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グローバル展開におけるコーポレートサイト多言語化の課題を解決するには? グローバルB2B製造業・TBMの成功事例

コーポレートサイトを多言語化するには、かなりの工数を要する。株式会社TBMは、この課題を何で解決したのだろうか?

Wovn Technologies株式会社は、2023年6月16日に「GLOBALIZED B2B 製造業」を開催し、「海外展開を加速する多言語 Web 発信とは」をテーマにセッションをお届けしました。

当セッションでは、株式会社TBM グローバルアライアンス部 部長である中村 友哉 氏を迎え、「新素材と資源循環事業を加速させるグローバル戦略とは」と題して、製造業スタートアップにおけるグローバル戦略のキーファクターと情報発信の重要性についてお話いただきました。本レポートではその内容をご紹介します。

Wovn Technologiesの許諾を得て、Web担で掲載しています。オリジナル記事はこちら →https://mx.wovn.io/blog/0100

【登壇者】
中村 友哉 氏
株式会社TBM グローバルアライアンス部 部長

2008年、アクセンチュア株式会社の戦略グループに入社後、製造業クライアントの中期計画策定、新規市場参入戦略策定、営業改革、デジタルトランスフォーメーションなど幅広いプロジェクトを経験。2017年、株式会社TBM に入社し、海外展開や用途開発などに携わる。2018年、Bioworks 株式会社のグループ化に関わり、取締役に就任。2021年、SK グループとの資本業務提携に関わり、SK グループとの合弁会社であるSK TBMGEOSTONE の取締役に就任。

WOVN:
TBM さんは製造業ベンチャーだからこそブランドマーケティングを重視されています。その中でグローバル展開におけるマーケティング活動の重要性や、キーファクターについてお話を伺えればと思います。中村さん、宜しくお願いします!

中村(TBM):
本日はこのような機会をいただきありがとうございます。私は TBM に2017年に入社し、その後一貫して海外部門に従事しています。現在はグローバルアライアンス部の部長として、海外展開の責任者を担っています

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TBM が展開する新素材とリサイクル事業

中村(TBM):
まず会社の紹介をさせてください。TBM というのは「Times Bridge Management」 の略で、「サステナブルな未来に橋をかけていく。そのために向こう100年挑戦し続けていく」という強い意志を込めています。

当社の事業内容には大きく2つの柱があります。一つが「サステナブルな素材製品の開発」、もう一つが「 ”資源循環” と題し、新素材 LIMEX を含めたプラスチックのマテリアルリサイクルを推進していく事業」です。

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新素材 LIMEX は石灰石を主原料にした新素材で、プラスチックや紙の代わりとなって様々なアプリケーションに使用できます。

石灰石は世界中に豊富に存在し、枯渇のリスクが非常に低いと言われている資源であり、温室効果ガスの排出量削減や、水や森林資源を守ることに寄与します。現在は大変ありがたいことに、累計で1万社以上の企業様や自治体様に採用されています。

また、使用済みの LIMEX や廃プラスチックを回収し、自動で分別して再生する事業も行っています。プラスチックをリサイクルに回す、といった意味でも非常に需要の大きいビジネスであると考えています。

グローバル戦略における3つのキーファクター

中村(TBM):
TBM は設立当時からグローバルを見据えて経営を進めていました。

事業をグローバルに展開していく際に実践してきたことを、3つのキーファクターに分けて説明します。

1.知財戦略

2010年に LIMEX の特許をグローバルで取得し、現在は日米欧中を含む40カ国以上で100以上の特許を出願し、登録もされています。令和4年度には、知財功労賞として経済産業大臣表彰を受けました。

2.ファブレスモデル

我々のような素材メーカーでは、グローバル展開を行う際に現地でどのように製造するかが大きな課題になります。

TBM のようなスタートアップが、世界中に0から工場を立ち上げていくというのは、時間と資金面であまり現実的ではありません。そこで、我々はファブレスモデル(工場を所有せずに製造業としての活動を行うモデル)を導入しています。

LIMEX は、既存のプラスチックを加工する設備をそのまま使って開発するので、新しい工場、あるいは特殊な設備を導入する必要はありません。原料を切り替えるだけで様々な LIMEX 製品の製造が可能です。

3.グローバルパートナーとの協働

2021年に、韓国の大手財閥グループである SKグループと135億円の資本業務提携を実現し、合弁を通じた新しい製品の開発を進めております。

また、グローバルに販売網を構築していくために、各国の販売代理店や現地の業界団体に加盟し、ローカルのスタッフと業務委託契約を結んでマーケティング活動を行っています。

