ネットショップ担当者フォーラム

Amazon、フルフィルメントセンターを千葉市と埼玉県狭山市に新設

2 years 6ヶ月 ago

アマゾンジャパンは6月1日、千葉県千葉市と埼玉県狭山市にフルフィルメントセンター(FC)を新設すると発表した。開設日は2023年8月を予定している。

拠点拡大でアマゾンジャパン全体の商品保管容量は過去最大の1700万立方フィート以上となり、日本国内のFCの数は合計で25か所以上となる。

2拠点の延べ床面積は合計約20万平方メートル。エリアマネージャー、職場の安全・衛生管理者、商品の品質管理者、設備の保全管理者、テクノロジーを使って商品のピッキング・梱包・出荷作業などを担うポジションなど、さまざまな職種で3000人以上の雇用機会を創出する。

千葉県の「Amazon千葉みなとFC」には、ロボットが商品棚を持ち上げて移動する「Amazon Robotics(アマゾンロボティクス)」を導入する。「Amazon Robotics」導入拠点としては国内最大規模。

アマゾンジャパンは千葉県千葉市と埼玉県狭山市にフルフィルメントセンター(FC)を新設する 「Amazon千葉みなとFC」
「Amazon千葉みなとFC」の延べ床面積は約12万平方メートル。商品保管容量は120万立方フィート

「Amazon Robotics」は、自動走行ロボット「Drive」が専用の商品棚「Pod(ポッド)」の下に入り込み、棚を持ち上げて移動する仕組み。商品棚を作業員の前まで運ぶため、作業員は倉庫内を歩き回る必要がない。入荷した商品の棚入れと、受注商品の棚出しの作業時間を削減できるとしている。

また、最大で40%多くの在庫を保管することができるため、豊富な品ぞろえを提供することが可能。「フルフィルメントby Amazon(FBA)」を通じて、多くの企業に幅広いビジネスチャンスを提供することができるという。

埼玉県狭山市の「Amazon狭山広瀬台FC」は、洋服や時計、靴などのファッション関連の商品を専門に取り扱う物流拠点。ファッション商品特有の保管や梱包などのニーズに対応した設計を採用した。

「Amazon狭山広瀬台FC」 アマゾンジャパンは千葉県千葉市と埼玉県狭山市にフルフィルメントセンター(FC)を新設する 
「Amazon狭山広瀬台FC」の延べ床面積は約8万平方メートル。商品保管容量は110万立方フィート
石居 岳

決済手段の追加コストを10分の1に削減。GMO-PGが決済サービスに新接続方式「OpenAPIタイプ」を導入

2 years 6ヶ月 ago

GMOペイメントゲートウェイは、オンライン総合決済サービス「PG マルチペイメントサービス」をメジャーアップデートし、新たな接続方式「OpenAPIタイプ」の提供を開始した。

日数・工数を削減し、コストを従来の10分の1に

新たに追加する決済手段ごとの個別開発の日数・工数を削減し、追加コストを従来の10分の1(GMOペイメントゲートウェイ調べ)に削減できるようにした。

GMOペイメントゲートウェイ OpenAPIタイプ 決済 対応する12種類の決済手段
「OpenAPIタイプ」提供開始時は12種類の決済手段に対応。12種類で処理件数の90%を網羅できるという。対応する決済手段は今後順次対応する予定

決済手段を増やす際、「開発リソースが確保できない」といった要因で導入が遅れるのが課題ではないか。こうした課題があることで、消費者のニーズをタイムリーに捉えられない。EC・オンライン決済、キャッシュレス決済をさらに加速させる時に阻害要因になっているのではないか。そう考え、新しい決済手段ということでアップデートを行った。

GMOペイメントゲートウェイ 上席専務執行役員 イノベーション・パートナーズ本部 本部長の小出達也氏
GMOペイメントゲートウェイ 上席専務執行役員 イノベーション・パートナーズ本部 本部長の小出達也氏

採用した「OpenAPIタイプ」とは

各決済手段のAPIをいくつかのグループに集約したAPIで提供する構造で、世界標準の「OpenAPI Specification(OAS)」に準拠した接続方式。「OpenAPI Specification」を用いたことで、エンジニアの学習コスト、コーディングやテストなどの開発工数、コードの保守性・再利用性向上による品質管理プロセスの効率化などが期待できるという。

GMOペイメントゲートウェイ OpenAPIタイプ 決済 導入した場合の一例
「OpenAPIタイプ」を導入した場合の一例

決済手段選びはABテストの時代になる。コスト削減はもちろんだが、事業者にはいろいろな決済を気軽に試してほしい。最適な決済を試行錯誤できる環境を提供したかった。その先にいるユーザーがお気に入りの決済を使える状況が増える、ということを実現したい。

GMOペイメントゲートウェイ システム本部 決済サービス統括部 統括部長の鈴木隆志氏
GMOペイメントゲートウェイ システム本部 決済サービス統括部 統括部長の鈴木隆志氏

メジャーアップデートの背景

日本のキャッシュレス決済比率は年々上昇しているものの、2022年で36.0%と諸外国に比べて低い。日本政府は2025年までに4割程度、将来的には80%をめざしてキャッシュレス決済を推進している。

GMOペイメントゲートウェイ OpenAPIタイプ 決済 キャッシュレスの現状と目標
日本のキャッシュレス決済額の推移(画像は 経済産業省「2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました」からキャプチャ)

そのなかで、クレジットカード決済やコンビニ決済だけでなく、スマホ決済、後払いなど決済手段が多様化。GMOペイメントゲートウェイの小出氏は「決済手段の多さが日本の特徴。2008年は4種類だった対応決済手段が、現在は30種類を超える」と言う。

ECの支払いにおいてもオンライン・オフライン問わず利用できる決済手段のニーズが多様化。オンラインビジネスを行う事業者は、消費者ニーズに応えるためにさまざまな決済手段に対応する必要があるが、複数導入には決済手段ごとの個別開発が必要なため、費用や工数がかかるのが現状だ。

こうした背景を受け、さまざまな決済手段を一括で導入できるオンライン総合決済サービス「PG マルチペイントサービス」の接続方法を刷新し、「OpenAPIタイプ」の提供を始めた。

決済のテストマーケティングも実現できるように

ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」は、「PG マルチペイメントサービス」と連携している。「OpenAPIタイプ」の提供に際し、斉藤淳氏(ecbeing 上席執行役員 マーケティング本部 本部長)は、「さまざまな決済手段が提供されると、プラットフォームとしては都度対応していたが、決済ごとにルールが違うため対応に時間がかかっていた」と話す。

これまではコストを考えると決済面でのテストマーケティングができなかった。しかし、1つのOpenAPIを通じて提供できるので、ABテストを行えるようになる。テストマーケティングを行えるようになれば、決済のテストデータを蓄積できるため、プラットフォーム提供側としても、事業者に提どのような決済手段が良いか提案しやすくなる。(斉藤氏)

ecbeing 上席執行役員 マーケティング本部 本部長の斉藤淳氏
ecbeing 上席執行役員 マーケティング本部 本部長の斉藤淳氏
藤田遥

首都高6/10までの通行止めで配送に遅れの可能性/日本郵便の「ゆうパック」値上げ「改定率や実施時期は検討中」【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

2 years 6ヶ月 ago
2023年5月26日~2023年6月1日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 【首都高6/10までの通行止め】ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便で荷物の配送に遅れが生じる可能性

    ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の対応まとめ。首都高速1号羽田線高速大師橋の架け替え工事が5月27日から始まり、一部区間において終日通行止め規制が行われる。そのため、首都高速道路と周辺一般道において交通渋滞が予測される

    2023/5/31
  2. 日本郵便の「ゆうパック」値上げ、「改定率や実施時期は検討中」「法人向け単価は基本運賃を定めた後、交渉する」

    日本郵政は2023年3月期決算テレフォンカンファレンスにおけるQ&Aで、日本郵便が扱う「ゆうパック」の値上げなどについて言及した

    2023/5/26
  3. バルクオム野口氏、I-ne伊藤氏、サティス製薬の山﨑氏が語るヒット商品を生む黄金法則【BULK HOMME、BOTANISTの成功秘話】

    D2C商品のヒットでファンを増やし、市場でシェアを拡大し続けているバルクオムとI-neが、OEM企業のサティス製薬を交え、商品開発の秘訣やポイントなどを語る

    2023/5/29
  4. 日本航空グループが始めたECモール「JAL Mall(ジャルモール)」とは

    JALは約3000万人の顧客基盤に対し、航空以外の日常生活でサービスを提供し、マイルの「ためる」「つかう」領域を拡大する「JALマイルライフ構想」を推進している

    2023/5/31
     
  5. 半日でインターネット販売をやめました(笑)――幻の「レインボーラムネ」の社長の話が面白すぎた!【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年5月22日~5月28日のニュース

    2023/5/30
     
  6. 「EC運用力」が身につく10のポイントとは? 発売日のスケジューリング、商品の縦・横展開、ページのABテストなどは押さえるべし!

    EC運用力を高めるために必要な「販売スケジュールづくり」「商品企画」「集客・認知拡大・広告活用」について10個のポイントを解説

    2023/5/30
     
  7. 「ChatGPT」などのAI(人工知能)はどんなもの? ECビジネスに役立ちますか? などの基礎情報を解説

    ネットショップ作成サービス「カラーミーショップ byGMOペパボ」の公式Webメディア『よむよむカラーミー』編集部が"AIとEC"について、ECビジネスに役立つ情報をお届けします【連載1回目】

    2023/5/29
     
  8. キューサイが公式ECサイトを刷新。顧客体験の向上をめざしたリニューアルのポイントとは

    キューサイが公式ECサイトを刷新した理由や狙いとは? 社長のコメントも交え、リニューアルの意図やポイントを解説する

    2023/5/31
     
  9. グロース市場に上場するフードロス削減に取り組むEC企業「クラダシ」とは

    直近の2022年6月期業績は、売上高が前期比64.1%増の20億7368万円。営業損失は7471万円、経常損失は7446万円、当期純損失は8027万円

    2023/5/30
     
  10. ECサイトにおける商品の探し方「キーワード検索」が約7割。タグ検索では「商品カテゴリ」がトップ

    NTTレゾナントが発表した「ECサイトの利用動向」調査結果によると、商品検索のキーワードに悩むユーザーは約6割だった

    2023/5/30
     

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

藤田遥

フードロス削減ECのクラダシ、商品1点から購入できる常設店舗。実店舗ならではの「3つの仕掛け」とは?

2 years 6ヶ月 ago

フードロスの削減をめざす食品ECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは、東急モールズデベロップメントの商業施設「たまプラーザ テラス」に、「Kuradashi」の常設店舗を開店した。

常設店舗では、①商品が日々入れ替わる楽しさ②フードロス削減への貢献や支援団体への寄付を気軽にできる③商品をお得な価格で購入できる――という3点の価値を顧客に提供。東急モールズデベロップメントとの共創を通じた地産地消・フードロス削減の推進にも取り組む。

「Kuradashi」常設店舗の外観
「Kuradashi」常設店舗の外観

「Kuradashi」初の常設店舗

クラダシは「Kuradashi」初となる常設店舗を、東急田園都市線たまプラーザ駅直結の「たまプラーザ テラス」に開店した。「Kuradashi」の購入体験を、オンラインだけにとどまらずオフラインの拠点を持ちながら双方で連携して発信していきたい考え。

東急モールズデベロップメントさまが掲げる「循環型社会の実現に向けて、地域の皆さまと一緒にサステナブルなまちづくりを共創していく」ことに共感し、クラダシは初の常設店舗を「たまプラーザ テラス」に出店した。

当社のビジョンは“日本で最もフードロスを削減する会社”で、大切にしているのは「社会性」「環境性」「経済性」。この3つの合理性を成していくことをミッションに掲げている。東急モールズデベロップメントさまとともに、地域に根差したサステナブルな世の中を作っていきたい。

クラダシ 代表取締役社長 関藤竜也氏
クラダシ 代表取締役社長 関藤竜也氏

テーマに合わせた3つの仕掛け

ECサイト「Kuradashi」では、まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう可能性のある食品などをお得な価格で販売している。売り上げの一部は、環境保護などさまざまな団体への寄付などに充てているという。

「Kuradashi」の常設店舗には「見る・知る・関わる」の3つのテーマに合わせた仕掛けを用意している。

  • 「見る」:店舗におけるフードロスの削減量や社会貢献度合いを可視化できる仕組み
  • 「知る」:サステナブルな商品や企業の取り組みを紹介する実験的なコラボレーションブースを店舗内の一角に設置。また、フードロスやSDGsについて学び、より社会と街に貢献するようなイベントなども実施する
  • 「関わる」:ECでの購入体験と同じように、常設店舗でも購入金額の一部を社会貢献活動の支援に充てることができる。購入者は会計後に、各団体の活動内容から、支援先を自身で選択できる仕組みを設けている

化粧品、産直品、冷凍・冷蔵食品なども展開

常設店舗では、さまざまな理由でフードロスになってしまう恐れのあるメーカー各社の食品、ロスが問題になっている化粧品などの販売も行う。食品はECサイトと同様に、冷蔵・冷凍の商品やロスワインなどの酒類、産地直送の商品もラインアップする。

ECサイトでは原則、ケース単位での販売を行っているが、常設店舗では1点単位での購入が可能となる。

店舗内での買い物イメージ
店舗内での買い物イメージ

東急モールズデベロップメントとの共創とは?

