イケダノリユキのCommunitainment Blog

「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って?

15 years 11ヶ月 ago

何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズの斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って?

15 years 11ヶ月 ago

何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズの斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って?

15 years 11ヶ月 ago

何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズの斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って?

15 years 11ヶ月 ago

何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズの斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って?

15 years 11ヶ月 ago

何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズの斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って?

15 years 11ヶ月 ago

何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズの斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って?

15 years 11ヶ月 ago

何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズの斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って?

15 years 11ヶ月 ago

何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズの斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って?

15 years 11ヶ月 ago

何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズの斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って?

15 years 11ヶ月 ago

何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズの斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って?

15 years 11ヶ月 ago

何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズ社長の斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

結婚を決めた88組のリアルレポート

15 years 11ヶ月 ago

ファミチキを買いに行ったコンビニで会計を済ませた後にハケーン。即買い。


an・an × 結婚ネタ × キムタクが表紙という3拍子揃った今週号、これまた売れそうです。100万部を突破した宝島のsweetはまた別のところでうまいけど、いやはや、このあたりの設定はさすが、an・anうますぎです。


Anan_100113



相変わらず謎の表紙ですが、ここにキムタクがどどーんとクールな顔をして座っているわけです。「オラ、照れてないでこっちこいよ」みたいな顔で。


リアル結婚レポートとしては、2人のラブラブの写真つきで、それぞれのカップルがこんな感じでのろけております。


●初めて飲んだその日に結婚を決意:彼の生命力に、確かに未来を見て結婚を望むように。
●ムービーでサプライズプロポーズ:いつまでも、一緒に楽しくお酒を飲みたい!
●ふたり揃って同じ夢を見た:全く同じ夢を見たりと、ミラクルが重なった
●6000kmの遠距離を経て結婚:「いつも近くに、一緒にいたい。」その一心で。
●チベットで運命の出会いを体験した:全てがピッタリで「結婚しない理由がなかった。」
●ひと目見た瞬間に結婚を確信:本能の声に従って、結婚まで一直線に突き進む。


その後、「直感で?それとも慎重に決める?スピード婚&スロー婚の最新事情」として、これまた様々なカップルのプロポーズや入籍に至るまでの「期間」を比較。


まぁねぇ。こればっかりは出会ってすぐに結婚して一生添い遂げる夫婦もいれば、付き合って5年で結婚して3ヶ月で離婚する夫婦もいるし、その逆もたくさんいるので、何ともいえませんね。定性的な事例というよりも、マーケッターとしてはキッチリした統計を見てみたくなる。


そして、話は、「その響きにうっと~りしたい。厳選!! 31組の陶酔プロポーズ集」へと移ります。


Anan_100113_2


一部を抜粋すると・・・


●僕のバスに乗って頂けますか?あなたと僕の二人の人生を乗せて走りたくなりました。
●結婚して下さい。泣かせるようなことは絶対にしません。残りの人生を俺に下さい。決して一人にはしません。
●あなたはもう、僕には用がありませんか。僕はあなたにとって、今後一生会わなくても構わない人間なんでしょうか(中略)僕は違います(中略)僕には、あなたが必要です。今も、そして将来も。
●ずっと前からこの言葉を伝えたかった。毎晩、練習いっぱいしたんだけど・・・でも照れるな。僕の妻になってくれるかい?
●だけど言わなくて後悔するよりは言って後悔するほうがいい・・・ああ、こまったものだな、さっきから自分のつごうばかり言ってる。要するに・・・要するに、結婚して欲しいんだ。


これらは、映画、小説、マンガ、タレントなど古今東西のプロポーズが厳選されているようです・・・が、うーん、世の女性たち、いかがなもんでしょうか。


こういう(世間では)クサイと言われるプロポーズって、「え~!絶対ヤダ!」なんて言いながら、自分が好きな人にじっと瞳を見つめられて言われるとそれはそれで嬉しかったりするわけで・・・(え?しない?)