現在はアジアを中心にグローバルパートナーシップを構築していますが、今後は北米を含めた世界中で展開していく予定です。

また、国際会議やコミュニティを通じた発信も行っています。素材の可能性をご評価いただき、日本政府からもグローバルで発信していくような機会をもらっています。

また直近ではG7広島サミットの贈呈品に LIMEX 製品が採用されたり、日本政府代表団の一員として COP25(国連気候変動枠組条約第25回締約国会議)や世界経済フォーラムのユニコーン・コミュニティにも参加したりと、様々な活動をしています。このような場では、素材の説明だけではなく「サステナブルな資源循環の仕組みをつくる」ということを世界に発信していきたいと考えています。

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コーポレートサイト多言語展開の重要性

中村(TBM):
グローバル化にあたってぶつかった課題と、WOVN.io に助けてもらったことについてお話します。

我々は、主に LinkedIn での投稿やプレスリリース、展示会への出展、ピッチイベントなどを通してメッセージを発信しています。これらのタッチポイントの中心として、一番重要視しているのが「コーポレートサイト」です。

新規の取引先や投資家、販売パートナー、メディアの方々へ向けて、一貫したメッセージを伝えていくことに注力しており、それが各ステークホルダーとの信頼関係を構築することに繋がっていくと考えています。

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コーポレートサイトを英語・中国語に多言語化するにあたり、抱えていた課題は大きく4つです。

  1. お知らせやプレスリリースの更新頻度が高く、翻訳作業が追いつかない
  2. 海外投資家へリアルタイムに同じ情報を届けなければいけない
  3. 日英中で情報更新の頻度にばらつきがある(一元化できていない)
  4. 社内に中国語を話せる PR 担当がいない

一つの言語だけでも翻訳作業にかなり工数がかかっていましたし、これ以上マンパワーを割くこともできません。しかし、海外のステークホルダーに対しても日本語同様の密度・鮮度で情報をお届けしていく必要があります。

こういった状況の中、WOVN.io を導入したことで、多言語化の工数を一気に削減し、効率的な多言語での情報発信を実現することができました

定型業務から解放されて、新たな「攻め」のコミュニケーション施策に工数を割くことができるようになったのです。

今後の展望ですが、「TBM Pledge 2030」という野心的な目標を掲げております。

一つが2030年までにカーボンニュートラルを実現していくこと。もう一つが100万トン以上の LIMEX を50カ国で循環させるということです。

日本はあくまでも1カ国にすぎず、49カ国にはこれから LIMEX の販売を拡大し、売り切るだけでなく回収して循環する仕組みをつくることに挑戦していきたいと考えています。

Q&A

WOVN:
ここからは視聴者様からのご質問に回答いただければと思います。「良いパートナー選びのポイントを教えてください」

中村(TBM):
正直に申し上げまして、ご縁に恵まれてきたことが大きいです。主体的に LIMEX の価値、あるいは TBM の目指す姿を積極的に発信していたことで、我々の理念や想いに共感していただけるような企業様からお声掛けをいただいています。

WOVN:
続いての質問です。
「いつからミッションやビジョンを海外に対して発信するようになりましたか?」

中村(TBM):
2年ほど前からです。ミッションやビジョンを大事にしていきたいという想いは、創業当初から代表が常々言っており、社内ではそういった発信を活発に行っていました。

当時、海外へは「TBM」という会社のブランドではなく「LIMEX」という素材のブランドを中心に発信していましたが、お客様に対して我々がコミットしているのは脱炭素社会、サーキュラーエコノミーです。

LIMEX と有機的に繋がる新しいサービスを立ち上げていく中で、LIMEX という素材のブランドだけではなく、TBM という会社がどこを目指していて、どういった会社なのかを一貫して発信することが必要でした。

さらに、どのような人材にジョインしていただきたいか、どういった方々にパートナーになっていただきたいのかを発信する必要性を考慮し、2年ほど前から一貫したメッセージを海外に発信しています。

WOVN:
最後の質問です。
「グローバルでの情報発信をコーポレートサイトと LinkedIn で対応されているようですが、どの部署で何名ほどでやられていますか?」

中村(TBM):
広報部とマーケティング部の10名弱で国内外のコミュニケーションを推進しています。

実は海外に対応できるメンバーはたった1名で、先程お伝えしたように、工数がかかる多言語化作業を捌ききれず、歯痒い思いをしていました。そこで WOVN.io に助けていただいたという次第です。

WOVN:
これにて本セッションは終了となります。
中村さん、本日はありがとうございました!

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