情報を充実させる
  • GoogleマップやGoogle検索で検索された際に、できるだけ多く表示させる(上位表示)
  • 表示された際に、来店したくなるような情報を伝えることで集客・売上向上につなげる

といった取り組み、施策内容のことを指して言われることが多いようです。

わかりやすく図にすると、以下のようになります。

MEOとは?
▲MEOとは?:編集部作成

まとめると、

MEOとは、Googleに載っているお店・施設を充実させることで、GoogleマップやGoogle検索での露出増加(上位表示)、集客・売上向上を目指す取り組み

だと言えるでしょう。

2023年3月現在では、一般的な知名度は低い状況ですが、Webマーケティングや実店舗の集客に詳しい人たちの間では、徐々に浸透してきている言葉です。

ここまでのポイント

MEOは、Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)の略。

Googleに載っているお店・施設の情報を充実させることで、Google上での露出増加(上位表示)、集客・売上向上を目指す取り組みのこと。

MEO=上位表示?MEOの本質とは

MEOは「Googleマップで上位表示を目指す」取り組みであると定義されることも多いのですが、この定義にはいくつかの問題があります。

まず、Googleマップでは、必ずしも「1位が選ばれやすい」というわけではありません。必ず2位や3位以降と”比較”された上で選ばれるので、「1位に上がったから集客力が上がる」というものではないのです。上位に表示されるだけではなく、表示された後に選ばれるようにするための工夫も、施策として必要になります。

また、1位になったとしても、そのキーワードが全く検索されていないものだったら、集客にはつながりません。検索される頻度が多く、かつ店舗に合ったキーワードで表示されることが重要です。

さらに、検索結果は「どこから検索されたか(距離)」や「時間帯」などによっても細かく変わります。

例えば、あるラーメン屋の店主が、休憩時間中に店内で「ラーメン」と検索した際、自分の飲食店が1位になっていたとしましょう。つい喜んでしまうと思いますが、検索結果には「距離」が影響するので、自分のお店のそばで検索した際に上位に表示されるのは当たり前といえば当たり前なのです。もしかしたら、駅前で検索されたときには表示されていないかもしれませんよね。

このように、いつ・どこで検索した際に上位表示されたのかによっては、全く役に立たない指標となってしまう可能性もあるのです。

ここまでのポイント

Googleマップでは、必ずしも「1位が選ばれやすい」というわけではない。

1位になったとしても、そのキーワードが全く検索されていないものだったら、集客にはつながらない。

いつ・どこで検索した際に上位表示されたのかによっては、全く役に立たない指標となってしまう可能性もある。

以上の理由から、「MEO=上位表示(順位さえ上がればよい)」という考えで、順位だけを調べて「上がった」「下がった」と一喜一憂するのは、本質的ではないと言えます。

ただし、ここまで「上位表示を目指すという考え方=悪」のように述べてきてしまいましたが、「上位表示」を目指すことが完全に悪手というわけでもありません。例えば、「店舗から近い最寄り駅で、多く検索されているであろうキーワードで検索した際、以前は全く表示されていなかったのに1位に上がった」としたら、集客力は上がる可能性が高くなりますよね。

いずれにせよ最終的な目的は「集客・売上の向上」のはずなので、それにつながる取り組みであることが重要だと言えます。

ここまでのポイント

「MEO=上位表示」ではない。

最終的な目的は「集客・売上の向上」なので、それにつながる取り組みであることが重要。

MEOの由来は?海外では通じない!?

MEOという言葉は、「SEO」から来ています。

SEOとは、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略で、日本語に直すと「Google検索の検索エンジンに向けて最適化する」という意味になります。こちらはMEOよりももっと以前から使われている言葉ですので、知っているという方も多いでしょう。

MEOは、この「SEO(Search Engine Optimization)」の「S(Search)」を「M(Map)」に置き換えてできた言葉です。

ちなみに、SEOは海外でも使われている言葉ですが、実はMEOは日本で作られた言葉(和製英語)ですので、海外では通じません。

海外では「Local SEO(ローカルSEO」という言葉が似たような文脈で使われています(詳細は後述します)。日本でも「ローカルSEO」という言葉を使う人もいますが、MEOの方が比較的知名度が高いと思われます。

ここまでのポイント

MEOは、「SEO(Search Engine Optimization)」の「S(Search)」を「M(Map)」に置き換えてできた言葉。

海外では「Local SEO(ローカルSEO」という言葉が似た意味で使われている。

MEOとSEOの違いは?

