ネットショップ担当者フォーラム

アスクルの「LOHACO」が初の黒字化。インフレや原価高騰など環境の変化には法人向け商品のBtoC展開などで対応する方針

2 years 5ヶ月 ago

アスクルの2023年5月期連結業績によると、BtoC事業の売上高は前期比10.5%減の632億5200万円、営業利益は3億円の黒字(前期は24億円の営業損失)に転じた。

BtoC事業のうち、「LOHACO」の売上高は同15.0%減の461億7600万円で、営業利益は前期比30億円増で「通期の黒字化を実現できた」(アスクル)

アスクルの2023年5月期連結業績
2023年5月期連結業績(画像はIR資料からキャプチャ)

「LOHACO」の通期黒字化の要因の1つが1箱当たりの売上単価の向上で、2023年3-5月期(第4四半期)は前年同期比19.2%増。販促手法の見直しや配送バー改定の効果などで1箱当たりの売上高が増加し、売上総利益率が上昇した。また、BtoB事業との融合を進めたことで、固定費の低減など利益構造が改善し黒字化に貢献した。

アスクルは、アフターコロナ、インフレ・原価高騰、物流コスト増といった外部環境の変化を成長機会と捉え、変化対応で進化を続けていく方針。

アフターコロナは人流の回復・活発化で、日用品、生活用品、オフィス用品の需要を積極的に取り込む。成長分野では品ぞろえの拡充、専門商材を強化することで売上高を増加させる。

インフレ・仕入原価高騰に関しては、仕入先の柔軟な変更・見直し、仕入方法の見直しを図り。機動的、柔軟な価格改定も視野に入れる。

「2024年物流問題」に代表される物流コストの増加については、自社の輸配送ネットワークの強化、自社の配送システムを配送パートナーに開放し、パートナーの生産性を高める。自動化への投資による生産性向上、UIやUXといったECサイト上での売り方を工夫し配送個数の減少に取り組む。

アスクルは、アフターコロナ、インフレ・原価高騰、物流コスト増といった外部環境の変化を成長機会と捉え、変化対応で進化を続けていく方針
環境の変化への対応(画像はIR資料からキャプチャ)

「LOHACO」では、BtoBで販売している大容量の業務用商品を個人向けに開放。業務用・大容量ニーズ、低価格志向へ対応する。また、家庭用品、ガーデニング、DIYといった高単価・高収益商品を取り扱い販売領域を広げる。日用消耗品を中心にBtoBの規模を生かしてオリジナル商品を強化、価格訴求力を向上する。

2024年5月期に取り組むこと(画像はIR資料からキャプチャ)

 

瀧川 正実

「リピート客」を生むためのCRM、ちゃんと理解していますか? 顧客を管理する9つのセグメント、KPI設定のコツを解説 | みんなのCRMアカデミー byライフェックス

2 years 5ヶ月 ago
EC・通販事業運用で重要なCRM。その定義や押さえるべきポイントについて解説します【連載2回目】

EC・通販事業を運営する上で重要なCRM(顧客管理)。「CRMとは何か?」と聞かれて、正確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。CRM施策を行う上で重要なのは「顧客との関係を管理する定義」をきちんと理解することです。「顧客のニーズを掴むためのCRMの定義」「CRMにしかできないこと」「CRMでめざすべきKPI」について解説します。

顧客との関係を管理する「CRM」の定義

CRMは「Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)」の略で、「顧客関係管理」のことです。この「顧客関係管理」とはどのようなものでしょうか。

顧客情報は、自社のサービスに接触した人(顧客)との関係を良好に維持し、向上させるアプローチのために集めた情報を一元化したもの。すべての施策はこの顧客情報から始まります

顧客情報のなかには「購入履歴」と「接触履歴」があり、それぞれ次のようなことがわかります。

購入履歴

  • 何の商品を購入しているか
  • 何回、何円分購入しているか
  • 現在も購入継続中かどうか

接触履歴

  • どのような手段で接触しているか
  • 初回購入経路は何か
  • 2回目以降は何を見て購入しているか
  • 問い合わせなどは何から接触しているか

特に、接触履歴の「何を見て購入したか」は、EC・通販事業の戦略を考えるために重要な要素です。

顧客を管理する9つのセグメント

さらに顧客を管理する上で、9つのセグメントに顧客を切り分けます。

セグメントとは顧客を細分化した区分のこと。製品への認識、購買過程、購買行動など共通している内容ごとに顧客を分類しています。

ひとことに「顧客」といってもさまざまですが、多くの場合、以下の9つのセグメントに分けて管理されます。

  1. 未認知顧客
  2. 認知顧客
  3. 未購入顧客
  4. 新規顧客
  5. 既存顧客
  6. 積極的なロイヤル顧客
  7. 消極的なロイヤル顧客
  8. 休眠顧客
  9. 退会顧客

未認知顧客

商品をまったく知らない顧客のこと。購入前に商品・サービスの情報を与えて、認知してもらう必要があります。新聞、電車の吊り革広告、SNSなどが認知のきっかけになります。

認知顧客

商品・サービスを認知しているけれど、まだ購入に至らない顧客のことです。目に入った商品・サービスがユーザーの興味・関心を引き、「買ってみよう」「情報を知ってみよう」と心を動かす必要があります

未購入顧客

検討状態でユーザー登録までしたものの、まだ購入したことがない顧客のことです。「少し情報を知りたい」と思い、店舗に足を運び商品を見たけれど買わなかった人、500円クーポンなど特典のために登録だけした人などが該当します。購入に至らなかった要因を分析して購入へと導き、新規顧客に変えていく動きが必要です。

新規顧客

初めて購入した顧客のこと。どの媒体(TV・Web・新聞など)から来たのか接触履歴を把握しつつ、既存顧客に育てていく必要があります。

既存顧客

2回目以降の購入客のことです。どのように商品・サービスに接触したかをデータ化し、購入に至った経路をセグメントしましょう。その上でリピート購入してもらうための施策が重要になります。

ロイヤル顧客

ロイヤル顧客には、大きく分けて2つの定義があります。

  • 積極的なロイヤル顧客

企業やブランドに対して強い愛着、信頼感を持つ顧客のことです。既存顧客を育てることで、ロイヤル顧客になっていきます。

  • 消極的なロイヤル顧客

企業やブランドを使い続けているが、他社で良い条件があれば移ってしまう可能性がある顧客のことです。何らかの理由で愛着心を持ちきれず、不満・批判的な意見を持っていることが積極的なロイヤル顧客と異なる点です。

ライフェックス lifex CRM ロイヤル顧客
「ロイヤル顧客」について

ロイヤル顧客は上記の2つに分けて考え、できるだけ積極的なロイヤル顧客化していくことで、LTV(顧客生涯価値)の最大化につなげていきます

休眠顧客

定期商品やサービスを一定期間停止している顧客です。もう一度利用してもらえるように施策を打つ必要があります。

退会顧客

すでにサービスや商品の購入を止めてしまった顧客です。誤って連絡しないよう、退会顧客のデータはマスキングしておきましょう。

紹介した9つのセグメントは、基本的にはどの分野、業種・業態でも使うべきセグメントで、顧客のロイヤル化をめざすなら必須になります。またこの顧客を9つにセグメントし、管理していくためにはCRMツールの導入も検討してみましょう。

◇◇◇

CRMで実現する一元管理と分析手法とは?

顧客をセグメントした後は、「顧客がどういう動きをしたか」という分析が必要です。顧客が認知した入り口・継続率・購入回数などを計算して、退会や解約があれば、購入を辞めてしまった理由も考え分析します。

CRMでは、1回でも長く継続利用してもらうためにも、顧客が購入を辞めてしまう理由を排除していくことが重要です。

そして、継続してもらうための施策を先述したセグメントごとに考えます。たとえば次のような施策が考えられます。

  • ロイヤル顧客化するためのシナリオ作り
  • ステップメールや同梱物の作成
  • 電話で顧客のリアルの声を聞く など

セグメントごとの課題を見つけ、KPI(重要業績評価指標)を定めて施策に落とし込む。CRMによって得られた情報を元に分析を進めることで、ターゲットとなる顧客に対して、より適切なプロモーションを実施することが可能です。

その上で、CRMのデータを一元管理したものを使って、顧客をデータ化してPDCAを回していきます。それがLTVを最大化させ、ひいては顧客の見える化につながり「自社にどんな顧客がいるのか」が見えてくるのです。

CRM専用ツールの使用も検討する

顧客マネジメントを効率的かつ正確に行うために、CRM専用ツール導入を検討するのも1つの手段です。

ウェブからの接触履歴であれば、自動で情報を集計することも可能ですが、FAXやハガキ、電話の場合は、手動でシステムに入力しなければなりません。また、名前・性別・住所・購入履歴くらいの情報なら、地道にエクセル管理も可能ですが、接触履歴だと管理が難しくなってくるでしょう。

CRMツールを導入することで、項目の管理、課題の整理・分析を行いやすくなり、メールや電話などさまざまなアクションに結び付けられます。顧客マネジメント・分析をした上で施策に落とし込み、顧客とつながるためにもツールの導入をおすすめします。

ツールを検討する際は費用対コストを考慮し、きちんと使いこなせるか、自社の課題解決につながるかなどをしっかり考えることが大切です。

課題を洗い出したらKPIを設定しよう! 設計のコツを解説

ライフェックス lifex CRM 重要指標
CRMの重要指標

セグメントごとの課題を洗い出した後は、KPIを設定します。「休眠復活のKPI」「継続促進のKPI」「ロイヤル化のKPI」など、どのようなKPIを設定するかで打つべき施策も変わってきます。重要なことは「企業の売り上げにどのくらいインパクトを与えられるか」という点です。

たとえば、以下のような課題にKPIを設定したとします。

  • 継続率改善の目標
  • 定期購入5、6回目になる顧客のロイヤル化
  • 休眠顧客の増加対策

この場合、いずれもゴールは“LTVの最大化”になります。LTV最大化が結びついてKGI(重要目標達成指標)になると、その部署の売上目標になります。そこから考えると、KGI(売上目標)=LTVの最大化となり、それを達成するためには、F2の継続率を上げれば1番インパクトが高くなるといえるでしょう。

数字目標設定の次にやるべきことは「F2の継続率を上げた後、それでも離脱した休眠顧客を復活させる」こと、「2回・3回継続してもらうための施策」を考えることです。どうすれば顧客に「もう1回継続したい」と思ってもらえるかが重要になってきます。

