広告はヤフーに純広出しておけばいいよね → 効果測定&最適化でROIが2倍に!/JRA-VANの事例
以前は「広告の効果測定をする」という考えが社内になく、
「ネットのサービスなら、とりあえずヤフーに広告を出しておけばいい」という意識でした。それがサイトリニューアル時にユーザー行動を知るために広告効果測定ツールを導入してからは、広告の出し方はガラリと変わりました。
効果を見て最適化することで広告費を削減しながらもコンバージョン数は維持できるようになったため、今ではなくてはならないツールになっています。
そう話すのは、JRAシステムサービス株式会社で競馬情報サイト「JRA-VAN」のネット広告を担当する井狩氏と大野氏。以前からネット広告に取り組んではいたものの、広告の効果測定は行っておらず、半信半疑の出稿もあったという。
その状況が変わったのは、JRA-VANのサイトリニューアルを機に広告効果測定ツールを導入してから。当初は、リニューアルに当たっての現状分析を目的に導入した広告効果測定ツールだったが、結果的に、ネットマーケティング全体の改善と最適化につながった。
広告効果測定ツールの導入で広告の考え方やサイト運営にどのような変化があったのかを伺った。
競馬ファンに向けて膨大なデータをオンラインで提供
「JRA-VAN」は、JRAシステムサービスが運営する競馬情報サービスの総称だ。
「JRA(日本中央競馬会)の子会社として、その膨大な公式データを一般の競馬ファンに向けて価値ある形の情報として提供したり、競馬データの新しい使い方を提案したりすることが、JRA-VANの使命です。
現在、PC、ケータイ(フィーチャーフォン)、スマートフォン(AndroidとiPhone)向けにサービスを提供しています。有料サービスから収益を得ており、これが事業の柱となっています
」(大野氏)
サービスの利用者はもちろん競馬ファンで、30~40代の男性サラリーマンが中心だという。
ユーザーの新規獲得を目的にネット広告を展開
常に張り付いてチェックできるわけではないので、パッと見てわかるウェブアンテナは使いやすいです
JRAシステムサービスでは、サービスの新規ユーザーを増やすために広告を展開している。
「広告費としてボリュームが多いのは、ポスターやテレビCMなど、タレントを使ったブランドイメージの向上を目的としたものです。ネット広告はその次によく利用していて、こちらはサービスを実際に利用するユーザーを集めることが目的となります
」(大野氏)
ネット広告は、次のようなサービスを利用して展開しているのだという。
- Yahoo! JAPANの純広告
- 検索連動型広告
(Yahoo!リスティング広告 スポンサードサーチ) - コンテンツ連動型広告
(Yahoo!リスティング広告 インタレストマッチ) - クロスリスティング
リスティング広告でGoogleアドワーズ広告を利用していないのは、Googleアドワーズ広告の規約では競馬が「ギャンブル」に該当するため広告を出稿できないからだ。
「純広告では、G1レースの期間だけYahoo!スポーツの競馬カテゴリーを中心にバナー広告を出しています
」(大野)
この他に、JRAが実施するキャンペーンサイトにバナーを掲載したり、PCやケータイサイトのお知らせ欄、メールマガジンに告知を載せたりすることで集客を図っている。
サイトのリニューアルにあたり
現状分析のために広告効果測定ツールを導入
導入前の課題
- ウェブサイトに対するユーザーのニーズがわからない(リニューアルの課題)
- 広告効果測定を行っていなかった
JRAシステムサービスが本格的にネット広告を展開するようになったのは、実は最近になってから。きっかけは、2009年秋のサイトリニューアルだった。
「PC向けのYahoo!スポーツなどには昔から出稿していましたが、以前は広告の効果測定をするという考え自体が社内になく、『とりあえず、ネットサービスならYahoo!に広告を出しておけばいいかな』という意識でした。
それが変わったのは2009年のサイトリニューアルです。そのリニューアルの理由も単に「時期が来たから」というものだったのですが、リニューアルの方針を検討するために、サイトの現状分析をしました。それによって、いろいろなことが見えてきたのです
」(大野氏)
JRA-VANのウェブサイトリニューアルに当たり、