MEOとSEOの大きな違いは「Googleマップ」に向けた施策であるか、「Google検索」に向けた施策であるかという点です。

ただし、Google検索上にもGoogleマップ上の情報が表示されることがあるので、「MEOはGoogleマップ"だけ"に向けた施策である」というのは正確ではありません。

この関係性を正確に理解するために知っておきたいのが、「ローカル検索」という概念です。例えばGoogle検索で「レストラン」などと検索してみると、複数のお店の情報と地図が上部に表示されます。このような、ある地域に位置する施設の情報を検索することを、ローカルな情報を検索するという意味で「ローカル検索」といいます。

ローカル検索とは
▲ローカル検索とは:編集部作成

Googleはこの「ローカル検索」に最適な情報としてお店の情報や地図を表示していて、この情報枠には、Googleマップ上の情報とほぼ同じものが掲載されているというわけです。

そこで、MEOは「Googleのローカル検索」、SEOはそれ以外の通常の検索に向けた施策だと定義できます。

他に、実施する施策もMEOとSEOでは異なります。MEOでは、Googleマップ上の施設情報管理ツール「Googleビジネスプロフィール」を中心に施策を行っていくのに対し、SEOでは公式のHP(ホームページ / Webサイト)などを活用した施策を行っていくという点で異なります。

さらに、MEOはGoogleマップ上で集客できる(Googleビジネスプロフィールが使える)ビジネスでないと実施できませんので、SEOよりも施策として採用できるかどうかが限られる、というのも違いの一つです。

例えば賃貸物件などはGoogleビジネスプロフィールに登録できません。また、SEOではブログを活用して収益化する、いわゆるアフィリエイトのような収益化方法がありますが、MEOではなかなかそうした収益化の方法はなく、基本的に実店舗や何らかの施設を持っている、または管理・運営に関わっている方が実施する施策です(※一部、デリバリーや訪問型サービスなどは「非店舗型」ビジネスとしてマップ上に登録できます)。

また、先述した通り、Googleマップでは必ず2位や3位以降と”比較”された上で選ばれるので、MEOでは「1位に上がったから集客力が上がる」というものではありませんが、SEOでは基本的に上に表示されていればいるほどクリックされやすい傾向にあります(これが、MEOで「上位表示」が最重要であると勘違いされやすい原因の一つでもあります)。

ここまでのポイント

MEOは「Googleのローカル検索」、SEOは通常の検索に向けた施策。

MEOはGoogleビジネスプロフィールを中心に活用する、SEOは公式のHPを中心に活用する。

MEOでは「1位に上がったから集客力が上がる」わけではないが、SEOでは上位の方がクリックされやすい。

MEOとSEOの共通点

一方で、MEOとSEOには、共通点もあります。

実はMEOという言葉に使われている「Map Engine」(Googleマップ固有のエンジン)というのは、存在しません。Googleマップも、Google検索と同じ検索エンジンで動いています。

SEOもMEOも、同じGoogleの検索エンジンに最適化し、ユーザーに見てもらうための施策ですので、方法は違っても根本的な考え方は似ていたりします。

例えばGoogle検索では、検索ユーザーのことを考えず、検索エンジンに当たるためだけにキーワードを並べたり、同じコンテンツを大量に生成したりする行為はスパムとして判定されますが、これはGoogleマップでも同じです。

以上のようなMEOとSEOの違い・共通点を押さえて、施策に活かしていきましょう。

ここまでのポイント

GoogleマップもGoogle検索も、検索エンジンは同じ。施策の考え方は一部似ているところがある。

MEOとローカルSEOの違いは?

