RIAシステム 構築ガイド Essential
RIAコンソーシアムが発行する、RIAの普及促進や開発に関するガイドライン『RIAシステム 構築ガイド』の2007年版である『RIAシステム 構築ガイド Essential 2007』をWeb担向けに特別にオンラインで公開するコーナー。
コンピュータだけ早くても仕事は進まない
Macromedia(現Adobe)は、こうしたインターネットアプリケーションの変遷を、図のように説明しています。すなわち、メインフレームからクライアント/サーバー、初期のウェブ(HTML)、そしてRIAへの流れを、コストパフォーマンス(投資額に対する有効性)とユーザビリティ(利用者の使い勝手)という二軸によって説明しています。
この図は、通常業務的な部分で、情報システムがメインフレームからパソコンへと移行し、さらにブラウザをベースとしたものに置き換わっていった様子を見事に表しています。しかし、この図の本質は、業務分野だけでなく日常必要なアプリケーションの変遷を語っている点です。
情報処理技術の発達によって、正確さや処理速度の分野が向上していくことは、もはや当たり前です。残された課題は、操作する人間に近い部分だけとさえ言えます。どんな高度な処理が高速に行える環境が作れたとしても、それを操作する人間のリテラシーが追いつかなかったり、誤操作を招くインターフェイスであっては、意味がありません。この図に見る変遷は、「人が正しく操作する」という前提に立つのではなく、「人が正しく操作しやすい状況を作り込んでいく」ことの価値に、開発者が気づき始めた過程だとも言えるのです。
こうした流れは、「システムの定義の変遷」として捉えることもできます。少し前まで「システム」とは、たとえば「フロント+ミドルウェア+バックエンド」という三層構造をしていて、それを人間が操作するものである、と考えられてきました。しかし、Webの浸透によって、リテラシーの違いや、対象ユーザーの属性の違いによって、こうした考え方では、得られる「成果」にバラツキが出ることがわかってきています。特に、「B2C」といった一般ユーザーを対象とした「システム」では、開発する側が期待する操作をしてくれなくて、予想を裏切る結果が続出しました。
こうして、企業が投資する「システム」とは、「ハードウェアとソフトウェアの塊」ではなく、操作する人間も含めた全体像だとする考え方が広まっていったのです。それが「ユーザビリティ」という言葉であり、それを積極的に考慮した設計・開発を行おうとしているものが、結果的に「RIA」と呼ばれるものになっているのです。
この記事は、RIAコンソーシアムが発行した『RIAシステム 構築ガイド Essential 2007』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。※掲載されている内容は2007年5月発行時点のデータに基づいています。
RIAコンソーシアムの活動記録とも言える本ガイドは、RIAの普及促進、開発に関するガイドライン、課題解決などについて、マネージメント、ユーザーインタフェース、テクノロジーの3つの視点からみた、それぞれのテーマについてまとめています。
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