まあさておき。


締めくくりは(an・anの特集はまだまだ続きますが)、「外見?性格?何が問題?あなたが "選ばれない" 理由」というan・anお約束のチェックリスト。


Anan_100113_3


以下、「あなたの "選ばれない女" 度チェックリストだそうです。レッツトライ。


□ 黒やグレーなどダークな色の服ばかり着ている
□ 男兄弟がいない
□ メールの返事を1日以上たってから出すことがある
□ 男性に会うときは巻紙、ネイルサロンは必須
□ 習い事に3つ以上通っている
□ ゴルフ、海外旅行、ワインのいずれかが趣味
□ 無趣味で毎日家と会社の往復ばかり
□ 男性に昔の彼の話をすることに抵抗はない
□ メールの文章は丁寧語が多い
□ 人のことについ口を出してしまう
□ 結婚したら年に一度は海外旅行に出かけたい
□ 結婚したい相手の職業がはっきりしている
□ 気になる人がいても自分から声をかけない


如何でしょうか。多ければ多いほど危険度が高いそうです。


自分磨きをしすぎててもしてなさ過ぎてもいけない。過ぎたるは及ばざるが如し。何でも適度に、男女分け隔てなく、自然体でいましょうよという風潮が出てきましたね。女子力アップのゆり戻しでしょうか。


そして、an・an後半戦は、独身男性のホンネ、結婚式ハプニング集、婚活の現場に潜入!と、読み応えのある特集が目白押しなのでした。


婚活は、単なるブームではなく、いわば社会構造の変化が生み出した必然なので、このテーマ、手を変え、品を買え、しばらくは続きそうな感じですな。


<追記>


このan・anの中に、よく知る方が載っておりました・・・。ビックリしたよ!

テレビ局の裏側

15 years 11ヶ月 ago

もういっちょ正月に読んだ本。


●中川勇樹著「テレビ局の裏側」新潮新書


Tv_uragawa


著者は、テレビ番組の制作で20年の経験を持つフリーのテレビディレクター。


(当然ながら)僕はテレビ局やその番組制作の現場で働いたことがないため、結構知らないことも多く、すごく勉強になりました。


著者が言うように、こんなに国民が慣れ親しんでいながら、これだけ何も知られていない業界というのも頷けます。


「本書に書いてあることなんて、業界人や業界にトモダチがいる人ならみんな知ってるよ!」という方は読む必要はないと思いますが、知っているようで実は知らないかも・・・と思っている方であれば、「ほほぅ・・・そうだったのか・・・」という箇所がたくさんあると思いますよ。


目次はこんな感じ。


第一章 決して放送しない話
第二章 なぜ必ず徹夜になるのか
第三章 捏造してでも叶えたかった
第四章 「決定的瞬間」はつくりもの
第五章 人気番組ほどつらい
第六章 お詫びの対象となります
第七章 視聴者が変わる、テレビが変わる


メディアと広告は表裏一体です。テレビメディアの将来うんぬんを語るなら、まずは現場の方の意見を聞いてみましょう。


個人的にはオススメ本です。

不幸な国の幸福論

15 years 11ヶ月 ago

正月休みに少しだけ本を読んだのでご紹介。


●加賀乙彦著「不幸な国の幸福論」集英社新書


Fukounakuni


珍しく本屋で手に取った同著、80歳の著者とは思えない柔軟な語り口に非常に納得させられました。


著者は、『人はときどき、何が自分を幸福にするかについて間違った理論を作り上げ、それにもとづいて欲望を形成した結果、「ミスウォンティング(欲求ミス)」をおかすことになる』と書いています。


親の期待、所属している集団の価値観や常識、時代の空気や流行、身近な誰かの成功や失敗など、他者を意識しすぎる不幸などについても考察していて、ふむふむ、そうだよね、と。


正月早々暗い話ですが、日本の年間自殺者は3万人以上です。でもこれ、諸外国と計算の仕方が違うみたいで、他の国と同じく変死者の半分を自殺者数に組み込むやり方で計算し直すと、日本は何と自殺率世界一のリトアニアを軽く抜き去る数になるそうです。WHOが集計している101カ国でワースト1ですよ。これは異常です。


僕たちはいま、経済的な豊かさと精神的な幸福が反比例する時代に生きています。これは、戦後の日本が歩んできた「成長を前提とした社会」の限界を示しているように思えます。


昔イタリアに旅行に行ったとき、日曜日はほとんど商店がお休みしていました。一方、日本では元旦からお店を開いています。


少しでも多く売上を伸ばすために、年中無休で働く。そして、僕たちは年中無休で消費する。でも、経済的成長もきつくなってきたし、それにともなって経済的豊かさすら危うくなってきている。そして、小学生の10人に1人が「うつ病の傾向あり」なんて時代なわけです。