先述した通りMEOが日本国内で生まれ、日本でしか使われていない言葉であるのに対し、Local SEO(ローカルSEOは海外で生まれた言葉です。先ほど言及した、「ローカル検索」に最適化する手法という意味合いで使われます。

MEOは基本的にGoogleマップを対象とした施策ですが、ローカルSEOに関してはApple Mapsのような他の地図サービスや、ローカル情報のポータルサイトなども対象としている場合があるようです。

とはいえ、地図アプリの中でのGoogleマップ、検索エンジンの中でのGoogle検索のシェアは圧倒的で、海外のLocal SEO(ローカルSEOもやはりGoogleを中心としたものになっていることが多くなっています。

ちなみにMEOについても、Apple Maps、Yahoo!マップなどの地図全てを対象にする場合や、Googleマップの表示順位等に影響のある施策であってもGoogleビジネスプロフィール以外の施策は対象としない場合があるなど、語る人によって定義が分かれることがあります。

そのため、MEOとローカルSEOの違いについても「MEO≒ローカルSEO」「MEOはGoogleマップだけ、ローカルSEOはほかのサービスも含む」「MEOもローカルSEOもGoogle以外を対象とする場合がある」など、定義はさまざまとなっています。

ここまでのポイント

Local SEO(ローカルSEOは海外で生まれた言葉。

Apple Mapsのような他の地図サービスや、ローカル情報のポータルサイトなども対象としている場合がある。

ただしGoogleが圧倒的な利用率を占めることから、海外のLocal SEO(ローカルSEOもやはりGoogleを中心としたものになっていることが多くなっている。

MEOの重要性は?注目されている3つの理由

MEOが注目され始めている3つの理由を解説します。

1. 多くの人がGoogleマップを「お店探し」に使っている

Googleは、2015年ごろから「近くの〇〇検索」CMを定期的に公開しています。GoogleマップやGoogle検索を「お店探し」に使ってもらえるよう、Google側でもブランディングを進めていたことがわかります。

その使いやすさや、情報の網羅性を背景に、Googleは日本でのシェアを拡大。現在も検索エンジン、地図アプリともに日本国内のシェア率1位を誇っています。

地図アプリ 月間利用者数 Googleマップ 4,717万人で1位
▲地図アプリ月間利用者数はGoogleマップが4,717万人で1位:ニールセン デジタルコンテンツ視聴率 地図・旅行情報カテゴリ 2020年
直近 Google検索利用率 約77% statcounter
▲日本における直近のGoogle検索利用率は約77%:statcounter 2022.2-2023.2

そこで、多くの人がお店を探すのに使っているGoogleマップを集客に活用するという取り組みが、店舗の集客として注目され始めたのです。全く見られていない場所で宣伝をするよりも、はるかに効率的な集客ができるというわけです。

また、GoogleマップやGoogle検索は世界的にも使われています。世界のアプリダウンロード数ランキングでは、2021年に旅行系アプリで最も多くダウンロードされたのがGoogleマップで、約1億600万ダウンロードでした。またstatcounterによると、検索エンジンにおけるGoogle検索のシェアは約90%です。

そのため、MEOはインバウンド対策としても有効です。しかも、Googleでは多くの情報が自動で翻訳されるので、国内向けの対策の一部はそのままインバウンド対策としても機能します。

一方で、公式HPやSNSの対策に比べて、Googleマップ向けの対策がどれだけ効果的なのかと疑問に思われる方もいるでしょう。

実は、Twitterの月間利用者数は4,500万人、Instagramの月間利用者数は3,300万人。(調査元が違うため単純比較はできないものの)Googleマップの方が月間利用者数が多いのです。しかも、SNSよりも「お店探し」に使われる割合は高いはず。SNSのように"バズって"広がっていくようなことはないものの、Googleマップのほうが手堅い集客には役立ってくれます。

では、HPと比べたときの効果はどうでしょうか。

これについて、ある有名飲食チェーン店のデータを確認したところ、Googleマップ(ローカル検索)の閲覧数がHPの閲覧数の3倍となっていました。有名チェーンのしっかりと整備されたHPですら、Googleマップに勝てないのです。そして中小規模の店舗になるとさらにこの差は大きく、最大40倍になっている店舗もありました。*

今や「MEOは、SEOよりも重要」になっているのです。

SEO MEO 重要性 閲覧数 インサイト
▲Googleマップの閲覧数はHPの閲覧数の3倍に:編集部作成

* movクライアント実績データ。Googleマップの閲覧数は、Googleビジネスプロフィールの旧インサイト「検索数」より。HPの閲覧数はGoogleアナリティクスより

