ネットショップ担当者フォーラム

包装資材の大幅削減に成功した米国アパレルブランドの施策とは? 環境配慮型ビジネスを進める取り組みを解説 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

2 years 6ヶ月 ago
リサイクルできる紙製の包装袋、再利用可能な配達バッグを運用する米国のアパレル事業者から、サステナブルかつ採算が合う取り組みの成功事例を紹介します

企業による環境に配慮したビジネスが加速化しています。米国のアパレル事業者Toad and Co.は、再利用可能な配達バッグを利用した商品の配送、リサイクルできる紙製の包装袋へ切り替えなどで、包装材の削減に取り組んでいます。Toad and Co.はそのことを消費者に啓発し、環境に配慮した配達バックの利用を促す仕組みなどを確立。コスト面でも採算ベースに乗せています。

記事のポイント
  • Toad and Co.は、使い捨てのプラスチック製包装袋を廃止し、紙製の包装袋に全面的に切り替える
  • Toad and Co.の顧客のうち約15%が、再利用可能な配達バッグで商品を発送することを選択している
  • Toad and Co.は、再利用可能な配達バッグを活用した配送方法を定期的に消費者に訴求している

プラスチック製の包装袋は“必要悪”?

プラスチック製の包装袋が好きな人はいないでしょう。一方、使い捨てのプラスチック製包装は、Eコマースでアパレル商品を販売する事業者が、取り扱う衣服の品質を保つために重要な役割を果たしています。

このプラスチック製の包装袋を廃止したいと考えたのがToad and Co.。売り上げの約50%はオンライン経由、残りの半分は小売店への卸売というEC企業です。

プラスチック製の包装袋は全世界的に悪影響を与えています。誰もがそのことを認識していますが、一方で、必要悪とみなされています。

Toad and Co. マーケティングディレクター スティーブ・マッキャン氏
Toad and Co. マーケティングディレクター スティーブ・マッキャン氏

ほぼすべてのアパレル商品の包装に使用されているプラスチック製包装袋。これを廃止しようすると、代替品を探さなくてはなりません

アパレル商品は、倉庫のなかをベルトコンベアで運ばれ、ピッキング、梱包、出荷、船やトラックで運ばれて、店舗や消費者の玄関先まで届けられるという過程をたどります。

雨、雪、みぞれに遭遇するかもしれません。そのため、外気から衣服を保護する必要があります。また、どこかの時点で商品が破損すれば、廃棄する必要が出てくる可能性があります。

アパレル商品の消費サイクルと、プラスチック製の包装袋の消費サイクルを比較すると、衣服の消費サイクルの方がはるかに悪いのです。(マッキャン氏)

プラスチック製の包装袋の全廃をめざすToad and Co.

2014年にオンライン販売を開始したToad and Co.は当初、プラスチック製の包装袋を1種類のみ使用していました。それを、サイズ展開を5種類に増やし、サステナブルな仕様に最適化しました。一方、Toad and Co.は最終的な目標として、2024年までにプラスチック製の包装袋を完全になくすことを掲げています。

Toad and Co.で採用している梱包袋(画像はToad and Co.のサイトから編集部がキャプチャ)
Toad and Co.で採用している梱包袋(画像はToad and Co.のサイトから編集部がキャプチャ)

そのプラスチック製の包装袋をより持続可能なものに変えるための最初の試みは、プラスチック製の包装袋の標準的な幅を縮小し、包装袋に入れるアパレル製品の大きさに最適化することでした。

さらに、どの商品も入るような大きなプラスチック製の包装袋を1つ使うのではなく、異なるサイズのプラスチック製の包装袋を用意し、それぞれの買い物袋がアパレル商品の大きさに合うようにすることで、必要とされるプラスチック量を削減。また、買い物袋のプラスチックの厚みを薄くすることで、使用するプラスチックの量をさらに少なくしました。

また、Toad and Co.はプラスチック製の包装袋の、空気穴の位置を変更しました。マッキャン氏はこう言います。

空気穴の位置を袋の下部から上部に移したことで、消費者が飼い犬を散歩するとき、この袋がフンを拾うために再利用できることを訴求したのです。(マッキャン氏)

包装袋を犬のフン入れに活用できるようにした(画像はToad and Co.のサイトから編集部がキャプチャ)
包装袋を犬のフン入れに活用できるようにした(画像はToad and Co.のサイトから編集部がキャプチャ)

このような努力を重ねつつ、Toad and Co.はプラスチック製の包装袋の全廃に取り組む姿勢を示しています。

堆肥にできる包装袋、課題は「回収場所まで持って行ってくれるか」

アパレル商品を扱う小売事業者の一部では、プラスチック製の包装袋に替わるパッケージを使用しています。その1つが、植物由来の材料で作られた、堆肥にすることができるプラスチック製の包装袋(コンポスト化可能包装材の袋)です。

しかし、この包装袋は評価が分かれます。堆肥化が可能な素材は、使い捨てのプラスチック製包装袋よりも環境の面から優れている側面がありますが、消費者がこの包装袋を適切な回収場所まで届けるのが難しいのです。

消費者は、この特定の素材を扱う回収場所に袋を投函(とうかん)しなければなりません。この包装袋に知見がある複数のベンダー、アナリスト、小売事業者によると、消費者がこの素材を通常通りの方法で捨ててしまった場合、埋立地では他の種類のゴミよりも多くのメタンを排出する可能性があるとのことです。

また、消費者がこの袋を通常のリサイクルボックスに入れると、通常のリサイクル工程を詰まらせたり、ほかの商品を汚染しリサイクルされるべきモノすべてを廃棄しなければならないといった可能性があります。

紙製の包装袋への切り替え

こうした課題を踏まえ、Toad and Co.はパッケージングのベンダー事業者であるVelaと協業し、紙製の包装袋の試験販売を2020年に開始しました。

森林資源の保護や管理を行っている国際NGOのFSCForest Stewardship Councilが認証した紙を使用、他の紙類と一緒にリサイクルできます。そのため、堆肥にすることが可能な包装袋よりも、実際にリサイクルされる可能性が高くなるそうです。

いくつかの商品の包装で、新しい包装袋を試験的に使用した後、アパレル商品を保護するのに十分な頑丈さと、従来の包装袋と同等の品質を確認、全商品への展開を開始しました。各工場で一定の最低発注量に達した時点で、紙製の包装袋への切り替えを行う予定です。

2023年第2四半期(2023年4-6月期)現在、商品の約82%に代替包装袋を使用しており、2024年春には100%使用できるようになります。(マッキャン氏)

「顧客からは、包装袋の素材の変更について反応はなかったが、卸売業者からは好意的な反応があった」とマッキャン氏は話しています。ブランドが店舗に商品を発送する際も、個々の顧客の自宅に配送するときと同じように、1着ずつ包装袋に入れます。店員はその袋を開け、服を店頭に吊るすのです。

彼らは、こうした包装袋が非常に多くの廃棄物になることを知っているはずです。(マッキャン氏)

看板広告から作った、再利用可能な配達バッグを採用

二酸化炭素の排出量を減らすため、Toad and Co.は消費者に再利用可能なパッケージで商品を発送するオプションを提供しています。再利用可能なパッケージを展開しているLimeLoopと協業し、Toad and Co.は頑丈なビニールでできた配達バッグ(宅配袋)をレンタル提供しています。

配達バッグの配送用ラベル入れに印刷した返送用ラベルを入れて、米国郵便公社に投函すれば、Toad and Co.の倉庫に送られる(画像はToad and Co.のサイトから編集部がキャプチャ)
配達バッグの配送用ラベル入れに印刷した返送用ラベルを入れて、米国郵便公社に投函すれば、Toad and Co.の倉庫に送られる(画像はToad and Co.のサイトから編集部がキャプチャ)

このバッグは、外側に再生ポリエステル、主に大型の看板広告からできたポリエステル素材を使用。テープの代わりにジッパーで開閉、内側は再生コットンでできています。

LimeLoopのMサイズのバッグと、Mサイズの段ボール箱で発送した場合と比較すると、配達にLimeLoopのバッグを使用した場合、二酸化炭素排出量を92%、水の使用量を99%削減できるそうです(LimeLoop調べ)。

同様に「LimeLoopのSサイズのバッグ1つと、郵便受けに入るサイズのプラスチック製包装袋を比較すると、二酸化炭素排出量を42%、水の使用量を9%削減することができる」とLimeLoopは説明します。

配達バッグの配送用ラベル入れに印刷した返送用ラベルを入れて、米国郵便公社に投函すれば、Toad and Co.の倉庫に送られる

Toad and Co.は、2018年にLimeLoopの配達バッグを試験的に導入しました。このとき、Toad and Co.は、LimeLoopの初期のクライアント企業の1社でした。LimeLoopの配達バッグを利用した取り組みは次の通りです。

  • Toad and Co.のECサイトで商品を購入する消費者は、通常配送、LimeLoopの配達バッグを利用する通常配送、翌日配送、翌々日配送――の4つの配送オプションから配送方法を選択できる
  • LimeLoopの配達バッグを選択した場合、商品は再利用可能な袋に入れて配送され、さらに袋の返却方法が記載されている
  • 消費者は、注文した商品をすべて受け取るか、または返品するかを決めたら、Toad and Co.のサイトにアクセスして、無料の返品用ラベルを印刷
  • 返品用ラベルを配達バッグの前部分に備え付けられているポケットに入れて、郵便局のポストに投函する
Toad and Co.が活用している再利用可能な配達バッグの大きさ
Toad and Co.が活用している再利用可能な配達バッグの大きさ

配達バッグの利用進む

LimeLoopの配達バッグを配送手段に選択した消費者のうち20%が、LimeLoopの配達バッグによる配送を繰り返し選択している。これは確かな数値である」とマッキャン氏。詳細は明らかにしませんでしたが、Toad and Co.の新規顧客の数を考えると、上々の数値と言えるそうです。

LimeLoopの配達バッグ以外の注文では、消費者が袋をリサイクルしやすいように、水性のインクを使用した100%再生紙の袋で商品を発送しています。

「プラスチック製の包装袋を薄くしたり、サイズ展開を増やしたりするのとは違い、LimeLoopが手掛けるサステナブルなパッケージは、消費者から非常に注目されており、Toad and Co.は多くの好意的な反応を得ている」とマッキャン氏は言います。

窓の外を見てみれば、誰もが納得することです。Amazonから送られてくる箱の数が多すぎて、リサイクルボックスに入りきらないほどです。

消費者は、それが問題であることを理解していますが、誰もそれについて解決しようとしているようには見えません。消費者はオンラインショッピングの利便性を支持するあまり、それを変えようとはしないのです。

ですから、ECブランドが自ら、他社とは違う方法でパッケージ量の削減や環境配慮に向けた問題に対処している場合、消費者はその方法を気に入り、利用するのだと思います。(マッキャン氏)

Toad and Co. のECサイトを利用する顧客の約20%が再利用可能な配達バッグを活用した配送方法を繰り返し選んでいる
Toad and Co.のECサイトを利用する顧客の約20%が再利用可能な配達バッグを活用した配送方法を繰り返し選んでいる

「返品ラベルの印刷は、消費者がサービスを利用する際の障壁になっている」とマッキャン氏は言います。返品ラベルをパッケージに同梱するためのシステムの連携や、消費者が何点も返品する場合の仕組みについては、まだ検討中だそうです。

LimeLoopによると、ほとんどの顧客企業は返品ラベルをパッケージに同梱しているそうです。LimeLoopのクライアントは45社で、その大多数が年商500万ドル以下の中小企業です。

配達バッグを返却してもらうための施策とは

マッキャン氏は「Toad and Co.が商品を発送してから配達バッグが戻ってくるまで約2週間かかっているが、このスピードをもっと速くしようと努力している」と説明。新しい配達バッグを使用するよりも、既存の配達バッグを再利用できれば、それに越したことはありません。

Toad and Co.が1か月に2回、LimeLoopの配達バッグを使うことができれば、従来と比較してコスト面で採算が合う計算になります。詳しい数字は明らかにしていませんが、「それ以外の場合、この配送方法はより高価になる」とマッキャン氏は言います。

LimeLoopは小売事業者に配達バッグ1つあたり、毎月約1ドルでレンタルしており、少なくとも200回は使用できるそうです。2023年現在、Toad and Co.は「それぞれの配達バッグを月に2回以上使用する」という指標を達成しています。

「私たちのKPIは、配達バッグの使用頻度と回数だ」とマッキャン氏は言います。Toad and Co.がLimeLoopの配達バッグを使い始めた当初は、配達バッグを自分のものだと思い込んでいる消費者がいて、返品してもらうのに苦労したそうです。

パイロット版で配達バッグの運用を試したとき、一番の学びになったことは、配達バッグの返品について消費者とコミュニケーションをとることでした。(マッキャン氏)

調査の結果、消費者は、荷物が届いてから開封するまでに数日かかり、その後、商品を試着して、返品せずに手元に残すものを決めるのに数日かかることがわかりました。

その後、返品用ラベルを印刷する必要があるのですが、人によっては、印刷のために外出しなければならない場合もあります。そして、印刷したあと、配達バッグをやっと投函します。このように、配達バッグの返却までには、多くの時間がかかります。

Toad and Co.は、この過程を持続可能な選択肢とするためには、配達バッグの返却をできるだけ速やかに行う必要があることを伝え、その重要性をメールで啓発する必要があることを学びました。

配達バッグの回転率アップ。消費者とのコミュニケーションが奏功

「配達バッグを試験的に導入してからの5年間で、消費者とのコミュニケーションに関する業界標準は変化した」とマッキャン氏は話しています。以前は、週に3回以上メールを送ることをちゅうちょしていましたが、今では毎日連絡することにもためらいがないそうです。

また、どの消費者がまだ配達バッグを返却していないかをシステムで把握しているため、LimeLoop経由でリマインドメールを自動的に送信することも可能です。

LimeLoopによると、顧客企業のなかには、LimeLoopの配達バッグを使用するために、消費者に配達バッグ返品の保証金として数ドルを請求し、配達バッグが郵送で戻ってきた時点で返金するところもあるそうです。

「このやり方は配達バッグの回転率向上に役立つので、多くの顧客企業がこのシステムを活用している 」とLimeLoopの広報担当者は話しています。

デジタルコンサルティング会社OSF Digitalのデジタル戦略担当エグゼクティブマネージングディレクターであるバーナンディ・ウー氏は「LimeLoopは、規模を拡大して社会に大きな影響を与えることができる、持続可能な商品包装のイニシアチブを顧客企業に提供している。注目すべきベンダーである」と述べています。

新システム確立までのプロセスとは

マッキャン氏は「LimeLoopをすべてのシステムに統合するのに数か月かかった」と言います。Toad and Co.は、立ち上げ当初にシステムを統合し、その後、ShopifyのEコマースサイトへの移行、在庫システムを移行する間、数か月のプログラム利用休止を経て、2022年に再度、統合作業を行いました。

消費者がLimeLoopを選択すると、在庫システムはどの注文でLimeLoopが選択されているかを把握する必要がありますが、これは注文時のプラットフォームや出荷・返品ベンダーにとっても同じです。これらはすべてECのシステムに組み込まなければいけません

また、実際にこの配送オプションを選ぶ消費がどれくらいいるのか、そしてそれがLimeLoopの配達バッグを必要とする数にどう影響するのかを知る必要がありました。

当初、Toad and Co.は400枚の配達バッグを用意していましたが、頻繁に数が足りなくなることがありました。そしてときには、配達バッグが消費者から戻ってくるまで、LimeLoopの配達バッグを利用した配送オプションを提供することができなかったのです。

2022年には、さらに多くの配達バッグを購入し、現在では合計2800枚になり、数が足りなくなることはなくなりました。

システムは複雑に見えますが、Toad and Co.は、この配送方法と消費者の反応に満足しています。「Eメールやソーシャルメディアを通じて、この配送方法について消費者に伝えると、いつも多くのフィードバックが寄せられる」とマッキャン氏は言います。

より多くの消費者にこの配達バッグを利用する配送方法を選んでもらいたいと考えている一方で、あくまでも選択肢の一つにとどめておくつもりだそうです。

私たちがこの選択肢を奨励し、啓発することで、消費者が環境のためにより良い判断ができるように手助けしたいです。(マッキャン氏)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

事業再構築補助金に採択される事業計画書の作り方とは? 採択事例を交えたポイントをゴンウェブの権成俊社長が解説 | E-Commerce Magazine Powered by futureshop