僕たちにとって、シアワセとは何なのか。当たり前ですが、本書の中でその解は記されてはいません。でも、自分にとってのシアワセとは何なのか、考えるキッカケにはなるはずです。


負け惜しみでもなく、他者と比べるでもない、自分にとってのシアワセとは何か。あなたは自信をもって、「これが自分のシアワセだ!」と応えることができるでしょうか(僕のシアワセ論は内緒です。酔っ払うと話します)。


自分のシアワセを明文化できていない人に、社会の空気を読んだプランニングをすることはできないと思います。マーケターならば、まず自分のシアワセがきちっと説明できる状態にあり、さらに社会に生きる人々の「迷走する幸福論」を理解しなければいけません。


ということで、正月休みにピッタリの本でした。興味がある方はぜひ。

2009年の総括と2010年の抱負

15 years 11ヶ月 ago

皆さま、新年明けましておめでとうございます。


2009年も本当に本当にありがとうございました。皆さまあってのトライバルメディアハウスでございます。


2009年は、トライバルメディアハウスにとって非常に大きな1年でした。2010年に向け(というかもう明けてますけど)1年を振り返りつつ、2010年の抱負をまとめたいと思います。


<2009年の社会10大ニュース(国内)>


1位 衆院選で民主308議席の圧勝。歴史的政権交代で鳩山内閣発足(8月・9月)
2位 日本でも新型インフルエンザが流行(5月)
3位 裁判員制度スタート(5月)
4位 日本がWBC連覇(3月)
5位 酒井法子容疑者、覚せい剤所持で逮捕(8月)
6位 天皇陛下即位20年(1月)
7位 高速道路「上限1000円」スタート(3月)
8位 イチロー選手が大リーグ史上初9年連続200本安打(9月)
9位 巨人7年ぶり21度目の日本一(11月)
10位 足利事件の菅谷さん釈放。DNA鑑定に誤り(6月)


※出典:笑豆(ニコマメ)日記


<トライバルメディアハウスと僕の2009年>


【1月】
●36歳になり、アラフォーな自分を感じ始める
●ソニー「Cam with me」キャンペーンについて書いたブログエントリーがはてブ450件を超え、バズの中心に
広告系(ブロガー)総会vol.3 に出席


【2月】
●ネットイヤーとのコラボセミナーを実施。満員御礼でございました
●宣伝会議「Web広告営業職養成講座」講師
●Z会様「親子のやる気ラボ」キャンペーンリリース
●トリンプ様AMO'S STYLE「究極のランジェリー開発プロジェクト」2年目始動


【3月】
●初のUSJ視察
●ワコム様プロDJ用インターフェース機器「nextbeat」キャンペーンスタート
●宣伝会議「インターネット広告講座」講師
●トライバルメディアハウスが満2歳を迎える
●国内最強No.1のクチコミ評判分析エンジン「ブームリサーチ」サービスイン


【4月】
●日経産業新聞にて「ブームリサーチ」がチロッと紹介される
新入社員(新卒:遠藤麻衣子)入社
●ドイツ生まれの水「ロスバッハー」PRキャンペーンスタート
●SBHC様「100チアガール」がWebby Awardsを受賞
●USJ様大阪人のためのクチコミサイト「おおさか遊ぶろぐ」スタート
自転車通勤を始める
●オフィスを初台オペラシティから渋谷へ移転


【5月】
●各種オペレーションで忙殺される


【6月】
●新入社員(営業:田中寛人)入社
●ビルコム様太田社長との対談がWebPRカレッジに掲載
●USJ様とディープな大阪ツアー
●第7回「Webクリエーションアウォード」にノミネートされる


【7月】
●USJ様「きずなラボ」戦略PRキャンペーンスタート
●ブルーカレント・ジャパンの本田社長とインタラクティブ・プロモーション」×「戦略PR」セミナーを開催
●USJ様「ユニバーサル・サマー・バケーション」キャンペーンスタート
●トリンプ様AMO'S STYLE「究極のランジェリー開発プロジェクト」2年目モデルオーディション開催