東急グループは横浜市・青葉区の地元農家と連携している。クラダシは東急モールズデベロップメントとの共創を通じ、規格外品や天候によって豊作になってしまった地元農家の農作物の不定期販売などを「Kuradashi」で行う。地域と連携したフードロス削減をめざしていく。

共創により、青葉区地元農家との連携も図る
共創により、青葉区地元農家との連携も図る

今後は、地元農産物と生産者、都市農業を知る機会作り、食育などの活動にも取り組む予定。東急モールズデベロップメントの佐々木桃子社長は「クラダシさまと一緒にフードロス削減活動に取り組んでいきたい」と話している。

東急モールズデベロップメント 代表取締役社長 佐々木桃子氏
東急モールズデベロップメント 代表取締役社長 佐々木桃子氏

「Kuradashi」常設店舗概要

  • オープン日:2023年5月26日(金)
  • 営業時間:10:00~20:00
  • 店舗場所:「たまプラーザ テラス」GATE PLAZA1F
  • アクセス:東急田園都市線たまプラーザ駅直結
高野 真維

広告主のインフルエンサー探しを助けるプラットフォーム 「KOL Radar」とは? ChatGPT搭載でテキスト検索も可能に

2 years 6ヶ月 ago

iKala Interactive Media Inc.(本社台湾)の日本法人iKala Japan(アイカラジャパン)は、企業とインフルエンサーのマッチングを支援するプラットフォーム「KOL Radar(ケーオーエルレーダー)」にChatGPT搭載の新機能を実装、利用企業は自社の商品のPRに最適なインフルエンサーを見つけることができるようになる。

新機能はChatGPTを搭載した「AIインフルエンサー検索」。従来のキーワード検索に加え、テキスト検索ができるようになった。

「KOL Radar」の検索画面
「KOL Radar」の検索画面

たとえば「25~35歳に人気の美容・スキンケアインフルエンサーを探して」といったテキスト検索で、広告主にとって最適なインフルエンサーを表示する。

「KOL Radar」で表示するインフルエンサーは、Facebook、YouTube、Instagram、TikTok、Twitterといったメディアから抽出する。対象インフルエンサーは1万5000人(2023年4月21日時点)。独自のAI技術とビッグデータを活用し、インフルエンサーの選定に関わるデータを解析。企業の届けたい商品やサービスとインフルエンサーとの相性を可視化している。

AIによってデータを分析しているため、マーケティングに向けたとても正確なデータを得ることができます。「KOL Radar」を利用いただいているクライアントのアカウント数は、日本を含めて約4万件となっています。

iKala Interactive Media Inc.の共同創設者 兼 CEO セガ・チェン氏
iKala Interactive Media Inc.の共同創設者 兼 CEO セガ・チェン氏

「KOL Radar」を用いたインフルエンサーマッチングのための質問例

  • 「25~35歳に人気の美容・スキンケアインフルエンサーを探して」
  • 「化粧品関連のPRの経験が豊富なインスタグラマーを探して」
  • 「旅行好きでフォロワーが多く投稿頻度の高いインスタグラマーを提案して」

これにより、企業やブランドは、時間をかけずに最適なインフルエンサーを選ぶことができるようになる。「KOL Radar」の利用企業は、テキスト検索を追加料金なしで利用できる。

「KOL Radar」の費用は月額5万円(税別)から。日本では化粧品のEC事業者による利用が多いという。

日本では化粧品EC事業者を中心に利用拡大

「KOL Radar」の導入事業者とそうでない事業者を比べると、エンゲージメント率は約30%高いことがわかっています。この場合のエンゲージメント率は、起用したインフルエンサーの投稿に対する「いいね」の数、ポジティブなコメントの数、シェア数などです。(セガ氏)

なお、従来のキーワード検索や、ChatGPTを搭載したテキスト検索に加え、2023年7~9月をめどに、画像検索もできる仕様にバージョンアップを計画している。

「KOL Radar」が保有するインフルエンサーのデータは、台湾、日本、香港、マレーシアの4つの国と地域。アジア向けの越境ECに乗り出す企業にぜひ導入をお勧めしたいです。

アフターコロナが近づくにつれて、ほとんどの人が各国を行き来できるようになってきています。クライアント企業からは、インバウンド需要に向けたマーケティングも、アウトバウンド需要に向けたマーケティングも、問い合わせが両方増えてきました。インフルエンサーマーケティングの市場は明るいと言えます。(セガ氏)

iKalaとは?

iKalaは、AI技術によるDXおよびD2Cの支援事業を手がける台湾のスタートアップ企業。台湾、日本、シンガポール、タイ、香港、マレーシアでサービスを展開している。日本法人は2021年9月に設立した。日本では「KOL Radar」を中心に事業を展開している。

CEOのセガ氏(左)と、日本法人iKala Japan カントリーマネージャーの土屋隆司氏
CEOのセガ氏(左)と、日本法人iKala Japan カントリーマネージャーの土屋隆司氏
高野 真維

Z世代のコマース行動「バイヤー型消費」とは?買物行動の特徴は「開拓志向」「越境志向」「見極志向」「即決志向」

2 years 6ヶ月 ago

博報堂のシンクタンクである博報堂買物研究所は、Z世代の買い物行動・買い物価値観の深掘り、次世代コマースの利用動向の把握を目的とした「Z世代×ニューコマース調査」を実施した。

Z世代特有のコマース行動を把握するため、今回の調査では主にY(ミレニアル)世代(26~41歳)とX世代(42~59歳)と比較。Z世代(15~25歳)特有のコマース行動を「バイヤー型消費」と命名し、4つの特徴を提示した。

  • 開拓志向……Z世代のコマース行動には「積極的に情報収集をして、自分が欲しい情報を自ら取りに行く
  • 越境志向……良いものを選ぶために国内・海外問わずにフラットに製品を購入する
  • 見極志向……自分なりの情報筋を確保しつつ、本当に信用できる情報かを見定める
  • 即決志向……良いと判断したものは、自分の直感を信じて即決で購入する

開拓志向

「トレンドを気にしながらSNSを駆使して人と被らない商品を探し続ける」「独自の消費スタイルである研究消費(自分の好きなカテゴリーでの買い物では多少の失敗は気にせず、それを自分の知見にしていく)」「次世代コマースも活用しながら新しい商品を探す」など、積極的な情報収集をしながら買い物を行う消費行動。

定量調査の「トレンドや流行りの商品を選ぶ」に対して、該当すると答えたZ世代は39%。Y世代よりも12ポイント、X世代よりも23ポイント高い。「人と被らないブランド・メーカーを選びたい」と答えたZ世代は42%で、Y世代よりも6ポイント高く、X世代よりも7ポイント高かった。

「店舗よりもSNSで商品を探した方が人と被らないファッションを探すことができると感じる」に該当すると回答したZ世代は45%で、Y世代よりも16ポイント、X世代よりも24ポイント高い。

生活意識において、「趣味や好きなことを深く極めたい」という質問に対して、Z世代は74%、Y世代は64%、X世代は63%となっている。

「ライブコマース内で扱う商品のことを、事前にどの程度知っていることが多い」かを聞いたところ、Z・Y世代ともに42%が「新しい商品を見つけるために視聴」と回答した。

Z世代のコマース行動「バイヤー型消費」とは?買物行動の特徴は「開拓志向」「越境志向」「見極志向」「即決志向」
開拓志向について

Z世代がソーシャルコマースを利用する理由は、1位が「お店に行かなくても商品が買えるから」(28%)。2位は「欲しいと思う商品が多いから」(24%)、3位が「今まで全く知らなかった商品を知ることができるから」(22%)、4位が「思いがけず良い商品に出会えるから」(20%)、5位が「珍しい商品に出会えるから」(20%)。

ソーシャルコマースを利用する理由

越境志向

国内のメーカー・ブランドだから購入するという意識は薄く、良い商品を追い求めて海外サービスも駆使しながら商品を購入する行動。

「越境志向」においては、海外の新興ECサイトを通じて購買を行うユーザーも一定数見られた。「自分が知らない海外メーカーの商品でも、SNS上で日本人の評価が高ければ購入したいと思う」と回答したZ世代は57%で、Y世代よりも14ポイント高い。

「日本のブランド・メーカーを応援したい」に当てはまると答えたZ世代は53%。Y世代よりも7ポイント低く、X世代よりも13ポイント低かった。

Z世代のコマース行動「バイヤー型消費」とは?買物行動の特徴は「開拓志向」「越境志向」「見極志向」「即決志向」
越境志向について

見極志向

SNSのタイムラインに流れる情報を鵜呑みにせず、お気に入りのインフルエンサーや個人のアカウントの商品への評価や投稿から情報を集めて吟味する消費行動。

「企業が発信する情報よりも、評価が高い個人のSNSの情報を参考にして買うことが多い」に当てはまると回答したZ世代は51%で、Y世代よりも16ポイント、X世代よりも28ポイント高い。

「製造プロセスや情報を公開している(透明性のある)ブランド・商品を選びたいと思う」に該当すると回答したZ世代は43%で、Y世代よりも5ポイント高い。

Z世代のコマース行動「バイヤー型消費」とは?買物行動の特徴は「開拓志向」「越境志向」「見極志向」「即決志向」
見極志向について

即決志向

今までの情報収集やその時に自分が本当に欲しいと思った直観を信じて即決で購入する消費行動。

定量調査で「衝動買いをよくする」と答えたZ世代は37%で、Y世代よりも7ポイント高い。

クイックコマースユーザーの利用理由を聞いたところ、「自由に使える時間が増えたから」にZ世代の20%が回答。Y世代・X世代よりもそれぞれポイントが高かった。

Z世代のコマース行動「バイヤー型消費」とは?買物行動の特徴は「開拓志向」「越境志向」「見極志向」「即決志向」
即決志向について

Z世代のクイックコマースユーザーに利用理由を自由回答で聞いたところ、「大事な時間を確保したいとき」「欲しいものをすぐに手に入れたいとき」という利用理由がZ世代に顕著だった。

石居 岳

オンワードHD、ウィゴーの発行済み株式20%を取得し資本業務提携

2 years 6ヶ月 ago

オンワードホールディングスは、若年層向けアパレル「WEGO」を展開するウィゴーの発行済み株式20.27%を取得し、資本業務提携を締結したと発表した。

オンワードHDは、ウィゴーの第三者割当増資を引き受け、約20%の発行済み株式を取得。資本業務提携は、オンワードHDとウィゴーがそれぞれ培ってきた強みを組み合わせ、事業拡大につなげることを目的としている。

ウィゴーは10~20代のZ世代をメーンターゲットに、「ファッション」「カルチャー」「ライフスタイル」を組み合わせて新しい価値を創造するファッションカンパニー。全国の有力ショッピングセンターなどの商業施設で168店舗を展開している。

オンワードHDはウィゴーの強みであるZ世代向けのマーケティングプラットフォームを活用し、若年層といった新たな顧客の獲得につなげる。

ウィゴーは、オンワードHDが有する商品・生産プラットフォーム、ECを中心としたデジタルプラットフォームを活用することによるさらなる事業発展を期待している。

 

石居 岳

商品購入に直結するデジタルマーケティングは何? 上位を占めたのはEメールとSNS【消費者1000人調査まとめ】 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

2 years 6ヶ月 ago
Eメールは購買行動に大きな影響があるようです。以前見た商品がセール中であることを示すメールが「影響力がある」と回答した人は43%を占めます。調査結果を踏まえ、効果的なデジタルマーケティングを解説します

オンライン通販の利用者がどのようなマーケティングに反応するのかを理解することは、小売事業者が事業に投資する際の指針になります。米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』と調査会社のBizrate Insightsが実施したデジタルマーケティング調査(2023年5月にオンライン通販利用者1070人を対象に実施)から、Eメール、マーケットプレイス、リテールメディア、ソーシャルメディア、インフルエンサーなど、デジタルマーケティングに生かせる消費者動向をお伝えします。

記事のポイント
  • オンライン通販の利用者は、メルマガを開封して、メール経由で購入している人が多い
  • Facebook広告は、購入につながる可能性が最も高いSNS
  • 調査対象となったオンライン通販利用者の55%は、インフルエンサーの影響では購入しない

購買行動への影響力トップはEメール、SNSは3位

オンライン通販利用者の購買行動には、さまざまなマーケティング施策が影響を与えており、なかでもEメールは購買行動に結び付く大きな要素になっています。

「どのような取り組みが購買行動に影響力を持つか」という質問に対して、43%が「以前見た商品がセール中であることを示すメールが最も影響力がある」と回答。一般的な内容のメールでも39%が影響力を受けていると答えています。Eメールによるマーケティングの有用性が高いと言える結果ではないでしょうか。

そのほかには、「在庫切れ商品の再入荷メール」(24%)「カートに入れたままの商品」(20%)「注文・発送確認メール内のプロモーション」(13%)なども、購買行動に影響を与えているようです。

ソーシャルメディアが購買行動に大きな影響力を持つと回答したのは36%。ソーシャルメディア上の広告に注目していると答えたのは27%でした。一方、インフルエンサーの影響は14%にとどまり、購入を促進する可能性は低いと言えます。

また、カタログや印刷物などのアナログなマーケティングが購買行動に影響すると回答した割合は24%実店舗やショッピングモールでの広告は26%でした。これらのマーケティングや広告も、購買意欲を高める要因となっていることがわかりました。

会員やロイヤルティプログラムの特典は、オンライン通販利用者の22%がコンバージョン促進する影響力があると答えています。

また、購買行動に影響力があるマーケティング施策に21%がテキストメッセージをあげました。マーケティングの観点からテキストメッセージが購買行動に影響力を与えていることは興味深いことです。

一方、「検索エンジンに連動した広告」(16%)「オンラインで閲覧したコンテンツ」(14%)「オンラインで商品を見た後に消費者を追跡するリターゲティング広告」(10%)は、他の項目よりも購買行動への影響力が低いようです。

オンライン購入のきっかけとなる、影響力のあるマーケティング施策( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
オンライン購入のきっかけとなる、影響力のあるマーケティング施策( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

数字でわかるEメールが商品購入に与える影響度

3人に1人がメールの内容を参考に週1回は商品を購入

以下のグラフから、Eメールが小売事業者にとってマーケティングの強力な武器であり続ける理由がわかります。オンライン通販利用者の半数が少なくとも毎日Eメール広告を閲覧し、25%が少なくとも週に数回、9%が毎週、6%が毎月閲覧しています。

小売店からの広告メールを開封する頻度( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
小売店からの広告メールを開封する頻度( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