2 years 6ヶ月 ago
EC分野にも適用される事業再構築補助金。申請のために必要な事業計画書の作り方、成果の出る事業戦略の立て方を解説します【セミナーレポート】

新しいビジネスモデルの構築に挑戦する中小企業を対象とした「事業再構築補助金」の2023年度の公募が始まりました。

EC分野にも適用される事業再構築補助金。特に2023年度からは、売り上げが減少していない事業者も申請ができるようになり、「イノベーションにチャレンジするなら誰でも応募できるようになった・間口が広がった」補助金です。

とはいえ補助金額は最大1億円、小規模事業者でも最大2000万円という規模の大きな補助金です。採択の難易度は高く、申請に必要な事業計画書の策定などに悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでフューチャーショップは2023年3月に、事業再構築補助金の申請を検討している事業者を対象としたオンラインセミナー「事業再構築補助金 採択事例から読み解く 成果の出る事業戦略と採択される事業計画書」を開催しました。

講師を務めたのは、ウェブコンサルタントの先駆者として多くの実績を持つゴンウェブイノベーションズの権成俊さん。これまで複数社の事業再構築補助金の申請を支援し、採択に導いた権さんが、申請に必要な事業計画書の作り方や注意点について解説しました。

実際に事業再構築補助金に採択された事業計画書を踏まえ、自社の強みや既存事業の価値を深掘りし、すでに持っているリソースから新規事業を設計する方法をお伝えした本セミナー。その内容をレポート形式でお伝えします。

講師を務めたゴンウェブイノベーションズの権成俊さん(写真右)と、モデレーターのフューチャーショップの八木智仁(写真左)

【この記事は、こんな方にオススメです!】

  • 事業再構築補助金を活用して、付加価値の高いECビジネスに参入したい
  • 既存ビジネスの市場が縮小し、イノベーションが必要になっている
  • 事業再構築補助金の活用を検討している
  • 過去に事業再構築補助金を申請したが、採択されなかった
  • 事業再構築補助金を申請したいが、事業戦略の策定に自信がない
スピーカー:ゴンウェブイノベーションズ 代表取締役 権成俊(ごんなるとし) 氏

日本のウェブコンサルタントの先駆者として、多くの実績を持つ。集客など「対症療法としてのウェブ活用」ではなく、自社の提供する価値から見直す「根本治療としてのウェブ活用」を提案。現在は一般社団法人ウェブコンサルタント・ウェブアドバイザー協会の代表理事も務め、本質的なウェブ活用の視点を広めるために、ウェブコンサルタントの指導・育成にも取り組んでいる。

事業再構築補助金とは?

「事業再構築補助金」は、中小企業が新しい事業に参入する際に、かかった経費の一部(補助率2/3)を補助する制度です。

たとえば、実店舗で商売している小売店が革新的なサービスを付加したEC事業を始める場合に、ECサイト構築費用などの一部を補助金として受け取ることができます。

補助金額は最大1億円、小規模事業者でも最大2000万円に設定されており、EC分野に適用される他の補助金と比べて金額が大きいのが特徴。また、建物の取得費用にも使えるなど使い途も広いことから、「新しいビジネスに取り組む企業は、ぜひ活用して欲しい補助金」(権さん)です。

事業再構築補助金は小規模事業者でも最大2000万円が補助される。補助金の使い途も広い
事業再構築補助金はEC分野に適用される他の補助金と比べて金額が大きい

申請条件から「売上減少」が撤廃

事業再構築補助金は前年度の途中まで、売上高が一定以上減少していることが申請の条件になっていましたが、現在はその条件が撤廃されています。そのため、「成長している企業が売り上げをさらに伸ばすために事業再構築補助金を活用することが可能」(権さん)になっています。

2023年度の公募は3月、6月、9月、12月の合計4回が見込まれています。今からでも申請に間に合いますので、セミナーを聞いている皆さんもぜひチャレンジしてください。(権さん)

2023年度の公募予定

◆参考情報:事業再構築補助金の公募要項

付加価値の高いECビジネスへの転換が必要

事業再構築補助金は、イノベーションに取り組む企業を支援する補助金であるため、「ありきたりなECサイトを構築しても採択される可能性は低い」(権さん)ことに注意が必要です。

物販ECサイトに独自のサービスを加え、付加価値の高いEC事業に転換するなど、「競争優位性があるビジネスモデルに転換することが必要」(権さん)と指摘しました。

越境ECサイトや、物販とサービスを組み合わせた付加価値の高いECサイトであれば採択されやすい

採択の鍵を握るのは「事業計画書」

事業再構築補助金の採択においてもっとも重要なこととして、権さんは「すぐれた事業計画書を提出すること」を挙げました。

ただし、事業計画書はあくまでもビジネスプランをまとめた書類であり、もっとも重要なのは事業計画そのものです。権さんは「いきなり事業計画書を書こうとすると失敗する」と指摘し、「まずは事業戦略を描き、調査・分析にもとづいて商品やサービスを設計した上で、それらをもとに事業計画書を作ることが重要」と訴えかけました。

ビジネスモデルに新しさがあれば、ECサイトの構築にも補助金が出ます。提出する事業計画書が、採択の鍵を握ります。

ただし、事業計画書を作ることが目的ではありません。事業戦略を描き、調査・分析を行って、優れたビジネスモデルを構築することが、もっとも重要であることを覚えておいてください。(権さん)

事業計画書作成のポイント

続いて権さんは、事業再構築補助金の申請に必要な事業計画書を作成する方法について、具体的に解説しました。事業計画書作成のポイントは次の3点です。

  • 事業戦略
  • 調査・分析
  • 計画

事業戦略とは、事業の全体像を描くこと。これがもっとも重要です。そして、事業戦略を作る上で、調査や分析が欠かせません。

事業戦略を作ったら、それを実現するための計画を作成します。いつ、何を行うのか。そのために予算はいくら必要なのか。売上高や利益の目標はどうするのか。これらを具体的に決定し、事業計画書に落とし込んでください(権さん)

1.事業戦略

権さんは事業戦略を立てる際の手順として、3つのステップで考えると整理しやすくなると説明しました。

  1. 自社の経営資源・強みの確認…自社が持つ設備、ノウハウ、顧客基盤など、競合と比較して強みとなる要素を精査する
  2. 潜在ニーズの発見…市場調査を行い、マーケットのどこに、どのようなニーズがあるのかを把握する
  3. 潜在ニーズを満たす商品・サービスのアイデア…消費者の潜在ニーズを満たす商品やサービスのアイデアを出し、自社の経営資源や強みを活かして実現できるものを絞り込む

事業戦略の目的は「選ばれる理由を作る」

事業戦略を策定する目的について権さんは「顧客から選ばれる理由を作ること」と説明。インターネットやSNSが普及し、買い物の際に商品をオンライン上で簡単に比較できるようになった現在は、「自社の商品が選ばれる理由をより強く明確に、顧客に伝えることが重要になっている」(権さん)と指摘しました。

「AB3C 分析」で差別化要素を探す

権さんは事業戦略を考案する方法の1つとして、自らが提唱しているフレームワーク「AB3C分析」を紹介しました。「AB3C分析」とは、マーケティング理論として有名な「3C分析」をベースにしたフレームワークです。

「3C分析」とは、「顧客(Customer)」「自社(Company)」「競合(Competitor)」という3つの要素で市場環境を分析し、経営戦略を立案するフレームワーク。経営コンサルタントの大前研一さんが提唱した。

3C分析が対象としている「顧客(Customer)」「自社(Company)」「競合(Competitor)」に、顧客が求めている「価値(Benefit)」と、競合と比較した際の自社の「優位点(Advantage)」を含めた合計5つの要素を用いて、企業の本質的な価値を明確にし、顧客から選ばれる理由(=差別化要素)を見出します。

権さんが提唱しているフレームワーク「AB3C分析」

権さんは事業計画書を作成する上で、事業戦略を考えることがもっとも重要であるとあらためて強調した上で、「既存事業の延長で事業戦略を考えるのではなく、業種を変えるくらいのチャレンジが必要」と訴えかけました。

2.調査・分析

消費者ニーズを深掘りするための調査・分析の方法にはさまざまなものがあります。権さんは「インターネット上に存在する情報を使えば、多額の費用をかけなくても市場調査を行える」と指摘し、具体的な調査手法を紹介しました。

  • 検索ボリューム調査…キーワードプランナーなどの調査ツールを使い、検索エンジンにおけるキーワードごとの検索ボリュームを調査し、潜在ニーズの大きさを調査する
  • 複合ワード調査…検索エンジンで使われる複合ワードを調査し、消費者のニーズを調査する
  • Yahoo!知恵袋…「Yahoo!知恵袋」に投稿された質問を分析し、消費者のニーズや悩みを調査する
  • ECモールなどのレビュー…ECモールで販売されている商品のレビューや、口コミサイトの投稿内容を分析し、既存商品に対する消費者の不満や要望などを調査する
  • 競合調査…競合のECサイトを調査し、商品の種類・価格・内容量・説明文・コンテンツなどを比較することで、自社の弱点を把握して対策する

インターネット上には、とても多くの情報があります。Webの分析手法を知っておけば、費用をかけずに市場調査や競合分析を行うことができます。(権さん)

3.計画

事業戦略を策定したら、事業を実現するために必要な予算や体制、スケジュールを精査します。売上計画や収益予測も作成し、それらを事業再構築補助金の申請フォーマットに合わせて資料にまとめます。

補助金に採択された事業計画書の事例

セミナーでは、ゴンウェブイノベーションズが補助金申請を支援し、採択に導いた企業の事例を紹介。実際に提出した事業計画書を踏まえ、事業計画書を作成する手順や、調査・分析の方法について具体的に解説しました。

採択事例:クィーンズジュエリーのジュエリーリフォームECサイト

権さんが紹介した成功事例の1つは、大阪市内に店舗を持つジュエリーリフォーム企業「クィーンズジュエリー」さん。約20年にわたり、オーダーメード型でジュエリーリフォームを手がけてきました。

近年、国内のジュエリー市場が縮小するなかで、イノベーションの必要性を感じていたことから、ゴンウェブイノベーションズにコンサルティングを依頼したそうです。

権さんは、クィーンズジュエリーさんに対して、ビジネスモデルを抜本的に変革することを提案。総額約3000万円の費用をかけ、ジュエリーリフォームのECサイト(2種類)を構築しました。その際、約2000万円の事業再構築補助金を申請し、採択されています。

オンラインセミナーでは、事業再構築補助金の申請時に作成した実際の事業計画書に言及しながら、作成手順を具体的に解説してくれました。詳細な内容はセミナー限定での公開だったため、本記事ではその一部を紹介します。

事業計画書の一部。既存事業のビジネスモデルや、サービスフローを掲載し、イノベーション前の状況をわかりやすく説明している。

市場調査データ(民間調査会社公表)や、Google検索における「オーダージュエリーリフォーム」「オーダーメードジュエリー」といったキーワードの検索ボリュームをもとに、ジュエリーリフォーム市場の状況もまとめた。

Google検索におけるキーワードごとの検索ボリュームを分析し、ジュエリーリフォームに対する潜在ニーズを調査した。その結果、「ジュエリーリフォーム」と都市名を組み合わせて検索するユーザーが多いことや、「結婚20周年 指輪」といった記念日と組み合わせて検索するユーザーが一定数いることがわかった。

「Yahoo!知恵袋」のQ&Aを分析し、ジュエリーリフォームにまつわる消費者の悩みや不満などを調査した結果、価格の不明瞭さに不安を持つ消費者が多いことが判明。ECサイト上で価格を透明化すれば、顧客から信頼感を獲得できるという仮説を立てた。

Google検索で「東京 ジュエリーリフォーム」「大阪 ジュエリーリフォーム」「名古屋 ジュエリーリフォーム」といったキーワードで検索し、1ページ目に出てくるWebサイトを調査した。その結果、ジュエリーリフォームのECサイトを運営している事業者はいないことがわかった。

さまざまな調査の結果を踏まえ、ジュエリーリフォームを行う消費者は「デザインやコストを重視する層」と「思い出や思い入れを重視する層」の2種類がいるという結論を得た。そのことを踏まえて商品やサービスを設計した。

SWOT分析も行って自社の状況を整理し、事業戦略の方針を明確化し、具体的な商品やサービスに落とし込んだ。

国内初のジュエリーリフォームEC事業を考案。ジュエリーリフォームのギフト券も販売し、ギフト市場にも進出した。

事業計画書には具体的なサービス提供イメージやビジネスモデル、実施体制も盛り込んだ。

市場規模の予測値など、将来の展望も試算した(セミナー限定公開の部分は画像を加工しています)。

事業のために取得する資産と、費用のシミュレーションも実施(セミナー限定公開の部分は画像を加工しています)。

収益計画や付加価値額増加のシミュレーション、実施スケジュールも具体的に設定した(セミナー限定公開の部分は画像を加工しています)。

権さんはこのように具体的な事業計画書を解説し、ぜひ真似してくださいと話しながらも、「とはいえ、事業計画書をいきなり書くわけではありません。その前には、成功すると言えるところまで計画を練ることが必要です。事業計画書が必要なのではなく、事業戦略が必要なのです」と強調しました。

事業再構築補助金の申請方法とスケジュール

事業再構築補助金を申請するには、「GビズID」を取得し、決算書や確定申告書、事業計画書などの必要書類をそろえて提出する必要があります。申請の手順や要件について、詳しくは事業再構築補助金のページをご覧ください。

着手から申請、採択までのスケジュールも解説した

事業再構築補助金の公式サイトでは、過去に採択された企業の事業計画書やビジネスモデルも公開されています。事業計画書を作成する際の参考にしてください。

【参考情報】

事業再構築補助金 採択事例紹介

事業再構築補助金 採択事例紹介「事業計画書」

まとめ

セミナーの最後に権さんは、「商品やサービスで差別化できない普通のECサイトは、すでに衰退期に入っていると思う」と指摘し、競争力を高めるために、少しでも早くイノベーションに取り組むことが必要だと訴えかけました。

既存事業が衰退し、経営体力がなくなっていくと、イノベーションに取り組むことがますます難しくなります。事業再構築補助金もいつまで続くかわかりません。イノベーションに取り組みたいと考えている方は、出来るだけ早く着手してください。(権さん)

この記事はフューチャーショップのオウンドメディア『E-Commerce Magazine』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。

E-Commerce Magazine

アイスタイル、化粧品専門店「シドニー」を買収。実店舗の商圏を拡大

2 years 6ヶ月 ago

アイスタイルの連結子会社アイスタイルリテールは、東京都内を中心に化粧品専門店「シドニー」を展開するシドニーの全株式を取得し、完全子会社化する。買収額は非公開。

アイスタイルグループは化粧品・美容の総合サイト「@cosme」、公式通販「@cosme SHOPPING」、化粧品実店舗「@cosme STORE」「@cosme TOKYO」などを運営する。

シドニーは、化粧品に高い知見を有するスタッフが、さまざまなブランドから顧客に適した商品を提案するのが特徴の企業で、都内に複数の実店舗を構える。

渋谷、新宿、上野、池袋、有楽町といった地域で実店舗を構える「@cosme STORE」と出店エリアは異なり、北千住や吉祥寺などの重要商圏でシドニーは店舗を運営している。

アイスタイルグループはこうしたシドニーのビジネスモデル、商圏の拡大により事業成長が期待できると判断。親和性が高いと見てシドニーの買収を決めた。

アイスタイルグループが買収する「シドニー」
アイスタイルグループが買収する「シドニー」

店頭の集客力アップ、売上アップを加速

コロナ禍のさまざまな行動制限が緩やかになったいま、消費者は実店舗での買い物に対する意欲が高まっている。

アイスタイルでは実店舗の増収・増益が想定を上回るペースで推移しており、2023年6月期の通期連結業績予想を5月に上方修正している。

店舗の回復は想定を上回って推移している(画像は編集部がアイスタイルの2023年6月期第3四半期 決算説明資料からキャプチャ)
店舗の回復は想定を上回って推移している(画像は編集部がアイスタイルの2023年6月期第3四半期 決算説明資料からキャプチャ)
アイスタイルが2023年5月に発表した通期業績予想の上方修正(画像は編集部がアイスタイルの「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」からキャプチャ)
アイスタイルが2023年5月に発表した通期業績予想の上方修正(画像は編集部がアイスタイルの「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」からキャプチャ)

