ネットショップ担当者フォーラム

実店舗とECサイトの顧客情報を一元管理、「Shopify」との連携――「STORES ブランドアプリ」の特徴やめざす未来とは

2 years 7ヶ月 ago
STORES が提供する店舗アプリ作成サービス「STORES ブランドアプリ」。機能の特徴や2022年12月から開始した「Shopify」との連携理由などをSTORES の内田皓大氏に取材した

STORESの店舗アプリ作成サービス「STORES ブランドアプリ」は、店舗独自のアプリ作成のほか、実店舗のPOSレジとECサイトの顧客情報連携など、事業者のオムニチャネルマーケティングの実現も支援する。2022年12月には「Shopify」と連携し、「Shopify」を使う事業者は「STORES ブランドアプリ」を使って、モバイルアプリを立ち上げることができるようになった。数あるECサイト構築プラットフォームのなかから「Shopify」と連携した理由、「STORES ブランドアプリ」の強みや特徴などをSTORESの内田皓大氏(STORES CRM事業部門長)に聞いた。

OMOの高まりを受け「STORES ブランドアプリ」をリリース

「STORES ブランドアプリ」は、ユーザーの利用頻度が高く、実店舗とネットショップを運営している比較的規模の大きな飲食店・小売店を中心に導入されている。アプリ作成のほか、実店舗のPOSレジとネットショップの連携による顧客情報の一元管理、CRMなどの機能がある。

STORES STORESブランドアプリ オムニチャネル OMO アプリ作成
STORES が提供する「STORES ブランドアプリ」

サービス提供に至った経緯について、内田氏は「顧客管理、顧客コミュニケーションにおけるOMOのトレンドが高まるなか、その観点に対する価値貢献をするプロダクトが必要になった」と話す。

新型コロナウイルスの感染拡大により店舗のデジタル化が急速に進み、物販のEC化率が高まったことで、ユーザーが実店舗とネットショップを併用・使い分けるユーザーも増えてくるとSTORESは予想。そうした状況において、実店舗とネットショップのユーザー情報の統合管理、管理した情報を元にした最適なマーケティング、ユーザーとのコミュニケーションなどが事業者にとって大きな課題になっていると考えていた。

また、ユーザーの行動が多様化、SNSの発展などにより多くの情報を得られるようになったことで、事業者はユーザーの情報を正しく取得できないと、興味・関心のない情報を送ってしまい、ブランド・店舗への愛着を薄れさせる可能性がある

実店舗とネットショップを、顧客管理、顧客コミュニケーションの観点で両立をしていくことを支援するサービスとして、「STORES ブランドアプリ」のようなものがあると望ましいと考えた。(内田氏)

STORES CRM事業部門長 内田皓大氏
STORES CRM事業部門長 内田皓大氏

「STORES ブランドアプリ」提供からまもなく1年が経つが、導入企業数は順調に増加、企業からは「こういうサービスを求めていた」といった声が寄せられているという。

導入企業の1つである、台湾生まれのハーバルケアブランド「阿原YUAN(ユアン)」は、日本公式アプリを「STORES ブランドアプリ」で構築した。

導入以前もアプリを運用していたが、実店舗で取得できる顧客情報は来店日時・回数のみで、購入商品の情報が取得できなかった。また、実店舗とネットショップの顧客情報を別々に管理していたため、毎日1時間ほど両者の顧客情報の紐付けを手動で行わなければならないという課題を抱えていた。

こうした課題を解決するため「STORES ブランドアプリ」を導入。実店舗とネットショップの顧客情報を一元管理できるようになったことで、作業負荷の軽減、効率化につながった。また、どういったユーザーがいつ・どこで・何を買ったのかを細かく把握できるようになり、ユーザー1人ひとりに合わせたコミュニケーション施策をスムーズに打てるようになったという。

STORES STORES ブランドアプリ YUAN ユアンの日本公式アプリ
「阿原YUAN (ユアン)」の日本公式アプリ(画像提供:STORES )

複数のアプリケーション導入が不要。手間やコストをかけずにオムニチャネル化を実現

アプリを構築するサービスは多くあるが、他社との差別化ポイントについて、内田氏は「始めからオムニチャネルを前提にプロダクトを設計していること」と話す。

「STORES ブランドアプリ」にはアプリ構築機能だけでなく、実店舗とネットショップを連携し、顧客情報を一元管理する機能を搭載。統合した情報を活用・分析した施策を実施できるという。また、ポイントや会員ランク制度といったロイヤリティプログラムや、ロイヤリティや属性・購買情報などのセグメントを活用したプッシュ通知機能を実装している。

STORES STORES ブランドアプリの仕組みについて OMO オムニチャネル アプリ作成 顧客情報の一元管理
「STORES ブランドアプリ」の仕組みについて

「STORES ブランドアプリ」1つあれば、CRM(顧客管理)やマーケティングツールなど複数のアプリケーション・ソフトウェアを導入しなくて済むため、コストを抑えることができる。また、企業とやりとりをする窓口が1つになるので、事業者の負荷軽減にもつながると考えている。(内田氏)

「Shopify」移行後の企業も継続して支援していく

2022年12月から「Shopify」との連携をスタート。多くのECサイト構築プラットフォームのなかから「Shopify」を選んだ理由について、内田氏は「『STORES ブランドアプリ』は、ネットショップのなかでも比較的規模の大きい事業者に対する価値貢献をめざしているプロダクト」であることをあげた。

よりオムニチャネルの課題が顕在化している事業者がネットショップ開設時に「Shopify」を選ぶケースが多く、「Shopify」との連携は合理的だと判断し、最初の連携先に選んだ。

また、元々「STORES」を利用してネットショップを構築していた事業者が、成長に合わせて「Shopify」に移行するケースもある。「移行後もSTORES のプロダクトを継続的に利用してもらい、事業者の支援をするという観点からも『Shopify』を選んだ」(内田氏)。

「1顧客1ID」を実現。ユーザーの体験価値向上にも寄与

連携により、事業者にとってどのようなメリットがあるのか見ていく。

1つ目は「Shopify」を利用している事業者は「STORES ブランドアプリ」を利用できるようになり、ネットショップが内製されたモバイルアプリを簡単に作れるようになることだ。こうしたアプリを構築することで、ECサイトのアカウントでアプリにもログインできる「1顧客1ID」を実現、ユーザーの体験価値向上につなげているという。

2つ目はロイヤリティプログラム。同サービスは、実店舗とネットショップの購入金額と利用回数を集計し、ユーザーのランクやポイント付与に反映する設計になっている。「この機能を活用することで、ブランドの世界観をより作っていくことを支援できるのではないか」(内田氏)。

3つ目は実店舗のPOSレジとの連携が容易であること。現在、「Shopify」と標準連携できるPOSは限られている。しかし、同サービスはどんなPOSとも連携が可能。同サービスを「Shopify」とPOSのハブとして機能させることで、ECと店舗の顧客情報の統合が簡単に実現できる。つまりオムニチャネルの顧客管理・活用を実現する上で、事業者がPOSを切り替えたり他のアプリケーションを導入したりする必要がない

「Shopify」で使用できるアプリを提供している企業は海外企業も多く、英語でのやりとりやサポートを十分に受けられないケースもある。こうしたなかで日本品質のサービスを提供できるという強みもあるという。

STORES はネットショップだけでなく、予約サービス、決済、POSレジなど事業者のデジタル化を支援するソフトウェアを多岐にわたって提供している。アプリ以外の運営に必要な知見・ノウハウがあるので、事業者をさまざまな面で支援する体制が整っていることも大きい。(内田氏)

「STORES」との連携、UI・UXのバリエーション拡大などをめざす

今後は、同社が提供するネットショップ構築サービス「STORES」、POSレジアプリ「STORES レジ」と「STORES ブランドアプリ」の連携を進めていく予定だ。

また、UI・UXのバリエーション拡大、管理画面のブラッシュアップ、ポイントやロイヤリティプログラムの柔軟性向上をめざしていくという。

アプリは店舗の顔になる。そこを通じて事業者がユーザーにより最適な情報を伝えていくことを考えると、各社に合わせた工夫や世界観の再現が求められると考えている。(内田氏)

藤田遥

AI活用、越境EC、地方ECマーケティング戦略などテーマのオンラインセミナー「COLOR ME SHOP DAY 2023」【6/7(水)+8(木)オンライン開催】

2 years 7ヶ月 ago

GMOペパボは、ネットショップ運営者を対象にしたオンライン無料イベント「COLOR ME SHOP DAY 2023」を2023年6月7日(水)、8日(木)に開催する。

「COLOR ME SHOP DAY 2023」では、ECに関連する各分野の有識者を招き、AI活用、越境EC、地方ECマーケティング戦略などテーマにしたトークセッションを行う。5月9日(火)から参加申込みの受付を開始した。

1日目セッション

  • 「EC業界のプロが語り合う!最新トレンドとAI活用の可能性」
    (インプレス ネットショップ担当者フォーラム編集長 瀧川正実、GMOペパボ 執行役員 兼 EC事業部部長 寺井秀明氏)

国内・海外のECの市場の違いやトレンド、AI技術の参入状況などを解説。今後さらに加速していくEC市場の変化と未来について語る。

  • 「越境EC成功の秘訣は?国境を超えた商品販売のための成功戦略」
    (世界へボカン 代表取締役 徳田祐希氏、GMOペパボ EC事業部ECグループ マネージャー 和田真人氏)

実際に海外向けの販売を行っている事業者のリアルな声や課題を取り上げながら、2023年現在の越境EC市場のトレンドや、今後予測される未来などについて専門家とともに考える。

  • 「今更聞けない!小川卓氏に教わる GA4の基本とおすすめのEC分析方法」
    (Faber Company 取締役 Chief Analytics Officer 小川卓氏、GMOペパボ EC事業部ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏)

「ユニバーサル アナリティクス(UA)」サービス終了に伴う「Google Analytics 4(GA4)」への移行がネットショップ運営に与える影響はどれほどなのか、今後どういったアクセス解析が必要となっていくのかを考える。

2日目セッション

  • 「ネットショップを成長へ導く これからの地方ECマーケティング」
    (HONE 代表取締役 桜井貴斗氏、GMOペパボ EC事業部ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏)

地方発の企業・ブランドが日本全国に向けて自社商品を届けるため、ネットショップ成功に欠かせないマーケティング戦略を提案。地方企業・ブランドが実際にどのように取り組むべきなのかを解説する。

  • 「ネットショップにどれくらい重要?コンテンツマーケティングのあれこれ」
    (nano color 代表取締役 川端康介氏、LIG マーケター/LIGブログ編集長 齊藤麻子氏)

デザイナーとマーケター双方の視点から、魅力的なコンテンツを作るために必要な要素について意見を聞く。AIによるライティングや分析・デザインなどの登場によって変化していく「コンテンツのあり方」についても議論する。

  • 「『北欧、暮らしの道具店』青木耕平氏と考える、ECの未来と成功の鍵」
    (クラシコム 代表取締役社長 青木耕平氏、GMOペパボ 執行役員 兼 EC事業部部長 寺井秀明氏)

映像制作、アプリ開発など、ECサイトとしては珍しい施策にも次々と挑戦し、2022年に上場を果たした「北欧、暮らしの道具店」。開店から16年、業界の絶え間ない変化を常に見つめてきた青木氏が考えるECの未来とは。

「COLOR ME SHOP DAY 2023」について

藤田遥

【G7広島サミットの配送状況】配達の遅延が発生する見込み。ヤマト運輸、日本郵便、佐川急便の配送対応まとめ

2 years 7ヶ月 ago

広島県で実施される「G7サミット(主要国首脳会議)」により、会場となる広島県内の高速道路などでは大規模な交通規制、警戒警備が行われる。そのため、5月18日(木)から5月22日(月)にかけて、広島県や山口県の一部を発着とした荷物の配送に遅延が生じる可能性がある。ヤマト運輸、日本郵便、佐川急便の配送対応をまとめた。

ヤマト運輸

全国から広島県全域(特に広島市中区、東区、南区、西区)、山口県岩国市、玖珂郡和木町に送る荷物は遅延了承で受け付ける。なお、広島市南区元宇品・宇品海岸、廿日市市宮島町は「時間帯指定」「タイムサービス」を受け付けないとしている。

また、対象地域から全国に送る荷物も遅延了承での受け付けとなる。

日本郵便

広島県、山口県で引き受けて全国に配送、および両県に向けて送る郵便物、ゆうパックなど(カタログ販売商品含む)の配送に遅れが発生する見込み。

また、対象地域内のサミット関連施設宛の郵便物、ゆうパックなどについては、対象期間を含めた5月12日(金)から5月24日(水)にかけて、配送に遅れが発生する見込みとしている。

佐川急便

広島県の広島市、呉市、江田島市、廿日市市、大竹市、山県郡、東広島市、安芸郡に送る荷物、もしくはその地域で引き受ける荷物の配送に遅延が生じる可能性がある。

また、山口県全域も交通規制の影響で遅れが生じる場合があるとしている。

飛脚ジャストタイム便、指定日配達サービス、時間帯指定サービス、必着のある飛脚クール便(冷蔵・冷凍)の受け付けを中止するとしている。

瀧川 正実

ニトリの通販・EC売上高は28.3%増の921億円、EC化率は11.2%【2023年3月期】

2 years 7ヶ月 ago

ニトリホールディングスが発表したニトリの2023年3月期における国内通販事業の売上高は、前期比28.3%増の911億円だった。海外を含む通販事業売上高は921億円で同28.8%増。
ニトリ事業の売上高は同21.0%増の8217億円で、EC化率は11.2%。

ニトリホールディングスが発表したニトリの2023年3月期における国内通販事業の売上高は、前期比28.3%増の911億円
ニトリ事業の売上高について(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ニトリが注力しているのはライブコマース。2023年3月期において、ライブコマース配信数は86回に達し、視聴者数は累計260万人を突破した。

「インスタライブ」に加え「ニトリLIVE」をECサイト「ニトリネット」内に設置し、週2回の配信を実施。「ニトリLIVE」ではクーポンの配布を行うなど、消費者との接点拡大を進めている。

ニトリホールディングスが発表したニトリの2023年3月期における国内通販事業の売上高推移
国内通販事業について(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

また、自宅で窓まわりの商品購入に関する相談ができる「カーテンオンライン相談サービス」を開始。2022年11月に始めた「お部屋deコーディネート」など、消費者との関係性強化に力を入れている。

2023年3月期末のアプリ会員数は、同21.8%増の1601万人。ニトリアプリの刷新や機能の追加など、顧客の買い物利便性向上を図った。

ニトリホールディングスが発表したニトリの2023年3月期 アプリ会員数などについて
アプリ会員について(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

2024年3月期末のアプリ会員数は、同18.7%増となる1900万人を計画。通販事業においては、ライブコマースの人員数を増加して配信を強化する。

客数対策としてテレビやSNSの広告を強化。ニトリアプリの機能をアップデートして、アプリ会員数の拡大を図る。ネット限定商品の拡大、ライブコマースの配信強化で、通販事業の新規顧客開拓を促進する。

なお、島忠事業における2023年3月期の通販売上高は9億9100万円。ニトリグループ全体の通販売上高は931億8300万円。

石居 岳

【楽天店舗必見】「楽天SKUプロジェクト」に対応できていますか? 新たな店舗管理のポイントまとめ | 「ECタイムズ」ダイジェスト

2 years 7ヶ月 ago
2023年4月から順次実施されている「楽天SKUプロジェクト」。「楽天市場」の仕様変更と店舗管理の見直しのポイントを解説する

2023年の春も終盤に差し掛かりますが、皆さん花粉症は大丈夫ですか? そんな季節の変わり目にEC業界でも大きな節目を迎えました。

その節目とは......“楽天SKUプロジェクト”の始動です! 「ラクテンエスケーユー?」なんて思った方はいませんよね。2022年8月の「楽天EXPO2022」にて発表され、2023年4月から順次実施されている「楽天SKUプロジェクト」です。

今、「楽天市場」は大幅な仕様変更と内部の店舗管理の見直しの時期。今回の記事は「楽天市場」でショップを運営している事業者に向けて、「『楽天SKUプロジェクト』について知りたい」「プロジェクト開始にあたって何をしなくてはいけないのかを知りたい」という要望に応えます!