オンライン通販利用者の3人に1人は、単にメールを開封するだけでなく、メールの内容を参考にして、少なくとも週に1回は商品を購入。16%が「毎日」または「1日に何度も」という高い頻度で購入しています。「週1回」または「週に数回」と回答した割合は20%に達しています。

「月1回」は23%、残りの32%が年に数回購入していることがわかりました。「Eメールをきっかけに購入したことがない」と回答したのは9%にとどまっています。

小売事業者からのメールを読んだことがきっかけで購入する頻度( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
小売事業者からのメールを読んだことがきっかけで購入する頻度( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

開封率が最も高いメールは「以前見た商品のセール通知」

Eメールを開封する可能性が高い上位3つのプロモーションを聞いたところ、プロモーションや割引に関するメッセージが最多で、半数が「開封する」と答えています。

また、注文に関するメールも開封率が高くなっています。その内訳は、「発送確認」(40%)「注文確認」(38%)「配送確認」(32%)です。

そのほか、「ロイヤルティプログラムに関連したプロモーション」(31%)「送料無料の案内」(30%)「新商品の案内」(23%)なども関心を集めています。

回答割合が低かったのが、「在庫再入荷のお知らせ」が17%、「シーズンキャンペーンのお知らせ」が15%。「購入した商品のレビュー依頼」は14%、在庫切れする前に通知を送る「商品補充のリマインド」は9%にとどまっています。

いずれにしても、Eメールは、マーケティングおよび顧客に対する情報提供の重要な手段であることがうかがえます。

最も開封しやすいEメール(上位3つを選択)( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
最も開封しやすいEメール(上位3つを選択)( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

マーケットプレイスの広告が与える影響

AmazonやeBayなどのマーケットプレイスで買い物をする際に閲覧できる広告について、ユーザーに与える影響を調べたところ、「いつも影響がある」または「よく影響がある」と回答した割合は35%、「たまに影響がある」とのは37%でした。

一方、「めったにない」または「まったくない」と回答した割合は28%。小売事業者にとって、このようなマーケットプレイスに表示する広告で自社の存在感を出すのは難しいことですが、購買行動につながるマーケティングの機会にもなり得ます。

AmazonやeBayなどのマーケットプレイスで買い物をする際に目にする広告は、どれくらいの頻度で購入に影響を与えているか( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
AmazonやeBayなどのマーケットプレイスで買い物をする際に目にする広告は、どれくらいの頻度で購入に影響を与えているか( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

購入につながる可能性が高いSNSはFacebook

6つのSNSについて、オンライン購入につながるかどうかの順位を調べたところ、Facebook、YouTube、Instagramはオンラインでの購買に関連する機会を多く提供している可能性があることがわかりました。順位は次の通りです。

  • Facebook: 58%
  • YouTube: 45%
  • Instagram: 40%
  • Pinterest: 27%
  • TikTok: 21%
  • Snapchat: 10%

オンライン通販利用者の半数以上が、ソーシャルメディアのアプリやプラットフォームを通じて商品を購入することに抵抗がないことが判明しました。このことは、デジタルマーケティングや市場の成長にとって良い兆候です。

ソーシャルメディアのアプリやプラットフォーム内で購入をする際の快適さ( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
ソーシャルメディアのアプリやプラットフォーム内で購入をする際の快適さ( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

インフルエンサーの影響力は限定的

オンライン通販利用者の大半は「インフルエンサーの影響で購入しない」(55%)と回答。一方、26%は「小売事業者のWebサイトに掲載されているインフルエンサーのコンテンツから購入する」と答えています。

「インフルエンサーのリンクツリーを通じて購入する」と答えたのは19%。このことから、インフルエンサーの役割は購買行動の観点では限定的であると言えます。

インフルエンサーがSNSで紹介した商品を購入するか( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
インフルエンサーがSNSで紹介した商品を購入するか( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

SNSを通じて買い物「しない」人は少数。大多数は「新しい商品を見つける場所」の位置付け

ソーシャルメディア利用者がSNSを通じて買い物をする理由は、商品発掘と魅力的なプロモーションが上位を占めています。

オンライン通販利用者の38%がソーシャルメディアを新しい商品を見つける場所として捉えていると回答。26%は新しいブランドや商品を試すことができる、22%はインフルエンサーを評価すると答えています。

利便性の側面もあります。36%はソーシャルメディアを定期的に利用して買い物をしています。また、24%は、ソーシャルメディアの影響で常に最新の情報を得ることができると回答しました。ソーシャルメディアを通じて買い物をしないと答えた人は、わずか4%でした。

ソーシャルメディアを通じて買い物をするようになった理由( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
ソーシャルメディアを通じて買い物をするようになった理由( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

広告表示が購買行動に与える影響、「影響することがある」のは少数派

多くの小売事業者が、自社のECサイト上でさまざまなブランドや外部の小売事業者からの広告を配信しています。

オンライン通販利用者の4人に3人は、小売メディアネットワーク上の競合他社の広告に気が付くものの、その多くは購買行動に影響を受けていないようです。ECサイト上に表示される広告について、「まったく気にしない」(24%)を除くと、以下のような調査結果が得られました。

  • いつも広告を見ている:21%
    -買い物に影響することがある:11%
    -買い物に影響を与えない10%
  • ときどき広告に気が付く:55%
    -買い物に影響を与えるかもしれない:28%
    -買い物に影響を与えない:27%
ある小売事業者のWebサイト上で別の小売事業者からの広告を見たとき、最もよくとる行動( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
ある小売事業者のWebサイト上で別の小売事業者からの広告を見たとき、最もよくとる行動( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

消費者は、いつ、どこで、どのように事業者からのマーケティングをうけとり、購買行動に影響を受けるかを自ら決めています。

つまり、小売事業者が効果的なマーケティングを行うには、消費者の行動やニーズを観察し、マーケティング施策に注意を払い、結果を分析することが必要です。

マーケティングで唯一変わらないことは、「変化していくこと」だからです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

【有力アパレルのEC】好調のアダストリア、オンワード、パル。伸び悩んだTSI、バロックジャパン、三陽商会。その理由は? | 通販新聞ダイジェスト

2 years 6ヶ月 ago
アパレル各社は、コロナ禍でECの売り上げが急拡大している事業者と、伸び悩んでいる事業者にわかれている。それぞれの成功事例と、今期の成長戦略を解説する

2月に本決算を迎えた有力アパレル6社のEC売上高が出そろった。コロナ禍でアパレル各社のEC売り上げは急拡大したが、昨年からは“リアル回帰”の傾向が強まったことでECチャネルは伸び悩む企業も出てきた。

一方、コロナ3年目も順調にEC売上を伸ばしたアパレル企業には、モール型ECで数多くのブランドを販売しているなど、いくつかの共通点が見られる。有力アパレルの2023年2月期におけるEC業績と今期の施策などを見ていく。

“モール型”の自社EC3社、ECの売上好調の理由は?

コロナ3年目も継続的にEC売上高を伸ばしたのは、アダストリアオンワードホールディングスパルの3社だ。

3社とも数多くの人気ブランドを扱うモール型の自社ECを運営。ユーザーがブランドをまたいで買い回りしやすい環境は、ネット時代にはアドバンテージとなる。

また、オンワードは自社ECの構成比が高いが、アダストリアとパルは「ゾゾタウン」を軸に外部モールでも売れる商品を開発して販売好調で、ECチャネル全体で消費者から支持されているのが強みだ。

【アダストリア】サイト休止も販促や商材拡大などが奏功

アダストリアの前期における自社ECと外部モール経由を含む国内EC売上高は前年比8.9%増の626億円だった。

同社は30以上の自社ブランドを取り扱う自社通販サイト「ドットエスティ」が好調だが、今年1月に不正アクセスを受けて自社ECも8日間休止したものの、前期はプロモーションの強化や商材の拡大などで自社ECが継続成長したほか、子供服のEC専業をグループ化したこともEC売り上げを押し上げた。

アダストリアの自社通販サイト「ドットエスティ」
アダストリアの自社通販サイト「ドットエスティ」

国内の全社売上高に占めるEC化率は前年比1.4ポイント減の28.7%で、そのうち自社ECは約15%となり、引き続きEC売り上げの過半を占めた。

前期は、自社ECの認知向上を目的としたテレビCMなどの集客強化に取り組み、自社ECの会員数は前年度末から190万人増となる1550万人に拡大した。

EC売上高は今年1月単月では前年同期比11.4%減だったが、サイト再開後のクーポン施策や春物需要の好調もあって2月単月は同14.8%増と急回復。サイト休止がなければ、EC売上高は2ケタ成長もあり得た

今後は、中計で掲げる「デジタルの顧客接点・サービスの強化」を推進する。店舗販売員がスタイリングを発信できるツール「スタッフボード」のSNS展開を強化。SNSフォロワー数の多い社内インフルエンサーのインセンティブ額をアップしてモチベーションの向上を図るほか、研修制度を充実させることでスタッフのSNS総フォロワー数を前期末の約300万人から600万人をめざす

デジタルの顧客接点・サービス強化などの施策により、EC売上高800億円をめざす(画像は編集部が2026年2月期を最終年度としたアダストリアの「中期経営計画」発表資料からキャプチャ)
デジタルの顧客接点・サービス強化などの施策により、EC売上高800億円をめざす(画像は編集部が2026年2月期を最終年度としたアダストリアの「中期経営計画」発表資料からキャプチャ)

一方、自社ECのオープン化戦略を推進中で、「ヤーマン」「シロカ」「靴下屋」など、各カテゴリーの有力企業が参画したことで、新規顧客の獲得や相互送客につなげている。

【オンワードホールディングス】ECは堅調な成長

オンワードホールディングスの国内EC売上高は前年比9.5%増の約448億円で、EC化率は同0.2ポイント増の30.0%だった。

主力事業会社のオンワード樫山を中心とした自社EC売上高は前年比8.8%増の約385億円、外部EC経由の売上高は同14.1%増の約63億円となり、自社EC比率は85.9%と引き続き高い水準を維持した。

オンワードの自社通販サイト「オンワード・クローゼット」
オンワードの自社通販サイト「オンワード・クローゼット」

実店舗で試着できるサービスが売上拡大を後押し

オンワードでは自社通販サイト「オンワード・クローゼット」で取り扱うほぼすべての商品を実店舗に取り寄せて試着、購入ができるサービス「クリック&トライ」を強化しており、前期末時点の導入店舗数は前年の200店舗から340店舗に拡大。全体の43%まで導入が進んだ。

「クリック&トライ」の予約点数は前年上期の5万5000点に対し、下期は11万6000点に急増し、通期では17万1000点となった。また導入店舗の売上高はコロナ前の2019年度水準に回復。未導入店舗の売り上げを19ポイント上回るなど、リアル販路の売り上げ拡大に貢献した。

「クリック&トライ」は取り寄せた店舗で決済するため、EC売り上げにはカウントされないが、自社ECの閲覧数や、実店舗と自社ECを併用するクロスユース率が拡大することで、ECの成長にも貢献すると見ており、今後も同サービスの導入店舗を広げる。

急成長したD2Cブランドも

D2Cブランドは、「アンフィーロ」がロングセラーヒット商品の誕生で前期売り上げが96.3%増と急拡大。昨年秋冬シーズンからはメンズ・ユニセックスラインも本格始動した。「アンクレイヴ」もECを主販路に、ポップアップ展開とSNSでの顧客接点を拡大。素材感にこだわったセットアップ商品に加え、ニットやカットソー、ブラウスなどが好調で売上高は17.0%増となった。

【パル】計画を大きく上振れ。自社EC売上は3倍

パルのEC売上高は前年比28.7%増の約423億円とコロナ3年目も高成長を維持計画の400億円を大きく上振れした。

50以上のブランドを取り扱う自社通販サイト「パルクローゼット」の売り上げは35・3%増の約156億円、「ゾゾタウン」経由が27.9%増の約223億円、その他が12.6%増の約44億円となり、各売り場で好調を維持。衣料品の売上高に占めるEC化率は40.0%まで高まった。

自社通販サイト「パルクローゼット」では小柄な女性向けの商品や着こなしを集めたコーナーも
自社通販サイト「パルクローゼット」では小柄な女性向けの商品や着こなしを集めたコーナーも

20年2月期のEC売上高は176億円、うち自社ECは52億円だったが、コロナ禍の3年間でEC売上高は2.4倍、自社ECは3倍に拡大した。

同社はこの間、服などをECで購入するのに慣れていないユーザーでも安心して利用できるサイト作りに注力したほか、店舗スタッフによる情報発信を強化してきた。

「顧客に選択肢を」。多様なコンテンツを配信

前期からは、自社ECの価値を高める取り組みとして、ブランド横断型の企画を強化。小柄な女性向けの商品を集めた「低身長女子」コーナーを設けた。同社では小柄女性専用のブランドを立ち上げるのではなく、各ブランドで対象となる商品を作る方が、デザインやテイストなどを含めて顧客の選択肢が増えると判断した。

また、SDGsをテーマに、必要なものを必要なだけ生産するという完全受注生産型のTシャツを販売する企画には30以上のブランドが参加し、それぞれがオリジナルデザインのTシャツを作った。

加えて、自分の骨格から似合う服を探したいというニーズがあることから、骨格診断のコンテンツ「骨格タイプ別ほめられ服」を定期的に発信。スタッフのSNSでも骨格別の着こなし方などを提案し、人気が高いことから、常設コンテンツとして展開することも視野にあるようだ。

今期はEC売上高500億円超、うち自社ECは230億円を目標に掲げている

パルがめざすECの成長戦略(画像はパルグループホールディングスの2023年2月期決算説明会資料から編集部がキャプチャ)
パルがめざすECの成長戦略(画像はパルグループホールディングスの2023年2月期決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

伸び悩んだアパレル各社の再成長戦略

一方、EC事業で伸び悩んでいるのがTSIホールディングスバロックジャパン三陽商会だ。伸長率が低い理由はそれぞれだが、各社ともSNS活用とOMO推進などに取り組むことでEC再成長を目指している。