「@cosme」の店舗事業は、2022年7月-2023年3月期(第3四半期)の売上高が前年同期比で155%となるなど、コロナ禍前と比べて回復・成長している。

2023年6月期第3四半期の売上高推移。店舗は前年同期比で155%となっている(画像は編集部がアイスタイルの2023年6月期第3四半期 決算説明資料からキャプチャ)
2023年6月期第3四半期の売上高推移。店舗は前年同期比で155%となっている(画像は編集部がアイスタイルの2023年6月期第3四半期 決算説明資料からキャプチャ)
2023年6月期第3四半期までの店舗売上高の推移(画像は編集部がアイスタイルの2023年6月期第3四半期 決算説明資料からキャプチャ)
2023年6月期第3四半期までの店舗売上高の推移(画像は編集部がアイスタイルの2023年6月期第3四半期 決算説明資料からキャプチャ)

こうした傾向を踏まえ、アイスタイルリテールは今回の株式取得を次のように説明している。

化粧品ブランドのマーケティング活動にとって、これまでは販促領域の施策とされてきた店舗での体験価値の提供と、「@cosme」や各種SNSなどを活用したオンラインの広告宣伝/PR領域の施策の融合がますます重要になっていくと考えられる。

アイスタイルグループは今回の株式取得によって、リアルな顧客接点のさらなる強化を図る。また、「@cosme」や各種SNSといったメディア、EC「@cosme SHOPPING」、実店舗「@cosme STORE」「@cosme TOKYO」を一気通貫して活用する化粧品ブランド向けのマーケティングソリューションの拡充に取り組む。

店頭の集客力や売上向上のための施策を実行し、化粧品小売業界全体の活性化にもつながるような取り組みを進めていく。

高野 真維

初めて使う化粧品をECで購入、「失敗経験あり」は約8割。ECで買う理由トップは「実店舗よりも安い」

2 years 6ヶ月 ago

MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「化粧品のEC購入とセルフAI診断に関する調査」によると、化粧品をECで購入する理由のトップは「店舗よりも安い」だった。調査対象は15歳~69歳の男女5000人。期間は2023年4月17日~4月19日。

初めて使う化粧品のEC購入、「スキンケア」が54.4%

調査対象者のうち「化粧品を購入する」と回答した人に、初めて使う化粧品のEC購入について聞いたところ、「購入する」と回答したのは「スキンケア」(54.4%)が最多。次いで「ベースメイク」(52.6%)「チーク」(52.3%)だった。

MMD研究所 調査データ 化粧品のEC購入とセルフAI診断に関する調査 初めて使う化粧品のEC購入について
初めて使う化粧品のEC購入(出典:MMD研究所)

ECで購入する理由を聞いたところ、上位はいずれのカテゴリで「店舗よりも安く手に入るから」「時間を気にせず選べるから」「クチコミを確認したいから」だった。

MMD研究所 調査データ 化粧品のEC購入とセルフAI診断に関する調査 初めて使う化粧品をECで購入する理由
初めて使う化粧品をECで購入する理由(複数回答可、項目別、上位3位抜粋、出典:MMD研究所)

初めて使う化粧品をECで購入経験がある人の77.5%が失敗経験あり

初めて使う化粧品をECで購入して失敗した経験があるか聞いたところ、77.5%が「失敗したことがある」と回答。項目別で見ると、「ベースメイク」(73.5%)が最も多く、「リップメイク」(73.1%)「スキンケア」(70.9%)が続いた。

MMD研究所 調査データ 化粧品のEC購入とセルフAI診断に関する調査 初めて使う化粧品をECで購入して失敗した経験があるか
初めて使う化粧品をECで購入した人の購入先失敗経験(出典:MMD研究所)

「失敗した経験がある」と回答した人に失敗した内容を聞いたところ、最も失敗経験の割合が多かった「ベースメイク」は「期待していた使用感ではなかった」(31.1%)が最多。次いで「自分の肌に合わない色を選んでしまった」(29.2%)「自分の肌質に合わなかった」(28.3%)だった。

MMD研究所 調査データ 化粧品のEC購入とセルフAI診断に関する調査 初めて使う化粧品をECで購入して失敗した内容
初めて使う化粧品をECで購入して失敗した内容(複数回答可、項目別、上位3位抜粋、出典:MMD研究所)

セルフAI診断、利用経験は10.3%で「肌診断」が最多

調査対象者にセルフAI診断の認知、利用意向について聞いたところ、認知は50.8%、「利用したことがある」は10.3%だった。

認知者の「利用したことはないが、今後利用してみたい」(22.9%)と、未認知者の「今後利用してみたい」(28.4%)を合わせた利用意向は51.3%だった。

MMD研究所 調査データ 化粧品のEC購入とセルフAI診断に関する調査 セルフAI診断の認知から利用意向
何かしらのセルフAI診断の認知から利用意向(n=5000、出典:MMD研究所)

項目別で見ると、認知が最も多いのは「肌診断」で33.8%、利用経験が最も多いのも「肌診断」で7.3%だった。利用意向が最も多いのは「骨格診断」で38.8%。

MMD研究所 調査データ 化粧品のEC購入とセルフAI診断に関する調査 セルフAI診断の認知から利用意向
何かしらのセルフAI診断の認知から利用意向(n=5000、項目別、出典:MMD研究所)

利用経験のあるセルフAI診断サービス上位は「肌パシャ」「KOSE HADA mite」「肌id」

セルフAI診断サービスを「利用したことがある」と回答した人に、利用経験のあるセルフAI診断サービスを聞いたところ、トップは「肌パシャ」(26.7%)、次いで「KOSE HADA mite(ハダミテ)」(16.1%)「肌id」(14.5%)だった。

MMD研究所 調査データ 化粧品のEC購入とセルフAI診断に関する調査 利用経験のあるセルフAI診断サービス
利用経験のあるセルフAI診断サービス(n=516/複数回答可、項目別、出典:MMD研究所)

初めて使う化粧品、参考にする情報上位は「クチコミ」「SNS」「ブランドサイト」

「初めて使う化粧品をECで購入する」と回答した人に、新型コロナウイルス流行後に参考にする情報について聞いたところ、トップは「クチコミ」(17.7%)で、「SNSの投稿」(12.6%)「ブランド・メーカーのWebサイト」(12.0%)と続いた。

MMD研究所 調査データ 化粧品のEC購入とセルフAI診断に関する調査 初めて使う化粧品で参考にする情報
新型コロナウイルス流行後、化粧品を初めて使う際に参考にする情報
(n=3435/複数回答可、項目別、出典:MMD研究所)

初めて使う化粧品の購入で「セルフAI診断サービスを参考にする」と回答した人に、セルフAI診断サービスでお勧めされた商品をその場で購入した経験について聞いたところ、63.3%が「経験がある」と回答した。

MMD研究所 調査データ 化粧品のEC購入とセルフAI診断に関する調査 初めて使う化粧品の購入でセルフAI診断サービスを参考にするか
セルフAI診断サービスでお勧めされた商品をその場で購入した経験
(n=245/複数回答可、項目別、出典:MMD研究所)
調査実施概要
藤田遥

Cake.jpが初の海外展開。シンガポールの越境EC市場を選んだ狙い+今後の展開とは?

2 years 6ヶ月 ago

ケーキ・スイーツ専門の通販サイト「Cake.jp(ケーキジェーピー)」を運営するCake.jpは、シンガポール向けの越境ECを5月31日から始めた。Cake.jpが海外に進出するのは今回が初めて。

日本産品の輸出と海外マーケティングを手がけるWeAgriが運営する越境ECモール「Ginza Sweets」に出店した。

「Cake.jp」の商品をWeAgriが運営する越境ECモール「Ginza Sweets」で販売開始した(画像は「Ginza Sweets」から編集部がキャプチャ)
「Cake.jp」の商品をWeAgriが運営する越境ECモール「Ginza Sweets」で販売開始した(画像は「Ginza Sweets」から編集部がキャプチャ)

150万人超の会員、1700店舗の加盟店を抱えるCake.jpは、さらなる事業成長を目的として海外展開に着手した。

最初のマーケットとしてシンガポールを選んだのは、シンガポールはアジア諸国のなかでも経済的な成長性が高いため。また、多様な文化を受け入れる国民性が、海外進出のテストマーケティングを実施していく上で最適であると考えたからという。

海外展開は、「Cake.jp」に加盟している洋菓子店の海外進出にもつながる。店舗単独での海外進出はハードルが高いが、Cake.jpの海外進出を通して、日本の洋菓子業界の発展に寄与したい考え。

「まるごとオレンジケーキ」3個セット
「まるごとオレンジケーキ」3個セット
「和かろん。」6個入り
「和かろん。」6個入り
「イチゴ生デコレーションケーキ」 4号 12cm
「イチゴ生デコレーションケーキ」 4号 12cm

Cake.jpは今後、シンガポールの現地実店舗での商品販売も予定している。

高野 真維

【再配達削減策】政府は「緊急的な対策を講じる」、ポイントなどインセンティブ付与に向けて調整

2 years 6ヶ月 ago

政府は6月2日に公表した「物流革新に向けた政策パッケージ」で、再配達の削減に向けた取り組みを加速する方針を掲げた。

2022年10月調査での宅配便の再配達率は11.8%。さまざまな再配達削減の取り組みを通じて、2024年度には6%まで削減する数値目標を設定した。

政府は6月2日に公表した「物流革新に向けた政策パッケージ」
「物流革新に向けた政策パッケージ」について(画像は政府が公表した資料からキャプチャ)

再配達率「半減」に向けた対策では、消費者の行動変容を促すために「ポイント」などのインセンティブ付与に向けた調整を行う。

荷主企業や消費者に対し、物流が果たしている役割の重要性、危機的状況、持続可能な物流の実現のために取り組むべき事項を伝えるため、官民連携して広報活動を推進するとした。

再配達率が高止まりしている理由の1つに、「特に、タワーマンションにおいては、1個運ぶのに30分以上かかる場合もあるなど、その改善が必要である」を例示。その対策として、「コンビニ」「ガソリンスタンド」での受け取り、マンションにおける宅配ボックスの設置、置き配が進む取り組みを進める。

政策パッケージでは、「2024年度に不足する可能性のある輸送力を補うため、再配達率が現在の12%から6%へと半減するように緊急的な施策を具体化する」と指摘。再配達率を半減にする緊急的な対策を講じるとした。

「物流革新に向けた政策パッケージ」では、2030年度に向けた政府の中長期計画を2023年内に策定・公表し、業界・分野別の自主行動計画の作成・公表を求めるとしている。

瀧川 正実

注目のD2C企業3社が語る売上アップに直結する広告論【ベルタ、ZENB、インフィニタスの広告運用の成功事例】 | 「D2Cの会」が解説、D2Cビジネス成功の秘訣

2 years 6ヶ月 ago
D2C事業で成功しているベルタ、ZENB JAPAN、インフィニタス・バリューが、事業フェーズごとの最適な広告の打ち手を語る

インフィニタス・バリューの田村浩社長、ZENB JAPANの高橋宏祐氏(執行役員 最高ダイレクト戦略責任者)、ベルタの武川克己社長が「D2Cの会」(売れるネット広告社主宰)に登壇し、「売上をアップする広告論」をテーマに各社の取り組み、成功事例、D2Cビジネスにおける広告との向き合い方について語った。

インフィニタス・バリューによる【事業フェーズ初期】の取り組みとは

インフィニタス・バリューは、2020年に米国発のマウスウォッシュ「エレメンタナノシルバーマウスリンス」のD2C定期通販をスタートした。

虫歯、歯周病、口臭などの原因期を減らす抗菌作用があるマウスウォッシュについて、日本では酸性の製品が多い。ただ、酸性度が強いと抗菌作用が高まる一方、歯が溶けてしまうといった可能性もある。田村社長はこの状況をつかみ、オーガニック原料を使用したアルカリ性のマウスウォッシュに着目。米国のelementa社が開発・製造する「エレメンタナノシルバーマウスリンス」の取り扱いを始めた。
【登壇者】インフィニタス・バリュー 代表取締役社長 田村浩氏
インフィニタス・バリュー 代表取締役社長 田村浩氏

事業開始後、まずは500円モニターの「ツーステップマーケティング」を実践。CPA(顧客獲得単価)は3000円前後だったが、引上率は6.7%と絶望的な数字に。その後、100円モニターの「ツーステップマーケティング」、同梱物、漫画風LPなどで引上率の向上を模索したものの、定期初回で解約するユーザーが多く、F2転換率が低いという課題を抱えた。

同梱物を追加してF2転換率アップを図った
同梱物を追加してF2転換率アップを図った

まとまった量の購入を訴求し、LTVアップに成功

そこで、同梱物を追加し、エコでお得な詰め替えパックのおまとめ購入を訴求。2か月分・4か月分をまとめて購入できるようにしたことで、F2転換率・LTVが大幅にアップした。

さらに、エコ訴求の同梱物の封入を継続しつつ、「フォーム一体型記事LP」の運用を開始。すると、CPO(購入客1人あたりの広告費)が5644円、年間ROAS(広告費用対効果)が451.62%という成果に結びついた。2~3か月おきにA/Bテストを繰り返しながら、このような結果が出るまで約1年かかったという。

申し込みフォーム一体型のランディングページ
申し込みフォーム一体型のランディングページ

【ZENB JAPAN】事業フェーズ中期の広告運用

「ZENB」は食品の皮・芯・種など、本来は捨てられる部分までまるごと使った食品ブランド。ZENB JAPANはミツカンのグループ会社で、2019年に事業をスタートした。

【登壇者】Mizkan Holdings 兼 ZENB JAPAN執行役員 最高ダイレクト戦略責任者 高橋宏祐氏
Mizkan Holdings 兼 ZENB JAPAN執行役員 最高ダイレクト戦略責任者 高橋宏祐氏

現在、世界初の豆100%ロングヌードル「ZENBヌードル」が起爆剤となり、事業成長を続けている。

ブランド「ZENB」の変遷
ブランド「ZENB」の変遷

立ち上げ当初、社内説明など大企業から分社化したコーポレートベンチャーならではの苦労があった。転換となったのは2021年の「売れる仕組み」の再構築。本サイト(ショップ)からカートに誘導するのではなく、LP主体・定期主体での販売に切り替えたことだ。その再構築が功を奏し、定期が売り上げの9割を占めている。

LTV(顧客生涯価値)向上の取り組みとして、解約の兆候と連動するNPS(Net Promoter Score:顧客ロイヤリティを計る指標)を重視。「顧客の商品やサービスへの不満の声から、半月後・1か月後の予測ができます。これを先んじてケアすることで、解約率を下げる取り組みを繰り返してきました」と高橋氏は言う。

2022年以降は、事業を本格的にスケールする段階に入っており、最近はいかに広告を打たずに買ってもらうか、いかに値引きをせずに買ってもらうかといったことを重視して取り組んでいる。

消費者心理に響く、「見せ方」を工夫した値引き

これまでの広告運用の成果からわかった成功法則は、バナーは「1000円」などと具体的な金額を記載するよりも、「○○%OFF」と値引き率を記載する方が顧客を獲得しやすいこと。

また、LPでは最初から値引きをして見せるのではなく、「クーポンを使うと安く買える」という見せ方にするのが効果的という。そうすることで、生活者は「クーポンをもらったら使わないと」という心理になるため、LPにクーポンを取り入れたことで、CVRが1.5~2.0倍に上がったという。

【BELTA】事業フェーズ長期の広告運用

「BELTA」は、女性のライフステージをサポートするサービス・ブランド。プレコンセプションケア、マタニティケア、産後・育児中ケア、ベビーケアに加え、「トータルサポートケア」として、ヘアケア商品やボディケア商品、インナーケア商品などを展開している。

【登壇者】ベルタ 代表取締役社長 武川克己氏
ベルタ 代表取締役社長 武川克己氏

新規獲得においては「広告を止めたら新規獲得が止まるはNG」「すぐに成果の出る広告は、すぐにまねされてすぐに終わる」という考えをもとに、一時的ではなく、半年後も継続的に成果が出る施策に時間を使うことを重視している。

広告を打たなくても新規獲得ができる状態にするための1つの施策にSEOがある。ビッグキーワード、ロングテールキーワード、潜在層キーワードで1~3位を多数獲得しており、オーガニック検索流入は直近1年で10倍に拡大。直近6か月でも4.5倍になっている。