売上目標は必ず「%」も含めて表示する

前提として、CRM部署の数値目標(売り上げ)があります。その数値目標の内訳である「何の商品をいくらで、いくつずつ売れば」数値目標を達成できるか、「既存顧客からいくつ買ってもらうか」などがKPIの1つの目標になるでしょう。

たとえば、次のようなKPIが出てくるとします。

  • 商品A:新規顧客に1000個買ってもらう
  • 商品B:休眠顧客の掘り起こし
  • 商品C:ロイヤル顧客化

ここで気を付けたいのが、売上目標は必ず「%」も含めて表示する、ということです。

例のように「新規顧客に1000個買ってもらう」という目標を設定してしまうと、新規顧客を獲得できなければ達成できないからです。したがって売上目標は、「新規の継続率60~70%で購入数600~700個、純新規顧客の購入率30~40%で目標達成をめざす」といったように、必ず具体的に%を入れることが重要です。

KPIに対する定性的な目標を定める

それぞれの商品に定めたKPIには、定性的な目標も定めます。定性的な目標とは「数値化できないが、めざすべき状態」を示す目標のことです。

たとえば、「どうしたらロイヤル顧客になってもらえるのか」というザックリとした課題から、それをスコア化して顧客ロイヤルティを上げることを目標にします。

顧客ロイヤルティを測る「NPS(ネットプロモータースコア)」というものがあります。「NSP」とは、商品・サービスを友人や家族などにどの程度勧めたいかを0~10までで評価してもらい、結果を数値化するものです。

「NPS」を活用した独自のアンケート項目を作って、毎回定点観測するのも1つの方法です。

ライフェックス lifex CRM NPS ネットプロモータースコア
「NPS」を活用して顧客ロイヤルティを図る

【NSPスコアを測るアンケートの質問例】

  • この商品を使って良かったと思いますか?
  • 同梱物やメールで気に入っているコンテンツはありますか?
  • 商品を誰かに紹介したいと思いますか?

このようなアンケート結果をスコア化して、顧客ロイヤルティを測ります。CSの観点からの定性的な目標と、継続率の数値目標という定量的な目標の両軸でKPIを定めます。両方達成することで、CRM部署の数値目標を達成する、というような設計にすることがポイントです。

CRMを考えるときには、対象顧客がどのセグメントに属しているか、顧客の切り分けを行い、その顧客対して何をすれば良いかを考えていきます。

◇◇◇

次回は、新規顧客獲得に依存しない、CRMで注目すべき4つの戦略について解説します。

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ライフェックス みんなのCRMアカデミー
江森 清文
大元 由実子

【ユーキャン通販事業】シニア向け商品+PBアパレルが堅調な理由とは?開発・Web担当の一元化で商品開発に成果 | 通販新聞ダイジェスト

2 years 5ヶ月 ago
ユーキャンの通販事業は、強い企画力を武器にヒット商品を生み出し続けている。今度は商品づくりにさらに磨きをかけるほか、ロイヤルカスタマーの囲い込みに乗り出す

ユーキャンは、通信販売事業にかかわる各部門の連携をより深めるとともに、強みである企画力を生かした商品開発を強化する。また、独自のファッションブランドが着実に顧客数を増やしていることから、プロモーションを強化して認知拡大を図り、事業基盤を強固にしていく。

ユーキャンが通販カタログとECで展開するファッションブランド「着心地のいい服」(画像は「着心地のいい服」ECサイトから編集部がキャプチャ)
ユーキャンが通販カタログとECで展開するファッションブランド「着心地のいい服」(画像は「着心地のいい服」ECサイトから編集部がキャプチャ)

「文化教養事業」は好調も、生活雑貨の「ココチモ」は難局

同社の通販事業は、DVDなどの映像商品や幅広いジャンルのCD集、大型書籍などを扱う文化教養事業と、日々の暮らしを心地よくする生活雑貨を提案するココチモ事業を展開している。

コロナ禍では、巣ごもり需要の高まりから文化教養で扱うソフトコンテンツのニーズも拡大したが、昨年後半には需要が一段落した。加えて、ウクライナ情勢に端を発した円安や資材の高騰でココチモが販売する電子機器系商品の調達難が発生するなど想定外の要因も出てきた。

前期(2022年12月期)はテレビCMと新聞広告を活用したメディアミックスの大型プロモーションを7企画実施。通販事業の売上高は期初計画を約15%上回って増収で着地した。上期は好調だったものの、下期は巣ごもり需要の落ち着きや、その他外的要因の課題からやや足踏みしたようだ。

シニア向けサポート商品がヒット

大型プロモーションについては、文化教養で日本文学の朗読が数多く楽しめる音声プレーヤー「聞いて楽しむ日本の名作 どこでもお話プレーヤー」や、人気ラジオ番組の魅力を詰め込んだオーディオ機器「ジェットストリームオーディオ」といった、独自のソフトコンテンツをハードにプリインストールした商品がヒットした。

ココチモは、ビクターの集音器「みみ楽」と、コラントッテの「磁気ネックレス」などで大型販促を実施。シニア向けのサポート商品として提案し好評を得たことで、文化教養とココチモの両事業とも計画を上振れした。

ウェブ限定品+動画広告が売り上げに寄与

通販事業のWeb活用については、メディアミックス販促の一つの施策として、Web限定カラーやWeb限定の仕入れ商品などに取り組み、新規獲得などで成果が出てきている。

同社では、キャンペーン時に「ヤフー」などのトップページに動画広告を掲出してサイト誘導。ユーザーはWeb限定カラーなどの在庫がなくなった後も通常版を購入してくれるなど、大型販促の売り上げを押し上げる効果があるという。動画広告はテレビCMをアレンジして発信している。

独自ファッションブランドは堅調に推移

一方、ココチモで展開する独自のファッションブランド「着心地のいい服」はコロナ禍でも堅調な成長を続けており、着実に顧客数が増加。展開商品の幅も広げたことで、リピート率も向上しているようだ。

今期(23年12月期)は「着心地のいい服」でプロモーションの拡大や、季節カタログを増やしてタッチポイントを広げ、事業基盤をより強固にしていく。カタログは昨年の春号、夏号、盛夏号、冬号、真冬号の全5回に加え、今年は春号の後に初夏号を発刊した。

「着心地のいい服」初夏号のカタログ
「着心地のいい服」初夏号のカタログ

商品開発とWeb担当を一元化。顧客との密なやり取りを強化

通販事業の今期のテーマは“融合・一体”だ。これまで文化教養とココチモでわかれていた商品開発とWeb担当を一元化したことで、強い商品の開発につながるなど成果が出ているが、ユーキャンの通販に関係する全部門が一体化し、コミュニケーションを密にしていく。

同社では、ソフトコンテンツでは「日本大地図」や「世界遺産DVD」などのヒット商品を生み出してきた“企画力”に改めて着目。企画力をフルに生かした商品開発に取り組んで、長く売れ続ける商品を作る。加えて、これまで扱っていない新規ジャンルの開拓を外部企業との協業も含めて進める考えだ。

ヒット商品の一つ「日本大地図」(画像はユーキャンのECサイト「ユーキャン通販ショップ」から編集部がキャプチャ)
ヒット商品の一つ「日本大地図」(画像はユーキャンのECサイト「ユーキャン通販ショップ」から編集部がキャプチャ)

2024年3月期の通販事業は約10%増収を計画

今期の通販事業の売上高は前年計画比10%弱の伸長を予定。ココチモの出だしは順調なものの、文化教養はCD・DVD全集の大型企画が予想をやや下回って推移しており、昨年後半からの消費者の購買動向の変化などが影響しているようだ。

なお、今後は新聞の購読者数やテレビの視聴者数が目減りしていることから、「メディアミックスによる大型販促のみに依存しないマーケティングのあり方を創出していく。また、通販事業のブランディングを構築し、ロイヤルカスタマーの囲い込み戦略を確立したい」(手島篤志執行役員)とする。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

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通販新聞

グローバル売上30億円をめざすI-neの中国法人が米原料メーカーと共同研究室設立【中国市場の取り組みまとめ】

2 years 5ヶ月 ago

I-neの中国子会社「艾恩伊(上海)化粧品有限公司」は、米国大手原料メーカーのTRI-K Industries,Inc.と共同研究室「Hair Research&Innovation Lab」を中国・上海に設立した。TRI-Kと製品を共同開発する。

まずは共同開発したヘアケア製品を、アリババグループが運営する大手ECモール「Tmall(天猫)」、中国のバイトダンス社が運営する中国版Tik Tok「Douyin (抖音)」で7月に発売。こうした取り組みを含め、中国を含むグローバル売上高を2025年12月期までに30億円まで拡大する。

成分、機能性を重視する中国人に合った商品開発

「Tmall」「Douyin」で発売する共同開発製品は、髪のダメージを補修する独自成分「ProteinLock」を配合した「ボタニカルヘアマスク」。「スムース」タイプと「ダメージリペア」タイプの2種類を展開する。

TRI-Kと上海のI-ne子会社が共同開発したヘアケア製品(左)と、共同研究室設立の式典
共同開発したヘアケア製品(画像左)と共同研究室設立の式典

TRI-Kは7つの製造工場と3つの研究センターを保有し、タンパク質開発に関する豊富な知見がある。I-neの主力ブランド「BOTANIST」は植物由来タンパク質をキー成分として配合しており、共同研究室で継続的に成分をアップデート。機能性の高い商品開発につなげる。

中国市場は成分や機能性を重視する生活者が多いため、共同開発で「BOTANIST」の優位性を発揮するとしている。

TRI-Kとの共同研究室を設立。TRI-Kの知見を商品開発に生かす
TRI-Kとの共同研究室を設立。TRI-Kの知見を商品開発に生かす

中国市場を攻略するI-neの取り組み

I-neは2020年7月、上海の現地法人として艾恩伊(上海)化粧品有限公司を設立。「BOTANIST」「YOLU」美容家電ブランド「SALONIA」を販売している。

なかでもナイトケアビューティーブランド「YOLU」は、中国では「おやすみシャンプー」の愛称で認知が広がっており、売り上げは堅調に推移しているという。

「YOLU」は2023年3月から越境ECを「Tmall」「Douyin」で展開。2023年5~6月の「618セール」では、「Douyin」の「輸入シャンプー/トリートメント売上指数ランキング」カテゴリーで売上1位となった。