- どのようなユーザーがサイトを利用しているのか
- ユーザーはサイトに何を求めているのか
- サイトの何を注目しているのか
といったこと把握するために、テストマーケティングとしてリスティング広告を行うことになったのだ。その際に導入したのが、株式会社ビービットが提供する広告効果測定ツール「ウェブアンテナ」だった。
「広告効果測定ツールを利用することによって、実際のユーザーがサイトをどう利用しているのかがわかりました。カジュアルな競馬ファンももちろんいますが、サイトを訪れる人の8割はブランド検索によるものでした。つまり、JRA-VANのサービスを知っていてサイトを訪れているわけです。ですから現在のサイトでは、通常のトップページは既存利用者向けだと考えて誘導用のバナーなどは表に出さずにサービスを並べたつくりにして、広告経由のアクセスは別のランディングページで受けるようにしています
」(大野氏)
「ユーザーのニーズを知る」という目的で導入して成果を出したウェブアンテナだったが、同社ではその後「広告効果の測定と広告費の最適化」という目的にも大きく貢献していくことになる。
「広告を出して、それが新規ユーザーの獲得にどれくらい貢献しているか。効果測定ツールによってそれが把握できるようになったことで、広告の出し方はガラリと変わりました。当然、予算にも関わってきますが、出稿先の見直しと効率を上げることで、無駄を削減することができました
」(大野氏)
広告費を削減しながらコンバージョン数を維持
広告効率は以前の倍に
JRAシステムサービスでは、ネット広告を代理店3社に依頼しているのだが、ウェブアンテナの代理店用アカウントの機能を使って、各代理店にもウェブアンテナを直接利用してもらっている。その結果、ツールをウェブアンテナに一本化することで、全体の効果測定と予算検討がしやすくなったのだという。
大きな動きがないかウェブアンテナを毎日確認していますし、会議の前など定期的に集計するといった使い方もしています
「広告費を検討する際に、その裏付けとなるデータが必要です。今まではできていなかった『会員獲得単価(CPA)がこれくらいだから、来年度はこれだけ上乗せしましょう』といった議論ができるようになったことは大きいです。
経営層が一番気にする数値がCPAですが、それがわかるようになったことで、『1年間でリクープできるならOK』といった判断がしやくなりました
」(井狩氏)
ウェブアンテナの効果測定によって、投資に見合わない広告も把握できるようになる。費用対効果の低い広告出稿を削っていくことで広告費は最適化される。広告効果測定は、「無駄な広告費」を削ることにも貢献しているのだという。
「4~5年前は、年間22~23戦ほどのG1シーズンほとんどで出稿していた純広告がありました。しかし、効果を調べながら出すべきタイミングでだけ出稿するようにしていったことで、広告費をかなり削減できました。決して純広告は効果がないというわけではありませんが、リスティング広告など他の広告と比較することで、適切な額に最適化していきました。
他にも、スポーツ新聞系の媒体からのコンバージョン数が、期待していたほどないこともわかりました。実は以前から効果に疑問を持っていましたが、それがデータで証明されたことは大きいですね。自信を持って判断できるようになりましたから
」(井狩氏)
データを見ながら広告費を削減していったことでCPAは大きく下がったということだが、効率が良くなっても全体のコンバージョン数が減ってしまっては意味がない。全体のボリュームはどう変わったのだろうか。
「コンバージョン数は横ばいか微増です。広告費を減らしたことで全体の誘導数が減ったのは事実です。しかし、最適化によって見込み度合いの高いユーザーさんの比率が高くなったことや、ユーザー行動を理解したうえで行ったサイトリニューアルの効果によって、サイトに来てくれた人のコンバージョン率を高めることができたため、全体のコンバージョン数は増えたという状況です
」(井狩氏)
JRA-VAN無料サービスのコンバージョン率は、サイトリニューアル前後で比較すると、1.5~2倍に上がったという。つまり、広告効率が1.5~2倍になったということだ。
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