「SEOはちゃんとやれば成果の出る施策です。短期的な成果にはつながりませんが、長期的な新規獲得の成果を上げるには、SEOは必須の施策だと思っています」と武川氏。直近では、LPと同じように各コンテンツのCVR改善に力を入れているという。

ベルタが重要視している「ブランド資産の構築」
ベルタが重要視している「ブランド資産の構築」

NPO法人や関連団体とのアライアンス、PR記事、街中でのPR活動など、直接的な成果や短期的な成果の出ない施策、あるいはそもそも成果がわからない施策を通して、複利成果を狙ったブランド資産の構築にも取り組んでいる。

その基準は「権威性を作れるもの」「Webでも残るもの」「ポジショニングを作れるもの」。つまり、継続性があって資産として蓄積できる施策を重視している。

さまざまな専門性を持つベルタの社員が顧客をサポートする
さまざまな専門性を持つベルタの社員が顧客をサポートする

さらに、胚培養士・管理栄養士・薬剤師・育児セラピスト・助産師・看護師・妊活マイスターなどBELTA社員による専門家の相談サポートが無料で受けられる仕組みも構築。

その専門家や医療機関によるイベントも毎週開催しており、顧客に徹底して寄り添う組織・文化・理念を作ってブランド構築に注力している。

新規獲得とCRMはセットで考える

そこからコンバージョンに導くという目的もあるが、「商品を販売して終わりではなく、顧客の目的や顧客とのつながりを大切にしたサポート」という顧客価値の創出にも重きを置いている。「こうした取り組みは、新規獲得だけでなく、既存顧客との接点強化にもつながっています。新規獲得はCRMと常にセットです」と武川氏。

潜在層へのアプローチは長期的な視点を重視し、「ツーステップマーケティング」に加えて、独自の「スリーステップマーケティング」も実施している。「診断・チェック」「専門家相談」からのナーチャリングを通してモニターになってもらい、気に入ってもらえれば本商品にという流れで、短期ではなく中長期な取り組みだ。

広告領域では1商品2人体制。広告担当者とLP制作者がタッグを組み、密にコミュニケーションを取りながら運用を進めているという。

事業の進展に合わせた広告の打ち方とは

3社の取り組みや成功事例の共有に続き、セッションの後半では、「事業進展によって広告とどう向き合えばいいのか?」をテーマにしたディスカッションが行われた。

当社はまだD2C事業をスタートしたばかりです。社内に広告運用できるスタッフがいない状態だったので、代理店に依頼して広告運用を行ってきました。どの広告媒体がいいかは、やってみなければわかりません。

扱っている商材がマウスウォッシュなので、マウスウォッシュの広告が出せる媒体は一通り出稿し、数字を見て判断しながら取り組んできました。

今はまだ広告代理店におんぶにだっこの状態ですが、ゆくゆくは内製化して、ベルタさんのように、広告を運用するスタッフとデザイナーがタッグを組む体制を作りたいです。

インフィニタス・バリュー 代表取締役社長 田村浩氏
インフィニタス・バリュー 代表取締役社長 田村浩氏

売上広告費比率で見ると、立ち上げ期は売り上げ以上の広告費を使っていましたが、今は売り上げが広告費を上回っています。数年後には売上広告費比率を10~20%にすることをめざしていて、将来的には広告費をなくしたいというくらいに考えています。

この3か月で広告費を半分にしましたが、売り上げは伸びています。広告に頼りっきりでは事業が進展しないので、事業を立ち上げてしばらく経つと、広告削減を決断しなければならない時期がやってきます。

今は組織を引き締めつつ、制作はできる限り内製化し、広告代理店には運用だけをお願いする形にしています。最適な形はステージごとに変わっていくと思います。

Mizkan Holdings 兼 ZENB JAPAN執行役員 最高ダイレクト戦略責任者 高橋宏祐氏
Mizkan Holdings 兼 ZENB JAPAN執行役員 最高ダイレクト戦略責任者 高橋宏祐氏

「いかに再現性のある広告を作れるか」を何よりも重視しています。できるだけ外的要因に左右されない状況を作りたいと考えると、「どこを内製化するか?」という問いは必ず出てきます

ベルタ 代表取締役社長 武川克己氏(右)
ベルタ 代表取締役社長 武川克己氏(右)

次回の「D2Cの会 フォーラム」は、2023年6月15日の開催を予定している。

D2Cの会

ニトリグループが中国向けEC支援事業、北海道産品を「Wechat」内の公式ミニプログラムで販売

2 years 6ヶ月 ago

ニトリグループの広告会社であるニトリパブリックは6月1日、中国のECプラットフォームを通じた北海道産食品の輸出支援事業を開始した。

中国向け越境ECサービスを展開するYouzan Japanと連携。北海道産酒類や酒のおつまみとなる道産食品を販売していく。

12億人以上のアクティブユーザーを有する中国最大のSNSアプリ「Wechat」内に公式ミニプログラム「雪国堂優品店」を開設した。

ニトリパブリックはこれまで、中国のビジネスパートナーと協業し、酒類を中心とした北海道産品の中国への輸出を通じて道内食品製造者を支援してきた。中国でのEC市場規模拡大を見据え、「Wechat」内での販売を始めた。

酒のつまみとなる道産食品を含めて、「オール北海道」で中国の消費者にアプローチ、「北海道」ブランドに対して好印象を持つ中国市場において、ECでのマーケティング拠点を整備していく。

まずは、北海道産酒類のブランド力を強化。独自の魅力を発信することで“品質の高い美味しいお酒の産地=北海道”というポジションの確立をめざすとしている。

ニトリパブリックと連携したYouzan Japanは、中国でソーシャルECプラットフォーム「Youzan」(有賛)を運営する中国企業の日本法人。「雪国堂優品店」の店舗運営をサポートする。

ニトリパブリックの中国市場向け輸出事業は、ニトリグループが培ってきた中国市場の独自ネットワーク、物流リソースを生かして2019年にスタート。北海道産のミネラルウォーター、2020年には道内酒蔵5社などと連携し中国へ北海道産日本酒の輸出を始めた。

 

石居 岳

「Shopify活用」「顧客開拓」「人手不足」などアフターコロナのECはどう変わる? ハックルベリー安藤CEOが2023年を予測 | 「ECタイムズ」ダイジェスト

2 years 6ヶ月 ago
「アフターコロナにEC業界は低迷するのか」「今後の課題とは」――。ハックルベリーの安藤CEOが、Shopifyを軸に2023年の業界を予測する

国内トップレベルのシェアを誇るShopifyアプリの開発・提供会社、ハックルベリー。CEOの安藤祐輔さんへのインタビューが実現しました。今回はそんな安藤祐輔さんにEC業界のこれから、Shopifyのこれから、2023年の動きの予測についてお話を伺いました。

ハックルベリーとは? CEO・安藤祐輔氏の人物像は?

ハックルベリーは、サブスクアプリ「定期購買」、ギフトアプリ「All in gift」など10以上のShopify向けアプリを展開しています。総インストール数は1万5000超だといいます。

ハックルベリー CEO 安藤祐輔氏
ハックルベリー CEO 安藤祐輔氏
シリアルアントレプレナー。東京消防庁入庁後、大学進学。筑波大学在学時に人材事業にて起業。複数事業を展開し、2012年11月Socketを創業。2014年9月にスマホ向け販促プラットフォーム「Flipdesk」をリリース、アダストリア、ビームス、メガネスーパーなど数百社へ導入、利用されるサービスとなり、その後KDDIグループへM&A。KDDIグループ会社社⻑として事業戦略/採用/M&Aに従事後、2017年退任。
ベンチャーキャピタルのパートナーを経て、現在は、Shopifyアプリ開発のリーディングカンパニーである、ハックルベリーの代表を務める。
ECキャリアが長く、EC戦略立案・構築・運営における実績と深い知見をもっている。‍

コロナ収束傾向のいま、Shopifyをとりまく状況は?

コロナの収束はネットビジネスの“追い風”

⸺早速ですが、まずは「コロナを経て、ECとShopifyを取り巻く状況は変わったのか」というテーマで、お話をお聞かせください。

安藤氏:結論から言うと「成長が止まる訳ではない」という考えです。

確かにコロナによって、ここ数年のEC業界は圧倒的な追い風に吹かれていました。2020年を皮切りに、Shopifyは日本国内で急激に流通を増やしていますし、ストア数で見ても2020年から22年の2年間で、200%以上増加しているというデータもありますから、ここ数年のEC市場は異常な盛り上がりを見せていて、その中心にShopifyがいたことは間違いないと思います。

2020年にShopifyは急激な成長を遂げている(出典:Shopify Q4 2020 Financial Results Conference Call Presentation)
2020年にShopifyは急激な成長を遂げている(出典:Shopify Q4 2020 Financial Results Conference Call Presentation)

安藤氏:しかし実は、コロナ以前からEC化率の向上というトレンドは続いており、あくまでコロナはそこに拍車をかけたに過ぎないと考えています。コロナは起爆剤にはなったものの、EC業界の成長の「原点」ではないんですよね。

確かにコロナが落ち着き、EC市場の盛り上がりも落ち着いてきましたが、状況としてはコロナ以前に戻っただけであり、これからもEC業界の成長は続いていくでしょう。

⸺なるほど。コロナで、ECだけ圧倒的に伸びるというトレンドはなくなっても、買い物をするという体験はもっとずっと盛り上がる。その購入のチャネルとしてのECはまだまだ伸び続ける、ということですね。

安藤氏:そうですね。コロナがあったから急速に伸びたことは間違いないですが、そもそもECは便利なサービスですし、これからも伸び続けていくと思います。

それと、コロナの終息=ネットビジネスの失速、みたいな論調がときどき見られますが、私はそんなことは全くなくて、むしろ「事業者のビジネス」単位で見て、コロナの収束は追い風になると思っています。

前提として人は、「お出かけして、買い物をする」という体験が好きだと思います。確かに、それはトレードオフになっていて、ECの流通が伸び悩む要因になるかもしれません。

ただ、そこがビジネスオーナーの工夫のしどころですよね。今までECで買ってくれていたようなお客さんが街に繰り出すようになったのなら、そういう人にどう知ってもらうか、買ってもらうかを考えて施策を積み重ねていけばいいんです。

本質は、お客さんに自分の商品を使ってもらうこと、買ってもらうことのはずですから、ECという手段に固執する必要はないはずです。

ECならではの良さを追求

安藤氏:また、ECにはECの「良さ」があります。たとえば、サブスクが簡単にできたり、eギフトが送れたり…。そういう「ECならではの良さ」に触れると、ユーザーはその便利さに気付きますよね

そうやって施策を積み重ねて、ユーザーの体験を改善し続けていけば、ビジネス全体のユーザーの増加に伴って、ECで買い物をする人の数も増えていくと思います。

要は工夫次第。市場の変化に合わせて、ユーザーがどんなことを求めているのかを敏感に感じとり、彼らを満足させる手段としてECを使用することが私は大事だと思っています。

ECならではの良さを訴求することで利用者の増加が見込める
ECならではの良さを訴求することで利用者の増加が見込める

Shopifyを導入するなら、自社の類似事例に注目

⸺EC事業者向けのWebメディアの記事で、安藤さんはShopifyについて「サーバーの強さ」というメリットと「サポートの薄さ」というデメリットをお話していました。

安藤氏:Shopifyの本質的な方針や性質は、コロナによって何か影響を受けた訳ではないためそこまで大きな変化はなかったと思います。

ただ、あえてこの数年でShopifyについて「変化したこと」を述べると、「事例が増えた」というのがあげられるのではないでしょうか。

2年前の2020年は、Shopifyも日本でシェアを獲得し注目され始めたばかりで、導入企業はD2C系のベンチャー企業や中小企業が中心でした。

店舗ビジネスを軸としていた大企業は、まだ国内での成功事例の少ないShopifyの導入に消極的で、導入検討段階のところが多くありました。

ただこの2年の時を経てShopify国内事例も増え、それに追随する形で大手企業のShopify導入も進んできています

これからShopify導入を検討する企業は、豊富な事例のなかから自社の類似事例を参考にすることができます。これは未来の導入企業にとっては大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

⸺確かに。これから導入される企業は、そういった事例に注目して情報収集していくことを意識すると良さそうです。

2023年、Shopifyの活用はどう進む?

大きなテーマは「OMO」と「SNS」

⸺では次は、Shopifyの2023年に注目してみたいと思います。2022年は営業利益率の低下や株価の低下など、Shopifyも立ちはだかる壁を感じた1年だったのではと思います。安藤さんの目線からは、Shopifyを取り巻く環境はどのように変化すると見えているのでしょうか?

安藤氏:基本的にはプラットフォーマーって、決済をやった後に物流をやるんですよ。

Shopifyペイメントや決済手段の拡充、本国で行っているロジを日本でも展開するのかの検討が、セオリー通りの動きだと考えています。

一方で、Shopifyの特徴として「開発チームが非常に優秀」「エコシステムを持っている」の2点があります。新しいAPIや新しいコンセプトをエコシステム向けにリリースし、新しい価値を創る方に注力していくのではと思っていますね。

その中の大きなテーマとして、OMO強化などが入ってくるのだろうな、と予測しています。

⸺EC事業者にとっては、新しい機能・体験が多く期待できるということですね。その機能・体験の拡充は、どのような軸で強化されていくのでしょうか?

安藤氏:2つあります。1つ目は「OMO強化」です。なぜなら、「リアルの流通は大きいから」です。

日本での「EC化率」はまだ8%なので92%はオフラインの流通です。伸びているとはいえども、まだまだオフラインの流通の方が大きいのは事実。そのため、多くのEC事業者がその大きなポテンシャルに攻めていくのではと思います。

2つ目は、「潜在顧客へのリーチの強化」です。ECはオフラインビジネスと違い、「潜在顧客へのアプローチが難しい」という特徴があります。

店舗であれば、購買動機がなくてもウインドウショッピングなんかをしてみて、商品を認知する機会がありますが、ECではそれがありません。ただ、ECにおいてはSNSがその機能を果たし始めていますよね。InstagramやTikTokを眺めていると、お店のページに行かなくても写真やショート動画で商品を認知できるタイミングがありますよね。

ECにおいては、今後こうした「潜在顧客へのリーチ強化」を進める施策がどんどん増えていくと思います。

安藤氏はEC事業者の強化ポイントとして「OMO」「潜在顧客へのリーチ」をあげる
安藤氏はEC事業者の強化ポイントとして「OMO」「潜在顧客へのリーチ」をあげる

⸺当社もEC事業者向けの人材の紹介をしていますが、最近はSNSの相談も多くなりました。SNSマーケティングはずっとトレンドですが、今後も需要は増していきそうですね。

「ECノウハウの循環」をめざす2023年に

⸺ハックルベリーでは、そういったShopifyの動きに合わせてどのような展開をしていく予定なのでしょうか?

安藤氏:ハックルベリーは、日本国内でもトップレベルにShopifyアプリの提供事例があります。その事例を見てみても、やはりアプリを使いこなせているECショップさんとそうでないショップさんがあります。使いこなせていないショップさんに対しては、導入・活用のアドバイスやサポートを強化し、ストアのビジネス成長へ貢献させていただくことに、まずは取り組んでいきたいです。

もう一つ、最近は大手企業のShopify導入事例が多く出てきています。我々はShopifyを通した支援を長くやってきていますので、これから導入されるであろう大手企業に向けても、これまで培ってきたノウハウを使い問題解決・サポートを行っていく予定です。

そうやって我々が持っているノウハウを循環させていくことで業界の底上げに貢献したいと考えています。

⸺ノウハウを閉じ込めず、業界に開放していくという方針ですね。

安藤氏:そうですね。私自身はEC業界で育ってきたのですが、広く言うとECって「流通」だと思ってるんですよ。Shopifyという枠を外し、広く「流通業界」に対する貢献をめざしていければと思っています。

ドラッグストアですとか、消費者の生活に根付いた日用品を扱うような店舗に対して流通を支援する機能・サービスなどをリリースしていけると良いですね。

⸺2023年のハックルベリーが楽しみです。

顧客の顔が見えない、ECならでの難しさは不変

「潜在顧客へのリーチ問題」は続いている

⸺ここまでは「コロナ」という未曾有の有事を経て、EC業界やShopifyがどのように変化してきたのかについてお伺いしてきました。お話のなかでも、「実は本質的には変わっていない」というキーワードが多く聞かれたように思います。安藤さんは、EC業界のキャリアとしてはとても長くいらっしゃいますよね?