中国市場での足元の概況(画像はI-neの2023年1-3月期〈第1四半期〉の決算説明資料から編集部がキャプチャ)
中国事業の概況(画像はI-neの2023年1-3月期〈第1四半期〉の決算説明資料から編集部がキャプチャ)

中国市場で「YOLU」の認知が拡大している背景には、次の施策の成功が理由にあげられる。

  • 中国でも「夜間美容」という新たな市場を創出
  • ローカライズしたコミュニケーション戦略
  • 中国国内外のインフルエンサーを戦略的に活用したライブコマース:日本在住の外国人が勧めるシャンプーとして人気が拡大
中国市場でもヒットしている「YOLU」
中国市場でもヒットしている「YOLU」

ヘアケアは売上335億円を計画

I-neは、2025年12月期を最終年度とした中期経営計画では、売上高550億円、売上高営業利益率13%をめざす方針を掲げている。商品ラインアップのなかでも主力となるヘアケア系のカテゴリーは売上高355億円を計画している。

既存ブランド、新規ブランドの両軸で成長を見込む(画像はI-neの2025年12月期を最終年度とした中期経営計画説明資料から編集部がキャプチャ)
既存ブランド、新規ブランドの両軸で成長を見込む(画像はI-neの2025年12月期を最終年度とした中期経営計画説明資料から編集部がキャプチャ)

中国を含むグローバルの売上高は2023年12月期に15億円。それを2025年12月期までに30億円まで拡大する。

グローバル全体で売上高30億円をめざす(画像はI-neの2025年12月期を最終年度とした中期経営計画説明資料から編集部がキャプチャ)
グローバル全体で売上高30億円をめざす(画像はI-neの2025年12月期を最終年度とした中期経営計画説明資料から編集部がキャプチャ)
高野 真維

「Yahoo!ショッピング」のポイント戦略転換など現状まとめ/セイノーグループの新サービス「コニポス」とは【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

2 years 5ヶ月 ago
2023年6月30日~2023年7月6日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 「Yahoo!ショッピング」で起きている客離れ。ポイント戦略の転換、出店者の声など現状まとめ

    「PayPayモール」と統合した「ヤフーショッピング」だが、ポイント戦略の転換などで流通額減少に待ったがかからない。今後の方針や、出店者のリアルな声をまとめた

    2023/7/4
  2. ポスト投函できる小荷物を1個120円で配送。セイノーグループが始める通販・EC向けの新サービス「コニポス」とは

    セイノーグループの配送インフラを活用したサービスを通じて、近年の人件費や物価の上昇の影響に伴う物流費の高騰といった通販・EC事業者の課題の解決に挑戦していくという

    2023/7/3
  3. 【九州の大雨】ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の九州向け荷物の一部で配送遅延が発生

    7月3日までに、日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便は、九州向けの荷物の一部の配送に遅れが生じているとアナウンスしている

    2023/7/4
  4. 「残りわずか」「〇人が購入済み」が効果的! EC事業者のための「令和4年度消費者意識基本調査」【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年6月26日~7月2日のニュース

    2023/7/4
     
  5. ジャパネット流「伝え方」の秘訣。創業者の髙田明氏が語る“人に伝えるための極意”

    ジャパネットたかた創業者で現在はA and Live代表取締役を務める髙田明氏が通販ビジネスの「伝えることの大切さ」について講演。通販事業をするなかで見出した“人に伝える際に大事なこと”について語った

    2023/7/3
     
  6. 新生DHCの髙谷会長兼CEOが語る“再生”のシナリオとは? 「価格訴求の見直し」「組織改革」「脱トップダウン経営」

    経営体制を刷新したDHC。トップダウン型の旧体制を脱し、組織内の横の連携強化、価格訴求の見直しなど、組織改革を進める。会長兼CEOの髙谷氏が詳細を語る

    2023/7/3
     
  7. ショップチャンネルの売上高は1.2%減の1555億円、経常利益は6.7%増の194億円【2023年3月期】

    売上高は近年、横ばいで推移している。2022年3月期は1573億8300万円、2021年3月期は1610億5200万円、2020年3月期は1634億円、2019年3月期は1593億円

    2023/6/30
     
  8. 【テレビ通販大手の2022年度売上】ショップチャンネルは1.2%減の1555億円、QVCは3.8%増の1329億円

    2022年度売上高は、ジュピターショップチャンネルは前期比1.2%減の1555億円、QVCジャパンは同3.8%増の1329億円、ジャパネットホールディングスは同1.1%減の2487億円

    2023/7/3
     
  9. Googleの「Search Central Live Tokyo 2023」から考えるEC事業者がAI活用で意識すべきポイント

    ユウキノイン代表取締役の酒匂雄二氏が、Googleの検索チームが主催する「Search Central Live Tokyo 2023」への参加を通じて感じたことや、EC事業者がAI活用時に注意すべきポイントを解説します

    2023/7/5
     
  10. 宅配便の再配達率は約11.4%(2023年4月)で1年前比約0.3ポイント改善、「物流2024年問題」の改善に向けた数値目標は6%

    国交省が実施している「宅配便再配達実態調査」の調査結果。都市部の再配達率は12.6%、都市近郊部で10.9%、地方で9.6%

    2023/6/30
     

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

藤田遥

アマゾンの「置き配指定サービス」利用率は約75%

2 years 5ヶ月 ago

アマゾンジャパンは、「置き配指定サービス」の利用率が約75%(2023年7月時点)に達したと公表した。

注文を受けた商品を全国のフルフィルメントセンターなどから集約し、周辺地域の消費者の玄関先まで届けるラスト・マイル・デリバリーの起点「デリバリーステーション」を2022年に拡充。「置き配指定サービス」の利用可能地域は2021年年比10県増の40都道府県に広がった。

アマゾンジャパンは、「置き配指定サービス」の利用率が約75%(2023年7月時点)に達した
「置き配指定サービス」のイメージ

アマゾンジャパンは2020年3月、注文時の配送オプションだった「置き配指定サービス」を30都道府県(一部地域を除く)において配送方法の初期設定として提供をスタートした。

「デリバリーステーション」の拡充で「置き配指定サービス」対象エリアを拡大。2023年内には栃木県、群馬県、富山県、山梨県、静岡県、奈良県、岡山県に初となる「デリバリーステーション」を新設し、配送面の拡充を進める。

瀧川 正実

アマゾンが置き配、当日・翌日配送を強化。全国11か所にデリバリーステーションを新設

2 years 5ヶ月 ago

アマゾンジャパンは、2023年内に全国11か所へ配送拠点のデリバリーステーションを開設すると発表した。当日配送、翌日配送、置き配指定サービスなど配送サービスを拡充する。

デリバリーステーションは、注文を受けた商品を全国のフルフィルメントセンターなどから集約し、周辺地域の消費者の玄関先まで届けるラスト・マイル・デリバリーの起点となる場所。

栃木県、群馬県、富山県、山梨県、静岡県、奈良県、岡山県に初のデリバリーステーションを開設。ほかには、千葉県、神奈川県、兵庫県、福岡県へ新たに設置する。Amazonのデリバリーステーションは日本国内で50か所以上になるという。

配送拠点の新設で、栃木県、群馬県などの新設地域での「置き配指定サービス」を実現。顧客の利便性、再配達削減につなげる。

デリバリーステーションでは、黒ナンバーの軽貨物車を持つ個人事業主がアマゾンと直接契約を結び、稼働する時間帯や日数はドライバーが選択する「Amazon Flex」、地域の中小企業にAmazonの商品配送を委託して報酬を支払う新しい独自の配送プログラム「Amazon Hubデリバリー」、Amazonの商品を配送する起業家を支援する次世代の「デリバリーサービスパートナー(DSP)プログラム」を展開し、効率的な配送を提供していく。

アマゾンジャパンは2022年7月、年内に青森県や沖縄県など全国18か所にデリバリーステーションを新設すると発表。北は青森、南は沖縄まで、700万点以上の商品を翌日に届ける体制を整えた。

瀧川 正実

ヤフーの「Yahoo!ショッピング」が定期購入機能を実装。検索面などで新たな購入導線を設ける予定

2 years 5ヶ月 ago

ヤフーは、ユーザーが指定した頻度にあわせて商品を定期的に届ける定期購入機能を「Yahoo!ショッピング」に実装した。

ミネラルウォーター、コンタクトレンズ、ペット用品、サプリメントなどの食品、日用品はリピート購入ニーズが高いものの、過去に購入した再購入する場合、ユーザーは注文履歴から同一商品を探すか再度検索し注文する必要があった。

定期購入機能の実装でユーザーの購入の手間を省略、リピート購入や顧客体験の向上につなげる。

出店者は、定期購入に適した日用品などの商品を任意で設定でき、通常とは異なる価格、ポイントの設定も可能。出店者はリピート購入の顧客獲得のほか、売上予測が立てやすくなるため、在庫管理やオペレーションの改善、効率化も実現できる。

今後、検索面での定期購入訴求、新たな購入導線を設ける予定という。定期購入商品に設定できる専用クーポン機能、ユーザーからの変更機能の拡充なども計画する。

なお、早期特典として一定期間、定期購入機能の利用手数料を無料とする。終了日は未定。

ユーザーが定期購入機能を利用する場合、絞り込み機能で定期購入商品のみを検索できる。商品購入時には、商品ページで通常購入、もしくは定期購入かの選択をし、定期購入を希望する際は「配送頻度」と「次回お届け日」を選ぶと、申し込みが完了する。

ヤフーは、繰り返し購入する日用品などを指定した頻度にあわせて定期的に届ける定期購入機能を「Yahoo!ショッピング」に実装
画像左が商品詳細ページ、右がカートに入れるボタンタップ後のページ

2回目以降については、商品お届けの15日前に案内メールをユーザーに送付。購入時に選択した支払方法、お届け予定日の変更、解約など、商品お届け予定日の11日前まで、ユーザー自身で注文履歴から変更できる。

瀧川 正実

有機野菜ECの坂ノ途中、パナソニックから出資。人と環境にやさしい食のバリューチェーン構築へ協業

2 years 5ヶ月 ago

農産物のECなどを手がける坂ノ途中は6月28日、パナソニックがSBIインベストメントと共同で運営するコーポレートベンチャーキャピタルファンド(パナソニックくらしビジョナリーファンド)を引受先とした第三者割当増資を実施した。