<データ参照>

2. 簡単に始められて、操作も比較的簡単なので続けやすい

MEOとHPでの集客を、違った視点から比べてみましょう。

HPでは、記事の投稿はもちろん、お店の方が簡単に投稿できるような仕組み(「CMS」と呼ばれたりします)の更新なども必要になります。

SEOやシステムの更新、記事の投稿などを専門家に依頼するとなると、相当な費用がかかる可能性があります。

一方で、GoogleビジネスプロフィールはGoogleがシステムを更新してくれますので、お金を払ったり、こちらでシステムを更新したりする必要はありません。

さらにアクセス解析をしたい場合、HPの場合は「Googleアナリティクス」と呼ばれる分析ツールなどと連携しなければならず、ハードルが高くなっています。

一方で、Googleビジネスプロフィールでは「パフォーマンスレポート(旧:インサイト)」という機能があり、連携などしなくても自動でデータを表示してくれます。HPよりは簡単に操作できるので、ウェブ初心者でも比較的始めやすく、継続的に使っていけるでしょう。

もちろんHPも店舗集客には非常に重要で、MEOでもHPでの施策が影響してきますので、MEOをやっていれば、他の施策は全くやらなくていいというわけではありません。

ですが、多くの人がお店探しに使っているGoogleマップに向けた取り組みを全く行わず、HPだけ更新しているという状況なのであれば、「簡単にできるのに、もったいない!」と言えます。まずは登録し、情報を更新するところからやってみましょう。

3. 無料で始められる

Googleビジネスプロフィールの利用は、2023年3月時点では無料です。

無料で・簡単に・大きな集客効果が期待できるのですから、もはや"やらない手はない"と言えるでしょう。

一方で、管理する施設が多いと、Googleビジネスプロフィールの機能だけでは手間がかかりすぎてしまう場合もあります。

例えば、Googleビジネスプロフィールでは複数の施設に一括で投稿する機能がありません。基本的に管理画面が分かれていますので、営業時間を更新したり、情報をチェックしたりするにも手間がかかります。

そういった場合は、有料にはなりますが、一括で管理できるツールの導入を検討すると良いでしょう。

ここまでのポイント

1. 多くの人がGoogleマップを「お店探し」に使っているので、MEOを実施すれば効率的な集客ができる。

2. 簡単に始められて、操作も比較的簡単なので続けやすい。

3. MEOは無料で始められる。

この記事を書いた「口コミラボ」さんについて

「口コミラボ」は、様々な地図アプリ・口コミサイトの監視、運用、分析を一括管理できる店舗向けDXソリューション「口コミコム」が運営する店舗ビジネス向け総合メディアです。近年、企業の評判管理が重要視されるなか、特に注視すべきGoogleマイビジネスを活用したローカルSEO(MEO)や口コミマーケティング、それらを活用した集客事例から、マーケティング全般、店舗経営のハウツー、業界動向データにいたるまで幅広い情報を紹介します。

口コミラボ

通販エキスパート検定、試験科目に「フルフィルメントCX」追加。CX向上やマーケにつながるフルフィルメントを学ぶ機会に

2 years 8ヶ月 ago

一般社団法人通販エキスパート協会は、新規試験科目「フルフィルメントCX」を第20回通販エキスパート検定で導入する。

フルフィルメント部門がより良い顧客体験を生み出すために必要なことについて学び、フルフィルメントCXのスペシャリストとして活躍するための資格試験と位置付ける。

CX向上やマーケティングにもつながるフルフィルメントを学ぶ

「通販エキスパート検定」は、通販業界で必要とされる知識やスキルを把握し、実践的な能力を評価することができる資格試験。試験はテスト会場とオンラインで実施している。

試験科目には、「ベーシックコース」として3級、2級、1級の3つのレベルがある。初めて通販、ECに携わる人から、マネージャーや部門長、ネットショップ経営者まで、経験やポジションに合わせて受験することで、現在の業務に役立つ知識を習得できるという。

今回、「ベーシックコース」とは別に、専門的な知識を身に付けるスペシャリストコースに「フルフィルメントCX」を導入した。次のような人に受験を推奨している。

  • 通販ECに携わるコールセンター、物流および倉庫、債権管理、情報システムの担当者
  • 商品、マーケティングなどの企画担当者
  • CX(顧客体験)推進部門の担当者
フルフィルメントはマーケティングと連携し、顧客体験の向上につなげることができるフルフィルメントはマーケティングと連携し、顧客体験の向上につなげることができる(画像は通販エキスパート協会のホームページから編集部がキャプチャ)
フルフィルメントはマーケティングと連携し、顧客体験の向上につなげることができる(画像は通販エキスパート協会のホームページから編集部がキャプチャ)