安藤氏:そうですね、ECの歴史は20年ほどなので私は黎明期からこの業界には携わっていることになると思います。

当時は今のように黒字化に成功している企業は少なく、私が運営していた「ケンコーコム」「オイシックス」「ゴルフダイジェスト・オンライン」くらいだったような気がします。

そこから数年を経て、ECの業界は急速に成長しましたね。多くの便利なツールが誕生し、ECショップを構えるハードル自体は大きく下がりました。

早く進められる、安く進められる、という「やり方」部分はこの数年で便利に変わってきた実感はあります。ただ、「こういう施策をしたい・必要だよね」という事業者側のニーズ部分は大きくは変わっていないと思っています。

⸺そんなEC業界の成長を経て、安藤さんが考える「それでも変わらない、ECでものを売るときの『難しいポイント』」って何でしょうか?

安藤氏:そうですね、やはり先ほども出たように「お客さんの顔が見えない」というところではないでしょうか。先ほども話に上がりましたが、「潜在顧客にアプローチしにくい」というのは大きいです。

店舗ビジネスと比較して考えてみましょう。たとえば店舗だと、たとえ商品をその場で買わなかったとしても、お店に入ってもらえればお客さんに商品を認知してもらえますよね。

その時は購買動機がなかったとしても、数回にわたってお店を訪れる機会があり商品について少しずつ理解を深めていけば、いつかは購入に至ってくれるかもしれません。

一方ECでは、「購買動機がない状態の顧客に商品を認知させる」ことに非常に高い壁があるんです。

メルマガを打とうにも、連絡先が必要で、その連絡先を得るには、連絡先を開示してくれるくらいにはお客さんがストアに関心を持っていることが前提になります。

ECショップを開設することの難易度自体はグングンと下がってきていますが、やはりこういった「オンラインだからこそ」の難しさは依然としてどのEC業者も戦っている印象ですね。

実店舗と異なり、ECは購入目的で検索する人が多いことから、潜在顧客へのアプローチは難しい
実店舗と異なり、ECは購入目的で検索する人が多いことから、潜在顧客へのアプローチは難しい

ギフトをきっかけに商品を認知拡大

⸺ちなみに、そういった課題にはどういうアプローチ方法があると思いますか?

安藤氏:先ほどあがったSNSの話がまず一つ。加えて、「ギフト」という需要を通して潜在顧客にアプローチをしている例はあると思います。

既にブランドを好きでいてくれるユーザー(=ロイヤル顧客)から、まだ商品を知らない、触れていない潜在顧客にギフトとして商品を送ってもらうことで、タッチポイントを新規で作れるわけです。

あとは、PRと広告を混ぜた解決策を講じることができれば、この課題にはアプローチできると思います。

⸺「PR」と「広告」を混ぜる理由について、詳しく知りたいです。

安藤氏「認知」がある人の「刈り取り」に広告費を投じた方が、意図に反して損失を抱えてしまう、逆ザヤになりにくいからですね。「認知」をとることをメインに広告費を使うと、かなりの投資額になります。

「認知」に広告費を使うこと自体が駄目と言っているわけではありませんが、そうした大規模な投資は誰にでもできるわけではないのでこのような表現になっています。

⸺なるほど。その辺りの施策は、経験のあるプロや事例を元に講じていくことが重要になりますね!‍

人手不足には外部人材の活用が有効

⸺安藤さんご自身は、EC業界を黎明期から長く関わっていらっしゃいますが、長くEC事業を見てきたなかでよくある「EC業界の人材の課題」についてはどのようにお考えですか?

安藤氏:基本的にEC業界には人手が足りていないですよね。これはどの企業さんもおっしゃいます。かなり大きな企業でも、ECチームは2~3人しかいないみたいなケースは、実はEC業界あるあるですよね。

あとは、「マネージャー層人材の不足」もあると思います。ECはITビジネスの総合格闘技です。物流も製品作りもマーケも、ある程度理解している必要があります。もちろん全体的に理解している中で、「一番得意なのはMDです」などある程度専門領域はできてくるでしょう。

ただ少なくとも管理職は、全体を理解しておく必要があると思うんです。私たちの世代までは、EC事業において丸っと任されていた人も結構います。

ただ基本的に、今の日本の会社に多い縦割り構造だと、この「網羅的に理解する」というのは難しいことが多いんですよね。そのため、徐々にこの「EC事業を網羅的に理解している」人の人数は減少してきました。

「十数年前からECに携わり、全体を網羅的に理解している人の人数」と、「今世の中で求められている、全体を網羅的に理解している管理職の人数」が全く釣り合っていないことが業界の問題だと考えています。

EC業界の人材は、必要とされている人数に対して、実在している人数が不足している
EC業界の人材は、必要とされている人数に対して、実在している人数が不足している

⸺確かに、当社が展開しているEC事業者向けの人材紹介サービスでも、マネージャーや全体を見る戦略家のニーズは多くあります。

安藤氏:そうですよね。ただ、彼らはめったに多くはない、いわゆる「レアキャラ」なので、そういう人材を正社員採用で採用しようと思ったら、相当、難易度の高いゲームになります。外部の人材を活用してそこを埋めていくと言うのは、これからの手段として有効だと思います。

⸺ぜひ、外部人材の活用が多く広まってほしいと思います! 安藤さん、本日は幅広く詳しいお話をお聞かせいただいて、ありがとうございました。

ECタイムズ

タレントがショッピングMCを担うジャパネット+スターフライヤーの機内番組とは?1回目はゴルゴ松本さんが登場

2 years 6ヶ月 ago

ジャパネットホールディングスは6月1日から、スターフライヤーとの資本業務提携による新たな展開として、機内番組でショッピングチャンネルの放映を開始した。

機内で放映する2番組をリニューアルし、スターフライヤーとジャパネットの初となるショッピングチャンネルを開設した。

まず、タレントをゲストに迎えてテレビショッピングのMCを担当してもらう番組を始めた。ゲストならではのトークやお薦めポイントを織り交ぜながら1商材を紹介する。1回目はゴルゴ松本さんがMCに挑戦している。

ジャパネットホールディングスとスターフライヤー、機内ショッピングにはタレントが登場する番組で構成
ゴルゴ松本さんらしさ全開の体全体を使ったMCだったという

また、スターフライヤーの機内販売のために厳選した逸品もジャパネットのMCが紹介する。初回放送は、富士山の天然水と熟練の技で作るクラフトビール「Cleyera(クリエラ)」を販売している。

ジャパネットホールディングスとスターフライヤー、機内ショッピングで富士山の天然水と熟練の技で作るクラフトビール「Cleyera(クリエラ)」を販売
クラフトビール「Cleyera(クリエラ)」

ジャパネットHDとスターフライヤーは2022年8月、資本業務提携を締結。その一環として、ジャパネットHDは、スターフライヤー機内での通販・ECを本格展開することにした。

スターフライヤーと資本業務提携したジャパネットHDが機内販売システムを独自に開発。国内5路線全便で機内販売システムをリニューアルしてモバイルオーダー化し、販売商品の選定から配送までを連携して運営している。

ジャパネットHDが配送面をサポート。従来、機内での手渡しだった購入商品を、顧客の自宅や希望の送付先に配送。航空機の着陸後すぐに出荷・発送し、最短で翌日配達を可能にする。

機内誌で販売する商品は、ジャパネットHDが厳選した「スターフライヤー限定販売商品」に一新。食品・酒類は産地にこだわった逸品を用意するほか、生活雑貨品はジャパネットの通信販売でも好評の商品をスターフライヤー限定仕様で用意している。

石居 岳

「送料無料」表示の見直しを求める政府の方針とは? 過去には経産省幹部が「送料は当社負担という表現に」と業界に要請

2 years 6ヶ月 ago

政府は6月2日、「物流革新に向けた政策パッケージ」を公表、商慣行の見直しの1つとして、ネット通販の「送料無料」表示の見直しに取り組む方針を打ち出した。

「物流革新に向けた政策パッケージ」は、「物流2024年問題」の解消に向けた対策をまとめたもの。

「物流2024年問題」は、働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などが2024年4月から「自動車運転の業務」にも適用されることで、運送会社では収入減少によるドライバーの離職や売上減、荷主企業は運賃値上げの可能性などが危惧されている物流業界の諸問題を指す。

「物流革新に向けた政策パッケージ」では、「運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されるべきという観点から、『送料無料』表示の見直しに取り組む」と明記した。

「物流革新に向けた政策パッケージ」で明記された内容(画像は編集部が公開資料からキャプチャし加工)

「送料無料」表示の見直しについては、以前から課題にあがっていた。政府が2013年に閣議決定した「総合物流施策大綱(2013-2017)」では、送料無料記載にまつわる問題として、「送料無料と銘打った商品の販売が広く行われ、消費者が物流コストを正しく認識しづらい状況にある」と指摘。

その翌年、公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が実施したJADMA総会記念パーティーに参加した当時の経済産業省審議官は、「(送料無料と記載する際は)送料は当社負担というような表現にしていただきたい」と要請。「送料無料と言うと物流はそうしたモノなんだという社会的な扱いを受けてしまう。送料は当社負担というような表現にしていただいて、この問題の改善・対応にご支援をいただきたい」と通販・EC事業者に協力を求めた経緯がある。

「送料は当社負担という表現に」 物流コストの負担関係明確化を、経産省審議官が協力要請

経済産業省の佐々木良審議官が通販・EC事業者に、送料無料に関する物流コストは誰が負担しているのか、それを明確化するよう協力を求めた
瀧川 正実2014/6/23 15:45 231 28 5

なお、「物流革新に向けた政策パッケージ」では、政府の中長期計画を2023年内に策定・公表し、業界・分野別の自主行動計画の作成・を求めるとしている。

瀧川 正実

モール店舗数は「Yahoo!ショッピング」、カートは「カラーミーショップ」が1位。国内のECサイト・ネットショップの総稼働店舗数調査【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

2 years 6ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年5月29日~6月4日のニュース

2023年版の国内ECサイト・ネットショップの総稼働店舗数が発表されました。コロナで出店した企業の撤退などもありますので、落ち着いてくるのは2024年でしょうか。

運営企業の業績も見ながら出店の判断を

【2023年最新版】国内のECサイト・ネットショップの総稼働店舗数 | eコマースコンバージョンラボ
https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/80408

国内のモール店舗数 調査データ Yahoo!ショッピング Amazon 楽天市場
画像は「eコマースコンバージョンラボ」のサイトからキャプチャ

モール店舗数合計は161万5,607店舗となった。Yahoo!ショッピングは74.3%、Amazon Japanは18.6%、楽天市場が3.5%を占め、この上位3モールでモール全体の96.4%を独占していることになる。

国内モールの出店数のデータが出てきました。「Yahoo!」「Amazon」「楽天市場」がほとんどを占めている状況。「Qoo10」はこの1年で42.7%増と大幅に伸びています。若い女性向けには「Qoo10」というイメージになっているので、このジャンルの人は出店が必須でしょう。

企業の数であるため、複数出店を考慮し実際の店舗数は2倍程度にのぼるものと想定。そのためeccLabでは、2022年11月時点の店舗数を30万店舗と推測する。eccLabでは2021年7月時点の店舗数を40万3,448店舗と推測しており、記載上は1年4ヶ月で25.6%減少したことになるが、断片的な情報を組み合わせた推測値との比較である点は留意しておきたい。

「Amazon」に関しては推測データであることに注意。はっきりしたことはわかりませんが、店舗数は減っているようです。物流網は強化しているものの、売り上げの伸びも鈍化してきているので、今後どのような手を打ってくるのかは注目です。

カート店舗数 調査データ カラーミーショップ CS-CART Shopify
画像は「eコマースコンバージョンラボ」のサイトからキャプチャ

ショッピングカートの導入店舗数合計は17万6,360店舗となった。シェア率はカラーミーショップが22.7%、CS-CARTが17.0%、Shopifyが15.3%で、この上位3サービスでショッピングカート導入店舗数全体の54.9%を占めている。

「カラーミーショップ」はプラン変更などで数を減らしたものの1位。3位の「Shopify」は1年4か月で65.6%増加と急成長中です。コロナの時期に出店したもののうまくいかずに撤退したり、カート会社も利用者の質にシフトしたりしています。しばらくはこの動きが続きそうですね。

インスタントECの店舗数合計は270万店舗となった。STORESが実店舗向けのサービスに軸足を移しつつあることもあり、このジャンルはほぼBASEの独り勝ちの様相を呈してきている。

ECパッケージの店舗数合計は5万3,074店舗となった。このカテゴリは、オープンソースのEC-CUBEが72.5%のシェアとなっており、次いでAladdin ECの8.0%、ecbeingの2.3%となっている。

インスタントECとパッケージは引用文の通りです。インスタントECは開店休業状態の店舗も多いと思いますが、ここまで広がったのでECのすそ野を広げたと言えそうです。

モールにしろカートにしろ運営会社の業績が良くないと継続しませんし、機能追加なども進みません。出店を考える場合、使い勝手や費用だけではなくて業績も見ておきましょう。

今週の要チェック記事

ECサイトにおける商品の探し方「キーワード検索」が約7割。タグ検索では「商品カテゴリ」がトップ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10997

サイト内検索が進化しているのもありますね。運営側はキーワードのチェックを忘れずに。

【越境EC利用&訪日意向調査に関するアンケート】約8割が日本に訪問後も越境ECを利用したいと回答 商品購入の際は「SNS」を参考に 日本観光の情報源は「YouTubeなどの動画」 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/35720

8割が「訪問後も越境ECを利用したい」というデータ。最初の接点で覚えてもらうことが大事ですね。

商品購入に直結するデジタルマーケティングは何? 上位を占めたのはEメールとSNS【消費者1000人調査まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11005

アメリカの調査ですがメールがきっかけで買うユーザーが多いですね。なんだかんだで届くのはメール。

ショップのお客さまにメールマガジンが送れるようになりました | メルカリShopsマガジン
https://shops.mercari.com/magazine/posts/40062

前述のデータに関連して。「メルカリShops」でもメールを送ることができるようになりました。

無印良品、まだ着られる服を販売する「洗いなおした服」の販売店舗を拡大 | ST
https://shopping-tribe.com/news/58970/

6/12からは「染めなおした服」も販売するとのこと。私も藍で染め直したTシャツを着ています。

「EC運用力」が身につく10のポイントとは? 発売日のスケジューリング、商品の縦・横展開、ページのABテストなどは押さえるべし! | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10900

ECは決まったことを各自に実行することで安定します。アイデアはその先に。

クイックコマース、相次ぐ撤退 OniGOは急成長、提携戦略が最適解か? | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/8913

ニーズ自体はあるので、力のある数社に絞られていきそうですね。

「送料無料」表示見直しへ 再配達率半減、法整備も | 共同通信
https://nordot.app/1036976665631245034?c=113147194022725109

今週に詳細が出てくると思いますので速報的に。

今週の名言

エスカレーターではなく、つい階段をのぼってしまう。消費者が行動したくなる「仕掛け」がマーケティングに使える【大阪大学大学院 松村真宏 教授】 | Agenda note
https://agenda-note.com/retail/detail/id=5501&pno=0

「もので釣る」のは、麻薬と一緒で危険です。金品ではなく体験的な喜びや名誉、楽しい、嬉しいという感情に働きかけると反動が起きにくいのです。そこを「どのようにコントロールするかが大事」

もので釣ると売れてしまいます。でも、それを続けないと売れなくなってしまいますし、どんどんお得にしないといけませんので、どこかで破綻します。感情に訴えかけるような売り方を考えましょう。

筆者出版情報

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ECサイトの顧客体験向上・店舗スタッフの業務効率を同時実現したコーナン商事の店舗DX推進のカギは「検索」にあり

2 years 6ヶ月 ago
500店舗超を展開する大手ホームセンターのコーナン商事。店舗とオンラインの融合を進めるために、ECサイトと店舗従業員用アプリでEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入した。その理由や今後の展望について、ZETAとのディスカッションで解説する
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ホームセンターのコーナン商事は店舗とオンラインの融合をテーマにした「店舗デジタル化戦略」を進めている。ECサイトのリニューアルや、店舗の従業員が業務で利用するアプリのリリースなどを実施。ECから店舗への送客促進や店舗業務の改善など、さまざまな効果が表れ始めている。「店舗デジタル化戦略」で重視した施策の1つがECや従業員アプリの検索機能。記事前半では「店舗デジタル化戦略」を解説、後半は検索面をサポートしたZETAとコーナン商事の2社によるディスカッションから、デジタル化戦略の実例、検索が果たす役割とその効果、可能性などを紹介する。