坂ノ途中が掲げる大規模流通に乗らない少量不安定な農産物の価値を見直して消費者へ届ける「バリューチェーンの再構築」を、パナソニックが持つコールドチェーン技術などを活用して、加速、推進する。

坂ノ途中は「100年先も続く、農業を。」というビジョンを掲げ、環境負荷の小さな農業の広がりをめざして年間数百種類の野菜の流通販売を展開。家庭に届ける野菜のサブスクリプションサービスが売上高の6割を占めている。今後、小売店、飲食店向けBtoB事業の成長も見込んでいる。

パナソニックは、「食」のインフラに関わる領域として調理家電以外にコールドチェーン事業を展開、業務用冷蔵・冷凍ショーケースなどB2B分野の製品も幅広く手がけている。特に、省エネや自然冷媒技術によるCO2排出量の削減など、環境に配慮したサプライチェーンの構築で強みがある。

坂ノ途中はパナソニックと協業することで、BtoC事業でのコラボレーションのほか、BtoB分野でのプレゼンス向上や新しい販売方法を開拓できると見込んでいる。

コールドチェーン技術を持つパナソニックと提携することで、鮮度管理能力の向上、CO2排出量やフードロスの削減などを通じて、サステイナブルな農産物流通の実現にもつなげる。

瀧川 正実

ユナイテッドアローズ会員プログラムを刷新、顧客との接点増と関係性強化を狙う新サービス「UAクラブ」とは

2 years 5ヶ月 ago

ユナイテッドアローズは2023年夏から秋をめどに、会員向け新プログラム「UAクラブ」を開始する。

現行の会員向けサービス「ユナイテッドアローズ ハウスカード」を刷新する。「UAクラブ」は、ポイントからマイル&クーポン制度への変更、会員ステージ制度・特典の全ブランド共通化などを実施。お得でわかりやすい買い物体験を提供して顧客との関係性を継続的に深めていく。

ユナイテッドアローズは2023年夏から秋をめどに、会員向け新プログラム「UAクラブ」を開始する
「ハウスカード」から「UAクラブ」へ名称変更(画像はUAのサイトからキャプチャ)

「ユナイテッドアローズ ハウスカード」では、買い上げ金額に対してポイントを付与する仕組みから、マイル&クーポン制度へ切り替える。貯めたマイルはクーポンに交換すると、次回以降の買い物などに利用できる。また、顧客のさまざまなアクションに対してもマイルを付与する。

たとえば、商品のお気に入り登録、レビュー投稿、ショッピングバッグの辞退といったアクションでもマイルが貯まるようにする。マイルを貯まりやすくすることによってお得感を創出、顧客との接点増加につなげ継続的な関係性強化を実現する。

ユナイテッドアローズは2023年夏から秋をめどに、会員向け新プログラム「UAクラブ」を開始する ポイントからマイル&クーポン制度へ変更
ポイントからマイル&クーポン制度へ変更(画像はUAのサイトからキャプチャ)

これまで、ブランドごとの年間買い上げ金額に応じて設定していた会員ランク条件とエクストラサービスを廃止、全ブランド共通の会員ステージと特典制度に変更する。

全ストアブランド共通の5段階のステージに変更。1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)に獲得したマイル数に応じて、ステージごとにさまざまな特典やサービスを用意する。

ユナイテッドアローズは2023年夏から秋をめどに、会員向け新プログラム「UAクラブ」を開始する 新しい会員ステージ
新しい会員ステージ(画像はUAのサイトからキャプチャ)

ユナイテッドアローズは5月、長期ビジョンとその実現に向けた中期経営計画を発表。主要戦略の1つ「UA DIGITAL戦略」の「OMOの推進」施策として、今回の会員向けプログラムのリニューアルに取り組む。顧客との接点を増やし、深い関係性を築いていくのが目的だ。

瀧川 正実

GoogleのAIを活用したバーチャル試着ツールとは? | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

2 years 5ヶ月 ago
Googleが開発した、AIを活用したバーチャル試着ツールが専門家たちに注目されています。返品率ダウン、顧客セグメントの向上といった観点から小売事業者の助けになりそうです

アパレル商材をEコマースで購入するとき、ネックになるのが試着できないことです。これを解決するため、バーチャル試着サービスを展開するブランドや事業者が増えています。Googleはこのほど、AIを活用したバーチャル試着ツールを開発し、提供を始めました。このツールは、Eコマースの返品を減らし、小売事業者がターゲットを絞り込むのに有効なデータを提供してくれる可能性があると専門家たちは考えています。

記事のポイント
  • Googleは、生成AIを使ってバーチャル上で服を試着できるツールを発表
  • Googleのバーチャル試着ツールはすでにH&M、Everlane、Anthropologie、Loftが活用している
  • Eコマースの専門家は、AIを活用してコンバージョンを増やし、返品を減らすことで、小売事業者の収益を伸ばすことができると説明している

Googleが開発したバーチャル試着ツールとは

Googleは2023年6月に、アパレル商材をバーチャル試着できる新たなAIツールを発表しました。一部の専門家は、これは「Eコマースに大きな変化をもたらす可能性がある」と指摘しています。

Googleショッピングのプロダクト担当シニアディレクターであるリリアン・リンコン氏は、このAIツールについて次のようにコメントしています。

この試着ツールは、生成AIを使用し、さまざまなポーズをとった実際のモデルに、洋服のたるみ、体への密着、伸び、シワや影の発生を反映させています。(リンコン氏)

Googleショッピングが発表した生成AIモデルのイメージ(画像はGoogleの公式ブログから編集部がキャプチャ)
Googleショッピングが発表した生成AIモデルのイメージ(画像はGoogleの公式ブログから編集部がキャプチャ)

米国のEC専門紙『Digital Commerce 360』が発行する「北米EC事業 トップ1000社 レポート 2023年版」にランクインしている企業のうち、いくつかのブランドはすでにGoogleのAIツールを活用しています。

消費者は、米国のアパレルメーカーAnthropologie(アンソロポロジー、Urban Outfitters傘下の企業)、アパレルメーカーEverlane(エバーレーン)、スウェーデンのアパレルメーカーH&M、Loft(ロフト、Ascena Retail Group傘下企業)の服はすでに、オンライン上で試着することが可能です。Googleによると、今後さらに多くのブランドが追加される予定です。

アパレルブランドのトップスが実際のモデルで表示される(画像はGoogleの公式ブログから編集部がキャプチャ)
アパレルブランドのトップスが実際のモデルで表示される(画像はGoogleの公式ブログから編集部がキャプチャ)

商品の返品数減少に期待

バーチャル試着ツールは、返品を大幅に減らす可能性があります。Eコマース企業の成長を支援するHeur(本社英国)のクリス・レイブンCEOは「返品が減れば、Eコマース小売事業者のコスト削減につながるかもしれない」と言います。 

ブランドにとってコスト削減や時間の確保につながるだけでなく、アパレル業界が気候変動に与える悪影響を減らすことにもつながるでしょう。(レイブン氏)

レイブン氏がこのように話す理由は、返品された商品の廃棄が少なくなり、配送コストも下がり、二酸化炭素の排出量ダウンにつながるからです。

紳士服の小売業を営むOtero(編注:2023年7月現在は閉業)は、米Perfitly(パーフィットリー)社が提供すAI試着ツールを使って事業を拡大。ユーザーは自分の体型に基づいたアバターを作成し、カートに入れる前にオンライン上で試着できるようにしていました。

Oteroのスティーブ・ヴィラヌエヴァ創業者兼CEOは、「Oteroの返品率は業界標準を大きく下回る3%」と説明。ヴィラヌエヴァ氏が「とんでもなく低い」と話す返品率は、Perfitlyの試着ツールの精度の高さが理由だと話していました。

OteroとPerfitlyが、ユーザーへの質問、オンライン試着のアバターを微調整するのに伴い、返品率に多少の変動はあったそうですが、それでも9%を超えることはなく、常に2~3%で推移していたそうです。

生成AIによるレコメンド効果

AIを活用したGoogleのバーチャル試着ツールは、顧客の好みに基づいた商品を提案することができます。リンコン氏はこの機能を、店舗で働く店員が、色、スタイル、柄、価格を考慮して消費者に商品を提案することと同じだと言います。

今のところ、この機能は女性用のブラウスにしか使えないそうですが、販売できる商品が在庫のある商品に限られる実店舗とは異なり、オンラインではブランド横断的に商品を勧めることが可能です。

Googleのバーチャル試着ツールはブランドを横断してユーザのー好みの商品を提案する(画像はGoogleの公式ブログから編集部がキャプチャ)
Googleのバーチャル試着ツールはブランドを横断してユーザのー好みの商品を提案する(画像はGoogleの公式ブログから編集部がキャプチャ)

AIを活用したテクノロジーは、一過性の流行に過ぎないとは思えません。ブランドが現在の情勢に合わせて成長するためには、こうした新しいテクノロジーに寄り添い、活用しなければなりません。(SilkFred エマ・ワトキンソンCEO)

英国のアパレル小売事業者SilkFredのエマ・ワトキンソンCEOはこう説明し、顧客に商品を提案する同様のサービスを開始する準備を進めていることを明かしました。

デジタル戦略コンサルティング会社BDOのマネージング・ディレクター兼クライアント・エグゼクティブであるロバート・ブラウン氏は「Googleの生成AIツールは、1対1で顧客に合わせたアドバイスを提供するという『究極の武器』を小売事業者に与える」と説明します。

AIは消費者の好みやニーズに関する膨大なデータを収集し、小売事業者はそれを将来のコンバージョンにつなげることができる。(ブラウン氏)

こうして収集した消費者のデータは、事業者のロイヤルティプログラムや会員プログラムの改善にも利用できるでしょう。

BDO マネージング・ディレクター兼クライアント・エグゼクティブ ロバート・ブラウン氏(画像はBDOのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)
BDO マネージング・ディレクター兼クライアント・エグゼクティブ ロバート・ブラウン氏(画像はBDOのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)

テクノロジーの活用にハードルを感じるユーザーも

AIの発展はEコマース企業の売り上げを押し上げることにつながるかもしれませんが、マイナスの影響も考えられます。

レイブン氏は「多くのユーザーが新しいテクノロジーを活用することにちゅうちょし、ブランドから顧客が離れてしまう可能性があります」と言います。潜在的な顧客のなかには、怖気づいて新しい技術を学ぼうとしない人もいるかもしれない、というのが彼の主張です。