【TSIホールディングス】下期はV字回復。「過度な値引きの抑制」「専売品強化」が好影響

TSIホールディングスの国内EC売上高は前年比1.1%減の約388億円で、EC化率は同3.4ポイント減の31.0%だった。自社EC売上高は1.5%増の181億円、自社EC比率は同1.2ポイント増の46.6%だった。

前期のEC事業は上期に停滞したものの、下期は前年同期比2.0%増と回復した。自社ECは上期にサプライチェーンの乱れもあって苦戦。下期はSNSを軸にしたOMO施策や、コンテンツの拡充などでV字回復した。とくに直近の12~2月は7.9%増で、今期に入っても好調を維持しているという。

上期は停滞も、下期は回復基調となった(画像は編集部がTSIホールディングスの2023年2月期決算説明会資料からキャプチャ)
上期は停滞も、下期は回復基調となった(画像は編集部がTSIホールディングスの2023年2月期決算説明会資料からキャプチャ)

昨年9月のオフィス移転時に新設したライブ専用の撮影スペースを活用し、レディースブランドを中心にEC事業のSNS運営改革が進展した。

外部ECモールについては、過度な値引きの抑制や専売品強化などで収益性が大幅に改善し、全社営業利益計画の達成に貢献。今後は収益性を保ちつつ売り上げ拡大をめざす。

【バロックジャパン】今期はロイヤリティ向上やオムニチャネル化を加速

バロックジャパンの国内EC売上高は前年比1.2%増の約105億円だった。前期は、SNSの発信力を軸にしたOMOを推進。インスタグラムで発信する社員比率は80%に上り、オンライン接客コンテスト「スタッフオブザイヤー」では同社ショップ店員が2年連続で上位受賞するなどSNSを活用した接客力を強化している。

今期は、公式アプリ「シェルターパス」会員のロイヤリティアップ施策を強化するほか、試着予約などのオムニチャネルサービスを加速してファン層の囲い込みを図る。

バロックジャパンリミテッドが運営する自社通販サイト「シェルター ウェブ ストア」
バロックジャパンリミテッドが運営する自社通販サイト「シェルター ウェブ ストア」

外部ECは新規獲得チャネルとして活用する。とくに経由売上高が50億円を突破した「ゾゾタウン」との連携を強化しており、OMOの一環として「ゾゾモ」を導入。「ゾゾタウン」上でバロック店舗の在庫確認や取り置きができ、実店舗への送客が実現した。

【三陽商会】EC刷新、ブランド間の買い回りを促す計画

三陽商会のEC売上高は前年比1.6%増の約82億円だった。前期は値引き販売の抑制を継続しながら、EC専用商材の拡充や実店舗との相互送客の強化などに取り組んだ。

昨年4月には新ライン「シービー・クレストブリッジ」の1号店と自社ECの顧客行動データをシームレスに解析・統合し、ユーザーごとに最適な商品やイベントなどの情報を紹介する取り組みのトライアルも実施した。

「シービー・クレストブリッジ」店舗でのスマートフォンによるチェックインのイメージ
「シービー・クレストブリッジ」店舗でのスマートフォンによるチェックインのイメージ

今期は9月をメドにECプラットフォームを刷新。ブランドサイトとECを統合してメディアコマース化を推進するほか、各ブランドのブランディングを担保しながらブランド間の買い回りを促す

また、ブランド横断企画やスタッフコーディネート、EC限定商材などのコンテンツ強化により、プロパー販売を強化するという。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
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日本航空グループが始めたECモール「JAL Mall(ジャルモール)」とは

2 years 6ヶ月 ago

日本航空(JAL)とグループ会社のJALUX(ジャルックス)は5月30日、ECモール「JAL Mall(ジャルモール)」をオープンした。

「JAL Mall」は、JALグループによる通販サービスと、外部企業の出店で構成する。オープン時は約30店のJALグループと外部企業が出店した。

JALグループでは「JALショッピング」「JAL SHOP機内オンラインストア」に加え、新たに立ち上げたJAL公式産地直送オンラインショップ「SORAKARA OTODOKE(ソラカラオトドケ)」が参画。外部企業は、ル・クルーゼ、成城石井、ティファール、フィリップスなどが出店している。

日本航空(JAL)とグループ会社のJALUX(ジャルックス)は5月30日、ECモール「JAL Mall(ジャルモール)」をオープン
「JAL Mall」のトップページ(画像は編集部がキャプチャ)

なお、個別展開していた「JALブランドコミュニケーションストア」「JALアグリポートオンラインショップ」の販売品は、「JALショッピング」に集約した。

「JAL Mall」はマイルの活用範囲を拡大する狙いもある。「JMBお得意様番号」でログインして買い物をすると、100円につき1マイルを進呈。JALカードでの支払いは200円につき2マイル、JALカードショッピングマイル・プレミアムに加入の場合は100円につき2マイルを積算するため、100円につき最大3マイルがたまる仕組み。

マイルから交換して使える「JALお買いものポイント」の利用も可能。1000マイル単位で1000ポイントに交換し、1ポイント1円で利用できる。

JALは、約3000万人のJALマイレージバンク(JMB)会員に対して航空以外の日常生活でサービスを提供し、マイルの「ためる」「つかう」領域を拡大する「JALマイルライフ構想」を推進。物販を手がける出店企業の商品を購入できる“買い物の場”を提供し、全店舗でマイルが貯まり、使えるようにした。

航空系企業のECモール進出では1月末、ANAグループがECモール「ANA Mall」を開設。アンファー、九南サービス、ストリーム、成城石井、髙島屋、ツインバード、DINOS CORPORATIN、ドウシシャ、日テレ7、ハースト婦人画報社、リンベル、全日空商事などが出店した。
ANAのマイルがたまる・使えるECモールとして展開。約3800万人のANAマイレージクラブ会員向けに展開している。ECモールは、ANAグループのグループ会社のANA Xが運営を手がけている。

石居 岳

キューサイが公式ECサイトを刷新。顧客体験の向上をめざしたリニューアルのポイントとは

2 years 6ヶ月 ago

キューサイはこのほど、公式ECサイトをリニューアルした。読みやすさ、使いやすさを重視したレイアウトの変更、季節・トレンドに合った商品の提案強化など、顧客が必要な情報にたどり着きやすいECサイトをめざしたという。

リニューアルで、顧客に快適な買い物の場を提供し、ECサイトのさらなる利用拡大を図る。

リニューアルしたECサイトのトップページ
リニューアルしたECサイトのトップページ

サイト刷新のポイントは?

キューサイは、幅広い年齢層に商品の認知を広げ、購入してもらうチャネルの1つとして公式ECサイトを強化している。2022年の公式ECサイトへの新規来訪者数は前年比132%で増加傾向にある。

ECサイトは、「ウェルタイムストア」をコンセプトに刷新。“「ウェルエイジング」をかなえるのは体も心も健やかに満たされた「時間」の積み重ね”という考えに基づいているという。刷新のポイントは次の通り。

  • 顧客の目線を意識したUI
    コーポレートカラーの「キューサイブルー」、ホワイト、ブラックの3色を基調としたデザインで、顧客の目線の動きに沿った読みやすいレイアウト
  • シンプルかつ使いやすいサイト設計
    顧客が知りたい商品や情報にたどり着きやすいようにサイト内のメニュー表示やボタン配置をリニューアル
  • 顧客に寄り添った商品提案を強化
    サイトのトップページに、新たに「TREND ITEM」を表示。季節やトレンドに合った商品や、新商品の情報を配信している。また、「シミを防ぐ」「うるおいによる透明感」といった提案を設置
季節やトレンドに合った商品や新商品の情報を配信(左)。顧客の悩みや希望に基づく検索ボタンも設置
季節やトレンドに合った商品や新商品の情報を配信(左)。顧客の悩みや希望に基づく検索ボタンも設置

キューサイ代表取締役社長の佐伯澄氏は次のようにコメントしている。

キューサイは、個々のお客さまがご自身に向き合い、身体のケアをしっかりしながら、内面の充実に軸足を置いて日々を過ごすことで、年齢を重ねることが喜びに変わり、生きることへの自信につながっていく「ウェルエイジング」の世界を実現していくことをめざしています。

単に商品を購入できる売り場としてのECサイトではなく、お客さまがエイジングにおける自分の「現在地」を把握でき、ウェルエイジングに結び付く「顧客体験」を通じて具体的な行動に移せる、お客さまに寄り添うECサイトをめざしていきます。

リニューアルで採用したシステムは?

リニューアルではECサイトの基盤であるプラットフォームを刷新。SUPER STUDIOが提供するECカートシステム「ecforce(イーシーフォース)」、ECサイト上にチャット形式の注文フォームを設置できるサービス「ecforce efo」を採用した。

ウェルエイジングを起点にしたシンプルで直感的なUX・UIの思想・設計が必要となる上に、新しいデジタルでの売り方や売り場作りを加速度的に実現していく必要があります。それを達成するECサイト基盤として「ecforce」を選定しました。

今後、利便性の向上はもちろんのこと、お客さまに合った商品やキャンペーンを鮮度の高いコンテンツを通じてご提案し、訪問頻度の高い売り場として永続性のあるECサイトをめざして参ります。(佐伯氏)

SUPER STUDIOが提供する「ecforce」「ecforce efo」を採用した
SUPER STUDIOが提供する「ecforce」「ecforce efo」を採用した
高野 真維

「ハルメク」はなぜシニア層から支持されるのか? 商品開発、顧客満足度向上、新規獲得施策、チャネル戦略を解説 | 通販新聞ダイジェスト

2 years 6ヶ月 ago
シニア女性向けの領域で存在感が大きい「ハルメク」。顧客満足度向上につながっている施策の詳細に加え、24年3月期の成長戦略などを解説する

ハルメクの通販事業が好調だ。顧客の実態とニーズを徹底的に理解した上で、シニアの悩みを解消したり、暮らしを良くしたりする商品の開発力に強みを持つ。雑誌「ハルメク」読者へのカタログ送付に加え、新聞広告やECなどで雑誌を購読していない層の開拓にも取り組んでいる。

2023年3月期における同社通販事業の売上高は前年比12.2%増の144億6500万円を見込んでいる。シニア向け通販で存在感が増しているハルメクの取り組みを見ていく。

商品の開発の鍵は顧客理解

ハルメクの通販事業は、食品や健食、インナー、ヘルスケア商品などを掲載する通販カタログ「ハルメク 健康と暮らし」と、ファッションやコスメを扱う「ハルメク おしゃれ」を展開し、公式通販サイトも運営している。

通販カタログ「ハルメク 健康と暮らし」
通販カタログ「ハルメク 健康と暮らし」

メインの通販カタログを制作するのに当たって同社が大事にしているのは「お客さまの実態とニーズを理解すること。わかったふりをせず、思い込みで作らないことを徹底している」(金山博通販本部長)という。

顧客を理解するために、同社ではグループのシンクタンクの調査や顧客からのはがき、コールセンター、グループインタビューなどを活用するほか、読者が誌面に登場することもあるため、撮影の合間などに話を聞かせてもらっている。

コールセンターに届く利用者の意見や、返品用のはがきも含めて、商品やサービスに関する意見はすべて文章化し、1件ずつ答えを出していくことで、スタッフのマインドをそろえている。

通販の商品開発や誌面作りの前にまずは顧客の意見を聞き、シニア女性の実態を理解してから企画を立てる。商品を作る際も、発売する前に試作モニターを徹底。コスメなどは100~200人規模で実施する。

“売って終わり”ではない

販売後も商品にはがきを入れて顧客満足度調査を行い、意見をもらったら品質改良する。売って終わりではなく、さまざまな段階で顧客の声を聞き、商品の精度向上に努めている

ハルメクは女性スタッフが多いため、顧客は母親、自分はその娘という感覚で仕事をしているようで、顧客のことを大事に思いながら商品やサービスを磨き、叱られたら素直に謝って改良を重ねることを重視している。

品質の向上こそが離脱防止につながる

同社の場合、品ぞろえで勝負するのではなく、提案する商品によってシニアの暮らしがどう良くなるのか、顧客が「使ってみたい!」と思えるような提案を心掛けているという。

7つの商品カテゴリーを持つが、カテゴリーごとに編集と商品開発の担当者がおり、そのコミュニケーションの深さと一体感で生み出す「商品×情報」が通販事業の強みだ。

また、「商品やサービスの品質がお客さまの離脱を防止する一番の方法」(金山本部長)とし、品質管理に関しては週1回、「クレームゼロ」という会議を実施。社長や幹部が集まり、1週間に届いた商品やサービスに対する顧客の意見を1件ずつ協議し、どういう対応を取って、それが十分だったかを精査する。

品質については取引先や検品所の評価も行う。クレームが発生したときは必ず評価してランク付けを行う。ただ、ランクが低いから取り引きをやめるわけではなく、なぜクレームが発生するようなことになったのか、ハルメクの品質に対する姿勢に共感してくれているのかを確認。共感、共有してくれる取引先とは一緒に作り直す。

検品は生産工場と指定検品所とで2回検品を行うが、工場の検品で出てきた不良の情報を必ず指定検品所に伝えるようにしている。そうすることで、発生しやすい不良の部分が見え、通常の検品時よりも精度が上がる。

『商品の価値=価格』。値上げは“悪”ではない

日用品や食料品、光熱費といった値上げラッシュで消費者の生活防衛意識が高まる中、ハルメクの通販でも今年1月に節約企画を展開した。

一方で、シニア女性に話を聞くと、コスパの良い商品、お得感のある商品が欲しいと答えるものの、実売になると必ずしもそうではないようだ。

単純な値上げではなく、商品の価値を磨いて“再提案”する
単純な値上げではなく、商品の価値を磨いて“再提案”する

「お得なもの、安いもので失敗するよりも、良い商品を長く使うという“賢い消費”にシニア層は移っていると感じる」(金山本部長)とした上で、「『値上げ=悪』という公式はやめたい。『価値=価格』だと思っている。価値を磨き、お客さまのニーズにフィットするものを作って提案するという方向にシフトしている」(同)という。

