Web広告研究会セミナーレポート

インフルエンサーマーケティング、最先端6社の具体的事例を紹介

Web広告研究会の5月月例セミナー第2部では、インフルエンサーマーケティングを手掛ける各社が自社の事例を惜しみなく紹介した。
Web広告研究会セミナーレポート

この記事は、公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会が開催およびレポートしたセミナー記事を、クリエイティブ・コモンズライセンスのもと一部編集して転載したものです。オリジナルの記事はWeb広告研究会のサイトでご覧ください。

インフルエンサーを起用したプロモーションとして、実際に成果につながった施策にはどのようなものがあるのか。商業施設、ビール、家電、出前・宅配サービス、ファッションブランド、化粧品、訪日観光客、ISP、フリマアプリなど、さまざまな業種での実際のプロモーション事例12件を、インフルエンサーマーケティングのサービスを提供する6社が披露した。

Web広告研究会では、2019年5月の月例セミナーを「インフルエンサーと企業のこれからの関係づくり」をテーマに5月31日に開催。その第2部では、インフルエンサーマーケティングの具体的な内容を、第1部にも登壇した各社が語った。

【登壇者】(順不同・敬称略)
・神葉 俊輔 氏(ALPHABOAT LLC, Director, Entertainment Unit)
・野村 肇 氏(indaHash Country Manager)
・石橋 尚也 氏(UUUM株式会社 執行役員/WOMマーケティング協議会 ガイドライン委員会)
・戸高 純 氏(株式会社N.D.Promotion アカウントプランナー)
・澤 宏明 氏(株式会社Gushcloud Japan 取締役)
・中山 顕作 氏(THECOO株式会社 インフルエンサー事業部 執行役員)
・モデレーター: 芹沢 美稀 氏(株式会社ラバブルマーケティンググループ(LMG) 執行役員 社長室 室長/株式会社コムニコ)

※各社のインフルエンサーマーケティングのサービス内容や特徴は、第1部のセミナーレポートを参照

モデレーター:芹沢 美稀 氏(株式会社ラバブルマーケティンググループ(LMG) 執行役員 社長室 室長/株式会社コムニコ)

商業施設―― ALPHABOATのインフルエンサー活用事例

神葉 俊輔 氏(ALPHABOAT LLC, Director, Entertainment Unit)

GINZA SIX

銀座の商業施設「GINZA SIX」では、次の2つの課題があった。
・従来の“百貨店”イメージからの脱却
・インバウンドの取り込み
そこで、ラッパーのFamous Dex氏、Keith Ape氏、音楽プロデューサーのVerbal氏という国内外のアーティストとコラボし、ミュージックビデオ“JAPAN”を撮影。「アーティストの来日のタイミングで、うまく企画をマッチングできた」(神葉氏)という。

韓国人ラッパーのKeith Ape氏は、北米を拠点に活躍するメディアレーベル/プラットフォームの「88rising」に所属。「88rising」は、彼の他にも多数のアジア人アーティストを擁し、ワールドワイドに展開している。そのためミュージックビデオは、ファンを中心に海外でも受け入れられ、「オーガニックで広げられる良い仕組みができた」(神葉氏)。

ミュージックビデオの撮影は実際にGINZA SIXで行い、YouTubeでの評価は、好評4.4万に対し不評652と、99%のGoodをマーク。公開24時間で20万再生に達した。

ビール、家電メーカー ―― indaHashのインフルエンサー活用事例

野村 肇 氏(indaHash Country Manager)

(1)サッポロビール

サッポロビールのキャンペーンでは、ストーリー性を重視している。たとえばサッポロビール黒ラベルについては、現在「大人ビール」という切り口で、俳優の妻夫木聡さんが出演するCMを展開。「大人ってなんですか」といった質問を著名人と話す内容だが、これを「もう少し消費者から見て“自分事”にできるコンテンツにしたかった」(野村氏)という。

そこで、「ビール離れ」だともいわれる若年層や女性にアプローチするため、より消費者に近い存在であるインフルエンサーと協業。成人式のシーズンにプロモーションを行った。

プロモーションは、新成人に対し「#大人に乾杯」というハッシュタグに加え、黒ラベルの缶やグラスなどを片手に乾杯した画を投稿するというものだ。indaHashが提供している協業の仕組みのなかに、ブランドが指定する定型文の投稿ではなく、インフルエンサー各自に消費者に近い視点でのコンテンツを作ってもらい、それを投稿前にブランド側がダッシュボードでチェックできるというものがある。こうした仕組みが共感を呼ぶ強みとなり、通常投稿よりも高いエンゲージメント率を記録した投稿も複数あったという。

さらにこれらのインフルエンサーが作成したコンテンツは、ブランドのネット広告やキャンペーンページでもコンテンツとして二次利用される。コンテンツを利用することで、プロモーションの相乗効果を図るとともに、効果計測も行いやすくなったとのこと。