【8月】
●新入社員(メディアプランナー:松田かおり)入社
広告系総会2009【夏】に出席


【9月】
●ad:tech tokyo「UGCによるブランドオーナーシップの変化」にてモデレーターを務める
●トライバルメディアハウス「経営大学院」開校
●JAA「広告実践塾」講師
●共著MdN「Webディレクションの手法80」上梓


【10月】
●新入社員(営業:殿塚朝美)入社
●トリンプ様AMO'S STYLE「究極のランジェリー開発プロジェクト」2年目販売開始
●ファインドスター「広告業界人が読む人気ブログランキング2009」8位にランクイン
●宣伝会議10月15日号「ソーシャルメディア特集」30人の1人として登場
●宣伝会議「Webプランニング講座」講師
●会社のみんなで初のゴルフ練習
●USJ様「Limited Christmas」キャンペーンスタート


【11月】
●ネットイヤーの皆さまと日経ビジネススクールの講師
●マイクロソフト様ソーシャルメディアマーケティングのバイブルお披露目
●USJ様「きずなラボ」がASIA-PACIFIC PR AWARD 2009を受賞
●USJ様「Limited Christmas」スペシャルムービーが公開


【12月】
第一回「事業主のソーシャルメディアマーケティングを考える会」(焼肉)開催
第一回トライバルメディアハウス杯(ゴルフ)開催

twitterのフォロワー数が1000人を超える


などなど、2008年と比べて、非常に業務の幅が広がった1年でした。新しいメンバーも増えて、順調にパワーアップ中です!


まだリリースされていませんので、ここではご紹介できませんが、2010年1月に、2つのオモシロイNEWSがリリースされます。いずれも2009年春頃から長い時間をかけて開発してきたものなので、どちらも必ず成功させたい!


また、2010年2月にクチコミ評判分析エンジン「ブームリサーチ」について新しいリリースを予定しているのと、それに関連した新サービスを2010年3月からスタートさせます。そして、2010年4月には念願の発表を1つ控えています。


これらは全て2008年から目標にしていて、2009年に仕込んだもの。本当に充実した1年でした。皆さん、本当にお力添え、ありがとうございました!


さて、新年明けて2010年ですが、今年はどんな1年にするかなと。ちなみに、1年前の今日に立てた抱負はこんなんでした。


<会社の抱負>


テーマ:加速に向けた足場固め


●2009年初頭に戦略的アライアンスによる体制を固め、予想を上回るペースで進む業界の地殻変動の中で新たなポジションを獲得する。
●プロモーションやキャンペーン業務はもちろん、マーケティングから事業開発まで対象領域を徐々に拡大させる足がかりの一年とする。
●営業も企画もオペレーションも全工程で品質やスケジュールの安定化を図るため、組織強化を図ります。組織の前に、まずは個々人のスキル及び自覚アップから、かな。
●セミナーとか研修とか昨年と同じペースで継続。宣伝会議さんとかJAAさんとか自社主催とか問わず。やっぱあっちこっちでお話しないとね。
●今年こそ・・・今年こそ本書くぞ!昨年は書籍企画書止まりだったからなぁ・・・。今年こそしっかり執筆しよう(上梓は2010年春目標かな)


<個人の抱負>


テーマ:ストイックに楽しむ


●英会話に再チャレンジ。こりゃやっぱ逃げられないかなと・・・。ちょっとまだ腹決めてませんが、やるなら徹底的にやる!かも(笑
●社会学、心理学、脳科学など、マーケティングの周辺分野をもっと研究していきたい(もちろん実業レベルで)。そのために、周辺本を月2~3冊は読みます。
●ゴルフスコア100切り!・・・は無理としてもせめて105くらいは出したい。せめて隔月に1回くらいはコースに出よう。
●昨年から復活させたウィンドサーフィンで今年こそプレーニングを!4月頃から隔週で海行くぞー。2010年1月は、ウィンドでサイパンツアー行きたい。
●エアロビはやらなくなっちゃったので、食生活とウィンドでがんばって、63キロまで痩せよう。


んーむ。仕事の目標はだいたいやれた感じがしますが、個人の目標はほとんど達成できてませんね。英会話は相変わらず手付かずだし(TOEICの本は買ったけど・・・)、ゴルフは相変わらずぜんぜん練習にもコースにも行ってないし(スコアは110~120をうろうろ)、ウィンドサーフィンも春から夏にかけては行ったものの、肝心の夏以降は一切行けなかったし、エアロビも1回しか行かなかった(体重は65キロくらいまで減ったけど)。でも、脳科学は研究の甲斐あってUSJ様の「きずなラボ」で本格的な脳科学調査&戦略PR施策が打てたから良かったかな。


ということで、2010年の抱負!