Oteroも最初は同じ問題に直面しました。「Perfitlyのバーチャル試着ツールを導入した当初は、利用する顧客はそれほど多くなかった」とヴィラヌエヴァ氏は語っていました。 ヴィラヌエヴァ氏によると、アバターを最初の入口とすることが、ユーザーに複雑だと思わせないための鍵だったそうです。

データを悪用すれば、消費者の信頼を失う可能性があります。顧客について知れば知るほど、それを悪用する人が出てくる可能性が高まるからです。(ブラウン氏)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

Hameeがコンセプトストア「iFace Lab(アイフェイスラボ)」を東京・原宿にオープン

2 years 5ヶ月 ago

Hameeは、モバイルアクセサリーブランド「iFace(アイフェイス)」のコンセプトストア「iFace Lab(アイフェイスラボ)」を8月4日に東京・原宿キャットストリート沿いにオープンする。

ロイヤルティ向上、ブランド体験機会の創出をめざす

「iFace」は2012年に日本で発売し、国内販売個数は2021年に350万個以上、累計販売数2000万個を突破した。発売から11年目となる2023年を新たなスタートとし、「iFace Lab」をオープンする。

外国人観光客も多く、若者が新しいトレンドを発信する原宿を出店場所として選び、次世代のカルチャーを提案するコンセプトストアを作ることで、ロイヤルティ向上、ブランド体験機会の創出を目的としているという。

また、さまざまな施策を通じて原宿に集まる若者たちと共創し、情報発信や話題化によるトレンド形成、インバウンド需要を見越したモバイルアクセサリー業界の活性化や市場拡大に貢献していきたい考えだ。

Z世代をターゲットにコラボレーションやカスタマイズなどの施策を展開しながら、インバウンドによる海外からの旅行客を取り込むことで、2億円の売り上げをめざす。

ユニークな企画を実施する実験的なスペースをめざす

「iFace Lab」では、モバイルアクセサリー製品のカスタマイズスペース、iFace製品、コラボ商品を中心に販売する。

Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア スマホケース ストラップ 店舗イメージ
「iFace Lab」の店舗イメージ

「iFace Lab」の特徴は次の5つ。

① 「iFace Lab」限定、スマホケース&ストラップのカスタマイズ

「iFace」のスマートフォンケース「Reflection」シリーズ対応のインナーシートに、テキスト入力、スタンプ、背景の選択などのカスタマイズが行える。テキストはフォント・色・斜体・太字を選択可能。カスタマイズしたシートは店舗で注文し約30分で完成するため、当日受け取れる。

Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア インナーシート カスタマイズ
「Reflection」シリーズ対応のインナーシートのカスタマイズ例。価格は1100円(税込)。対応機種はPhone14/14Pro/14ProMax、iPhone13/13Pro、iPhone12/12Pro、iPhoneSE3、iPhone8、iPhone7

また、ストラップをカスタマイズできるスペースを設置。ワイヤーキーリングに好きなパーツを組み合わせて、自分だけのストラップをカスタマイズできる。

Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア ストラップのカスタマイズ例
Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア ストラップのカスタマイズ例
ストラップのカスタマイズ例

② クリエイターなどとのコラボ企画、第1弾は「サウナボーイ」

クリエイターやコンテンツとのコラボレーション企画を実施。製品開発、イベントなどさまざまなコラボを展開する予定。

オープン時の企画はサウナアパレルブランド「サウナボーイ」とのコラボで、スマホケースなどコラボ製品を店舗限定で販売する。コラボ製品のデザインについては今後「iFace Lab」の公式Instagramで随時発表予定。

Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア コラボ商品 サウナボーイ
「サウナボーイ」は、サウナをテーマにしたアパレルやグッズを展開しているアパレルブランド

③ 漢字、和柄など外国人観光客を意識した製品ラインアップ

ジャパニーズコンテンツとして、インナーシートに漢字を入れるカスタマイズサービスや、アクリルアーティストのKAE氏とコラボしたアクセサリー販売を店舗限定で行う。

Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア 漢字 和柄 外国人観光客を意識したラインアップ
漢字や和柄などのデザインを取り入れたアクセサリーの一例

④ 「iFace」ブランドの世界観を反映した外観と店内

「iFace Lab」の看板を大きく設置し、店内が見えるように全面ガラス張りの外観になっている。店内は、インダストリアルな空間のなかにカラフルな什器や収納器具を設置することで多様性を表現。壁面には「iFace」のスマホケースを使用したアートを作成し、フォトスポットを設置している。

Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア 外観のイメージ
外観のイメージ図
Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア 店内のイメージ
店内のイメージ図

⑤ 「iFace」を中心とした商品ラインアップ

スマホケース、インナーシート、「AirPods」ケース、「AirTag」ケースなど、「iFace」を中心にさまざまなモバイルアクセサリー製品を取り扱う。また、店舗限定製品も販売する。

Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア スマホケース
販売するスマホケース例
Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア AirPodsケースの一例
「AirPods」ケースの一例
Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア インナーシートの一例
インナーシートの一例
Hamee iFace iFace Lab 原宿 コンセプトストア AirTagケースの一例
「AirTag」ケースの一例
藤田遥

Amazon、「プライムデー」でアイスタイルと初コラボ。「特設ページ」での商品紹介、原宿の旗艦店で商品体験など

2 years 5ヶ月 ago

アマゾンジャパンは、資本業務提携先のアイスタイルと初めてのコラボレーション企画を実施する。

7月11日0時から12日23時59分までの48時間にわたって開催するAmazonプライム会員限定のセール「プライムデー」で、「特設ページ」を通じた美容部員などによる商品紹介、アイスタイルが運営する旗艦店で商品を体験する機会を展開する。
「プライムデー」でAmazonとアイスタイルが初めてコラボレーションする
「プライムデー」でAmazonとアイスタイルが初めてコラボレーションする

アイスタイルとAmazonとのコラボレーション企画は次の通り。

  • Amazon.co.jp内の「Amazon Beauty」特設ページ:6月30日~7月12日
  • 原宿の「@cosme」の旗艦店「@cosme TOKYO(アットコスメトーキョー)」でのイベント:7月5日~7月12日
原宿の「@cosme」旗艦店での「プライムデー」コラボイメージ
原宿の「@cosme」旗艦店での「プライムデー」コラボイメージ

特設ページ:商品紹介動画、ライブ配信ほか

特設ページでは商品の魅力を紹介する。「プライムデー」で特別価格になる一部の商品を、Amazonのユーザーによる口コミ、人気インフルエンサー「ありちゃん」や「ももち(牛江桃子)」による商品紹介動画の配信、「@cosme」の人気美容部員によるライブ配信などを通じて紹介していく。

「@cosme」原宿旗艦店:商品展示、タッチアップ、割引価格での販売ほか

店内では「Amazon Beauty」の特設ページにて紹介している全商品を「@cosme ベストコスメタワー」エリアなどで展示する。

「@cosme ベストコスメタワー」(左)と「TESTER BAR」
「@cosme ベストコスメタワー」(左)と「TESTER BAR」

「TESTER BAR」エリアでは来店者が商品を試すことができる。このほか、一部商品のサンプルセットを1万人限定で配布する。ユーザーはこれらの商品を「プライムデー」の期間中、Amazonにて特別価格で購入できる。

Amazonは2022年、アイスタイルと資本業務提携を締結。アイスタイルが米Amazonに対して25億円の新株予約権付社債(発行会社の株式を一定の価格で取得できる権利が付与された社債)と115億3823万円の新株予約権を発行すると発表した。

高野 真維

Googleの「Search Central Live Tokyo 2023」から考えるEC事業者がAI活用で意識すべきポイント | 酒匂氏が語る「コンテンツSEO」の極意

2 years 5ヶ月 ago
ユウキノイン代表取締役の酒匂雄二氏が、Googleの検索チームが主催する「Search Central Live Tokyo 2023」への参加を通じて感じたことや、EC事業者がAI活用時に注意すべきポイントを解説します

Googleの検索チームは、Webサイト運用担当者やデジタルマーケターなどSEO担当者向けカンファレンス「Search Central Live Tokyo 2023」を6月16日に開催しました。過去にも「Webmaster Conference」「Google Dance」の名称で行われており、筆者も幾度も参加。2018年の「Google Dance Osaka」ではライトニングトーク(LT)と呼ばれるトークセッションに登壇した経験があります。今回は「Search Central Live」の注目ポイント「AI(人工知能)」について、ECビジネス視点での活用方法を解説します。

予想通り、多く登場したキーワード「AI」

セッションや質問で幾度となく「AI」という言葉が飛び交いました。ここでは細かく触れませんが、関係者・参加者がハッシュタグ「#SearchCentralLive」でツイートしていますので、Twitterで確認してみて下さい。登壇内容、会場のようすを垣間見ることができます。

「Search Central Live」でGoogleに寄せられたAIに関する質問には、次のようなものがありました。

  • AIを使った高品質なコンテンツを作るにはどうしたら良いか?
  • SEO専門家はAIをどう活用すべきか?