ECタイムズ 楽天SKUプロジェクト 解説

そもそも「楽天SKUプロジェクト」とは?

“SKU”とはユーザーが商品を購入し、その通りに業者が在庫からその商品を引っ張り出してくるときの単位のことです。

目的としては、出品されている商品の管理を一元化し、効率的な在庫管理を行うことで、在庫の過剰や不足を防止し、顧客に迅速かつ正確なサービスを提供するなどがあげられます。

さらにかみ砕いてユーザー視点から説明します。

一度、EC/通信販売を離れて、リアルの世界の帽子屋に場所を移します。たとえば、スーパーマーケットを訪れたあなた(お客さん)は、帽子を買うことにしています。

この時、従来のシステムの場合、「帽子」という商品が色やサイズ別(あるいは数量別)に違う棚に陳列されています。ものによってはすごく離れた棚にあります。これではあなたに最適な帽子を探しづらくなってしまいます。一つ当たりの価格も比較しづらいですよね。

では、新しいシステムではどうでしょうか。「帽子」という商品が一つの大きな棚にまとめて陳列してあります。そして、すべての値段のタグには一つ当たりの価格が記載されています。さまざまなサイズ、色が一目でわかります。従来のシステムよりも在庫の管理もしやすく、お客さんにとってもわかりやすくありませんか?

アイテムごとに、一つの商品ページにSKUがまとめられるようになった
アイテムごとに、一つの商品ページにSKUがまとめられるようになった

これを「楽天市場」に置き換えると、従来のシステムでは商品のサイズ別、数量別、色別に商品ページ(棚)がありました。ユーザーからすれば、同じ商品なのに複数の商品ページがあって煩雑な印象を受けます。

しかし、「楽天SKUプロジェクト」における新しいシステムでは、一つの商品ページにさまざまなサイズ、数量、色のSKUがまとめられています

※過度にかみ砕いた説明ですので、厳密には誤っている箇所がある可能性もございますが、どうか寛容な目で見ていただけますと幸いです。

SKU単位の商品登録・保持でUI向上を後押し

目的の商品を見つけやすく、購入しやすくなったと先ほど述べたとおり、SKUプロジェクトによってUI(User Interface)は向上すると思われます。今まで分かれていた商品ページが統合・集約され、よりまとまりのある構成となりました。

商品の登録・保持をSKU単位で行うことによって商品の探しやすさや選びやすさを改善する目的があると言えます。

店舗運営者は移行作業が必須

では、EC店舗運営者にとって同プロジェクトの影響はプラスに働くのでしょうか?

公式の発表では、今回の仕様変更に対して各店舗が対応を強いられることはないようです。一方で、ユーザーの利便性を考慮して対応を推奨しているという状況です。

各店舗に新システムへの移行日時が通知されているはずですので、その日までに外部連携システムの移行作業、商品登録の移行作業などを進めることが必要です。店舗によっては一時的に業務が増える可能性はありますが、新仕様の商品ページを充実させることでユーザーのUIや回遊率の向上が期待されます。

まとめると、圧倒的にピンチではなく、正しく対応することでこれまで以上の店舗運営を実現できると思います。

しかし、一つ注意しなければならないのは、楽天SEOアルゴリズムが変更された場合です。
この点も含めて、具体的な変更点や対応策を以降の章で解説します!

「楽天SKU」で何が変わった? ポイントまとめ

ここからは「商品を購入して在庫を管理するときの単位が変わったよー」という点のほかに何が変更したのかを解説します!

商品ページのUI、レビュー表示、商品登録の仕方など「楽天SKU」にひもづく変化は多岐にわたる
商品ページのUI、レビュー表示、商品登録の仕方など「楽天SKU」にひもづく変化は多岐にわたる

主な変更点には以下のようなものがあります。

①商品ページが変わる

これまで「楽天市場」では、同じ商品でも数量、サイズ、色などが異なっていれば、別々の商品ページで表示されていました。ですが、同じ商品ならタイプによらず一つの商品ページで表示され、入れ子となる形で各SKUがまとめて表示されるようになりました。

入れ子の形で各SKUがまとめて表示される(参考:楽天店舗運営Navi)
入れ子の形で各SKUがまとめて表示される(参考:楽天店舗運営Navi)

ここで一つ注視しなければならないことがあります。それは「一つの商品ページにまとめられた商品の元々の商品ページはどうなるのか?」という点です。

もし、旧式のページがそのまま残っていた場合、新式の商品ページに加え、旧式のページからも購入操作ができてしまうかもしれません。これではユーザー側に混乱を招き店舗運営者への問い合わせが増えてしまうというリスクがあります。

再度、新仕様への移行時に旧式のページは自動的に無効となるのか、手動での購入停止設定を行う必要があるのか確認しておく必要があります!

②レビューが変わる

商品への感想や評価をユーザーが書き込むレビューも変更があります。

これまでは同じ商品でも商品ページが違えば、別々のレビュー欄が用意されていました。たとえば、あるジュースの商品の場合、500ミリリットル入りと2リットル入りはそれぞれ別々の商品ページで、別々のレビュー欄が存在します。

しかし、「楽天SKUプロジェクト」以降は、一つにまとめられた商品ページにレビューが集約されるようになります。つまり、500ミリリットルも2リットルも関係なく一つのレビュー欄を共有することになるということです。

ここで、知っておくべきことは「元の商品ページのレビューは引き継がれるのか?」ということです。

ずばり、引き継がれます。過去のレビューはまとめて一つのレビュー欄に記録されるようです。

③商品登録の設定が変わる‍

これまで「楽天市場」に出品する商品を登録する際には、必須項目のディレクトリIDと任意項目のタグIDを設定する仕様となっていました。

ディレクトリIDとは、1つの商品に1つだけ設定されているものであり、その商品のジャンルを指定しています。これによって、ジャンルを絞り込んで検索することができていました。
タグIDとはジャンルに加えて、ブランド、サイズ、色などの商品の属性を付加するために設定するIDです。

どちらのIDも数字を割り当てて設定するため、店舗運営者にとってわかりづらいものでした。

しかし、新仕様ではタグIDが実際の商品属性(ブランド、サイズ、色など)を使って設定することができるようになり、わかりやすくなります

④価格表示が変わる

従来の価格表示では、タイプ別の価格しか表示されていませんでした。たとえば、ジュース5本セットで550円、7本セットで760円という全体の価格だけで(しかも別々の商品ページで)表示されていました。

しかし、今後は全体価格だけでなく、セット料金における単体価格も表示されるようになります(しかも同じ商品ページで)。これによって、ユーザーが一目でお得なタイプのSKUを選択することができるようになります。

⑤SEOが変わる?!

末尾に「?!」を付けたのは、SEOの大幅な変更が確定ではないためです。楽天のSEOアルゴリズムは変更され続けているため、その詳細については公開されていません。ですが、SKU単位での管理への移行に合わせて変更されるのではないかと言われています。

SKU単位での商品管理に伴うSEOの変更が懸念される
SKU単位での商品管理に伴うSEOの変更が懸念される

もしSEOが変わった場合、以下のような影響が考えられます。

ランキングの変動

一つ目の影響は、ランキングの変動です。複数の商品ページが一つに集約されたことで、その商品の売上ランキングは、旧式のどのタイプの商品のランキングを反映しているのでしょうか?

旧式でX、Yで分かれていた商品がZという商品として統合された場合、そのランキングはX、Yのうち旧仕様においてより順位の高かった方の順位を採用するようです。

また、いままで検索結果が上位であった商品がアルゴリズムの変更によって下位に転落または、表示されづらくなるという事態も想定されます

広告の空振り

二つ目の影響は、広告の空振りです。ユーザー画面に最適な広告を表示するためのアルゴリズムが変更された場合、今までのSEO対策によって作られた広告が通用しなくなる可能性があります。そのような広告費の無駄は費用対効果の低下につながってしまいます。

楽天SKUへの移行前後で広告からの流入数の詳しい変化に注目していくことが大切です。そして、大幅に流入数が減ったときはSEO対策に強い人材に意見と今後の施策を相談することをおすすめします。

EC運営側の対策・準備

では、次に上述のような仕様変更に伴って、「楽天市場」の店舗運営側が準備すること、対処法について解説します。

①商品属性を見直す

商品の登録設定の方法が、タグIDから商品属性に変更になるため、SKUごとに商品属性を割り当てる必要があります。商品属性の割り当てによって自社の商品がより検索結果の上位に表示されるようになります。

また、商品属性の設定は任意ではなく必須項目になりますので、避けられない作業になると思います。

しかし、ECでは出品できる商品数に制限がなく、一つの商品に複数の属性情報がありますので、その作業を完了するには膨大な工数が必要になります。

考えられる対応策としては、自動でタグIDから商品属性への変換を行ってくれるAIツールを導入するか、SEO対策として適切な商品属性を割り振ることができる専門人材を利用するなどが考えられます。

②問い合わせへの対応

商品ページの仕様変更やSKUという基本単位の変更によって、ユーザー側の混乱が生じる可能性があります。それに伴って店舗運営側に多数の問い合わせが発生するかもしれません。

対応策としては、ユーザー画面での大きな変更があった場合にメルマガなどで告知する、問い合わせに対応する人員を多めに確保する、予想される問い合わせを明確にするなどが考えられます。

③SKU用の画像への対応

商品ページごとにサムネイルが設定されていましたが、それに加え、SKUごとに画像を設定しなければならない可能性があります。

商品画像ガイドラインは従来のままですが、店舗によっては、新たに画像の撮影をする必要があるかもしれません。

商品ページの各SKUの画像を表示する箇所が、仕様上、従来の画像では見づらいなどの問題がありましたら対応に迫られるでしょう。‍

いち早い対応で他社と差別化するチャンス

「楽天市場」という国内最大級のECモールの大規模プロジェクトだけに、皆さんのなかにも不安要素を抱える方もいらっしゃるかもしれません。ですが、ピンチはチャンスの裏返しです(たぶん)!! 対応次第で大きなチャンスにもなり得るのです!

変化の時期だからこその強み

「楽天市場」での店舗運営者は軒並み、今回の仕様変更の影響を受けると思われます。自社も競合他社もフェアな境遇に立たされているのです。

だからこそ、いち早く対応することで他社と差別化をはかり、既存顧客を失うことなく、新規顧客の獲得の機会を得ることができると思います。

変化の時期だからこそ、再度全員がスタートラインに立たされる。その状況がそのまま自社の強みになり得ると思います。

情報収集と人材の確保がミソ

そして、変化の時期に大事なのが、情報収集と適切な人材配置です!

特に、UIの変更、SEOアルゴリズムの変化、広告やランキング表示の変化についての情報収集は欠かせません

また、タグIDから商品属性への移行作業や増加が見込まれる問い合わせに対応するために臨時的な人員の増強や専門人材の再配置などが必要になってくるかもしれません。

いずれにせよ、強制ではなく、仕様変更への影響が大きい場合にしっかりとした対応をおすすめします。

ECタイムズ

「熱狂的なファン」を生むスノーピークのEC戦略、サントリーウエルネス成長の秘訣など【全31講演のECイベント】

2 years 7ヶ月 ago
EC事業者限定の講演イベントを3年ぶりにリアル開催で実施。全31講演すべて無料で視聴できるECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2023 春」は5月18日(木)・19日(金)の開催です

5月18日(木)・19日(金)に開催する「ネットショップ担当者フォーラム 2023 春~eコマースコミュニケーションDay~」では、サントリーホールディングス、スノーピーク、アスクル、花王などが登壇。東京・渋谷区の渋谷ソラスタコンファレンスで、3年ぶりにリアル開催します。

「サントリーデジタル担当が語る、デジタル人材育成・サントリーウエルネスの成長の秘訣」「スノーピークの『価値創造』と『熱狂的なファン』を生む秘訣」「物流2024年問題の基本と通販・EC企業が知っておくべきこと」などのテーマについて、企業の責任者などが講演。31講演すべて「無料」で聴講できます。

当日は、講演会場での生聴講、講演者との名刺交換のほか、来場者が活用できる業務スペース(Wi-fi、電源、テーブル、軽食完備)も用意しております。今後のさらなる流通業界の活性化に向けて成長する場として、ぜひ会場に足をお運びください!