単純な値上げではなく、「価値=価格」の観点から既存商品を作り変え、機能性などを高め、価格を上げて再提案する

ハルメクでは今年1月から徐々に値上げを実施。事前に値上げ時期を知らせていたことから、昨年12月は駆け込み需要もあって売り上げが急伸し、特に定番品などがよく売れた。その反動で、今年1~2月は購買意欲が低下したが、徐々に回復してくると見ている。

チャネル間の連携を強化

ぴったりの商品がないなら、自社で作る

カタログ誌面についても、価値提案の取り組みに合わせて、今年1月発売の2月号から巻頭部分でハルメクが考える理想の暮らしとして「ものは少なく、暮らしは豊かに」というフレーズを掲げた。

同社が商品を厳選し、もっともいいモノだけを提案する。世の中にぴったりなモノがなければ同社が作るという。

ファッションカテゴリーでは、顧客130人以上の体型を3D機器で計測し、作成した50代以上のリアルな体型のトルソーでサイズを決定。

JIS規格に則ったサイズを基準にするのが一般的だが、同社ではシニア女性に合うサイズを設定し、そのトルソーで作ったコットンプルオーバーなどが定番服として人気だ。

また、約200人の計測結果からO体型とA体型の体型別ストレッチパンツを開発して好評を得ている。

今後は、「『ものは少なく、暮らしは豊かに』を体現できるよう、商品の販売だけでなく、サービスも開発していきたい」(金山本部長)とする。

新規獲得の手法はデジタルシフト

一方、新客開拓については、雑誌「ハルメク」に2冊の通販カタログを同梱して雑誌の読者にアプローチしているほか、新聞広告などのメディアを活用して新規獲得を図っている。雑誌は定期購読者数が50万人を突破するなど伸びているため、通販カタログの配布数も多くなっている。

そのため、紙代のコストアップは大きな負担で、さまざまな対応をしている。雑誌からカタログへという新規の大きな入り口の部分をデジタルに大胆に切り替えていく計画だ。

同社は雑誌ハルメクのオンラインメディア「ハルメク365」を運営しており、その中のコンテンツから通販サイトに送客する仕組みを積極的に広げる

加えて、雑誌の新規読者に対して同梱する「ハルメク おしゃれ」と「ハルメク 健康と暮らし」を1冊にした合体版を届けるテストを昨年夏から開始し、今年1月から本格化している。合体版には新規購入者をターゲットにした商品を選別して掲載することで購入率を高める狙いもある。

ファッションやコスメを扱う通販カタログ「ハルメク おしゃれ」。「ハルメク 健康と暮らし」との合体版も22年夏から開始
ファッションやコスメを扱う通販カタログ「ハルメク おしゃれ」。「ハルメク 健康と暮らし」との合体版も22年夏から開始

今期(24年3月期)は、カタログや新聞広告、EC、実店舗という各販売チャネルの縦割りを崩して横の連携を強化する

また、顧客の幅広いニーズに応えるためには、自社ですべて取り組むのではなく、シニア女性のためのプラットフォームとして機能し、他社との連携やコラボ商品なども拡大していく

強化カテゴリーとしては、インナーと靴を優先的に伸ばす。インナーは以前から強く、靴は理学療法士の理論をもとに同社が開発した特徴的な靴を展開しており、これに注力して広めていく。

靴とインナーを強化カテゴリーとする
靴とインナーを強化カテゴリーとする

ハルメクHD、東証グロース市場に上場

シニア女性の悩みや期待に応える

ハルメクや全国通販などを傘下に持つハルメクホールディングスが3月23日、東京証券取引所グロース市場に新規上場した。

2023年3月、東証グロース市場に新規上場した
2023年3月、東証グロース市場に新規上場した

ハルメクグループはシニア女性の領域に特化し、中核のハルメクでは当該層の悩みや期待に応える「情報コンテンツ」「物販」「コミュニティ」の3事業を展開している。

ハルメクグループが取り組む3つの事業(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)
ハルメクグループが取り組む3つの事業(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

情報コンテンツの軸は雑誌「ハルメク」で、健康やファッション、レシピなど生活全体をカバーする幅広い記事を提供。発行部数を4年連続で伸ばし、昨年12月に定期購読者数50万人を突破した。

また、Webサイトも暮らしや美と健康、カルチャーなどの情報発信を行い、Web上でもシニア女性から支持されている。2018年8月に「ハルメクWEB」をスタートしたが、昨年8月に開始したサブスク型の「ハルメク365」へ統合している。

各事業の取り組みは?

物販はカタログと自社EC、実店舗で中高価格帯のオリジナル商品を中心に提供している。実店舗の「ハルメクおみせ」は今年2月下旬に横浜高島屋に出店して7店舗体制を整備。ハルメクの通販商品を販売している。

ハルメクグループが展開する物販事業の取り組み(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)
ハルメクグループが展開する物販事業の取り組み(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

コミュニティは、情報コンテンツや物販と関連した体験やつながりを提供。体操、料理、スマホ講座、旅行、メイク、ファッション、コンサートなどの講座・イベントをリアルでスタートし、コロナを契機にオンラインでの提供も増やしている

グループの全国通販は、ハルメクよりやや年齢の高い60歳以上の顧客を対象に、「ことせ」のブランド名でファッションと雑貨、食品のカタログを展開顧客理解に基づく商品を低中価格帯で提供している。

全国通販の事業概要(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)
全国通販の事業概要(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

これまで離脱防止と新客開拓の取り組みに注力してきたことで、減少していた顧客数が増加に転じている

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

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このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

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通販新聞

【首都高6/10までの通行止め】ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便で荷物の配送に遅れが生じる可能性

2 years 6ヶ月 ago

首都高速道路羽田線一部区間の工事に伴う通行止めについて、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の大手配送キャリア3社は、一部地域への荷物の配送に遅れが生じる可能性があると公表している。

首都高速1号羽田線高速大師橋の架け替え工事により、一部区間において終日通行止め規制が行われる。周辺道路の渋滞などで、東京都、神奈川県、千葉県の一部地域への荷物の配送に遅れが発生する可能性がある。

ヤマト運輸

6月10日までの期間、全国から以下の対象地域宛ての荷物は「遅延了承」での預かりとしている。

  • 東京都……大田区・渋谷区・世田谷区・目黒区
  • 神奈川県……川崎市川崎区・幸区
  • 千葉県……木更津市・君津市・富津市・館山市・南房総市・鴨川市・袖ケ浦市

また、交通渋滞の状況などによって、対象地域の周辺、羽田空港を発着する荷物に遅延が発生する可能性があるという。そのため、ヤマト運輸は日数に余裕を持った発送を依頼している。

また、羽田空港を経由する以下の区間の宅急便、クール宅急便、宅急便タイムサービスも「遅延了承」での預かり対象となる。

ヤマト運輸は5月27日から6月10日の期間、首都高速道路と周辺一般道において交通渋滞が予測されるため、一部地域への荷物の配送に遅れが生じる可能性があると発表
「遅延了承」での預かり対象となる宅急便・クール宅急便
ヤマト運輸は5月27日から6月10日の期間、首都高速道路と周辺一般道において交通渋滞が予測されるため、一部地域への荷物の配送に遅れが生じる可能性があると発表
「遅延了承」での預かり対象となる10時指定「宅急便タイムサービス」
ヤマト運輸は5月27日から6月10日の期間、首都高速道路と周辺一般道において交通渋滞が予測されるため、一部地域への荷物の配送に遅れが生じる可能性があると発表
「遅延了承」での預かり対象となる17時指定「宅急便タイムサービス」

佐川急便

6月10日までの期間、周辺の一般道路でも通常以上の渋滞が予想されるため、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の一部で荷物の配送に遅れが生じる可能性があるとしている。

日本郵便

6月12日までを対象に、神奈川県川崎市、横浜市の一部、横須賀市の一部、三浦市(〒21~23)を引受地域とした荷物にいて、速達扱いのゆうパックなどは半日程度、普通扱いのゆうパケットなどは1日程度、遅延する場合があるという。

また、全国から神奈川県川崎市、横浜市の一部、横須賀市の一部、三浦市(〒21~23)宛てに送る荷物も同様としている。

瀧川 正実

SNS時代の既存顧客活性化方法、OMO、オムニチャネル、ユニファイドコマースとは?ECの専門家が解説 | 「ECタイムズ」ダイジェスト

2 years 6ヶ月 ago
識者が「口コミを制する者が通販を制す」「販売チャネル間のデータを統合してマーケティングに生かす“ユニファイドコマース”の活用法」といった切り口で既存顧客の活性化手法を解説する

コロナ禍で拡大してきたEC業界ですが、日常を取り戻しつつある今、市場はどのように変わってきたのでしょうか? InstagramやTikTokといったSNSの動向により移り変わるユーザーの視点や購買へと結びつける新たな手法など、これからECが成長できるポイントをECマーケティングのスペシャリストの方々に伺いました。

W2やディールの担当者が既存顧客を活性化するためのノウハウを語る
W2やディールの担当者が既存顧客を活性化するためのノウハウを語る

ECにおけるSNSの最新活用法とは? ディール山本氏が解説

山本:ディール SaaS事業本部 セールスチームの山本綺音と申します。現在は主に化粧品や健康食品、アパレル、食品などEC通販企業様向けに、UGCクリエイティブのご提案や、マーケティング、キャスティングなどを担当させていただき、D2C・EC企業様を成功に導くための業務に従事しています。

SNSは「ググる」→「タグる」→コンテンツの方から「やってくる」時代に変化

山本:では早速本題に入りますが、まず最初に最近のSNSの動向と、EC通販の移り変わりについてお話させていただければと思います。

まずSNSの移り変わりで言いますと、UGCが「ググる」→「タグる」→「やってくる」と変化しています。

商品を購入する際、Googleなどの検索エンジンを使用して指名購入/目的購入する時代から、SNSなどの媒体を使用してハッシュタグで検索をかける時代へと移り変わりました。

そしてここ最近では自ら調べるのではなく、面白い何かを探している人に対して、コンテンツ側からやってくる時代へと変化しています。

“衝動買い”が増加傾向

山本:実際に3人に1人がTikTokでの購入履歴があるというデータが出ており、指名購入から衝動買い購入が増えている傾向にあります。

ここまでSNSの移り変わりについてお話しましたが、自分で商品について検索をかけようが、コンテンツ側からやってこようが、一貫して変わらないことがあります。それが口コミを見ているという点になります。

指名購入する際も衝動買い購入する際も、企業からの情報だけではなく、第三者であるユーザーからの情報の後押しにより、購入へとつながるというデータが出ています。

EC業界の“3つの逆風”とは?

山本:では、口コミとEC通販との関わりは何かをお話させていただきます。まずEC通販の背景として、EC化率は緩やかに上がっていましたが、コロナ禍によってさらに大きく上がっていきました。ですがここ最近、そしてこれからは、EC業界は逆風の時代に突入するのではないかなと思います。

その理由としては三つありまして、まず一つが通販の需要の低下です。コロナ禍での制限が緩和され、ネットで購入する必要が少し減ってきたというところになります。

続いて、クリック単価の激化です。EC化率が増えてきたなかで、クリック単価が高騰しています。なので、広告費をかけられないと生き残るのは厳しい時代になってきていると思います。

そして3番目が社会的にコストの削減という時代に入ってきているというところです。コロナ禍でのダメージによって固定費や人件費などのコストを削減する企業が増えてきました。

この三つの点から、EC業界への参入率が低下している傾向にあります。

口コミを制する者が通販を制する

山本:‍ただ、参入率が低下し始めている今こそがチャンスの時代なんじゃないかなと思います。では、どうやって他社と差別化を図って売り上げを上げていけばいいのかと言いますと、口コミを自社サイトで活用することがとても重要です。商品力やデザイン性だけでは差別化できない時代、口コミを制する者が通販を制すると言えます。

口コミは通販・EC事業において大きな役割を持つ
口コミは通販・EC事業において大きな役割を持つ

山本:‍‍先ほどのクリック単価の激化にも関わりますが、現在は莫大な広告費をかけられる企業だけが独占している状態になっています。だからこそ、広告費を投下する前にしっかりとリターンが返ってくるような仕組みを作る必要があります。

売れている企業と同じだけ広告費をかけたとしても同じだけリターンが返ってくるとは限らないので、自社サイトでリターンとして返ってくるような仕組みをどう作るかというところが重要になってきます。

その成功の鍵を握るのが口コミです。リターンがしっかりと返ってくる仕組みを作るためには、まずは口コミを使いましょう。

口コミで“信用”を作る

山本:その理由は、消費者購買行動の1位が信用となっているからです。低価格であることや、利便性、デザイン性も大事だとは思いますが、それよりもこの商品は信頼して使用できるものなのか、安心して使えるのかということを一番に見ているというデータが出ています。

ですので、いかに安心安全を担保して訴求できるかが、新規獲得件数を上げる上で最も重要になってきます。そこで重要となるのが、口コミというわけです。

そのなかでも企業から発信されている口コミではなく、ユーザーが実際に使用した口コミが信用されている理由としては、やはりイメージが湧きやすいところや、安心して使えることを訴求できるところになります。

また、その口コミのなかで最も重要視されているのが、口コミサイトでのレビューや、InstagramなどのSNSによる写真の口コミです。

口コミが新規獲得の入り口になる

山本:‍この口コミもポジティブな内容であればあるほど信用を獲得できます。通販企業さまでは口コミ、広告、CRMのどれも重要ですが、そのなかでもなぜ弊社が口コミを最も重要視しているかと言いますと、口コミがなければ新規獲得やLTVにまでつながらないと考えているからです。

口コミを獲得することによって、広告費をかけたときにしっかりとリターンが返ってきて、さらにLTVやCRMにつながります。

“アーリーアダプター”の獲得が鍵

山本:ここまでで口コミとは何か、なぜ重要なのかというところはおわかりいただけたかと思います。

ではECサイトでの口コミとは何かといいますと、UGC(User Generated Contents)といって、ユーザーから発信される情報です。SNS上にあるものは全てUGCと思っていただければと思います。

‍EC・通販で新規を獲得する方法としてUGCを収集していく必要がありますが、その方法としてはSNS媒体などを使って、アーリーアダプターを獲得するのが鍵となってきます。

アーリーアダプターとは商品やサービスを初期の段階で購入する人々で、初期採用者とも言われます。要は流行に敏感な層ですね。

市場で商品やサービスを普及・拡散させるにはこのアーリーアダプターを獲得することが重要になってきます。

ではどうやって獲得していくのかと言いますと、やはりインフルエンサーなどを活用することが必要になってくると思います。インフルエンサーとはすなわち影響を与える人で、彼らの情報が人々の消費者購買行動に大きな影響を与えています。

山本氏はインフルエンサーをフックとしたアーリーアダプターの獲得を提唱している
山本氏はインフルエンサーをフックとしたアーリーアダプターの獲得を提唱している

山本:‍インフルエンサーも消費者の1人ですので、企業が発信する情報とはまた別で、消費者から信用を勝ち取ることができたり、自分と同じ立場の人が発信する体験談・評価・口コミだからこそ親近感がわいたりするというところが大きなポイントになります。

InstagramとTikTok、それぞれの強みは?