SEO担当者には気になる内容ばかり。こうした質問内容については、これまでGoogleセントラルブログでも言及されています。会場ででも繰り返し回答していましたが、Googleの検索チームは改めて、

  • AIはハルシネーション(幻覚)を起こす
  • AIでコンテンツを作成することが悪というわけではない
  • AIはそれが事実かどうかをチェックしているわけではない
  • 最終的には人の目でチェックすることが大事

という見解を述べていました。

生成AIが登場しても、SEOはなくならないのではないか

最近は「ChatGPT」がニュース番組やワイドショーでも取り上げられるようになりました。

また、2023年5月10日(米時間)に行われたGoogleの年次開発者イベント「Google I/O」でGoogleは、「AIが生成する回答を検索結果の上部に掲載する機能」である「SGE(Search Generative Experience)」を発表。こうしたことを受け、筆者には日頃の質問や登壇依頼で「このことについて言及してほしい」という要望が寄せられるようになりました。

「SEOに使えるの?」「コンテンツマーケは楽になる?」などが多く、特に「SGE」のデモ映像が出回ってからは「SEOは時代遅れなのか?」という質問も増えました。

その度に、自分なりの生成AIとの付き合い方について「現時点ではこう思う」という話をしてきました。

ここ数年の世情・市況の変化は目まぐるしく、1か月でAIが生成する答えも激変していくため、どうしても“現時点では”という表現が多くなりがちです。

野村総合研究所の調査結果では、世界の「ChatGPT」のトラフィックで日本は3位というデータがあり、他国と比較しても多くの人が関心を寄せていることがわかります。

Google Search Central Live カンファレンス SEO AI 日本のChatGPT利用動向
日本のChatGPT利用動向(2023年4月時点)」(野村総合研究所)から編集部がキャプチャし追加

では、やはりAIによってSEOも駆逐されていくのでしょうか? 多くのEC事業者・企業の支援をするなかで、筆者は「決してそんなことはない」と感じることの方が増えてきました

EC事業者が押さえておくべきAIのポイント

それでは、こうしたGoogleの見解や、AIを取り巻く環境の変化などを踏まえ、EC・通販事業者のAI活用に触れていきます。

まず押さえておきたいポイントは、「ChatGPT」や「Bard」を使ってコンテンツを生成する、SEOに使うという上で質を左右するのがプロンプトと呼ばれる指示文だということ。

単に「◯◯を販売しているECサイトの検索順位を上げたいので、タイトルタグを提案して」と入力しても、ありきたりの文章しか提案してもらえません。

しかし、「当店は20代から30代の女性ユーザーが多く、ビジネスシーンでも使えるスマホケースの品揃えに自信がある」というような一文を入力するだけで、より表現が豊かな結果を出力してくれます。

一見すると良さそうなものが抽出されるので、そのままECサイトに反映したいところです。しかし、当社のクライアントで「人の目でチェック」してみると、ある問題に行き着きました。

出力された結果をクライアント企業内でヒアリングしたところ、「これはうちのお店っぽくない」「うちのお客さんには違和感を持たれるかも」「ブランドの良さが打ち消されている気がする」と、違和感を覚える人が続出したのです。

この傾向は、実店舗があり接客経験が豊富な人がいるお店ほど顕著でした。「AIはうちのお店のことをわかってない」と言うのです。

当然ですが、AIはそのお店に来店したり、サイトにアクセスして買い物をしようとしたり、店頭でスタッフに接客してもらったりしたわけではないからです。

AIに足りない「経験」の部分を人の手で補う

前回の記事で触れた、Googleの「検索品質評価ガイドライン」に追加された新しい概念「E-E-A-T」の1つ、「Experience=経験」がAIにはありません

そして、検索順位の上位に来ても、魅力的なタイトルでなければクリック率は上がりません。仮に上位に表示されてクリックされても、ページ内容とユーザーの意図にズレが生じ、コンバージョンにつながらないという課題も起きてくるのです。

こうした状況を改善していく際に、「E-E-A-T」の重要性が実感できるのではないでしょうか。

「E-E-A-T」とは

  • Expertise(専門性)=その商品やサービスの専門家の専門知識
  • Experience(経験)=商品やサービスの利用経験、接客の経験数
  • Authoritativeness(権威性)=そのブランドのオーナー、店長、カリスマ店員
  • Trust(信頼性)=品質、接客、梱包などのレビューや口コミなどによる安心感

上記に当てはまるスタッフ、専門家にチェックや監修依頼をして、タイトルやディスクリプションを改善してみると、順位の変化が小さくても「Googleアナリティクス」のデータではエンゲージメント率、クリック、スクロールでカウントされるイベント数が上がったサイトもありました

支援しているECサイトで特に顕著だったのはアパレルショップです。スタッフにファンがついており、「Aさんと体型が近いから」「Bさんの着こなしが好き」「Cさんのような女性に憧れる」といった理由も大きな購買動機となっているのです。

こうして見ると、「E-E-A-T」という概念はよくできていると感じます。「Search Central Live」で行われたGoogleのGary Illyes(ゲイリー・イリェーシュ)氏のキーセッションでも、

「Write for your users, not Search.」=検索のためでなく、ユーザーのためにコンテンツを作成します

という話がありました。ECサイトで買い物をするのはGoogleでも検索エンジンでもなく人ですので、とても納得のいく内容です。

AIを使ってアイデア出し、表現のブラッシュアップする

そこで、今取り組んでいるコンテンツ生成でのAIの使い方としては「壁打ち相手」「アイデア出し」「棚卸し」です。

ゼロからAIに委ねるのではなく、自分で考えた草案などを打ち込みます。そこから、

「◯◯、■■、△△というワードを盛り込んで5つ提案してください」

「✕✕というワードは使用しない」

「“!”を使用せず、落ち着いたトーンでさらに5つ」

「(生成された)候補の1と3が良いので、それを元にもう5つ」

というようにブレストしながら、お店のブランドイメージやユーザー層に合わせてタイトルタグ、メタディスクリプションに磨きをかけていく方法です。

この方法を行うことで「こんな言い回しは思いつかなかった」「うちには似合わないけど、こういう言い方をしているお店もあるかも」といった気付きが生まれ、コンテンツを作成していく際の言葉の引き出しも増えていくのではないでしょうか。

ハルシネーション(幻覚・嘘)には気を付けよう

AIツールを使う上で注意しなければならないのは、「ハルシネーション(幻覚・嘘)」です。

「ChatGPT」が話題になり始めた頃、自分の名前を入れて「漫画家と表示された」「作曲家になった」というSNSでの投稿を多く目撃しましたが、そうしたことがハルシネーションの一種です。

筆者のクライアントでも、「ChatGPT」を使ったところ、本来は3店舗にもかかわらず7店舗の住所を示す回答もありました。

誤った生成回答を真に受けて店舗数調査を回答しては、事故につながりかねません。「ChatGPT」の普及を受けて「リサーチャーの仕事がなくなる」という声も見受けられましたが、人の目でチェックする重要性を感じています

クライアントには製薬企業もいますが、医薬品やサプリメントなどは薬機法に抵触する表現も数多く確認されており、現時点では専門家のチェックなしで公開するには危うすぎる内容を生成していました。

実際、サプリメント系のECサイトでは「ChatGPT」によってコンテンツを量産し、検索順位が著しく悪化したという相談も寄せられ始めています。

下図のサイトは検索順位の下落具合が非常にわかりやすいです。主力商品の検索で20位あたりから上がり下がりを繰り返し、一時は89位まで下落しました。

その後、人力でページ修正を加えたことで以前よりも順位は回復、14位まで上昇しました。現在もこの近辺で安定しています。

Google Search Central Live カンファレンス SEO AI 検索順位を大幅に落とし、人力で回復した推移
AI生成コンテンツで検索順位を大幅に落とし、その後人力で回復した事例

Google検索品質評価ガイドラインでは、「YMYL(Your Money or Your Life)」ジャンルとして、お金と健康に関わるコンテンツの評価も厳格化しており、ハルシネーションによる検索評価の低下などには一層の注意を払う必要があります

以上のことからも、誰もがAI生成で楽ができるのではなく、「取り扱い商材・サービスに正しい知識を持っている人が便利に使えるもの」と考えて付き合っていくことが重要ではないでしょうか。

こんなお店にこそAI生成ツールを活用してほしい

筆者は行政機関の相談員を務めていますが、そこでよく相談を受けるのが「長い年月家族でECを運営しているが、サイトは開店時に作成してもらったまま手つかず。誰もタグを触れない」というもの。

ある面談でふと思い立ち、「ChatGPT」で「リンク付きの画像を挿入したいので、HTMLを書いて」と実演してみせたところ、その結果に相談者が目を丸くしたことがありました。

Google Search Central Live カンファレンス SEO AI ChatGPTを活用したhtmlタグの生成事例
相談窓口で実演した「ChatGPT」を活用したHTMLタグの生成事例

コードの生成は「ChatGPT」の得意分野と言えます。回遊性を高めるための画像付きリンク、ちょっとした商品の説明画像の挿入はもちろん、構造化データの書き出しなど、ECサイトによくある小さな穴を防ぐためのことは簡単にできます。

こうしたタグはプロンプトが成熟してなくても十分に書き出せます。実際、非エンジニアの新卒入社の人が、プルダウンメニューや構造化データを生成し、自社ECサイトの利便性向上に勤しんでいるクライアント企業もいます。

「GPT-4(OpenAIが提供する大規模言語モデル。テキストだけでなく写真、音声を入力情報として利用できる)」の利用料は月額20ドル、2023年6月時点のレートで約2800円。ツールとしては少額な部類ですし、これで幾らかでも売り上げが変わっていくのなら利用してみる価値はあるかもしれません。

◇◇◇

AIツールは、導入したら何もかもが夢のように叶う「四次元ポケット」のようなものではありません。長所と短所の特徴を把握し、任せられる分野を見つけていくことが、人とAIが共存・共栄するより良い未来につながるのではないでしょうか。

酒匂 雄二

バニッシュ・スタンダードが「STAFF START」をリニューアル。写真と動画を組み合わせて投稿できる「SNAP PLAY」機能を実装

2 years 5ヶ月 ago

バニッシュ・スタンダードは、スタッフDXのアプリケーションサービス「STAFF START(スタッフスタート)」のメイン機能「コーディネート投稿」をリニューアルし、「SNAP PLAY」の提供を7月24日から始める。

「SNAP PLAY」機能とは

「SNAP PLAY」機能は、写真と動画を組み合わせて自社ECサイトやSNSなどに投稿できる機能。「コーディネート投稿」機能と同様に写真と商品情報をひも付け、文章やハッシュタグで商品情報を伝える機能を搭載。新たに同一投稿内に動画を選択できるようにした。

バニッシュ・スタンダード STAFF START コーディネート投稿リニューアル SNAP PLAY
「コーディネート投稿」機能をリニューアルした「SNAP PLAY」機能

「SNAP PLAY」は次の効果が期待できるという。

  • 接客表現力の向上:動画によって動き、音、細部のデザインなど静止画だけでは伝えきれない情報を伝えることができるため、スタッフのセンスや知識の表現の幅が広がる。
  • CVR向上:「コーディネート投稿」経由での直接売り上げのCVRは1.35%なのに対し、動画投稿経由の直接売り上げのCVRは2.74%と約2倍(STAFF START調べ)。そのため、静止画と動画を組み合わせることで、CVR向上が期待できる。
  • 投稿効率の向上:静止画に10秒ほどの動画を付けるだけでも、情報量や表現の幅が広がる。また、動画だけで情報を伝え切るよりも、静止画があることで投稿時間の短縮につながり、効率的な投稿が可能になる。
藤田遥