<会社の抱負>


テーマ:加速!!


2009年は、抱負通り、加速に向けた足場固めができた1年だったと思います。なので、2010年は文字通り加速します!


●ソーシャルメディアマーケティング領域では、2010年は各企業がそれぞれ本質的な取り組みに着手する、まさにソーシャルメディアマーケティング元年になる。「ソーシャルメディアマーケティングと言えばトライバルメディアハウスだよね」と言ってもらえるよう、業界の中でNo.1の企業になるべく成功事例を量産したい
●ソーシャルメディアマーケティング領域は、まだ成功の方程式が出来上がっていない。さらに、方程式の前に広告主の意識や取り組みにもまだ相当のバラツキがある。書籍、執筆、セミナーなどを通して、広告主の啓蒙に励みたい
●2010年は、自社メディアのソーシャルメディア化が進展する1年となる。広告主のOwned Social Media Platformの企画・開発に複数件携わる
●プロモーションやプラットフォームの開発に加え、多くのソーシャルメディアマーケティング導入に係るコンサルティングを手がける。マイクロソフト様に提供したような、バイブルやガイドラインづくり、インナーのトレーニング含め、できる限り多く、ソーシャルメディアマーケティングに本格的に取り組む企業の手助けをしたい

●ソーシャルメディアマーケティングは、アドボカシーマーケティングの概念と非常に近いところがある。アドボカシーマーケティングの権威:山岡氏と共同でこのテーマを深く研究し、何がしかの道筋を示したい
●クチコミ評判分析エンジン「ブームリサーチ」を、業界の分析ツールのデファクトにしたい。そのために、クチコミ分析の仕方や、ツールの使い方のコツなど、ツールの提供だけにとどまらないサポートを強化する。新サービスも始める!
●トライバルメディアハウスからの情報発信力を強めるため、春先をメドにコーポレートサイトを全面リニューアルさせる。そこから、国内外のソーシャルメディアマーケティングの最新事例を広告主にたくさん提供して行く
●社員全員がソーシャルメディアマーケティングコンサルタントになるために、社内勉強会をさらにレベルアップさせて行く。うちの社員の誰に聞いても、ソーシャルメディアマーケティングの本質が語れ、戦略プランニングから実施までをサポートできるようにしたい
●質の向上だけでなく、オペレーションの枠を広げたい。そのため、ソーシャルメディアマーケティングに精通した人材の採用を積極的に実施して行く(我こそは!という方は、お気軽にメールください、笑)


<個人の抱負>


テーマ:バランスよく生きる


●とにかく毎年偏った生活をしすぎている。仕事以外のことにももっと気を配り、実行する1年にしたい
●寒くなってサボりがちな自転車通勤を復活させる!
●貧相な体になってきたので、上半身を中心にビルドアップする。目指せ筋肉モリモリ
●週に1回くらいは、業界内外の方と会食をして、見聞を広げる。お会いしたい方をリストアップして、計画的にお誘いし、焼肉を食べる!
●ウィンドサーフィンは結局くじけそうな気配なので、今年はゴルフに絞ってレベルアップを本格化させる。そのために、ちゃんとレッスンに通い直し、スイング矯正から始めよう。2010年12月までに必ず100を切る!
●英語・・・。英語は実践あるのみだけど、当面の目標としてTOEIC600点を目指そう。うん、そうしよう。英語の本を原著で買って読めるようになる。Googleの検索が日本国内だけでしか使えていない毎日からサヨナラする
●もっともっと社員と話したい。嫌がる社員を無理やり飲みに誘おう。そして、たくさん話して、彼ら・彼女らが目標とする人生を得られるよう、できる限りの助言をしたい(役に立つかはわからんが)
●春頃をメドにブログを全面リニューアルさせて、もうちょっと読みやすいブログに生まれ変わる。見た目だけじゃなく、もうちっと皆さんの参考になるエントリーを書いていきたい


という感じの1年にします!