まだお申し込みをしていない方のために、31講演のなかから編集部おすすめの講演の見どころをご紹介します。

ネットショップ担当者フォーラム 2023冬

※本イベントはEC事業者(eコマースサイトをお持ちの方)限定とさせていただきます。

見どころ①サントリーデジタル担当が語る、デジタル人材育成・サントリーウエルネスの成長の秘訣とは
10:30~11:20 SA1-1 オープニング基調講演

サントリー、花王のメーカーという立場から、デジタルマーケティングやECを長く担当してきた2人が、消費者の変化をどう捉え、EC・通販事業の成長をどのように考え実践してきたか、さらにはメーカーEC担当者の悩みとしてある、デジタル人材を社内でいかに確保し育成するかといった課題について語り合います。

たとえば「消費者の変化とEC通販事業の成長」「EC事業における、各社フェーズごとの取組ポイント」「EC担当者が考える、デジタル人材育成、DXとは何か」といったテーマにフォーカスします。

サントリーホールディングス株式会社 グループ会社経営推進部  課長(元サントリーウエルネス株式会社 メディア制作部 課長) 若林 純 氏
サントリーホールディングス株式会社 グループ会社経営推進部  課長(元サントリーウエルネス株式会社 メディア制作部 課長) 若林 純 氏
2000年にサントリー情報システム部入社後、広報部にてサントリー公式HPウェブマスターとして、オウンドメディア「サントリータウン」、キャンペーン支援、公式SNS運営などに従事。2015年にサントリーウエルネス株式会社に異動。自社EC、オンライン広告やバナーLP制作から、CRM、ブランド担当、外部ECモール立ち上げなどを歴任。23年4月にサントリーホールディングスのグループ会社経営推進部へ異動。DX領域はじめ各社の経営支援業務を担う。
「サントリーウエルネスOnline」より(画像は編集部がキャプチャ)
サントリーウエルネスOnline」より(画像は編集部がキャプチャ)
アントレプレナーシップラボ 代表 生井 秀一 氏
アントレプレナーシップラボ 代表 生井 秀一 氏
花王株式会社に入社。花王では営業部門で大手流通チェーンを担当し、新しい価値創造提案で社長表彰を受賞。花王の基幹ブランド「メリット」のブランドマーケティングを担当し、シェア低迷で苦戦していたが、過去最高のシェアまで事業拡大し3度目の社長表彰を受賞。2015年頃から台頭してきた専業Eコマースを担当し、ブランドD2Cを加えた花王のEコマース戦略を統括する。2023年、早稲田大学大学院修了(経営学修士MBA)。花王株式会社を退社し、2023年4月に茨城県内の中高一貫校の校長に就任。
「My KAO Mall」より(画像は編集部がキャプチャ)
My KAO Mall」より(画像は編集部がキャプチャ)

見どころ②スノーピークの「価値創造」と「熱狂的なファン」を生む秘訣
~商品開発・ファン作りによる市場創造、変わる消費トレンドに対応するEC戦略~
10:30~11:20 SB1-1 オープニング基調講演

キャンプ体験、オリジナルグッズの提供などを通じて熱狂的なファンを生み出すスノーピーク。その取り組みを一言で表すと「価値創造」と言えます。

オリジナルのキャンプ用品などを通じて新たな市場を創造し、キャンプ体験が熱狂的なファンを創出、コミュニティを形成しそこで生まれた“輪”が新たな価値(口コミ、友人などへの推奨)を生み出していっています。

このスノーピークの基盤の上で展開するECビジネスでは近年、コロナ禍で大きく変化した消費ニーズへの変化対応として、アプリなど積極的な情報発信などを行っています。講演では、キャンプ体験などスノーピークの基盤となる「価値創造」の取り組み、それをベースに展開するEC事業について解説します。

株式会社スノーピーク EC推進部 EC企画課 マネージャー 中村 晋作 氏
株式会社スノーピーク EC推進部 EC企画課 マネージャー 中村 晋作 氏
大手セレクトショップにて、10年間デジタルマーケティングを担当し、SNS運用から、CRM、広告、購買データ分析など一通りの業務を経験。2022年4月スノーピークに入社。EC推進課にて、EC業務と販促企画に従事している。
「スノーピーク」より(画像は編集部がキャプチャ)
スノーピーク」より(画像は編集部がキャプチャ)
ネットショップ担当者フォーラム 2023冬

「ネッ担 Meetup vol.4」(オンライン懇親会)を開催!

5月18日(木)18:30~20:30に、先着100人限定で、登壇者や参加者と情報交換ができるオンライン懇親会を実施します。

待ちに待ったリアルでの交流の場。講演者やスポンサー企業に直接聞きたいこと、「半年後どうなる? どうする?」の共通テーマのもとにEC事業者のコミュニティをつくり、悩みや課題、アイディアを共有し絆を深めていただきます。

◇◇◇

明日はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

物流企業のイノベーションがEC事業者、消費者、地球環境にもたらすメリットとは

2 years 7ヶ月 ago
物流業界が取り組んでいる、パーソナライズされた物流サービスの実現、物流の自動化へのイノベーション、ESG活動について解説します

越境ECを含むEC市場での需要の高まりを背景に、商品配送には柔軟性と利便性、付加価値の高いサービスに加え、パーソナライズされたサービスも求められはじめました。こうした事業者ニーズに対応するため、物流企業はイノベーションと積極的なテクノロジーの活用でその実現に向けて取り組んでいます。

パーソナライズされた物流サービスの実現

フェデックス エクスプレスの調査によると、日本を含むアジア太平洋地域の消費者の94%が、自分に適した購入体験を提供しているEC事業者からのさらなる商品購入を考えると答えています。

商品を紹介するマーケティング活動や購入時の支払いオプションなど、オンライン購入の体験を向上させるパーソナライズ化施策は多様化しています。EC事業者はそれらを適切に実装して施策を実施し、消費者の嗜好に適したコンテンツを提供しているかどうかを自問し続けなければなりません。

今はインフルエンサーやライブ ストリーミングによるマーケティング活動が主流かもしれませんが、明日にはまた進化するかもしれないのです。

物流も、配送のパーソナライズ面で購入体験に大きく影響します。テクノロジーを活用する物流企業は、消費者に新たな商品配送の選択肢を提示し、購入者それぞれの都合に合わせた商品受け取りにより利便性を向上させます。

配送のパーソナライズ化は未来に向かって進化し続けています。また、自動化と効率化の波によって無人あるいは自動配送の可能性が検討され、世界各地ですでに実証実験が行われています。

パーソナライズ化へ対応することで、将来にわたって大きく変わるであろう消費者ニーズを取り込むことができるようになるでしょう。

物流の自動化へのイノベーション

現在、さまざまな輸送プロセスで、輸送の自動化が検討されています。小型の自動配送車両やドローン、物流施設間で貨物をまとめて輸送する大型のトラックの自動運転、物流配送施設内で稼働して輸送業務をサポートするロボットなどです。

このような自動化への取り組みは、物流業者自身へのメリットのように見えますが、結果的にEC事業者や商品を受け取る購入者へのメリットになります

物流施設内の貨物の仕分け作業をサポートするロボットや自動化のシステムは、より早く正確な作業を行うことはもちろん、そのような単純作業を機械が担うことで、従業員はより経験や知識が問われる業務に就き、業務やサービス全体の質を向上させる取り組みに従事できるようになります。

倉庫内で導入が進む仕分けロボットなど

業界全体で、自動化や効率化の取り組みが活発化しています。物流の自動化ではテスト段階の取り組みが多いため、イノベーションが将来どのようにEC事業者や購入者にメリットをもたらすのかを考えてみると、まだ新たな発見があるかもしれません。

求められる物流のESG

EC事業者や購入者などを使う物流サービス利用者にとって、テクノロジーの発展は質の高い物流サービス利用の鍵になります。同時に、テクノロジーの発展は環境を配慮した輸送に貢献することも押さえておきたいポイントです。

地球環境への配慮と環境に優しい物流は世界規模の関心事です。フェデックスが発表した調査では、アジア太平洋・中東・アフリカ地域の消費者の8割が、購入先のEC事業者が持続可能なビジネスモデルを推進することに期待。7割が効果的なESG(環境・社会・ガバナンス)戦略を実施している企業から商品を購入したいと答えています。

配送車両や航空機を運航してビジネスを行う物流業界は、持続可能性や脱炭素に対して責任を持ちイノベーションを適用させるべき立場にあります。

航空機配送も脱炭素の動きが進んでいる

環境配慮の輸送へのアプローチはさまざまです。たとえば、配送車両は電気自動車やその他環境配慮型の車両の導入。車両そのものが環境に配慮型である一方、運転するドライバーの意識を変えていかなければならないのも事実で、環境に優しい運転スキルを身につけるためのトレーニングは、ESG活動の一環として貢献できます。

テクノロジーを活用することによって配送ルートを最適化、効率を向上するとエネルギー消費の抑制も図ることができます。

また、航空機に使われる燃料を持続可能にすることもESG活動の1つで、SAF(Sustainable Aviation Fuel)と呼ばれる燃料の活用が期待されています。

原油から精製される通常のジェット燃料に対し、SAFは間伐材などの木材、トウモロコシやサトウキビなどの農産物、廃油、古い衣類などさまざまな原料から生産することが可能。SAFは航空業界全体のCO2排出を最大80%まで削減することができると試算され、多くの航空会社が加盟する国際航空運輸協会(ITAGA)が掲げるゴールである「2050年までの二酸化炭素排出実質ゼロの運航の実現」に必要な排出量削減の約65%に貢献すると考えられている燃料です。

石油由来の梱包資材のリサイクルも環境配慮の輸送の実現に貢献します。EC事業などで繰り返し使うことができる梱包材の開発、輸送状や越境ECに必要な貿易書類などの作成・提出でのオンラインサービス利用は資源の節約につながります。

配送面でも電気自動車の導入などが進んでいる
◇◇◇

パーソナライズ化された配送により柔軟な荷物の受け取りが実現できれば、物流業者側の配達の効率化、再配達による消費エネルギーの抑制にもつながります。

物流企業による環境配慮の取り組みは多角的で、それぞれのプロセスにおいて適切なテクノロジーや手法を用いなければなりません。将来に向かって明確なゴールを設定して、各取り組みの成果をモニタリングしていく必要があります。

革新的で新たなアイデアや最新テクノロジーの導入は、環境配慮の輸送と消費者へのより柔軟性の高い配送サービスの実現につながります。物流業界全体でこうしたテクノロジー活用・ESG活動が活発化しているトレンドは、注目すべきポイントです。

久保田 圭

ロコンド社員の片瀬那奈さんがプロデュースした、段ボールがペットハウスに変身する「キャットハウス段ボール」とは

2 years 7ヶ月 ago

靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」を運営するロコンドは5月8日から、配送時の段ボールがキャットハウスになる「キャットハウス段ボール」のサービスを開始した。
「キャットハウス段ボール」は、ロコンド社員でネコ好きの片瀬那奈さんがプロデュースした。通常、配送後の段ボールは廃棄処分されるのが一般的。「キャットハウス段ボール」にすることで段ボールの再利用を促進し、環境へ配慮したサステナブルな取り組みにつなげる。

ショッピングカート内のギフト画面で「キャットハウス(猫家)段ボール」選択すると、通常の段ボールではなく、キャットハウスに変身する「キャットハウス段ボール」で商品を届ける。

「キャットハウス段ボール」はギフト扱いで、110円で提供する。なお、キャットハウス段ボールに猫が入らなかった場合、ロココインで段ボール代の110円を返金する。

キャットハウス段ボールの作り方は以下の通り。

  • キリトリ線に沿って切り取る
  • 折れ線に沿って横側を折る
  • 折れ線に沿って蓋側を折る
  • キリトリ線に沿って入り口を開ける
  • 好みでキリトリ線に沿って窓を開ける
ネコ型(キャットハウス)段ボールの作り方動画
瀧川 正実

検索結果の表示速度が1.8倍に向上したECサイトの改善施策とは? 顧客満足度向上を追求し続けるリユース店舗「RAGTAG」の挑戦

2 years 7ヶ月 ago
リユース商品のセレクトショップを展開するティンパンアレイ。ECサイトは、商品検索エンジンを改善したことで表示速度が1.8倍に向上し、さらにレコメンド精度も向上した。施策の詳細と、さらなるファン作りに向けた今後の計画を解説する
[AD]

景気低迷や環境意識の高まりなどで注目が集まり、市場成長が続く日本のリユース市場。ただし、ビジネスを成功させる裏には、リユースならではの困難を乗り越える企業努力があるようだ。

ティンパンアレイが運営するユーズドセレクトショップ「RAGTAG(ラグタグ)」は、15万点もの中古品を取り扱うが、欲しい商品にたどり着きやすく、店舗に並ぶ製品も全てECで購入できる仕組みを構築。高い利便性と顧客満足を追求し続けている。

記事の前半では「RAGTAG」の事業や現在強化している施策について解説。後半では、EC商品検索エンジン「ZETA SEARCH」の提供で「RAGTAG」の検索性向上に貢献するZETAと、ティンパンアレイが、リユース店舗・EC特有の課題を乗り越えるための施策、「RAGTAG」の今後の取り組みについてディスカッションした内容を紹介する。

ティンパンアレイが運営するユーズドセレクトショップ「RAGTAG(ラグタグ)」とZETAが語るサイト内検索について

国内外から人気の「RAGTAG」。EC化率は約3割

1985年に創業し、全国の主要都市を中心に22店舗を展開しているユーズドセレクトショップの「RAGTAG」。1999年から開始したECは、自社サイトのほか、「楽天市場」「Yahoo! ショッピング」「Amazon」「au PAY マーケット」といった主要モールでも展開。さらに、「メルカリ」、楽天のフリーマーケットアプリ「ラクマ」などフリマのマーケットプレイスでも販売している。

「RAGTAG」公式通販サイトのトップページ
「RAGTAG」公式通販サイトのトップページ

近年は海外販売にも力を入れており、海外向けの10モールにも出品。海外ECは米国の「eBay」を柱に、欧州や中国へも拡大している。2023年3月には自社で海外専用のサイトを開設、アジア・米国向けの販売を強化している。

以前から海外顧客の間でも人気が高かった「RAGTAG」だが、コロナ禍後に訪日客のインバウンド需要が回復。店舗売上の2~3割を海外からの顧客が占め、客単価も日本人顧客の倍近く購入しているほどの人気ぶりという。

国内外を合わせた売り上げの約3割をECが占めており、そのうち約1割を海外が占める。ティンパンアレイのWEB事業グループゼネラルマネージャーを務める桜庭氏は「海外はまだこれから拡大していく成長期にある」と話す。店舗とECの双方で、今後ますます海外顧客による売り上げが伸長すると見込んでいる。

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏
ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏

店舗とWebの双方で買い取りを強化。出張買い取りやLINE査定も拡充

「RAGTAG」を利用する顧客の男女比はほぼ5割ずつ。メインターゲットは30~40代としているが、創業以来、長年リピートしている顧客も多く、30代を頂点に10代から70代まで幅広い層が利用しており、商品の価格帯も幅広く、1000円程度の雑貨から100万円を超えるバッグまで取りそろえている。

また、仕入れのうち99%を一般顧客からの買い取りが占めており、1日あたりの買い取り点数は1500~2000点に達する。そのうちの多くをハイブランドで占めている点が、ほかにはない競争優位性となっているようだ。

買い取りは店舗とWebの双方で実施しており、Web買い取りの利用者は年々増加しているものの、比率はまだ8:2で店舗が多い。

コロナ禍が落ち着いてからは、国内外からの客足がコロナ禍前以上に一気に増加。買い取りの数を上回るほど販売が好調な状況で、現在は買い取りの強化を急いでいるところだ。

リユース業界では販売よりも買い取りのための広告宣伝を打つ傾向にあるが、Web広告は料金が年々高騰。リユース製品を取り扱う企業は少なくないため、リスティング広告などに力を入れ過ぎるとコスト面の課題が生じてしまう

Web広告だけに頼らない買い取り強化策に取り組む必要があった

「RAGTAG」では、顧客接点を増やし、ユーザーが「売る」という行為を気軽に体験できる環境を構築すべく、店舗を構える都心以外にも郊外に買い取りカウンターを設置したり、出張買い取りを増強したりしているという。