【第20回通販エキスパート検定】

  • 試験日程:4月3日(月)~6月30日(金)※試験期間中、都合の良い日程で受験可能
  • 受験申込:受付中~テスト会場受験、受験希望日の3日前
  • オンライン受験:受験希望日の5日前
  • 試験科目:1~3級、カスタマー・セントリシティ、通販CXマネジメント

「フルフィルメントCX」のみ

  • 試験日程:5月15日(月)~6月30日(金)
  • 受験申込受付:4月3日(月)~6月30日(金)
高野 真維

DINOS CORPORATION、カタログの古紙を再資源化し再びカタログとして活用するリサイクルをスタート

2 years 8ヶ月 ago

DINOS CORPORATIONは、カタログの古紙を再資源化し、新たなカタログ用紙として活用する取り組みを始めた。

カタログ用紙の調達先である日本製紙と連携。DINOS CORPORATIONが発行したカタログ(顧客への配布用と書店販売用)の古紙を、流通業者を経由して日本製紙が買い受け、石巻工場で再資源化する。

DINOS CORPORATIONは生産された用紙を使用し、新たなカタログとして発行する。古紙を長期的、安定的に印刷用紙の原料として循環させることをめざす。

カタログ古紙の「クローズド・ループ」の構築

カタログ販売を展開する通販ブランド「ディノス」では、住所不明などの理由による返送、店頭から返本されたカタログは、検本した上で利用可能なカタログは再使用するなどリユースを行ってた。ただ、再利用できないと判断したカタログは、古紙として流通業者を通じ国内製紙メーカーへ販売していた。

DINOS CORPORATIONと日本製紙は、消費された製品を新たな資源と捉えて再製品化する「クローズド・ループ」の形式で、カタログ古紙を国内循環させる。

瀧川 正実

「au PAY マーケット」で障害【3/17に復旧】/北の達人・木下社長が明かすWebマーケティング成功の秘訣 | 週間人気記事ランキング

2 years 8ヶ月 ago
2023年3月17日~2023年3月23日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. KDDIグループのECモール「au PAY マーケット」で障害、アクセスできない状況が続く【3/17に復旧】

    障害が発生しECモールへのアクセスができなくなったのは3月16日の16時5分頃。3月17日15時点でまだ再開できていない

    2023/3/17
  2. 北の達人・木下社長が明かすWebマーケティング成功の秘訣「ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング」を解説

    北の達人コーポレーションの代表取締役社長・木下勝寿氏が、Webマーケティング成功の秘訣を解説する【前編】

    2023/3/20
  3. 日本航空がスマートフォン決済サービス「JAL Pay」、2023年度にはタッチ決済など集約した新アプリをリリース予定

    JALは、約3000万人の顧客基盤に対して航空以外の日常生活でサービスを提供し、マイルの「ためる」「つかう」領域を拡大する「JALマイルライフ構想」を推進している

    2023/3/22
  4. 香水EC市場に新たな風! テクノロジーで香水のファンマーケティングに成功した「カラリア」の独自戦略とは

    「カラリア」で香水のサブスクリプションサービスを提供するHigh Linkに、ファンを増やす“仕掛け”などマーケティングの成功事例を聞いた

    2023/3/20
     
  5. GMOペパボ、「ChatGPT」を活用したマーケティング支援機能を提供開始

    SNSの集客に利用できるPR文、商品説明文を自動生成する機能を「カラーミーショップ」「minne」「SUZURI」に提供する

    2023/3/23
     
  6. 予約抽選倍率は最大52倍。ANAとオンワードのルームシューズ、ヒットの秘訣とは

    ANAとオンワード商事は、共同事業で旅客機のシートカバーをアップサイクルした商品を複数回販売してきた。予約抽選販売の倍率は最大で52倍に達している。両社の担当者に取り組みを詳しく聞いた

    2023/3/22
     
  7. ECならではのSEO対策とは?押さえておきたい基礎知識+外部サービスを検討するときのポイントを解説

    Googleにページを認識させる「インデックス」の重要性など、ECサイトならではのSEO運用のコツと、SEOの外部サービスを利用するときのポイントを詳しく解説

    2023/3/22
     
  8. 【楽天の常務に聞く2023年の戦略】流通総額10兆円をめざす戦略、配送品質の基準を満たした商品へのラベル付与、OMOは?