2010年も本当に本当に忙しい1年になりそうですが、いまが勝負のとき。健康に気をつけて、社員一丸となって日本のソーシャルメディアマーケティングに新風をまき起こしたいと思います。


本年もどうぞ宜しくお願い致します!


株式会社トライバルメディアハウス
代表取締役社長 池田紀行

顧客の信頼を勝ちとる18の法則 - アドボカシー・マーケティング

15 years 11ヶ月 ago

こーれーはーねー。良著ですよ!


●山岡隆志著「顧客の信頼を勝ちとる18の法則 - アドボカシー・マーケティング」日本経済新聞出版社


Advocacy_kokyaku


山岡さんは2006年に(↓)のグレン・アーバン著「アドボカシーマーケティング - 顧客主導の時代に信頼される企業」という、あのコトラーも絶賛した著書の訳者も務めている方で、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院時代にアドボカシーマーケティング提唱者のグレン・アーバン教授に師事し、日本企業に数多くヒアリングを実施して独自の視点や方法論をまとめた方です。


Advocacy_marketing

いままでこの図はたくさん出してきましたが、クチコミの拡がり方の2類型はこちらです。


Wom


2006年~2008年くらいまでは赤のBuzz/Viral型が注目されてきましたが、2009年初頭くらいから徐々に空気が変わり、ソーシャルメディアってもっと中長期的な関係性づくりの場なんじゃないの?と、ソーシャルメディアマーケティング戦略全体が「短期的な話題化(Buzz/Viral型)」から「中長期的な関係性(キズナ)づくり」に舵が切られ始めています。これは非常に良いこと。


んで、上記図の緑色、つまり、中長期的に商品やサービスそのもののレビューやレコメンド(ネガティブ情報含む)が発信・蓄積されていくソーシャルメディアマーケティングの戦略類型を「アドボカシー型」と(勝手に)命名してきたわけですが、上記書籍はまさにその名づけ親というか、この概念から頂いてます。


前著は概念のまとめと理論の解説が多かったように思いますが、今回は具体的な事例の解説をベースにして、アドボカシーマーケティングの法則を18個にまとめてくれています。全文に赤線が入る勢いで読みました


本書の帯には「欠点もさらけ出せ!正直な会社に人は集まる」ですが、内容はまさにソーシャルメディアマーケティングのアドボカシー型における考え方や行動指針そのまんまなのです。


著者の山岡さんは、アドボカシーマーケティングについての本を書いたのであって、そこまで強くソーシャルメディアマーケティングの中長期的取り組みの戦略類型にフィーチャーしてまとめたわけではないと思います。


なのに、ここまで考え方が同じであることは、施策なり取り組みのベースに当たる部分、つまり企業の顧客や消費者に対する思想や哲学に通じる部分が全く同じだからだと思います。


ソーシャルメディアマーケティングのアドボカシー型についてもっと勉強したいと思っている方は、ネット本やtwitter本はほどほどにして、本書を一冊熟読することをオススメします。本質が深く理解できると思いますよ。


こちらも正月本にオススメです(というか課題図書として必読!)

顧客の信頼を勝ちとる18の法則 - アドボカシー・マーケティング

15 years 11ヶ月 ago

こーれーはーねー。良著ですよ!


●山岡隆志著「顧客の信頼を勝ちとる18の法則 - アドボカシー・マーケティング」日本経済新聞出版社


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山岡さんは2006年に(↓)のグレン・アーバン著「アドボカシーマーケティング - 顧客主導の時代に信頼される企業」という、あのコトラーも絶賛した著書の訳者も務めている方で、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院時代にアドボカシーマーケティング提唱者のグレン・アーバン教授に師事し、日本企業に数多くヒアリングを実施して独自の視点や方法論をまとめた方です。


Advocacy_marketing

いままでこの図はたくさん出してきましたが、クチコミの拡がり方の2類型はこちらです。


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2006年~2008年くらいまでは赤のBuzz/Viral型が注目されてきましたが、2009年初頭くらいから徐々に空気が変わり、ソーシャルメディアってもっと中長期的な関係性づくりの場なんじゃないの?と、ソーシャルメディアマーケティング戦略全体が「短期的な話題化(Buzz/Viral型)」から「中長期的な関係性(キズナ)づくり」に舵が切られ始めています。これは非常に良いこと。