このほか、買い取りサイトのリニューアルを実施。リユース製品の買い取り価格は時価のように変わりやすいものだが、それでもある程度の目安がわかるよう、ブランドごとに特定のモデルの製品の買い取り価格を提示するようにした。

買い取りサイトのトップページ(今後リニューアル予定)
買い取りサイトのトップページ(今後リニューアル予定)

また、今後はLINEを活用した買い取り査定にもさらに力を入れる。ユーザーが気になった品物の画像を送信すると、すぐに買い取り価格を返信するような仕組みも拡充していく計画だ。

LINEを活用した買い取り査定を強化していく
LINEを活用した買い取り査定を強化していく

全製品が一点物。リユースビジネスの難しさ

リユース店舗を運営する上での難しさは、何と言っても取り扱い製品のほぼ全てが一点物であることだ。同じ製品を数多く仕入れる「縦積み」ができないため、顧客が求めるものにいかにたどり着けるようにするか、さらには、一点しかない商品の魅力を最大限伝えるためにどこまでコストをかけられるのか――といったところに、一次市場のアパレルとは違った気配りが必要となる。

顧客が求める製品の探しやすさや、一点物との出会いの創出においては、EC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」の活用で改善した。「RAGTAG」は、ECプラットフォームをリプレイスするタイミングで「ZETA SEARCH」を導入。一次市場のアパレルとは異なる難しさや課題を、検索機能の向上で克服した。

一点物というユーズド製品の特性に加え、高価格帯の品物が多い「RAGTAG」は、消費者からの信頼が何よりも大切だ。これまでの成長も、顧客の信頼を得るためのスタッフの努力のたまものと言える。

ティンパンアレイはスタッフ全員がアパレル好きで服に詳しく、今では「自分たちでブログをたくさん書こう」「商品詳細ページのコメントを自分たちで充実させよう」といった空気が社内で醸成されている。店舗とEC双方のスタッフがコンテンツ作成に意欲的に取り組んでいるという。

外注して単にSEOのためだけのブログをアップするのではなく、顧客に喜んでもらえるようなコンテンツをアップしていくことが社内の共通認識となっている。

「RAGTAG」はデザイナーズブランド専門のユーズドセレクトショップとして創設した。顧客ファーストの思いは現在の経営にも受け継がれている
「RAGTAG」はデザイナーズブランド専門のユーズドセレクトショップとして創設した。顧客ファーストの思いは現在の経営にも受け継がれている

OMO促進に手応え。商品の店舗取り寄せはEC注文の2倍

今から約7年前には自社アプリを開発し、早い時期から店舗とアプリの連携などのOMO施策に取り組んでいた「RAGTAG」。店舗でアプリのダウンロードを促し、それをきっかけにECに来店したときに楽しんでもらえるようなコンテンツを随時増やしてきた。加えて、アプリの機能改善により使いやすさを追求してきたことで、高いアプリ比率が実現できているという。

OMO施策で力を注いでいるのは、ECサイト上の製品を店舗で試着・受け取りができる取り寄せサービスだ。5年ほど前から、店舗スタッフが直接、顧客に取り寄せができることを知らせ、取り寄せの注文を受けてから製品が店舗に届くと顧客に連絡するという形で、スモールスタートを切っていた。

このサービスをECの機能に追加。EC上で「カートに入れる」の選択肢だけでなく、店舗で実物を確認・試着してから購入するか否かを決められる選択肢を設けたかったからだ。

ECサイトでは「カートに入れる」ボタンのほかに、「店舗で試着してみる」ボタンを設置している
ECサイトでは「カートに入れる」ボタンのほかに、「店舗で試着してみる」ボタンを設置している

桜庭氏によると、「一点物という理由もあってか、店舗取り寄せのニーズは非常に高い。ECの注文の倍近く、店舗取り寄せの注文が入っているような状況」という。取り寄せた製品を購入した場合は店舗での決済となるが、経由したECの貢献も大きいため、売り上げの計上はECと店舗の双方を評価する仕組みとしている。

取り寄せは3点まで可能。取り寄せた製品を1点も買わないケースもあるものの、そうした顧客のうち2割ほどは店頭に並んでいる製品を購入しているという。取り寄せサービスは、店舗に来店するきっかけ作りや、店舗での購入促進につながる有効な施策となっているようだ。

「ZETA SEARCH」導入後の「RAGTAG」に表れた効果と、今後実現したい施策とは

一点物を取り扱うリユース店舗ならではの課題に「ZETA SEARCH」がどのような効果を発揮しているのか、さらには買い取りを強化するために今後どのような施策が考えられるのか、ティンパンアレイとZETAによるディスカッションを見てみよう。

ディスカッションメンバー

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏 ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏

ZETA 執行役員副社長 博士(情報科学) 出張純也氏 ZETA 執行役員副社長 博士(情報科学) 出張純也氏

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏 ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏

ZETA マーケティングG. マネージャー 村上あすか氏 ZETA マーケティングG. マネージャー 村上あすか氏

検索結果の表示速度が1.8倍に。商品点数が倍増しても速度が落ちない安心感

――「RAGTAG」が「ZETA SEARCH」を導入する前に抱えていた課題や、導入後に起きた変化について教えてください。

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏ティンパンアレイ 桜庭氏(以下、桜庭):数年前に、ZETAの方が登壇されていたセミナーを受講したことがあります。そのときに「どんなに良い検索結果が出ても、表示速度が遅ければお客さまは帰ってしまう。スピード命で、お客さまに何度も検索されるサイトのほうがいい」というお話をされていたことがすごく印象に残っていました。

「RAGTAG」のように商品が多いサイトだと、お客さまはさまざまな要素の組み合わせで検索したいはず。このため、検索結果の表示スピードは重要であるにもかかわらず、以前は「検索結果の表示が遅い」というお客さまアンケートの声も多かったのです。

その後、「ZETA SEARCH」を導入したところ、検索結果の表示速度は1.8倍も向上し、お客さまからの不満の声はほぼなくなりました。検索のストレスが解消されたことが、「ZETA SEARCH」導入の一番大きな効果だったと実感しています。

桜庭氏は、「ZETA SEARCH」導入による検索結果の表示スピード改善を実感している
桜庭氏は、「ZETA SEARCH」導入による検索結果の表示スピード改善を実感している

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏ZETA 大井氏(以下、大井):ユーズド製品は一点物なので、IDが全ての製品に個別に付く分、検索の絞り込みや表示が遅くなるという心配がありますよね。

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏
ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏

ZETA 執行役員副社長 博士(情報科学) 出張純也氏ZETA 出張氏(以下、出張):商品点数が多ければ多いほど検索の速度が遅くなるものですが、「ZETA SEARCH」の場合、「RAGTAG」の商品点数が今の倍まで増えても速度が落ちない仕組みとなっています。このため、今後取り扱い点数が増加しても、安心して活用し続けていただけます。

ZETA 技術部 執行役員副社長 博士(情報科学)出張純也氏
ZETA 技術部 執行役員副社長 博士(情報科学)出張純也氏

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:それは心強いです。ユーズド製品は商品点数が重要です。商品が少ないと、“検索したのに何も見つからなかった”という状態になってしまうことも往々にしてあります。商品点数の多さを重視している「RAGTAG」でも、「ZETA SEARCH」を導入してからは以前よりはるかに速く検索結果が表示できるようになりました。これはすごく良いポイントでした。

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏大井:ユーズド製品を購入するお客さまは、ブランドや価格帯、グレードなどに明確な目的がある人が多いのではないかと思いますが、いかがですか?

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭まずはブランドで検索されていて、ヘビーユーザーになると、そこにプラスアルファして(価格帯などを追加して)探していくような傾向があります。

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏大井:それが一次市場のアパレルとは違うところですよね。絞り込みの項目を細かくしたり、求める製品にしっかりヒットするようにしたりと、検索の精度や性能を高めなければより離脱につながりやすくなるのではないかと思いました。

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:おっしゃる通りです。「RAGTAG」は製品の在庫を置いている店舗もECサイト上で提示するようにしているので、実店舗に来店する前にサイトで在庫をチェックされるお客さまも多いのですが、その場合は「ブランド×店舗」で検索されることが多々あります。

それだけ、多種多様な検索の仕方をされているので、素早く的確にヒットするように対応していかなければいけません。そうした課題にもアプローチしたいと考えていました。

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏大井:ZETAはユーズド製品やアパレル企業との取り組み実績が多いのですが、そうした企業で今、ハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」の導入が進んでいます。

ユーズド製品やアパレル特有の多様な検索ワードに対応して外部からの流入やサイト内の回遊率の増加に役立つソリューションです。ぜひ活用をご検討ください。

ハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」の概念図。商品情報やUGCのテキストを解析し、最適なハッシュタグを生成する
ハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」の概念図。商品情報やUGCのテキストを解析し、最適なハッシュタグを生成する

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:「ZETA HASHTAG」の導入を検討している意図はまさにその通りです。アパレルの検索は、「Tシャツ」「赤」のように、見た目でわかるような絞り込み要素だけが求められているわけではありません。最新のファッショントレンドや注目のワードのほか、シーンやロケーションに関するワードなども拾えるような機能も、活用を積極的に検討していきます。

興味喚起ができる検索や、査定時のバック業務に役立つ検索の強化を思案

――「RAGTAG」では、「ZETA SEARCH」の導入によって検索の速度や精度が向上しましたが、今後はさらにどのようなことへ期待を寄せているのでしょうか。

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:欲しいものが決まっていて検索されるお客さまに対しては、「ZETA SEARCH」で早く絞り込めるようになってすごくよかったと実感しています。今後は、何を買うのかはっきり決まっていないお客さまに対して、興味喚起やレコメンドができるような検索を実現していきたいです。

たとえば、「レコメンド×検索」のような機能の精度を高めるなど、それこそ先ほどの「ZETA HASHTAG」のような機能が近いのではないかと考えています。

ZETA 執行役員副社長 博士(情報科学) 出張純也氏出張:ZETAからは、買い取り査定用の検索強化も「RAGTAG」にとって有効なのではないかというのが一つの提案です。似たような製品の過去の買い取り価格は参考になると思いますし、一点物とは言え、同じ製品を取り扱っていた実績があれば、その製品を社内で検索できれば業務フローの改善に役立つのではないかとも思っています。

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:バック業務に役立つのは良いですね。それに、買い取りの検索についても、今はブランド名を入力すると取り扱いの有無や、買い取りを強化しているブランドかどうかといった検索ができるようにしていますが、もっと活用の余地がありそうだと思いました。

ZETA 執行役員副社長 博士(情報科学) 出張純也氏出張:売りたい製品がいくらで買い取ってもらえるのか、ある程度目安となる価格を提示することができれば、お客さまにとって一つの安心材料になるはずです。

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏大井:売りたいものがある消費者は、一度フリマアプリで販売価格を見てから買い取りに出しているケースも多いと思います。価格を調べて売るまでが自社で全て完結できるようになると、利便性が向上しそうですね。

ファンが集まりコミュニティのように楽しめるECサイトをめざす

――ZETAでは「ZETA SEARCH」のほか、「ZETA HASHTAG」、サイト内にレビューコンテンツを実装できるレビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」、店舗とEC双方の顧客データを一元管理できるOMO・DXソリューション「ZETA CLICK」 なども提供しています。他製品との連携で今後実現したいことがあれば教えてください。

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:まず、「RAGTAG」としては、「RAGTAG」をお客さまにもっと楽しんでいただけるサイトにしたいというのが大きな目標です。ただ買い物に来るだけのサイトではなく、お客さまも一緒になって参加するような、一種のコミュニティに近いイメージ。そのあたりは「ZETA VOICE」などで実現できそうだと考えており、導入を検討しています。

ZETA 執行役員副社長 博士(情報科学) 出張純也氏出張:「RAGTAG」のファンを作りたいですよね。

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏大井:「ZETA VOICE」のレビュー・Q&A機能を活用すれば、サイト運営会社とユーザー間のコミュニケーションや、ユーザー同士のコミュニケーションも可能となるため、ファン作りに向けた会話が活性化できるのではないでしょうか。

好きなブランドについて語り合ったり、買い取りの不安をユーザー同士の会話で解消したりと、「『RAGTAG』に行けばいろんな情報が交換できる」という、お客さまの楽しみを後押しできるような機能が期待できます。

「ZETA VOICE」が可能とする機能の一例
「ZETA VOICE」が可能とする機能の一例

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:「RAGTAG」には15万点もの商品があり、さらにはほぼ全てが一点物なので、商品ごとにQ&Aを入れていくのは難しいと思っていましたが、ブランド単位などのくくりでコミュニケーションができるような場を作れるといいかもしれないですね。

ZETA マーケティングG. マネージャー 村上あすか氏ZETA 村上氏(以下、村上):スタッフやバイヤーによって詳しいブランドなどの個性もあると思うので、そういった軸のレビューを設けてみるのも面白そうです。

ZETA 事業推進本部 マーケティングG. マネージャー 村上あすか氏
ZETA 事業推進本部 マーケティングG. マネージャー 村上あすか氏

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:そうですね。バイヤーは皆、買い取りの適正価格を付ける試験に合格した人ばかりなので、どんな製品も適正な査定をする腕には自信がありますが、確かにスタッフそれぞれに好きなブランドがありますから、「このスタッフはこのブランドの良さを伝えられる」といった個性を生かしていけるとすごくいいですね。

もともと「RAGTAG」は買い取りの際にバイヤーを指名できるようにしていて、指名するお客さまは「自分の好きな服をわかってくれる」「話が盛り上がる」といった理由でバイヤーを選んでくださっています

人気ナンバーワンのバイヤーは、指名客だけで1日の業務が終わる日が続いているほど。これは「RAGTAG」にとっての強みでもあるので、スタッフをポジティブに評価できる仕組みで良さをもっと前面に押し出していきたいです。

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏大井:お客さまとしても、信頼関係がないと買い取りに出したくないはずですよね。

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:おっしゃる通りです。単にものを売ったり買ったりする関係を超えられているからこそ、お客さまは「楽しいからまた行こう」という感覚で使っていただけているのだと思います。

ZETA マーケティングG. マネージャー 村上あすか氏村上:指名や良いレビューは、バイヤーやスタッフのモチベーションアップにもつながるはずです。

ZETA 執行役員副社長 博士(情報科学) 出張純也氏出張:バイヤーを指名する上で、バイヤーをレコメンデーションするような仕組みを設けるのも良い手段になるかもしれません。

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:そうですね。今は初めて行く美容院で美容師を指名するときに、プロフィールや第一印象で選ぶのと似た状況だと思いますが、今後はそういったレコメンデーションの仕組みなども活用できたら良いですね。

ZETA 執行役員副社長 博士(情報科学) 出張純也氏出張:ちなみに、買い取り時のバイヤーの予約は、ECサイト上からできるようになっているのでしょうか?