Instagramは「信頼度アップ」の手段

山本:SNSの媒体にもいろいろありますが、今回はInstagramとTikTokに絞ってお話します。

まず、Instagramは、口コミを調べる・集める場所であり、活用の目的は信頼度をアップさせることです。ハッシュタグを検索したときに投稿数が出てきますが、これが口コミの数と思っていただいて問題ありません。また、公式のInstagramで、ユーザーからの投稿というところを見た際に出てくる口コミも重要になります。

どの程度出てくるかによって、企業やアカウントに対しての信頼や信用を訴求できる部分となります。InstagramやTwitterに関しては、フォロワーに対するアプローチに特化していますので、どちらかというとファンマーケティング向きかと思います。

TikTokはターゲット層拡大に有用

山本:続いて、TikTokです。TikTokの活用目的は、ターゲット層の拡大になります。

何か面白いコンテンツを目的なく探しにきた人がターゲットとなります。TikTokでは7割がフォロワー外からの視聴であることや、自分の興味関心のあるもの以外の情報も3割程度流れてくる仕組みから、潜在顧客の発見につながります

まとめますと、Instagramは信頼度アップ、ブランディングのために使っていただく。TikTokはターゲット層の拡大として使っていただくということになります。

これを選定基準としていただき、先ほどのインフルエンサーなどを使っていただけますと、各企業さまの目的に合わせた訴求ができるのではないかと思います。

「OMO」「オムニチャネル」「ユニファイド」とは? W2天地氏が解説

天池:W2の天池と申します。ECの導入に求めるべきポイントとして、ECサイトに必要な機能や選定基準を基に、最近のEC/OMO戦略と成功施策、構築事例などをお話します。

EC市場の最新動向を解説

天池:toC向けのECが伸びているなかで、その想定成長の要素をいくつかお話できればと思います。

まずは、コロナ禍の影響で高まるオンラインの需要に対してECを強化する事業者さまや、新しくECに参入する企業が増えているということがあげられます。そのなかで、ECの管理や運営を支援するツールやソリューションが非常に多く誕生していることも背景にあります。

オンラインとオフラインの垣根はなくなりつつある

天池:次に、ファッション系の企業でよくある例ですが、ECという枠にとらわれず、店舗とオンラインを横断した形でのブランドの購買体験を強化しているということがあります。

店舗スタッフの協力も強くなってきておりますので、ブランドの魅力を訴求しながら、ECの売り上げに貢献できる傾向にあります。要は、EC・オンラインと、店舗・オフラインの垣根がなくなっていることが要素として考えられます。

オンラインとオフラインの垣根のない購買行動が実現しつつある
オンラインとオフラインの垣根のない購買行動が実現しつつある

自社独自の訴求によるファンマーケが進む

天池:最後に大事なポイントですが、ユーザーごとに適した情報や求める情報を発信しながら、自社ECならではの訴求をすることでファンを増やしていることがあげられます。

‍まとめますと、お客さまに合わせた顧客体験を主軸にしながらも、サービスの強化や整備を行っているかどうかが大きなポイントになると弊社は考えております。

私も実際にいろいろなECサイトでさまざまな買い物をしております。そのなかで一度購入したサイトから顧客体験を提供してもらったり、さらに接客を受けたりしますが、汎用的なアプローチですとどうしても情報が埋もれてしまったり、興味が引かれなかったりといった課題が多く発生します。

一方で、自分に寄り添った、ピンポイントな情報をそのサイト側から与えられると購入意欲が上がりますし、商品やサービスに対して興味を強く引かれます。

つまり、お客さまに合わせて寄り添った形でのサービスや顧客体験を提供することが重要だと考えております。

「OMO」と「オムニチャネル」の違いとは

天池:OMO/オムニチャネルについてお話します。実はOMOとオムニチャネルは微妙に観点が異なっておりまして、OMOでは、オンラインとオフラインの境界を取り払ってサービスを提供するというのが基本的な考え方になっております。

例をあげますと、朝起きて会社に出勤する前に、店舗の様子をスマホから確認し、取り置きで服を予約する。そして仕事の帰りに予約をした服を実際に試着し購入する。このようにオンラインとオフラインが融合した世界観を実現できるのが、OMOです。

オムニチャネルにつきましては、ECサイト、カタログ、店舗、SNSなどさまざまな販売チャネルがあるなかで、いつでも、あるいはどこでも同じように購入できる環境を作っていくという考え方となっております。

顧客ごとの1to1マーケを実現する「ユニファイドコマース」

天池:「ユニファイドコマース」についてはあまりわからないという方も多くいらっしゃると思いますが、直訳すると「統合された商取引」となります。

つまり「データを統合して活用していきましょう」というようなニュアンスに近いものと考えております。オムニチャネルでは、あらゆるチャネルがあるなかで、たとえばイベントではプラットフォームでデータを管理していたり、SNSでは自社ではなく外部に支援を外注していたりといったように、あらゆるチャネルに対してデータが統合しきれていないという問題が多くあります。

効果的なマーケティングにあたっては各販売チャネルでの顧客データ統合が望ましい
効果的なマーケティングにあたっては各販売チャネルでの顧客データ統合が望ましい

天池:これは非常にもったいない部分でして、企業としてあらゆるデータを統合しながら管理、そしてさらには活用がしきれないとさらなる成長はなかなか望めません

そこで「ユニファイドコマース」の考え方としては、システムを統合し、幅広い観点でデータを収集することで、そのデータを活用しながら、お客さまごとに1to1マーケティングを実践していくというところになります。

いつでもどこでも同じように購買ができるOMOやオムニチャネルに加えて、さらに1to1マーケティングの要素を掛け合わせた考え方が、「ユニファイドコマース」であるというふうにイメージしていただけるとわかりやすいのかなと思います。

「ユニファイドコマース」の活用法

天池:ここからは、「ユニファイドコマース」を実際に実現する上での活用データ例をお話しさせていただきます。

代表的なデータとして会員属性や実店舗/ECサイトでの購買履歴、ライブコマースなどがありますが、これら全ての情報を統合することが重要だと考えております。

たとえば、私があるブランドのダウンジャケットを店舗で購入したとします。その情報が同じブランドのECサイト上に連携されていないと、次はECサイト上で商品を見ている際に、また似たようなダウンをレコメンドされるという可能性も考えられます。

より購買度を上げるという観点でお話しますと、私が買ったダウンに合うボトムスだったり、スニーカーだったりをECサイト上でレコメンドしてくれたなら、コーディネートを考えて購買するということも起こり得ますよね。

店舗やオンラインなど、販売チャネルが異なっていても購買履歴をしっかりと一元化する。あらゆるチャネルから収集して統合されたデータを活用し、さらには顧客ごとに最適なサービスや商品を最適なタイミングで提供する。この考え方が、タイミングも含めてやはり重要となります。

次に設定のポイントの代表的なところをお話させていただきます。

数年先まで描く

天池:まず一つ目、最終的にどのようなことを実現したいのかを明確にして、数年先を描き切るというのがやはり重要です。

カスタマージャーニーを設計

天池:次に、お客さまを軸として、どのようなカスタマージャーニーを描いていくべきなのか、さらには描いてもらうのか。その上でどのような顧客体験を提供するのかを明確にすることがやはり大事になります。

また、オフラインとオンラインを掛け合わせた形での営業体制の実現に向けて、会社としての意識統一もしっかりとしていかなければなりません。その意識統一をする上で、制度や体制を見直すことも必要になるかもしれません。

システムやソリューションの整備

天池:最後に、EC事業を円滑に運営していくために必要なシステムやソリューションを整えることも非常に重要なポイントとなってきます。

◇◇◇

みなさん、いかがでしたでしょうか? 「口コミを制す者が通販を制す」という言葉、胸に刺さりました。

消費者購買行動の1位である「信頼」を獲得するためにも、各SNSの特性を理解した上で活用することが大切なんですね。

また、あらゆるチャネルから収集して統合されたデータを活用し、顧客ごとに最適なサービスや商品を最適なタイミングで提供する「ユニファイドコマース」の考え方が今後のEC戦略では重要となってきそうです。

ECタイムズ

【本日開催!】ウェブの“標準値”を知ってサイト改善/EEAT時代のSEOとSGEの登場「Web担当者Forumミーティング 2023 春」

2 years 6ヶ月 ago
本日開催中のWeb担主催イベント「Web担当者Forumミーティング 2023 春」の全29講演から、おすすめの講演を6つ紹介。参加受付はまだ間に合います!

キリン、Jリーグ、サントリー、サイバーエージェントなどが登壇する「Web担当者Forum ミーティング 2023 春」を5月30日(火)、5月31日(水)に開催します。

全29講演をすべて【無料】で視聴できます。全29講演のなかから「今日のオススメ講演」を6つ紹介します。

当日でもお申し込みができますので、気になったセッションがあれば、ぜひ参加してみてください↓↓

【当日申し込み可】5月31日(水)のおすすめ講演6つ

① 押し売りにならないBtoBマーケの定石
Webサイトとメルマガ添削でわかる今すぐ役立つTIPS
5月31日(水)10:00~10:45
講師:垣内 勇威 氏(株式会社WACUL(ワカル))

BtoB業界でマーケティングに注力する企業は増えていますが、顧客を見ないツール導入や、部分最適が相次ぎ、失敗に終わっています。本講演では、BtoBマーケの定石と今すぐ役立つTIPSを紹介し、Webサイトとメルマガの生添削を実施。添削希望者はTwitter「#B2Bマーケ添削先生」で参加ツイートしてください。

垣内氏のセッションの詳細を確認する↓↓

二村

なんと講師さんがWebサイトとメルマガを生添削してくれます! 添削希望者をTwitterで募集中。ハッシュタグは「#B2Bマーケ添削先生」です。参加ツイートお待ちしております!

➁ 全60チーム“JリーグID”統合で売上6倍
ファンを呼ぶ秘訣は「データ活用」と「組織作り」
5月31日(水)10:00~10:45
講師:笹田 賢吾 氏(公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ))

従来各クラブが独自で顧客データを管理していたが、共通のJリーグIDとプラットフォームを開発し、データマーケティングに本腰を入れたことで、オンラインチケット販売売上が、5年間で約6倍に増大。ファンエンゲージメント向上を成功させた。クラブチームに浸透させる横断的な取り組みや、顧客起点のマーケティング手法について解説する。

笹田氏のセッションの詳細を確認する↓↓

二村

60チームがそれぞれ独自で管理していた顧客データを統合した際の取り組みについてお話いただきます。DXやデジタル活用に悩む方にお勧めの講演です。

③ 広告費ゼロでフォロワー160万人超!
3COINSの人気Instagramの秘密は「社内インフルエンサー」
5月31日(水)13:45~14:30
講師:矢八 有香子 氏(株式会社パル)

フォロワー数を獲得するのに重要視したのは「個人の力」。
アルバイトを含む社内スタッフ70人が好き勝手に発信。個人フォロワー数の増加がブランドフォロワー数の伸長に貢献。パル全社で取り組む「社内インフルエンサー」制度を活かした情報発信のノウハウをお話します。

矢八氏のセッションの詳細を確認する↓↓

二村

テレビなどで紹介されることも多く、Instagramでも人気の3COINSから矢八さんが登壇します。なんと広告費なしでスタッフの方々がInstagramを運営しています。どうやって情報を発信し、ブランド認知を向上させているのか秘密をお聞きします!