んで、上記図の緑色、つまり、中長期的に商品やサービスそのもののレビューやレコメンド(ネガティブ情報含む)が発信・蓄積されていくソーシャルメディアマーケティングの戦略類型を「アドボカシー型」と(勝手に)命名してきたわけですが、上記書籍はまさにその名づけ親というか、この概念から頂いてます。


前著は概念のまとめと理論の解説が多かったように思いますが、今回は具体的な事例の解説をベースにして、アドボカシーマーケティングの法則を18個にまとめてくれています。全文に赤線が入る勢いで読みました


本書の帯には「欠点もさらけ出せ!正直な会社に人は集まる」ですが、内容はまさにソーシャルメディアマーケティングのアドボカシー型における考え方や行動指針そのまんまなのです。


著者の山岡さんは、アドボカシーマーケティングについての本を書いたのであって、そこまで強くソーシャルメディアマーケティングの中長期的取り組みの戦略類型にフィーチャーしてまとめたわけではないと思います。


なのに、ここまで考え方が同じであることは、施策なり取り組みのベースに当たる部分、つまり企業の顧客や消費者に対する思想や哲学に通じる部分が全く同じだからだと思います。


ソーシャルメディアマーケティングのアドボカシー型についてもっと勉強したいと思っている方は、ネット本やtwitter本はほどほどにして、本書を一冊熟読することをオススメします。本質が深く理解できると思いますよ。


こちらも正月本にオススメです(というか課題図書として必読!)

顧客の信頼を勝ちとる18の法則 - アドボカシー・マーケティング

15 years 11ヶ月 ago

こーれーはーねー。良著ですよ!


●山岡隆志著「顧客の信頼を勝ちとる18の法則 - アドボカシー・マーケティング」日本経済新聞出版社


Advocacy_kokyaku


山岡さんは2006年に(↓)のグレン・アーバン著「アドボカシーマーケティング - 顧客主導の時代に信頼される企業」という、あのコトラーも絶賛した著書の訳者も務めている方で、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院時代にアドボカシーマーケティング提唱者のグレン・アーバン教授に師事し、日本企業に数多くヒアリングを実施して独自の視点や方法論をまとめた方です。


Advocacy_marketing

いままでこの図はたくさん出してきましたが、クチコミの拡がり方の2類型はこちらです。


Wom


2006年~2008年くらいまでは赤のBuzz/Viral型が注目されてきましたが、2009年初頭くらいから徐々に空気が変わり、ソーシャルメディアってもっと中長期的な関係性づくりの場なんじゃないの?と、ソーシャルメディアマーケティング戦略全体が「短期的な話題化(Buzz/Viral型)」から「中長期的な関係性(キズナ)づくり」に舵が切られ始めています。これは非常に良いこと。


んで、上記図の緑色、つまり、中長期的に商品やサービスそのもののレビューやレコメンド(ネガティブ情報含む)が発信・蓄積されていくソーシャルメディアマーケティングの戦略類型を「アドボカシー型」と(勝手に)命名してきたわけですが、上記書籍はまさにその名づけ親というか、この概念から頂いてます。


前著は概念のまとめと理論の解説が多かったように思いますが、今回は具体的な事例の解説をベースにして、アドボカシーマーケティングの法則を18個にまとめてくれています。全文に赤線が入る勢いで読みました


本書の帯には「欠点もさらけ出せ!正直な会社に人は集まる」ですが、内容はまさにソーシャルメディアマーケティングのアドボカシー型における考え方や行動指針そのまんまなのです。


著者の山岡さんは、アドボカシーマーケティングについての本を書いたのであって、そこまで強くソーシャルメディアマーケティングの中長期的取り組みの戦略類型にフィーチャーしてまとめたわけではないと思います。


なのに、ここまで考え方が同じであることは、施策なり取り組みのベースに当たる部分、つまり企業の顧客や消費者に対する思想や哲学に通じる部分が全く同じだからだと思います。


ソーシャルメディアマーケティングのアドボカシー型についてもっと勉強したいと思っている方は、ネット本やtwitter本はほどほどにして、本書を一冊熟読することをオススメします。本質が深く理解できると思いますよ。


こちらも正月本にオススメです(というか課題図書として必読!)

顧客の信頼を勝ちとる18の法則 - アドボカシー・マーケティング

15 years 11ヶ月 ago

こーれーはーねー。良著ですよ!