【ChatGPT活用術】AI活用のデメリットとその対応策とは? ポイントは「モニタリング」「セキュリティ対策」「ユーザー教育」 | 「ECタイムズ」ダイジェスト

2 years 5ヶ月 ago
「ChatGPT」をEC事業で安全かつ有効に活用するには? 活用のリスクから、リスクごとの対応策まで1つひとつ解説する

皆さん、「ChatGPT」が世間を騒がせていますね。ニュースによれば、AIによって、多くの仕事がなくなったりするとかしないとか。AIは、今後は切っても切り離せない技術になりそうです。自分の作業を軽減できるスキルが無料で使えるのであれば、使わない手はないですよね。

「ChatGPT」はAIの応用技術の一つで、EC事業者が顧客との対話やサポートに活用することができるんですよ。もちろん便利なツールを使う前には、メリットを理解するのはもちろんですが、デメリットや注意点、危険性を理解し、適切な対応策を講じることが重要です。本記事では「ChatGPT」のデメリットについてわかりやすく解説し、EC事業者が安全かつ効果的に活用するための対策をご紹介します。

ECタイムズ ChatGPT AI

偏った情報や誤った回答を減らす

そもそも、「ChatGPT」は大量のデータから学習し、人間のような回答を生成することができます。リスクとして情報が偏ったり、誤った回答を提供する可能性があるということを認識する必要があるでしょう。全てが正しいとは言いきれません。

これは、学習データに偏りや誤りがあった場合や、文章を正確に把握できなかった場合に起こります。対策としては、以下のやり方があるので、解説していきましょう。

  1. クオリティコントロール
  2. 監視とフィードバックループ

対応策① クオリティコントロール

「ChatGPT」のトレーニングデータには注意が必要です。高品質でバランスの取れたデータセットを使用し、適切な文章でのインプットをおこないます。データセット自体が、他の媒体や有償のコンテンツの場合には、著作権侵害になる恐れがあります。正確性が高く、かつ著作権侵害のないデータセットを使用するようにしましょう。

対応策② 監視とフィードアップループ

運用中に「ChatGPT」の回答を監視し、誤った情報や回答が出た場合には修正やフィードバックを行います。誤った情報が出る前提でチェック機能を用意する必要があります。

たとえば、物産などの金額が間違っていたとき、住所などが間違っていたときに修正をする必要があります。継続的なモニタリングの仕組みを組織として準備していきましょう。

「ChatGPT」の活用には継続率なモニタリングが必要となる
「ChatGPT」の活用には継続率なモニタリングが必要となる

悪意ある利用やセキュリティ上のリスクを下げる

「ChatGPT」は、利用者が与えた情報や入力に基づいて回答を生成します。しかし、これにより悪意ある利用やセキュリティ上のリスクが発生する可能性もあります。

情報漏えいや悪質行為に備えたセキュリティ対策が求められる
情報漏えいや悪質行為に備えたセキュリティ対策が求められる

たとえば、個人情報の漏えいや悪質な行為への利用などがあげられます。対策は以下の3つです。丁寧に解説します。

  1. データの保護とセキュリティ対策
  2. 利用ポリシーの策定
  3. ユーザーコントロールの提供

セキュリティ対策① データ保護と暗号化・アクセス制御

クライアント情報や個人情報を「ChatGPT」とのやり取りで適切に保護するために、適切なセキュリティ対策を講じましょう。暗号化やアクセス制御などのセキュリティ手段を適用します。大きな組織には必ず、セキュリティを管理する組織があります。セキュリティ管理する部署から、暗号化やアクセス制御などのセキュリティ手段を確認していきましょう。

セキュリティ対策② 利用ポリシーの策定

「ChatGPT」の利用に関する明確なポリシーを策定し、社内や利用者に周知徹底しましょう。これには適切な利用範囲や禁止事項、プライバシーポリシーなどが含まれます。

たとえば、社内で管理している顧客の名前や売上実績など、顧客データを入力してはいけません。学習されたデータは、他のユーザーにも使われる可能性もあり、顧客情報の漏えいにつながる可能性があるからです。「ChatGPT」の利用ルールを決めて、顧客情報の漏えいなどのリスクを抑える必要があります。

セキュリティ対策③ ユーザーコントロールの提供

利用者が「ChatGPT」とのやり取りにおいて自身の情報の管理や設定を行えるような仕組みを提供しましょう。ユーザーコントロールができるようシステム部門が調整する必要があります。

たとえば、個人情報の削除やデータの収集を制限するオプションを提供することが有効です。「ChatGPT」のリスクをわかったうえで、システムやルールを構築していきましょう。

ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上と教育

「ChatGPT」の利用は、EC事業者の顧客エクスペリエンスの向上に貢献できますが、デメリットもあることを理解する必要があります。以下の対応策があります。

  1. フィードバックと報告管理
  2. 利用者教育と期待管理

UXの向上・教育施策① フィードバックと報告管理

利用者が「ChatGPT」との対話中に問題や不満が生じた場合に、評価やコメントをするフィードバックチャネルや報告する仕組みやスタッフが対応する専用ラインを提供しましょう。人間の機微に触れる内容は、AIでは認識が難しく、トラブルになることもあるからです。

たとえば、利用者が感情的になってしまい、「ChatGPT」では解決できなかったときは、スタッフのチャットなど、直接連絡できるラインを常に確保することで、顧客の満足度を下げることなく、対応できます。これにより、問題解決やサポートへの円滑な移行ができます。

UXの向上・教育施策② 利用者教育と期待管理

「ChatGPT」の制約や限界を利用者に理解してもらうために、適切な教育や情報提供を行いましょう。定期的な教育をすることで、「ChatGPT」におけるITリテラシーが高まり、健全な利用方法ができるようになります。

「ChatGPT」の健全な利用に向けて、ユーザーに対する教育も欠かせない
「ChatGPT」の健全な利用に向けて、ユーザーに対する教育も欠かせない

テクノロジーは、進化を続けますので、要所要所でのトレーニングをすることで、問題点やリスクを把握しながら、AIを使用できます。進化するテクノロジーを利用することで、単純作業から開放され、より価値の高い業務に時間をかけられます。「ChatGPT」がAIであることや限定された能力があることを明示し、現実的な期待を持って利用してもらいます。

◇◇◇

いかがでしたでしょうか? 「ChatGPT」はEC事業者にとって有用なツールでありながら、デメリットや注意点も存在することがわかりました。専門家などからデータの品質管理、セキュリティ対策、利用ポリシーの策定、ユーザーエクスペリエンスの向上と教育などの対応策を講じることが重要ですね。

EC事業者は「ChatGPT」を効果的かつ安全に活用するために、継続的なモニタリングや改善を行いながら、利用者とのコミュニケーションをおこなっていくことも考えましょう。

スムーズなコミュニケーションができれば、スタッフの作業時間も減らすことができますね。もちろん、人の機微が必要な対応は、人ができるように常にラインを確保する必要がありますね。

ECタイムズ

【Amazonプライム利用調査】加入率は44%で、20代の加入割合は5割以上

2 years 5ヶ月 ago

消費者向け情報サイト「Appliv TOPICS」を運営するナイルが実施したAmazonの有料会員制度「Amazonプライム」に関するアンケート調査(対象は1641人)によると、加入者は約4割強で、加入した時期は5年以上前のユーザーが最多だった。

調査結果のポイント

  • 「Amazon」プライムの加入率は約44.5%。加入率は下の年代ほど高い
  • 「Amazonプライム」に加入した時期は「5年より前」が30.41%、「3年以内」が23.97%
  • 加入者が最も日常的に使う特典は動画配信サービスの「プライム・ビデオ」。若い世代ほど配送特典よりも「プライム・ビデオ」を利用
  • 7割以上が「プライム特典を活用できている」と実感

「Amazonプライム」の加入率は約44.5%。20代では過半数超え

「Amazonプライム」に加入しているかどうかを聞いた質問には、「現在加入している」(44.49%)が最も多く、「過去に加入していた」(11.94%)「加入していない」(40.46%)が続いた。

「Amazonプライム」の加入状況
「Amazonプライム」の加入状況

年代別で見ると、若い世代ほど「Amazonプライム」の加入率が高い。20代では「現在加入している」が55.15%だった。

年代別の「Amazonプライム」加入状況
年代別の「Amazonプライム」加入状況

「現在加入している」と回答した730人に加入時期を聞いたところ、「5年より前」(30.41%)が最多。「1週間以内」から「1年以内」は合計で23.98%、「3年以内」は23.97%だった。

「Amazonプライム」の加入時期
「Amazonプライム」の加入時期

年代が上がるほど「配送料無料」特典を多く利用

日常的に利用している「Amazonプライム」の特典を聞いたところ、「プライム・ビデオ」(83.84%)が最多、次いで「配送料無料・配送特典」(75.62%)だった。

この2つの特典の利用が突出して高く、その他の特典の利用率は3割以下。音楽聴き放題の「Amazon Music Prime」は28.49%、専門チャンネルで動画を楽しめる「Prime Video チャンネル」は21.10%、プライム会員限定の「先行タイムセール」は16.16%だった。

日常的に利用している「Amazonプライム」の特典
日常的に利用している「Amazonプライム」の特典

年代別の各プライム特典の利用率では、「プライム・ビデオ」はどの年代も80%台。「配送料無料・配送特典」の利用率は、60代で90.60%、それよりも下の年代では80%以下となっている。

年代別に見た、日常的に利用している「Amazonプライム」の特典
年代別に見た、日常的に利用している「Amazonプライム」の特典

フォトストレージ「Amazon Photos」、書籍の読み放題サービス「Prime Reading」などを含む、「その他特典」の利用率は50代、60代では低い。これに対して、40代以下のユーザーは「Amazonプライム」の多様な特典を効果的に活用している傾向が見られる。

特典を「活用できている」と感じている人は7割超

「Amazonプライム」の利用者に、「Amazonプライム」を活用できていると思うかを聞いたところ、「どちらかと言うと活用している」(45.34%)が最も多かった。「とても活用している」(31.10%)と合わせると76.44%が「Amazonプライム」を活用できていると感じているようだ。