(2)高級家電メーカー

ある高級家電メーカーがもっていた課題は、自社商品にどのように接触してもらうかという点だった。その背景にあるのは、高額なため「購入まであと一歩を踏み出せないお客様が多いのではないか」といった洞察。こうした点にデジタル上でどのようにアプローチするかを考えたプロモーションを行った。

「一般的に語られるカスタマージャーニーやシナリオだと、“テレビを見て、検索して、お店に行って……”と順番どおりになりがちだ。しかし実際の顧客行動は複雑化しており、接点はたくさんあり、企業側が考える順番と関係なく接点が積み重なっていく。そうした接触による効果が蓄積していった状態で、表面張力を破ってあふれさせる役割は、だれが果たせるのか? それがインフルエンサーだと考えた」(野村氏)。

プロモーションではインフルエンサーにショールームを訪問してもらい、商品を自分や家族が体験している様子を撮影して投稿してもらった。またすでに商品を所有しているインフルエンサーには、日常の様子を撮影して投稿してもらった。実際の使用感を消費者視点で率直に伝える内容で、エンゲージメント率は15%を記録した。

出前・宅配サービス、百貨店 ―― UUUMのインフルエンサー活用事例

石橋 尚也 氏(UUUM株式会社 執行役員/WOMマーケティング協議会 ガイドライン委員会)

(1)LINEデリマ

食品の配送をLINEから注文できる出前・宅配サービスの「LINEデリマ」について、認知・注文数アップを図った。具体的な施策としてはインスタグラマーをアサインし、届けられた食品をInstagramに投稿。

ほぼすべての年代で注文数が伸びたが、とくに20代の注文が、前回キャンペーン比で300%~400%と大きく伸長。とくに20代男性は428%に達した。

これだけ成果が伸びるとデータを疑う人もいるかもしれないが、こうしたデータの計測においては主要チャンネルの広告などは除外しており、「かなり正確にPR投稿として計測できている」(石橋氏)ということだ。

(2)松屋銀座

LINEデリマで行ったものと同様の施策を「松屋銀座」のバレンタインデー商戦で実施。チョコレートのプロモーションで複数ジャンルのインフルエンサーを活用したところ、前年は売れ残ったチョコレートが完売したとのこと店頭に来たお客さんが、Instagramの投稿を見せて「この商品を下さい」と言う光景も多く見られた。

投稿のクリエイティブも良いものが多かった。ユーザーもそのあたりまで見て判断していると思う」(石橋氏)。

ファッションブランド、化粧品 ―― N.D.Promotionのインフルエンサー活用事例

戸高 純 氏(株式会社N.D.Promotion アカウントプランナー)

(1)アメリカン・イーグル

カジュアル系ファッションブランドのアメリカン・イーグルは、
・Z世代におけるリブランディングの認知拡大
・ゴールデンウィーク前の販促
といった課題に対応するために、140秒の短編ドラマ「蒼い夏」全4話を作成し、N.D.Promotionのメディア「Nom de plume」の公式SNSを通して4月に配信した。

ドラマの出演者としてアサインしたのは、Z世代に人気の女優・俳優・モデル・YouTuberで、同時にインフルエンサーとしても活動するメンバー。脚本も、Z世代にターゲットをしぼった内容で、アメリカン・イーグルのブランドイメージにあわせた書き下ろしとなっている。

もちろん出演者がドラマ内で着用するのはアメリカン・イーグル実際の商品だったのだが、「ドラマに出演したタレントも、本当にブランドのファンになってしまった」(戸高氏)。

本編の作り込みは当然のことながら、SNS拡散のための動きにも熱心に取り組んだという。具体的には、ドラマのハッシュタグを「#あおなつ」で統一し、さらに出演者がインスタライブでの同時視聴を呼びかけるなどした。結果として、オーガニック再生が70万超、SNS延べリーチが700万超となり、実売も伸長した。

(2)日本ロレアル(メイベリン ニューヨーク)

ロレアルでは、2007年に発売し30代に人気の定番商品「メイベリン ニューヨーク」について、
・ターゲット拡張
・Z世代への認知拡大
を課題に、TikTokでのプロモーションを実施。68万フォロワーをもつインフルエンサー「莉子」を起用し、TikTok向けにマスカラをテーマにしたオリジナル楽曲と振付でのダンス動画を配信した。

動画公開後2週間で、ハート(いいね)4万8,700、コメント2,904を記録し、TikTok以外のSNSにも拡散した。

地方自治体の訪日観光客 ―― Gushcloud Japanのインフルエンサー活用事例

澤 宏明 氏(株式会社Gushcloud Japan 取締役)

(1)東北観光推進機構

東北観光推進機構では、東北6県への訪日客が増加傾向にあるなか、ミレニアル世代・富裕層の取り込みが不足していることを背景に、海外PRを強化しようとしていた。その動きに協力したGushcloudは、ターゲットを訪日観光消費額上位2カ国の中国とオーストラリアにしぼり、「訴求テーマ×コンテンツ×ターゲット×プラットフォーム×インフルエンサー」の適切な組み合わせを検討。