一般消費者向けからプロ向けまで、全国に500店舗超を展開

コーナン商事は、1978年に大阪府堺市に第1号店を開店、現在は全国で525店舗(2023年2月期)を展開している。一般消費者向けの「ホームセンター コーナン」、キャンプ専門店「CAMP DEPOT」のほか、プロの建築職人向けの小売業「コーナンPRO」、建築資材の卸売業「建デポ」を展開。「ホームセンター コーナン」「コーナンPRO」の商品が購入できるECサイト「コーナンeショップ」も運営している。2023年2月期の全社売上は4231億円。

コーナンのECサイト「コーナンeショップ」
コーナンのECサイト「コーナンeショップ」

「店舗デジタル化戦略」で店舗受け取りやECでのリフォーム工事受注を強化

コーナン商事は2021年に発表した中期経営計画で、①PB商品開発戦略②店舗デジタル化戦略③店舗業務効率化戦略④フォーマット戦略⑤人材戦略――の5つを、2025年度までに推進すると掲げている。

「店舗デジタル化戦略」で取り組んだのが買い物体験の向上。まずは、店舗とオンラインの融合をめざし、店舗受け取りの強化に着手した。従前はできていなかった店舗とEC間の情報連携をリアルタイム連携できるようにし、ECサイト上で顧客が店舗の在庫情報を確認できるようにした。

店舗在庫を“見える化”したことで購入の動機が創出され、店舗受け取りの促進と来店時の買い回りにもつながるなど、売り上げの拡大に大きく寄与しているという。

コーナン商事 店舗受け取りの選択・変更画面
店舗受け取りの選択・変更画面

店舗受け取りの強化を実現するためにECプラットフォームを刷新し、あわせて豊富な商品との出会いを創出するため検索機能を強化。ZETAが提供するEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入し、興味のあるキーワードに関連したバナー表示やサジェスト機能などの実装によりユーザビリティの向上を実現した

このようなフロント側の刷新に加え、バックヤード側の業務効率も進めている。2022年に、店舗スタッフ業務の効率化・可視化を実現するためにスマートフォン型ハンディを導入。店舗業務で利用する従業員アプリに「ZETA SEARCH」を搭載し、店舗スタッフがスマートフォン型ハンディを使って、アプリ経由で商品が店内のどの位置にある棚に陳列されているか把握できるようにした

コーナン商事によると、タッチパネル操作などのPOSレジシステム導入効果と合わせて、2025年度には従来比20%の業務量削減、年間約25億円の人件費抑制効果(スタッフ約800人、8時間/1日労働で換算)を見込むという

こうした「店舗デジタル化戦略」を推進する上で、顧客向けのECサイトと従業員向けシステムの双方において、検索機能が鍵を握っているコーナン商事。これまでに実施した取り組みや、今後実現したい施策とは――。コーナン商事とZETAによるディスカッションを見てみよう。

コーナン商事がECと社内向けシステムで「検索」を重視する理由と今後の展望とは

全国に多数展開する店舗とオンラインとの融合をテーマにした、コーナン商事の店舗デジタル化戦略。顧客向けのECサイトと、店舗業務で利用する従業員アプリの両方で「ZETA SEARCH」を導入した理由や効果、さらには今後の展望について、コーナン商事とZETAの2社に語ってもらった。

ディスカッションメンバー

コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏 コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏

コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ グループマネージャー 牧元周二氏 コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ グループマネージャー 牧元周二氏

コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ 国内ECチーム チームリーダー 仲西正敏氏 コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ 国内ECチーム チームリーダー 仲西正敏氏

コーナン商事 システム企画部 副部長 亀井学氏 コーナン商事 システム企画部 副部長 亀井学氏

コーナン商事 システム企画部 システム企画開発グループ 主任 柴田享氏 コーナン商事 システム企画部 システム企画開発グループ 主任 柴田享氏

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏 ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏

ZETA営業部 ユニット長 大井果林氏 ZETA営業部 ユニット長 大井果林氏

ロングテール検索が多いホームセンターは、特にチューニングが大事なポイント

――コーナン商事がECサイトの改善に着手した理由、リニューアル前に抱えていた課題について教えてください。

コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏 コーナン商事 古川氏(以下、古川):コロナ禍に入ってからECの必要性がこれまで以上に高まり受注が急増、出荷に1週間以上かかるような状況が発生してしまいました。また、ECサイトの操作性に不便な面があったこともあり、今後のことも踏まえ店舗とECの連携を進めていくには、まずECの改善に着手しなければならないと考えました

コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏

コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ 国内ECチーム チームリーダー 仲西正敏氏コーナン商事 仲西氏(以下、仲西):スマートフォンへの最適化など操作性の改善、顧客体験アップに向けて店舗との融合を実現するECサイトにしなければなりませんでした。改善例の1つが、店舗の在庫や販売価格をECサイト上でお客さまからも見えるようにしたことです。これにより、店舗受け取りの使いやすさも向上し、店舗送客のためのサイトとしても機能するようになりました。

コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ 国内ECチーム チームリーダー 仲西正敏氏
コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ 国内ECチーム チームリーダー 仲西正敏氏

――リニューアルで「ZETA SEARCH」を導入。検索面でどのような課題がありましたか?

コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏コーナン商事 古川:以前はサイト内検索の運用を内製化していたため、自社でチューニングしなければならなかったんです。正直なところ人的リソースが十分ではなく……。ECに携わるスタッフ(牧元)が1人でチューニング作業をしていた時期もありました。彼が一時期、EC業務から外れた際はチューニングが間に合わなくなり、サイト内検索した時にほしい商品が検索結果に表示されないといった事象が起きるようになってしまいました。その一例が「コンロ」の検索です。ホームセンターのECサイトでは、バーベキュー用からキッチン用、カセットコンロなど、さまざまな「コンロ」を扱っています。そのため、ほしいコンロを検索結果で正しく表示させるためのチューニングに、相当な時間と労力がかかっていたんです。検索のチューニングに悩んでいたため、ZETAさまに相談。良い提案をいただけたため「ZETA SEARCH」の導入を決めました

ZETA営業部 ユニット長 大井果林氏ZETA 大井氏(以下、大井):他社の事例でも、サイト内検索の運用を担当者が行い、その担当者が異動したことで手が付けられなくなったという話はよくある話です。つまり、サイト内検索の属人化は各社が抱えている共通の課題だと言えます。「ZETA SEARCH」の導入に関し、ほかにどのようなことが決め手になりましたか?

ZETA営業部 ユニット長 大井果林氏
ZETA営業部 ユニット長 大井果林氏

コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏コーナン商事 古川サイト内検索エンジンの導入には、ECサイトだけでなく、店舗スタッフが使う従業員アプリにも活用するという条件がありました。この要望に対し、ZETAさまは実現できることを前向きにたくさん提案してくれました。お客さま向けのECサイト、社内向けアプリも含めて、包括的に対応いただけたことに加え、悩みだったチューニングのアウトソーシング化が実現できることがきめてになりましたね。

ZETA営業部 ユニット長 大井果林氏ZETZ 大井:ECだけでなく、社内向けの従業員アプリなど、コーナン商事全体の業務を改善するために、「検索エンジンを120%活用したい」という要件を提案いただいたことを覚えています。ZETAの導入事例を見ても、コーナン商事さまが検索エンジンを最も幅広く活用していますね。

コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏コーナン商事 古川:ホームセンターで取り扱う商品数は膨大で検索もロングテールになります。独特な表現や専門的な工具なども多くあるため、それらの情報をどう出し分けるのか、チューニングは非常に大事なポイントです。しかし、検索に関する高いリテラシーをコーナン商事は持ち合わせていませんでした。今は、ZETAさまと関係性を持ったことにより、定例会議で要望を伝えると、そのゴールに向けて着実に動いていける体制が整いました。

1つのアカウントで法人向けと個人向けの検索結果の出し分けも可能

――ECサイトのリニューアルにおいて、検索ではどのような改善や機能の実装を行いましたか?

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏ZETA 木又氏(以下、木又):コーナン商事さまは総括的にいろんな実装をしました。ECサイトで特筆すべき点は関連特集の検索結果への表示です。通常、サイト内検索は商品そのものをヒットさせるという発想ですが、関連特集の検索結果への表示は複数のカテゴリ情報を組み合わせて、特定キーワードにヒットする特集ページを検索結果ページに表示する仕組みを搭載しました。カテゴリの階層などを見ながらいろんな組み合わせで検索結果を表示できるよう、提案しました。

また、コーナン商事さまのECサイトは、同じ商品でも法人向けと個人向けに価格などを出し分ける仕様になっています。そのため、検索結果についても、法人顧客と個人顧客でそれぞれに最適な表示をしなければなりません。たとえば「机」と検索した時に、法人顧客であればオフィス用のデスクが上位に表示するよう、チューニングできるように対応しました。

コーナン商事 画像左の赤枠内が「ガーデニング」で検索した際に表示される特集ページのバナー
画像左の赤枠内が「ガーデニング」で検索した際に表示される特集ページのバナー

コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ グループマネージャー 牧元周二氏コーナン商事 牧元氏(以下、牧元):コーナン商事のECは、同一ドメイン上で法人向けと個人向け双方の売り場を設置しようというコンセプトがありました。そこに検索エンジンを導入したわけです。ベンダーによっては2つのアカウントを取得しなければ検索結果の出し分けが難しいといったケースがありましたが、ZETAさまは1つのアカウントで出し分けが可能でした。その点も導入メリットとして大きかったですね。

コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ グループマネージャー 牧元周二氏
コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ グループマネージャー 牧元周二氏

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏ZETA 木又:アパレルECサイトでの「ZETA SEARCH」の導入で、通常販売用とアウトレット用で出し分けるといった対応を経験してきました。コーナン商事さまの要件も問題なく対応できました。大事なことは、法人向けと個人向けに出し分けた後、それぞれどのように検索結果を表示するか、です。そこを重視し、定例会議でヒヤリングするようにしています。

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏

コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ 国内ECチーム チームリーダー 仲西正敏氏コーナン商事 仲西氏:今の時代、AI(人工知能)を前面に押し出した製品をよく見かけます。しかし、私たちが求めていたのはAIに頼りきった製品ではなく、ZETAさまのように人が携わりながら細かくチューニングする製品・サービスでした。AIを否定しているわけではありません。私たちの思いをECサイトに実装していくためには、やはり人が考えて作っていくことが大事であり、それが最終的にはコーナン商事の財産になっていくと考えています

ZETA営業部 ユニット長 大井果林氏ZETA 大井:「自動化」「AI」という言葉に引っ張られて、「そっちの方が楽そう」と検討する事業者は少なくありません。大部分は自動化できたとしても、人によるチューニングがなければ、お客さまが商品を探すときに適したモノが表示されないという事態はどうしても起きてしまいます。そうなると、使いやすいECサイトにはなりません。

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏ZETA 木又:AIは業務のいろいろなところで役立つことは確かです。しかし、サイト内検索の場合、「この言葉は、当社ではこういう意味」とAIが学習することはできても、学習させる人がどうしても必要になります。また、無いモノをAIが最初に創り出すことはできません。なので、AIは最初から導入するものではなく、徐々に入れていくべきものではないでしょうか

「ZETA SEARCH」の3つの特徴
「ZETA SEARCH」の3つの特徴

省人化が進むなかで店舗の従業員アプリの検索機能は業務改善に役立つと期待

――「ZETA SEARCH」をECだけでなく、店舗向けの従業員アプリにも活用しています。従業員アプリについて教えてください。

コーナン商事 システム企画部 システム企画開発グループ 主任 柴田享氏コーナン商事 柴田氏(以下、柴田):発注、検品、ポップ作成など、店舗業務を支える機能を従来はハンディターミナルに搭載していましたが、それをスマートフォンのアプリにしたものです。その機能の1つが商品検索です。「ZETA SERCH」を使って検索し、商品の在庫情報や、フロアマップ上で商品が店内のどの位置にある棚に陳列されているかも把握できるようにしています

コーナン商事 システム企画部 副部長 亀井学氏コーナン商事 亀井氏(以下、亀井):従業員アプリはまだ開発途中で、順次、機能をリリースしている状況です。ただ、従業員アプリでの商品検索機能は、ニーズの高い機能であったため、スマートフォン型ハンディの導入が始まった2022年後半から提供をスタートしています。

――従業員アプリにも「ZETA SEARCH」を導入した理由をお聞かせください。

コーナン商事 システム企画部 システム企画開発グループ 主任 柴田享氏コーナン商事 柴田:ECサイトのリニューアル時に検索エンジンも刷新することが決まっていました。今までならEC側だけで判断していたところ、横の連携も重視して従業員アプリも含めたコーナン商事全体の業務改善に目を向け、システム部など複数の部署が関与。その上で、最終的にZETAさまを選定しました。

従業員アプリの開発プロジェクトでは、店舗従業員が、各商品の専任者に聞かなくてもお客さまからの問い合わせへスムーズに対応するというコンセプトを掲げていました。ECサイトの商品検索のような機能や使いやすさは、1つの目標でしたね。

コーナン商事 システム企画部 システム企画開発グループ 主任 柴田享氏
コーナン商事 システム企画部 システム企画開発グループ 主任 柴田享氏

コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏コーナン商事 古川:ホームセンターのアイテム数は膨大なので、たとえばアルバイト従業員が商品を探すにも、これまではまず社員を探し、その社員が棚の場所を共有するという流れでした。しかし、今はどんどんと省人化が進んでいますよね。そんな環境下で、従業員アプリへのサイト内検索の実装は業務改善の根幹になると期待しました

――お客さま向けのECサイトと社内向けシステムの検索機能では、開発や実装にどういった違いがありますか?

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏ZETA 木又:検索としてやらなければいけないことは、BtoCのECサイトと社内向けの従業員アプリとで大きな違いはありません。ただ、BtoC-ECサイトは消費者の声を導入企業がくみ上げて開発側に伝わってきます。そのため、タイムラグや本当の消費者ニーズが伝わってこないことが、ままあります。一方、従業員アプリのような社内向けシステムは、ダイレクトに「これだと使いにくい」「こうしないと難しい」といった声が届きます。ZETAはどうすればその課題をクリアできるようになるのか説明・ヒヤリングすることができる分、進めやすさはあったと感じています。

従業員アプリの検索機能を、今後はコールセンターでも役立てる計画

――従業員アプリに「ZETA SEARCH」を導入したことにより、従業員の負荷や店舗業務などにどのような効果が表れていますか?

コーナン商事 システム企画部 システム企画開発グループ 主任 柴田享氏コーナン商事 柴田:たとえば、フロアマップと商品検索を掛け合わせた機能によって、閉店後に商品を棚に戻す作業や、開店前の品出しの作業時間が短縮したといった声が店舗から寄せられています。1人あたり1日数分の短縮でも、1か月換算すると大幅な作業時間の削減になります。コーナン商事が常日頃意識している「すべてはお客さまのために」を実現するには、店舗スタッフの声を大事にしなければなりません。まずは従業員にアプリを使ってもらい、要望や指摘を受けながらより良い仕組みを実現していきたいですね。

コーナン商事 システム企画部 副部長 亀井学氏コーナン商事 亀井:従来のハンディターミナルにも検索機能はありました。一定の業務改善につながっていましたが、当時はJANコードを指定して単純に商品を検索する機能しかありませんでした。今回の従業員アプリは、普段の生活でネット検索しているような使い勝手で商品を探すことができます。新しい仕組みを導入すると慣れるまでが大変ですが、初めて使う際でも操作に迷わず利用できるのは、ZETAさまが検索機能を専門に開発しているからこそと感じています。

コーナン商事 システム企画部 副部長 亀井学氏
コーナン商事 システム企画部 副部長 亀井学氏

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏ZETA 木又:コーナン商事さまの従業員アプリのデータは1日に1億レコードもあるので、開発初期はそれら全てを取り込む仕組みを考えるところから始まりました。また、「棚情報」「在庫情報」「チラシ情報」の3データを組み合わせて検索したいという要望もあり、試行錯誤しながら、現在の形式にたどり着きました。各店舗が持っている商品情報のなかのさらに詳しい情報、「このチラシにこの商品の情報が入っている」といった情報など、取り扱うデータがECよりもかなり複雑でしたね。

コーナン商事 システム企画部 システム企画開発グループ 主任 柴田享氏コーナン商事 柴田:データ量が多く、組み合わせが必要という複雑な要望にもZETAさまは対応してくださいました。営業部署からは、店舗で業務に待ち時間が発生しないよう、検索の機能だけでなく反応や速度も高めてほしいという要件も寄せられていましたが、それらも1つひとつ実現いただきました。

コーナン商事 システム企画部 副部長 亀井学氏コーナン商事 亀井:確かに、従業員アプリで最大のネックになったのは検索のレスポンスでしたね。1~2秒でレスポンスが返ってくるかどうかが一番のハードルだったと思いますが、要望通りに実現いただきましたね。

――消費者向けのECと従業員アプリでは、検索するキーワードやチューニングに違いがあるのでしょうか?