    前期比2桁増の成長を続けている「楽天市場」。常務執行役員の松村亮氏に、楽天グループならではのエコシステムなど成長の理由と、OMOをはじめとした今年の戦略を聞いた

    2023/3/23
     
  9. パルコがECサイト「ONLINE PARCO」を刷新。独自コンテンツ発信でファン作りをめざす共創型ECの取り組みとは

    電子チケットや抽選販売など「PARCO MEMBERS」会員だけの販売機能の実装や、決済手段の拡大、表示速度改善などを行った

    2023/3/20
     
  10. スタッフ1人ひとりがLINEで顧客とつながる「LINE STAFF START」とは? 2種類の使い分けができる最新接客DX

    バニッシュスタンダードが提供する、LINEの公式アカウントを通じてスタッフが顧客とコミュニケーションできるサービス「LINE STAFF START」を解説

    2023/3/20
     

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

藤田遥

配送費2000万円/年の削減可能性を見込むオルビスの施策とは?機械学習を使って梱包サイズを最小化する実証実験

2 years 8ヶ月 ago

オルビスは、発送時の梱包サイズを機械学習によって最小化し、配送コスト削減をめざす実証実験を実施する。

商品データ・出荷データ・梱包材の価格データを元に機械学習によって最適な梱包サイズを算出。物流現場と連携し、商品が破損しない範囲で梱包を最小化して配送コストの削減をめざす。従来は商品サイズから梱包箱のサイズを決定していた。

オルビスは、発送時の梱包サイズを機械学習によって最小化し、配送コスト削減をめざす実証実験を実施
配送コスト削減をめざす取り組みの内容

実証実験開始前の効果検証では、1か月分のデータを元にシミュレーションを実施、最大で年間約2000万円の配送費を削減できるという結果を確認した。

今後は物流現場で分析結果を活用する実地検証を始め、2023年中の本番導入をめざす。

実証実験は、データサイエンスで企業と社会の課題を解決するDATAFLUCTと実施する。DATAFLUCTの機械学習サービス「Perswell」とデータプラットフォーム「AirLake」を組み合わせ、オルビスの商品データ・出荷データ・梱包材の価格データを元に機械学習で最適な梱包材のサイズを算出する。

オルビスは、発送時の梱包サイズを機械学習によって最小化し、配送コスト削減をめざす実証実験を実施
実証実験のスキーム

オルビスは通販向け出荷ラインにAGV(無人搬送ロボット)、直営店舗・BtoB向け出荷ラインに重量計を搭載した最新のAMR(自律走行搬送ロボット)を導入するなど、テククロジーの活用によって物流システムの自動化、省人化を促進している。

さらなる効率化をめざすなか、実現可能性があるとして着目したのが「梱包のダウンサイジング」だった。将来的には新たな配送方法への対応や、グループ共通の新たな梱包規格や梱包資材を作ることも検討し、より効率的な配送をめざしていく。

石居 岳

日米仏のフードデリバリーサービス利用状況、月1回以上利用はアメリカが58.4%で最多、日本は23.5%

2 years 8ヶ月 ago

MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「日米仏3ヶ国比較:都市部消費者の食の意識・動向調査」によると、日米仏都市部在住の20代~40代でフードデリバリーサービスを月1回以上利用する人は、アメリカが58.4%で最も高かった。調査対象は、日本(東京)、アメリカ(ニューヨーク)、フランス(パリ)に住む20歳~49歳の男女。期間は2023年2月15日~2月20日。

日米仏都市部在住の20代~40代、フードデリバリーサービスを月1回以上利用はアメリカが最多

調査対象者にフードデリバリーの利用について聞いたところ、「利用したことがある」と回答したのは日本が66.3%、アメリカが84.5%、フランスが85.0%だった。月1回以上利用しているのはアメリカ(58.4%)で、フランス(54.2%)、日本(23.5%)が続いた。

MMD研究所 調査データ 日米仏3か国比較  都市部消費者の食の意識・動向調査 フードデリバリーサービスの利用頻度
フードデリバリーサービスの利用頻度(国別、出典:MMD研究所)

