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電通の底力が作り出した「オフィスにAIがある日常」【会議改革、名刺メーカー、音楽演奏など】

社員全員にAIとの接点を。AIでオフィスをラッピングしようという電通の試みとは。

デジタル施策がビジネスの成長を牽引する中心的存在となった近年、コンサルティングファームと総合広告代理店の境界が薄れつつある。

ITを得意とするコンサルティングファームを中心に、広告代理店を買収しデジタルマーケティング領域への進出を加速させる流れがある一方、広告代理店はコンサルティング部門を立ち上げ、データドリブンなマーケティングを提供する基盤を整えている。

しかし、AI活用、導入という文脈で、ITコンサルティングファームではなく広告代理店をに声をかけるイメージが湧かない人も多いだろう。

そんなイメージとは裏腹に、株式会社電通ではAI関連の相談が増加し続けているという。社内では、AI導入支援分野に名乗りをあげるかのように、「AIでオフィス全体をラッピング」する社内イベントを2週間にわたって開催した。

これはいったいどのような取り組みなのか、どのような目的を持って行われているのか。全貌を、電通でAI活用を推進する横断組織「AI MIRAI」統括の児玉 拓也氏に取材した。

AIでオフィスをラッピング

「AIでオフィス全体をラッピングする」という言葉の通り、電通本社の入口脇には巨大なポスターが飾られ、そのすぐ下にはオリジナルの肩書きを生成してくれるという名刺作成機が置かれていた。

このイベントでは、各業務に関連するAIを電通の社員が企画・制作し、オフィス全体に導入している。

クリエイティブ領域に強みを持つ広告代理店だけあり、

  • ブレインストーミングをスポーツにするAI会議室
  • オフィス内の社員の表情により全社のムードを測定し、それによりリアルタイムに価格が変わるパン屋

など、AIをより身近に感じられるシステムが数多く導入されていた。

ほかにも、実際に行われたプロジェクトの概要や、今後、クライアントへの提案材料になりそうな開発中のAIなどの展示も目立っていた。単に展示をするだけでなく、AIに興味を持った社員向けの機械学習ハンズオン研修も同時に実施されていたという。

──児玉
「今回の全社プロジェクトは、電通社員がAIをより身近に感じられるだけでなく、AIに触れながら使用されている技術を学べる設計にしています。

AIが今後の鍵となっていくことは明らかなので、社員全員がある程度のAIリテラシーを持ち、クライアントへの提案や自分たちの業務の変革にAIという選択肢を加えられたらと考えています

AIとクリエイティブで作られた数々のプロダクト

本プロジェクトでは、展示物もあわせて合計10種類以上のAIがオフィス内に試験的に導入された。そのなかでも特に興味深かったプロダクトをいくつか紹介していく。

ブレスポ

「ブレインストーミングをスポーツに」というコピーで一際目を引いたのがAI会議改革ソリューション「ブレスポ」だ。

ブレスポは、音声認識・自然言語処理を用いて会議中に出たアイデアをマッピングするAIだ。発言したアイデアがほかの参加者からポジティブに評価されるたび、アイデアの表示のサイズが拡大され、最終的に一番大きな評価を受けた参加者がブレインストーミングの勝者になる仕組みが組み込まれている。

ブレスポを行う会議室はゲーム感の強い装飾が施されていたため、会議自体の雰囲気が活発になるように感じられた。

AI名刺メーカー AIが名刺を提案してくれる「2枚目の名刺メーカー」

2枚目の名刺メーカー」は入力した内容とユーザーの表情をもとに名刺を自動で作成するシステムだ。自然言語処理技術(同社が開発したAIコピーライターAICOのアルゴリズム)と画像認識技術を用い、ユーザーが入力した内容とユーザーの表情を分析しユーザーの人物像を肩書きやデザイン、色合いで表現した名刺を作成する。社員だけでなく来客者も自由に触れ、オリジナルの名刺を印刷することができた。

このシステムを利用することで、ユーザーは、現時点での顔認識による表情分析の精度などを直感的に理解できるのではないだろうか。

AIと人間のジャズセッション「NEURAL JAZZ」

本プロジェクトのなかでもっとも目を引いたのがAIジャズセッションだ。

人の演奏をインプットとして受け取り、音の長さや速度、強弱などを解析し、演奏に合わせた音色をアウトプットし、人間とのジャムセッションを繰り広げている。エントランスで行われたこのセッションに多くの人が足を止め、AIの演奏に聞き入っていた。

社員全員にAIとの接点を

社内の至るところに今までにないようなアイデアを具現化したAIが導入された本プロジェクト。加えて、電通グループ各社から30名を超える有志が集まり企画・開発・実装をおこない、開催に至ったと児玉氏は語る。

──児玉
「私たちは広義な意味でのマーケティングを支援していきたいと考えています。AIも本来はデジタルマーケティングのツールと同じように、多くの人の選択肢に入っていけるはずです。

ですが、このプロジェクトが行われるまで、多くの電通社員がAIに対して漠然とした苦手意識や距離感を持っていることで、AIは提案の選択肢から外れていたように感じます。

本プロジェクトをきっかけに、社員にとってAIがもっと身近になり、AI要素技術を取り入れた提案や協業が生まれればと思います」

広告代理店が手がけるAIの未来

電通らしさを体現した創造性に溢れたAIの活用が多く見受けられた本プロジェクト。導入、展示された多くのAIが今までにない体験を生み出していた。

広告代理店のイメージが強いあまり、AI導入などの相談とはなじみが薄いように思える電通だが、広告で培った底力は電通のAIにも好影響を与えていた。

社会に浸透しつつあるAIが、加速的に日常に浸透するとき、そこには電通の存在があるのかもしれない。

小出 拓也
高校卒業後、ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校に入学、サステナビリティを学ぶ。現地での起業経験を経て、レッジに参画。ライフワークとして分散型のソーシャルメディアプラットフォーム「ALIS」のアンバサダーを務め、ブロックチェーン技術の啓蒙活動にも尽力している。

「AI:人工知能特化型メディア「Ledge.ai」」掲載のオリジナル版はこちら電通の底力が作り出した、オフィスにAIがある日常

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