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:長年検討しているのですが、今はまだできるようになっていません。今の時代に予約ができないのは不便だと思いますが、やはり持ち込まれる製品や点数によって査定に要する時間は変動しますし、商談の時間に制限を設けてしまうと、それこそせっかくの信頼を崩してしまう懸念があるからです。

ただ、お客さまに少しでも待ち時間を快適に過ごしていただけるよう、無料でコーヒーやチョコレートを召し上がっていただけるカフェを用意しています。また、LINE査定の強化や、オンライン本人認証サービス「eKYC」の活用によって、時間がないお客さまなどさまざまなニーズに対応していこうと取り組んでいます。

さらなる顧客満足向上のため、ZETAと二人三脚

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏大井:ECの中でも中古品の取り扱いは相当難易度が高いと改めて認識したのですが、「RAGTAG」独自の工夫や取り組みがあれば教えてください。

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:Web買い取りだけでなく、店舗で買い取った製品も全て一度倉庫に集約していることが特徴です。倉庫で製品の二重チェックと“ささげ業務”を行ってから再度店舗に納品しているため、店舗の製品も含めた15万点全てがECでも購入でき、取り寄せもできる状態が創り出せています。

また、店舗ごとに人気商品のテイストも変わってくるので「この製品はこの店舗に置こう」といった配分もでき、一点物のユーズド製品でも効果的なマーチャンダイジングが可能となっています。

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏大井:そうした取り組みを続けられているからこそ、詳細検索のしやすさにもつながっているということですね。

ZETA マーケティングG. マネージャー 村上あすか氏村上:ティンパンアレイ様ではお客さまアンケートもよく実施されています。頻度や内容について教えてください。

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:常時実施しているものと、定期的に大規模に実施しているもののほか、プレイドが提供するEC向けのチャットサービス「KARTE(カルテ)」を使ったアンケートも実施しています。

アンケートの目的はもちろん、満足度向上のためです。アンケートによって、取り寄せた製品のイメージ違いにつながってしまう要因がわかりますし、製品のコンディションやサイズがよりわかるような詳細情報や画像を増やすなど、お客さまの声をもとに日々サービスの改善に努めています。

ZETA 営業部 ユニット長 大井果林氏大井:その一環として、ティンパンアレイ様は検索の速度・精度の改善にも取り組まれました。「ZETA SEARCH」がお客さま満足度の向上に寄与できていると嬉しいです。

ティンパンアレイ WEB事業グループ ゼネラルマネージャー 桜庭邦洋氏桜庭:確実に貢献していただいていると実感しています。たとえば、取り寄せの注文の動向を見ても、年々1.3倍ずつ件数が増加しています。お客さまは商品を購入するつもりで検索して取り寄せの注文をしているので、取り寄せたい製品に検索でちゃんとたどり着けている証拠だと捉えています。

検索精度のさらなる向上だけでなく、スタッフとお客さまの距離を縮める施策や、お客さま同士のコミュニティを創出していく施策も含めて、ZETAさんには今後もさまざまなご協力をお願いしたいです。

顧客との距離を縮めることや顧客同士のコミュニケーション促進に向け、ティンパンアレイはZETAとの協働を推し進めていく
顧客との距離を縮めることや顧客同士のコミュニケーション促進に向け、ティンパンアレイはZETAとの協働を推し進めていく
[AD]
吉田 浩章
朝比美帆

ご存知ですか? 農水省の越境EC支援プロジェクト「EAT! MEET! JAPAN」。なかなか手厚い支援のようです【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

2 years 7ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年4月24日~5月7日のニュース

農水省が「EAT! MEET! JAPAN」という名前の越境EC支援プロジェクトを開始しました。商品開発からテスト販売、規制面など幅広い支援がなされるようです。

本気で越境ECに取り組む人はご検討を

EAT! MEET! JAPAN | 農林水産省
https://www.eatmeetjapan.jp/ec

農林水産省は、訪日中に日本の食・食文化の魅力の体験をした外国人が、帰国後も本国にいながら再体験できるような環境整備を図り、日本産農林水産物・食品の輸出拡大につなげていく「食かけるプロジェクト(以下「本プロジェクト」という。)」を推進しています。

本プロジェクトの一環として、「モノ」に焦点を当て、地域の食文化・食体験の魅力を伝える輸出向けの商品を全国から掘り起こし、魅力ある商品を選定し、選定した商品の磨き上げや越境ECでの販売に向けた支援を行います。

「食かけるプロジェクト」というプロジェクトの存在を知らなかったのですが、農水省が越境ECの支援をしています。対象は食に関するもの。

  • 地域の食文化・食体験を訴求できる商品(食品)であること。
  • 商品とは、日本国内で製造・加工された加工食品(飲料・酒類を含む。)又はそれらの組み合わせ。
  • 輸出意欲があること。

条件はこちら。3つ目の「輸出意欲があること」は重要ですね。法的な面もありますし、送り方の問題もありますので、中途半端な心構えではうまくいきませんから。特に食に関するものは国ごとにルールが違ったりしますので、事前に必要な知識などを勉強しておくとよさそうです。

EAT! MEET! JAPAN FAQ | 農林水産省
https://www.eatmeetjapan.jp/ec/faq

第1段階では、応募商品のうち輸出向けに磨き上げを行う商品を5~10点程度選定します。ここで選定された商品については、各種専門家(商品開発、コピーライター、ソムリエ、輸出事業者、EC事業者等)を派遣等し、商品内容・包装の見直し、商品の組み合わせのコーディネート、商品の情報発信のためのストーリーづくり、価格設定等のアドバイスや、越境EC事業者との商談支援といった支援を受けることができます。(支援策その1)

支援の内容は2つ。1つ目は商品の磨き上げ。海外ではどうすれば売れるのかの知識、商品だけではないストーリー、価格設定など幅広く支援してもらえるようです。正直なところ、このあたりをやり切るにはかなりの時間がかかりますので、「輸出意欲」がない場合は応募しないほうが良いでしょう。

第2段階では、第1段階で磨き上げた商品の中から、優秀商品を1~3点程度を認定します。優秀商品については、本プロジェクトのウェブサイトへの掲載の他、越境ECでの販売に向け、外国語表示、輸出先国・地域の規制への対応、EC掲載手続き、越境ECでのテスト販売等に向けた支援を行います。また、本プロジェクトのウェブサイトにおいて、多言語での商品の魅力を発信し、当該商品の購入可能なECサイトへの誘因を支援します。(支援策その2)

なお、優秀商品の認定に至らなかった商品については、今後の商品改良に役立つようその事由及び改善内容をフィードバックします。

2つ目は実際の販売の支援です。前述のように海外で販売するにはたくさんの課題がありますので、そこの支援をしてもらえるのはメリットが大きいです。そのなかでも規制の対応とテスト販売はとてもありがたいですね。

越境ECの事例をネットで探すとたくさん出てきますので、そういったもので勉強しながら自社が対応するかどうかから検討をしてみましょう。「難しい」という結論になったとしても、そこで得た知識は国内でも生きるはずです。

今週の要チェック記事

ECサイト利用者の約8割が「購入目的なくてもECサイトを訪問」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10875

「Google アナリティクス」のデータなどを見ていると買わない人が多く見えますが、その理由はこれです。来てもらう理由を作れば買ってもらうチャンスが増えますよ。

アパレルECサイトの機能が購買に与える影響をレポート 「商品検索」「お気に入り登録」利用促進でCVR改善 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/8626

前述の記事に関連して。お気に入りは意外と使われます。あとは購入履歴も。

ECキューブ→Shopifyへの移行で経験したこと | ユリ|note
https://note.com/yuri1994san/n/nd1e4683af47c

「こうなるとうまくいかない」ということばかりが書かれています。乗り切った方法も参考に。

ShopifyのサンクスページURL(購入完了ページURL)と正規表現を徹底解説 | FORCLE
https://forcle.co.jp/blog/shopify-thankspage/

広告のCVタグを設定するときなどに。

「うちのショップって、GA4導入しないといけない?」アクセス解析のプロが、初心者向けにわかりやすく解説 | BASE U
https://baseu.jp/29132

GA4は無料なので導入はしたほうがいいです。施策の効果検証がオススメの使い方。

【2023年4月改訂】宅急便・宅配便・郵便の料金比較!送料が安い業者は? | 富士ロジテックホールディングス
https://fujilogi.net/blogs/column/fujilogi-columnt-214

日本郵便が一部「荷物の付加サービス」料金を値上げ&廃止、郵便物の特殊取扱料と国際郵便料金も料金引き上げ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10897

物流関連記事を2つ。どこも値上げなのでまとめ記事は助かりますね。

偽物買わせるネット通販、「代引き」悪用急増 “返金不可”狙う | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2304/28/news158.html

代引きは本当にトラブルが多いです。使っていない事業者さんも多いです。

楽天市場はなぜ「アマゾンより使いにくい」のか、IT批評家が徹底検証 | ダイヤモンド・オンライン
https://diamond.jp/articles/-/322071

使いにくさを上回るポイントメリット。SKUなどでこのあたりに対抗しようとしていますが。

今週の名言

チームEC成功の秘訣はグランドデザインにあり 個と組織の強さを両立するマネジメントとマインド醸成術 | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/12671

ただ目の前のことに追われている状況であれば、1週間後・1ヵ月後と少し先の指標にも目を向けるようにする

短期的な成果だけを見ていてもなかなかうまくいかないです。ちょっと先を見て地ならしをしてから、短期的な施策を。

筆者出版情報

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める小さい会社のウェブマーケティング必勝法

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める
小さい会社のウェブマーケティング必勝法

森野誠之 著
翔泳社 刊
発売日 2021年10月15日
価格 2,200円+税

この連載の筆者 森野誠之氏の著書が翔泳社から発売されました。小さな会社の“ひとり担当者”が、未経験、低予算、独学でホームページのリニューアルからウェブマーケティングまでを成功させるための指南書です。電子版、オンデマンド印刷版ともにAmazonで発売中です!

この本をAmazonで購入
森野 誠之

オルビス、業界初となる無人販売店舗「ORBIS Smart Stand」をオープン

2 years 7ヶ月 ago

オルビスは東京都立川市にある商業施設「グランデュオ立川」の直営店舗をリニューアルし、無人販売店舗「ORBIS Smart Stand」として5月12日にオープンする。

無人決済システム導入、事前の顧客登録不要で利用できる

「ORBIS Smart Stand」は、TOUCH TO GOが提供する無人決済システムを導入した、事前の顧客登録などを必要としない仕組みを利用した無人販売店舗。この仕組みを利用した無人販売店舗は、化粧品業界において初の事例となる(2023年5月8日時点、オルビス調べ)。

オルビス 無人店舗 ORBIS Smart Stand TOUCH TO GOの無人決済システム導入
5月12日にオープンするオルビスの無人販売店舗「ORBIS Smart Stand」

TOUCH TO GOの無人決済システムは、天井に設置した複数のカメラなどの情報から、入店したユーザーが手に取った商品をリアルタイムに認識。出口付近にある決済端末のディスプレイに表示される購入商品の明細と合計金額を確認し、決済する仕組み。

店舗内にはテスターを設置しているため、ユーザーはオルビスの主要なスキンケア・美容液などを試すことができる。

また、省人化・省力化が可能となるため、人材不足の解消につながり、店舗におけるオペレーションコストの低減にもつながるという。

店舗内にはオンラインカウンセリングを受けられるコーナーを設置。店内に設置しているタブレッド端末か、ユーザー自身のスマートフォンで利用できる。スマートフォンの場合は、掲示しているQRコードを読み取ってアクセスすれば、予約不要でオンラインカウンセリングサービスを無料で利用できる。

オルビス 無人販売店舗 ORBIS Smart Stand オンラインカウンセリングサービス
オルビスのオンラインカウンセリングサービス
藤田遥

印刷通販事業者のうち、顧客満足度が高い企業は? 「品質」「納期」など多方面から評価【調査結果まとめ】

2 years 7ヶ月 ago

オリコンが実施した「ネット印刷通販」の満足度調査によると、東京カラー印刷が2018年以来、2度目の総合1位を獲得した。品質やコストパフォーマンスなどが支持された。

ネット印刷通販で満足度の高い企業とは?

調査では、インターネット上で印刷の発注ができるサービス(=ネット印刷通販事業)の利用者を対象に、インターネットでアンケートを実施。事前調査や企業ヒアリングから、オリコンが評価項目をそれぞれ設定し、聴取した。規定の回答者数を満たした企業について、「総合」「評価項目別」「部門別」にランキングを発表した。

【総合1位】東京カラー印刷はコスパや品質が高評価

オリコンが調査を開始した2018年以来、東京カラー印刷は2度目の総合1位を獲得した。

ネット印刷通販事業者の顧客満足度ランキング(総合)
ネット印刷通販事業者の顧客満足度ランキング(総合)

東京カラー印刷は全ての評価項目で前年より得点を伸ばしたという。「商品のバリエーション」「品質」「納期」「コストパフォーマンス」の4項目で1位を獲得。「コストパフォーマンス」は得点の上げ幅が特に大きく、前年比で2.6ポイント上昇したという。

各社の評価項目別ランキング(TOP3まで)
各社の評価項目別ランキング(TOP3まで)

その他、「どの程度その企業のサービスを友人・知人に推奨したいか」をスコア化した得点(=他社推奨得点)では、東京カラー印刷は78.9点を獲得した。

回答者が「友人や知人にサービスを紹介したい」と考える場合の各社の得点数
回答者が「友人や知人にサービスを紹介したい」と考える場合の各社の得点数

東京カラー印刷の利用者は次のようにコメントしている。

コストパフォーマンスが良い。商品のクオリティが高い。スタッフが信用できる。(50代・男性)

価格に対しての品質や対応(が良い)。わざわざ確認のためにこちらへ連絡してくれた方(担当者)もいる。(40代・男性)

さまざまな面で対応が良く、商品の仕上がりも非常に良かった。(50代・女性)

【総合2位】印刷の鉄人は「特典・キャンペーン」で2年連続1位

総合2位の印刷の鉄人は、「サイトの使いやすさ」「特典・キャンペーン」の2項目で1位に。「特典・キャンペーン」では前年に続き2年連続1位だった。

【総合3位】印刷便は「注文対応」「サポート体制」で高評価

前年は総合9位だった印刷便は、総合3位にランクアップした。評価項目のうち「注文対応」「サポート対応」の2項目で1位を獲得している。

POP部門ではラクスルが6年連続1位

商品別のランキングでは「チラシ・フライヤー」「名刺」「ポストカード・DM」「冊子商品」「ポスター」「シール・ステッカー・ラベル」「POP」の全7部門を発表。

総合1位の東京カラー印刷は、商品別でも「ポストカード・DM」「冊子商品」「ポスター」の3部門で1位を獲得した。「ポスター」では前年につづき2年連続1位。また、総合3位の印刷便は「チラシ・フライヤー」「名刺」の2部門で1位を獲得した。