フードデリバリーサービスの注文方法、「フード注文・配達プラットフォームのアプリ・サイト」が最多

「直近1年間にフードデリバリーサービスを利用した」と回答した人に、フードデリバリーサービスの注文方法について聞いたところ、3か国ともに「フード注文・配達プラットフォームのアプリ・サイト」が最多で、日本が65.0%、アメリカが80.3%、フランスが79.6%だった。

MMD研究所 調査データ 日米仏3か国比較  都市部消費者の食の意識・動向調査 直近1年間でのフードデリバリーサービスの注文方法
直近1年間でのフードデリバリーサービスの注文方法(国別/複数回答可、出典:MMD研究所)

フード注文・配達プラットフォームのアプリ・サイト、3か国とも「Uber Eats」がランクイン

「直近1年間にフード注文・配達プラットフォームのアプリ・サイトを利用した」と回答した人に、利用したフード注文・配達プラットフォームのアプリ・サイトを聞いた。その結果、日本は「Uber Eats」(70.6%)が最多。次いで「出前館」(69.9%)「menu」(25.2%)だった。

アメリカは「DoorDash」(71.5%)が最も多く、次いで「Uber Eats」(69.2%)「GrubHub」(51.4%)だった。フランスは、「Uber Eats」(87.0%)が最多で、次いで「Deliveroo」(61.3%)「Just Eat」(30.0%)。

MMD研究所 調査データ 日米仏3か国比較  都市部消費者の食の意識・動向調査 直近1年間で利用したフード注文・配達プラットフォームのアプリ・サイト(日本)
直近1年間で利用したフード注文・配達プラットフォームのアプリ・サイト(日本)
(n=143/複数回答可、出典:MMD研究所)
MMD研究所 調査データ 日米仏3か国比較  都市部消費者の食の意識・動向調査 直近1年間で利用したフード注文・配達プラットフォームのアプリ・サイト(アメリカ)
直近1年間で利用したフード注文・配達プラットフォームのアプリ・サイト(アメリカ)
(n=253/複数回答可、出典:MMD研究所)
MMD研究所 調査データ 日米仏3か国比較  都市部消費者の食の意識・動向調査 直近1年間で利用したフード注文・配達プラットフォームのアプリ・サイト(フランス)
直近1年間で利用したフード注文・配達プラットフォームのアプリ・サイト(フランス)
(n=253/複数回答可、出典:MMD研究所)

フードデリバリーサービスの利用シーン、日本は「料理をするのが面倒なとき」が最多

「直近1年間にフードデリバリーサービスを利用した」と回答した人に、サービスを利用したシーンを聞いたところ、日本は「料理をするのが面倒なとき」(55.0%)が最も多く、次いで「自分では作れない料理が食べたいとき」(33.6%)「割引などキャンペーンがあるとき」 (32.7%)だった。

アメリカは「仕事や家事などで料理する時間が取りづらいとき」(45.7%)が最多で、次いで「料理をするのが面倒なとき」(38.7%)、「自宅で外で食べる料理を食べたいとき」(38.4%)だった。

フランスの最多は「料理をするのが面倒なとき」(53.5%)。「仕事や家事などで料理する時間が取りづらいとき」(48.1%)「自宅で外で食べる料理を食べたいとき」と「自分では作れない料理が食べたいとき」(それぞれ37.1%)が続いた。

MMD研究所 調査データ 日米仏3か国比較  都市部消費者の食の意識・動向調査 直近1年間でフードデリバリーサービスを利用したシーン
直近1年間でフードデリバリーサービスを利用したシーン
(国別、上位5位抜粋/複数回答可、出典:MMD研究所)

モバイルオーダー利用経験、日本は42.3%

モバイルオーダーの利用経験について聞いたところ、「利用したことがある」と回答した人は日本が42.3%、アメリカが79.1%、フランスが69.7%だった。

マクドナルドのモバイルオーダーでは、日本が38.4%、アメリカが62.8%、フランスが61.3%で、スターバックスのモバイルオーダーは日本が13.0%、アメリカが42.9%、フランスが20.9%だった。

MMD研究所 調査データ 日米仏3か国比較  都市部消費者の食の意識・動向調査 マクドナルドやスターバックスが提供しているモバイルオーダーの利用経験
マクドナルドやスターバックスが提供しているモバイルオーダーの利用経験
(国別/複数回答可、出典:MMD研究所)
調査実施概要
藤田遥
確認済み
20 分 29 秒 ago
ネットショップ担当者フォーラム フィード を購読

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る