その結果、次の人気インフルエンサー2名を起用した。
・北京を中心に富裕層にリーチ可能な「高妹Gaomer」(139万フォロワー)
・オーストラリアでミレニアル世代を代表する存在である「Lily Maymac」(380万フォロワー)

プロモーション内容としては、本人たちが実際に、2泊3日で冬の東北観光モデルコースを散策。さまざまな画像・動画を一気に拡散した。「手法や設定については、非常に重要だと思っており、かなり膝をつき合わせて作り上げた」(澤氏)。結果として本人たちも東北を気に入り、当初契約していた数を大幅に上回るPR投稿を自発的に行ってくれたとのこと。

また、対象国に合わせて海外支社チームが東北プロモーションビデオも制作。こちらは1年だけ二次ストック型コンテンツとして活用できる形にし、東北各地域のオフィシャルサイトや公式アカウントで発信することで継続的な流入を促している。

(2)NTTドコモ×福岡市観光協会

福岡市観光協会の事例は、「観光案内AIチャットボット」と「インフルエンサー」を組み合わせたものだ。

「訪日観光客向けにナイトアクティビティを紹介したいが、人材不足やナレッジの蓄積不足などで十分に行えていなかった」という福岡市観光協会。協会では、
・戦略ターゲットである欧米圏
・福岡への来日が多い最も韓国の観光客
向けに、観光案内AIチャットボットを提供していた。福岡での“旅ナカ(訪日旅行中の期間)”情報を提供するサービスだ。

この観光案内AIチャットボットの認知・利用拡大を図るため、福岡の地元店舗やナイトアクティビティの提供者も実際に登場してサービスを説明するコンテンツを、インフルエンサーを起用して作成し、
・欧米向けにはYouTube
・韓国向けにはNAVERブログ
を通して配信した。

「“旅ナカ”での施策を実験的にチャレンジしたかった。2~3割ぐらいの方が、実際に訪日してから行き先を決めている。それに見合うインフルエンサーを、欧米向けにはYouTuberから、韓国向けにはNAVERブロガーからピックアップした」(澤氏)。これにより、視聴回数やチャットボットサービスへの送客数を達成したという。

インターネット接続サービス、フリマアプリ ―― THECOOのインフルエンサー活用事例

中山 顕作 氏(THECOO株式会社 インフルエンサー事業部 執行役員)

(1)So-net(NURO光)

ソニーネットワークコミュニケーションズの提供する高速インターネット接続の「NURO光」。順調に進めていた加入者獲得のための一般的な施策に加えて、
・広告でリーチできていない層に届ける
・NURO回線の速さを分かりやすく伝える
・潜在ユーザーのユーザープールをつくる
といったことを達成するために、ゲーム実況者複数名を起用した動画番組「NUROカップ」を開催した。

「“超高速回線を本当に求めている人たち”というのは、ゲームをやる人たち。とくにトップゲーマーはコンマ何秒の世界でプレイしている。NUROとの親和性が高いし、実際に導入しているYouTuberさんも多かった」(中山氏)。

そこで、普段集まることのないような実況者を招聘して大会を開催。視聴者にNUROをアピールした。普段のタイアップ案件と比べて、視聴者維持率が約2倍と好成績だっただけでなく、番組閲覧からの即時ダイレクトコンバージョンも実際にあったという。

(2)メルカリ

すでにテレビCMもうち、知名度は非常に高いメルカリ。しかし「それでもまだリーチできていない層があるはず」として、ユーザーのさらなる獲得が課題だった。

「メルカリのアプリをインフルエンサーが使ってレビューしても、“そんなの知ってるよ”で終わってしまう。そこで、あるインフルエンサー(YouTuber)さんが『メルカリで私物を販売する、しかも毎日』という企画を実施した」(中山氏)。

実際にインフルエンサーが私物をメルカリで販売したところ、オンライン/オフライン含めた全施策のなかで、実際のメルカリアプリの利用につながる率がナンバーワンとなる高い効果があった。

「この施策では、出品する時間をインフルエンサーさんに告知させなかった。メルカリは早い者勝ちだから、告知するとそこで終わってしまう。告知しないことでユーザーが毎日こまめにチェックを行うため、アクセスしてくれた。これはオークションサイトではできない施策だった。
アプリの場合、最初の1週間にどれだけ高頻度で使ってもらうかが勝負なので、それにマッチしていた。オーガニック流入に比べ、継続利用率が40%ほど高かった」(中山氏)。

(C)2019Web Advertising Bureau. All rights reserved.

Web広告研究会サイト掲載のオリジナル版はこちら:
「インフルエンサーマーケティング最前線。6社の12事例を一気に紹介」2019年5月31日開催 月例セミナーレポート(2)(2019/09/04)

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