④ ウェブをつくったら何人が見に来るのか?
ウェブの「標準値」を知ればサイト改善が見えてくる
5月31日(水)13:45~14:30
講師:石井 研二 氏(株式会社ミルズ)

「サイトに何人の人が訪れるのか」「CVRは何%になるか」を誰も教えてくれません。
実は、ウェブには「標準値」があります。集客力は何人? CVRは何%が一般的? 標準値を知ってサイトを見れば「他のサイトと違って良くないところ」が見えてきます。ウェブの標準値と課題の発見、改善の手法をお伝えします。

石井氏のセッションの詳細を確認する↓↓

二村

サイトのアクセス分析でPVやCVRを見ても、その数値が他のサイトと比べてどうなのか、一般的に見て悪い数字なのか良い数字なのかって判断しにくいですよね?
今回はそんな悩みを解決するウェブの「標準値」についてお話いただきます。

⑤ ジンを日常的に愉しむお酒へ
サントリー「翠ジンソーダ」が仕掛けたマーケティング戦略
5月31日(水)16:35~17:20
講師:酒巻 真琴 氏(サントリー株式会社)

ジンを「馴染みのないカクテル用のお酒」から「気軽に飲めるソーダ割のお酒」へ、イメージを一新。サントリージン「翠」は、日常の食事と合わせて愉しめるお酒として、新しい需要創出を目指し2020年に発売。「翠ジンソーダ缶」は発売初年度で390万c/sを超える出荷を記録、現在も好調を維持。本セッションではサントリーの仕掛けたマーケティング戦略を解説します。

酒巻氏のセッションの詳細を確認する↓↓

二村

コンビニでもスーパーでも居酒屋さんでも見かけるようになったサントリーのジン「翠」。一消費者としても日常のお酒の選択肢にジンが加わったのは新鮮でした。

今回はそんな日常の選択肢に加わったジン「翠」のマーケティング戦略についてお話していただきます。

⑥ EEAT時代のSEO ~AI×検索エンジン「SGE」登場の影響は?~
5月31日(水)16:35~17:20
講師:木村 賢 氏(株式会社サイバーエージェント)

2022年末にGoogleの品質評価ガイドラインが、従来のE-A-TからE-E-A-T (Expertise, Experience, Authoritativeness, Trust)となり、新たにExperienceが追加されました。さらに、5月11日にGoogle I/Oで発表された生成AIと検索が融合する「Search Generative Experience(SGE)」。一部では、SGEの登場でSEOがなくなるとも言われています。なぜ、E-A-TからE-E-A-Tに変更されたのか推測するとともに、SGEで不要になるとも言われているSEOに今後どう取り組んで行くべきか?現状の検索データと併せて、いまやるべきコトを解説します。

木村氏のセッションの詳細を確認する↓↓

二村

EATからEEATに変わっただけではなく、なんと5月にはAI×検索エンジン「SGE」まで登場し、ここ数か月の変化がすさまじいSEO界隈…。そこで今回は木村氏にご登壇いただき、最新の情報と、どう対応すべきかを語っていただきます!

イベントの詳細を確認する↓↓

オリジナル記事はこちら:【本日開催!】ウェブの“標準値”を知ってサイト改善/EEAT時代のSEOとSGEの登場「Web担当者Forumミーティング 2023 春」(2023/05/31)

二村 茜

ECサイトにおける商品の探し方「キーワード検索」が約7割。タグ検索では「商品カテゴリ」がトップ

2 years 6ヶ月 ago

NTTレゾナントが行った「ECサイトの利用動向」に関する調査によると、ECサイトでの商品を探す際、67.1%が「キーワード検索」をしていることがわかった。

AI型ECサイト内検索ソリューション「goo Search Solution(グーサーチソリューション)」の提供部署が調査を実施。調査対象者は1か月以内にECサイトを利用した15歳~69歳の男女1035人。期間は2023年2月3日~2月4日。

「また使いたい」と思えるポイントは「価格の安さ」「商品の見つけやすさ」

ECを日常的に利用するユーザーに、「また使いたい」「好きになる」と思えるECサイトの要素を聞いたところ、最多は「価格が安い」(68.8%)で、次いで「商品が見つけやすい」(55.9%)「配送が早い」(51.0%)だった。

ECサイトが選ばれるポイントとして、価格的なメリットだけでなくサイトの検索性も重視されていることがうかがえる。

NTTレゾナント goo Search Solution ECサイトの利用動向 また使いたいと思うECサイトのポイント
ECサイトを選ぶ際、「また使いたい」「好きになる」「ブランドイメージが良くなる」と思うところ(n=1035/複数回答可、出典:NTTレゾナント)

商品の探し方、「キーワード検索」がトップ

ECサイトにおける商品の探し方で最も多かったのは「キーワード検索」(67.1%)。2022年9月に公開した調査結果における類似質問でも、「キーワード検索」を選んだユーザーは71.2%で、今回と同程度の割合だった。

NTTレゾナント goo Search Solution ECサイトの利用動向 ECサイトにおける商品の探し方
ECサイトで買い物をする際に、商品をどのように探しているか
(n=1035/選択式・複数回答可、出典:NTTレゾナント)

一方で、入力するキーワードについて悩んだ経験の有無について聞いたところ、62.8%のユーザーが、「検索時に入力するキーワードに悩んだことがある」と回答した。ECサイトは「キーワード検索」をメインにしつつ、それ以外の検索手段を整える必要があると考えられる。

NTTレゾナント goo Search Solution ECサイトの利用動向 商品検索時にどのようなキーワードを入力すれば良いか悩んだ経験の有無
検索でどのようなキーワードを入力すればいいかわからないことがあるか。ある場合はどんな時か
(n=1035/選択式・複数回答可、出典:NTTレゾナント)

タグで検索する場合、「商品カテゴリ」が最多

商品の探し方で「タグ検索」と回答した人に「使ったことのあるタグ」「使いたいタグ」について聞いたところ、最多は「商品のカテゴリ名」(57.3%)だった。

かわいい・きれい・シンプルなどの「商品イメージ」、結婚式・大掃除などの「利用シーン」といった、通常のキーワード検索では目的の商品にたどり着きにくいような切り口にも10%以上の票が集まった。

NTTレゾナント goo Search Solution ECサイトの利用動向 どのようなタグで検索するか
どのようなタグで検索するか、または検索したいか(n=117/複数回答可、出典:NTTレゾナント)

NTTレゾナントは「タグ検索は商品の特徴を示し、類似した特徴を持った商品を探しやすくなる。そのため、キーワード検索とは異なる切り口の商品との出会いを提供できるかもしれない」と考察した。

調査実施概要
  • 調査タイトル「ECサイトの利用動向」
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2023年2月3日~ 2023年2月4日
  • 調査対象:15歳~69歳の男女(1か月以内にECサイトを利用した人)
  • 有効回答者数:1035人
藤田遥

半日でインターネット販売をやめました(笑)――幻の「レインボーラムネ」の社長の話が面白すぎた!【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

2 years 6ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年5月22日~5月28日のニュース

ご存知の方も多いかもしれない「レインボーラムネ」。その誕生、製法、幻となった理由などを社長さんが話しています。とっても面白いので読んでみてください。

面白い話の中にも商売のエッセンスがちりばめられています

抽選に14万通!なぜ人気?74歳の今も「レインボーラムネ」を作り続けるイコマ製菓本舗・平口社長【突撃!近大人社長】 | Kindai Picks
https://kindaipicks.com/article/002625

入手困難で、幻のラムネと呼ばれる「レインボーラムネ」。発案者のイコマ製菓本舗2代目社長・平口治さんは、胃がんと心臓病を乗り越え、74歳の今も工場に立ち、さらなる美味しさを追求し続けています。レインボーラムネの人気の理由、社長の熱意の裏側とは?

私は「レインボーラムネ」をこの記事で初めて知りました…。「幻のラムネと言われるぐらいなので知らなくても当然」と開き直って記事を読んでみたら、とんでもなく面白かったです! ラムネ一つにこれだけのストーリーがあるのだな~と感慨深く思いながらも、社長の語り口で笑ってしまうことも何度も。皆さんもお読みください。

田辺優月:最初から抽選販売だったわけじゃないですよね。

平口社長:工場での直売は、近所迷惑になるからやめてん。商工会議所のビルを借りて予約販売したこともあったけど、駐車場が満車になって迷惑やから……って貸してもらわれへんくなって。その後、奈良にある600台駐められる駐車場がある会場で販売したんやけど、朝から駐車場が満車になっただけでなく、京都から奈良の押熊まで渋滞が起きて、京都府警と奈良県警に呼び出されてん。

「呼び出されてん」って(笑)。さらっと言っていますが、警察に怒られるほどの渋滞を作り出してしまうくらい人気だったんですね。

田辺優月:インターネット販売はしなかったんでしょうか?

平口社長:一度やったことがあるんですよ。お昼くらいに「商品アップしといて」って従業員に頼んでたんです。で、夜に販売ページ開いてみたら滝のように注文が来てて。急いで「販売とめて!」って電話した

田辺優月:どれくらい注文がきたんでしょうか?

平口社長:送るのに2ヶ月ぐらいかかる量やったなあ。それで、半日でインターネット販売をやめました(笑)

半日で2か月分の注文! ネット販売事業は半日で終了! 皆さんおわかりのようにそんなに注文が来てしまったら会社の中は戦争ですね。のんびり注文を受け付けている場合ではありません。とにかく作って配送して謝って…と嵐のように毎日が終わっていったのでしょう。

田辺優月:どうしてそんな人気に……?

平口社長:最初は松屋町筋商店街のお店に卸してたんやけど、全然売れへんかってん。それから自分とこの工場で販売するようになって、10年くらいは近所の人がぼちぼち買ってくれる程度やったんやけど、あるとき急にお客さんがたくさん来るようになって。誰かがmixiに投稿してくれたのをきっかけに、口コミで広がってな。

売れたきっかけは「mixi」! 当時、私も「mixi」を使っていましたが、やっぱり「レインボーラムネ」のことは知りませんでした…。そんなことより、クローズドなSNSで人気が出て、今でも売れ続けているというのはすごいですよね。

こんな調子で商売を振り返っていますので、皆さんもお読みくださいませ~。

 

【一元管理「楽々通販2」急停止で混乱】導入企業は膨大な注文を手動処理 顧客データ消失も | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/8843

一元管理システムが急にログインできなくなった――EC企業やECコンサルタントから、そんな耳を疑うような話を聞いた。事前の通告なく、今年4月末にサービスが急停止したようだ。

ある導入企業は、「サービスが使えなくなったのは4月28日のことだった。突然ログインできなくなり、運営企業に問い合わせても連絡が付かなかった」と言う。

先週気になったニュースをもう1つ。

一元管理ツールの「楽々通販2」がログインできなくなったとのことです。はっきりしたことはまだわからないのですが、提供元に連絡もつかないようです。

ある導入企業も「サービスが利用できなくなったため、手動で受注処理をせざるを得なくなり、受注スタッフの負担がとても大きくなった。別の一元管理システムを急いで導入したが、突然の移行だったので顧客データが修復できず、かなり大変だった」と話す。

多店舗展開をされている方はご存知のように、受注処理や商品登録、出荷の管理もしているツールなので、ここが止まってしまったらすべてが止まってしまいます。注文は入るものの出荷ができなければ購入者にも迷惑がかかりますし、出荷ができなかった実績もモール側に残ってしまいます。

今のネットショップはさまざまなツールに依存しています。それがなくなった時にどうするのか? 危機管理の1つとして考えておくべきことです。

今週の要チェック記事

なぜ事業計画通りに事業は展開しないのか? 絵に描いた餅にならない事業計画書の作り方 | THE OWNER
https://the-owner.jp/archives/13953

記事中にある、「売上-経費=利益」ではなく、「-マーケティング投資+売上-経費=利益」。これを知っておくと安定した経営ができるはず。

接客経験者が作る売り場は強い アルビオンが自社EC立ち上げで意識したブランドの魅力を引き出す方法とは | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/12780

商売は人間味が無いとうまくいかない。そんなことを気づかせてくれる記事です。

アマゾン、商品の検索を支援するAIチャットボットを計画か | CNET Japan
https://japan.cnet.com/article/35203895/

いよいよアメリカで本格始動!購買に最も近いであろうショート動画サービス「Amazon Inspire」を予習しておこう | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/35335

Amazonの動きを2つ。こちらは人間味無しでも売ることを追及しています。

赤字に転落した千趣会、梶原社長が語るV字回復に向けた2023年度の戦略とは | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10940

振り返りからこれからまで、具体的な内容が書かれているので参考になります。

SHEINが約2,800億円を調達 ー WSJが伝える | ST
https://shopping-tribe.com/world-watch/58834/

開始からたった半年!あのシーインをあっさり抜き去った中国の最強EC「Temu」とは何か? | ダイヤモンド・チェーンストアオンライン
https://diamond-rm.net/management/businessplan/442533/

「SHEIN」関連で2記事。出たばかりと思っていた「SHEIN」を抜き去った「Temu」は頭に入れておきましょう。

消費者に選ばれる通販のポイントは「送料の安さ」「価格」「品ぞろえ」【オンラインショッピング利用調査まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10973

上位の項目はずっと変わらないですが、お客さんが求めているのはその先。

日経クロストレンド「今後伸びるビジネス」2023年上半期ランキングを発表 | 日経BP
https://www.nikkeibp.co.jp/atcl/newsrelease/corp/20220523/

将来性のジャンルで音声SNS、越境EC、チャットbotが入っています。伸びてきそうですね。

楽天広告の種類・運用方法と選び方を解説【2023年最新】 | コマースメディア
https://commerce-media.info/blogs/ec/rakuten-ad

いつの間にか増えている楽天広告。記事を読んで頭の中を整理しておきましょう。

今週の名言

岡崎実央、ダウン寸前のプロレス誌記者がアート界で大暴れするまで | 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/otekomachi/20230522-OYT8T50074/

白か黒かをみんな、はっきりさせたがりすぎる。あえてグレーな部分をグレーなままで許容する心の余裕こそが、プロレスを楽しむコツだし、魅力なのではないか」

グレーな部分って受け手に解釈の余地が残るんですよね。その解釈が多様性になってなんとも言えない深みを出します。日々の生活にグレーな部分を作ってみてはいかがでしょうか?

筆者出版情報

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める小さい会社のウェブマーケティング必勝法

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める
小さい会社のウェブマーケティング必勝法

森野誠之 著
翔泳社 刊
発売日 2021年10月15日
価格 2,200円+税

この連載の筆者 森野誠之氏の著書が翔泳社から発売されました。小さな会社の“ひとり担当者”が、未経験、低予算、独学でホームページのリニューアルからウェブマーケティングまでを成功させるための指南書です。電子版、オンデマンド印刷版ともにAmazonで発売中です!