「POP」部門では、ラクスルが6年連続で1位となった。ラクスルは「シール・ステッカー・ラベル」「POP」の2部門で1位を獲得している。

各社の部門項目別ランキング(TOP3まで)
各社の部門項目別ランキング(TOP3まで)

調査概要

  • 調査主体:oricon ME(オリコン)
  • 調査方法:インターネット調査
  • サンプル数:5408人
  • 規定人数:100人以上
  • 調査企業数:27社
  • 定義:以下の条件を満たす企業
    • インターネット上で、印刷の発注ができる印刷通販事業を主としている
    • 名刺、チラシ、冊子など、さまざまな商品の印刷に対応している
      ※印刷通販事業を主としていない企業は対象外
  • 調査期間:2022年12月6日~同12月14日、2021年12月1日~同12月8日、2020年12月7日~同12月16日
  • 調査対象者
    • 性別:指定なし/年齢:18~84歳/地域:全国
    • 条件:以下の条件を満たす人
      • 過去3年以内に印刷通販を利用し、印刷商品の注文を行った
      • ビジネス目的で、印刷商品の注文を行った
      • 印刷商品を自ら受け取っており、品質を確認している
高野 真維

拡大中のペットヘルスケア市場でペットゴーが取り組んだ自社ECサイトの改善施策とは?「新規顧客の獲得」「購入体験を引き上げるUI・UX」を実現した改善アプローチ

2 years 7ヶ月 ago
ペットヘルスケア用品のEC事業を展開するペットゴー。新規顧客の開拓やUI・UXの向上をめざして、ペットゴーが実施した自社ECサイトの改善施策を紹介する
[AD]

犬や猫の栄養食品や医薬品などペット向けのヘルスケア用品をECで展開しているペットゴー。自社ECサイトの新規顧客の開拓、買い物体験の向上につながるUI・UXの実現に向けたサイト改善を実施したところ、半年も経たないうちにLTV(顧客生涯価値)の高い新規顧客の獲得といった成果をあげている。ペットゴーが実施したサイト改善やその成果などを、取締役CTOの小出文彦氏に聞いた。

ペットゴー取締役CTO 小出文彦氏 
ペットゴー取締役CTO 小出文彦氏 

新規顧客の3割超が決済手段に「Amazon Pay」を利用

犬と猫をメインにペット向けの栄養食品や医薬品、ケア用品などを販売しているペットゴー。市場シェア拡大を図るために自社ブランドの開発、AmazonなどさまざまなECモールへの出店、自社ECサイトでのリカーリング収益(将来的に継続する可能性が高い売り上げ)を成長戦略の重要な点としてビジネスを進めている。

売上比率が一番高い自社ECの運営において、改善したいと考えていたことがあった。それが「新規顧客の獲得」と、「より良い購入体験(ユーザーにとって購入しやすいUI・UX)」の2つ。これらを改善・強化するために、ペットゴーが目を付けたのがAmazonのID決済サービス「Amazon Pay」だった。

「Amazon Pay」という決済手段でのアプローチを採用した理由について、小出氏はこう語る。

「Amazon Pay」は初めて使うECサイトでも住所や支払い方法の入力が不要になることから、新規の顧客が使う割合が大きいと感じていました。その意味では顧客への信頼感や利便性の高い決済方法だと思い、導入しようと考えました。加えて、お客さまからも「Amazon Pay」を利用できるようにしてほしいという要望もあったんです。(小出氏)

こうして2022年6月、自社ECサイトに「Amazon Pay」を導入。そして、その成果はすぐに現れる。導入から半年も経たない段階で、自社ECサイトで都度購入する新規顧客のうち、30%以上が「Amazon Pay」を利用するようになったのだ。

小出氏は「想像していたよりもかなり高い数字。素晴らしいと思った」と驚きの声をあげる。

さらに、「Amazon Pay」を利用した顧客は、その後も順調にリピートしており、継続的に売り上げに貢献。LTVの高い顧客獲得につながっている

一般的にECでは、新規顧客の多くが利用する決済方法で購入したお客さまは、リピート購入する割合が低くなりやすい。しかし「Amazon Pay」を使ったお客さまのリピート利用も順調に増えており、非常に効果の高い決済手段だと思います。

小出氏は「Amazon Pay」がリピート購入客の醸成につながっていることも評価している
小出氏は「Amazon Pay」がリピート購入客の醸成につながっていることも評価している

「Amazon Pay」の導入後は、顧客からの問い合わせなどもなくスムーズに利用されており、引き続き利用者は増加しているという。この状況について小出氏は「お客さまに満足いただいているからこそ、目立った問い合わせはなく、利用者が増え続けているのだと思います」と分析している。

導入の魅力“購入しやすさ”“新規獲得キャンペーンへの活用”“不正利用対策”

ペットゴーが「Amazon Pay」を導入して感じた魅力について、小出氏が真っ先にあげるのが購入のしやすさだ。

そもそもペットゴーでは、ECにおける顧客の購入体験には強いこだわりがある。

ペットフードは重さが結構あるので、持ち運びが大変。それを玄関まで届けることができるのはECの強みです。ただ、インターネットで購入するときにサイトの使い勝手が悪いと元も子もありません。そのため、ECサイトでの買いやすさにはすごくこだわっています。(小出氏)

自社ECサイトの訪問者にスムーズな買い物体験を提供するため、ペットゴーは「Amazon Pay」の担当者とUIやUXなどについて話し合い、両社で提案を重ね、こだわりを持って構築してきたという。

こうして、2か月の開発期間を経て「Amazon Pay」を導入。小出氏は「お客さまにとってストレスのない購入プロセスを実現することができた。開発はトラブルもなく、スケジュール通りだったので助かった」と振り返る。

「ペットゴー」のカート内で「Amazon Pay」を選択した後のフロー。「会員情報登録」ではデータがフォームに自動反映され、入力の手間が省かれる
「ペットゴー」のカート内で「Amazon Pay」を選択した後のフロー。「会員情報登録」ではデータがフォームに自動反映され、入力の手間が省かれる

「Amazon Pay」は、Amazonアカウントとの連携によって顧客の住所やクレジットカードなどのお支払い情報を入力する手間を省けるため、数クリックで購入が完了する。ペットゴーの自社ECサイト内にこのスムーズな購入フローを構築したことで、新規顧客の3割が「Amazon Pay」を選ぶという結果につながっている。

お客さまが「Amazon Pay」を使って購入する際は住所やクレジットカード情報などの個人情報を入力する必要がなく、ボタンをクリックするだけでよいので、その便利さは大きな魅力。新規顧客の獲得や、サイト内の買い物のしやすさにつながっています。

特にスマートフォンの操作は入力に手間を感じることが多くなりがちですが、「Amazon Pay」だとストレスなく購入できるのが魅力です。(小出氏)

Amazon ギフトカードの贈呈企画も新規獲得のフックに~マーケティングキャンペーンの実施

「Amazon Pay」の導入にあわせて、新たな新規顧客獲得キャンペーン施策もペットゴーが実施した。これは2022年11月の1か月間に、「Amazon Pay」を利用して8000円以上の買い物をした会員を対象に、500円分のAmazonギフトカードをプレゼントするというもの。キャンペーン「ペットゴー18周年創業祭」の一環として実施した。

このAmazonギフトカードプレゼントキャンペーンについて、小出氏は「お客さまから好評でした。集客効果が高かったため、思っていた以上に新規顧客の獲得ができたんです」と実感している。

通常、ECサイトに追加した新たな決済サービスをプッシュしながら、集客施策などにもつなげることは難しい。一般的に、決済サービスにマーケティング効果は期待できないためだ。しかし、「Amazon Pay」は、事業者側でAmazonギフトカードプレゼントキャンペーンといったマーケティング施策を展開できるため、「新たな顧客にもペットゴーを知ってもらえる機会になりました」(小出氏)と話す。

「Amazon Pay」を使った支払いには、Amazonギフトカード残高を利用することができるので、プレゼントしたAmazonギフトカードを使って、再度ペットゴーでのリピート購入も期待できる。

「ペットゴー18周年創業祭」でAmazonギフトカードのプレゼントキャンペーンを展開
「ペットゴー18周年創業祭」でAmazonギフトカードのプレゼントキャンペーンを展開

上記のほかに、「Amazon Pay」の魅力の1つに不正対策もあるという。

EC事業者の立場からすると、新規顧客が日々増えていくなかで、すべてのお客さまに安心して買い物を楽しんでほしい。そのため、セキュリティ面がカバーされているのは非常にありがたいと感じています。実際、不正対策がしっかりしているため「Amazon Pay」ではチャージバックが発生していません

小出氏はセキュリティ面の強みも「Amazon Pay」導入のメリットだと語る
小出氏はセキュリティ面の強みも「Amazon Pay」導入のメリットだと語る

Amazonはアカウントやクレジットカードの不正利用を24時間365日監視する不正検知システムを採用するなど、世界水準のセキュリティ環境を保有。その環境下で運用される「Amazon Pay」は、不正取引の軽減、カード情報漏えいの防止に役立つとされる。

こうしたセキュリティ基盤を通じて消費者が安心して購入できることも、新規顧客の利用が高い理由の1つになっているのかもしれない。

手数料は“非常にリーズナブル”

「Amazon Pay」の決済手数料は3.9%(デジタルコンテンツは4.5%)。一般的なクレジットカードの手数料よりは多少高いものの、ペットゴーでは新規獲得効果やコンバージョン率の改善などを考慮すると、小出氏は“むしろ割安”だと捉えている。

決済手数料は適切な金額。Amazonアカウント連携で配送情報の入力などが不要になる高い利便性、不正取引対策のセキュリティが充実していることなどを加味すると、通常の決済方法と比べて、むしろ割安に感じます。

新規顧客を開拓するには、広告投資などが必要ですが、利便性などの顧客体験向上による売上効果、セキュリティ水準の高い「Amazon Pay」に対応していること自体が宣伝になっていることなどを考えれば、「Amazon Pay」の手数料は手頃と言っても差し支えないですね。(小出氏)

自社ECサイトへの集客や新規獲得、不正取引対策、問い合わせ対応などのメンテナンスコストの削減などトータルに費用対効果を見極めた場合、「Amazon Pay」の利用料は「非常にリーズナブル」(小出氏)との印象という。

ペットゴーでは今後、サブスクリプションサービスに「Amazon Pay」を導入することも検討中だ。「Amazon Pay」にはサブスクリプションに対応した「自動払い(Auto Pay)」機能がある。消費者が注文時に選択したクレジットカードを利用して今後の支払いにも同意すると、自由に金額やタイミングを設定して請求することが可能。

また、頻度や金額、請求内容のカスタマイズもできる。購入月のスキップや解約も自由に選べるペットゴーのサブスクリプションサービスと相性が良いと言える。

ペットフードは毎月購入するため季節性がありません。一方、医薬品のノミダニ駆除薬などは暖かくなった時などに使うことが多いです。こうしたタイミングでプレゼントキャンペーンができたらお客さまが喜んでくれるのではないでしょうか。前向きに検討していきたいです。

小出氏は「Amazon Pay」の強みを生かしたキャンペーンの実施を検討している
小出氏は「Amazon Pay」の強みを生かしたキャンペーンの実施を検討している
[AD]
吉田 浩章
キヨハラサトル

ライブコマースはどうやったら良い? ライブ配信の始め方やコツ、メリットや成功事例を解説【2023年版】 | E-Commerce Magazine Powered by futureshop

2 years 7ヶ月 ago
コロナ禍で実施企業が増えた「ライブコマース」。売り上げアップにつながる効果的なライブ配信の運用事例などを紹介します

Eコマースの新しい販売方法として注目を集めている「ライブコマース」。アパレル、コスメ、家具・インテリア、食品など幅広いカテゴリーでその活用が広がり始めました。実店舗への集客や、ユーザーとのつながり強化、そしてECサイトの売り上げを伸ばすために、ライブコマースを活用していきたいと考えている企業もいるのではないでしょうか。そこで今回は、ライブコマースを事業として取り組むにあたって、実現方法や注意点、必要な準備、自社ECサイトにおける成功事例などを解説します。

ライブコマースとは

ライブコマースとは、インターネットを使ったライブ配信とEコマースを組み合わせた販売手法のこと。具体的には、InstagramなどのSNSやライブコマース配信プラットフォームサービスを使ってライブ配信を行い、商品を紹介して視聴者をECサイトへ誘導するといった方法があります。

ライブコマースは配信者と視聴者のコミュニケーションを通じて、消費者の購買意欲を高めていきます。たとえば、視聴者からコメントで寄せられた質問を配信者が読み上げ、その場で回答しながら商品について説明するなど、リアルタイムかつ双方向のコミュニケーションが成立するのがライブコマースの特徴です。

ライブコマースが注目されている理由とメリット

EC事業者や実店舗を持つ小売企業がライブコマースに取り組むメリットは、次の3点です。

  1. 商品の魅力を伝えやすい
  2. 購入前の不安をその場で解消できる
  3. 接客で顧客との結びつきを強めることができる

商品の魅力を伝えやすい

ライブ配信なら、ECサイトの文章や写真だけでは伝えきれない商品の魅力を伝えることができます。たとえば、衣類を販売する場合、布を引っ張って見せることで伸縮性を直感的に伝えることが可能ですし、スカートを着用して歩けば素材のふんわり感を伝えることもできるでしょう。衣類以外にも、家具の組み立て方や調理器具の使い方などを実演形式で説明することも可能です。

また、商品の売り手や作り手が、自分の言葉で商品について説明することのメリットも決して小さくはありません。店舗スタッフや商品開発者などが表情豊かに視聴者に語りかけ、身振り・手振りを交えて商品を紹介すれば、作り手や売り手の商品に対する想いや熱量が伝わりやすくなるでしょう。

購入前の不安をその場で解消できる

コメントで視聴者から寄せられた質問に、配信者がその場で回答すれば、購入前の消費者の疑問や不安をリアルタイムで解消することができます。

消費者がECサイトで商品を購入する場合、商品の素材や使い方といった「商品そのものに関する情報」を知りたいのはもちろんのこと、過去に購入した商品との相性や、自分の身長や体型に商品サイズが合っているかなど、さまざまな疑問が湧いてくるものです。ECサイトで利用できる決済方法や返品ルールなど、買い物に関する決まりごとも確認しておきたいでしょう。

ライブコマースなら、実店舗で店員さんに相談しながら買い物をするのと同じような感覚で、配信者に質問や相談を行いながらオンラインショッピングを楽しむことができます。この特徴を踏まえ、配信者が視聴者としっかりコミュニケーションを取ることがライブコマースを成功させるポイントです。

接客で顧客との結びつきを強めることができる

売り手が顔を出し、肉声で視聴者に語りかけることで、売り手に対する親近感を抱いてもらう効果も期待できます。配信者がコメントを読み上げ、「○○さん、ご質問ありがとうございます」などとアカウント名を呼んで話しかければ、顧客との心理的な結びつきを強めることもできるでしょう。