自分が「Amazonプライム」を活用できていると思うかの調査
自分が「Amazonプライム」を活用できていると思うかの調査

年代別で見てみると、「とても活用している」が20代は47.25%。年代が上がるごとに下がっていき、60代は12.82%だった。

「どちらかと言うと活用している」の割合は60代が最も高く59.83%。「とても活用している」「どちらかと言うと活用している」の合計は、50代が65.87%で最も低かった。

年代別に見た、「Amazonプライム」を活用できていると思うかの調査
年代別に見た、「Amazonプライム」を活用できていると思うかの調査

調査概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2023年6月8日~6月15日
  • 調査委託先:ジャストシステム
  • 調査対象:20~69歳の男女
  • サンプル数:1641人
    年齢】15~19歳:330人、20~29歳:331人、30~39歳:326人、40~49歳:324人、50~59歳:330人
    性別】男性:821人、女性:820人
高野 真維

【九州の大雨】ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の九州向け荷物の一部で配送遅延が発生

2 years 5ヶ月 ago

九州地方の大雨による影響で、大手配送キャリアは7月3日までに、九州向けの荷物の配送に遅れが生じていると公表した。通販・EC会社は該当地域宛ての荷物に関し、配送遅延が生じる可能性についてのアナウンスなどが求められる。

ヤマト運輸

JR貨物列車の遅れなどにより、全国から九州宛ての荷物の一部に遅延が生じている。

特に、全国から滋賀県、京都府の一部宛ての荷物に大幅な遅れが生じているという。

佐川急便

貨物列車の遅れ、運休の影響で、「全国から九州地方向け」「九州地方から全国向け」の荷物の一部に遅延が生じている。

日本郵便

福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県で配達する「郵便物」「ゆうパック」などの一部の配送に遅れが発生している。今後の天候状況で、その他地域でも遅れが生じる場合があるという

瀧川 正実

再春館製薬所が「LINEギフト」に出店、ドモホルンリンクルなどを販売

2 years 5ヶ月 ago

再春館製薬所は6月28日、「LINE」を通じて友だちにギフトを贈れるサービス「LINEギフト」に出店、主力ブランドの基礎化粧品「ドモホルンリンクル」、漢方から発想した新ブランド「Lashiku(ラシク)」の販売を開始した。

「LINEギフト」は、LINEアプリの「トーク」を通じて、LINE上で簡単にギフトを贈ることができるサービス。、誕生日やクリスマスなどのシーンで、相手の住所を知らなくても気軽にギフト(eギフトと配送ギフトの2種類)を贈ることできる。

「LINEギフト」の累計利用者数は2022年10月時点で2600万人。贈り手と受け手の利用ユーザーは20代が38%、女性が6割を占める。

「LINEギフト」のユーザー属性
「LINEギフト」について(画像はZホールディングスが公表したIR資料からキャプチャ)

再春館製薬所は、「LINEギフト」限定の「ドモホルンリンクル」のスターターセット(約1週間分)、単品商品は特にファンの多い「保湿液」「保護乳液」などを販売する。

LINEギフト限定品のなかには、特製の今治フェイスタオル、シートマスクなどのオリジナル品が付くセットも用意した。

再春館製薬所は電話を中心とした通信販売で事業をスタート。自社ECサイトの開設、チャット、LINEなどのオンライン対応を進め、現在は全体売上の50%以上がオンライン経由になっているという。

瀧川 正実

「残りわずか」「〇人が購入済み」が効果的! EC事業者のための「令和4年度消費者意識基本調査」【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

2 years 5ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年6月26日~7月2日のニュース

消費者庁から「令和4年度消費者意識基本調査」が公開されました。ボリュームが多いので要約記事を読んでポイントだけ把握しておきましょう。

誠実な対応をするお店で買いたいという傾向

「令和4年度消費者意識基本調査」から考える、消費者のECサイトに対する本音 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/37208?utm_source=pocket_saves

本記事では、その調査項目のうち、『(2)「インターネットや SNS の利用」について』の「調査結果の概要」から、EC事業者にとって役立つ情報を抜粋して解説します。

「消費者意識基本調査(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/survey_002/)」は消費者庁が毎年行っているもので、日頃の消費生活での意識や行動、消費者事故・トラブルの経験などを聞き、消費者問題の現状や求められる政策ニーズなどを把握することを目的にしています。令和4年度のデータが発表されましたので、ECに関係するものだけを見ていきましょう。

インターネットでの商品・サービスの予約や購入をどの程度しているかという質問には、回答が多い順に以下のようになっています。

  1. 月に2~3回程度:32.2%
  2. 月に1回程度:24.0%
  3. 数か月に1回程度:22.4%

私の場合は「Amazon」でホイホイ買い物をしてしまうわけですが、調査結果では月に2~3回が最多となっています。まとめ買いをしたり、セールのタイミングで買ったりしているのかもしれません。

インターネットでの商品・サービスの予約や購入で気を付けていることについて、15項目の質問には、「当てはまる(『とても当てはまる』+『どちらかというと当てはまる』)」の割合が高い順に以下のようになりました。

  1. 口コミや評価を判断材料にする:84.6%
  2. 大幅に安く販売されている場合は注意する:82.0%
  3. 複数のサイトから情報を集め、信頼できるか確認する:79.0%

やはり口コミは参考になるようです。逆に口コミがないと心配になる人も多いのでは? あとは怪しげなものに関しては慎重になるユーザーが多いようです。特に激安な商品は警戒心が高まりますね。値引きもほどほどに。

インターネットでの商品・サービスの予約や購入において実際に経験したことへの質問は、回答が多い順に以下のようになっています。

  1. 商品・サービスが期待やイメージとは異なる:52.1%
  2. 望まない広告メールが送られてくる:47.6%
  3. サイズや数量等を間違えて注文してしまう:31.8%

ネガティブな体験はこのようになっています。イメージが異なるのはある程度は仕方がないですが、商品画像や動画、説明文でカバーしたいですね。メールに関しては広告と思われないような内容にしておきたいところです。また、登録時に「お店からの大切なお知らせ~」と書いておきながらキャンペーンや広告メールを送るのも控えたいところ。

インターネットでの商品・サービスの予約や購入において、これまでに実際に目にしたり、経験したりしたものに関する質問では、回答が多い順に以下のようになっています。

  1. 『残りわずか』等、売り切れ間近のような表示:78.7%
  2. 『●人が閲覧中』や『●人が購入済み』等、他人の動向の表示:72.0%
  3. 割引等の特典の有効期限をカウントダウンで表示するタイマー:61.7%

購入につながる施策上位はこの3つ。気になる商品が売り切れ間近だと欲しくなります。かといって在庫があるのに表示を少なめにするなど、誠意に欠けるものは止めましょう。次がないですから。口コミが重要であれば、安心感が高まるので「〇人が購入済み」も重要です。

インターネットでの商品・サービスの予約や購入において、実際に商品・サービスの予約や購入、会員登録などにつながったり、困ったりしたものに関する質問には、回答が多い順に以下のようになっています(※「特にない:35.9%」を除く)。

  1. 解約までの手続やページが分かりにくい:25.7%
  2. メールマガジンやセール情報の初期設定が『購読』や『通知』になっていた:20.7%
  3. 『残りわずか』等、売り切れ間近のような表示:17.0%

売り切れ間近はネガティブなイメージもあるようです。前述のように本当に在庫がないときに表示させるようにしましょう。解約は阻止したところで意味がないので、スムーズに解約できるようにしておきましょう。そうすると戻ってきてくれる可能性も高まります。

紹介したデータがユーザーのすべてではありません。今回は調査データを多めにピックアップしていますので、他のデータも参考にしながら自社のユーザーの動きを探っていきましょう。

今週の要チェック記事

「博報堂:EC生活者調査2023」生活者の1年以内のEC利用率は83.6%、 月1回以上は64.4%。 EC生活者の満足度が高いサービスは即配・カスタマイズ・パーソナライズ | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/37335

利便性重視、節約志向、即配が人気という調査結果です。

<調査レポート>化粧品を衝動買いしたのはどんな時?1位は「店頭で見てパケ買い・商品に惹かれて」 | Sheer
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000122153.html

肌につけるものなので店頭で。限定パッケージなども購入の動機になるようです。

10代から60代の年代別購入カテゴリランキングを発表! | PayPayフリマ トピックス
https://paypayfleamarket.yahoo.co.jp/topics/20230131/0000/

30代まではトレカ。40代以上は子供向けとバッグや財布というデータ。

NETSEA AWARD 2023 -上半期- | NETSEA
https://www.netsea.jp/special/award2306

卸の商品トレンドはちょっと先の売れ筋なので参考になります。

【楽天の2023年夏トレンド予測】「物価高対抗」「Return to Normal消費」などがキーワード | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11114

分散型旅行が増えたとはいえ、お盆の帰省ラッシュは変わらないです。

定期購入機能がリリースされました | アルド
https://www.aldo-system.jp/blog/yahoo-shopping-design/subscription/

「Amazonと同様に同じ商品で『通常購入』と『定期購入』が可能になる仕組み」とのこと。リピート商品は設定したいですね。

「送料無料」は問題の本質ですか? 表示の見直しで問題は「解決しない」の声【物流2024年問題巡る現況まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11081

1つの要因ではあるものの、これだけではないはず。

株式会社イーシーキューブ、不正ログイン対策となる重要操作時のメール通知機能を含めたセキュリティ強化機能を実装した最新版EC-CUBE4.2.2を提供開始 | EC-CUBE
https://www.ec-cube.net/press/detail.php?press_id=296

オープンソースなのでセキュリティ対策はしっかりやっておきましょう。

ECの最終画面でわかりやすい契約事項表示を求める改正特商法にネット通販会社が違反、その違反行為と処分内容とは? | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11117

こういったのはどんどん処分してほしい。売れれば良いというものでありません。

今週の名言

85万人が利用する産直EC「食べチョク」が語る「生産者ファースト」なマーケティング。農作業を手伝う理由、映え写真より「日常的な写真」の効果が高かった話。 | アプリマーケティング研究所
https://markelabo.com/n/na676ad61057f

僕らは東京のオフィスにいて、キャンペーンで「同梱物を入れてほしい」と思ったときに、現場を知らないと「簡単にできる」と思ってしまいます

パソコンをいじっているだけでは視野が狭くなります。相手の現場に出向いて確認する習慣を。

筆者出版情報

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