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏ZETA 木又:キーワードの設定自体に大きな違いはなく、ECサイトと従業員アプリも「●●というキーワードで検索したときに0件ヒットになっていた」といったレポートを定期的に提出しながら改善を続けています。たとえば、店舗の従業員の皆さまが「この商品をこういう名称で呼んでいる」といったキーワード情報を都度ご共有いただき、ECサイトやアプリごとにチューニングを行っています。

コーナン商事 システム企画部 システム企画開発グループ 主任 柴田享氏コーナン商事 柴田:ZETAさまから0件ヒットなどのレポートを毎月いただいていて、それをもとに当社から「これはこういう単語です」といった情報をフィードバックして、同義語の単語登録をお願いしています。

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏ZETA 木又:従業員アプリの場合、お勧め順よりも他のソートを使うことが多く、キーワードで「これを上位に表示したい」といった要望はまだ出てきていません。まずは使っていただきながら現場からの要望を集めていきたいと考えています。また、コーナン商事さまは従業員アプリのデータやインターフェースを、コールセンター向けのアプリの検索でも使うよう動き始めていますコールセンターでの活用が進むと、たとえば商品に関する問い合わせがあった時に、その商品の詳細情報や店舗の在庫状況などを、電話を受け取ったオペレーターが瞬時に調べるといったことができるようになります。さまざまな業務の改善に検索が役立っていくと感じています。

「ZETA SEARCH」導入後、CVR、直帰率、セッション時間が改善。社内の意識に変化も

――「ZETA SEARCH」の導入後、ECサイトではどのような効果が表れているのでしょうか?

コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ グループマネージャー 牧元周二氏コーナン商事 牧元:ECサイトのリニューアルでは、サイト検索エンジン以外にもさまざまな施策を行ったので全体的な効果となりますが、コンバージョン率は0.2ポイント向上。また、直帰率は以前の45%から42%まで改善し、目標の40%まで大幅に近づいています。また、セッション時間も3割ほどアップしました。サイト内検索はチューニングが肝要ですから、今後さらに検索の精度を高めながら効果を高めていきたいですね。

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏ZETA 木又:回遊性を広げるためには、来訪者が商品詳細画面にたどり着いて終わりにするのではなく、そこからカテゴリやハッシュタグなどを用いていろんな画面に移動したり、元の検索結果に移動できる仕組みも有効だと感じています

――コンバージョン率、直帰率、セッション時間などの定量的な効果のほか、定性的な効果はいかがでしょうか?

コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ グループマネージャー 牧元周二氏コーナン商事 牧元一番感じている効果は、私たちの意識が変わったことです。チューニングを内製化していた頃は、どうしてもほかの業務の片手間にならざるを得ないことがしばしばありました。しかし、今はZETAさまとの定例会議も重ねながら確実に検索性が向上しているので、手を加えなければ改善しないことを実感できましたし、なによりスタッフ全員で話し合う機会が増えたのは喜ばしい成果でした。商品担当者の間で「サイト内検索のキーワードに何を入れたいか」といった会話が飛び交うようになり、商品登録をする時も効果を考えたキーワード設定をする意識が高まっています。

今までは検索の知見が少なかったからこそ、よくわからないままキーワードを設定していた状態でしたが、ZETAさまとの定例会議は勉強会のような役割にもなっています。「ZETA SEARCH」の検索機能をリリースしてからまだ半年ですが、継続していけばもっと良くなっていくのだろうと確信しています。

ZETA営業部 ユニット長 大井果林氏ZETA 大井:検索精度を高めるためには、地道に日々チューニングを積み重ねていかなければなりません。忙しいとどうしても定例会議が後回しになってしまうものですが、コーナン商事さまはZETAとの会議にいつも前向きに取り組み、それが最終的に効果という結果につながっています。定例会議はお互いに知識を深め合い、より良いサイトに導くための場になっていると実感しています

「全ての経営活動を 『お客さま視点』 へ転換させる」の方針のもと、全社で連携しながら進展を続ける

――今後、ECサイトにおいては、ZETAとどのような取り組みを行いたいと考えていますか?

コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏コーナン商事 古川:まず、レコメンドの改善があげられます。今もレコメンドは用意しているのですが、以前の検索エンジンと同様、使いこなせていないのが実状です。レコメンドと検索をZETAさまで統一することにより相乗効果が得られるのであれば、「ZETA RECOMMEND」の導入を検討したいと考えています。

コーナン商事のECサイトは2022年10月にリニューアルしていますが、実のところまだ最終的な完成状態ではありません。今は第2フェーズに取り組んでいる段階。そのため、この一連を終えた後にレコメンドの改善にも着手していく計画です。

「ZETA RECOMMEND」の特徴

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏ZETA 木又:コーナン商事さまの場合、「ECにはなくても店舗にはある商品」が検索されるケースがあるでしょう。今後、検索エンジンで店舗情報を連携すると、「その商品はこの店舗にあります」といった情報も検索できるようになります。その情報がレコメンドに持たせることができれば、来店の促進にもつながるのではないかと考えているところです。

コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏コーナン商事 古川いかに店舗と連携できるかがとても重要な要素になるので、その構想を実現していきたいですね。

――従業員アプリは、今後どのように展開していきたいと考えているでしょうか?

コーナン商事 システム企画部 副部長 亀井学氏コーナン商事 亀井:検索で在庫の場所や数、商品の詳細情報が把握できるだけでなく、発注業務の入力画面や、ECサイトに移動するといった仕組みの搭載も可能だと考えています。店舗業務での全ての入り口、つまり従業員アプリを全ての起点にするということを今構想しています。

ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏ZETA 木又:今後、ECと従業員アプリ側で持っている情報が基幹システムとつながるようになれば、EC側からどの店舗に在庫があるのかが見られるようになりますし、店舗側も来店したお客さまに「この商品はECで注文すれば店舗の入荷を待つよりも早く届きます」といった案内ができるようになります。つまり、新しい接客の形を作り上げられるのではないでしょうか。

コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏コーナン商事 古川:私たちは「全ての経営活動を 『お客さま視点』 へ転換させる」という方針の下、現在の中期経営計画を遂行しています。この一環の店舗デジタル化戦略は、売上貢献、業務改善、デジタル組織・人材育成――の3つを大命題としており、売上貢献の面でECを、業務改善の面で従業員アプリを進展させようとしているところです。

これまでは組織ごとに動いていましたが、今は横のつながりも重視するようになり、さらにはZETAさまも含めた皆で課題や実現したいことを共有しながら進められるようになりました。ECと従業員アプリが改善した先にはコールセンターの進展も待っています。今後も全てを連携させながら、全社的に改善と発展を続けていくことをめざします。

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朝比美帆
奥田晃介(松鹿舎)

【楽天市場のお中元・夏ギフト】友人・親戚などに贈る「カジュアル化」が進む。「カタログギフト」の流通総額は約3倍に

2 years 6ヶ月 ago

楽天グループは、「楽天市場」に特集ページ「楽天市場 お中元・夏ギフト特集2023」を6月1日に公開した。

お中元・夏ギフトは、身近な人に贈る「カジュアル化」が進む

2023年5月26日時点で、「楽天市場」には約220万点の商品が、お中元・夏ギフト向け商品として販売されている。

コロナ禍を経て、ギフト商品の購入先としてECが定着。「楽天市場」内におけるギフト商品の流通総額は、2019年から2022年で約2.6倍に増加した(2019年6月3日~2019年8月1日と、2022年6月1日~2022年8月18日の「楽天市場 お中元特集」実施期間中の流通総額を比較)。

近年の傾向では、お中元・夏ギフトは取引先などに贈る儀礼的なものから、家族・親戚、友人など身近な人に贈るものへとカジュアル化が進んでいる。

「楽天市場」ではお中元・夏ギフト購入時に「熨斗なし」を選択するユーザーが増加し、その流通総額は2019年から2022年で約2.3倍に拡大した(2019年6月3日~2019年8月1日と、2022年6月1日~2022年8月18日の「楽天市場 お中元特集」実施期間中、ユーザーが商品購入時に「熨斗なし」を選択した商品の流通額を比較)。

こうしたユーザーのニーズに対応するため、「楽天市場 お中元・夏ギフト特集2023」では、お中元・夏ギフトの定番のグルメ・スイーツ、贈る相手や家族構成、予算別、ユーザーの「ギフト選びを失敗したくない」という需要に対応した「老舗ブランドギフト」などの商品を紹介している。

楽天市場 お中元・夏ギフト ビールセット
楽天市場 お中元・夏ギフト フルーツ詰め合わせ
楽天市場 お中元・夏ギフト 果実まるごとスムージー
楽天市場 お中元・夏ギフト フランス産赤ワイン
楽天市場 お中元・夏ギフト 北海道産グリーンアスパラガス
「楽天市場 お中元・夏ギフト特集2023」で紹介している商品の一例

受け取り手が消費を選べる「カタログギフト」の需要高まる

受け取り手のニーズの多様化に合わせ、カタログギフトの需要が2019年から2022年で約3倍に増加(2019年と2022年の「楽天市場」において、商品名に「お中元 カタログギフト」を含む商品の年間流通額を比較)。

こうした状況を受け、受け取り手が複数のアイテムから好きなものを選べる「カタログギフト」の紹介に特化したコンテンツを7月下旬に公開予定という。

楽天市場 お中元・夏ギフト カタログギフト 防災グッズ
防災グッズに特化したカタログギフトの一例
藤田遥

ハルメク、サブスク型メディア「ハルメク365」を法人向け福利厚生サービスとして展開

2 years 6ヶ月 ago

シニア向け通販のハルメクは、法人会員向けの福利厚生サービス「ハルメク365法人パック」の提供を始めた。

「ハルメク365」はシニア向けのサブスクリプション型オンラインメディア。この本会員向けのサービスを、契約する顧客企業の会員に提供する。

「ハルメク365法人パック」の概要
「ハルメク365法人パック」の概要

「ハルメク365」の利用を法人向けの福利厚生として提供

「ハルメク365法人パック」の法人向けに展開するのは、「ハルメク365」を葬儀会社の東上セレモサービスの互助会加入者向けに福利厚生サービスとして提供を始めたことがきっかけ。

東上セレモサービスの互助会加入人数は20万人超。東上セレモサービスは互助会の加入者に、「ハルメク365」本会員(有料)専用のコンテンツやサービスを提供している。

「ハルメク365法人パック」の概要と詳細は次の通り。

「ハルメク365法人パック」概要

  • 申し込み方法:顧客企業を通じて「ハルメク365法人パック」を利用するエンドユーザーに、専用の「ハルメク365」登録ページを案内。登録者には1年間無償で「ハルメク365」本会員の権限を付与する
  • サービス内容:「ハルメク365」本会員限定の動画や記事を閲覧できる。定期購読誌「ハルメク」電子版、講座・イベントの割引、提携サービス優待などの特典も利用可能
  • 通販カタログの送付:「ハルメク365」会員に申し込みをした人には、ハルメクが手掛ける通販のカタログを送付する

東上セレモサービスの互助会加入者向けには、「ハルメク365」の利用費用は1年目が無償。東上セレモサービスの互助会加入者向けの特別割引価格を適用し、2年目以降は年間6600円とする。一般価格は9240円。

東上セレモサービスへの提供をきっかけに「ハルメク365法人パック」を確立した
東上セレモサービスへの提供をきっかけに「ハルメク365法人パック」を確立した
高野 真維

コロナの行動制限緩和も外出ためらうのはなぜ? 「インドア慣れ」「節約志向」の傾向【コロナ+値上げの消費者調査まとめ】

2 years 6ヶ月 ago

ネオマーケティングが全国の20歳以上の男女を対象に実施した「コロナと値上げ」に関する調査の結果によると、昨今の物価高騰で節約志向が上昇し、旅行や外食の機会を減らそうと考えている人が多いようだ。

また、マスク着用の自由化やコロナの5類化が進んでも、年齢層が若いほど外出をためらう傾向があることがわかった。

調査結果のポイント

  • 年齢が若いほど「インドア慣れ」が進んでいる
  • コロナの「5類」移行後もマスクは基本装備として定着
  • 大きな節約ではなく、1回当たりの消費を抑える「コンパクト節約」がトレンド

物価高騰、「節約している」多数

物価高騰に対する行動・気持ちについて、「値上げの影響で、節約をすでに実施している」は全体の35%を占め、なかでも男性の20代ではその傾向が多く見られた。また、「値上げに関係なく、日々節約をしている」は全体の半数に達している。

物価高騰に関する行動や気持ち
物価高騰に関する行動や気持ち

具体的な節約項目は「旅行」「外食」

節約の方法として「実施する回数を減らしている項目」「もしくは回数を減らそうと思う項目」を聞いたところ、「旅行」と「外食」が上位となった。

一方、「回数を減らすものはない」と回答が25%もあり、ネオマーケティングは「極端な節約というよりも、1回当たりの消費を抑える“コンパクトな節約”がトレンドになりつつあるのかもしれない」と分析している。

節約のため実施回数を減らしている、または減らそうと思う項目
節約のため実施回数を減らしている、または減らそうと思う項目

物価高騰に対する行動や気持ちの調査では20代男性の節約意識の変化が目立ったが、節約項目についての回答では「飲み会」「外食」「映画館での映画鑑賞」などに票が集まってはいるものの、ほかの年代や性別と比べると「上記の中で、実施する回数を減らしている項目はない」を選ぶ人が46%と最多になっている。

このことから、20代男性の場合、イベント事や実店舗での買い物の節約よりも、ネットショッピングやゲーム課金を控える、などといった節約がメインであるとも考えられそうだ。

マスク着用自由化も「着用継続」が大半

2023年3月13日に、マスクの着用は原則、個人の自由となった。3月13日より以前に比べて、3月13日以降のマスク着用者は全体で10ポイント程度減るものの、多くの人がマスク着用を継続している。年代別で見ると、男性の60代が最もマスク着用をやめる割合が多い。この年代がマスクへの抵抗感が最も強かった年代だったと推察される。

3月13日以前/以降の、各性別・年代別のマスク着用傾向(色の薄い棒グラフが3月13日以前。色の濃い棒グラフが3月13日以降)
3月13日以前/以降の、各性別・年代別のマスク着用傾向(色の薄い棒グラフが3月13日以前。色の濃い棒グラフが3月13日以降)

外出は若者ほど“ためらう”傾向

3月13日になってからの、「外出する」に関する気持ちを調査したところ、外出をためらわない回答が7割程度に達しているものの、3割程度は積極的な外出は控えたい意向がある。特に、年齢が若いほど外出をためらう人が多い。ネオマーケティングは「若い人ほど“インドア慣れ”が進んでいるものと考えることができる」と分析している。

花粉アレルギーの調査対象者は、花粉の時期が過ぎた後の外出について回答した。

マスクの着用が個人の自由になってからの、外出することに対する気持ち
マスクの着用が個人の自由になってからの、外出することに対する気持ち

60代女性を筆頭に“「国内旅行」「外食」を増やしたい”意向も、物価上昇で財布のひもが固い派も3割

3月13日以降の外出で「外出することをためらわない」または「外出することをあまりためらわない」と回答した人に対し、「3月13日以降実施する回数を増やそうと思う項目」を調査したところ、60代女性を筆頭に国内旅行や外食を増やそうというマインドの人がいるものの、全体の3割程度は何かを増やす気持ちがないようだ。ネオマーケティングは「昨今の物価上昇などが影響し、財布のひもがきつくなっていることが要因となっている可能性がある」と指摘している。

実施回数や参加する回数を増やそうと思っている項目
実施回数や参加する回数を増やそうと思っている項目

「5類」移行後もマスク着用は継続派が多数

2023年5月8日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、従来の「2類相当」から「5類」に移行した。

新型コロナウイルスが「5類」に移行した後の、外出時のマスク着用の意向を調査したところ、「5類」移行後であっても、マスクを着用しないという人は極少数で、頻度にばらつきはあるもののほとんどがマスクを着用し続ける意向であることがわかった。

コロナ「5類」移行後のマスク着用について
コロナ「5類」移行後のマスク着用について

消費を抑えるために外出をためらう?