●山岡隆志著「顧客の信頼を勝ちとる18の法則 - アドボカシー・マーケティング」日本経済新聞出版社


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山岡さんは2006年に(↓)のグレン・アーバン著「アドボカシーマーケティング - 顧客主導の時代に信頼される企業」という、あのコトラーも絶賛した著書の訳者も務めている方で、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院時代にアドボカシーマーケティング提唱者のグレン・アーバン教授に師事し、日本企業に数多くヒアリングを実施して独自の視点や方法論をまとめた方です。


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いままでこの図はたくさん出してきましたが、クチコミの拡がり方の2類型はこちらです。


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2006年~2008年くらいまでは赤のBuzz/Viral型が注目されてきましたが、2009年初頭くらいから徐々に空気が変わり、ソーシャルメディアってもっと中長期的な関係性づくりの場なんじゃないの?と、ソーシャルメディアマーケティング戦略全体が「短期的な話題化(Buzz/Viral型)」から「中長期的な関係性(キズナ)づくり」に舵が切られ始めています。これは非常に良いこと。


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前著は概念のまとめと理論の解説が多かったように思いますが、今回は具体的な事例の解説をベースにして、アドボカシーマーケティングの法則を18個にまとめてくれています。全文に赤線が入る勢いで読みました


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なのに、ここまで考え方が同じであることは、施策なり取り組みのベースに当たる部分、つまり企業の顧客や消費者に対する思想や哲学に通じる部分が全く同じだからだと思います。


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こちらも正月本にオススメです(というか課題図書として必読!)

顧客の信頼を勝ちとる18の法則 - アドボカシー・マーケティング

15 years 11ヶ月 ago

こーれーはーねー。良著ですよ!


●山岡隆志著「顧客の信頼を勝ちとる18の法則 - アドボカシー・マーケティング」日本経済新聞出版社


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山岡さんは2006年に(↓)のグレン・アーバン著「アドボカシーマーケティング - 顧客主導の時代に信頼される企業」という、あのコトラーも絶賛した著書の訳者も務めている方で、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院時代にアドボカシーマーケティング提唱者のグレン・アーバン教授に師事し、日本企業に数多くヒアリングを実施して独自の視点や方法論をまとめた方です。


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いままでこの図はたくさん出してきましたが、クチコミの拡がり方の2類型はこちらです。


Wom


2006年~2008年くらいまでは赤のBuzz/Viral型が注目されてきましたが、2009年初頭くらいから徐々に空気が変わり、ソーシャルメディアってもっと中長期的な関係性づくりの場なんじゃないの?と、ソーシャルメディアマーケティング戦略全体が「短期的な話題化(Buzz/Viral型)」から「中長期的な関係性(キズナ)づくり」に舵が切られ始めています。これは非常に良いこと。


んで、上記図の緑色、つまり、中長期的に商品やサービスそのもののレビューやレコメンド(ネガティブ情報含む)が発信・蓄積されていくソーシャルメディアマーケティングの戦略類型を「アドボカシー型」と(勝手に)命名してきたわけですが、上記書籍はまさにその名づけ親というか、この概念から頂いてます。


前著は概念のまとめと理論の解説が多かったように思いますが、今回は具体的な事例の解説をベースにして、アドボカシーマーケティングの法則を18個にまとめてくれています。全文に赤線が入る勢いで読みました


本書の帯には「欠点もさらけ出せ!正直な会社に人は集まる」ですが、内容はまさにソーシャルメディアマーケティングのアドボカシー型における考え方や行動指針そのまんまなのです。


著者の山岡さんは、アドボカシーマーケティングについての本を書いたのであって、そこまで強くソーシャルメディアマーケティングの中長期的取り組みの戦略類型にフィーチャーしてまとめたわけではないと思います。


なのに、ここまで考え方が同じであることは、施策なり取り組みのベースに当たる部分、つまり企業の顧客や消費者に対する思想や哲学に通じる部分が全く同じだからだと思います。


ソーシャルメディアマーケティングのアドボカシー型についてもっと勉強したいと思っている方は、ネット本やtwitter本はほどほどにして、本書を一冊熟読することをオススメします。本質が深く理解できると思いますよ。


こちらも正月本にオススメです(というか課題図書として必読!)

確認済み
8 years 6ヶ月 ago
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