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森野 誠之

「EC運用力」が身につく10のポイントとは? 発売日のスケジューリング、商品の縦・横展開、ページのABテストなどは押さえるべし! | 強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

2 years 6ヶ月 ago
EC運用力を高めるために必要な「販売スケジュールづくり」「商品企画」「集客・認知拡大・広告活用」について10個のポイントを解説

ECの成長に役立つテクノロジーとソリューションは進化しているのに、「EC事業を成長させるための知識」の不足が原因で、「自社独自のECマーケティングノウハウ」の確立に至るまで「運営サイクル」を回し続けられない事業者は少なくありません。前回のコラムでは全5回の3回目として「EC人材力」の大項目、「市場調査・競合調査」「データ活用」の2つの中項目と5つの小項目について解説しました。今回は3つ目の大項目「EC運用力」をお伝えします。

組織や人材の「運営力」
  1. EC事業成長のカギは組織の「運営力」。「EC組織力」向上させるポイントとは?
  2. EC事業の成長にはデジタルを活用したマーケティング力が必要。EC人材力向上の7つのポイントとは?
  3. なぜその商品・店舗が選ばれるのか? EC事業改善に役立つ市場調査とユーザーレビューの確認ポイントとは
  4. 「EC運用力」が身につく10のポイントとは? 発売日のスケジューリング、商品の縦・横展開、ページのABテストなどは押さえるべし!

全5回の記事では、筆者のECマーケティング人財育成(ECMJ)が手がけるコンサルティング、相談、講演・セミナーでの質問などから、EC事業の「運営サイクル」を強化するために必要な項目を洗い出した「EC事業の運営サイクル強化のためのチェックシート」をベースに、EC事業を伸ばす「組織力」「人材力」「運用力」を解説していきます(チェックシートの詳細はこちら)。このチェックシートは、「EC組織力」「EC人材力」「EC運用力」の大項目、14の中項目、そして41の小項目から成ります(2023年2月時点)。

「EC運用力」は成長するための基礎力

いわゆるEC運営というと、「EC運用力」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「EC組織力」「EC人材力」を解説してきた通り、EC運営は「組織と人材」が土台にあってこそ成り立ちます。

チェックシートの「EC運用力」は「販売スケジュール作り」「商品企画」「集客・認知拡大・広告活用」「SNS活用」「ページ作り」「客単価対策」「CVR対策」「バックオフィス」の8つの中項目から成ります。

筆者たちは、「EC運用力」を「EC事業を日々具体的に進捗、成長させるための基礎的な力」と定義しています。繰り返しになりますが、「EC組織力」「EC人材力」の土台が整っていることで、「EC運用力」が生み出す成果が大きく変わります。

「EC運用力」のチェックポイント
  • 販売スケジュール作り
    • 新商品の発売や販促企画の告知など、お客さまに提案する日をスケジューリングできているか
    • お客さまに提案する日から逆算してコンテンツ制作などのスケジュール設定ができているか
    • お客さまの購買意欲が高まるイベントやモールの販促のスケジュールを押さえているか
  • 商品企画
    • 新商品を発売する際、ネット上やショッピングモールの市場調査をしてから価格設定をしているか
    • 自社のECサイトにおける売れ筋商品の横展開・縦展開の商品企画ができているか
    • 自社のECサイトにおける売れ筋商品の「松竹梅」商品を企画し、アッパーラインの商品を提案できているか
  • 集客・認知拡大・広告活用
    • 自社のECサイトの商品を「お客さまがどう探すか?」を考え、検索キーワード対策をしているか
    • 自社のECサイトにおける広告(集客)玉の商品を選定できているか
    • 自社のECサイトの売れ筋商品の提案力を高めるため、集客に合わせたページの改善とABテストができているか
    • 「広告費<広告売上×利益率」の基本的な広告の方程式(計算式)を理解し運用しているか

販売スケジュール作り ①:新商品の発売や販促企画の告知など、お客さまに提案する日をスケジューリングできているか

EC事業のマーケティングも、まず販売スケジュールを立てることから始まります。お客さまに直接提案する施策を中心にスケジュールを組みましょう。スケジュールがなければ組織内でのECの優先順位は徐々に落ちていきます。

販売スケジュール作り ②:お客さまに提案する日から逆算してコンテンツ制作などのスケジュール設定ができているか

販売スケジュールを立てたら、逆算して撮影、テキスト執筆、商品登録などの実施日を決めていきます。この具体的な行動が決まるのは販売スケジュールがあるからこそ。「商機を逃さない」スケジュール作りを心得ましょう

販売スケジュール作り ③:お客さまの購買意欲が高まるイベントやモールの販促のスケジュールを押さえているか

お客さまの購買意欲は一定ではありません。母の日、クリスマス、ボーナス、またショッピングモール主催のイベントなどは特に購買意欲が高まります。購買意欲が上がるタイミングを漏れなくスケジュール管理し、それに合わせてお客さまに提案することが大切です。

人材育成 EC運用力 商品販売、コンテンツ制作、イベントのスケジューリング

商品企画 ①:新商品を発売する際、ネット上やショッピングモールの市場調査をしてから価格設定をしているか

ECが比較されるビジネスである以上、「市場価格(相場)」の調査が重要になります。新商品の機能性、デザイン性、ブランド性、そして商品ページを市場と比較して、冷静な目で価格設定を行いましょう。

商品企画 ②:自社のECサイトにおける売れ筋商品の横展開・縦展開の商品企画ができているか

ECの商品企画は「軸になる売れ筋商品」の幹を太くしつつ、その売れ筋商品の派生商品(横展開・縦展開)の提案を行うことが大切です。たとえばハンドバッグはショルダーバッグに、小型犬用は大型犬用に、商品を展開させていきましょう。

商品企画 ③:自社のECサイトにおける売れ筋商品の「松竹梅」商品を企画し、アッパーラインの商品を提案できているか

自社のECサイトが一定の規模に到達したら、売れ筋商品のアッパーラインを企画します。たとえば機能性が高いもの、高級な素材を使ったもの、デザイナーとのコラボ商品などです。自社のブランド性がどこまで上がったかを確かめる方法にもなります。

人材育成 EC運用力 商品企画 商品提案 市場調査 商品の横展開・縦展開

集客・認知拡大・広告活用 ①:自社のECサイトの商品を「お客さまがどう探すか?」を考え、検索キーワード対策をしているか

検索サジェストやキーワードプランナーの活用は有効ではありますが、最終的な差別化にはなりません。ポイントはお客さまの「生の声」にあります。お問い合わせやリアルでの接触から、「お客さまが何をどう表現するか」に気をつかってみてください。ヒントがあるはずです。

集客・認知拡大・広告活用 ②:自社のECサイトにおける広告(集客)玉の商品を選定できているか

新規のお客さまの購入につながりやすく、その後のリピートにもつながる商品。いわば「広告(集客)玉」の商品を自社のECサイトから選定することが大切です。一部の大手ECサイトを除いて、ECはまず一点突破です。自社だけの広告玉を見出しましょう

集客・認知拡大・広告活用 ③:自社のECサイトの売れ筋商品の提案力を高めるため、集客に合わせたページの改善とABテストができているか

EC集客のポイントは「お客さまごとに訴求を変える」です。たとえば、「商品を知らない」「商品は知っている」「商品を利用したことがある」、この3つはそれぞれお客さまへの提案を変える必要があります。集客に合わせた提案を行い、データ分析と改善を繰り返しましょう。

人材育成 EC運用力 集客・認知拡大・広告活用 商品ページのABテスト 広告の方程式 検索キーワード対策

集客・認知拡大・広告活用 ④:「広告費<広告売上×利益率」の基本的な広告の方程式(計算式)を理解し運用しているか

インターネットの広告活用には方程式があります。仮に「広告費<広告売上×利益率」だったとしても、その後のリピート次第では広告戦略としては合格になります。マーケティングでもっとも難しいのは新規集客です。「集客効果を最大限する」をかけるため、細かい広告分析を理解していることが大切です。

◇◇◇

 今回は「EC事業の運営サイクル強化のためのチェックシート」における「EC運用力」について10個のチェックポイントをお伝えしました。次回は「EC運用力」の残り5つの中項目、「SNS活用」「ページ作り」「客単価対策」「CVR対策」「バックオフィス」を解説します。

EC事業の運営サイクル強化のためのチェックシート

EC事業の「運営サイクル」を強化するために必要な項目を洗い出した「EC事業の運営サイクル強化のためのチェックシート」を提供しています。

EC事業の運営サイクル強化のためのチェックシート
石田 麻琴

グロース市場に上場するフードロス削減に取り組むEC企業「クラダシ」とは

2 years 6ヶ月 ago

フードロス削減のECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは5月26日、東京証券取引所から東証グロース市場への株式新規上場を承認されたと発表した。上場日は6月30日の予定。

クラダシのメイン事業はフードロスのECサイト「Kuradashi」の運営。「3分の1ルール」「規格外品」「季節品・終売品」などの理由で廃棄予定となった商品をサプライヤーから安価に仕入れ、ECサイトやアプリを通じて会員に販売している。累計会員数は3月末時点で46万2000人。

フードロス削減のECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは東証グロース市場に株式を上場する フードロス問題
フードロスについて(画像は目論見書から編集部がキャプチャ)

取引形態は在庫型とマーケットプレイス型の2種類。在庫型はクラダシがパートナー企業から仕入れて「Kuradashi」で販売、商品は倉庫から会員へ配送する。マーケットプレイス型は先に「Kuradashi」で商品を掲載、受注分をクラダシからパートナー企業へ発注・仕入れをし、パートナー企業から会員へ直接配送する。

売上金の一部は社会貢献活動の支援金として、社会課題の解決に取り組む団体へ寄付。環境保護、災害対策、医療・福祉サービスの充実を寄付用途としている。

フードロス削減のECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは東証グロース市場に株式を上場する
事業系統図(画像は目論見書から編集部がキャプチャ)

「Kuradashi」の認知拡大などを目的にオフライン店舗を展開する「Kuradashi Hub」事業、「Kuradashi」会員に向けてブランド認知などを支援するブランディング事業「Kuradashi Stores」も手がけている。

「Kuradashi Hub」は、「Kuradashi」事業の認知拡大、実店舗で集客した顧客を「Kuradashi」に誘導するのが目的。商業施設で期間限定のポップアップストア、「Kuradashi」特設ブースを設置した小売店への商品提供などを行う。

「Kuradashi Stores」は、「Kuradashi」で獲得したエシカル消費に感度の高い会員に向け、パートナー企業のブランディングを支援する。「Kuradashi」サイト上の「くらだしマガジン」ページに、パートナー企業のフードロスやSDGsに対する取り組みにフォーカスした記事の公開、メールマガジンの配信やキャンペーンなどを提供する。

フードロス削減のECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは東証グロース市場に株式を上場する
今後の成長について(画像は目論見書から編集部がキャプチャ)

直近の2022年6月期業績は、売上高が前期比64.1%増の20億7368万円。営業損失は7471万円、経常損失は7446万円、当期純損失は8027万円だった。

フードロス削減のECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは東証グロース市場に株式を上場する 売上高推移
売上高の推移(画像は目論見書から編集部がキャプチャ)

 

石居 岳

ECへのAI活用、越境EC、GA4などテーマのオンラインセミナー「COLOR ME SHOP DAY 2023」【6/7+8オンライン開催】

2 years 6ヶ月 ago

GMOペパボは、ネットショップ運営者を対象にしたオンライン無料イベント「COLOR ME SHOP DAY 2023」を2023年6月7日(水)、8日(木)に開催する。

「COLOR ME SHOP DAY 2023」では、ECに関連する各分野の有識者を招き、AI活用、越境EC、地方ECマーケティング戦略、GA4などテーマにしたトークセッションを行う。参加費は無料で、現在参加申し込みを受け付けている。

EC業界のプロが語り合う!最新トレンドとAI活用の可能性

インプレス ネットショップ担当者フォーラム編集長 瀧川正実、GMOペパボ 執行役員 兼 EC事業部部長 寺井秀明氏(11:05~12:10)

GMOペパボ カラーミーショップ オンラインイベント COLOR ME SHOP DAY 2023
(画像は「カラーミーショップ」のサイトからキャプチャ)

ECサイトが国内に登場して約25年。従来の小売市場はもちろん、消費者のライフスタイル・価値観まで大きく変化した。ここ数年の普及は特に顕著で、変化のスピードに戸惑う事業者も多く見られる。

セッションでは、国内・海外のECの市場の違いやトレンド、AI技術の参入状況などを解説。今後さらに加速していくEC市場の変化と未来について語る。主な内容は次の通り。

  • ECの現状の市場とトレンド
  • 海外ECの現状、国内・海外EC市場の違い
  • ファン獲得のためのコミュニケーション戦略、EC事業者が今取り組むべきこと
  • ECへのAI活用やAIが与えるECへの影響

越境EC成功の秘訣は?国境を超えた商品販売のための成功戦略

世界へボカン 代表取締役 徳田祐希氏、GMOペパボ EC事業部ECグループ マネージャー 和田真人氏(12:20~13:15)

GMOペパボ カラーミーショップ オンラインイベント COLOR ME SHOP DAY 2023
(画像は「カラーミーショップ」のサイトからキャプチャ)

インバウンド需要が回復傾向にある今、なぜ「越境EC」への注目は続いているのか。実際に海外向けの販売を行っている事業者のリアルな声や課題を取り上げながら、2023年現在の越境EC市場のトレンドや、今後予測される未来などについて専門家とともに考える。主な内容は次の通り。

  • 越境ECが注目されるようになった背景
  • コロナ収束後も続く越境ECへの需要
  • 事業者が抱える越境ECの課題
  • 2023年のトレンドと今後の変化予測

今更聞けない!小川卓氏に教わる GA4の基本とおすすめのEC分析方法

Faber Company 取締役 Chief Analytics Officer 小川卓氏、GMOペパボ EC事業部ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏(13:25~14:20)

GMOペパボ カラーミーショップ オンラインイベント COLOR ME SHOP DAY 2023
(​​​画像は「カラーミーショップ」のサイトからキャプチャ)

2023年7月の「ユニバーサル アナリティクス(UA)」サービス終了に伴う「Google Analytics 4(GA4)」への移行がネットショップ運営に与える影響とはどれほどのものなのか、今後どういったアクセス解析が必要となっていくのかを考える。主な内容は次の通り。

  • 「Google Analytics 4(GA4)」の概要とその重要性
  • GA4を活用したECサイトのおすすめ分析方法
  • これからのアクセス解析の重要性

「COLOR ME SHOP DAY 2023」について

藤田遥
確認済み
40 分 52 秒 ago
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