そもそも、消費者がライブコマースを視聴するのは何故でしょうか。その理由を突き詰めると、次の2点が考えられます。

  1. ECサイトで買い物をする前に、商品や買い方について詳しく聞きたい
  2. ブランドまたは配信者のファンで、ライブ配信そのものを楽しみにしている

1つ目は「買い物」が目的ですが、2つ目は「配信者との交流」が目的です。つまり、ライブコマースは単に商品を売るためのものではなく、売り手(配信者)と顧客(視聴者)がつながる機会を創出する場でもあるのです。

非対面で商品を販売するECにおいて、顧客と直接深いつながりを持つことができるチャネルは貴重です。2020年春以降、新型コロナウイルスの感染拡大によって実店舗における対面販売が制限を受けました。外出機会も減るなか、どこにいても店舗スタッフが顧客とつながるチャネルとしてもライブコマースは重要でしょう。

ライブコマースのデメリットや注意点

ライブコマースは、さまざまなメリットがある一方でデメリットや注意点もあります。主なものは次の4点です。

  1. 視聴者を集める集客施策が不可欠
  2. 配信者はスキルが必要
  3. 配信環境の整備や、不測の事態への備えが必要
  4. 配信内容によってはブランドイメージの低下を招く

ライブコマースを実施する際は、上記のデメリットや注意点を踏まえた準備が必要です。準備の具体的な内容は「ライブコマース開始に向けた準備」の章で詳しく解説していますので参考にしてください。

ライブコマースの市場規模と事例

近年急速に広がっていると言われるライブコマース市場ですが、日本においては黎明期であり市場規模はまだ小さいと思われます。

日本国内におけるライブコマースの市場規模に関する政府統計などの公式データは、2022年11月時点では見つけることができませんでした。ただ、多くの企業がライブコマースに参入していることを踏まえると、これから市場が拡大していく可能性は高いと考えられます。

コロナ禍で多くの企業がライブコマースに取り組むようになりました。たとえば、2020年3月以降にビームス、ベイクルーズ、資生堂、ジーユーといった大手が続々とライブコマースに参入しています。

ライブコマースは中国で先行

ライブコマースは中国で先行して普及しました。日本貿易振興機構(JETRO)が2021年7月27日に公開したレポート「ライブコマース、健全な発展を見据えて(中国)」で言及されているデータによると、中国におけるライブコマースの市場規模は2021年時点(予測値)で1兆9950億元(1元=20円なら約4兆円)。5年で50倍以上に拡大しています。

EC先進国である中国でライブコマースが急速に広がっていることを踏まえると、日本でも数年遅れでライブコマースがトレンドになるかもしれません。

※出典:日本貿易振興機構「ライブコマース、健全な発展を見据えて(中国)」

ライブコマースに向いている業界・商材は?

ライブコマースは化粧品やアパレル・ファッションなど、商品の見栄えが消費者の購入意欲に影響する商材に向いています。メイクの実演や衣類を着用してのウォーキングなど、ライブ配信ならではの演出で商品の魅力を伝えることができるためです。それ以外の商材では、家具やインテリアの組み立て方やコーディネートを紹介する、調理家電の実演を行うといったことも効果的でしょう。

なお、SNSのライブ配信機能を使ってライブコマースを行う場合、SNSごとの利用者属性(年齢層や性別など)にマッチした商材を選ぶこともポイントです。たとえばInstagramは10代~30代の女性利用者が多いとされていますので、その年代をターゲットにしたコスメやアパレルなどとの相性が良いと考えられます。

こだわり商品や訳あり品

ライブ配信は口頭で商品について詳しく説明できるため、製法にこだわった商品や歴史のある特産品、ニッチなニーズに応える商品などを販売することにも向いています。高額商品やB級品など、消費者に納得してもらうために十分な説明が必要となる商材も、ライブコマースであれば対面販売のような感覚で売ることができます

ライブコマース開始に向けた準備

ライブコマースを成功させるには販売者側の事前準備が大切です。配信方法、たとえば配信機材や通信環境を整えるのはもちろんのこと、出演者の人選や在庫の確保、スムーズな購入導線の整備、視聴者の集客、想定質問への回答マニュアルなども必要です。

ライブコマースに必要な準備

  1. 配信機材
  2. 通信環境
  3. 配信者
  4. 商品在庫と購入導線
  5. 視聴者の集客施策
  6. 想定質問への回答
  7. 台本・トークマニュアル

配信機材

ライブコマースはスマホ1台あれば実施することが可能です。ただ、商品や配信者の顔を綺麗に見せたい場合など、一定以上の画質を保つには撮影用のカメラや照明、マイクといった専用機材を使用した方が良いでしょう。

また、音声や映像が乱れた、照明が暗くて配信者の顔や商品が見えにくいなど、ライブ動画配信中にトラブルが起きた際のマニュアルも作っておくと安心です。

通信環境

生配信が途切れないように安定した通信回線を使用することも重要です。本番前に必ずテスト配信を行い、音声や映像に問題がないか確認してください。

配信者

カメラに向かって語りかけ、次々と流れてくるコメントを読み上げてその場で回答するなど、ライブコマースの配信者には相応のトークスキルが求められます。社員が配信者を務める場合は慎重に人選を行い、慣れるまでは台本を作って練習の時間を十分に設ける、コメント読み上げを別の担当者に行ってもらうなど、トレーニング環境を整えることが必要です。

そもそもカメラの前で会話をしながら商品を説明すること自体、簡単なことではありません。ライブ販売は長期的な視点で、配信者を育てる意識を持つことも大切です。

社員だけで配信することが難しい場合には、タレントやインフルエンサーをゲスト起用することも選択肢に入ります。ライブ配信を生業とする「ライバー」や、ライブコマースの出演で稼ぐ「コマーサー」と呼ばれるインフルエンサーに依頼するのも良いでしょう。

ただし、配信者が「仕事で商品を紹介している」という態度が透けて見えてしまうと、視聴者はがっかりしてしまいます。外部のインフルエンサーなどに出演を依頼する場合には、普段から商品を愛用している人など、紹介するブランドや商品のことを十分に理解している人を選びましょう。

商品在庫と購入導線

ライブコマースで紹介する商品は、過剰在庫を避けつつできるだけ機会損失を防ぐために、予想される視聴者数から必要な在庫数量を逆算して在庫を確保しておきましょう。もちろんですが、古着やジュエリーなど一点物の場合はその限りではありません。

スムーズな購入導線を整えておくことも、コンバージョン率向上のために重要です。SNSでライブコマースを行う場合はライブ配信の視聴者を誘導するランディングページを準備するなど、買い物しやすい環境整備を行いましょう。

ライブコマース限定キャンペーンなどを実施する場合には、視聴者からの問い合わせがコールセンターに寄せられる可能性も考慮し、あらかじめカスタマーサポート担当者と情報を共有しておくなど関係部署と連携して準備を進めましょう。

視聴者の集客施策

ライブ配信を行う際は、事前にメルマガやSNS投稿、LINEなどで告知することが不可欠です。ライブ配信を視聴する動機付けとして、限定ポイント倍率アップ特典や限定商品の販売などイベントを実施するのも良いでしょう。

ただし、集客施策を行うには、メルマガ会員やSNSアカウントのフォロワー、LINEでのお友達がある程度の人数に達していることが前提となります。ECサイトでメルマガ会員の獲得を図る、SNSで情報発信やフォロワーと交流するなど、普段から顧客リストの蓄積に取り組むことがライブコマースの成果につながるでしょう。

想定質問への回答

ライブコマースの醍醐味は、視聴者から寄せられたコメントに配信者が即答する「ライブ感」と「双方向性」です。想定される質問への回答をあらかじめ準備しておくと、視聴者からの質問にスムーズに回答できます。配信者がコメントを拾いきれなかった場合、ディレクターなどがフリップで配信者に指示を出すなど、サポート体制を整えておくのも良いでしょう。

台本・トークマニュアル

配信者の言動や態度に問題があると、ライブコマースを実施した結果、ブランドイメージが低下する可能性があります。丁寧な言葉遣いで話し、差別用語などを使わないのは当然のこと、視聴者からのコメントへの反応や態度にも注意が必要です。トークマニュアルを作って失言を防ぎ、配信者の発言に問題があった場合には即座に訂正する体制を整えておくと良いでしょう。

ライブコマースを始める際に必要なシステム

ライブコマースの配信方法は大別すると2種類あります。1つ目は、Instagram、Facebook、YouTubeといったSNSのライブ配信機能を使う方法。2つ目は、ライブコマース配信プラットフォームサービスを使用する方法です。それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

SNSのライブ配信機能

【主なSNSプラットフォーム】

Instagram、Facebook、YouTube、LINE

メリット

SNSのライブ配信機能を使えば、手軽にライブコマースを始めることができます。スマホ1台で撮影し、配信そのものは無料もしくは安価に実施できます。また、InstagramやYouTube、LINEなど多くのユーザーが日常的に使用しているアプリを使うことで、ターゲットとなる視聴者に専用アプリを入れてもらう手間も省けます

デメリット

視聴者が商品を購入するにはSNSからECサイトに遷移する必要があるため、画面遷移の際に視聴者が離脱する可能性があります。また、ライブ配信をスマホで視聴している場合、ECサイトに遷移するとライブ配信を視聴できなくなるため、配信を見続けたい視聴者がECサイトに遷移しない可能性もあります。

ライブコマース配信プラットフォーム

【主なサービス】

HandsUP、Livekit、ライコマ

メリット

ライブコマース配信プラットフォームは、ライブ配信中に画面内に商品情報を表示し、そのままカートに投入できるなど、ライブコマースに役立つさまざまな機能を備えています。視聴者はライブ配信を見ながら商品をカートに投入できるため、画面遷移による離脱が起こりません

デメリット

ツールの初期費用や月額費用などがかかります。固定費が発生することを踏まえると、月に数回、継続的にライブコマースを実施する企業に向いています。

ライブコマース配信プラットフォームで購入までできる場合は、商品登録や受注処理など、新たに覚えないといけないことが出てくるため、慣れるまで時間が必要でしょう。

ライブコマースのコツ

最後に、ライブコマースを行う際のポイントを紹介します。

顧客との交流を大切に

ライブコマースは顧客との交流を通じてファンを増やしていくことが大切です。ライブ配信限定のイベントを開催したり、配信中はコメントを通じて積極的に交流したりするなど、配信そのものを楽しんでもらえるように心がけると、長い目で見た際、視聴者数や売り上げの増加につながります。

ライブコマース視聴者は、そもそもファンなどブランドや商品の興味度合いが高い傾向にあります。そのため、ライブコマースでは既存顧客とコミュニケーションを深める場として、コミュニティ化をめざすのも戦略の1つです。

達成しやすい目的(KPI)を設定

ライブコマースの目標数値(KPI)を設定する場合、売上高だけを目標にすると計画未達が続いてモチベーションが下がる可能性があります。ライブコマースは最初から商品がたくさん売れるとは限りません。まずは「隔週、決まった曜日に定期的に配信する」「視聴者数100人をめざす」など、売り上げ以外の目標を設定すると続けやすいでしょう。

限定感や特別感の演出

ライブコマース先行販売や視聴者限定クーポンのオファーを出すなど、限定感や特別感を演出して購入の後押しをするのも成功につながるでしょう。ECでの販売方法を工夫することで、相乗効果が生まれます。

販売データやコメントを分析

ライブコマースで売れた商品の傾向を分析し、次回以降の配信に生かすなど、PDCAサイクルを回すことも重要です。コメントで寄せられた質問の内容を分析して顧客のニーズを把握し、プロモーションや商品開発に生かすこともできます。

まとめ

実店舗やECサイトを持つ企業にとってライブコマースは、売上拡大や顧客との関係強化を図るための重要な手段であり、挑戦する価値がある手法です。中国など海外ではライブコマースが急速に広がっています。日本は黎明期だからこそ、他社に先んじてライブコマースに取り組めば先行者利益を得られるのではないでしょうか。

また、ライブコマース開催の目的は、ブランドのファンや実店舗の常連の方々を対象につながりを深め、顧客のコミュニティ化を実現するといった一面もあります。テレビショッピングのように不特定多数に向けた開催ではなく、参加者が誰かわかるくらい配信者を限定し、顧客1人ひとりとさらにつながりを深めるのも効果的なライブコマースの開催方法です。

ECに限らず、これからの物販は「人に顧客がつく時代」とも言われています。実際、アパレル業界などで導入が進んでいるコーディネート投稿ツール「STAFF START」を活用し、販売員さんが1人で月間1億円以上をECで売り上げるといった事例も出てきました。

「人」が主役となって商品を売るこれからの時代には、顧客との双方向のコミュニケーションが可能なライブコマースの重要性が一層高まっていくでしょう。

この記事はフューチャーショップのオウンドメディア『E-Commerce Magazine』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。

E-Commerce Magazine

TSIが「ナノ・ユニバース」全店舗に「LINE STAFF START」を導入

2 years 7ヶ月 ago

TSIはアパレルブランド「ナノ・ユニバース」の全店に、「LINE」でコーディネートやキャンペーンなどの情報発信ができるオンライン接客サービス「LINE STAFF START」を導入した。

顧客エンゲージメント向上、スタッフインフルエンサー育成をめざす

「ナノ・ユニバース」は、店舗スタッフ1人ひとりが「連絡可能な顧客」とつながることで、来店を待つだけではなく自ら働きかける営業スタイルをめざしている。その実現のため、スタッフとユーザーが1to1でつながれる「LINE STAFF START」を全店に導入した。

TSIホールディングス ナノ・ユニバース LINE STAFF START導入 オンライン接客
TSIホールディングスが「ナノ・ユニバース」全店にオンライン接客サービス「LINE STAFF START」を導入

TSIは2022年、「LINE STAFF START」の友だちを対象としたクーポン配信キャンペーンを「ナノ・ユニバース」で実施。公式アプリやメルマガなど他の一斉送信ツールを用いたものよりCVRが高く、売上向上への効果を実感しているという。

「LINE STAFF START」を通してユーザーとコミュニケーションを取ることで、ユーザーは日常生活の動線のなかでスタッフとやり取りができ、スタッフは勤務時間内で安心・安全に連絡ができるようになる。

また、各スタッフがパーソナライズした情報を発信することによる、顧客エンゲージメントの向上、「スタッフインフルエンサー」の育成をめざす。

導入に際し、TSIホールディングスの木村亮介氏(ナノ・ユニバース事業部 販売統括セクション プロパー店統括)は次のようにコメントした。

来店を促す目的で導入した「LINE STAFF START」だが、お客さまにとって利便性が高い方を優先すべきで、オンラインでの購入でもいいと考えている。「LINE STAFF START」は、スタッフとのコミュニケーションを通じて購入のきっかけになればいい。