3月13日以降の外出について「外出することをためらう」または「外出することをややためらう」と回答した人に対し、新型コロナウイルスが「5類」に移行した後の、「外出する」ことに対する気持ちを調査した。

調査結果を見ると、「5類」移行後も、外出自体をためらう人が多いようだ。このことから、「5類」への移行が活動・消費マインドに影響するとは考えにくい。

「外出をためらうのは消費を抑えるため」と考えれば、昨今の物価高騰の影響が大きいものと推察される。

「5類」移行後の外出に対する気持ち
「5類」移行後の外出に対する気持ち

調査概要

  • 調査方法:ネオマーケティングの自社アンケートサイト「アイリサーチ」にてWEBアンケート方式で実施(人口構成比に基づいてウェイトバック集計)
  • 調査対象:「アイリサーチ」登録モニターのうち、全国の20歳以上69歳以下の男女
  • 有効回答数:1000人
  • 調査実施日:2023年3月14日(火)~2023年3月15日(水)
高野 真維

Googleのアップデート情報&ヤッホーブルーイングの事例に学ぶこれからのSEO施策に重要なポイント | 酒匂氏が語る「コンテンツSEO」の極意

2 years 6ヶ月 ago
ユウキノイン代表取締役の酒匂雄二氏が、Googleが発表した情報やヤッホーブルーイングの施策から感じた“これからのSEO施策のポイント”について解説します

目まぐるしく状況が変化する環境下で、ECを実施している事業者はSEO施策として何に取り組むべきなのか。Googleの発表やヤッホーブルーイングの事例を踏まえながら、解説していきます。

Googleの「ヘルプフルコンテンツアップデート」と「E-E-A-T」

人工知能(AI)ツール「ChatGPT」の話題が高まっていた2022年12月。Googleは矢継ぎ早に複数のアップデートを発表しました。

1つ目は2022年12月7日(日本時間)にツイートがあった「ヘルプフルコンテンツアップデート」です。

概要はGoogleのブログにある通りですが、「有用で信頼できるユーザー第一のコンテンツを作成すること」とあります。検索順位だけを取りに行くようなGoogleを意識したコンテンツではなく、ユーザーが見て役立つ情報を提供してほしい旨が書かれています。

ユーザーにとって有益ではないと判断されたコンテンツだけではなく、そのようなページが多く含まれたサイトもマイナスの影響を受けてしまいます。年末年始から検索順位が下落傾向にある事業者は、コンテンツ内容をぜひ見直してください。(【参考】Google検索セントラルブログ:Googleヘルプフルコンテンツシステムとウェブサイト

2つ目は、2022年12月16日(日本時間)にTwitterで発表された、これまでの「検索品質評価ガイドライン」に「E-E-A-T」という新しい概念の追加です。

General Guidelines(Google検索結果評価ガイドライン)」によると、これまで並列関係だった「E-A-T」から、「E:Expertise(専門性)」「A:Authoritativeness(権威性)」「E:Experience(経験)」の上に「T:Trust(信頼性)」が成り立つという関係図が示されています。

  • Expertise(専門性)
  • Authoritativeness(権威性)
  • Trustworthiness(信頼性)→ Trust(信頼性)
  • Experience(経験)
SEO Google 検索品質評価ガイドラインに追加された「E-E-A-T」の概念図
検索品質評価ガイドラインに追加された「E-E-A-T」の概念図

「誰が、どのように、なぜ」を示すことが重要

2つの発表と「E-E-A-T」の図解を見て感じたことは、これは先述のAIを活用したチャットボットのようなツールを意識したものではないかということです。

検索エンジン「Bing」に搭載されたAIや「ChatGPT」はとても優秀だと感じることが多々ありますが、AIツールと人間の作成するコンテンツの大きな違いは、「経験」だと考えています。

「YouTube」でよく見かける「やってみた系」動画はその典型でしょう。「食べてみた」「作ってみた」「着てみた」「行ってみた」など、動画作成者の経験に基づくコンテンツは、「ヘルプフル」「お役立ちコンテンツ」と言えます

コンテンツ作成の効率化といった面ではAIツールが便利だと言えますが、誰もが気軽に使えるツールの氾濫によって、「コンテンツのどんぐりの背比べ」状態を招きかねません。一定レベルのコンテンツが増えていくと、ユーザーは自ずと「E-E-A-T」を求めるようになるのではないでしょうか

Googleも「AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス」「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」を立て続けに公開し、今後のコンテンツ作成の指針を示しています。

コンテンツの作り手であるEC事業者と、買い手であるユーザー双方において、「誰が」「どのように」「なぜ」そのコンテンツを作成したのかが、これからのSEO施策、コンテンツマーケティングで心がけていきたいポイントです。

ヤッホーブルーイングに学ぶ“ちょっとだけ先回り”の最適化

私が代表を務めるユウキノインのオフィスがある大阪は「食い倒れの街」とも言われますが、飲食店街はコロナ禍で相当のダメージを受けました。食材卸しを主業としている企業からのEC参入の相談もとても多かったです。

2025年に万博が行われる大阪では、2022年12月に「大阪フードビジネスの反撃!」と題したイベントが実施されました。

初回は、筆者が“エア社員”としてSEOやコンテンツマーケティングを支援しているヤッホーブルーイングと、大阪府のクラフトビールの知名度向上および需要拡大を図ることを目的として立ち上げられた「大阪ブルワーズアソシエーション(OBA)」と、コロナ禍以降を見据えたトークセッションを行いました。

SEO Googleトレンド 大阪で行われたイベント「大阪フードビジネスの反撃」のようす
大阪で行われたイベントのようす

質疑応答も盛んに行われ、「受け身ではなく攻めの姿勢で臨まないと未来はやって来ない」という危機感、決意、希望、熱気を感じる会になりました。そんなイベントのなかで、筆者がとても印象に残っている事例をご紹介します。

先駆けた取り組み・コンテンツが自社の認知につながる

19年連続増収増益を果たすなど、熱量の高いファンに支持されるヤッホーブルーイングは、ファンマーケティングで成功した企業として取り上げられることも多くあります。その一例を見てみましょう。

2020年3月18日、ヤッホーブルーイングはスタッフでオンライン飲み会を行ったことをツイートしています。その実験的試みを経て、同年3月27日にファンとのオンライン飲み会を実施。その取り組みはニュース番組でも何度か取り上げられました。

下の図は「オンライン飲み」「ZOOM飲み」「リモート飲み」のGoogleトレンドです。ヤッホーブルーイングがオンライン飲み会を実施した直後の3月最終週に、検索数が急増しています。

SEO Googleトレンド 予測 推移 オンライン飲み ZOOM飲み リモート飲み
「Googleトレンド」における「オンライン飲み」「Zoom飲み」「リモート飲み」の推移

このイベントを告知したブログは「オンライン飲み会」という検索ワードで、しばらくの間検索1位になっていました。

SEO Googleトレンド 予測 推移 オンライン飲み ヤッホーブルーイング
ヤッホーブルーイングが告知したオンライン飲み会(画像は「よなよなの里」サイトより)

その後オンライン飲み会が定着していくなかでコンテンツも激増していき、1位の座を明け渡すことになります。しかし、世になかったもの、一般的ではないものを先駆けてコンテンツ化していくことで、企業や商品の認知拡大にもつながる、という重要さを感じた取り組みでした。

今後のSEOのポイントは、「ちょっと先回り」「唯一無二」のコンテンツ

これまでの3年間と、これからの何年かはまるで別物になっていくことでしょう。もはや「元に戻る」ではなく「新しくなる」と捉えていくことが必要ではないでしょうか。

「かもしれない」という考えを持ち、商品ラインアップの変更、仕入れの強化などを想定した施策の重要性が増していくのではないかと考えています。ざっと思い当たるだけでも、

  • 音楽、スポーツイベントが増えていくことによる観覧・観戦グッズ、各種スポーツ用品
  • 冠婚葬祭の通常開催による贈答用品やブライダル、フォーマル用品
  • 旅行・観光の増加によるトラベルグッズ・携行品

などは需要が高まりそうだと予測しています。

新しく生まれるあらゆるシーンで、「自社の商品・サービスはどのようにユーザーの役に立つのか」を考えていくことが必要です。

まだ見ぬ未来と、そこで出会うユーザーに向けて少しだけ先回りをする。「こういうものを探している」と検索の旅に出たユーザーが見つけやすいように、みなさんのお店の売り場を最適化しておくことこそ、これからのSEO施策では重要になるのではないかと思っています。

また、自社の商材やサービスの経験や知識に基づいた、独創的で唯一無二経験のコンテンツを提供していくこと、それこそがECサイトを健やかに運営していくカギになるのではないでしょうか。みなさんのお店の商売繁盛を心から祈念しています。

酒匂 雄二

eBay Japanがオンラインの「Qoo10大学」開校。「Qoo10」で売り上げを伸ばすためのノウハウ、事例を無料配信

2 years 6ヶ月 ago

ECモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは、「Qoo10」での売り方を学べるオンラインのプラットフォーム「Qoo10大学」を5月に開校した。

「Qoo10大学」は出店者サポートの一環。ECについての理解を深め、ECビジネスの拡大につながるサポートを提供する。

eBay Japanがオンライン上で“開校”した「Qoo10大学」
eBay Japanがオンライン上で“開校”した「Qoo10大学」

EC運営の初心者から実績のある人まで、幅広く学べる内容を配信

動画や記事の配信を通じて、「Qoo10」での販売に必要な情報を得ることができるWebコンテンツを展開。ECサイト運営の初心者から、運営実績のある事業者まで、経験値や目的に合わせた販売のコツやツール・機能の使い方を習得できるという。

「Qoo10大学」の目的とサイト構成(画像は記者説明会の発表資料から編集部がキャプチャ)
「Qoo10大学」の目的とサイト構成

配信する動画は、事前にライブ配信するセミナーを編集したもの。出店者の成功事例などを多く取り上げていく。

「Qoo10」の出店者は、ライブ配信するセミナーの申し込みを「Qoo10大学」からすることもできる。生配信中に「Qoo10」の社員に不明点を質問し、回答を得ることも可能。eBay Japan Seller Growth 本部長の新井秀樹氏は「週に1回ぐらい生配信していきたい」と話している。

「Qoo10」に出店登録すれば無料で利用できる。

ウェビナーの開催、動画配信、記事配信などを行う(画像は記者説明会の発表資料から編集部がキャプチャ)
ウェビナーの開催、動画配信、記事配信などを行う(画像は記者説明会の発表資料から編集部がキャプチャ)

日本のECをもっと活性化させたいという思いで「Qoo10大学」を立ち上げました。日本のEC化率は韓国に比べるとまだまだ低いが、伸びしろが大きいとも言えます。日本のEC市場を盛り上げていくために、モールに出店している販売事業者のサポートを強化していきたいと考えています。

eBay Japan Seller Growth本部長 新井秀樹氏
eBay Japan Seller Growth本部長 新井秀樹氏

「Qoo10大学」概要

  • 公開日:2023年5月
  • 内容:
    • 「Qoo10」での売り方がわかる動画、記事の配信、セミナーの申し込み
    • 「『Qoo10』出店者の声」の配信

セミナーの申し込みや「NEWS」「セミナー情報」の詳細確認には、出店登録が必須。出店に関する初期費用・月額固定費は無料。

高野 真維

「北欧、暮らしの道具店」のクラシコム青木社長など登壇のECセミナー「COLOR ME SHOP DAY 2023」【6/7+8開催】

2 years 6ヶ月 ago

GMOペパボは、ネットショップ運営者を対象にしたオンライン無料イベント「COLOR ME SHOP DAY 2023」を2023年6月7日(水)、8日(木)に開催する。

「COLOR ME SHOP DAY 2023」では、「北欧、暮らしの道具店」のクラシコム、HONE、LIG編集長といったECの有識者が登壇。地方ECマーケティング、コンテンツマーケティング、EC業界の現状&未来などについてトークセッションを行う。参加費は無料で、現在参加申し込みを受け付けている。

ネットショップを成長へ導く これからの地方ECマーケティング

HONE 代表取締役 桜井貴斗 氏、GMOペパボ EC事業部ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏(11:05~11:55)

GMOペパボ カラーミーショップ オンラインイベント COLOR ME SHOP DAY 2023
(画像は「カラーミーショップ」のサイトからキャプチャ)

地方発の企業・ブランドが日本全国に向けて自社商品を届けるには、ネットショップが強力な味方と言える。

セッションでは、その成功に欠かせないマーケティング戦略を提案。さらに、地方企業・ブランドが実際にどのように取り組むべきなのか、静岡県を拠点に活躍するマーケター・桜井氏が具体的なアドバイスを行う。

  • 地方企業のマーケティング支援事例
  • ネットショップ成功のためにショップオーナーが取り組むべき戦略
  • マーケティング戦略の重要性は今後どのように変化する?
  • テクノロジーの進化によるマーケティング手法の変化

ネットショップにどれくらい重要? コンテンツマーケティングのあれこれ

nano color 代表取締役 川端康介氏、LIG マーケター/LIGブログ編集長 齊藤麻子氏、GMOペパボ EC事業部ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏(12:05~13:10)

GMOペパボ カラーミーショップ オンラインイベント COLOR ME SHOP DAY 2023
(画像は「カラーミーショップ」のサイトからキャプチャ)

ネットショップが増加している昨今、単純に商品ページを作成しただけでは購入につながらないケースも増えてきた。「このお店だから買いたい」とユーザーに思ってもらうためには、商品の魅力やこだわりを伝えるコンテンツの作成が重要になる。

セッションでは、デザイナーとマーケター双方の視点から、魅力的なコンテンツを作るのに必要な要素について、AIによるライティングや分析・デザインなどが登場によって変化していく「コンテンツのあり方」について、nanocolorの川端氏、LIGブログ編集長の齊藤氏が議論する。

『北欧、暮らしの道具店』青木耕平氏と考える、ECの未来と成功の鍵

クラシコム代表取締役社長 青木耕平氏、GMOペパボ 執行役員 兼 EC事業部部長 寺井秀明氏(13:20~14:25)

GMOペパボ カラーミーショップ オンラインイベント COLOR ME SHOP DAY 2023
(画像は「カラーミーショップ」のサイトからキャプチャ)

2日間の最後を飾るのは、「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコム・青木耕平氏とのトークセッション。

2007年にオープンし、2014年に「カラーミーショップ大賞」初代大賞を受賞。映像制作やアプリ開発など、ECサイトとしては珍しい施策にも次々と挑戦するなか、2022年には上場を果たすなど、着実な成長を続けている。開店から16年、業界の絶え間ない変化を常に見つめてきた青木氏が、「北欧、暮らしの道具店」成功の秘訣、EC業界の現状・未来などを語る。

  • 「北欧、暮らしの道具店」成功の秘訣
  • 青木氏が考えるEC業界の現状・未来
  • EC事業者へのエールとアドバイス

「COLOR ME SHOP DAY 2023」について

藤田遥

ヤマト運輸と佐川急便の荷物の配送、全国的に遅延が発生中【台風2号の影響】

2 years 6ヶ月 ago

関東甲信越、東海、近畿、北陸、四国地域で発生した線状降水帯に伴う広い範囲での記録的な豪雨の影響についてヤマト運輸と佐川急便は6月3日、主要高速道路や幹線道路の通行止めなどの交通規制が発生し、荷物の配送に遅延が生じていると公表した。

ヤマト運輸は詳細な集配状況を公表。河川の氾濫や土砂災害の影響で、一部地域では集配が困難になっているという。また、以下の地域では大幅な遅延が発生しているとした。

  • 全国 ⇔ 関東甲信越地域(東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県、長野県)
  • 全国 ⇔ 東海地域(静岡県、愛知県、三重県)
  • 全国 ⇔ 近畿地域(大阪府、滋賀県、京都府、奈良県、和歌山県、兵庫県)
  • 全国 ⇔ 北陸地域(福井県)
  • 全国 ⇔ 四国地域(香川県、徳島県、高知県、愛媛県)
瀧川 正実
確認済み
40 分 53 秒 ago
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