2019年WAB宣言「Web/デジタルの枠を超えて、顧客の期待を超える体験を」新代表幹事のポーラ中村氏が発表 ― 第33回WABフォーラムレポート(1)
公益社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会(以下、Web広告研究会)は3月25日に、第33回WABフォーラムを開催。NECの田中滋子氏のあとを引き継ぎ、第7代代表幹事として前年12月に選出されたポーラの中村俊之氏が、2019年の「WAB宣言」を発表した。
2019年の「WAB宣言」は、「Web/デジタルの枠を超えて、顧客の期待を超える体験を」。中村氏が、決定に至った背景とそこに込めた意志を説明した。
■すでにデジタル環境は一般化、4マスメディアと並ぶ存在に
「WAB宣言(Web広告研究会宣言)」は、最も取り組むべき課題や重視すべき意識をコンパクトかつ鋭く打ち出すメッセージ。インターネット広告、Webマーケティング、生活者との情報コミュニケーションに関わるすべての人に向けてWeb広告研究会として継続的に発表してきているもので、2019年で20回目の発表。
決定までにはさまざまな角度から議論が重ねられるこのWAB宣言に関して、中村氏は、過去のWAB宣言を振り返りつつ、それらの変化の背景に「顧客の変化」「環境の変化」があると指摘した。
まず、メディア総接触時間において、ソーシャルメディアの普及とともに、パソコン・タブレット・スマートフォンなどのデジタル機器が約10年で大きく伸長し、いわゆる4マスメディアと並ぶ比率となっていることを、中村氏は指摘。同時に、マッサージ・エステ・ジムといった“体のメンテナンス”、ライブやイベントといった事例から、すでにデジタル環境が一般化していると同時に、ユーザーの “体験型消費”への欲求が高まっていることを指摘した。
■デジタル組織はどう変化し、新時代にはどうなるのか
このような環境変化を踏まえ、中村氏は次のように言う。
「Web広告業界におけるデジタル組織も、
・ホームページ運営の時代(90年代)
・Web担当の時代・トリプルメディアの時代(00年代)
・顧客体験の時代(10年代)
といったように、時代とともに変遷してきている」
当然それにあわせて、Webやデジタル担当者の役割も変化してきているとして、実際の業務や求められるスキルを説明した。
当初デジタル部門は、情報システム部門や広報部門、宣伝部門などに属する“ホームページ担当”として認識されていた。
しかし事業におけるデジタルの活用が拡大するにつれ“会社の顔”としてのWeb組織へ変化していき、WebサイトやSNSが、コミュニケーションの重要チャネルと認識されるようになっていった。
さらに今はチャネルを超えた“顧客体験の時代”に移っており、デジタル担当者が関与する可能性がある部門は大きく広がっていく。すでに、従来のコミュニケーション(広報、宣伝)部門に留まらず、経営/広報宣伝/事業部門/情報システム、さらには経理/事業開発/R&D/顧客サポートなど、デジタル活用はあらゆる部門に広がっているという。
■2019年のWAB宣言「Web/デジタルの枠を超えて、顧客の期待を超える体験を」
では、そうした時代にWeb担当者が求められる業務やスキルは何なのか? 中村氏は「各社のお話を聞いているが、現段階ではまだ明確な答えはなく摸索している段階」としつつも、すでに
・プロジェクトマネジメント
・コミュニケーション戦略
・テクノロジーへの知見
・経営視点
といったことも求められるようになってきていると感想を述べた。
このように、Web/デジタル担当者に期待される役割は変化し、ビジネスにおける活躍の場は増えている。中村氏も「私自身、デジタル担当者の活躍の場が広がっていると実感している」とし、「Webやデジタルに留まらず、組織の枠組みにとらわれることなく、生活者の期待に応え、顧客体験を提供する」ことこそが、これからのWeb/デジタル担当者にとって大事なテーマだとして、今年度のWAB宣言に関する説明を締めくくった。
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Web広告研究会サイト掲載のオリジナル版はこちら:
「Web/デジタルの枠を超えて、顧客の期待を超える体験を ―― 2019年WAB宣言を新代表幹事の中村氏が発表」3月25日(月)第33回WABフォーラムレポート(1)(2019/05/23)
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