リアルの店舗とオンラインがお客さまを取り合うのではなく、「どちらか便利な方を使ってください」というきっかけとして、「LINE STAFF START」は「ナノ・ユニバース」の戦略と相性がいいと感じている。

「LINE STAFF START」とは

スタッフがユーザーと「LINE」で直接コミュニケーションを図れるサービス。LINEが提供する個人・法人向けアカウントサービス「LINE公式アカウント」を通して、バニッシュ・スタンダードが提供する「STAFF START」の機能を活用することで、商品やコーディネート、キャンペーンなどの情報発信、チャットによるオンライン接客などを行える。また、オンライン接客を通じたスタッフ個人の売り上げを可視化することができる。

オンライン接客 LINE STAFF STARTについて
「LINE STAFF START」について
藤田遥

倉庫内を見学&売り上げアップの戦略を学べるセミナー「物流セミナー&倉庫見学会」【5/25(関東)・26(関西)で開催】

2 years 7ヶ月 ago

スクロール360は5月25日(木)、26日(金)に、関東(茨城県つくば市)と関西(大阪府大阪市)の2拠点で「物流倉庫見学会」を開催する。

▼「顧客満足につなげるEC物流の全貌を学ぶ『物流倉庫見学会』」(5/25開催)

物流 倉庫見学会 スクロール360

スクロール360の物流現場「SLCみらい」で、在庫管理から梱包、出荷業務などを実際に見学できる。見学後は質疑応答や無料の個別相談会も実施する。

こんな方にオススメ

  • EC通販のフルフィルメント代行を検討中
  • 既にフルフィルメントをアウトソーシング中で、他社の運用方法も学びたい
  • 自社で物流センターを運営しており、他社事例を学びたい

開催概要

  • イベント名:顧客満足につなげるEC物流の全貌を学ぶ「物流倉庫見学会」
  • 日時:5月25日(木)13:00~15:30
  • 会場:スクロールロジスティクスセンターみらい(SLCみらい)(茨城県つくばみらい市紫峰ヶ丘3丁目36番1)
  • 参加費:無料(事前申し込み必要)
  • 定員:先着5社(1社につき2名まで)
  • 参加対象者:EC通販事業者(法人登記済みの事業者)
  • 主催:スクロール360
  • 申込期限:5月18日(木)17:30まで
  • 詳細と申し込みhttps://www.scroll360.jp/topics/20230426-8538/

 

▼「売上100億円に迫るナチュラムの戦略と物流を大公開!『物流セミナー&倉庫見学会』」(5/26開催)

セミナー 物流 倉庫見学会 スクロール360

スクロール360の物流現場「SLC関西2」で、在庫管理から梱包、出荷業務などを実際に見学できる。見学会の前には、スクロール360の高山隆司氏(常務取締役)が登壇するセミナー「絶好調ナチュラムのフルフィルメント戦略」を実施する。

こんな方にオススメ

  • どのような在庫管理を行っているのか、実際に見てみたい
  • 保管効率や作業効率を高める施策を、自分の目で確かめたい
  • EC通販の売り上げアップに悩んでいる
  • 具体的な成功事例を知りたい

開催概要

  • イベント名:売上100億円に迫るナチュラムの戦略と物流を大公開!「物流セミナー&倉庫見学会」
  • 日時:5月26日(金)14:00~17:00
  • 会場:スクロールロジスティクスセンター関西2(SLC関西2)(大阪府大阪市住之江区南港中1丁目4-140)
  • 参加費:無料(事前申し込み必要)
  • 定員:先着10人(1社につき2名まで)
  • 参加対象者:EC通販事業者(法人登記済みの事業者)
  • 主催:スクロール360
  • 申込期限:5月19日(金)17:30まで
  • 詳細と申し込みhttps://www.scroll360.jp/topics/20230421-8511/
藤田遥

採用活動で約6割の企業がSNSを活用、使うのはTwitterが最多 【人事担当者への調査まとめ】

2 years 7ヶ月 ago

東海ビジネスサービスが、全国の人事責任者・人事担当者を対象に実施した「人事担当から見た採用の課題」に関する調査によると、7割以上が企業と求職者のミスマッチに課題を感じていることがわかった。

また、約半数の企業が中途採用に力を入れており、「即戦力を採用したい」と考えている企業が多い。このほか、約6割の企業が採用活動にSNSを取り入れており、SNSを活用した採用が浸透している。

採用活動の課題1位は「求める人材が来ない」

人事責任者に採用活動でどのような課題を抱えているのか聞いたところ、「求めている人材が来ない」が71.2%。「応募が来ない」(41.0%)、「辞退率が高い」(31.7%)が続いた。

企業が求める人材と応募者が合わないという課題が最も多い
企業が求める人材と応募者が合わないという課題が最も多い

「課題はない」と回答した企業の人事責任者にその理由を聞いたところ、次のような声があがった。

  • 毎年希望通りに雇用できている(40代/男性/石川県)
  • 円滑に採用活動を行っており、不具合などは確認されていない(40代/男性/兵庫県)
  • うまく回っている(40代/男性/愛知県)
  • 応募者がいつも多いから(50代/男性/埼玉県)

成果が高いのは「就活エージェント」「ハローワーク」。SNSは効果がある?

最も力を入れている採用は「中途採用」(54.2%)が最多で、「新卒採用」(40.5%)、「紹介採用」(4.9%)が続いた。

また、採用活動で成果が高かったのは「中途向け就活エージェント」(38.1%)が最も多く、次いで「ハローワーク」(29.8%)、「新卒向け就活エージェント」(27.3%)だった。

多くの企業で中途採用のニーズが高い
多くの企業で中途採用のニーズが高い

採用活動で今後取り組みたいことでは、スキルマッチング(応募者の持つスキルを重視する採用手法)、SNS、副業などの声があった。

  • SNSの活用(40代/男性/東京都)
  • ヘッドハンティング(50代/男性/神奈川県)
  • 副業を認める(50代/男性/東京都)
  • スキルマッチング(50代/男性/東京都)

採用活動でのSNS活用を質問したところ、「活用している」(59.6%)、「以前、活用していた」(9.6%)、「活用したことはない」(30.8%)。

企業の採用活動におけるSNSの活用
企業の採用活動におけるSNSの活用

「以前、活用していた」「活用したことはない」という回答者に採用活動でSNSを活用していない(もしくは活用をやめた)理由を質問したところ、「効果がないと思っている」(27.0%)が最多。「活用方法が分からない」(21.3%)、「手間がかかる」(18.9%)と続いた。効果がないと感じている人だけでなく、活用したくても方法がわからないという人事担当者もいるようだ。

採用で使用しているSNSを聞いたところ、Twitterが6割を超えた。そのほかは、「Instagram」(49.1%)、「Facebook」(42.8%)、「LINE」(41.1%)、「YouTube」(33.6%)だった。

SNSを活用する企業のうち6割超がTwitterを使用している
SNSを活用する企業のうち6割超がTwitterを使用している

半数以上が採用管理システムを導入

企業と求職者のマッチングは難しいため、ATS(採用管理システム)を導入する企業もある。ATSの導入状況を質問したところ、半数以上が「導入している」(51.2%)と回答した。

採用管理システムの導入有無と、導入の理由
採用管理システムの導入有無と、導入の理由

「導入している」と回答した人事責任者・担当者に、ATSを導入している理由を聞いたところ、「時間的コストの削減」(49.9%)が最多。「金銭的コストの削減」(28.2%)、「人的コストの削減」(21.7%)が続いた。

調査概要:「人事担当から見た採用の課題」に関する調査

  • 調査期間:2023年3月13日・3月14日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査人数:1009人(全国の人事責任者:205人/人事担当者:804人)
  • 調査対象:全国の人事責任者・人事担当者
  • モニター提供元:ゼネラルリサーチ
高野 真維

【2023年GWの配送まとめ】ヤマト運輸、日本郵便の配送対応&遅延可能性について

2 years 7ヶ月 ago

ヤマト運輸と日本郵便の、ゴールデンウィーク(2023年4月29日~5月7日)に予想される宅配便の配送状況をまとめた。

ヤマト運輸

交通渋滞や航空荷物の搭載制限により、荷物の配達に遅れが生じる可能性がある。日数に余裕を持った荷物の発送を勧めている。

ゴールデンウィーク対象期間中、一部営業所において窓口受付業務の休止や受付時間を短縮する。最寄りの営業所が休止や受付を終了している場合、近隣の営業所を利用するように呼び掛けている。

営業所以外で荷物の発送や受け取りを利用できるコンビニエンスストアなどの各店舗、宅配便ロッカー「PUDOステーション」設置施設などの営業時間は、各店舗・施設のホームページや告知を確認するよう依頼している。

日本郵便

高速道路の交通渋滞・船舶の運休、旅客の増加に伴う搭載制限などで、配達に遅れが生じる可能性がある。

4月27日から5月7日の期間、速達扱いの郵便物など、ゆうパックは半日程度の遅延を予想。ゆうパケット、その他の郵便物は1日程度遅れる可能性があるとしている。

利用者には、日数に余裕を持った郵便物、ゆうパックの差し出し・発送を呼び掛けている。

日本郵便は、普通扱いとする郵便物・ゆうメール(特定記録とするものを含む)について、国民の祝日、土曜日、日曜日の配達を休止しており、期日のある郵便物などを利用する際には、配達日に注意する必要があるとしている。

なお、速達、書留、簡易書留、ゆうパック、ゆうパケット、レターパックプラス、レターパックライト、クリックポストなどは、国民の祝日、土曜日および日曜日も配達する。なお、祝日の5月5日は、普通扱いとする郵便物・ゆうメールの配達を行う。

石居 岳

ZOZOの配送コストが低減した理由は?「荷造運賃」の低減につながった物流対策&定価販売と値引き抑制

2 years 7ヶ月 ago

人件費の上昇、燃料価格高騰などで物流費が増加しているなか、ZOZOでは物流対策、定価販売増、値引き販売の減少が物流コスト比率の低減につながっている。

物流費で最も大きな割合を占める荷造費や発送費の「荷造運賃」。ZOZOでは2023年3月期における「荷造運賃」は324億2100万円に達している。2023年3月期の商品取扱高は5443億円で前期比7%増と伸長した一方、商品取扱高に占める「荷造運賃」の割合は6.5%で、前期比0.3ポイント減った。

ZOZO 販売管理費の内訳
販管費の内訳(画像はIR資料からキャプチャ)

ZOZOはその要因について、「商品配送に係る段ボールなどのサイズ適正化ならびに出荷単価上昇によるコスト低減影響が燃油サーチャージ適用によるコスト増加影響を上回った」と説明する。

段ボールのサイズ最適化では、過剰梱包を防ぐために複数サイズを用意し、商品に合わせて梱包。また、スタッフが商品梱包時に適正サイズの資材を容易に選択できる仕組みも導入している。これにより過剰梱包が減少、トラックへの積載効率の向上にもつながっているという。

2023年3月期の平均出荷単価は同4.1%増の8300円、平均商品単価は同6.3%増の3987億円。出店するアパレル企業がコスト増対策として定価販売、値引き抑制を推進したことで平均商品単価が増加。1注文あたりの購入点数が低減といった影響が出たものの、平均商品単価の上昇によって平均出荷単価も伸びた。

ZOZO 平均商品単価、平均出荷単など
平均商品単価、平均出荷単など(画像はIR資料からキャプチャ)

また、2022年8月には1件あたりの送料を税込210円から同250円に引き上げていることも影響したと見られる。

2023年3月期の商品取扱高営業利益率は11.3%で、前年実績の10.7%から0.6ポイント改善している。

瀧川 正実

ジャパネットたかたグループの連結売上は前期比1.1%減/日本郵便が一部「荷物の付加サービス」料金を値上げ&廃止【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

2 years 7ヶ月 ago
2023年4月21日~2023年4月27日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. ジャパネットたかたグループの連結売上は前期比1.1%減の2487億円【2022年12月期】

    2022年12月期は店舗回帰の消費行動などが影響したと見られる。コロナ禍前の2019年12月期から2022年12月期の年平均成長率(CAGR)は6.2%

    2023/4/21
  2. 日本郵便が一部「荷物の付加サービス」料金を値上げ&廃止、郵便物の特殊取扱料と国際郵便料金も料金引き上げ

    デジタル化の進展による郵便物の減少、燃料費の高騰、2024年の物流問題などを踏まえ、一部サービスの値上げと廃止で、配送サービスの安定的な提供体制を維持する

    2023/4/26
  3. 「楽天24」の物流センターが東京都八王子市で稼働開始。関東地方の中心拠点として新設

    「楽天24」の流通が伸長し、既存の物流センターの稼働率が上がったことを受け、新たな物流センターを開設した

    2023/4/21
  4. ヤフー、「Yahoo!ショッピング」内の低価格・割引率が高い商品を集めた企画「トクプラ」を終了

    「トクプラ」は、「Yahoo!ショッピング」の低価格・割引率が高い商品を集めた企画で、セール品、在庫処分品、アウトレット、訳あり商品などを50%以上の割引率などで販売していた

    2023/4/24
     
  5. 検索動向の振り返りで痛感「顧客ニーズへ最適に応える重要性」。2023年以降のポイントは“過去データに頼りすぎない”こと

    ユウキノイン代表取締役の酒匂雄二氏がコロナ禍の検索動向を振り返りつつ、今後のSEOのポイントを解説します

    2023/4/26
     
  6. 国内ユニクロのEC売上は9.7%増の794億円【2023年度中間期】

    国内ユニクロ事業に占めるEC売上高の割合は0.4ポイント減の16.0%

    2023/4/21
     
  7. SDGsをやったら儲かりますか?「人」「時間」「お金」がない企業が知っておくべき事例+やるべき理由+すぐできる取り組み

    コロナを機に、消費者が環境を意識した商品を積極的に購入するようになり、エシカルな取り組みを大々的に行う企業が増え、多くのネットショップが注目するテーマになった

    2023/4/24
     
  8. ワコールが食品ECに進出、出品型ECサイト「WACOAL SPOON」で厳選した商品を販売

    「WACOAL SPOON」は“からだとこころに幸せ運ぶ”がコンセプトのモール型ECサイト。商品を出品した事業者が販売元になるモール形式で、出品者が直接消費者に商品を送る

    2023/4/25
     
  9. ECサイト利用者の約8割が「購入目的なくてもECサイトを訪問」

    NTTレゾナントが発表した「ECサイトと実店舗の関係に関する調査レポート」によると、実店舗での購入傾向が高いのは「食品」「衣類」

    2023/4/24
     
  10. OMOって何をしたら良いの? 実施する重要性、有効な施策、メリット・デメリットなどを解説

    ECの利用拡大が進むなか、OMOの実現は売り上げアップに不可欠になりつつあります。数あるOMO施策のなかでも始めやすく、有効な機能にはどんなものがあるのでしょうか?

    2023/4/24
     

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

藤田遥
確認済み
29 分 32 秒 ago
ネットショップ担当者フォーラム フィード を購読

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る